説明

ゴミの焼却設備

【課題】簡単な構造としながら、ゴミピット内の悪臭の外部漏れをより有効に阻止する。焼却炉の熱効率を向上して焼却炉の燃料消費を少なくして効率よくゴミを焼却する。
【解決手段】ゴミの焼却設備は、ゴミの投入口13を開口してなるゴミピット1と、このゴミピット1から供給されるゴミを焼却する焼却炉2と、ゴミピット1内の空気を燃焼用空気として吸入して焼却炉2に供給する吸引ダクト3とを備える。ゴミの焼却設備は、ゴミピット1の上部に、焼却炉2の廃熱で加熱されてゴミピット1内の空気を加温する熱交換器4を配置している。吸引ダクト3は、ゴミピット1内の空気を吸入する吸入口32をゴミピット1の上部に配置して、熱交換器4で加温されたゴミピット1の上部の空気を吸入して焼却炉2に供給している。さらに、ゴミの焼却設備は、ゴミの投入口13をゴミピット1の側壁12に開口して、吸引ダクト3の吸入口32よりも下方に配置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼却されるゴミを貯蔵するゴミピット内の悪臭を含む空気を、ゴミを焼却するために使用される燃焼用空気に使用することで、悪臭を焼却して排気するゴミの焼却設備に関する。
【背景技術】
【0002】
焼却して廃棄されるゴミは、生ゴミ、プラスチック、木材等の有機物が混在されたものである。ゴミに含まれる生ゴミ等は悪臭の原因なる。したがって、生ゴミを含むゴミを焼却して廃棄するゴミの焼却設備は、ゴミピットに悪臭が充満し、ゴミピットの空気が外部に漏れると、悪臭の原因となる。また、ゴミピットの悪臭は、ゴミの焼却場の作業環境を著しく悪くする原因ともなる。この弊害は、ゴミピット内の空気を焼却炉の燃焼用空気として使用し、焼却炉で焼却して悪臭を処理することができる。この構造のゴミの焼却設備は、ゴミピット内の空気を吸引してゴミピットの内圧を外気より低圧とし、ゴミピットの空気が外部に漏れないようにして防止できる。
【0003】
しかしながら、以上のゴミの焼却設備は、ゴミピットからの空気漏れを阻止して、悪臭が外部に漏れるのを確実に防止するのが難しい。とくに、ゴミの焼却設備は、常に一定量のゴミが焼却されず、ゴミの焼却量が変動し、また、ゴミの発生熱量も変動するので、ゴミを焼却するために消費される空気量、すなわちゴミピットから吸入される燃焼用空気も変動する。この状態で、例えば、燃焼用空気量が減少して、ゴミピットからの吸引量が少なくなると、ゴミピットから悪臭が外部に漏れる弊害が発生する。
【0004】
この弊害を防止するためのゴミの焼却設備も開発されている。(特許文献1参照)
特許文献1に記載されるゴミの焼却設備は、燃焼用空気導入路より焼却炉に供給される燃焼用空気量を検出する供給空気量検出機構と、ゴミピットの空気を脱臭して排気する脱臭放出路と、ゴミピットからピット内空気を吸引してピット内を負圧状態に維持するのに必要な空気量を記憶する記憶手段を備えている。このゴミの焼却設備は、ゴミピットを負圧に維持するのに必要な吸引空気量から空気量検出機構により検出される燃焼用空気量の差の空気を、ゴミピットから脱臭放出路を介して放出する。すなわち、このゴミの焼却設備は、ゴミピット内を常に一定の負圧に制御して、ゴミピットの悪臭の漏れを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−159435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上のゴミの焼却設備は、ゴミピットの空気を脱臭して排気する脱臭放出路を設ける必要があって、装置が複雑になるばかりでなく、ゴミピットにゴミを投入する投入口の開口量によって、ゴミピット内を一定の負圧に保持するのに必要な空気量が変動し、投入口を大きく開口し、あるいは複数の投入口を開口してゴミを投入するときに、投入口からゴミピット内の悪臭が外部に漏れるのを有効に防止できない欠点がある。
【0007】
本発明は、さらに以上の欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、簡単な構造としながら、ゴミピット内の悪臭の外部漏れをより有効に阻止でき、さらに、暖かい臭空気を燃焼用空気とすることで、焼却炉の熱効率を向上して焼却炉の燃料消費を少なくして効率よくゴミを焼却できるゴミの焼却設備を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0008】
本発明のゴミの焼却設備は、焼却されるゴミの投入口13を開口してなるゴミピット1と、このゴミピット1のゴミが供給されて焼却する焼却炉2と、ゴミピット1内の臭気のある空気を燃焼用空気として吸入して焼却炉2に供給する吸引ダクト3とを備えている。さらに、ゴミの焼却設備は、ゴミピット1の上部に、焼却炉2の廃熱で加熱されてゴミピット1内の空気を加温する熱交換器4を配置している。吸引ダクト3は、ゴミピット1内の空気を吸入する吸入口32をゴミピット1の上部に配置して、熱交換器4で加温されたゴミピット1の上部の空気を吸入して焼却炉2に供給する構造としている。さらに、ゴミの焼却設備は、ゴミの投入口13をゴミピット1の側壁12に開口すると共に、この投入口13を吸引ダクト3の吸入口32よりも下方に配置して開口している。
【0009】
以上のゴミの焼却設備は、簡単な構造としながら、ゴミピット内の悪臭の外部漏れをより有効に阻止でき、さらに、ゴミピット内の暖かい臭気のある空気を燃焼用空気とすることで、焼却炉の熱効率を向上して焼却炉の燃料消費を少なくして効率よくゴミを焼却できる特徴がある。それは、以上のゴミの焼却設備が、ゴミピットの上部に、焼却炉の発生熱で加熱されてゴミピット内の空気を加温する熱交換器を配置して、吸引ダクトの吸入口をゴミピットの上部に配置し、さらに、投入口をゴミピットの側壁であって、吸引ダクトの吸入口よりも下方に配置しているからである。
【0010】
ゴミの焼却設備は、投入口を開いてゴミをゴミピットの投入している。ゴミはゴミ収集車等に搬送されて、投入口から投入される。ゴミピットは、複数台のゴミ収集車から同時にゴミを投入できるように、複数の投入口を開口している。複数のゴミ収集車からゴミを投入するとき、複数の投入口が開口される。複数の投入口が大きく開かれる状態は、投入口からゴミピット内の空気が漏れやすい状態となる。とくに、この状態で吸引ダクトがゴミピット内の空気を排気する流量が少ないときに、投入口からゴミピット内の空気が外部に漏れて悪臭の原因となる。この弊害は、投入口を開口する面積を小さくして防止できるが、投入口の開口面積を小さく制限すると、ゴミを簡単に投入できなくなる。反対に、ゴミの投入に便利なように投入口を大きく開き、あるいは複数の投入口を同時に開いてトータルの開口面積が大きくなると、ゴミの投入は便利になるが、ゴミピット内の空気が漏れやすくなって周囲に悪臭を飛散させる原因となる。
【0011】
本発明のゴミの焼却設備は、前述した独特の構成でゴミピット内の空気漏れを確実に阻止する。図1の矢印Aは、投入口から流入される空気の流れを示している。矢印Aで示すように、外気は開かれた投入口からゴミピット内に流入される。投入口から流入される空気の温度は、ゴミピット内の空気温度よりも低い。ゴミピット内の空気を熱交換器で加温しているからである。暖かいゴミピット内に流入される外気は、その比重がゴミピット内の空気よりも大きく、ゴミピット内を上昇することなく、ゴミの上面に沿って流れてゴミピット内に流入する。ゴミの上面に沿って流れる空気は、ゴミピットの内部で上昇しないので、投入口から外部に排気されることがない。
【0012】
仮に、投入口から流入される外気の温度がゴミピット内の空気温度にほぼ等しいと、投入口からゴミピットに流入される空気は、ゴミの上面に沿って流れることなく、図1の鎖線の矢印Bで示すように、ゴミピットの内部で上昇して、投入口の上部から外部に排出される。このため、吸引ダクトがゴミピット内の空気を排気する流量が少なくなると、開かれた投入口からゴミピット内の空気が外部に漏れる弊害が発生する。
【0013】
ところが、本発明のゴミの焼却設備は、ゴミピット内の空気を熱交換器で加温して、ゴミピット内の空気温度を外気よりも暖かくし、さらに、加温されたゴミピット内の空気を上部に設けた吸引ダクトの吸入口で強制的に吸引して焼却炉に供給している。このため、ゴミピットに流入される冷たい外気は、流入部分で上昇して外部に漏れることなく、ゴミの上面に沿って流れて内部に流入する。ゴミピット内で上昇しない外気は、投入口から外部に漏れることがなく、スムーズにゴミピット内に流れ込む。内部に流入される冷たい外気は、ゴミピット内で加温されて上昇するゴミピット内の空気に吸引されて上昇し、吸引ダクトの吸入口に吸引されて焼却炉に供給される。すなわち、図1のゴミの焼却設備は、ゴミピットの内部においては、全体の空気を加温して上昇流としているので、ゴミの上面に沿って内部に流入される冷たい空気がこの上昇流に吸引されて、ゴミピットから漏れることなく、焼却炉に供給される。
【0014】
以上のように本発明のゴミの焼却設備は、ゴミピット内の空気の流れを理想的な状態にコントロールすることで、投入口から流入される空気を外部に漏らすことなく、ゴミピットを大きく開いて能率よくゴミを投入できる。さらに、以上のゴミの焼却設備は、投入口にエアーカーテンなどを設けることなく、投入口からゴミピット内の空気が漏れるのを阻止できるので、エアーカーテンのように空気でゴミが吹き飛ばされて周囲に飛散することもなく、ゴミを飛散させることなくゴミピットに投入しながら、ゴミピット内の空気漏れを阻止できる特徴がある。
【0015】
さらに、以上のゴミの焼却設備は、ゴミピット内の空気を熱交換器で加温して上昇させて、加温された空気を吸引ダクトで吸引して焼却炉に燃焼用空気として供給するので、焼却炉の燃焼用空気の温度が高くなって、ゴミを焼却する熱効率、すなわちゴミを焼却するための重油などの燃料を少なくできる特徴も実現する。とくに、以上のゴミの焼却設備は、焼却炉の廃熱を利用して熱交換器でゴミピット内の空気を加温するので、ゴミピット内の空気を加温するために燃料を消費することがなく、投入口からの空気漏れを阻止し、さらに焼却炉の熱効率を向上して燃料消費を少なくできる両方の特徴を実現する。
【0016】
さらに、以上のゴミの焼却設備は、ゴミピット内の空気を吸引ダクトで吸引して焼却炉に燃焼用空気として供給するので、ゴミピット内で発生するメタンガス等の臭い成分を焼却炉で燃焼させて、悪臭の発生を低減できる特徴もある。
【0017】
本発明のゴミの焼却設備は、ゴミピットの屋根を、太陽光線を吸収する黒色に着色することができる
以上のゴミの焼却設備は、太陽光線を利用してゴミピットの屋根を加熱し、屋根でゴミピット内の空気を加温するので、太陽熱を有効に利用して、ゴミピット内の空気を加温して投入口からの空気漏れを阻止し、さらに、焼却炉の熱効率を向上して燃料消費を削減できる特徴を実現する。とくに、太陽光線でゴミピットの屋根を加熱するので、ゴミピット内の上部の空気をより効果的に加温できる。
【0018】
本発明のゴミの焼却設備は、ゴミピットの屋根を、吸引ダクトの吸入口に向かって上り勾配に傾斜することができる。
以上のゴミの焼却設備は、屋根を吸入口に向かって上り勾配に傾斜させているので、吸引ダクトの吸入口は、ゴミピット内で最も加温された空気を効率よく吸引して、燃焼用空気として焼却炉に供給できる。このため、ゴミピット内の空気をスムーズに吸引できると共に、燃焼用空気の温度を高くして焼却炉の熱効率をより高くできる特徴が実現される。
【0019】
本発明のゴミの焼却設備は、熱交換器を、焼却炉の煙突に連結して、排気ガスで加温することができる。
以上のゴミの焼却設備は、焼却炉の煙突の廃熱で熱交換器を有効に加熱して、ゴミピット内の空気を加温できる。このため、煙突から排気される排出ガスの温度を低くしながら、熱交換器の温度を高くしてゴミピット内の空気温度を高温に加温して、投入口からの空気漏れを確実に阻止し、また、燃焼用空気の温度を高くして、焼却炉の熱効率を高くできる。
【0020】
本発明のゴミの焼却設備は、熱交換器を、焼却炉で加熱される蒸気又は温水で加温することができる。
以上のゴミの焼却設備は、焼却炉の廃熱を利用して熱交換器でゴミピットの空気を加温するので、焼却炉を効率よく冷却しながら、ゴミピット内の空気温度を加温できる。また、蒸気や温水で熱交換器を加温するので、熱交換器の温度制御が簡単で、ゴミピット内の空気温度を好ましい温度にコントロールして、投入口からの空気漏れを阻止し、また焼却炉の熱効率を高くできる特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施例にかかるゴミの焼却設備の概略構成図である。
【図2】図1に示すゴミの焼却設備のII−II線断面図である。
【図3】本発明の他の実施例にかかるゴミの焼却設備の概略構成図である。
【図4】本発明の他の実施例にかかるゴミの焼却設備の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するためのゴミの焼却設備を例示するものであって、本発明はゴミの焼却設備を以下のものに特定しない。さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0023】
図1と図2に示すゴミの焼却設備は、焼却して廃棄されるゴミを焼却する。ゴミは、主として生ゴミ、廃棄プラスチック、医療用の廃棄物等の焼却して廃棄できるものである。図に示すゴミの焼却設備は、ゴミの投入口13を開口しているゴミピット1と、このゴミピット1のゴミ9が供給されて焼却する焼却炉2と、ゴミピット1内の空気を燃焼用空気として吸入して焼却炉2に供給する吸引ダクト3を備える。
【0024】
ゴミピット1は、側壁12を屋根11で閉塞しており、側壁12にゴミの投入口13を開口している。ゴミピット1は、投入口13の外側に、ゴミ9を輸送してくるゴミ収集車8等が、ゴミピット1内にゴミ9を投入するためのゴミ投入室15を設けている。ゴミ投入室15の床面レベルは、投入口13の下縁と同一水平面に配置している。ゴミ収集車8は、ゴミ投入室15内をバックして、荷台8Aの後端部を投入口13に挿入し、荷台8Aを下り勾配に傾斜させてゴミ9を投入口13からゴミピット1に投入する。ゴミピット1は、複数の投入口13を設けて、複数台のゴミ収集車8が同時にゴミ9を投入できるようにしている。
【0025】
投入口13は、開閉できるシャッター14を有し、ゴミ収集車8が接近しない状態で投入口13を閉塞できるようにしている。シャッター14は、上下に移動して投入口13を開閉する。このシャッター14は、ゴミピット1内の空気が漏れないように、確実に投入口13を閉塞できる。ただし、シャッターには、可撓性のシートも使用できる。可撓性のシートからなるシャッターは、ゴミ収集車の荷台に押されて開閉されるので、開閉を制御する必要がなく、簡単な構造にできる。
【0026】
投入口13は、ゴミピット1の底面16よりも上方に開口されて、投入口13の下方に、ゴミの収納部10を設けている。
【0027】
ゴミピット1は、投入されるゴミ9を焼却炉2に移送するクレーン17を備えている。クレーン17は天井走行クレーンで、ゴミ9を掴んで焼却炉2に移送するバケット17Aを吊り下げている。クレーン17は、ゴミピット1の外部で操作されて、バケット17Aでゴミ9を掴んで焼却炉2に移送する。ゴミピット1内には、ゴミ9を焼却炉2に移送するホッパー21を設けている。ホッパー21に投入されるゴミ9は、焼却炉2に移送されて焼却される。
【0028】
ゴミピット1は、側壁12の上端に屋根11を固定して、内部を閉鎖された空間としている。ゴミピット1の上部には、ゴミピット1内の空気を加温する熱交換器4を配置している。熱交換器4は、焼却炉2の廃熱で加熱されて、ゴミピット1内の空気を加温する。熱交換器4は、ゴミの収納部10よりも上方に配置されて、ゴミピット1内の空気を加温する。図1と図2のゴミピット1は、熱交換器4を投入口13よりも上方に配置している。この図のゴミピット1は、熱交換器4を屋根11から離して配置している。この構造は、熱交換器4でゴミピット1内の空気を加温し、対流の作用で上方にスムーズに流して吸引ダクト3から排気できる。ただ、熱交換器4は、図3に示すように、屋根11の内面に固定することもできる。
【0029】
屋根11の内面に熱交換器4を固定するゴミピット1は、屋根11を吸引ダクト3の吸入口32に向かって上り勾配に傾斜して、熱交換器4で加温された空気を対流作用で吸入口32に流すことができる。また、吸入口32に向かって上り勾配に傾斜する屋根11は、暖められて軽くなった空気をスムーズに吸入口32から吸引して燃焼用空気として焼却炉2に供給できる。
【0030】
熱交換器4は、焼却炉2の廃熱で加熱される。この熱交換器4は、図1と図3に示すように、焼却炉2の煙突25に連結されて、焼却炉2の排気ガスで加温される。この熱交換器4は、焼却炉2の排気ガスを通過させて外部に排気する。この熱交換器4は、高温の排気ガスに加熱されて、ゴミピット1の空気を効率よく加温する。焼却炉2の排気ガスで加熱される熱交換器4は、煙突25にバイパスするように連結されて、あるいは煙突25に連結されて焼却炉2の排気ガスを熱交換器4に通過させて排気する。
【0031】
熱交換器4は、図4に示すように、焼却炉2で加熱される蒸気又は温水で加温することもできる。この熱交換器4は、焼却炉2に設けた加熱用の熱交換器41に循環ポンプ42を介して連結されて、加熱用の熱交換器41で加熱された蒸気や水を循環させて加熱される。この加熱用の熱交換器41は、焼却炉2の周囲に巻き付けた熱交換パイプ43を備える。熱交換パイプ43は、循環ポンプ42を介してゴミピット1の熱交換器4に連結されて、ゴミピット1の空気を加温する。熱交換パイプ43に連結される熱交換器4は、内部に排気ガスを通過させないので、排気ガスで汚れることがなく、また、通過する温水や蒸気の温度を制御して、ゴミピット1内の空気を好ましい温度に加温できる。
【0032】
ゴミピット1は、屋根11と側壁12を鉄骨鉄板葺きとして、屋根11の上面を黒色に着色している。このゴミピット1は、屋根11で太陽熱を吸収する。このため、屋根11が太陽熱で加熱されて、ゴミピット1内の空気を加温する。したがって、このゴミピット1は、熱交換器4で内部空気を加温し、さらに、太陽熱を有効に利用して内部空気を加温する。したがって、ゴミピット1内の空気はより高い温度に加温され、高温の燃焼用空気として焼却炉2に供給されて、焼却炉2の熱効率をより高くして、消費する燃料をより少なくする。とくに、屋根11を太陽熱で加熱するゴミピット1は、一年を通じて効率よくゴミピット1内の空気を加温して、ゴミピット1内の空気温度を外気温度よりも高く加温する。
【0033】
ゴミピット1内の温度、正確にはゴミピット1の中央部の温度は、常に投入口13から流入される外気よりも高く、たとえば10℃よりも高く、好ましくは15℃よりも高く、さらに好ましくは20℃よりも高く設定される。ゴミピット1内の空気温度を高くすることで、図1の鎖線の矢印Bで示すように、ゴミピット1内の空気が投入口13から漏れるのをより確実に阻止でき、また、焼却炉2に供給される燃焼用空気の温度を高くして熱効率を高くして燃料の消費量を少なくできる。
【0034】
好ましくは、夏期と冬期でゴミピット1内の空気温度を最適な温度に調整する。冬期は外気温度が低いので、ゴミピット1内の空気温度も低くして、投入口13からの空気漏れを少なくできる。ただ、ゴミピット1内の空気温度が低いと、焼却炉2に供給される燃焼用空気の温度が低くなって熱効率が低下するので、ゴミピット1内の空気温度は、好ましくは外気温度よりも20℃以上は高く設定する。夏期は外気温度が高いので、ゴミピット1内の空気温度を高くすることができ、燃焼用空気の温度を高くして焼却炉2の熱効率を高くできる。したがって、夏期におけるゴミピット1内の空気温度は、好ましくは外気温度よりも10℃高く設定される。
【0035】
ゴミピット1内の空気は、熱交換器4で加温され、さらに、屋根11によっても加温されて燃焼用空気として吸引ダクト3から焼却炉2に供給される。したがって、燃焼用空気として焼却炉2に供給される空気温度は、ゴミピット1の中央部の温度よりも高く、焼却炉2の熱効率を高くする。
【0036】
ゴミピット1は、内部の空気を吸引して焼却炉2に燃焼用空気として移送する吸引ダクト3を連結している。吸引ダクト3は、ゴミピット1上部の空気を強制的に吸引して、ゴミピット1内で空気を上昇させる。図1ないし図4のゴミピット1は、屋根11の下に吸引ダクト3の吸入口32を連結している。図のゴミピット1は、屋根11の中央部を高くして、その両側を下り勾配に傾斜する形状として、屋根11の下の最も高い位置に吸入口32を配置している。このゴミピット1は、図2に示すように、屋根11の下の中央部に、複数の吸入口32のある吸入管31を配置して、吸入管31を吸引ダクト3に連結して、吸入口32をゴミピット1に設けている。吸引ダクト3は、途中に送風ファン33を設けて、送風ファン33でもって、ゴミピット1から吸入した空気を焼却炉2に燃焼用空気として移送している。ただし、吸引ダクトには、必ずしも送風ファンを連結する必要はない。焼却炉が吸引ダクトを介して、ゴミピット内の空気を燃焼用空気として吸入することもできる。
【0037】
焼却炉2は、ゴミ9が投入されるホッパー21と、ホッパー21から供給されるゴミ9を焼却するロータリーキルン22と、ロータリーキルン22に高温の燃焼ガスを供給して、ロータリーキルン22に供給されるゴミ9を焼却するバーナー23と、ロータリーキルン22で焼却された灰を冷却して排出するロータリークーラー24とを備えている。
【0038】
ロータリーキルン22は回転される円筒で、回転軸がホッパー21から先端に向かって下り勾配となるように傾斜させている。ロータリーキルン22は、回転しながら、ホッパー21から供給されるゴミ9を焼却する。ゴミ9は、ロータリーキルン22の内部を通過しながら焼却されて、ロータリークーラー24に排出される。
【0039】
バーナー23は、ロータリーキルン22の先端部に設けられており、ホッパー21側に燃焼ガスを供給することで、ロータリーキルン22内に燃焼ガスを通過させる。バーナー23は重油などの燃料を燃焼させて、燃焼ガスをロータリーキルン22に供給する。バーナー23は、ロータリーキルン22内の燃焼ガスの温度を一定に保持するように制御される。すなわち、ロータリーキルン22内の燃焼ガスの温度が設定温度よりも低くなると燃料の供給量を多くして、燃焼ガスの温度を上昇し、反対に燃焼ガスの温度が設定温度よりも高くなると、燃料の供給量を少なくして燃焼ガスの温度を低くする。バーナー23は、たとえば、ロータリーキルン22内の燃焼ガスの温度を800℃〜1000℃にコントロールして、ロータリーキルン22内を通過するゴミ9を焼却して排出する。
【0040】
バーナー23は、ゴミピット1内の空気を燃焼用空気とし、吸入して燃料を燃焼させる。バーナー23の燃焼用空気は、吸引ダクト3でゴミピット1から供給される。吸引ダクト3は、吸入側に設けた吸入口32をゴミピット1の屋根11の内側に開口して、排出側をバーナー23に連結している。ゴミの貯留量を18,000立方メートルとするゴミピットは、空気量が約30,000立方メートルとなる。このゴミピットに蓄えられるゴミを焼却するバーナーは、1時間に90,000立方メートルの燃焼用空気を消費する。このゴミの焼却設備は、ゴミピットの空気を20分で燃焼用空気として消費するので、20分毎にゴミピットの悪臭は新しい空気に入れ替えられる。
【0041】
ロータリーキルン22から排出される焼却灰は、ロータリークーラー24に供給されて、ロータリークーラー24で冷却される。ロータリークーラー24は回転される円筒で、ロータリーキルン22の下端部よりも下方に配置している。ロータリークーラー24は、円筒を回転して、ロータリーキルン22から供給される焼却灰を冷却しながら移送する。ロータリークーラー24で冷却された焼却灰は、冷却された後、排出される。
【符号の説明】
【0042】
1…ゴミピット
2…焼却炉
3…吸引ダクト
4…熱交換器
8…ゴミ収集車 8A…荷台
9…ゴミ
10…収納部
11…屋根
12…側壁
13…投入口
14…シャッター
15…ゴミ投入室
16…底面
17…クレーン 17A…バケット
21…ホッパー
22…ロータリーキルン
23…バーナー
24…ロータリークーラー
25…煙突
31…吸入管
32…吸入口
33…送風ファン
41…加熱用の熱交換器
42…循環ポンプ
43…熱交換パイプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼却されるゴミの投入口(13)を開口してなるゴミピット(1)と、このゴミピット(1)のゴミ(9)が供給されて焼却する焼却炉(2)と、前記ゴミピット(1)内の空気を燃焼用空気として吸入して焼却炉(2)に供給する吸引ダクト(3)を備えるゴミの焼却装置であって、
前記ゴミピット(1)の上部には、焼却炉(2)の廃熱で加熱されてゴミピット(1)内の空気を加温する熱交換器(4)を配置しており、
さらに、前記吸引ダクト(3)は、ゴミピット(1)内の空気を吸入する吸入口(32)を前記ゴミピット(1)の上部に配置して、前記熱交換器(4)で加温されたゴミピット(1)の上部の空気を吸入して焼却炉(2)に供給する構造としており、
さらにまた、前記投入口(13)がゴミピット(1)の側壁(12)に開口されると共に、この投入口(13)は吸引ダクト(3)の吸入口(32)よりも下方に配置して開口されてなるゴミの焼却設備。
【請求項2】
前記ゴミピット(1)の屋根(11)が太陽光線を吸収する黒色に着色してなる請求項1に記載されるされてなるゴミの焼却設備。
【請求項3】
前記ゴミピット(1)の屋根(11)が吸引ダクト(3)の吸入口(32)に向かって上り勾配に傾斜してなる請求項1または2に記載されるゴミの焼却設備。
【請求項4】
前記熱交換器(4)が、焼却炉(2)の煙突(25)に連結されて、排気ガスで加温される請求項1ないし3のいずれかに記載されるゴミの焼却設備。
【請求項5】
前記熱交換器(4)が、焼却炉(2)で加熱される蒸気又は温水で加温される請求項1ないし3のいすれかに記載されるゴミの焼却設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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