説明

ゴルフクラブ用シャフト及びゴルフクラブ

【課題】先端部の強度に優れたゴルフクラブ用シャフトの提供。
【解決手段】シャフト外面6aは、最もチップTp側に位置する第一外面部a1と、軸方向位置G1を境界としてこの第一外面部a1に隣接する第二外面部a2とを有する。シャフト内面6bは、最もチップTp側に位置する第一内面部b1と、軸方向位置N1を境界としてこの第一内面部b1に隣接する第二内面部b2とを有する。上記第一外面部a1の直径は、一定である。上記第二外面部a2の直径が、チップTp側ほど小さくされている。第一内面部b1の直径が、一定であるか、又は、チップTp側ほど小さくされている。上記第二内面部b2の直径が、チップ側ほど小さくされている。上記第一内面部b1のテーパー率T1が、上記第二内面部b2のテーパー率T2よりも小さい。上記軸方向位置G1が、上記軸方向位置N1よりもチップTp側に位置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフクラブ用シャフト及びゴルフクラブに関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフクラブ用シャフトとして、いわゆるスチールシャフトやカーボンシャフトが知られている。カーボンシャフトの材質は、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)である。
【0003】
カーボンシャフトの多くは、いわゆるシートワインディング製法により製造されている。シートワインディング製法では、繊維とマトリクス樹脂とを備えたプリプレグシートが用いられる。この製法では、プリプレグよりなるシートが金属製のマンドレル(芯体)に巻回され、次いで加熱によりマトリクス樹脂が硬化され、この硬化後に上記マンドレルが引き抜かれる。この製法により、プリプレグシートが巻回され且つ硬化されてなるシャフトが形成される。
【0004】
マンドレルの少なくとも一部には、チップ(先端)側ほど細くなるようなテーパーが付与されている。このテーパーにより、マンドレルの引き抜きが可能となる。
【0005】
マンドレルによって、シャフトの内面が成形される。マンドレルの外径は、シャフトの内径に等しい。マンドレルによって、シャフトの内径が決定される。
【0006】
特開平7−213654号公報は、シャフト内面にテーパーを設けるとともに、このテーパー角度を変化させたシャフトを開示する。このシャフトのチップ部の外面には、同一外径部分が設けられている。更に、このシャフトの内面には、最もチップ側に位置する第1のテーパー部分と、それに隣接する第2のテーパー部分とが設けられている。第一のテーパー部分のテーパー角度は、第2のテーパー部分のテーパー角度よりも大きい。この特開平7−213654号公報は、アイアンセットの全番手に共用するのに適したシャフトを開示する。
【0007】
特開2005−245736号公報は、チップ部に位置する外径ストレート部のグリップ側端が、シャフト内径の第一テーパー変化点と第二テーパー変化点との間に位置するシャフトを開示する。
【特許文献1】特開平7−213654号
【特許文献2】特開2005−245736号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特開平7−213654号は、アイアンセットにおいて、シャフト外径を変えることなくキックポイントを移行することを目的としている。この特開平7−213654号では、強度の向上は考慮されていない。特開平7−213654号では、第一のテーパー部分のテーパー角度が、第2のテーパー部分のテーパー角度よりも大きいため、第一のテーパー部と第二のテーパー部との境界においてシャフトが薄くなりやすい。テーパー角度の変化点が薄い場合、強度が低下しやすい。
【0009】
特開2005−245736号のシャフトでは、第一テーパー変化点と第二テーパー変化点との間において、シャフトの厚さ変化が大きくなりやすい。この大きな厚さ変化により、薄い部分への応力集中が生じやすい。大きな厚さ変化は、シャフト強度の低下を招来しうる。
【0010】
本発明の目的は、先端部の強度に優れたゴルフクラブ用シャフトの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のシャフトは、マトリクス樹脂と繊維とを備えたプリプレグシートが巻回され且つ硬化されてなる。シャフト外面は、最もチップ側に位置する第一外面部と、軸方向位置G1を境界としてこの第一外面部に隣接する第二外面部とを有する。シャフト内面は、最もチップ側に位置する第一内面部と、軸方向位置N1を境界としてこの第一内面部に隣接する第二内面部とを有する。上記第一外面部の直径は、一定である。上記第二外面部の直径は、チップ側ほど小さくされている。上記第一内面部の直径は、一定であるか、又は、チップ側ほど小さくされている。上記第二内面部の直径は、チップ側ほど小さくされている。上記第一内面部のテーパー率T1は、上記第二内面部のテーパー率T2よりも小さい。上記軸方向位置G1は、上記軸方向位置N1よりもチップ側に位置している。
【0012】
好ましくは、上記軸方向位置G1と上記軸方向位置N1との軸方向距離が5mm以上である。好ましくは、上記テーパー率T1が15/1000以下である。
【0013】
本発明に係るゴルフクラブは、上記ゴルフクラブ用シャフトと、ヘッドと、グリップとを備えている。
【発明の効果】
【0014】
シャフト先端部に同一外径部が設けられた場合において、シャフト先端部における応力集中が緩和される。本発明のシャフトは、先端部における強度に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。なお、本願において、「軸方向」とは、シャフトの中心軸線の方向であり、シャフト長手方向と一致する。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係るゴルフクラブ2の全体図である。ゴルフクラブ2は、ヘッド4、シャフト6及びグリップ8を有している。ヘッド4は、シャフト6のチップ部(先端部)に取り付けられている。グリップ8は、シャフト6のバット部(後端部)に取り付けられている。
【0017】
なおシャフト6に装着されるヘッド4及びグリップ8は限定されない。ヘッド4として、ウッド型ゴルフクラブヘッド、アイアン型ゴルフクラブヘッド、パターヘッド等が例示される。
【0018】
シャフト6は、管状体である。シャフト6は、チップ(先端)Tpとバット(後端)Btとを有する。チップTpを含む先端部にヘッド4が取り付けられる。ゴルフクラブ2において、チップTpは、ヘッド4のシャフト穴の内部に位置している。ゴルフクラブ2において、バットBtは、グリップ8のシャフト挿入穴の内部に位置している。
【0019】
図1が示すように、シャフト6の外面は、テーパー面を有する。このテーパー面は、シャフト先端Tpに近づくほどその外径が小さくされている。
【0020】
シャフト6は、いわゆるカーボンシャフトである。シャフト6は、プリプレグシートを硬化させてなる。このプリプレグシートでは、繊維は実質的に一方向に配向している。このように繊維が実質的に一方向に配向したプリプレグは、UDプリプレグとも称される。「UD」とは、ユニディレクションの略である。本発明に係るシャフトには、このUDプリプレグが好ましく用いられる。このプリプレグシートは、繊維とマトリクス樹脂とを有している。典型的には、この繊維は炭素繊維である。典型的には、このマトリクス樹脂は、熱硬化性樹脂である。
【0021】
シャフト6は、マトリクス樹脂と繊維とを備えたプリプレグシートが巻回され且つ硬化されてなる。シャフト6は、いわゆるシートワインディング製法により製造される。プリプレグの状態において、マトリクス樹脂は、半硬化状態にある。シャフト6は、プリプレグシートが巻回され且つ硬化されてなる。この硬化とは、半硬化状態のマトリクス樹脂を硬化させることである。この硬化は、加熱により達成される。シャフト6の製造工程には、加熱工程が含まれる。この加熱工程により、プリプレグシートのマトリクス樹脂が硬化する。
【0022】
複数枚のシートを組み合わせて、シャフトが構成される。シートの種類、配置、組み合わせ等は限定されない。複数枚のシートをマンドレル(芯金)に巻回し、この巻回体を加熱により硬化させた後、マンドレルが引き抜かれることにより、シャフトが製造される。
【0023】
シャフト6の製造では、所定の寸法に切断されたシートが、順次マンドレルに巻回される。シートの種類、繊維の配向、シート寸法、軸方向のシート配置、半径方向のシート配置(巻回順序)等が調整されることにより、所望の特性を有するシャフトが得られうる。
【0024】
シートは、巻回された後に硬化されて、層となる。シャフト6は、ストレート層とバイアス層とを有する。ストレート層は、繊維の配向方向がシャフト軸方向に対して実質的に平行とされた層である。巻き付けの際の誤差等に起因して、通常、繊維の配向方向はシャフト軸線方向に対して完全に平行とはならない。本願において、ストレート層は、繊維の配向方向とシャフト軸線方向とのなす角度Afが、−10度を超えて+10度未満である。即ち、本願において、ストレート層の角度Afの絶対値は、0度以上10度未満である。ストレート層は、シャフトの曲げ剛性及び曲げ強度との相関が高い。
【0025】
バイアス層は、シャフトの捻れ剛性及び捻れ強度を高める目的で設けられる。バイアス層は、繊維の配向方向が互いに逆方向に傾斜したシートセットから構成されている。バイアス層は、上記角度Afが−80度以上−10度以下の層と、上記角度Afが10度以上80度以下の層とを含む。即ち、バイアス層の角度Afの絶対値αは、10度以上80度以下とされる。捻れ剛性及び捻れ強度の観点から、絶対値αは、45度に近い方がよい。よって、絶対値αの下限値は、25度以上が好ましく、35度以上がより好ましい。絶対値αの上限値は、65度以下が好ましく、55度以下がより好ましい。
【0026】
ストレート層及びバイアス層以外の層が設けられても良い。例えば、フープ層が設けられても良い。フープ層では、繊維の配向方向が、シャフト軸線に対して実質的に直角とされる。フープ層は、シャフトのつぶし剛性及びつぶし強度を高めるために設けられる。つぶし剛性とは、シャフトをその半径方向内側に向かって押し潰す力に対する剛性である。つぶし強度とは、シャフトをその半径方向内側に向かって押し潰す力に対する強度である。つぶし強度は、曲げ強度とも関連しうる。曲げ変形に連動してつぶし変形が生じうる。特に肉厚の薄い軽量シャフトにおいては、この連動性が大きい。つぶし強度の向上により、曲げ強度も向上しうる。フープ層における上記角度Afの絶対値αは、80度を超えて90度以下とされる。
【0027】
シャフト6には、シャフト軸方向の全長に亘って設けられる全長シートの他、シャフト軸方向の一部に設けられる部分シートが含まれうる。部分シートは、シャフトを部分的に補強しうる。部分シートは、シャフトの曲げ剛性又は捻れ剛性を部分的に高めうる。部分シートは、シャフトの剛性分布を変更しうる。部分シートにより、設計自由度が高くされる。
【0028】
図2は、シャフト6の先端部の拡大断面図である。図3は、シャフト6の製造に用いられたマンドレルmdを示す図である。図3では、マンドレルmdの一部(先端部を含む)が示されている。
【0029】
図2が示すように、シャフト6は、外面6aと、内面6bとを有する。シャフト外面6aの断面形状は円形である。シャフト内面6bの断面形状は円形である。シャフト内面6bの直径(シャフト内径)は、マンドレルmdの外径によって定まる。シャフト外面6aの直径(シャフト外径)は、マンドレルmdの外径と、シャフトの厚さとによって定まる。
【0030】
上述の通り、シャフト製造時に、マンドレルmdが引き抜かれる。マンドレルmdの引き抜きを可能とする観点から、シャフト内面6bの全領域において、シャフト内面6bのテーパー率はゼロ又はプラスである。テーパー率の定義については、後述される。
【0031】
シャフト外面6aは、最もチップTp側に位置する第一外面部a1と、この第一外面部a1に隣接する第二外面部a2とを有する。第一外面部a1と第二外面部a2との境界位置が、軸方向位置G1である。軸方向位置G1は、第一外面部a1のバットBt側の端点の位置である。第一外面部a1は、チップTpから軸方向位置G1までの部分である。第一外面部a1のテーパー率は一定である。第二外面部a2のテーパー率は一定である。
【0032】
シャフト内面6bは、最もチップTp側に位置する第一内面部b1と、この第一内面部b1に隣接する第二内面部b2とを有する。第一内面部b1と第二内面部b2との境界位置が、軸方向位置N1である。第一内面部b1は、チップTpから軸方向位置N1までの部分である。第一内面部b1のテーパー率は一定である。第二内面部b2のテーパー率は一定である。
【0033】
更に、シャフト内面6bは、上記第二内面部b2に隣接する第三内面部b3とを有する。第二内面部b2と第三内面部b3との境界位置が、軸方向位置N2である。第二内面部b2は、軸方向位置N1から軸方向位置N2までの部分である。第三内面部b3のテーパー率は一定である。なお、第三内面部b3は、存在しなくてもよい。即ち、第二内面部b2がシャフト6のバットBtに至っていてもよい。第二内面部b2よりもバットBt側におけるシャフト内面6bの形状は、ゼロ又はプラスのテーパー率を有する限り、限定されない。
【0034】
第一外面部a1の直径s1は、一定である。第一外面部a1は、外径同一部10の外面である。第一外面部a1のテーパー率R1は、ゼロである。
【0035】
シャフト6のうち、外径が一定の部分が、外径同一部と称される。本実施形態において、外径同一部10は、シャフト6の先端部に設けられている。通常、ヘッド4のシャフト穴の内径は、一定である。先端部の外径同一部10は、ヘッド4のシャフト穴に接着されやすい。
【0036】
なお、外径同一部10は、先端部以外の位置に設けられてもよい。例えば、外径同一部10は、シャフト6の後端部に設けられてもよい。先端部以外の外径同一部は、後端部にのみ設けられるのが好ましい。シャフトの後端部にはグリップが装着される。シャフト後端部の外径同一部により、シャフトとグリップとの適合性が向上しうる。この適合性の観点から、この後端部の外径同一部の軸方向長さLbtは、100mm以上が好ましく、150mm以上がより好ましく、200mm以上がより好ましい。シャフトのしなり特性の観点から、この軸方向長さLbtは、400mm以下が好ましく、300mm以下がより好ましく、250mm以下がより好ましい。シャフトのしなり特性及び強度の観点から、先端部及び後端部以外には、外径同一部が設けられないのが好ましい。
【0037】
第二外面部a2は、テーパーを有する。第二外面部a2の直径s2は、チップTp側ほど小さくされている。即ち、第二外面部a2のテーパー率は、プラスである。
【0038】
なお、第二外面部a2よりもバットBt側に、第二外面部a2とは異なるテーパー率を有する第三外面部が設けられてもよい。第三外面部のテーパー率は、ゼロでもよいし、プラスの値でもよいし、マイナスの値でもよい。更に、第三外面部よりもバットBt側に、第三外面部とは異なるテーパー率を有する他の外面部が設けられてもよい。第二外面部a2よりもバットBt側におけるシャフト外面6aの形状は、限定されない。
【0039】
第一内面部b1の直径n1は、チップTp側ほど小さくされている。即ち、第一内面部b1のテーパー率T1は、プラスである。
【0040】
第一内面部b1の直径n1は、一定であってもよい。即ち、第一内面部b1のテーパー率T1は、ゼロであってもよい。換言すれば、第一内面部b1は、内径同一部であってもよい。
【0041】
なお、シャフト製造工程におけるマンドレルmdの引き抜きの観点から、第一内面部b1の直径は、チップTp側ほど小さくされているのが好ましい。
【0042】
第二内面部b2の直径n2は、チップTp側ほど小さくされている。即ち、第二内面部b2のテーパー率T2は、プラスである。
【0043】
第三内面部b3の直径n3は、チップTp側ほど小さくされている。即ち、第三内面部b3のテーパー率T3は、プラスである。テーパー率T3は、ゼロであってもよい。第三内面部b3は、無くてもよい。
【0044】
第三内面部b3よりもバットBt側に、第三内面部b3とは異なるテーパー率を有する他の内面部が設けられてもよい。
【0045】
第一内面部b1のテーパー率T1は、第二内面部b2のテーパー率T2よりも小さい。即ち、T1<T2である。
【0046】
第三内面部b3のテーパー率T3は、第二内面部b2のテーパー率T2よりも小さい。即ち、T3<T2である。
【0047】
前述の通り、第一内面部b1は、内径同一部であってもよい。内径同一部は、先端部以外の位置に設けられてもよい。例えば、内径同一部は、シャフト6の後端部に設けられてもよい。先端部以外の内径同一部は、後端部にのみ設けられるのが好ましい。シャフト後端部に外径同一部が設けられる場合、この外径同一部の内側に内径同一部が設けられることにより、厚みが一定となり、シャフトの耐久性が向上しうる。また、シャフト後端部に外径同一部が設けられた場合、シャフト後端部の内径同一部により、シャフトが軽量化されうる。この観点から、この後端部の内径同一部の軸方向長さLbnは、100mm以上が好ましく、150mm以上がより好ましく、200mm以上がより好ましい。シャフト製造工程においてマンドレルmdの引き抜きを容易とする観点から、この軸方向長さLbnは、400mm以下が好ましく、300mm以下がより好ましく、250mm以下がより好ましい。マンドレルの引き抜きを容易とし、生産性を高める観点からは、軸方向位置N1よりもバットBt側には、内径同一部が存在しないのが好ましい。換言すれば、軸方向位置N1よりもバットBt側の全区間において、チップTpに近づくほど内径が小さくされているのが好ましい。
【0048】
[テーパー率]
本願におけるテーパー率は、次の通りに定義される。地点Aでの直径がDa(mm)であり、この地点AよりもバットBt側に位置する地点Bでの直径がDb(mm)であり、地点Aと地点Bとの軸方向距離がLs(mm)であるとき、地点Aと地点Bとの間のテーパー率Tsは次式の通りである。
Ts=(Db−Da)/Ls
【0049】
チップTp側ほど直径が小さくなる場合、テーパー率はプラスである。チップTp側ほど直径が大きくなる場合、テーパー率はマイナスである。
【0050】
シャフト内面6bの形状は、マンドレルmdの外面形状に等しい。図3には、シャフト6におけるチップTpの位置が符号Tp1で示されている。また図3には、軸方向位置N1及び軸方向位置N2が示されている。マンドレルmdの外面において、位置Tp1から軸方向位置N1までの区間のテーパー率はT1である。マンドレルmdの外面において、軸方向位置N1から軸方向位置N2までの区間のテーパー率はT2である。マンドレルmdの外面において、軸方向位置N2よりもバットBt側の区間のテーパー率はT3である。
【0051】
図2が示すように、上記軸方向位置G1は、上記軸方向位置N1よりもチップTp側に位置している。この場合、軸方向位置G1付近及び軸方向位置N1付近における厚み変化が小さくなりやすい。厚み変化が小さい場合、応力集中が緩和される。
【0052】
図2において両矢印P1で示されるのは、軸方向位置G1と軸方向位置N1との軸方向距離である。厚み変化を抑制する観点から、軸方向距離P1は、5mm以上が好ましく、10mm以上がより好ましく、15mm以上がより好ましく、20mm以上がより好ましい。軸方向距離P1が長すぎる場合、外径同一部10の長さが制約されることがある。また軸方向距離P1が長すぎる場合、シャフト先端部において厚い部分が増加し、シャフト重量が過大となることがある。また軸方向距離P1が長すぎる場合、シャフト先端部が過度に硬くなることがある。これらの観点から、軸方向距離P1は、40mm以下が好ましく、30mm以下がより好ましく、25mm以下がより好ましい。
【0053】
ゼロ又はプラスである限り、第一内面部b1のテーパー率T1は限定されない。テーパー率T1が過大である場合、軸方向位置G1近傍における外径同一部10の厚みが小さくなりやすい。この観点から、テーパー率T1は、15/1000以下が好ましく、13/1000以下がより好ましく、10/1000以下がより好ましく、8/1000以下がより好ましい。シャフト製造時におけるマンドレルmdの引き抜きを容易とする観点から、テーパー率T1は、1/1000以上が好ましく、3/1000以上がより好ましく、5/1000以上がより好ましい。
【0054】
T1<T2の関係を満たす限り、第二内面部b2のテーパー率T2は限定されない。軸方向位置N1における応力集中を緩和する観点から、テーパー率T2は、30/1000以下が好ましく、28/1000以下がより好ましく、25/1000以下がより好ましい。
【0055】
ゼロ又はプラスである限り、第三内面部b3のテーパー率T3は限定されない。マンドレルmdの引き抜きを容易とする観点から、テーパー率T3は、0以上とされ、0を超えるのが好ましく、1/1000以上がより好ましい。
【0056】
好ましくは、軸方向距離P1(mm)は、以下の関係式を満たす。ただし、s1(mm)は第一外面部a1の直径であり、T1及びT2は上記の通りである。
P1 > s1×{T2/(T1+T2)}
即ち、軸方向距離P1は、「s1×{T2/(T1+T2)}」よりも大きいのが好ましい。この場合、厚み変化が抑制され、応力集中が緩和されやすい。よってこの場合、先端部の強度が向上しうる。
【0057】
本発明に係るゴルフクラブでは、シャフトの先端部にヘッドが装着される。ヘッドは、シャフト穴とホーゼル端面とを有する。シャフトの先端部がシャフト穴に挿入され且つ接着される。ホーゼル端面には、応力が集中しやすい。軸方向位置N1及び軸方向位置G1における応力集中を緩和する観点から、ホーゼル端面が軸方向位置G1よりもチップTp側に位置しているゴルフクラブが好ましい。
【0058】
第一外面部a1(外径同一部10)の軸方向長さL1は限定されない。内径が一定であるシャフト穴に外径同一部10が挿入されることにより、シャフト穴と外径同一部10との接着力が向上しうる。この観点から、長さL1は、シャフト穴の長さ以上とされるのがよい。接着面積の観点から、長さL1は、40mm以上が好ましく、50mm以上がより好ましい。長さL1が長すぎる場合、軸方向位置G1近傍において外径同一部10が薄くなりやすい。この観点から、長さL1は、200mm以下が好ましく、175mm以下がより好ましく、150mm以下がより好ましい。
【0059】
第一外面部a1よりもバットBt側の領域におけるシャフト外面6aのテーパー率が、R2とされる。テーパー率R2は限定されない。シャフト内面6bのテーパー率及びシャフトの剛性分布等を考慮すると、テーパー率R2は、1/1000以上30/1000以下が好ましい。テーパー率R2は、一定でなくてもよい。即ちテーパー率R2は変化していてもよい。
【0060】
シャフト長さL2(図1参照)は限定されない。最も短いクラブ(例えばショートアイアン又はパター)の長さに適合させる観点から、シャフト長さL2は、762mm以上が好ましく、787mm以上がより好ましく、813mm以上がより好ましい。最も長いクラブ(例えばドライバー)の長さに適合させる観点から、シャフト長さL2は、1219mm以下が好ましく、1194mm以下がより好ましく、1168mm以下がより好ましい。
【0061】
グリップ外径が細すぎる場合、グリップが緩みやすく、打球方向性が低下しうる。この観点から、バットBtにおけるシャフト外径Dtは、14.5mm以上が好ましく、14.6mm以上がより好ましく、14.7mm以上がより好ましい。
【0062】
グリップ外径が太すぎる場合、リストターンが行いにくくなり、ヘッドスピードが低下しやすい。この観点から、シャフト外径Dtは、16.3mm以下が好ましく、16.1mm以下がより好ましく、16.0mm以下がより好ましい。
【0063】
チップTpから軸方向位置N1までの軸方向長さL3は限定されない。第一外面部a1の長さL1を好ましい範囲に設定する観点から、長さL3は、55mm以上が好ましく、60mm以上がより好ましく、65mm以上がより好ましい。長さL3が過大である場合、厚い部分が増加し、シャフト先端部が過度に硬くなり、シャフトの剛性分布が制約される。この観点から、長さL3は、240mm以下が好ましく、230mm以下がより好ましく、220mm以下がより好ましい。
【0064】
軸方向位置N1から軸方向位置N2までの軸方向長さL4が限定されない。軸方向位置N1と軸方向位置N2とが近い場合、テーパー変化点が互いに近づくため、応力集中が起こりやすい。応力集中を緩和する観点から、長さL4は、50mm以上が好ましく、60mm以上がより好ましく、70mm以上がより好ましい。長さL4が過度に長い場合、軸方向位置N1又は軸方向位置N2においてシャフト6が薄くなりやすい。この観点から、長さL4は、150mm以下が好ましく、140mm以下がより好ましく、130mm以下がより好ましい。
【0065】
シャフト厚さの最大値t1は限定されない。マンドレルmdのテーパー率及び外径同一部10の存在に起因して、チップTpにおける厚さが最大値t1となる場合が多い。よって、最大値t1が小さい場合、シャフト先端部の強度が低下しやすい。この観点から、最大値t1は、1.5mm以上が好ましく、1.8mm以上がより好ましく、2.0mm以上がより好ましい。最大値t1が過度に大きい場合、マンドレルmdの先端部が過度に細くされる場合がある。マンドレルmdの先端部が細すぎる場合、プリプレグシートをマンドレルmdに巻き付ける際の作業性が低下する。また最大値t1が過度に大きい場合、シャフトのチップTp側の質量が過度に大きくなり、クラブの設計自由度が低下しやすい。この観点から、最大値t1は、4.0mm以下が好ましく、3.8mm以下がより好ましく、3.5mm以下がより好ましい。
【0066】
シャフト厚さの最小値t2は限定されない。シャフト強度の観点から、最大値t1は、0.5mm以上が好ましく、0.6mm以上がより好ましく、0.7mm以上がより好ましい。過大なシャフト重量を抑制する観点から、最小値t2は、1.5mm以下が好ましく、1.4mm以下がより好ましく、1.3mm以下がより好ましい。
【0067】
軸方向位置N1でのシャフト厚さt3は限定されない。シャフト強度の観点から、厚さt3は、1.2mm以上が好ましく、1.3mm以上がより好ましく、1.5mm以上がより好ましい。シャフト重量を抑制する観点から、厚さt3は、3.0mm以下が好ましく、2.8mm以下がより好ましく、2.5mm以下がより好ましい。
【0068】
シャフト剛性及びシャフト強度の観点から、シャフト重量(g)は、35g以上が好ましく、38g以上がより好ましく、40g以上がより好ましい。ヘッドスピードを大きくする観点から、シャフト重量(g)は、70g以下が好ましく、67g以下がより好ましく、65g以下がより好ましい。
【0069】
第一外面部a1(外径同一部10)の直径s1は限定されない。曲げ剛性が過度に小さい場合、強度低下が起こりやすい。断面二次モーメントを大きくして曲げ剛性を高める観点から、直径s1は、8.5mm以上が好ましく、8.7mm以上がより好ましく、9.0mm以上がより好ましい。シャフト重量及びクラブバランスの観点から、直径s1は、11.0mm以下が好ましく、10.7mm以下がより好ましく、10.5mm以下がより好ましい。
【0070】
プリプレグシートの材質は限定されない。上記マトリクス樹脂として、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、エポキシ系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、フェノール系樹脂、メラミン系樹脂、ユリア系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ケイ素樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、ポリアミド樹脂、飽和ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、AS樹脂(アクリロニトリルスチレン樹脂)、メタクリル樹脂、ポリプロピレン樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。強度及び剛性の観点から、熱硬化性樹脂が好ましく、エポキシ系樹脂がより好ましい。
【0071】
上記繊維強化樹脂に用いられる繊維としては、比重が小さく弾性率と強度が高いという点からカーボン繊維が好ましい。カーボン繊維以外に、一般に高性能強化繊維として使用される繊維が用いられる。例えば、黒鉛繊維、アラミド繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、ガラス繊維等が用いられうる。
【実施例】
【0072】
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
【0073】
[実施例1]
実施例1のシャフトの作製にあたっては、先ず、裁断前のプリプレグシートと、図5に示すマンドレルmdとが用意された。
【0074】
図5に示すマンドレルmdには、寸法が記載されている。この寸法の単位は、mmである。マンドレル先端から150mmの位置が、シャフトの軸方向位置N1に対応する。マンドレル先端から250mmの位置が、シャフトの軸方向位置N2に対応する。マンドレル先端から1100mmの位置が、シャフトの軸方向位置N3に対応する。このマンドレルmdの先端径は、4.8mmとされた。マンドレルmdの軸方向位置N1における外径は、6.0mmとされた。マンドレルmdの軸方向位置N2における外径は、7.5mmとされた。マンドレルmdの軸方向位置N3における外径は、14.0mmとされた。マンドレル先端から軸方向位置N1までの区間において、テーパー率は、8/1000とされた。軸方向位置N1から軸方向位置N2までの区間において、テーパー率は15/1000とされた。
【0075】
このマンドレルmdを用いて、以下の工程に従い、シャフトを作製した。
【0076】
(1)裁断工程
裁断工程では、プリプレグシートが所定の形状に裁断された。裁断は、裁断機又は手作業によりなされた。この裁断工程により、図4に示す裁断済みプリプレグシートを得た。図4には、裁断されたシートの寸法が示されている。この寸法の単位は、mmである。
【0077】
1枚目のシート(シートSt1)には三菱レイヨン社製の商品名「TR350C−125S」が用いられた。2枚目及び3枚目のシート(バイアスシートSt2、St3)には三菱レイヨン社製の商品名「HRX350C−075S」が用いられた。4枚目のシート(シートSt4)には三菱レイヨン社製の商品名「MR350C−100S」が用いられた。5枚目のシート(シートSt5)には三菱レイヨン社製の商品名「TR350C−150S」が用いられた。6枚目のシート(シートSt6)には三菱レイヨン社製の商品名「MR350C−150S」が用いられた。7枚目のシート(シートSt7)には三菱レイヨン社製の商品名「MR350C−150S」が用いられた。8枚目及び9枚目のシート(先端シートSt8、St9)には三菱レイヨン社製の商品名「TR350C−100S」が用いられた。
【0078】
なお、図4には、繊維の配向角度が記載されている。「0°」と記載されているシートが、ストレート層を構成している。「−45°」及び「+45°」と記載されているシートが、バイアス層を構成している。これらの配向角度は、シャフト軸方向に対する角度である。シートSt2からなる層と、シートSt3からなる層とで、繊維の配向方向は、互いに逆方向に傾斜している。
【0079】
(2)貼り合わせ工程
貼り合わせ工程では、バイアス層用のシート同士が貼り合わせられた。即ち、シートSt2とシートSt3とが貼り合わせられ、貼り合わせ体が作製された。
【0080】
(3)巻回工程
巻回工程では、裁断された複数枚のシートが順次マンドレルmdに巻回され、巻回体が作製された。図5に示すように、シャフトのチップTpの位置Tp1がマンドレルmdの先端から70mmの位置となるようにして、巻き付けがなされた。バイアス層に関しては、上記貼り合わせ体が巻回された。
【0081】
図4は、巻回工程における巻き付け順序をも示している。巻回工程において、図4の上側のシートから順に巻き付けがなされた。また図4は、軸方向における各シートの配置をも示している。例えばシートSt1は、シャフトの先端部に巻き付けられた。例えばシートSt4は、シャフトの後端部に巻き付けられた。
【0082】
(4)テープラッピング工程
テープラッピング工程では、上記巻回体の外周面にラッピングテープが巻き付けられた。このラッピングテープは、張力を付与されつつ巻き付けられた。ラッピングテープとして、ポリエチレン製又はポリエチレンテレフタレート製のテープが用いられた。
【0083】
(5)硬化工程
硬化工程では、テープラッピングがなされた後の巻回体が加熱された。この加熱により、マトリクス樹脂が硬化した。
【0084】
(6)マンドレルmdの引き抜き工程及びラッピングテープの除去工程
硬化後の巻回体について、マンドレルの引き抜き工程とラッピングテープの除去工程とがなされ、硬化積層体が得られた。
【0085】
(7)両端カット工程
この工程では、硬化積層体の両端部がカットされた。このカットにより、シャフト両端の端面が平坦とされた。なお、図5では、カットされた両端部に対応する部分の記載が省略されている。実際に用いられるプリプレグシートは、長さL2よりも長くされた。
【0086】
(8)研磨工程
この工程では、硬化積層体の表面が研磨された。研磨により、このラッピングテープの跡としての凹凸が消滅し、表面が平滑とされた。研磨工程では、先端部研磨と、全体研磨とがなされた。先端部研磨の後、全体研磨がなされた。先端部研磨により、第一外面部a1(外径同一部)が形成された。先端部研磨により、第一外面部a1の直径(先端径)が9.0mmとされた。先端部研磨により、外径同一部の長さL1が調整された。この研磨工程を経て、実施例1に係るシャフトを得た。
【0087】
完成後のシャフトにおいて、シャフト長さは1168mmとされ、シャフト重量は52gとされ、チップTpから軸方向位置N1までの距離L3は80mmとされ、軸方向位置N1から軸方向位置N2までの距離L4は100mmとされ、第一内面部b1のテーパー率T1は8/1000とされ、第二内面部b2のテーパー率T2は15/1000とされた。
【0088】
得られたシャフトについて、三点曲げ破壊試験、片持ち曲げ試験及び耐久試験がなされた。実施例1の仕様及び評価結果が下記の表1で示される。
【0089】
[実施例2及び比較例1から4]
上記先端部研磨によって第一外面部a1の長さL1が変更された他は、実施例1と同様にして、実施例2及び比較例1から4のシャフトを得た。各例の仕様及び評価結果が下記の表1で示される。
【0090】
【表1】

【0091】
なお、表1には、前述した距離P1が示されている。軸方向位置G1が軸方向位置N1よりもチップTp側にある場合、この距離P1はプラスの値とされている。軸方向位置G1が軸方向位置N1よりもバットBt側にある場合、この距離P1はマイナスの値とされている。
【0092】
評価方法は以下の通りとされた。
【0093】
[三点曲げ破壊強度]
SG式三点曲げ試験が採用された。これは、製品安全協会が定める試験である。図6は、SG式三点曲げ試験の測定方法を示す。図6が示すように、2つの支持点e1、e2においてシャフト6を下方から支持しつつ、荷重点e3において上方から下方に向かって荷重Fを加える。荷重点e3の位置は、支持点e1と支持点e2とを二等分する位置である。荷重点e3が、測定点である。
【0094】
測定点は、T点及びA点の2箇所とされた。T点は、チップTp90mmの点である。A点は、チップTpから175mmの点である。シャフト6が破損したときの荷重Fの値(ピーク値)が測定された。T点が測定される場合、上記スパンSは、150mmとされた。A点が測定される場合、上記スパンSは、300mmとされた。この測定結果が下記の表1に示される。
【0095】
[片持ち曲げ強度]
ヘッドのシャフト穴にシャフトを挿入接着した。チップTpから40mmまでの部分が、シャフト穴に挿入された。ヘッドとして、SRIスポーツ社製の商品名「スリクソンZR−700」が用いられた。
【0096】
この片持ち曲げ強度の試験では、先ず、シャフトが略水平となる状態で、ヘッドを治具によって固定した。次いで、ホーゼル端面から150mm隔てた地点に圧子を当て、この圧子により、鉛直方向下向きに荷重を加えた。荷重を徐々に大きくし、シャフトが破壊した瞬間における荷重が測定された。この測定結果が下記の表1に示される。
【0097】
[耐久試験]
シャフトにヘッド及びグリップを装着して、ゴルフクラブを作製した。ヘッドとして、SRIスポーツ社製の商品名「スリクソンZR−700」(ロフト9.5度)が用いられた。このゴルフクラブを、ミヤマエ社製のスイングロボットに装着し、ヘッドスピード52m/sにてゴルフボールを繰り返し打撃させた。打撃数の上限は、10000回とされた。ゴルフボールとして、SRIスポーツ社製の商品名「DDHツアースペシャル」が用いられた。打点は、フェースセンターからヒール側に20mm隔てた位置とされた。500回の打撃毎に破壊の有無が確認された。シャフトの破壊が確認されたときの打撃数が、下記の表1に示される。10000回打撃しても破壊が生じなかった場合、下記の表1に、「10000」と表示されている。
【0098】
表に示す通り、実施例は、比較例よりも評価が高い。これらの評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明は、ウッド型ゴルフクラブ用シャフト、アイアン型ゴルフクラブ用シャフト、パター用シャフトなど、あらゆるゴルフクラブ用シャフトに適用されうる。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るシャフトが装着されたゴルフクラブの全体図である。
【図2】図2は、図1のシャフトの先端部を示す拡大断面図である。
【図3】図3は、図1のシャフトの製造に用いられたマンドレルを示す図である。
【図4】図4は、実施例1から2及び比較例1から4のプリプレグ構成を示す展開図である。
【図5】図5は、実施例1から2及び比較例1から4の製造に用いられたマンドレルを示す図である。
【図6】図6は、三点曲げ破壊強度の試験方法を説明するための図である。
【符号の説明】
【0101】
2・・・ゴルフクラブ
4・・・ゴルフクラブヘッド
6・・・ゴルフクラブ用シャフト
8・・・グリップ
Tp・・・チップ(シャフト先端)
Bt・・・バット(シャフト後端)
md・・・マンドレル
St1、St2、St3、St4、St5、St6、St7、St8及びSt9・・・裁断されたプリプレグシート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリクス樹脂と繊維とを備えたプリプレグシートが巻回され且つ硬化されてなり、
シャフト外面が、最もチップ側に位置する第一外面部と、軸方向位置G1を境界としてこの第一外面部に隣接する第二外面部とを有し、
シャフト内面が、最もチップ側に位置する第一内面部と、軸方向位置N1を境界としてこの第一内面部に隣接する第二内面部とを有し、
上記第一外面部の直径が、一定であり、
上記第二外面部の直径が、チップ側ほど小さくされており、
上記第一内面部の直径が、一定であるか、又は、チップ側ほど小さくされており、
上記第二内面部の直径が、チップ側ほど小さくされており、
上記第一内面部のテーパー率T1が、上記第二内面部のテーパー率T2よりも小さくされており、
上記軸方向位置G1が、上記軸方向位置N1よりもチップ側に位置しているゴルフクラブ用シャフト。
【請求項2】
上記軸方向位置G1と上記軸方向位置N1との軸方向距離が5mm以上であり、
上記テーパー率T1が15/1000以下である請求項1に記載のゴルフクラブ用シャフト。
【請求項3】
ヘッド、シャフト及びグリップを備え、
上記シャフトが、マトリクス樹脂と繊維とを備えたプリプレグシートが巻回され且つ硬化されてなり、
シャフト外面が、最もチップ側に位置する第一外面部と、軸方向位置G1を境界としてこの第一外面部に隣接する第二外面部とを有し、
シャフト内面が、最もチップ側に位置する第一内面部と、軸方向位置N1を境界としてこの第一内面部に隣接する第二内面部とを有し、
上記第一外面部の直径が、一定であり、
上記第二外面部の直径が、チップ側ほど小さくされており、
上記第一内面部の直径が、一定であるか、又は、チップ側ほど小さくされており、
上記第二内面部の直径が、チップ側ほど小さくされており、
上記第一内面部のテーパー率T1が、上記第二内面部のテーパー率T2よりも小さくされており、
上記軸方向位置G1が、上記軸方向位置N1よりもチップ側に位置しているゴルフクラブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−88712(P2010−88712A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−262645(P2008−262645)
【出願日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【出願人】(504017809)SRIスポーツ株式会社 (701)
【Fターム(参考)】