説明

サンプルキャリアー

【課題】生物学的に活性なサンプルのための、詳細には、毒性のサンプルのための、特には、強い毒性のサンプルのための、構造、組み立てが単純な密閉性のサンプルキャリアー(試料保持器)を提供する。
【解決手段】サンプルキャリアー1は、底部分10と、第1の膜12と、スペーサー13と、第2の膜14と、蓋16とを有する。第1の膜12と、スペーサー13と、第2の膜14とが、底部分10と蓋16との間に取り囲まれるように、該底部分10と該蓋16とは接続可能となっている。底部分10と蓋16は、該底部分10と該蓋16との取り外しできない構成であるロックする接続のための手段を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物学的に活性なサンプルのためのサンプルキャリアー(sample carrier;試料保持器)に関し、詳細には、独立請求項の前段部に従えば、毒性のサンプルのための、特には強い毒性のサンプルのための、サンプルキャリアーに関する。より具体的には、本発明は、X線回折法において使用されるサンプルキャリアーに関する。
【背景技術】
【0002】
用語「生物学的に活性なサンプル」は、生細胞の代謝活性に対する(有益または有害な)作用を有する物質を意味する。詳細には、用語「生物学的に活性な物質」には、以下に論じるような「毒性の(toxic)」および「強い毒性の(highly toxic)」サンプルが含まれる。
【0003】
用語「毒性の」は、以下の3つのカテゴリーのいずれかに当てはまる物質を意味する:
− それぞれ体重200〜300グラムのアルビノラットに経口投与されたときに、体重1キログラムあたり、50ミリグラムより大きいが500ミリグラム未満である半数致死量(LD50)を有する物質。
− それぞれ体重2〜3キログラムのアルビノラットの素肌に24時間(または24時間以内に死亡した場合には24時間未満)連続的に接触させることによって投与されたときに、体重1キログラムあたり、200ミリグラムより大きいが1,000ミリグラム未満である半数致死量(LD50)を有する物質。
− それぞれ体重200〜300グラムのアルビノラットに対して、1時間(または1時間以内に死亡した場合には1時間未満)連続的に吸入させることによって投与されたときに、気体または蒸気の体積で200パーツ・パー・ミリオンより大きいが2,000パーツ・パー・ミリオン未満であるか、或いは霧、煙または粉塵1リットルあたり、2ミリグラムより大きいが20ミリグラム未満である、空気中での半数致死濃度(LC50)を有する物質。
【0004】
用語「強い毒性の」は、以下の3つのカテゴリーのいずれかにあてはまる物質を意味する:
− それぞれ体重200〜300グラムのアルビノラットに経口投与されたときに、体重1キログラムあたり50ミリグラム以下である半数致死量(LD50)を有する物質。
− それぞれ体重2〜3キログラムのアルビノラットの素肌に24時間(または24時間以内に死亡した場合には24時間未満)連続的に接触させることによって投与されたときに、体重1キログラムあたり200ミリグラム以下である半数致死量(LD50)を有する物質。
− それぞれ体重200〜300グラムのアルビノラットに対して、1時間(または1時間以内に死亡した場合には1時間未満)連続的に吸入させることによって投与されたときに、気体または蒸気の体積で200パーツ・パー・ミリオン以下であるか、或いは霧、煙または粉塵1リットルあたり2ミリグラム以下である、空気中での半数致死濃度(LC50)を有する物質。
【0005】
X線回折法は、周知の方法である。X線回折法の一つの特定の適用では、結晶構造を有する粉末が、X線で照射される。該粉末が、回折格子(diffraction grid)と同様にX線を回折させ、そして、その回折したX線の極大点が検出器で走査(スキャン)される。極大点の位置および強度は、粉末の結晶構造を表す。
【0006】
そのような生物学的に活性なサンプルを伴う作業には、全く漏れない(leakproof)サンプルキャリアーが必要である。そのようなサンプルによるたとえわずかな汚染ですら、実験室および装置の高価な汚染除去を必要にさせ得る。湿気がサンプルキャリアーの内部に入り得ないことを確実にすることも重要である。これは、粉末が湿気を吸収する可能性があり、それが、粉末の結晶構造の変化をもたらして、誤った測定結果を与えることがあり得るためである。
【0007】
生物学的に活性なサンプルのための公知のサンプルキャリアーは、ベース(base、基盤)のキャリアーを有し、その上に第1の膜およびスペーサーが配置される。該スペーサーは、生物学的に活性のサンプルを受け入れるための開口部を有する。生物学的に活性なサンプルが、スペーサーの開口部内の第1の膜上に置かれると、該スペーサーは、第2の膜および更なるスペーサーによって閉じられる。スペーサーおよび更なるスペーサーは、それぞれ、X線が通過するための開口部を有し、一方、膜は、X線透過性の素材から作られる。更なるスペーサーは、ネジによってベースのキャリアーに固定され、よって、第1の膜、スペーサー、および、第2の膜を、該ベースのキャリアーへと押し付ける。
【0008】
生物学的に活性なサンプルのための公知のサンプルキャリアーは、組立てるのが難しく、また、ネジが十分に締まらないといったことや、僅かに傾いた状態で、挿入とネジ留めとがなされるといったことが起こり得る。結果として、サンプルキャリアーの構成要素が、ゆるんだり、または、外れたりする可能性があり、生物学的に活性なサンプルをまたは少なくともその少量を放出することがあり得、それが実験室および/または装置の汚染(コンタミネーション)を生じ得るというという危険性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明の目的は、生物学的に活性なサンプルのための、詳細には、毒性のサンプルのための、特には強い毒性のサンプルのための、サンプルキャリアーを提案することであって、上記の欠点を有さないもの、即ち、アセンブルが容易であり、かつ、該キャリアーの構成要素がゆるんだり外れたりすることさえも確実に防ぐ、生物学的に活性なサンプルのためのサンプルキャリアーを提案することである。加えて、提案するその生物学的に活性なサンプルのためのサンプルキャリアーは、湿気、液体または気体が出入りしないように、或いは、全般に環境と接触しないように、密閉されることになる。更には、提案する生物学的に活性なサンプルのためのサンプルキャリアーは、構造および組立てが単純なものとなるべきある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、独立請求項の特徴部(feature)によって特徴付けられるような、本発明に従うサンプルキャリアーによって達成される。本発明によるサンプルキャリアーの有利な実施形態は、従属請求項の特徴部から明らかとなる。
【0011】
詳細には、本発明によれば、当該サンプルキャリアーは、底部分と、第1の膜と、スペーサーと、第2の膜と、蓋とを有する。底部分と蓋とは、接続可能であって、それは、第1の膜と、スペーサーと、第2の膜とが、該底部分と該蓋との間に取り囲まれるように、接続可能である。底部分と蓋とは、該底部分と該蓋との取り外しできない構成であるロックする接続(non-detachable form-locking connection)のための手段を有する。底部分と蓋との、取り外しできない構成であるロックする接続のための手段を使用することにより、当該サンプルキャリアーの構成要素は、ゆるむこと、または、外れることさえも免れる。加えて、当該サンプルキャリアーは、密閉封止されるため、湿気、液体または気体が出入りすること、或いは、全体的に環境と接触することを不可能にする。これに関して、用語「密閉封止される」(hermetically sealed;ハーメチックシールされる)は、人間が該物質と接触することから保護されていることを意味し、また、該物質が環境と接触することから保護されている(例えば、該物質が、乾燥に対して、または、酸素との接触から保護されている)ことも意味する。従って、生物学的に活性なサンプルが、または、少なくともその少量が放出される危険性がないため、実験室および装置の汚染(コンタミネーション)を回避することができる。更には、提案する、生物学的に活性なサンプルのための該サンプルキャリアーは、構造が単純であり、安価に製造され、かつ、組立てが容易である。また、当該サンプルキャリアーは、該サンプルキャリアー内に比較的長時間、サンプルを保存することを可能とする。
【0012】
本発明によるサンプルキャリアーの更なる実施形態では、底部分と蓋との取り外しできない構成であるロックする接続(ロッキング コネクション)のための手段は、スナップはめ合わせ(snap-fit、パチンと留まるはめ合わせ)手段を有する。スナップはめ合わせ手段は、取り外しできない構成であるロックする接続を形成するための単純かつ信頼性のある手段である。
【0013】
本発明によるサンプルキャリアーの更なる実施形態では、スナップはめ合わせ手段が、底部分にアンダーカットを有し、かつ、蓋に弾性的に変形可能な爪(claws)を有する。これは、スナップはめ合わせ手段の単純かつ安価な具現化を構成する。
【0014】
本発明によるサンプルキャリアーの、また更なる実施形態では、スペーサーが、X線通過用の少なくとも1つの円形の開口部を有する。スペーサーの、この少なくとも1つの円形の開口部は、X線回折法のために使用されるX線の通過を可能とするだけでなく、解析される、生物学的に活性なサンプルを保存するための、第1の膜と第2の膜との間の保存スペースをも提供する。
【0015】
本発明によるサンプルキャリアーの、なお更なる実施形態では、当該サンプルキャリアーが、底部分と第1の膜との間の第1の接着剤層を有し、かつ、蓋と第2の膜との間の第2の接着剤層を有する。第1および第2の接着剤層の使用は、生物学的に活性なサンプルの密閉封止を更に改善するための、および、サンプルキャリアーの組立てを単純化するための、単純な方法である。加えて、第1および第2の接着剤層の使用は、拡散への耐性を有し、好ましくは、溶剤に対する耐性をも有する封止を提供する。例としては、アクリル接着剤がこの目的のために好適であり得る。
【0016】
本発明によるサンプルキャリアーの更なる実施形態では、底部分と蓋は、プラスチック、好ましくは、POM、PP、または、PEEKで作られる。ポリアセタール(polyacetale)とも呼ばれるポリオキシメチレン(POM)、および、ポリプロピレン(PP)は、サンプルキャリアーの底部分および蓋を、単純かつ安価に製造するために好適な材料である。ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)もまた、この目的のために好適な材料である。これはより高価ではあるが、不活性条件が要求される場合(例えば、サンプル物質の反応性が高い場合)に特に好適である。
【0017】
本発明によるサンプルキャリアーの更なる実施形態では、蓋は、Oリングを備えている。Oリングもまた、生物学的に活性なサンプルの密閉封止を更に改善するための、単純かつ安価な方法である。
【0018】
更なる実施形態では、Oリングは、蓋と一体となった部分を形成するように、製造中(例えば、射出成形中)に蓋に埋め込まれる。
【0019】
本発明によるサンプルキャリアーのまた更なる実施形態では、第1および第2の膜が、X線透過性材料(例えば、Mylar(登録商標)、または、Kapton(登録商標))を有してなる。X線回折法が適切に行なわれるために、X線は、第1および第2の膜を通過する必要がある。Mylar(登録商標)(二軸延伸ポリエチレンテレフタレート)、または、Kapton(登録商標)(ポリイミド)は、この目的のために好適かつ安価な材料である。
【0020】
本発明によるサンプルキャリアーのなお更なる実施形態では、底部分および蓋は、円形状を有する。この有利さは、多くの測定装置および処理装置が既に利用可能になっているからであり、また、円形状を有するサンプルキャリアーに適合させるのに適しているからである。
【0021】
本発明によるサンプルキャリアーの更なる実施形態では、弾性的に変形可能な爪が、円周方向に見たときに、蓋上に等間隔に配置される。このような配置により、サンプルキャリアーの底部分と蓋との、確実かつ均一な接続が提供される。
【0022】
本発明によるサンプルキャリアーの更なる実施形態では、スペーサーが、種々の生物学的に活性なサンプルを受け入れるための、複数の開口部を有する。これにより、単一のサンプルキャリアーにおいて、異なる生物学的に活性なサンプルを保存することが可能となる。各サンプルを、独立して順次に、または、同時に解析することが可能である。
【0023】
本発明の更なる態様によれば、上述したサンプルキャリアーが、マルチプレートの一部を形成してもよく、該マルチプレートは、いくつかの窪みを有し、各窪みがサンプルキャリアーを収容できる。マルチプレートは、取扱いおよび移動が容易であり、かつ、X線回折法の前、最中、および、後において、サンプルキャリアーを保存するために好適である、標準的な実験室部品である。
【0024】
本発明の別の更なる態様によれば、上述したサンプルキャリアーが、マルチプレートの一部を形成してもよく、該マルチプレートは、窪みを有し、各窪みがそのようなサンプルキャリアーを収容でき、かつ各サンプルキャリアーの底部分がマルチプレートの対応する窪みによって形成されている、いくつかのマルチプレートの部分であり得る。マルチプレートのこの実施形態は、大量のサンプルを処理する必要があっても、生物学的に活性なサンプルのためのサンプルキャリアーの取扱いを、更に単純化する。
【0025】
本発明に従うサンプルキャリアーの更なる有利な側面は、図面による補助と共に、以下の具体的な実施形態の詳細な説明から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、本発明に従うサンプルキャリアーの第1の実施形態の分解図を示している。
【図2】図2は、組立て前の状態にある図1のサンプルキャリアーを示しており、これは、生物学的に活性なサンプルを受け入れられる状態でありかつ閉じられる前である。
【図3】図3は、図2の組立て前のサンプルキャリアーを通る断面を示している。
【図4】図4は、サンプルキャリアーが閉じた状態にある図3の断面を示している。
【図5】図5は、閉じた状態にある図1のサンプルキャリアーの斜視図を示している。
【図6】図6は、本発明に従うサンプルキャリアーの第2の実施形態の斜視図を示している。
【図7】図7は、本発明に従うマルチプレートの一つの実施形態の斜視図を、単一のサンプルキャリアーのみと共に示している。
【図8】図8は、図7のマルチプレートを、マルチプレートにある窪みの個数に対応する複数のサンプルキャリアーと共に示している。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1〜5は、本発明によるサンプルキャリアー1の第1の実施形態を示しており、これは、図1に最も良く現れているように、底部分(bottom part)10と、蓋16を有する。底部分10と蓋16とは、それらの間に、第1の膜12と、スペーサー13と、第2の膜14とを囲んでいる。第1の膜12は、第1の接着剤層11を介して底部分10に固定され、第2の膜14は、第2の接着剤層15を介して蓋16に固定される。スペーサー13は、開口部130を有して、X線の通過を可能としており、また、解析される生物学的に活性なサンプルのための保存スペースを提供している。
【0028】
底部分10および蓋16は、プラスチック、好ましくは、ポリオキシメチレン(POM)(ポリアセタール(polyacetale)とも呼ばれる)、ポリプロピレン(PP)またはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)で作られる。第1の膜12および第2の膜14は、X線透過性の素材(例えば、Mylar(登録商標)(二軸延伸ポリエチレンテレフタレート)、または、Kapton(登録商標)(ポリイミド))を有し、それにより、X線回折法での生物学的に活性なサンプルの解析の間に、X線がサンプルキャリアーを通過する。スペーサー13は、磁性材料(例えば、磁性金属)で作ることができ、そうすることで、持ち上げ(lift、リフト)磁石(図示せず)を用いることによりサンプルキャリアー1の移動が可能となる。
【0029】
図2は、組立て前の状態にある、図1のサンプルキャリアー1を示しており、これは、生物学的に活性なサンプルを受け入れて閉じられることができる状態にある。これが組立てられた状態では、第1の接着剤層11(図1参照)、第1の膜12、および、スペーサー13は、底部分10に取り付けられ、第2の接着剤層15(図1参照)、および、第2の膜14は、蓋16に取り付けられる。スペーサー13の開口部は、解析される生物学的に活性なサンプルを受け入れることができる状態にある。生物学的に活性なサンプルが、スペーサー13の開口部内および第1の膜12上に置かれると、サンプルキャリアー1の蓋16は、蓋16を底部分10に結合することにより、閉じることができる。
【0030】
図3は、図2の組立て前のサンプルキャリアー1の断面を示している。図に示すように、サンプルキャリアーの底部分10は、アンダーカット(undercut)100を有する。サンプルキャリアーの蓋16は、弾性的に変形可能な爪(claws)160を有し、該爪は底部分10のアンダーカット100を受け入れることができる状態にある。弾性的に変形可能な爪160は、アンダーカット100といっしょになって、スナップはめ合わせ(snap-fit)様式の、取り外しできない構成であるロックする接続を形成しており、サンプルキャリアーが密閉封止されるようにしている。蓋16にある開口部162によって、蓋の簡便な製造が可能となり、かつ、弾性的に変形可能な爪160の作動を助長する。加えて、蓋16は、Oリング161をも有し、これが、組立てられたサンプルキャリアーの密閉封止を更に改善する。弾性的に変形可能な爪160と、付随する開口部162とは、円周方向で見たときに、蓋16上に等間隔に配置される(図5参照)。Oリング161は、蓋16と一体になった部分を形成してもよいし、形成しなくてもよい。また、Oリング161は、製造中(例えば、射出成形中)に蓋16に埋め込まれてもよい。
【0031】
図4は、図3の断面を示しているが、サンプルキャリアー1は閉じた状態にあり、これは通常、X線回折法を使用して解析される生物学的に活性なサンプル(図示せず)を取り囲む。スペーサー13の開口部130は、第1の膜12と、第2の膜14とによって取り囲まれる。第1の膜12、スペーサー13、および、第2の膜14は、底部分10と蓋16との間に取り囲まれる。底部分10と蓋16との、取り外しできない構成であるロックする接続は、底部分10のアンダーカット100と蓋16の弾性的に変形可能な爪160とによって形成されるスナップはめ合わせによって形成される。Oリング161は、サンプルキャリアーの密閉封止を更に改善する。
【0032】
最後に、図5は、閉じた状態にある、本発明によるサンプルキャリアー1の第1の実施形態の斜視図を示している。
【0033】
図6は、本発明によるサンプルキャリアー2の第2の実施形態の斜視図を示している。サンプルキャリアー2が、本発明に従うサンプルキャリアーの第1の実施形態(図1〜5参照)と、本質的に異なるのは、種々の生物学的に活性なサンプルを受け入れるために、複数の開口部230を有するスペーサー23を有するという点である。底部分10と蓋16とは、スペーサー23を取り囲む。本発明によるサンプルキャリアー1の第1の実施形態と同様に、サンプルキャリアー2の第2の実施形態もまた、第1および第2の接着剤層によって、それぞれに底部分10と蓋16とに結合された、第1および第2の膜を有する。
【0034】
図7および図8は、本発明に従うマルチプレート3の一つの実施形態の斜視図を示している。マルチプレート3は、いくつかの窪み30を有し、各窪み30は、上述したようなサンプルキャリアー1を収容できる状態にある。マルチプレート3は、必要なだけ多くのサンプルキャリアー1を受け入れ得るが、マルチプレート3上で利用可能な窪み30の個数に制限されている。各サンプルキャリアー1の底部分10(図1〜6参照)は、代替的には、マルチプレート3の対応する窪み30によって形成されてもよい。このようにして、スナップフィット結合の補助によって蓋のみが結合される必要がある組立て前のマルチプレートを作成することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的に活性なサンプルのための、詳細には、毒性のサンプルのための、特には、強い毒性のサンプルのための、サンプルキャリアー(1;2)であって、
当該サンプルキャリアー(1;2)は、底部分(10)と、第1の膜(12)と、スペーサー(13;23)と、第2の膜(14)と、蓋(16)とを有し、
第1の膜(12)と、スペーサー(13;23)と、第2の膜(14)とが、底部分(10)と該蓋(16)との間に取り囲まれるように、該底部分(10)と該蓋(16)とが接続可能となっており、該底部分(10)と該蓋(16)は、該底部分(10)と該蓋(16)との取り外しできない構成であるロックする接続のための手段を有する、
前記サンプルキャリアー。
【請求項2】
底部分(10)と蓋(16)との、取り外しできない構成であるロックする接続のための手段が、スナップはめ合わせ手段(100、160)を有する、請求項1に記載のサンプルキャリアー。
【請求項3】
スナップはめ合わせ手段が、底部分(10)にアンダーカット(100)を有し、かつ、蓋(16)に弾性的に変形可能な爪(160)を有する、請求項2に記載のサンプルキャリアー。
【請求項4】
スペーサー(13;23)が、X線通過用の少なくとも1つの円形の開口部(130;230)を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のサンプルキャリアー。
【請求項5】
サンプルキャリアー(1;2)が、底部分(10)と第1の膜(12)との間の第1の接着剤層(11)を有し、かつ、蓋(16)と第2の膜(14)との間の第2の接着剤層(15)を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のサンプルキャリアー。
【請求項6】
底部分(10)と蓋(16)が、プラスチックで、好ましくは、ポリオキシメチレン、ポリプロピレン、または、ポリエーテルエーテルケトンで作られている、請求項1〜5のいずれか1項に記載のサンプルキャリアー。
【請求項7】
蓋(16)が、Oリング(161)を備えている、請求項1〜6のいずれか1項に記載のサンプルキャリアー。
【請求項8】
Oリング(161)が、蓋と一体的な部分を形成するように、製造中に蓋(16)に埋め込まれている、請求項7に記載のサンプルキャリアー。
【請求項9】
第1および第2の膜(12、14)が、X線透過性材料を有してなる、請求項1〜8のいずれか1項に記載のサンプルキャリアー。
【請求項10】
底部分(10)および蓋(16)が、円形状を有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載のサンプルキャリアー。
【請求項11】
弾性的に変形可能な爪(160)が、円周方向に見たときに、蓋(16)上に等間隔に配置されている、請求項1〜10のいずれか1項に記載のサンプルキャリアー。
【請求項12】
スペーサー(23)が、生物学的に活性な異なるサンプルを受け入れるために、複数の開口部(230)を有する、請求項1〜11のいずれか1項に記載のサンプルキャリアー。
【請求項13】
いくつかの窪み(30)を有するマルチプレート(3)であって、各窪み(30)が、請求項1〜12のいずれか1項に記載のサンプルキャリアー(1;2)を収容できる、前記マルチプレート。
【請求項14】
いくつかの窪みを有するマルチプレートであって、各窪みが、請求項1〜12のいずれか1項に記載のサンプルキャリアー(1;2)を収容でき、かつ、各サンプルキャリアー(1;2)の底部分(10)が、マルチプレートの対応する窪みによって形成されている、前記マルチプレート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−60558(P2010−60558A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−188953(P2009−188953)
【出願日】平成21年8月18日(2009.8.18)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】