説明

サイドミラー

【課題】サイドミラーにおける車両前方側の面に開口した走行風取込口から取り入れた走行風を車両後方に向かって安定して排出させることのできるサイドミラーを提供する。
【解決手段】サイドミラー1は、運転者が車両後方を確認するための鏡面11と、鏡面11を車両前方において保持するサイドミラーカバー12と、サイドミラーカバー12の車両前方側の面に開口し、車両走行に伴う走行風を取り込む走行風取込口13と、サイドミラーカバー12の車両後方側の面における鏡面11の車両上方側に開口し、走行風取込口13から取り入れた走行風を車両後方に排出する走行風排出口14と、走行風取込口13と走行風排出口14とを車両前方から車両後方に向かって直線状に連通する連通流路15と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイドミラーにかかり、特に、サイドミラーにおける車両前方側の面に開口した走行風取込口から取り入れた走行風を車両後方に向かって無駄なく排出させることのできるサイドミラーに関する。
【背景技術】
【0002】
車両前方側に空気吸入口を、車両後方側に空気排出口を形成し、前記空気吸入口のから走行風を取り入れて前記空気排出口から鏡面に気流を噴射して車両走行中に鏡面に付着した雨滴を除去するバックミラーが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭60−58448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記バックミラーにおいては、前記空気吸入口と前記空気流出口とを連通する流路が円弧状に屈曲しているために、前記空気流入口から取り込んだ気流の流速が前記流路内で低下する故に、前記空気流出口から鏡面に向かって安定的に気流を噴射できないことがあった。
【0005】
本発明は、上記問題を解決すべく成されたものであり、サイドミラーにおける車両前方側の面に開口した走行風取込口から取り入れた走行風を車両後方に向かって無駄なく排出させることのできるサイドミラーの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明はサイドミラーに関し、運転者が車両後方を見るための鏡面と、前記鏡面を車両前方において保持するサイドミラーカバーと、前記サイドミラーカバーの車両前方側の面に開口し、車両走行に伴う走行風を取り込む走行風取込口と、前記サイドミラーカバーの車両後方側の面における前記鏡面の車両上方側および車両下方側の少なくとも一方に開口し、前記走行風取込口から取り入れた走行風を車両後方に排出する走行風排出口と、前記走行風取込口と前記走行風排出口とを車両前方から車両後方に向かって直線状に連通する連通流路と、を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載のサイドミラーにおいては、走行風取込口から取り入れた走行風は、連通流路を通って走行風排出口から車両後方に向かって噴出される。ここで、走行風排出口は鏡面に対して車両上方に開口しているから、特に高速走行時において、走行風雨排出口から噴出される気流によって鏡面における走行風排出口近傍部分は負圧となる。これにより、車両走行中に鏡面に付着した雨滴は車両上方に吸い上げられて除去される。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のサイドミラーにおいて、前記走行風排出口の開口面積が前記走行風取込口の開口面積よりも小さいことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載のサイドミラーにおいては、前記走行風排出口の開口面積が前記走行風取込口の開口面積よりも小さい故に、前記走行風取込口から取り込まれた走行風の流速よりも、前記走行風排出流路から噴出される気流の流速の方が高い。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のサイドミラーにおいて、前記走行風取込口と前記走行風排出口とを連通する連通流路は、車両上下方向の寸法が前記走行風取込口から前記走行風排出口に向かって縮小するように形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載のサイドミラーにおいては、前記走行風取込口から取り込まれた走行風は前記連通流路で加速されて前記走行風排出口から車両後方に向かって排出される。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、連通流路が前記走行風取込口から前記走行風排出口に向かって直線状に形成されているから、前記走行風取込口から取り入れた走行風を前記走行風排出口から無駄なく排出できるサイドミラーが提供される。
【0013】
請求項2の発明によれば、前記走行風取込口から取り込まれた走行風の流速よりも、前記走行風排出流路から噴出される気流の流速の方が高い故に、前記走行風排出口と前記走行風取込口との開口面積が同一であるサイドミラーと比較して鏡面における走行風排出口近傍部分が負圧になることによる雨滴吸い上げ効果が高いサイドミラーが提供される。
【0014】
請求項3の発明によれば、前記走行風取込口から取り込まれた走行風は前記連通流路で加速されて前記走行風排出口から車両後方に向かって排出される故に、鏡面における走行風排出口近傍部分が負圧になることによる雨滴吸い上げ効果が、連通流路の車両上下方向の寸法が車両前方から車両後方に向かって変化しないサイドミラーと比較して高いサイドミラーが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、実施形態1に係るサイドミラーを車両前方から見たところを示す背面図である。
【図2】図2は、実施形態1に係るサイドミラーを車両後方から見たところを示す正面図である。
【図3】図3は、実施形態1に係るサイドミラーを車両前後方向に沿った面に沿って切断した部分断面図である。
【図4】図4は、実施形態1に係るサイドミラーを車両後方から見たところを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
1.実施形態1
以下、本発明に係るサイドミラーの一例について説明する。図1以下において、矢印UP、矢印DN、矢印FR、矢印RE,矢印IN、矢印OUTは夫々車両上方、車両下方、車両前方、車両後方、車両内側、車両外側を示す。また、矢印Wは車両幅方向を示す。
図1〜図4に示すように、実施形態1のサイドミラー1は、車両のドアまたはフェンダに取り付けられるものであって、運転者が車両後方を確認するための鏡面11と、鏡面11を車両前方側において保持するサイドミラーカバー12と、サイドミラーカバー12における車両前方側の面に車両幅方向に沿ってスリット状に開口した走行風取込口13と、サイドミラーカバー12における鏡面11の車両上方側に車両幅方向に沿ってスリット状に開口した走行風排出口14と、走行風取込口13と走行風排出口14とを連通する連通流路15と、を備える。
【0017】
図1および図2に示すように、走行風取込口13と走行風排出口14とは車両幅方向の寸法は実質的に等しいが、車両上下方向の寸法は、走行風排出口14の方が走行風取込口13よりも小さい。また、図3に示すように、連通流路15は、走行風取込口13と走行風排出口14とを直線的に結ぶように形成されているとともに、走行風取込口13から走行風排出口14に向かって車両上下方向の寸法が縮小するように形成されている。なお、図3に示す例においては、連通流路15は走行風排出口14に向かって車両上方に傾斜するように形成されているが、連通流路15は車両前後方向に沿って水平に形成されていてもよく、また、走行風排出口14に向かって車両下方に傾斜するように形成されていてもよい。更に、図3に示す例においては、連通流路15の上壁15Aおよび下壁15Bの何れも平面状であるが、上壁15Aが車両下方に向かって、下壁15Bが車両上方に向かって湾曲するように連通流路15を形成してもよい。
【0018】
図1、2、および4に示すように、サイドミラーカバー12における車両内側にはサイドミラー1を車両(図示せず。)に固定するための腕状部材17が形成されている。なお、腕状部材17の内側、または腕状部材17とサイドミラーカバー12との間には、サイドミラー1の車両に対する角度を調節するための機構を設けることができる。
【0019】
車両が走行することにより、走行風取込口13から走行風が取り入れられる。走行風取込口13で取り込まれた走行風は、図3および図4において矢印aで示すように連通流路15を通って走行風排出口14から車両後方に向かって排出される。
【0020】
ここで、前述のように、走行風排出口14は、車両上下方向の寸法が走行風取込口13よりも小さい上、連通流路15は、走行風取込口13から走行風排出口14に向かって車両上下方向の寸法が縮小するように形成されている。
【0021】
したがって、走行風取込口13から取り込まれた走行風は、連通流路15において加速されて走行風排出口14から排出される。このため、鏡面11における走行風排出口14の近傍の部分は負圧になるから、鏡面11に付着した雨滴は、図3において矢印bに示すように車両上方に向かって吸い上げられて除去される。
【符号の説明】
【0022】
1 サイドミラー
11 鏡面
12 サイドミラーカバー
13 走行風取込口
14 走行風排出口
15 連通流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者が車両後方を確認するための鏡面と、
前記鏡面を車両前方において保持するサイドミラーカバーと、
前記サイドミラーカバーの車両前方側の面に開口し、車両走行に伴う走行風を取り込む走行風取込口と、
前記サイドミラーカバーの車両後方側の面における前記鏡面の車両上方側および車両下方側の少なくとも一方に開口し、前記走行風取込口から取り入れた走行風を車両後方に排出する走行風排出口と、
前記走行風取込口と前記走行風排出口とを車両前方から車両後方に向かって直線状に連通する連通流路と、
を備えるサイドミラー。
【請求項2】
前記走行風排出口の開口面積は、前記走行風取込口の開口面積よりも小さい請求項1に記載のサイドミラー。
【請求項3】
前記走行風取込口と前記走行風排出口とを連通する連通流路は、車両上下方向の寸法が前記走行風取込口から前記走行風排出口に向かって縮小するように形成されている請求項2に記載のサイドミラー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−236534(P2012−236534A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−107432(P2011−107432)
【出願日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】