ゴキブリ捕獲器
【課題】組立作業が簡単に行えるゴキブリ捕獲器を提供する。
【解決手段】底壁1と側壁2,3と天壁4,5とから捕獲器本体が構成され、側壁2,3を折り曲げて、捕獲器本体を平坦に折畳み、側壁2,3を伸ばして、捕獲器本体を立体に組立てるゴキブリ捕獲器であって、底壁1の上面に、ゴキブリ捕獲用の粘着剤層Xを形成し、天壁の下面に、粘着剤層保護用の剥離紙Yを接着しており、剥離紙Yの天壁4,5に対する接着力が、粘着剤層への粘着力よりも強い。側壁2,3は、底壁1の対向する二辺に設けられた立壁6,7と、他の対向する二辺に設けられた折畳み壁2,3とからなり、立壁6,7には、係止用の第1切込み65,75が形成されており、折畳み壁2,3には、折畳み壁の伸長動作に伴って倒れ込む係止片66,76が設けられており、係止片66,76が倒れ込んだとき第1切込み65,75に係合する。
【解決手段】底壁1と側壁2,3と天壁4,5とから捕獲器本体が構成され、側壁2,3を折り曲げて、捕獲器本体を平坦に折畳み、側壁2,3を伸ばして、捕獲器本体を立体に組立てるゴキブリ捕獲器であって、底壁1の上面に、ゴキブリ捕獲用の粘着剤層Xを形成し、天壁の下面に、粘着剤層保護用の剥離紙Yを接着しており、剥離紙Yの天壁4,5に対する接着力が、粘着剤層への粘着力よりも強い。側壁2,3は、底壁1の対向する二辺に設けられた立壁6,7と、他の対向する二辺に設けられた折畳み壁2,3とからなり、立壁6,7には、係止用の第1切込み65,75が形成されており、折畳み壁2,3には、折畳み壁の伸長動作に伴って倒れ込む係止片66,76が設けられており、係止片66,76が倒れ込んだとき第1切込み65,75に係合する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴキブリ捕獲器に関する。さらに詳しくは、紙製であり、販売時や保管時には折り畳んでおき、使用時には組立てて使うゴキブリ捕獲器に関する。
【背景技術】
【0002】
紙製の組立型ゴキブリ捕獲器に関しては、特開平10−165069,特開平11−92,実公昭52−11097など多数存在しているが、そのうちの代表的なものとして、特許文献1に記載の従来例がある。
この従来例は、紙製であり、図11(A)に示すように、底壁100と4枚の側壁101〜104を有している。4枚の側壁101〜104は、舌片と切込みを有しており、対向する2枚の側壁を向き合わせ、舌片と切込みを引掛けて結合し、立体的に組み合わせるようになっている。
したがって、その使用に際しては、図11(A)〜(D)に示す手順で組立てるものであり、つぎの要領で行う。
1)側壁101,102を内側に折った後おこす。次に側壁103,104のツメを外側に折った後、側壁103,104をおこす。
2)座壁100上にある粘着面105に貼付していた剥離紙106をはがす。
3)粘着面の中央にゴキブリ誘引剤107を1錠置く。
4)側壁101,102にある差し込み部をしっかり差し込み口に差し込む。
【0003】
上記の従来例では、谷折りが数個所、山折りが数個所、差し込みも数個所あって、結構組立に手間がかかるものである。また、ゴキブリを捕獲する粘着剤105には予め剥離シート106を貼付しているので、組立時には、この剥離シート106を剥がし取らなければならない。よって、使用に際しての組立が面倒であり、消費者にとって必ずしも便利ではない。
【0004】
【特許文献1】特開平10−191860号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事情に鑑み、組立作業が簡単に行えるゴキブリ捕獲器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明のゴキブリ捕獲器は、底壁と側壁と天壁とから捕獲器本体が構成され、前記側壁を折り曲げて、捕獲器本体を平坦に折り畳んで保管状態とし、前記側壁を伸ばして、捕獲器本体を立体に組立てて使用状態とするゴキブリ捕獲器であって、前記底壁の上面に、ゴキブリ捕獲用の粘着剤層を形成し、前記天壁の下面に、前記粘着剤層保護用の剥離紙を接着しており、前記剥離紙の前記天壁に対する接着力を、前記粘着剤層への粘着力よりも強くしていることを特徴とする。
第2発明のゴキブリ捕獲器は、第1発明において、前記側壁が、前記底壁の対向する二辺に設けられた立壁と、他の対向する二辺に設けられた折畳み壁とからなり、前記立壁には、係止用の切込みが形成されており、前記折畳み壁には、該折畳み壁の伸長動作に伴って倒れ込む係止片が設けられており、該係止片が倒れ込んだとき前記切込みに係合することを特徴とする。
第3発明のゴキブリ捕獲器は、第2発明において、前記天壁に、前記底壁から引き離すためのつまみ片が取付けられていることを特徴とする。
第4発明のゴキブリ捕獲器は、第1発明において、前記側壁が、前記底壁の対向する二辺に設けられた立壁と、他の対向する二辺に設けられた折畳み壁とからなり、前記立壁が、前記底壁より下方に延びた脚部と上方に延びた折込み部とからなり、折込み部の両端は前記一対の折畳み壁の外側に係合して、該折畳み壁が立上った状態に保持する拘束手段であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
第1発明によれば、天壁を底壁から引き離し側壁を伸ばして、捕獲器本体を立体に組立てると、天壁と共に剥離紙が付いて動き、剥離紙が粘着剤層から引き剥がされる。このように、捕獲器本体の組立動作によって、剥離紙も剥がされるので、一動作だけでゴキブリ捕獲器の組立が行える。
第2発明によれば、天壁を底壁から引き離す組立動作時に側壁が真直ぐに伸びるが、この側壁の伸び動作によって、折畳み壁の係止片が立壁の切込みに係合すると、側壁は自然には元のように折り畳まれることなく、捕獲器本体は組立てられた状態に保たれる。したがって、天壁を底壁から引き離すという一動作だけで組立を完了することができる。
第3発明によれば、組立時の天壁の底壁からの引き離しをつまみを持って行えるので、組立作業が容易に行える。
第4発明によれば、天壁を底壁から引き離す組立動作時に立壁も折畳み壁も真っ直ぐに伸びるが、立壁は底壁より下に延びた脚部があるので捕獲器本体を床面に置いたとき、一対の立壁は八の字状に開き、この結果立壁の折込み部は一対の折畳み壁の外側に係合して、折畳み壁を立上った状態に拘束し、その倒れを防止する。このため、天壁を底壁から引き離すという一動作だけで組立を完了することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態に係るゴキブリ捕獲器の組立状態を示す斜視図である。図2は図1のゴキブリ捕獲器の展開図である。図3の(A)図はゴキブリ捕獲器の組立前における平面図、(B)図は(A)図のB−B線断面図、(C)図は(A)図におけるC矢視側面図である。図4は図1のゴキブリ捕獲器における組立手順の説明図である。
【0009】
図2において、細実線は外形線を示し、太実線は切れ目を示し、点線は谷折り線を示し、丸点は山折り線を示している。
ゴキブリ捕獲器の展開した状態は、概ね長方形であり、その中央は底壁1で、その対向する二辺に折畳み壁2,3がつながっており、他の対向する二辺に立壁6,7がつながっている。これらの折畳み壁2,3と立壁6,7は特許請求の範囲にいう側壁を構成している。そして、前記折畳み壁2,3には、さらに天壁4,5がつながっている。
【0010】
前記底壁1は、正四角形又は長四角形であって、上下の第1、第2谷折り線11,12と左右の第3、第4谷折り線21,22で囲まれた部分である。
前記折畳み壁2は、前記第1谷折り線11とそれより図中下方の第3谷折り線13との間の部分である。この第1谷折り線11と第3谷折り線13との間には、中間谷折り線15が形成されている。前記折畳み壁2の下側の矩形部分は、天壁4である。
折畳み壁3は、前記第2谷折り線12とそれより図中上方の第4谷折り線14との間の部分である。この第2谷折り線12と第4谷折り線14との間には中間谷折り線16が形成されている。前記折畳み壁3の上側の矩形部分は、天壁5である。この天壁5には、つまみ10が形成されている。
【0011】
前記折畳み壁2の内部には、窓31と庇32が形成されている。すなわち、折畳み壁2の幅方向の中央部分において、切取線33,34,35,36によって、台形の空間が形成されている。さらに、切取線35,36を延長した切り目37,38が形成され、この切り目37,38と前記切取線34で囲まれた部分が庇32となっている。
この庇32の付け根の部分は、折り線が入っていないので、組立時には、この庇32はほぼ水平になって側方に延びる。したがって、庇32で覆われていた部分と前記窓31が合わさって、組立時には大きな開口となる。
また、この窓31と庇32があることによって、第3谷折り線13と中間谷折り線15は、中央部分が欠けており、幅方向の両端部にのみ存することとなる。
【0012】
前記折畳み壁3の内部には、窓41と庇42が形成されている。すなわち、折畳み壁3の幅方向の中央部分において、切取線43,44,45,46によって、台形の空間が形成されている。さらに、切取線45,46を延長した切り目47,48が形成され、この切り目47,48と前記切取線44で囲まれた部分が庇42となっている。
この庇42の付け根の部分は、折り線が入っていないので、組立時には、この庇42はほぼ水平になって側方に延びる。したがって、庇42で覆われていた部分と前記窓41が合わさって、組立時には大きな開口となる。
また、この窓41と庇42があることによって、第4谷折り線14と中間谷折り線16は、中央部分が欠けており、幅方向の両端部にのみ存することとなる。
【0013】
前記底壁1の図中右側には、立壁6が設けられ、図中左側には立壁7が設けられている。前記立壁6は、ほぼ台形状の部材で、前記第3谷折り線21と平行な外縁61と両側の斜端縁62,62と両斜端62,62から、ほぼ同方向に延長する第1山折り線63,63とから囲まれている。
また、第1山折り線63,63の外方にはガイド片64,64が形成されている。このガイド片64,64の端縁から同方向に延びた位置には、係止用の第1切込み65,65が設けられている。
一方、一対の折畳み壁2,3の前側には、それぞれ係止片66,66が設けられている。これら係止片66,66は三角形の部材で、その斜片からは内側に向って第2切込み67,67が形成されている。
【0014】
前記立壁7は、前記立壁6とほぼ台形状の部材で、前記第4谷折り線22と平行な外縁71と両側の斜端縁72,72と両斜端72,72から、ほぼ同方向に延長する第1山折り線73,73とから囲まれている。
また、第1山折り線73,73の外方にはガイド片74,74が形成されている。このガイド片74,74の端縁から同方向に延びた位置には、係止用の第1切込み75,75が設けられている。
一方、一対の折畳み壁2,3の前側には、それぞれ係止片76,76が設けられている。これら係止片76,76は三角形の部材で、その斜片からは内側に向かって第2切込み77,77が形成されている。
【0015】
図3に示すように、使用前の状態、例えば、保管・販売時には、折り畳んで平坦にしておかれる。
すなわち、図(A),(C)に示すように、天壁4,5は先端部を互いに重ねて接着しておく。一対の立壁6,7は天壁4,5の上面に折り重ねておかれる。
そして、折り重ねられた、底壁1と天壁4,5との間には、(B)図に示すように、粘着剤層Xと剥離紙Yが入れられている。
粘着剤層Xは底壁1の上面に粘着剤を塗布して形成したものである。この粘着剤は、進入したゴキブリの足をとらえて逃がさないようにするものである。
剥離紙Yは粘着剤層Xの表面を覆う部材であるが、その上面は、天壁4,5に強力に接着されている。この接着力は粘着剤層Xとの密着力より強く、天壁4,5を上方に引き上げると、同時に剥離紙Yが、粘着剤層Xから離れるようになっている。
【0016】
つぎに、使用のため組立てる方法を説明する。
(1)組立前の状態は、図3に示すような平坦に折り畳まれた状態である。
この状態から、図4の(A)図に示すように、つまみ10を持って引き上げる。これによって、天壁4,5が引き上げられ、一対の立壁6,7も立てられる。
(2)引き続き、つまみ10を持って天壁4,5を引き上げると、一対の折畳み壁2,3も寝ていた状態から矢印aで示すように立上ってくる。この動きが続くと、係止片66,76の第2切込み67,77が、立壁6,7の第1切込み65,75に嵌まり込む。
なお、ガイド片64,74は、第1山折り線63,73で外向きに折れているので、係止片66,76の切込み結合が円滑にすすむよう案内する。
(3)(C)図に示すように、両側の折畳み壁2,3が直角に立上った状態では、前後左右4個の係止片66,76の第2切込み67,77が立壁6,7の第1切込み65,75に嵌ってしまうので、両側の折畳み壁2,3はもう倒れることはない。したがって、ゴキブリ捕獲器は組立てられた状態を自ら保持することになる。このように組立に際して引き上げる手間だけで、折り線に沿って畳んだり、係合部を嵌め合わせる等の面倒は一切必要ない。
(4)そして、剥離紙Yは、天壁4,5を持ち上げる段階で粘着剤層Xから離れて上方に引き上げられるので、剥離紙Yを剥がす手間も必要ない。
【0017】
図1は、以上のようにして組立てられたゴキブリ捕獲器を示している。
組立状態では、庇32,42はほぼ水平あるいは緩く傾斜し側方に延びる。したがって、庇32,42で覆われていた部分と前記窓31,41が合わさって、組立時には大きな開口となる。
また、立壁6,7上の上面も開口しており、ゴキブリは、これらの開口からゴキブリ捕獲器内に進入することができる。そして、進入するや粘着剤層Xによって足がからめられるので、捕獲されることになる。
【0018】
以上のとおりであるから本実施形態では、天壁4,5を底壁1から引き離すという一動作だけで組立を完了することができる。そして、捕獲器本体の組立動作によって、剥離紙Yも剥がされるので、ゴキブリ捕獲器の組立が簡単に行えるという利点がある。
【0019】
(第2実施形態)
つぎに、第2実施形態のゴキブリ捕獲器を説明する。
図5は本発明の他の実施形態に係るゴキブリ捕獲器の展開図である。図6は図5のゴキブリ捕獲器の組立状態における平面図である。図7は図5のゴキブリ捕獲器の組立状態における斜視図である。
この実施形態のゴキブリ捕獲器は、天壁4,5を接着しないで、長いつまみ片で互いに結合するようにしたものである。
すなわち、図5に示すように、一方の天壁5の先端に長いつまみ片51を取付けておき、他方の天壁4には切込み52を形成している。この切込み52につまみ片51を通しておく。
他の構成は前記実施形態と同一であるので、図5〜図7において、同一部材に同一符号を付して説明を省略する。
【0020】
本実施形態では、以上のような構成であるので、図6に示すように、使用前の折畳み状態で、つまみ片51を切込み52に通しておけば、図7に示すようにつまみ片52を引き上げるだけで、天壁4,5を引き上げることができる。勿論、このとき一対の折畳み壁2,3も一対の立壁6,7も垂直に立ち上るので、前記実施形態と同様に、一動作でゴキブリ捕獲器を組立てることができる。
なお、組立後の使用方法は、第1実施形態のゴキブリ捕獲器と同様である。
【0021】
以上のとおりであるから本実施形態でも、天壁4,5を底壁1から引き離すという一動作だけで組立を完了することができる。そして、捕獲器本体の組立動作によって、剥離紙Yも剥がされるので、ゴキブリ捕獲器の組立が簡単に行えるという利点がある。
【0022】
(第3実施形態)
図8は本発明の第3実施形態に係るゴキブリ捕獲器の展開図である。図9は図8のゴキブリ捕獲器の組立状態における平面図である。図10は図8のゴキブリ捕獲器の組立状態における斜視図である。
【0023】
底壁1と折畳み壁2,3と天壁4,5は前記第1実施形態と実質同一のため、同一部材に同一符号を付して、説明を省略する。
ただし、底壁1を囲む左右の第1,第2谷折り線11,12は第1実施形態と同じ谷折り線であるが、前後の折り線23,24は第1実施形態と異なり山折り線である。本実施形態では、これらの山折り線を第1,第2山折り線23,24という。
【0024】
前記底壁1の左右につながる立壁8,9は、前記した第1実施形態と異なっている。
前記立壁8には、高さ方向の途中において、前記第1山折り線23と平行な第2谷折り線25が形成されている。この第2谷折り線25と第1山折り線23で囲まれた部分を脚部81といい、第2谷折り線25から外側の部分を折込み部82という。
また、第2谷折り線25の両端部には三角形状の切欠き83,84が形成されている。そして、折込み部82の両端には、長方形の係止片85,86が形成されている。この係止片85,86は組立時に折畳み壁2,3の外側に係合して、折畳み壁2,3を立上った状態に保持する拘束手段である。
【0025】
前記立壁9には、高さ方向の途中において、前記第1山折り線24と平行な第2谷折り線26が形成されている。この第2谷折り線26と第1山折り線24で囲まれた部分を脚部91といい、第2谷折り線26から外側の部分を折込み部92という。
また、第2谷折り線26の両端部には三角形状の切欠き93,94が形成されている。そして、折込み部92の両端には、長方形の係止片95,96が形成されている。この係止片95,96は、組立時に折畳み壁2,3の外側に係合して、折畳み壁2,3を立上った状態に保持する拘束手段である。
【0026】
粘着剤層Xと剥離紙Yは第1実施形態と同様である。すなわち、剥離紙Yは粘着剤層Xの表面を覆う部材であるが、その上面は、天壁4,5に強力に接着されている。この接着力は粘着剤層Xとの密着力より強く、天壁4,5を上方に引き上げると、同時に剥離紙Yが、粘着剤層Xから離れるようになっている。
【0027】
つぎに、使用のため組立てる方法を説明する。
(1)組立前の状態は、図9に示すような平坦に折り畳まれた状態である。折畳まれた状態では、立壁8,9の折込み部82,92は、天壁4,5の上面に載せられている。したがって、脚部81,91は天壁4,5の端縁より外へ出ている。
この状態から、図10に示すように、天壁4,5(または、その接合部分)を持って引き上げる。これによって、天壁4,5が引き上げられ、一対の折畳み壁2,3も立てられる。
(2)また、天壁4,5の引き上げにより、一対の立壁8,9も折畳まれていた状態から少し引き起こされるが、天壁4,5が一対の立壁8,9の間を通り抜けた後で、捕獲器本体を床面上に置くと、立壁8,9の脚部81,91が床面上で八字状に開くので、折込み部82,92が一対の折畳み壁2,3の間に倒れ込む。
(3)上記のように、一対の折畳み壁2,3が立ち上がり、折込み部が倒れ込むと、係止片85,86が折畳み壁2,3の一方の端の外側に倒れ込み、係止片95,96は折畳み壁2,3の他方の端の外側に倒れ込む。
このように、係止片85,86、95,96が折畳み壁2,3を立上った状態に保持すると、折畳み壁2,3はもう倒れることはない。したがって、ゴキブリ捕獲器は組立てられた状態を自ら保持することになる。このように組立に際して引き上げる手間だけで、折り線に沿って畳んだり、係合部を嵌め合わせる等の面倒は一切必要ない。
(4)そして、剥離紙Yは、天壁4,5を持ち上げる段階で粘着剤層Xから離れて上方に引き上げられるので、剥離紙Yを剥がす手間も必要ない。
【0028】
図10に示すようにゴキブリ捕獲器が組立てられた状態では、庇32,42はほぼ水平あるいは多少傾斜して側方に延びる。したがって、庇32,42で覆われていた部分と前記窓31,41が合わさって、組立時には大きな開口となる。
また、立壁8,9上の上面も開口しており、ゴキブリは、これらの開口からゴキブリ捕獲器内に進入することができる。そして、進入するや粘着剤層Xによって足がからめられるので、捕獲されることになる。
【0029】
以上のとおりであるから本実施形態では、天壁4,5を底壁1から引き離すという一動作だけで組立を完了することができる。そして、捕獲器本体の組立動作によって、剥離紙Yも剥がされるので、ゴキブリ捕獲器の組立が簡単に行えるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1実施形態に係るゴキブリ捕獲器の組立状態を示す斜視図である。
【図2】図1のゴキブリ捕獲器の展開図である。
【図3】(A)図はゴキブリ捕獲器の組立前における平面図、(B)図は(A)図のB−B線断面図、(C)図は(A)図におけるC矢視側面図である。
【図4】図1のゴキブリ捕獲器における組立手順の説明図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係るゴキブリ捕獲器の展開図である。
【図6】図5のゴキブリ捕獲器の組立状態における平面図である。
【図7】図5のゴキブリ捕獲器の組立状態における斜視図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係るゴキブリ捕獲器の展開図である。
【図9】図8のゴキブリ捕獲器の組立状態における平面図である。
【図10】図8のゴキブリ捕獲器の組立状態における斜視図である。
【図11】従来のゴキブリ捕獲器の組立手順説明図である。
【符号の説明】
【0031】
1 底壁
2 折畳み壁
3 折畳み壁
4 天壁
5 天壁
6 立壁
7 立壁
8 立壁
9 立壁
X 粘着材層
Y 剥離紙
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴキブリ捕獲器に関する。さらに詳しくは、紙製であり、販売時や保管時には折り畳んでおき、使用時には組立てて使うゴキブリ捕獲器に関する。
【背景技術】
【0002】
紙製の組立型ゴキブリ捕獲器に関しては、特開平10−165069,特開平11−92,実公昭52−11097など多数存在しているが、そのうちの代表的なものとして、特許文献1に記載の従来例がある。
この従来例は、紙製であり、図11(A)に示すように、底壁100と4枚の側壁101〜104を有している。4枚の側壁101〜104は、舌片と切込みを有しており、対向する2枚の側壁を向き合わせ、舌片と切込みを引掛けて結合し、立体的に組み合わせるようになっている。
したがって、その使用に際しては、図11(A)〜(D)に示す手順で組立てるものであり、つぎの要領で行う。
1)側壁101,102を内側に折った後おこす。次に側壁103,104のツメを外側に折った後、側壁103,104をおこす。
2)座壁100上にある粘着面105に貼付していた剥離紙106をはがす。
3)粘着面の中央にゴキブリ誘引剤107を1錠置く。
4)側壁101,102にある差し込み部をしっかり差し込み口に差し込む。
【0003】
上記の従来例では、谷折りが数個所、山折りが数個所、差し込みも数個所あって、結構組立に手間がかかるものである。また、ゴキブリを捕獲する粘着剤105には予め剥離シート106を貼付しているので、組立時には、この剥離シート106を剥がし取らなければならない。よって、使用に際しての組立が面倒であり、消費者にとって必ずしも便利ではない。
【0004】
【特許文献1】特開平10−191860号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事情に鑑み、組立作業が簡単に行えるゴキブリ捕獲器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明のゴキブリ捕獲器は、底壁と側壁と天壁とから捕獲器本体が構成され、前記側壁を折り曲げて、捕獲器本体を平坦に折り畳んで保管状態とし、前記側壁を伸ばして、捕獲器本体を立体に組立てて使用状態とするゴキブリ捕獲器であって、前記底壁の上面に、ゴキブリ捕獲用の粘着剤層を形成し、前記天壁の下面に、前記粘着剤層保護用の剥離紙を接着しており、前記剥離紙の前記天壁に対する接着力を、前記粘着剤層への粘着力よりも強くしていることを特徴とする。
第2発明のゴキブリ捕獲器は、第1発明において、前記側壁が、前記底壁の対向する二辺に設けられた立壁と、他の対向する二辺に設けられた折畳み壁とからなり、前記立壁には、係止用の切込みが形成されており、前記折畳み壁には、該折畳み壁の伸長動作に伴って倒れ込む係止片が設けられており、該係止片が倒れ込んだとき前記切込みに係合することを特徴とする。
第3発明のゴキブリ捕獲器は、第2発明において、前記天壁に、前記底壁から引き離すためのつまみ片が取付けられていることを特徴とする。
第4発明のゴキブリ捕獲器は、第1発明において、前記側壁が、前記底壁の対向する二辺に設けられた立壁と、他の対向する二辺に設けられた折畳み壁とからなり、前記立壁が、前記底壁より下方に延びた脚部と上方に延びた折込み部とからなり、折込み部の両端は前記一対の折畳み壁の外側に係合して、該折畳み壁が立上った状態に保持する拘束手段であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
第1発明によれば、天壁を底壁から引き離し側壁を伸ばして、捕獲器本体を立体に組立てると、天壁と共に剥離紙が付いて動き、剥離紙が粘着剤層から引き剥がされる。このように、捕獲器本体の組立動作によって、剥離紙も剥がされるので、一動作だけでゴキブリ捕獲器の組立が行える。
第2発明によれば、天壁を底壁から引き離す組立動作時に側壁が真直ぐに伸びるが、この側壁の伸び動作によって、折畳み壁の係止片が立壁の切込みに係合すると、側壁は自然には元のように折り畳まれることなく、捕獲器本体は組立てられた状態に保たれる。したがって、天壁を底壁から引き離すという一動作だけで組立を完了することができる。
第3発明によれば、組立時の天壁の底壁からの引き離しをつまみを持って行えるので、組立作業が容易に行える。
第4発明によれば、天壁を底壁から引き離す組立動作時に立壁も折畳み壁も真っ直ぐに伸びるが、立壁は底壁より下に延びた脚部があるので捕獲器本体を床面に置いたとき、一対の立壁は八の字状に開き、この結果立壁の折込み部は一対の折畳み壁の外側に係合して、折畳み壁を立上った状態に拘束し、その倒れを防止する。このため、天壁を底壁から引き離すという一動作だけで組立を完了することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態に係るゴキブリ捕獲器の組立状態を示す斜視図である。図2は図1のゴキブリ捕獲器の展開図である。図3の(A)図はゴキブリ捕獲器の組立前における平面図、(B)図は(A)図のB−B線断面図、(C)図は(A)図におけるC矢視側面図である。図4は図1のゴキブリ捕獲器における組立手順の説明図である。
【0009】
図2において、細実線は外形線を示し、太実線は切れ目を示し、点線は谷折り線を示し、丸点は山折り線を示している。
ゴキブリ捕獲器の展開した状態は、概ね長方形であり、その中央は底壁1で、その対向する二辺に折畳み壁2,3がつながっており、他の対向する二辺に立壁6,7がつながっている。これらの折畳み壁2,3と立壁6,7は特許請求の範囲にいう側壁を構成している。そして、前記折畳み壁2,3には、さらに天壁4,5がつながっている。
【0010】
前記底壁1は、正四角形又は長四角形であって、上下の第1、第2谷折り線11,12と左右の第3、第4谷折り線21,22で囲まれた部分である。
前記折畳み壁2は、前記第1谷折り線11とそれより図中下方の第3谷折り線13との間の部分である。この第1谷折り線11と第3谷折り線13との間には、中間谷折り線15が形成されている。前記折畳み壁2の下側の矩形部分は、天壁4である。
折畳み壁3は、前記第2谷折り線12とそれより図中上方の第4谷折り線14との間の部分である。この第2谷折り線12と第4谷折り線14との間には中間谷折り線16が形成されている。前記折畳み壁3の上側の矩形部分は、天壁5である。この天壁5には、つまみ10が形成されている。
【0011】
前記折畳み壁2の内部には、窓31と庇32が形成されている。すなわち、折畳み壁2の幅方向の中央部分において、切取線33,34,35,36によって、台形の空間が形成されている。さらに、切取線35,36を延長した切り目37,38が形成され、この切り目37,38と前記切取線34で囲まれた部分が庇32となっている。
この庇32の付け根の部分は、折り線が入っていないので、組立時には、この庇32はほぼ水平になって側方に延びる。したがって、庇32で覆われていた部分と前記窓31が合わさって、組立時には大きな開口となる。
また、この窓31と庇32があることによって、第3谷折り線13と中間谷折り線15は、中央部分が欠けており、幅方向の両端部にのみ存することとなる。
【0012】
前記折畳み壁3の内部には、窓41と庇42が形成されている。すなわち、折畳み壁3の幅方向の中央部分において、切取線43,44,45,46によって、台形の空間が形成されている。さらに、切取線45,46を延長した切り目47,48が形成され、この切り目47,48と前記切取線44で囲まれた部分が庇42となっている。
この庇42の付け根の部分は、折り線が入っていないので、組立時には、この庇42はほぼ水平になって側方に延びる。したがって、庇42で覆われていた部分と前記窓41が合わさって、組立時には大きな開口となる。
また、この窓41と庇42があることによって、第4谷折り線14と中間谷折り線16は、中央部分が欠けており、幅方向の両端部にのみ存することとなる。
【0013】
前記底壁1の図中右側には、立壁6が設けられ、図中左側には立壁7が設けられている。前記立壁6は、ほぼ台形状の部材で、前記第3谷折り線21と平行な外縁61と両側の斜端縁62,62と両斜端62,62から、ほぼ同方向に延長する第1山折り線63,63とから囲まれている。
また、第1山折り線63,63の外方にはガイド片64,64が形成されている。このガイド片64,64の端縁から同方向に延びた位置には、係止用の第1切込み65,65が設けられている。
一方、一対の折畳み壁2,3の前側には、それぞれ係止片66,66が設けられている。これら係止片66,66は三角形の部材で、その斜片からは内側に向って第2切込み67,67が形成されている。
【0014】
前記立壁7は、前記立壁6とほぼ台形状の部材で、前記第4谷折り線22と平行な外縁71と両側の斜端縁72,72と両斜端72,72から、ほぼ同方向に延長する第1山折り線73,73とから囲まれている。
また、第1山折り線73,73の外方にはガイド片74,74が形成されている。このガイド片74,74の端縁から同方向に延びた位置には、係止用の第1切込み75,75が設けられている。
一方、一対の折畳み壁2,3の前側には、それぞれ係止片76,76が設けられている。これら係止片76,76は三角形の部材で、その斜片からは内側に向かって第2切込み77,77が形成されている。
【0015】
図3に示すように、使用前の状態、例えば、保管・販売時には、折り畳んで平坦にしておかれる。
すなわち、図(A),(C)に示すように、天壁4,5は先端部を互いに重ねて接着しておく。一対の立壁6,7は天壁4,5の上面に折り重ねておかれる。
そして、折り重ねられた、底壁1と天壁4,5との間には、(B)図に示すように、粘着剤層Xと剥離紙Yが入れられている。
粘着剤層Xは底壁1の上面に粘着剤を塗布して形成したものである。この粘着剤は、進入したゴキブリの足をとらえて逃がさないようにするものである。
剥離紙Yは粘着剤層Xの表面を覆う部材であるが、その上面は、天壁4,5に強力に接着されている。この接着力は粘着剤層Xとの密着力より強く、天壁4,5を上方に引き上げると、同時に剥離紙Yが、粘着剤層Xから離れるようになっている。
【0016】
つぎに、使用のため組立てる方法を説明する。
(1)組立前の状態は、図3に示すような平坦に折り畳まれた状態である。
この状態から、図4の(A)図に示すように、つまみ10を持って引き上げる。これによって、天壁4,5が引き上げられ、一対の立壁6,7も立てられる。
(2)引き続き、つまみ10を持って天壁4,5を引き上げると、一対の折畳み壁2,3も寝ていた状態から矢印aで示すように立上ってくる。この動きが続くと、係止片66,76の第2切込み67,77が、立壁6,7の第1切込み65,75に嵌まり込む。
なお、ガイド片64,74は、第1山折り線63,73で外向きに折れているので、係止片66,76の切込み結合が円滑にすすむよう案内する。
(3)(C)図に示すように、両側の折畳み壁2,3が直角に立上った状態では、前後左右4個の係止片66,76の第2切込み67,77が立壁6,7の第1切込み65,75に嵌ってしまうので、両側の折畳み壁2,3はもう倒れることはない。したがって、ゴキブリ捕獲器は組立てられた状態を自ら保持することになる。このように組立に際して引き上げる手間だけで、折り線に沿って畳んだり、係合部を嵌め合わせる等の面倒は一切必要ない。
(4)そして、剥離紙Yは、天壁4,5を持ち上げる段階で粘着剤層Xから離れて上方に引き上げられるので、剥離紙Yを剥がす手間も必要ない。
【0017】
図1は、以上のようにして組立てられたゴキブリ捕獲器を示している。
組立状態では、庇32,42はほぼ水平あるいは緩く傾斜し側方に延びる。したがって、庇32,42で覆われていた部分と前記窓31,41が合わさって、組立時には大きな開口となる。
また、立壁6,7上の上面も開口しており、ゴキブリは、これらの開口からゴキブリ捕獲器内に進入することができる。そして、進入するや粘着剤層Xによって足がからめられるので、捕獲されることになる。
【0018】
以上のとおりであるから本実施形態では、天壁4,5を底壁1から引き離すという一動作だけで組立を完了することができる。そして、捕獲器本体の組立動作によって、剥離紙Yも剥がされるので、ゴキブリ捕獲器の組立が簡単に行えるという利点がある。
【0019】
(第2実施形態)
つぎに、第2実施形態のゴキブリ捕獲器を説明する。
図5は本発明の他の実施形態に係るゴキブリ捕獲器の展開図である。図6は図5のゴキブリ捕獲器の組立状態における平面図である。図7は図5のゴキブリ捕獲器の組立状態における斜視図である。
この実施形態のゴキブリ捕獲器は、天壁4,5を接着しないで、長いつまみ片で互いに結合するようにしたものである。
すなわち、図5に示すように、一方の天壁5の先端に長いつまみ片51を取付けておき、他方の天壁4には切込み52を形成している。この切込み52につまみ片51を通しておく。
他の構成は前記実施形態と同一であるので、図5〜図7において、同一部材に同一符号を付して説明を省略する。
【0020】
本実施形態では、以上のような構成であるので、図6に示すように、使用前の折畳み状態で、つまみ片51を切込み52に通しておけば、図7に示すようにつまみ片52を引き上げるだけで、天壁4,5を引き上げることができる。勿論、このとき一対の折畳み壁2,3も一対の立壁6,7も垂直に立ち上るので、前記実施形態と同様に、一動作でゴキブリ捕獲器を組立てることができる。
なお、組立後の使用方法は、第1実施形態のゴキブリ捕獲器と同様である。
【0021】
以上のとおりであるから本実施形態でも、天壁4,5を底壁1から引き離すという一動作だけで組立を完了することができる。そして、捕獲器本体の組立動作によって、剥離紙Yも剥がされるので、ゴキブリ捕獲器の組立が簡単に行えるという利点がある。
【0022】
(第3実施形態)
図8は本発明の第3実施形態に係るゴキブリ捕獲器の展開図である。図9は図8のゴキブリ捕獲器の組立状態における平面図である。図10は図8のゴキブリ捕獲器の組立状態における斜視図である。
【0023】
底壁1と折畳み壁2,3と天壁4,5は前記第1実施形態と実質同一のため、同一部材に同一符号を付して、説明を省略する。
ただし、底壁1を囲む左右の第1,第2谷折り線11,12は第1実施形態と同じ谷折り線であるが、前後の折り線23,24は第1実施形態と異なり山折り線である。本実施形態では、これらの山折り線を第1,第2山折り線23,24という。
【0024】
前記底壁1の左右につながる立壁8,9は、前記した第1実施形態と異なっている。
前記立壁8には、高さ方向の途中において、前記第1山折り線23と平行な第2谷折り線25が形成されている。この第2谷折り線25と第1山折り線23で囲まれた部分を脚部81といい、第2谷折り線25から外側の部分を折込み部82という。
また、第2谷折り線25の両端部には三角形状の切欠き83,84が形成されている。そして、折込み部82の両端には、長方形の係止片85,86が形成されている。この係止片85,86は組立時に折畳み壁2,3の外側に係合して、折畳み壁2,3を立上った状態に保持する拘束手段である。
【0025】
前記立壁9には、高さ方向の途中において、前記第1山折り線24と平行な第2谷折り線26が形成されている。この第2谷折り線26と第1山折り線24で囲まれた部分を脚部91といい、第2谷折り線26から外側の部分を折込み部92という。
また、第2谷折り線26の両端部には三角形状の切欠き93,94が形成されている。そして、折込み部92の両端には、長方形の係止片95,96が形成されている。この係止片95,96は、組立時に折畳み壁2,3の外側に係合して、折畳み壁2,3を立上った状態に保持する拘束手段である。
【0026】
粘着剤層Xと剥離紙Yは第1実施形態と同様である。すなわち、剥離紙Yは粘着剤層Xの表面を覆う部材であるが、その上面は、天壁4,5に強力に接着されている。この接着力は粘着剤層Xとの密着力より強く、天壁4,5を上方に引き上げると、同時に剥離紙Yが、粘着剤層Xから離れるようになっている。
【0027】
つぎに、使用のため組立てる方法を説明する。
(1)組立前の状態は、図9に示すような平坦に折り畳まれた状態である。折畳まれた状態では、立壁8,9の折込み部82,92は、天壁4,5の上面に載せられている。したがって、脚部81,91は天壁4,5の端縁より外へ出ている。
この状態から、図10に示すように、天壁4,5(または、その接合部分)を持って引き上げる。これによって、天壁4,5が引き上げられ、一対の折畳み壁2,3も立てられる。
(2)また、天壁4,5の引き上げにより、一対の立壁8,9も折畳まれていた状態から少し引き起こされるが、天壁4,5が一対の立壁8,9の間を通り抜けた後で、捕獲器本体を床面上に置くと、立壁8,9の脚部81,91が床面上で八字状に開くので、折込み部82,92が一対の折畳み壁2,3の間に倒れ込む。
(3)上記のように、一対の折畳み壁2,3が立ち上がり、折込み部が倒れ込むと、係止片85,86が折畳み壁2,3の一方の端の外側に倒れ込み、係止片95,96は折畳み壁2,3の他方の端の外側に倒れ込む。
このように、係止片85,86、95,96が折畳み壁2,3を立上った状態に保持すると、折畳み壁2,3はもう倒れることはない。したがって、ゴキブリ捕獲器は組立てられた状態を自ら保持することになる。このように組立に際して引き上げる手間だけで、折り線に沿って畳んだり、係合部を嵌め合わせる等の面倒は一切必要ない。
(4)そして、剥離紙Yは、天壁4,5を持ち上げる段階で粘着剤層Xから離れて上方に引き上げられるので、剥離紙Yを剥がす手間も必要ない。
【0028】
図10に示すようにゴキブリ捕獲器が組立てられた状態では、庇32,42はほぼ水平あるいは多少傾斜して側方に延びる。したがって、庇32,42で覆われていた部分と前記窓31,41が合わさって、組立時には大きな開口となる。
また、立壁8,9上の上面も開口しており、ゴキブリは、これらの開口からゴキブリ捕獲器内に進入することができる。そして、進入するや粘着剤層Xによって足がからめられるので、捕獲されることになる。
【0029】
以上のとおりであるから本実施形態では、天壁4,5を底壁1から引き離すという一動作だけで組立を完了することができる。そして、捕獲器本体の組立動作によって、剥離紙Yも剥がされるので、ゴキブリ捕獲器の組立が簡単に行えるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1実施形態に係るゴキブリ捕獲器の組立状態を示す斜視図である。
【図2】図1のゴキブリ捕獲器の展開図である。
【図3】(A)図はゴキブリ捕獲器の組立前における平面図、(B)図は(A)図のB−B線断面図、(C)図は(A)図におけるC矢視側面図である。
【図4】図1のゴキブリ捕獲器における組立手順の説明図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係るゴキブリ捕獲器の展開図である。
【図6】図5のゴキブリ捕獲器の組立状態における平面図である。
【図7】図5のゴキブリ捕獲器の組立状態における斜視図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係るゴキブリ捕獲器の展開図である。
【図9】図8のゴキブリ捕獲器の組立状態における平面図である。
【図10】図8のゴキブリ捕獲器の組立状態における斜視図である。
【図11】従来のゴキブリ捕獲器の組立手順説明図である。
【符号の説明】
【0031】
1 底壁
2 折畳み壁
3 折畳み壁
4 天壁
5 天壁
6 立壁
7 立壁
8 立壁
9 立壁
X 粘着材層
Y 剥離紙
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁と側壁と天壁とから捕獲器本体が構成され、前記側壁を折り曲げて、捕獲器本体を平坦に折り畳んで保管状態とし、前記側壁を伸ばして、捕獲器本体を立体に組立てて使用状態とするゴキブリ捕獲器であって、
前記底壁の上面に、ゴキブリ捕獲用の粘着剤層を形成し、
前記天壁の下面に、前記粘着剤層保護用の剥離紙を接着しており、
前記剥離紙の前記天壁に対する接着力を、前記粘着剤層への粘着力よりも強くしている
ことを特徴とするゴキブリ捕獲器。
【請求項2】
前記側壁が、前記底壁の対向する二辺に設けられた立壁と、他の対向する二辺に設けられた折畳み壁とからなり、
前記立壁には、係止用の切込みが形成されており、
前記折畳み壁には、該折畳み壁の伸長動作に伴って倒れ込む係止片が設けられており、
該係止片が倒れ込んだとき前記切込みに係合する
ことを特徴とする請求項1記載のゴキブリ捕獲器。
【請求項3】
前記天壁に、前記底壁から引き離すためのつまみ片が取付けられている
ことを特徴とする請求項2記載のゴキブリ捕獲器。
【請求項4】
前記側壁が、前記底壁の対向する二辺に設けられた立壁と、他の対向する二辺に設けられた折畳み壁とからなり、
前記立壁が、前記底壁より下方に延びた脚部と上方に延びた折込み部とからなり、折込み部の両端は前記一対の折畳み壁の外側に係合して、該折畳み壁が立上った状態に保持する拘束手段である
ことを特徴とする請求項1記載のゴキブリ捕獲器。
【請求項1】
底壁と側壁と天壁とから捕獲器本体が構成され、前記側壁を折り曲げて、捕獲器本体を平坦に折り畳んで保管状態とし、前記側壁を伸ばして、捕獲器本体を立体に組立てて使用状態とするゴキブリ捕獲器であって、
前記底壁の上面に、ゴキブリ捕獲用の粘着剤層を形成し、
前記天壁の下面に、前記粘着剤層保護用の剥離紙を接着しており、
前記剥離紙の前記天壁に対する接着力を、前記粘着剤層への粘着力よりも強くしている
ことを特徴とするゴキブリ捕獲器。
【請求項2】
前記側壁が、前記底壁の対向する二辺に設けられた立壁と、他の対向する二辺に設けられた折畳み壁とからなり、
前記立壁には、係止用の切込みが形成されており、
前記折畳み壁には、該折畳み壁の伸長動作に伴って倒れ込む係止片が設けられており、
該係止片が倒れ込んだとき前記切込みに係合する
ことを特徴とする請求項1記載のゴキブリ捕獲器。
【請求項3】
前記天壁に、前記底壁から引き離すためのつまみ片が取付けられている
ことを特徴とする請求項2記載のゴキブリ捕獲器。
【請求項4】
前記側壁が、前記底壁の対向する二辺に設けられた立壁と、他の対向する二辺に設けられた折畳み壁とからなり、
前記立壁が、前記底壁より下方に延びた脚部と上方に延びた折込み部とからなり、折込み部の両端は前記一対の折畳み壁の外側に係合して、該折畳み壁が立上った状態に保持する拘束手段である
ことを特徴とする請求項1記載のゴキブリ捕獲器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−325472(P2006−325472A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−153252(P2005−153252)
【出願日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(390018832)東亜機工株式会社 (14)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(390018832)東亜機工株式会社 (14)
【Fターム(参考)】
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