説明

サーチ受信装置

【課題】監視対象外の周波数(例えば出現頻度の低い周波数など)を検出することなく、効率良く出現周波数の検出を行える電波監視用に好適なサーチ受信装置を提供する。
【解決手段】出現頻度算出部6は、算出条件設定部13で設定された出現頻度算出条件に基づいて、閾値設定部12で設定された閾値を超えた受信信号の出現頻度を算出し、周波数設定部7は、出現頻度算出部6が算出した出現頻度データに基づいて、受信部8が受信できる通信波の周波数を設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、違法な電波などの周波数を監視するために、受信する通信波の周波数を順次検出(探索)するサーチ受信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の技術では、サーチ受信を実施する場合は、受信する通信波の受信レベルによって出現周波数(すなわち、アンテナが受信する通信波の受信信号周波数)を検出するか否かを判断しているので、設定した受信レベル以上の出現周波数は全て検出してしまう。
すなわち、監視対象外の検出を必要としない通信波であっても、受信した信号のレベルが設定したレベル以上であれば、その周波数を全て検出してしまう。
設定した受信レベル以上の出現周波数を全て検出しないようにするためには、検出したくない通信波の周波数をあらかじめ設定(登録)しておく必要があった。
そこで、従来の電波監視システムなどに用いられるサーチ受信装置では、例えば、監視対象外のテレビ放送波の周波数などは検出しないように、あらかじめ設定しておく。
【0003】
また、特許文献1(特開2010−133766号公報)には、「受信電波(受信通信波)のスペクトラムデータを出力する監視受信機を備え、方探信号処理器において、スペクトラムデータから得られる電解強度と周波数偏移量に基づいて、実際に受信する電波(通信波)の周波数を検出して測定周波数を補正し、方探受信機に対して補正した測定周波数を設定する電波監視装置」が記載されている。
特許文献1に記載されているような従来の電波監視装置では、受信している多くの通信波の周波数を漏れなく効率良くサーチすることができず、検出する周波数の取りこぼしが発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−133766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
サーチ受信を実施する際に一定以上の受信レベルの出現周波数を検出する従来の方法では、「ある特定の周波数は検出しないように設定した」としても、変調の帯域幅やサイドローブによる同信号の連続検出が発生して、時々刻々と変化する出現周波数の検出を取りこぼしてしまうという問題を有している。この問題は、サーチする周波数範囲が広帯域になるほど顕著に現れる。
【0006】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、電波監視において、広帯域な周波数範囲から周波数をサーチ受信するような場合であっても、受信する周波数の検出取りこぼしを減らし、効率的に周波数を検出することができるサーチ受信装置を得ることを目的とする。
なお、「受信する周波数の検出取りこぼしを減らし、」とは、「受信器が受信している周波数(出現周波数)を効率良くサーチ(探索あるいは検出)していくことによって、できるだけ多くの周波数を受信するようにする」ことを言う。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るサーチ受信装置は、広帯域の通信波を受信する受信器と、前記受信器を制御する制御器から構成されたサーチ受信装置であって、 前記受信器には、分配部、広帯域受信部、スペクトル生成部、閾値検出部、検出データ蓄積部、出現頻度算出部、周波数設定部、受信部および復調部が設けられており、
前記制御器には、周波数範囲設定部、表示部、閾値設定部、算出条件設定部、復調設定部および再生部が設けられており、
前記分配部は、受信した広帯域の通信波を2分配し、分配した一方の通信波を前記広帯域受信部に入力し、分配した他方の通信波を前記受信部に入力し、前記周波数範囲設定部は、前記広帯域受信部が受信する受信周波数の周波数範囲を設定し、前記広帯域受信部は、前記分配部から入力する広帯域の通信波をIF信号に変換後、変換されたIF信号をAD変換してデジタルデータとし、前記スペクトル生成部は、前記広帯域受信部が受信した広帯域の通信波のスペクトルを生成し、生成したスペクトルを前記閾値検出部へ入力し、前記閾値検出部は、前記スペクトル生成部から入力するスペクトルと前記閾値設定部で設定された閾値を比較し、設定された閾値を超える信号レベルの受信周波数を検出し、前記検出データ蓄積部は、前記閾値検出部で検出された受信信号の情報を蓄積し、前記出現頻度算出部は、前記算出条件設定部で設定された出現頻度算出条件に基づいて、閾値設定部で設定された閾値を超えた受信信号の出現頻度を算出し、前記周波数設定部は、前記出現頻度算出部が算出した出現頻度データに基づいて、前記受信部が受信できる通信波の周波数を設定し、前記受信部は、前記分配部から入力する信号をIF信号に変換した後に、AD変換にてデジタルデータに変換し、変換されたデジシタルを前記復調部へ入力し、前記復調部は、前記復調設定部設定された復調方式にて、符号化されたデータを復調し、前記再生部は、前記復調部で復調されたデータを再生するものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、出現頻度算出部は、算出条件設定部で設定された出現頻度算出条件に基づいて、閾値設定部で設定された閾値を超えた受信信号の出現頻度を算出し、周波数設定部は、出現頻度算出部が算出した出現頻度データに基づいて受信部が受信できる通信波の周波数を設定するので、サーチ受信の際に、不必要な周波数(すなわち、監視対象外の周波数である出現頻度の低い周波数)を検出することなく、効率良く周波数検出を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施の形態1に係るサーチ受信装置の構成を表す図である。
【図2】実施の形態1に係るサーチ受信装置の主要部の動作を説明するためのフローチャートである
【図3】実施の形態2に係るサーチ受信装置の構成を表す図である。
【図4】実施の形態3に係るサーチ受信装置の構成を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づいて、本発明の一実施の形態例について説明する。
なお、各図間において、同一符号は同一あるいは相当のものであることを表す。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係るサーチ受信装置の構成を示す図である。
本実施の形態に係るサーチ受信装置は、図1に示すように、広帯域の通信波をサーチ受信するための受信器100と、該受信器100の動作を制御すると共に受信器100から出力する復調されたデータを再生する制御器200とで構成される。
受信器100には、分配部1、広帯域受信部2、スペクトル生成部3、閾値検出部4、検出データ蓄積部5、出現頻度算出部6、周波数設定部7、受信部8および復調部9が設けられている。
また、制御器200には、周波数範囲設定部10、表示部11、閾値設定部12、算出条件設定部13、復調設定部14および再生部15が設けられている。
【0011】
受信器100に設けられた分配部1は、アンテナで受信した広帯域の通信波を2分配し、分配された一方の通信波を広帯域受信部2に入力し、分配された他方の通信波を受信部8に入力する。
制御器200に設けられた周波数範囲設定部10は、受信器100の広帯域受信部2が受信する受信周波数の周波数範囲を設定する。なお、監視対象の周波数範囲は、ユーザにて任意に設定する。
【0012】
受信器100に設けられた広帯域受信部2は、分配部1で分配された一方の通信波である受信した広帯域の通信波をIF信号に変換後、変換されたIF信号をAD変換してデジタルデータ(例えば、IQデータ)を得る。そして、得たデジタルデータ(IQデータ)をスペクトル生成部3へ出力する。
なお、アナログ信号(IF信号)をデジタルデータ(IQデータ)に変換することにより、デジタル機器での扱い(信号処理や蓄積など)を容易にすることができる。
【0013】
スペクトル生成部3は、広帯域受信部2から得た信号をFFT処理(高速フーリエ処理)し、受信した広帯域の通信波のスペクトルを生成する。そして、生成されたスペクトルは閾値検出部4へ入力される。
また、スペクトル生成部3から出力する広帯域の通信波のスペクトルは、制御器200の表示部11に入力され、表示部11の表示画面に表示される。
【0014】
ユーザは、表示部11の表示画面に表示されたスペクトル(すなわち、各受信周波数の信号レベル)を目視にて確認しながら、「検出が必要な周波数のスペクトルであるか」または「不必要な周波数のスペクトルであるか」を判断する。
そして、ユーザは、閾値設定部12によって、「検出が不必要なスペクトルの周波数であると判断した周波数」を受信部8にて検出しないように閾値を設定する。
受信器100の閾値検出部4は、スペクトル生成部3から入力される広帯域の通信波のスペクトル(各受信周波数の信号レベル)と閾値設定部12で設定された閾値を比較し、設定された閾値を超える信号レベルの受信周波数を検出する。
検出データ蓄積部5は、閾値設定部12で設定された「閾値を超えた受信信号の情報(例えば、周波数情報、信号レベル情報など)」を蓄積する。
検出データ蓄積部5に蓄積された「閾値を超えた受信信号の情報」は、受信器100の出現頻度算出部6に入力される。
【0015】
制御器200の算出条件設定部13は、出現頻度算出部6に対して、出現頻度算出条件(例えば、過去1時間において周波数F1の出現頻度がX回以上、あるいは過去1時間において周波数F1の出現頻度がY回以下、など)を設定する。
受信器100の出現頻度算出部6は、算出条件設定部13にて設定された出現頻度算出条件に基づいて、「閾値設定部12で設定された閾値」を超えた受信信号の出現頻度算出を行う。
例えば、過去1時間における蓄積データから、閾値を超えた受信信号の周波数をカウントして出現頻度を算出する。
【0016】
出現頻度算出部6に、あらかじめデータベース(周波数情報、信号レベル情報、出現時間など)を用意しておくことによって、上記したような出願頻度算出条件にて出願頻度を速やかに算出できる。データベースでは、周波数情報、信号レベル情報、出現時間なども管理する。
なお、後述するように、出願頻度算出条件を重ねることにより、「雑音や出現頻度が極端に低いような周波数信号」あるいは「テレビ放送のような常時出現している周波数信号」などを検出対象(すなわち、監視対象)から除外することができる。
【0017】
周波数設定部7は、出現頻度算出部6が算出した周波数(すなわち、閾値設定部12で設定された閾値を超えたレベルを有した受信信号の周波数)をリスト化して、受信部8に設定(登録)する。すなわち、周波数設定部7は、出現頻度算出部6が算出した周波数データ(すなわち、出現頻度データ)に基づいて、受信部8が受信できる通信波の周波数を設定する。
これにより、受信部8は、周波数設定部7で設定された周波数の通信波(受信信号)のみが受信可能となる。
【0018】
受信部8には、分配部1で分配された他方の通信波が入力され、周波数設定部7で設定された周波数の通信波を受信する。
受信部8は、受信した信号をIF信号に変換(ダウンコンバート)した後に、AD変換にてデジタルデータに変換し、AD変換にてデジタルデータに変換されたデータは復調部9へ入力する。
復調部9は、制御器200の復調設定部14で設定された復調方式にて、「符号化されたデータ」を復調する。復調部9で復調されたデータは、制御器200の再生部15にて再生され、再生データとして再生部15から出力される。
【0019】
図2は、実施の形態1によるサーチ受信装置の主要部の動作を説明するためのフローチャートである。
まず、閾値設定部12によって、不必要なスペクトルの受信周波数を受信部8にて検出しないように、スペクトル生成部3から入力される広帯域の通信波のスペクトルに対して閾値が設定される。(ステップS101)
次に、閾値検出部4によって、スペクトル生成部3から入力される広帯域の通信波のスペクトル(各受信周波数の信号レベル)と閾値設定部12で設定された閾値とを比較し、設定された閾値よりレベルが高い受信信号の周波数を検出する。(ステップS102)
なお、ステップS102において、検出された受信信号の信号レベルが設定された閾値より高くない場合は、処理を終了する。
【0020】
検出された受信信号の信号レベルが設定された閾値より高い場合には、受信信号の情報(例えば、周波数情報、信号レベル情報などの検出データ)を検出データ蓄積部5に蓄積する。(ステップS103)
次に、算出条件設定部13は、出現頻度算出部6に対して出現頻度算出条件を設定する。(ステップS104)
出現頻度算出部6は、例えば、過去1時間において出現頻度がX回以上であるか否かを判定し(ステップS105)、出現頻度がX回以上であれば、続いて過去1時間において出現頻度がY回未満であるか否かを判定し(ステップS106)、出現頻度がY回未満であれば、次ステップS107へ進む。
ステップS105で出現頻度がX回以上でない場合、およびステップS106で出現頻度がY回未満でない場合は、処理を終了する。
【0021】
ステップS106において出現頻度がY回未満であれば、周波数設定部7は、出現頻度算出部6が算出した周波数データ(出現頻度データ)に基づいて、受信部8が受信できる通信波の周波数を設定する。(ステップS107)
これにより、受信部8は、設定された周波数の通信波のみが受信可能となり、サーチ受信が可能となる。(ステップS108)
【0022】
本実施の形態では、設定した閾値よりレベルの高い検出データを検出データ蓄積部5に蓄積し、その蓄積したデータを用いて出現頻度算出部6にて出現頻度を算出する。
さらに、出現頻度算出部6は、算出条件設定部13で設定された条件に基づいて、閾値設定部12で設定された閾値を超えたレベルの受信信号の出現頻度算出を行う。 そして、例えば、過去1時間における検出データから出現頻度X回以上の検出データを選定し、さらに、その中から出現頻度Y回未満の検出データを選定する。
そうすることで、「出現頻度が低い雑音」および「出現頻度が高く常時出現しているような通信波」はサーチ対象から外して、出現周波数を効率良くサーチ受信することが可能となる。
また、出現頻度算出を常時または定期的に実施し、サーチ受信装置に対して、受信する通信波の周波数を設定することによって、時間帯によって変化する出現周波数にも自動的に対応でき、不要なサーチを除くことが可能となる。
【0023】
以上説明したように、実施の形態1によるサーチ受信装置は、広帯域の通信波を受信する受信器100と、受信器100を制御する制御器200から構成されたサーチ受信装置であって、受信器100には、分配部1、広帯域受信部2、スペクトル生成部3、閾値検出部4、検出データ蓄積部5、出現頻度算出部6、周波数設定部7、受信部8および復調部9が設けられており、制御器200には、周波数範囲設定部10、表示部11、閾値設定部12、算出条件設定部13、復調設定部14および再生部15が設けられている。
【0024】
そして、分配部1は、受信した広帯域の通信波を2分配し、分配した一方の通信波を広帯域受信部2に入力し、分配した他方の通信波を受信部8に入力し、周波数範囲設定部10は、広帯域受信部2が受信する受信周波数の周波数範囲を設定し、広帯域受信部2は、分配部1から入力する広帯域の通信波をIF信号に変換後、変換されたIF信号をAD変換してデジタルデータとし、スペクトル生成部3は、広帯域受信部2が受信した広帯域の通信波のスペクトルを生成し、生成したスペクトルを閾値検出部4へ入力し、閾値検出部4は、スペクトル生成部3から入力するスペクトルと閾値設定部12で設定された閾値を比較し、設定された閾値を超える信号レベルの受信周波数を検出する。
【0025】
検出データ蓄積部5は、閾値検出部4で検出された受信信号の情報を蓄積し、出現頻度算出部6は、算出条件設定部13で設定された出現頻度算出条件に基づいて、閾値設定部12で設定された閾値を超えた受信信号の出現頻度を算出し、周波数設定部7は、出現頻度算出部6が算出した出現頻度データに基づいて、受信部8が受信できる通信波の周波数を設定し、受信部8は、分配部1から入力する信号をIF信号に変換した後に、AD変換にてデジタルデータに変換し、変換されたデジタルデータを復調部9へ入力し、復調部9は、復調設定部14で設定された復調方式により、符号化されたデータを復調し、再生部15は、復調部9で復調されたデータを再生する。
【0026】
本実施の形態によれば、出現頻度算出部6は、算出条件設定部13で設定された出現頻度算出条件に基づいて、閾値設定部12で設定された閾値を超えた受信信号の出現頻度を算出し、周波数設定部7は、出現頻度算出部6が算出した出現頻度データに基づいて、受信部8が受信できる通信波の周波数を設定するので、広帯域な通信波の電波監視において、サーチ受信の際に不必要な周波数(すなわち、出現頻度の低い周波数)を検出することなく、効率良く周波数検出を行うことができる。
【0027】
実施の形態2.
図3は、実施の形態2に係るサーチ受信装置の構成を示す図である。
本実施の形態によるサーチ受信装置は、図3に記すように、実施の形態1のサーチ受信装置において、受信器に出現間隔算出部を追加して備えたことを特徴とする。
前述した実態の形態1では、周波数設定部7は、出現頻度算出部6が算出した出現頻度データに基づいて受信部8が受信できる通信波の周波数を設定したが、本実施の形態では、周波数設定部7は、「出現頻度算出部6が算出した出現頻度データ」および「出現間隔算出部16が算出する出現間隔データ」の両データに基づいて、受信部8が受信できる通信波の周波数を設定することを特徴とする。
【0028】
実施の形態1と同様に、広帯域受信部2は、周波数範囲設定部10にて設定された周波数のRF信号をIF信号に変換後、AD変換にてIF信号をデジタルデータ(IQデータ)に変換する。
このデジタルデータ(IQデータ)をスペクトル生成部3にてFFT処理を実施してスペクトルデータを生成し、表示部11にて表示する。
ユーザは、表示部11の画面に表示されたスペクトルを目視にて確認しながら、閾値を設定し、閾値検出部4にて、閾値を超えた検出データを検出データ蓄積部5へ蓄積する。
ここまでの動作は、前述の実施の形態1と同じである。
【0029】
本実施の形態では、算出条件設定部13から出現頻度および出現間隔算出の条件を入力いる。
そして、出現頻度算出部6は、検出データ蓄積部5に蓄積された検出データを元にして出現頻度を算出する。
さらに、出現間隔算出部16は、検出データ蓄積部5に蓄積された検出データを元にして、出現間隔に法則性(例えば、1秒周期で出現)がある周波数を算出し、そのデータに基づいて、周波数設定部7は受信部8に対してサーチ受信する周波数を設定する。
【0030】
以上説明したように、本実施の形態によるサーチ受信装置の算出条件設定部13は、受信信号の出現頻度算出条件および検出データ蓄積部から出力する受信信号の出現間隔算出条件を設定するものであって、算出条件設定部13で設定された出現間隔算出条件に基づいて、検出データ蓄積部5に蓄積される受信信号の出現間隔を算出する出現間隔算出部16を受信器100に備え、周波数設定部7は、出現頻度算出部6が算出した出現頻度データおよび出現間隔算出部16が算出する出現間隔データに基づいて、受信部8が受信できる通信波の周波数を設定する。
これにより、サーチ受信の際に不必要な周波数である出現頻度の低い周波数を検出することなく、効率良く周波数検出を行うことができると共に、デジタル変調のような「通信間隔に法則性のある周波数」に対しても効率良くサーチすることが可能である。
また、同じ原理で、通信間隔に法則性のある周波数をサーチ対象から除くことも可能である。
【0031】
なお、上記の説明では、受信器100に出現頻度算出部6と出現間隔算出部16の両方を設けた場合について説明したが、受信器100に出現間隔算出部16だけを設けた構成であってもよい。
【0032】
実施の形態3.
図4は、実施の形態3に係るサーチ受信装置の構成を示す図である。
本実施の形態によるサーチ受信装置は、図4に記すように、実施の形態1のサーチ受信装置において、受信器100にIQデータ蓄積部17と変調推定部18を追加して備えたことを特徴とする。
実施の形態1の場合と同様に、広帯域受信部2は、周波数範囲設定部10にて設定された周波数のRF信号をIF信号に変換後、変換されたIF信号をIQデータにAD変換してIQデータを得る。
【0033】
このIQデータをスペクトル生成部3にてFFT処理を実施してスペクトルデータを生成し、表示部11にて表示する。
表示部11で表示される情報を元に閾値を設定し、閾値検出部4にて、閾値を超えた検出データを検出データ蓄積部5へ蓄積する。
ここまでの動作は、前述の実施の形態1および実施の形態2と同じである。
本実施の形態では、広帯域受信部2で得たIQデータは、IQデータ蓄積部17にも蓄積され、蓄積されたIQデータは変調推定部18に入力される。
実施の形態1の場合と同様に、算出条件設定部13から出現頻度算出条件を出現頻度算出部6に入力し、出現頻度算出部6は、検出データ蓄積部5に蓄積された検出データから、出現頻度を算出する。
【0034】
さらに、変調推定部18は、算出条件設定部13から変調推定の条件を入力し、出現頻度算出部6から周波数情報を得ることによって、IQデータ蓄積部17に蓄積されたIQデータから受信信号の変調方式を推定する。
なお、算出条件設定部13が設定する「変調推定の条件」としては、例えば、「AM変調またはFM変調として推定される信号のみを受信する」と言った条件である。
「変調推定の条件」の設定の仕方としては、制御器200の画面上でユーザが「変調推定の条件」を設定する。
【0035】
周波数設定部7は、「出現頻度算出部6が算出する出現頻度」と「出現頻度変調推定部18が推定する受信信号の変調方式」に基づいて、受信部8が受信する受信信号の周波数を設定する。
すなわち、本実施の形態では、受信部8は、閾値設定部12にて設定された閾値を超えた受信信号のうちの対象となる変調方式の受信信号のみを受信する。
【0036】
以上説明したように、本実施の形態によるサーチ受信装置の受信器は、広帯域受信部2で得たIQデータを蓄積するIQデータ蓄積部17と変調推定部18を備え、
算出条件設定部13は、出現頻度算出条件および変調推定部15に対して変調条件を設定するものであって、
変調推定部18は、算出条件設定部13から変調推定の条件を入力し、出現頻度算出部6から周波数情報を得ることによって、IQデータ蓄積部17に蓄積されたIQデータから受信信号の変調方式を推定し、周波数設定部7は、出現頻度算出部6が算出した出現頻度データおよび変調推定部18が推定した変調方式に基づいて、受信部8が受信できる通信波の周波数を設定する。
【0037】
これにより、サーチ受信の際に不必要な周波数である出現頻度の低い周波数を検出することなく、効率良く周波数検出を行うことができると共に、デジタル変調のような「通信間隔に法則性のある周波数」に対しても効率良くサーチすることが可能である。
さらに、変調推定部18で推定された変調方式を、復調部9へ設定することも可能となる。
また、同じ原理で、特定の変調方式の周波数をサーチ対象から除くことも可能である。
なお、変調推定部18で推定された変調方式を復調部9へ設定する方法としては、下記3パターン(a〜c)が想定される。
a.ユーザが復調設定部14を用いて変調方式を選択し、設定する。
b.変調推定部18で推定された変調方式を自動的に設定する。
c.変調推定部18で推定された変調方式をユーザが参考にして、ユーザが復調設定部14を用いて変調方式を選択し、設定する。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、検出が不必要な監視対象外の周波数を検出することなく、効率良く出現周波数の探索が行える電波監視に好適なサーチ受信装置の実現に有用である。
【符号の説明】
【0039】
1 分配部 2 広帯域受信部 3 スペクトル生成部
4 閾値検出部 5 検出データ蓄積部 6 出現頻度算出部
7 周波数設定部 8 受信部 9 復調部
10 周波数範囲設定部 11 表示部 12 閾値設定部
13 算出条件設定部 14 復調設定部 15 再生部
16 出現間隔算出部 17 IQデータ蓄積部 18 変調推定部
100 受信器 200 制御器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
広帯域の通信波を受信する受信器と、前記受信器を制御する制御器から構成されたサーチ受信装置であって、
前記受信器には、分配部、広帯域受信部、スペクトル生成部、閾値検出部、検出データ蓄積部、出現頻度算出部、周波数設定部、受信部および復調部が設けられており、
前記制御器には、周波数範囲設定部、表示部、閾値設定部、算出条件設定部、復調設定部および再生部が設けられており、
前記分配部は、受信した広帯域の通信波を2分配し、分配した一方の通信波を前記広帯域受信部に入力し、分配した他方の通信波を前記受信部に入力し、
前記周波数範囲設定部は、前記広帯域受信部が受信する受信周波数の周波数範囲を設定し、
前記広帯域受信部は、前記分配部から入力する広帯域の通信波をIF信号に変換後、変換されたIF信号をAD変換してデジタルデータとし、
前記スペクトル生成部は、前記広帯域受信部が受信した広帯域の通信波のスペクトルを生成し、生成したスペクトルを前記閾値検出部へ入力し、
前記閾値検出部は、前記スペクトル生成部から入力するスペクトルと前記閾値設定部で設定された閾値を比較し、設定された閾値を超える信号レベルの受信周波数を検出し、
前記検出データ蓄積部は、前記閾値検出部で検出された受信信号の情報を蓄積し、
前記出現頻度算出部は、前記算出条件設定部で設定された出現頻度算出条件に基づいて、閾値設定部で設定された閾値を超えた受信信号の出現頻度を算出し、
前記周波数設定部は、前記出現頻度算出部が算出した出現頻度データに基づいて、前記受信部が受信できる通信波の周波数を設定し、
前記受信部は、前記分配部から入力する信号をIF信号に変換した後に、AD変換にてデジタルデータに変換し、変換されたデジシタルを前記復調部へ入力し、
前記復調部は、前記復調設定部で設定された復調方式にて、符号化されたデータを復調し、
前記再生部は、前記復調部で復調されたデータを再生することを特徴とするサーチ受信装置。
【請求項2】
前記算出条件設定部は、前記出現頻度算出条件および前記検出データ蓄積部から出力する受信信号の出現間隔算出条件を設定するものであって、
前記算出条件設定部で設定された出現間隔算出条件に基づいて、前記検出データ蓄積部に蓄積される受信信号の出現間隔を算出する出現間隔算出部を前記受信器に備え、
前記周波数設定部は、前記出現頻度算出部が算出した出現頻度データおよび前記出現間隔算出部が算出する出現間隔データに基づいて、前記受信部が受信できる通信波の周波数を設定することを特徴とする請求項1に記載のサーチ受信装置。
【請求項3】
前記受信器は、前記広帯域受信部で得たIQデータを蓄積するIQデータ蓄積部と変調推定部を備え、
前記算出条件設定部は、前記出現頻度算出条件および前記変調推定部に対して変調条件を設定するものであって、
前記変調推定部は、算出条件設定部から変調推定の条件を入力し、出現頻度算出部から周波数情報を得ることによって、IQデータ蓄積部17に蓄積されたIQデータから受信信号の変調方式を推定し、
前記周波数設定部は、前記出現頻度算出部が算出した出現頻度データおよび前記変調推定部が推定した変調方式に基づいて、前記受信部が受信できる通信波の周波数を設定することを特徴とする請求項1に記載のサーチ受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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