説明

サニタリー物品上に塗布するための接着剤

【課題】サニタリー物品上に直接塗布され、そこに接着し、比較的多数回のフラッシュの後にのみ洗い流すことができる、サニタリー設備用の剤を得ること。
【解決手段】界面活性剤の群の増量剤および接着促進剤を含み、接着促進剤が、水素化ポリスチレン誘導体、および、部分的に水素化されていてもよいオレフィンホモポリマーおよび2種以上のオレフィンのコポリマーの群から選択され、粘度が、Haake粘度計、プレート/プレートシステム、プレート直径10mmを使用して2.62s-1の剪断勾配および20℃で測定されると少なくとも30Pasであり、棒状の剤を便器中に付着させるのに役立つことができるほど粘着性であり、ポリアルキレンイミンの群の接着促進剤の場合の界面活性剤の濃度が7と60重量%の間にある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に便器(トイレボウル)などのサニタリー物品上に塗布するのに役立つ、サニタリー分野用の接着剤に関する。
【0002】
これらの剤は、粘性の、全般的にペースト状の剤であり、サニタリー物品の表面に好適な容器から直接塗布され、そこに接着し、比較的多数回のフラッシュ(洗浄)操作の後にのみ洗い流すことができる。
【0003】
WO99/66017は、洗浄および脱臭に役立ち、界面活性剤、水、芳香剤および接着促進剤を含む接着性サニタリー剤を開示している。サニタリー物品上への直接の塗布の後、これらのサニタリー剤は、比較的多数回のフラッシュ・サイクルの後にのみ洗い流される。
【0004】
多価アルコールの添加によっていっそう滑らかな表面を有するこれらの接着性サニタリー剤のさらなる開発がEP1325103B1で開示されている。
【0005】
オリゴもしくはポリアルキレンオキシドを含むブロックコポリマーまたは接着促進剤としてのアリールエトキシレートもしくはアルキルアリールエトキシレートに基づいているさらなる接着性サニタリー剤がEP1318191B1で記載されており、漂白剤を含有する接着性サニタリー剤がDE102004056554A1で記載されている。
【0006】
知られている接着性サニタリー剤は、好適なデバイスを使用して簡素および衛生的な方法で塗布することができ、サニタリー物品の表面に接着し、その形状を保持し、水の影響下でさえその全体が洗い流されることはないが、多数回のフラッシュ後、徐々にではあるが完全に溶解する。
【0007】
これらの接着性サニタリー剤の独特の利点は、特にサニタリー剤を取り替えるときおよびトイレを洗浄するときに、その使用が消費者に非衛生的であると認識されているいわゆる「WCケージ」などのさらなる容器が回避されるという事実にある。
【0008】
便器中のWCケージ中で使用される通常の棒状のトイレ洗浄および脱臭剤の領域では、近年、多数の多相製品が供給されてきた。
【0009】
したがって、例えば、さらなる漂白剤相を有する剤がWO00/23558で記載されており、洗浄剤型物体相およびゲル相を有する剤がEP1418225A1で記載されており、水溶性塩を含む1種の相および水不溶性塩を含む1種の相を有する洗浄剤型物体がWO00/58434で記載されている。
【0010】
トイレ洗浄および脱臭剤によって満たされるべき様々な機能をいくつかの相、例えば強力な脱臭のための特定の相および洗浄専用の特別な相の間に分けた結果、そのような多相剤は、消費者の要求をより良好に満たすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】EP1325103B1
【特許文献2】EP1318191B1
【特許文献3】DE102004056554A1
【特許文献4】WO00/23558
【特許文献5】EP1418225A1
【特許文献6】WO00/58434
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、簡素および衛生的な方法で塗布することができ、多様な方法で使用することができ、強力な脱臭および良好な洗浄に関する消費者の希望を満たすサニタリー剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的は、請求項1の特徴により達成される。
【0014】
驚くべきことに、Haake粘度計、プレート/プレートシステム、プレート直径10mmを使用して、2.62s-1の剪断勾配および20℃で測定されると少なくとも30Pasの粘度を有する剤であって、増量剤および接着促進剤も含み、接着促進剤が、水素化ポリスチレン誘導体、部分的に水素化されていてもよい、オレフィンホモポリマーおよび2種以上のオレフィンのコポリマー、から選択される剤が、サニタリー物品上に直接塗布することができるだけではなく、そこに接着し、比較的多数回のフラッシュ操作の後にのみ洗い流すことができるが、その粘着性により、棒状の剤を便器に付着させるのにも役立つことができるということが証明されてきた。
【0015】
特別な接着促進剤とは、該剤がサニタリー表面に接着し、例えば洗浄または脱臭有効成分を有するさらなる材料、例えば棒状の剤などが、接着剤の表面に固着することができるということを意味する。さらに、これらの接着促進剤は、これらの接着促進剤を含む剤を残渣なしに洗い流すことができ、これらの接着促進剤を含む剤が接着促進剤対増量剤の混合比の変動に対して非感受性であることを特徴とする。
【0016】
好適な増量剤を添加することにより、例えば、該剤の粘度および/または洗い流しやすさ性を調整すること、および該剤の所望の脱臭または着色を達成することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明による剤により、より広範な使用領域が開拓される。
【0018】
該剤の「純粋な接着剤」としての(第1)用途では、該剤は、消費者に非衛生的であると認識されているWCケージの代替物としての役割を果たす。便器表面に塗布した接着剤の上に、その特有の機能性を有する有効成分を含む棒状の剤、例えば、1種または複数の相を有する通常のリムブロック、香り付きの相を有するリムブロック、脱臭タブレット、漂白剤を含有するリムブロック等を付着させることが可能であり、該接着剤は、衛生的な方法でWCケージを代替し、そこに付着する棒状の剤と共にフラッシュ水の流れにより徐々に洗い流される。当然、有効成分を含有する、粉末もしくは顆粒から圧縮されたタブレットまたは水溶性もしくは水不溶性プラスチックを該接着剤に付着させることも可能である。
【0019】
この用途では、該剤は、本発明による接着促進剤の少なくとも1種および増粘剤を有する。本発明による接着促進剤は全般的に粘性の液体であるため、該剤が少なくとも30Pasの所望の高粘度を有するように、増量剤としての増粘剤の添加が必要である。
【0020】
さらなる成分、例えば、染料、芳香剤、場合により界面活性剤、起泡剤等も、当然、接着促進剤と増粘剤とのこの基本配合に加えることができる。
【0021】
第1の実施形態の1つ変形例では、該剤は、接着促進剤および増粘剤の他に、接着および脱臭に同時に使用することができるように香料も有する。
【0022】
第2の用途では、該接着剤は、本発明による接着促進剤を有し、増量剤として界面活性剤を有し、それは、界面活性剤の種類および濃度、場合によりさらなる添加剤の好適な選択によって、それ自体が洗浄機能を呈することができることを意味する。接着効果は、さらなる所望の有効成分、例えば、芳香剤、漂白タブレット、スケール除去タブレット、広告媒体等の便器中での固定を促進する。
【0023】
したがって、洗浄接着剤により、消費者は、例えば、トイレを次の1または2週間脱臭するために、例えば、自身の現在の希望に一致する香りを選択し、塗布した洗浄接着剤上に対応する脱臭タブレットを押しつけ、その結果、該接着剤に堅く固着させることができる。
【0024】
したがって、本発明による接着剤は、該接着剤を一連の脱臭タブレットまたは脱臭ゲル、漂白タブレット、スケール除去タブレット、強力洗浄タブレット等と共に組み合わせたセットで提供することさえ可能にし、したがって、使用者が個々に該接着剤を備えることを可能にする。
【0025】
消費者がさらなる漂白を望むならば、例えば、漂白タブレットを接着剤の表面に固着させる。
【0026】
次いで、消費者が特に強力なトイレの洗浄を望むならば、別の洗浄タブレットを洗浄接着剤にさらに固着させることができる。接着剤−機能性−接着剤−機能性の層からなる多層剤の積み重ねも可能である。
【0027】
これとは対照的に、今までに知られていて最初に記載した剤は、サニタリー物品上で良好で持続する接着性を示すが、今までに知られている接着性サニタリー剤では別の剤を「上に固着させること」は不可能である。
【0028】
該剤は、トイレ衛生の領域での使用の他に、界面活性剤の添加により、低温接着剤としても使用することができ、水で洗い流すことができる。該剤は、例えば、小便器だけではなく手洗器中またはシャワー室もしくはキッチン、レストラン、屠殺場またはすすぎのために水が使用される他の場所のタイル上への目的物の付着のために、サニタリー分野で低温接着剤として使用することができる。
【0029】
水がすすぎに使用される場所で低温接着剤を使用することにより、該接着剤を洗い流すと同時に、該接着剤中に存在する界面活性剤によって洗浄も発生する。
【0030】
同様に考えられるのは、自動車の洗浄のための洗浄設備で、または配水管もしくは下水管の上/中での用途のための、例えば一時的にこれらを脱臭するための本発明による剤の使用である。
【0031】
本発明による剤は、害獣を駆除するための毒餌を収容するための、または雨に降られる窓もしくはファサードへの付着のための洗い落としペーストとして使用することもでき、その結果、該剤が徐々に消費される。
【0032】
本発明による剤の個々の成分は以下に記載する。
【0033】
ポリスチレン誘導体の群の接着促進剤は、好ましくは鉱油中に溶解した架橋ポリスチレン誘導体、特にアルキレンスチレンコポリマー、例えばPenrecoからVersagel M750またはVersagel M1600という商品名で入手可能な、例えば、水素化ブチレン/エチレン/スチレンコポリマーおよび水素化エチレン/プロピレン/スチレンコポリマーなどである。
【0034】
さらに、非水溶性オレフィンホモポリマーおよびコポリマーを接着促進剤として使用することができる。これらの化合物としては、例えば、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンブロックポリマーおよびコポリマー、ならびにポリイソプロペンが挙げられる。ブタジエンまたはイソプレンのスチレンまたはα−メチルスチレン上への1,3−付加により調製される「ランダム(ブロック)ポリマー」、エチレンおよびプロピレンのホモポリマーまたはコポリマー、例えば、エチレン−プロピレンジエンターポリマー、天然ゴムおよびポリジシクロペンタジエンなどのノルボルネンポリマーを使用することも可能である。オレフィンホモポリマーおよびコポリマーの群の化合物は、部分的に水素化されてもよい。
【0035】
当然、前述の接着促進剤の組合せを本発明による剤において使用することも可能である。
【0036】
接着促進剤は、該剤のサニタリー物品の表面への接着をもたらす。本発明による剤は、乾燥した表面、さらには湿った表面の両方に付着する。
【0037】
さらに、特別な接着促進剤は、塗布した剤の表面が粘着性であり、その結果、他の有効成分剤が該接着剤の表面に固着できるようにする。
【0038】
一般に、接着促進剤は、フラッシュ水による強い力の影響下でさえ必要な次元安定性を該剤に付与する、ネットワーク様構造も形成する。
【0039】
使用する接着促進剤の濃度は、特定の物質の種類および接着促進剤のネットワーク形成能力次第であり、全般的に2重量%と60重量%の間、好ましくは7重量%と50重量%の間、特に好ましくは8重量%と40重量%の間である。
【0040】
さらに、本発明による剤は、界面活性剤、増粘剤、芳香剤、染料、塩、泡安定剤、増泡剤、発泡剤およびポリマー系天然物質の群から選択することができる増量剤を含む。
【0041】
原則として、使用することができる界面活性剤は、全て知られているアニオン性および/またはカチオン性および/または非イオン性および/または両性界面活性剤であり、粉末状ないし非常にペースト状のものが好ましい。該剤中の界面活性剤部分は、0重量%と80重量%の間、好ましくは10重量%〜60重量%、特に好ましくは25重量%〜45重量%であるはずである。
【0042】
アニオン性界面活性剤は、本発明においていくつかの課題を担う。最初に、それらは、水不溶性ポリマーマトリックスの場合、接着性を完全に破壊することなく該ポリマーマトリックスを乳化する働きをする。第2に、それらは、粘度上昇剤(増粘剤)として機能することにより、出発ポリマー(接着促進剤)の可塑化に顕著に寄与する。好ましくは、アニオン性界面活性剤は、例えば、便器中での洗浄効果を視覚的に示すために、高発泡性でもあるはずである。最後に重要なこととして、良好な湿潤性により維持される、界面活性剤の良好な洗浄効果が望ましい。
【0043】
アニオン性界面活性剤としては、カルボン酸の塩、硫酸半エステルの塩およびスルホン酸の塩の群、好ましくは脂肪酸、脂肪族アルキル硫酸およびアルキルアリールスルホン酸の群の1種または複数の物質を使用することが好ましい。通常、アニオン性界面活性剤の炭素鎖分布は、6〜40個、好ましくは8〜30個、特に12〜22個の炭素原子の範囲である。
【0044】
その金属塩(好ましくはアルカリ金属塩)の形態のカルボン酸(C6〜C22)およびその天然または合成混合物、さらには硫酸半エステルおよび比較的長鎖のアルコールのアルカリ金属塩を、同様にアニオン性界面活性剤として使用することができる。
【0045】
本発明に従って使用することができるアニオン性界面活性剤のさらなる種類は、アルキルエーテル硫酸のアルカリ金属塩である。アルキルエーテル硫酸は、アルキル硫酸のように、エチレンオキシドと反応させられて当該脂肪族アルコールエトキシレートを生じる脂肪族アルコールから合成される。エチレンオキシドの代わりにプロピレンオキシドを使用することも可能である。その後のスルホン化により当該アルキルエーテル硫酸が生成される。
【0046】
アルカンスルホン酸およびオレフィンスルホン酸のアルカリ金属塩も、本発明の文脈においてアニオン性界面活性剤として使用することができる。アルカンスルホン酸は、末端結合形態(第一級アルカンスルホン酸)または炭素鎖に沿った(第二級アルカンスルホン酸)スルホン酸基を含有することができる。一般的代表例は、アルキルベンゼンスルホネート、特に好ましくは直鎖アルキルベンゼンスルホネート(LAS)である。
【0047】
前述のアニオン性界面活性剤は、その中和形態単独で、または互いの混合物で使用することができる。
【0048】
本発明によると、界面活性剤相は、その重量に基づいて、好ましくは10〜90、特に好ましくは40〜85重量%のラウリルスルフェートを含む。
【0049】
使用することができる非イオン性界面活性剤は、アルコキシル化、好ましくはエトキシル化された、特に、好ましくは8〜18個の炭素原子およびアルコール1モル当たり平均で1〜12モルのエチレンオキシド(EO)を有する第一級アルコールであり、アルコール基は、直鎖でも、好ましくは2−メチル分岐鎖でもよく、または通常オキソアルーコル基中に存在するように直鎖およびメチル分岐鎖基を混合物として含有することができる。しかし、特に、12〜18個の炭素原子を有する自然由来のアルコール、例えば、ヤシアルコール、パームアルコール、獣脂脂肪アルコールまたはオレイルアルコールの直鎖基、およびアルコール1モル当たり平均で2〜8EOを有するアルコールエトキシレートが好ましい。これらの非イオン性界面活性剤の他に、12より多くのEOを有する脂肪族アルコールも使用することができる。その例は、14EO、25EO、30EOまたは40EOを有する獣脂脂肪アルコールである。
【0050】
使用することができるさらなる非イオン性界面活性剤は、一般式アルキル−O(G)(式中、アルキルは、8〜22個、好ましくは12〜18個の炭素原子を有する、第一級直鎖またはメチル分岐鎖、特に2−メチル分岐鎖の脂肪族基であり、Gは、5または6個の炭素原子を有するグリコシド単位、好ましくはグルコースのシンボルである)のアルキルグリコシドである。
【0051】
単独の非イオン性界面活性剤として、または他の非イオン性界面活性剤と組み合わせて使用する、使用するのが好ましい非イオン性界面活性剤のさらなる種類は、好ましくはアルキル鎖中に1〜4個の炭素原子を有する、アルコキシル化、好ましくはエトキシル化またはエトキシル化およびプロポキシル化された脂肪酸アルキルエステル、特に脂肪酸メチルエステルである。アミンオキシド型の非イオン性界面活性剤、例えばN−ココアルキル−N,N−ジメチルアミンオキシドおよびN−獣脂−アルキル−N,N−ジヒドロキシエチルアミンオキシドまたはアルカノールアミドも使用することができる。
【0052】
界面活性剤相全体における非イオン性界面活性剤(複数可)部分は、最大で50%、好ましくは最大で30%、特に好ましくは最大で25%であることができる。
【0053】
界面活性剤相は、所望であれば、カチオン性または両性および双性イオン性界面活性剤を備えることもできる。両性界面活性剤の例は、C5〜C21脂肪酸部分を有する脂肪酸アミドプロピルベタイン、それだけではなくアンホジアセテートである。
【0054】
カチオン性界面活性剤は、好ましくは殺菌物質と組み合わせて酸性配合物中で使用する。双性イオン性界面活性剤は、例として、脂肪族橋を介してさらなる現在のアニオン性基、例えば、カルボキシ、スルホネート、スルフェート、ホスフェートまたはホスホネートなどに結合されている第四級アンモニウム、ホスホニウムまたはスルホニウム成分として記述することができる。
【0055】
さらに、オレフィンスルホネート、エーテルスルフェートまたは酸メチルタウリドを起泡剤として該剤に添加することができる。強い起泡剤を使用するならば、好ましくは界面活性剤相の1〜50、特に1〜25%を、例えば、ベタイン、アルコキシル化アルキルエーテルスルフェートまたはラクトビオン酸誘導体の群の1種または複数の起泡剤により代替することができる。これらの起泡剤は、C5〜C21脂肪酸部分を有する脂肪酸アミドプロピルベタイン、例えば、ココアミドプロピルベタインなど、1〜5EOを有するラウリルエーテルスルフェートのアルカリ金属またはアンモニウム塩、ラクトビオノココイルアミド、ラクトビオノオレイルアミド、ラクトビオノタルグアミド等またはそれらの混合物から選択することができる。これらの起泡剤は、感圧接着剤中に容易に組み込むことができる。固体、好ましくは粉末状または高粘度形態で存在する共界面活性剤を使用することが好ましい。
【0056】
本発明による成分の他に、該接着剤は、さらなる通例の成分、例えば塩、殺菌剤(例えば、酸素または塩素ドナー)、保存剤、例えば、イソチアゾロン誘導体など、泡安定剤、例えば、アルカノールアミドなど、疎水化剤、例えば、鉱油または(部分的に)メチル化されたシロキサンおよびシランなど、カルシウム分散剤、例えばポリカルボン酸のナトリウム塩など、または染料を含むことができる。
【0057】
香油または芳香剤を添加することにより、該接着剤は空気の脱臭にも使用することができる。
【0058】
使用することができる香油および芳香剤は、個々の臭気化合物、例えば、アルデヒド、アルコール、エステル、エーテル、ケトンおよび炭化水素の合成品である。エステル型の臭気化合物は、例えば、酢酸ベンジルまたはギ酸ベンジルである。エーテルとしては、例えば、ベンジルエチルエーテルが挙げられ、アルデヒドとしては、例えば、シトロネラルが挙げられ、ケトンとしては、α−イソメチルイオノンが挙げられ、アルコールとしては、シトロネロール、オイゲノール、ゲラニオールおよびリナロールが挙げられる。炭化水素としては、主にテルペン、例えばリモネンおよびピネンなどが挙げられる。しかし、合わさって所望のセントノートを生じる様々な芳香剤の混合物を使用することが好ましい。これらは、植物源から入手できる天然臭気混合物を含む香油、例えば、マツ油、カンキツ油、ラベンター油、ハッカ油または橙皮の油なども含む。
【0059】
芳香剤は、0.25重量%と20%の間、好ましくは3重量%と15重量%の間、特に好ましくは5重量%と10重量%の間の濃度でバッチに直接組み込まれる。
【0060】
所望であれば、塩、例えば、硫酸ナトリウムなども、例えば溶解率を増加させるために、増量剤として該配合物に添加することができる。特に対費用効果の高い製品の場合、塩部分は、最大で90重量%であることができる。一般に、塩部分は、最大で10重量%、好ましくは最大で5重量%である。好適な塩は、強酸のアルカリ金属塩、例えば、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウムあるいはポリリン酸ナトリウムなどである。モノ、ジおよびポリカルボン酸のアルカリ金属塩、それだけではなく強酸のアルカリ土類金属塩、例えば硫酸カルシウムなど、または炭酸の塩を使用することも同様に可能である。
【0061】
洗い流される能力を増加させるために、カルシウム石鹸分散剤、例えば、アンホジプロピオネート(Lonza KLグレード)またはマレイン酸/アクリル酸コポリマーNa塩(BASF Sokalanグレード、例えばSokalan CP5またはCP45など)などを該剤に添加することができる。
【0062】
さらに、染料含有剤で処理される表面に対して顕著な直接性を有さない全ての染料を増量剤として該剤に組み込むことができる。水溶性染料を該配合物中で使用し、次いで、後者が完成品として水、例えば、フラッシュ時に便器中の水と接触するならば、マーケティングの議論と関連づけることもできる興味深いカラープログレッションを達成することができる。例えば、ゆっくりとした青い呈色(薄い青色から濃い青色まで)は、有効成分のゆっくりとした活性化をその最高活性まで示すことができる。
【0063】
同様に、該接着剤を酸性にし、例えば、水垢または尿石(酸)を溶解する物質を増量剤として含ませることもできる。
【0064】
さらに、本発明による剤に、該剤の可塑性を増加させるために(共)増粘剤を添加することができる。使用することができる(共)増粘剤は、例えば、ベントナイト、粉末界面活性剤、キサンタン、ポリブタジエンゴム、ポリイソプロペン、オリゴもしくはポリエチレンオキシドおよび/またはオリゴもしくはプロピレンオキシドおよび/またはオリゴもしくはポリブチレンオキシドからなる結合オリゴマーを含有するブロックコポリマー、さらにはアリールエトキシレートまたはアルキル−アリールエトキシレートである。ポリマー天然物質、例えば、リグニンまたはそれらのアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属塩なども、(共)増粘剤として使用することができる。
【0065】
(共)増粘剤の1つの好ましい群は親水性キサンタンである。それらの使用を通して、非常に親水性の化合物が該剤に導入され、それは、該剤を湿った表面に固着させると、直ちに水を「吸い上げる」。
【0066】
さらに、疎水化剤、例えば、Aerosil、特に完全メチル化Aerosil(Carbot Carbon)などを増量剤として該接着剤に添加することができる。
【0067】
接着速度の増加が望ましいならば、いわゆる粘着性付与剤、特に炭化水素樹脂、天然樹脂、例えば、トール樹脂もしくはバルサム樹脂、またはポリテルペン樹脂などの種類のものも、増量剤として該剤に添加することができる。
【0068】
不快な臭気に対抗するために、該接着剤は、好ましくは芳香剤に添加される悪臭中和剤も含むことができる。そのような悪臭中和剤は、例えば、US7288507B2に記載されている。
【0069】
本発明による接着剤は、WCボウル(便器)に取り付けられた、おそらくは汚染したデバイスに触れることなく、衛生的な方法で塗布および取り替えることができる。
【0070】
本発明による剤の本質的利点は、消費者が望むように分割できること、および/または様々なポーションパックで供給できることである。該接着剤は、例えば適用シリンジにより、または好適なデバイスによる予め分割された量の塗布により適用することができる。これらの適用デバイスは、例えば「クリップシステム」、グリッパーまたはフィルムから着脱可能な小さいプレート、対応する部分、例えば、セラミック表面上に噴射する(fire)予め張力をかけられた(pretensioned)要素を有するディスペンサーシステムでもよい。
【0071】
本発明による剤は、例えば、すぐ近くでは互いにその効果に悪影響を及ぼすであろう2種以上の有効成分、例えば、脱臭タブレットおよび漂白タブレットなどを固着させるために、簡素な方法でサニタリー物品上の様々な場所に同時に塗布することもできる。
【0072】
達成されたサニタリー物品への接着は、垂直面への塗布の場合でさえ、該剤がフラッシュ水の流れのさらなる力の作用の下でさえ取れないほど良好である。
【0073】
本発明による該接着剤は、比較的多数回のフラッシュ操作の後にのみ洗い流すことができる。フラッシュ操作の回数は、特定の剤の組成、塗布する剤の塗布量および形状により自然に調節され、全般的に、2〜5mmの厚さでの塗布については、50回と150回の間、特に120回より多いフラッシュ回数である。
【0074】
該剤を接着剤として便器中で使用するならば、耐久性は、本質的に、適用するさらなる物体(棒状の剤)を洗い流す回数を介して規定される。したがって、通常のトイレブロックの場合、100〜200回、多くの場合>250回のフラッシュ有効回数を達成することができ、該接着剤は、固着材料と共に徐々に洗い流される。塗布量は、固着剤の質量の3〜15重量%、特に5〜10重量%である。
【0075】
好ましくは、本発明による剤は白色であり、「流れ去る」または「滴り落ちる」ことがないように、軟膏様、ペースト状および/またはクリーム様および寸法安定性である。
【0076】
該剤の接着性、さらに形状は、水洗により作用する相当な力(摩擦、変形、剪断効果)にもかかわらず保持される。
【0077】
該剤は、本質的に、擬似塑性、すなわち、剪断力の増加に伴う粘度低下を示す。しかし、剪断速度が低いならば、厳しい流れの制約が観察され、さらに、粘度曲線は2.5s-1と30s-1の間の剪断速度ランプで極大の出現を示す。異なる粘度の明らかな領域があるか、または該剤は短い測定時間(ランプ時間100秒)でその構造を変える。
【0078】
Haake粘度計、プレート/プレートシステム、プレート直径10mmを使用して2.62s-1の剪断勾配および20℃で求められるこれらの剤の粘度は、少なくとも30Pas、好ましくは少なくとも45、特に好ましくは少なくとも100Pasであるはずである。好ましくは、該粘度は、150または300と6000Pasの間、特に好ましくは200と1000の間または1000と4000Pasの間であるはずである。
【0079】
好ましくは、界面活性剤を含む本発明による剤は、その体積については好適な添加剤(増泡剤)により調整することができる細かく泡立った泡を生成する。本発明による剤の泡数は、40mlの泡より多いはずである。特に好ましいのは、>60mlの泡数を有する剤であり、非常に特に好ましいのは140mlまたはさらに200mlより多い泡数である。
【0080】
該剤の表面張力は、50と65mN/mの間であることができる。表面張力が≦60mN/mである剤が好ましい。特に好ましいのは、40mN/m以下の表面張力を達成する剤である。表面張力は、表面の湿潤性の尺度である。表面張力が低いほど、表面は良好に湿潤している。良好な湿潤効果は、対象としている剤の良好な洗浄性能の必要条件である。
【0081】
本発明による剤は、各成分を室温で合わせて撹拌することにより調製する。
【0082】
本発明は、様々な実施形態および実験を参照しながら以下に記載する。
【実施例】
【0083】
本記述の最後に添付している表1は、本発明による接着剤の様々な配合を列挙している。
【0084】
表1のフラッシュ回数は、2〜5gの塗布量について求めた。
【0085】
やはり明細書の末尾に記述した表2は、表1の本発明による剤を製造するのに使用した出発材料を列挙している。
【0086】
配合V18およびV24に従った本発明の接着剤は、強い接着性を示し、最大で50gの質量を有する通常のトイレ洗浄剤が、どれほどの量の接着剤を塗布するかに応じて該剤に固着することができるほど、それらの外側が粘着性である。ここでは、棒状の剤の固着質量対該接着剤質量の比は、100:1以下、好ましくは50:1以下、特に好ましくは10:1以下である。該剤のより良好な接着性は、接着面がより大きいと自然に達成される。通例の接着面は、1000mm2と800mm2の間(全面接触)である。しかし、それらは、該接着剤を円形ビーズの形態で塗布するならば、400mm2未満でもよい。
【0087】
洗い流し実験の全てにおいて、使用した界面活性剤はアニオン性界面活性剤であった。これらの剤のフラッシュ回数は、比較的高いないし高い有効寿命を示す。
【0088】
配合V24は、1種のみの(アニオン性)界面活性剤および接着促進剤を含む。2種だけの成分からなるこれらの剤も、所望の接着性、必要な粘着性および100回より多いフラッシュ回数を示す。
【0089】
一方、便器に塗布した純粋な接着促進剤Versagel M1600(水素化ブチレン/エチレン/スチレンコポリマー)は、便器中に堅く接着し、多数回のフラッシュ・サイクル後でさえ全く洗い流すことができない。トイレブロックはこれらの接着促進剤に固着することもできるが、接着剤Versagelではトイレブロックは徐々に下方に移動する。
【0090】
は、本発明による剤が、今までEP1325103B1から知られていた剤とは著しく異なるということを示している。
【0091】
泡数を求めるために、サーモスタットで20℃に調温した100mlの原液を250ml混合シリンダーに移し、PTFEストッパーで閉じる。次いで、該シリンダーを20回、前後に動かす(20回反転させる)。30秒/5分/30分のいずれの後にも、発生した泡体積(ml)を読み取って書き留める。
【0092】
研究した本発明による剤の全ては、例外的に乾燥および湿潤面の両方に接着/固着する。
【0093】
また、それらは、最大で50g以上の質量を有する通常のトイレ洗浄剤が、どれほどの量の接着剤を塗布するかに応じて該剤に固着することができるほど、それらの外側が粘着性である。洗い流し実験の全てにおいて、使用した界面活性剤はアニオン性界面活性剤であった。これらの剤のフラッシュ回数は、比較的高いないし高い有効寿命を示す。
【0094】
【表1】

【0095】
【表2】

【0096】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
サニタリー物品上に直接塗布することができ、そこに接着し、比較的多数回のフラッシュ操作の後にのみ洗い流すことができ、界面活性剤の群の増量剤および接着促進剤を含むサニタリー分野用の剤であって、
接着促進剤が、水素化ポリスチレン誘導体、および、部分的に水素化されていてもよいオレフィンホモポリマーおよび2種以上のオレフィンのコポリマーの群から選択され、粘度が、Haake粘度計、プレート/プレートシステム、プレート直径10mmを使用して2.62s-1の剪断勾配および20℃で測定されると少なくとも30Pasであり、棒状の剤を便器中に付着させるのに役立つことができるほど粘着性であり、ポリアルキレンイミンの群の接着促進剤の場合の界面活性剤の濃度が7と60重量%の間である
ことを特徴とする剤。
【請求項2】
ポリスチレン誘導体の群の接着促進剤が、鉱油中に溶解した架橋ポリスチレン誘導体、好ましくはアルキレンスチレンコポリマー、特に水素化ブチレン/エチレン/スチレンコポリマーおよび水素化エチレン/プロピレン/スチレンコポリマーの群のものであることを特徴とする、請求項1に記載の剤。
【請求項3】
オレフィンホモポリマーおよび2種以上のオレフィンのコポリマーの群の、水不溶性の接着促進剤が、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンブロックポリマーおよびコポリマー、ポリイソプレン、ブタジエンまたはイソプレンのスチレンまたはα−メチルスチレン上への1,3−付加により調製されるランダム(ブロック)ポリマー、エチレンおよびプロピレンのホモポリマーまたはコポリマー、例えば、エチレン−プロピレンジエンターポリマー、エチレン−エチレンオキシドコポリマーなど、天然ゴムおよびノルボルネンポリマー、例えばポリジシクロペンタジエンなどの群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の剤。
【請求項4】
接着促進剤の濃度が、2重量%と60重量%の間、好ましくは7と50重量%の間、特に好ましくは8重量%と40重量%の間であることを特徴とする、請求項1に記載の剤。
【請求項5】
接着促進剤の濃度が、15重量%と80重量%の間、好ましくは20と70重量%の間、特に好ましくは30重量%と50重量%の間であることを特徴とする、請求項1から3の一項に記載の剤。
【請求項6】
増量剤が、増粘剤、芳香剤、染料、塩、泡安定剤、増泡剤、発泡剤およびポリマー天然物質の群から選択されることを特徴とする、請求項1から5の一項に記載の剤。
【請求項7】
界面活性剤部分が、0と80重量%の間、好ましくは10〜60重量%、特に好ましくは25〜45重量%であることを特徴とする、請求項6に記載の剤。
【請求項8】
界面活性剤が粉末状または非常にペースト状であることを特徴とする、請求項6または7に記載の剤。
【請求項9】
界面活性剤が、アニオン性界面活性剤であり、カルボン酸、硫酸半エステル、スルホン酸、比較的長鎖のアルコールおよび脂肪族アルコールエトキシドの塩の群から選択されることを特徴とする、請求項1から8の一項に記載の剤。
【請求項10】
界面活性剤が、非イオン性界面活性剤であり、アルコールエトキシレート、アルキルグリコシド、アルコキシル化脂肪酸アルキルエステル、アミンオキシドおよびアルカノールアミドの群から選択されることを特徴とする、請求項6から9の一項に記載の剤。
【請求項11】
0.25重量%と20重量%の間、好ましくは3重量%と15重量%の間、特に好ましくは5重量%と10重量%の間の濃度で芳香剤または香油を含むことを特徴とする、請求項6に記載の剤。
【請求項12】
最大で90重量%の塩、特に最大で10重量%、好ましくは最大で5重量%の塩、好ましくは強酸またはモノ、ジおよびポリカルボン酸のアルカリ金属およびアルカリ土類金属塩の群のものを含むことを特徴とする、請求項6に記載の剤。
【請求項13】
ベントナイト、粉末界面活性剤、キサンタン、ポリブタジエンゴム、ポリイソプロペン、ブロックコポリマー、アリールエトキシレートまたはアルキル−アリールエトキシレートまたはポリマー天然物質の群の(共)増粘剤を含むことを特徴とする、請求項6に記載の剤。
【請求項14】
水溶性および/または水分散性の一時的に付着する接着剤であることを特徴とする、請求項1から13の一項に記載の剤。
【請求項15】
固着することができる棒状の組成物が、1種または複数の相を有する通常のリムブロック、香り付きの相を有するリムブロック、漂白剤を含有するリムブロック、圧縮タブレット、有効成分を含む水溶性または水不溶性プラスチック、脱臭タブレット、固体脱臭ゲル、漂白タブレット、スケール除去タブレットまたは強力洗浄タブレットであることを特徴とする、請求項1から14の一項に記載の剤の使用。
【請求項16】
洗浄および/または脱臭および/または漂白および/または着色剤を含むことを特徴とする、請求項1から15の一項に記載の剤。
【請求項17】
軟膏様、ペースト状および/またはクリーム様であり、寸法安定性であることを特徴とする、請求項1から16の一項に記載の剤。
【請求項18】
表面張力が、50と65mN/mの間、特に60mN/m未満であることを特徴とする、請求項1から17の一項に記載の剤。
【請求項19】
請求項1から18の一項に記載の少なくとも1種の剤、および1種または複数の相を有するリムブロック、香り付きの相を有するリムブロック、漂白剤を含有するリムブロック、圧縮タブレット、有効成分を含む水溶性または水不溶性プラスチック、脱臭タブレット、固体脱臭ゲル、漂白タブレット、スケール除去タブレットまたは強力洗浄タブレットの群の1種または複数の棒状の組成物を含むトイレ洗浄セット。
【請求項20】
特に目的物を小便器、手洗器もしくはタイルに、またはキッチン、レストラン、屠殺場、洗浄設備に付着させるため、あるいは配水管もしくは下水管の上/中での用途ため、あるいは害獣を駆除するための毒餌を収容するため、あるいは窓もしくはファサードに付着させるためのペーストとしての、請求項1から19の一項に記載の剤のサニタリー分野における低温接着剤としての使用。
【請求項21】
目的物に塗布される前記剤の質量が目的物の質量の3〜15重量%であることを特徴とする、請求項20に記載の使用。
【請求項22】
個々の成分が室温で合わせて撹拌されることを特徴とする、請求項1から21の一項に記載の剤の製造方法。

【公開番号】特開2011−144381(P2011−144381A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−39599(P2011−39599)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【分割の表示】特願2010−547986(P2010−547986)の分割
【原出願日】平成21年2月9日(2009.2.9)
【出願人】(510233806)バック−ケミ・ゲーエムベーハー (1)
【Fターム(参考)】