説明

サイクロン

【課題】サイクロン全体の高さを低くして屋内に設置し易くすると共に、気体と粉粒体に分離するサイクロンの分離効率を高める。
【解決手段】一端の内径が他端の内径よりも小さく錐形を成す外筒11と、一端が気体を吐き出す吐出口14を構成し、他端が気体を吸い込む吸込口19を構成している内筒12と、一端が気体と粉粒体の流入する流入口13を構成し、他端が気体と粉粒体の吹き出る吹出口28を構成している吹込管32によってサイクロンを構成する。外筒の尖端部分に内筒を取り付ける。外筒の尖端部分の周側面に吹込管を取り付ける。尖端部分に向き合う外筒の他端を底板27で密封する。外筒の周側面と底板27の交わる部分に、吹込管の吹出口から外筒の内部に吹き出される粉粒体23が通過するスペース10と、その通過した粉粒体を取り出す取出口20を設ける。外筒の軸芯の方向は水平でも垂直でもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀物、裁断或いは粉砕された植物の破片、裁断或いは粉砕されたプラスチックや木材の破片等の細かい固体(以下、粉粒体と言う。)を乗せて搬送する気流の流路において渦巻気流を発生させて、粉粒体を気体から分離させて回収するサイクロン、即ち、気体・固体分離装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
サイクロンは、尖端を下向きにした錐形の下側尖端部分に取出口20を設けた外筒11の内部上側に、一端が開放された吸込口19を成す筒状の内筒12を、その吸込口19を下向きにして配置し、外筒の内周面15と内筒の外周面16の間のスペース17へと気流30が流入する流入口13を外筒の上側に設け、その気流30が内筒の内部空間18を上昇して外筒の外部へと流出する吐出口14を内筒の上側に設け、その内筒の吸込口19を流入口13よりも低い位置に設定して構成されており、サイクロン内部には、気流30が流入口から内部に流入し、外筒の内周面と内筒の外周面の間のスペース17と、内筒の下端の吸込口19と、内筒の内周面に囲まれた内部空間18を通って、吐出口14から外部へと流出する流路が形成される。
【0003】
サイクロン内部では、流入口から気流に乗って入り込んだ粉粒体は、外筒の上側から遠心力と自重によって渦巻き状になって外筒の内周面15を滑るように取出口20へと落下する。その過程において、内筒の吸込口が下向きになっており、その吸込口19が流入口13よりも低い位置にあり、外筒の内周面と内筒の外周面の間が広いスペース17になっているので、比重の重い粉粒体23が比重の軽い気流30と共に上昇して吸込口19から内筒12の中に入り込むことはない。
【0004】
スクリューサイクロンでは、落下して外筒内の下側に堆積する粉粒体23は、スクリュー25によって押し下げられ、スクリューの下端と取出口20の間で圧縮される。そのとき粉粒体の堆積物の内部に作用する圧縮抗力が一定限度内に達すると、その圧縮抗力と粉粒体の堆積物の重量によって扉38が押し開かれ、粉粒体23が取出口20から落下して取り出される。その間において、外筒の下端部分は、スクリュー25の下端部分に付着して残存する粉粒体の堆積物に塞がれているので、取出口20からサイクロン内部へ外気が入り込まず、サイクロンの稼働中に粉粒体を連続的に取り出すことが出来る。
【0005】
しかし、粉粒体23の種類によっては、スクリューサイクロンの使用中に、気流30から分離されるべき粉粒体23が吐出口14から送り出され易くなる場合がある。その原因を究明するに、確かに外筒内部で気流30から分離された粉粒体23は、外筒11の下側へと落下して堆積するが、その堆積した一部の粉粒体23がサイクロン内の中心部のスペース31で発生する上昇気流と共にスクリューの回転軸26に沿って上昇し、その上昇した一部の粉粒体は自重によって再び落下するものの、その上昇した残りの一部の粉粒体は内筒12へと入り込む気流30に巻き込まれるように上昇し続け、その上昇気流30と共に内筒12へと入り込んで送り出されることにもなる。
【0006】
そのように、一旦外筒11の下側へと落下して堆積した粉粒体23が、サイクロン内の中心部で発生する上昇気流30に乗って内筒12に入り込むのを防ぐ方法として、粉粒体23が落下して堆積する外筒11の下端のスペース10から粉粒体23が上昇気流30に乗って入り込む内筒12の下向きの吸込口19までの距離を長くする方法が考えられる(例えば、非特許文献1参照)。
しかし、外筒11の取出口20から内筒12の吸込口19までの距離を長くすると、サイクロンが非常に嵩の高いものとなり、サイクロンが屋内に設置し難くなる。
【0007】
そこで本発明者は、尖端を下向きにした錐形の下側尖端部分に取出口20を設けた外筒11の内部上側に、一端が開放された吸込口19を成す筒状の内筒12が、その吸込口19を下向きにして配置され、外筒の内周面15と内筒の外周面16の間のスペース17へと気流30が流入する流入口13が外筒11の上側に設けられ、その気流30が内筒の内部空間18を上昇して外筒11の外部へと流出する吐出口14が内筒12の上側に設けられ、内筒の下端の吸込口19が流入口13よりも低い位置に設定されており、流入口13から内部に流入し、外筒の内周面15と内筒の外周面16の間のスペース17と、内筒の下端の吸込口19と、内筒の内周面に囲まれた内部空間18を通り、吐出口14から外部へと流出する気流30の流路が内部に形成された気体・固体分離装置のサイクロンにおいて、(a) 内筒の下部の吸込口19と外筒の下側の取出口20の間に仕切材21を設け、(b) その仕切材21の周縁22と外筒の内周面15の間に、気流30に乗ってサイクロン内部に運び込まれる固体(粉粒体23)が落下するに必要なスペース24を設け、外筒11の下側へと落下して堆積した粉粒体23が、サイクロン内の中心部で発生する上昇気流30に乗って内筒12に入り込むことを防止する方法(以下、先願発明と言う。)を案出した(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
つまり、先願発明では、サイクロンの下側の取出口20と内筒12の間のスペース31において自然に生じる上昇気流を内筒12の吸込口19の下側で遮断し、粉粒体23の内筒12への混入を防ぎ、サイクロンによる粉粒体の分離回収歩溜りを高め、サイクロンの清掃頻度を少なくし、効率的に粉粒体を気体から分離回収すると言う訳である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−192018号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】日刊工業新聞社、昭和49年9月30日初版発行、上滝具貞著「粉粒体の空気輸送」第230頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、内筒の吸込口19と外筒の取出口20の間に仕切材21を設ける先願発明においても、サイクロン本体の高さは2500mm以上にせざるを得ず、サイクロン本体に付設される配管設備の高さ分を加えるサイクロン全体の高さは2800mmにも達し、屋内に設置し難くなる。
【0012】
そこで、本発明は、付設される配管設備の高さ分を加えてもサイクロン全体の高さを2500mm以下に抑えることが出来、粉粒体を気体から効率的に分離回収することが出来るサイクロンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係るサイクロンは、(イ) 一端の内径が他端の内径よりも小さく錐形を成す外筒11と、一端が気体を吐き出す吐出口14を構成し、他端が気体を吸い込む吸込口19を構成している内筒12と、一端が気体の流入する流入口13を構成し、他端が気体の吹き出る吹出口28を構成している吹込管32とによって構成され、(ロ) 内筒12は、その吐出口14を外筒11の外側に突き出し、吸込口19を外筒11の内側に突き出して、一端の内径が他端の内径よりも小さい外筒11の尖端部分に取り付けら、(ハ) 吹込管32は、その流入口13を外筒11の外側に突き出し、吹出口28を外筒11の尖端部分の内周面15に添ってスペース17に向けて、一端の内径が他端の内径よりも小さい外筒11の尖端部分の周側面に取り付けられ、(ニ) 外筒11の内径が小さい尖端部分に向き合う他端は、底板27によって密封され、(ホ) 外筒11の周側面と底板27の交わる部分に、吹込管32の吹出口28から外筒11の内部に吹き出される粉粒体23が通過するスペース10と、その通過した粉粒体23を取り出す取出口20が設けられていることを第1の特徴とする。
【0014】
本発明に係るサイクロンの第2の特徴は、上記第1の特徴に加え、外筒11と内筒12の軸芯O−O’が水平方向に向けられている点にある。
吹込管32の取付位置は、その吹出口28が外筒11の内周面15に添っていれば、外筒11と内筒12の軸芯O−O’の上下左右何れでもよい。
【0015】
本発明に係るサイクロンの第3の特徴は、上記第1の特徴に加え、外筒11と内筒12の軸芯O−O’が垂直方向に向けられており、吹込管32が、外筒11と内筒12の軸芯O−O’に交叉する水平方向に向けられている点にある。
【0016】
本発明に係るサイクロンの第4の特徴は、上記第1と第2と第3の何れかの特徴に加え、内径が小さい尖端部分に向き合う外筒11の他端の底板27が、外筒11と内筒12の軸芯O−O’に対して傾斜した斜面を形成している点にある。
【発明の効果】
【0017】
外筒11と内筒12の軸芯O−O’の向きが水平方向であるか垂直方向であるかに拘らず、直角に交叉する吹込管32の吹出口28と内筒12の吸込口19が接近しており、而も、吹込管32の吹出口28が傾斜した外筒11の内周面15に向けられており、その吹出口28から吹き出て内周面15に当って方向を変えた気流30は、それが質量のない気体であるが故に、行き先を探すかのように更に方向を変えて吹込口19から内筒に入り込み、その吐出口14から外部へと放出される。
【0018】
一方、気体(気流)と共に流入口13から吹込管32に吸い込まれた粉粒体23は、一定の質量を有する固体であるが故に、吹出口28から吹き出されると、内周面15に添って滑り、内周面15の曲率半径に応じた遠心力が作用して内周面15に沿って螺旋状に移動する。
その過程において、粉粒体23の吹き出される箇所は、外筒11の尖端部分であり、外筒が底板27に向かって広がっており、その内周面15の曲率半径は底板27に近づくにつれて大きくなり、粉粒体23が内周面15から受ける摩擦抵抗は次第に弱まり、粉粒体が内筒12から離れる方向に向かい、内筒12の吹込口19に吸い込まれ難くなる。
このため、粉粒体23は、瞬時に底板27に当って外周方向に広がって取出口20に達し、上昇気流が取出口付近(20)で発生し難い。
従って、混合物の中の粉粒体23から気体が分離される内筒12の吹込口19から粉粒体の蓄積されるスペース10や取出口20までの距離は短くして済み、配管設備の高さ分を加えてもサイクロン全体の高さを低く抑えることが出来、粉粒体と気体との分離効率が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係るサイクロンの断面側面図である。
【図2】本発明に係るサイクロンの斜視図である。
【図3】図2に図示するサイクロンの内筒の軸芯P−P’を含む断面平面図である。
【図4】本発明に係るサイクロンの断面側面図である。
【図5】従来のサイクロンの断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
前記非特許文献1等に示される在来のサイクロンに比較される本発明に係るサイクロンの特徴は、次の点にある。
(1) 在来のサイクロンでは、吹込管32と内筒12は、外筒11の内径の大きい部分に取り付けられ、粉粒体23と気体とは、その外筒11の内径の大きい部分において分離されているが、本発明に係るサイクロンでは、それとは逆に、吹込管32と内筒12は、外筒11の内径の小さい尖端部分に取り付けられ、粉粒体23と気体とは、その外筒11の内径の小さい尖端部分において分離される構造になっている。
(2) 在来のサイクロンでは、下向きに設定されて逆円錐形を成す外筒11の尖端部分の内周面に沿って渦流を成して粉粒体23が落下し回収され、取出口20に向けて外筒11の内径が漸次狭まる関係からして、その間の移動過程で外筒11の内周面と粉粒体23の間の摩擦が漸次強まり、粉粒体23の取出口20への移動速度が遅くなる構成になっているが、本発明に係るサイクロンでは、外筒11の尖端部分から内径が大きく広い部分へと粉粒体23が放出されて落下し回収され、その間の移動過程で外筒11の内周面と粉粒体23の間の摩擦は少なく、粉粒体23の取出口20への移動速度が速くなる構成になっている。
【0021】
外筒11の両端は、蓋板46と底板27で塞がれ、外筒11の内部は、気体と粉粒体23との混合物が吹込管32を通って運び込まれるになっている。その混合物の中の気体は、吹込管32の吹出口28から吹き出され、外筒11の尖端部分の内周面15に当って撥ね返され、吸込口19から内筒12に吸い込まれ、内筒12の吐出口14から外筒11の外部へと吐き出される。混合物の中の粉粒体23は、吹込管32の吹出口28から吹き出され、外筒11の尖端部分の内周面15に当って滑りつつ内径の大きい底板側(27)へと移動して遠心力が作用し、その粉粒体23に作用する遠心力によって気体から分離される。
【0022】
本発明のサイクロンは、外筒11と内筒12の軸芯O−O’を水平方向に向け、取出口20を軸芯O−O’に直交する垂直方向に向け、外筒11や内筒12よりも低い位置に取出口20を配置して構成することも出来、又、在来のサイクロンと同様に、外筒11と内筒12の軸芯O−O’を垂直方向に向け、取出口20を軸芯O−O’から離れた垂直方向に向け、外筒11や内筒12よりも低い位置に取出口20を配置して構成することも出来る。
【0023】
そのように、本発明のサイクロンは、外筒11と内筒12の軸芯O−O’を水平方向に向ける場合でも、外筒11と内筒12の軸芯O−O’を垂直方向に向ける場合でも、外筒11が、気体と粉粒体23との混合物が吹込管32を通って運び込まれる内部構造になっている。その運び込まれる混合物の中の気体は、吹込管32の吹出口28から吹き出され、外筒11の尖端部分の内周面15に添って流れるものの、質量のない気体には慣性力が作用しないので、気圧の低い内筒12の吸込口19の付近を流れるときは、その気圧の低い吸込口19から内筒12に吸い込まれ、内筒12の吐出口14から外筒11の外部へと吐き出される。一方、その混合物の中の粉粒体23は、吹込管32の吹出口28から吹き出され、外筒11の尖端部分の内周面15に当って滑りつつ内径の大きい底板側(27)へと移動する過程において、一定の質量のある粉粒体23には遠心力が作用して気体から分離され、内筒12よりも低い位置にある外筒11の周側面と底板27の交わる部分へと移動して排出される。
【0024】
外筒11と内筒12の軸芯O−O’を水平方向に向ける場合、吹込管32は水平方向と垂直方向の何れの方向に向けても配置することが出来る。
外筒11と内筒12の軸芯O−O’を垂直方向に向ける場合、図4に示すように、吹込管32は水平方向に向けて配置する。
【0025】
従って、本発明のサイクロンの高さ寸法は、外筒11と内筒12の軸芯O−O’を水平方向に向ける場合には、図1に示すように、凡そ700mm前後となる外筒11の最大直径(D)に支持フレームや台車の高さを加えた2000mm前後に設定すれば済む。
図4に示すように、外筒11と内筒12の軸芯O−O’を垂直方向に向ける場合でも、支持フレームや台車の高さを加えたサイクロン全体の高さ寸法は、図2が示すように軸芯O−O’を水平方向に向ける場合(図1)と同程度の2000mm前後に設定すれば済む。
【0026】
図1と図2に示すサイクロンでは、外筒11と内筒12の軸芯O−O’が水平方向に向けられている。
外筒11と内筒12の軸芯O−O’を水平方向に向けたサイクロンの外筒11の蓋板46の外径(C)、外筒11の底板27の外径(D)、内筒12の吸込口19から底板27までの距離(E)、吹込口19と取出口20との距離(F)、内筒12の吸込口19の突出長さ(G)、外筒11の蓋板46から底板27までの距離(H)、蓋板46から円筒形縁取りまでの距離(J)、外筒11の取出口付近の周面を縁取る円筒の幅(K)、外筒周面の軸芯O−O’に対する傾斜角度等の寸法や形状は、サイクロンの用途に応じて設定される。例えば、外筒11の蓋板46から突き出た内筒12の吸込口19の突出長さ(G)は120〜400mm前後に設定することが出来る。内筒12の吸込口19から底板27までの距離(E)は250〜1200mm前後に設定することが出来る。吹込口19と取出口20との距離(F)は180〜800mm前後に設定することが出来る。外筒11の蓋板46から底板27までの距離は概して400mm前後にし、外筒11の取出口付近(20)の周面は幅(K)150〜700mm前後の円筒で縁取ることが出来る。外筒11の蓋板46の外径(C)は150〜300mm前後にし、外筒11の底板27の外径(D)は250〜900mm前後に設定することが出来る。蓋板46から円筒形の縁取りまでの距離(J)は250〜1200mm前後に設定することが出来る。蓋板46から円筒形の縁取りまでの外筒11の周面は、軸芯O−O’に対して約15〜35度傾斜した円錐形斜面にすることが出来る。
【0027】
図1と図2に示すサイクロンでは、吹込口19は取出口20の真上には位置しない。
そして、取出口20から内筒12の吹込口19に向けて上昇気流を発生することはあり得ない。従って、仮に、何らかの理由によって取出口20に上昇気流が発生したとしても、その上昇気流が取出口20から吹込口19に向かうことはあり得ず、その上昇気流に乗って粉粒体23が内筒12に入り込むこともない。
図1と図2に示すサイクロンの吹込管32は、外筒11と内筒12の軸芯O−O’に交叉する水平方向に向けられ、その交叉する内筒12の上側に配置されている。
【0028】
図4に示すサイクロンでは、外筒11と内筒12の軸芯O−O’が垂直方向に向けられており、外筒11の蓋板46から突き出た内筒12の吸込口19の突出長さ(G)は140mm前後であり、内筒12の吸込口19から底板27までの距離(E)は260mm前後に設定される。
サイクロン全体の高さが2000mm以下になるように、外筒11の蓋板46から底板27までの距離(H)は1000mm以下に、概して400mm前後にする。
外筒11の蓋板46の外径(C)は300mm前後であり、外筒11の底板27の外径(D)は500mm前後になっている。蓋板46から底板27までの外筒11の周面は、軸芯O−O’に対して約22度傾斜した斜面になっている。取出口20は外筒11の周側面と底板27の交わる部分に設けられており、取出口20と吹込口19の間は、底板27の半径分(D/2)以上位置ズレしている。従って、外筒11と内筒12の軸芯O−O’が垂直方向に向けられており、取出口20に蓄積した粉粒体23が取出口付近で発生する上昇気流に乗って上昇することがあっても、内筒12の吹込口19が取出口20の真上に位置しないので、その上昇気流に乗って上昇する粉粒体23が吹込口19に入り込むことはない。
【0029】
図1〜図4に示す本発明のサイクロンでは、外筒11と内筒12の軸芯O−O’は、直線になっており、外筒11は、在来のサイクロンと同様に円錐形を成している。しかし、外筒11と内筒12の軸芯O−O’は、必ずしも直線にする必要はなく、外筒11は、尖端が偏った錐形を成すものであってもよい。
又、外筒11は、必ずしも円錐形、即ち三角形断面形状にする必要はなく、図1〜図4に示すように、台形状断面形状にすることも出来る。即ち、本発明において、外筒11の『尖端部分』とは、その『尖端部分』に向き合う底板27に比して面積(寸法)が小となる部分を意味し、鋭利な『尖端形断面形状』を意味しない。従って、外筒11の『尖端部分』は、図1〜図4に示すように底板27に比して小さい蓋板46で形成されていてもよい。
【0030】
外筒11と内筒12の軸芯O−O’を水平方向に向ける場合でも垂直方向に向ける場合でも、外筒11の尖端部分(蓋板46)に向き合う底板27には、図4に示すように、粉粒体23を取出口20に向けて滑落し易くするように、外筒11と内筒12の軸芯O−O’に対して傾斜した斜面にする。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明のサイクロンは、穀物、プラスチックの破片、木材の破片等を気流に乗せて搬送する過程において、それらの穀物、プラスチックの破片、木材の破片等を気体から分離させて回収するために使用される。
【符号の説明】
【0032】
10:スペース
11:外筒
12:内筒
13:流入口
14:吐出口
15:外筒の内周面
16:内筒の外周面
17:スペース
18:内筒の内部空間
19:内筒の吸込口
20:取出口
21:仕切材
22:仕切材の周縁
23:粉粒体(固体)
24:スペース
25:スクリュー
26:回転軸
27:底板
28:吹出口
29:気流
30:気流
31:スペース
32:吹込管
38:扉
46:蓋板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(イ) 一端の内径が他端の内径よりも小さく錐形を成す外筒(11)と、一端が気体を吐き出す吐出口(14)を構成し、他端が気体を吸い込む吸込口(19)を構成している内筒(12)と、一端が気体の流入する流入口(13)を構成し、他端が気体の吹き出る吹出口(28)を構成している吹込管(32)とによって構成されており、
(ロ) 一端の内径が他端の内径よりも小さい外筒(11)の尖端部分に、吐出口(14)を外筒(11)の外側に突き出し、吸込口(19)を外筒(11)の内側に突き出して内筒(12)が取り付けられており、
(ハ) 一端の内径が他端の内径よりも小さい外筒(11)の尖端部分の周側面に、流入口(13)を外筒(11)の外側に突き出し、吹出口(28)を外筒(11)の尖端部分の内周面(15)に添って配置して、吹込管(32)が取り付けられており、
(ニ) 内径が小さい尖端部分に向き合う外筒(11)の他端が底板(27)によって密封されており、
(ホ) 外筒(11)の周側面と底板(27)の交わる部分に、吹込管(32)の吹出口(28)から外筒(11)の内部に吹き出される粉粒体(23)が通過するスペース(10)と、その通過した粉粒体(23)を取り出す取出口(20)が設けられているサイクロン。
【請求項2】
外筒(11)と内筒(12)の軸芯(O−O’)が水平方向に向けられており、吹込管(32)が、外筒(11)と内筒 (12) の軸芯(O−O’)に交叉する水平方向に向けられ、その交叉する内筒(12)の上側に配置されている前掲請求項1に記載のサイクロン。
【請求項3】
外筒(11)と内筒(12)の軸芯(O−O’)が垂直方向に向けられており、吹込管(32)が、外筒(11)と内筒(12)の軸芯(O−O’)に交叉する水平方向に向けられている前掲請求項1に記載のサイクロン。
【請求項4】
内径が小さい尖端部分に向き合う外筒(11)の他端の底板(27)が、外筒(11)と内筒(12)の軸芯(O−O’)に対して傾斜した斜面を形成している前掲請求項1〜3の何れかに記載のサイクロン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−130858(P2012−130858A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−284904(P2010−284904)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(597175835)有限会社吉工 (3)
【Fターム(参考)】