説明

ゴムベールの梱包体および積層方法

【課題】積層したゴムベールの変形を抑えつつ収容ボックスからの排出性を改善し、加温効率を向上させることができるゴムベールの梱包体および積層方法を提供する。
【解決手段】被覆フィルムに被覆された同サイズの四角柱状の複数のゴムベール2を、収容ボックス6の内部に積層してゴムベール2の梱包体1を形成する際に、5個のゴムベール2が平置きされた段と6個のゴムベール2が平置きされた段とにより複数の積層段数にして、梱包体1の任意の位置に空間3を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴムベールの梱包体および積層方法に関し、さらに詳しくは、積層したゴムベールの変形を抑えつつ収容ボックスからの排出性を改善し、加温効率を向上させることができるゴムベールの梱包体および積層方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
天然ゴムや合成ゴム等は、輸送に際して、フィルムに被覆された同サイズの四角柱状のゴムベールに形成される。そして、複数のゴムベールを平置きにして段を構成し、このゴムベールの段を複数積層して梱包することが一般的に行なわれている(例えば、特許文献1参照)。この際に、異物混入防止、水濡れ防止、積層したゴムベールの型崩れ防止等の目的で、ゴムベールの段を、金属製等の収容ボックスの内部に複数積層した梱包体にして輸送することが行なわれている。
【0003】
この際に、積層する各段のゴムベールを密に平置きにするとともに、輸送効率向上のために、積層したこれらゴムベールを押し込むことがある。このゴムベールの押し込みやゴムベールの自重によって、ゴムベールが大きく変形することがある。ゴムベールの大きな変形は、収容ボックスから排出させ難くする一因になる。特に、収容ボックスを上下反転させてゴムベールを排出させる場合には作業性が著しく悪化することがある。
【0004】
また、積層する各段のゴムベールを密に平置きした梱包体は、加温する際に内部まで熱が伝わり難く、ゴムベール全体を所定温度まで加温するには長い時間を要するので加温効率が悪いという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−2271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、積層したゴムベールの変形を抑えつつ収容ボックスからの排出性を改善し、加温効率を向上させることができるゴムベールの梱包体および積層方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため本発明のゴムベールの梱包体は、フィルムに被覆された同サイズの四角柱状の複数のゴムベールが、収容ボックスの内部に積層されたゴムベールの梱包体であって、5個のゴムベールが平置きされた段と6個のゴムベールが平置きされた段とで構成されたことを特徴とするものである。
【0008】
ここで、最上段のゴムベールのはい付けが、函6俵はいの中央の1つを取り除いた中抜き5俵はいまたは津軽5俵はいである仕様にすることもできる。この際に、最下段のゴムベールのはい付けが巻6俵はいであり、最下段と最上段の間に積層された段のゴムベールのはい付けが函6俵はいであり、最下段2段目から最上段までが、れんが積み付けである仕様にすることもできる。また、最下段のゴムベールのはい付けが、函6俵はいの中央の1つを取り除いた中抜き5俵はいである仕様にすることもできる。この際に、最上段のゴムベールのはい付けが巻6俵はいであり、最下段2段目から最上段3段目のゴムベールについては、はい付けが函6俵はいであるとともに、最下段から最上段3段目までが、れんが積み付けである仕様にすることもできる。さらに、前記最上段2段目のゴムベールのはい付けが、巻6俵はいであるとともに、この最上段2段目と最上段とが、ブロック積み付けである仕様にすることもできる。本発明では、ゴムベールのそれぞれの段の間に層間フィルムが介在する仕様にすることもできる。また、例えば、前記ゴムベールの積層段数が5段〜7段の仕様にする。この際に、前記ゴムベールの積層段数が6段であり、ゴムベールの数が35個の仕様にすることもできる。
【0009】
本発明のゴムベールの積層方法は、フィルムに被覆された同サイズの四角柱状の複数のゴムベールを、収容ボックスの内部に積層するゴムベールの積層方法であって、5個のゴムベールを平置きした段と6個のゴムベールを平置きした段とにより複数の積層段数にすることを特徴とするものである。
【0010】
ここで、最上段のゴムベールのはい付けを、例えば、函6俵はいの中央の1つを取り除いた中抜き5俵はいまたは津軽5俵はいにする。この際に、例えば、最下段のゴムベールのはい付けを巻6俵はいにして、最下段と最上段の間に積層された段のゴムベールのはい付けを函6俵はいにして、最下段2段目から最上段までを、れんが積み付けにする。また、最下段のゴムベールのはい付けを、函6俵はいの中央の1つを取り除いた中抜き5俵はいにすることもできる。この際に、例えば、最上段のゴムベールのはい付けを巻6俵はいにして、最下段2段目から最上段3段目のゴムベールについては、はい付けを函6俵はいにするとともに、最下段から最上段3段目までを、れんが積み付けにする。さらに、前記最上段2段目のゴムベールのはい付けを巻6俵はいにするとともに、この最上段2段目と最上段とを、ブロック積み付けにすることもできる。また、ゴムベールのそれぞれの段の間に層間フィルムを介在させることもできる。前記ゴムベールの積層段数を、例えば5段〜7段にする。この際に、前記ゴムベールの積層段数を6段にして、ゴムベールの数を35個にすることもできる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、フィルムに被覆された同サイズの四角柱状の複数のゴムベールを収容ボックスの内部に積層するに際して、5個のゴムベールを平置きした段と6個のゴムベールを平置きした段とにより複数の積層段数にして梱包体を形成するので、梱包体がゴムベールを密に配置して積層した構造にならずに、いずれかの場所に空間を有する構造になる。収容ボックスを上下反転して収容したゴムベールを排出する際には、この空間が遊びしろになってゴムベールを排出し易くなる。また、この空間の存在によって、ゴムベールがすき間なく密に配置されて積層された場合に比して、ゴムベール全体を加温し易くなる。一方で、上記空間は、6個のゴムベールが平置きされた段に対して、1個のゴムベールを取り除いた5個のゴムベールの段によって形成されるので、比較的小規模であり、積層したゴムベールの変形を最小限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明のゴムベールの梱包体を例示する縦断面図である。
【図2】ゴムベールを例示する斜視図である。
【図3】図1の収容ボックスの正面図である。
【図4】図3の平面図である。
【図5】梱包体の第1実施形態の各段のゴムベールのはい付けを例示する平面図である。
【図6】梱包体の第2実施形態の各段のゴムベールのはい付けを例示する平面図である。
【図7】梱包体の第3実施形態の各段のゴムベールのはい付けを例示する平面図である。
【図8】梱包体の第4実施形態の各段のゴムベールのはい付けを例示する平面図である。
【図9】梱包体の第5実施形態の各段のゴムベールのはい付けを例示する平面図である。
【図10】梱包体の比較例1の各段のゴムベールのはい付けを例示する平面図である。
【図11】梱包体の比較例2の各段のゴムベールのはい付けを例示する平面図である。
【図12】収容ボックスを上下反転して梱包体を排出する工程を例示する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明のゴムベールの梱包体および積層方法を図に示した実施形態に基づいて説明する。尚、本発明において、はい付け、れんが積み付けおよびブロック積み付けとは、厚生労働省労働基準局安全衛生部安全課監修の「はい作業安全必携−はい作業主任者テキスト」に記載されている内容と同じ意味を示している。
【0014】
本発明のゴムベールの梱包体1は、図2に例示するように外表面が被覆フィルム3によって被覆された同サイズの四角柱状の複数のゴムベール2が構成要素になっている。梱包体1は、5個のゴムベール2が平置きされた段と6個のゴムベール2が平置きされた段とを、図1に例示するように収容ボックス6の内部に積層して構成されている。
【0015】
即ち、5個のゴムベール2で形成される段と6個のゴムベール2で形成される段とを任意に組み合わせて構成されている。例えば、5個のゴムベール2で形成される段を1つにして、残りのすべての段を6個のゴムベールで形成される段にしたり、5個のゴムベール2で形成される段を2つにして、残りのすべての段を6個のゴムベールで形成される段にするなど、任意の組み合わせにすることができる。
【0016】
図1に例示する実施形態では、ゴムベール2の積層段数が1L〜6Lの6段になっている。以後、ゴムベール2の各段は、最下段である下から1段目を1L、1段目の上の段(最下段2段目)を2L、2段目の上の段(最下段3段目)を3Lのように順序付けして表記する。したがって、この実施形態では最上段の6段目は6Lとなり、最上段の下の段(最上段2段目)は5L、最上段2段目の下の段(最上段3段目)は4Lとなる。
【0017】
ゴムベール2の段の積層段数は、例えば、5段〜7段程度が好ましい。積層段数が5段未満では収容効率(輸送効率)が低くなり、7段を超えると上方の段のゴムベール2の重さによって下方の段のゴムベール2が変形し易くなるためである。
【0018】
特に、積層段数を6段にして、ゴムベール2の数を35個にするとよい。即ち、5個のゴムベール2で形成される段を1つにして、6個のゴムベール2で形成される段を5つにすると、収容効率、積層したゴムベール2の変形の抑制、収容ボックス6からのゴムベール2の円滑な排出性、積層したゴムベール2全体の加温効率の向上、の各性能のバランスが良好になる。
【0019】
それぞれのゴムベール2は、天然ゴムや合成ゴム等のゴム素材からなり、そのサイズは、例えば、縦710mm、横360mm、高さ160mm程度である。
【0020】
被覆フィルム3は、例えば、低密度ポリエチレン製であり、厚さが0.04mm程度(0.03mm〜0.05mm)、融点が110℃程度である。
【0021】
この実施形態では、ゴムベール2のそれぞれの段の間に層間フィルム5が介在している。層間フィルム5は、例えば、低密度ポリエチレン製であり、厚さが0.10mm程度(0.08mm〜0.12mm)、融点が115℃程度である。
【0022】
層間フィルム5は、1枚の長大なサイズにして、これを折り返して、それぞれの段の間に介在させるようにすることもできるが、それぞれの段の間毎に、切り離した1枚の層間フィルム5を用いるようにしてもよい。この実施形態では、1つの段の全面を覆うサイズに切り離した層間フィルム5が、それぞれの段の間毎に設けられている。
【0023】
収容ボックス6は鋼等の金属製であり、上面のみを開口した四角柱状である。この実施形態の収容ボックス6の形状は、図3、図4に例示するように底面6aの四角形状よりも上面の四角形状を大きくして、下方を先細にしたテーパを有する四角柱状になっている。対向する側壁面6bどうしは、同形状の台形になっている。
【0024】
収容ボックス6のサイズは、例えば、開口上面が縦1400mm〜1500mm、横1100mm〜1200mm、底面6aが縦1200mm〜1400mm、横900mm〜1100mm程度であり、深さは1000mm〜1100mm程度である。
【0025】
上記に例示した仕様の収容ボックス6の内部に、上記に例示した仕様のゴムベール2を5個または6個平置きした場合には、底面6aに近い段では、四方側面がそれぞれの側壁面6bによって若干圧縮された状態になり、開口上面付近の段では、四方側面がそれぞれの即壁面6bにほぼ当接する程度になる。
【0026】
収容ボックス6の形状およびサイズは、例示したものに限定されず、例えば、上面と底面6aとを同じ大きさの四角形状にしたテーパを有していない単純な四角柱状の形状にすることもできる。
【0027】
本発明では、被覆フィルム3に被覆された複数のゴムベール2を収容ボックス6の内部に積層するに際して、5個のゴムベール2を平置きした段と6個のゴムベール2を平置きした段とを組み合わせて複数積層して梱包体1を形成する。それぞれの段を形成するゴムベール2のはい付けは、後述するが、5個のゴムベール2を平置きした段は、例えば、津軽5俵はい、函6俵はいの中央の1つを取り除いた中抜き5俵はい、或いは、巻6俵はいの中間位置にある1つを取り除いたU字状5俵はいとする。6個のゴムベール2を平置きした段は、例えば、巻6俵はい、函6俵はい、或いは、2組の長3俵はいを組み合わせた6俵はいとする。
【0028】
6個のゴムベール2で形成される段の中で、5個のゴムベール2で形成される段を少なくとも1段設けることにより、梱包体1は、ゴムベール2を密に配置して積層した構造ではなく、いずれかの場所に空間3を有する構造になる。そのため、収容ボックス6を上下反転してゴムベール2を排出する際には、この空間3が遊びしろになって、収容したゴムベール2を排出し易くなる。
【0029】
また、この空間3の存在によって、ゴムベール2がすき間なく密に配置されて積層された場合に比して、ゴムベール2全体を加温し易くなるので、加温効率が向上する。積層されたゴムベール2は外側から加温されるので、加温効率を向上させるには、空間3を梱包体1の外表面に近い位置に設けるとよい。これにより、梱包体1の表面積が増大するのと同じ効果を得られるからである。したがって、空間3、即ち、5個のゴムベール2で形成される段は、最下段或いは最上段にするとよい。
【0030】
尚、積層されたゴムベール2は、収容ボックス6に収容された状態で加温することもできるが、図12に例示するように、収容ボックス6を上下反転させてパレット7上に排出し、排出したそのままの状態で加温することもできる。ゴムベール2は、収容ボックス6から排出して積層したままの状態で加温する方が、収容ボックス6に収容された状態で加温するよりも迅速に加温することができる。
【0031】
一方、梱包体1の任意の位置に空間3が設けられることにより、この空間3の周辺のゴムベール2は、変形し易い状況下に置かれる。しかしながら、この空間3は、6個のゴムベール2が平置きされた段に対して、1個のゴムベールを取り除いた5個のゴムベール2の段によって形成され、比較的小規模であるので、ゴムベール2の変形を最小限に抑えることができる。特に、ゴムベール2のそれぞれの段の間に層間フィルム5を介在させることにより、空間3があっても層間フィルム5によってゴムベール2がある程度保持されるのでゴムベール2の変形をより小さくすることができる。
【0032】
尚、収容ボックス6の内部に積層するゴムベール2の積層段数を特に限定せず、或いは、5段〜7段程度にして、任意のn個のゴムベール2が平置きされた段と、n+1個のゴムベール2が平置きされた段とで梱包体1を構成して、梱包体1の任意の位置に空間3を設けることもできる。しかしながら、5個のゴムベール2の段と、6個のゴムベール2の段とにより梱包体1を構成しない場合には、梱包体1の全体体積に対する空間3の体積の比率等の関係から、積層したゴムベール2の変形の抑制、収容ボックス6からのゴムベール2の円滑な排出性、積層したゴムベール2全体の加温効率の向上、という目的をすべて両立させることは難しくなる。
【0033】
図5に梱包体1の第1実施形態の各段(1L〜6L)のゴムベール2のはい付けを例示する。
【0034】
第1実施形態では、1L、3L、5Lのゴムベール2のはい付けは、2組の長3俵はいを同じ向きにして長辺どうしを対向させて並列に配置した6俵はいになっている。
【0035】
2Lおよび4Lのゴムベール2のはい付けは、函6俵はいになっている。函6俵はいは、長辺を対向させて並列に配置した2個のゴムベール2の両側それぞれの短辺に対して、長辺を対向させて1個のゴムベール2を配置し、このそれぞれの1個のゴムベール2の一方の短辺に対して、長辺を対向させて2個のゴムベール2を直列に配置したものである。
【0036】
6Lのゴムベール2のはい付けは、津軽5俵はいになっている。津軽5俵はいは、短辺を対向させて直列に配置した2つのゴムベール2の長辺に対して、短辺を対向させて3つのゴムベール2を等間隔で並列に配置したものである。したがって、並列した3つのゴムベール2の間には空間3が形成されている。
【0037】
そして、1L〜6Lは、れんが積み付けになっている。れんが積み付けとは、積層する上下の段のはい付けを、180°互い違いに配置する積層構造である。
【0038】
図6に梱包体1の第2実施形態の各段(1L〜6L)のゴムベール2のはい付けを例示する。
【0039】
1Lのゴムベール2のはい付けは、巻6俵はいになっている。巻6俵はいは、短辺を対向させて直列に配置した2個のゴムベール2の組みを、長辺どうしを対向させて3組みを並列に配置したものである。
【0040】
2L〜5Lのゴムベール2のはい付けは、函6俵はいになっている。6Lのゴムベール2のはい付けは、函6俵はいの変形であり、函6俵はいの中央の1つを取り除いたはい付けになっている(以後、中抜き5俵はいという)。したがって、中抜き5俵はいの中央部には、空間3が形成されている。そして、2L〜6Lは、れんが積み付けになっている。
【0041】
図7に梱包体1の第3実施形態の各段(1L〜6L)のゴムベール2のはい付けを例示する。
【0042】
1L〜5Lのゴムベール2のはい付けは、巻6俵はいになっている。6Lのゴムベール2のはい付けは、巻6俵はいの変形であり、巻6俵はいの中間位置にある1つを取り除いたはい付けになっている(以後、U字状5俵はいという)。したがって、U字状5俵はいの中間位置には、空間3が形成されている。
【0043】
そして、1L〜6Lは、ブロック積み付けになっている。ブロック積み付けは、積層する上下の段のはい付けを、同じ向きにする積層構造である。
【0044】
第3実施形態では、収容ボックス6を上下反転させてゴムベール2を排出した際に、最下段の偏った位置に、1つのゴムベール2と同じ大きさの空間3が存在することになる。これにより、第1および第2実施形態に比して全体バランスが不安定になるので、積層状態のゴムベール2全体の四方側面にラッピングフィルムを巻いてもよい。
【0045】
第1実施形態、第2実施形態および第3実施形態では、最上段(6L)に空間3を有しているので、加温効率が特に良好になる。
【0046】
梱包体1の最上段のゴムベール2のはい付けを、中抜き5俵はい、または、津軽5俵はいにして、その他の段のゴムベール2については、任意のはい付けにして最上段に空間3を設けることもできる。この際に、最下段のゴムベール2のはい付けを巻6俵はいにして、最下段と最上段の間に積層された段のゴムベール2のはい付けを函6俵はいにして、最下段2段目から最上段までを、れんが積み付けにすることもできる。
【0047】
図8に梱包体1の第4実施形態の各段(1L〜6L)のゴムベール2のはい付けを例示する。1Lのゴムベール2のはい付けは、中抜き5俵はいになっている。2L〜6Lのゴムベール2のはい付けは、函6俵はいになっている。そして、1L〜6Lは、れんが積み付けになっている。
【0048】
図9に梱包体1の第5実施形態の各段(1L〜6L)のゴムベール2のはい付けを例示する。1Lのゴムベール2のはい付けは、中抜き5俵はいになっている。2L〜4Lのゴムベール2のはい付けは、函6俵はいになっている。そして、1L〜4Lは、れんが積み付けになっている。5Lおよび6Lは、巻6俵はいになっているとともに、ブロック積み付けになっている。
【0049】
第4実施形態および第5実施形態では、最下段(1L)に空間3を有しているので、加温効率が特に良好になる。
【0050】
梱包体1の最下段のゴムベール2のはい付けを、中抜き5俵はいにして、その他の段のゴムベール2については、任意のはい付けにして最下段に空間3を設けることもできる。この際に、最上段のゴムベール2のはい付けを巻6俵はいにして、2Lから最上段3段目のゴムベールについては、はい付けを函6俵はいにするとともに、最下段から最上段3段目までを、れんが積み付けにすることもできる。
【0051】
この場合に、さらに、最上段2段目のゴムベール2のはい付けを、巻6俵はいにするとともに、この最上段2段目と最上段とをブロック積み付けにすることもできる。このように、上側2段のゴムベール2のはい付けを、巻6俵はいで同じ配置にすることにより、収容ボックス6を上下反転させた際に、この上側2段のゴムベール2が、それぞれの段において、隣接するゴムベール2との境でずれ易くなって排出性が向上する。
【0052】
最上段に空間3を設けない場合は、最上段のゴムベール2のはい付けを、巻6俵はいにすることによって排出性を確保し易くなる。巻6俵はいは、函6俵はいに比して、それぞれのゴムベール2の境でずれ易いからである。したがって、上側2段のゴムベール2のはい付けを、巻6俵はいで同じ配置にすると、ゴムベール2の排出性が向上することになる。
【実施例】
【0053】
図5、6、7、8、9、10、11に例示した梱包体の7種類の評価サンプル(図番の順に実施例1、2、3、4、5、比較例1、2とする)に対して、収容ボックスからの排出性、ゴムベールの変形、ゴムベールの加温効率を評価した。
【0054】
比較例1では、図10に例示するように、1L〜6Lのゴムベール2のはい付けが、函6俵はいになっているとともに、れんが積み付けになっている。したがって、梱包体には意図的に形成された空間がなく、それぞれのゴムベールがすき間なく密着した状態になっている。
【0055】
比較例2では、図11に例示するように、1Lおよび6Lのゴムベールのはい付けが、巻6俵はいになっている。2L〜5Lのゴムベール2のはい付けは、函6俵はいになっているとともに、れんが積み付けになっている。したがって、梱包体には意図的に形成された空間がなく、それぞれのゴムベールがすき間なく密着した状態になっている。
【0056】
それぞれの評価サンプルは、同一の被覆フィルム(厚さ0.04mmの低密度ポリエチレン製)で被覆した同一の天然ゴム(縦710mm、横360mm、厚さ160mm、重さ35kg)からなるゴムベールを用いて、同一の金属製収容ボックス(シンガポールGoodpack社製IBC「MB3」)の内部に、各段の間に層間フィルム(厚さ0.10mmの低密度ポリエチレン製)を介在させて積層した後24時間放置し、さらに1000kgの重石で収容ボックスに押し込んだことを共通条件にした。即ち、ゴムベールのはい付けのみを変化させた評価サンプルを用いて評価した。
【0057】
[排出性]
それぞれの評価サンプルを外気温下(0〜15℃)の共通条件で3週間保管した後、収容ボックスを上下反転してパレット上に排出する際の作業性を評価した。収容していたゴムベールを円滑に排出できた場合を○、ゴムベールを円滑に排出できなかった場合を×で示した。
【0058】
[ベールの変形]
上記排出性の評価の際にパレット上に排出したゴムベールの変形状態を目視によって評価した。変形が小さく荷役作業に支障が生じない程度の場合は○、荷役作業に支障が生じる程度の変形の場合は×で示した。
【0059】
[加温効率]
上記排出性の評価の際にパレット上に排出したゴムベールを、積層状態のまま、60℃の加温室内で3日間保管した後、3Lと4Lとの間の中央部にあるゴムベールの温度を測定した。測定温度が高い程、加温効率が優れていることを示す。
【0060】
【表1】

【0061】
表1の結果から、実施例1〜5は、排出性およびゴムベールの変形に対して、実用上問題のないレベルであり、加温効率は、比較例1および2に比して著しく優れていることが確認できた。
【符号の説明】
【0062】
1 梱包体
2 ゴムベール
3 空間
4 被覆フィルム
5 層間フィルム
6 収容ボックス
6a 底面
6b 側壁面
7 パレット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムに被覆された同サイズの四角柱状の複数のゴムベールが、収容ボックスの内部に積層されたゴムベールの梱包体であって、5個のゴムベールが平置きされた段と6個のゴムベールが平置きされた段とで構成されたゴムベールの梱包体。
【請求項2】
最上段のゴムベールのはい付けが、函6俵はいの中央の1つを取り除いた中抜き5俵はいまたは津軽5俵はいである請求項1に記載のゴムベールの梱包体。
【請求項3】
最下段のゴムベールのはい付けが巻6俵はいであり、最下段と最上段の間に積層された段のゴムベールのはい付けが函6俵はいであり、最下段2段目から最上段までが、れんが積み付けである請求項2に記載のゴムベールの梱包体。
【請求項4】
最下段のゴムベールのはい付けが、函6俵はいの中央の1つを取り除いた中抜き5俵はいである請求項1に記載のゴムベールの梱包体。
【請求項5】
最上段のゴムベールのはい付けが巻6俵はいであり、最下段2段目から最上段3段目のゴムベールについては、はい付けが函6俵はいであるとともに、最下段から最上段3段目までが、れんが積み付けである請求項4に記載のゴムベールの梱包体。
【請求項6】
前記最上段2段目のゴムベールのはい付けが、巻6俵はいであるとともに、この最上段2段目と最上段とが、ブロック積み付けである請求項5に記載のゴムベールの梱包体。
【請求項7】
ゴムベールのそれぞれの段の間に層間フィルムが介在する請求項1〜6のいずれかに記載のゴムベールの梱包体。
【請求項8】
前記ゴムベールの積層段数が5段〜7段である請求項1〜7にいずれかに記載のゴムベールの梱包体。
【請求項9】
前記ゴムベールの積層段数が6段であり、ゴムベールの数が35個である請求項8に記載のゴムベールの梱包体。
【請求項10】
フィルムに被覆された同サイズの四角柱状の複数のゴムベールを、収容ボックスの内部に積層するゴムベールの積層方法であって、5個のゴムベールを平置きした段と6個のゴムベールを平置きした段とにより複数の積層段数にするゴムベールの積層方法。
【請求項11】
最上段のゴムベールのはい付けを、函6俵はいの中央の1つを取り除いた中抜き5俵はいまたは津軽5俵はいにする請求項10に記載のゴムベールの積層方法。
【請求項12】
最下段のゴムベールのはい付けを巻6俵はいにして、最下段と最上段の間に積層された段のゴムベールのはい付けを函6俵はいにして、最下段2段目から最上段までを、れんが積み付けにする請求項11に記載のゴムベールの積層方法。
【請求項13】
最下段のゴムベールのはい付けを、函6俵はいの中央の1つを取り除いた中抜き5俵はいにする請求項10に記載のゴムベールの積層方法。
【請求項14】
最上段のゴムベールのはい付けを巻6俵はいにして、最下段2段目から最上段3段目のゴムベールについては、はい付けを函6俵はいにするとともに、最下段から最上段3段目までを、れんが積み付けにする請求項13に記載のゴムベールの積層方法。
【請求項15】
前記最上段2段目のゴムベールのはい付けを巻6俵はいにするとともに、この最上段2段目と最上段とを、ブロック積み付けにする請求項14に記載のゴムベールの梱包体。
【請求項16】
ゴムベールのそれぞれの段の間に層間フィルムを介在させる請求項10〜15のいずれかに記載のゴムベールの積層方法。
【請求項17】
前記ゴムベールの積層段数を5段〜7段にする請求項10〜16のいずれかに記載のゴムベールの積層方法。
【請求項18】
前記ゴムベールの積層段数を6段にして、ゴムベールの数を35個にする請求項17に記載のゴムベールの積層方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−241490(P2010−241490A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−94727(P2009−94727)
【出願日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】