説明

サンプル上の複数の地点を同時に照射し検出することによって光学画像生成を実行する構成、装置、内視鏡、カテーテル、及び方法

少なくとも1つの電磁放射を伝播させるべく適合された装置、構成、内視鏡、カテーテル、及び方法が提供される。具体的には、特別に構成された導波路装置を利用することにより、生物学的サンプルを照射するべく意図された複数のビームに電磁放射をスプリットさせると共に、固有の関連する特性をビームのそれぞれに付与可能である。ビームは、個別の場所において生物学的サンプルを照射すると共に、固有の関連する特性をビームのそれぞれに付与するためのものであってよい。更には、ファイバに沿って伝播するビームの個別の関連する特性を変更し、これにより、サンプル上の個別の場所の特性を変更するために、ファイバの中の少なくとも1つ及びファイバへの入力を制御するべく構成された制御装置を提供可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学画像生成に関するものであり、更に詳しくは、サンプル上の複数の地点を同時に照射し検出することによって光学画像生成を実行する能力を有する装置及び方法に関するものである。
(関連出願に対する相互参照)
本出願は、2004年11月29日付で出願された米国特許出願第60/631,539号に基づいており、この出願に伴う優先権の利益を主張するものであり、この開示内容は、そのすべてが、本引用により、本明細書に包含されている。
【背景技術】
【0002】
ビームの走査を利用して光コヒーレンス・トモグラフィ(断層映像法:Optical Coherence Tomography:OCT)や共焦点顕微鏡法などの画像を形成する内視鏡/カテーテルに基づいた光学画像生成法は、1次元又は2次元のビームの高速走査が不可能であることによって制約をうけることになる。この理由は、恐らくは、高速光学走査の唯一の確実な方法が自由空間内における実行を要するという点にあろう。又、内視鏡やカテーテルなどの小さなプローブ内におけるその使用は、これらの光学スキャナのサイズによっても妨げられることになっており、走査メカニズムを小型化することができれば、恐らくは、身体のあらゆる表面、産婦人科における適用、プローブに基づいたアプリケーション、並びに、内臓系を含む光学画像生成法の医療における適用数が増大することになろう。
【0003】
米国特許第5,321,501号は、断層映像法について記述しており、米国特許第5,161,053号は、共焦点顕微鏡法について記述しており、これらは、いずれも、光ファイバを利用している。但し、これらの文献に記述されている従来の方法は、サンプル上の単一の合焦スポットの使用法について開示しており、このようなスポットを走査するための構成を有している。米国特許第5,659,642号は、共焦点顕微鏡法を実行するための光ファイバ束の使用について記述している。但し、この文献は、個別のチャネルを選択的に照射するためのスイッチング構成についても記述している。この米国特許の開示によれば、ファイバ束を使用してすべての地点を同時に照明し検出することにより、特定のチャネルを選択的に照射するためのスイッチングメカニズムに対するニーズを除去している。
【0004】
生体内の細胞レベルの分解能を有する画像を提供する能力を有する新しい診断画像生成技術として、内視鏡共焦点顕微鏡法の技術が提案されている。しかしながら、提案されているこれらの技術は、直径が小さいプローブ内に配置可能な高速ビーム走査メカニズムを開発することができないことに起因し、単一の光ファイバを使用することによって容易に実現されていない。使用されているその他の方法においては、ファイバ束の近端において合焦されたビームを走査することにより、ファイバ束内の光ファイバを選択的に照射している。これらの方法は、チャネル間におけるビームのオーバーラップに起因して様々な問題点を具備している(この結果、2つの地点が同時に照射されることになり、これにより、クロストーク及び収差が発生するという結果をもたらしている)。単一のファイバを使用して内視鏡共焦点画像生成を実行することが望ましいであろう。ファイバ束を使用する場合には、複数の地点を同時に照射し、この結果、それぞれのファイバが、個別のファイバコア上に中心を有する固有のスポットによって照射されるようにすることが好ましいであろう。
【0005】
断層映像法(OCT)は、光ファイバを使用して患者の臓器内において実施されてきた画像生成モダリティである。図1は、特定のOCTカテーテルの設計に共通した模範的なメカニズム及び関連する光学要素を示している。これらのカテーテルの設計は、内部コア120を包含可能であり、この内部コアは、近端110、100においてOCTシステムに結合されると共に光を遠端150において合焦及び方向変更が可能である光ファイバ要素115を包含可能である。内部コア120は、サンプル上においてビームを走査するべく機能する遠端オプティクスの1次元の動きを提供するべく、回転又は並進可能である。内部コアは、透明なシース130内に収容されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
内部コアによる近端アクチュエータから遠端オプティクスへの動きの変換を利用したOCTにおけるカテーテルの使用法は、内部コアと外部透明シース間における摩擦によって不均一な回転又は直線的な動き200が発生した際に生じ得るアーチファクト(人工物)に起因し、問題点を有している。この摩擦は、画像生成技術の分解能の増大に伴って更に顕著になる線形のアーチファクトに起因する。この結果、これらの不均一な変換のアーチファクトは、超高分解能(例えば、1μm)のOCTが臨床的に利用可能となった際には、このタイプのカテーテルの使用を妨げるであろう。この問題点は、手順におけるカテーテルの曲がりや回転に起因した更なる摩擦により、更に悪化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的の1つは、前述の欠点及び問題点を克服し、且つ、小型化して小さなプローブ内に内蔵することができるサンプル上の複数の地点を同時に照射する装置及び構成の模範的な実施例を提供することにある。サンプル上のそれぞれの地点は、本発明による周波数エンコーディング法の模範的な実施例を使用することにより、周波数によってエンコードされている。この結果、サンプルを通じて反射又は伝達された信号の周波数を分析することにより、エネルギー入力とサンプルの間のやり取りを表す画像が再構築可能である。更には、単一の光ファイバを通じた光の供給を実現することにより、この装置をカテーテル又は内視鏡に内蔵することも可能である。この本装置の模範的な実施例のその他の利点には、可動部品の欠如、ヘテロダイン検出、及び断面画像を取得する能力を包含可能である。これらの特性は、身体のあらゆるアクセス可能な表面における光学診断画像生成を実行する際のこの装置の使用を促進するものである。一例として、この装置を使用および/または内蔵可能な2つの技術は、内視鏡共焦点顕微鏡法及び断層映像法である。
【0008】
本発明による装置及び方法の更なる模範的な実施例を使用することにより、サンプル上において複数の地点を同時照射して同時検出可能であり、この結果、恐らくは、単一スポットを走査するというニーズが除去されることになろう。
【0009】
従って、少なくとも1つの電磁放射を伝播させるべく適合された装置、構成、カテーテル、及び方法の模範的な実施例が提供されている。具体的には、特別に構成された導波路装置を利用することにより、生物学的なサンプルを照射するべく意図された複数のビームに電磁放射を分離又はスプリット(分割)すると共に、固有の関連する特性をビームのそれぞれに対して付与可能である。これらのビームは、個別の場所において生物学的サンプルを照射すると共に、固有の関連する特性をビームのそれぞれに付与するためのものであってよい。更には、ファイバに沿って伝播しているビームの固有の関連する特性を変更し、これにより、サンプル上の個別の場所の特性を変更するために、ファイバの中の少なくとも1つ及びファイバへの入力を制御するべく構成された制御装置を提供可能である。
【0010】
例えば、導波路は、マルチモード導波路および/またはミラートンネルであってよい。又、少なくとも1つの電磁放射を受光すると共に、導波路装置内、及びその近傍の中の少なくとも一方に第1放射を生成する第1照射構成を提供することも可能である。又、第1放射に基づいて複数の第2放射を受光し生成する第2照射構成を提供することも可能である。第2照射は、第1放射の近似であってよく、および/または、サンプル上の個別の場所に提供可能である。第1照射構成は、光ファイバおよび/またはレンズを包含可能である。
【0011】
本発明の別の模範的な実施例によれば、ビームの固有の関連する特性を変更するために導波路装置を制御するべく構成された更なる装置を提供可能である。固有の関連する特性は、個別のビームの経路長および/または位相を包含可能である。更なる装置は、導波路装置の構造的特性を変更することによって導波路装置を制御可能である。この導波路装置の構造的特性の変更は、導波路装置の断面に対して非対称なものであってよい。更なる装置は、導波路装置の光学的特性を変更することによって導波路装置を制御可能である。この光学特性は、屈折率を包含可能である。
【0012】
更には、第2照射手段は、第2放射をサンプル上に既定のパターンとして生成するべく構成された更なる照射手段を包含可能である。この既定のパターンは、略円形であってよい。導波路装置は、ビームを伝達するべく構成された複数のファイバを包含可能である。ファイバに沿って伝播しているビームの固有の関連する特性を変更し、これにより、サンプル上の個別の場所の特性を変更するために、ファイバおよび/またはファイバへの入力を制御するべく構成された制御装置を更に提供可能である。サンプルから反射された第3放射を導波路装置を通じて返送可能であり、この第3放射は、第2放射に基づいたものであってよい。基準に対して転送するための電磁放射の一部を伝播させるべく構成された基準アーム部を提供可能である。
【0013】
本発明の更に別の模範的な実施例によれば、第3放射と基準アームから戻ってきた第4放射を合成して干渉放射を生成する合成装置を提供可能である。干渉放射を検出するべく構成された検出装置を提供可能である。更には、干渉放射に基づいてサンプル上の個別の場所から戻ってきた第3放射に対応するデータを生成するべく構成された処理装置を提供可能である。処理装置は、データに基づいたサンプルの少なくとも一部分の画像を生成するべく更に構成可能である。電磁放射は、チューニング可能な中心波長を具備した狭帯域光源によって生成可能である。電磁放射を広帯域光源によって生成することも可能であり、且つ、導波路装置から戻ってきた第2放射と基準アーム部から戻ってきた放射を、分光計装置によって受光されるように適合可能である。導波路装置を収容するプローブ(例えば、カテーテル、内視鏡、および/または腹腔鏡)を包含可能である。
【0014】
本発明のこれらの並びにその他の目的、特徴、及び利点については、添付の請求項との関連において、本発明の実施例に関する以下の詳細な説明を参照することにより、明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の更なる目的、特徴、及び利点については、本発明の例示用の実施例を示している添付の図面との関連において、以下の詳細な説明を参照することにより、明らかとなろう。
【0016】
添付図面においては、特記していない限り、同一の参照符号及び文字を使用して図示の実施例の類似の特徴、要素、コンポーネント、又は部分を表記している。又、以下においては、添付の図面を参照して本発明について詳細に説明しているが、これは、例示用の実施例との関連において説明しているものである。
【0017】
本発明は、一般に、カテーテルの遠端においてビームを走査せず、これにより、不均一な動きのアーチファクトの可能性を除去しているカテーテル典型例の模範的な変形を提供している。従来のOCTシステムにおいてOCTを実施するための1つの方法は、時間領域のOCT走査(TD−OCT)に基づいたものであろう。
【0018】
従って、(図3に示されているように)、模範的な手順においては、干渉計325内の基準アームの長さを画像生成の深度レンジに対応した距離にわたって高速走査することにより、基準アームの経路長が光源310の光の時間的なコヒーレンス長以内においてサンプルアーム内の所与の散乱体の経路長にマッチングした際に干渉パターンを生成する。TD−OCT法の場合には、広帯域幅の光310を干渉計に入力し、基準アーム325及びサンプルアーム345に分離又はスプリットさせることができる。基準アームミラー320を並進させることにより、基準アームの光学経路長を走査する。基準アーム325及びサンプルアーム345から戻ってきた光をスプリッタ330において合成する。サンプルアーム経路長が光のコヒーレンス長以内において基準アーム経路長にマッチングした際に、干渉縞を検出可能である。縞パターンを検出することにより、組織の反射率を所与の軸又は深度場所にマッピングする1軸方向の走査(Aライン)を構築可能である。このプロセスをサンプル上の連続した横方向の場所において反復することにより、画像が生成可能である。
【0019】
従来のOCT技法において一度に照射できるのは、サンプル上の1つの単一のスポットのみである。本発明の模範的な実施例によれば、この代わりに、サンプル360上の横方向の一次元を同時に照射することにより、遠端オプティクスによって複数のビーム370を合焦可能である。干渉計信号の周波数の分析によってOCT画像全体を再構築できるように、サンプル360上のそれぞれの個別のビーム又はスポットを周波数によってエンコード可能である。この模範的なOCTのパラダイムの別の利点は、基準アームの経路長走査を格段に低速において実行可能であり、この結果、従来の機械的な経路長走査法によるリアルタイムフレームレートにおけるOCT画像の生成が可能になるという点にある。
【0020】
(模範的なシステムの概要)
本発明によるシステムの模範的な実施例の側部概略図が図4及び図5に示されている。例えば、それぞれの装置は、放射源400、500、(サンプル460、560に入射する)サンプル経路及び(基準410、510に入射する)基準経路、並びに、検出器470、570を包含可能である。図4のカテーテル430は、カテーテルの遠端に複数スポット生成(Multiple Spot Generating:MSG)装置440を有する単一の光ファイバ435を包含可能である。或いは、この代わりに、図5のように、MSG装置580をカテーテル530の近端に配置することにより、光ファイバアレイ535を照射することも可能である。この結果、サンプル460、560上の複数の地点450、550が照射されることになる。
【0021】
(複数スポット生成(MSG)装置)
本発明によるMSG装置の模範的な一実施例の概略図の拡大図が図6に示されている。光ファイバ600から放射されたビームを、ミラートンネル又は光導波路630、640への入力において、レンズ610によって1つのスポットに合焦することによって発散させている。ミラートンネルの反対側の端部650に位置するレンズにより、1次元のラインに沿って仮想的な光源又はビームを描いている。光は、サンプル660から反射し、その共役経路に沿って戻ることになる。この本発明による光学システムの模範的な実施例は、ファイバの開口に起因したぼやけた光の共焦点拒絶(confocal rejection)を提供している。
【0022】
この模範的な光学装置の形状に起因し、それぞれのビーム(In)670を形成している光は、ミラーの中の1つからn回にわたって反射されている。この同一のビームは、反対側のミラーからn−1回にわたって反射される。1つ又は両方のミラー630、640が、圧電トランスデューサなどの電気機械的アクチュエータを使用して移動する場合には、それぞれの個別のビームに位相シフトnvdを付与可能あり、ここで、vdは、1つの可動ミラーからの二重通過反射によって付与されるドップラーシフトである。
【0023】
d=4ν/λ
【0024】
プローブから戻った信号をヘテロダイン検出することにより、ドップラーシフト周波数0、vd、2vd、...、nvdを同時計測可能である。それぞれの地点からの反射率は、タップ付き帯域通過フィルタ又は傾斜周波数混合復調を使用して判定可能である。信号の帯域幅は、エイリアシング(画像のギザギザ)を回避するべく、1/2vdを上回ってはならない。
【0025】
(図6の模範的な装置のコンポーネントの簡単な説明)
1.レンズ610:GRIN、円筒形、平凸、凸凸、ドラム、ボール、非球面、複合要素。非対称ホログラフィック拡散器
2.ミラー630および/または640:誘電体、無指向性ミラー、コーティングされていない金属
3.ミラー動作メカニズム635:圧電トランスデューサ、カンチレバー
4.レンズ650:GRIN(OCT)、平凸、凸凸、ドラム、ボール、非球面、複合要素(共焦点)
【0026】
(共役対称性)
図6を参照して前述した模範的な2ミラーシステムは、共役対称性を具備している。両方のミラーが、同期しており、且つ、同一の変調周波数を具備している場合には、同一次数の正の及び負のビームは、同一のドップラーシフトを具備可能である。正及び負の次数の弁別は、2つのミラー630、640を異なる位相によって変調すると共に、位相感知検出を実行することによって実現可能である。或いは、この代わりに、それぞれのミラーの異なる周波数による変調による周波数インターリンビングにより、それぞれの正及び負の次数を弁別することも可能である。
【0027】
(代替ミラー構成)
1.2ミラー(N=2)装置は、ビームの1次元アレイを生成可能である。
2.三角ミラートンネル(N=3)は、ビームの2次元六角形アレイを生成可能である。
3.矩形アレイ(N=4)は、ビームの直線アレイを生成可能である。
4.更に高次の次数(N=5、6)は、更に複雑な2次元パターンを生成可能である。
5.円筒形導波路は、サンプル上に複数次数のリングを生成可能である。
【0028】
N=2のミラーの使用は、アスペクト比を1:1に維持可能であるという利点を具備可能である。更には、この模範的な構成によれば、2次元のエリアを照射可能であり、これは、内視鏡共焦点顕微鏡法に特に好適である。2次元照射の欠点は、検出メカニズムの複雑化と、ミラーをコーティングするための高反射率要件を包含可能である。
【0029】
((N=2構成を有する)模範的な装置の実施例)
10μmのミラーの間隔(d)、2.0mmのミラーの長さ(L)、及び100°の入力発散角を使用することにより、本発明の模範的な実施例を使用して合計520地点を同時に照射し検出することが可能である。0.997のミラー反射率を仮定した場合には、走査エッジにおける最大二重通過蓄積損失は、6.0dBとなろう。より大きな角度において最大反射を提供する誘電体コーティングを指定することにより、この損失を極小化可能である。
【0030】
(内視鏡共焦点アプリケーション)
例えば、SECMの低速走査軸を提供するSECMとの関連においてN=2構成を使用可能である。又、模範的な(N=2を有する)MSG装置を使用することにより、内視鏡共焦点顕微鏡法の高速走査軸を提供することも可能である。1つの有益な選択肢は、N>2構成の使用であり、これは、完全な2次元走査を提供可能である。
【0031】
(クロストーク)
サンプル上の(2M+1)個のピクセルごとにクロストークが発生可能である。M個のミラーを変調することにより、クロストーク周波数のインターリービングを実現可能である。クロストークは、サンプル上の(2M++)照射スポット間に存在しているため、Nを増加させると共にすべてのN=M個のミラーを変調することにより、N及びMの増大と共にクロストークチャネルの間隔を増大可能である。例えば、N=M=2の場合には、クロストークは、互いから4スポット直径だけ離れたスポットにおいて発生する。N=Mが3に増大した場合には、互いから6直径だけ離れたスポットにおいてクロストークが発生する。又、スポット間の間隔を増大するか、或いは、ミラートンネルの1/Nを照射すると共に1つのミラーのみを変調することにより、クロストークを低減することも可能である。
【0032】
(MSGスポットの対称性)
MSGの照射が模範的なMSG装置の中心に位置している際には、同一の周波数シフト及び経路長変動がMSGの中心の周りに対称的に発生する。スポット次数の曖昧さを回避するべく、これらの対称性のプレーンを破壊しなければならない。この対称性を破壊するための1つの方法は、中心からわずかにオフセットされた場所においてMSG装置を照射する方法である。この対称性を破壊する別の方法は、わずかに異なる長さ又は角度のミラーを利用する方法であろう。
【0033】
(装置の電気光学的な模範的実施例)
前述の説明においては、サンプル上に複数のスポットを生成するべく、中空のミラーに基づいた導波路の使用法について説明した。本発明の模範的な代替実施例は、シリコン/ガラス/水晶導波路を使用可能であり、これは、自己結像効果を生成することにもなろう。又、導波路は、電気光学材料を包含することも可能であろう。この場合には、異なるスポット次数の位相を独立的に変調するように、水晶に印加された電圧によって異常及び正常屈折率を変更することになる。この構成は、物理的にミラーの距離を変調するのと同一の効果をもつことが可能である。
【0034】
(断層映像法(OCT)アプリケーション)
標準的な軸方向(深度)優先走査OCTの場合には、MSG装置を使用することにより、OCTプローブ内において低速走査軸を提供可能である。これにより、OCTプローブの遠端における画像生成が可能となり、この結果、カテーテル/内視鏡プローブの近端から遠端に動きを変換するべくケーブルを使用した際に見出される束縛及びNURD(Non−Uniform Rotational Defect:非均一回転欠陥)などのアーチファクトを除去可能である。
【0035】
MSG装置は高速画像生成能力を有しているため、OCTの優先順位を軸方向から横断に変更可能である。本発明のこの模範的な変形は、RSOD(Rapidly Scanning Optical Delay line:高速走査光学遅延ライン)の要件を大幅に減少可能であり、これにより、OCTシステムの走査速度を大幅に増大可能であろう。
【0036】
(模範的なOCT円周画像生成カテーテルの設計)
(図7の模範的なMSG装置の拡大概略図に示されているように)方向が空間的に変化している格子760を内蔵することにより、不均一な動きを除去し、円周OCT画像生成を実現可能である。この格子は、ドップラーエンコーディングされたビームのライン又は2次元のアレイを取得し、このパターンを円770にマッピングしている。この模範的な技法の適用は、冠状動脈のOCT画像生成用に望ましいであろう。MSG装置による円周画像生成を実現する本発明の別の模範的な実施例においては、図7のカスタム格子760の代わりにヘリカルミラーを挿入している。
【0037】
(MSG装置の模範的な代替実施例)
図8に示されているように、本発明によるMSG装置の別の模範的な実施例は、それぞれのファイバに別個のドップラー周波数が付与されるように構成されたスターカプラ810又は複数のファイバ820に提供された単一ファイバ入力800を包含可能である。これらのドップラー周波数は、圧電ファイバストレッチャ、電気光学変調器、又は音響光学変調器830を使用して適用可能である。次いで、それぞれの個別のファイバを導いて遠端オプティクス855によってサンプル850上の単一スポットに合焦し、それぞれの固有のスポットを周波数によってエンコード可能である。
【0038】
(OCT及び共焦点顕微鏡法用の合成開口ビーム走査)
横断走査メカニズムを考慮していない本発明によるOCT又は共焦点画像生成と共に使用される別の模範的な実施例においては、(図9に示されているように)1次元又は2次元のファイバアレイ935を使用可能である(この場合には、それぞれのファイバ内の光の位相を制御可能であろう(930又は960))。それぞれのファイバ内の光の位相を制御するための構成は、個別のファイバの機械的な操作(例えば、圧電トランスデューサ)又はアレイの入力における(例えば、液晶空間光変調器を介した)それぞれのファイバの位相制御を包含可能である。それぞれの個別チャネルの位相を制御することにより、それぞれのファイバからの出力は、サンプル上において1つ又は複数の焦点950を生成するべく、その他のファイバからの出力と干渉可能であり、次いで、これを走査可能である。カテーテル/内視鏡の端部のファイバ束の遠端面に回折オプティクス又はヘリカルミラーを挿入することにより、円周走査を実施可能である。
【0039】
(検出)
ヘテロダイン検出を使用することによって高感度を実現可能である。基準アーム410が変調されると、サンプルアーム及び基準アームからの光の干渉も変調されることになる。この結果、基準アームの変調周波数上におけるロックイン検出により、大きな信号対雑音比を実現可能である。MSGを通じて伝播したそれぞれの異なる経路長の結果として様々なスポット次数における様々なスペクトル干渉縞周波数を検出するSD−OCTやOFDIなどの周波数ドメイン法を利用することも可能である。
【0040】
以上は、本発明の原理を例示したものに過ぎない。本明細書における開示内容に鑑み、当業者には、説明した実施例に対する様々な変更及び変形が明らかであろう。実際に、任意のOCTシステム、OFDIシステム、又はその他の画像生成システム、並びに、例えば、2003年10月27日付けで出願された米国仮特許出願第60/514,769号及び2003年1月24日付けで出願された国際特許出願第PCT/US03/02349号(これらの開示内容は、本引用により、そのすべてが本明細書に包含される)に記述されているものなどと共に本発明の模範的な実施例による構成、システム、及び方法を使用可能である。従って、当業者であれば、本明細書には明示的に図示及び説明されてはいないが、本発明の原理を実現しており、従って、本発明の精神及び範囲内に属する様々なシステム、構成、及び方法を考案可能であることを理解されたい。更には、従来技術の知識は、本明細書における先程の引用によって明示的に除外されていない限り、そのすべてが本明細書に明示的に包含されている。本明細書において先程引用されたすべての文献は、引用によってそのすべてが本明細書に包含されている。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】従来(PRIOR ART)のOCTカテーテルの側面断面図である。
【図2】バレット食道を患っている被検体から採取された図1の従来のOCTカテーテルを使用したOCT画像であり、これは、不均一な直線的な動きのアーチファクトを示す図である。
【図3】本発明の模範的な一実施例による時間ドメイン(「TD」−OCT)において潜在的に移動するか、又はスペクトルドメイン(「SD」−OCT)において固定状態に留まることができる基準アームミラー、或いは、OFDI(Optical Frequency Domain Imaging:光学周波数ドメイン画像生成)技術を有している周波数エンコードされた複数ビームOCTシステムの概略側面図である。
【図4】本発明の別の模範的な実施例によるカテーテルの遠端に単一モードファイバ及び複数ビーム生成要素を含んでいる複数ビーム光学画像生成システムの概略側面図である。
【図5】本発明の更に別の模範的な実施例によるカテーテルの近端にファイバアレイ及び複数ビーム生成要素を含んでいる複数ビーム光学画像生成システムの概略側面図である。
【図6】2つのミラーを含む本発明によるMSG(Multiple Spot Generating:複数スポット生成)装置の模範的な実施例の拡大概略図である。
【図7】円周走査パターンを生成するべく使用可能なMSG装置の別の模範的な実施例の拡大概略図である。
【図8】サンプル上においてそれぞれの別個のビームを変調するべく使用可能な本発明による光ファイバ構成の模範的な実施例の側部概略図である。
【図9】合成開口ビーム走査用の光ファイバ構成の別の模範的な実施例の側面概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの電磁放射を伝播させるべく適合された装置において、
生物学的サンプルを照射するべく意図された複数のビームに前記少なくとも1つの電磁放射をスプリットさせると共に、固有の関連する特性を前記ビームのそれぞれに付与するべく特別に構成された導波路装置を備えたことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記導波路装置は、マルチモード導波路、マルチモード光ファイバ、及びミラートンネルの中の少なくとも1つである請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの電磁放射を受光すると共に、前記導波路装置内、及びその近傍の中の少なくとも一方に第1放射を生成する第1照射手段と、
前記第1放射に基づいて少なくとも1つの第2放射を受光する第2照射手段と、
を更に有する請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの第2放射は、前記第1放射の近似である請求項3記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの第2放射は、サンプル上の1つ又は複数の個別の場所において提供される請求項3記載の装置。
【請求項6】
前記第1照射手段は、光ファイバを含んでいる請求項3記載の装置。
【請求項7】
前記第1照射手段は、レンズを更に含んでいる請求項6記載の装置。
【請求項8】
前記ビームの前記固有の関連する特性を変更するために、前記導波路装置を制御するべく構成された更なる装置を更に有する請求項3記載の装置。
【請求項9】
前記固有の関連する特性は、前記個別のビームの経路長及び位相の中の少なくとも一方を含んでいる請求項8記載の装置。
【請求項10】
前記更なる装置は、前記導波路装置の構造的な特性を変更することによって前記導波路装置を制御する請求項8記載の装置。
【請求項11】
前記導波路装置の構造的な特性の変更は、前記導波路装置の断面との関係に対して非対称なものである請求項10記載の装置。
【請求項12】
前記更なる装置は、前記導波路装置の光学特性を変更することによって前記導波路装置を制御する請求項8記載の装置。
【請求項13】
前記光学特性は、屈折率を含んでいる請求項11記載の装置。
【請求項14】
前記第2照射手段は、前記第2放射を前記サンプル上に既定のパターンとして生成するべく構成された更なる照射手段を含んでいる請求項11記載の装置。
【請求項15】
前記既定のパターンは、略円形である請求項14記載の装置。
【請求項16】
前記導波路装置は、前記ビームを伝達するべく構成された複数のファイバを含んでいる請求項5記載の装置。
【請求項17】
前記ファイバに沿って伝播する前記ビームの前記固有の関連する特性を変更し、これにより、前記サンプル上の前記個別の場所における前記特性を変更するために、前記ファイバの中の少なくとも1つ又は前記ファイバへの入力を制御するべく構成された制御装置を更に有する請求項16記載の装置。
【請求項18】
前記サンプルから反射された第3放射が前記導波路装置を通じて返送され、該第2放射は前記第2放射に基づいている請求項5記載の装置。
【請求項19】
基準に対して伝達することを意図した前記少なくとも1つの電磁放射の一部を伝播させるべく構成された基準アーム部を更に有する請求項18記載の装置。
【請求項20】
前記第3放射と前記基準アームから戻された第4放射を合成して干渉放射を生成する第1装置と、
前記干渉放射を検出するべく構成された第2装置と、
前記干渉放射に基づいて前記サンプル上の前記個別の場所から戻された前記第3放射に対応するデータを生成するべく構成された第3装置と、
を更に有する請求項19記載の装置。
【請求項21】
処理装置は、前記データに基づいて前記サンプルの少なくとも一部分の画像を生成するべく更に構成されている請求項20記載の装置。
【請求項22】
前記第2放射に基づいた前記サンプルから反射された第3放射を受光するべく適合された放射受光手段を更に有する請求項5記載の装置。
【請求項23】
前記少なくとも1つの電磁放射は、チューニング可能な中心波長を具備した狭帯域光源によって生成される請求項3記載の装置。
【請求項24】
前記少なくとも1つの電磁放射は、広帯域光源によって生成され、前記第2放射と関連付けられた前記サンプルから反射された第3放射と、前記基準アームセクションから戻された更なる放射が、互いに干渉すると共に、分光計装置によって受光されるべく適合されている請求項23記載の装置。
【請求項25】
前記導波路装置を収容するプローブを更に有する請求項1記載の装置。
【請求項26】
前記プローブは、カテーテル、内視鏡、又は腹腔鏡の中の少なくとも1つである請求項25記載の装置。
【請求項27】
前記構成は、プローブ、内視鏡、又はカテーテルの中の少なくとも1つである請求項1記載の装置。
【請求項28】
少なくとも1つの電磁放射を伝播させるべく適合された装置において、
個別の場所において生物学的サンプルを照射するべく意図された複数のビームに前記少なくとも1つの電磁放射を分離すると共に、固有の関連する特性を前記ビームのそれぞれに付与するべく特別に構成された導波路装置であって、前記ビームを伝達するべく構成された複数のファイバを含む導波路装置と、
前記ファイバに沿って伝播する前記ビームの前記固有の関連する特性を変更し、これにより、前記サンプル上の前記個別の場所の前記特性を変更するために、前記ファイバの中の少なくとも1つ及び前記ファイバへの入力を制御するべく構成された制御装置と、
を備えたことを特徴とする装置。
【請求項29】
少なくとも1つの電磁放射を伝播させるべく適合された装置において、
単一の場所において生物学的なサンプルを照射するべく意図された複数のビームに前記少なくとも1つの電磁放射を分離するべく特別に構成された導波路装置であって、前記ビームを伝達するべく構成された複数のファイバを有する導波路装置と、
前記ファイバに沿って伝播する前記ビームの固有の関連する特性の中の少なくとも1つを変更し、これにより、前記サンプル上の前記単一の場所を照射するために、前記ファイバの中の少なくとも1つ及び前記ファイバへの入力を制御するべく構成された制御装置であって、前記単一の場所は、前記ビームの前記固有の関連する特性によって判定される、制御装置と、
を備えたことを特徴とする装置。
【請求項30】
少なくとも1つの電磁放射を伝播させる方法において、
導波路装置を使用して生物学的なサンプルを照射するべく意図された複数のビームに前記少なくとも1つの電磁放射を分離する段階であって、前記導波路装置は、固有の関連する特性を前記ビームのそれぞれに付与するべく特別に構成されている段階を備えたことを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2008−521516(P2008−521516A)
【公表日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−543626(P2007−543626)
【出願日】平成17年11月29日(2005.11.29)
【国際出願番号】PCT/US2005/043951
【国際公開番号】WO2006/058346
【国際公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(592017633)ザ ジェネラル ホスピタル コーポレイション (177)
【Fターム(参考)】