コール・センタでの技能ベースの経路指定方法および装置
【課題】 エージェントの技能に応じてサービスを提供する。
【解決手段】 自動コール配布(ACD)システムは、コール・センタでコール処理のための技能およびそのレベルを示すデータを記憶するトランザクション待ち行列202を有し、又コール・センタにいる各エージェント152〜158の技能レベルを示す技能インベントリ・データベース206も有する。このデータベースは、特定の技能要件レベルを有するコールを特定のエージェントに処理させるためのコール・センタ管理者の優先順位のデータも記憶する。ACDシステムは、あるコールが必要とする技能レベルを、応対可能なエージェントの技能レベルまたは優先順位レベル、あるいはその両方と比較し、技能または優先順位、あるいはその両方の最も良好な合致を有する応対可能なエージェントにそのコールを転送する。
【解決手段】 自動コール配布(ACD)システムは、コール・センタでコール処理のための技能およびそのレベルを示すデータを記憶するトランザクション待ち行列202を有し、又コール・センタにいる各エージェント152〜158の技能レベルを示す技能インベントリ・データベース206も有する。このデータベースは、特定の技能要件レベルを有するコールを特定のエージェントに処理させるためのコール・センタ管理者の優先順位のデータも記憶する。ACDシステムは、あるコールが必要とする技能レベルを、応対可能なエージェントの技能レベルまたは優先順位レベル、あるいはその両方と比較し、技能または優先順位、あるいはその両方の最も良好な合致を有する応対可能なエージェントにそのコールを転送する。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コール・センタにいるエージェントへ電話コールを経路指定することに関する。詳細には、本発明は、エージェントのそれぞれの技能および電話コールの技能要件に基づいて電話コールを経路指定することに関する。
【0002】
【従来の技術】本発明は、企業(会社)のコール・センタ(センタ)内の電話エージェント(エージェント)間で作業を分担する方法および装置に関する。コール・センタとは、大量の電話ベースのトランザクションを処理するために会社によって設立されるものである。コール・センタは現在、顧客と1対1でトランザクションを行うための効率的な代替策を提供するために全世界の会社によって一般的に使用されている。たとえば、会社は、ショッピング・エリア中の1つまたは複数の商業スペースを借りて商品を大衆に小売りするのではなく、同じ商品を注文するために使用できる電話番号を掲載したカタログを郵送することができる。顧客は、自分が興味を抱いた商品を選択し、次いで、掲載されている番号をダイアルする。小売業者は、製品の需要を生み出すのに成功した場合、多数の電話コールを受けることになる。これらの電話コールを処理する特定の組織がない場合、会社の努力が無駄になることがある。各販売トランザクションを完了するには、発呼者と話をし、発呼者の質問に答え、何らかの形の支払いを請求し、発呼者の要求を満たし支払いの集金をする内部業務プロセスを開始する従業員が存在しなければならない。定義上、会社の従業員は、その従業員に割り当てられた仕事が、電話を介して行われる取引として編成される期間中は電話エージェント(エージェント)とみなされる。エージェントが各トランザクションを行う電話コールは、顧客が開始することも(この場合のトランザクションをインバウンド・トランザクションと呼ぶ)、エージェントが開始することも(この場合のトランザクションをアウトバウンド・トランザクションと呼ぶ)できる。本発明は、インバウンド・トランザクションとアウトバウンド・トランザクションの両方に関するものであるが、本発明の説明はインバウンド・トランザクションを対象とする。また、顧客は、同じ会社の一員であっても(会社のある構成サブユニットが他の構成サブユニットにサービスを提供するときなど)、会社の一員でなくても(通常、顧客の語から連想されるように、商品またはサービス、あるいはその両方を会社から購入したい人)よい。
【0003】コール・センタは、電話コールを処理できるように、顧客とエージェントの間の音声接続を行うことができる通信装置に投資している。時にはこの装置は会社の敷地上に位置し、他のケースでは、会社が、完全にあるいは部分的に電話サービス提供業者(たとえば、Regional Bell Operating Company)の敷地上に位置する装置を使用する契約を電話サービス提供業者と締結する。本発明の好ましい実施例は、会社の敷地上に存在する、交換機と呼ばれる装置上で実施される。しかし、本発明は、電話サービス提供業者の所在地に存在する装置上で実施することもできる。
【0004】コール・センタ、コール・センタでエージェントとして働く従業員、エージェントが交換機に接続された電話として使用する装置をこのように定義したので、次に、電話ベースのトランザクションを管理するうえで出会ういくつかの問題を検討することができる。
【0005】まず、作業負荷を分担する何らかの方法を準備することが当然必要である。何人かのエージェントを有するセンタを考える。センタにインバウンド・トランザクションが到着する(すなわち、コールが到着する)たびに、この新しいトランザクションを処理するためにどのエージェントを割り当てるべきかを決定する何らかの方式を有さなければならない。従来的な手法は、各エージェントがインバウンド・コールに応対できるかどうかを順次検査することによって(すなわち、第1のエージェントが話し中でない場合は、第1のエージェントがコールを受ける。第1のエージェントが話し中である場合、第2のエージェントが話し中でない場合はこの第2のエージェントがコールを受ける。第2のエージェントが話し中である場合、第3のエージェントは話し中でない場合はこの第3のエージェントがコールを受ける。以下同様である)、どのエージェントがコールを処理するかを交換機が選択する(交換機に対するコマンドを使用して明示的に、あるいは電話をどのように配線するかのみによって暗示的に)順序付け方式を確立することであった。そのような順序付け方式を使用すると、ホットシートが発生するという問題が生じる。すなわち、順序の始めの方のエージェントが順序の終わりの方のエージェントよりも多くの仕事を行う(すなわち、より多くのコールを受ける)傾向がある。
【0006】ホットシート(すなわち、エージェント間のインバウンド・トランザクションの不公平な分担)の問題を回避するために、大部分の交換機は現在、最長遊休エージェント方式を使用することによって次のインバウンド・トランザクションをどのエージェントが受けるかを選択している。この方式を使用する場合、交換機は、各エージェントがどのくらいの間、何もせずにインバウンド・トランザクションの電話を待っているかを厳密に追跡する。会社にインバウンド・トランザクションが到着したとき、交換機は、最も長い時間にわたって遊休状態であるエージェントへそのトランザクションを送る。
【0007】センタは、それ自体がいつインバウンド・トランザクションを受けるかを厳密に制御することも、あるいは、ある一瞬にどれだけの数のトランザクションを受けるかを厳密に制御することもできないことに留意されたい。これは、各コールが、通常他のすべての発呼者とは独立に活動する別々の人間によって下された決定によるものだからである。この固有の予測不能性の結果として、コール・センタが最大負荷のインバウンド・トランザクション(最大負荷と呼ぶ)を経験するピーク時が存在すると仮定することができる。コール・センタの発呼者が常に手続き上の遅延なしでエージェントと対話できるようにするために、会社は、任意の瞬間にインバウンド・トランザクションを受け入れる準備ができているエージェントの数が最大負荷よりも小さくなることのないように十分な数のエージェントを使用することができる。しかし、実際には、仮定したピーク時がまれに発生し(その結果、多数の従業員が遊休状態になることが多い)、ピーク時の実際の値は、業務条件と共に変動し予想が困難であるので、このレベルのスタッフ配置には多くの場合、法外な経費がかかる。したがって、大部分の会社は、インバウンド・トランザクションを行おうとする発呼者がコールを行うとき、すべてのエージェントがすでに他の発呼者とのインバウンド・トランザクションを処理中であることがあることを認めている。これらの会社は、サービスを受けられない顧客の不満を、何らかの種類の手続き上の遅延なしで最小限に抑える方針を計画する。1つの一般的な方針は、顧客が応対可能な電話エージェントを待ち行列で待つことができるようにすることである。
【0008】この手法を使用した場合、すべてのエージェントが発呼者に応対している際、新たに到着したコールが応答を受ける。ただし、これはエージェントによるものではなく、その代わりに、事前に録音されたメッセージまたは音楽、あるいは生の無線信号、あるいはこれらすべての何らかの組合せが、コールが保留されている間、エージェントが応対可能になるまで、発呼者に対して再生される。エージェントが応対可能になった後、待ち行列で最も長い時間にわたって待機しているコールが、交換機によって、新たに対応可能になったエージェントへ経路指定される。2人以上のエージェントがまったく同時に対応可能になった場合、交換機はそれらのうちのどちらが応対するかを無作為に選択することができる。
【0009】これまでは、センタ内のどのエージェントも取引を処理できると仮定してきた。実際には、この仮定は単純過ぎる。というのは、大部分の会社は、エージェントを特定のタイプのビジネス・トランザクションの処理を担当する作業グループに分けて編成しているからである。簡単な例として、会社がどのようにすれば、英語とスペイン語など2つの異なる言語のサポートを行うことができるかを考える。まず、会社は、各言語をどのエージェントが話せるかを判定する。次いで、会社はエージェントを英語を話すグループ、スペイン語を話すグループ、バイリンガル・グループの3つのグループに分ける。会社は次いで、一方は英語でのサービス向け、他方はスペイン語でのサービス向けの2つの異なる電話番号を宣伝することができる。インバウンド・トランザクションが到着した際、それが英語の数字でダイアルされた場合は、英語を話す応対可能なエージェント(すなわち、英語グループのエージェント)用の待ち行列に入れられる。インバウンド・トランザクションがスペイン語の数字でダイアルされた場合は、交換機によってスペイン語グループ用の待ち行列に入れられる。グループの語は、交換機によって全体的に、あるタイプのインバウンド・トランザクションを受け、あるいはあるタイプのアウトバウンド・トランザクションを出すのに適しているとみなされる、1組のエージェントを指す。ある種の交換機は、複数の待ち行列で応対可能なエージェントを探すことができ、したがって前記の例では、バイリンガル・エージェントからなる第3グループを形成することができる。スペイン語グループ中のすべてのエージェントが話し中である場合、バイリンガル・エージェント・グループはスペイン語を使用する取引を行うことができるので、インバウンド・トランザクションをこのグループへ送ることができる。この両方のグループのすべてのエージェントが話し中である場合、交換機は、両方のグループ用の待ち行列中の場所を保持し、スペイン語グループであるか、バイリンガル・グループであるかにかかわらず、次に応対できるエージェントを待つことができる。バイリンガル・グループを待つコールが、英語の取引に関するものである可能性もあることに留意されたい。
【0010】この説明では、このような機能がエージェントをグループ分けし、インバウンド・コールを1つまたは複数の特定のグループに送り、1つまたは複数のグループ用の待ち行列中にコールを保持することを可能にする交換機構成要素を(集合的に)自動コール配布システム(またはACD)と呼ぶことにする。ACDシステムは通常、どのグループがどのコールに応答するかを時間または曜日に基づいて変更する機能など、電話コール・ベースのトランザクションをどのように処理するかを変更できるようにする多数の特徴を含む。
【0011】コール・センタの主要な目的は、費用効果の高い形で大量の電話ベースのトランザクションを処理し、同時に十分な顧客サービスを提供し、十分なエージェントの士気を維持することである。現行のACDシステムは、コール・センタを管理する会社のために下記の2つの重要な決定を自動的に下すことによってこの目的を満たす。
【0012】1)エージェント選択決定:複数のエージェントが次のトランザクションを処理できるときに、どのエージェントを選択すべきか。
【0013】2)トランザクション選択決定:複数のコールまたはトランザクションが、次に応対できるエージェントを待っており、最終的にあるエージェントが応対可能になったとき、そのエージェントがどのコール(またはトランザクション)を処理すべきか。
【0014】前述のように、大部分の現行のACDシステムは、最長遊休エージェント方式を使用することによってエージェントの選択を解決している。
【0015】トランザクション選択決定に関する大部分の現行の解決策の基礎は、1つまたは複数の先入れ先出し(FIFO)待ち行列を作成することである。この解決策を使用した場合、交換機によって各コールに優先順位レベルがマーク付けされる。エージェントが応対可能になったとき、最高の優先順位を有するコールがそのエージェントへ転送される。等しい優先順位のいくつかのコールが待機している場合、最も長い時間にわたって待機しているコールが転送される(すなわち、同じ優先順位レベルのコール間では、順序付けはFIFOである)。
【0016】センタがACDを使用してアウトバウンド・トランザクションを実行している際、各トランザクションは同様に、ある種の優先順位指定を付けてFIFO待ち行列に提出され、次いで、交換機がトランザクションをこの待ち行列からエージェントへ経路指定する(同時に、アウトバウンド・ダイアリング動作を行い、あるいは行わずに、アウトバウンド・トランザクションで識別された顧客に到達する)。したがって、インバウンド・トランザクションとアウトバウンド・トランザクションを共に実行するには、エージェント選択決定とトランザクション選択決定の両方を何らかの形で下さなければならない。
【0017】コール・センタによって処理されるすべての電話ベースのトランザクションが類似している場合(すなわち、各トランザクションがまったく同じ製品の、クレジット・カードによる購入である場合)、センタを管理する会社は、各エージェントが、(単一の有効なトランザクションを実行できることを証明する)必須の訓練プログラムに合格しているかぎり、どんな電話ベースのトランザクションでも処理できると容易に確信することができる。しかし、実際には、めったにそうならない。大部分の会社は、同じコール・センタ内の非常に様々なインバウンド・トランザクションに対処しなければならない。いくつかの例を考える。
【0018】1)仲介コール・センタ:センタのエージェントは、株券および債券を売買し、会社のサービスを販売し、広告ビラおよびパンフレットならびにその他の情報を送信し、投資アドバイスを与えることができる。同じエージェントが、あるトランザクションではある顧客が株券を購入するのを助け、次のトランザクションでは他の顧客が新しい口座を開設するのを助ける。
【0019】2)製品サポート・コール・センタ:センタのエージェントは、それぞれ、特別な訓練を必要とする、様々な異なる製品に関する問題報告書を作成し、作業し、拡充し、クローズすることができる。同じエージェントが、あるトランザクションでは、第1の製品に関する顧客用の問題報告書をオープンし、次いで、次のトランザクションでは、別の顧客が第2の製品に関する問題報告書をクローズするのを助ける。
【0020】3)ユーティリティ顧客サービス・センタ:センタのエージェントは、顧客へのサービスをオンまたはオフに切り替え、質問に答えあるいは顧客の請求書を変更し、修理要員を派遣することができる。同じエージェントが、あるトランザクションでは月間ユーティリティ請求額に関する質問に答え、次のトランザクションでは、顧客の苦情に対して修理要員を派遣すべきかどうかを決定する。
【0021】大部分の現行のACDシステムは、前述のように(それぞれ、最長遊休エージェントおよびFIFO方法を使用して)エージェント選択およびトランザクション選択の決定を下す。この手法は、エージェントが処理しているトランザクションのタイプがほぼ同じであるときに有効である。なぜなら、あらゆるエージェントがあらゆるトランザクションを処理できるかぎり、センタは、単に顧客をエージェントに接続するうえで必要な手続き上の遅延を最小限に抑えることによって、ある最適レベルのトランザクション・スループット(すなわち、特定の時間間隔にセンタ全体で処理されるトランザクションの数)に確実に近づくことができるからである。言い換えると、前述のACDシステムは、センタができるだけ早くトランザクションに関する作業を開始するように働く。しかし、ACDシステムは、エージェントがトランザクションに関する作業を開始した後手続き上の遅延を最小限に抑えるようには働かない。実際、前述の例を考えた際に容易に観測できるように、すべてのエージェントが同様にすべてのトランザクションを熟知しているわけではない。その結果、現行のACDシステムは、下記の欠点があるために、センタ全体としてのトランザクション・スループットを最大にすることができない。
1)技能の劣るエージェントの問題2)余分の技能を有するエージェントの問題
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
技能の劣るエージェントの問題交換機は、そのトランザクションを処理するのに十分な技能を有さないエージェントにトランザクションを経路指定することがある。たとえば、何人かのエージェントは、最近雇用されたばかりであり、したがってまだ完全に訓練されているとは言えない。また、ある種のトランザクションはめったに行われず、すべてのエージェントがこのようなトランザクションを処理するのに十分な経験を有するとは限らない。センタ管理者が、すべてのエージェントがすべてのトランザクションを処理できるように訓練するには法外な経費がかかり、したがってその代わりにスペシャリスト(すなわち、他のエージェント向けの訓練だけでなく、ある種のトランザクションを処理するための追加訓練も受けたエージェント)を育成しようと決断するケースも考えるべきである。
【0023】すべてのこれらのケースで、大部分の現行のACDシステムは、あるトランザクションを、それを処理できないエージェントへ経路指定することがある。これが行われたとき、エージェントは、そのトランザクションを要求している顧客に謝り、その顧客を助けることができる他のエージェントへコールを転送しなければならない。この手続き上の遅延は多くの場合、顧客がエージェントに対して何らかの怒りを漏らしたときに長くなり、トランザクションの処理がさらに遅延する。エージェントが他のACDグループへ顧客を転送する必要があることもあり、その場合、顧客は再びACD待ち行列で待たなければならない。さらに、エージェントは、コールを転送できる他のエージェントを見つけるのに苦労することがある。エージェントが、顧客を待たせ、電話を使用し、あるいは歩いて探索を開始し、エージェント間を移動し、各エージェントがそのコールを受けることができるかどうかを尋ねることが必要になることもある。最後に、顧客がトランザクションに関する一部またはすべての情報を第1のエージェントに与えた後でも、顧客または第1のエージェントはこの情報を第2のエージェントに繰り返さなければならない。
【0024】多くの状況では、あるトランザクションを完了するのに十分な訓練を受けていないエージェントへそのトランザクションを送ることによって重大な悪影響がもたらされる恐れがある。すべてのケースで、第1のエージェントは、貴重な時間を費やして無用なエラーの訂正を行うが、この時間中に他の種類の1つまたは複数のトランザクションを完了できたかもしれない。また、多くのケースでは、顧客がエラーのために怒りを漏らし、その結果、顧客がその会社との取引を継続しないと決心した場合、収益の損失を含め、より長期的な影響がもたらされる恐れがある。
【0025】前述の状況を使用して、技能の劣るエージェントの問題のいくつかの例を下記に示す。
【0026】1)仲介コール・センタ:商品の投資に関心を抱く顧客からのコールが、株券、債券、ミューチュアル・ファンドに関する訓練しか受けていないエージェントへ送られる。このエージェントは場合によっては現在、商品取引に関する数カ月のコースに登録されているが、まだこのコースを完了してはいない。
【0027】2)製品サポート・コール・センタ:第1の製品に関する顧客からのコールが、第1の製品の訓練を受けているエージェントへ送られるが、この問題に関する話を開始した後、エージェントは、この問題がエージェントの能力を超えたものであると判断する。たとえば、このエージェントが、第1の製品に関するトランザクションに数カ月しか従事しておらず、かつこの問題が非常に難しいものであることがある。この場合は、第1の製品に関する経験がより豊富なエージェントへコールを転送しなければならない。
【0028】余分の技能を有するエージェントの問題交換機は、トランザクションを十分に処理するのに必要な技能を大幅に上回る技能を有するエージェントにトランザクションを経路指定することがある。このような場合、このエージェントは余分の技能を有すると言い、これは、このエージェントが資格過剰であることを意味し、かつこのエージェントの訓練および経験が、委託された仕事で無駄使いされることを暗示する。トランザクションが余分の技能を有するエージェントに経路指定されることが起こるのは、豊富な実地訓練を受けているセンタ内の何人かのエージェントが、より経験の少ない他のエージェントと同じグループに含まれているためである。このような経路指定は、コール・センタ管理者があるエージェントをスペシャリストとして指名し、すなわち、これらのエージェントが、通常エージェントに与えられる基礎レベルの訓練を上回るある種のトランザクションの処理の特別な訓練を受けるよう選抜されたときにも行われる。センタ管理者から見ると、すべてのエージェントがすべてのトランザクションの専門家になるように訓練することは経費がかかりすぎるが、ある分野におけるより広範囲な専門知識を有する何人かのスペシャリスト・エージェントを育成することは実現可能かもしれない。
【0029】すべてのこのようなケースで、大部分の現行のACDシステムは、あるトランザクションの処理に関して資格過剰なエージェントにそのトランザクションを経路指定することがある。これが行われたとき、そのようなトランザクションを受けた余分の技能を有するエージェントは、もちろんそのトランザクションを通常どおり処理する。しかし、このエージェントの平均を上回る技能を必要とする他のコールが同時にセンタに到着したと仮定して、センタ全体に対する影響を考える。
【0030】1)第1の時点で、第1のトランザクションが、その処理に関する余分の技能を有する第1のエージェントへ経路指定される。第1のエージェントが、より難しいトランザクションの処理に関して特別の訓練を受けていると仮定する。第1のエージェントは第1のトランザクションを処理することができるが、これは簡単なトランザクションなので、第1の時間に応対可能であった何人かの他のエージェントもこのトランザクションを処理することができた。しかし、第1のエージェントが最も長い時間にわたって遊休状態であったので、交換機は、最長遊休エージェント方法を使用して、第1のトランザクションを第1のエージェントへ経路指定した。
【0031】2)第2の時点、すなわち第1の時間から数秒後に、第2のトランザクションが到着する。このトランザクションは非常に難しく、第1のエージェントしか処理できない。しかし、第1のエージェントは、第1のトランザクションを処理しているので、第2のトランザクションを受け入れることができない(第1のエージェントが応対可能であっても、第1のエージェントがその時点での最長遊休エージェントであった場合、交換機は第2のトランザクションを第1のエージェントへ経路指定することになる)。したがって、交換機は第2のトランザクションを第2のエージェント、すなわち第2の時点での最長遊休エージェントへ経路指定する。しかし、第2のエージェントは、第2のトランザクションを処理するのに十分な技能を有しておらず、したがってその結果、センタは、前述のように技能の劣るエージェントの問題を経験する。
【0032】したがって、ある負荷条件の下では、トランザクションが、余分の技能を有するエージェントへ経路指定された場合、交換機は実際には、技能の劣るエージェントの問題の新しい例と、この問題に伴うすべての重大な影響をもたらす。実際には、このような負荷条件はよく発生し、センタのトランザクション・スループットを減少させるように働くもう1つの力である。
【0033】余分の技能を有するエージェントの問題のそれほど明白でない他のコストは、スペシャリスト・エージェントに与えられる訓練の機会費用である。多くの場合、そのような訓練は、中央の管理者によるかなりの財政投資を要する。すべての訓練費用が発生した後で、スペシャリスト・エージェントが、その時間のかなりの部分を費やして、特別な訓練なしで処理できるトランザクションの処理に当たった場合、会社はある程度、訓練投資の対価を享受することができなくなる。会社は、それほど多くの人員をスペシャリストとして育成する必要はなかったわけである。
【0034】前述のように、現行のACDシステムでは、トランザクションのディスパッチに関するエージェント選択決定を下すためにエージェントをグループ化することができる。前述の例を使用して、エージェントをグループ分けするいくつかの方法を考えることができる。
【0035】1)仲介コール・センタ:一例を挙げると、このセンタのエージェントは、株券・債券グループおよび商品グループの2つのグループに分けることができる。
【0036】2)製品サポート・コール・センタ:一例を挙げると、このセンタのエージェントは、製品に応じて、製品Aグループ、製品Bグループ、製品Cグループ、製品Dグループの各グループに分けることができる。
【0037】3)ユーティリティ顧客サービス・センタ:一例を挙げると、このセンタのエージェントは、クレジット・集金グループおよび販売サービス・グループの2つのグループに分けることができる。
【0038】エージェントをグループ分けすると、センタは、前述の技能の劣るエージェントの問題をある程度回避することができる。しかし、依然として、技能の劣るエージェントの問題が発生する可能性は高く、かつこの方法はいくつかの他の欠点も有する。たとえば、コール・センタ管理者は、かなりの時間を費やして、エージェントをどのようにグループ分けするかを決定しなければならない。コール・センタ管理者はまず、計画作業を行って、会社の目的を満たす可能性が最も高い構成を推定し、次いで、交換機の制御卓に多数のコマンドを手動で入力して交換機にこの計画を実施させなければならない。この構成が交換機のデータベースに記憶された後、交換機はこの構成を使用してすべてのトランザクションを処理する。通常、コール・センタ管理者は、コール・センタの成績を繰り返し監視し、成績が向上するよう構成を修正しなければならない。たとえば、トランザクション負荷の規模、ペース、組合せが変化したときには通常、構成を修正しなければならない。
【0039】すべてのエージェント(N)をいくつかのグループに分けて最適構成を計画するのは通常、簡単な作業ではない。前記の例(2)(製品サポート・センタ)を考える。この例は(構成Iと呼ぶ)、前述のように十分に簡単なものであると思われる。会社は、各エージェントを単一の製品に関するトランザクションの処理の専門家になるように訓練する。次いで、会社は、製品に基づいてエージェントをグループ分けするだけでよい。会社は、前記に示したように4つの製品を有する場合、4つのグループを有する。4つのグループ中のすべてのエージェントの和は、エージェントの総数(N)に等しい。
【0040】実際には、状況がこのように単純であることはめったにないことを示すために下記の例を考える。まず、会社がスペイン語しか話さない顧客をサポートしたいと仮定する。会社は、この現実的な要件を満たすために、エージェントを下記のようにグループ分けする必要がある(これを構成IIと呼ぶ)。
1)英語のみ製品Aグループ2)英語のみ製品Bグループ3)英語のみ製品Cグループ4)英語のみ製品Dグループ5)バイリンガル製品Aグループ6)バイリンガル製品Bグループ7)バイリンガル製品Cグループ8)バイリンガル製品Dグループ
【0041】会社は、顧客をサポートするために必要なグループの数を急に2倍にした。この場合、コール・センタ管理者が、グループ1(英語のみ製品A)中のすべてのエージェントが話し中である場合、その代わりにグループ1向けのトランザクションをグループ5(バイリンガル製品A)中のエージェントへ送信できると指定するように交換機を構成しなければならず、グループ5中のすべてのエージェントが十分な技能を有し(すなわち、英語を話し、製品Aに関する訓練を受けている)、他のグループに関しても同様なので、構成作業はさらに複雑である。会社はこの余分な構成を実行し、あるいは追加のエージェントを雇用しなければならないことに留意されたい。この問題を評価するために、エージェントをどのようにグループ分けするかを考える。構成Iでは、下記のようにグループ分けされる。
G1=N−(G2+G3+G4)
G2=N−(G1+G3+G4)
G3=N−(G1+G2+G4)
G4=N−(G1+G2+G3)
上式で、N=G1+G2+G3+G4であり、N、G1、G2、G3、G4は定義上、零よりも大きい。
【0042】構成IIでは、エージェントは下記のように、より多数のグループに分けられる。
G1=N−(G2+G3+G4+G5+G6+G7+G8)
G2=N−(G1+G3+G4+G5+G6+G7+G8)
G3=N−(G1+G2+G4+G5+G6+G7+G8)
G4=N−(G1+G2+G3+G5+G6+G7+G8)
G5=N−(G1+G2+G3+G4+G6+G7+G8)
G6=N−(G1+G2+G3+G4+G5+G7+G8)
G7=N−(G1+G2+G3+G4+G5+G6+G8)
G8=N−(G1+G2+G3+G4+G5+G6+G7)
上式で、N=G1+G2+G3+G4+G5+G6+G7+G8であり、N、G1、G2、G3、G4、G5、G6、G7、G8は定義上、零よりも大きい。
【0043】会社は、追加のスタッフの雇用を回避するために、センタ内のエージェントの総数をレベルNに維持する。したがって、会社が追加の構成作業を行わず(すなわち、各グループが忙しい時に相互にバックアップする方式を設定しない)、さらに特定のグループ(たとえばグループ1)について通常のトランザクション数よりも多くのトランザクションが急に発生した場合、構成IIでは、これらのトランザクションを処理できるエージェントの数が構成Iよりも少なく、発呼者はより長い時間にわたって待たなければならず、場合によってはいらいらして電話を切ることもある(すなわち、構成IIのG1は一般に構成IのG1よりも小さい)。
【0044】次に、現実的な因子をこの状況に追加する。会社が新規の製品、すなわち製品Eを発売する際に生じる状況を考える。会社は、何人かの追加エージェントを雇用することもあるが、他のグループの何人かのエージェントを製品Eに関するトランザクションを処理できるように訓練することもある。合理的な判断は、会社が、製品Eの成功を確信できるまで、製品Dグループ中のバイリンガル・エージェントも製品Eに関するトランザクションを処理できるように訓練して、製品Eグループに必要な雇用を最小限に抑えようと決定することである。その場合、結果として得られる構成(構成III)を下記に示す。
1)英語のみ製品Aグループ2)英語のみ製品Bグループ3)英語のみ製品Cグループ4)英語のみ製品Dグループ5)英語のみ製品Eグループ6)バイリンガル製品Aグループ7)バイリンガル製品Bグループ8)バイリンガル製品Cグループ9)バイリンガル製品DおよびEグループ
【0045】この場合も、新しいグループを構成し、重負荷期間向けの合理的なバックアップ方式を設定するために人間の介入が必要である(たとえば、前記の構成IIIではグループ9がグループ5をバックアップすることができる)。
【0046】最後に、このような状況のうちで最も現実的な状況、すなわち、各エージェントを1つまたは複数の製品に関して訓練する状況を考える。製品は多くの場合、相互に関係しており、エージェントは、どの製品の技術的問題でも適切に解決するために複数の製品を理解する必要がある。センタに新しいエージェントが加わった際、そのエージェントは最初、1つの製品に関する訓練しか受けないが、数カ月および数年のうちにしだいにいくつかの他の製品に関する知識も身に着ける。構成IV(下記)は、そのようなセンタの一例を示す。
1)英語のみ製品Aグループ2)英語のみ製品Bグループ3)英語のみ製品Cグループ4)英語のみ製品Dグループ5)英語のみ製品Eグループ6)英語のみ製品AおよびBグループ7)英語のみ製品CおよびDグループ8)すべての製品グループに関する英語のみ専門家9)バイリンガル製品Aのみグループ10)バイリンガル製品Bのみグループ11)バイリンガル製品Cのみグループ12)バイリンガル製品Dのみグループ13)バイリンガル製品Eのみグループ14)バイリンガル製品AおよびBグループ15)バイリンガル製品CおよびDグループ16)すべての製品グループに関するバイリンガル専門家
【0047】この構成も単純過ぎ、5つの製品と2つの言語をサポートする製品サポート・コール・センタをサポートする構成を提供する他の多くの組合せが考えられる。実際、そのようなセンタは通常、数十種の製品をサポートする。しかし、この構成は、これらの例の全体的な目的、すなわち、従来技術のグループ分け方法が、トランザクションをエージェントへ経路指定するために使用される構成の不断の保守を必要とする、コール・センタ内のエージェントの作業負荷を編成するための労働集約的な手法となることを示すという目的を満たす。絶えず保守を行う場合でも、構成の設計対象であるトランザクション負荷が常に変化するので、コール・センタ管理者は、最適な構成が使用されていると確信することはできない。
【0048】コール・センタ内のエージェントを技能に基づいてグループ分けすると、技能の劣るエージェントの問題の発生頻度を低減することができるが、この方法はこの問題を完全に解消するわけではなく、センタに対する他のいくつかの悪影響もある。たとえば、コール・センタ管理者は、計画作業を行って、エージェントの受け入れられるグループ構成を案出しなければならない。これは、かなりの作業であり、何人かの個人が数日にわたって作業する必要がある。いくつかの会社は、この作業の助けとしてコンサルタントを雇用している。したがって、この計画活動で会社は多額のコストを負担する。また、決定された構成がすべての状況に最適なものであるとは限らない。前述のように、トランザクションの規模、ペース、組合せが変化したときに、技能の劣るエージェントの問題および余分の技能を有するエージェントの問題がセンタの成績に影響を及ぼす可能性が高くなる。最後に、コール・センタ管理者は、トランザクション負荷の規模、ペース、組合せの変化に応答するために、継続的に現行のグループ分け構成の成績を監視し、必要に応じて手動で変更を加えなければならない。大部分の会社では、コール・センタ管理者および監督が毎日、各グループにどのエージェントが何人割り当てられているかを監視し調整することに時間を費やさなければならない。この場合も、このような活動によって、普通なら会社が競争で優位を占めるために使用できる貴重な会社の資源が費される。
【0049】「サービスの品質」測定問題従来のACD環境では、コール・センタ管理者は、下記の主要な指標に基づいて、コール・センタを管理し、顧客に提供されるサービスのレベルを評価する。
平均応答速度−発呼者が応答を待った平均時間サービス・レベル率−定義されたサービス・レベル内で応答されたコールの割合放棄率−受信されたコールのうちで、放棄されたものの割合平均放棄時間−発呼者が放棄する前に待機した平均時間
【0050】コール・センタ管理者は、顧客に対するサービス・レベル要件を満たし、放棄されるコールの割合を最小限に抑えるために、トランザクション負荷の推定の規模、ペース、組合せに基づいて各静的グループに必要な妥当な構成レベルを決定する問題に直面する。
【0051】たとえば、ある健康保険会社は、90%の医療保険請求コールにサービス・レベル20秒以内に応答し、95%の生命保険コールにサービス・レベル30秒以内に応答するという、顧客Aに対する契約上の約束を有する。この保険会社は、95%の医療保険コールを20秒で処理するという顧客Bに対する類似の契約上の約束を有する。この保険会社は、両方の顧客に対して、受信したコールのうちで放棄されるコールが3%未満になることを約束している。
【0052】前記の状況では、コール・センタ管理者は、各顧客ごと各コール・タイプごとに妥当なレベルのサービスを提供するために計画およびスタッフにかなりの努力を費やす。実際には、コール・センタ管理者は、顧客に提供されるサービス・レベルの1面に対処しているに過ぎない。前記の従来型の4つのサービス・レベル指標は、提供されるサービスの品質ではなく、サービスの速度およびサービスを待つ顧客の忍耐に対処するものである。
【0053】前記の「技能の劣るエージェントの問題」の節で論じたように、コール・センタは、サービス・レベル目標を満たすサービスを顧客を提供するのに十分な技能を有さないエージェントへコールを経路指定することがある。その場合、技能の劣るエージェントは、低品質のサービスを提供し、あるいは、発呼者を待たせて適当な技能を有するエージェントに相談し、あるいは、適当な技能を有するエージェントへその顧客を転送する。従来型のサービス・レベル指標は、実際の顧客満足度が非常に低いときに高レベルのサービスが提供された(95%のコールが20秒以内に応答された)ことを反映するものである。
【0054】本出願に記載した本発明は、特定のトランザクション・タイプに関して顧客に提供されるサービスの品質の定量的尺度をコール・センタ管理者に提供することによってこの「サービスの品質」問題に対処する。
【0055】「エージェント使用率」測定問題従来型のACD環境では、コール・センタ管理者は、ACDコールの処理に費やされたエージェントの利用可能時間の割合によって、エージェント資源をどれだけ有効に使用しているかを評価する。前述の「サービスの品質」問題の場合と同様に、この指標はエージェント使用率の1面、すなわち時間因子しかカバーしていない。この指標は、技能因子には対処していない。たとえば、下記の質問は、従来型のACDエージェント使用率指標では回答できない。エージェントの技能をどれだけ有効に使用したか。エージェントは、技能が劣り、あるいは余分の技能を有するコールを処理したか。エージェントは、その技能レベルを向上させるタイプのコールを処理しているか。それぞれ異なる技能レベルを有するエージェントによってコールを処理する際に処理効率はどのような影響を受けるか。
【0056】本出願に記載した本発明は、コールを処理したエージェントによって発呼者の要件がどれだけ厳密に満たされたかの定量的尺度をコール・センタ管理者に提供することによって、「エージェント使用率」問題のこれらの局面に対処する。
【0057】
【課題を解決するための手段】本発明は、コール・センタにいる複数のエージェント間でトランザクションを分担する自動コール配布システムに関する。この自動コール配布システムは、トランザクション待ち行列と、技能インベントリ・データベースと、トランザクション・ディスパッチャと、交換回路とを備える。トランザクション待ち行列は、トランザクションに関する1組の技能要件データを記憶する。技能インベントリ・データベースは、複数のエージェントのそれぞれごとに1組の技能データを記憶する。トランザクション・ディスパッチャは、トランザクションに関する1組の技能要件データをエージェントに関する技能データと比較し、そのトランザクションを処理すべき1人のエージェントを選択する。交換回路は、トランザクション・ディスパッチャに応答して、選択されたエージェントにトランザクションを切り替える。
【0058】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の好ましい実施例を実施した通信システムの機能ブロック図である。この通信システムは、顧客から会社のコール・センタへのインバウンド電話コールまたはトランザクションと、コール・センタのエージェントから顧客へのアウトバウンド電話コールまたはトランザクションを容易にするものである。いくつかの顧客電話20、22、24、26が公衆交換機10に接続される。公衆交換機10は会社の構内交換機(PBX)50に接続される。図1は、いくつかのエージェント電話152、154、156、158を備えるコール・センタ150も示す。コール・センタ150は、自動コール配布(ACD)システム100によって制御される。ACDシステム100は、動的技能ベース・ルータ110と、1組のACD交換回路120とを備える。ACDシステム100は、本発明の方法によってエージェント電話152、154、156、158へコールを経路指定する。図1は、コール・センタ150では働いていない会社の従業員が使用するいくつかの電話62、64、66、68も示す。
【0059】図2は、図1のACDシステム100およびコール・センタ150の機能ブロック図である。この場合も、ACDシステム100は、動的技能ベース・ルータ110とACD交換回路120とを備え、コール・センタ150はエージェント電話152、154、156、158を備える。さらに図2に示したように、動的技能ベース・ルータ110は、トランザクション・リクエスタ200と、トランザクション待ち行列202と、待ち行列制御装置204と、技能インベントリ・データベース206と、トランザクション・ディスパッチャ208と、コール制御インタフェース210とを備える。
【0060】一般に、何人かの電話エージェントは、電話152、154、156、158を使用して、コール・センタ150と顧客電話20、22、24、26との間で電話コールまたはトランザクションを受信し送信する。たとえば、顧客は家庭の電話20を使用して、会社を呼び出し、会社の1つの製品を注文することができる。顧客は、会社の一般販売電話番号をダイアルする。公衆交換機10は、当業者には良く知られている方法によってインバウンド電話コールを会社のPBX50へ経路指定する。PBX50は、一般販売電話番号に送られたすべてのインバウンド電話番号をACDシステム100へ経路指定し、エージェント電話152、154、156、158のうちの1つへ経路指定できるようにする。動的技能ベース・ルータ110は、本発明の方法を実施して、そのインバウンド電話コールまたはトランザクションをどのエージェント電話152または154または156または158へ経路指定すべきかを決定する。動的技能ベース・ルータ110は次いで、選択されたエージェント電話152または154または156または158へトランザクションを経路指定するようにACD交換回路120を制御する。選択されたエージェント電話152または154または156または158に配置されているコール・センタ・エージェントは、そのインバウンド電話コールまたはトランザクションを受けてその要求を処理する。したがって、顧客がコールを行い会社の1つの製品を注文するこの例では、インバウンド・コールを受けたコール・センタ・エージェントは、顧客がどの製品を注文したいかを判定し、注文を受け入れ、顧客による支払いの手筈を整える。
【0061】動的技能ベース・ルータ110は、コンピュータ・プログラムを備える。図1で、動的技能ベース・ルータ110はPBX50とは別の機能単位として図示されており、本発明の第1の実施例では、ルータ110はPBX50とのインタフェースをとる独立型パーソナル・コンピュータで物理的に実施される。この実施例では、コール制御インタフェース210は標準CSTAインタフェースを実施する。しかし、本発明の好ましい実施例では、ルータ110はPBX50内で物理的に実施される。トランザクション・リクエスタ200、待ち行列制御装置204、トランザクション・ディスパッチャ208、コール制御インタフェース210は、ルータ110を実施するコンピュータ・プログラムの別々のルーチンを備える。技能インベントリ・データベース206は、ハード・ディスク上に記憶し、プログラムの実行時にランダム・アクセス・メモリ(RAM)に読み取ることができるデータベースである。トランザクション待ち行列202は好ましくは、プログラムの実行時にRAM中に生成される。
【0062】図3は、トランザクション・ディスパッチャ208によって実施される方法を示すフローチャートである。この方法は、初期ブロック300から開始する。判断ブロック302で、トランザクション・ディスパッチャ208は、3つの発信元のうちのどれか、すなわち内部タイマ、PBX50、または独立型パーソナル・コンピュータのオペレータからメッセージ(MSG)を受信する。判断ブロック302で、トランザクション・ディスパッチャ208は、メッセージが内部タイマからのタイマ・メッセージか、それともオペレータからの直接待機メッセージか、それともPBX50からのコール制御メッセージかを判定する。コール制御インタフェース210は、ルータ110とPBX50との間のインタフェースを提供する。したがってたとえば、コール制御インタフェース210は、PBX50からメッセージを受信し、トランザクション・ディスパッチャ208など、ルータ110内の他の装置へそのメッセージを転送する。
【0063】メッセージがタイマ・メッセージである場合、この方法は処理ブロック304へ進む。トランザクション・ディスパッチャ208は、独立型コンピュータ内の1つまたは複数の内部タイマを制御し、これらの内部タイマは、トランザクション・ディスパッチャ208へのメッセージを生成することによって設定時間が経過したことを示す。トランザクション・ディスパッチャ208が受信したメッセージが直接待機メッセージである場合、この方法は処理ブロック320へ進む。独立型コンピュータのオペレータは、直接待機メッセージを作成することによってトランザクションを開始することができる。たとえば、オペレータはコール・センタ・エージェントが特定の顧客を電話で呼び出すことを必要とするトランザクション(すなわち、アウトバウンド・トランザクション)を生成することができる。トランザクション・ディスパッチャ208が受信したメッセージがコール制御メッセージである場合、この方法は判断ブロック322へ進む。PBX50は、たとえば顧客から着信電話コールを受信したときに、トランザクション・ディスパッチャ208へのコール制御メッセージを生成する。
【0064】処理ブロック304で、トランザクション・ディスパッチャ208は、待ち行列制御装置204にトランザクション待ち行列202の第1のトランザクションを要求する。
【0065】判断ブロック306で、トランザクション・ディスパッチャ208は、待ち行列制御装置204から受信したトランザクションが空トランザクションであるかどうかを判定する。トランザクション待ち行列202が空のとき、トランザクションは空トランザクションである。トランザクションが空トランザクションである場合、この方法は終了ブロック318へ進む。そうでない場合、この方法は判断ブロック308へ進む。
【0066】判断ブロック308で、トランザクション・ディスパッチャ208は、トランザクションが、待ち行列202上に残ることを許されている第1の所定の最大時間よりも長い時間にわたって待ち行列202に存在しているかどうかを判定する。第1の所定の時間が満了している場合、この方法は処理ブロック310へ進む。そうでない場合、この方法は判断ブロック312へ進む。
【0067】処理ブロック310で、トランザクション・ディスパッチャ208は、トランザクションがタイムアウトしたことを示すメッセージと共に、トランザクションを要求したプロセスにトランザクションを戻す。処理ブロック310の後で、この方法は処理ブロック316へ進む。
【0068】判断ブロック312で、トランザクション・ディスパッチャ208は、トランザクションが、第2の所定の時間、すなわち、それが経過した後はトランザクションの待機時間が満了したとみなされる時間よりも長い時間にわたって待ち行列202に存在しているかどうかを判定する。第2の所定の時間が満了している場合、この方法は処理ブロック314へ進む。そうでない場合、この方法は判断ブロック316へ進む。
【0069】処理ブロック314で、トランザクション・ディスパッチャ208はトランザクションを、待機時間が満了したトランザクションとしてマーク付けする。
【0070】処理ブロック316で、トランザクション・ディスパッチャ208は、待ち行列制御装置204に待ち行列202中の次のトランザクションを要求する。処理ブロック316の後で、この方法は判断ブロック306に戻る。
【0071】処理ブロック320で、待ち行列制御装置204はメッセージを受信し、新しいトランザクションを生成する。しかし、この新しいトランザクションはコール制御メッセージではなく直接待機メッセージから生成されたものなので、この新しいトランザクションには着信電話コールは接続されていない。処理ブロック320の後で、この方法は判断ブロック326へ進む。
【0072】判断ブロック322で、トランザクション・ディスパッチャ208は、新しい着信電話コールが到着したとPBX50が報告しているかどうかを判定する。そうである場合、この方法は、処理ブロック324へ進む。そうでない場合、この方法は、判断ブロック338へ進む。
【0073】処理ブロック324で、トランザクション・リクエスタ200は、新しいトランザクション待ち行列項目を作成し、そのトランザクション項目に着信コールを接続する。トランザクション・リクエスタ200は、待ち行列制御装置204を使用して、トランザクション項目を待ち行列202に入れる。下記で詳しく説明するように、トランザクション項目は、着信電話コールの技能要件に関する情報を含む。トランザクション・リクエスタ200は、着信コールの技能要件を様々な方法で得ることができる。たとえば、トランザクション・リクエスタ200は、顧客がダイアルした電話番号および顧客の電話番号を判定することができる。それぞれの異なる要件を有するコールにそれぞれ異なる電話番号が指定される場合、ダイアルされた電話番号はある種の技能要件情報を提供する。たとえば、英語トランザクションに第1の番号を指定し、スペイン語トランザクションに他の番号を指定することができる。トランザクション・リクエスタ200は、トランザクションが英語技能を必要とするものか、それともスペイン語技能を必要とするものかを、ダイアルされた電話番号から判定することができる。たとえば、会社内部の顧客が特別な技能要件を有する場合は、顧客の電話番号が意味がある。トランザクション・リクエスタ200は、プロンプトを出し、コールの特定の技能要件を示す電話上の特定のキーを発呼者に押させることによって技能要件情報を得ることもできる。待ち行列制御装置204はまた、トランザクション項目を、ただちに処理し、かつ場合によってはただちにディスパッチするために直接、トランザクション・ディスパッチャ208へ転送する。
【0074】判断ブロック326で、トランザクション・ディスパッチャ208は、応対可能なエージェントのリストを参照し、着信電話コールを受けることができるコール・センタ・エージェントがいるかどうかを判定する。応対可能なエージェントのリストはトランザクション・ディスパッチャ208によって維持される。応対可能なエージェントがいない場合、この方法は処理ブロック332へ進む。そうでない場合、この方法は処理ブロック328へ進む。
【0075】処理ブロック328で、トランザクション・ディスパッチャ208は、着信電話コールに応対可能なエージェントを合致させようとする。この処理ブロック328中にトランザクション・ディスパッチャ208が使用する方法については、下記で図6、図7、図8に関して詳しく説明する。
【0076】判断ブロック330で、トランザクション・ディスパッチャ208は、処理ブロック328の方法の結果、応対可能なエージェントと着信電話コールとの間に適切な合致がもたらされたかどうかを判定する。着信コールに適したエージェントが見つかった場合、この方法は処理ブロック334へ進む。そうでない場合、この方法は処理ブロック332へ進む。
【0077】処理ブロック332で、トランザクション・ディスパッチャ208はトランザクション待ち行列202にトランザクション項目を残し、終了ブロック336へ進む。
【0078】処理ブロック334で、トランザクション・ディスパッチャ208は、トランザクションを関連する電話番号と共に、処理ブロック328中で選択されたエージェントに割り当てる。具体的には、トランザクション・ディスパッチャ208は、電話コールがあれば、選択されたエージェントに対応するエージェント電話152または154または156または158へそれを経路指定するようACD交換回路120に指令するコマンドを、コール制御インタフェース210にPBX50宛に発行させる。トランザクション・ディスパッチャ208はまた、トランザクション待ち行列202中の対応する項目を削除するように待ち行列制御装置204を制御する。処理ブロック334の後で、この方法は終了ブロック336へ進む。
【0079】判断ブロック338で、トランザクション・ディスパッチャ208は応対可能なエージェントのリストを参照し、トランザクションを処理するために応対可能になったコール・センタ・エージェントがいるかどうかを判定する。応対可能になったエージェントがまだいない場合、この方法は判断ブロック340へ進む。そうでない場合、この方法は判断ブロック356へ進む。
【0080】判断ブロック340で、トランザクション・ディスパッチャ208は、発呼者が、コール・センタ・エージェントと話をする前に電話を切ったかどうかを判定する。具体的には、トランザクション・ディスパッチャ208は、電話コールが終了したかどうかをコール制御メッセージから判定し、そうである場合は、電話コールがトランザクション待ち行列202中の項目に関連するものであったかどうかを判定する。発呼者がエージェントと話をする前に電話を切った場合、この方法は処理ブロック342へ進む。そうでない場合、判断ブロック344へ進む。
【0081】処理ブロック342で、トランザクション・ディスパッチャ208は、終了した電話コールに関連する待ち行列202中の項目を削除する。処理ブロック342の後で、この方法は終了ブロック354へ進む。
【0082】判断ブロック344で、トランザクション・ディスパッチャ208はコール制御メッセージを参照し、ACDシステム100にログオンしたエージェントがいるかどうかを判定する。エージェントがトランザクションの受信を開始するには、コール・センタ・シフトの開始時にACDシステム100にログオンしなければならない。ログオンしたエージェントがいる場合、この方法は処理ブロック346へ進む。そうでない場合、この方法は判断ブロック348へ進む。
【0083】処理ブロック346で、トランザクション・ディスパッチャ208は、ログオンしたエージェントを応対可能なエージェントのリストに追加する。処理ブロック346の後で、この方法は終了ブロック354へ進む。
【0084】判断ブロック348で、トランザクション・ディスパッチャ208は、ACDシステム100からログオフしたエージェントがいるかどうかを判定する。ログオフしたエージェントがいる場合、この方法は処理ブロック350へ進む。そうでない場合、この方法は処理ブロック352へ進む。
【0085】処理ブロック350で、トランザクション・ディスパッチャ208は、ログオフしたエージェントを応対可能なエージェントのリストに追加する。処理ブロック350の後で、この方法は終了ブロック354へ進む。
【0086】処理ブロック352で、トランザクション・ディスパッチャ208は、メッセージを認識できないと報告する。処理ブロック352の後で、この方法は終了ブロック354へ進む。
【0087】判断ブロック356で、トランザクション・ディスパッチャ208は、待ち行列202上にトランザクションがあるかどうかを待ち行列制御装置204から判定する。待ち行列202上に少なくとも1つのトランザクションがある場合、この方法は処理ブロック358へ進む。そうでない場合、この方法は処理ブロック364へ進む。
【0088】判断ブロック358で、トランザクション・ディスパッチャ208は、応対可能なエージェントを待ち行列202上の1つのトランザクションに合致させようとする。処理ブロック358中にトランザクション・ディスパッチャ208が使用する方法については、図6、図7、図8に関して詳しく説明する。
【0089】判断ブロック360で、トランザクション・ディスパッチャ208は、応対可能なエージェントに適したトランザクションが待ち行列202上で見つかったかどうかを判定する。エージェントに適したトランザクションが見つかった場合、この方法は、処理ブロック362へ進む。そうでない場合、この方法は処理ブロック364へ進む。
【0090】処理ブロック362で、トランザクション・ディスパッチャ208は、待ち行列202から選択したトランザクションを応対可能なエージェントに割り当てる。この場合も、具体的に言うと、トランザクション・ディスパッチャ208は、選択したトランザクションからの電話コールがあれば、応対可能なエージェントに対応するエージェント電話152または154または156または158へそれを経路指定するようACD交換回路120に指令するコマンドを、コール制御インタフェース210にPBX50宛に発行させる。トランザクション・ディスパッチャ208はまた、トランザクション待ち行列202中の対応する項目を削除するように待ち行列制御装置204を制御する。処理ブロック362の後で、この方法は終了ブロック366へ進む。
【0091】処理ブロック364で、トランザクション・ディスパッチャ208は、応対可能なエージェントにトランザクションを割り当てず、応対可能なエージェントのリストにこのエージェントを追加する。処理ブロック364の後で、この方法は終了ブロック366へ進む。
【0092】図3、図4、図5の方法は、1つの終了ブロック318または336または354または366で終了する。この方法が終了すると、トランザクション・ディスパッチャ208は次のメッセージを受信するのを待つ。次のメッセージの受信時に、図3、図4、図5の方法が再び初期ブロック300から開始する。
【0093】本発明は、特定の応用例にとって最も重要な基準とみなされる基準に基づいて各トランザクションごとに最も妥当なエージェントを見つけようとするものである。好ましい実施例では、ある種の基準が最も重要な基準として仮定されているが、他の特定の応用例では他の基準を最も重要な基準とみなすことができる。好ましい実施例の応用例で最も重要な基準とみなされる基準について下記で説明する。本発明を開発する際に、本発明者は下記の知見を得た。
【0094】1)各エージェントは、それぞれ、ある専門知識レベルを有する、トランザクションを処理するための1組の技能(agent_skills)を有する(たとえば、エージェントAはスペイン語会話が堪能であり、製品Xに関する技術的な質問に回答する適度な技能を有する)。
Agent_skills={SA1,SA2,SA3,...SAi)
【0095】上式で、iは1組の技能中の技能の総数である。本発明の好ましい実施例では、技能インベントリ・データベース206は、コール・センタ150内の各エージェントごとのagent_skillsに対応するデータ構造を含む。各データ構造は、対応するエージェントに関する技能および各技能ごとの専門知識レベルを示す。
【0096】2)各業務トランザクションには特定の1組の技能(trans_skills)が必要である(すなわち、そのトランザクションを行うエージェントは、十分な専門知識レベルを有するtrans_skills中の技能を有する必要がある)(たとえば、トランザクションが、スペイン語を話す顧客からの製品Xに関する技術的な質問に回答することである場合、製品Xとスペイン語の両方の専門知識が必要である)。この1組の技能は次式のように表すことができる。
Trans_skills={ST1,ST2,ST3,...STj)
【0097】上式で、jは1組の技能中の技能の総数である。トランザクション待ち行列202中の各項目は、1組の技能と、対応するトランザクションが必要とする各技能に関する専門知識のレベルとを含むtrans_skillsに対応するデータ構造を含む。
【0098】3)所与の時間T1には、コール・センタで1組(プール)の応対可能なエージェントが働いている。これをagents_poolと呼ぶ。しかし、時間T1に応対可能なエージェントがいない場合、agents_poolはメンバーを含むことはできない。この組には、トランザクションを実行できない理由にはかかわらず、時間T1にトランザクションを実行できないエージェントは含まれない。agents_poolとは、前記で判断ブロック326に関して参照された応対可能なエージェントのリストである。
【0099】4)その同じ時間、すなわちT1には、割り当てられていない1組(プール)の未処理のトランザクションtrans_poolがある。この組には、エージェントによってすでに処理中のトランザクションは含まれない。
【0100】本発明の好ましい実施例では、下記の仮定に基づいて最適のエージェントが決定される。
【0101】1)任意の時間T1には、trans_pool中の所定のトランザクションtrans_xを処理するのに必要な技能を有する少なくとも1人のエージェントがプールagents_pool中にいる場合、そのトランザクションを処理するための技能が劣っておらず、かつ余分の技能が最小限である少なくとも1人の最適なエージェント(agent_best)がいなければならない。
【0102】2)agent_bestは、trans_xに関連するtrans_skillsと、時間T1にagents_pool中の各エージェントが有する各agent_skillsを比較することによって算出することができる。
【0103】これらの仮定の下では、agent_bestはトランザクションtrans_xを実施するための技能が劣っていてはならない。したがって、本発明の好ましい実施例では、前述の技能の劣るエージェントの問題を回避することが好ましい。時間T1には、trans_xの要件を満たすうえで必要最小限の技能を有するエージェントがagents_poolにいない場合、最適なエージェントの定義上、時間T1にはtrans_xに最適なエージェントはいないことになる(ただし、trans_pool中の他のトランザクションに最適なエージェントはいる可能性があり、あるいは、他のある時間T2にはagents_pool中の最適なエージェントが応対可能になることに留意されたい)。
【0104】また、agent_bestは、agent_pool中のすべてのエージェントのうちの余分の技能が最小限であるエージェントであることが好ましい。言い換えると、トランザクションを処理することができるすべてのエージェントのうちの最適なエージェントは、無駄になる(すなわち、その特定のトランザクションには必要とされない)余分の訓練および専門知識が最小限であるエージェントである。特定のエージェントがtrans_xを行うのに必要な厳密な1組の技能において厳密なあるレベル(すなわち、必要最小限)の専門知識を有する場合に、そのエージェントがtrans_xを処理する場合に余分の訓練および専門知識のうちのどの程度が無駄になるかの尺度を零と定義する。したがって、本発明はまた、好ましくは、前述の余分の技能を有するエージェントの問題を最小限に抑える。
【0105】好ましい実施形態では、最適なエージェントは、あるトランザクションに必要な1組の技能を、応対可能な各エージェントが有する1組の技能と比較することによって算出される。この計算を下記で詳しく説明する。
【0106】所与のエージェントに関する組agent_skills中の各技能ごとに特性skill_levelを含める。これは、値1ないしmであり、その技能におけるそのエージェントの専門知識に関してコール・センタ管理者が行った推定を表す(1は、そのエージェントが、その技能においてコール・センタ管理者に受け入れられる最小限の専門知識を有することを意味し、mは、そのエージェントが他のどのエージェントよりも技能が優れていることを意味する)。したがってたとえば、エージェントが技能SA1に関してskill_level=5を有することを示すにはSA1(5)と書くことになる。
【0107】その場合、各エージェントが有する1組の技能は次式のように表すことができる。
Agent_skills={SA1(LVL1),SA2(LVL2),SA3(LVL3),...SAi(LVLi)}
【0108】上式で、iは1組の技能中の技能の総数である。同様に、trans_xを行うのに必要な1組の技能は次式のように表すことができる。
Trans_skills={ST1(LVL1),ST2(LVL2),ST3(LVL3),...STj(LVLj)}
【0109】上式で、jは1組の技能中の技能の総数である。
【0110】好ましい実施例では、下記の条件が真である1組のエージェントとしてtrans_xに関するabsolute_agent_bestが定義される。
【0111】1)組trans_skillsが組agent_skillsに等しい(すなわち、これらの組は、すべて、同じである、同じ数の要素を有する。ただし、専門知識のレベルは異なることがある)。
【0112】2)trans_skillsの各技能STxごとに、agent_skills中のSTxに相当する技能SAxと比較すると、skill_levels間の差は零である(すなわち、STx(LVLx)−SAx(LVLx)=0)。この条件は、次式のようにより簡潔に表すことができる。
The sum of STx(LVLx)−SAx(LVLx)=0
【0113】上式で、xは1からjまでの範囲である。
【0114】したがって、1組のabsolute_agent_bestとは、技能および関連する専門知識が、trans_xを行うのに必要な技能および専門知識に厳密に合致する1組のエージェントである。これが厳密に合致する場合、センタ全体が、技能の劣るエージェントの問題を経験することも、余分の技能を有するエージェントの問題を経験することもない。しかし実際には、厳密に合致する場合はほとんどなく、したがって、本発明の好ましい実施例は、エージェントどうしを比較して、誰が所与のトランザクションを最もうまく処理できるかを決定する方法を実施する。この方法は、技能スコア付けと呼ばれ、各エージェントが所与のトランザクションに関するabsolute_agent_bestにどのくらい近いかを算出することに基づくものである。この意味では、(トランザクションに対する)エージェントの技能スコアは、エージェントの技能および対応するレベルとabsolute_agent_bestの技能および対応するレベルとの間の差とみなすことができる。このように、所与のトランザクションに関する余分の技能を有するエージェントの問題および技能の劣るエージェントの問題を最小限に抑えることができる。
【0115】前述のように、現行のACDシステムの1つの主要な制限は、グループに委任されるすべてのトランザクションに関して等しい技能を有するものとしてACDグループ中のすべてのエージェントを扱うことである。本発明の好ましい実施例は、各エージェントに関する技能関連情報を含む技能インベントリ・データベース206を交換機50内に提供することによってそのような制限を回避する。エージェント選択決定またはトランザクション選択決定を下すことが必要になるたびに、トランザクション・ディスパッチャ208は、技能インベントリ・データベース206中の情報にアクセスし、技能の劣るエージェントおよび余分の技能を有するエージェントの問題の悪影響を最小限に抑える委任決定を下すことができる。
【0116】各エージェントが有する技能に関する情報は、エージェントのレジュメ中の技能インベントリ・データベース206に記憶される。レジュメとは、エージェントが有する技能の公式のリストである。レジュメは、各技能で達成される能力のレベル(すなわち、専門知識)と、他の技能を必要とするトランザクションではなくその特定の技能を必要とするトランザクションをあるエージェントに実行させるためにコール・センタ管理者が有する優先レベルとの両方を記述したものである。
【0117】好ましい実施例では、技能インベントリ・データベース206は関係データベース・モデルを使用して実施される。したがって、技能インベントリ・データベースはいくつかの定義テーブル(下記の付録Aで概略的に開示する)で構成される。これらのテーブルを下記に示す。
1)技能テーブル2)エージェント・テーブル3)resume_detailsテーブル
【0118】技能テーブルは、本発明の好ましい実施例を使用する特定のコール・センタでの技能" "に関するすべての妥当な値のリストを含む。技能とは、エージェントが能力または経験を有する職種または専門分野である。また、好ましい実施例では、技能はさらに、個人に固有であり、あるいは様々な個人に共通であり、そのため、チームを形成するものとして定義される。たとえば、技能はエージェントの名前、たとえばbob_skillとして定義することができる。特定の個人のためにトランザクションを待機させることは、トランザクションを待機させる際にbob_skillを要求することによって行うことができる。bob_skillを有するのはボブだけでなので、コールは実際上、ボブに対して待機する。同様に、様々な人に販売などの技能を与えることによってチームを形成することができる。このように、会社の販売組織のすべてのメンバーを販売技能を有するものとして指定し、それによってチームを形成することができる。
【0119】(この説明で使用される意味での)チームは、従来技術のシステムの制限なしで従来技術のACDグループの利点を提供する。
【0120】エージェント・テーブルは、コール・センタ内のすべてのエージェントのリストを含む。このテーブルは、各エージェントごとに、いくつかの重要な情報を記録したものである。本発明の議論では主として、このテーブルをどのように使用してエージェントのレジュメにアクセスすべきかを考える。これは、レジュメコード・フィールドを使用することによって行われる。具体的には、エージェント・テーブル中の各エージェントごとに、レジュメコード・フィールド、すなわちresume_detailsテーブルへのキーが関連付けられる。このように、エージェントの識別子を知っているコンピュータ・プログラムは、エージェント・テーブルに問い合わせて、resume_detailsテーブル中のそのエージェントの技能を参照するために使用される識別キー(すなわち、レジュメコード)を見つけることができる。
【0121】エージェントが有する各技能ごとに、resume_detailsテーブル中に1つの行がある。この行は、(技能テーブルを参照するための)技能の識別子および(エージェント・テーブルを参照するための)エージェントのレジュメコードを記述したものである。resume_detailsテーブルは下記の情報も含む。
【0122】1)技能レベル:技能レベルとは、特定のエージェントが所与の技能において達成した知識または専門知識のレベルである。技能レベルは、1ないし9のスケールで評価され、9が最高である(すなわち、最高専門知識レベル)。
【0123】2)技能優先順位:技能優先順位は、特定の技能を必要とするトランザクションを特定のエージェントに処理させるための、コール・センタ管理者が希望する相対的な重み付けである。技能優先順位を使用して、特定の専門知識を必要とするコールを処理するように固有の資格を有するエージェントを予約することができる。SkillA、SkillB、SkillCの3つの技能を有するエージェントの例を考える。センタ内の他の多数のエージェントがSkillAおよびSkillBを使用するトランザクションを処理するのに十分な訓練を受けているが、SkillCを有するのがこのエージェンだけである場合、コール・センタ管理者は、SkillCに関してはこのエージェントをより優先することができる。したがって、SkillCを必要とするトランザクションが待機していないときにのみ、このエージェントはSkillAまたはSkillBを必要とするコールを処理する。技能優先順位は、1ないし9のスケールで評価され、9が最高である(すなわち、コール・センタ管理者によって、このエージェントによる処理が最優先される)。
【0124】3)除外フラグ:除外フラグは、特定の技能が特定のエージェントに関する除外技能であるかどうかを示す。除外技能とは、あるエージェントがどんな状況の下でも処理することを許可されない、そのエージェントのレジュメ中の技能である。たとえば、委託ベースの販売組織では、ある個人はある種のコールを処理することを制限される(たとえば、妥当な資格を有しておらず、したがってある種の製品を販売することが違法となる)。
【0125】技能インベントリ・データベース206を使用して、エージェントが有する技能に関する情報を記憶するだけでなく、トランザクションに必要な技能に関する情報も記憶される(この情報は、skill_expressionテーブルに記憶される)。交換機が現在処理している未完了の各トランザクションごとに、技能インベントリ・データベース206中でそのトランザクションに技能要件が関連付けられる。技能要件は、必須技能表現と任意選択技能表現の両方を提供することによって、特定のトランザクションを完了するのに必要な完全な1組の技能を表現する。
【0126】技能表現は、特定のトランザクションに必要な技能を表す簡単な形式であり、下記の文脈のない文法に従う。
Skillexpression ->skillexprelement skillexpression Skillexprelement |(skillexprelement) |skillexprelementではない |skillexprelementおよびskillexprelement |skillexprelementまたはskillexprelement |skillname、skilllevel |<空> skillname -> <技能インベントリから得た技能名> skilllevel -> 1|2|3|4|5|6|7|8|9
【0127】この文法に基づく技能表現の一例は、スペイン語5、株券5、債券2である。
【0128】この技能表現は、スペイン語の専門知識レベルが5であり、株券の技能の専門知識レベルが5であり、債券の技能の専門知識レベルが2であるエージェントに対する要件を表したものである(本発明の代替実施例では、「and」演算子を文字「&」で代替し、「or」演算子を「|」で代替し、「not」演算子を「!」で代替することができる)。
【0129】技能要件は、同じタイプのトランザクションを通常の状態の間はある方向へ経路指定し、重負荷期間中には別の方向へ経路指定するように指示する融通性をコール・センタ管理者に与えるために、必須技能表現と任意選択技能表現の両方からなる。たとえば、あらゆるインバウンド・コールに60秒以内に回答することを業務上の目的として有するコール・センタを考える。そのようなセンタ管理者は、コールの待機時間が目標の60秒を超えないかぎり、合致方法に複雑な技能表現を検討させる。その時間が経過した後、管理者は、より近い合致を得ることよりもタイムリーさを重視し、したがって、交換機により簡単でより要件の少ない技能表現を使用させる。したがって、必須技能表現および任意選択技能表現を下記のように定義する。
【0130】必須技能表現:必須技能表現とは、特定のトランザクションを処理するうえで必須の技能を記述する技能表現である。必須技能は常に必要とされ、必須技能を有さないエージェントによってトランザクションを処理することはできない(すなわち、技能スコアまたは優先順位スコアの評価時には、必須技能のないエージェントは、このスコアリング方法によって適していないエージェントとみなされる)。
【0131】任意選択技能表現:任意選択技能表現とは、コール・センタ管理者がエージェントに、特定のトランザクションを処理する前に備えておいてもらいたいが、それを首尾良く完了することはエージェントにとって必須ではない技能を記述する技能表現である。任意選択技能は、トランザクションの待機時間が経過するまでは特定のトランザクションに対して必須のものとみなされ、経過した時点で、任意選択技能要件が軽減される(すなわち、任意選択技能は技能スコアまたは優先順位スコアの評価時に検討されるが、エージェントが技能要件を満たしていない場合でも、そのエージェントは適していないとはみなされない)。
【0132】ACDシステム100が既存の作業負荷に新しいトランザクションを追加するたびに、既存の作業負荷に対するこの新しいトランザクションの相対重要性を示すものとして、初期優先順位がトランザクションに割り当てられる。この方法で使用される優先順位機構は、従来型のACDシステムの優先順位機構に類似しているが、かなり異なるように使用される(たとえば、この合致方法では、技能の合致度が等しくないかぎり、優先順位は検討されない)。本発明の好ましい実施例で優先順位レベルを使用するのは、トランザクションが待ち行列202で無限に待機できないようにするためでもある。この結果をもたらすためにまず、待ち行列202中の時間の長さが増加したときにはいつでも、待機しているすべてのトランザクションの優先順位を増加させる機構が提供される。言い換えると、期間Tの後で、トランザクションXの優先順位はある初期値P1から増分iだけ増加され、その結果、第1の間隔の後、優先順位レベルはP=P1+iとなり、第2の間隔の後にはP=P1+2iとなり、以下同様である(各値P1、T、iは、コール・センタ管理者によって、特定の業務状況でうまく働く数量に設定することができる)。第2に、コール・センタ管理者は、スターベーションしきい値と呼ばれる特別に定義された優先順位レベルを設定することができる。トランザクションは、スターベーションしきい値を超える優先順位を得た場合、待機時間が満了したとみなされる。トランザクションの待機時間が満了すると、できるだけ良好な合致を見つけようとして、依然として任意選択の技能が検討されるが、これらの技能はもはや必須ではない。このように、待機時間が満了したコールは、それに適したエージェントが見つかる可能性がずっと高く、したがってより早く処理される。
【0133】コール・センタ管理者は、所与のコールの待機時間が満了した後、技能要件の評価をどれだけ厳しくすべきかをトランザクション・ディスパッチャ208に指示することができる。mandlevelフラグは、トランザクションの待機時間が満了した後、ある技能レベルが必須であるかどうかを示す。このフラグがセットされている場合、トランザクションの待機時間が満了しているときでも、エージェントは、必須技能中の必要な技能レベルを有さないかぎり、そのコールを処理する資格を与えられない。このフラグがセットされていない場合、エージェントは依然としてこの技能を有さなければならないが、必ずしも必要なレベルである必要はなく、それよりも低いレベルが受け入れられる。
【0134】最後に、トランザクションに優先順位クラスを割り当てることもできることに留意されたい。優先順位クラスによって、会社はそれぞれの異なる顧客にそれぞれの異なるレベルのサービスを提供することができる。より高い優先順位クラスのトランザクションは常に、より低い優先順位クラスのトランザクションよりも先に割り当てられる(それらのクラスにはそのトランザクションを受け入れるのに十分な技能を有するエージェントがいると仮定する)。このことは、より高い優先順位クラスのトランザクションを処理する際に、高い技能を有するエージェントが十分に活用されないことがあることを意味し、したがってこの機能は合致方法の利益を最大にするように控えめに使用すべきである。
【0135】本発明の好ましい実施例は、実施可能でタイムリーなエージェント選択決定およびトランザクション選択決定を下すことができることが好ましい。現行のACDシステムの改良として、本発明の好ましい実施例は、そのような決定を下す下記の4つの方法を含む。これらの方法はそれぞれ、技能インベントリ・データベース206を使用して、前述の技能の劣るエージェントの問題および余分の技能を有するエージェントの問題によってもたらされる従来の制限を最小限に抑える。
1)P:優先順位のみ2)S:技能のみ3)P/S:技能よりも優先順位を優先4)S/P:優先順位よりも技能を優先
【0136】これらの方法は、トランザクションにエージェントを合致させるために使用されるので合致方法と呼ばれる。これらの方法は、コール・センタ内の各エージェントが技能インベントリ・データベース206中にレジュメを有し、(センタが応答するインバウンド・コールの結果としてのトランザクションであるか、それともセンタがダイアルしたアウトバウンド・コール、あるいはこれからダイアルするアウトバウンド・コールの結果としてのトランザクションであるかにかかわらず)コール・センタ内の各業務トランザクションが(前述のように)関連する技能要件を有するという仮定に基づくものである。
【0137】これらの方法のそれぞれで、技能スコアおよび優先順位スコアの計算が行われる。これらのスコアは下記のように定義される。
【0138】技能スコアとは、エージェントが有する技能およびそれに関連するレベルと、トランザクションを実行するのに必要な技能および関連するレベルとの間の合致がどれだけ近いかということである。言い換えると、技能スコアは、エージェントのレジュメがコールの技能要件にどれだけ合致しているかの数値尺度である。技能スコアが零に近ければ近いほど、合致はより良好である。(差零が、特定のエージェントがabsolute_best_agentであることを示すので)これは、技能スコアが特定のエージェントとabsolute_best_agentとの間の差であると述べた、最適なエージェントを見つけることに関する前記の議論に一致する。正のスコアは、資格過剰のエージェントを示し、負の技能スコアは資格不足のエージェントを示す。
【0139】優先順位スコアとは、コール・センタ管理者が特定のエージェントに特定のトランザクションを処理させるために有する優先順位の尺度である。優先順位スコアが高ければ高いほど、そのエージェントに他のタイプのトランザクションではなくその特定のトランザクションを処理させたいとのコール・センタ管理者の希望は強い。
【0140】この2つの因子、すなわち技能スコアおよび優先順位スコアを4つの異なる方法で組み合わせ、前述の4つの固有の合致方法を生成することができる。この4つの方法はそれぞれ、エージェント選択決定およびトランザクション選択決定を下す価値ある方法を提供する。この4つの方法は、それぞれの異なる条件下でそれぞれの異なる合致結果をもたらすことができ、センタはいつでも、4つの方法のうちの1つ、すなわち、業務上の目標が与えられた場合に最適の結果をもたらす方法を使用することができる。
【0141】4つの方法のそれぞれの下で、考慮すべき下記の2つの状況がある。
【0142】1)トランザクションをエージェントに合致させる(すなわち、エージェント選択決定を下す)
【0143】この状況が発生するのは、コール・センタにトランザクションが到着し、1人または複数のエージェントがそのトランザクションに応対できるときである(図3の処理ブロック328を参照されたい)。
【0144】2)エージェントをトランザクションに合致させる(すなわち、トランザクション選択決定を下す)
【0145】この状況が発生するのは、1つまたは複数のトランザクションが待機しており、トランザクションに応対できるようになったエージェントがいるときである(図3の処理ブロック358を参照されたい)。
【0146】本発明は、優先順位のみの方法を含む。この方法は、特定の技能を必要とするトランザクションに関するエージェントの優先順位のみを考慮するものである。技能レベルはまったく考慮されない。優先順位のみの方法は、下記のようなものとみなすことができる。
【0147】エージェントがより高い優先順位レベルを有する技能を必要とするトランザクションが待機している場合、エージェントは、より低い優先順位レベルを有する待機中のトランザクションではなく前記のトランザクションを取る。
【0148】トランザクションが到着し、複数のエージェントがそのコールに応対できる場合、コールが必要とする技能に関するより高い優先順位レベルを有するエージェントにそのトランザクションが割り当てられる。
【0149】エージェント選択決定では、下記のステップが実行される。
【0150】1)すべての応対可能なエージェントの一時リスト(リストA)の構築このリストは、エージェントが遊休状態である時間の長さによって順序付けられる。複数のエージェントの優先順位が等しい場合、最も長い時間にわたって遊休状態であるエージェントがトランザクションXを受ける(すなわち、等しい技能を有する2人以上のエージェントが同じトランザクションを求めて競合している場合は、デフォルトの最長遊休エージェント方式に戻ってそれらのエージェントのうちの1人を選択する)。
【0151】2)エージェントの一時リスト(リストA)の検索各エージェントを分析し、各エージェントを新しいトランザクションの技能要件と比較し、各エージェントに関する優先順位スコアを決定する。最高優先順位スコアを有するエージェントよりも低い優先順位スコアを有するすべてのエージェントをリストAから削除する。残りのエージェントは、最高優先順位スコアに等しい優先順位スコアを有するエージェントであり、リストA2を構成する。
【0152】3)エージェントを選択するリストA2に項目がない場合、他のエージェントが応対可能になるまでトランザクションXは待機したままになる(すなわち、このステップ中にはエージェントは選択されない)。
【0153】リストA2に1人のエージェントしか含まれていない場合、そのエージェントにトランザクションXが割り当てられる。
【0154】リストA2に複数のエージェントが含まれている場合、最も長い時間にわたって遊休状態であるリストA2中のエージェントにトランザクションXが割り当てられる。
【0155】トランザクション選択決定では、下記のステップが実行される。
【0156】1)待機中のすべてのトランザクションの一時リスト(リストT)の構築このリストは、トランザクションの優先順位によって順序付けられる。タイの場合(等しい優先順位を有する2つのコール)、最も長い時間にわたって待機しているトランザクションが最初に処理される。
【0157】2)トランザクションの一時リスト(リストT)の検索各トランザクションを分析し、各トランザクションを応対可能な1人のエージェントと比較し、各トランザクションごとの優先順位スコアを決定する。最高優先順位スコアを有するトランザクションよりも低い優先順位スコアを有するすべてのトランザクションをリストTから削除する。残りのトランザクションは、最高優先順位スコアに等しい優先順位スコアを有するトランザクションであり、リストT2を構成する。
【0158】3)最高優先順位スコアを有するトランザクションにエージェントを割り当てるリストT2に項目がない場合、エージェントAにはトランザクションが割り当てられず、したがって、エージェントAは応対可能なままである。
【0159】リストT2に1つのトランザクションしかない場合、そのトランザクションがエージェントXに割り当てられる。
【0160】リストT2に複数のトランザクションがある場合、最も長い時間にわたって待機しているトランザクションがエージェントAに割り当てられる。
【0161】下記のことが真のときに優先順位のみの方法を有利に使用することができる。
【0162】1)技能レベルが、コール・センタ管理者にとって重要ではない。
【0163】2)コール・センタ管理者が、各エージェントがどの技能を使用してトランザクションを処理すべきかに関する強力な優先順位を有する。
【0164】3)着信トランザクションが、変動する技能要件を有する。
【0165】図6および図7は、技能のみの方法を示すフローチャートである。この方法は、エージェントの技能レベルのみを考慮するものである。この方法は、エージェントがどの技能を使用すべきかに関するコール・センタ管理者の優先順位を考慮しない。この技能のみの方法は、下記のようなものとみなすことができる。
【0166】トランザクションが待機しており、エージェントが応対可能になった場合、エージェントが最も近い合致を有するトランザクションがエージェントに割り当てられる。
【0167】トランザクションが到着し、複数のエージェントがトランザクションに応対できる場合、トランザクションは、最も近い技能合致を有するエージェントに割り当てられる。
【0168】最も近い技能合致が、特定のトランザクションに対する各エージェントごとの技能スコアを導くことによって最適なエージェントを見つけようとすることによって前述の技能の劣るエージェントの問題および余分の技能を有するエージェントの問題がほぼ最小限に抑えられることを意味することに留意されたい。たとえば、トランザクションが特定の技能の技能レベル3を必要とし、あるエージェントがその技能の技能レベル3を有し、他のエージェントが同じ技能の技能レベル4を有する場合、トランザクションは技能レベル3を有するエージェントに割り当てられる。このため、技能レベル4を有するエージェントは、より高い技能レベルを必要とするコールに応対することができる。
【0169】エージェント選択決定では、下記のステップが実行される。
【0170】1)すべての応対可能なエージェントの一時リスト(リストA)の構築このリストは、エージェントが遊休状態である時間の長さによって順序付けられる。複数のエージェントの優先順位が等しい場合、最も長い時間にわたって遊休状態であるエージェントがトランザクションXを受ける(すなわち、等しい技能を有する2人以上のエージェントが同じトランザクションを求めて競合している場合は、デフォルトの最長遊休エージェント方式に戻ってそれらのエージェントのうちの1人を選択する)。
【0171】2)エージェントの一時リスト(リストA)の検索各エージェントのレジュメを分析し、レジュメを新しいトランザクションの技能要件と比較し、各エージェントに関する技能スコアを決定する。下記の技能スコアの計算の説明を参照のこと。最高技能スコアを有するエージェントよりも低い優先順位スコアを有するすべてのエージェントをリストAから削除する。残りのエージェントは、最高技能スコアに等しい技能スコアを有するエージェントであり、リストA2を構成する。
【0172】3)エージェントを選択する。
リストA2に項目がない場合、他のエージェントが応対可能になるまでトランザクションXは待機したままになる(すなわち、このステップ中にはエージェントは選択されない)。
【0173】リストA2に1人のエージェントしか含まれていない場合、そのエージェントにトランザクションXが割り当てられる。
【0174】リストA2に複数のエージェントが含まれている場合、最も長い時間にわたって遊休状態であるリストA2中のエージェントにトランザクションXが割り当てられる。
【0175】トランザクション選択決定では、下記のステップが実行される。
【0176】1)待機中のすべてのトランザクションの一時リスト(リストT)の構築このリストは、トランザクションの優先順位によって順序付けられる。タイの場合(等しい優先順位を有する2つのコール)、最も長い時間にわたって待機しているトランザクションが最初に処理される。
【0177】2)トランザクションの一時リスト(リストT)の検索各トランザクションを分析し、各トランザクションを応対可能な1人のエージェントと比較し、各トランザクションごとの技能スコアを決定する。最高技能スコアを有するトランザクションよりも低い技能スコアを有するすべてのトランザクションをリストTから削除する。残りのトランザクションは、最高技能スコアに等しい技能スコアを有するトランザクションであり、リストT2を構成する。
【0178】3)最高議場スコアを有するトランザクションにエージェントを割り当てるリストT2に項目がない場合、エージェントAにはトランザクションが割り当てられず、したがって、エージェントAは応対可能なままである。
【0179】リストT2に1つのトランザクションしかない場合、そのトランザクションがエージェントXに割り当てられる。
【0180】リストT2に複数のトランザクションがある場合、最も長い時間にわたって待機しているトランザクションがエージェントAに割り当てられる。
【0181】下記のことが真であるときには技能のみの方法を有利に使用することができる。
【0182】1)コール・センタ管理者が、センタでコールをどのように管理するかに関して優先順位レベルは妥当でないと考えている。
【0183】2)エージェントが、様々な技能においてそれぞれの異なる専門知識レベルを有する。
【0184】3)着信トランザクションがそれぞれの異なる技能要件を有する。
【0185】本発明は、優先順位/技能方法も含む。この優先順位/技能方法は、下記のように、優先順位のみの方法に2つの改良を与えたものである。
【0186】1)2人以上のエージェントが等しい優先順位スコアを有する場合、エージェントのそれぞれの技能スコアを使用してどちらかを選択する。
【0187】2)エージェントがコールを処理するには技能スコアリング要件を満たさなければならない。
【0188】エージェント選択決定では、下記のステップが実行される。
【0189】1)すべての応対可能なエージェントの一時リスト(リストA)の構築このリストは、エージェントが遊休状態である時間の長さによって順序付けられる。複数のエージェントの優先順位が等しい場合、最も長い時間にわたって遊休状態であるエージェントがトランザクションXを受ける(すなわち、等しい技能を有する2人以上のエージェントが同じトランザクションを求めて競合している場合は、デフォルトの最長遊休エージェント方式に戻ってそれらのエージェントのうちの1人を選択する)。
【0190】2)エージェントの一時リスト(リストA)の検索各エージェントを分析し、各エージェントを新しいトランザクションXと比較し、各エージェントに関する優先順位スコアを決定する。最高優先順位スコアを有するエージェントよりも低い優先順位スコアを有するすべてのエージェントをリストAから削除する。残りのエージェントは、最高優先順位スコアに等しい優先順位スコアを有するエージェントであり、リストA2を構成する。
【0191】3)エージェントを選択しようとする。
リストA2に項目がない場合、他のエージェントが応対可能になるまでトランザクションXは待機したままになる(すなわち、このステップ中にはエージェントは選択されない)。
【0192】リストA2に1人のエージェントしか含まれていない場合、そのエージェントにトランザクションXが割り当てられ、他の処理は必要とされない(すなわち、下記のステップ4)へは進まない)。
【0193】リストA2に複数のエージェントが含まれている場合、次のステップへ進む。
【0194】4)最高の優先順位スコアに等しい優先順位を有するエージェントのリスト(リストA2)を検索する。
各エージェントを分析し、各エージェントを新しいトランザクションXと比較し、各エージェントに関する技能スコアを決定する。技能スコアに基づいてこのトランザクションを処理する資格を有さないエージェントを削除する。残りのエージェントはリストA3を構成する。
【0195】5)エージェントを選択する。
リストA3に項目がない場合、現在、優先順位スコアが最高値であるエージェントのうちで、トランザクションXを処理するのに必要な技能を有するエージェントはいない。リストAからリストA3中のすべてのエージェントを削除してリストAの新しいバージョンを作成する。新しいリストA中のエージェントの数が零である場合、現在、トランザクションXを処理できるエージェントのうちで、応対可能なエージェントはおらず、したがって、トランザクションは他のエージェントが応対可能になるまで待機したままになる(すなわち、このステップ中にはエージェントは選択されない)。しかし、新しいリストA中のエージェントの数が零よりも多い場合は、この方法を前述のステップ2)から繰り返す。
【0196】リストA3に1人のエージェントしか含まれていない場合、そのエージェントにトランザクションXが割り当てられる。
【0197】リストA3に複数のエージェントが含まれている場合、(このトランザクションに関する)最高の技能スコアを有するリストA3中のエージェントにトランザクションXが割り当てられる。何人かのエージェントが最高技能スコアに等しい技能スコアを有する場合、最も長い時間にわたって遊休状態であるエージェントが選択される。
【0198】エージェント選択決定では、下記のステップが実行される。
【0199】1)待機中のすべてのトランザクションの一時リスト(リストT)の構築このリストは、トランザクションの優先順位によって順序付けられる。タイの場合(等しい優先順位を有する2つのコール)、最も長い時間にわたって待機しているトランザクションが最初に処理される。
【0200】2)トランザクションの一時リスト(リストT)の検索各トランザクションを分析し、各トランザクションを応対可能な1人のエージェントと比較し、各トランザクションごとの優先順位スコアを決定する。最高優先順位スコアを有するトランザクションよりも低い優先順位スコアを有するすべてのトランザクションをリストTから削除する。残りのトランザクションは、最高優先順位スコアに等しい優先順位スコアを有するトランザクションであり、リストT2を構成する。
【0201】3)トランザクションを選択しようとする。
リストT2に項目がない場合、エージェントAは応対可能なままであり、すべてのトランザクションは待機したままになる(すなわち、この方法のコール時にはトランザクションは選択されない)。他の処理は必要とされない(すなわち、下記のステップ4)へは進まない)。
【0202】リストT2に1つのトランザクションしか含まれていない場合、そのトランザクションにエージェントAが割り当てられ、他の処理は必要とされない(すなわち、下記のステップ4)へは進まない)。
【0203】リストT2に複数のトランザクションが含まれている場合、次のステップへ進む。
【0204】4)最高優先順位スコアに等しい優先順位を有するトランザクションのリスト(リストT2)を検索する。
各トランザクションの技能要件を分析し、この技能要件をエージェントAのレジュメと比較し、このエージェントに対する各トランザクションに関する技能スコアを決定する。技能スコアに基づいて、このエージェントが資格を有さないトランザクションを削除する。残りのトランザクションはリストT3を構成する。
【0205】5)最高優先順位スコアを有するトランザクションにエージェントを割り当てる。
リストT3に項目がない場合、現在、優先順位スコアが最高値であるトランザクションのうちに、エージェントAが満たすことができる技能要件を有するトランザクションはない。リストTからリストT3中のすべてのエージェントを削除してリストTの新しいバージョンを作成する。新しいリストT中のトランザクションの数が零である場合、現在、エージェントAが資格を有するトランザクションはなく、したがってエージェントAは応対可能なままである(すなわち、このステップ中にはエージェントは選択されない)。しかし、新しいリストT中のトランザクションの数が零よりも多い場合は、この方法を前述のステップ2)から繰り返す。
【0206】リストT3に1つのトランザクションしか含まれていない場合、そのトランザクションがエージェントAに割り当てられる。
【0207】リストT3に複数のトランザクションが含まれている場合、(エージェントAに対して)最高の技能スコアを有するトランザクションが選択される。いくつかのトランザクションが最高優先順位スコアに等しい優先順位スコアを有する場合、最も長い時間にわたって待機しているトランザクションがエージェントAに割り当てられる。
【0208】下記のことが真であるときには優先順位/技能方法を有利に使用することができる。
【0209】1)センタ内のエージェントがそれぞれの異なる技能においてそれぞれの異なる専門知識レベルを有し、コール・センタ管理者が、各エージェントがどの技能を使用すべきかに関する優先順位を有する。
【0210】2)経路指定の決定に関しては、様々な技能に関するエージェントの厳密な専門知識レベルよりも、エージェントが一般にどの技能を使用して仕事を行うべきかに関するコール・センタ管理者の優先順位の方が重要である。
【0211】3)コール・センタ管理者が必要な技能に対してあるエージェントを優先する場合でも、エージェントがトランザクションを処理する資格を有さなければならないことが重要である。
【0212】4)着信コールが、様々な技能における様々な専門知識レベルを必要とする。
【0213】図8、図9は、技能/優先順位方法を示すフローチャートである。この優先順位/技能方法は、下記のように、技能のみの方法に改良を与えるものである。
【0214】1)2人以上のエージェントが等しい優先順位スコアを有する場合、優先順位スコアを使用してどちらかを選択する。
【0215】エージェント選択決定では、下記のステップが実行される。
【0216】1)すべての応対可能なエージェントの一時リスト(リストA)の構築このリストは、エージェントが遊休状態である時間の長さによって順序付けられる。複数のエージェントの優先順位が等しい場合、最も長い時間にわたって遊休状態であるエージェントがトランザクションXを受ける(すなわち、等しい技能を有する2人以上のエージェントが同じトランザクションを求めて競合している場合は、デフォルトの最長遊休エージェント方式に戻ってそれらのエージェントのうちの1人を選択する)。
【0217】2)エージェントの一時リスト(リストA)の検索各エージェントのレジュメを分析し、このレジュメを新しいトランザクションの技能要件と比較し、各エージェントに関する技能スコアを決定する。最高技能スコアを有するエージェントよりも低い技能スコアを有するすべてのエージェントをリストAから削除する。残りのエージェントは、最高技能スコアに等しい優先順位スコアを有するエージェントであり、リストA2を構成する。
【0218】3)エージェントを選択しようとする。
リストA2に項目がない場合、他のエージェントが応対可能になるまでトランザクションXは待機したままになる(すなわち、このステップ中にはエージェントは選択されない)。
【0219】リストA2に1人のエージェントしか含まれていない場合、そのエージェントにトランザクションXが割り当てられ、他の処理は必要とされない(すなわち、下記のステップ4)へは進まない)。
【0220】リストA2に複数のエージェントが含まれている場合、次のステップへ進む。
【0221】4)エージェントのリスト(リストA2)を検索する。
各エージェントを分析し、各エージェントを新しいトランザクションXと比較し、各エージェントごとの優先順位スコアを決定する。優先順位スコアに基づいて、このトランザクションを処理する資格を有さないエージェントを削除する。残りのエージェントはリストA3を構成する。
【0222】5)エージェントを選択する。
リストA3に項目がない場合、他のエージェントが応対可能になるまでトランザクションXは待機したままになる(すなわち、このステップ中にはエージェントは選択されない)。
【0223】リストA3に1人だけエージェントが含まれている場合、そのエージェントにトランザクションXが割り当てられる。
【0224】リストA3に複数のエージェントが含まれている場合、(このトランザクションに関する)最高の技能スコアを有するリストA3中のエージェントにトランザクションXが割り当てられる。何人かのエージェントが最高優先順位スコアに等しい技能スコアを有する場合、最も長い時間にわたって遊休状態であるエージェントが選択される。
【0225】エージェント選択決定では、下記のステップが実行される。
【0226】1)待機中のすべてのトランザクションの一時リスト(リストT)の構築このリストは、トランザクションの優先順位によって順序付けられる。タイの場合(等しい優先順位を有する2つのコール)、最も長い時間にわたって待機しているトランザクションが最初に処理される。
【0227】2)トランザクションの一時リスト(リストT)の検索各トランザクションを分析し、各トランザクションを応対可能な1人のエージェントのレジュメと比較し、各トランザクションごとの技能スコアを決定する。最高技能スコアを有するトランザクションよりも低い優先順位スコアを有するすべてのトランザクションをリストTから削除する。残りのトランザクションは、最高技能スコアに等しい技能スコアを有するトランザクションであり、リストT2を構成する。
【0228】3)トランザクションを選択しようとする。
リストT2に項目がない場合、エージェントAは応対可能なままであり、すべてのトランザクションは待機したままになる(すなわち、この方法のコール時にはトランザクションは選択されない)。他の処理は必要とされない(すなわち、下記のステップ4)へは進まない)。
【0229】リストT2に1つのトランザクションしか含まれていない場合、そのトランザクションにエージェントAが割り当てられる。他の処理は必要とされない(すなわち、下記のステップ4)へは進まない)。
【0230】リストT2に複数のエージェントが含まれている場合、次のステップへ進む。
【0231】4)最高優先順位スコアに等しい優先順位を有するトランザクションのリスト(リストT2)を検索する。
各トランザクションの技能要件を分析し、この技能要件をエージェントAのレジュメと比較し、このエージェントに対する各トランザクションに関する優先順位スコアを決定する。優先順位スコアに基づいて、このエージェントが資格を有さないトランザクションを削除する。残りのトランザクションはリストT3を構成する。
【0232】5)最高優先順位スコアを有するトランザクションにエージェントを割り当てる。
リストT3に項目がない場合、エージェントAにトランザクションは割り当てられず、したがって、エージェントAは応対可能なままである。
【0233】リストT3に1つのトランザクションしか含まれていない場合、そのトランザクションがエージェントAに割り当てられる。
【0234】リストT3に複数のトランザクションが含まれている場合、(エージェントAに対して)最高の技能スコアを有するトランザクションが選択される。いくつかのトランザクションが最高優先順位スコアに等しい優先順位スコアを有する場合、最も長い時間にわたって待機しているトランザクションがエージェントAに割り当てられる。
【0235】下記のことが真であるときには技能/優先順位方法を有利に使用することができる。
【0236】1)センタ内のエージェントがそれぞれの異なる技能においてそれぞれの異なる専門知識レベルを有し、コール・センタ管理者が、各エージェントがどの技能を使用すべきかに関する優先順位を有する。
【0237】2)経路指定の決定に関しては、エージェントが一般にどの技能を使用して仕事を行うべきかに関するコール・センタ管理者の優先順位よりも、様々な技能に関するエージェントの厳密な専門知識レベルの方が重要である。
【0238】3)コール・センタ管理者が必要な技能に対してあるエージェントを優先する場合でも、エージェントがトランザクションを処理する資格を有さなければならないことが重要である。
【0239】4)着信コールが、様々な技能における様々な専門知識レベルを必要とする。
【0240】技能スコアは、技能表現中の各技能を取り出し、それを特定のエージェントのレジュメと比較することによって算出される。技能表現は、括弧を使用して評価の順序が変更されていないかぎり、左から右へ評価される。
【0241】技能要件中の各技能表現(必須および任意選択)が個別に評価された後の最終的な累積スコアは、技能スコアと呼ばれ、必須スコアと任意選択スコアの和である。技能スコアが負である場合、スコアにペナルティ係数(たとえば−1000)を乗じることによってペナルティが課される。これは、コールを処理するうえでエージェントが資格を有さないよりは余分の資格を有する方が好ましいからである。ペナルティ係数を適用することは、資格を有さないエージェントを資格を有するエージェントの後回しにするように働く。
【0242】その場合、最高技能スコアとは零に最も近いスコアであり、ペナルティ係数の絶対値よりも高いスコアは資格を有さないエージェントを示し、ペナルティ係数の絶対値よりも低いスコアは資格を有する(あるいは余分の資格を有する)エージェントを示す。
【0243】下記の表は、技能スコアを導くために技能表現中の個別の技能を評価するために使用される規則を要約したものである。具体的には、この表は、どのように特定のエージェントに関する単一の技能の技能スコア(SS)を導くべきかを示すものである。
【表1】
【0244】2つのオペランドがAND演算子によって分離され、どちらかのオペランドが「不適任」である場合、ANDの結果は「不適任」である。2つのオペランドがAND演算子によって分離され、どちらのオペランドも「不適任」ではない場合、AND演算の結果はオペランドの和である。スコアが負である場合、スコアにペナルティ係数(たとえば−1000)を乗じることによってペナルティが課される。これは、コールを処理するうえでエージェントが資格を有さないよりは余分の資格を有する方が好ましいからである。ペナルティ係数を適用することは、資格を有さないエージェントを資格を有するエージェントの後回しにするように働く。
【0245】2つのオペランドがOR演算子によって分離され、2つのオペランドが共に「不適任」である場合、ORの結果は「不適任」である。2つのオペランドがOR演算子によって分離され、どちらかのオペランドが「不適任」である場合、OR演算の結果は他方のオペランドである。2つのオペランドがOR演算子によって分離され、どちらのオペランドも「不適任」でない場合、ORの結果は、零以下の最小の数である。スコアが負である場合、スコアにペナルティ係数(たとえば−1000)を乗じることによってペナルティが課される。これは、コールを処理するうえでエージェントが資格を有さないよりは余分の資格を有する方が好ましいからである。ペナルティ係数を適用することは、資格を有さないエージェントを資格を有するエージェントの後回しにするように働く。
【0246】図10、図11は、括弧なしの技能表現に関する技能スコアを算出する本発明の好ましい実施例の方法を示すフローチャートである。この方法は、所与のエージェントAおよび括弧を含まない所与の技能表現に関する技能スコア(SS)を算出する。この方法の入力には下記のものが含まれる。
SkillExp:技能表現の文字列表現A:1人のエージェントの参照T:SkillExpを技能要件の一部とするトランザクションの参照
【0247】図10、図11の方法は下記の中間結果を有する。
オペランド1:技能表現の一部から導かれた技能スコアオペランド2:技能表現の一部から導かれた技能スコアInOp:2つのオペランド、すなわちオペランド1およびオペランド2に対してどの論理演算を実行すべきかを示す値。受け入れられる値は、AND演算を示す「AND」またはOR演算を示す「OR」だけである。
【0248】図10、図11の方法は下記の出力を有する。
【0249】技能表現を評価した結果として、エージェントAがトランザクションTの処理に不適任と判定されていない(すなわち、まだ適任とみなされている)場合、SSは定義済みの整数結果であり、技能スコアを含む。
【0250】エージェントAが不適任と判定された場合、この結果が暗黙的に返され、SSは未定義になる。
【0251】入力にエラーがある(暗黙的に返される結果)場合、SSは未定義になる。
【0252】図12は、AND演算子とOR演算子とを含む技能表現に関する技能スコアを算出する本発明の好ましい実施例の方法を示すフローチャートである。図12の方法は、所与のエージェントA、それぞれ技能スコアである所与の2つのオペランド、すなわちオペランド1およびオペランド2、演算子ANDまたは演算子ORに関する技能スコア(SS)を算出する。図12の方法は下記の入力を有する。
A:1人のエージェントの参照オペランド1:技能表現の一部から導かれた技能スコアオペランド2:技能表現の一部から導かれた技能スコアT:オペランド1およびオペランド2が、部分的に導かれた結果として得られた(すなわち、トランザクション自体の技能要件の部分的導出を表す)、トランザクションの参照InOp:2つのオペランド、すなわちオペランド1およびオペランド2に対してどの論理演算を実行すべきかを示す値。受け入れられる値は、AND演算を示す「AND」またはOR演算を示す「OR」だけである。
【0253】図12の方法は下記の出力を有する。
【0254】論理演算の結果として、技能スコアが、部分技能表現「Operand1 InOp Operand2」の評価時に依然として、エージェントAが固有の技能の処理に適していることを示している場合、SSは定義済みの整数結果であり、技能スコアを含む。
【0255】エージェントAがこれらの技能に適していない場合、この結果が暗黙的に返され、SSは未定義になる。
【0256】図13は、特定のエージェント、すなわちエージェントAおよび特定の技能、すなわち技能Xに関する技能スコアを算出する本発明の好ましい実施例の方法を示すフローチャートである。図13の方法は下記の入力を有する。
A:1人のエージェントの参照X:単一の技能の参照T:技能Xがそれから選択されたトランザクションの参照(すなわち、Xはトランザクションの技能要件の一部である)
ReqLevel:トランザクションTの技能要件に含まれる技能Xに関する必要な専門知識レベルActualLevel:エージェントAのレジュメに含まれる、エージェントAが実際に有する技能Xに関する専門知識のレベルMandLevel:交換機においてMandLevel機能がオンに切り替えられているかどうかを示すフラグ
【0257】図13の方法は下記の出力を有する。
【0258】エージェントAが技能Xを処理するのに適している場合、SSは定義済みの整数結果であり、技能スコアを含む。
【0259】エージェントAが技能Xを処理するのに適していない場合、この結果が暗黙的に返され、SSは未定義になる。
【0260】技能スコアリングの方法の一例として、下記の2人のエージェントが応対可能であると仮定する。
【表2】
【0261】さらに、下記のトランザクションが待ち行列に到着したと仮定する。
【表3】
必須技能 任意選択技能 待機時間満了・必須 スコア スコア レベル エーシ゛ェント1 エーシ゛ェント2DOS3 なし いいえ n/a 0 3DOS6 なし いいえ n/a N/S 0DOS6 なし はい はい N/S 0DOS6 なし はい いいえ -3 0DOS3およびOS2・4 なし いいえ n/a 2 N/Sなし ハードウェア1 いいえ n/a 4 1DOS3およびOS2・4 ハードウェア1 いいえ n/a 6 N/SDOS1|OS2・1 なし いいえ n/a 2 0フランス語4 ハードウェア3 いいえ n/a 5 N/S およびOS2・3
【0262】零以上の最低スコアが最も良好であることに留意されたい。
【0263】優先順位スコアは、技能表現中の各技能を取り出し、それをエージェントのレジュメと比較することによって算出される。技能表現は、括弧を使用して評価の順序が変更されていないかぎり、左から右へ評価される。
【0264】下記の表は、個別の技能Sに関する優先順位スコアPをどのように算出すべきかを要約したものである。
【表4】
【0265】2つのオペランドがAND演算子によって分離され、どちらかのオペランドが「不適任」である場合、ANDの結果は「不適任」である。2つのオペランドがAND演算子によって分離され、どちらのオペランドも「不適任」ではない場合、AND演算の結果は2つのオペランドのうちのより高い優先順位である。
【0266】2つのオペランドがOR演算子によって分離され、2つのオペランドが共に「不適任」である場合、ORの結果は「不適任」である。2つのオペランドがOR演算子によって分離され、どちらかのオペランドが「不適任」である場合、OR演算の結果は他方のオペランドである。2つのオペランドがOR演算子によって分離され、どちらのオペランドも「不適任」でない場合、ORの結果は、2つのオペランドのうちのより高い優先順位である。
【0267】図14は、括弧なしの技能表現に関する優先順位スコアを算出する本発明の好ましい実施例の方法を示すフローチャートである。図14の方法は、所与のエージェントAおよび括弧を含まない所与の技能表現に関する優先順位スコア(PS)を算出する。図14の方法は下記の入力を有する。
SkillExp:技能表現の文字列表現A:1人のエージェントの参照T:SkillExpを技能要件の一部とするトランザクションの参照
【0268】図14の方法は下記の中間結果を有する。
オペランド1:技能表現の一部から導かれた優先順位スコアオペランド2:技能表現の一部から導かれた優先順位スコアInOp:2つのオペランド、すなわちオペランド1およびオペランド2に対してどの論理演算を実行すべきかを示す値。受け入れられる値は、AND演算を示す「AND」またはOR演算を示す「OR」だけである。
【0269】図14の方法は下記の出力を有する。
【0270】技能表現を評価した結果として、エージェントAがトランザクションTの処理に不適任と判定されていない(すなわち、まだ適任とみなされている)場合、PSは定義済みの整数結果であり、技能スコアを含む。
【0271】エージェントAが不適任と判定された場合、この結果が暗黙的に返され、PSは未定義になる。
【0272】入力にエラーがある(暗黙的に返される結果)場合、PSは未定義になる。
【0273】図15は、AND演算子とOR演算子とを含む技能表現に関する技能スコアを算出する本発明の好ましい実施例の方法を示すフローチャートである。図15の方法は、所与のエージェントA、それぞれ、優先順位スコアである、所与の2つのオペランド、すなわちオペランド1およびオペランド2、演算子ANDまたは演算子ORに関する優先順位スコア(PS)を算出する。図15の方法は下記の入力を有する。
A:1人のエージェントの参照オペランド1:技能表現の一部から導かれた優先順位スコアオペランド2:技能表現の一部から導かれた優先順位スコアT:オペランド1およびオペランド2が、部分的に導かれた結果として得られた(すなわち、トランザクション自体の技能要件の部分的導出を表す)、トランザクションの参照InOp:2つのオペランド、すなわちオペランド1およびオペランド2に対してどの論理演算を実行すべきかを示す値。受け入れられる値は、AND演算を示す「AND」またはOR演算を示す「OR」だけである。
【0274】図14の方法は下記の出力を有する。
【0275】論理演算の結果として、優先順位スコアが、部分技能表現「Operand1InOp Operand2」の評価時に依然として、エージェントAが固有の技能の処理に適していることを示している場合、PSは定義済みの整数結果であり、優先順位スコアを含む。
【0276】エージェントAがこれらの技能に適していない場合、この結果が暗黙的に返され、PSは未定義になる。
【0277】図16は、特定のエージェントおよび特定の技能に関する優先順位スコアを算出する本発明の好ましい実施例の方法を示すフローチャートである。図16の方法は、所与のエージェントAおよび単一の技能Xに関する優先順位スコア(PS)を算出する。図16の方法は下記の入力を有する。
A:1人のエージェントの参照X:単一の技能の参照T:技能Xが選択されたトランザクションの参照(すなわち、Xはトランザクションの技能要件の一部である)
ActualLevel:エージェントAのレジュメに含まれる、コール・センタ管理者が実際にエージェントAに関連付けている技能Xに関する優先順位レベルMandLevel:交換機においてMandLevel機能がオンに切り替えられているかどうかを示すフラグ
【0278】図16の方法は下記の出力を有する。
【0279】エージェントAが技能Xを処理するのに適している場合、PSは定義済みの整数結果であり、優先順位スコアを含む。
【0280】エージェントAが技能Xを処理するのに適していない場合、この結果が暗黙的に返され、PSは未定義になる。
【0281】優先順位スコアを算出する方法の一例として、下記の2つのエージェントが応対可能であると仮定する。
【表5】
【0282】さらに、下記のコールが待ち行列に到着したと仮定する。
【表6】
必須技能 任意選択技能 待機時間満了・必須 スコア スコア レベル エーシ゛ェント1 エーシ゛ェント2DOS3 なし いいえ n/a 3 6DOS6 なし いいえ n/a 3 6DOS6 なし はい はい 3 6DOS6 なし はい いいえ 3 6DOS3およびOS2・4 なし いいえ n/a 6 6なし ハードウェア1 いいえ n/a 5 2DOS3およびOS2・4 ハードウェア1 いいえ n/a 6 6DOS1|OS2・1 なし いいえ n/a 6 6フランス語4 ハードウェア3 いいえ n/a 6 9 およびOS2・3
【0283】この例では、最高のスコアが最も良好である。
【0284】下記の2つの例は、図6ないし図12の4つの異なる方法がどのように、同じコールおよび同じエージェントに関して異なる結果を生成するかを示すものである。
【0285】例1:エージェントが応対可能であり、トランザクションが待ち行列に到着した。
応対可能なエージェント
【表7】
エージェント1 エージェント2 エージェント3 エージェント4技能 レヘ゛ル 優先順位 レヘ゛ル 優先順位 レヘ゛ル 優先順位 レヘ゛ル 優先順位スペイン語 2 3 4 1 5 2 4 2株券 2 2 3 1 3 3 3 1
【0286】SPAN4およびSTOCKS3を要求するコールが到着したと仮定する。下記の表は、技能スコア、優先順位スコア、遊休時間を提示するものである。
【表8】
【0287】下記の表は、図6ないし図12の方法のそれぞれに関する結果を提示するものである。
【表9】
【0288】例2:コールが待機しており、エージェントが応対可能になった。
待機中のコール
【表10】
コール 要求された技能1 スペイン語22 テニス43 スペイン語54 サーフィン3
【0289】下記のレジュメを有するエージェント1が応対可能になったと仮定する。
【表11】
技能 レベル 優先順位スペイン語 6 3サーフィン 3 2テニス 4 1
【0290】下記の表に、そのコールが待ち行列中にあった技能スコア、優先順位スコアおよび回数を示す。
【表12】
【0291】下記の表に、図6ないし図12の方法のそれぞれに関する結果を示す。
【表13】
【0292】当業者には、好ましい実施例とは著しく異なる様々な方法で本発明を実施できることが理解されよう。
【0293】技能合致スコアおよび優先順位合致スコア:技能合致スコアおよび優先順位合致スコアは、前述のサービス品質およびエージェント技能使用率の問題に対処する定量手段をコール・センタ管理者に提供する。コール・センタ全体のエージェントまたは個別によるサービスの品質の観点からは、技能合致スコアおよび優先順位合致スコアによって、コール・センタ管理者は特定のトランザクションに関する発呼者要件をどれだけ満たしたかを評価することができる。エージェント使用率の観点からは、技能合致スコアおよび優先順位合致スコアによって、コール・センタ管理者はエージェントの技能をどれだけ有効に使用しているか(たとえば、エージェントが余分の資格を有するか、それとも資格がないか)、エージェントが好ましいタイプのトランザクションを処理しているかどうかを評価することができる。
【0294】技能合致スコア:前記で技能スコアに関して定義したように、技能スコアは、合致の近さの指標、またはエージェントのレジュメがコールの技能要件にどれだけ合致しているかの数値尺度である。コールに関して算出される技能スコアの場合と同様に、技能合致スコアは、余分な資格を有するエージェントまたは資格のないエージェントがどのようにコールを処理すべきかの指標である。
【0295】技能合致スコア:技能合致とは、技能のみの方法、または技能優先順位方法、または優先順位技能方法を使用して合致させたコールに関する、コールが要求する技能レベルとコールに割り当てられたエージェントの技能レベルとの間の平均差である。技能合致は、下記の値からなる。Skills Match Under−Skilled−エージェントの技能が平均でどれだけ劣っていたか。Skills Match Over−Skilled−エージェントが余分な技能を平均でどれだけ有していたか。
【0296】コールは、それが必要とするすべての技能に必要な(あるいはそれ以上の)技能レベルを有するエージェントにしか割り当てられないので、待機時間が満了する前にはSkills Match Over−Skilled値しか有さない。コールの待機時間が満了した後、両方の値が提供される。発呼者は通常、複数の技能を要求するので、各コールはover−skilled値とunderskilled値を共に生成することができる。エージェントは、ある技能に関しては余分の技能を有し、他の技能に関しては必要とされるよりも劣る技能を有することができる。
【0297】Skills Match Normal Scoresを算出する方法:前記で個別の技能スコアの計算に関して定義した方法を使用して、待機時間が満了する前に応答された各コールごとに技能表現中の各技能ごとのSSを算出する。
【0298】零よりも大きな個別の技能スコアSSを加算することによって各コールごとのSkills Match Over−Skilled値(SMOS)を算出する。
【0299】待機時間の満了したコールの数だけSMOSを加算しmで除することによって平均SMOSを算出する。
【0300】Skills Match Starved Scoresを算出する方法:前記で個別の技能スコアの計算に関して定義した方法を使用して、待機時間が満了した後に応答された各コールごとに技能表現中の各技能ごとのSSを算出する。
【0301】個別の技能スコアSSを加算することによって各コールごとのSkillsMatch Under−Skilled値(SMUS)を算出する。
【0302】零よりも小さな個別の技能スコアSSを加算することによって各コールごとのSkills Match Over−Skilled値(SMOS)を算出する。
【0303】個別の技能合致スコアをSMUSおよびSMOSの各フォーマットで表示する。
【0304】通常のコールの数nだけSMUSを加算しnで除算することによって平均SMUSを算出する。
【0305】通常のコールの数nだけSMOSを加算しnで除算することによって平均SMOSを算出する。
【0306】技能合致スコアを平均SMUSおよび平均SMOSの各フォーマットで表示する。
【0307】Skills Match Starved Scoresの計算の一例たとえば、技能・優先順位合致アルゴリズムが使用されており、コールの待機時間が満了し、したがって、エージェントが、必要な技能レベルを有していなくてもそのコールを処理できるようになったと仮定する。
【0308】スペイン語3、製品5、サービス7の技能表現を有するコールが待機している。
【0309】このコールが下記のレジュメを有するエージェントへ経路指定される。
【表14】
技能 レベル 優先順位スペイン語 2 3製品 8 7製品B 5 5サービス 8 8
【0310】前記で技能スコアの計算に関して定義した方法にしたがって個別の技能スコア(SS)が算出される。コールの表現中の各技能ごとに、エージェントによって提供される技能レベルから、発呼者が必要とする技能レベルが減じられる。結果は下記のとおりである。
スペイン語に関しては、SS=−1製品に関しては、SS=+3サービスに関しては、SS=+1
【0311】個別のSkills Match Over−Skilledを算出するには、零よりも大きな個別の技能スコア(SS)を加算する。個別のSkillsMatch Under−Skilledを算出するには、零よりも小さな個別の技能スコア(SS)を加算する。この例では、Skills Match Under−Qualified=−1であり、Skills Match Over−Qualified=4である。
【0312】すべてのコールに関する技能合致値が同様に算出され、次いで平均される。
【0313】技能合致値を使用して、コール・センタがどれだけ適切にエージェントをコールに合致させているかを決定することができる。値0,0は最も良好な値であり、そのコールが、前記の「「最適エージェント」の決定に関する理論」で定義したようにAgent_Bestによって処理されたことを示す。
【0314】大きな負の数を有する場合は、発呼者の技能要件を満たしていない。これは、エージェントがその技能レベルを高めるように訓練する必要があることを示すこともある。大きな正の数を有する場合、エージェントは発呼者の要件に対してかなりの余分の技能を有する。これは、技能を有するエージェントの大部分が1つのチームまたはシフトにいることを意味する可能性がある。
【0315】優先順位合致スコア:優先順位スコアに関する節で論じたように、優先順位スコアとは、コール・センタ管理者が特定のエージェントに特定のトランザクションを処理させるために有する優先順位の尺度である。優先順位スコアが高ければ高いほど、エージェントに他のタイプのトランザクションではなくその特定のトランザクションを処理させたいというコール・センタ管理者の希望は強い。
【0316】優先順位合致:優先順位合致とは、優先順位のみの合致方法、または優先順位技能合致方法、または技能優先順位合致方法を使用してコールを合致させたときにエージェントに割り当てられたコールに関するエージェントの平均優先順位スコアである。優先順位スコアの場合と同様に、優先順位合致値が高ければ高いほど、その応用例は首尾良く、優先順位に基づいてエージェントにコールを合致させたことになる。優先順位合致スコアは下記の2つの値からなる。
Preference Match Normal−コールの待機時間が満了する前にエージェントに割り当てられたコールに関するエージェントの平均優先順位スコアPreference Match Starved−コールの待機時間が満了した後にエージェントに割り当てられたコールに関するエージェントの平均優先順位スコア
【0317】Preference Match Normalを算出する方法1.待機時間が満了する前に応答されたすべてのコールに関して、「優先順位スコアを算出する方法」に関する節で定義したようにPSを算出する。
2.応答された通常のコールの数nだけPSを加算し、nで除することによって平均Preference Match Normal値を算出する。
【0318】Preference Match Starvedを算出する方法1.待機時間が満了した後に応答されたすべてのコールに関して、「優先順位スコアを算出する方法」に関する節で定義したようにPSを算出する。
2.応答された待機時間の満了したコールの数mだけPSを加算し、mで除することによって平均Preference Match Starved値を算出する。
【0319】まとめとして、本発明の構成に関して以下の事項を開示する。
【0320】(1)コール・センタにいる複数のエージェント間でトランザクションを分担する自動コール配布システムであって、前記トランザクションに関する1組の技能要件を記憶するトランザクション待ち行列と、前記複数のエージェントのそれぞれごとに1組の技能データを記憶する技能インベントリ・データベースと、トランザクションに関する前記1組の技能要件を、前記エージェントに関する前記技能データと比較し、前記エージェントのうちの1人を前記トランザクションを処理するエージェントとして選択するトランザクション・ディスパッチャと、前記トランザクション・ディスパッチャに応答して、前記トランザクションを前記選択されたエージェントに切り替える交換回路とを備えることを特徴とするシステム。
【0321】付録A
【表15】
【0322】
【表16】
【0323】
【表17】
【0324】
【表18】
【0325】
【表19】
【0326】
【表20】
【0327】
【表21】
【0328】
【表22】
【0329】
【表23】
【0330】
【表24】
【0331】
【表25】
【0332】
【表26】
【0333】
【表27】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好ましい実施例を実施した通信システムの機能ブロック図である。
【図2】本発明の好ましい実施例を実施したコール・センタおよび自動コール配布システムの機能ブロック図である。
【図3】本発明の好ましい実施例のトランザクション・ディスパッチャによって実施される方法を示すフローチャートである。
【図4】本発明の好ましい実施例のトランザクション・ディスパッチャによって実施される方法を示すフローチャートである。
【図5】本発明の好ましい実施例のトランザクション・ディスパッチャによって実施される方法を示すフローチャートである。
【図6】本発明の好ましい実施例の、トランザクションにエージェントを合致させる技能のみ方法を示すフローチャートである。
【図7】本発明の好ましい実施例の、トランザクションにエージェントを合致させる技能のみ方法を示すフローチャートである。
【図8】本発明の好ましい実施例の、トランザクションにエージェントを合致させる技能/優先順位方法を示すフローチャートである。
【図9】本発明の好ましい実施例の、トランザクションにエージェントを合致させる技能/優先順位方法を示すフローチャートである。
【図10】括弧のない技能表現の技能スコアを算出する、本発明の好ましい実施例の方法を示すフローチャートである。
【図11】括弧のない技能表現の技能スコアを算出する、本発明の好ましい実施例の方法を示すフローチャートである。
【図12】AND演算子とOR演算子とを含む技能表現の技能スコアを算出する、本発明の好ましい実施例の方法を示すフローチャートである。
【図13】特定のエージェントおよび特定の技能の技能スコアを算出する、本発明の好ましい実施例の方法を示すフローチャートである。
【図14】括弧のない技能表現の優先順位スコアを算出する、本発明の好ましい実施例の方法を示すフローチャートである。
【図15】AND演算子とOR演算子とを含む技能表現の優先順位スコアを算出する、本発明の好ましい実施例の方法を示すフローチャートである。
【図16】特定のエージェントおよび特定の技能の優先順位スコアを算出する、本発明の好ましい実施例の方法を示すフローチャートである。
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コール・センタにいるエージェントへ電話コールを経路指定することに関する。詳細には、本発明は、エージェントのそれぞれの技能および電話コールの技能要件に基づいて電話コールを経路指定することに関する。
【0002】
【従来の技術】本発明は、企業(会社)のコール・センタ(センタ)内の電話エージェント(エージェント)間で作業を分担する方法および装置に関する。コール・センタとは、大量の電話ベースのトランザクションを処理するために会社によって設立されるものである。コール・センタは現在、顧客と1対1でトランザクションを行うための効率的な代替策を提供するために全世界の会社によって一般的に使用されている。たとえば、会社は、ショッピング・エリア中の1つまたは複数の商業スペースを借りて商品を大衆に小売りするのではなく、同じ商品を注文するために使用できる電話番号を掲載したカタログを郵送することができる。顧客は、自分が興味を抱いた商品を選択し、次いで、掲載されている番号をダイアルする。小売業者は、製品の需要を生み出すのに成功した場合、多数の電話コールを受けることになる。これらの電話コールを処理する特定の組織がない場合、会社の努力が無駄になることがある。各販売トランザクションを完了するには、発呼者と話をし、発呼者の質問に答え、何らかの形の支払いを請求し、発呼者の要求を満たし支払いの集金をする内部業務プロセスを開始する従業員が存在しなければならない。定義上、会社の従業員は、その従業員に割り当てられた仕事が、電話を介して行われる取引として編成される期間中は電話エージェント(エージェント)とみなされる。エージェントが各トランザクションを行う電話コールは、顧客が開始することも(この場合のトランザクションをインバウンド・トランザクションと呼ぶ)、エージェントが開始することも(この場合のトランザクションをアウトバウンド・トランザクションと呼ぶ)できる。本発明は、インバウンド・トランザクションとアウトバウンド・トランザクションの両方に関するものであるが、本発明の説明はインバウンド・トランザクションを対象とする。また、顧客は、同じ会社の一員であっても(会社のある構成サブユニットが他の構成サブユニットにサービスを提供するときなど)、会社の一員でなくても(通常、顧客の語から連想されるように、商品またはサービス、あるいはその両方を会社から購入したい人)よい。
【0003】コール・センタは、電話コールを処理できるように、顧客とエージェントの間の音声接続を行うことができる通信装置に投資している。時にはこの装置は会社の敷地上に位置し、他のケースでは、会社が、完全にあるいは部分的に電話サービス提供業者(たとえば、Regional Bell Operating Company)の敷地上に位置する装置を使用する契約を電話サービス提供業者と締結する。本発明の好ましい実施例は、会社の敷地上に存在する、交換機と呼ばれる装置上で実施される。しかし、本発明は、電話サービス提供業者の所在地に存在する装置上で実施することもできる。
【0004】コール・センタ、コール・センタでエージェントとして働く従業員、エージェントが交換機に接続された電話として使用する装置をこのように定義したので、次に、電話ベースのトランザクションを管理するうえで出会ういくつかの問題を検討することができる。
【0005】まず、作業負荷を分担する何らかの方法を準備することが当然必要である。何人かのエージェントを有するセンタを考える。センタにインバウンド・トランザクションが到着する(すなわち、コールが到着する)たびに、この新しいトランザクションを処理するためにどのエージェントを割り当てるべきかを決定する何らかの方式を有さなければならない。従来的な手法は、各エージェントがインバウンド・コールに応対できるかどうかを順次検査することによって(すなわち、第1のエージェントが話し中でない場合は、第1のエージェントがコールを受ける。第1のエージェントが話し中である場合、第2のエージェントが話し中でない場合はこの第2のエージェントがコールを受ける。第2のエージェントが話し中である場合、第3のエージェントは話し中でない場合はこの第3のエージェントがコールを受ける。以下同様である)、どのエージェントがコールを処理するかを交換機が選択する(交換機に対するコマンドを使用して明示的に、あるいは電話をどのように配線するかのみによって暗示的に)順序付け方式を確立することであった。そのような順序付け方式を使用すると、ホットシートが発生するという問題が生じる。すなわち、順序の始めの方のエージェントが順序の終わりの方のエージェントよりも多くの仕事を行う(すなわち、より多くのコールを受ける)傾向がある。
【0006】ホットシート(すなわち、エージェント間のインバウンド・トランザクションの不公平な分担)の問題を回避するために、大部分の交換機は現在、最長遊休エージェント方式を使用することによって次のインバウンド・トランザクションをどのエージェントが受けるかを選択している。この方式を使用する場合、交換機は、各エージェントがどのくらいの間、何もせずにインバウンド・トランザクションの電話を待っているかを厳密に追跡する。会社にインバウンド・トランザクションが到着したとき、交換機は、最も長い時間にわたって遊休状態であるエージェントへそのトランザクションを送る。
【0007】センタは、それ自体がいつインバウンド・トランザクションを受けるかを厳密に制御することも、あるいは、ある一瞬にどれだけの数のトランザクションを受けるかを厳密に制御することもできないことに留意されたい。これは、各コールが、通常他のすべての発呼者とは独立に活動する別々の人間によって下された決定によるものだからである。この固有の予測不能性の結果として、コール・センタが最大負荷のインバウンド・トランザクション(最大負荷と呼ぶ)を経験するピーク時が存在すると仮定することができる。コール・センタの発呼者が常に手続き上の遅延なしでエージェントと対話できるようにするために、会社は、任意の瞬間にインバウンド・トランザクションを受け入れる準備ができているエージェントの数が最大負荷よりも小さくなることのないように十分な数のエージェントを使用することができる。しかし、実際には、仮定したピーク時がまれに発生し(その結果、多数の従業員が遊休状態になることが多い)、ピーク時の実際の値は、業務条件と共に変動し予想が困難であるので、このレベルのスタッフ配置には多くの場合、法外な経費がかかる。したがって、大部分の会社は、インバウンド・トランザクションを行おうとする発呼者がコールを行うとき、すべてのエージェントがすでに他の発呼者とのインバウンド・トランザクションを処理中であることがあることを認めている。これらの会社は、サービスを受けられない顧客の不満を、何らかの種類の手続き上の遅延なしで最小限に抑える方針を計画する。1つの一般的な方針は、顧客が応対可能な電話エージェントを待ち行列で待つことができるようにすることである。
【0008】この手法を使用した場合、すべてのエージェントが発呼者に応対している際、新たに到着したコールが応答を受ける。ただし、これはエージェントによるものではなく、その代わりに、事前に録音されたメッセージまたは音楽、あるいは生の無線信号、あるいはこれらすべての何らかの組合せが、コールが保留されている間、エージェントが応対可能になるまで、発呼者に対して再生される。エージェントが応対可能になった後、待ち行列で最も長い時間にわたって待機しているコールが、交換機によって、新たに対応可能になったエージェントへ経路指定される。2人以上のエージェントがまったく同時に対応可能になった場合、交換機はそれらのうちのどちらが応対するかを無作為に選択することができる。
【0009】これまでは、センタ内のどのエージェントも取引を処理できると仮定してきた。実際には、この仮定は単純過ぎる。というのは、大部分の会社は、エージェントを特定のタイプのビジネス・トランザクションの処理を担当する作業グループに分けて編成しているからである。簡単な例として、会社がどのようにすれば、英語とスペイン語など2つの異なる言語のサポートを行うことができるかを考える。まず、会社は、各言語をどのエージェントが話せるかを判定する。次いで、会社はエージェントを英語を話すグループ、スペイン語を話すグループ、バイリンガル・グループの3つのグループに分ける。会社は次いで、一方は英語でのサービス向け、他方はスペイン語でのサービス向けの2つの異なる電話番号を宣伝することができる。インバウンド・トランザクションが到着した際、それが英語の数字でダイアルされた場合は、英語を話す応対可能なエージェント(すなわち、英語グループのエージェント)用の待ち行列に入れられる。インバウンド・トランザクションがスペイン語の数字でダイアルされた場合は、交換機によってスペイン語グループ用の待ち行列に入れられる。グループの語は、交換機によって全体的に、あるタイプのインバウンド・トランザクションを受け、あるいはあるタイプのアウトバウンド・トランザクションを出すのに適しているとみなされる、1組のエージェントを指す。ある種の交換機は、複数の待ち行列で応対可能なエージェントを探すことができ、したがって前記の例では、バイリンガル・エージェントからなる第3グループを形成することができる。スペイン語グループ中のすべてのエージェントが話し中である場合、バイリンガル・エージェント・グループはスペイン語を使用する取引を行うことができるので、インバウンド・トランザクションをこのグループへ送ることができる。この両方のグループのすべてのエージェントが話し中である場合、交換機は、両方のグループ用の待ち行列中の場所を保持し、スペイン語グループであるか、バイリンガル・グループであるかにかかわらず、次に応対できるエージェントを待つことができる。バイリンガル・グループを待つコールが、英語の取引に関するものである可能性もあることに留意されたい。
【0010】この説明では、このような機能がエージェントをグループ分けし、インバウンド・コールを1つまたは複数の特定のグループに送り、1つまたは複数のグループ用の待ち行列中にコールを保持することを可能にする交換機構成要素を(集合的に)自動コール配布システム(またはACD)と呼ぶことにする。ACDシステムは通常、どのグループがどのコールに応答するかを時間または曜日に基づいて変更する機能など、電話コール・ベースのトランザクションをどのように処理するかを変更できるようにする多数の特徴を含む。
【0011】コール・センタの主要な目的は、費用効果の高い形で大量の電話ベースのトランザクションを処理し、同時に十分な顧客サービスを提供し、十分なエージェントの士気を維持することである。現行のACDシステムは、コール・センタを管理する会社のために下記の2つの重要な決定を自動的に下すことによってこの目的を満たす。
【0012】1)エージェント選択決定:複数のエージェントが次のトランザクションを処理できるときに、どのエージェントを選択すべきか。
【0013】2)トランザクション選択決定:複数のコールまたはトランザクションが、次に応対できるエージェントを待っており、最終的にあるエージェントが応対可能になったとき、そのエージェントがどのコール(またはトランザクション)を処理すべきか。
【0014】前述のように、大部分の現行のACDシステムは、最長遊休エージェント方式を使用することによってエージェントの選択を解決している。
【0015】トランザクション選択決定に関する大部分の現行の解決策の基礎は、1つまたは複数の先入れ先出し(FIFO)待ち行列を作成することである。この解決策を使用した場合、交換機によって各コールに優先順位レベルがマーク付けされる。エージェントが応対可能になったとき、最高の優先順位を有するコールがそのエージェントへ転送される。等しい優先順位のいくつかのコールが待機している場合、最も長い時間にわたって待機しているコールが転送される(すなわち、同じ優先順位レベルのコール間では、順序付けはFIFOである)。
【0016】センタがACDを使用してアウトバウンド・トランザクションを実行している際、各トランザクションは同様に、ある種の優先順位指定を付けてFIFO待ち行列に提出され、次いで、交換機がトランザクションをこの待ち行列からエージェントへ経路指定する(同時に、アウトバウンド・ダイアリング動作を行い、あるいは行わずに、アウトバウンド・トランザクションで識別された顧客に到達する)。したがって、インバウンド・トランザクションとアウトバウンド・トランザクションを共に実行するには、エージェント選択決定とトランザクション選択決定の両方を何らかの形で下さなければならない。
【0017】コール・センタによって処理されるすべての電話ベースのトランザクションが類似している場合(すなわち、各トランザクションがまったく同じ製品の、クレジット・カードによる購入である場合)、センタを管理する会社は、各エージェントが、(単一の有効なトランザクションを実行できることを証明する)必須の訓練プログラムに合格しているかぎり、どんな電話ベースのトランザクションでも処理できると容易に確信することができる。しかし、実際には、めったにそうならない。大部分の会社は、同じコール・センタ内の非常に様々なインバウンド・トランザクションに対処しなければならない。いくつかの例を考える。
【0018】1)仲介コール・センタ:センタのエージェントは、株券および債券を売買し、会社のサービスを販売し、広告ビラおよびパンフレットならびにその他の情報を送信し、投資アドバイスを与えることができる。同じエージェントが、あるトランザクションではある顧客が株券を購入するのを助け、次のトランザクションでは他の顧客が新しい口座を開設するのを助ける。
【0019】2)製品サポート・コール・センタ:センタのエージェントは、それぞれ、特別な訓練を必要とする、様々な異なる製品に関する問題報告書を作成し、作業し、拡充し、クローズすることができる。同じエージェントが、あるトランザクションでは、第1の製品に関する顧客用の問題報告書をオープンし、次いで、次のトランザクションでは、別の顧客が第2の製品に関する問題報告書をクローズするのを助ける。
【0020】3)ユーティリティ顧客サービス・センタ:センタのエージェントは、顧客へのサービスをオンまたはオフに切り替え、質問に答えあるいは顧客の請求書を変更し、修理要員を派遣することができる。同じエージェントが、あるトランザクションでは月間ユーティリティ請求額に関する質問に答え、次のトランザクションでは、顧客の苦情に対して修理要員を派遣すべきかどうかを決定する。
【0021】大部分の現行のACDシステムは、前述のように(それぞれ、最長遊休エージェントおよびFIFO方法を使用して)エージェント選択およびトランザクション選択の決定を下す。この手法は、エージェントが処理しているトランザクションのタイプがほぼ同じであるときに有効である。なぜなら、あらゆるエージェントがあらゆるトランザクションを処理できるかぎり、センタは、単に顧客をエージェントに接続するうえで必要な手続き上の遅延を最小限に抑えることによって、ある最適レベルのトランザクション・スループット(すなわち、特定の時間間隔にセンタ全体で処理されるトランザクションの数)に確実に近づくことができるからである。言い換えると、前述のACDシステムは、センタができるだけ早くトランザクションに関する作業を開始するように働く。しかし、ACDシステムは、エージェントがトランザクションに関する作業を開始した後手続き上の遅延を最小限に抑えるようには働かない。実際、前述の例を考えた際に容易に観測できるように、すべてのエージェントが同様にすべてのトランザクションを熟知しているわけではない。その結果、現行のACDシステムは、下記の欠点があるために、センタ全体としてのトランザクション・スループットを最大にすることができない。
1)技能の劣るエージェントの問題2)余分の技能を有するエージェントの問題
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
技能の劣るエージェントの問題交換機は、そのトランザクションを処理するのに十分な技能を有さないエージェントにトランザクションを経路指定することがある。たとえば、何人かのエージェントは、最近雇用されたばかりであり、したがってまだ完全に訓練されているとは言えない。また、ある種のトランザクションはめったに行われず、すべてのエージェントがこのようなトランザクションを処理するのに十分な経験を有するとは限らない。センタ管理者が、すべてのエージェントがすべてのトランザクションを処理できるように訓練するには法外な経費がかかり、したがってその代わりにスペシャリスト(すなわち、他のエージェント向けの訓練だけでなく、ある種のトランザクションを処理するための追加訓練も受けたエージェント)を育成しようと決断するケースも考えるべきである。
【0023】すべてのこれらのケースで、大部分の現行のACDシステムは、あるトランザクションを、それを処理できないエージェントへ経路指定することがある。これが行われたとき、エージェントは、そのトランザクションを要求している顧客に謝り、その顧客を助けることができる他のエージェントへコールを転送しなければならない。この手続き上の遅延は多くの場合、顧客がエージェントに対して何らかの怒りを漏らしたときに長くなり、トランザクションの処理がさらに遅延する。エージェントが他のACDグループへ顧客を転送する必要があることもあり、その場合、顧客は再びACD待ち行列で待たなければならない。さらに、エージェントは、コールを転送できる他のエージェントを見つけるのに苦労することがある。エージェントが、顧客を待たせ、電話を使用し、あるいは歩いて探索を開始し、エージェント間を移動し、各エージェントがそのコールを受けることができるかどうかを尋ねることが必要になることもある。最後に、顧客がトランザクションに関する一部またはすべての情報を第1のエージェントに与えた後でも、顧客または第1のエージェントはこの情報を第2のエージェントに繰り返さなければならない。
【0024】多くの状況では、あるトランザクションを完了するのに十分な訓練を受けていないエージェントへそのトランザクションを送ることによって重大な悪影響がもたらされる恐れがある。すべてのケースで、第1のエージェントは、貴重な時間を費やして無用なエラーの訂正を行うが、この時間中に他の種類の1つまたは複数のトランザクションを完了できたかもしれない。また、多くのケースでは、顧客がエラーのために怒りを漏らし、その結果、顧客がその会社との取引を継続しないと決心した場合、収益の損失を含め、より長期的な影響がもたらされる恐れがある。
【0025】前述の状況を使用して、技能の劣るエージェントの問題のいくつかの例を下記に示す。
【0026】1)仲介コール・センタ:商品の投資に関心を抱く顧客からのコールが、株券、債券、ミューチュアル・ファンドに関する訓練しか受けていないエージェントへ送られる。このエージェントは場合によっては現在、商品取引に関する数カ月のコースに登録されているが、まだこのコースを完了してはいない。
【0027】2)製品サポート・コール・センタ:第1の製品に関する顧客からのコールが、第1の製品の訓練を受けているエージェントへ送られるが、この問題に関する話を開始した後、エージェントは、この問題がエージェントの能力を超えたものであると判断する。たとえば、このエージェントが、第1の製品に関するトランザクションに数カ月しか従事しておらず、かつこの問題が非常に難しいものであることがある。この場合は、第1の製品に関する経験がより豊富なエージェントへコールを転送しなければならない。
【0028】余分の技能を有するエージェントの問題交換機は、トランザクションを十分に処理するのに必要な技能を大幅に上回る技能を有するエージェントにトランザクションを経路指定することがある。このような場合、このエージェントは余分の技能を有すると言い、これは、このエージェントが資格過剰であることを意味し、かつこのエージェントの訓練および経験が、委託された仕事で無駄使いされることを暗示する。トランザクションが余分の技能を有するエージェントに経路指定されることが起こるのは、豊富な実地訓練を受けているセンタ内の何人かのエージェントが、より経験の少ない他のエージェントと同じグループに含まれているためである。このような経路指定は、コール・センタ管理者があるエージェントをスペシャリストとして指名し、すなわち、これらのエージェントが、通常エージェントに与えられる基礎レベルの訓練を上回るある種のトランザクションの処理の特別な訓練を受けるよう選抜されたときにも行われる。センタ管理者から見ると、すべてのエージェントがすべてのトランザクションの専門家になるように訓練することは経費がかかりすぎるが、ある分野におけるより広範囲な専門知識を有する何人かのスペシャリスト・エージェントを育成することは実現可能かもしれない。
【0029】すべてのこのようなケースで、大部分の現行のACDシステムは、あるトランザクションの処理に関して資格過剰なエージェントにそのトランザクションを経路指定することがある。これが行われたとき、そのようなトランザクションを受けた余分の技能を有するエージェントは、もちろんそのトランザクションを通常どおり処理する。しかし、このエージェントの平均を上回る技能を必要とする他のコールが同時にセンタに到着したと仮定して、センタ全体に対する影響を考える。
【0030】1)第1の時点で、第1のトランザクションが、その処理に関する余分の技能を有する第1のエージェントへ経路指定される。第1のエージェントが、より難しいトランザクションの処理に関して特別の訓練を受けていると仮定する。第1のエージェントは第1のトランザクションを処理することができるが、これは簡単なトランザクションなので、第1の時間に応対可能であった何人かの他のエージェントもこのトランザクションを処理することができた。しかし、第1のエージェントが最も長い時間にわたって遊休状態であったので、交換機は、最長遊休エージェント方法を使用して、第1のトランザクションを第1のエージェントへ経路指定した。
【0031】2)第2の時点、すなわち第1の時間から数秒後に、第2のトランザクションが到着する。このトランザクションは非常に難しく、第1のエージェントしか処理できない。しかし、第1のエージェントは、第1のトランザクションを処理しているので、第2のトランザクションを受け入れることができない(第1のエージェントが応対可能であっても、第1のエージェントがその時点での最長遊休エージェントであった場合、交換機は第2のトランザクションを第1のエージェントへ経路指定することになる)。したがって、交換機は第2のトランザクションを第2のエージェント、すなわち第2の時点での最長遊休エージェントへ経路指定する。しかし、第2のエージェントは、第2のトランザクションを処理するのに十分な技能を有しておらず、したがってその結果、センタは、前述のように技能の劣るエージェントの問題を経験する。
【0032】したがって、ある負荷条件の下では、トランザクションが、余分の技能を有するエージェントへ経路指定された場合、交換機は実際には、技能の劣るエージェントの問題の新しい例と、この問題に伴うすべての重大な影響をもたらす。実際には、このような負荷条件はよく発生し、センタのトランザクション・スループットを減少させるように働くもう1つの力である。
【0033】余分の技能を有するエージェントの問題のそれほど明白でない他のコストは、スペシャリスト・エージェントに与えられる訓練の機会費用である。多くの場合、そのような訓練は、中央の管理者によるかなりの財政投資を要する。すべての訓練費用が発生した後で、スペシャリスト・エージェントが、その時間のかなりの部分を費やして、特別な訓練なしで処理できるトランザクションの処理に当たった場合、会社はある程度、訓練投資の対価を享受することができなくなる。会社は、それほど多くの人員をスペシャリストとして育成する必要はなかったわけである。
【0034】前述のように、現行のACDシステムでは、トランザクションのディスパッチに関するエージェント選択決定を下すためにエージェントをグループ化することができる。前述の例を使用して、エージェントをグループ分けするいくつかの方法を考えることができる。
【0035】1)仲介コール・センタ:一例を挙げると、このセンタのエージェントは、株券・債券グループおよび商品グループの2つのグループに分けることができる。
【0036】2)製品サポート・コール・センタ:一例を挙げると、このセンタのエージェントは、製品に応じて、製品Aグループ、製品Bグループ、製品Cグループ、製品Dグループの各グループに分けることができる。
【0037】3)ユーティリティ顧客サービス・センタ:一例を挙げると、このセンタのエージェントは、クレジット・集金グループおよび販売サービス・グループの2つのグループに分けることができる。
【0038】エージェントをグループ分けすると、センタは、前述の技能の劣るエージェントの問題をある程度回避することができる。しかし、依然として、技能の劣るエージェントの問題が発生する可能性は高く、かつこの方法はいくつかの他の欠点も有する。たとえば、コール・センタ管理者は、かなりの時間を費やして、エージェントをどのようにグループ分けするかを決定しなければならない。コール・センタ管理者はまず、計画作業を行って、会社の目的を満たす可能性が最も高い構成を推定し、次いで、交換機の制御卓に多数のコマンドを手動で入力して交換機にこの計画を実施させなければならない。この構成が交換機のデータベースに記憶された後、交換機はこの構成を使用してすべてのトランザクションを処理する。通常、コール・センタ管理者は、コール・センタの成績を繰り返し監視し、成績が向上するよう構成を修正しなければならない。たとえば、トランザクション負荷の規模、ペース、組合せが変化したときには通常、構成を修正しなければならない。
【0039】すべてのエージェント(N)をいくつかのグループに分けて最適構成を計画するのは通常、簡単な作業ではない。前記の例(2)(製品サポート・センタ)を考える。この例は(構成Iと呼ぶ)、前述のように十分に簡単なものであると思われる。会社は、各エージェントを単一の製品に関するトランザクションの処理の専門家になるように訓練する。次いで、会社は、製品に基づいてエージェントをグループ分けするだけでよい。会社は、前記に示したように4つの製品を有する場合、4つのグループを有する。4つのグループ中のすべてのエージェントの和は、エージェントの総数(N)に等しい。
【0040】実際には、状況がこのように単純であることはめったにないことを示すために下記の例を考える。まず、会社がスペイン語しか話さない顧客をサポートしたいと仮定する。会社は、この現実的な要件を満たすために、エージェントを下記のようにグループ分けする必要がある(これを構成IIと呼ぶ)。
1)英語のみ製品Aグループ2)英語のみ製品Bグループ3)英語のみ製品Cグループ4)英語のみ製品Dグループ5)バイリンガル製品Aグループ6)バイリンガル製品Bグループ7)バイリンガル製品Cグループ8)バイリンガル製品Dグループ
【0041】会社は、顧客をサポートするために必要なグループの数を急に2倍にした。この場合、コール・センタ管理者が、グループ1(英語のみ製品A)中のすべてのエージェントが話し中である場合、その代わりにグループ1向けのトランザクションをグループ5(バイリンガル製品A)中のエージェントへ送信できると指定するように交換機を構成しなければならず、グループ5中のすべてのエージェントが十分な技能を有し(すなわち、英語を話し、製品Aに関する訓練を受けている)、他のグループに関しても同様なので、構成作業はさらに複雑である。会社はこの余分な構成を実行し、あるいは追加のエージェントを雇用しなければならないことに留意されたい。この問題を評価するために、エージェントをどのようにグループ分けするかを考える。構成Iでは、下記のようにグループ分けされる。
G1=N−(G2+G3+G4)
G2=N−(G1+G3+G4)
G3=N−(G1+G2+G4)
G4=N−(G1+G2+G3)
上式で、N=G1+G2+G3+G4であり、N、G1、G2、G3、G4は定義上、零よりも大きい。
【0042】構成IIでは、エージェントは下記のように、より多数のグループに分けられる。
G1=N−(G2+G3+G4+G5+G6+G7+G8)
G2=N−(G1+G3+G4+G5+G6+G7+G8)
G3=N−(G1+G2+G4+G5+G6+G7+G8)
G4=N−(G1+G2+G3+G5+G6+G7+G8)
G5=N−(G1+G2+G3+G4+G6+G7+G8)
G6=N−(G1+G2+G3+G4+G5+G7+G8)
G7=N−(G1+G2+G3+G4+G5+G6+G8)
G8=N−(G1+G2+G3+G4+G5+G6+G7)
上式で、N=G1+G2+G3+G4+G5+G6+G7+G8であり、N、G1、G2、G3、G4、G5、G6、G7、G8は定義上、零よりも大きい。
【0043】会社は、追加のスタッフの雇用を回避するために、センタ内のエージェントの総数をレベルNに維持する。したがって、会社が追加の構成作業を行わず(すなわち、各グループが忙しい時に相互にバックアップする方式を設定しない)、さらに特定のグループ(たとえばグループ1)について通常のトランザクション数よりも多くのトランザクションが急に発生した場合、構成IIでは、これらのトランザクションを処理できるエージェントの数が構成Iよりも少なく、発呼者はより長い時間にわたって待たなければならず、場合によってはいらいらして電話を切ることもある(すなわち、構成IIのG1は一般に構成IのG1よりも小さい)。
【0044】次に、現実的な因子をこの状況に追加する。会社が新規の製品、すなわち製品Eを発売する際に生じる状況を考える。会社は、何人かの追加エージェントを雇用することもあるが、他のグループの何人かのエージェントを製品Eに関するトランザクションを処理できるように訓練することもある。合理的な判断は、会社が、製品Eの成功を確信できるまで、製品Dグループ中のバイリンガル・エージェントも製品Eに関するトランザクションを処理できるように訓練して、製品Eグループに必要な雇用を最小限に抑えようと決定することである。その場合、結果として得られる構成(構成III)を下記に示す。
1)英語のみ製品Aグループ2)英語のみ製品Bグループ3)英語のみ製品Cグループ4)英語のみ製品Dグループ5)英語のみ製品Eグループ6)バイリンガル製品Aグループ7)バイリンガル製品Bグループ8)バイリンガル製品Cグループ9)バイリンガル製品DおよびEグループ
【0045】この場合も、新しいグループを構成し、重負荷期間向けの合理的なバックアップ方式を設定するために人間の介入が必要である(たとえば、前記の構成IIIではグループ9がグループ5をバックアップすることができる)。
【0046】最後に、このような状況のうちで最も現実的な状況、すなわち、各エージェントを1つまたは複数の製品に関して訓練する状況を考える。製品は多くの場合、相互に関係しており、エージェントは、どの製品の技術的問題でも適切に解決するために複数の製品を理解する必要がある。センタに新しいエージェントが加わった際、そのエージェントは最初、1つの製品に関する訓練しか受けないが、数カ月および数年のうちにしだいにいくつかの他の製品に関する知識も身に着ける。構成IV(下記)は、そのようなセンタの一例を示す。
1)英語のみ製品Aグループ2)英語のみ製品Bグループ3)英語のみ製品Cグループ4)英語のみ製品Dグループ5)英語のみ製品Eグループ6)英語のみ製品AおよびBグループ7)英語のみ製品CおよびDグループ8)すべての製品グループに関する英語のみ専門家9)バイリンガル製品Aのみグループ10)バイリンガル製品Bのみグループ11)バイリンガル製品Cのみグループ12)バイリンガル製品Dのみグループ13)バイリンガル製品Eのみグループ14)バイリンガル製品AおよびBグループ15)バイリンガル製品CおよびDグループ16)すべての製品グループに関するバイリンガル専門家
【0047】この構成も単純過ぎ、5つの製品と2つの言語をサポートする製品サポート・コール・センタをサポートする構成を提供する他の多くの組合せが考えられる。実際、そのようなセンタは通常、数十種の製品をサポートする。しかし、この構成は、これらの例の全体的な目的、すなわち、従来技術のグループ分け方法が、トランザクションをエージェントへ経路指定するために使用される構成の不断の保守を必要とする、コール・センタ内のエージェントの作業負荷を編成するための労働集約的な手法となることを示すという目的を満たす。絶えず保守を行う場合でも、構成の設計対象であるトランザクション負荷が常に変化するので、コール・センタ管理者は、最適な構成が使用されていると確信することはできない。
【0048】コール・センタ内のエージェントを技能に基づいてグループ分けすると、技能の劣るエージェントの問題の発生頻度を低減することができるが、この方法はこの問題を完全に解消するわけではなく、センタに対する他のいくつかの悪影響もある。たとえば、コール・センタ管理者は、計画作業を行って、エージェントの受け入れられるグループ構成を案出しなければならない。これは、かなりの作業であり、何人かの個人が数日にわたって作業する必要がある。いくつかの会社は、この作業の助けとしてコンサルタントを雇用している。したがって、この計画活動で会社は多額のコストを負担する。また、決定された構成がすべての状況に最適なものであるとは限らない。前述のように、トランザクションの規模、ペース、組合せが変化したときに、技能の劣るエージェントの問題および余分の技能を有するエージェントの問題がセンタの成績に影響を及ぼす可能性が高くなる。最後に、コール・センタ管理者は、トランザクション負荷の規模、ペース、組合せの変化に応答するために、継続的に現行のグループ分け構成の成績を監視し、必要に応じて手動で変更を加えなければならない。大部分の会社では、コール・センタ管理者および監督が毎日、各グループにどのエージェントが何人割り当てられているかを監視し調整することに時間を費やさなければならない。この場合も、このような活動によって、普通なら会社が競争で優位を占めるために使用できる貴重な会社の資源が費される。
【0049】「サービスの品質」測定問題従来のACD環境では、コール・センタ管理者は、下記の主要な指標に基づいて、コール・センタを管理し、顧客に提供されるサービスのレベルを評価する。
平均応答速度−発呼者が応答を待った平均時間サービス・レベル率−定義されたサービス・レベル内で応答されたコールの割合放棄率−受信されたコールのうちで、放棄されたものの割合平均放棄時間−発呼者が放棄する前に待機した平均時間
【0050】コール・センタ管理者は、顧客に対するサービス・レベル要件を満たし、放棄されるコールの割合を最小限に抑えるために、トランザクション負荷の推定の規模、ペース、組合せに基づいて各静的グループに必要な妥当な構成レベルを決定する問題に直面する。
【0051】たとえば、ある健康保険会社は、90%の医療保険請求コールにサービス・レベル20秒以内に応答し、95%の生命保険コールにサービス・レベル30秒以内に応答するという、顧客Aに対する契約上の約束を有する。この保険会社は、95%の医療保険コールを20秒で処理するという顧客Bに対する類似の契約上の約束を有する。この保険会社は、両方の顧客に対して、受信したコールのうちで放棄されるコールが3%未満になることを約束している。
【0052】前記の状況では、コール・センタ管理者は、各顧客ごと各コール・タイプごとに妥当なレベルのサービスを提供するために計画およびスタッフにかなりの努力を費やす。実際には、コール・センタ管理者は、顧客に提供されるサービス・レベルの1面に対処しているに過ぎない。前記の従来型の4つのサービス・レベル指標は、提供されるサービスの品質ではなく、サービスの速度およびサービスを待つ顧客の忍耐に対処するものである。
【0053】前記の「技能の劣るエージェントの問題」の節で論じたように、コール・センタは、サービス・レベル目標を満たすサービスを顧客を提供するのに十分な技能を有さないエージェントへコールを経路指定することがある。その場合、技能の劣るエージェントは、低品質のサービスを提供し、あるいは、発呼者を待たせて適当な技能を有するエージェントに相談し、あるいは、適当な技能を有するエージェントへその顧客を転送する。従来型のサービス・レベル指標は、実際の顧客満足度が非常に低いときに高レベルのサービスが提供された(95%のコールが20秒以内に応答された)ことを反映するものである。
【0054】本出願に記載した本発明は、特定のトランザクション・タイプに関して顧客に提供されるサービスの品質の定量的尺度をコール・センタ管理者に提供することによってこの「サービスの品質」問題に対処する。
【0055】「エージェント使用率」測定問題従来型のACD環境では、コール・センタ管理者は、ACDコールの処理に費やされたエージェントの利用可能時間の割合によって、エージェント資源をどれだけ有効に使用しているかを評価する。前述の「サービスの品質」問題の場合と同様に、この指標はエージェント使用率の1面、すなわち時間因子しかカバーしていない。この指標は、技能因子には対処していない。たとえば、下記の質問は、従来型のACDエージェント使用率指標では回答できない。エージェントの技能をどれだけ有効に使用したか。エージェントは、技能が劣り、あるいは余分の技能を有するコールを処理したか。エージェントは、その技能レベルを向上させるタイプのコールを処理しているか。それぞれ異なる技能レベルを有するエージェントによってコールを処理する際に処理効率はどのような影響を受けるか。
【0056】本出願に記載した本発明は、コールを処理したエージェントによって発呼者の要件がどれだけ厳密に満たされたかの定量的尺度をコール・センタ管理者に提供することによって、「エージェント使用率」問題のこれらの局面に対処する。
【0057】
【課題を解決するための手段】本発明は、コール・センタにいる複数のエージェント間でトランザクションを分担する自動コール配布システムに関する。この自動コール配布システムは、トランザクション待ち行列と、技能インベントリ・データベースと、トランザクション・ディスパッチャと、交換回路とを備える。トランザクション待ち行列は、トランザクションに関する1組の技能要件データを記憶する。技能インベントリ・データベースは、複数のエージェントのそれぞれごとに1組の技能データを記憶する。トランザクション・ディスパッチャは、トランザクションに関する1組の技能要件データをエージェントに関する技能データと比較し、そのトランザクションを処理すべき1人のエージェントを選択する。交換回路は、トランザクション・ディスパッチャに応答して、選択されたエージェントにトランザクションを切り替える。
【0058】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の好ましい実施例を実施した通信システムの機能ブロック図である。この通信システムは、顧客から会社のコール・センタへのインバウンド電話コールまたはトランザクションと、コール・センタのエージェントから顧客へのアウトバウンド電話コールまたはトランザクションを容易にするものである。いくつかの顧客電話20、22、24、26が公衆交換機10に接続される。公衆交換機10は会社の構内交換機(PBX)50に接続される。図1は、いくつかのエージェント電話152、154、156、158を備えるコール・センタ150も示す。コール・センタ150は、自動コール配布(ACD)システム100によって制御される。ACDシステム100は、動的技能ベース・ルータ110と、1組のACD交換回路120とを備える。ACDシステム100は、本発明の方法によってエージェント電話152、154、156、158へコールを経路指定する。図1は、コール・センタ150では働いていない会社の従業員が使用するいくつかの電話62、64、66、68も示す。
【0059】図2は、図1のACDシステム100およびコール・センタ150の機能ブロック図である。この場合も、ACDシステム100は、動的技能ベース・ルータ110とACD交換回路120とを備え、コール・センタ150はエージェント電話152、154、156、158を備える。さらに図2に示したように、動的技能ベース・ルータ110は、トランザクション・リクエスタ200と、トランザクション待ち行列202と、待ち行列制御装置204と、技能インベントリ・データベース206と、トランザクション・ディスパッチャ208と、コール制御インタフェース210とを備える。
【0060】一般に、何人かの電話エージェントは、電話152、154、156、158を使用して、コール・センタ150と顧客電話20、22、24、26との間で電話コールまたはトランザクションを受信し送信する。たとえば、顧客は家庭の電話20を使用して、会社を呼び出し、会社の1つの製品を注文することができる。顧客は、会社の一般販売電話番号をダイアルする。公衆交換機10は、当業者には良く知られている方法によってインバウンド電話コールを会社のPBX50へ経路指定する。PBX50は、一般販売電話番号に送られたすべてのインバウンド電話番号をACDシステム100へ経路指定し、エージェント電話152、154、156、158のうちの1つへ経路指定できるようにする。動的技能ベース・ルータ110は、本発明の方法を実施して、そのインバウンド電話コールまたはトランザクションをどのエージェント電話152または154または156または158へ経路指定すべきかを決定する。動的技能ベース・ルータ110は次いで、選択されたエージェント電話152または154または156または158へトランザクションを経路指定するようにACD交換回路120を制御する。選択されたエージェント電話152または154または156または158に配置されているコール・センタ・エージェントは、そのインバウンド電話コールまたはトランザクションを受けてその要求を処理する。したがって、顧客がコールを行い会社の1つの製品を注文するこの例では、インバウンド・コールを受けたコール・センタ・エージェントは、顧客がどの製品を注文したいかを判定し、注文を受け入れ、顧客による支払いの手筈を整える。
【0061】動的技能ベース・ルータ110は、コンピュータ・プログラムを備える。図1で、動的技能ベース・ルータ110はPBX50とは別の機能単位として図示されており、本発明の第1の実施例では、ルータ110はPBX50とのインタフェースをとる独立型パーソナル・コンピュータで物理的に実施される。この実施例では、コール制御インタフェース210は標準CSTAインタフェースを実施する。しかし、本発明の好ましい実施例では、ルータ110はPBX50内で物理的に実施される。トランザクション・リクエスタ200、待ち行列制御装置204、トランザクション・ディスパッチャ208、コール制御インタフェース210は、ルータ110を実施するコンピュータ・プログラムの別々のルーチンを備える。技能インベントリ・データベース206は、ハード・ディスク上に記憶し、プログラムの実行時にランダム・アクセス・メモリ(RAM)に読み取ることができるデータベースである。トランザクション待ち行列202は好ましくは、プログラムの実行時にRAM中に生成される。
【0062】図3は、トランザクション・ディスパッチャ208によって実施される方法を示すフローチャートである。この方法は、初期ブロック300から開始する。判断ブロック302で、トランザクション・ディスパッチャ208は、3つの発信元のうちのどれか、すなわち内部タイマ、PBX50、または独立型パーソナル・コンピュータのオペレータからメッセージ(MSG)を受信する。判断ブロック302で、トランザクション・ディスパッチャ208は、メッセージが内部タイマからのタイマ・メッセージか、それともオペレータからの直接待機メッセージか、それともPBX50からのコール制御メッセージかを判定する。コール制御インタフェース210は、ルータ110とPBX50との間のインタフェースを提供する。したがってたとえば、コール制御インタフェース210は、PBX50からメッセージを受信し、トランザクション・ディスパッチャ208など、ルータ110内の他の装置へそのメッセージを転送する。
【0063】メッセージがタイマ・メッセージである場合、この方法は処理ブロック304へ進む。トランザクション・ディスパッチャ208は、独立型コンピュータ内の1つまたは複数の内部タイマを制御し、これらの内部タイマは、トランザクション・ディスパッチャ208へのメッセージを生成することによって設定時間が経過したことを示す。トランザクション・ディスパッチャ208が受信したメッセージが直接待機メッセージである場合、この方法は処理ブロック320へ進む。独立型コンピュータのオペレータは、直接待機メッセージを作成することによってトランザクションを開始することができる。たとえば、オペレータはコール・センタ・エージェントが特定の顧客を電話で呼び出すことを必要とするトランザクション(すなわち、アウトバウンド・トランザクション)を生成することができる。トランザクション・ディスパッチャ208が受信したメッセージがコール制御メッセージである場合、この方法は判断ブロック322へ進む。PBX50は、たとえば顧客から着信電話コールを受信したときに、トランザクション・ディスパッチャ208へのコール制御メッセージを生成する。
【0064】処理ブロック304で、トランザクション・ディスパッチャ208は、待ち行列制御装置204にトランザクション待ち行列202の第1のトランザクションを要求する。
【0065】判断ブロック306で、トランザクション・ディスパッチャ208は、待ち行列制御装置204から受信したトランザクションが空トランザクションであるかどうかを判定する。トランザクション待ち行列202が空のとき、トランザクションは空トランザクションである。トランザクションが空トランザクションである場合、この方法は終了ブロック318へ進む。そうでない場合、この方法は判断ブロック308へ進む。
【0066】判断ブロック308で、トランザクション・ディスパッチャ208は、トランザクションが、待ち行列202上に残ることを許されている第1の所定の最大時間よりも長い時間にわたって待ち行列202に存在しているかどうかを判定する。第1の所定の時間が満了している場合、この方法は処理ブロック310へ進む。そうでない場合、この方法は判断ブロック312へ進む。
【0067】処理ブロック310で、トランザクション・ディスパッチャ208は、トランザクションがタイムアウトしたことを示すメッセージと共に、トランザクションを要求したプロセスにトランザクションを戻す。処理ブロック310の後で、この方法は処理ブロック316へ進む。
【0068】判断ブロック312で、トランザクション・ディスパッチャ208は、トランザクションが、第2の所定の時間、すなわち、それが経過した後はトランザクションの待機時間が満了したとみなされる時間よりも長い時間にわたって待ち行列202に存在しているかどうかを判定する。第2の所定の時間が満了している場合、この方法は処理ブロック314へ進む。そうでない場合、この方法は判断ブロック316へ進む。
【0069】処理ブロック314で、トランザクション・ディスパッチャ208はトランザクションを、待機時間が満了したトランザクションとしてマーク付けする。
【0070】処理ブロック316で、トランザクション・ディスパッチャ208は、待ち行列制御装置204に待ち行列202中の次のトランザクションを要求する。処理ブロック316の後で、この方法は判断ブロック306に戻る。
【0071】処理ブロック320で、待ち行列制御装置204はメッセージを受信し、新しいトランザクションを生成する。しかし、この新しいトランザクションはコール制御メッセージではなく直接待機メッセージから生成されたものなので、この新しいトランザクションには着信電話コールは接続されていない。処理ブロック320の後で、この方法は判断ブロック326へ進む。
【0072】判断ブロック322で、トランザクション・ディスパッチャ208は、新しい着信電話コールが到着したとPBX50が報告しているかどうかを判定する。そうである場合、この方法は、処理ブロック324へ進む。そうでない場合、この方法は、判断ブロック338へ進む。
【0073】処理ブロック324で、トランザクション・リクエスタ200は、新しいトランザクション待ち行列項目を作成し、そのトランザクション項目に着信コールを接続する。トランザクション・リクエスタ200は、待ち行列制御装置204を使用して、トランザクション項目を待ち行列202に入れる。下記で詳しく説明するように、トランザクション項目は、着信電話コールの技能要件に関する情報を含む。トランザクション・リクエスタ200は、着信コールの技能要件を様々な方法で得ることができる。たとえば、トランザクション・リクエスタ200は、顧客がダイアルした電話番号および顧客の電話番号を判定することができる。それぞれの異なる要件を有するコールにそれぞれ異なる電話番号が指定される場合、ダイアルされた電話番号はある種の技能要件情報を提供する。たとえば、英語トランザクションに第1の番号を指定し、スペイン語トランザクションに他の番号を指定することができる。トランザクション・リクエスタ200は、トランザクションが英語技能を必要とするものか、それともスペイン語技能を必要とするものかを、ダイアルされた電話番号から判定することができる。たとえば、会社内部の顧客が特別な技能要件を有する場合は、顧客の電話番号が意味がある。トランザクション・リクエスタ200は、プロンプトを出し、コールの特定の技能要件を示す電話上の特定のキーを発呼者に押させることによって技能要件情報を得ることもできる。待ち行列制御装置204はまた、トランザクション項目を、ただちに処理し、かつ場合によってはただちにディスパッチするために直接、トランザクション・ディスパッチャ208へ転送する。
【0074】判断ブロック326で、トランザクション・ディスパッチャ208は、応対可能なエージェントのリストを参照し、着信電話コールを受けることができるコール・センタ・エージェントがいるかどうかを判定する。応対可能なエージェントのリストはトランザクション・ディスパッチャ208によって維持される。応対可能なエージェントがいない場合、この方法は処理ブロック332へ進む。そうでない場合、この方法は処理ブロック328へ進む。
【0075】処理ブロック328で、トランザクション・ディスパッチャ208は、着信電話コールに応対可能なエージェントを合致させようとする。この処理ブロック328中にトランザクション・ディスパッチャ208が使用する方法については、下記で図6、図7、図8に関して詳しく説明する。
【0076】判断ブロック330で、トランザクション・ディスパッチャ208は、処理ブロック328の方法の結果、応対可能なエージェントと着信電話コールとの間に適切な合致がもたらされたかどうかを判定する。着信コールに適したエージェントが見つかった場合、この方法は処理ブロック334へ進む。そうでない場合、この方法は処理ブロック332へ進む。
【0077】処理ブロック332で、トランザクション・ディスパッチャ208はトランザクション待ち行列202にトランザクション項目を残し、終了ブロック336へ進む。
【0078】処理ブロック334で、トランザクション・ディスパッチャ208は、トランザクションを関連する電話番号と共に、処理ブロック328中で選択されたエージェントに割り当てる。具体的には、トランザクション・ディスパッチャ208は、電話コールがあれば、選択されたエージェントに対応するエージェント電話152または154または156または158へそれを経路指定するようACD交換回路120に指令するコマンドを、コール制御インタフェース210にPBX50宛に発行させる。トランザクション・ディスパッチャ208はまた、トランザクション待ち行列202中の対応する項目を削除するように待ち行列制御装置204を制御する。処理ブロック334の後で、この方法は終了ブロック336へ進む。
【0079】判断ブロック338で、トランザクション・ディスパッチャ208は応対可能なエージェントのリストを参照し、トランザクションを処理するために応対可能になったコール・センタ・エージェントがいるかどうかを判定する。応対可能になったエージェントがまだいない場合、この方法は判断ブロック340へ進む。そうでない場合、この方法は判断ブロック356へ進む。
【0080】判断ブロック340で、トランザクション・ディスパッチャ208は、発呼者が、コール・センタ・エージェントと話をする前に電話を切ったかどうかを判定する。具体的には、トランザクション・ディスパッチャ208は、電話コールが終了したかどうかをコール制御メッセージから判定し、そうである場合は、電話コールがトランザクション待ち行列202中の項目に関連するものであったかどうかを判定する。発呼者がエージェントと話をする前に電話を切った場合、この方法は処理ブロック342へ進む。そうでない場合、判断ブロック344へ進む。
【0081】処理ブロック342で、トランザクション・ディスパッチャ208は、終了した電話コールに関連する待ち行列202中の項目を削除する。処理ブロック342の後で、この方法は終了ブロック354へ進む。
【0082】判断ブロック344で、トランザクション・ディスパッチャ208はコール制御メッセージを参照し、ACDシステム100にログオンしたエージェントがいるかどうかを判定する。エージェントがトランザクションの受信を開始するには、コール・センタ・シフトの開始時にACDシステム100にログオンしなければならない。ログオンしたエージェントがいる場合、この方法は処理ブロック346へ進む。そうでない場合、この方法は判断ブロック348へ進む。
【0083】処理ブロック346で、トランザクション・ディスパッチャ208は、ログオンしたエージェントを応対可能なエージェントのリストに追加する。処理ブロック346の後で、この方法は終了ブロック354へ進む。
【0084】判断ブロック348で、トランザクション・ディスパッチャ208は、ACDシステム100からログオフしたエージェントがいるかどうかを判定する。ログオフしたエージェントがいる場合、この方法は処理ブロック350へ進む。そうでない場合、この方法は処理ブロック352へ進む。
【0085】処理ブロック350で、トランザクション・ディスパッチャ208は、ログオフしたエージェントを応対可能なエージェントのリストに追加する。処理ブロック350の後で、この方法は終了ブロック354へ進む。
【0086】処理ブロック352で、トランザクション・ディスパッチャ208は、メッセージを認識できないと報告する。処理ブロック352の後で、この方法は終了ブロック354へ進む。
【0087】判断ブロック356で、トランザクション・ディスパッチャ208は、待ち行列202上にトランザクションがあるかどうかを待ち行列制御装置204から判定する。待ち行列202上に少なくとも1つのトランザクションがある場合、この方法は処理ブロック358へ進む。そうでない場合、この方法は処理ブロック364へ進む。
【0088】判断ブロック358で、トランザクション・ディスパッチャ208は、応対可能なエージェントを待ち行列202上の1つのトランザクションに合致させようとする。処理ブロック358中にトランザクション・ディスパッチャ208が使用する方法については、図6、図7、図8に関して詳しく説明する。
【0089】判断ブロック360で、トランザクション・ディスパッチャ208は、応対可能なエージェントに適したトランザクションが待ち行列202上で見つかったかどうかを判定する。エージェントに適したトランザクションが見つかった場合、この方法は、処理ブロック362へ進む。そうでない場合、この方法は処理ブロック364へ進む。
【0090】処理ブロック362で、トランザクション・ディスパッチャ208は、待ち行列202から選択したトランザクションを応対可能なエージェントに割り当てる。この場合も、具体的に言うと、トランザクション・ディスパッチャ208は、選択したトランザクションからの電話コールがあれば、応対可能なエージェントに対応するエージェント電話152または154または156または158へそれを経路指定するようACD交換回路120に指令するコマンドを、コール制御インタフェース210にPBX50宛に発行させる。トランザクション・ディスパッチャ208はまた、トランザクション待ち行列202中の対応する項目を削除するように待ち行列制御装置204を制御する。処理ブロック362の後で、この方法は終了ブロック366へ進む。
【0091】処理ブロック364で、トランザクション・ディスパッチャ208は、応対可能なエージェントにトランザクションを割り当てず、応対可能なエージェントのリストにこのエージェントを追加する。処理ブロック364の後で、この方法は終了ブロック366へ進む。
【0092】図3、図4、図5の方法は、1つの終了ブロック318または336または354または366で終了する。この方法が終了すると、トランザクション・ディスパッチャ208は次のメッセージを受信するのを待つ。次のメッセージの受信時に、図3、図4、図5の方法が再び初期ブロック300から開始する。
【0093】本発明は、特定の応用例にとって最も重要な基準とみなされる基準に基づいて各トランザクションごとに最も妥当なエージェントを見つけようとするものである。好ましい実施例では、ある種の基準が最も重要な基準として仮定されているが、他の特定の応用例では他の基準を最も重要な基準とみなすことができる。好ましい実施例の応用例で最も重要な基準とみなされる基準について下記で説明する。本発明を開発する際に、本発明者は下記の知見を得た。
【0094】1)各エージェントは、それぞれ、ある専門知識レベルを有する、トランザクションを処理するための1組の技能(agent_skills)を有する(たとえば、エージェントAはスペイン語会話が堪能であり、製品Xに関する技術的な質問に回答する適度な技能を有する)。
Agent_skills={SA1,SA2,SA3,...SAi)
【0095】上式で、iは1組の技能中の技能の総数である。本発明の好ましい実施例では、技能インベントリ・データベース206は、コール・センタ150内の各エージェントごとのagent_skillsに対応するデータ構造を含む。各データ構造は、対応するエージェントに関する技能および各技能ごとの専門知識レベルを示す。
【0096】2)各業務トランザクションには特定の1組の技能(trans_skills)が必要である(すなわち、そのトランザクションを行うエージェントは、十分な専門知識レベルを有するtrans_skills中の技能を有する必要がある)(たとえば、トランザクションが、スペイン語を話す顧客からの製品Xに関する技術的な質問に回答することである場合、製品Xとスペイン語の両方の専門知識が必要である)。この1組の技能は次式のように表すことができる。
Trans_skills={ST1,ST2,ST3,...STj)
【0097】上式で、jは1組の技能中の技能の総数である。トランザクション待ち行列202中の各項目は、1組の技能と、対応するトランザクションが必要とする各技能に関する専門知識のレベルとを含むtrans_skillsに対応するデータ構造を含む。
【0098】3)所与の時間T1には、コール・センタで1組(プール)の応対可能なエージェントが働いている。これをagents_poolと呼ぶ。しかし、時間T1に応対可能なエージェントがいない場合、agents_poolはメンバーを含むことはできない。この組には、トランザクションを実行できない理由にはかかわらず、時間T1にトランザクションを実行できないエージェントは含まれない。agents_poolとは、前記で判断ブロック326に関して参照された応対可能なエージェントのリストである。
【0099】4)その同じ時間、すなわちT1には、割り当てられていない1組(プール)の未処理のトランザクションtrans_poolがある。この組には、エージェントによってすでに処理中のトランザクションは含まれない。
【0100】本発明の好ましい実施例では、下記の仮定に基づいて最適のエージェントが決定される。
【0101】1)任意の時間T1には、trans_pool中の所定のトランザクションtrans_xを処理するのに必要な技能を有する少なくとも1人のエージェントがプールagents_pool中にいる場合、そのトランザクションを処理するための技能が劣っておらず、かつ余分の技能が最小限である少なくとも1人の最適なエージェント(agent_best)がいなければならない。
【0102】2)agent_bestは、trans_xに関連するtrans_skillsと、時間T1にagents_pool中の各エージェントが有する各agent_skillsを比較することによって算出することができる。
【0103】これらの仮定の下では、agent_bestはトランザクションtrans_xを実施するための技能が劣っていてはならない。したがって、本発明の好ましい実施例では、前述の技能の劣るエージェントの問題を回避することが好ましい。時間T1には、trans_xの要件を満たすうえで必要最小限の技能を有するエージェントがagents_poolにいない場合、最適なエージェントの定義上、時間T1にはtrans_xに最適なエージェントはいないことになる(ただし、trans_pool中の他のトランザクションに最適なエージェントはいる可能性があり、あるいは、他のある時間T2にはagents_pool中の最適なエージェントが応対可能になることに留意されたい)。
【0104】また、agent_bestは、agent_pool中のすべてのエージェントのうちの余分の技能が最小限であるエージェントであることが好ましい。言い換えると、トランザクションを処理することができるすべてのエージェントのうちの最適なエージェントは、無駄になる(すなわち、その特定のトランザクションには必要とされない)余分の訓練および専門知識が最小限であるエージェントである。特定のエージェントがtrans_xを行うのに必要な厳密な1組の技能において厳密なあるレベル(すなわち、必要最小限)の専門知識を有する場合に、そのエージェントがtrans_xを処理する場合に余分の訓練および専門知識のうちのどの程度が無駄になるかの尺度を零と定義する。したがって、本発明はまた、好ましくは、前述の余分の技能を有するエージェントの問題を最小限に抑える。
【0105】好ましい実施形態では、最適なエージェントは、あるトランザクションに必要な1組の技能を、応対可能な各エージェントが有する1組の技能と比較することによって算出される。この計算を下記で詳しく説明する。
【0106】所与のエージェントに関する組agent_skills中の各技能ごとに特性skill_levelを含める。これは、値1ないしmであり、その技能におけるそのエージェントの専門知識に関してコール・センタ管理者が行った推定を表す(1は、そのエージェントが、その技能においてコール・センタ管理者に受け入れられる最小限の専門知識を有することを意味し、mは、そのエージェントが他のどのエージェントよりも技能が優れていることを意味する)。したがってたとえば、エージェントが技能SA1に関してskill_level=5を有することを示すにはSA1(5)と書くことになる。
【0107】その場合、各エージェントが有する1組の技能は次式のように表すことができる。
Agent_skills={SA1(LVL1),SA2(LVL2),SA3(LVL3),...SAi(LVLi)}
【0108】上式で、iは1組の技能中の技能の総数である。同様に、trans_xを行うのに必要な1組の技能は次式のように表すことができる。
Trans_skills={ST1(LVL1),ST2(LVL2),ST3(LVL3),...STj(LVLj)}
【0109】上式で、jは1組の技能中の技能の総数である。
【0110】好ましい実施例では、下記の条件が真である1組のエージェントとしてtrans_xに関するabsolute_agent_bestが定義される。
【0111】1)組trans_skillsが組agent_skillsに等しい(すなわち、これらの組は、すべて、同じである、同じ数の要素を有する。ただし、専門知識のレベルは異なることがある)。
【0112】2)trans_skillsの各技能STxごとに、agent_skills中のSTxに相当する技能SAxと比較すると、skill_levels間の差は零である(すなわち、STx(LVLx)−SAx(LVLx)=0)。この条件は、次式のようにより簡潔に表すことができる。
The sum of STx(LVLx)−SAx(LVLx)=0
【0113】上式で、xは1からjまでの範囲である。
【0114】したがって、1組のabsolute_agent_bestとは、技能および関連する専門知識が、trans_xを行うのに必要な技能および専門知識に厳密に合致する1組のエージェントである。これが厳密に合致する場合、センタ全体が、技能の劣るエージェントの問題を経験することも、余分の技能を有するエージェントの問題を経験することもない。しかし実際には、厳密に合致する場合はほとんどなく、したがって、本発明の好ましい実施例は、エージェントどうしを比較して、誰が所与のトランザクションを最もうまく処理できるかを決定する方法を実施する。この方法は、技能スコア付けと呼ばれ、各エージェントが所与のトランザクションに関するabsolute_agent_bestにどのくらい近いかを算出することに基づくものである。この意味では、(トランザクションに対する)エージェントの技能スコアは、エージェントの技能および対応するレベルとabsolute_agent_bestの技能および対応するレベルとの間の差とみなすことができる。このように、所与のトランザクションに関する余分の技能を有するエージェントの問題および技能の劣るエージェントの問題を最小限に抑えることができる。
【0115】前述のように、現行のACDシステムの1つの主要な制限は、グループに委任されるすべてのトランザクションに関して等しい技能を有するものとしてACDグループ中のすべてのエージェントを扱うことである。本発明の好ましい実施例は、各エージェントに関する技能関連情報を含む技能インベントリ・データベース206を交換機50内に提供することによってそのような制限を回避する。エージェント選択決定またはトランザクション選択決定を下すことが必要になるたびに、トランザクション・ディスパッチャ208は、技能インベントリ・データベース206中の情報にアクセスし、技能の劣るエージェントおよび余分の技能を有するエージェントの問題の悪影響を最小限に抑える委任決定を下すことができる。
【0116】各エージェントが有する技能に関する情報は、エージェントのレジュメ中の技能インベントリ・データベース206に記憶される。レジュメとは、エージェントが有する技能の公式のリストである。レジュメは、各技能で達成される能力のレベル(すなわち、専門知識)と、他の技能を必要とするトランザクションではなくその特定の技能を必要とするトランザクションをあるエージェントに実行させるためにコール・センタ管理者が有する優先レベルとの両方を記述したものである。
【0117】好ましい実施例では、技能インベントリ・データベース206は関係データベース・モデルを使用して実施される。したがって、技能インベントリ・データベースはいくつかの定義テーブル(下記の付録Aで概略的に開示する)で構成される。これらのテーブルを下記に示す。
1)技能テーブル2)エージェント・テーブル3)resume_detailsテーブル
【0118】技能テーブルは、本発明の好ましい実施例を使用する特定のコール・センタでの技能" "に関するすべての妥当な値のリストを含む。技能とは、エージェントが能力または経験を有する職種または専門分野である。また、好ましい実施例では、技能はさらに、個人に固有であり、あるいは様々な個人に共通であり、そのため、チームを形成するものとして定義される。たとえば、技能はエージェントの名前、たとえばbob_skillとして定義することができる。特定の個人のためにトランザクションを待機させることは、トランザクションを待機させる際にbob_skillを要求することによって行うことができる。bob_skillを有するのはボブだけでなので、コールは実際上、ボブに対して待機する。同様に、様々な人に販売などの技能を与えることによってチームを形成することができる。このように、会社の販売組織のすべてのメンバーを販売技能を有するものとして指定し、それによってチームを形成することができる。
【0119】(この説明で使用される意味での)チームは、従来技術のシステムの制限なしで従来技術のACDグループの利点を提供する。
【0120】エージェント・テーブルは、コール・センタ内のすべてのエージェントのリストを含む。このテーブルは、各エージェントごとに、いくつかの重要な情報を記録したものである。本発明の議論では主として、このテーブルをどのように使用してエージェントのレジュメにアクセスすべきかを考える。これは、レジュメコード・フィールドを使用することによって行われる。具体的には、エージェント・テーブル中の各エージェントごとに、レジュメコード・フィールド、すなわちresume_detailsテーブルへのキーが関連付けられる。このように、エージェントの識別子を知っているコンピュータ・プログラムは、エージェント・テーブルに問い合わせて、resume_detailsテーブル中のそのエージェントの技能を参照するために使用される識別キー(すなわち、レジュメコード)を見つけることができる。
【0121】エージェントが有する各技能ごとに、resume_detailsテーブル中に1つの行がある。この行は、(技能テーブルを参照するための)技能の識別子および(エージェント・テーブルを参照するための)エージェントのレジュメコードを記述したものである。resume_detailsテーブルは下記の情報も含む。
【0122】1)技能レベル:技能レベルとは、特定のエージェントが所与の技能において達成した知識または専門知識のレベルである。技能レベルは、1ないし9のスケールで評価され、9が最高である(すなわち、最高専門知識レベル)。
【0123】2)技能優先順位:技能優先順位は、特定の技能を必要とするトランザクションを特定のエージェントに処理させるための、コール・センタ管理者が希望する相対的な重み付けである。技能優先順位を使用して、特定の専門知識を必要とするコールを処理するように固有の資格を有するエージェントを予約することができる。SkillA、SkillB、SkillCの3つの技能を有するエージェントの例を考える。センタ内の他の多数のエージェントがSkillAおよびSkillBを使用するトランザクションを処理するのに十分な訓練を受けているが、SkillCを有するのがこのエージェンだけである場合、コール・センタ管理者は、SkillCに関してはこのエージェントをより優先することができる。したがって、SkillCを必要とするトランザクションが待機していないときにのみ、このエージェントはSkillAまたはSkillBを必要とするコールを処理する。技能優先順位は、1ないし9のスケールで評価され、9が最高である(すなわち、コール・センタ管理者によって、このエージェントによる処理が最優先される)。
【0124】3)除外フラグ:除外フラグは、特定の技能が特定のエージェントに関する除外技能であるかどうかを示す。除外技能とは、あるエージェントがどんな状況の下でも処理することを許可されない、そのエージェントのレジュメ中の技能である。たとえば、委託ベースの販売組織では、ある個人はある種のコールを処理することを制限される(たとえば、妥当な資格を有しておらず、したがってある種の製品を販売することが違法となる)。
【0125】技能インベントリ・データベース206を使用して、エージェントが有する技能に関する情報を記憶するだけでなく、トランザクションに必要な技能に関する情報も記憶される(この情報は、skill_expressionテーブルに記憶される)。交換機が現在処理している未完了の各トランザクションごとに、技能インベントリ・データベース206中でそのトランザクションに技能要件が関連付けられる。技能要件は、必須技能表現と任意選択技能表現の両方を提供することによって、特定のトランザクションを完了するのに必要な完全な1組の技能を表現する。
【0126】技能表現は、特定のトランザクションに必要な技能を表す簡単な形式であり、下記の文脈のない文法に従う。
Skillexpression ->skillexprelement skillexpression Skillexprelement |(skillexprelement) |skillexprelementではない |skillexprelementおよびskillexprelement |skillexprelementまたはskillexprelement |skillname、skilllevel |<空> skillname -> <技能インベントリから得た技能名> skilllevel -> 1|2|3|4|5|6|7|8|9
【0127】この文法に基づく技能表現の一例は、スペイン語5、株券5、債券2である。
【0128】この技能表現は、スペイン語の専門知識レベルが5であり、株券の技能の専門知識レベルが5であり、債券の技能の専門知識レベルが2であるエージェントに対する要件を表したものである(本発明の代替実施例では、「and」演算子を文字「&」で代替し、「or」演算子を「|」で代替し、「not」演算子を「!」で代替することができる)。
【0129】技能要件は、同じタイプのトランザクションを通常の状態の間はある方向へ経路指定し、重負荷期間中には別の方向へ経路指定するように指示する融通性をコール・センタ管理者に与えるために、必須技能表現と任意選択技能表現の両方からなる。たとえば、あらゆるインバウンド・コールに60秒以内に回答することを業務上の目的として有するコール・センタを考える。そのようなセンタ管理者は、コールの待機時間が目標の60秒を超えないかぎり、合致方法に複雑な技能表現を検討させる。その時間が経過した後、管理者は、より近い合致を得ることよりもタイムリーさを重視し、したがって、交換機により簡単でより要件の少ない技能表現を使用させる。したがって、必須技能表現および任意選択技能表現を下記のように定義する。
【0130】必須技能表現:必須技能表現とは、特定のトランザクションを処理するうえで必須の技能を記述する技能表現である。必須技能は常に必要とされ、必須技能を有さないエージェントによってトランザクションを処理することはできない(すなわち、技能スコアまたは優先順位スコアの評価時には、必須技能のないエージェントは、このスコアリング方法によって適していないエージェントとみなされる)。
【0131】任意選択技能表現:任意選択技能表現とは、コール・センタ管理者がエージェントに、特定のトランザクションを処理する前に備えておいてもらいたいが、それを首尾良く完了することはエージェントにとって必須ではない技能を記述する技能表現である。任意選択技能は、トランザクションの待機時間が経過するまでは特定のトランザクションに対して必須のものとみなされ、経過した時点で、任意選択技能要件が軽減される(すなわち、任意選択技能は技能スコアまたは優先順位スコアの評価時に検討されるが、エージェントが技能要件を満たしていない場合でも、そのエージェントは適していないとはみなされない)。
【0132】ACDシステム100が既存の作業負荷に新しいトランザクションを追加するたびに、既存の作業負荷に対するこの新しいトランザクションの相対重要性を示すものとして、初期優先順位がトランザクションに割り当てられる。この方法で使用される優先順位機構は、従来型のACDシステムの優先順位機構に類似しているが、かなり異なるように使用される(たとえば、この合致方法では、技能の合致度が等しくないかぎり、優先順位は検討されない)。本発明の好ましい実施例で優先順位レベルを使用するのは、トランザクションが待ち行列202で無限に待機できないようにするためでもある。この結果をもたらすためにまず、待ち行列202中の時間の長さが増加したときにはいつでも、待機しているすべてのトランザクションの優先順位を増加させる機構が提供される。言い換えると、期間Tの後で、トランザクションXの優先順位はある初期値P1から増分iだけ増加され、その結果、第1の間隔の後、優先順位レベルはP=P1+iとなり、第2の間隔の後にはP=P1+2iとなり、以下同様である(各値P1、T、iは、コール・センタ管理者によって、特定の業務状況でうまく働く数量に設定することができる)。第2に、コール・センタ管理者は、スターベーションしきい値と呼ばれる特別に定義された優先順位レベルを設定することができる。トランザクションは、スターベーションしきい値を超える優先順位を得た場合、待機時間が満了したとみなされる。トランザクションの待機時間が満了すると、できるだけ良好な合致を見つけようとして、依然として任意選択の技能が検討されるが、これらの技能はもはや必須ではない。このように、待機時間が満了したコールは、それに適したエージェントが見つかる可能性がずっと高く、したがってより早く処理される。
【0133】コール・センタ管理者は、所与のコールの待機時間が満了した後、技能要件の評価をどれだけ厳しくすべきかをトランザクション・ディスパッチャ208に指示することができる。mandlevelフラグは、トランザクションの待機時間が満了した後、ある技能レベルが必須であるかどうかを示す。このフラグがセットされている場合、トランザクションの待機時間が満了しているときでも、エージェントは、必須技能中の必要な技能レベルを有さないかぎり、そのコールを処理する資格を与えられない。このフラグがセットされていない場合、エージェントは依然としてこの技能を有さなければならないが、必ずしも必要なレベルである必要はなく、それよりも低いレベルが受け入れられる。
【0134】最後に、トランザクションに優先順位クラスを割り当てることもできることに留意されたい。優先順位クラスによって、会社はそれぞれの異なる顧客にそれぞれの異なるレベルのサービスを提供することができる。より高い優先順位クラスのトランザクションは常に、より低い優先順位クラスのトランザクションよりも先に割り当てられる(それらのクラスにはそのトランザクションを受け入れるのに十分な技能を有するエージェントがいると仮定する)。このことは、より高い優先順位クラスのトランザクションを処理する際に、高い技能を有するエージェントが十分に活用されないことがあることを意味し、したがってこの機能は合致方法の利益を最大にするように控えめに使用すべきである。
【0135】本発明の好ましい実施例は、実施可能でタイムリーなエージェント選択決定およびトランザクション選択決定を下すことができることが好ましい。現行のACDシステムの改良として、本発明の好ましい実施例は、そのような決定を下す下記の4つの方法を含む。これらの方法はそれぞれ、技能インベントリ・データベース206を使用して、前述の技能の劣るエージェントの問題および余分の技能を有するエージェントの問題によってもたらされる従来の制限を最小限に抑える。
1)P:優先順位のみ2)S:技能のみ3)P/S:技能よりも優先順位を優先4)S/P:優先順位よりも技能を優先
【0136】これらの方法は、トランザクションにエージェントを合致させるために使用されるので合致方法と呼ばれる。これらの方法は、コール・センタ内の各エージェントが技能インベントリ・データベース206中にレジュメを有し、(センタが応答するインバウンド・コールの結果としてのトランザクションであるか、それともセンタがダイアルしたアウトバウンド・コール、あるいはこれからダイアルするアウトバウンド・コールの結果としてのトランザクションであるかにかかわらず)コール・センタ内の各業務トランザクションが(前述のように)関連する技能要件を有するという仮定に基づくものである。
【0137】これらの方法のそれぞれで、技能スコアおよび優先順位スコアの計算が行われる。これらのスコアは下記のように定義される。
【0138】技能スコアとは、エージェントが有する技能およびそれに関連するレベルと、トランザクションを実行するのに必要な技能および関連するレベルとの間の合致がどれだけ近いかということである。言い換えると、技能スコアは、エージェントのレジュメがコールの技能要件にどれだけ合致しているかの数値尺度である。技能スコアが零に近ければ近いほど、合致はより良好である。(差零が、特定のエージェントがabsolute_best_agentであることを示すので)これは、技能スコアが特定のエージェントとabsolute_best_agentとの間の差であると述べた、最適なエージェントを見つけることに関する前記の議論に一致する。正のスコアは、資格過剰のエージェントを示し、負の技能スコアは資格不足のエージェントを示す。
【0139】優先順位スコアとは、コール・センタ管理者が特定のエージェントに特定のトランザクションを処理させるために有する優先順位の尺度である。優先順位スコアが高ければ高いほど、そのエージェントに他のタイプのトランザクションではなくその特定のトランザクションを処理させたいとのコール・センタ管理者の希望は強い。
【0140】この2つの因子、すなわち技能スコアおよび優先順位スコアを4つの異なる方法で組み合わせ、前述の4つの固有の合致方法を生成することができる。この4つの方法はそれぞれ、エージェント選択決定およびトランザクション選択決定を下す価値ある方法を提供する。この4つの方法は、それぞれの異なる条件下でそれぞれの異なる合致結果をもたらすことができ、センタはいつでも、4つの方法のうちの1つ、すなわち、業務上の目標が与えられた場合に最適の結果をもたらす方法を使用することができる。
【0141】4つの方法のそれぞれの下で、考慮すべき下記の2つの状況がある。
【0142】1)トランザクションをエージェントに合致させる(すなわち、エージェント選択決定を下す)
【0143】この状況が発生するのは、コール・センタにトランザクションが到着し、1人または複数のエージェントがそのトランザクションに応対できるときである(図3の処理ブロック328を参照されたい)。
【0144】2)エージェントをトランザクションに合致させる(すなわち、トランザクション選択決定を下す)
【0145】この状況が発生するのは、1つまたは複数のトランザクションが待機しており、トランザクションに応対できるようになったエージェントがいるときである(図3の処理ブロック358を参照されたい)。
【0146】本発明は、優先順位のみの方法を含む。この方法は、特定の技能を必要とするトランザクションに関するエージェントの優先順位のみを考慮するものである。技能レベルはまったく考慮されない。優先順位のみの方法は、下記のようなものとみなすことができる。
【0147】エージェントがより高い優先順位レベルを有する技能を必要とするトランザクションが待機している場合、エージェントは、より低い優先順位レベルを有する待機中のトランザクションではなく前記のトランザクションを取る。
【0148】トランザクションが到着し、複数のエージェントがそのコールに応対できる場合、コールが必要とする技能に関するより高い優先順位レベルを有するエージェントにそのトランザクションが割り当てられる。
【0149】エージェント選択決定では、下記のステップが実行される。
【0150】1)すべての応対可能なエージェントの一時リスト(リストA)の構築このリストは、エージェントが遊休状態である時間の長さによって順序付けられる。複数のエージェントの優先順位が等しい場合、最も長い時間にわたって遊休状態であるエージェントがトランザクションXを受ける(すなわち、等しい技能を有する2人以上のエージェントが同じトランザクションを求めて競合している場合は、デフォルトの最長遊休エージェント方式に戻ってそれらのエージェントのうちの1人を選択する)。
【0151】2)エージェントの一時リスト(リストA)の検索各エージェントを分析し、各エージェントを新しいトランザクションの技能要件と比較し、各エージェントに関する優先順位スコアを決定する。最高優先順位スコアを有するエージェントよりも低い優先順位スコアを有するすべてのエージェントをリストAから削除する。残りのエージェントは、最高優先順位スコアに等しい優先順位スコアを有するエージェントであり、リストA2を構成する。
【0152】3)エージェントを選択するリストA2に項目がない場合、他のエージェントが応対可能になるまでトランザクションXは待機したままになる(すなわち、このステップ中にはエージェントは選択されない)。
【0153】リストA2に1人のエージェントしか含まれていない場合、そのエージェントにトランザクションXが割り当てられる。
【0154】リストA2に複数のエージェントが含まれている場合、最も長い時間にわたって遊休状態であるリストA2中のエージェントにトランザクションXが割り当てられる。
【0155】トランザクション選択決定では、下記のステップが実行される。
【0156】1)待機中のすべてのトランザクションの一時リスト(リストT)の構築このリストは、トランザクションの優先順位によって順序付けられる。タイの場合(等しい優先順位を有する2つのコール)、最も長い時間にわたって待機しているトランザクションが最初に処理される。
【0157】2)トランザクションの一時リスト(リストT)の検索各トランザクションを分析し、各トランザクションを応対可能な1人のエージェントと比較し、各トランザクションごとの優先順位スコアを決定する。最高優先順位スコアを有するトランザクションよりも低い優先順位スコアを有するすべてのトランザクションをリストTから削除する。残りのトランザクションは、最高優先順位スコアに等しい優先順位スコアを有するトランザクションであり、リストT2を構成する。
【0158】3)最高優先順位スコアを有するトランザクションにエージェントを割り当てるリストT2に項目がない場合、エージェントAにはトランザクションが割り当てられず、したがって、エージェントAは応対可能なままである。
【0159】リストT2に1つのトランザクションしかない場合、そのトランザクションがエージェントXに割り当てられる。
【0160】リストT2に複数のトランザクションがある場合、最も長い時間にわたって待機しているトランザクションがエージェントAに割り当てられる。
【0161】下記のことが真のときに優先順位のみの方法を有利に使用することができる。
【0162】1)技能レベルが、コール・センタ管理者にとって重要ではない。
【0163】2)コール・センタ管理者が、各エージェントがどの技能を使用してトランザクションを処理すべきかに関する強力な優先順位を有する。
【0164】3)着信トランザクションが、変動する技能要件を有する。
【0165】図6および図7は、技能のみの方法を示すフローチャートである。この方法は、エージェントの技能レベルのみを考慮するものである。この方法は、エージェントがどの技能を使用すべきかに関するコール・センタ管理者の優先順位を考慮しない。この技能のみの方法は、下記のようなものとみなすことができる。
【0166】トランザクションが待機しており、エージェントが応対可能になった場合、エージェントが最も近い合致を有するトランザクションがエージェントに割り当てられる。
【0167】トランザクションが到着し、複数のエージェントがトランザクションに応対できる場合、トランザクションは、最も近い技能合致を有するエージェントに割り当てられる。
【0168】最も近い技能合致が、特定のトランザクションに対する各エージェントごとの技能スコアを導くことによって最適なエージェントを見つけようとすることによって前述の技能の劣るエージェントの問題および余分の技能を有するエージェントの問題がほぼ最小限に抑えられることを意味することに留意されたい。たとえば、トランザクションが特定の技能の技能レベル3を必要とし、あるエージェントがその技能の技能レベル3を有し、他のエージェントが同じ技能の技能レベル4を有する場合、トランザクションは技能レベル3を有するエージェントに割り当てられる。このため、技能レベル4を有するエージェントは、より高い技能レベルを必要とするコールに応対することができる。
【0169】エージェント選択決定では、下記のステップが実行される。
【0170】1)すべての応対可能なエージェントの一時リスト(リストA)の構築このリストは、エージェントが遊休状態である時間の長さによって順序付けられる。複数のエージェントの優先順位が等しい場合、最も長い時間にわたって遊休状態であるエージェントがトランザクションXを受ける(すなわち、等しい技能を有する2人以上のエージェントが同じトランザクションを求めて競合している場合は、デフォルトの最長遊休エージェント方式に戻ってそれらのエージェントのうちの1人を選択する)。
【0171】2)エージェントの一時リスト(リストA)の検索各エージェントのレジュメを分析し、レジュメを新しいトランザクションの技能要件と比較し、各エージェントに関する技能スコアを決定する。下記の技能スコアの計算の説明を参照のこと。最高技能スコアを有するエージェントよりも低い優先順位スコアを有するすべてのエージェントをリストAから削除する。残りのエージェントは、最高技能スコアに等しい技能スコアを有するエージェントであり、リストA2を構成する。
【0172】3)エージェントを選択する。
リストA2に項目がない場合、他のエージェントが応対可能になるまでトランザクションXは待機したままになる(すなわち、このステップ中にはエージェントは選択されない)。
【0173】リストA2に1人のエージェントしか含まれていない場合、そのエージェントにトランザクションXが割り当てられる。
【0174】リストA2に複数のエージェントが含まれている場合、最も長い時間にわたって遊休状態であるリストA2中のエージェントにトランザクションXが割り当てられる。
【0175】トランザクション選択決定では、下記のステップが実行される。
【0176】1)待機中のすべてのトランザクションの一時リスト(リストT)の構築このリストは、トランザクションの優先順位によって順序付けられる。タイの場合(等しい優先順位を有する2つのコール)、最も長い時間にわたって待機しているトランザクションが最初に処理される。
【0177】2)トランザクションの一時リスト(リストT)の検索各トランザクションを分析し、各トランザクションを応対可能な1人のエージェントと比較し、各トランザクションごとの技能スコアを決定する。最高技能スコアを有するトランザクションよりも低い技能スコアを有するすべてのトランザクションをリストTから削除する。残りのトランザクションは、最高技能スコアに等しい技能スコアを有するトランザクションであり、リストT2を構成する。
【0178】3)最高議場スコアを有するトランザクションにエージェントを割り当てるリストT2に項目がない場合、エージェントAにはトランザクションが割り当てられず、したがって、エージェントAは応対可能なままである。
【0179】リストT2に1つのトランザクションしかない場合、そのトランザクションがエージェントXに割り当てられる。
【0180】リストT2に複数のトランザクションがある場合、最も長い時間にわたって待機しているトランザクションがエージェントAに割り当てられる。
【0181】下記のことが真であるときには技能のみの方法を有利に使用することができる。
【0182】1)コール・センタ管理者が、センタでコールをどのように管理するかに関して優先順位レベルは妥当でないと考えている。
【0183】2)エージェントが、様々な技能においてそれぞれの異なる専門知識レベルを有する。
【0184】3)着信トランザクションがそれぞれの異なる技能要件を有する。
【0185】本発明は、優先順位/技能方法も含む。この優先順位/技能方法は、下記のように、優先順位のみの方法に2つの改良を与えたものである。
【0186】1)2人以上のエージェントが等しい優先順位スコアを有する場合、エージェントのそれぞれの技能スコアを使用してどちらかを選択する。
【0187】2)エージェントがコールを処理するには技能スコアリング要件を満たさなければならない。
【0188】エージェント選択決定では、下記のステップが実行される。
【0189】1)すべての応対可能なエージェントの一時リスト(リストA)の構築このリストは、エージェントが遊休状態である時間の長さによって順序付けられる。複数のエージェントの優先順位が等しい場合、最も長い時間にわたって遊休状態であるエージェントがトランザクションXを受ける(すなわち、等しい技能を有する2人以上のエージェントが同じトランザクションを求めて競合している場合は、デフォルトの最長遊休エージェント方式に戻ってそれらのエージェントのうちの1人を選択する)。
【0190】2)エージェントの一時リスト(リストA)の検索各エージェントを分析し、各エージェントを新しいトランザクションXと比較し、各エージェントに関する優先順位スコアを決定する。最高優先順位スコアを有するエージェントよりも低い優先順位スコアを有するすべてのエージェントをリストAから削除する。残りのエージェントは、最高優先順位スコアに等しい優先順位スコアを有するエージェントであり、リストA2を構成する。
【0191】3)エージェントを選択しようとする。
リストA2に項目がない場合、他のエージェントが応対可能になるまでトランザクションXは待機したままになる(すなわち、このステップ中にはエージェントは選択されない)。
【0192】リストA2に1人のエージェントしか含まれていない場合、そのエージェントにトランザクションXが割り当てられ、他の処理は必要とされない(すなわち、下記のステップ4)へは進まない)。
【0193】リストA2に複数のエージェントが含まれている場合、次のステップへ進む。
【0194】4)最高の優先順位スコアに等しい優先順位を有するエージェントのリスト(リストA2)を検索する。
各エージェントを分析し、各エージェントを新しいトランザクションXと比較し、各エージェントに関する技能スコアを決定する。技能スコアに基づいてこのトランザクションを処理する資格を有さないエージェントを削除する。残りのエージェントはリストA3を構成する。
【0195】5)エージェントを選択する。
リストA3に項目がない場合、現在、優先順位スコアが最高値であるエージェントのうちで、トランザクションXを処理するのに必要な技能を有するエージェントはいない。リストAからリストA3中のすべてのエージェントを削除してリストAの新しいバージョンを作成する。新しいリストA中のエージェントの数が零である場合、現在、トランザクションXを処理できるエージェントのうちで、応対可能なエージェントはおらず、したがって、トランザクションは他のエージェントが応対可能になるまで待機したままになる(すなわち、このステップ中にはエージェントは選択されない)。しかし、新しいリストA中のエージェントの数が零よりも多い場合は、この方法を前述のステップ2)から繰り返す。
【0196】リストA3に1人のエージェントしか含まれていない場合、そのエージェントにトランザクションXが割り当てられる。
【0197】リストA3に複数のエージェントが含まれている場合、(このトランザクションに関する)最高の技能スコアを有するリストA3中のエージェントにトランザクションXが割り当てられる。何人かのエージェントが最高技能スコアに等しい技能スコアを有する場合、最も長い時間にわたって遊休状態であるエージェントが選択される。
【0198】エージェント選択決定では、下記のステップが実行される。
【0199】1)待機中のすべてのトランザクションの一時リスト(リストT)の構築このリストは、トランザクションの優先順位によって順序付けられる。タイの場合(等しい優先順位を有する2つのコール)、最も長い時間にわたって待機しているトランザクションが最初に処理される。
【0200】2)トランザクションの一時リスト(リストT)の検索各トランザクションを分析し、各トランザクションを応対可能な1人のエージェントと比較し、各トランザクションごとの優先順位スコアを決定する。最高優先順位スコアを有するトランザクションよりも低い優先順位スコアを有するすべてのトランザクションをリストTから削除する。残りのトランザクションは、最高優先順位スコアに等しい優先順位スコアを有するトランザクションであり、リストT2を構成する。
【0201】3)トランザクションを選択しようとする。
リストT2に項目がない場合、エージェントAは応対可能なままであり、すべてのトランザクションは待機したままになる(すなわち、この方法のコール時にはトランザクションは選択されない)。他の処理は必要とされない(すなわち、下記のステップ4)へは進まない)。
【0202】リストT2に1つのトランザクションしか含まれていない場合、そのトランザクションにエージェントAが割り当てられ、他の処理は必要とされない(すなわち、下記のステップ4)へは進まない)。
【0203】リストT2に複数のトランザクションが含まれている場合、次のステップへ進む。
【0204】4)最高優先順位スコアに等しい優先順位を有するトランザクションのリスト(リストT2)を検索する。
各トランザクションの技能要件を分析し、この技能要件をエージェントAのレジュメと比較し、このエージェントに対する各トランザクションに関する技能スコアを決定する。技能スコアに基づいて、このエージェントが資格を有さないトランザクションを削除する。残りのトランザクションはリストT3を構成する。
【0205】5)最高優先順位スコアを有するトランザクションにエージェントを割り当てる。
リストT3に項目がない場合、現在、優先順位スコアが最高値であるトランザクションのうちに、エージェントAが満たすことができる技能要件を有するトランザクションはない。リストTからリストT3中のすべてのエージェントを削除してリストTの新しいバージョンを作成する。新しいリストT中のトランザクションの数が零である場合、現在、エージェントAが資格を有するトランザクションはなく、したがってエージェントAは応対可能なままである(すなわち、このステップ中にはエージェントは選択されない)。しかし、新しいリストT中のトランザクションの数が零よりも多い場合は、この方法を前述のステップ2)から繰り返す。
【0206】リストT3に1つのトランザクションしか含まれていない場合、そのトランザクションがエージェントAに割り当てられる。
【0207】リストT3に複数のトランザクションが含まれている場合、(エージェントAに対して)最高の技能スコアを有するトランザクションが選択される。いくつかのトランザクションが最高優先順位スコアに等しい優先順位スコアを有する場合、最も長い時間にわたって待機しているトランザクションがエージェントAに割り当てられる。
【0208】下記のことが真であるときには優先順位/技能方法を有利に使用することができる。
【0209】1)センタ内のエージェントがそれぞれの異なる技能においてそれぞれの異なる専門知識レベルを有し、コール・センタ管理者が、各エージェントがどの技能を使用すべきかに関する優先順位を有する。
【0210】2)経路指定の決定に関しては、様々な技能に関するエージェントの厳密な専門知識レベルよりも、エージェントが一般にどの技能を使用して仕事を行うべきかに関するコール・センタ管理者の優先順位の方が重要である。
【0211】3)コール・センタ管理者が必要な技能に対してあるエージェントを優先する場合でも、エージェントがトランザクションを処理する資格を有さなければならないことが重要である。
【0212】4)着信コールが、様々な技能における様々な専門知識レベルを必要とする。
【0213】図8、図9は、技能/優先順位方法を示すフローチャートである。この優先順位/技能方法は、下記のように、技能のみの方法に改良を与えるものである。
【0214】1)2人以上のエージェントが等しい優先順位スコアを有する場合、優先順位スコアを使用してどちらかを選択する。
【0215】エージェント選択決定では、下記のステップが実行される。
【0216】1)すべての応対可能なエージェントの一時リスト(リストA)の構築このリストは、エージェントが遊休状態である時間の長さによって順序付けられる。複数のエージェントの優先順位が等しい場合、最も長い時間にわたって遊休状態であるエージェントがトランザクションXを受ける(すなわち、等しい技能を有する2人以上のエージェントが同じトランザクションを求めて競合している場合は、デフォルトの最長遊休エージェント方式に戻ってそれらのエージェントのうちの1人を選択する)。
【0217】2)エージェントの一時リスト(リストA)の検索各エージェントのレジュメを分析し、このレジュメを新しいトランザクションの技能要件と比較し、各エージェントに関する技能スコアを決定する。最高技能スコアを有するエージェントよりも低い技能スコアを有するすべてのエージェントをリストAから削除する。残りのエージェントは、最高技能スコアに等しい優先順位スコアを有するエージェントであり、リストA2を構成する。
【0218】3)エージェントを選択しようとする。
リストA2に項目がない場合、他のエージェントが応対可能になるまでトランザクションXは待機したままになる(すなわち、このステップ中にはエージェントは選択されない)。
【0219】リストA2に1人のエージェントしか含まれていない場合、そのエージェントにトランザクションXが割り当てられ、他の処理は必要とされない(すなわち、下記のステップ4)へは進まない)。
【0220】リストA2に複数のエージェントが含まれている場合、次のステップへ進む。
【0221】4)エージェントのリスト(リストA2)を検索する。
各エージェントを分析し、各エージェントを新しいトランザクションXと比較し、各エージェントごとの優先順位スコアを決定する。優先順位スコアに基づいて、このトランザクションを処理する資格を有さないエージェントを削除する。残りのエージェントはリストA3を構成する。
【0222】5)エージェントを選択する。
リストA3に項目がない場合、他のエージェントが応対可能になるまでトランザクションXは待機したままになる(すなわち、このステップ中にはエージェントは選択されない)。
【0223】リストA3に1人だけエージェントが含まれている場合、そのエージェントにトランザクションXが割り当てられる。
【0224】リストA3に複数のエージェントが含まれている場合、(このトランザクションに関する)最高の技能スコアを有するリストA3中のエージェントにトランザクションXが割り当てられる。何人かのエージェントが最高優先順位スコアに等しい技能スコアを有する場合、最も長い時間にわたって遊休状態であるエージェントが選択される。
【0225】エージェント選択決定では、下記のステップが実行される。
【0226】1)待機中のすべてのトランザクションの一時リスト(リストT)の構築このリストは、トランザクションの優先順位によって順序付けられる。タイの場合(等しい優先順位を有する2つのコール)、最も長い時間にわたって待機しているトランザクションが最初に処理される。
【0227】2)トランザクションの一時リスト(リストT)の検索各トランザクションを分析し、各トランザクションを応対可能な1人のエージェントのレジュメと比較し、各トランザクションごとの技能スコアを決定する。最高技能スコアを有するトランザクションよりも低い優先順位スコアを有するすべてのトランザクションをリストTから削除する。残りのトランザクションは、最高技能スコアに等しい技能スコアを有するトランザクションであり、リストT2を構成する。
【0228】3)トランザクションを選択しようとする。
リストT2に項目がない場合、エージェントAは応対可能なままであり、すべてのトランザクションは待機したままになる(すなわち、この方法のコール時にはトランザクションは選択されない)。他の処理は必要とされない(すなわち、下記のステップ4)へは進まない)。
【0229】リストT2に1つのトランザクションしか含まれていない場合、そのトランザクションにエージェントAが割り当てられる。他の処理は必要とされない(すなわち、下記のステップ4)へは進まない)。
【0230】リストT2に複数のエージェントが含まれている場合、次のステップへ進む。
【0231】4)最高優先順位スコアに等しい優先順位を有するトランザクションのリスト(リストT2)を検索する。
各トランザクションの技能要件を分析し、この技能要件をエージェントAのレジュメと比較し、このエージェントに対する各トランザクションに関する優先順位スコアを決定する。優先順位スコアに基づいて、このエージェントが資格を有さないトランザクションを削除する。残りのトランザクションはリストT3を構成する。
【0232】5)最高優先順位スコアを有するトランザクションにエージェントを割り当てる。
リストT3に項目がない場合、エージェントAにトランザクションは割り当てられず、したがって、エージェントAは応対可能なままである。
【0233】リストT3に1つのトランザクションしか含まれていない場合、そのトランザクションがエージェントAに割り当てられる。
【0234】リストT3に複数のトランザクションが含まれている場合、(エージェントAに対して)最高の技能スコアを有するトランザクションが選択される。いくつかのトランザクションが最高優先順位スコアに等しい優先順位スコアを有する場合、最も長い時間にわたって待機しているトランザクションがエージェントAに割り当てられる。
【0235】下記のことが真であるときには技能/優先順位方法を有利に使用することができる。
【0236】1)センタ内のエージェントがそれぞれの異なる技能においてそれぞれの異なる専門知識レベルを有し、コール・センタ管理者が、各エージェントがどの技能を使用すべきかに関する優先順位を有する。
【0237】2)経路指定の決定に関しては、エージェントが一般にどの技能を使用して仕事を行うべきかに関するコール・センタ管理者の優先順位よりも、様々な技能に関するエージェントの厳密な専門知識レベルの方が重要である。
【0238】3)コール・センタ管理者が必要な技能に対してあるエージェントを優先する場合でも、エージェントがトランザクションを処理する資格を有さなければならないことが重要である。
【0239】4)着信コールが、様々な技能における様々な専門知識レベルを必要とする。
【0240】技能スコアは、技能表現中の各技能を取り出し、それを特定のエージェントのレジュメと比較することによって算出される。技能表現は、括弧を使用して評価の順序が変更されていないかぎり、左から右へ評価される。
【0241】技能要件中の各技能表現(必須および任意選択)が個別に評価された後の最終的な累積スコアは、技能スコアと呼ばれ、必須スコアと任意選択スコアの和である。技能スコアが負である場合、スコアにペナルティ係数(たとえば−1000)を乗じることによってペナルティが課される。これは、コールを処理するうえでエージェントが資格を有さないよりは余分の資格を有する方が好ましいからである。ペナルティ係数を適用することは、資格を有さないエージェントを資格を有するエージェントの後回しにするように働く。
【0242】その場合、最高技能スコアとは零に最も近いスコアであり、ペナルティ係数の絶対値よりも高いスコアは資格を有さないエージェントを示し、ペナルティ係数の絶対値よりも低いスコアは資格を有する(あるいは余分の資格を有する)エージェントを示す。
【0243】下記の表は、技能スコアを導くために技能表現中の個別の技能を評価するために使用される規則を要約したものである。具体的には、この表は、どのように特定のエージェントに関する単一の技能の技能スコア(SS)を導くべきかを示すものである。
【表1】
【0244】2つのオペランドがAND演算子によって分離され、どちらかのオペランドが「不適任」である場合、ANDの結果は「不適任」である。2つのオペランドがAND演算子によって分離され、どちらのオペランドも「不適任」ではない場合、AND演算の結果はオペランドの和である。スコアが負である場合、スコアにペナルティ係数(たとえば−1000)を乗じることによってペナルティが課される。これは、コールを処理するうえでエージェントが資格を有さないよりは余分の資格を有する方が好ましいからである。ペナルティ係数を適用することは、資格を有さないエージェントを資格を有するエージェントの後回しにするように働く。
【0245】2つのオペランドがOR演算子によって分離され、2つのオペランドが共に「不適任」である場合、ORの結果は「不適任」である。2つのオペランドがOR演算子によって分離され、どちらかのオペランドが「不適任」である場合、OR演算の結果は他方のオペランドである。2つのオペランドがOR演算子によって分離され、どちらのオペランドも「不適任」でない場合、ORの結果は、零以下の最小の数である。スコアが負である場合、スコアにペナルティ係数(たとえば−1000)を乗じることによってペナルティが課される。これは、コールを処理するうえでエージェントが資格を有さないよりは余分の資格を有する方が好ましいからである。ペナルティ係数を適用することは、資格を有さないエージェントを資格を有するエージェントの後回しにするように働く。
【0246】図10、図11は、括弧なしの技能表現に関する技能スコアを算出する本発明の好ましい実施例の方法を示すフローチャートである。この方法は、所与のエージェントAおよび括弧を含まない所与の技能表現に関する技能スコア(SS)を算出する。この方法の入力には下記のものが含まれる。
SkillExp:技能表現の文字列表現A:1人のエージェントの参照T:SkillExpを技能要件の一部とするトランザクションの参照
【0247】図10、図11の方法は下記の中間結果を有する。
オペランド1:技能表現の一部から導かれた技能スコアオペランド2:技能表現の一部から導かれた技能スコアInOp:2つのオペランド、すなわちオペランド1およびオペランド2に対してどの論理演算を実行すべきかを示す値。受け入れられる値は、AND演算を示す「AND」またはOR演算を示す「OR」だけである。
【0248】図10、図11の方法は下記の出力を有する。
【0249】技能表現を評価した結果として、エージェントAがトランザクションTの処理に不適任と判定されていない(すなわち、まだ適任とみなされている)場合、SSは定義済みの整数結果であり、技能スコアを含む。
【0250】エージェントAが不適任と判定された場合、この結果が暗黙的に返され、SSは未定義になる。
【0251】入力にエラーがある(暗黙的に返される結果)場合、SSは未定義になる。
【0252】図12は、AND演算子とOR演算子とを含む技能表現に関する技能スコアを算出する本発明の好ましい実施例の方法を示すフローチャートである。図12の方法は、所与のエージェントA、それぞれ技能スコアである所与の2つのオペランド、すなわちオペランド1およびオペランド2、演算子ANDまたは演算子ORに関する技能スコア(SS)を算出する。図12の方法は下記の入力を有する。
A:1人のエージェントの参照オペランド1:技能表現の一部から導かれた技能スコアオペランド2:技能表現の一部から導かれた技能スコアT:オペランド1およびオペランド2が、部分的に導かれた結果として得られた(すなわち、トランザクション自体の技能要件の部分的導出を表す)、トランザクションの参照InOp:2つのオペランド、すなわちオペランド1およびオペランド2に対してどの論理演算を実行すべきかを示す値。受け入れられる値は、AND演算を示す「AND」またはOR演算を示す「OR」だけである。
【0253】図12の方法は下記の出力を有する。
【0254】論理演算の結果として、技能スコアが、部分技能表現「Operand1 InOp Operand2」の評価時に依然として、エージェントAが固有の技能の処理に適していることを示している場合、SSは定義済みの整数結果であり、技能スコアを含む。
【0255】エージェントAがこれらの技能に適していない場合、この結果が暗黙的に返され、SSは未定義になる。
【0256】図13は、特定のエージェント、すなわちエージェントAおよび特定の技能、すなわち技能Xに関する技能スコアを算出する本発明の好ましい実施例の方法を示すフローチャートである。図13の方法は下記の入力を有する。
A:1人のエージェントの参照X:単一の技能の参照T:技能Xがそれから選択されたトランザクションの参照(すなわち、Xはトランザクションの技能要件の一部である)
ReqLevel:トランザクションTの技能要件に含まれる技能Xに関する必要な専門知識レベルActualLevel:エージェントAのレジュメに含まれる、エージェントAが実際に有する技能Xに関する専門知識のレベルMandLevel:交換機においてMandLevel機能がオンに切り替えられているかどうかを示すフラグ
【0257】図13の方法は下記の出力を有する。
【0258】エージェントAが技能Xを処理するのに適している場合、SSは定義済みの整数結果であり、技能スコアを含む。
【0259】エージェントAが技能Xを処理するのに適していない場合、この結果が暗黙的に返され、SSは未定義になる。
【0260】技能スコアリングの方法の一例として、下記の2人のエージェントが応対可能であると仮定する。
【表2】
【0261】さらに、下記のトランザクションが待ち行列に到着したと仮定する。
【表3】
必須技能 任意選択技能 待機時間満了・必須 スコア スコア レベル エーシ゛ェント1 エーシ゛ェント2DOS3 なし いいえ n/a 0 3DOS6 なし いいえ n/a N/S 0DOS6 なし はい はい N/S 0DOS6 なし はい いいえ -3 0DOS3およびOS2・4 なし いいえ n/a 2 N/Sなし ハードウェア1 いいえ n/a 4 1DOS3およびOS2・4 ハードウェア1 いいえ n/a 6 N/SDOS1|OS2・1 なし いいえ n/a 2 0フランス語4 ハードウェア3 いいえ n/a 5 N/S およびOS2・3
【0262】零以上の最低スコアが最も良好であることに留意されたい。
【0263】優先順位スコアは、技能表現中の各技能を取り出し、それをエージェントのレジュメと比較することによって算出される。技能表現は、括弧を使用して評価の順序が変更されていないかぎり、左から右へ評価される。
【0264】下記の表は、個別の技能Sに関する優先順位スコアPをどのように算出すべきかを要約したものである。
【表4】
【0265】2つのオペランドがAND演算子によって分離され、どちらかのオペランドが「不適任」である場合、ANDの結果は「不適任」である。2つのオペランドがAND演算子によって分離され、どちらのオペランドも「不適任」ではない場合、AND演算の結果は2つのオペランドのうちのより高い優先順位である。
【0266】2つのオペランドがOR演算子によって分離され、2つのオペランドが共に「不適任」である場合、ORの結果は「不適任」である。2つのオペランドがOR演算子によって分離され、どちらかのオペランドが「不適任」である場合、OR演算の結果は他方のオペランドである。2つのオペランドがOR演算子によって分離され、どちらのオペランドも「不適任」でない場合、ORの結果は、2つのオペランドのうちのより高い優先順位である。
【0267】図14は、括弧なしの技能表現に関する優先順位スコアを算出する本発明の好ましい実施例の方法を示すフローチャートである。図14の方法は、所与のエージェントAおよび括弧を含まない所与の技能表現に関する優先順位スコア(PS)を算出する。図14の方法は下記の入力を有する。
SkillExp:技能表現の文字列表現A:1人のエージェントの参照T:SkillExpを技能要件の一部とするトランザクションの参照
【0268】図14の方法は下記の中間結果を有する。
オペランド1:技能表現の一部から導かれた優先順位スコアオペランド2:技能表現の一部から導かれた優先順位スコアInOp:2つのオペランド、すなわちオペランド1およびオペランド2に対してどの論理演算を実行すべきかを示す値。受け入れられる値は、AND演算を示す「AND」またはOR演算を示す「OR」だけである。
【0269】図14の方法は下記の出力を有する。
【0270】技能表現を評価した結果として、エージェントAがトランザクションTの処理に不適任と判定されていない(すなわち、まだ適任とみなされている)場合、PSは定義済みの整数結果であり、技能スコアを含む。
【0271】エージェントAが不適任と判定された場合、この結果が暗黙的に返され、PSは未定義になる。
【0272】入力にエラーがある(暗黙的に返される結果)場合、PSは未定義になる。
【0273】図15は、AND演算子とOR演算子とを含む技能表現に関する技能スコアを算出する本発明の好ましい実施例の方法を示すフローチャートである。図15の方法は、所与のエージェントA、それぞれ、優先順位スコアである、所与の2つのオペランド、すなわちオペランド1およびオペランド2、演算子ANDまたは演算子ORに関する優先順位スコア(PS)を算出する。図15の方法は下記の入力を有する。
A:1人のエージェントの参照オペランド1:技能表現の一部から導かれた優先順位スコアオペランド2:技能表現の一部から導かれた優先順位スコアT:オペランド1およびオペランド2が、部分的に導かれた結果として得られた(すなわち、トランザクション自体の技能要件の部分的導出を表す)、トランザクションの参照InOp:2つのオペランド、すなわちオペランド1およびオペランド2に対してどの論理演算を実行すべきかを示す値。受け入れられる値は、AND演算を示す「AND」またはOR演算を示す「OR」だけである。
【0274】図14の方法は下記の出力を有する。
【0275】論理演算の結果として、優先順位スコアが、部分技能表現「Operand1InOp Operand2」の評価時に依然として、エージェントAが固有の技能の処理に適していることを示している場合、PSは定義済みの整数結果であり、優先順位スコアを含む。
【0276】エージェントAがこれらの技能に適していない場合、この結果が暗黙的に返され、PSは未定義になる。
【0277】図16は、特定のエージェントおよび特定の技能に関する優先順位スコアを算出する本発明の好ましい実施例の方法を示すフローチャートである。図16の方法は、所与のエージェントAおよび単一の技能Xに関する優先順位スコア(PS)を算出する。図16の方法は下記の入力を有する。
A:1人のエージェントの参照X:単一の技能の参照T:技能Xが選択されたトランザクションの参照(すなわち、Xはトランザクションの技能要件の一部である)
ActualLevel:エージェントAのレジュメに含まれる、コール・センタ管理者が実際にエージェントAに関連付けている技能Xに関する優先順位レベルMandLevel:交換機においてMandLevel機能がオンに切り替えられているかどうかを示すフラグ
【0278】図16の方法は下記の出力を有する。
【0279】エージェントAが技能Xを処理するのに適している場合、PSは定義済みの整数結果であり、優先順位スコアを含む。
【0280】エージェントAが技能Xを処理するのに適していない場合、この結果が暗黙的に返され、PSは未定義になる。
【0281】優先順位スコアを算出する方法の一例として、下記の2つのエージェントが応対可能であると仮定する。
【表5】
【0282】さらに、下記のコールが待ち行列に到着したと仮定する。
【表6】
必須技能 任意選択技能 待機時間満了・必須 スコア スコア レベル エーシ゛ェント1 エーシ゛ェント2DOS3 なし いいえ n/a 3 6DOS6 なし いいえ n/a 3 6DOS6 なし はい はい 3 6DOS6 なし はい いいえ 3 6DOS3およびOS2・4 なし いいえ n/a 6 6なし ハードウェア1 いいえ n/a 5 2DOS3およびOS2・4 ハードウェア1 いいえ n/a 6 6DOS1|OS2・1 なし いいえ n/a 6 6フランス語4 ハードウェア3 いいえ n/a 6 9 およびOS2・3
【0283】この例では、最高のスコアが最も良好である。
【0284】下記の2つの例は、図6ないし図12の4つの異なる方法がどのように、同じコールおよび同じエージェントに関して異なる結果を生成するかを示すものである。
【0285】例1:エージェントが応対可能であり、トランザクションが待ち行列に到着した。
応対可能なエージェント
【表7】
エージェント1 エージェント2 エージェント3 エージェント4技能 レヘ゛ル 優先順位 レヘ゛ル 優先順位 レヘ゛ル 優先順位 レヘ゛ル 優先順位スペイン語 2 3 4 1 5 2 4 2株券 2 2 3 1 3 3 3 1
【0286】SPAN4およびSTOCKS3を要求するコールが到着したと仮定する。下記の表は、技能スコア、優先順位スコア、遊休時間を提示するものである。
【表8】
【0287】下記の表は、図6ないし図12の方法のそれぞれに関する結果を提示するものである。
【表9】
【0288】例2:コールが待機しており、エージェントが応対可能になった。
待機中のコール
【表10】
コール 要求された技能1 スペイン語22 テニス43 スペイン語54 サーフィン3
【0289】下記のレジュメを有するエージェント1が応対可能になったと仮定する。
【表11】
技能 レベル 優先順位スペイン語 6 3サーフィン 3 2テニス 4 1
【0290】下記の表に、そのコールが待ち行列中にあった技能スコア、優先順位スコアおよび回数を示す。
【表12】
【0291】下記の表に、図6ないし図12の方法のそれぞれに関する結果を示す。
【表13】
【0292】当業者には、好ましい実施例とは著しく異なる様々な方法で本発明を実施できることが理解されよう。
【0293】技能合致スコアおよび優先順位合致スコア:技能合致スコアおよび優先順位合致スコアは、前述のサービス品質およびエージェント技能使用率の問題に対処する定量手段をコール・センタ管理者に提供する。コール・センタ全体のエージェントまたは個別によるサービスの品質の観点からは、技能合致スコアおよび優先順位合致スコアによって、コール・センタ管理者は特定のトランザクションに関する発呼者要件をどれだけ満たしたかを評価することができる。エージェント使用率の観点からは、技能合致スコアおよび優先順位合致スコアによって、コール・センタ管理者はエージェントの技能をどれだけ有効に使用しているか(たとえば、エージェントが余分の資格を有するか、それとも資格がないか)、エージェントが好ましいタイプのトランザクションを処理しているかどうかを評価することができる。
【0294】技能合致スコア:前記で技能スコアに関して定義したように、技能スコアは、合致の近さの指標、またはエージェントのレジュメがコールの技能要件にどれだけ合致しているかの数値尺度である。コールに関して算出される技能スコアの場合と同様に、技能合致スコアは、余分な資格を有するエージェントまたは資格のないエージェントがどのようにコールを処理すべきかの指標である。
【0295】技能合致スコア:技能合致とは、技能のみの方法、または技能優先順位方法、または優先順位技能方法を使用して合致させたコールに関する、コールが要求する技能レベルとコールに割り当てられたエージェントの技能レベルとの間の平均差である。技能合致は、下記の値からなる。Skills Match Under−Skilled−エージェントの技能が平均でどれだけ劣っていたか。Skills Match Over−Skilled−エージェントが余分な技能を平均でどれだけ有していたか。
【0296】コールは、それが必要とするすべての技能に必要な(あるいはそれ以上の)技能レベルを有するエージェントにしか割り当てられないので、待機時間が満了する前にはSkills Match Over−Skilled値しか有さない。コールの待機時間が満了した後、両方の値が提供される。発呼者は通常、複数の技能を要求するので、各コールはover−skilled値とunderskilled値を共に生成することができる。エージェントは、ある技能に関しては余分の技能を有し、他の技能に関しては必要とされるよりも劣る技能を有することができる。
【0297】Skills Match Normal Scoresを算出する方法:前記で個別の技能スコアの計算に関して定義した方法を使用して、待機時間が満了する前に応答された各コールごとに技能表現中の各技能ごとのSSを算出する。
【0298】零よりも大きな個別の技能スコアSSを加算することによって各コールごとのSkills Match Over−Skilled値(SMOS)を算出する。
【0299】待機時間の満了したコールの数だけSMOSを加算しmで除することによって平均SMOSを算出する。
【0300】Skills Match Starved Scoresを算出する方法:前記で個別の技能スコアの計算に関して定義した方法を使用して、待機時間が満了した後に応答された各コールごとに技能表現中の各技能ごとのSSを算出する。
【0301】個別の技能スコアSSを加算することによって各コールごとのSkillsMatch Under−Skilled値(SMUS)を算出する。
【0302】零よりも小さな個別の技能スコアSSを加算することによって各コールごとのSkills Match Over−Skilled値(SMOS)を算出する。
【0303】個別の技能合致スコアをSMUSおよびSMOSの各フォーマットで表示する。
【0304】通常のコールの数nだけSMUSを加算しnで除算することによって平均SMUSを算出する。
【0305】通常のコールの数nだけSMOSを加算しnで除算することによって平均SMOSを算出する。
【0306】技能合致スコアを平均SMUSおよび平均SMOSの各フォーマットで表示する。
【0307】Skills Match Starved Scoresの計算の一例たとえば、技能・優先順位合致アルゴリズムが使用されており、コールの待機時間が満了し、したがって、エージェントが、必要な技能レベルを有していなくてもそのコールを処理できるようになったと仮定する。
【0308】スペイン語3、製品5、サービス7の技能表現を有するコールが待機している。
【0309】このコールが下記のレジュメを有するエージェントへ経路指定される。
【表14】
技能 レベル 優先順位スペイン語 2 3製品 8 7製品B 5 5サービス 8 8
【0310】前記で技能スコアの計算に関して定義した方法にしたがって個別の技能スコア(SS)が算出される。コールの表現中の各技能ごとに、エージェントによって提供される技能レベルから、発呼者が必要とする技能レベルが減じられる。結果は下記のとおりである。
スペイン語に関しては、SS=−1製品に関しては、SS=+3サービスに関しては、SS=+1
【0311】個別のSkills Match Over−Skilledを算出するには、零よりも大きな個別の技能スコア(SS)を加算する。個別のSkillsMatch Under−Skilledを算出するには、零よりも小さな個別の技能スコア(SS)を加算する。この例では、Skills Match Under−Qualified=−1であり、Skills Match Over−Qualified=4である。
【0312】すべてのコールに関する技能合致値が同様に算出され、次いで平均される。
【0313】技能合致値を使用して、コール・センタがどれだけ適切にエージェントをコールに合致させているかを決定することができる。値0,0は最も良好な値であり、そのコールが、前記の「「最適エージェント」の決定に関する理論」で定義したようにAgent_Bestによって処理されたことを示す。
【0314】大きな負の数を有する場合は、発呼者の技能要件を満たしていない。これは、エージェントがその技能レベルを高めるように訓練する必要があることを示すこともある。大きな正の数を有する場合、エージェントは発呼者の要件に対してかなりの余分の技能を有する。これは、技能を有するエージェントの大部分が1つのチームまたはシフトにいることを意味する可能性がある。
【0315】優先順位合致スコア:優先順位スコアに関する節で論じたように、優先順位スコアとは、コール・センタ管理者が特定のエージェントに特定のトランザクションを処理させるために有する優先順位の尺度である。優先順位スコアが高ければ高いほど、エージェントに他のタイプのトランザクションではなくその特定のトランザクションを処理させたいというコール・センタ管理者の希望は強い。
【0316】優先順位合致:優先順位合致とは、優先順位のみの合致方法、または優先順位技能合致方法、または技能優先順位合致方法を使用してコールを合致させたときにエージェントに割り当てられたコールに関するエージェントの平均優先順位スコアである。優先順位スコアの場合と同様に、優先順位合致値が高ければ高いほど、その応用例は首尾良く、優先順位に基づいてエージェントにコールを合致させたことになる。優先順位合致スコアは下記の2つの値からなる。
Preference Match Normal−コールの待機時間が満了する前にエージェントに割り当てられたコールに関するエージェントの平均優先順位スコアPreference Match Starved−コールの待機時間が満了した後にエージェントに割り当てられたコールに関するエージェントの平均優先順位スコア
【0317】Preference Match Normalを算出する方法1.待機時間が満了する前に応答されたすべてのコールに関して、「優先順位スコアを算出する方法」に関する節で定義したようにPSを算出する。
2.応答された通常のコールの数nだけPSを加算し、nで除することによって平均Preference Match Normal値を算出する。
【0318】Preference Match Starvedを算出する方法1.待機時間が満了した後に応答されたすべてのコールに関して、「優先順位スコアを算出する方法」に関する節で定義したようにPSを算出する。
2.応答された待機時間の満了したコールの数mだけPSを加算し、mで除することによって平均Preference Match Starved値を算出する。
【0319】まとめとして、本発明の構成に関して以下の事項を開示する。
【0320】(1)コール・センタにいる複数のエージェント間でトランザクションを分担する自動コール配布システムであって、前記トランザクションに関する1組の技能要件を記憶するトランザクション待ち行列と、前記複数のエージェントのそれぞれごとに1組の技能データを記憶する技能インベントリ・データベースと、トランザクションに関する前記1組の技能要件を、前記エージェントに関する前記技能データと比較し、前記エージェントのうちの1人を前記トランザクションを処理するエージェントとして選択するトランザクション・ディスパッチャと、前記トランザクション・ディスパッチャに応答して、前記トランザクションを前記選択されたエージェントに切り替える交換回路とを備えることを特徴とするシステム。
【0321】付録A
【表15】
【0322】
【表16】
【0323】
【表17】
【0324】
【表18】
【0325】
【表19】
【0326】
【表20】
【0327】
【表21】
【0328】
【表22】
【0329】
【表23】
【0330】
【表24】
【0331】
【表25】
【0332】
【表26】
【0333】
【表27】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好ましい実施例を実施した通信システムの機能ブロック図である。
【図2】本発明の好ましい実施例を実施したコール・センタおよび自動コール配布システムの機能ブロック図である。
【図3】本発明の好ましい実施例のトランザクション・ディスパッチャによって実施される方法を示すフローチャートである。
【図4】本発明の好ましい実施例のトランザクション・ディスパッチャによって実施される方法を示すフローチャートである。
【図5】本発明の好ましい実施例のトランザクション・ディスパッチャによって実施される方法を示すフローチャートである。
【図6】本発明の好ましい実施例の、トランザクションにエージェントを合致させる技能のみ方法を示すフローチャートである。
【図7】本発明の好ましい実施例の、トランザクションにエージェントを合致させる技能のみ方法を示すフローチャートである。
【図8】本発明の好ましい実施例の、トランザクションにエージェントを合致させる技能/優先順位方法を示すフローチャートである。
【図9】本発明の好ましい実施例の、トランザクションにエージェントを合致させる技能/優先順位方法を示すフローチャートである。
【図10】括弧のない技能表現の技能スコアを算出する、本発明の好ましい実施例の方法を示すフローチャートである。
【図11】括弧のない技能表現の技能スコアを算出する、本発明の好ましい実施例の方法を示すフローチャートである。
【図12】AND演算子とOR演算子とを含む技能表現の技能スコアを算出する、本発明の好ましい実施例の方法を示すフローチャートである。
【図13】特定のエージェントおよび特定の技能の技能スコアを算出する、本発明の好ましい実施例の方法を示すフローチャートである。
【図14】括弧のない技能表現の優先順位スコアを算出する、本発明の好ましい実施例の方法を示すフローチャートである。
【図15】AND演算子とOR演算子とを含む技能表現の優先順位スコアを算出する、本発明の好ましい実施例の方法を示すフローチャートである。
【図16】特定のエージェントおよび特定の技能の優先順位スコアを算出する、本発明の好ましい実施例の方法を示すフローチャートである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】コール・センタにいる複数のエージェント間でトランザクションを分担する自動コール配布システムであって、前記トランザクションに関する1組の技能要件を記憶するトランザクション待ち行列と、前記複数のエージェントのそれぞれごとに1組の技能データを記憶する技能インベントリ・データベースと、トランザクションに関する前記1組の技能要件を、前記エージェントに関する前記技能データと比較し、前記エージェントのうちの1人を前記トランザクションを処理するエージェントとして選択するトランザクション・ディスパッチャと、前記トランザクション・ディスパッチャに応答して、前記トランザクションを前記選択されたエージェントに切り替える交換回路とを備えることを特徴とするシステム。
【請求項1】コール・センタにいる複数のエージェント間でトランザクションを分担する自動コール配布システムであって、前記トランザクションに関する1組の技能要件を記憶するトランザクション待ち行列と、前記複数のエージェントのそれぞれごとに1組の技能データを記憶する技能インベントリ・データベースと、トランザクションに関する前記1組の技能要件を、前記エージェントに関する前記技能データと比較し、前記エージェントのうちの1人を前記トランザクションを処理するエージェントとして選択するトランザクション・ディスパッチャと、前記トランザクション・ディスパッチャに応答して、前記トランザクションを前記選択されたエージェントに切り替える交換回路とを備えることを特徴とするシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開平8−321885
【公開日】平成8年(1996)12月3日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−102983
【出願日】平成8年(1996)4月24日
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレイション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION
【出願人】(595042405)シーメンス ロルム コミュニケイションズ インコーポレイテッド (1)
【公開日】平成8年(1996)12月3日
【国際特許分類】
【出願日】平成8年(1996)4月24日
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレイション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION
【出願人】(595042405)シーメンス ロルム コミュニケイションズ インコーポレイテッド (1)
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