説明

サイフォン式濾過濃縮装置における濾過圧調整装置及び該サイフォン式濾過濃縮装置における濾過圧調整方法

【課題】 サイフォンとなる濾液排出系統内に滞留するガスを好適に排気することができ,また,濾過板の表面に積層する濃縮汚泥のみについて濾過濃縮を行なう場合に,前記濃縮汚泥中の残留水分を好適に除去することができるサイフォン式濾過濃縮装置並びに該装置の濾過圧調整方法を提供する。
【解決手段】 サイフォン式濾過濃縮装置の濾液排出系統,好ましくは該濾液排出系統の頂部に真空ポンプを接続する。また,前記濾液排出系統の排出口15bに,前記真空ポンプにより減圧可能な真空タンクを設ける。前記真空ポンプによって濾液排出系統内のガスを吸引して排気することができ,また,該真空ポンプにより真空タンクを減圧すれば,濾液排出系統内に作用する負圧を高めることができ,濃縮汚泥のさらなる濃縮や,濾過処理における濾過圧の向上を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,浄水場,下水処理場あるいは一般産業の製造工場で発生する汚泥を脱水処理する工程において,汚泥を濃縮して減量することによって,脱水処理の効率を大幅に向上させることを目的とした汚泥の濃縮装置に関し,より詳細には,前記汚泥濃縮装置のうちサイフォン効果を利用して汚泥を濾過することにより汚泥の濃縮を行なうサイフォン式濾過濃縮装置における濾過圧調整装置及び該サイフォン式濾過濃縮装置における濾過圧調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
サイフォン式濾過濃縮装置は,処理対象である汚泥を濾過濃縮槽内に充填し,該濾過濃縮槽内に収容配置された濾過板によって該汚泥の濾過濃縮を行なうと共に,前記濾過板の内部に浸透する濾液を濾過濃縮槽外に排出する濾液排出系統をサイフォンとして機能させるものである。前記濾過濃縮槽内において,汚泥中の汚泥粒子は該汚泥中に浸漬する濾過板表面に堆積して濃縮汚泥の層を形成すると共に,前記汚泥中の水分は濾過板を透過して濾液排出管等の前記濾液排出系統を通じて濾液として濾過濃縮槽外に排出されるところ,濾液が前記濾液排出系統内を流動することによってサイフォンが形成されるため,前記濾液の流動エネルギーのみで汚泥を効率的に濾過濃縮することができる構成となっている。したがって,濾過濃縮処理に必要なエネルギーを大幅に削減でき,極めて経済性の高い濾過濃縮装置として評価されている。
【0003】
このようなサイフォン式濾過濃縮装置においては,サイフォンを形成する前記濾液排出系統内を濾液が流動することによって生じる負圧が濾過圧となり,前記負圧が濾過板内に作用することによって,前記濾過板表面への濃縮汚泥の堆積及び濾過板内への濾液の吸入が行なわれる。なお,以下,本願においては,前記サイフォン効果により濾液排出系統及び濾過板内に作用する負圧を「サイフォン圧」という。
【0004】
前述のように,サイフォン圧によって処理対象とする,例えば,汚泥中の水分を該汚泥に浸漬されている濾過板に透過させつつ,該汚泥中の汚泥粒子を濾過板の表面に堆積させて濃縮汚泥の層を形成するという上記サイフォン式濾過濃縮装置の構造によれば,濾過の進行に伴って濃縮汚泥の層が厚みを増して形成されるが,このように濾過が進行した場合であっても,該濃縮汚泥の周囲に存在する未だ濃縮されていない汚泥(以下「未濃縮汚泥」という。)についての濾過が継続して行なわれることから,濾過板表面において層を成す濃縮汚泥についてさらに濃縮濾過が行なわれることはなく,したがって濃縮汚泥の濃度を高めることはできず,濃度は比較的低いという問題があった。
【0005】
この問題に対し,高濃度の濃縮汚泥を得るため,未濃縮汚泥引き抜き装置により未濃縮汚泥を汚泥槽(濾過濃縮槽)から排出した後,濾過板の表面に既に形成されている濃縮汚泥のみの濾過を継続することにより,該濃縮汚泥の濃度を高める濾過濃縮装置が提案されている(例えば特許文献1等)。
【0006】
本発明の先行技術文献としては下記のものを挙げることができる。
【特許文献1】特許第3119006号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述する特許文献1記載の濾過濃縮装置によれば,濾過濃縮槽内の未濃縮汚泥を排出した後,濾液排出管の下部に接続された濾液排出ポンプによって濾過板表面の濃縮汚泥のみについて濾過を行なうことにより,濃縮汚泥中の残留水分をさらに低減させて該濃縮汚泥の濃度を高めることができ,濾過効率を向上させることができる。
【0008】
しかし,特許文献1記載の濾過濃縮装置では,前記濃縮汚泥をさらに吸引するために備えている前記濾液排出ポンプは,給水手段により濾液排出管内に水が供給され,ポンプ室内部に水が充満した状態で運転された場合に負圧を生じさせるものであり(特許文献1中「0010」欄),このようにポンプ室内部に水を充満させた状態で運転することが必要とされる前記濾液排出ポンプにあっては,前記ポンプ室内部に空気が侵入すると,空回りを起こしたり,吸引力が低下する等の問題を生じる。
【0009】
そのため,上述のように濾過濃縮槽内からの未濃縮汚泥の除去後,濃縮汚泥についてさらに濾過を行なう場合,該濃縮汚泥が濾過板の全面にわたって付着している状態であれば,前記特許文献1記載の濾過濃縮装置で使用する前記濾液排出ポンプであっても濾液排出管内及び濾過板内の負圧を高めて,濾過板表面の濃縮汚泥から残留水分をさらに除去することができるが,通常,濾過板に積層した前記濃縮汚泥の厚みは一様ではなく,また前記濃縮汚泥をさらに濾過して残留水分を除去すると体積が減少することから,該濃縮汚泥にはひび割れや欠損(脱落)が生じやすくなる。このように濃縮汚泥にひび割れや欠損(脱落)が生じると,該ひび割れや欠損部分から濃縮汚泥の周囲の空気が濾過板内へと吸引されてしまうため,濾液排出ポンプの吸込圧力が低下,場合によっては消失し,それ以上の残留水分の吸引ができなくなるという問題がある。このことは,特許文献1記載の濾過濃縮装置によれば,濃縮汚泥にクラックが形成されるまで濾過濃縮を行なうことができると記載されている点からもいうことができる(特許文献1中「0021」欄)。
【0010】
さらに,前記特許文献1にあっては,濾液排出系統及び濾過板内に作用するサイフォン圧を高める目的で濾液排出ポンプが使用されているが,濾過板内の濾液を濾過濃縮槽外部へと排出する濾液排出系統をサイフォンとして機能させることにより濾過を行なうサイフォン式濾過濃縮装置にあっては,サイフォンを成す前記濾液排出系統内に空気,その他のガスが侵入して滞留するとサイフォン効果が大幅に低下したり,場合によっては消滅してしまうおそれがある。そのため,前述のように濃縮汚泥のひび割れ等から濾液排出系統内へ空気が混入すると,サイフォン効果が大幅に低下,消滅し,前記サイフォン圧を向上させられないことから,濃縮汚泥からの残留水分の吸引ができなくなるという問題もある。
【0011】
また,サイフォン式濾過濃縮装置は,前述の通り,サイフォンとして機能する前記濾液排出系統内に空気,その他のガスが侵入して滞留すると,サイフォン効果が大幅に低下したり,場合によっては消滅してしまうおそれがあるが,処理対象とする汚泥は,通常,大気圧下で一定量の空気などのガスを溶解しており,また,汚泥の種類によっては発酵等によって発生するガスを溶解あるいは微細な気泡として含有していることがある。そのため,このような汚泥の濾過をサイフォン式濾過濃縮装置によって負圧状態で継続していると,濾液中からガスが分離析出して次第に濾液排出系統に蓄積され滞留してしまう。
【0012】
したがって,濾過濃縮槽から未濃縮汚泥を除去した上で濃縮汚泥から残留水分を除去する前述のような場合のみならず,濾過板を汚泥中に浸漬して通常の濾過を行なっている場合であっても,濾過濃縮装置の経年使用等によって起こる濾液排出系統内への空気混入以外にガスの蓄積,滞留によるサイフォン圧の低下を招くおそれがあるため,濾液排出系統内にガスが蓄積,滞留した場合には該ガスを除去することが必要となる。
【0013】
しかし,このようなガスは,濾過濃縮槽内の汚泥の液面と,濾液排出系統により排出された濾液の液面との水位差でサイフォンを形成する前記サイフォン式濾過濃縮装置の構造上,サイフォンを形成している濾液排出系統中の高所に滞留してしまうため,自然に排気することができない。そのため,サイフォンを形成する濾液排出系統に何らかの原因によって空気などのガスが滞留して該濾液排出系統内の負圧が低下すると,これを濾過処理の継続中に回復させることはできず,濾過効率の低下を招くという問題があった。
【0014】
このほか,濾過濃縮槽内に充填される汚泥の水位及び濾液排出系統から排出される濾液の水位を一定に保持するようなサイフォン式濾過濃縮装置にあっては,サイフォン圧(濾過圧)はサイフォンを成す濾液排出系統の頂部から排出口に至る流路の長さによって決まるといえるが,前記流路の長さは一般に,濾過濃縮装置の全体構成や該濾過濃縮装置の設置場所等の制約を受けて決定され,通常3〜5m程度であるため,濾過圧は概ね30〜50kPa 程度と比較的小さいものとなる。そのため,汚泥の濾過抵抗が大きくなると,処理能力が少なくなってしまうという問題があり,濾過圧を高めようとすると設備を大型化しなくてはならないという問題もあった。
【0015】
そこで,本発明は,サイフォン式濾過濃縮装置による濾過濃縮において,濾過濃縮槽内の未濃縮汚泥を排出した後,濾過板の表面に層として形成される濃縮汚泥のみについてさらに濾過濃縮を行なうにあたり,前記濃縮汚泥中の残留水分を好適に除去することができ,該濃縮汚泥の濃度を効率的に高めることが可能であり,また,濾過処理中であっても,サイフォンを成す濾液排出系統中に滞留する空気などのガスを好適に除去してサイフォン圧(濾過圧)を回復等することが可能であり,さらに,汚泥の性状等の諸条件に応じて前記サイフォン圧(濾過圧)を向上させることが可能なサイフォン式濾過濃縮装置における濾過圧調整装置,及び該サイフォン式濾過濃縮装置における濾過圧調整方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
以上の課題を解決すべく,本発明のサイフォン式濾過濃縮装置10における濾過圧調整装置は,
処理対象を充填する濾過濃縮槽11と,該濾過濃縮槽11内に収容配置される濾過板12と,該濾過板12内の濾液を前記濃縮濾過槽11外へ排出する濾液排出系統15を備えたサイフォン式濾過濃縮装置において,
前記濾液排出系統15に真空ポンプ30を接続してなることを特徴とする(請求項1)。
【0017】
前記真空ポンプ30は,前記濾液排出系統15の頂部15aに接続することが好ましい(請求項2)。
【0018】
また,本発明のサイフォン式濾過濃縮装置10における濾過圧調整装置はさらに,前記濾液排出系統15の排出口15bを密閉可能な空間21内に収容し,前記空間21内に貯溜される濾液によって前記排出口15bを封止可能とするトラップ28を形成すると共に,前記空間21を大気開放可能とする開閉手段22を設け,前記空間21内の濾液を外部へと排出する排出管38を該空間21と連通し,かつ,前記真空ポンプ30を前記空間21に接続して構成することができる(請求項3)。
【0019】
また,本発明のサイフォン式濾過濃縮装置10における濾過圧調整方法は,該サイフォン式濾過濃縮装置10の備える前記真空ポンプ30により前記濾液排出系統15の頂部15aに滞留するガスを吸引することによって,濾過圧を設定範囲内に維持ないしは回復することを特徴とする(請求項4)。この際,より好適には,前記サイフォン式濾過濃縮装置10の濾液排出系統15に濾過圧の低下を検知する圧力センサを備え,該圧力センサが濾過圧の低下を検知した場合に前記真空ポンプ30によってガスを吸引することができる(請求項5)。
【0020】
また,本発明のサイフォン式濾過濃縮装置10の別の濾過圧調整方法は,前記サイフォン式濾過濃縮装置10が前記濾液排出系統15の排出口15bを前記真空ポンプ30により減圧可能な前記空間21に収容した構成を備えている場合には,前記濾過濃縮槽11内に充填された汚泥を所定時間濾過処理し,該濾過濃縮槽11内の未濃縮汚泥を排出した後,前記空間21を前記真空ポンプ30で減圧することによって,前記濾過板12表面に付着した濃縮汚泥中の残留水分を吸引することを特徴とする(請求項6)。
【0021】
本発明のサイフォン式濾過濃縮装置10のさらに別の濾過圧調整方法は,前記濾液排出系統15の排出口15bを収容する前記空間21を備えている前記サイフォン式濾過濃縮装置10により濾過濃縮槽11の汚泥の濾過処理を行なっている際に,前記空間21を前記真空ポンプ30により減圧して,濾過圧を高めることを特徴とする(請求項7)。
【発明の効果】
【0022】
本発明のサイフォン式濾過濃縮装置10における濾過圧調整装置によれば,サイフォンとして機能する濾液排出系統15内に真空ポンプ30を備えていることから,該濾液排出系統15内に滞留する空気等のガスを該真空ポンプ30によって吸引することができる。
【0023】
したがって,汚泥の性状や装置の経年変化などの要因によって,濾液排出系統15内にガスが滞留した場合であっても,該ガスを吸引除去して容易にサイフォン圧(濾過圧)を設定範囲内に維持ないしは回復させることができる。そのため,適用可能な汚泥の種類を拡大でき,また長期にわたって安定した性能を維持することが可能となる。そのほか,前記ガスの除去は濾過処理中であっても可能であることから,濾過処理中に生じるサイフォン圧の低下を好適に防止することができ,常時良好なサイフォン圧(濾過圧)を維持することができる。
【0024】
特に,前記真空ポンプ30を前記濾液排出系統15の頂部15aに備えることにより,装置構成上,一般に該頂部15aに滞留する前記ガスの吸引を好適に行なうことができる。
【0025】
さらに,前記濾液排出系統15の排出口15bを密閉可能な空間21内に収容すると共に,前記空間21を前記真空ポンプ30と接続することとした場合には,前記空間21を前記真空ポンプ30により減圧することによって,前記空間21内の負圧を前記濾液排出系統に作用させて濾液排出系統15全体の負圧状態を高めることができる。
【0026】
したがって,サイフォン式濾過濃縮装置10による通常の濾過処理後,すなわち,濾過濃縮槽11内の未濃縮汚泥を排出した後,濾過板12の表面に層として形成される濃縮汚泥のみについてさらに濾過濃縮を行なう場合にも,前記空間21を密閉した状態で前記真空ポンプ30により減圧することによって前記濃縮汚泥から残留水分を好適に除去することができ,該濃縮汚泥の濃度を効率的に高めることが可能となる。特に,本発明にあっては,濾過板12周辺の空気が濾液排出系統15内に侵入した場合であっても,該真空ポンプ30の吸引力に影響はないことから,前記濾液排出系統15内において高い負圧状態を維持したまま濃縮汚泥の残留水分の除去を好適に行なうことができる。そのため,前記残留水分の除去により濃縮汚泥にひび割れや欠損が生じた場合や,濾過板12に付着する濃縮汚泥の層が薄く,空気を吸引し易い場合等,従来の特許文献1記載の濾過濃縮装置においては高濃度に濃縮することが困難であった場合でも,本発明によれば,好適に高濃度の濃縮処理を行なうことができる。
【0027】
また,前記サイフォン式濾過濃縮装置10による通常の濾過処理中において,前記密閉可能な空間21を真空ポンプ30で減圧した場合には,真空ポンプ30により発生する高負圧力を濾液排出管18内部に作用させた濾過を行なうことができ,該濾液排出系統15内を濾液が流動することによって生じるサイフォン圧に加えてさらに大きな負圧力を発生させることができる。したがって,処理対象とする,例えば,汚泥の性状等に応じて濾過圧を高めることができ,浄水場の発生汚泥のように季節や気象条件によって濾過抵抗が大幅に変動する場合にも濾過圧を適応させることが可能となる。例えば,冬期などにおいて濾過抵抗の大きい汚泥が短期間発生するおそれがあるが,このように短い期間に発生する汚泥に対応するために全体として大型の濾過濃縮装置を設置することなく,必要に応じて前記真空ポンプ30を動作させることにより,濾過圧を向上させて処理能力の増強を図ることが可能となり,設備費用を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下,本発明のサイフォン式濾過濃縮装置10における濾過圧調整装置並びに該サイフォン式濾過濃縮装置10における濾過圧調整方法の実施形態につき,図面を参照しつつ説明する。
【0029】
〔サイフォン式濾過濃縮装置10〕
基本構成は従来のサイフォン式濾過濃縮装置10と同様の構成を備える。
【0030】
本発明のサイフォン式濾過濃縮装置10における濾過圧調整装置は,処理対象とするここでは,汚泥を充填する濾過濃縮槽11,該濾過濃縮槽11内に収容配置される濾過板12,該濾過板12内の濾液を前記濾過濃縮槽11外へ排出する濾液排出系統15等,従来より用いられている既知のサイフォン式濾過濃縮装置と略同様の基本構成を備えているが,このほか,後述するように前記濾液排出系統15に真空ポンプ30を接続して成る。また,必要に応じて前記濾液排出系統15の排出口15bを真空タンク35等の密閉可能な空間21に収容配置すると共に,該空間21を前記真空ポンプ30に接続して前記真空ポンプ30により減圧可能とする。
【0031】
図1は本発明のサイフォン式濾過濃縮装置10における濾過圧調整装置の一実施形態を示した図である。
【0032】
11は汚泥を充填する濾過濃縮槽で,該汚泥の濾過する濾過板12をその内部に収容可能に構成されているほか,汚泥を充填,排出したり,濃縮汚泥を排出するための導管を備えている。なお,これらの導管は同一のものを用いてもよく,また用途ごとに別途設けることとしてもよい。
【0033】
図1に示す実施形態にあっては,濾過濃縮槽11は鋼板製の角形槽を成し,上部が開口していて該上部より濾過体を濾過濃縮槽11内に挿入,収容可能としている。また底部には,汚泥の充填及び排出や濃縮汚泥の排出を行なうための汚泥用導管が連通しているほか,外周を成す側壁の下部が底部に向かって幅を狭める方向に傾斜しており,底部より濃縮汚泥を好適に排出し得るよう構成されている。
【0034】
12は濾過板で,前記濾過濃縮槽11内に収容配置され,汚泥に浸漬された状態で汚泥粒子と水分とを分離濾過するものであり,通常,複数枚(通常2〜60枚程度)を所定間隔を介して直立状態で配置する。前記濾過板12の構成は,前記濾過濃縮槽11内に充填された汚泥を濾過濃縮することが可能であれば,既知の各種濾過板12を使用可能であり,特に限定されないが,一例として,濾布や網状体等のフィルタ機能を有する濾過体を備えた構成とすることができる。なお,濾過体として濾布を用いる場合には,該濾布を縫合等して形成した袋体の内部に充填材を収容することとしてもよい。
【0035】
前記濾過濃縮槽11内に充填された汚泥中の汚泥粒子は前記濾過板12表面に蓄積されて濃縮汚泥の層を形成する。また,前記汚泥中の水分は前記濾過板12を透過して,後述する濾液排出系統15を通じて濾液として濾過濃縮槽11の外へと排出される。なお,サイフォン式濾過濃縮装置にあっては,濾液排出系統15内を前記濾液が流動することによって該濾液排出系統15内に負圧が生じるため,前記濾過板12内もこれに伴って負圧となり,該負圧によって前記濾過板12による濾過濃縮は促進される。
【0036】
15は,濾過板12内の濾液を濾過濃縮槽11の外へと排出する濾液排出系統15であって,内部を濾液が流動することによってサイフォンとして機能するものである。図1に示す実施形態にあっては,濾液集水管16,ヘッダー17,濾液排出管18から構成されており,前記濾過板12内の濾液は,濾液集水管16を通じてヘッダー17へと流動した後,該ヘッダー17から濾液排出管18を通じて濾過濃縮槽11の外へと排出されるよう構成されている。
【0037】
前記濾液集水管16は,濾過濃縮槽11内に収容配置された各濾過板12ごとに設けられ,一端を該濾過板12内に開口している。ヘッダー17は,複数枚(通常2〜10枚程度)の濾過板12を1群としてまとめるもので,各濾過板12に連結された前記濾液集水管16は,複数本単位で1のヘッダー17に連結されている。濾液排出管18は,1つの前記ヘッダー17に対して1本連結され,該ヘッダー17の下方に延伸している。
【0038】
図1中,15aは前記濾液排出系統15の頂部,15bは濾液の排出口15bであり,該排出口15bには,サイフォン効果が減殺あるいは喪失することを防ぐためのトラップ28が設けられている。また,前記排出口15bの上方には,該濾液排出系統15の開閉が可能な濾液排出弁23が設けられている。
【0039】
なお,前記濾液排出系統15は,サイフォンとして機能し,濾過板12内の濾液を濾過濃縮槽11外へ好適に排出することができるものであれば上述する構成に限定されるものではなく,例えばヘッダー17を備えずに複数本の前記濾液集水管16を濾液排出管18へと直接連結してもよく,また,各濾過板12ごとに,該濾過板12から濾過濃縮槽11の外へと連通する1本の管(前記実施形態における濾液集水管16と濾液排出管18を連結したものに相当)を設けることとしてもよい。
【0040】
本発明にあっては,サイフォンとして機能する前記濾液排出系統15,好ましくは該濾液排出系統15の頂部15aに真空ポンプ30を接続してなる。前記真空ポンプ30は,少なくとも空気,あるいはその他のガスを吸引可能なものとし,濾液排出系統15に接続する観点から水分が内部に混入した場合であっても吸引作用に影響のない真空ポンプ30を使用することが好ましい。
【0041】
図1に示す実施形態にあっては,前記濾液排出系統15の頂部15aを成すヘッダー17に小型真空ポンプ30を接続している。なお,ヘッダー17と真空ポンプ30とは,任意に開閉可能な排気弁32を備える排気管31を介して接続されている。
【0042】
また,本発明のサイフォン式濾過濃縮装置10における濾過圧調整装置は,さらに,濾液排出系統15の排出口15bを密閉可能な空間21内に収容し,該空間21内にトラップ28を形成すると共に,該空間21を前記真空ポンプ30と接続して,前記真空ポンプ30により前記空間21を減圧可能とした構成とすることができる。この場合には,前記空間21を大気開放可能とする開閉手段22を設けると共に,前記空間21内の濾液を外部へと排出する排出管38を該空間21と連通させる。
【0043】
図3に示す実施形態あっては,図1に示すのと同様の真空ポンプ30,排気管31,排気弁32を備えるほか,前記濾液排出系統15の下端に真空タンク35を設け,該真空タンク35により密閉可能な空間21を形成すると共に,前記真空タンク35内に上面が開口したボックス状の収容体25を設け,該収容体25の上面開口部から濾液排出系統15の排出口15bを収容体25内に挿入配置して,トラップ28を形成している。
【0044】
また,前記真空タンク35の上面に減圧管36を配置し,該減圧管36により真空タンク35により形成される空間21を真空ポンプ30と接続している。前記減圧管36には減圧弁37を設けており,該減圧弁37は真空ポンプ30とヘッダー17とを連通する前記排気管31の排気弁32と連動して開閉することにより,排気管31を通じてのヘッダー17内に滞留するガスの排気と,減圧管36を通じての真空タンク35の減圧を切り替え可能に構成されている。前記減圧管36の隣には真空タンク35を大気開放状態としたり密閉状態とする切り替えを行なう開閉手段たる吸気弁22が設けられている。また,排水管38は真空タンク35の下面に備えられ,開閉自在な排水弁39を有している。
【0045】
前記濾液排出系統15の排出口15bを収容する密閉可能な空間21に形成されるトラップ28は,前記排出口15bから濾液排出系統15内に空気が侵入してサイフォン効果を低減,消失させることを防ぐべく,該空間21内に貯溜される濾液によって前記排出口15bを封止可能と成し,また,前記真空ポンプ30による前記空間21の減圧に伴って前記濾液排出系統15内の負圧力を高められるよう,該空間21及び濾液排出系統15と連通する構成であれば,その構成は特に限定されず,サイフォン式濾過濃縮装置10の濾液排出系統15の排出口15bに一般に設けられる各種トラップ28を採用することができる。
【0046】
例えば,図3に示す実施形態のように,前記空間21を成す真空タンク35内に上面が開口したボックス状の収容体25を設ける構成のほか,図4(A)に示すように,前記収容体25に代えて真空タンク35の下方の角部に仕切り26を設け,前記仕切り26内に濾液排出系統の排出口を配置することによってトラップ28を構成してもよい。また,図4(B)に示すように,前記真空タンク35内において,濾液排出管18の排出口15bよりも高い位置に前記排水管38の上端を配置した構成としてもよく,この場合には,前記密閉可能な空間21を形成する真空タンク35全体がトラップ28に相当する。
【0047】
〔サイフォン式濾過濃縮装置10における濾過圧調整方法〕
以下,上述する本発明のサイフォン式濾過濃縮装置10における濾過圧調整方法について説明する。
【0048】
1.濾液排出系統内のガスの排気
処理対象とする汚泥は,通常,大気圧下に置かれていることによって空気等のガスが溶解されていたり,また,汚泥の種類・性状によっては発酵等によって発生したガスを溶解あるいは気泡として含有していることがある。そのため,このような汚泥を濾液排出系統15がサイフォンとして機能するサイフォン式濾過濃縮装置10によって濾過濃縮すると,前記濾液排出系統15及び濾過板12内に作用する負圧により,前記ガスが濾液から分離析出する場合がある。また,このほか,濾過濃縮装置の経年使用等の原因により,濾液排出系統15内へ空気が混入する場合もある。
【0049】
このように濾液排出系統15内に析出あるいは混入した空気等のガスは,その性質上,濾液で満たされている前記濾液排出管18の頂部15aに滞留してしまう。図2は前述するようなガスが濾液排出系統15内に滞留した状態を示した図であり,濾過濃縮槽11内に充填される汚泥の水位が一定である場合,サイフォン圧は,サイフォンを成す濾液排出系統15の頂部15aから排出口15bに至る流路のうち,サイフォン効果によって濾液を上方から下方へと流動させる長さ(以下「有効サイフォン長さ」という。)によって決まるといえるが,この図では,装置の設計上の有効サイフォン長さAが,前記濾液排出系統15の頂部15aに滞留するガスのためにBに減殺されている。したがって,サイフォン圧(濾過圧)がこの分低下する。
【0050】
なお,濾液排出系統の下部の水柱Bに働く重力による下向きの力と,濾液排出系統の上部に滞留しているガス体の真空圧による水柱Bを吸い上げる力が平衡を保っていることになる。すなわち,濾液排出系統の上部に滞留しているガスの他端(ここでは濾過板12)が水没していて,大気に開放されていない限り,サイフォン効果は喪失することはない。蓄積するガスが増加して,濾液排出系統の下端のトラップにまで到達すれば水柱Bがなくなることになり,サイフォン効果も消滅する。
【0051】
そこで,本発明においては,前記濾液排出系統15,好ましくは該濾液排出系統15の頂部15a(図1ではヘッダー17)に設けられている真空ポンプ30により,該濾液排出系統15内に滞留するガスを吸引して排気することによって,低下したサイフォン圧(濾過圧)を回復させることができる。
【0052】
より詳細に説明すると,図1において通常の濾過処理を行っている場合には,濾液排出弁23を開放すると共に排気弁32を閉塞して,濾過板12内の濾液を濾液排出系統15を通じて排出しているが,前記濾液排出管18内にガスが滞留し,サイフォン圧が低下した場合には,一旦濾液排出弁23を閉塞し,真空ポンプ30を起動した上で排気弁32を開放する。これにより,前記濾液排出管18内のガスは,排気管31を通じて真空ポンプ30により排気される。その後,排気弁32を閉塞し,真空ポンプ30を停止して,濾液排出弁23を開放すると,濾液排出系統15内は再び濾液で充満された状態となり,サイフォン圧(濾過圧)が回復する。
【0053】
より好適な実施形態としては,前記濾液排出系統15内からの滞留ガスの排気時期を見計らうため,濾液排出系統15内にサイフォン圧用の圧力サンサ(図示せず)を設け,該圧力センサによって濾過圧が低下したことを検知した場合に,前記真空ポンプ30によるガスの排気を行うこととしてもよい。また,濾液排出系統15内が濾液で充満したことを確認するための水位計(図示せず)を設けることとしてもよい。
【0054】
なお,前記真空ポンプ30による濾液排出系統15内のガスの吸引は,サイフォン圧が設定範囲から外れた際に該設定範囲内へと回復させる場合のほか,前記サイフォン圧が設定範囲から外れることのないよう維持するために行う場合も含む。
【0055】
なお,以上は図1に示す実施形態について説明したが,図3に記載の実施形態であっても同様に濾液排出系統15内の滞留ガスを真空ポンプ30によって排気し,サイフォン圧(濾過圧)を維持あるいは回復することができる。
【0056】
2.濾液排出系統の負圧力向上
また,本発明のサイフォン式濾過濃縮装置10における濾過圧調整装置において,真空ポンプ30に接続された真空タンク35等の密閉可能な空間21内に濾液排出系統15の排出口15bを収容配置している場合には,前記真空ポンプ30により前記空間21を減圧することによって,真空ポンプ30による高い負圧力を濾液排出系統15に好適に作用させることができる。
【0057】
すなわち,特許文献1に記載の濾過濃縮装置10と同様,濾過濃縮槽11内において汚泥に浸漬された濾液板12の表面に濃縮汚泥がある程度の厚みをもって積層された場合には,濾過処理を終了し,濾過濃縮槽11内の未濃縮汚泥を排出した上で前記濃縮汚泥をさらに濃縮濾過することができる。
【0058】
図3に記載の実施形態を用いて説明すると,濾過濃縮槽11内に汚泥を充填して通常の濾過処理を行う場合には,排気弁32及び減圧弁37を閉塞して真空ポンプ30を濾液排出系統15から切り離し,また,排水弁39及び吸気弁22は開放する。吸気弁22を開放していることにより真空タンク35内は大気と連通しているため,濾液排出系統15は真空タンク35内に形成されたトラップ28に至るまでサイフォンとして機能する。トラップ28から溢出した濾液は,排水管38を通じて排出される。
【0059】
一方,所定時間の濾過処理を経た後,濾過濃縮槽11から未濃縮汚泥を排出して濾過板12表面の濃縮汚泥についてのみの濾過を行う場合には,真空ポンプ30を起動し,排水弁39及び吸気弁22を閉塞し,減圧弁37を開放する。これによって,真空タンク35内の空間21は大気との連通が遮断された密閉状態となる上,減圧管36を通じて真空ポンプ30により減圧されるため,該空間21と連通する濾液排出系統15の負圧も高まり,濾過板12表面に付着する濃縮汚泥から残留水分を吸引除去することができ,濃縮汚泥をさらに高濃度に濃縮することができる。このとき,濃縮汚泥からの水分除去が進むこと等により濾過板12周囲の空気が濾液排出系統15に侵入した場合であっても,本発明で使用する真空ポンプ30は従来の特許文献1記載の濾過濃縮濃置で使用される濾液排出ポンプと異なり,真空タンク35内の空気等を吸引して負圧を高めるものであって前記空気の侵入による影響を受けず,また高い吸引力を有することから,高い負圧状態のまま継続して残留水分を除去でき,濃縮汚泥を高濃度に濃縮することができる。
【0060】
また,このほか,濾過濃縮槽11内に汚泥を充填した状態で行う通常の濾過処理中において,上述のように前記真空タンク35内の空間21を真空ポンプ30により減圧することとしてもよい。すなわち,図3に示すサイフォン式濾過濃縮装置10における濾過圧調整装置につき,排気弁32及び減圧弁37を閉塞,排水弁39及び吸気弁22を開放し,真空ポンプ30を濾液排出系統15と切り離して使用している状態において,一旦,真空ポンプ30を起動,排水弁39を閉塞,減圧弁37を開放して,前記真空ポンプ30による真空タンク35内の減圧を行う。このとき,吸気弁22は開放していても良く,又は吸気弁22を閉塞した状態としても良い。
【0061】
この場合には,サイフォンとして機能する濾液排出系統15内の負圧(サイフォン圧)が前記真空ポンプ30の吸引力によってさらに高められるため,濾液排出系統15内の濾液の流動により生じるサイフォン圧のみで濾過する場合と比較して濾過圧が向上し,濾過速度及び濾過効率を向上することができ,設備の処理能力不足を解消することができる。
【0062】
したがって,例えば,季節や気象状況等により性状が変化し,濾過抵抗が一時的に大きくなるおそれがある浄水汚泥等を処理対象とする場合,濾過抵抗の高い汚泥に関してのサイフォン式濾過濃縮装置10の処理能力が低下することが予測されるが,本発明のサイフォン式濾過濃縮装置10における濾過圧調整装置によれば,前記真空ポンプ30による真空タンク35内の空間21の減圧により濾過圧を高めて処理能力の向上を図ることができるため,一時的に発生するネック条件に合わせて設備規模を大型化する必要がなく,設備の初期投資を抑制することができる。
【0063】
なお,上記の実施例においては吸気弁22を開放した状態で真空ポンプ30により真空タンク35内を吸引することで,サイフォン圧を上昇させるものとして説明したが,汚泥の状態等によっては前記吸気弁22を閉塞した状態で真空ポンプ30によって真空タンク35内を吸引しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明のサイフォン式濾過濃縮装置10における濾過圧調整手段の一実施形態を示す図。
【図2】図1に示す実施形態において,濾液排出系統15内にガスが滞留した状態を示す図。
【図3】本発明のサイフォン式濾過濃縮装置10おける濾過圧調整手段の他の実施形態を示す図。
【図4】図3に示す実施形態において用いられているトラップ28とは異なる実施形態のトラップ28を示す図。
【符号の説明】
【0065】
10 サイフォン式濾過濃縮装置
11 濾過濃縮槽
12 濾過板
15 濾液排出系統(サイフォン)
15a 頂部(濾液排出系統の)
15b 排出口(濾液排出系統の)
16 濾液集水管
17 ヘッダー
18 濾液排出管
21 空間
22 開閉手段(吸気弁)
23 濾液排出弁
25 収容体
26 仕切り
28 トラップ
30 真空ポンプ
31 排気管
32 排気弁
35 真空タンク
36 減圧管
37 減圧弁
38 排水管
39 排水弁
50 濾過圧調整装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象を充填する濾過濃縮槽と,該濾過濃縮槽内に収容配置される濾過板と,該濾過板内の濾液を前記濃縮濾過槽外へ排出する濾液排出系統を備えたサイフォン式濾過濃縮装置において,
前記濾液排出系統に真空ポンプを接続してなることを特徴とするサイフォン式濾過濃縮装置における濾過圧調整装置。
【請求項2】
前記真空ポンプを,前記濾液排出系統の頂部に接続したことを特徴とする請求項1記載のサイフォン式濾過濃縮装置における濾過圧調整装置。
【請求項3】
前記濾液排出系統の排出口を密閉可能な空間内に収容し,前記空間内に貯溜される濾液によって前記排出口を封止可能とするトラップを形成すると共に,前記空間を大気開放可能とする開閉手段を設け,前記空間内の濾液を外部へと排出する排出管を該空間と連通し,かつ,前記真空ポンプを前記空間に接続したことを特徴とする請求項1又は2記載のサイフォン式濾過濃縮装置における濾過圧調整装置。
【請求項4】
請求項1〜3いずれか1項記載の前記サイフォン式濾過濃縮装置において,
前記真空ポンプにより前記濾液排出系統の頂部に滞留するガスを吸引することによって,濾過圧を設定範囲内に維持ないしは回復することを特徴とするサイフォン式濾過濃縮装置における濾過圧調整方法。
【請求項5】
前記サイフォン式濾過濃縮装置の濾液排出系統に濾過圧の低下を検知する圧力センサを備え,該圧力センサが濾過圧の低下を検知した場合に前記真空ポンプによってガスを吸引することを特徴とする請求項4記載のサイフォン式濾過濃縮装置における濾過圧調整方法。
【請求項6】
請求項3記載の前記サイフォン式濾過濃縮装置において,
前記濾過濃縮槽内に充填された汚泥を所定時間濾過処理し,該濾過濃縮槽内の未濃縮汚泥を排出した後,前記空間を前記真空ポンプで減圧することによって,前記濾過板表面に付着した濃縮汚泥中の残留水分を吸引することを特徴とするサイフォン式濾過濃縮装置における濾過圧調整方法。
【請求項7】
請求項3記載の前記サイフォン式濾過濃縮装置において,
前記空間を前記真空ポンプにより減圧することによって,濾過圧を高めることを特徴とするサイフォン式濾過濃縮装置における濾過圧調整方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象を充填する濾過濃縮槽と,該濾過濃縮槽内に収容配置される濾過板と,該濾過板内の濾液を前記濃縮濾過槽外へ排出する高さ方向に配設した濾液排出系統を備えたサイフォン式濾過濃縮装置において,
前記濾液排出系統の排出口を密閉可能な空間内に収容して,前記空間内に貯溜される濾液によって前記濾液排出系統の前記排出口を封止可能とするトラップを形成すると共に,
前記排出口の前記空間を大気開放可能とする開閉手段を設け,前記空間内の濾液を外部へと排出する排出管を該空間と連通し,且つ,
前記濾液排出系統の頂部と,前記空間に真空ポンプを接続してなることを特徴とするサイフォン式濾過濃縮装置における濾過圧調整装置。
【請求項2】
請求項1記載の前記サイフォン式濾過濃縮装置において,
前記真空ポンプにより前記濾液排出系統の頂部に滞留するガスを吸引することによって,濾過圧を設定範囲内に維持ないしは回復することを特徴とするサイフォン式濾過濃縮装置における濾過圧調整方法。
【請求項3】
前記サイフォン式濾過濃縮装置の濾液排出系統に濾過圧の低下を検知する圧力センサを備え,該圧力センサが濾過圧の低下を検知した場合に前記真空ポンプによってガスを吸引することを特徴とする請求項記載のサイフォン式濾過濃縮装置における濾過圧調整方法。
【請求項4】
請求項記載の前記サイフォン式濾過濃縮装置において,
前記濾過濃縮槽内に充填された汚泥を所定時間濾過処理し,該濾過濃縮槽内の未濃縮汚泥を排出した後,前記空間を前記真空ポンプで減圧することによって,前記濾過板表面に付着した濃縮汚泥中の残留水分を吸引することを特徴とするサイフォン式濾過濃縮装置における濾過圧調整方法。
【請求項5】
請求項記載の前記サイフォン式濾過濃縮装置において,
前記空間を前記真空ポンプにより減圧することによって,濾過圧を高めることを特徴とするサイフォン式濾過濃縮装置における濾過圧調整方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2006−263620(P2006−263620A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−87144(P2005−87144)
【出願日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(302060421)アマドック株式会社 (4)
【Fターム(参考)】