説明

サルモネラ検出アッセイ

試料中のサルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbを検出するための方法及び試薬を提供する。前記方法は、(a)サルモネラ・エンテリカ亜種IIIのlacZ遺伝子又はその相補配列内に位置する標的核酸配列にハイブリダイズする一対のフォワード及びリバースオリゴヌクレオチドプライマーに前記試料を接触させる工程、(b)増幅産物を生成するために前記フォワード及びリバースプライマーを伸長させる工程、及び(c)前記増幅産物を検出する工程を含む。また、試料中のサルモネラ・エンテリカ亜種Iを検出するための方法及び試薬を提供する。前記方法は、(a)サルモネラ・エンテリカ亜種IのhilA遺伝子又はその相補配列内に位置する標的核酸配列にハイブリダイズする一対のフォワード及びリバースオリゴヌクレオチドプライマーに前記試料を接触させる工程、(b)前記フォワード及びリバースプライマーを伸長させて増幅産物を生成し、(c)前記増幅産物を検出する工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料中のサルモネラ菌種を検出するためのアッセイ並びに該アッセイのための試薬及びキットに関する。
【背景技術】
【0002】
腸内細菌科は、大腸菌型細菌(エンテロバクター属、エシェリキア属、ハフニア属、クレブシエラ属、セラチア属等)並びにサルモネラ及び赤痢菌等の腸内細菌を含む。
【0003】
サルモネラ細菌は、食中毒、腸チフス、パラチフスを引き起こす。
【0004】
感染は、主として動物由来の汚染食品の摂食あるいは感染者又は感染動物からの糞便汚染によって生じる。潜伏期間は12〜72時間である。大流行時において二次症例はよく起きる。良好な衛生状態を有する食品取扱者によって大流行が生じることは非常にまれである。英国では平均13,000件/年の症例が報告されているが、実際はさらに多い可能性がある。
【0005】
サルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)細菌は、7つの群又は亜種に分類される、即ち:(サルモネラ・エンテリカ亜種エンテリカ(enterica)(亜種I)、サラミ(salamae)(亜種II)、アリゾナエ(arizonae)及びジアリゾナエ(diarizonae)(それぞれ亜種IIIa及びIIIb)、ホウテナエ(houtenae)(亜種IV)、ボンゴリ(bongori)(亜種V-現在は別種であると考えられている)、インディカ(indica)(亜種VI)並びに 命名されていない亜種VII)。これらの亜種には2500を超える異なるサルモネラ血清型が特定されており、血清型判定はこれらの細菌の疫学的サブタイピングの主要な方法となっている。
【0006】
サルモネラ・エンテリカ亜種Iは最も重要なヒト病原体であり、ヒトの症例の大多数を占めると共に、英国の検査室(laboratory)が受領した分離株の95%超を占めている。亜種IIIa及びIIIb(アリゾナエ及びジアリゾナエ)が次に多く、英国における分離株の2〜3%を占めている。その他の亜種は非常にまれである。
【0007】
亜種I以外のサルモネラ・エンテリカは比較的まれではあるが、異なる亜種において幾つかの同一の血清型が生じるため(即ち、血清型判定のみの場合には、亜種I及び亜種IIIの分離株は見かけ上同一に見える)、亜種の正確な特定は疫学的に重要である。
【0008】
サルモネラ・エンテリカ亜種IIIa(アリゾナエ)及びIIIb(ジアリゾナエ)は天然に爬虫類動物において見られ、シチメンチョウやヒツジにおける大流行の原因となっている。サルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及びIIIbは、爬虫類動物との直接接触又は蛇肉製品の摂取によってヒトにも感染し、通常は胃腸炎、菌血症、敗血症、骨髄炎、髄膜炎が生じる。ヒトへの感染は比較的まれである。重症感染症は免疫障害に罹患した患者又は幼児に生じる傾向があり、根絶するのは困難な場合がある。外来の爬虫類動物はペットとして人気が高まっており、サルモネラ亜種アリゾナエ及びジアリゾナエを含むまれなサルモネラ分離株によるヒトへの感染が増加している。
【0009】
通常18〜48時間での検出を可能とする多くの従来法の,培地及び濃縮法がサルモネラ菌種のために提案されている。サルモネラ・エンテリカ亜種Iはラクトースを発酵させることができず、サルモネラに使用される多くの選択的分離培地はこの性質に基づいている。しかしながら、サルモネラ・エンテリカ亜種III菌株の多くはラクトースを発酵させ、これらの従来の方法を使用しても検出されない。
【0010】
通常の生物化学的方法及び血清学的方法によるサルモネラ・エンテリカ亜種アリゾナエ及びジアリゾナエの同定には問題があり、決定的な結果が得られるまでに14〜28日間かかる場合がある。
【0011】
この点に関して、サルモネラ・エンテリカ亜種アリゾナエ及びジアリゾナエをサルモネラ・エンテリカの他の亜種から区別するためにいくつかの従来法の生化学的検査が採用されている。それらの生化学的検査の例としては、ズルシトール及びラクトースの発酵、マロン酸の利用及びゼラチン及びONPG(o-ニトロフェニル-β-D-ガラクトピラノシド)の加水分解が挙げられる。これらの亜種の抗原構造を決定するのは困難な場合が多い。これらの亜種の生化学反応を伴う菌株は、通常は完全な同定のために専門の研究所に送る必要がある。
【0012】
食品業界において使用されているサルモネラの公知の分子検出アッセイは、サルモネラ属全体(例えば、InvA(inv=invasion gene(侵入遺伝子))又はttr(ttr=tetrationate respiration(テトラチオン酸塩呼吸))の検出に基づく)を検出し、サルモネラボンゴリを含むサルモネラ亜種の全てを区別しない。
【0013】
近年の標準的なPCRアッセイの進展は、配列特異的蛍光標識プローブ(図1を参照)を使用するアプライドバイオシステムTaqmanアッセイ等のリアルタイム検出法の出現である。
【0014】
Taqman反応時には、標的配列が存在する場合には、プライマーとプローブが標的配列に結合する。プライマーを伸長させると、結合したプローブは伸長する鎖の1つの進行を妨げる。5'エキソヌクレアーゼ活性を有し、一本鎖オリゴヌクレオチドプローブを酵素的に分解するTaqポリメラーゼによってこの現象は回避される。プローブが切断されると、プローブに存在する2つのフルオロフォアが分離され、相対蛍光シグナルが変化する。各PCR熱サイクルにおいて、標的ヌクレオチド配列が蓄積され、合成されたDNA分子それぞれについて、一つのプローブが切断される。結果として生じる蛍光シグナルは累積的であり、PCR増幅時に指数関数的に増加する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
試料中のサルモネラ種(例えば、亜種IIIa及び/又はIIIb等のサルモネラ・エンテリカ)を検出するための改良されたアッセイが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、試料中のサルモネラ亜種を検出するための方法を提供することによって上記課題を解決する。一実施形態において、前記方法は、前記サルモネラ亜種に特異的な核酸配列(遺伝子配列等)の検出に基づく。
【0017】
従って、一実施形態において、本発明は、試料中のサルモネラ亜種を検出するための方法を提供する:ここで、当該方法は、(a)前記サルモネラ亜種に特異的な核酸配列又はその相補配列に位置する標的核酸配列にハイブリダイズする一対のフォワード及びリバースオリゴヌクレオチドプライマーに前記試料を接触させる工程、(b)増幅産物を生成するために前記フォワード及びリバースプライマーを伸長させる工程、及び (c)前記増幅産物を検出する工程を含む。一実施形態において、前記増幅産物は(存在する場合)、前記試料に増幅産物とハイブリダイゼーション複合体を形成するオリゴヌクレオチドプローブを接触させる工程、及び、ハイブリダイゼーション複合体を検出する工程を含む方法によって検出する。
【0018】
一実施形態において、本発明は、試料中のサルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbを検出するための方法であって、
(a)サルモネラ・エンテリカ亜種IIIのlacZ遺伝子又はその相補配列に位置する標的核酸配列にハイブリダイズする一対のフォワード及びリバースオリゴヌクレオチドプライマーに前記試料を接触させる工程、
(b)増幅産物を生成するために前記フォワード及びリバースプライマーを伸長させる工程、及び
(c)前記増幅産物を検出する工程を含む方法を提供する。
【0019】
前記方法は、感度が高く、特異的であり、迅速かつロバストなサルモネラ・エンテリカ亜種IIIa(アリゾナエ)及び/又はIIIb(ジアリゾナエ)の分子診断アッセイを提供するものであり、多くの労力を要し、長い時間の掛かる、現在使用されている生化学分析法の代わりに使用することができる可能性がある。
【0020】
実施例に記載する一実施形態において、前記アッセイは100%の特異性と99%の感度を示す。一実施形態において、前記アッセイは、ハフニア属、シトロバクター属、エンテロバクター属、エシェリキア属又はプロテウス属を検出しない。通常の完全な生物化学的血清学的同定法の平均最低所要時間が14〜28日間であるのに対し、一実施形態において、前記アッセイは、サルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbを2時間未満で同定する。
【0021】
一実施形態において、前記アッセイは、他の潜在的な研究に有用であると共に、疾患の疫学及び自然史を監視するための又は監視を支援するための、臨床、動物、食品又は研究試料におけるサルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbのスクリーニングに有用である。
【0022】
我々が知る限りにおいて、サルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbのlacZ遺伝子はサルモネラを検出するための標的としてこれまで使用されていない。
【0023】
サルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及びIIIbのlacZ遺伝子の3種類の配列が公表されており、本願明細書では配列番号1、11及び12と呼ぶ。配列番号1は、寄託番号AY746956として公表されているサルモネラ・エンテリカ亜種ジアリゾナエ(IIIb)のlacZ遺伝子に対応する。配列番号11は、ワシントン大学によって提供されているサルモネラ・エンテリカ亜種ジアリゾナエ(IIIb)のlacZ遺伝子に対応する。配列番号12は、ワシントン大学によって提供されているサルモネラ・エンテリカ亜種アリゾナエ(IIIa)のlacZ遺伝子に対応する。配列番号1及び11は、全長にわたり約99.9%の配列同一性を有する。配列番号12は、全長にわたり配列番号1及び11と約98.5%の配列同一性を有する。
【0024】
一実施形態において、サルモネラ・エンテリカ亜種IIIのlacZ遺伝子は、配列番号1、11又は12から選択されるヌクレオチド配列と少なくとも90%の同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の同一性)を有するヌクレオチド配列を含む(又はからなる)。
【0025】
一実施形態において、前記方法は、配列番号1、11又は12から選択されるlacZヌクレオチド配列と少なくとも90%の同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の同一性)を有するヌクレオチド配列内に位置する標的核酸配列にハイブリダイズする一対のフォワード及びリバースオリゴヌクレオチドプライマーに前記試料を接触させる工程を含む。
【0026】
全てのサルモネラ・エンテリカ亜種III(アリゾナエ及びジアリゾナエ)はlacZ遺伝子を有する。lacZ遺伝子は、幾つかの炭水化物に含まれるβ1-4グリコシド結合を破壊する酵素である、β-ガラクトシダーゼをコードする(ラクトース分子を構成するガラクトースとグルコース単糖間のβ1-4グリコシド結合等)。
【0027】
予期せぬことに、本願発明者らは、サルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及びIIIbに特異的であり、サルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及びIIIbの菌株間において保存されるlacZ遺伝子の領域を同定した。
【0028】
一実施形態において、前記方法は、サルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及びIIIbの菌株間において保存されるlacZ遺伝子の領域を増幅及び検出することを含む。
【0029】
一実施形態において、前記方法は、他の全ての腸内細菌科のlacZ遺伝子とは異なるlacZ遺伝子の領域を増幅及び検出することを含む。
【0030】
サルモネラ・エンテリカ亜種IIIの中にはラクトースを発酵させることができるものもあり(アリゾナエ:約25%、ジアリゾナエ:約75%)、これらのサルモネラ・エンテリカ亜種IIIは、(バクテリア細胞の外部から、LacZが作用を発揮するバクテリア細胞の内部に、ラクトースを輸送するβ-ガラクトシドパーミアーゼをコードする)lacY遺伝子も有すると推測される。
【0031】
例外なく殆ど全てのサルモネラ・エンテリカ亜種Iは、lacZ遺伝子及びlacY遺伝子の両方を有しておらず、ラクトースを発酵させることができない。
【0032】
活性β-ガラクトシダーゼ(従って、サルモネラのlacZ遺伝子)の存在は、オルトニトロフェニル-β-ガラクトシド(ONPG)試験によって表現型的に検出することができる。ONPGはβ1-4グリコシド結合を含む糖状分子である。βガラクトシダーゼの存在下において、β1-4グリコシド結合は開裂し、オルトニトロフェノール(陽性活性の可視的な指示体である濃い黄色の化合物)を生成する。
【0033】
本願明細書において使用する「サルモネラ・エンテリカ亜種III」という用語は、サルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbを意味する。
【0034】
本願明細書において使用する「サルモネラ・エンテリカ亜種IIIa」という用語は「サルモネラ・エンテリカ亜種アリゾナエ」という用語と同義であり、本願明細書において使用する「サルモネラ・エンテリカ亜種IIIb」という用語は「サルモネラ・エンテリカ亜種ジアリゾナエ」という用語と同義である。
【0035】
一実施形態において、前記試料は、臨床、動物、食品、水、環境又は糞便試料(又は臨床、動物、食品、水、環境又は糞便試料に由来する試料)、細菌培養物又はDNA抽出物である。
【0036】
一実施形態において、前記フォワードプライマーがハイブリダイズする標的核酸配列はサルモネラ・エンテリカ亜種IIIに特異的である。一実施形態において、前記リバースプライマーがハイブリダイズする標的核酸配列はサルモネラ・エンテリカ亜種IIIに特異的である。
【0037】
一実施形態において、前記フォワード及びリバースプライマーを伸長させることにより、サルモネラ・エンテリカ亜種IIIに特異的な核酸配列を含む増幅産物が生成する。
【0038】
通常、リバースプライマーは、標的核酸のコード(センス)鎖内の標的核酸配列にハイブリダイズするように設計され、フォワードプライマーは、標的核酸の相補(アンチセンス)鎖内の標的核酸配列にハイブリダイズするように設計されている。
【0039】
「核酸配列の相補(配列)」という用語は、参照ヌクレオチド配列と比較して相補ヌクレオチド配列を有する核酸配列を意味する。
【0040】
一実施形態において、前記フォワードプライマーは、配列番号1、11又は12の相補配列内に位置する標的核酸配列(フォワードプライマー標的配列)にハイブリダイズする。
【0041】
一実施形態において、フォワードプライマー標的配列は、配列番号1、11又は12の相補配列の10〜40個(例えば、少なくとも11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20個であって、38、35、32、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21又は20個以下)の連続するヌクレオチドの範囲の長さを有する。例えば、リバースプライマー標的配列は、配列番号1、11又は12の相補配列の15〜25個(例えば、約20個)の連続するヌクレオチドの範囲の長さを有することができる。
【0042】
一実施形態において、前記フォワードプライマー標的配列は、サルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbに特異的である。
【0043】
一実施形態において、前記フォワードプライマーは、配列番号1、11又は12の相補配列の残基1〜2050の間に位置する標的核酸配列にハイブリダイズする。上記範囲において、前記フォワードプライマー標的配列は、配列番号1、11又は12の相補配列の残基200、400、600、800、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、1910、1920、1930、1940、1945、1950、1951、1952、1953、1954、1955、1956、1957又は1958からの領域に位置することができる。上記範囲において、前記フォワードプライマー標的配列は、配列番号1、11又は12の相補配列の残基2040、2030、2020、2010、2000、1990、1985、1984、1983、1982、1981、1980、1979、1978又は1977までの領域に位置することができる。例えば、前記フォワードプライマーは、配列番号1、11又は12の相補配列の残基1930〜2000(例えば、残基1950〜1980)の間に位置する標的配列にハイブリダイズすることができる。一実施形態において、前記フォワードプライマー標的配列は、配列番号1、11又は12の相補配列の残基1958〜1977によって定義される。
【0044】
なお、配列番号1、11又は12の相補鎖の核酸残基の上記付番方式は、それらが相補的である配列番号1、11又は12の核酸の付番に基づくものである。
【0045】
一実施形態において、前記フォワードプライマーは、配列番号2(下記を参照)を含む(又はからなる)標的核酸配列又は前記標的核酸配列と少なくとも75%(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%)の同一性を有するヌクレオチド配列又はその断片にハイブリダイズする。
【0046】

【0047】
一実施形態において、配列番号2(又は上で定義されたその配列変異体(バリアント))の断片は、配列番号2の少なくとも15個(例えば、少なくとも16、17、18又は19個)の連続するヌクレオチドを含む(又はからなる)。
【0048】
一実施形態において、前記リバースプライマーは、配列番号1、11又は12内に位置する標的核酸配列(リバースプライマー標的配列)にハイブリダイズする。
【0049】
一実施形態において、前記リバースプライマー標的配列は、配列番号1、11又は12の10〜40個(例えば、少なくとも11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20個であって、38、35、32、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21又は20個以下)の連続するヌクレオチドの範囲の長さを有する。例えば、前記リバースプライマー標的配列は、配列番号1、11又は12の15〜25個(例えば、約20個)の連続するヌクレオチドの範囲の長さを有することができる。
【0050】
一実施形態において、前記リバースプライマー標的配列は、サルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbに特異的である。
【0051】
一実施形態において、前記リバースプライマーは、配列番号1、11又は12の残基2050〜2520の間(例えば、残基2055、2060、2061、2062、2063、2064、2065、2066、2067又は2068からの領域であって、残基2500、2400、2300、2200、2150、2140、2130、2120、2110、2100、2095、2094、2093、2092、2091、2090、2089、2088又は2087までの領域)に位置する標的配列にハイブリダイズする。例えば、前記リバースプライマーは、配列番号1、11又は12の相補配列の残基2050〜2110(例えば、残基2060〜2095)の間に位置する標的配列にハイブリダイズすることができる。一実施形態において、前記リバースプライマー標的配列は、配列番号1、11又は12の残基2068〜2087によって定義される。
【0052】
一実施形態において、前記リバースプライマーは、配列番号3(下記を参照)と少なくとも75%(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%)の同一性を有するヌクレオチド配列又はその断片を含む(又はからなる)標的核酸配列にハイブリダイズする。
【0053】

【0054】
一実施形態において、配列番号3(又は上で定義されたその配列変異体)の断片は、配列番号3の少なくとも15、16、17、18又は19個の連続するヌクレオチドを含む(又はからなる)。
【0055】
一実施形態において、前記フォワードプライマーは、15〜30(例えば、少なくとも16、17、18、19又は20であって、29、28、27、26、25、24、23、22、21又は20以下)のヌクレオチド長を有する。例えば、前記リバースプライマーは、18〜22(例えば、約20)のヌクレオチド長を有することができる。
【0056】
一実施形態において、前記リバースプライマーは、15〜30(例えば、少なくとも16、17、18、19又は20であって、29、28、27、26、25、24、23、22、21又は20以下)のヌクレオチド長を有する。例えば、前記リバースプライマーは、18〜22(例えば、約20)のヌクレオチド長を有することができる。
【0057】
一実施形態において、前記フォワードプライマーは、配列番号4のヌクレオチド配列(下記を参照)と少なくとも75%(例えば、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%)の同一性を有するヌクレオチド配列を含む(又はからなる)。保存的置換が有用な場合がある。
【0058】

【0059】
配列番号4のバリアント(変異体)は、当該バリアントの配列と配列番号4との間で異なるヌクレオチド数によって定義することができる。一実施形態において、前記フォワードプライマーは、5以下のヌクレオチド配列部位(例えば、4、3、2又は1以下のヌクレオチド配列部位)が配列番号4と異なるヌクレオチド配列を含む(又はからなる)ことができる。保存的置換が有用な場合がある。
【0060】
また、上記フォワードプライマー配列(及び上で定義されたその配列変異体)の断片を使用することもできる。一実施形態において、前記フォワードプライマーは、配列番号4(及び上で定義されたその配列変異体)の断片を含む(又はからなる)ことができ、前記断片は、配列番号4の少なくとも15個(例えば、少なくとも16、17、18又は19個)の連続するヌクレオチドを含む(又はからなる)。
【0061】
一実施形態において、前記リバースプライマーは、配列番号5のヌクレオチド配列と少なくとも75%(例えば、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%)の同一性を有するヌクレオチド配列を含む(又はからなる)。保存的置換が有用な場合がある。
【0062】

【0063】
配列番号5のバリアントは、当該バリアントの配列と配列番号5との間で異なるヌクレオチド数によって定義することができる。一実施形態において、前記リバースプライマーは、5以下のヌクレオチド配列部位(例えば、4、3、2又は1以下のヌクレオチド配列部位)が配列番号5と異なるヌクレオチド配列を含む(又はからなる)ことができる。保存的置換が有用な場合がある。
【0064】
また、上記リバースプライマー配列(及び上で定義されたその配列変異体)の断片を使用することもできる。一実施形態において、前記リバースプライマーは、配列番号5(及び上で定義されたその配列変異体)の断片を含む(又はからなる)ことができ、前記断片は、配列番号5の少なくとも15個(例えば、少なくとも16、17、18又は19個)の連続するヌクレオチドを含む(又はからなる)。
【0065】
本発明のフォワード及びリバースプライマーは、Primer Express (アプライドバイオシステム)等の従来のソフトウェアを使用して所望のパラメータを選択することによって標的核酸配列に結合するように設計されている。
【0066】
「ハイブリダイズする」という用語は、「結合する」という用語と同義であり、互いに置き換え可能である。
【0067】
一実施形態において、前記フォワードプライマーは配列特異的であり、配列番号1、11又は12内のフォワードプライマー標的核酸配列に特異的にハイブリダイズする。
【0068】
一実施形態において、前記リバースプライマーは配列特異的であり、配列番号1、11又は12内のリバースプライマー標的核酸配列に特異的にハイブリダイズする。
【0069】
一実施形態において、高い特異性が得られる結合条件を使用する。一実施形態において、前記フォワード及びリバースプライマーの融解温度(Tm)は68℃よりも高い(例えば、約72℃)。
【0070】
一実施形態において、前記フォワードプライマー及び/又はリバースプライマーはタグ又は標識を含む。一実施形態において、前記タグ又は標識は、プライマーを伸長させる際に前記増幅産物に導入する。タグ又は標識は、前記フォワードプライマー及び/又はリバースプライマーの5'又は3'末端(例えば、リバースプライマーの5'末端)に位置することができる。
【0071】
好適な標識の例としては、放射標識又は蛍光又は着色分子等の検出可能な標識が挙げられる。例えば、前記標識は、ジゴキシゲニン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)又はR-フィコエリトリンであってもよい。前記標識は、写真又はX線フィルムへの露光によって直接検出されるレポーター分子であってもよい。あるいは、前記標識は、直接検出可能ではなく、例えば二相系(two-phase system)において間接的に検出されてもよい。間接的な標識検出の例としては、標識への抗体の結合が挙げられる。
【0072】
好適なタグの例としては、ビオチン及びストレプトアビジンが挙げられる。その他のタグの例としては、受容体、リガンド、抗体、抗原、ハプテン、エピトープが挙げられる。
【0073】
増幅は、PCR(例えば、リアルタイムPCR)等の公知の方法及びプラットホームを使用して行うことができる。一実施形態において、増幅は、リアルタイムTaqman(登録商標)PCRプラットホームを使用して行う。
【0074】
一実施形態において、増幅は、任意の増幅プラットホームを使用して行うことができる。本実施形態のアッセイの利点は、プラットホームに依存せず、特定の機器を使用する必要がないことである。
【0075】
適当なポリメラーゼ及びDNA前駆体(dATP、dCTP、dGTP、dTTP)の存在下において、前記フォワード及びリバースプライマーは5'-3'(5'から3')方向に伸長し、それによって、標的核酸の各鎖に相補的な新たな核酸鎖の合成を開始させる。それにより、プライマーは、標的であるサルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIb核酸の増幅を促し、標的であるサルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIb核酸配列を含む増幅産物が生成する。当業者は、増幅を促進するための適切な条件を決定することができる。
【0076】
本願明細書においては、「増幅産物」、「増幅された核酸配列」及び「アンプリコン」という用語は互いに置き換え可能であり、同じ意味を有する。
【0077】
一実施形態において、前記増幅産物は、50〜250個(例えば、少なくとも60、70、80、90、95、100、105、110、115、120又は125個であって、225、200、190、180、170、160、150、145、140又は135個以下)のヌクレオチドを有する。一実施形態において、前記増幅産物は、110〜150個(例えば、125〜135個(例えば約130個))のヌクレオチドを有する。
【0078】
検出工程は、公知の任意の手段によって行うことができる。
【0079】
一態様において、前記増幅産物はタグ付け又は標識され、検出法(検出方法)は前記タグ又は標識を検出する工程を含む。一実施形態において、前記タグ又は標識は、増幅工程時に増幅産物に取り込まれる。一実施形態において、前記フォワード及び/又はリバースプライマーはタグ又は標識を含み、増幅工程時に前記プライマーを伸長させる際に前記タグ又は標識を増幅産物に取り込まれる。前記タグ又は標識は、前記フォワードプライマー又はリバースプライマーの5'又は3'末端(例えば、リバースプライマーの5'末端)に位置することができる。
【0080】
一実施形態において、前記増幅産物は標識され、前記アッセイは、(例えば、プライマーの除去後に)前記標識を検出し、標識の存在を増幅産物の存在(従って、サルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbの存在)と関係づけることを含む。前記標識は、放射標識又は蛍光又は着色分子等の検出可能な標識を含むことができる。例えば、前記標識は、ジゴキシゲニン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)又はR-フィコエリトリンであってもよい。前記標識は、写真又はX線フィルムへの露光によって直接検出されるレポーター分子であってもよい。あるいは、前記標識は、直接検出可能ではなく、例えば二相系において間接的に検出されてもよい。間接的な標識検出の例としては、標識への抗体の結合が挙げられる。
【0081】
一実施形態において、前記増幅産物はタグ付けされ、前記アッセイは、(例えば、プライマーの除去後に)前記タグを捕捉し、タグの存在を増幅産物の存在(標的であるサルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbの存在)と関係づけることを含む。一実施形態において、膜又は磁性ビーズ等の基質又は固体支持体に付着(例えば被覆)することができる捕捉分子を使用して前記タグを捕捉する。
【0082】
ビーズ(及び捕捉されたタグ付けされた増幅産物)は、従来の方法を使用して試料から容易に濃縮・分離することができるため、磁性ビーズを使用した捕捉方法が有利である。
【0083】
好適なタグの例としては、相補体/抗相補体対(complement/ anti-complement pairs)が挙げられる。「相補体/抗相補体対」とは、適当な条件下において非共有結合性の安定した対を形成する異なる部位を意味する。例えば、ビオチン及びアビジン(又はストレプトアビジン)は相補体/抗相補体対である。その他の相補体/抗相補体対の例としては、受容体/リガンド対、抗体/抗原(又はハプテン又はエピトープ)対等が挙げられる。相補体/抗相補体対を解離させることが望ましい場合には、相補体/抗相補体対は109M-1未満の結合親和性を有することができる。
【0084】
一実施形態において、前記タグは、ビオチン及びストレプトアビジンから選択される。ビオチンタグはストレプトアビジンを使用して捕捉することができ、ストレプトアビジンはビーズ(例えば、磁性ビーズ)又は膜等の基質又は支持体に被覆することができる。同様に、ストレプトアビジンタグはビオチンを使用して捕捉することができ、ビオチンはビーズ(例えば、磁性ビーズ)又は膜等の基質又は支持体に被覆することができる。その他のタグ及び捕捉分子の対の例としては、受容体/リガンド対及び抗体/抗原(又はハプテン又はエピトープ)対が挙げられる。
【0085】
一実施形態において、前記増幅産物はビオチンタグを取り込み、前記検出工程は、前記ビオチンタグ付けされた増幅産物を捕捉するストレプトアビジン被覆化磁性ビーズに前記試料を接触させる工程を含む。前記磁性ビーズ(及び捕捉されたタグ付けされた増幅産物)は前記試料から分離することができ、前記増幅産物を前記試料から分離することができる。その後、公知の任意の手段によって前記増幅産物を検出することができる。
【0086】
一実施形態において、前記増幅産物の核酸配列を決定する。前記増幅産物のシークエンシングは、公知の任意の手段によって行うことができる。例えば、(未標識のDNA鎖を水酸化ナトリウムで溶解した後に)、Trimgen Mutector(商標)検出装置等の比色シークエンシング装置を使用することができる。
【0087】
一態様において、前記増幅産物は、オリゴヌクレオチドプローブと前記増幅産物がハイブリダイゼーション複合体を形成する条件において前記試料を前記オリゴヌクレオチドプローブに接触させる工程、前記ハイブリダイゼーション複合体を検出する工程を含む方法によって検出する。一実施形態において、前記プローブは前記増幅産物に特異的である。
【0088】
一実施形態において、前記プローブは、15〜40(例えば、少なくとも16、17、18、19、20、21、22又は23であって、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26又は25以下)のヌクレオチド長を有する。一実施形態において、前記プローブは、20〜30(例えば、22〜26)のヌクレオチド長を有する。一実施形態において、前記プローブは約24のヌクレオチド長を有する。
【0089】
一実施形態において、前記増幅産物内において前記プローブがハイブリダイズする標的ヌクレオチド配列は、15〜40(例えば、少なくとも16、17、18、19、20、21、22又は23であって、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26又は25以下)のヌクレオチド長を有する。例えば、前記プローブの標的ヌクレオチド配列は、20〜30(例えば、22〜26)のヌクレオチド長を有することができる。一実施形態において、前記プローブは、約24のヌクレオチド長を有する標的ヌクレオチド配列に結合する。
【0090】
プローブは、従来のソフトウェアを使用して所望のパラメータを選択することによって前記増幅産物内において標的配列にハイブリダイズするように設計する。高い特異性が得られる結合条件を使用する。すなわち、増幅産物へのプローブのハイブリダイゼーションはストリンジェントな条件下で生じる。通常、ストリンジェントな条件としては、所定のイオン強度及びpHにおける所定の配列の融点(Tm)よりも約5℃低い温度を選択する。Tmは、標的配列の50%が完全に適合するプローブにハイブリダイズする(所定のイオン強度及びpHにおける)温度である。一実施形態において、pH7の約0.02M以下の塩濃度における本発明のプローブのTmは60℃よりも高い(例えば、約70℃)。
【0091】
予め混合した結合溶液が市販されており(例えば、CLONTECH Laboratories,Inc.社製のEXPRESSHYB Hybridisation Solution)、製造者の取扱説明書に従ってハイブリダイゼーションを行うことができる。あるいは、当業者はこれらの結合条件を適切に変更することができる。
【0092】
プローブは、自己相補性及び二量体形成(プローブ-プローブ結合)を最小化するようにスクリーニングすることができる。本発明のプローブは、ヒトDNAとの最小の相同性を有するように選択することができる。選択プロセスは、候補プローブ配列をヒトDNAと比較し、相同性が50%を超えるプローブを排除することを含むことができる。上記選択プロセスの目的は、混入したヒトDNA配列へのプローブのアニーリングを減少させ、アッセイの特異性を向上させることにある。
【0093】
一実施形態において、前記プローブの標的結合配列は、配列番号1、11又は12の相補配列内に位置する。一実施形態において、前記プローブは、配列番号1、11又は12の相補配列の残基1900〜2100の間に位置する標的ヌクレオチド配列に結合する。上記範囲において、前記プローブ標的配列は、配列番号1、11又は12の相補配列の残基1910、1920、1930、1940、1950、1960、1965、1970、1975、1976、1977、1978、1979、1980又は1981からの領域に位置することができる。上記範囲において、前記プローブ標的配列は、配列番号1、11又は12の相補配列の残基2090、2080、2070、2060、2050、2040、2030、2020、2015、2010、2009、2008、2007、2006、2005又は2004までの領域に位置することができる。例えば、前記フォワードプライマーは、配列番号1、11又は12の相補配列の残基1960〜2020(例えば、残基1975〜2010)の間に位置する標的配列にハイブリダイズすることができる。一実施形態において、前記フォワードプライマー標的配列は、配列番号1、11又は12の相補配列の残基1981〜2004によって定義される。
【0094】
一実施形態において、前記プローブの標的結合配列は、配列番号6のヌクレオチド配列(下記を参照)又は少なくとも18個(例えば、少なくとも19、20、21、22又は23個)の連続するヌクレオチドを有するその断片と少なくとも75%(例えば、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%)の同一性を有するヌクレオチド配列を含む(又はからなる)。
【0095】

【0096】
一態様において、前記オリゴヌクレオチドプローブは、配列番号7のヌクレオチド配列(下記を参照)と少なくとも75%(例えば、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%)の同一性を有するヌクレオチド配列を含む(又はからなる)。保存的置換が有用な場合がある。
【0097】

【0098】
バリアントプローブ配列は、バリアント配列と参照プローブ配列との間で異なるヌクレオチド数によっても定義することができる。
【0099】
一実施形態において、本発明のプローブは、配列番号7と6以下のヌクレオチド(例えば、5、4、3、2又は1以下のヌクレオチド)で異なる核酸配列を含む(又はからなる)。保存的置換が有用な場合がある。
【0100】
前記プローブ配列の断片も使用することができ、前記断片は、配列番号7の少なくとも18個の連続するヌクレオチドを含む。一実施形態において、本発明のプローブは、配列番号7(又は上で定義されたその配列変異体)の断片を含み(又はからなり)、前記断片は、配列番号7の少なくとも18、19、20、21、22又は23個の連続するヌクレオチドを含む。
【0101】
結合後、ストリンジェントな(例えば、非常にストリンジェントな)条件下での洗浄によって未結合のオリゴヌクレオチドを除去する。通常のストリンジェントな洗浄条件では、0.1%SDSの0.5〜2×SSC溶液内で55〜65℃で洗浄する。通常の非常にストリンジェントな洗浄条件では、0.1%SDSの0.1〜0.2×SSC溶液内で55〜65℃で洗浄する。当業者は、例えば、洗浄溶液のSSCの代わりにSSPEを使用することにより、同等な条件を容易に設定することができる。
【0102】
一実施形態において、前記プローブは標識を含む。従って、一実施形態においては、標識プローブを増幅産物にハイブリダイゼーションさせた後、標識は結合した増幅産物に随伴している。一実施形態において、前記アッセイは、(例えば、未結合のプローブを前記試料から除去した後に)前記標識を検出し、標識の存在を増幅産物に結合したプローブの存在(従って、サルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbの存在)と関係づけることを含む。
【0103】
前記標識は、放射標識、蛍光分子、酵素マーカー又は発色性マーカー(例えば、プローブのハイブリダイゼーションに応じて可視的な色変化を生じる色素)等の検出可能な標識を含むことができる。例えば、前記標識は、ジゴキシゲニン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)又はR-フィコエリトリンであってもよい。前記標識は、写真又はX線フィルムへの露光によって直接検出されるレポーター分子であってもよい。あるいは、前記標識は、直接検出可能ではなく、例えば二相系において間接的に検出されてもよい。間接的な標識検出の例としては、標識への抗体の結合が挙げられる。
【0104】
一実施形態において、前記プローブはタグを含む。従って、タグ付けされたプローブを増幅産物にハイブリダイゼーションさせた後、タグは結合した増幅産物に随伴している。一実施形態において、前記アッセイは、(例えば、未結合のプローブを前記試料から除去した後に)前記タグを捕捉し、前記タグの存在を増幅産物に結合したプローブの存在(従って、サルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbの存在)と関係づけることを含む。
【0105】
一実施形態において、膜又は磁性ビーズ等の基質又は固体支持体に付着(例えば被覆)することができる捕捉分子を使用して前記タグを捕捉する。
【0106】
ビーズ(及び捕捉された、増幅産物に結合したタグ付けされたプローブ)は、従来の方法を使用して試料から容易に分離することができるため、磁性ビーズを使用した捕捉方法が有利である。
【0107】
好適なタグの例としては、ビオチン及びストレプトアビジンが挙げられる。ビオチンタグはストレプトアビジンを使用して捕捉することができ、ストレプトアビジンはビーズ(例えば、磁性ビーズ)又は膜等の基質又は支持体に被覆することができる。同様に、ストレプトアビジンタグはビオチンを使用して捕捉することができ、ビオチンはビーズ(例えば、磁性ビーズ)又は膜等の基質又は支持体に被覆することができる。その他のタグ及び捕捉分子の対の例としては、受容体/リガンド対及び抗体/抗原(又はハプテン又はエピトープ)対が挙げられる。
【0108】
一実施形態において、前記プローブはビオチンタグを含み、前記検出工程は、増幅産物に結合した前記ビオチンでタグ付けされたプローブを捕捉するストレプトアビジン被覆化磁性ビーズに前記試料を接触させる工程を含む。前記磁性ビーズ(及び捕捉された、増幅産物に結合したタグ付けされたプローブ)は前記試料から分離することができ、前記増幅産物を前記試料から分離することができる。その後、公知の任意の手段によって前記増幅産物を検出することができる。
【0109】
一実施形態において、前記プローブは副溝結合剤成分(minor groove binder component)を含む。
【0110】
一実施形態において、前記プローブはレポーターフルオロフォア及びクエンチャーフルオロフォアを含む。一実施形態において、レポーターフルオロフォアはプローブの一端又はその近傍に位置し、クエンチャーフルオロフォアは当該プローブの他端又はその近傍に位置する。例えば、レポーターフルオロフォアはプローブの5'末端又はその近傍に位置し、クエンチャーフルオロフォアはプローブの3'末端又はその近傍に位置することができる(逆もまた同じ)。
【0111】
好適なレポーターフルオロフォアとしては、FAM、VIC/JOE/Yakima Yellow、NED/TAMRA/Cy3、ROX/TR、Cy5が挙げられる。
【0112】
好適なクエンチャーフルオロフォアとしては、TAMRA及びBlack Holeクエンチャーシリーズが挙げられる。
【0113】
一実施形態において、前記プローブの切断によって前記レポーターフルオロフォアと前記クエンチャーフルオロフォアが分離する。一実施形態において、前記レポーターフルオロフォアと前記クエンチャーフルオロフォアの分離により、検出可能な蛍光シグナルが生じるか、蛍光シグナルの検出可能な変化が生じる。一実施形態において、前記検出工程は、(例えば、ハイブリダイズしていないプローブを前記試料から分離した後に)ハイブリダイズしたプローブを開裂させて前記レポーターフルオロフォアと前記クエンチャーフルオロフォアを分離させ、蛍光シグナル又は蛍光シグナルの変化を検出する工程を含み、前記蛍光シグナル又は前記蛍光シグナルの変化が、前記増幅産物の存在(従って、サルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbの存在)を示す。
【0114】
例えば、結合したプローブは、Taqman(登録商標)アッセイ等のリアルタイムPCRアッセイのように、5'-3'エキソヌクレアーゼ活性を有する伸長ポリメラーゼによって開裂させることができる。
【0115】
一実施形態において、標的核酸配列を増幅・検出するためのTaqman(登録商標)システムを使用する。Taqman(登録商標)アッセイの性能を最適化するために、増幅産物の長さは200ヌクレオチド未満であり(例えば、150ヌクレオチド未満)、プローブはプライマーよりも(例えば、約10℃)高い融解温度を有することができる。典型的には、これにより、プローブはプライマーよりも数ヌクレオチド分だけ長くなる。
【0116】
一態様において、前記プローブは、支持体又はプラットホームに固定化する。前記プローブを固定することにより前記プローブに物理的位置が与えられ、前記プローブを所望の位置に固定できるようになり及び/又は前記プローブを容易に回収又は分離することができる。支持体は、ビーズ(例えば、磁性ビーズ)等の、ガラス又はプラスチックからなる堅い固体支持体であってもよい。あるいは、支持体は、ナイロン又はニトロセルロース膜等の膜であってもよい。また、3Dマトリクス(例えば、ポリアクリルアミド又はPEGゲル)も本発明において使用する支持体として好適である。
【0117】
前記プローブは、種々の従来の手段によって支持体/プラットホームに固定することができる。例えば、ナイロン膜等の支持体にはUV架橋によって固定することができる。ビオチン標識分子(例えば、プローブ)をストレプトアビジン被覆基質(逆でもよい)に結合させることができる。また、アミノリンカーを使用して調製した分子をシラン化表面に固定してもよい。さらに、例えば、ポリTテール又はポリCテールによって、3'又は5'末端にプローブを固定することもできる。
【0118】
一態様において、前記増幅産物は二重鎖核酸分子であり、融解曲線分析を含む方法によって検出する。融解曲線分析では、加熱時の二重鎖核酸(例えば、DNA)の解離特性を評価する。
【0119】
一態様において、前記増幅産物は、前記増幅産物を消化する酵素(制限酵素等)に前記試料を接触させる工程、消化産物を同定することを含む方法によって検出する。
【0120】
本態様では、前記制限酵素は、前記増幅産物の配列内に位置する制限部位を認識する。
【0121】
本実施形態では、消化産物の存在により、増幅産物(従って、サルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIb)の存在を確認する。一方、消化産物が存在しない場合には、増幅産物(従って、サルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIb)は存在しない。
【0122】
消化産物は、公知の任意の手段(例えば、上述した検出法を含む方法)によって検出することができる。一実施形態において、例えば、ゲル電気泳動を含む方法により、増幅産物の消化産物はサイズに基づいて検出する。
【0123】
一実施形態において、前記方法は、第2の一対のフォワード及びリバースオリゴヌクレオチドプライマーに前記試料を接触させる工程を含み、前記フォワード及びリバースプライマーが、サルモネラ菌種の存在を確認するための内部増幅対照として機能する。一実施形態において、対照プライマーは、サルモネラttrRSBCA遺伝子座等の全てのサルモネラ菌種に特異的な核酸配列内に位置する標的核酸配列にハイブリダイズする。一実施形態において、前記方法は、前記フォワード及びリバース対照プライマーを伸長させて対照増幅産物を生成し、前記対照増幅産物を検出する工程を含む。一実施形態において、前記対照増幅産物を検出することは、前記対照増幅産物とハイブリダイゼーション複合体を形成する対照オリゴヌクレオチドプローブに前記試料を接触させる工程、前記ハイブリダイゼーション複合体を検出する工程を含む。
【0124】
一実施形態において、前記試料は、本発明のフォワード及びリバースプライマー及び/又はプローブと同時に(並行又は組み合わせて)前記対照プライマー及び/又は対照プローブと接触させるか、本発明のフォワード及びリバースプライマー及び/又はプローブと連続して(前に又は後に)接触させる。
【0125】
本発明の方法により、サルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbの細菌負荷(bacterial load)を定量的に見積もることができる。細菌負荷の測定は、臨床指導、治療決定、患者管理、ワクチン有効性評価等の多くの用途において有用である。
【0126】
一態様において、検出された増幅産物の量を測定することにより、試料中のサルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbの核酸を定量することができる。
【0127】
一実施形態において、前記増幅産物は標識されており、前記標識を検出し、前記標識の量を測定することによって前記増幅産物の定量する。一実施形態において、前記増幅産物はタグ付けされており、前記タグを捕捉し、捕捉された前記タグの量を測定することによって前記増幅産物を定量する。
【0128】
一実施形態において、前記増幅産物はオリゴヌクレオチドプローブにハイブリダイズしており、プローブ-増幅産物ハイブリダイゼーション複合体を定量することによって前記増幅産物を定量する。一実施形態において、前記増幅産物はタグ付け又は標識されており、(例えば、ハイブリダイズしていないプローブを前記試料から分離した後に)前記標識を検出するか、前記タグを捕捉し、標識又は捕捉されたタグの存在(並びに必要に応じて量)を測定することによってプローブ-増幅産物ハイブリダイゼーション複合体を定量する。ここで、前記標識又はタグの存在はハイブリダイゼーション複合体の存在を示す。
【0129】
一実施形態において、蛍光シグナル又は蛍光シグナルの変化を検出(並びに必要に応じて定量)することによってプローブ-増幅産物ハイブリダイゼーション複合体を定量する。ここで、前記蛍光シグナル又は前記蛍光シグナルの変化はハイブリダイゼーション複合体の存在を示す。一実施形態において、前記蛍光シグナル(又はその変化)は、例えば、フルオロフォアが結合したプローブの開裂に起因するレポーターフルオロフォアとクエンチャーフルオロフォアの分離によって生ずる。
【0130】
一実施形態において、前記増幅産物は制限酵素で消化され、前記増幅産物の消化産物を検出し、前記消化産物を定量することによって前記増幅産物を定量する。
【0131】
一態様において、本発明は、着目試料中のサルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbの細菌負荷を定量するための生体外の方法であって、(a)前記着目試料に対して本発明に係る検出法を行い、(b)サルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbの予め決められた細菌負荷を有する検定試料に対して前記検出法を行い、(c)前記着目試料から検出された増幅産物の量を、前記検定試料から検出された増幅産物の量と比較し、前記着目試料におけるサルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbの細菌負荷を定量する工程を含む方法を提供する。
【0132】
別の態様において、本発明の方法は、一定期間(例えば、薬剤又はワクチン療法の治療期間)におけるサルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIb感染症の治療の有効性を判断するために有用である。
【0133】
一態様において、本発明は、治療期間における抗サルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIb治療(例えば、抗サルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIb薬剤)の有効性を判断するための生体外の方法であって、(a)前記治療期間内又は前記治療期間前の第1の時点において得た第1の試料に対して本発明に係る検出法を行い、(b)前記治療期間内又は前記治療期間後における1以上のより遅い時点において得た1以上の試料に対して前記方法を行い、(c)前記第1の試料から検出された増幅産物の量を、前記1以上のより遅い時点の試料から検出された増幅産物の量と比較し、前記薬物療法期間における薬物の有効性を判断することを含む方法を提供する。
【0134】
一実施形態において、前記第1の試料から検出された増幅産物の量に対して前記1以上のより遅い時点の試料から検出された増幅産物の量が減少した場合は、サルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbに対する薬物の有効性があったことを示す。
【0135】
別の態様において、本発明は、サルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbによる感染に対するワクチンの有効性を判断するために有用である。
【0136】
一態様において、本発明は、サルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbに対するワクチンの有効性を判断するための生体外の方法であって、(a)ワクチン接種前の第1の時点において患者から得た第1の試料に対して本発明に係る検出法を行い、(b)ワクチン接種並びにサルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIb曝露後の1以上のより遅い時点において前記患者から得た試料に対して前記方法を行い、(c)前記第1の試料から検出された増幅産物の量を、前記1以上のより遅い時点において得た試料から検出された増幅産物の量と比較し、ワクチン有効性を判断することを含む方法を提供する。
【0137】
一実施形態において、前記第1の試料から検出された増幅産物の量に対して前記1以上のより遅い時点の試料から検出された増幅産物の量が減少した場合は、サルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbによる感染に対するワクチンの有効性を示す。
【0138】
また、本発明は、本発明の方法に使用する、フォワードプライマー、リバースプライマー、プローブ又はそれらの組み合わせ等の試薬、並びに、前記試薬を含むキットを提供する。
【0139】
一実施形態において、前記フォワード及び/又はリバースオリゴヌクレオチドプライマー及び/又はプローブの配列は、配列番号1、11又は12又はその相補配列の核酸配列全体を含む(又はからなる)ものではない。
【0140】
一態様において、本発明は、配列番号1、11又は12の相補配列内に位置する標的核酸配列にハイブリダイズするフォワードオリゴヌクレオチドプライマーを提供する。
【0141】
一実施形態において、前記フォワードプライマーは、配列番号1、11又は12の相補配列の残基1〜2050の間に位置する標的核酸配列にハイブリダイズする。上記範囲において、前記フォワードプライマー標的配列は、配列番号1、11又は12の相補配列の残基200、400、600、800、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、1910、1920、1930、1940、1945、1950、1951、1952、1953、1954、1955、1956、1957又は1958からの領域に位置することができる。上記範囲において、前記フォワードプライマー標的配列は、配列番号1、11又は12の相補配列の残基2040、2030、2020、2010、2000、1990、1985、1984、1983、1982、1981、1980、1979、1978又は1977までの領域に位置することができる。例えば、前記フォワードプライマーは、配列番号1、11又は12の相補配列の残基1930〜2000(例えば、残基1950〜1980)の間に位置する標的配列にハイブリダイズすることができる。一実施形態において、前記フォワードプライマー標的配列は、配列番号1、11又は12の相補配列の残基1958〜1977によって定義される。
【0142】
一実施形態において、前記フォワードプライマー標的核酸配列は、配列番号2のヌクレオチド配列又はその断片と少なくとも75%(例えば、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%)の同一性を有するヌクレオチド配列を含む(又はからなる)。一実施形態において、前記フォワードプライマー標的核酸配列は、サルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbに特異的である。
【0143】
一実施形態において、前記フォワードプライマーは、配列番号4のヌクレオチド配列と少なくとも75%(例えば、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%)の同一性を有するヌクレオチド配列を含む(又はからなる)。
【0144】
一実施形態において、前記フォワードプライマーは、配列番号4(又は上で定義されたその配列変異体)の断片を含み(又はからなり)、前記断片は、配列番号4の少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含む。一実施形態において、前記断片は、配列番号4の少なくとも16、17、18又は19個の連続するヌクレオチドを含む。
【0145】
一態様において、本発明は、配列番号1、11又は12内に位置する標的核酸配列にハイブリダイズする上記のリバースオリゴヌクレオチドプライマーを提供する。
【0146】
一実施形態において、前記リバースプライマーは、配列番号1、11又は12の残基2050〜2520の間に位置する標的配列にハイブリダイズする (例えば、配列番号1、11又は12の残基2055、2060、2061、2062、2063、2064、2065、2066、2067又は2068からの領域であって、例えば、配列番号1、11又は12の残基2500、2400、2300、2200、2150、2140、2130、2120、2110、2100、2095、2094、2093、2092、2091、2090、2089、2088又は2087までの領域)。例えば、前記リバースプライマーは、配列番号1、11又は12の相補配列の残基2050〜2110(例えば、残基2060〜2095)の間に位置する標的配列にハイブリダイズすることができる。一実施形態において、前記リバースプライマー標的配列は、配列番号1、11又は12の残基2068〜2087によって定義される。
【0147】
一実施形態において、前記リバースプライマー標的核酸配列は、配列番号3のヌクレオチド配列と少なくとも75%(例えば、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%)の同一性を有するヌクレオチド配列を含む(又はからなる)。一実施形態において、前記標的核酸配列は、サルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbに特異的である。
【0148】
一実施形態において、前記リバースプライマーは、配列番号5のヌクレオチド配列と少なくとも75%(例えば、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%)の同一性を有するヌクレオチド配列を含む(又はからなる)。
【0149】
一実施形態において、前記リバースプライマーは、配列番号5(又は上で定義されたその配列変異体)の断片を含み(又はからなり)、前記断片は、配列番号5の少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含む。一実施形態において、前記断片は、配列番号5の少なくとも16、17、18又は19個の連続するヌクレオチドを含む。
【0150】
一実施形態において、前記フォワードプライマー及び/又はリバースプライマーは、上述したようにタグ又は標識を含む。
【0151】
また、本発明は、上述したフォワードプライマー及び上述したリバースプライマーを含む、一対のフォワード及びリバースオリゴヌクレオチドプライマーを提供する。
【0152】
また、本発明は、上述したオリゴヌクレオチドプローブ等のプローブを提供する。
【0153】
一実施形態において、前記プローブは、配列番号1、11又は12の相補配列内に位置する標的結合配列にハイブリダイズする。一実施形態において、前記プローブは、配列番号1、11又は12の相補配列の残基1900〜2100の間に位置する標的ヌクレオチド配列に結合する。上記範囲において、前記プローブ標的配列は、配列番号1、11又は12の相補配列の残基1910、1920、1930、1940、1950、1960、1965、1970、1975、1976、1977、1978、1979、1980又は1981からの領域に位置することができる。上記範囲において、前記プローブ標的配列は、配列番号1、11又は12の相補配列の残基2090、2080、2070、2060、2050、2040、2030、2020、2015、2010、2009、2008、2007、2006、2005又は2004までの領域に位置することができる。例えば、前記フォワードプライマーは、配列番号1、11又は12の相補配列の残基1960〜2020(例えば、残基1975〜2010)の間に位置する標的配列にハイブリダイズすることができる。一実施形態において、前記フォワードプライマー標的配列は、配列番号1、11又は12の相補配列の残基1981〜2004によって定義される。
【0154】
一実施形態において、前記プローブの標的結合配列は、配列番号6のヌクレオチド配列又は少なくとも19個(例えば、少なくとも20、21、22又は23個)の連続するヌクレオチドを有するその断片と少なくとも75%(例えば、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%)の同一性を有する標的配列を含む(又はからなる)。
【0155】
一実施形態において、前記プローブは、配列番号7のヌクレオチド配列又は少なくとも18個(例えば、少なくとも19、20、21、22又は23個)の連続するヌクレオチドを有するその断片と少なくとも75%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%)の同一性を有するヌクレオチド配列を含む(又はからなる)。
【0156】
一実施形態において、前記プローブは、上述したタグ又は標識あるいは上述したレポーターフルオロフォア及びクエンチャーフルオロフォアを含む。
【0157】
また、本発明は、試料中の細菌サルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbを検出するためのキットであって、上述した一対のフォワード及びリバースオリゴヌクレオチドプライマーを含むキットを提供する。
【0158】
前記キットは、ポリメラーゼ(例えば、Taqポリメラーゼ等の5'-3'エキソヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼ)及び/又はDNA前駆体等の増幅試薬を随意により含む。
【0159】
前記キットは、増幅産物を検出するための試薬を随意により含む。一実施形態において、増幅産物を検出するための試薬は、前記増幅産物にハイブリダイズする上述したオリゴヌクレオチドプローブを含む。一実施形態において、増幅産物を検出するための試薬は、前記増幅産物を消化する制限酵素(例えば、HhaI)等の酵素を含む。
【0160】
一実施形態において、本発明は、試料中のサルモネラ・エンテリカ亜種I(エンテリカ)を検出するための方法を提供する。一実施形態において、前記方法は、そのサルモネラ・エンテリカ亜種I(エンテリカ)に特異的な核酸配列(遺伝子配列等)の検出に基づく。
【0161】
例えば、センチゾーム7ゲノムアイランド(centisome 7 genomic island)又はshdAの検出に基づく)サルモネラ・エンテリカ亜種Iの既存の検出アッセイは、サルモネラ・エンテリカ亜種Iを完全に包括するというわけではない(すなわち、感度が90%未満であり、サルモネラ・エンテリカ亜種I菌株のかなりの割合を検出しない)。
【0162】
その他の公知のサルモネラ・エンテリカ亜種Iのアッセイは、他のサルモネラ亜種も検出する(すなわち、サルモネラ・エンテリカ亜種Iに特異的ではない)。
【0163】
一実施形態において、本発明は、hilA遺伝子の検出に基づいて試料中のサルモネラ亜種Iを検出するための方法を提供する。一実施形態において、前記方法は、サルモネラ・エンテリカ亜種Iに特異的であり、サルモネラ・エンテリカ亜種Iの菌株間において保存されるhilA遺伝子の1以上の領域の検出に基づく。
【0164】
我々は、公開データベースから入手可能なサルモネラhilA遺伝子配列を集め、全てのサルモネラ亜種の代表からいくつかのhilA遺伝子を配列決定した。得られたデータを使用して、サルモネラ・エンテリカ亜種Iに特異的であり、サルモネラ・エンテリカ亜種Iの菌株間において保存されるhilA遺伝子の領域を特定した。我々が知る限りにおいて、hilA遺伝子のこれらの特異的な領域は、標的としてこれまで使用されていない。
【0165】
一実施形態において、本発明は、試料中のサルモネラ・エンテリカ亜種I(エンテリカ)を検出するための方法であって、
(a)サルモネラ・エンテリカ亜種IのhilA遺伝子又はその相補配列内に位置する標的核酸配列にハイブリダイズする一対のフォワード及びリバースオリゴヌクレオチドプライマーに前記試料を接触させる工程、
(b)増幅産物を生成するために前記フォワード及びリバースプライマーを伸長させる工程、及び
(c)前記増幅産物を検出する工程を含む方法を提供する。
【0166】
後に考察される一実施形態においては、前記増幅産物は(存在する場合には)、前記増幅産物とハイブリダイゼーション複合体を形成するオリゴヌクレオチドプローブに前記試料を接触させる工程、前記ハイブリダイゼーション複合体を検出する工程を含む方法によって検出する。
【0167】
前記方法は、感度が高く、特異的であり、迅速かつロバストなサルモネラ・エンテリカ亜種I(エンテリカ)の分子診断アッセイを提供するものであり、多くの労力を要し、長い時間の掛かる、現在使用されている生化学分析法の代わりに使用することができる可能性がある。
【0168】
一実施形態において、前記サルモネラ・エンテリカ亜種Iアッセイは100%の特異性と99.7%の感度を示す。一実施形態において、前記アッセイは、ハフニア属、シトロバクター属、エンテロバクター属、エシェリキア属又はプロテウス属を検出しない。通常の完全な生物化学的血清学的同定法の平均最低所要時間が14〜28日間であるのに対し、一実施形態において、前記アッセイは、サルモネラ・エンテリカ亜種Iを2時間未満で同定する。
【0169】
一実施形態において、前記アッセイは、他の潜在的な研究に有用であると共に、疾患の疫学及び自然史を監視するための又は監視を支援するための、臨床、動物、食品又は研究試料におけるサルモネラ・エンテリカ亜種Iのスクリーニングに有用である。
【0170】
サルモネラ・エンテリカ亜種IのhilA遺伝子の数種類の配列が公表されており、本願明細書ではその2つを配列番号13及び14と呼ぶ。配列番号13は、GenBank寄託番号AE008831(ヌクレオチド8999〜10660)として公表されているサルモネラ・エンテリカ亜種エンテリカ血清型ネズミチフス菌LT2(Salmonella enterica subsp. enterica serovar Typhimurium LT2)のhilA遺伝子に対応する。配列番号14は、GenBank寄託番号U25352(ヌクレオチド847〜-2508)として公表されているサルモネラ・エンテリカ亜種エンテリカ血清型ネズミチフス菌のhilA遺伝子に対応する。
【0171】
GenBankにおけるその他の完全な亜種IのhilA配列としては、
AM933172=サルモネラ・エンテリカ亜種エンテリカ血清型Enteritidis str. P125109 完全ゲノム(hilAコード配列=2904516-2906177 ヌクレオチド(nt)); CP001120=サルモネラ・エンテリカ亜種エンテリカ血清型Heidelberg str. SL476、完全ゲノム(hilAコード配列=2994370-2996031 nt); CP000886=サルモネラ・エンテリカ亜種エンテリカ血清型Paratyphi B str. SPB7、完全ゲノム(hilAコード配列=2982838-2984499 nt); AM933173=サルモネラ・エンテリカ亜種エンテリカ血清型Gallinarum str. 287/91 完全ゲノム(hilAコード配列=2895320-2896981 nt); AE017220=サルモネラ・エンテリカ亜種エンテリカ血清型Choleraesuis str. SC-B67、完全ゲノム(hilAコード配列=2973384-2975045 nt); P001144=サルモネラ・エンテリカ亜種エンテリカ血清型Dublin str. CT_02021853、完全ゲノム(hilAコード配列=3064267-3065914 nt); CP001113=サルモネラ・エンテリカ亜種エンテリカ血清型Newport str. SL254、完全ゲノム(hilAコード配列=2996360-2998021 nt); AL627276=サルモネラ・エンテリカ血清型チフス(サルモネラ・チフィ)菌株CT18、完全染色体;セグメント12/20(hilAコード配列=169866-171527 nt); AE014613=サルモネラ・エンテリカ亜種エンテリカ血清型チフスTy2、完全ゲノム(hilAコード配列=2857723-2859384 nt); X80892=サルモネラ・エンテリカ亜種エンテリカ血清型チフス遺伝子iagA及びiagB(hilAコード配列=98-1759 nt); FM200053=サルモネラ・エンテリカ亜種エンテリカ血清型Paratyphi A str. AKU_12601 完全ゲノム(hilAコード配列=2829938-2831599 nt); CP000026=サルモネラ・エンテリカ亜種エンテリカ血清型Paratyphi A str. ATCC 9150 (hilAコード配列=2834402-2836063 nt); CP001127=サルモネラ・エンテリカ亜種エンテリカ血清型Schwarzengrund str. CVM19633、完全ゲノム(hilAコード配列=2927061-2928722 nt);及び CP001138=サルモネラ・エンテリカ亜種エンテリカ血清型Agona str. SL483、完全ゲノム(hilAコード配列=2928382-2930043 nt)が挙げられる。
【0172】
公表されているhilA配列は、全長にわたり約97%の同一性を有する。配列番号13及び14は、全長にわたり約99%の同一性を有する。
【0173】
一実施形態において、サルモネラ・エンテリカ亜種IのhilAの遺伝子は、配列番号13及び14から選択されるヌクレオチド配列又は上記寄託番号で寄託されているhilAヌクレオチド配列と少なくとも90%の同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の同一性)を有するヌクレオチド配列を含む(又はからなる)。
【0174】
一実施形態において、前記方法は、配列番号13及び14から選択されるhilAヌクレオチド配列又は上記寄託番号で寄託されているhilAヌクレオチド配列と少なくとも90%の同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の同一性)を有するヌクレオチド配列内に位置する標的核酸配列にハイブリダイズする一対のフォワード及びリバースオリゴヌクレオチドプライマーに前記試料を接触させる工程を含む。
【0175】
全てのサルモネラ・エンテリカ亜種IはhilA遺伝子を有する。hilA遺伝子は環境刺激に応答したサルモネラ病原性遺伝子の発現を制御する転写活性化因子をコードする。
【0176】
本願発明者らは、サルモネラ・エンテリカ亜種Iに特異的であり、サルモネラ・エンテリカ亜種Iの菌株間において保存されるhilA遺伝子の領域を思いがけず特定した。
【0177】
一実施形態において、前記方法は、サルモネラ・エンテリカ亜種Iの複数の菌株に特異的なhilA遺伝子の領域を増幅及び検出することを含む。一実施形態において、前記方法は、他の全ての腸内細菌科のhilA遺伝子とは異なるhilA遺伝子の領域を増幅及び検出することを含む。
【0178】
本願明細書において使用する「サルモネラ・エンテリカ亜種I」という用語は、「サルモネラ・エンテリカ亜種エンテリカ」という用語と同義である。
【0179】
一実施形態において、前記試料は、臨床、動物、食品、水、環境又は糞便試料(又は臨床、動物、食品、水、環境又は糞便試料に由来する試料)、細菌培養物又はDNA抽出物である。
【0180】
一実施形態において、前記フォワードプライマーがハイブリダイズする標的核酸配列はサルモネラ・エンテリカ亜種Iに特異的である。一実施形態において、前記リバースプライマーがハイブリダイズする標的核酸配列はサルモネラ・エンテリカ亜種Iに特異的である。
【0181】
一実施形態において、前記フォワード及びリバースプライマーを伸長させることにより、サルモネラ・エンテリカ亜種Iに特異的な核酸配列を含む増幅産物が生成する。
【0182】
通常、リバースプライマーは、標的核酸のコード(センス)鎖内の標的核酸配列にハイブリダイズするように設計され、フォワードプライマーは、標的核酸の相補(アンチセンス)鎖内の標的核酸配列にハイブリダイズするように設計されている。
【0183】
「核酸配列の相補(配列)」という用語は、参照ヌクレオチド配列と比較して相補ヌクレオチド配列を有する核酸配列を意味する。
【0184】
一実施形態において、前記フォワードプライマーは、配列番号13又は14の相補配列内に位置する標的核酸配列(フォワードプライマー標的配列)にハイブリダイズする。
【0185】
一実施形態において、フォワードプライマー標的配列は、配列番号13又は14の相補配列の10〜40個(例えば、少なくとも11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23又は24個であって、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25又は24個以下)の連続するヌクレオチドの範囲の長さを有する。例えば、リバースプライマー標的配列は、配列番号13又は14の相補配列の20〜30個(例えば、22〜26個(例えば、約24個))の連続するヌクレオチドの範囲の長さを有することができる。
【0186】
一実施形態において、前記フォワードプライマー標的配列は、サルモネラ・エンテリカ亜種Iに特異的である。
【0187】
一実施形態において、前記フォワードプライマーは、配列番号13又は14の相補配列の残基1〜1560の間に位置する標的配列にハイブリダイズする。上記範囲において、前記フォワードプライマー標的配列は、配列番号13又は14の相補配列の残基200、400、600、800、1000、1200、1300、1350、1400、1450、1460、1470、1480、1490、1500、1505、1506、1507、1508、1509、1510又は1511からの領域に位置することができる。上記範囲において、前記フォワードプライマー標的配列は、配列番号13又は14の相補配列の残基1555、1550、1545、1540、1539、1538、1537、1536、1535又は1534までの領域に位置することができる。例えば、前記フォワードプライマーは、配列番号13又は14の相補配列の残基1475〜1555(例えば、残基1500〜1550)の間に位置する標的配列にハイブリダイズすることができる。一実施形態において、前記フォワードプライマー標的配列は、配列番号13又は14の相補配列の残基1511〜1534によって定義される。
【0188】
なお、配列番号13又は14の相補鎖の核酸残基の上記付番方式は、それらが相補的である配列番号13又は14の核酸の付番に基づくものである。
【0189】
一実施形態において、前記フォワードプライマーは、配列番号15(下記を参照)を含む(又はからなる)標的核酸配列又は前記標的核酸配列と少なくとも75%(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%)の同一性を有するヌクレオチド配列又はその断片にハイブリダイズする。
【0190】

【0191】
一実施形態において、配列番号15又は16(又は上で定義されたその配列変異体)の断片は、配列番号15又は16の少なくとも15個(例えば、少なくとも16、18、20、21、22又は23個)の連続するヌクレオチドを含む(又はからなる)。
【0192】
一実施形態において、前記リバースプライマーは、配列番号13又は14内に位置する標的核酸配列(リバースプライマー標的配列)にハイブリダイズする。
【0193】
一実施形態において、前記リバースプライマー標的配列は、配列番号13又は14の10〜40個(例えば、少なくとも11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22又は23個であって、38、35、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24又は23個以下)の連続するヌクレオチドの範囲の長さを有する。例えば、リバースプライマー標的配列は、配列番号13又は14の18〜30個(例えば、20〜25個(例えば、約23個))の連続するヌクレオチドの範囲の長さを有することができる。
【0194】
一実施形態において、前記リバースプライマー標的配列は、サルモネラ・エンテリカ亜種Iに特異的である。
【0195】
一実施形態において、前記リバースプライマーは、配列番号13又は14の残基1560〜1662の間に位置する標的配列にハイブリダイズする。上記範囲において、前記フォワードプライマー標的配列は、配列番号13又は14の相補配列の残基1561、1562、1563、1564、1565、1566、1567又は1568からの領域に位置することができる。上記範囲において、前記フォワードプライマー標的配列は、配列番号13又は14の残基1660、1650、1640、1630、1625、1620、1615、1610、1605、1600、1595、1594、1593、1592、1591又は1590までの領域に位置することができる。例えば、前記リバースプライマーは、配列番号13又は14の残基1560〜1625(例えば、残基1565〜1600)の間に位置する標的配列にハイブリダイズすることができる。一実施形態において、前記リバースプライマー標的配列は、配列番号13又は14の残基1568〜1590によって定義される。
【0196】
一実施形態において、前記リバースプライマーは、配列番号17又は18のヌクレオチド配列(下記を参照)と少なくとも75%(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%)の同一性を有するヌクレオチド配列又はその断片を含む(又はからなる)標的核酸配列にハイブリダイズする。
【0197】

【0198】
一実施形態において、配列番号17又は18(又は上で定義されたその配列変異体)の断片は、配列番号17又は18の少なくとも15、16、17、18、19、20、21又は22個の連続するヌクレオチドを含む(又はからなる)。
【0199】
一実施形態において、前記フォワードプライマーは、15〜30(例えば、少なくとも16、17、18、19、20、21、22、23又は24であって、29、28、27、26、25又は24以下)のヌクレオチド長を有する。例えば、前記リバースプライマーは、22〜26(例えば、約24)のヌクレオチド長を有することができる。
【0200】
一実施形態において、前記リバースプライマーは、15〜30(例えば、少なくとも16、17、18、19、20、21、22又は23であって、29、28、27、26、25、24又は23以下)のヌクレオチド長を有する。例えば、前記リバースプライマーは、20〜25(例えば、約23)のヌクレオチド長を有することができる。
【0201】
一実施形態において、前記フォワードプライマーは、配列番号19又は20のヌクレオチド配列(下記を参照)と少なくとも75%(例えば、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%)の同一性を有するヌクレオチド配列を含む(又はからなる)。保存的置換が有用な場合がある。
【0202】

【0203】
配列番号19又は20のバリアントは、あるいは、バリアント配列と配列番号19又は20との間で異なるヌクレオチド数によっても定義することができる。一実施形態において、前記フォワードプライマーは、5以下のヌクレオチド配列部位(例えば、4、3、2又は1以下のヌクレオチド配列部位)が配列番号19又は20と異なるヌクレオチド配列を含む(又はからなる)ことができる。保存的置換が有用な場合がある。
【0204】
また、上記フォワードプライマー配列(及び上で定義されたその配列変異体)の断片を使用することもできる。一実施形態において、前記フォワードプライマーは、配列番号19又は20(及び上で定義されたその配列変異体)の断片を含む(又はからなる)ことができ、前記断片は、配列番号19又は20の少なくとも15個(例えば、少なくとも16、17、18、19、20、21、22又は23個)の連続するヌクレオチドを含む(又はからなる)。
【0205】
一実施形態において、前記リバースプライマーは、配列番号21又は22のヌクレオチド配列と少なくとも75%(例えば、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%)の同一性を有するヌクレオチド配列を含む(又はからなる)。保存的置換が有用な場合がある。
【0206】

【0207】
配列番号21又は22のバリアントは、あるいは、バリアント配列と配列番号21又は22との間で異なるヌクレオチド数によって定義することができる。一実施形態において、前記リバースプライマーは、5以下のヌクレオチド配列部位(例えば、4、3、2又は1以下のヌクレオチド配列部位)が配列番号21又は22と異なるヌクレオチド配列を含む(又はからなる)ことができる。保存的置換が有用な場合がある。
【0208】
また、上記リバースプライマー配列(及び上で定義されたその配列変異体)の断片を使用することもできる。一実施形態において、前記リバースプライマーは、配列番号21又は22(及び上で定義されたその配列変異体)の断片を含む(又はからなる)ことができ、前記断片は、配列番号21又は22の少なくとも15個(例えば、少なくとも16、17、18、19、20、21又は22個)の連続するヌクレオチドを含む(又はからなる)。
【0209】
一実施形態において、前記フォワードプライマーは配列特異的であり、配列番号13又は14内のフォワードプライマー標的核酸配列に特異的にハイブリダイズする。一実施形態において、前記リバースプライマーは配列特異的であり、配列番号13又は14内のリバースプライマー標的核酸配列に特異的にハイブリダイズする。一実施形態において、高い特異性が得られる結合条件を使用する。一実施形態において、前記フォワード及びリバースプライマーの融解温度(Tm)は64℃よりも高い(例えば、約66℃)。
【0210】
一実施形態において、前記フォワードプライマー及び/又はリバースプライマーはタグ又は標識を含む。一実施形態において、前記タグ又は標識は、プライマーを伸長させる際に前記増幅産物に導入する。タグ又は標識は、前記フォワードプライマー及び/又はリバースプライマーの5'又は3'末端(例えば、リバースプライマーの5'末端)に位置することができる。
【0211】
好適な標識及びタグとしては、lacZアッセイ(サルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIb)のためのプライマーに関して上述した標識及びタグが挙げられる。同様に、lacZ核酸配列(サルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIb)の検出に関して上述した従来の増幅法及びプラットホームを、標的hilA核酸配列(サルモネラ・エンテリカ亜種I)を増幅するために好適に使用することができる。
【0212】
一実施形態において、前記hilA増幅産物は、30〜150個(例えば、少なくとも40、50、60、65、70、75又は80個であって、140、130、120、110、100、95、90、85又は80個以下)のヌクレオチドを有する。例えば、前記増幅産物は、40〜120個(例えば、60〜100個(例えば約80個))のヌクレオチドを有することができる。
【0213】
検出工程は、公知の任意の手段によって行うことができる。lacZ増幅産物(サルモネラ・エンテリカ亜種IIIa/IIIb)の検出に関して上述した検出法を、hilA増幅産物(サルモネラ・エンテリカ亜種I)を検出するために好適に使用することができる。例えば、上述したように、検出工程は、(例えば、上述した方法(例えば、磁性ビーズを使用する捕捉方法)のいずれかによって)タグ又は標識を検出する工程を含むことができる。
【0214】
一実施形態において、公知の手段(例えば、上述した手段)によって前記増幅産物の核酸配列を決定する。
【0215】
一態様において、前記hilA増幅産物は、オリゴヌクレオチドプローブと前記増幅産物がハイブリダイゼーション複合体を形成する条件において前記試料を前記オリゴヌクレオチドプローブに接触させる工程、前記ハイブリダイゼーション複合体を検出する工程を含む方法によって検出する。
【0216】
一実施形態において、前記プローブは前記増幅産物に特異的である。
【0217】
一実施形態において、前記プローブは、15〜40(例えば、少なくとも16、17、18、19、20、21、22、23又は24であって、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25又は24以下)のヌクレオチド長を有する。例えば、前記プローブは、20〜30(例えば、22〜26)のヌクレオチド長を有する。一実施形態において、前記プローブは約24のヌクレオチド長を有する。
【0218】
一実施形態において、前記増幅産物内において前記プローブがハイブリダイズする標的ヌクレオチド配列は、15〜40(例えば、少なくとも16、17、18、19、20、21、22、23又は24であって、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25又は24以下)のヌクレオチド長を有する。例えば、前記プローブの標的ヌクレオチド配列は、20〜30(例えば、22〜26)のヌクレオチド長を有することができる。一実施形態において、前記プローブは、約24のヌクレオチド長を有する標的ヌクレオチド配列に結合する。
【0219】
前記hilA増幅産物を検出するためのプローブは、従来の方法(例えば、lacZ増幅産物(サルモネラ・エンテリカ亜種IIIa/IIIb)を検出するためのプローブに関して上述した方法)によって設計及びスクリーニングする。一実施形態において、前記hilA増幅産物への前記プローブのハイブリダイゼーションは上述したストリンジェントな条件において起きる。一実施形態において、pH7の約0.02M以下の塩濃度におけるhilAプローブのTmは65℃よりも高い(例えば、約74℃)。
【0220】
一実施形態において、前記プローブの標的結合配列は、配列番号13又は14の相補配列内に位置する。一実施形態において、前記プローブは、配列番号13又は14の相補配列の残基1521〜1580の間に位置する標的ヌクレオチド配列に結合する。上記範囲において、前記プローブ標的配列は、配列番号13又は14の相補配列の残基1525、1530、1531、1532、1533、1534、1535、1536又は1537からの領域に位置することができる。上記範囲において、前記プローブ標的配列は、配列番号13又は14の相補配列の残基1575、1570、1569、1568、1567、1566、1565、1564、1563、1562、1561又は1560までの領域に位置することができる。例えば、前記フォワードプライマーは、配列番号13又は14の相補配列の残基1530〜1570(例えば、残基1535〜1565)の間に位置する標的配列にハイブリダイズすることができる。一実施形態において、前記フォワードプライマー標的配列は、配列番号13又は14の相補配列の残基1537〜1560によって定義される。
【0221】
一実施形態において、前記プローブの標的結合配列は、配列番号23のヌクレオチド配列(下記を参照)又は少なくとも18個(例えば、少なくとも19、20、21、22又は23個)のヌクレオチドを有するその断片と少なくとも75%(例えば、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%)の同一性を有するヌクレオチド配列を含む(又はからなる)。
【0222】

【0223】
一態様において、前記オリゴヌクレオチドプローブは、配列番号24のヌクレオチド配列(下記を参照)と少なくとも75%(例えば、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%)の同一性を有するヌクレオチド配列を含む(又はからなる)。保存的置換が有用な場合がある。
【0224】

【0225】
バリアントプローブ配列は、バリアント配列と参照プローブ配列との間で異なるヌクレオチド数によっても定義することができる。一実施形態において、本発明のプローブは、6以下のヌクレオチド(例えば、5、4、3、2又は1以下のヌクレオチド)が配列番号24と異なる核酸配列を含む(又はからなる)。保存的置換が有用な場合がある。
【0226】
前記プローブの断片を使用することもでき、前記断片は、配列番号24の少なくとも18個の連続するヌクレオチドを含む。一実施形態において、本発明のプローブは、配列番号24(又は上で定義されたその配列変異体)の断片を含み(又はからなり)、前記断片は、配列番号7の少なくとも18、19、20、21、22又は23個の連続するヌクレオチドを含む。
【0227】
未結合のhilAプローブを除去するための好適な従来法の洗浄条件は、前記lacZプローブに関して上述した通りである。
【0228】
一実施形態において、前記hilAプローブは標識又はタグを含む。好適な標識又はタグは、前記lacZプローブに関して上述した標識又はタグを含む。
【0229】
前記lacZプローブ(サルモネラ・エンテリカ亜種IIIa/IIIbの検出)に関して上述したように、一実施形態においては、標識され/タグ付けされたhilAプローブを増幅産物にハイブリダイゼーションさせた後、標識/タグは増幅産物に随伴している。一実施形態において、前記アッセイは、(例えば、未結合のプローブを前記試料から除去した後に)前記標識を検出又は前記タグを捕捉し、標識又はタグの存在を増幅産物に結合したプローブの存在(従って、サルモネラ・エンテリカ亜種Iの存在)と関係づけることを含む。
【0230】
標識を検出又はタグを捕捉するための好適な方法は、前記lacZプローブ(サルモネラ・エンテリカ亜種IIIa/IIIbの検出)に関して上述した方法である(例えば、膜又は磁性ビーズ等の基質又は固体支持体を使用する方法)。
【0231】
前記hilAプローブは、副溝バインダー成分を含むことができる。
【0232】
一実施形態において、前記hilAプローブは、(前記lacZプローブ(サルモネラ・エンテリカ亜種IIIa/IIIbの検出)に関して上述したように)レポーターフルオロフォア及びクエンチャーフルオロフォアを含む。一実施形態において、前記hilAプローブの開裂により、前記レポーターフルオロフォアと前記クエンチャーフルオロフォアが分離され、検出可能な蛍光シグナルが生じるか、蛍光シグナルの検出可能な変化が生じる。
【0233】
一実施形態において、前記検出工程は、(例えば、ハイブリダイズしていないプローブを前記試料から分離した後に)ハイブリダイズしたプローブを開裂させて前記レポーターフルオロフォアと前記クエンチャーフルオロフォアを分離させ、蛍光シグナル又は蛍光シグナルの変化を検出する工程を含み、前記蛍光シグナル又は前記蛍光シグナルの変化が、前記増幅産物の存在(従って、サルモネラ・エンテリカ亜種Iの存在)を示す。
【0234】
例えば、結合したプローブは、Taqman(登録商標)アッセイ等のリアルタイムPCRアッセイのように、5'-3'エキソヌクレアーゼ活性を有する伸長ポリメラーゼによって開裂させることができる。一実施形態において、標的核酸配列を増幅・検出するためのTaqman(登録商標)システムを使用する。
【0235】
一態様において、前記hilAプローブは、支持体又はプラットホームに固定する。好適な支持体/プラットホームは、前記lacZプローブ(サルモネラ・エンテリカ亜種IIIa/IIIbの検出)に関して上述した支持体/プラットホームである。支持体/プラットホームは、前記lacZプローブ(サルモネラ・エンテリカ亜種IIIa/IIIbの検出)に関して上述した方法等の様々な従来の方法によって固定することができる。
【0236】
一態様において、前記hilA増幅産物は二重鎖核酸分子であり、融解曲線分析を含む方法によって検出する。融解曲線分析では、加熱時の二重鎖核酸(例えば、DNA)の解離特性を評価する。
【0237】
一態様において、前記hilA増幅産物は、前記増幅産物を消化する酵素(制限酵素等)に前記試料を接触させる工程、及び消化産物を同定する工程を含む方法によって検出する。本態様では、前記制限酵素は、前記増幅産物の配列内に位置する制限部位を認識する。消化産物の存在により、増幅産物(従って、サルモネラ・エンテリカ亜種I)の存在を確認する。消化産物が存在しない場合には、増幅産物(従って、サルモネラ・エンテリカ亜種I)は存在しない。
【0238】
消化産物は、サルモネラ・エンテリカ亜種IIIa/IIIbの検出に関して上述したように公知の手段によって検出することができる。
【0239】
一実施形態において、上述したように、前記方法は、サルモネラ菌種の存在を確認するための内部増幅対照として機能する第2の一対のフォワード及びリバースオリゴヌクレオチドプライマー(例えば、対照プライマーはサルモネラttrRSBCA遺伝子座にハイブリダイズする)に前記試料を接触させる工程を含む。一実施形態において、上述したように、前記対照増幅産物の検出により、前記試料中のサルモネラ菌種の存在を確認する。
【0240】
前記試料は、本発明のフォワード及びリバースプライマー及び/又はプローブと同時に(並行又は組み合わせて)前記対照プライマー及び/又は対照プローブと接触させるか、本発明のフォワード及びリバースプライマー及び/又はプローブと(前又は後に)連続して接触させる。
【0241】
本発明の方法により、サルモネラ・エンテリカ亜種Iの細菌負荷を(例えば、臨床指導、治療決定、患者管理又はワクチン有効性評価のために)定量的に推定することができる。上述したlacZ増幅産物の量を測定するための方法が、hilA増幅産物の量を測定し、従って試料中のサルモネラ・エンテリカ亜種Iの核酸を定量するために有用である。
【0242】
一態様において、本発明は、着目試料中のサルモネラ・エンテリカ亜種Iの細菌負荷を定量するための生体外の方法であって、(a)前記着目試料に対して本発明に係る検出法を行い、(b)サルモネラ・エンテリカ亜種Iの予め決められた細菌負荷を有する検定試料に対して前記検出法を行い、(c)前記着目試料から検出された増幅産物の量を、前記検定試料から検出された増幅産物の量と比較し、前記着目試料におけるサルモネラ・エンテリカ亜種Iの細菌負荷を定量する工程を含む方法を提供する。
【0243】
別の態様において、本発明の方法は、一定期間(例えば、薬剤又はワクチン療法の治療期間)におけるサルモネラ・エンテリカ亜種I感染症の治療の有効性を判断するために有用である。一実施形態において、本発明は、治療期間における抗サルモネラ・エンテリカ亜種I治療(例えば、抗サルモネラ・エンテリカ亜種I薬物)の有効性を判断するための生体外の方法であって、(a)前記治療期間内又は前記治療期間前の第1の時点において得た第1の試料に対して本発明に係る検出法を行い、(b)前記治療期間内又は前記治療期間後における1以上のより遅い時点において得た1以上の試料に対して前記方法を行い、(c)前記第1の試料から検出された増幅産物の量を、前記1以上のより遅い時点の試料から検出された増幅産物の量と比較し、前記薬物療法期間における薬物の有効性を判断することを含む方法を提供する。一実施形態において、前記第1の試料から検出された増幅産物の量に対して前記1以上のより遅い時点の試料から検出された増幅産物の量が減少した場合は、サルモネラ・エンテリカ亜種Iに対する薬物の有効性があったことを示す。
【0244】
別の態様において、本発明は、サルモネラ・エンテリカ亜種Iによる感染に対するワクチンの有効性を判断するために有用である。一実施形態において、本発明は、サルモネラ・エンテリカ亜種Iに対するワクチンの有効性を判断するための生体外の方法であって、(a)ワクチン接種前の第1の時点において患者から得た第1の試料に対して本発明に係る検出法を行い、(b)ワクチン接種並びにサルモネラ・エンテリカ亜種I曝露後の1以上のより遅い時点において前記患者から得た試料に対して前記方法を行い、(c)前記第1の試料から検出された増幅産物の量を、前記1以上のより遅い時点において得た試料から検出された増幅産物の量と比較し、ワクチン有効性を判断することを含む方法を提供する。一実施形態において、前記第1の試料から検出された増幅産物の量に対して前記1以上のより遅い時点の試料から検出された増幅産物の量が減少した場合は、サルモネラ・エンテリカ亜種Iによる感染に対するワクチンの有効性を示す。
【0245】
また、本発明は、サルモネラ・エンテリカ亜種Iを検出するための方法に使用する、フォワードプライマー、リバースプライマー、プローブ又はそれらの組み合わせ等の試薬及び前記試薬を含むキットを提供する。
【0246】
一実施形態において、前記フォワードプライマー及び/又はリバースプライマー及び/又はプローブの配列は、配列番号13又は14又はその相補配列の核酸配列全体を含むものではない。
【0247】
一態様において、本発明は、配列番号13又は14の相補配列内に位置する標的核酸配列にハイブリダイズするフォワードオリゴヌクレオチドプライマーを提供する。
【0248】
一実施形態において、前記フォワードプライマーは、配列番号13又は14の相補配列の残基1〜1560の間に位置する標的配列にハイブリダイズする。上記範囲において、前記フォワードプライマー標的配列は、配列番号13又は14の相補配列の残基200、400、600、800、1000、1200、1300、1350、1400、1450、1460、1470、1480、1490、1500、1505、1506、1507、1508、1509、1510又は1511からの領域に位置することができる。上記範囲において、前記フォワードプライマー標的配列は、配列番号13又は14の相補配列の残基1555、1550、1545、1540、1539、1538、1537、1536、1535又は1534までの領域に位置することができる。例えば、前記フォワードプライマーは、配列番号13又は14の相補配列の残基1475〜1555(例えば、残基1500〜1550)の間に位置する標的配列にハイブリダイズすることができる。一実施形態において、前記フォワードプライマー標的配列は、配列番号13又は14の相補配列の残基1511〜1534によって定義される。
【0249】
一実施形態において、前記フォワードプライマー標的核酸配列は、配列番号15又は16のヌクレオチド配列又はその断片と少なくとも75%(例えば、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%)の同一性を有するヌクレオチド配列を含む(又はからなる)。一実施形態において、前記フォワードプライマー標的核酸配列は、サルモネラ・エンテリカ亜種Iに特異的である。
【0250】
一実施形態において、前記フォワードプライマーは、配列番号19又は20のヌクレオチド配列と少なくとも75%(例えば、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%)の同一性を有するヌクレオチド配列を含む(又はからなる)。
【0251】
一実施形態において、前記フォワードプライマーは、配列番号19又は20(又は上で定義されたその配列変異体)の断片を含み(又はからなり)、前記断片は、配列番号19又は20の少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含む。一実施形態において、前記断片は、配列番号19又は20の少なくとも16、17、18、19、20、21、22又は23個の連続するヌクレオチドを含む。
【0252】
一態様において、本発明は、配列番号13又は14内に位置する標的核酸配列にハイブリダイズするリバースオリゴヌクレオチドプライマーを提供する。
【0253】
一実施形態において、前記リバースプライマーは、配列番号13又は14の残基1560〜1662の間に位置する標的配列にハイブリダイズする。上記範囲において、前記フォワードプライマー標的配列は、配列番号13又は14の相補配列の残基1561、1562、1563、1564、1565、1566、1567又は1568からの領域に位置することができる。上記範囲において、前記フォワードプライマー標的配列は、配列番号13又は14の残基1660、1650、1640、1630、1625、1620、1615、1610、1605、1600、1595、1594、1593、1592、1591又は1590までの領域に位置することができる。例えば、前記リバースプライマーは、配列番号13又は14の残基1560〜1625(例えば、残基1565〜1600)の間に位置する標的配列にハイブリダイズすることができる。一実施形態において、前記リバースプライマー標的配列は、配列番号13又は14の残基1568〜1590によって定義される。
【0254】
一実施形態において、前記リバースプライマー標的核酸配列は、配列番号17又は18のヌクレオチド配列と少なくとも75%(例えば、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%)の同一性を有するヌクレオチド配列を含む(又はからなる)。一実施形態において、前記標的核酸配列は、サルモネラ・エンテリカ亜種Iに特異的である。
【0255】
一実施形態において、前記リバースプライマーは、配列番号21又は22のヌクレオチド配列と少なくとも75%(例えば、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%)の同一性を有するヌクレオチド配列を含む(又はからなる)。
【0256】
一実施形態において、前記リバースプライマーは、配列番号21又は22(又は上で定義されたその配列変異体)の断片を含み(又はからなり)、前記断片は、配列番号21又は22の少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含む。一実施形態において、前記断片は、配列番号21又は22の少なくとも16、17、18、19、20、21又は22個の連続するヌクレオチドを含む。
【0257】
一実施形態において、前記フォワードプライマー及び/又はリバースプライマーは、上述したようにタグ又は標識を含む。
【0258】
また、本発明は、上述したフォワードプライマー及び上述したリバースプライマーを含む、一対のフォワード及びリバースオリゴヌクレオチドプライマーを提供する。
【0259】
また、本発明は、上述したオリゴヌクレオチドプローブ等のプローブを提供する。一実施形態において、前記プローブは、配列番号13又は14の相補配列内に位置する標的結合配列にハイブリダイズする。
【0260】
一実施形態において、前記プローブは、配列番号13又は14の相補配列の残基1521〜1580の間に位置する標的ヌクレオチド配列に結合する。上記範囲において、前記プローブ標的配列は、配列番号13又は14の相補配列の残基1525、1530、1531、1532、1533、1534、1535、1536又は1537からの領域に位置することができる。上記範囲において、前記プローブ標的配列は、配列番号13又は14の相補配列の残基1575、1570、1569、1568、1567、1566、1565、1564、1563、1562、1561又は1560までの領域に位置することができる。例えば、前記フォワードプライマーは、配列番号13又は14の相補配列の残基1530〜1570(例えば、残基1535〜1565)の間に位置する標的配列にハイブリダイズすることができる。一実施形態において、前記フォワードプライマー標的配列は、配列番号13又は14の相補配列の残基1537〜1560によって定義される。
【0261】
一実施形態において、前記プローブの標的結合配列は、配列番号23のヌクレオチド配列又は少なくとも19個(例えば、少なくとも20、21、22又は23個)の連続するヌクレオチドを有するその断片と少なくとも75%(例えば、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%)の同一性を有する標的配列を含む(又はからなる)。
【0262】
一実施形態において、前記プローブは、配列番号24のヌクレオチド配列又は少なくとも18個(例えば、少なくとも19、20、21、22又は23個)の連続するヌクレオチドを有するその断片と少なくとも75%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%)の同一性を有するヌクレオチド配列を含む(又はからなる)。
【0263】
一実施形態において、前記プローブは、上述したタグ又は標識あるいは上述したレポーターフルオロフォア及びクエンチャーフルオロフォアを含む。
【0264】
また、本発明は、試料中のサルモネラ・エンテリカ亜種I細菌を検出するためのキットであって、上述した一対のフォワード及びリバースオリゴヌクレオチドプライマーを含むキットを提供する。前記キットは、ポリメラーゼ(例えば、Taqポリメラーゼ等の5'-3'エキソヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼ)及び/又はDNA前駆体等の増幅試薬を随意に含む。
【0265】
前記キットは、増幅産物を検出するための試薬を随意に含む。一実施形態において、増幅産物を検出するための試薬は、前記増幅産物にハイブリダイズする上述したオリゴヌクレオチドプローブを含む。一実施形態において、増幅産物を検出するための試薬は、前記増幅産物を消化する制限酵素(例えば、HhaI)等の酵素を含む。
【0266】
一実施形態において、前記サルモネラ・エンテリカ亜種Iを検出するための方法は、サルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbを検出する工程をさらに含む。例えば、サルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbは、本願明細書に記載する方法によって検出することができる。
【0267】
一実施形態において、前記サルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbを検出するための方法は、サルモネラ・エンテリカ亜種Iを検出する工程をさらに含む。例えば、サルモネラ・エンテリカ亜種Iは、本願明細書に記載する方法によって検出することができる。
【0268】
従って、一態様において、本発明は、サルモネラ・エンテリカ亜種I及びサルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbを検出するための方法を提供する。
【0269】
一実施形態において、前記サルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbを検出するための方法は、
(a)サルモネラ・エンテリカ亜種IIIのlacZ遺伝子又はその相補配列内に位置する標的核酸配列にハイブリダイズする一対のフォワード及びリバースオリゴヌクレオチドプライマーに前記試料を接触させる工程、
(b)増幅産物を生成するために前記フォワード及びリバースプライマーを伸長させる工程、及び
(c)前記増幅産物を検出する工程を含む。
【0270】
一実施形態において、前記サルモネラ・エンテリカ亜種Iを検出するための方法は、
(a)サルモネラ・エンテリカ亜種IのhilA遺伝子又はその相補配列内に位置する標的核酸配列にハイブリダイズする一対のフォワード及びリバースオリゴヌクレオチドプライマーに前記試料を接触させる工程、
(b)増幅産物を生成するために前記フォワード及びリバースプライマーを伸長させる工程、及び
(c)前記増幅産物を検出する工程を含む。
【0271】
従って、一実施形態において、本発明は、試料中のサルモネラ・エンテリカ亜種I及びサルモネラ・エンテリカ亜種IIIa/IIIbを同定するためのアッセイを提供する。一実施形態において、前記アッセイは、サルモネラ・エンテリカ亜種I及びサルモネラ・エンテリカ亜種IIIを約2時間以内に同定及び識別することができる。従来の表現形に基づく方法を使用する場合には、サルモネラ亜種を同定及び識別するために数日間(場合によっては最長28日間)が必要である。
【0272】
一実施形態において、前記サルモネラ・エンテリカ亜種Iを検出するための方法及び前記サルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbを検出するための方法は、実質的に同時に行うことができる。例えば、並行して(例えば、実質的に同時の別々の反応液中で)又は組み合わせて(例えば、実質的に同時の同じ反応液中で)行うことができる。
【0273】
一実施形態において、本発明は、試料中のサルモネラ・エンテリカ亜種I及びサルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbを同時に検出するためのアッセイであって、
(a)(i)サルモネラ・エンテリカ亜種IIIのlacZ遺伝子又はその相補配列内に位置する標的核酸配列にハイブリダイズする一対のフォワード及びリバースオリゴヌクレオチドプライマー並びに(ii)サルモネラ・エンテリカ亜種IのhilA遺伝子又はその相補配列内に位置する標的核酸配列にハイブリダイズする一対のフォワード及びリバースオリゴヌクレオチドプライマーに前記試料を接触させる工程、
(b)hilA増幅産物及びlacZ増幅産物を生成するために、それぞれ、前記hilAフォワード及びリバースオリゴヌクレオチドプライマー及び前記lacZフォワード及びリバースオリゴヌクレオチドプライマーを伸長させる工程、及び
(c)前記hilA増幅産物及び前記lacZ増幅産物を検出する工程を含むアッセイを提供する。
【0274】
前記lacZフォワード及びリバースプライマーは、前記hilAフォワード及びリバースプライマーと同じ反応において使用することができる(すなわち、サルモネラ・エンテリカ亜種IIIとサルモネラ・エンテリカ亜種Iを同時に組み合わせて検出する)。
【0275】
あるいは、前記試料を少なくとも2つの反応(即ち、少なくとも第1及び第2の反応)において分割し、前記lacZフォワード及びリバースプライマーを第1の反応において使用し、前記hilAフォワード及びリバースプライマーを第2の反応において使用することができる(すなわち、サルモネラ・エンテリカ亜種IIIとサルモネラ・エンテリカ亜種Iを同時かつ並行して検出する)。
【0276】
一実施形態において、前記サルモネラ・エンテリカ亜種Iを検出するための方法及び前記サルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbを検出するための方法は、連続的に行うことができる。例えば、前記サルモネラ・エンテリカ亜種Iを検出するための方法を試料に対して行った後、前記サルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbを検出するための方法を前記試料に対して行う。あるいは、前記サルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbを検出するための方法を試料に対して行った後、前記サルモネラ・エンテリカ亜種Iを検出するための方法を前記試料に対して行うことができる。
【0277】
一実施形態において、本発明は、試料中のサルモネラ・エンテリカ亜種I及びサルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbを連続的に検出するためのアッセイであって、
(a)サルモネラ・エンテリカ亜種IIIのlacZ遺伝子又はその相補配列内に位置する標的核酸配列にハイブリダイズする一対のフォワード及びリバースオリゴヌクレオチドプライマーに前記試料を接触させる工程、
(b)lacZ増幅産物を生成するために前記lacZフォワード及びリバースオリゴヌクレオチドプライマーを伸長させる工程、
(c)前記増幅産物を検出する工程、
その後、
(d)サルモネラ・エンテリカ亜種IのhilA遺伝子又はその相補配列内に位置する標的核酸配列にハイブリダイズする一対のフォワード及びリバースオリゴヌクレオチドプライマーに前記試料を接触させる工程、
(e)増幅産物を生成するために前記hilAフォワード及びリバースオリゴヌクレオチドプライマーを伸長させる工程、及び
(f)前記hilA増幅産物を検出する工程を含むアッセイを提供する。
【0278】
別の実施形態では、前記工程(a)〜(c)を実施する前に、前記工程(d)〜(f)を実施する。
【0279】
別の実施形態では、前記工程(a)及び(b)を実施した後に前記工程(d)-(f)を実施し、その後前記検出工程(c)及び(f)を実施する。別の実施形態では、前記工程(d)-(f)を実施した後に前記工程 (a)-(b)を実施し、その後前記検出工程(c)及び(f)を実施する。
【0280】
また、本発明は、着目試料中のサルモネラ・エンテリカ亜種Iの細菌負荷及びサルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbの細菌負荷を定量するための生体外の方法であって、上述した方法によって前記試料中のサルモネラ・エンテリカ亜種Iの細菌負荷を定量し、前記試料中のサルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbの細菌負荷を定量する工程をさらに含む方法を提供する。一実施形態において、前記試料中のサルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbの細菌負荷は上述した方法によって定量する。
【0281】
また、本発明は、着目試料中のサルモネラ・エンテリカ亜種Iの細菌負荷及びサルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbの細菌負荷を定量するための生体外の方法であって、前記試料中のサルモネラ・エンテリカ亜種Iの細菌負荷を定量し、上述した方法によって前記試料中のサルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbの細菌負荷を定量する工程を含む方法を提供する。一実施形態において、前記試料中のサルモネラ・エンテリカ亜種Iの細菌負荷を定量するための方法は上記の通りである。
【0282】
また、本発明は、治療期間におけるサルモネラ・エンテリカ亜種I及びサルモネラ・エンテリカ亜種IIIa/IIIbに対する薬剤の有効性を判定するための生体外の方法であって、上述した方法によってサルモネラ・エンテリカ亜種Iに対する前記薬剤の有効性を判定し、サルモネラ・エンテリカ亜種IIIa/IIIbに対する前記薬剤の有効性をさらに判定することを含む方法を提供する。一実施形態において、サルモネラ・エンテリカ亜種IIIa/IIIbに対する前記薬剤の有効性は上述した方法によって判定する。
【0283】
また、本発明は、治療期間におけるサルモネラ・エンテリカ亜種I及びサルモネラ・エンテリカ亜種IIIa/IIIbに対する薬剤の有効性を判定するための生体外の方法であって、サルモネラ・エンテリカ亜種Iに対する前記薬剤の有効性を判定し、上述した方法によってサルモネラ・エンテリカ亜種IIIa/IIIbに対する前記薬剤の有効性を判定することを含む方法を提供する。一実施形態において、サルモネラ・エンテリカ亜種Iに対する前記薬剤の有効性は上述した方法によって判定する。
【0284】
また、本発明は、サルモネラ・エンテリカ亜種I感染症及びサルモネラ・エンテリカ亜種IIIa/IIIb感染症に対するワクチンの有効性を判定するための生体外の方法であって、上述した方法によってサルモネラ・エンテリカ亜種Iに対する前記ワクチンの有効性を判定し、サルモネラ・エンテリカ亜種IIIa/IIIbに対する前記ワクチンの有効性をさらに判定することを含む方法を提供する。一実施形態において、サルモネラ・エンテリカ亜種IIIa/IIIbに対する前記ワクチンの有効性は上述した方法によって判定する。
【0285】
また、本発明は、治療期間におけるサルモネラ・エンテリカ亜種I及びサルモネラ・エンテリカ亜種IIIa/IIIbに対するワクチンの有効性を判定するための生体外の方法であって、サルモネラ・エンテリカ亜種Iに対する前記ワクチンの有効性を判定し、上述した方法によってサルモネラ・エンテリカ亜種IIIa/IIIbに対する前記ワクチンの有効性を判定することを含む方法を提供する。一実施形態において、サルモネラ・エンテリカ亜種Iに対する前記ワクチンの有効性は上述した方法によって判定する。
【0286】
一実施形態において、同じ反応(同時又は連続的)においてサルモネラ・エンテリカ亜種I及びサルモネラ・エンテリカ亜種IIIa/IIIbを検出するために、亜種Iに特異的なプローブ及び亜種IIIに特異的なプローブに結合したフルオロフォアはそれぞれ異なる。
【0287】
また、本発明は、試料中のサルモネラ・エンテリカ亜種I及びサルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbを検出するためのプライマーセットを提供する。
【0288】
前記プライマーセットは、サルモネラ・エンテリカ亜種Iを検出するためのフォワード及び/又はリバースプライマー(例えば、上述したプライマー)を含む。一実施形態において、前記プライマーセットは、上述したサルモネラ・エンテリカ亜種Iを検出するためのhilAフォワード及び/又はリバースプライマーを含む。また、前記プライマーセットは、サルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbを検出するためのフォワード及び/又はリバースプライマー(例えば、上述したプライマー)を含む。一実施形態において、前記プライマーセットは、上述したサルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbを検出するためのlacZフォワード及び/又はリバースプライマーを含む。
【0289】
一実施形態において、本発明は、試料中のサルモネラ・エンテリカ亜種I及びサルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbを検出するためのプライマーセットであって、
(i)サルモネラ・エンテリカ亜種Iを検出するための1以上のhilAプライマー、例えば、
(a)配列番号15又は16と少なくとも75%の同一性を有するヌクレオチド配列又は配列番号15又は16の少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含む断片を含む標的核酸配列にハイブリダイズするhilAフォワードプライマー、及び
(b)配列番号17又は18と少なくとも75%の同一性を有するヌクレオチド配列又は配列番号17又は18の少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含む断片を含む標的核酸配列にハイブリダイズするhilAリバースプライマーから選択される1以上のプライマーと、
(ii)サルモネラ・エンテリカ亜種IIIa/IIIbを検出するための1以上のプライマー、例えば、1以上のlacZプライマー、例えば、
(c)配列番号2と少なくとも75%の同一性を有するヌクレオチド配列又は配列番号2の少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含む断片を含む標的核酸配列にハイブリダイズするlacZフォワードプライマー、及び
(d)配列番号3と少なくとも75%の同一性を有するヌクレオチド配列又は配列番号3の少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含む断片を含む標的核酸配列にハイブリダイズするlacZリバースプライマーから選択される1以上のプライマーと、を含む。
【0290】
一実施形態において、本発明は、試料中のサルモネラ・エンテリカ亜種I及びサルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbを検出するためのプライマーセットであって、
(a)配列番号15又は16と少なくとも75%の同一性を有するヌクレオチド配列又は配列番号15又は16の少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含む断片を含む標的核酸配列にハイブリダイズするhilAフォワードプライマー、
(b)配列番号17又は18と少なくとも75%の同一性を有するヌクレオチド配列又は配列番号17又は18の少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含む断片を含む標的核酸配列にハイブリダイズするhilAリバースプライマー、
(c)配列番号2と少なくとも75%の同一性を有するヌクレオチド配列又は配列番号2の少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含む断片を含む標的核酸配列にハイブリダイズするlacZフォワードプライマー、及び
(d)配列番号3と少なくとも75%の同一性を有するヌクレオチド配列又は配列番号3の少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含む断片を含む標的核酸配列にハイブリダイズするlacZリバースプライマー、を含むプライマーセットを提供する。
【0291】
また、本発明は、試料中のサルモネラ・エンテリカ亜種I及びサルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbを検出するためのオリゴヌクレオチドプローブセットを提供する。
【0292】
前記オリゴヌクレオチドプローブセットは、サルモネラ・エンテリカ亜種Iを検出するためのプローブ(例えば、上述したプローブ)を含む。また、前記プローブセットは、サルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbを検出するためのプローブ(例えば、上述したプローブ)を含む。一実施形態において、前記プローブセットは、サルモネラ・エンテリカ亜種Iを検出するためのhilAプローブ(例えば、上述したプローブ)を含む。一実施形態において、前記プローブセットは、サルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbを検出するためのlacZプローブ(例えば、上述したプローブ)を含む。
【0293】
一実施形態において、本発明は、試料中のサルモネラ・エンテリカ亜種I及びサルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbを検出するためのプローブセットであって、
(a)配列番号23と少なくとも75%の同一性を有するヌクレオチド配列又は配列番号23の少なくとも18個の連続するヌクレオチドを含む断片を含む標的核酸配列にハイブリダイズするhilAプローブ、及び/又は、
(b)配列番号6と少なくとも75%の同一性を有するヌクレオチド配列又は配列番号6の少なくとも18個の連続するヌクレオチドを含む断片を含む標的核酸配列にハイブリダイズするlacZプローブ、を含むプローブセットを提供する。
【0294】
一実施形態において、前記プローブセットは、
(a)配列番号24と少なくとも75%の同一性を有するヌクレオチド配列又は配列番号24の少なくとも18個の連続するヌクレオチドを含む断片を含むhilAプローブ、及び/又は
(b)配列番号7と少なくとも75%の同一性を有するヌクレオチド配列又は配列番号7の少なくとも18個の連続するヌクレオチドを含む断片を含むlacZプローブを含む。
【0295】
また、本発明は、試料中のサルモネラ・エンテリカ亜種I及びサルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbを検出するためのキットを提供する。
【0296】
前記キットは、サルモネラ・エンテリカ亜種I及びサルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbを検出するためのプライマーセットを含む。一実施形態において、前記サルモネラ・エンテリカ亜種Iを検出するためのプライマーセットは上述した通りである。一実施形態において、前記サルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbを検出するためのプライマーセットは上述した通りである。
【0297】
前記キットは、サルモネラ・エンテリカ亜種Iに特異的な核酸配列及びサルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbに特異的な核酸配列を増幅するための試薬及び/又は増幅産物を検出するための試薬を含む。
【0298】
増幅産物を検出するための試薬は、サルモネラ・エンテリカ亜種I及び/又はサルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIb増幅産物を検出するためのオリゴヌクレオチドプローブを随意に含む。一実施形態において、前記サルモネラ・エンテリカ亜種増幅産物を検出するためのプローブセットは上述した通りである。一実施形態において、前記サルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIb増幅産物を検出するためのプローブセットは上述した通りである。
【0299】
試料中のサルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbを検出するための方法及び試薬に関して上述した全ての実施形態は、上述したサルモネラ・エンテリカ亜種I及びサルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbを検出するための方法に同様に当てはまる。
【0300】
試料中のサルモネラ・エンテリカ亜種Iを検出するための方法及び試薬に関して上述した全ての実施形態は、上述したサルモネラ・エンテリカ亜種I及びサルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbを検出するための方法に同様に当てはまる。
【0301】
以下、実施例及び図面を参照して本発明についてさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0302】
【図1】従来のリアルタイムTaqmanアッセイの4つの主要な工程((I)「重合」、(II)「鎖置換」、(III)「開裂」、(IV)「重合完了」)を示す。 フォワードプライマー(4)、リバースプライマー(5)及びプローブ(6)を、試料DNA、dNTP及び熱安定性DNAポリメラーゼ酵素を含む緩衝液(図示せず)と混合し、反応容器に添加する。標的dsDNA(1)(存在する場合)をTmを超える温度まで加熱することによって変性させ、鎖分離を生じさせる。 図1の工程(I)(「重合」)に示すように、フォワードプライマー(4)と相補的非コード/アンチセンス鎖(3)の間、リバースプライマー(5)とコード/センス鎖(2)の間及びプローブ(6)と鎖(2)又は(3)の間でハイブリダイゼーションが生じるように十分に温度を低下させる。図1の工程(I)に示す実施形態では、プローブ(6)は相補的非コード/アンチセンス鎖(3)に結合する。この例では、プローブ(6)の5'末端はレポーターフルオロフォア(R)で標識され、プローブ(6)の3'末端はクエンチャーフルオロフォア(Q)で標識されている。 次に、DNAポリメラーゼによるフォワード及びリバースプライマーの伸長によるDNA合成が進行し、伸長鎖(7)及び(8)が生成する。 図1の工程(II)(「鎖置換」)に示すように、結合したプローブ(6)は伸長鎖の1つ(この例では伸長鎖(7))の発達を妨げる。次に、5'-3'エキソヌクレアーゼ活性を有し、プローブ(6)を酵素的に分解することができるDNA Taqポリメラーゼによってこの現象を回避する。 工程(III)(「開裂」)では、プローブ(6)が開裂すると、プローブ(6)に存在する2つのフルオロフォア(R)及び(Q)が分離され、相対蛍光シグナルが変化する。 工程(IV)(「重合完了」)では、コード/センス鎖(2)及び相補的な非コード/アンチセンス鎖(3)の丈に沿った伸長鎖(7)及び(8)の伸長が完了し、プローブ(6)が分解する。PCR熱サイクルの第1ラウンドはこのようにして完了する。 各PCR熱サイクルにおいて、プローブ(6)は開裂し、フルオロフォア(R)及び(Q)が分離する。結果として生じる蛍光シグナルは累積的であり、PCR増幅時に指数関数的に増加する。
【図2】サルモネラ・エンテリカのリアルタイム検出及び亜種アリゾナエ及びジアリゾナエの同定を示す。サイクル数(1〜40)をデルタRnに対してプロットしている。デルタRnは、「Rn(内部標準色素に対するレポーター蛍光色素の蛍光シグナルの増加)引く(-)初期のPCRサイクルにおけるベースラインシグナル」を表す。サルモネラ属特異的標的ttrの結果をXで示し、アリゾナエ及びジアリゾナエ特異的標的の結果をYで示す。
【図3】サルモネラ・エンテリカ亜種エンテリカのリアルタイム検出を示す。デルタRn(「内部標準色素に対するレポーター蛍光色素の蛍光シグナルの増加引く(-)ベースラインシグナル」)に対してサイクル数(1〜40)をプロットしている。
【0303】
配列番号について
配列番号1: 寄託番号AY746956として公表されているサルモネラ・エンテリカ亜種ジアリゾナエ(IIIb)のlacZ遺伝子
配列番号2:フォワードプライマーのlacZ標的部位
配列番号3:リバースプライマーのlacZ標的部位
配列番号4:lacZフォワードプライマーの配列
配列番号5:lacZリバースプライマーの配列
配列番号6:プローブのlacZ標的部位
配列番号7:lacZプローブの配列
配列番号8:対照フォワードプライマー
配列番号9:対照リバースプライマー
配列番号10:対照プローブ
配列番号11:ワシントン大学によって提供されたサルモネラ・エンテリカ亜種ジアリゾナエ(IIIb)のlacZ遺伝子
配列番号12:ワシントン大学によって提供されてたサルモネラ・エンテリカ亜種アリゾナエ(IIIa)のlacZ遺伝子
配列番号13:サルモネラ・エンテリカ血清型ネズミチフス菌LT2のhilA遺伝子(GenBank寄託番号AE008831の8999〜10660)
配列番号14:サルモネラ・エンテリカ血清型ネズミチフス菌のhilA遺伝子(GenBank寄託番号U25352の847〜2508)
配列番号15:フォワードプライマーのhilA標的部位
配列番号16:フォワードプライマーのhilA標的部位
配列番号17:リバースプライマーのhilA標的部位
配列番号18:リバースプライマーのhilA標的部位
配列番号19:hilAフォワードプライマーの配列
配列番号20:hilAフォワードプライマーの配列
配列番号21:hilAリバースプライマーの配列
配列番号22:hilAリバースプライマーの配列
配列番号23:プローブのhilA標的部位
配列番号24:hilAプローブの配列
【実施例】
【0304】
実施例1-サルモネラ・エンテリカ亜種IIIのリアルタイムPCRアッセイ
病原体を迅速かつ正確に検出するためにリアルタイムPCRを使用することができる。従って、我々はサルモネラ・エンテリカ亜種アリゾナエ(IIIa)及びジアリゾナエ(IIIb)の迅速かつ信頼性の高い同定のための新規な二本鎖5'ヌクレアーゼ(TaqMan(登録商標))リアルタイムPCRを開発及び検証することを試みた。
【0305】
[方法]
概観
サルモネラ・エンテリカ亜種IIIに特異的な遺伝子配列を標的とするようにプライマー/TaqMan(登録商標)プローブセットを設計した。サルモネラ菌種の存在を確認する内部増幅対照として、サルモネラ特異的ttrRSBCA遺伝子座を同時に検出する第2のプライマー/TaqMan(登録商標)プローブセットを使用した。
【0306】
アッセイは、166のサルモネラ・アリゾナエ及びジアリゾナエ、37の亜種I、II、IV〜VIに属するサルモネラ、34の他の腸内細菌種の分離株(血清学的方法及び/又は生物化学的方法によって特定)を使用して、Applied Biosystems 7500 Real-Time PCR Systemによって検証を行った。
【0307】
菌種
2004年1月〜2007年8月にわたって分離され、生物化学的方法及びKauffmann-Whiteの血清学的方法を使用して以前に同定された、ヒト感染、爬虫類動物、ヒト及びペット用食品及び出所不明の73のサルモネラ・アリゾナエ及び93のサルモネラ・ジアリゾナエを使用した。37の亜種I、II、IV、V、VIに属するサルモネラ並びに34の他の腸内細菌種(ハフニア属、シトロバクター属、エンテロバクター属、エシェリキア属又はプロテウス属)の分離株を陰性対照として使用した。
【0308】
鋳型DNAの調製
100μlの滅菌蒸留水を含む8-ストリップPCRチューブに1コロニーを乳化させ、10分間沸騰することによって細胞可溶化物を調製した。可溶化物は-20℃で保存した。
【0309】
プライマー及びTaqMan(登録商標)プローブの設計
アリゾナ特異的プライマー/TaqMan(登録商標)プローブセットの配列は、Applied Biosystemsのガイドラインに従い、Primer3ソフトウェア(http://frodo.wi.mit.edu/cgi-bin/primer3/primer3_www.cgi)を使用してサルモネラ・アリゾナエlacZ配列(GenBank寄託番号:AY746956)に基づいて設計した。BLASTn searchによって配列の特異性の試験を行った。
【0310】
ttrRSBCA遺伝子座(テトラチオン酸塩呼吸に必要)を標的としサルモネラの検出に適していることが示されている、第2のプライマー/TaqMan(登録商標)プローブセットを内部増幅対照としてサルモネラDNAの存在を確認するために使用した。
【0311】

【0312】

【0313】
リアルタイムPCRアッセイ
ABI Prism 7500 Real-Time PCR System (Applied Biosystems)を使用してアッセイの検証を自身で行った。最適化された反応液(体積:25μl)は、1x qPCR Mastermix Plus Low ROX(Eurogentec)、ttr-6及びttr-4(各400nM)、ttr-5(50nM)、lacZ-F2及びlacZ-R2(各900nM)、ArizLZPr(200nm)、及び煮沸細胞可溶化物(2.5μl)を含んでいた。PCR産物は、蛍光の増加を監視するTaqMan(登録商標)装置によって直接検出した。蛍光の増加に数値、即ちCT値(閾値のサイクル)を割り当てた。
【0314】
結果
アッセイは、100%の特異性と99%の感度を示した。全てのサルモネラ菌種はttrRSBCAについて陽性であり、165/166のサルモネラ・アリゾナエ及びジアリゾナエはサルモネラ・アリゾナエ特異的標的について陽性だった。
【0315】
ハフニア属、シトロバクター属、エンテロバクター属、エシェリキア属又はプロテウス属からの標的の増幅は見られなかった。平均閾値サイクル数(threshold cycle numbers、CT値)はttrRSBCAについては20、また、アリゾナエ特異的標的については22だった。
【0316】

【0317】
手間がかかる従来のサルモネラ菌種同定法(完全に生化学的及び血清学的同定の平均最小ターンアラウンドタイムは14〜28日間)とは対照的に、上述した前記アッセイは分子亜種を2時間未満で同定することができた。
【0318】
実施例2-サルモネラ・エンテリカ亜種IのリアルタイムPCRアッセイ
ヒトへの感染を引き起こすサルモネラ菌株の大部分を構成するサルモネラ・エンテリカ亜種Iの迅速かつ信頼性の高い同定のための二本鎖5'ヌクレアーゼ(TaqMan(登録商標))リアルタイムPCRを開発するために同様なアプローチを使用した。
【0319】
[方法]
概観
サルモネラ・エンテリカ亜種Iに特異的な遺伝子配列(HilA)を標的とするようにプライマー/TaqMan(登録商標)プローブセットを設計した。アッセイは、109の対照サルモネラ菌株:66の亜種Iに属するサルモネラ及び43の亜種II、III、IV、V、VIに属するサルモネラ(血清学的方法及び/又は生物化学的方法によって全て事前に特定)を使用して、Applied Biosystems 7500 Real-Time PCR Systemによって検証を行った。HPA Salmonella Reference Unitが入手した1009の試料もリアルタイムに調べた。
【0320】
菌種
本研究には総計1118対照及び試料を使用した。それには、HPA Salmonella Reference Unitに提出されたヒト、動物、感染症、食品、ペット及び環境からのもの、並びに、生物化学的方法及びKauffmann-Whiteの血清学的方法を使用して同定されたものが含まれる。
【0321】
鋳型DNAの調製
100μlの滅菌蒸留水を含む8-ストリップPCRチューブに1コロニーを乳化させ、10分間沸騰することによって細胞可溶化物を調製した。可溶化物は-20℃で保存した。
【0322】
プライマー及びTaqMan(登録商標)プローブの設計
サルモネラ・エンテリカ亜種Iに特異的なプライマー/TaqMan(登録商標)プローブセットの配列は、公的に利用可能なHilA配列データ(GenBank)をさらに解析した結果及び我々の研究室で行ったDNA配列決定の分析に基づいて設計した。BLASTn searchによって配列の特異性の試験を行った。
【0323】

【0324】
リアルタイムPCRアッセイ
ABI Prism 7500 Real-Time PCR System (Applied Biosystems)を使用してアッセイの検証を行った。最適化された反応液(体積:25μl)は、1x qPCR Mastermix Plus Low ROX(Eurogentec)、HilA-F及びHilA-R(各400nM)、HilAプローブ(200nM)、及び煮沸細胞可溶化物(2.5μl)を含んでいた。PCR産物は、蛍光の増加を監視するTaqMan(登録商標)装置によって直接検出した。蛍光の増加に数値、即ちCT値(閾値のサイクル)を割り当てた。
【0325】
結果
109の対照サルモネラ菌株の全てが正しく同定された。亜種Iに属する66のサルモネラはアッセイによって全て陽性であり、亜種II、III、IV、V、及びVIに属する43のサルモネラは全て陰性だった。HPA Salmonella Reference Unitが入手した1009の試料のリアルタイム分析では、(生物化学的方法及び血清学的方法によって)68の試料が非サルモネラ(19のシトロバクター属、2のエシェリキア属、20のハフニア属、5の詳細不明の腸内細菌種)又は亜種I以外のサルモネラ・エンテリカ亜種(3の亜種II、5の亜種IIIa、7の亜種IIIb、7の亜種IV)であることが判明した。全ての試料が亜種I特異的HilAアッセイにおいて陰性だった。残りの941の分離株は、生物化学的方法及び血清学的方法によってサルモネラ・エンテリカ亜種Iであると同定され、157の異なる血清型(141のS. Typhimurium、84のS. Enteritidis、55のS. Virchow、45のS. Newport、35のS. Kentucky、31のS. Infantis、30のS. Agona、22のS. Stanley、22のS. Bareilly等(必要であれば完全なリストを提出する))からなっていた。これらのうち938が亜種I特異的HilAアッセイにおいて陽性であった。残りの3つの試料(1のS. Infantis、1のS. Bareilly、1のS. Unnamed4,12:b)は陰性だった。
【0326】
合わせて、1118の対照及び試料を調べた。これらのうち、111の非サルモネラ・エンテリカ亜種I分離株はPCRアッセイで陰性だった。一方、1007のサルモネラ・エンテリカ亜種I分離株のうちの1004株はアッセイで陽性だった。従って、サルモネラ・エンテリカ亜種I特異的HilAアッセイは100%の特異性と99.7%の特異性を示した。
【0327】
実施例3-亜種I及び亜種IIIプライマー/プローブセットの両方を使用した組み合わせアッセイの原理実験の証明
原理実験の証明において、サルモネラ・エンテリカ亜種I特異的及び亜種III特異的プライマー/プローブセットを単一のアッセイにおいて組み合わせて使用した。
【0328】
菌種
事前の研究からの8つのサルモネラ・エンテリカ亜種I:サルモネラ・エンテリカ亜種IIIa(4)及びエンテリカ亜種IIIb(4)対照について、8つの他の種/亜種のサルモネラ対照と共に試験を行った。
【0329】
リアルタイムPCRアッセイ
ABI Prism 7500 Real-Time PCR System (Applied Biosystems)を使用してアッセイの検証を行った。最適化された反応液(体積:25μl)は、1x qPCR Mastermix Plus Low ROX(Eurogentec)、HilA-F及びHilA-R(各400nM)、HilAプローブ(200nM)、lacZ-F2及びlacZ-R2(各900nM)、ArizLZPr(200nM),及び煮沸細胞可溶化物(2.5μl)を含んでいた。PCR産物は、蛍光の増加を監視するTaqMan(登録商標)装置によって直接検出した。蛍光の増加に数値、即ちCT値(閾値のサイクル)を割り当てた。
【0330】
結果
組み合わせのPCRアッセイは、単独の場合と同様に行った。8つのサルモネラ・エンテリカ亜種I対照はサルモネラ・エンテリカ亜種I特異的HilAアッセイのみによって陽性であり、サルモネラ・エンテリカ亜種III対照はサルモネラ・エンテリカ亜種III特異的LacZアッセイのみによって陽性だった。非亜種I/IIIサルモネラ対照は両方のアッセイ項目で陰性だった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中のサルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbを検出するための方法であって、
(a)サルモネラ・エンテリカ亜種IIIのlacZ遺伝子又はその相補配列内に位置する標的核酸配列にハイブリダイズする一対のフォワード及びリバースオリゴヌクレオチドプライマーに前記試料を接触させる工程、
(b)増幅産物を生成するために前記フォワード及びリバースプライマーを伸長させる工程、及び
(c)前記増幅産物を検出する工程を含む方法。
【請求項2】
サルモネラ・エンテリカ亜種IIIの前記lacZ遺伝子の前記ヌクレオチド配列が、配列番号1、11又は12から選択されるヌクレオチド配列と少なくとも95%の同一性を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記フォワードプライマーが、配列番号1、11又は12の相補配列の10〜40個の連続するヌクレオチドの範囲の長さを有する標的核酸配列にハイブリダイズする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記リバースプライマーが、配列番号1、11又は12の10〜40個の連続するヌクレオチドの範囲の長さを有する標的核酸配列にハイブリダイズする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記フォワードプライマーが、配列番号1、11又は12の相補配列の残基1930〜2000の間に位置する標的核酸配列にハイブリダイズする、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記リバースプライマーが、配列番号1、11又は12の残基2050〜2110の間に位置する標的核酸配列にハイブリダイズする、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記フォワードプライマーが、配列番号2と少なくとも75%の同一性を有するヌクレオチド配列又は配列番号2の少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含む断片を含む標的核酸配列にハイブリダイズし、好ましくは、前記フォワードプライマーが配列番号2を含む、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記リバースプライマーが、配列番号3と少なくとも75%の同一性を有するヌクレオチド配列又は配列番号3の少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含む断片を含む標的核酸配列にハイブリダイズし、好ましくは、前記フォワードプライマーが配列番号2を含む、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記フォワードプライマーが、配列番号4のヌクレオチド配列と少なくとも75%の同一性を有するヌクレオチド配列又は配列番号4の少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含む断片を含む、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記リバースプライマーが、配列番号5のヌクレオチド配列と少なくとも75%の同一性を有するヌクレオチド配列又は配列番号5の少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含む断片を含む、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記フォワードプライマー及び/又はリバースプライマーがタグ又は標識を含む、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記プライマーの伸長工程中にタグ又は標識を前記増幅産物に取り込み、前記タグを捕捉するか又は前記標識を検出する工程を含む方法によって前記増幅産物を検出する、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
以下の工程を含む方法によって前記増幅産物を検出する、前記請求項のいずれか1項に記載の方法:
(i)前記増幅産物とハイブリダイゼーション複合体を形成するオリゴヌクレオチドプローブに前記試料を接触させる工程、及び、
(ii)前記ハイブリダイゼーション複合体を検出する工程。
【請求項14】
前記プローブが、15〜40、好ましくは20〜30のヌクレオチド長を有する標的核酸配列にハイブリダイズする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記プローブが、配列番号1、11又は12の相補配列の残基1960〜2020の間に位置する標的核酸配列にハイブリダイズする、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記オリゴヌクレオチドプローブが、配列番号6と少なくとも75%の同一性を有するヌクレオチド配列又は配列番号6の少なくとも18個の連続するヌクレオチドを含む断片を含む標的核酸配列にハイブリダイズする、請求項13〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記オリゴヌクレオチドプローブが、配列番号7のヌクレオチド配列と少なくとも75%の同一性を有するヌクレオチド配列又は配列番号7の少なくとも18個の連続するヌクレオチドを含む断片を含む、請求項13〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記オリゴヌクレオチドプローブがタグ又は標識を含み、かつ、以下の前記ハイブリダイゼーション複合体を検出する工程を含む、請求項13〜17のいずれか1項に記載の方法:
(a)ハイブリダイズしていないプローブを前記試料から分離する工程、及び
(b)前記試料中のタグを捕捉するか又は前記標識を検出する工程;
ここで、前記タグ又は標識の存在が前記ハイブリダイゼーション複合体の存在を示す。
【請求項19】
前記プローブがレポーターフルオロフォア及びクエンチャーフルオロフォアを含み、かつ、前記検出工程が以下の工程を含む、請求項13〜17のいずれか1項に記載の方法:
(a)ハイブリダイズしていないプローブを前記試料から分離する工程、
(b)前記レポーターフルオロフォアと前記クエンチャーフルオロフォアを分離するためにハイブリダイズした前記プローブを開裂させる工程、及び
(c)蛍光シグナル又は蛍光シグナルの変化を検出する工程;
ここで、前記蛍光シグナル又は蛍光シグナルの変化が前記増幅産物の存在を示す。
【請求項20】
試料中のサルモネラ・エンテリカ亜種Iを検出するための方法であって、
(a)サルモネラ・エンテリカ亜種IのhilA遺伝子又はその相補配列内に位置する標的核酸配列にハイブリダイズする一対のフォワード及びリバースオリゴヌクレオチドプライマーに前記試料を接触させる工程、
(b)増幅産物を生成するために前記フォワード及びリバースプライマーを伸長させる工程、及び
(c)前記増幅産物を検出する工程を含む方法。
【請求項21】
サルモネラ・エンテリカ亜種Iの前記hilA遺伝子の前記ヌクレオチド配列が、配列番号13又は14から選択されるヌクレオチド配列と少なくとも95%の同一性を有する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記フォワードプライマーが、配列番号13又は14の相補配列の10〜40個の連続するヌクレオチドの範囲の長さを有する標的核酸配列にハイブリダイズする、請求項20又は21に記載の方法。
【請求項23】
前記リバースプライマーが、配列番号13又は14の10〜40個の連続するヌクレオチドの範囲の長さを有する標的核酸配列にハイブリダイズする、請求項20〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記フォワードプライマーが、配列番号13又は14の相補配列の残基1475〜1555の間に位置する標的核酸配列にハイブリダイズする、請求項20〜23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記リバースプライマーが、配列番号13又は14の残基1560〜1625の間に位置する標的核酸配列にハイブリダイズする、請求項20〜24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記フォワードプライマーが、配列番号15又は16と少なくとも75%の同一性を有するヌクレオチド配列又は配列番号15又は16の少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含む断片を含む標的核酸配列にハイブリダイズし、好ましくは、前記フォワードプライマーが配列番号15又は16を含む、請求項20〜25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記リバースプライマーが、配列番号17又は18と少なくとも75%の同一性を有するヌクレオチド配列又は配列番号17又は18の少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含む断片を含む標的核酸配列にハイブリダイズし、好ましくは、前記リバースプライマーが配列番号17又は18を含む、請求項20〜26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記フォワードプライマーが、配列番号19又は20のヌクレオチド配列と少なくとも75%の同一性を有するヌクレオチド配列又は配列番号19又は20の少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含む断片を含む、請求項20〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記リバースプライマーが、配列番号21又は22のヌクレオチド配列と少なくとも75%の同一性を有するヌクレオチド配列又は配列番号21又は22の少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含む断片を含む、請求項20〜28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記フォワードプライマー及び/又はリバースプライマーがタグ又は標識を含む、請求項20〜29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記プライマーの伸長工程中にタグ又は標識を前記増幅産物に取り込み、前記タグを捕捉するか又は前記標識を検出する工程を含む方法によって前記増幅産物を検出する、請求項20〜29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
以下の工程を含む方法によって前記増幅産物を検出する、請求項20〜31のいずれか1項に記載の方法。
(i)前記増幅産物とハイブリダイゼーション複合体を形成するオリゴヌクレオチドプローブに前記試料を接触させる工程、及び、
(ii)前記ハイブリダイゼーション複合体を検出する工程。
【請求項33】
前記プローブが、15〜40、好ましくは20〜30のヌクレオチド長を有する標的核酸配列にハイブリダイズする、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記プローブが、配列番号13又は14の相補配列の残基1530〜1570の間に位置する標的核酸配列にハイブリダイズする、請求項32又は33に記載の方法。
【請求項35】
前記オリゴヌクレオチドプローブが、配列番号23と少なくとも75%の同一性を有するヌクレオチド配列又は配列番号23の少なくとも18個の連続するヌクレオチドを含む断片を含む標的核酸配列にハイブリダイズする、請求項32〜34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記オリゴヌクレオチドプローブが、配列番号24のヌクレオチド配列と少なくとも75%の同一性を有するヌクレオチド配列又は配列番号24の少なくとも18個の連続するヌクレオチドを含む断片を含む、請求項32〜35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記オリゴヌクレオチドプローブがタグ又は標識を含み、かつ、以下の前記ハイブリダイゼーション複合体を検出する工程を含む、請求項32〜36のいずれか1項に記載の方法
(a)ハイブリダイズしていないプローブを前記試料から分離する工程、及び
(b)前記試料中のタグを捕捉するか又は前記標識を検出する工程;
ここで、前記タグ又は標識の存在が前記ハイブリダイゼーション複合体の存在を示す。
【請求項38】
前記プローブがレポーターフルオロフォア及びクエンチャーフルオロフォアを含み、かつ、前記検出工程が以下の工程を含む、請求項32〜36のいずれか1項に記載の方法:
(a)ハイブリダイズしていないプローブを前記試料から分離する工程、
(b)前記レポーターフルオロフォアと前記クエンチャーフルオロフォアを分離するためにハイブリダイズした前記プローブを開裂させる工程、及び
(c)蛍光シグナル又は蛍光シグナルの変化を検出する工程;
ここで、前記蛍光シグナル又は蛍光シグナルの変化が前記増幅産物の存在を示す。
【請求項39】
試料中のサルモネラ・エンテリカ亜種I及びサルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbを検出するための方法であって、
(a)請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法を前記試料に対して行い、かつ
(b)サルモネラ・エンテリカ亜種Iを検出するための方法を前記試料に対して行うことを含む方法。
【請求項40】
前記試料中のサルモネラ・エンテリカ亜種Iを検出するための方法が、請求項20〜38のいずれか1項に記載の方法を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
試料中のサルモネラ・エンテリカ亜種I及びサルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbを検出するための方法であって、
(a)請求項20〜38のいずれか1項に記載の方法を前記試料に対して行い、かつ
(b)サルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbを検出するための方法を前記試料に対して行うことを含む方法。
【請求項42】
前記試料中のサルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbを検出するための方法が、請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記試料中のサルモネラ・エンテリカ亜種Iを検出するための方法及び前記試料中のサルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbを検出するための方法を実質的に同時に行う、請求項39〜42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
以下の工程を含む請求項43に記載の方法:
(a)前記試料に以下の物を接触させる工程、
(i)サルモネラ・エンテリカ亜種IのhilA遺伝子又はその相補配列内に位置する標的核酸配列にハイブリダイズする一対のフォワード及びリバースオリゴヌクレオチドプライマー、及び
(ii)サルモネラ・エンテリカ亜種IIIのlacZ遺伝子又はその相補配列内に位置する標的核酸配列にハイブリダイズする一対のフォワード及びリバースオリゴヌクレオチドプライマー、
(d)hilA増幅産物を生成するために前記hilAフォワード及びリバースオリゴヌクレオチドプライマーを伸長させ、かつ、lacZ増幅産物を生成するために前記lacZフォワード及びリバースオリゴヌクレオチドプライマーを伸長させる工程、及び
(e)前記増幅産物を検出する工程。
【請求項45】
前記試料中のサルモネラ・エンテリカ亜種Iを検出するための方法及び前記試料中のサルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbを検出するための方法を連続的に行う、請求項39〜42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
着目試料中のサルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbの細菌負荷を定量するための生体外の方法であって、
(a)請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法を前記着目試料に対して行い、
(b)事前に決定された既知のサルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbの細菌負荷を有する検定試料に対して前記方法を行い、かつ
(c)前記着目試料から検出された増幅産物の量を、前記検定試料から検出された増幅産物の量と比較し、
それによって、前記着目試料におけるサルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbの細菌負荷を定量する方法。
【請求項47】
前記試料中のサルモネラ・エンテリカ亜種Iの細菌負荷を定量する工程をさらに含む、請求項46に記載の方法であって、
好ましくは、
(a)請求項20〜38のいずれか1項に記載の方法を前記着目試料に対して行い、
(b)事前に決定された既知のサルモネラ・エンテリカ亜種Iの細菌負荷を有する検定試料に対して前記方法を行い、かつ
(c)前記着目試料から検出された増幅産物の量を、前記検定試料から検出された増幅産物の量と比較し、
それによって、前記着目試料におけるサルモネラ・エンテリカ亜種Iの細菌負荷を定量する方法。
【請求項48】
着目試料中のサルモネラ・エンテリカ亜種Iの細菌負荷を定量するための生体外の方法であって、
(a)請求項20〜38のいずれか1項に記載の方法を前記着目試料に対して行い、
(b)事前に決定された既知のサルモネラ・エンテリカ亜種Iの細菌負荷を有する検定試料に対して前記方法を行い、かつ
(c)前記着目試料から検出された増幅産物の量を、前記検定試料から検出された増幅産物の量と比較し、
それによって、前記着目試料におけるサルモネラ・エンテリカ亜種Iの細菌負荷を定量する方法。
【請求項49】
前記試料中のサルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbの細菌負荷を定量する工程をさらに含む、請求項46に記載の方法であって、
好ましくは、
(a)請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法を前記着目試料に対して行い、
(b)事前に決定された既知のサルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbの細菌負荷を有する検定試料に対して前記方法を行い、かつ
(c)前記着目試料から検出された増幅産物の量を、前記検定試料から検出された増幅産物の量と比較し、
それによって、前記着目試料におけるサルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbの細菌負荷を定量する方法。
【請求項50】
治療期間における抗サルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbに対する薬剤の有効性を判断するための生体外の方法であって、
(a)前記治療期間内又は前記治療期間前の第1の時点において得た第1の試料に対して請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法を行い、
(b)前記治療期間内又は前記治療期間後における1以上のより遅い時点において得た1以上の試料に対して前記方法を行い、かつ
(c)前記第1の試料から検出された増幅産物の量を、前記1以上のより遅い時点において得た試料から検出された増幅産物の量と比較し、
それによって、前記薬物療法期間における薬効を判断することを含み、ここで、前記第1の試料から検出された増幅産物の量に対して前記1以上のより遅い時点の試料から検出された増幅産物の量が減少した場合は、サルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbに対する薬物の有効性があったことを示す方法。
【請求項51】
前記治療期間における抗サルモネラ・エンテリカ亜種Iに対する薬剤の有効性を判断することをさらに含む、請求項50に記載の方法であって、
好ましくは、
(a)前記治療期間内又は前記治療期間前の第1の時点において得た第1の試料に対して請求項20〜38のいずれか1項に記載の方法を行い、
(b)前記治療期間内又は前記治療期間後における1以上のより遅い時点において得た1以上の試料に対して前記方法を行い、かつ
(c)前記第1の試料から検出された増幅産物の量を、前記1以上のより遅い時点において得た試料から検出された増幅産物の量と比較し、
それによって、前記薬物療法期間における薬効を判断することを含み、ここで、前記第1の試料から検出された増幅産物の量に対して前記1以上のより遅い時点の試料から検出された増幅産物の量が減少した場合は、サルモネラ・エンテリカ亜種Iに対する薬物の有効性があったことを示す方法。
【請求項52】
治療期間における抗サルモネラ・エンテリカ亜種Iに対する薬剤の有効性を判断するための生体外の方法であって、
(a)前記治療期間内又は前記治療期間前の第1の時点において得た第1の試料に対して請求項20〜38のいずれか1項に記載の方法を行い、
(b)前記治療期間内又は前記治療期間後における1以上のより遅い時点において得た1以上の試料に対して前記方法を行い、かつ
(c)前記第1の試料から検出された増幅産物の量を、前記1以上のより遅い時点において得た試料から検出された増幅産物の量と比較し、
それによって、前記薬物療法期間における薬効を判断することを含み、ここで、前記第1の試料から検出された増幅産物の量に対して前記1以上のより遅い時点の試料から検出された増幅産物の量が減少した場合は、サルモネラ・エンテリカ亜種Iに対する薬物の有効性があったことを示す方法。
【請求項53】
前記治療期間における抗サルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbに対する薬剤の有効性を判断することをさらに含む、請求項52に記載の方法であって、
好ましくは、
(a)前記治療期間内又は前記治療期間前の第1の時点において得た第1の試料に対して請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法を行い、
(b)前記治療期間内又は前記治療期間後における1以上のより遅い時点において得た1以上の試料に対して前記方法を行い、かつ
(c)前記第1の試料から検出された増幅産物の量を、前記1以上のより遅い時点において得た試料から検出された増幅産物の量と比較し、
それによって、前記薬物療法期間における薬効を判断することを含み、ここで、前記第1の試料から検出された増幅産物の量に対して前記1以上のより遅い時点の試料から検出された増幅産物の量が減少した場合は、サルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbに対する薬物の有効性があったことを示す方法。
【請求項54】
サルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbによる感染に対するワクチンの有効性を判断するための生体外の方法であって、
(a)ワクチン接種前の第1の時点において患者から得た第1の試料に対して請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法を行い、
(b)ワクチン接種並びにサルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIb細菌の曝露後の1以上のより遅い時点において前記患者から得た試料に対して前記方法を行い、かつ
(c)前記第1の試料から検出された増幅産物の量を、前記1以上のより遅い時点において得た試料から検出された増幅産物の量と比較し、
それによって、ワクチン有効性を判断することを含み、ここで、前記第1の試料から検出された増幅産物の量に対して前記1以上のより遅い時点の試料から検出された増幅産物の量が減少した場合は、サルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIb感染に対するワクチンの有効性があったことを示す方法。
【請求項55】
サルモネラ・エンテリカ亜種Iによる感染に対するワクチンの有効性を判断することをさらに含む、請求項56に記載の方法であって、
好ましくは、
(a)ワクチン接種前の第1の時点において患者から得た第1の試料に対して請求項20〜38のいずれか1項に記載の方法を行い、
(b)ワクチン接種並びにサルモネラ・エンテリカ亜種IIIa細菌の曝露後の1以上のより遅い時点において前記患者から得た試料に対して前記方法を行い、かつ
(c)前記第1の試料から検出された増幅産物の量を、前記1以上のより遅い時点において得た試料から検出された増幅産物の量と比較し、
それによって、ワクチン有効性を判断することを含み、ここで、前記第1の試料から検出された増幅産物の量に対して前記1以上のより遅い時点の試料から検出された増幅産物の量が減少した場合は、サルモネラ・エンテリカ亜種I感染に対するワクチンの有効性があったことを示す方法。
【請求項56】
サルモネラ・エンテリカ亜種Iによる感染に対するワクチンの有効性を判断するための生体外の方法であって、
(a)ワクチン接種前の第1の時点において患者から得た第1の試料に対して請求項20〜38のいずれか1項に記載の方法を行い、
(b)ワクチン接種並びにサルモネラ・エンテリカ亜種IIIa細菌の曝露後の1以上のより遅い時点において前記患者から得た試料に対して前記方法を行い、かつ
(c)前記第1の試料から検出された増幅産物の量を、前記1以上のより遅い時点において得た試料から検出された増幅産物の量と比較し、
それによって、ワクチン有効性を判断することを含み、ここで、前記第1の試料から検出された増幅産物の量に対して前記1以上のより遅い時点の試料から検出された増幅産物の量が減少した場合は、サルモネラ・エンテリカ亜種I感染に対するワクチンの有効性があったことを示す方法。
【請求項57】
サルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbによる感染に対するワクチンの有効性を判断することをさらに含む、請求項56に記載の方法であって、
好ましくは、
(a)ワクチン接種前の第1の時点において患者から得た第1の試料に対して請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法を行い、
(b)ワクチン接種並びにサルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIb細菌の曝露後の1以上のより遅い時点において前記患者から得た試料に対して前記方法を行い、かつ
(c)前記第1の試料から検出された増幅産物の量を、前記1以上のより遅い時点において得た試料から検出された増幅産物の量と比較し、
それによって、ワクチン有効性を判断することを含み、ここで、前記第1の試料から検出された増幅産物の量に対して前記1以上のより遅い時点の試料から検出された増幅産物の量が減少した場合は、サルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIb感染に対するワクチンの有効性があったことを示す方法。
【請求項58】
配列番号2と少なくとも75%の同一性を有するヌクレオチド配列又は配列番号2の少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含む断片を含む標的核酸配列にハイブリダイズするフォワードオリゴヌクレオチドプライマー。
【請求項59】
配列番号4のヌクレオチド配列と少なくとも75%の同一性を有するヌクレオチド配列又は配列番号4の少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含む断片を含む、請求項58に記載のフォワードプライマー。
【請求項60】
配列番号3と少なくとも75%の同一性を有するヌクレオチド配列又は配列番号3の少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含む断片を含む標的核酸配列にハイブリダイズするリバースオリゴヌクレオチドプライマー。
【請求項61】
配列番号5のヌクレオチド配列と少なくとも75%の同一性を有するヌクレオチド配列又は配列番号5の少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含む断片を含む、請求項60に記載のリバースプライマー。
【請求項62】
請求項58又は59に記載のフォワードプライマー及び請求項60又は61に記載のリバースプライマーを含む、一対のフォワード及びリバースオリゴヌクレオチドプライマー。
【請求項63】
配列番号15又は16と少なくとも75%の同一性を有するヌクレオチド配列又は配列番号15又は16の少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含む断片を含む標的核酸配列にハイブリダイズするフォワードオリゴヌクレオチドプライマー。
【請求項64】
配列番号19又は20のヌクレオチド配列と少なくとも75%の同一性を有するヌクレオチド配列又は配列番号19又は20の少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含む断片を含む、請求項63に記載のフォワードプライマー。
【請求項65】
配列番号17又は18と少なくとも75%の同一性を有するヌクレオチド配列又は配列番号17又は18の少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含む断片を含む標的核酸配列にハイブリダイズするリバースオリゴヌクレオチドプライマー。
【請求項66】
配列番号21又は22のヌクレオチド配列と少なくとも75%の同一性を有するヌクレオチド配列又は配列番号21又は22の少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含む断片を含む、請求項65に記載のリバースプライマー。
【請求項67】
請求項63又は64に記載のフォワードプライマー及び請求項65又は66に記載のリバースプライマーを含む、一対のフォワード及びリバースオリゴヌクレオチドプライマー。
【請求項68】
試料中のサルモネラ・エンテリカ亜種I及びサルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbを検出するためのプライマーセットであって、
(a)請求項58又は59に記載のフォワードプライマー及び/又は請求項60又は61に記載のリバースプライマー及び/又は請求項62に記載の一対のプライマー、及び
(b)サルモネラ・エンテリカ亜種Iを検出するための1以上のプライマー、を含むプライマーセット。
【請求項69】
前記サルモネラ・エンテリカ亜種Iを検出するための1以上のプライマーが、請求項63又は64に記載のフォワードプライマー及び/又は請求項65又は66に記載のリバースプライマー及び/又は請求項67に記載の一対のプライマーから選択される、請求項68に記載のプライマーセット。
【請求項70】
試料中のサルモネラ・エンテリカ亜種I及びサルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbを検出するためのプライマーセットであって、
(a)請求項63又は64に記載のフォワードプライマー及び/又は請求項65又は66に記載のリバースプライマー及び/又は請求項67に記載の一対のプライマー、及び
(b)サルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbを検出するための1以上のプライマー、を含むプライマーセット。
【請求項71】
前記サルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbを検出するための1以上のプライマーが、請求項58又は59に記載のフォワードプライマー及び/又は請求項60又は61に記載のリバースプライマー及び/又は請求項62に記載の一対のプライマーから選択される、請求項70に記載のプライマーセット。
【請求項72】
配列番号6と少なくとも75%の同一性を有するヌクレオチド配列又は配列番号6の少なくとも18個の連続するヌクレオチドを含む断片を含む標的核酸配列にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブ。
【請求項73】
配列番号7のヌクレオチド配列と少なくとも75%の同一性を有するヌクレオチド配列又は配列番号7の少なくとも18個の連続するヌクレオチドを含む断片を含む、請求項72に記載のオリゴヌクレオチドプローブ。
【請求項74】
配列番号23と少なくとも75%の同一性を有するヌクレオチド配列又は配列番号23の少なくとも18個の連続するヌクレオチドを含む断片を含む標的核酸配列にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブ。
【請求項75】
配列番号24のヌクレオチド配列と少なくとも75%の同一性を有するヌクレオチド配列又は配列番号24の少なくとも18個の連続するヌクレオチドを含む断片を含む、請求項74に記載のオリゴヌクレオチドプローブ。
【請求項76】
試料中のサルモネラ・エンテリカ亜種I及びサルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbを検出するためのオリゴヌクレオチドプローブセットであって、
(a)請求項72又は73に記載のプローブ、及び
(b)サルモネラ・エンテリカ亜種Iを検出するためのプローブ、を含むオリゴヌクレオチドプローブセット。
【請求項77】
前記サルモネラ・エンテリカ亜種Iを検出するためのプローブが、請求項74又は75に記載のプローブである、請求項76に記載のプローブセット。
【請求項78】
試料中のサルモネラ・エンテリカ亜種I及びサルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbを検出するためのオリゴヌクレオチドプローブセットであって、
(a)請求項74又は75に記載のプローブ、及び
(b)サルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbを検出するためのプローブ、を含むオリゴヌクレオチドプローブセット。
【請求項79】
前記サルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbを検出するためのプローブが、請求項72又は73に記載のプローブである、請求項78に記載のプローブセット。
【請求項80】
試料中のサルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbを検出するためのキットであって、請求項62に記載の一対のフォワード及びリバースオリゴヌクレオチドプライマーを含み、さらに、
サルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbに特異的な核酸配列を増幅するための試薬及び/又は
増幅産物を検出するための試薬を含み、好ましくは、前記増幅産物を検出するための試薬は、前記増幅産物にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブを含み、最も好ましくは、請求項72又は73に記載のプローブを含むキット。
【請求項81】
試料中のサルモネラ・エンテリカ亜種Iを検出するためのキットであって、請求項67に記載の一対のフォワード及びリバースオリゴヌクレオチドプライマーを含み、さらに、
サルモネラ・エンテリカ亜種Iに特異的な核酸配列を増幅するための試薬及び/又は
増幅産物を検出するための試薬を含み、好ましくは、前記増幅産物を検出するための試薬は、前記増幅産物にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブを含み、最も好ましくは、請求項74又は75に記載のプローブを含むキット。
【請求項82】
試料中のサルモネラ・エンテリカ亜種I及びサルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbを検出するためのキットであって、
(a)請求項68〜71のいずれか1項に記載のプライマーセットと、
(b)サルモネラ・エンテリカ亜種Iに特異的な核酸配列及びサルモネラ・エンテリカ亜種IIIa及び/又はIIIbに特異的な核酸配列を増幅するための試薬、及び/又は
(c)増幅産物を検出するための試薬を含み、好ましくは、前記増幅産物を検出するための試薬は、前記増幅産物にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブを含み、最も好ましくは、請求項76〜79のいずれか1項に記載のプローブを含むキット。
【請求項83】
本願明細書に記載及び/又は実施例及び/又は図面に記載した方法、フォワードプライマー、リバースプライマー、プローブ又はキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−521665(P2011−521665A)
【公表日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−512218(P2011−512218)
【出願日】平成21年6月3日(2009.6.3)
【国際出願番号】PCT/GB2009/050617
【国際公開番号】WO2009/147435
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(503191210)ヘルス プロテクション エージェンシー (19)
【Fターム(参考)】