説明

サメ頭部軟骨からのコンドロイチン−蛋白質複合体の調製方法

【課題】 通常は廃棄処理されてしまうサメ頭部から、生鮮な状態で肉・ゼラチンなどの可食成分を分離し、残されたサメ頭部軟骨から、医学的にも有益な良質の蛋白質成分を含み、純白色に近くアンモニア臭が完全に除去された高品質なコンドロイチン粉末を精製可能とする新技術を提供する。
【解決手段】 生鮮な状態に保たれたサメ頭部を短時間、煮沸22してから楯鱗を取り23、熱湯中に再投入して充分に煮沸24して肉およびゼラチン部分を分離25してしまい、残りのサメ頭部軟骨を温水中か、または常温水中かの何れか一方、または、夫々に順次投入して充分に濯ぎ洗い26,27をしてから脱水、乾燥処理した上、粉砕して粉末化28するようにしたサメ頭部軟骨からのコンドロイチン−蛋白質複合体の調製方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンドロイチンの製造に関するものであり、サメ頭部からコンドロイチンを精製する技術分野は勿論のこと、その加工、精製、包装、輸送、保管、展示、販売に必要となる設備、器具類を提供、販売する分野から、それら資材や機械装置、部品類に必要となる素材、例えば、木材、石材、各種繊維類、プラスチック、各種金属材料等を提供する分野、それらに組み込まれる電子部品やそれらを集積した制御関連機器の分野、各種計測器の分野、当該設備、器具を動かす動力機械の分野、そのエネルギーとなる電力やエネルギー源である電気、オイルの分野といった一般的に産業機械と総称されている分野、更には、それら設備、器具類を試験、研究したり、それらの展示、販売、輸出入に係わる分野、将又、それらの使用の結果やそれを造るための設備、器具類の運転に伴って発生するゴミ屑の回収、運搬等に係わる分野、それらゴミ屑を効率的に再利用するリサイクル分野などの外、現時点で想定できない新たな分野までと、関連しない技術分野はない程である。
【背景技術】
【0002】
(着目点)
コンドロイチンは、水分保持力が極めて高い物質であり、関節の軟骨中に多く存在してクッションや潤滑剤などとしての役割を果たし、グルコサミンとの併用などで関節炎対応成分として認知度が高く、人口の高齢化が進むにつれて需要はさらに伸びると予測されており、最近では関節炎だけでなく、皮膚細胞に弾力とハリを持たせる効果を狙った美容用途への需要が拡大している外、ダイエット商品への利用も行われ始めている。
【0003】
このように様々な有用性が認知されるようになるに従い、年々需要が増加しているコンドロイチンの、我が国における食品原料としての需要量は、現在、年間約200トン強と推定され、原料としてはサメ、サケ、豚、牛など大型魚類や食用獣類から調達可能となるものの、市場ではムコ多糖(コンドロイチン硫酸)含量の高いサメ軟骨由来品が8割以上を占めるものと推定され、それまで主流となってきていた牛由来品が、BSEの発生以降は殆ど使われなくなる一方、海外からの豚由来品が2割弱程度にまで達するような現状にあり、輸入品に頼る状況が年と共に増加傾向にあると言える。
【0004】
国内の生産で主流をなすこととなったサメ軟骨由来のコンドロイチンは、気仙沼でまとまって水揚げされているヨシキリザメを頼りにするものであり、それもヨシキリザメの背骨軟骨とヒレ軟骨とから夫々かまたは混ぜたものから調製するものとなっており、その理由は、水揚げしても産業廃棄物となってしまうヨシキリザメの頭部が、捕獲された後に船上で切断した後、海洋投棄処分してから陸揚げされるという状況が続いているためであって、頭部から調製しようにも物はなく、止むを得ず背骨軟骨とヒレ軟骨とから夫々かまたは混ぜたものだけが生産されてきているというのが現状であろう。
【0005】
コンドロイチンの供給事情が、これまでのところ、こうした状況にある中、青森県内をはじめ、その他の地域でサメ肉を食用とする地域では、水産工場で解体、加工されたアブラツノザメの頭部やハラスが、食品加工用や一般家庭向け生鮮食料品などとして利用または流通しており、新鮮な、または新鮮なまま凍結保存されたアブラツノザメの頭部は、そのままか、冷凍されたものは解凍してから短時間煮沸して楯鱗を落とし、再度煮込んだ上で湯中から取り出し、脆くなった肉やコラーゲンを剥ぎ取ってこれを冷やし固め、地元の郷土料理である「サメスクメ」として大根オロシや酢味噌、刻みネギなどと合えて酒の肴や副食物として珍重されてきているという実態があるにも拘らず、地元料理として「サメスクメ」をとった後に残る頭部軟骨は、全く利用されない邪魔者として廃棄処分するしか有効な利用方法はなかった。
【0006】
(従来の技術)
そうした事情を打開しようとして、例えば、後記する特許文献1(1)に掲載されている発明のように、従来まで廃棄されていたサメの加工残渣(組織集合体)を−20℃に凍結させた状態で凍結粉砕し、分級工程において所定の粒子径を有する粉砕粒子を分級することにより、機械的に凍結粉砕した組織集合体の粉砕粒子群から骨組織からなる粉砕粒子群を分級、分離してコンドロイチン硫酸を製造する「コンドロイチンの製造方法」発明や、同特許文献1(2)に示されている「コンドロイチン硫酸カルシウム及びその製造方法」発明に見られるとおりの、動物軟骨を粉砕し、酸で処理したのち、酵素で処理し、得られた消化液を乾燥し粉末化することを特徴とする対イオンがカルシウムであるコンドロイチン硫酸タンパク質複合体の製造方法、および、動物軟骨から得られる対イオンがナトリウムであるコンドロイチン硫酸タンパク質複合体を酸性溶液下でカルシウム化合物と反応させイオン交換樹脂、イオン交換膜、透析膜および限外ろ過膜から選択される分離方法によって、遊離したナトリウムと余剰のカルシウムを除去し、得られた溶液を乾燥し粉末化することを特徴とする対イオンがカルシウムである精製されたコンドロイチン硫酸タンパク質複合体の製造方法、ならびに、前記方法により得られた対イオンがカルシウムであるコンドロイチン硫酸タンパク質複合体などが散見される。
【0007】
前者の「コンドロイチンの製造方法」などのような製造方法は、サメ加工残渣中の筋肉組織および骨組織などが、夫々異なった低温脆弱性を持ち、ある最適な温度でこの加工残渣を凍結粉砕し、筋肉組織および骨組織を夫々異なった粒子径を持つ粉砕粒子群に加工してから、適切な目開きの篩を用いて分級することにより、加工残渣(組織集合体)から骨組織を分離、回収するものとなっているが、このような方法では、分離された骨組織中に含まれている尿素やアンモニアを完全に除去できるものではないと予想され、また、後者の「コンドロイチン硫酸カルシウム及びその製造方法」発明などのよう技術で精製されたコンドロイチンは、その原料として鮫、鮭、エイなどの動物軟骨が好ましいとしているだけであってその部位や部位処理に係わる記載を具体的にするものなどなく、同様の他の何れの発明についてみても、軟骨組織中や表面に付着する血や肉、および尿素やアンモニア成分を効果的に除去する技術についての開示はなされていないと言える。
【特許文献1】(1)特開2006−225485号公報 (2)特開2007−8854号公報
【非特許文献1】(1)井川尚子ら:サメ軟骨水抽出中の抗がん成分の分離および同定、日本栄養・食糧学会大会講演要旨集、4L−3a(2007) (2)佐藤健司ら:サメ軟骨の経口摂取によるガンの進行抑制.水産資源の先進的有効利用法、第5節、エヌ・ティー・エス、pp.116−123(2005)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
(問題意識)
上述したとおりの事情から、水産加工に従事する者の一人として、主に青森県内の郷土料理の一つとして珍重される「サメスクメ」の原料のアブラツノザメ頭部が、その利用だけに限られてきており、有用なコンドロイチン含有部位である筈の頭部軟骨が、これまでのところでは、誰も何の疑いもなく、経費を掛けてまでして廃棄し続けてきているという実態を放置することができず、それらからのコンドロイチンの調製を試みようとしてはみたものの、従前までに提案のある各種コンドロイチンの製造方法が、何れもサメ軟骨に付着している血液や肉組織を効率的に分離することができても、サメ軟骨中に含まれる尿素やアンモニア成分を効果的に除去することはできず、精製したコンドロイチン特有の臭い(悪臭の除去。)や、色(不純物が多いと灰色となり、純白に近いもの程、様々な食品や薬品に利用可能。)の品質、性状を高めることはできないものかという疑問を抱くこととなった。
【0009】
また、現在市販されている食品用コンドロイチン硫酸素材の殆どは、サメ背骨軟骨やヒレ軟骨を原料とし、酵素等の化学的処理によって抽出されるようにしたものであり、この方法では軟骨に含まれる蛋白質部分が殆ど分解されてしまい、近年注目を浴びているサメ軟骨成分に含まれる蛋白質による抗ガン作用(非特許文献1(1)参照)やガンの進行を抑制する効果(非特許文献1(2)参照)など、有用な作用が失われてしまうと考えるに至ったものである。
【0010】
(発明の目的)
そこで、この発明は、通常は廃棄処理されてしまうサメ頭部から、生鮮な状態で肉・ゼラチンなどの可食成分を分離し、残されたサメ頭部軟骨から、医学的にも有益な良質の蛋白質成分を含み、純白色に近くアンモニア臭が完全に除去された高品質なコンドロイチン粉末を精製可能とする新たな技術の開発はできないものかとの判断から、逸速くその開発、研究に着手し、長期に渡る試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規なサメ頭部軟骨からのコンドロイチン−蛋白質複合体の調製方法を実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(発明の構成)
図面に示すこの発明を代表する実施例からも明確に理解されるように、この発明のサメ頭部軟骨からのコンドロイチン−蛋白質複合体の調製方法は、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、生鮮な生の状態か、または生鮮な生のまま冷凍保存したものを解凍した状態かの何れか一方、あるいはそれら双方を適宜割合で混在状とするかしたサメ頭部原料を適量の熱湯中に投入し、短時間の煮沸を加えてから取り出して楯鱗を除去し、適量の熱湯中に再投入して10ないし30分間煮沸してから取り出した後、食品用となる肉およびゼラチン部分を分離してしまい、残りのサメ頭部軟骨を、そのままか、またはその後に一旦冷凍保存して所定量としてから解凍したものかの何れか一方、あるいはそれら双方を適宜割合で混在状とするかしたものを、温水中か、または常温水中かの何れか一方、または、夫々に順次投入して充分に濯ぎ洗いをしてから脱水、乾燥処理した上、粉砕して粉末化するようにした構成を要旨とするサメ頭部軟骨からのコンドロイチン−蛋白質複合体の調製方法である。
【0012】
この基本的な構成からなるサメ頭部軟骨からのコンドロイチン−蛋白質複合体の調製方法を表現を変えて示すと、生鮮な生の状態か、または生鮮な生のまま冷凍保存したものを解凍した状態かの何れか一方、あるいはそれら双方を適宜割合で混在状とするかしたサメ頭部原料を適量の熱湯中に投入し、短時間の煮沸を加えてから取り出して楯鱗を除去し、適量の熱湯中に再投入して10ないし30分間煮沸してから取り出した後、食品用となる肉およびゼラチン部分を分離してしまい、残りのサメ頭部軟骨を、そのままか、またはその後に一旦冷凍保存して所定量としてから解凍したものかの何れか一方、あるいはそれら双方を適宜割合で混在状とするかしたものを、温水中か、または常温水中かの何れか一方、または、夫々に順次投入して充分に濯ぎ洗いをしてから脱水、乾燥処理した上、蛋白質成分を保ったまま粉砕して粉末化するようにした構成からなるサメ頭部軟骨からのコンドロイチン−蛋白質複合体の調製方法となる。
【0013】
より具体的には、生鮮な生の状態か、または生鮮な生のまま冷凍保存したものを解凍した状態かの何れか一方、あるいはそれら双方を適宜割合で混在状とするかしたサメ頭部原料を適量の熱湯中に投入し、表面に火が通る程度の短時間の煮沸を加えてから取り出して楯鱗を除去し、適量の熱湯中に再投入して10ないし30分間煮沸してから取り出した後、食品用となる肉およびゼラチン部分を分離してしまい、残りのサメ頭部軟骨を、そのままか、またはその後に一旦冷凍保存して所定量としてから解凍したものかの何れか一方、あるいはそれら双方を適宜割合で混在状とするかしたものを、30ないし50℃の適量の温水中に投入し、頭部軟骨に付着、残存している肉片を充分に除去可能であって、しかも頭部軟骨の鮮度を低下させない所定短時間の中に攪拌、洗濯した後、20℃未満の常温流水中に投入し、頭部軟骨中に含まれる尿素およびアンモニアを充分に除去可能となる所定時間に渡って攪拌、濯ぎ洗いしてから脱水、乾燥処理した上、粉砕して粉末化するようにした構成からなるサメ頭部軟骨からのコンドロイチン−蛋白質複合体の調製方法となる。
【0014】
さらに具体的には、生鮮なラウンド状態のサメから解体過程で分離した生の状態か、または、生鮮なラウンド状態のサメから解体過程で分離し、急速冷凍保存したものを水道水中で解凍した直後の状態かの何れか一方、あるいはそれら双方を適宜割合で混在状とするかしたサメ頭部原料を、湯200Lに原料20Kgの割合として熱湯中に投入し、1分間の煮沸を加えてから取り出して楯鱗を除去した上、さらに湯と原料との割合を同様にして再び熱湯中に投入して20分間煮沸してから取り出した後、食品用となる肉およびゼラチン部分を分離してしまい、残りのサメ頭部軟骨を、そのままか、またはその後に一旦凍結保存して所定量としてから解凍したものかの何れか一方、あるいはそれら双方を適宜割合で混在状とするかしたものを、40℃、40Lの温水中に軟骨4Kgの割合で投入して10分間濯ぎ洗いした後、5℃以下の常温流水中に、攪拌容量40Lに軟骨4Kgの割合で投入して30分間以上、60分間以内に渡り濯ぎ洗いをしてから脱水、乾燥処理した上、粉砕して粉末化するようにした構成からなるサメ頭部軟骨からのコンドロイチン−蛋白質複合体の調製方法である。
【発明の効果】
【0015】
以上のとおり、この発明のサメ頭部軟骨からのコンドロイチン−蛋白質複合体の調製方法によれば、その新規な構成により、サメ頭部の活用が、従前どおり青森県の郷土料理である「サメスクメ」用に、先ず、生鮮な状態で肉・ゼラチンなどの可食部をきれいに分離し、滞りなく市場に供給するようにした上、従前までであれば廃棄処理に回さざるを得なかった残りのサメ頭部軟骨からは、医学的にも有益な良質の蛋白質成分を含み、食品添加用およびカプセル用や錠剤用として幅広く利用可能となるよう純白色に近いきれいな色合いで、しかも悪臭を効果的に除去して殆ど無臭に近い性状としてなる高品質のコンドロイチン−蛋白質複合体を、簡単且つ効率的に調製することができるという極めて秀れた特徴を有するものであり、従前までの蛋白質成分を含有するよう調製されたコンドロイチンが暗色化または灰色化してしまっていたり、サメ軟骨中に含まれていて強い臭いを放つ原因となる尿素やアンモニア成分を完全に除去し切れないため、活用されないか、されたとしても制約されるという欠点を普く解消できる上に、仮令、化学的処理や蛋白質分解酵素などを採用する処理によって無臭化、純白化するよう調製し得たとしても、そのような従来型処理によるコンドロイチンでは蛋白質成分を失ってしまい、折角サメ軟骨に含まれる蛋白質由来の抗ガン作用やガンの進行を抑制するという貴重な効果などを損なってしまう弊害までは払拭できるものとはならず、それをこの発明による調製方法では可能にしているものである。
【0016】
加えて、解体後の生の状態か、またはそれを冷凍した後、解凍したものかの何れか一方、あるいはそれら双方を混在状とするかしたサメ頭部を、その表面に火が通る程度の短時間、煮沸してから取り出して楯鱗を除去する工程を経ることにより、サメ頭部の表面付近の肉組織を脆くし、その後の楯鱗の除去作業を容易にして作業効率を高めるようにすることができ、具体的には、湯200Lに原料20Kgの割合として熱湯中に投入し、1分間の煮沸を加えるようにすると最も効率的に楯鱗を除去できるようになるという効果を得られるものとなる。
【0017】
また、楯鱗を除去した後、適量の熱湯中に再投入して10ないし30分間煮沸してから食品用となる肉およびゼラチン部分を分離して「サメスクメ」を生産することができ、20分間の煮沸によって最も効率的に良質な「サメスクメ」を生産することができるものとなり、さらに、残った頭部軟骨を30ないし50℃の適量の温水中に投入し、頭部軟骨に付着、残存している肉片を充分に除去可能であり、しかも頭部軟骨の鮮度を低下させない所定短時間の中に攪拌、洗濯することにより、サメ頭部軟骨の表面にこびりつくように残る細かな肉片を効率的且つ完全に除去してしまい、続く常温流水による濯ぎ洗いの効果を格段に高めるものとすることができ、40℃、40Lの温水中に軟骨4Kgの割合で投入して10分間濯ぎ洗いする処理によって最も鮮度を失わず、効率的に肉片の除去を行うことができるという利点がある。
【0018】
そして、20℃未満の常温流水中に投入し、サメ頭部軟骨中に含まれる尿素およびアンモニアを充分に除去可能となる所定時間に渡って攪拌、濯ぎ洗いし、その後に脱水、乾燥処理して粉砕するようにすれば、得られる粉末中からは強い悪臭と粒子を灰色化してしまう不純物とを完全に除去することができることとなり、特に5℃以下の常温流水中で、攪拌容量40Lに軟骨4Kgの割合で投入して30分間以上、60分間以内に渡って濯ぎ洗いするようにした処理では、最も効率的且つ効果的に臭いを除去でき、より純白に近いサメ頭部軟骨からのコンドロイチン−蛋白質複合体が調製されることとなる。
【0019】
それら各濯ぎ洗い工程および脱水工程において、攪拌型洗濯機による洗濯、濯ぎおよび脱水機能を用いるようにすれば、一般家庭用または業務用の何れか一方の洗濯機をそのまま利用することができ、わざわざ専用設計した洗浄装置を用意するまでもないこととなり、設備の新設、維持や特別の管理をしなくて済み、大幅な経費の節減が可能となるという実利が享受できる。
【0020】
また、脱水、乾燥処理工程の前段階までに、粉末化後の色差計による測定値が、L値を90以上、望ましくは93以上、a値を−0.5未満とするよう設定した処理をすることにより、悪臭を大幅に除去すると同時に、特に一様に純白な粒子色に調製したものとすることができ、その結果、食品添加用のみならず、清潔感を要求されるカプセル用または錠剤用などとしての使用にも十分に耐え得る極めて高品質を維持したサメ頭部軟骨からのコンドロイチン−蛋白質複合体となり、幅広い活用が可能なものとして市場に供給可能になるという秀れた効果が期待できることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
上記したとおりの構成からなるこの発明の実施に際し、その最良もしくは望ましい形態について順次説明を加えることにする。
原料となるサメ頭部は、鮮度が低下したり腐敗すると組織中に含まれる尿素が酵素や細菌の作用によって臭気成分であるアンモニアを発生してしまう性質が顕著であることから、生鮮な状態のものを使用しなければならず、それらは生鮮な生の状態のものか、または生鮮な生のまま冷凍保存したものを解凍した状態のものかの何れか一方、あるいはそれら双方を適宜割合で混在状とするかしたのものかの何れかの状態としたサメ頭部原料を用いるべきであり、加工工場に入荷したばかりで、生鮮なラウンド状態のサメを解体する過程で分離した生の状態のものか、または、その生鮮なラウンド状態のサメから解体過程で分離し、急速冷凍保存しておいたものを水道水中で解凍した直後の状態のものかの何れか一方、あるいはそれら双方を適宜割合で混在状とするかしたものの何れかに依るサメ頭部原料を用いるのが望ましく、より具体的には、青森県内で解体前のラウンド状態で陸揚げされるアブラツノザメの頭部とする外、食用に適するとされるモウカサメ(ネズミサメ)、ホシサメ、青鮫などをはじめとし、生鮮な状態で入手可能であればヨシキリサメなどでも勿論差し支えはなく、食用となるサメの頭部であれば、特に種類が限定されるものでないことは言うまでもない。
【0022】
サメ頭部から食品用となる肉およびゼラチン部分を分離する前処理として、始めに、サメ頭部の楯鱗を除去しなければならないが、効率的に楯鱗を除去するには、サメ頭部原料を適量の熱湯中に投入し、短時間の煮沸をするようにしてから取り出して除去するのが最も簡便であり、その際に実施する熱湯中への投入処理には、サメ頭部表面に火が通る程度の短時間の煮沸で充分であり、その処理方法等で楯鱗を効率的に除去するものとすべきであり、その後の煮込み工程を迅速化するためにも、この短時間の中に行う煮沸処理が不可欠と言え、より具体的には、湯200Lにサメ頭部原料20Kgの割合として熱湯中に投入し、1分間の煮沸を加えてから取り出して楯鱗を除去するのが最も効率的であるということができる。
【0023】
楯鱗を除去したサメ頭部を適量の熱湯中に再投入して10ないし30分間煮沸してから取り出した後、食品用となる肉およびゼラチン部分を、できるだけ残らず分離するようにしてしまい、それら分離できた肉およびゼラチン部分を「サメスクメ」用食材として包装し、そのまま、あるいは冷蔵または冷凍状態の食品として出荷とする一方、従前であれば廃棄に回していた残りのサメ頭部軟骨は、そのままか、またはその後に一旦冷凍保存したものから所定量を解凍した状態にしたものかの何れか一方か、あるいはそれら双方を適宜割合で混在状とするかの何れかに依るものとなし、さらに温水中か、または常温水中かの何れか一方、または、夫々の状態の水中に順次投入して充分に濯ぎ洗いをしなければならない。
【0024】
濯ぎ洗い工程は、サメ頭部軟骨を30ないし50℃の適量の温水中に投入し、同頭部軟骨に付着、残存している肉片を完全に除去するものとし、しかも頭部軟骨の鮮度を低下させない所定短時間の中に攪拌、洗濯した後、20℃未満の常温流水中に投入し、頭部軟骨中に含まれる尿素およびアンモニアを充分に除去可能となる所定時間に渡って攪拌、濯ぎ洗いすべきであり、さらに具体的には、後述する実施例に示すように、サメ頭部軟骨を40℃、40Lの温水中に軟骨4Kgの割合で投入して10分間濯ぎ洗いした後、5℃以下の常温流水中に、攪拌容量40Lに軟骨4Kgの割合で投入して30分間以上、60分間以内に渡って濯ぎ洗いするよう作業を進めるようにし、この濯ぎ洗い工程および後に続く脱水工程に際しては、家庭用または業務用の攪拌型洗濯機を利用することが可能である外、必要であれば同様の洗濯機能を有する洗浄装置や、専用に設計された洗濯装置などを採用することも勿論可能である。
【0025】
また、サメ頭部軟骨からのコンドロイチン−蛋白質複合体の高品質化と、品質の安定化とを実現可能とするには、後述する実施例に示すよう脱水、乾燥処理工程の前段階までに、粉末化後の色差計による測定値が、L値を90以上、望ましくは93以上、a値を−0.5未満とするよう設定した処理をするのが望ましいと言え、さらにまた、粉砕工程においては、食品添加用の粒度100メッシュの粉状か、または、カプセル用あるいは錠剤用の粒度300メッシュ以下の粉状かの何れか一方に粉砕処理するよう設定しておけば、一応様々な用途に使用可能な範囲の粉末体とすることができる。
以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成について詳述することとする。
【実施例1】
【0026】
図1のサメ頭部軟骨からのコンドロイチン−蛋白質複合体の調製方法のフローチャートに示す事例は、生鮮な状態に保たれたサメ頭部を短時間、煮沸22してから楯鱗を取り23、熱湯中に再投入して充分に煮沸24して肉およびゼラチン部分を分離25してしまい、残りのサメ頭部軟骨を、温水中か、または常温水中かの何れか一方、または、夫々に順次投入して充分に濯ぎ洗い26,27をしてから脱水、乾燥処理した上、粉砕して粉末化28するよう設定した、この発明のサメ頭部軟骨からのコンドロイチン−蛋白質複合体の調製方法における代表的な一実施例を示すものである。
【0027】
図1に示すフローチャートからも明確に把握できるとおり、この発明のサメ頭部軟骨からのコンドロイチン−蛋白質複合体の調製方法は、漁港に陸揚げされたばかりの生鮮なラウンド状態のアブラツノザメを食品加工1用として食品加工工場に速やかに入荷10したものとし、鮮度を失わない中に内臓、背肉、ハラス、ヒレ、頭部を分離する解体作業11を行い、肉は水道水にてきれいに洗浄後、皮をむき「棒サメ」となす外、三枚におろして「フィレ」とするなど、各部を食品用に適した加工12処理をする。
そして、前記解体11の過程で分離したサメ頭部は、鮮度および衛生状態を損なわない中に、一部を生鮮品販売用として箱詰め、出荷13し、また他の一部は冷凍保管するものとし、さらに他の一部を、同じ食品加工工場内のサメ頭部軟骨からのコンドロイチン−蛋白質複合体の調製2ラインへと速やかに移動する。
【0028】
生鮮状態の生のサメ頭部20のままか、または、生鮮状態のまま急速冷凍保存した状態のサメ頭部(冷凍されたサメ頭部は水道水中で解凍21した直後のものとする)かの何れか一方のものか、あるいは、それら双方を適宜割合で混在状とするかしたものかの何れかの状態のサメ頭部原料を、湯200Lに原料20Kgの割合として熱湯中に投入し、1分間の煮沸22を加えてから取り出して手作業によって楯鱗をなるべくきれいに除去23した上、新しい湯200Lに原料20Kgの割合とした熱湯中に再び投入して20分間煮沸24してから取り出し、食品用となる肉およびゼラチン部分をなるべく完全に分離25したものとし、それらを「サメスクメ」用の食材として包装し、生鮮食料品として出荷13する。
【0029】
「サメスクメ」用として所要部位を取り除いた後の、従前までであれば廃棄処分される運命の残滓であるサメ頭部軟骨を、生鮮な状態そのままか、または一旦凍結保存して所定量としてから水道水中で解凍したものかの何れか一方か、あるいはそれら双方を適宜割合で混在状とするかしたものかの何れかの状態のものを、家庭用洗濯機(NEC製 NW−30Kg 商品名:NEO QUEEN 3.0)の洗濯機能を用い、40℃、40Lの温水中に軟骨4Kgの割合で投入して10分間濯ぎ洗い26した後、同洗濯機の濯ぎ洗い機能を用いて5℃以下の常温流水中に、攪拌容量40Lに軟骨4Kgの割合で投入して40分間、最低でも30分間に渡って濯ぎ洗い27をするようにする。
【0030】
この最終の濯ぎ工程27を終える段階までに、粉末化28後のコンドロイチン−蛋白質複合体粉末の色差計(MINOLTA製 色彩色差計 CR200)による測定値が、L値を90以上で、望ましくは93以上、a値を−0.5未満とするよう設定した処理を行い、より純白で高品質なコンドロイチン−蛋白質複合体が調製されるよう作業を進め、その後、前記家庭用洗濯機の脱水機能を利用して脱水した上、洗濯機から取り出したサメ頭部軟骨を真空定温乾燥機(東京理科器械株式会社製 VOS−451SD)に収容して強制的且つ水分5%以下に乾燥処理した上、食品用粉砕機(有限会社ウエスト製 ミクロパウダー)に投入、粉砕して粉末化処理28する。
【0031】
上記粉砕工程28では、食品添加用のものとしては粒度100メッシュ程度の粒状に設定するようにしたり、それがカプセル用あるいは錠剤用のものとするのであれば、粒度300メッシュ以下のより微細粉状に粉砕処理したものにするなどといった具合に、用途毎に適した粒度範囲のものとなした上、各粒度毎に異なる包装を施すようにするなど、通常用いられている包装形態または梱包をなし、各般な用途に応じることのできるようにしたこれまでなく秀れたサメ頭部軟骨からのコンドロイチン−蛋白質複合体の粉末として出荷29することとなる。
【0032】
(実施例1の作用)
以上のとおりの構成からなるこの発明のサメ頭部軟骨からのコンドロイチン−蛋白質複合体の調製方法は、図1中に示すように、生鮮なラウンドのサメ(アブラツノザメ)を工場に入荷10し、食用に解体11する過程で発生した生鮮なサメ頭部を、同じ加工工場内のサメ頭部軟骨からのコンドロイチン−蛋白質複合体の調製2ラインへと速やかに移動することにより、冷凍処理や解凍処理を行わずに生鮮な状態を維持できると共に、一部を冷凍処理して次回の製造まで生鮮な状態に保管することも可能である。
【0033】
サメ頭部原料を、湯200Lに原料20Kgの割合として熱湯中に投入し、1分間の煮沸を加える22ようにし、その後の楯鱗の除去23を容易にしてから、手作業にて楯鱗を簡単に擦り落とす処理をし、さらに湯と原料との割合を同様にして新たな熱湯中に再度投入して20分間煮沸24するようにして、食品「サメスクメ」用となる肉およびゼラチン部分を簡単に分離25してしまう。
【0034】
この後、40℃、40Lの温水中にサメ頭部軟骨4Kgの割合で投入し、10分間濯ぎ洗い26すると、食品用の肉およびゼラチン部分の分離作業で取りきれなかった細かな肉片が効率的且つ完全に除去することができ、しかも10分間程度に限る濯ぎ洗いに留めるように規制することにより、温水による頭部軟骨の鮮度低下を確実に防止することが可能な処理工程となる。
【0035】
この濯ぎ洗い26で完全に肉片を除去したサメ頭部軟骨を、5℃以下の常温流水中において、攪拌容量40Lに軟骨4Kgの割合で投入して40分間程度、最低でも30分間に渡って濯ぎ洗い27するようにすると、軟骨に含まれる尿素やアンモニアも充分に除去されるものとなり、脱水、乾燥、粉末化処理28した後に得られるサメ頭部軟骨から調製したコンドロイチン−蛋白質複合体の粉末29を、下記表1に示すような、より純白に近い高品質のものに調製できることになる。
【表1】

【0036】
表1中の試料1は、食品用となる肉およびゼラチン部分を分離したサメ頭部軟骨を、そのまま乾燥、粉末化処理して得られる従来型のサメ頭部軟骨からのコンドロイチン−蛋白質複合体粉末であり、同表1中の試料2は、食品用となる肉およびゼラチン部分を分離したサメ頭部軟骨を、1回だけ常温流水中で攪拌、濯ぎを行った後に乾燥、粉末化処理したサメ頭部軟骨からのコンドロイチン−蛋白質複合体粉末、同表1中の試料3は、図1に示した実施例1のサメ頭部軟骨からのコンドロイチン−蛋白質複合体の調製方法に則して製造したサメ頭部軟骨からのコンドロイチン−蛋白質複合体粉末である。
【0037】
同表1中の各試料1ないし3の夫々について、色差計(MINOLTA製 色彩色差計 CR200)を用いて2回ずつ、L値(明るさを示す明度軸、0に近い程黒色、100に近い程純白色)、a値(緑−赤を示す軸、−が緑、+が赤)、b値(青−黄を示す軸、−が青、+が黄)を測定した結果を示しており、その平均値を比較してみると、その純度の違いは明らかである。
試料3の平均L値は93.37と、外の試料1および2の平均L値に比較して、より純白に近い値を示し、a値についても−0.75と、他の試料1および2の平均a値に比較して、より緑に近い値を示すものとなっており、この実施例1に示した調製方法が、高い純度のサメ頭部軟骨からのコンドロイチン−蛋白質複合体を調製可能であることを実証するものである。
【0038】
また、表1に示した結果に基づき、表現を変えて示すと、この実施例1に示した調製方法により、脱水、乾燥処理工程28の前段階までに、粉末化28後の色差計による測定値が、L値を90以上、望ましくは93以上、a値を−0.5未満とするよう設定して処理すれば、高品質のサメ頭部軟骨からのコンドロイチン−蛋白質複合体を生産することが可能となるということである。
【0039】
(実施例1の効果)
以上のような構成からなる実施例1のサメ頭部軟骨からのコンドロイチン−蛋白質複合体の調製方法は、前記この発明の効果の項で記載の特徴に加え、現在、食品への添加を主要な目的として生産されているコンドロイチンは、その原料となるサメ軟骨が一般に安く取引されていることから、加工場では粗末な扱いとなってしまっていて生鮮な状態に鮮度が保たれているものは少ないか鮮度が低下したものが原料に混入していると思われ、し
たがって、アンモニア臭も有ってそのまま粉末化することができず、化学的処理や蛋白質分解酵素による処理を施してから粉末化せざるを得なかったが、幸い青森県内に陸揚げされるアブラツノザメの頭部は、その肉やゼラチン部位が「サメスクメ」などの郷土料理に利用されるために極めて衛生的に管理されていて鮮度も高いことから、この生鮮なアブラツノザメ頭部に注目し、従前から目的とされてきていた「サメスクメ」を生産する過程を経た後で、従前までであれば廃棄処理されてきていたその残滓であるアブラツノザメの頭部軟骨を活用し、該頭部軟骨部位からこの発明による所定の工程を経由することによって高純度且つ高品質のコンドロイチン−蛋白質複合体の粉末を調製することを可能にするものであり、従前まで経費を費やしてまで廃棄処理しなければならなかった厄介者のサメ頭部軟骨部位を有効活用し、医学的にも多様な効用が認められている食品および薬品類などの付加価値の高い商品あるいは添加物として市場に提供することができるという極めて秀れた効果を得ることができるものである。
【0040】
(結 び)
叙述の如く、この発明のサメ頭部軟骨からのコンドロイチン−蛋白質複合体の調製方法は、その新規な構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、しかも製造も容易であり、化学的処理を一切施さずにして目的を達成可能としていることから、従前からの化学的処理や蛋白質分解酵素による処理を併用した方法に比較し、医学的にも有益なサメ軟骨由来の蛋白質成分を失わず製造することができ、高付加価値、高品質のコンドロイチン−蛋白質複合体を効率的に製造可能としたことから、旧来よりサメ頭部軟骨の廃棄処理に苦慮してきた食品加工業界はもとより、健康や美容に秀れた効果を発揮する商品を望む一般家庭、および良質なコンドロイチンを利用して商品の付加価値を高めたいと希望する食品業界や薬品業界においても高く評価され、広範に渡って利用、普及していくものになると予想される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図面は、この発明のサメ頭部軟骨からのコンドロイチン−蛋白質複合体の調製方法の技術的思想を具現化した代表的な一実施例を示すものである。
【図1】サメ頭部軟骨からのコンドロイチン−蛋白質複合体の調製方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0042】
1 サメ食品加工
10 同 サメ原料の入荷
11 同 サメ解体工程
12 同 各部の食品用加工工程
13 同 サメ食品出荷工程
2 コンドロイチン−蛋白質複合体の調製
20 同 サメ頭部の確保
21 同 解凍工程
22 同 頭部の短時間煮沸工程
23 同 楯鱗除去工程
24 同 煮沸調理工程
25 同 肉・ゼラチンの分離工程
26 同 温水による洗濯工程
27 同 常温水流による濯ぎ工程
28 同 脱水、乾燥、粉末化工程
29 同 コンドロイチン−蛋白質複合体の出荷

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生鮮な生の状態か、または生鮮な生のまま冷凍保存したものを解凍した状態かの何れか一方、あるいはそれら双方を適宜割合で混在状とするかしたサメ頭部原料を適量の熱湯中に投入し、短時間の煮沸を加えてから取り出して楯鱗を除去し、適量の熱湯中に再投入して10ないし30分間煮沸してから取り出した後、食品用となる肉およびゼラチン部分を分離してしまい、残りのサメ頭部軟骨を、そのままか、またはその後に一旦冷凍保存して所定量としてから解凍したものかの何れか一方、あるいはそれら双方を適宜割合で混在状とするかしたものを、温水中か、または常温水中かの何れか一方、または、夫々に順次投入して充分に濯ぎ洗いをしてから脱水、乾燥処理した上、粉砕して粉末化するようにしたことを特徴とするサメ頭部軟骨からのコンドロイチン−蛋白質複合体の調製方法。
【請求項2】
生鮮な生の状態か、または生鮮な生のまま冷凍保存したものを解凍した状態かの何れか一方、あるいはそれら双方を適宜割合で混在状とするかしたサメ頭部原料を適量の熱湯中に投入し、短時間の煮沸を加えてから取り出して楯鱗を除去し、適量の熱湯中に再投入して10ないし30分間煮沸してから取り出した後、食品用となる肉およびゼラチン部分を分離してしまい、残りのサメ頭部軟骨を、そのままか、またはその後に一旦冷凍保存して所定量としてから解凍したものかの何れか一方、あるいはそれら双方を適宜割合で混在状とするかしたものを、温水中か、または常温水中かの何れか一方、または、夫々に順次投入して充分に濯ぎ洗いをしてから脱水、乾燥処理した上、蛋白質成分を保ったまま粉砕して粉末化するようにしたことを特徴とするサメ頭部軟骨からのコンドロイチン−蛋白質複合体の調製方法。
【請求項3】
生鮮な生の状態か、または生鮮な生のまま冷凍保存したものを解凍した状態かの何れか一方、あるいはそれら双方を適宜割合で混在状とするかしたサメ頭部原料を適量の熱湯中に投入し、表面に火が通る程度の短時間の煮沸を加えてから取り出して楯鱗を除去し、適量の熱湯中に再投入して10ないし30分間煮沸してから取り出した後、食品用となる肉およびゼラチン部分を分離してしまい、残りのサメ頭部軟骨を、そのままか、またはその後に一旦冷凍保存して所定量としてから解凍したものかの何れか一方、あるいはそれら双方を適宜割合で混在状とするかしたものを、30ないし50℃の適量の温水中に投入し、頭部軟骨に付着、残存している肉片を充分に除去可能であって、しかも頭部軟骨の鮮度を低下させない所定短時間の中に攪拌、洗濯した後、20℃未満の常温流水中に投入し、頭部軟骨中に含まれる尿素およびアンモニアを充分に除去可能となる所定時間に渡って攪拌、濯ぎ洗いしてから脱水、乾燥処理した上、粉砕して粉末化するようにしたことを特徴とするサメ頭部軟骨からのコンドロイチン−蛋白質複合体の調製方法。
【請求項4】
生鮮なラウンド状態のサメから解体過程で分離した生の状態か、または、生鮮なラウンド状態のサメから解体過程で分離し、急速冷凍保存したものを水道水中で解凍した直後の状態かの何れか一方、あるいはそれら双方を適宜割合で混在状とするかしたサメ頭部原料を、湯200Lに原料20Kgの割合として熱湯中に投入し、1分間の煮沸を加えてから取り出して楯鱗を除去した上、さらに湯と原料との割合を同様にして再び熱湯中に投入して20分間煮沸してから取り出した後、食品用となる肉およびゼラチン部分を分離してしまい、残りのサメ頭部軟骨を、そのままか、またはその後に一旦凍結保存して所定量としてから解凍したものかの何れか一方、あるいはそれら双方を適宜割合で混在状とするかしたものを、40℃、40Lの温水中に軟骨4Kgの割合で投入して10分間濯ぎ洗いした後、5℃以下の常温流水中に、攪拌容量40Lに軟骨4Kgの割合で投入して30分間以上、60分間以内に渡り濯ぎ洗いをしてから脱水、乾燥処理した上、粉砕して粉末化するようにしたことを特徴とするサメ頭部軟骨からのコンドロイチン−蛋白質複合体の調製方法。
【請求項5】
各濯ぎ洗い工程および脱水工程は、攪拌型洗濯機の洗濯、濯ぎおよび脱水機能を用いて実施するようにした、請求項1ないし4何れか一項記載のサメ頭部軟骨からのコンドロイチン−蛋白質複合体の調製方法。
【請求項6】
脱水、乾燥処理工程の前段階までに、粉末化後の色差計による測定値が、L値を90以上、望ましくは93以上、a値を−0.5未満とするよう設定した処理をする、請求項1ないし5何れか一項記載のサメ頭部軟骨からのコンドロイチン−蛋白質複合体の調製方法。

【図1】
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【公開番号】特開2009−185263(P2009−185263A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−29788(P2008−29788)
【出願日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【出願人】(591005453)青森県 (52)
【出願人】(508042249)有限会社 田 向 商 店 (1)
【Fターム(参考)】