説明

ゴム材料の混練方法およびゴム組成物

【課題】再生ゴムを含有しながらも物性の低下を抑えることが可能なゴム材料の混練方法およびゴム組成物を提供する。
【解決手段】原料ゴムRと非加硫系配合剤A1とを混練してノンプロ混練ゴムRNを得るノンプロ混練工程と、ノンプロ混練ゴムRNと加硫系配合剤A2とを混練して最終混練ゴムRFを得る最終混練工程とを有し、原料ゴムRがジエン系ゴムの新ゴムR1とジエン系ゴムの再生ゴムR2とからなり、原料ゴムRに含有されるゴム重合体に対する再生ゴムR2の配合割合を0.1phr〜10phrにして、ノンプロ混練工程を単数或いは複数の混練ステップで構成し、第1混練ステップでは密閉型混練機1を用いてゴム温度を130℃以下で混練を行ない、複数の混練ステップの場合は第1混練ステップ以降の混練ステップではゴム温度を90℃以下で混練を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム材料の混練方法およびゴム組成物に関し、さらに詳しくは、再生ゴムを含有しながらも物性の低下を抑えることが可能なゴム材料の混練方法およびゴム組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
タイヤ等の使用済みのゴム製品の一部は、粗粉砕処理の後、脱硫処理を経て再生ゴムとして、再生ゴム単独で、或いは、新ゴムに配合されて再利用されている。近年、環境保護やコスト低減の観点から再生ゴムの利用が重要視されている。一方で、加硫した再生ゴムは、加硫した新ゴムに比して物性が劣ることが知られており、新ゴムに再生ゴムを配合したゴム組成物(以下、再生ゴム含有ゴム組成物という)の加硫後の物性を改善することが求められている。
【0003】
従来、再生ゴム含有ゴム組成物の製造方法は種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の発明では、廃棄加硫ゴムに10〜150kg/cmのせん断応力を負荷して脱硫処理を行なって硫黄架橋結合を切断するとともに、粒径が100nm以下のカーボンブラックを含有させることにより、再生ゴム含有ゴム組成物の加硫後の物性を、加硫した新ゴムの物性と同等になるようにしている。しかしながら、この方法では、せん断応力の制御やカーボンブラックの粒径管理が煩雑となる。
【0004】
本願発明の発明者らは、再生ゴム含有ゴム組成物を製造するに際して、非加硫系配合剤とともに混練を行なうノンプロ混練工程でのゴム温度(混練温度)が、再生ゴム含有ゴム組成物の加硫後の物性に大きく影響することを見出した。そして、このゴム温度および再生ゴムの配合割合を適正に設定することにより、再生ゴム含有ゴム組成物の加硫後の物性低下を抑制して、加硫した新ゴムと同等レベルにすることが可能になった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−227724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、再生ゴムを含有しながらも物性の低下を抑えることが可能なゴム材料の混練方法およびゴム組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため本発明のゴム材料の混練方法は、原料ゴムと非加硫系配合剤とを混練してノンプロ混練ゴムを得るノンプロ混練工程と、ノンプロ混練ゴムと加硫系配合剤とを混練して最終混練ゴムを得る最終混練工程とを有するゴム材料の混練方法において、前記原料ゴムがジエン系ゴムの新ゴムとジエン系ゴムの再生ゴムとからなり、原料ゴムに含有されるゴム重合体に対する前記再生ゴムの配合割合を0.1phr〜10phrにするとともに、前記ノンプロ混練工程を複数の混練ステップで構成し、第1混練ステップでは密閉型混練機を用いてゴム温度を130℃以下にして混練を行ない、第1混練ステップ以降の混練ステップではゴム温度を90℃以下にして混練を行なうことを特徴とするものである。
【0008】
ここで、前記ノンプロ混練工程において、第1混練ステップ以降のすべての混練ステップでオープン型ロール混練機を用いて混練を行なうこともできる。
【0009】
本発明の別のゴム材料の混練方法は、原料ゴムと非加硫系配合剤とを混練してノンプロ混練ゴムを得るノンプロ混練工程と、ノンプロ混練ゴムと加硫系配合剤とを混練して最終混練ゴムを得る最終混練工程とを有するゴム材料の混練方法において、前記原料ゴムがジエン系ゴムの新ゴムとジエン系ゴムの再生ゴムとからなり、原料ゴムに含有されるゴム重合体に対する前記再生ゴムの配合割合を0.1phr〜10phrにするとともに、前記ノンプロ混練工程を第1混練ステップで構成し、第1混練ステップでは密閉型混練機を用いてゴム温度を130℃以下にして混練を行なうことを特徴とするものである。
【0010】
本発明のゴム材料の混練方法では、例えば、前記最終混練工程において、オープン型ロール混練機を用いて混練を行なう。
【0011】
本発明のゴム組成物は、原料ゴムがジエン系ゴムの新ゴムとジエン系ゴムの再生ゴムとからなり、原料ゴムに含有されるゴム重合体に対する前記再生ゴムの配合割合を0.1phr〜10phrにするとともに、ノンプロ混練工程を複数の混練ステップで構成し、第1混練ステップでは密閉型混練機を用いてゴム温度を130℃以下にして混練を行ない、第1混練ステップ以降の混練ステップではゴム温度を90℃以下にして混練を行なってノンプロ混練ゴムを得て、或いは、ノンプロ混練工程を第1混練ステップで構成し、第1混練ステップでは密閉型混練機を用いてゴム温度を130℃以下にして混練を行なってノンプロ混練ゴムを得て、ノンプロ混練ゴムと加硫系配合剤とを混練して得たことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、原料ゴムと非加硫系配合剤とを混練してノンプロ混練ゴムを得るノンプロ混練工程と、ノンプロ混練ゴムと加硫系配合剤とを混練して最終混練ゴムを得る最終混練工程とを有するゴム材料の混練方法によって混練を行なうに際して、原料ゴムがジエン系ゴムの新ゴムとジエン系ゴムの再生ゴムとからなり、原料ゴムに含有されるゴム重合体に対する再生ゴムの配合割合を0.1phr〜10phrにするとともに、ノンプロ混練工程を複数の混練ステップで構成し、第1混練ステップでは密閉型混練機を用いてゴム温度を130℃以下にして混練を行ない、第1混練ステップ以降の混練ステップではゴム温度を90℃以下にして混練を行なうようにして、或いは、ノンプロ混練工程を第1混練ステップで構成し、第1混練ステップでは密閉型混練機を用いてゴム温度を130℃以下にして混練を行なうようにして、従来のノンプロ混練工程に比してゴム温度を低温にして混練を行なうことで、再生ゴム含有ゴム組成物の加硫後の物性低下を抑えることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明のゴム材料の混練方法の全体工程を例示する説明図である。
【図2】図1の密閉型混練機を例示する説明図である。
【図3】図1のオープン型ロール混練機を例示する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明のゴム材料の混練方法およびゴム組成物を得る手順を図に示した実施形態に基づいて説明する。
【0015】
図1に例示するように、本発明のゴム材料の混練方法を行なう混練システムは、1台の密閉型混練機1と2台のオープン型ロール混練機8とを備えている。この密閉型混練機1とロール混練機8は、搬送コンベヤを介在させて直列に配置されている。密閉型混練機1および1台目のロール混練機8は、後述するノンプロ混練工程を行ない、2台目のロール混練機8は、最終混練工程を行なう。この実施形態では、ノンプロ混練工程が2つの混練ステップで構成されており、第1混練ステップを密閉型混練機1によって行ない、第2混練ステップを1台目のロール混練機8によって行なう。
【0016】
ノンプロ混練工程は、原料ゴムRと非加硫系配合剤A1とを混練してノンプロ混練ゴムRNを得る工程である。最終混練工程は、ノンプロ混練ゴムRNと加硫系配合剤A2とを混練して最終混練ゴムRFを得る工程である。この最終混練ゴムRFが本発明のゴム組成物(再生ゴム含有ゴム組成物)となる。
【0017】
原料ゴムRは、ジエン系ゴムの新ゴムR1(非再生の未加硫ゴム)とジエン系ゴムの再生ゴムR2とからなっている。再生ゴムR2とは、タイヤ等のゴム製品として使用済みのゴムを粗粉砕処理した後、脱硫処理をしたものである。
【0018】
ジエン系ゴムとしては、天然ゴム、ポリブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム等を例示できる。
【0019】
非加硫系配合剤A1としては、カーボンブラック、シリカ、酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤、ワックス等を例示できる。
【0020】
加硫系配合剤A2としては、硫黄、加硫促進剤、加硫遅延剤等を例示できる。
【0021】
本発明では、原料ゴムRに含有されるゴム重合体に対する再生ゴムR2の配合割合を0.1phr〜10phrにする。再生ゴムR2におけるゴム重合体の含有率は、JIS K 6313 表4に規定されているように約50%(45%〜55%)と推定することができる。新ゴムR1におけるゴム重合体の含有率は100%である。
【0022】
原料ゴムRに含有されるゴム重合体に対する再生ゴムR2の配合割合が少ない程、最終混練ゴムRFの加硫後の物性低下を抑えることができる。一方で、この配合割合が大きい程、再生ゴムR2の使用量を増大させることができるが、10phr超になると最終混練ゴムRFの加硫後の物性低下が過大になり好ましくない。したがって、ゴム物性低下を抑えつつ、再生ゴムR2の使用量を増大させるには、原料ゴムRに含有されるゴム重合体に対する再生ゴムR2の配合割合を、1phr〜9phrにすることがより好ましい。
【0023】
密閉型混練機1は、図2に例示するように、ケーシングの上部に材料投入口2を有し、ケーシングの下部にロータ4を収容する空間および材料排出口3を有している。並置された2本のロータ4は、平行に配置されたそれぞれのロータ軸を中心にして互いに反対方向に回転する。ロータ軸は、油圧ポンプ等のロータ駆動装置によって回転駆動される。また、ケーシングの内部の温度を検知する温度センサ5が設けられ、ケーシングの外壁面には温度調節機構6が設置されている。ケーシングの内部温度は、温度センサ5の検知温度に基づいて制御装置7により制御される温度調節機構6によって調節される。ケーシングの内部温度は、ロータ2の回転数を変化させることによっても調節することもできる。この場合、温度センサ5の検知温度に基づいて制御装置7によりロータ4の回転数を制御する構成にして、温度調節機構6を省略することができる。
【0024】
ロール混練機8は、図3に例示するように、互いに反対方向に電動モータ10によって回転駆動される左右一対のロール9を有したオープン構造になっている。上方からロール9にゴム材料(ノンプロ混練ゴムRN、最終混練ゴムRF)を供給する練り返しコンベアベルト16と、一端が持ち上がった状態となっている受け渡しコンベアベルト17とによって、ゴム材料が繰り返し連続的にロール9に供給されて混練される。
【0025】
一方のロール9にはアクチュエータ11が備わり、ロール9を移動させてロールギャップが変更可能になっている。ロール9間の下方にはロールギャップセンサ14が配置され、受け渡しコンベアベルト17の上方にはゴム温度を検知する温度センサ12とゴム温度を調節する冷却ファン等の温度調節機構13が配置されている。温度センサ12が検知したゴム温度は制御装置15に入力され、このゴム温度、或いはその他の追加データに基づいて、制御装置15により電動モータ10の駆動、ロールギャップの調整、温度調節機構13によるゴム温度の調節が制御される。
【0026】
図1の混練システム1によるゴム材料を混練する手順は以下のとおりである。
【0027】
まず、所定量の原料ゴムRと非加硫系配合剤A1とを、材料投入口2を通じて密閉型混練機1の内部に投入する。次いで、加圧装置2aを移動させてロータ4の上部を密閉して覆うようにする。
【0028】
次いで、内部に投入された原料材料Rおよび非加硫系配合剤A1を、加圧装置2aおよび排出口フラップ3aと、ケーシングの壁面とで形成された密閉空間において、回転する2つのロータ4によって混練する。回転するそれぞれのロータ4の螺旋状羽根によって原料ゴムRと非加硫系配合剤A1を所定時間混練することによりノンプロ混練ゴムRNとなる。
【0029】
この第1混練ステップでは、ゴム温度を130℃以下にして混練を行なう。そのため、温度センサ5によりゴム温度を検知しつつ混練を行ない、温度センサ5の検知温度に基づいて制御装置7により温度調節機構6を制御して、或いは、ロータ4の回転数を制御してゴム温度を130℃以下に維持する。この際のゴム温度の下限は、例えば、110℃程度である。
【0030】
その後、排出口フラップ3aを移動させて材料排出口3を開口し、第1混練ステップで混練したノンプロ混練ゴムRNを材料排出口3を通じて外部に排出する。このノンプロ混練ゴムRNは、搬送コンベヤにより1台目のロール混練機8に搬送、投入される。
【0031】
次いで、このロール混練機8により第2混練ステップを行なう。このロール混練機8では、ノンプロ混練ゴムRNを繰り返しロール9間に供給してゴム温度を90℃以下にして所定時間混練を行なう。
【0032】
そのため、温度センサ12によりゴム温度を検知しつつ混練を行ない、温度センサ12の検知温度に基づいて制御装置15により温度調節機構13を制御してゴム温度を90℃以下に維持する。この際のゴム温度の下限は、例えば、60℃程度である。
【0033】
その後、受け渡しコンベヤ17の一端を下方に回動させて、第2混練ステップで混練したノンプロ混練ゴムRNを、このロール混練機8から排出する。このノンプロ混練ゴムRNは、搬送コンベヤにより2台目のロール混練機8に搬送、投入される。
【0034】
次いで、このロール混練機8により最終混練工程を行なう。最終混練工程では、投入されたノンプロ混練ゴムRNと所定量の加硫系配合剤A2とを所定時間混練する。混練の要領は、第2混練ステップと同様である。最終混練工程ではゴム温度を同様に90℃以下に維持する。この最終混練工程を経て、最終混練ゴムRFが得られる。
【0035】
上記のように本発明では、原料ゴムRに含有されるゴム重合体に対する再生ゴムR2の配合割合を適正な範囲にするとともに、ノンプロ混練工程を複数の混練ステップで構成し、第1混練ステップでは密閉型混練機1を用いてゴム温度を130℃以下にして混練を行ない、第2混練ステップではゴム温度を90℃以下にして混練を行なって、従来のノンプロ混練工程(ゴム温度は110℃〜160℃程度)に比してゴム温度を低温にして混練を行なうことで、最終混練ゴムRFの加硫後の物性低下を抑えることが可能になる。
【0036】
尚、ノンプロ混練工程を3つ以上の混練ステップで構成する場合も、第1混練ステップ以降の混練ステップではゴム温度を90℃以下にして混練を行なう。この際のゴム温度の下限は60℃程度である。
【0037】
本発明のようにノンプロ混練工程を比較的低温で行なうことにより、物性低下の核となる再生ゴムR2を均一に分散させ、ゲルの生成を抑えるため、最終混練ゴムRFの加硫後の物性低下が抑制されると考えられる。
【0038】
この最終混練ゴムRFによれば、再生ゴムR2を含まないゴム材料と遜色のない同等のゴム物性を確保することができるので、タイヤをはじめとして様々なゴム製品の材料として用いることができる。
【0039】
ノンプロ混練工程は、上記実施形態のように複数の混練ステップで構成するだけでなく、単数の混練ステップで構成することもできる。ノンプロ混練工程は、複数の混練ステップ、単数の混練ステップのいずれで構成する場合も、第1混練ステップは、混練時の粉体の飛散を防止するために密閉型混練機1を用いる。
【0040】
ノンプロ混練工程を、第1混練ステップのみで構成する場合は、ゴム温度を130℃以下にして混練を行なう。この際のゴム温度の下限は110℃程度である。このようにノンプロ混練工程を構成しても、上記実施形態と同様に、最終混練ゴムRFの加硫後の物性低下を抑えることが可能になる。
【0041】
ノンプロ混練工程の第1混練ステップ以降の混練ステップおよび最終混練工程は、ロール混練機8ではなく密閉型混練機1で行なうこともできるが、オープン型ロール混練機8によれば密閉型混練機1に比べてゴム温度を低下させ易いので、ゴム温度を本願発明で規定した範囲にするには有利である。したがって、ノンプロ混練工程の第1混練ステップ以降のすべての混練ステップおよび最終混練工程は、ロール混練機8を行なうことが好ましい。
【実施例】
【0042】
表1〜表4に示すように、混練する材料の配合および混練する際のゴム温度を異ならせて、ノンプロ混練工程および最終混練工程を行なって最終混練ゴム(実施例1〜3、比較例1〜9の合計12種類)を製造した。この最終混練ゴムを同一条件で加硫した後、それぞれの加硫ゴムについてのゴム物性を確認した。確認したゴム物性は、下記の破断強度、破断伸び、引張疲労特性、ランボーン摩耗の4項目であり、その結果を表1〜表4に示す。
【0043】
使用した密閉型混練機(表ではミキサーと表示)は、図2に例示したものと同様の構造で容量16Lであり、混練対象のゴム材料を4分間混練して、ゴム温度が目標温度になるようにロータの回転数を調整した。
【0044】
使用したロール混練機(表ではロールと表示)は、図3に例示したものと同様の構造であり混練対象のゴム材料を5分間混練して、ゴム温度が目標温度になるように調整した。
【0045】
使用した材料は以下のとおりである。
天然ゴム:RSS♯3
ポリブタジエンゴム:日本ゼオン(株)製「NipolBR1220」
再生ゴム(天然ゴム主体):村岡ゴム工業(株)製「タイヤリク紫線」
カーボンブラック:新日化カーボン(株)製「ニテロン♯300IH」
老化防止剤:住友化学(株)製「アンチゲン6C」
ワックス:大内新興化学工業(株)製「サンノック」
酸化亜鉛:正同化学工業(株)製「酸化亜鉛3種」
ステアリン酸:日油(株)製「ビーズステアリン酸」
硫黄:鶴見化学工業(株)製「金華印油入微粉硫黄」
加硫促進剤:大内新興化学工業製「ノクセラーNS−P」
【0046】
[破断強度]
JIS K 6251に準拠して引張試験を行ない、破断時の応力を破断強度として指数表示した。数値が大きい程、破断強度が高いことを意味する。
【0047】
[破断伸び]
JIS K 6251に準拠して引張試験を行ない、破断時の伸びを指数表示した。数値が大きい程、破断伸びが高いことを意味する。
【0048】
[引張特性]
JIS K 6270に準拠して引張疲労特性試験を行ない、疲労寿命を指数表示した。数値が大きい程、引張疲労特性が高いことを意味する。
【0049】
[ランボーン摩耗]
ランボーン摩耗試験機を用いてJIS K 6264に準拠し、荷重4.0kg(=39N)、スリップ率30%の条件にて測定して指数表示した。数値が大きい程、耐摩耗特性が良好なことを意味する。
【0050】
【表1】

【0051】
比較例2および実施例1では、再生ゴムにおけるゴム重合体の含有率は50%なので、原料ゴムに含有されるゴム重合体に対する再生ゴムの配合割合は3phrとなる。ゴム物性は、比較例1を基準の100として指数評価した。
【0052】
【表2】

【0053】
比較例4および実施例2では、再生ゴムにおけるゴム重合体の含有率は50%なので、原料ゴムに含有されるゴム重合体に対する再生ゴムの配合割合は9phrとなる。ゴム物性は、比較例1を基準の100として指数評価した。
【0054】
【表3】

【0055】
比較例6および実施例3では、再生ゴムにおけるゴム重合体の含有率は50%なので、原料ゴムに含有されるゴム重合体に対する再生ゴムの配合割合は3phrとなる。ゴム物性は、比較例5を基準の100として指数評価した。
【0056】
【表4】

【0057】
比較例8および実施例9では、再生ゴムにおけるゴム重合体の含有率は50%なので、原料ゴムに含有されるゴム重合体に対する再生ゴムの配合割合は15phrとなる。ゴム物性は、比較例1を基準の100として指数評価した。
【0058】
表1〜表4の結果から、本発明で規定した範囲に再生ゴムの配合割合を設定するとともに、低温混練を行なった実施例1〜3では、再生ゴム含有ゴム組成物の加硫後の物性低下を抑制でき、加硫した新ゴムと同等レベルを確保することができることがわかる。
【符号の説明】
【0059】
1 密閉型混練機
2 材料投入口
2a 加圧装置
3 材料排出口
3a 排出口フラップ
4 ロータ
5 温度センサ
6 温度調節機構
7 制御装置
8 ロール混練機
9 ロール
10 電動モータ
11 アクチュエータ
12 温度センサ
13 温度調節機構
14 ロールギャップセンサ
15 制御装置
16 練り返しコンベアベルト
17 受け渡しコンベアベルト
R 原料ゴム
R1 新ゴム
R2 再生ゴム
RN ノンプロ混練ゴム
RF 最終混練ゴム
A1 非加硫系配合剤
A2 加硫系配合剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料ゴムと非加硫系配合剤とを混練してノンプロ混練ゴムを得るノンプロ混練工程と、ノンプロ混練ゴムと加硫系配合剤とを混練して最終混練ゴムを得る最終混練工程とを有するゴム材料の混練方法において、前記原料ゴムがジエン系ゴムの新ゴムとジエン系ゴムの再生ゴムとからなり、原料ゴムに含有されるゴム重合体に対する前記再生ゴムの配合割合を0.1phr〜10phrにするとともに、前記ノンプロ混練工程を複数の混練ステップで構成し、第1混練ステップでは密閉型混練機を用いてゴム温度を130℃以下にして混練を行ない、第1混練ステップ以降の混練ステップではゴム温度を90℃以下にして混練を行なうゴム材料の混練方法。
【請求項2】
前記ノンプロ混練工程において、第1混練ステップ以降のすべての混練ステップでオープン型ロール混練機を用いて混練を行なう請求項1に記載のゴム材料の混練方法。
【請求項3】
原料ゴムと非加硫系配合剤とを混練してノンプロ混練ゴムを得るノンプロ混練工程と、ノンプロ混練ゴムと加硫系配合剤とを混練して最終混練ゴムを得る最終混練工程とを有するゴム材料の混練方法において、前記原料ゴムがジエン系ゴムの新ゴムとジエン系ゴムの再生ゴムとからなり、原料ゴムに含有されるゴム重合体に対する前記再生ゴムの配合割合を0.1phr〜10phrにするとともに、前記ノンプロ混練工程を第1混練ステップで構成し、第1混練ステップでは密閉型混練機を用いてゴム温度を130℃以下にして混練を行なうゴム材料の混練方法。
【請求項4】
前記最終混練工程において、オープン型ロール混練機を用いて混練を行なう請求項1〜3のいずれかに記載のゴム材料の混練方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のゴム材料の混練方法により得られたゴム組成物。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2011−68834(P2011−68834A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−223126(P2009−223126)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】