説明

サイディング材の取付金具および取付構造

【課題】例えば窓上部または窓下部に寸法を合わせるために一部を切断したサイディング材を支持する場合において、施工が容易であり、仕上がりの体裁も良好な取付金具およびその取付金具を用いたサイディング材の取付構造を提供すること。
【解決手段】窓下のサッシ12の位置に合わせて一部を切断したサイディング材1の切断小口には、クリップ金具13に形成された差込み部13gが差し込まれて、クリップ金具13がサイディング材に取り付けられる。
一方、建物の下地材7にはクリップ受け金具14がビス6により固定されており、クリップ金具13の下向きの掛止め部13eが、クリップ受け金具14に形成された上側の第1落とし溝14bに挿入されることで、サイディング材1が施工される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、建物の下地材に対してサイディング材を取り付ける際に用いられる取付金具に関し、特に軒天部や窓下部もしくは窓上部のサッシ位置等に合わせて切断処理したサイディング材を支持する場合において好適に用いることができる取付金具およびその取付金具を用いたサイディング材の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年における公共の施設や店舗、また戸建住宅等には、意匠および施工性に優れた窯業系サイディング材(セメント質原料および繊維質原料を用いて板状に成形した外壁材)が多用されている。
この種のサイディング材は、初期においては建物の下地材に対して直接釘打ちするか、もしくは取付けビスを用いるなどの工法により取り付けられていた。
【0003】
この釘打ちもしくは取付けビスによるサイディング材の施工によると、釘もしくはビスの頭が外壁に残るために当該部分の補修をする必要がある。その補修ならびに部分塗装を施した場合には、塗装済みのサイディング材の表面に対して色変わりが発生し、外観を損なうなどの問題を抱えている。
【0004】
そこで、サイディング材を釘打ちやビスなどで下地材に直接取り付けることは避け、下地材に取付金具を取り付けつつ、この取付金具を介してサイディング材を外側に連続的に取り付けるノンビス構造(金具止め工法)が採用されている。
これによると、サイディング材の表面に釘もしくはビスの頭を残すことがなく、外観を損なうなどの問題が改善される。
【0005】
図7は、前記したノンビス構造を実現する従来の取付金具を用いたサイディング材の施工例を示したものである。すなわち、図7は前記した複数枚の窯業系サイディング材1を用い、これらが建物の下地に沿って垂直方向に順次積み上げられて施工された様子を、サイディング材の端面の方向から視た例で示すものである。また、図8はこれに用いられる取付金具8の例を斜視図で示したものである。
【0006】
窯業系サイディング材は、前記したとおり、主原料としてセメント質原料および繊維質原料を用いて板状に押し出し成形し、硬化させたものであり、幅が300〜600mm程度、長さが2000〜3000mm程度になされた各種の規格のものが提供されている。
【0007】
また、前記各サイディング材1は、その下縁部に沿って雌実2が形成され、上縁部に沿って雄実3が形成されており、下側のサイディング材の上縁部に形成された雄実3に、その上側に施工されるサイディング材の下縁部に形成された雌実2が重ね合わされる。
そして、前記重ね合わせ部において、例えばビス6により下地材7に固定された取付金具8が介在して各サイディング材1が係止される。
【0008】
従来の前記取付金具8は、図8に示すように下地材7に固定されるベース板8aと、当該ベース板に対して水平方向に直交するようにして折り曲げられた折り曲げ部8bと、当該折り曲げ部の先端に形成されたサイディング材の係止部8cにより構成されている。そして、先端部が円弧状に屈曲成形された前記係止部8cは、その下面に形成された凹部において前記サイディング材の雄実3を係止すると共に、その上面に形成された凸部において前記サイディング材の雌実2を係止するように作用する。
【0009】
なお、前記したノンビス構造を実現する取付金具については、次に示す先行技術文献に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平10−148024号公報
【特許文献2】特開平11−6270号公報
【特許文献3】特開2006−144338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、前記した取付金具を用い、サイディング材を下から上に向かって順次施工した場合、軒天部や窓下部もしくは窓上部のサッシ位置等に合わせて、サイディング材を切断(カット)することになる。
前記サイディング材の切断により、サイディング材の上縁部に形成された前記雄実が削除されるため、前記した取付金具によりサイディング材の切断部を係止することは不可能になる。
【0012】
この場合には、図7に示すようにサイディング材1の切断部4における直下の側面に、ドリル等で孔穿け加工を施し、符号9で示す釘やビスなどを用いて下地材7に対して、一部を切断したサイディング材を取り付ける手段が採用される。
また、図には示していないが、前記切断部4の直下におけるサイディング材に形成された中空部にチャンネル受金具を挿通させると共に、L型の止め金具を利用して前記チャンネル受金具を下地の胴縁側面に取り付ける手段を採用することもある。
【0013】
前記した前者のサイディング材の施工手段を採用する場合には、釘打ちやビスの取付け部分などの体裁を整えるための補修が必要となり、その補修のために施される部分塗装が、塗装済みのサイディング材の表面に対して色変わりを発生させて、外観を損なうなどの問題が残される。
また、後者のサイディング材の施工手段を採用する場合においても、複雑で手間のかかる細工が必要であり、多くの工数が必要となる。この場合、サイディング材と下地材の間にある通湿防水シートを貼ることができない欠点がある。
【0014】
この発明は、特に軒天部や窓下部もしくは窓上部のサッシ位置等に合わせて、切断処理したサイディング材を取り付ける場合において好適に用いることができ、一部を切断したサイディング材の取付け施工が容易であり、仕上がりの体裁も良好な取付金具およびその取付金具を用いたサイディング材の取付構造を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記した課題を解決するためになされたこの発明にかかるサイディング材の取付金具は、サイディング領域に対応した寸法に切断されたサイディング材を建物の下地材に取り付けるサイディング材の取付金具であって、前記取付金具は、前記サイディング材の切断小口に取り付けられるクリップ金具と、前記下地材に固定されて前記クリップ金具の一部を受ける落とし口を備えたクリップ受け金具とにより構成され、前記クリップ金具を構成するベース板には、前記サイディング材の切断小口に差し込まれる差込み部が設けられると共に、前記ベース板の一部には前記クリップ受け金具によって受けられる掛止め部が形成され、前記クリップ受け金具は、前記建物の下地材に固定された状態において、前記落とし口に前記クリップ金具の掛止め部が挿入されることで、クリップ金具を係合するように構成され、前記サイディング材が、前記クリップ金具およびクリップ受け金具からなる取付金具を介して前記下地材に取り付けられるように構成した点に特徴を有する。
【0016】
この場合、前記クリップ金具を構成するベース板には、前記サイディング材の切断小口に前記クリップ金具の差込み部が差し込まれた状態において、前記サイディング材の一方の面に当接する突起部が形成され、前記差込み部が前記サイディング材から抜け出るのを阻止できるように構成されていることが望ましい。
【0017】
また前記クリップ受け金具は、好ましくは前記下地材に固定された状態において、上下の両端部に第1と第2の前記落とし口がそれぞれ形成された形態になされる。この場合、好ましい形態においては、前記第1の落とし口が、前記クリップ受け金具と建物の下地材との間の隙間により形成される落とし溝になされ、前記第2の落とし口が、クリップ受け金具をU字状に折り返して加工することにより形成された落とし溝になされる。
【0018】
加えて、前記クリップ金具に形成された掛止め部には、互いに逆方向に向く上向き掛止め片と、下向き掛止め片を備えた構成にされ、前記クリップ受け金具に形成された第1と第2の落とし口を選択的に利用できるように構成されることが望ましい。
【0019】
一方、前記した課題を解決するためになされたこの発明に係るサイディング材の取付構造は、前記したクリップ金具とクリップ受け金具とによる取付金具が用いられ、サイディング領域に対応した寸法に切断されたサイディング材の切断小口に形成された係止穴に、前記クリップ金具に形成された差込み部を差込むと共に、前記クリップ金具に形成された掛止め部を、建物の下地材に固定されたクリップ受け金具の落とし口に挿入することで、前記サイディング材を建物の下地材に取り付けた構成にされる。
【発明の効果】
【0020】
前記した構成のサイディング材の取付金具およびこれを用いたサイディング材の取付構造によると、軒天部や窓下部に対応させて一部を切断したサイディング材は、上向きの切断小口に形成した係止穴を利用して、クリップ金具に形成された差込み部を差込み、この状態で前記クリップ金具をサイディング材の切断小口に向かってスライドさせる操作を行うことにより、クリップ金具に形成された掛止め部を、下地材に固定されたクリップ受け金具の落とし口に係止させることができる。
このような簡単な操作により、寸法合わせのために一部を切断したサイディング材を容易に施工することができる。
【0021】
また、窓上部に対応させて一部を切断したサイディング材は、切断小口に形成された係止穴を利用して、クリップ金具の差込み部を差込む操作がなされる。そして、切断小口を下向きにした状態でクリップ金具に形成された掛止め部を、下地材に固定されたクリップ受け金具の落とし口に係止させることで、サイディング材を施工することができる。
この場合、前記クリップ金具に形成された突起部がサイディング材の一方の面(裏面)に当接し、前記クリップ金具の差込み部が重力により前記サイディング材から抜け出るのを阻止させることができるので、サイディング材を円滑かつ容易に施工することができる。
【0022】
したがって、この発明にかかるサイディング材の取付金具およびこれを用いたサイディング材の取付構造によると、施工者が現状において一般的に用意しているサイディング材を切断することができるノコギリや、切断部分に前記クリップ金具の差込み部を挿入するための係止穴を穿設する既存のドリル工具等を利用することで、新たな特別な工具等を必要とせずにサイディング材を能率的に取付け施工することが可能である。
【0023】
その上、前記した工法によると寸法合わせのために一部を切断したサイディング材に対する釘打ちや、その補修跡が生ずることもないので、その仕上がりの状態を良好にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明にかかる取付金具を用い、窓下部に対応させて一部を切断したサイディング材の施工例を示した断面図である。
【図2】同じく軒天部や窓上部に対応させて一部を切断したサイディング材の施工例を示した断面図である。
【図3】前記取付金具を構成するクリップ金具の基本三面図および断面図である。
【図4】前記取付金具を構成するクリップ受け金具の側面図である。
【図5】下端部に配置されるサイディング材の受け金具(スタータ金具)の例を示した側面図である。
【図6】サイディング材の切断小口に係止穴を穿設する例およびクリップ金具を取り付ける例を示した斜視図である。
【図7】従来のサイディング材の施工例を示した断面図である。
【図8】図7に示す施工例において用いられる従来の取付金具の例を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、この発明にかかるサイディング材の取付金具および当該取付金具を用いたサイディング材の取付構造について、図に示す実施の形態に基づいて説明する。
なお、以下においては、各図における同一部分はそれぞれ同一符号を用いて説明し、すでに説明した図7および図8に示す各部に相当する部分も同一符号を用いて説明する。
【0026】
図1は、前記した窯業系サイディング材を用い、当該サイディング材を前記取付金具を介して建物の下地材に取り付けた第1の例を示すものである。
すなわち、図1は、サイディング材を建物の下地に沿って順次垂直方向に積み上げ、例えば窓下部に寸法を合わせるために一部を切断したサイディング材1を支持するこの発明に係るクリップ金具およびクリップ受け金具からなる取付金具を用いたサイディング材の施工例を示している。
【0027】
建物の最も下端部に配置されるサイディング材1は、このサイディング材の雌実2に沿ってサイディング材を支持する受け金具(スタータ金具)11によって支持される。
このスタータ金具11は、図1に示すように建物の下地材7に対して、一般に長手方向が水平状態となるようにビス6により締結され、サイディング材1の雌実2に入り込む上向きの係止部により、サイディング材1を下から支持するようになされる。
【0028】
図5は、前記スタータ金具11を長手方向の端部から視た状態の側面図で示したものである。このスタータ金具11は、アルミ押出材により前記サイディング材の長さ方向と同程度の長尺状(レール状)に形成されており、建物の下地材7に接する垂直面を備えたベース部11aと、このベース部に直交するように成形された水平部11bと、この水平部に対して上向きに折れ曲がるように成形された係止部11cより構成されている。
なお、前記水平部11bには、長手方向に沿って間欠的に複数の水抜き穴11dが形成されており、これにより前記水平部11bに雨水が溜まり、寒冷地において雨水の凍結にによるサイディング材が受ける凍害が防止できるように配慮されている。
【0029】
前記スタータ金具11を用いて施工された下端部のサイディング材1を基準にして、順次サイディング材が積み上げられるようにして施工される。この場合、中間に位置するサイディング材は、すでに説明した例えば図8に示した例と同様な取付金具8を用いてそれぞれ施工される。
【0030】
図1における上半部は、例えば窓下部において、寸法合わせのために一部を切断してなるサイディング材1の施工例を示したものである。この場合には、例えば窓部を構成するサッシ12の直下に沿うようにして、サイディング材1の一部が例えばノコギリ等を用いて切断(カット)され、寸法合わせが行なわれる。
【0031】
続いて、一部が切断されたサイディング材1は、その切断小口に取り付けられるクリップ金具13と、下地材7にビス6により固定されて前記クリップ金具13を係止するクリップ受け金具14とによる取付金具(切断部施工金具)を利用して施工される。なお、前記サッシ12とサイディング材1の切断部との間の隙間には、図1に示すようにシール剤15が適宜充填されて隙間を埋めるように処理される。
【0032】
図3は、前記した取付金具(切断部施工金具)の一方を構成するクリップ金具13について示したものである。なお、図3における(A)はクリップ金具13の上面図、(B)は正面図、(C)は側面図、(D)は(B)におけるa−a線より矢印方向に視た断面図で示している。
【0033】
前記クリップ金具13は、図3に示したように矩形状になされた例えばステンレス鋼板を折り曲げ加工して形成したものであり、面が鉛直方向の姿勢になされるベース板13aの上部に水平部13bが折り曲げ形成され、ベース板13aの下端部には狭い水平部13cを介して掛止め部13d,13eが形成されている。
前記ベース板13aと水平部13bとの直交部には、両者に跨がるようにして複数の補強リブ(図示例においては2条のリブ)13fが突き出し加工により形成されている。
【0034】
また、前記水平部13bのほぼ中央部にはH状の切り込み加工が施され、対向する根元部分が前記ベース板13aの方向に折り曲げられて、一対の差込み部13gが形成されている。さらに、前記ベース板13aのほぼ中央部には、図3(D)に示されたように、前記一対の差込み部13g側に向かって突起部13hが切り起こし加工により形成されている。なお、前記掛止め部13d,13eは、幅方向の中央部において互いに逆方向に向くように加工され、これにより上向き掛止め片13dと、下向き掛止め片13eが形成されている。
加えて、前記水平部13bの長手方向の両端部には、それぞれ補強用の折曲げ部13iが上向きに形成されており、これにより前記水平部13bに一対の差込み部13gが形成されることにより生ずる前記水平部13bの強度の低下を補強するようになされている。
【0035】
一方、図4は前記した取付金具(切断部施工金具)の他方を構成するクリップ受け金具14を示したものであり、この図4はクリップ受け金具14を長手方向の端部から視た状態の側面図で示している。
前記クリップ受け金具14は、アルミ押出材により前記サイディング材の長さ方向と同程度の長尺状(レール状)に形成されており、一般に長手方向が水平状態となるように下地材7に対して前記したビス6により固定される。
【0036】
このクリップ受け金具14は、前記下地材7に固定された状態において、前記下地材7に接するベース部14aを中央にして、その上下の両端部に第1と第2の落とし口14b,14cが、それぞれ上向き状態に形成されている。
すなわち、第1の落とし口14bは、クリップ受け金具14と建物の下地材7との間の隙間により構成された落とし溝になされ、前記第2の落とし口14cは、クリップ受け金具14の下端部をU字状に折り返して加工することにより構成された落とし溝になされている。
【0037】
次に図6は、寸法合わせのために一部を切断したサイディング材の切断小口に、係止穴を穿設する例および前記クリップ金具13を取り付ける例を示した斜視図である。
すなわち、図1に示したサイディング材の施工に先立って、図6(A)に示すように寸法合わせのために一部を切断したサイディング材1の切断小口1cには、予め係止穴が穿設される。
【0038】
この場合、サイディング材1の切断小口1cに係止穴を穿設させるための治具21が利用される。この治具21は、金属板をL字状に折り曲げ加工したものであり、折り曲げ加工された一方がサイディング材1の裏面に当接されると共に、他方がサイディング材1の切断小口1cに当接されて位置決めされる。
そして、サイディング材の切断小口1c側に当接した面に形成されたガイド孔21aを利用して、ドリル22を用いて切断小口に2つの係止穴を穿設させる。
【0039】
続いて、図6(B)に示すようにクリップ金具13を、前記切断小口1cに装着させる。この場合、クリップ金具13に形成された一対の差込み部13gを切断小口1cに穿設された前記係止穴に差し込むことで、クリップ金具13を前記切断小口に装着させることができる。
【0040】
なお、図1の上半部に示す例は、前記したとおり例えば窓下部におけるサイディング材1の施工例を示したものであり、この場合においては、上向きの切断小口にクリップ金具13の差込み部13gが差し込まれる。
そして、クリップ金具13をサイディング材1の切断小口に向かってスライドさせる操作を行うことにより、クリップ金具13に形成された下向きの掛止め片13eが、下地材に固定されたクリップ受け金具14の上側の落とし口14bに係止される。
これにより窓下部に位置するサイディング材1を施工することができ、前記したとおり窓下部に配置されるサッシ12と、サイディング材1の切断部との間の隙間には、シール剤15が充填されて仕上げ状態になされる。
【0041】
図2は、例えば軒天部および窓上部に寸法を合わせるために一部を切断したサイディング材1を取り付けるこの発明に係る取付金具を用いたサイディング材の第2の施工例を示したものである。
すなわち、図2に示す上半部は、軒天部におけるサイディング材の施工例を示し、下半部は、窓上部におけるサイディング材の施工例を示している。
【0042】
図2の上半部に示す軒天部におけるサイディング材の施工例は、すでに説明した図1に示す窓下部におけるサイディング材の施工例と同様であり、したがってその詳細な説明は省略する。なお、図2の上半部に示す例においては、軒天部にサイディング材を施工した後に、軒天部に見切材17が取り付けられ、見切材17の取り付け孔にシール剤15が充填された状態になされる。
【0043】
一方、図2の下半部に示す窓上部におけるサイディング材の施工にあたっては、図6に示した手順にしたがって、サイディング材1の切断小口1cにクリップ金具13が取り付けられる。
そして、サイディング材1の施工にあたっては、クリップ金具13が装着された状態のサイディング材1の切断小口が下向きになるようにして、クリップ金具13に形成された上向きの掛止め部13dを、下地材に固定されたクリップ受け金具14の下側の落とし口14cに係止させることで、サイディング材1を装着することができる。
加えて後処理として、窓下部に配置されるサッシ18と、サイディング材1の切断部との間の隙間には、シール剤15が充填することで施工が完了する。
【0044】
なお、前記したように窓上部におけるサイディング材の施工にあたっては、クリップ金具13が装着された状態のサイディング材1の切断小口が下向きになるようにして装着することになるが、クリップ金具に形成された前記突起部13hがサイディング材1の裏面に当接し、重力によりクリップ金具の差込み部13gが前記サイディング材から抜け出て、クリップ金具13が落下するのを阻止するように作用する。これにより、サイディング材を能率的にかつ円滑に施工することができる。
【0045】
加えて、前記した構成のサイディング材の取付金具によると、サイディング材側に装着されるクリップ金具13には、互いに逆方向に向く上向き掛止め片13dと、下向き掛止め片13eを備えた構成にされ、また下地材に固定されクリップ受け金具14には、上下に第1の溝状の落とし口14bと、第2の溝状の落とし口14cが形成されている。
したがって、前記掛止め片と溝状の落とし口の組み合わせを選択することで、窓上部および窓下部(軒天部)にかかわらず、共通の金具を用いてサイディング材の施工を実現することができるなど、前記した発明の効果の欄に記載したとおりの作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0046】
1 サイディング材
1c 切断小口
2 雌実
3 雄実
6 固定ビス
7 下地材
11 スタータ金具
13 クリップ金具
13a ベース板
13d 上向き掛止め部
13e 下向き掛止め部
13g 差込み部
13h 突起部
14 クリップ受け金具
14b 第1の落とし口
14c 第2の落とし口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サイディング領域に対応した寸法に切断されたサイディング材を建物の下地材に取り付けるサイディング材の取付金具であって、
前記取付金具は、前記サイディング材の切断小口に取り付けられるクリップ金具と、前記下地材に固定されて前記クリップ金具の一部を受ける落とし口を備えたクリップ受け金具とにより構成され、
前記クリップ金具を構成するベース板には、前記サイディング材の切断小口に差し込まれる差込み部が設けられると共に、前記ベース板の一部には前記クリップ受け金具によって受けられる掛止め部が形成され、
前記クリップ受け金具は、前記建物の下地材に固定された状態において、前記落とし口に前記クリップ金具の掛止め部が挿入されることで、クリップ金具を係合するように構成され、
前記サイディング材が、前記クリップ金具およびクリップ受け金具からなる取付金具を介して前記下地材に取り付けられることを特徴とするサイディング材の取付金具。
【請求項2】
前記クリップ金具を構成するベース板には、前記サイディング材の切断小口に前記クリップ金具の差込み部が差し込まれた状態において、前記サイディング材の一方の面に当接する突起部が形成され、前記差込み部が前記サイディング材から抜け出るのを阻止できるように構成したことを特徴とする請求項1に記載されたサイディング材の取付金具。
【請求項3】
前記クリップ受け金具は、前記下地材に固定された状態において、上下の両端部に第1と第2の前記落とし口がそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項1に記載されたサイディング材の取付金具。
【請求項4】
前記第1の落とし口が、前記クリップ受け金具と建物の下地材との間の隙間により形成される落とし溝であり、前記第2の落とし口が、クリップ受け金具をU字状に折り返して加工することにより形成された落とし溝であることを特徴とする請求項3に記載されたサイディング材の取付金具。
【請求項5】
前記クリップ金具に形成された掛止め部は、互いに逆方向に向く上向き掛止め片と、下向き掛止め片とにより構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載されたサイディング材の取付金具。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載された取付金具を用いたサイディング材の取付構造であって、
サイディング領域に対応した寸法に切断されたサイディング材の切断小口に形成された係止穴に、前記クリップ金具に形成された差込み部を差込むと共に、前記クリップ金具に形成された掛止め部を、建物の下地材に固定されたクリップ受け金具の落とし口に挿入することで、前記サイディング材を建物の下地材に取り付けたことを特徴とするサイディング材の取付構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−62635(P2012−62635A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−205744(P2010−205744)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【出願人】(000187194)昭和電工建材株式会社 (36)
【Fターム(参考)】