説明

ゴムユニットおよびこれを用いたケーブル接続部

【課題】ゴムユニットの面圧分布を電界強度分布に可及的に合致させることで、面圧の低減を図る。
【解決手段】ゴムユニットUaは、弾性材から成る絶縁筒1aと、絶縁筒の両端部に絶縁筒と同心状に一体に設けられた円筒状の金具2a、2bとを備えている。また、絶縁筒の金具と対向する端部の内周には半導電性の弾性材から成る円筒状のストレスコーン4a、4bが絶縁筒と同心状に埋設されている。金具は、第1の円筒部21a、21bと、第2の円筒部22a、22bを備えている。絶縁筒の金具と対向する端部には円筒状の外側延長部11bが設けられ、ストレスコーンの金具と対向する端部には円筒状の内側延長部43bが設けられ、外側延長部の内周面は第2の円筒部の外周面に対して一体に接着され、内側延長部の内周面は第1の円筒部の外周面に対して非接着状態で被着されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴムユニットおよびこれを用いたケーブル接続部に係わり、特に、高圧CVケーブル(架橋ポリエチレンケーブル)のケーブル絶縁体の外周に装着されるゴムユニットおよびこれを用いたケーブル接続部に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、66kV以上の高圧CVケーブルの中間接続部のコンパクト化及び高信頼度化等を図る観点から、ゴムの自己収縮力を利用した、いわゆるワンピース・プレモールド形のゴムユニットを適用したゴムブロック絶縁形中間接続部が実施されている(例えば、特許文献1、2、非特許文献1、2)。
【0003】
図12は、このようなゴムブロック絶縁形中間接続部の要部縦断面図を示している。同図において、このゴムブロック絶縁形中間接続部は、一対のケーブル導体(不図示)を接続スリーブ100で圧縮接続して成る高圧CVケーブルの導体接続部200と、この導体接続部200の外周に一対のケーブル絶縁体300a、300bの外周間に跨って差込み装着された円筒状のゴムユニット400とを備えている。
【0004】
ここで、上記のゴムユニット400は、シリコーンゴム材料から成る円筒状の主絶縁体500と、この主絶縁体500の中央部の内周面に一体に埋め込み成形された半導電性シリコーンゴム材料から成る内部半導電体600と、主絶縁体500の両端部の内周面に一体に埋め込み成形された半導電性シリコーンゴム材料から成るストレスコーン700a、700bと、主絶縁体500の外周に設けられた半導電塗料の塗布層または半導電ゴム層などから成る外部半導電層800とを備えている。なお、ゴムユニット400の挿通部の内径は、ケーブル絶縁体300a、300bの外径より若干小径とされている。
【0005】
このような構成のゴムユニット400は、スパイラルコアなどの拡径冶具(不図示)を用いることによって導体接続部200の外周に一対のケーブル絶縁体300a、300bの外周間に跨って差し込まれ、ゴムの自己収縮力によってケーブル絶縁体300a、300bの外周に密着され、これにより、ゴムブロック絶縁形中間接続部における絶縁性能が確保されている。
【0006】
このような構成のゴムユニット400によれば、特殊工具を必要とせずに、施工現場において、スパイラルコアを引き抜くだけで容易に、ゴムユニット400をケーブル絶縁体300a、300bの外周に収縮・密着させることができることから、施工性に優れている。
【0007】
しかしながら、このような構成のゴムブロック絶縁形中間接続部においては、ゴムユニット400の収縮力によりケーブル絶縁体300a、300b界面との面圧を得るものであり、図13(a)に示すように、ゴムユニット400の端部に埋設されたストレスコーン700a、700bの立ち上がり部Aの電界強度が最も高くなるところ、図13(b)に示すように、当該立ち上がり部Aの電界強度に応じた面圧がゴムユニット400の全長に亘って一定の締付力で印加されることから、ストレスコーン700a、700bの立ち上がり部A以外の部分(図13(b)の塗りつぶし部分)においては必要以上の面圧が付与されていることになる。なお、図中、符号900は等電位線を示している。
【0008】
従って、このような構成のゴムブロック絶縁形中間接続部においては、必要最大面圧がゴムユニット400の全長に亘って一定の締付力で印加されることから、ゴムユニット400を伸び特性の優れた材料で形成しなければならない上、ゴムユニット400を一次加硫した後、その物性を安定化するため二次加硫しなければならないという難点があり、全体的に材料費や加工費が高くなるという難点がった。
【0009】
また、スパイラルコアなどの拡径部材により、ゴムユニット400の拡径力を大きくする必要があり、さらに、ゴムユニット400の拡径力を大きくした状態で当該ゴムユニット400を長期に亘って保管すると、ゴムユニット400の締付力が低下するという難点があった。
【0010】
一方、33kV以下の高圧CVケーブルの中間接続部に適用されるゴムユニット400においては、スパイラルコアなどの拡径治具を使用しなくともケーブル絶縁体300a、300bの外周に差込み装着することができるものの、このようなスパイラルコアなどの拡径治具を使用しない、いわゆるゴムユニット400のスライド組立方式(例えば、非特許文献3、4)においては、ゴムユニット400の締め代(ゴムユニット400の内径をケーブル絶縁体300a、300bの外径よりも小さくするような径差)が必要となることから、ゴムユニット400をケーブル絶縁体300a、300bの外周面に沿ってスライドさせるのに大きな労力が必要であった。特に33kVクラスの高圧CVケーブルの中間接続部に適用する場合はかなりの労力が必要になるという難点があった。従って、66kVクラス以上の高圧CVケーブルの中間接続部に適用する場合は、ゴムユニット400の外径が大きくなり、ゴムユニット400とケーブル絶縁体300a、300bとの界面の締め代をより大きくする必要があることから、ゴムユニット400のスライド組立方式は66kVクラス以上の高圧CVケーブルの中間接続部には実質的に適用できないという難点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2000−37029号公報
【特許文献2】特開2008−61416号公報
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】古河電工時報 第104号(平成11年7月)81〜86頁
【非特許文献2】三菱電線工業時報 第98号(2001年10月)45〜49頁
【非特許文献3】昭和電線レビユー Vol.55,No.1(2005)21〜24頁
【非特許文献4】平成18年電気学会全国大会 7−122
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上述の難点を解決するためになされたもので、ケーブル絶縁体に対するゴムユニットの面圧分布を電界強度分布に可及的に合致させることで、面圧の低減を図り、ひいては組立工事が簡単なゴムユニットを使用することでスキルレス化を図ったケーブル接続部を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第1の態様であるゴムユニットは、弾性材から成る絶縁筒と、絶縁筒の少なくとも一方の端部に絶縁筒と同心状に一体に設けられた円筒状の金具とを備え、絶縁筒の金具と対向する端部の内周には円筒状のストレスコーンが絶縁筒と同心状に埋設され、金具は、第1の円筒部と、第1の円筒部の前記ストレスコーンと対向する端部と反対側の端部に第1の円筒部と同心状に連設された第2の円筒部を備え、絶縁筒の金具と対向する端部には第2の円筒部に向かって延出し、それ自身の内周面が第2の円筒部の外周面に被着し得る円筒状の外側延長部が設けられ、ストレスコーンの金具と対向する端部には第1の円筒部に向かって延出し、それ自身の内周面が第1の円筒部の外周面に被着し得る円筒状の内側延長部が設けられ、外側延長部の内周面は第2の円筒部の外周面に対して一体に接着され、内側延長部の内周面は第1の円筒部の外周面に対して非接着状態で被着されているのである。
【0015】
本発明の第2の態様であるゴムユニットは、弾性材から成る絶縁筒と、絶縁筒の少なくとも一方の端部に絶縁筒と同心状に一体に設けられた円筒状の金具とを備え、絶縁筒の金具と対向する端部には円筒状のストレスコーンが絶縁筒と同心状に埋設され、金具は、第1の円筒部と、第1の円筒部のストレスコーンと対向する端部と反対側の端部に第1の円筒部と同心状に連設された第2の円筒部を備え、ストレスコーンの金具と対向する端部には金具の外周面に被着し得る環状の凹陥部が設けられ、凹陥部の内周面のうちストレスコーンと対向する端部と反対側の端部側に位置する内周面は第2の円筒部の外周面に対して一体に接着され、凹陥部の内周面のうちストレスコーンと対向する端部側に位置する内周面は第1の円筒部の外周面に対して非接着状態で被着されているのである。
【0016】
本発明の第3の態様は、第1の態様であるゴムユニットにおいて、第1の円筒部の第2の円筒部近傍の外周面には環状の凹溝または突起部が設けられ、ストレスコーンの内側延長部の内周には凹溝または突起部に嵌合し得る環状の突起部または凹溝が設けられているものである。
【0017】
本発明の第4の態様は、第2の態様であるゴムユニットにおいて、第1の円筒部の第2の円筒部近傍の外周面には環状の凹溝または突起部が設けられ、ストレスコーンの凹陥部の内周には凹溝または突起部に嵌合し得る環状の突起部または凹溝が設けられているものである。
【0018】
本発明の第5の態様は、第1の態様乃至第4の態様の何れかの態様であるゴムユニットにおいて、金具のストレスコーンと対向する端部と反対側の端部の外周縁部には、径方向外方に向けてフランジ部が連設されているのである。
【0019】
本発明の第6の態様であるケーブル接続部は、一対の電力ケーブルのケーブル導体を接続して成る電力ケーブルの導体接続部と、第1の態様乃至第5の態様の何れかの態様であるゴムユニットを備え、ゴムユニットは、導体接続部の外周に一対の電力ケーブルを構成するケーブル絶縁体の外周に跨って弾性的に装着されているのである。
【0020】
本発明の第7の態様であるケーブル接続部は、段剥処理によってケーブル絶縁体が露出されたケーブル端末部と、ケーブル端末部を包囲しそれ自身の低圧側に下部金具が配設された碍管と、第1の態様乃至第5の態様の何れかの態様であるゴムユニットを備え、ゴムユニットは、ケーブル絶縁体の外周にゴムユニットを構成する金具を下部金具側に向けて装着され、金具はOリングを介して下部金具に固定されているのである。
【0021】
本発明の第8の態様であるケーブル接続部は、段剥処理によってケーブル絶縁体が露出されたケーブル端末部と、ケーブル端末部を包囲しそれ自身の低圧側に下部金具が配設された碍管と、第1の態様乃至第5の態様の何れかの態様であるゴムユニットと、下部金具とゴムユニット間に配設され、高圧側にフランジ部を有する円筒状のアダプタとを備え、ゴムユニットは、ケーブル絶縁体の外周にゴムユニットを構成する金具をアダプタ側に向けて装着され、金具はOリングを介してフランジ部に固定されているものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明の第1の態様乃至第8の態様のゴムユニットおよびこれを用いたケーブル接続部によれば、次のような効果がある。
【0023】
第1に、ストレスコーンのケーブル絶縁体との装着部近傍で大きな締付力を発生させることができ、ストレスコーンの立ち上がり部の電界強度の高い部分に集中的に面圧を加えることができ、ひいては面圧分布を電界強度分布に可及的に合致させることができ、小さな径差のゴムユニットを設計することで、ゴムユニット全体の締付力を小さくすることができる。
【0024】
第2に、面圧分布が電界強度分布に可及的に合致され、ゴムユニット全体の締付力が小さくされたゴムユニットを使用することで、すなわち、小さな径差で設計されたゴムユニットを使用することで、ゴムユニットをスライド移動させるいわゆる自己圧縮方式のスライドタイプでも安定した絶縁を確保することができる。
【0025】
第3に、小さな径差で設計されたゴムユニットをスライド移動させることでケーブル絶縁体へのゴムユニットの挿入を容易に行なうことができる。
【0026】
第4に、自己圧縮方式のスライドタイプで高圧CVケーブルの接続部を組み立てることができることから、スパイラルコアなどの拡径保持部材が不要となり、コストの低減を図ることができる。
【0027】
第5に、ゴムユニットの金具を下部金具側に向けて装着し、当該金具をOリングを介して下部金具に、若しくはゴムユニットと下部金具間に配設した円筒状のアダプタに固定することで、従来のシール部(油止め部)よりも部品点数を低減することができ、またシール部(油止め部)のシール性を大幅に向上させることができる。
【0028】
第6に、従来のように油止め専用の金具やテープシールを使用する必要がなく、また、作業者のスキルも必要としないことから、シール部における気密性のばらつきが無くなり、組立ての簡素化を図ることができる。
【0029】
第7に、Oリングによるシール構造により、シール部の信頼性を大幅に向上させることができる。
【0030】
第8に、金具の第1の円筒部の第2の円筒部近傍の外周面と、ストレスコーンの内側延長部の内周との一部の接着部において、嵌合する片方を環状の凹溝、他方を環状の突起部で構成する場合には、より強固な接着状態で、金具とストレスコーンを一体化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第1の実施例におけるゴムユニットの一部断面図。
【図2】本発明の第1の実施例におけるゴムユニットの分解断面図。
【図3】本発明の第2の実施例におけるケーブル接続部(中間接続部)の一部断面図。
【図4】本発明の第2の実施例におけるゴムユニットの組立前および組立後の状態を示す説明図。
【図5】本発明の第2の実施例におけるケーブル接続部(中間接続部)の電界および面圧の付与状況を示す説明図。
【図6】本発明の第3の実施例におけるゴムユニットの一部断面図。
【図7】本発明の第4の実施例におけるケーブル接続部(終端接続部)の一部断面図。
【図8】本発明の他の実施例におけるゴムユニットの組立前および組立後の状態を示す説明図。
【図9】本発明の他の実施例におけるゴムユニットの組立前および組立後の状態を示す説明図。
【図10】本発明の他の実施例におけるゴムユニットの一部断面図。
【図11】本発明の他の実施例におけるゴムユニットの一部断面図。
【図12】従来のゴムブロック絶縁形中間接続部の一部断面図。
【図13】従来のゴムブロック絶縁形中間接続部における電界および面圧の付与状況を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明のゴムユニットおよびこれを用いたケーブル接続部を適用した最良の実施の形態例について、図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0033】
図1は、110〜132kVクラスの高圧CVケーブルの中間接続部に好適する本発明のゴムユニットの縦断面図である。
【0034】
同図において、本発明のゴムユニットUaは、弾性材、例えばシリコーンゴム材料で形成される絶縁筒1aと、絶縁筒1aの両端部に絶縁筒1aと同心状に一体に設けられた円筒状の金具2a、2bとを備えている。
【0035】
絶縁筒1aは、円筒状の主絶縁体10aを備えており、この主絶縁体10aの両端部の外周縁部にはそれぞれ金具2a、2bに向かって延出する円筒状の外側延長部11a、11bが主絶縁体10aと同心状に連設されている。また、各外側延長部11a、11bの端部の内周面側にはそれ自身の内周面が後述する金具2a、2bの外周面に対して被着し得る環状の厚肉部12a、12bが設けられている。ここで、円筒状の主絶縁体10aの外周面と円筒状の外側延長部11a、11bの外周面とは面一になるように形成され、また、環状の厚肉部12a、12bの内周面と後述するストレスコーン4a、4bの内側延長部43a、43bの内周面とは面一になるように形成されている。
【0036】
主絶縁体10aの中央部の内周面には円筒状の半導電性の弾性材、例えば半導電性シリコーンゴム材料から成る内部半導電体3が、両端部の内周面には円筒状の半導電性の弾性材、例えば半導電性シリコーンゴム材料から成るストレスコーン4a、4bがそれぞれ主絶縁体10aと同心状に一体に埋め込み成形されている。ここで、内部半導電体3および一対のストレスコーン4a、4bの内周面は主絶縁体10aの内周面とそれぞれ面一になるように形成されている。
【0037】
一対のストレスコーン4a、4bは、図2(a)に示すように、それぞれ主絶縁体10aの中央部外周に向かってラッパ状に拡径するテーパ内周面を有する電界緩和部41a、41bを有し、金具2a、2bと対向する側に厚肉の円筒部42a、42bを備えており、各円筒部42a、42bの金具2a、2bと対向する側には金具2a、2bの外周面に被着し得る環状の内側延長部43a、43bが設けられている。また、各内側延長部43a、43bの金具2a、2bと対向する側の端部内周には環状の突起部44a、44bが設けられている。ここで、外側延長部11a、11bの軸方向の長さは内側延長部43a、43bの軸方向の長さの2倍程度とされている。
【0038】
各金具2a、2bは、それぞれアルミなどで形成され、図2(b)に示すように、それぞれストレスコーン4a、4bの内側延長部43a、43bの内周面を被着させる第1の円筒部21a、21bと、外側延長部11a、11bの内周面を被着させる第2の円筒部22a、22bとを備えており、第2の円筒部22a、22bは第1の円筒部21a、21bのストレスコーン4a、4bと対向する端部と反対側の端部に第1の円筒部21a、21bと同心状に連設されている。
【0039】
また、第1の円筒部21a、21bの第2の円筒部22a、22b近傍の外周面には環状の凹溝23a、23bが設けられている。なお、金具2a、2bの内径は後述するケーブル絶縁体81a、81bの外径より大径とされ、金具2a、2bの外径はストレスコーン4a、4bの内側延長部43a、43bの内径および主絶縁体10aの厚肉部12a、12bの内径と略同径とされている。
【0040】
次に、絶縁筒1aとしての主絶縁体10a、内部半導電体3、一対のストレスコーン4a、4bおよび金具2a、2bを一体化する方法について説明する。
【0041】
先ず、図2(b)に示すように、金具2a、2bの凹溝23a、23bにのみに半導電性の接着剤6a、6b、例えば半導電性のゴムペースト状物の接着剤やシラン・カップリング剤を主成分とした加硫接着用プライマーなどを塗布しておき、この状態において、予め図2(a)に示すようにモールド成形した一対のストレスコーン4a、4bの内側延長部43a、43b内に金具2a、2bの第1の円筒部21a、21bを装着する。これにより、図2(c)に示すように、ストレスコーン4a、4bの突起部44a、44bを除く内側延長部43a、43bの内周面が金具2a、2bの凹溝23a、23bを除く第1の円筒部21a、21bの外周面に対して非接着状態で被着されることになる。また、ストレスコーン4a、4bの内側延長部43a、43bの内周面に設けた突起部44a、44bが凹溝23a、23bに嵌合されるとともに当該嵌合部においてストレスコーン4a、4bの突起部44a、44bのみが金具2a、2bに、より強固な接着状態で一体化されることになる。これにより、一対のストレスコーン4a、4bの端部側の内周のみが金具2a、2bに、より強固に固着され、金具2a、2bからの離脱が防止されることになる。
【0042】
次いで、図2(c)に示すように、金具2a、2bを構成する第2の円筒部22a、22bの外周に上記の半導電性の接着剤6a、6bと同様の接着剤7a、7bを塗布する。そして、このようにして得られた一対の金具2a、2b付きのストレスコーン4a、4bおよび予め成形した内部半導電体3を金型内にセットし、一対のストレスコーン4a、4bおよび内部半導電体3間にシリコーンゴム材料などの絶縁ゴムを注入して主絶縁体10aを成形しこれを加硫することで、図1に示すように、主絶縁体10a、内部半導電体3および一対のストレスコーン4a、4bが一体化される。また、これとともに厚肉部12a、12bの内周面が接着剤7a、7bを介して金具2a、2bの外周面に接着状態で一体化されることになる。
【0043】
このようにして得られたゴムユニットUaの内径は、被装着部としてのケーブル絶縁体81a、81bの外径に対して、1.5〜2.0mm程度の径差が設けられている。なお、図中、符合5は主絶縁体10aの外周に設けられた半導電塗料の塗布層などから成る外部半導電体を示している。
【0044】
このような構成のゴムユニットUaによれば、後述するように、ストレスコーン4a、4bのケーブル絶縁体81a、81bとの装着部近傍で大きな締付力を発生させることができ、ストレスコーン4a、4bの立ち上がり部の電界強度の高い部分に集中的に面圧を加えることができ、ひいては面圧分布を電界強度分布に可及的に合致させることができ、小さな径差(1.5〜2.0mm程度)のゴムユニットUaを設計することで、ゴムユニットUa全体の締付力を小さくすることができる。
【実施例2】
【0045】
図3は、本発明のゴムユニットUaを用いた110〜132kVクラスの高圧CVケーブルの中間接続部の一部断面図を示している。なお、同図において、図1と共通する部分には同一の符合を付して詳細な説明を省略する。
【0046】
図3において、本発明のケーブル接続部としての高圧CVケーブルの中間接続部は次のようにして形成されている。先ず、接続すべき一対の高圧CVケーブルは段剥処理することでそれぞれケーブル絶縁体81a、81bおよびケーブル導体(不図示)が露出されている。そして、露出されたケーブル導体を導体接続子82により接続することで高圧CVケーブルの導体接続部83が得られる。しかして、予め一方のケーブル絶縁体81a、81b側に嵌挿しておいた本発明に係るゴムユニットUaを正規位置まで、すなわちゴムユニットUaの中央部が導体接続部83の中央部と対応する接触する位置までスライド移動させる。これにより、図4(a)に示す組立前のゴムユニットUaが図4(b)に示すように、ケーブル絶縁体81a、81bの外周に拡径装着されることで、矢印Y1で示すように、全体的に中心方向に向かう締付力が発生する。この場合、本発明に係るゴムユニットUaの端部は金具2a、2bで拘束されていることから、ゴムユニットUaが正規位置に拡径装着されることで、ゴムユニットUaを構成する絶縁筒1aが金具2a、2bとの接着部で拘束されるとともにストレスコーン4a、4bの内側延長部43a、43bの内周面の非接着部が金具2a、2bの第1の円筒部21a、21bの外周面から径方向外方に向けて離れ、拡径する。これにより、矢印Y2で示すように、ストレスコーン4a、4bのケーブル絶縁体81a、81bとの装着部近傍で大きな締付力が発生し、ストレスコーン4a、4bの立ち上がり部の電界強度の高い部分に集中的に面圧が加えられ、図5に示すように、面圧がコントロールされた高圧CVケーブルの中間接続部が得られる。
【0047】
図5は、ゴムユニットUaの理想的な面圧設計のパターンを示している。同図において、左側の縦軸は電界(kV/mm)、右側の縦軸は面圧、横軸は絶縁筒1aとケーブル絶縁体81b界面における位置を示し、実線は電界強度分布、破線は面圧分布を示している。
【0048】
同図に示すように、絶縁筒1aとケーブル絶縁体81bとの界面の電界強度はストレスコーン4bの立ち上がり部が最も高く、面圧分布を電界強度分布に可及的に合致させることが理想的な面圧設計とされ、このような面圧設計とすることでゴムユニットUaの面圧の低減を図ることができる。
【0049】
以上のように、本発明に係るゴムユニットUaを使用した高圧CVケーブルの中間接続部によれば、第1に、面圧分布が電界強度分布に可及的に合致され、ゴムユニットUa全体の締付力が小さくされたゴムユニットUaを使用することで、すなわち、小さな径差(1.5〜2.0mm程度)で設計されたゴムユニットUaを使用することで、ゴムユニットUaをスライド移動させるいわゆる自己圧縮方式のスライドタイプでも安定した絶縁を確保することができる。第2に、小さな径差で設計されたゴムユニットUaをスライド移動させることでケーブル絶縁体81bへのゴムユニットUaの挿入を容易に行なうことができる。第3に、自己圧縮方式のスライドタイプで高圧CVケーブルの中間接続部を組み立てることができることから、スパイラルコアなどの拡径保持部材が不要となり、コストの低減を図ることができる。
【実施例3】
【0050】
図6は、220kVクラスの高圧CVケーブルの終端接続部に好適する本発明のゴムユニットの縦断面図である。なお、同図において、図1〜図3と共通する部分には同一の符合を付して詳細な説明を省略する。
【0051】
図6において、本発明のゴムユニットUbは、弾性材、例えばシリコーンゴム材料で形成される絶縁筒1bと、絶縁筒1bの低圧側端部(図中下部)に絶縁筒1bと同心状に一体に設けられた円筒状の金具2cとを備えている。
【0052】
絶縁筒1bは、円筒状の主絶縁体10bを備えており、この主絶縁体10bの低圧側端部の外周縁部には金具2cに向かって延出する円筒状の外側延長部11cが主絶縁体10bと同心状に連設されている。また、外側延長部11cの端部の内周面側にはそれ自身の内周面が後述する金具2cの外周面に対して被着し得る環状の厚肉部12cが設けられている。ここで、円筒状の主絶縁体10bの外周面と円筒状の外側延長部11cの外周面とは面一になるように形成され、また、環状の厚肉部12cの内周面と後述するストレスコーン4cの内側延長部43cの内周面とは面一になるように形成されている。
一方、絶縁筒1bとしての主絶縁体10bの高圧側端部(図中上部)の外周には高圧側端部に向かって緩やかに縮径するコーン状の外面13cが設けられており、また、高圧側端部の内周縁部には、高圧側端部近傍から高圧側端部に向かって緩やかに拡径するような内面を有するチューリップ状の凹陥部14cが絶縁筒1bとしての主絶縁体10bと同心状に設けられている。
【0053】
主絶縁体10bの低圧側端部の内周面には円筒状の半導電性の弾性材、例えば半導電性シリコーンゴム材料から成るストレスコーン4cが主絶縁体10bと同心状に一体に埋め込み成形されている。ここで、ストレスコーン4cの内周面は主絶縁体10bの内周面と面一になるように形成されている。
【0054】
ストレスコーン4cは、主絶縁体10bの中央部外周に向かってラッパ状に拡径するテーパ内周面を有する電界緩和部41cを有し、金具2cと対向する側に厚肉の円筒部42cを備えており、円筒部42cの金具2cと対向する側には金具2cの外周面に被着し得る環状の内側延長部43cが設けられている。また、内側延長部43cの金具2cと対向する側の端部内周には環状の突起部44cが設けられている。ここで、外側延長部11cの軸方向の長さは内側延長部43cの軸方向の長さの2倍程度とされている。
【0055】
金具2cは、アルミなどで形成され、ストレスコーン4cの内側延長部43cの内周面を被着させる第1の円筒部21cと、外側延長部11cの内周面を被着させる第2の円筒部22cとを備えており、第2の円筒部22cは第1の円筒部21cのストレスコーン4cと対向する端部と反対側の端部に第1の円筒部21cと同心状に連設されている。また、第2の円筒部22cのストレスコーン4cと対向する端部と反対側の端部には径方向外方に向けてフランジ部26が連設されている。さらに、第1の円筒部21cの第2の円筒部22c近傍の外周面には環状の凹溝23cが設けられている。なお、金具2cの内径は後述するケーブル絶縁体81cの外径より大径とされ、金具2cの絶縁筒1bと被着する部分の外径はストレスコーン4cの内側延長部43cの内径および主絶縁体10bの厚肉部12cの内径と略同径とされている。
【0056】
このような構成の絶縁筒1bとしての主絶縁体10b、ストレスコーン4cおよび金具2cは、前述の実施例1と同様の方法で一体化される。
【0057】
以上のように、本発明のゴムユニットUbによれば、次のような効果がある。
【0058】
第1に、第1の実施例と同様に、ストレスコーン4cのケーブル絶縁体81cとの装着部近傍で大きな締付力を発生させることができ、ストレスコーン4cの立ち上がり部の電界強度の高い部分に集中的に面圧を加えることができ、ひいては面圧分布を電界強度分布に可及的に合致させることができ、小さな径差(1.5〜2.0mm程度)のゴムユニットUbを設計することで、ゴムユニットUb全体の締付力を小さくすることができる。
【0059】
第2に、絶縁筒1bとしての主絶縁体10bの高圧側端部の内周縁部に、チューリップ状の凹陥部14cが設けられていることで、絶縁筒1bとしての主絶縁体10bの高圧側端部における絶縁流体98(図7参照)、絶縁筒1bとしての主絶縁体10b、ケーブル絶縁体81c(図7参照)の三重合点(トリプルジャンクション)Pの電界集中を防ぐことができる。
【実施例4】
【0060】
図7は、本発明のゴムユニットUbを用いた220kVクラスの高圧CVケーブルの終端接続部の一部断面図である。なお、同図において、図6と共通する部分には同一の符合を付して詳細な説明を省略する。
【0061】
図7において、この実施例においては、段剥処理によってケーブル絶縁体81cが露出されたケーブル端末部9と、ケーブル端末部9を包囲しそれ自身の下部に下部金具91が配設された碍管92と、ゴムユニットUbと、下部金具91とゴムユニットUb間に配設され高圧側および低圧側にフランジ部93a、93bを有する円筒状のアダプタ93とを備えている。
【0062】
このような構成のゴムユニットUbは、ケーブル絶縁体81cの外周にゴムユニットUbを構成する金具2cを円筒状のアダプタ93側に向けて装着され、当該金具2cは固定金具94およびOリング95を介してアダプタ93の高圧側のフランジ部93aに固定されている。
【0063】
このような構成のゴムユニットUbは、次のようにして高圧CVケーブルの終端接続部として組み立てられる。
【0064】
先ず、ケーブル端末部9のケーブルシ−ス(不図示)端部近傍に環状の下部金具91を支持碍子97等を介して固定する。次いで、ケーブル絶縁体81cの外周にその上端部からゴムユニットUbを装着する。この場合、ゴムユニットUbの金具2cをアダプタ93側に向けて装着し、当該金具2cの下面をOリング95を介してアダプタ93の高圧側のフランジ部93aの上面に当接し、固定金具94を金具2cのフランジ部93aの上面に被せ、ボルトによりアダプタ93と固定金具94を固定することで、金具2cがフランジ部93aに固定される。これにより、シール部(油止め部)が形成される。
【0065】
次に、ケーブル端末部9を碍管92で包囲し、その低圧側端部を下部金具91上に載置してボルトにより両者を固定し、碍管92内にシリコーン油、鉱油、合成油等の絶縁流体98を充填する。これにより、碍管92内空間の電気絶縁性能が確保される。次いで、碍管92の上部に上部金具(不図示)を取り付け、ケーブル端末部9の低圧側端部に防食層(不図示)を形成することにより、高圧CVケーブルの終端接続部の組み立てが完了する。
【0066】
以上のように、本発明のゴムユニットUbを用いた高圧CVケーブルの終端接続部によれば、次のような効果がある。
【0067】
第1に、第2の実施例と同様に、面圧分布が電界強度分布に可及的に合致され、ゴムユニットUb全体の締付力が小さくされたゴムユニットUbを使用することで、すなわち、小さな径差(1.5〜2.0mm程度)で設計されたゴムユニットUbを使用することで、ゴムユニットUbをスライド移動させるいわゆる自己圧縮方式のスライドタイプでも安定した絶縁を確保することができる。
【0068】
第2に、小さな径差で設計されたゴムユニットUbをスライド移動させることでケーブル絶縁体81cへのゴムユニットUbの挿入を容易に行なうことができる。
【0069】
第3に、自己圧縮方式のスライドタイプで高圧CVケーブルの終端接続部を組み立てることができることから、スパイラルコアなどの拡径保持部材が不要となり、コストの低減を図ることができる。
【0070】
第4に、ゴムユニットUbの金具2cを下部金具91側に向けて装着し、当該金具2cをOリング95を介してアダプタ93の高圧側のフランジ部93aに固定することで、従来のシール部(油止め部)よりも部品点数を低減することができ、またシール部(油止め部)のシール性を大幅に向上させることができる。
【0071】
第5に、従来のように油止め専用の金具やテープシールを使用する必要がなく、また、作業者のスキルも必要としないことから、シール部における気密性のばらつきが無くなり、組立ての簡素化を図ることができる。
【0072】
第6に、Oリング95によるシール構造により、シール部の信頼性を大幅に向上させることができる。
【0073】
なお、この実施例においては、ゴムユニットUbの金具2cをOリング95を介してアダプタ93に固定しているが、アダプタ93を用いることなく、ゴムユニットUbの金具2cをOリング95を介して下部金具91に固定してもよい。
【実施例5】
【0074】
図8は、本発明の他の実施例におけるゴムユニットの分解断面図である。なお、同図において、図2および図6と共通する部分には同一の符合を付して詳細な説明を省略する。
【0075】
図8において、この実施例においては、図2および図6に示す突起部44a、44b、44cを有するストレスコーン4a、4b、4cに代えて、内側延長部43d、43eの内周面に環状の凹溝44d、44eが設けられたストレスコーン4d、4eが使用され、図2および図6に示す凹溝23a、23b、23cを有する金具2a、2b、2cに代えて、外周面に環状の突起部23d、23eが設けられた金具2d、2eが使用されている。
【0076】
しかして、前述の実施例1と同様の方法により、突起部23d、23eにのみに半導電性の接着剤6a、6bを塗布した金具2d、2eの第1の円筒部21a、21bを図8(a)に示すストレスコーン4d、4eの内側延長部43d、43e内に装着することで、図8(c)に示すように、ストレスコーン4d、4eの凹溝44d、44eを除く内側延長部43d、43eの内周面を金具2d、2eの突起部23d、23eを除く第1の円筒部21a、21bの外周面に対して非接着状態で被着させることができ、また、金具2d、2eの突起部23d、23eをストレスコーン4d、4eの凹溝44d、44eに嵌合させるとともに当該嵌合部においてストレスコーン4d、4eの凹溝44d、44eのみが金具2d、2eに、より強固な接着状態で一体化させることで、ストレスコーン4d、4eの端部側の内周のみを金具2d、2eに、より強固に固着させ、金具2d、2eからの離脱を防止することができる。
【0077】
このような構成の一対の金具2d、2e付きのストレスコーン4d、4e、主絶縁体10a(図1参照)および内部半導電体3(図1参照)は、前述の実施例1と同様の方法で一体化される。
【0078】
この実施例においても、前述の実施例1と同様に、ストレスコーン4d、4eのケーブル絶縁体81a(図3参照)、81b(図3参照)との装着部近傍で大きな締付力を発生させることができ、ストレスコーン4d、4eの立ち上がり部の電界強度の高い部分に集中的に面圧を加えることができ、ひいては面圧分布を電界強度分布に可及的に合致させることができ、小さな径差(1.5〜2.0mm程度)のゴムユニットを設計することで、ゴムユニット全体の締付力を小さくすることができる。
【0079】
また、実施例3、4においても同様に、ストレスコーン4cに環状の凹溝、金具2cに環状の突起部が設けられているゴムユニットの構成とすることができ、当該実施例と同様の効果が得られる。
【実施例6】
【0080】
図9は、本発明の他の実施例におけるゴムユニットの分解断面図である。なお、同図において、図2および図6と共通する部分には同一の符合を付して詳細な説明を省略する。
【0081】
図9において、この実施例においては、図2および図6に示す突起部44a、44b、44cを有するストレスコーン4a、4b、4cに代えて、内側延長部43f、43gの内周面が平滑とされた、すなわち内側延長部43f、43gの内周面に突起部や凹溝が形成されないストレスコーン4f、4gが使用され、図2および図6に示す凹溝23a、23b、23cを有する金具2a、2b、2cに代えて、外周面が平滑とされた、すなわち外周面に凹溝や突起部が形成されない金具2f、2gが使用されている。
【0082】
しかして、前述の実施例1と同様の方法により、所定箇所の外周面(図2および図6に示す凹溝23a、23b、23cに対応する位置の外周面)にのみに半導電性の接着剤6a、6bを塗布した金具2f、2gの第1の円筒部21a、21bを図9(a)に示すストレスコーン4f、4gの内側延長部43f、43g内に装着することで、図9(c)に示すように、ストレスコーン4f、4gの所定箇所(図2および図6に示す突起部44a、44b、44cに対応する位置)を除く内側延長部43f、43gの内周面を金具2d、2eの所定箇所を除く第1の円筒部21a、21bの外周面に対して非接着状態で被着させることができ、また、ストレスコーン4f、4gの所定箇所のみを金具2f、2gに接着状態で一体化させることで、ストレスコーン4f、4gの端部側の内周のみを金具2f、2gに固着させ、金具2f、2gからの離脱を防止することができる。
【0083】
このような構成の一対の金具2f、2g付きのストレスコーン4f、4g、主絶縁体10a(図1参照)および内部半導電体3(図1参照)は、前述の実施例1と同様の方法で一体化される。
【0084】
この実施例においても、前述の実施例1と同様に、ストレスコーン4f、4gのケーブル絶縁体81a(図3参照)、81b(図3参照)との装着部近傍で大きな締付力を発生させることができ、ストレスコーン4f、4gの立ち上がり部の電界強度の高い部分に集中的に面圧を加えることができ、ひいては面圧分布を電界強度分布に可及的に合致させることができ、小さな径差(1.5〜2.0mm程度)のゴムユニットを設計することで、ゴムユニット全体の締付力を小さくすることができる。
【0085】
また、実施例3、4においても第1の円筒部21cとストレスコーン4cとの一部の接着部が平滑であるゴムユニットの構成とすることができ、当該実施例と同様の効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0086】
前述の実施例においては、図面に示した特定の実施の形態をもって本発明を説明しているが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではなく、本発明の効果を奏する限り、次のように構成してもよい。
【0087】
第1に、前述の実施例においては、外側延長部11a、11b、11cを絶縁性の弾性材で形成しているが、ストレスコーン4a、4b、4cと同様の半導電性の弾性材で形成してもよい。すなわち、図10に示すように、絶縁筒1a、1bの金具2a、2b、2cと対向する端部に円筒状のストレスコーン4hをそれ自身の外周面が絶縁筒1a、1bの外周面と面一になるようにして絶縁筒1a、1bと同心状に埋設するとともに、ストレスコーン4hの金具2a、2b、2cと対向する端部に金具2a、2b、2cの外周面に被着し得る環状の凹陥部45を設け、これらの凹陥部の内周面のうちストレスコーン4hと対向する端部と反対側の端部側に位置する内周面は第2の円筒部22a、22b、22cの外周面に対して一体に接着し、凹陥部の内周面のうちストレスコーン4hと対向する端部側に位置する内周面は第1の円筒部21a、21b、21cの一部の接着部(図10では突起部)を除く外周面に対して非接着状態で被着する構成としてもよい。
【0088】
第2に、前述の実施例においては、ストレスコーン4a、4b、4cを半導電性の弾性材で形成しているが、絶縁性の弾性材で形成し、図11の破線部に示すように、それ自身の全周面または内側延長部43a、43b、43cの内周面および金具2a、2b、2cと対向する端面42dを除く全周面に半導電性の塗料を塗布してもよい。すなわち、ケーブル遮蔽側と金具2a、2b、2cが電気的に接続されていればよい。
【0089】
第3に、金具はアルミで形成したものに限定されず、例えば、銅、銅合金製、若しくはアルミ合金製の何れかで形成してもよい。
【0090】
第4に、前述の実施例においては、主絶縁体10b、内部半導電体3およびストレスコーン4a、4b、4cをシリコーンゴムで形成した場合について説明しているが、エチレンプロピレンゴム(EPR)等で形成してもよい。
【0091】
第5に、この実施例においては、第1の円筒部21a、21b、21cと第2の円筒部22a、22b、22cの外径が同径とされているが、第1の円筒部21a、21b、21cの外径は第2の円筒部22a、22b、22cの外径と異なってもよい。
【0092】
第6に、前述の実施例においては、碍管92内に絶縁油を充填した場合について説明しているが、絶縁油に代えてSFガス等の絶縁ガスを充填してもよい。
【0093】
第7に、前述の実施例においては、気中終端接続部に適用した場合について説明しているが、ガス中終端接続部あるいは油中終端接続部に適用してもよい。
【0094】
第8に、前述の実施例においては、適用電圧が110〜132kVクラスの中間接続部および220kVクラスの気中終端接続部ものについて説明しているが、これらの電圧に限定されない。
【符号の説明】
【0095】
Ua、Ub・・・ゴムユニット
1a、1b・・・絶縁筒
4a、4b、4c・・・ストレスコーン
11a、11b、11c・・・外側延長部
21a、21b、21c・・・第1の円筒部
22a、22b、22c・・・第2の円筒部
23a、23b、23c・・・凹溝
26・・・フランジ部
43a、43b、43c・・・内側延長部
44a、44b、44c・・・突起部
81a、81b、81c・・・ケーブル絶縁体
83・・・導体接続部
9・・・ケーブル端末部
91・・・下部金具
92・・・碍管
93・・・アダプタ
95・・・Oリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性材から成る絶縁筒と、前記絶縁筒の少なくとも一方の端部に前記絶縁筒と同心状に一体に設けられた円筒状の金具とを備え、
前記絶縁筒の前記金具と対向する端部の内周には円筒状のストレスコーンが前記絶縁筒と同心状に埋設され、
前記金具は、第1の円筒部と、前記第1の円筒部の前記ストレスコーンと対向する端部と反対側の端部に前記第1の円筒部と同心状に連設された第2の円筒部を備え、
前記絶縁筒の前記金具と対向する端部には前記第2の円筒部に向かって延出し、それ自身の内周面が前記第2の円筒部の外周面に被着し得る円筒状の外側延長部が設けられ、
前記ストレスコーンの前記金具と対向する端部には前記第1の円筒部に向かって延出し、それ自身の内周面が前記第1の円筒部の外周面に被着し得る円筒状の内側延長部が設けられ、
前記外側延長部の内周面は前記第2の円筒部の外周面に対して一体に接着され、
前記内側延長部の内周面は前記第1の円筒部の外周面に対して非接着状態で被着されていることを特徴とするゴムユニット。
【請求項2】
弾性材から成る絶縁筒と、前記絶縁筒の少なくとも一方の端部に前記絶縁筒と同心状に一体に設けられた円筒状の金具とを備え、
前記絶縁筒の前記金具と対向する端部には円筒状のストレスコーンが前記絶縁筒と同心状に埋設され、
前記金具は、第1の円筒部と、前記第1の円筒部の前記ストレスコーンと対向する端部と反対側の端部に前記第1の円筒部と同心状に連設された第2の円筒部を備え、
前記ストレスコーンの前記金具と対向する端部には前記金具の外周面に被着し得る環状の凹陥部が設けられ、
前記凹陥部の内周面のうち前記ストレスコーンと対向する端部と反対側の端部側に位置する内周面は前記第2の円筒部の外周面に対して一体に接着され、
前記凹陥部の内周面のうち前記ストレスコーンと対向する端部側に位置する内周面は前記第1の円筒部の外周面に対して非接着状態で被着されていることを特徴とするゴムユニット。
【請求項3】
前記第1の円筒部の前記第2の円筒部近傍の外周面には環状の凹溝または突起部が設けられ、前記ストレスコーンの前記内側延長部の内周には前記凹溝または前記突起部に嵌合し得る環状の突起部または凹溝が設けられていることを特徴とする請求項1記載のゴムユニット。
【請求項4】
前記第1の円筒部の前記第2の円筒部近傍の外周面には環状の凹溝または突起部が設けられ、前記ストレスコーンの前記凹陥部の内周には前記凹溝または前記突起部に嵌合し得る環状の突起部または凹溝が設けられていることを特徴とする請求項2記載のゴムユニット。
【請求項5】
前記金具の前記ストレスコーンと対向する端部と反対側の端部の外周縁部には、径方向外方に向けてフランジ部が連設されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4何れか1項記載のゴムユニット。
【請求項6】
一対の電力ケーブルのケーブル導体を接続して成る電力ケーブルの導体接続部と、請求項1乃至請求項5何れか1項記載のゴムユニットを備え、
前記ゴムユニットは、前記導体接続部の外周に前記一対の電力ケーブルを構成するケーブル絶縁体の外周に跨って弾性的に装着されていることを特徴とするケーブル接続部。
【請求項7】
段剥処理によってケーブル絶縁体が露出されたケーブル端末部と、前記ケーブル端末部を包囲しそれ自身の低圧側に下部金具が配設された碍管と、請求項1乃至請求項5何れか1項記載のゴムユニットとを備え、
前記ゴムユニットは、前記ケーブル絶縁体の外周に前記ゴムユニットを構成する金具を前記下部金具側に向けて装着され、
前記金具はOリングを介して前記下部金具に固定されていることを特徴とするケーブル接続部。
【請求項8】
段剥処理によってケーブル絶縁体が露出されたケーブル端末部と、前記ケーブル端末部を包囲しそれ自身の低圧側に下部金具が配設された碍管と、請求項1乃至請求項5何れか1項記載のゴムユニットと、前記下部金具と前記ゴムユニット間に配設され、高圧側にフランジ部を有する円筒状のアダプタとを備え、
前記ゴムユニットは、前記ケーブル絶縁体の外周に前記ゴムユニットを構成する金具を前記アダプタ側に向けて装着され、
前記金具はOリングを介して前記フランジ部に固定されていることを特徴とするケーブル接続部。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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