説明

サーバ、端末、機器およびそれらの紐付け方法、紐付けプログラム

【課題】機器特定情報とユーザ入力操作によりモバイル端末と機器をサーバ経由で紐付けする。家庭内に複数のTVが存在する場合に、モバイル端末とモバイル端末から最も近い距離にあるTVを位置情報だけで関連付けようとする場合、位置情報取得の方法によっては、至近距離にある機器を特定することができない。
【解決手段】サーバ101がモバイル端末103、リビング機器106、寝室機器107および他地域機器109の位置情報を確認し、モバイル端末103と同位置にある機器を特定したのち、特定した機器の状態を考慮した操作コマンドを決定し、特定した機器に対してコマンド待受指示を行い、モバイル端末にユーザに提示するコマンドを通知し、モバイル端末はユーザにコマンドを提示し、コマンド待受指示を受けた機器はユーザから正しいコマンドを受け付けると、受け付けた旨をサーバに通知することで、モバイル機器と端末とサーバを関連付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信ネットワークを介して、モバイル端末と据置機器間とサーバを関連付けて、端末と機器の間での通信を実現する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットに接続可能な携帯電話やタブレット型端末の増加に伴って、リビングでのTVの視聴形態が変化している。具体的には、TVで放送番組を視聴しながら手元の携帯電話で番組に関連する情報を検索したり、知人とTV番組の内容についての情報交換を行う等の、「ながら視聴」と呼ばれる視聴スタイルが一般的になりつつある。
【0003】
このような視聴スタイルの変化にあわせて、TVとモバイル端末が連携する様々なアプリケーションやサービスが実現されていくことで、ユーザ利便性の向上に寄与することができると考えられる。
【0004】
例えば、TV番組の視聴状態をサーバで把握し、適切なタイミングで番組に関連したコンテンツを手元のモバイル端末へ提示するというようなアプリケーションが考えられ得るが、このようなアプリケーションやサービスを実現していくためには、複雑な操作をユーザに強いることなく、TVとモバイル端末とが簡単に関連付けられて連携できることが重要である。
【0005】
ここで、モバイル端末とTVとサーバを関連付ける方法としては、例えば、特許文献1に開示されるものがあり、特許文献1で開示されるシステムは、TVに相当するコンピュータクライアントと、携帯型コントローラ(携帯端末)は制御センター(サーバー)に接続され、ポジショニングユニットは空間的な位置を指定して住居内の階または部屋、領域を指定する機能を有し、コンピュータクライアントと携帯型コントローラに接続され、携帯型コントローラの現在位置を判断し、特定の近傍内の他のシステムコンポーネントを制御して、携帯型コントローラ上に現れるGUIを介して出力コンポーネントを選択し、サーバ、携帯型コントローラとTVは関連付けられるようにするシステムである。このようなシステムの場合、モバイル端末やクライアントの位置を特定するために何からのポジショニングユニットを必要とする場合、そのようなユニットが予め設置されていない環境では、それらの関連付けを行うことはできない。
【0006】
ポジショニングユニットを用いずに、近辺の機器との紐付けを行う方法としては、モバイル端末や機器に備わっている近接無線を用いるものがあり、例えば、特許文献2で開示されている。
【0007】
特許文献2では、街頭に設置された公衆ディスプレイ装置101がネットワークと高速に接続され、また、近距離にある携帯機器103と赤外線などで無線通信ができるようにし、携帯機器103は公衆ディスプレイ装置101のネットワークアドレスを無線通信によって取得し、ゲートウェイサーバ104へ携帯機器103のネットワークアドレスとともに送信する、という方法が開示されている。
【0008】
このようなシステムの場合、モバイル端末と機器とで同種の近接通信デバイスを有する必要があるため、関連付けを行える端末と機器との組み合わせが限定される可能性が高い。
【0009】
また、近接無線デバイスを用いない機器の関連付け方法としては、例えば、特許文献3に開示されるものがある。
【0010】
特許文献3で開示されるシステムでは、情報提供装置4は、携帯電話機からのリクエストを受け取ったとき、携帯電話ネットワークが提供する発信端末位置情報を取得するとともに、受け取り時刻を認知する。管理センター装置3と連携している情報提供装置4は、リクエストを発信した携帯電話機の発信端末位置情報に基づいて、その携帯電話機の持ち主は100台の公衆ディスプレイ端末1a、1b、…の内のどの駅に設置されている端末を見ているかを、携帯電話の位置から最も至近距離にあるディスプレイ端末であることを理由に同定するとともに、受け取った時刻の少し前に特定端末でどの広告番組が放映されていたのかを同定し、その特定番組に関連付けされたWWW文書データをレスポンスとして携帯電話機に送達する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特表2007−517313号公報
【特許文献2】特開2003−22227号公報
【特許文献3】特開2003−309655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、一般家庭内では、リビングにTVが存在して、すぐ隣の部屋にも別のTVがあるような環境が想定される。このような環境において、近接無線デバイスを用いずにモバイル端末とモバイル端末から最も近い距離にあるTVを位置情報だけで関連付けようとする場合、数メートル程度の精度をもって位置を識別する必要があり、位置情報取得の方法によっては、至近距離にある機器を特定することができない。
【0013】
即ち、モバイル端末や機器の位置情報を用いて関連付ける機器を同定する方法において、モバイル端末の周辺に複数の対象機器が存在する場合に、それらの対象機器の中から関連付けを行う機器を、ユーザに複雑な操作を強いることなく特定する必要があった。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題を解決するために、本発明のサーバは、端末および複数の機器との通信を行うサーバであって、前記複数の機器の機器情報を保存する機器情報保存部と、前記端末から受信した端末情報と関連する機器情報を有する機器を候補機器として決定する候補機器決定部と、前記端末に操作コマンドを送信する操作コマンド送信部と、前記候補機器に操作コマンド待受け指示を送信する待受け指示送信部と、前記候補機器の一から操作コマンド入力通知を受信すると、前記操作コマンド入力通知を送信した機器を特定するためのペアリング情報を前記端末に送信するペアリング先通知送信部と、を有する、ことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の端末は、サーバおよび複数の機器との通信を行う端末であって、前記サーバに端末情報を送信する端末情報送信部と、前記サーバから受信した操作コマンドを提示する操作コマンド取得提示部と、前記サーバから受信したペアリング情報に基づいて前記複数の機器のうち一の機器と通信を行う機器通信部と、を有する、ことを特徴とする。
【0016】
また、本発明の機器は、サーバおよび端末との通信を行う機器であって、前記サーバに機器情報を送信する機器情報送信部と、前記サーバから操作コマンド待受け指示を受信する待受け指示受信部と、前記操作コマンドが入力されると、前記サーバに操作コマンド入力通知を送信する操作コマンド判定部と、前記端末から受信したペアリング情報に基づいて前記端末と通信を行う端末通信部と、を有する、ことを特徴とする。
【0017】
さらに、本発明の紐付け方法は、端末と複数の機器のうち一の機器とを紐付ける紐付け方法であって、前記複数の機器の機器情報を保存する機器情報保存ステップと、前記端末から受信した端末情報と関連する機器情報を有する機器を候補機器として決定する候補機器決定ステップと、前記端末に操作コマンドを送信する操作コマンド送信ステップと、前記候補機器に操作コマンド待受け指示を送信する待受け指示送信ステップと、前記候補機器の一から操作コマンド入力通知を受信すると、前記操作コマンド入力通知を送信した機器を特定するためのペアリング情報を前記端末に送信するペアリング先通知送信ステップと、から構成される、ことを特徴とする。
【0018】
また、本発明の紐付けプログラムは、端末と複数の機器のうち一の機器とを紐付ける紐付けプログラムであって、コンピュータを、前記複数の機器の機器情報を保存する機器情報保存手段と、前記端末から受信した端末情報と関連する機器情報を有する機器を候補機器として決定する候補機器決定手段と、前記端末に操作コマンドを送信する操作コマンド送信手段と、前記候補機器に操作コマンド待受け指示を送信する待受け指示送信手段と、前記候補機器の一から操作コマンド入力通知を受信すると、前記操作コマンド入力通知を送信した機器を特定するためのペアリング情報を前記端末に送信するペアリング先通知送信手段と、して動作させる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明によれば、モバイル端末の周辺に複数の対象機器が存在する場合でも、ユーザが所望するTVをモバイル端末に関連付けて通信を行えるようになるため、モバイル端末、TV、インターネット上のサーバが連携するアプリの実現に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態1の紐付けシステムの構成を示すブロック図
【図2】本発明の実施の形態1の紐付けシステムに含まれる、モバイル端末および機器の動作を示すシーケンス図
【図3】本発明の実施の形態1のサーバが保存する機器情報のデータ構成図
【図4】本発明の実施の形態1のサーバが保存するペアリング用情報のデータ構成図
【図5】本発明の実施の形態1のモバイル端末の画面表示例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。以下、従来例と同じ機能をもつ部分については同じ番号を付し、説明を省略する。
【0022】
(実施の形態1)
以下では、本実施の形態1の紐付けシステムの構成および動作について詳細に説明する。
【0023】
まず、図1を用いて、本実施の形態1の紐付けシステムの構成について説明する。
【0024】
本実施の形態1の紐付けシステムは、インターネット100に接続されたサーバ101と、携帯基地局102を介してインターネット100に接続可能なモバイル端末103と、ルータ104を介してインターネット100に接続可能なLAN105と、LAN105に接続されるリビング機器106および寝室機器107と、ルータ108を介してインターネット100に接続可能な他地域端末109と、から構成され、サーバ101がモバイル端末103、リビング機器106、寝室機器107および他地域機器109の位置情報を確認し、モバイル端末103と同位置にある機器を特定したのち、特定した機器の状態を考慮した操作コマンドを決定し、特定した機器に対してコマンド待受指示を行い、モバイル端末103にユーザに提示するコマンドを通知し、モバイル端末103はユーザにコマンドを提示し、コマンド待受指示を受けた機器はユーザから正しいコマンドを受け付けると、受け付けた旨をサーバ101に通知することで、モバイル端末103と機器とサーバ101を関連付けるシステムである。
【0025】
サーバ101は、各機器の位置情報を記録する機器情報保存部110と、近くの機器を特定してペアリングを行うためのペアリング処理依頼をモバイル端末103から受信すると機器情報保存部110に蓄積された位置情報を用いてペアリング候補となる機器を特定する候補機器決定部112と、ペアリングされたモバイル端末103の端末IDと機器の機器IDとを紐づけて保持するペアリング情報保存部111と、候補機器決定部112で決定したペアリング候補機器の状態を確認する機器状態問合せ部113と、機器状態を踏まえて操作コマンドを生成する操作コマンド生成部114と、候補機器に対して操作コマンドの待受指示を送信する待受指示送信部115と、モバイル端末103に対して操作コマンド提示依頼を送信する操作コマンド送信部116と、操作コマンドが入力された機器からの通知を受信してペアリング対象の機器を特定する対象機器特定部117と、モバイル端末103に対してペアリング対象機器に関する情報を通知するペアリング先通知送信部118と、からなる。
【0026】
ここで、リビング機器106、寝室機器107、他地域機器109は据え置き型のTVであり、モバイル端末103は携帯電話である。
【0027】
機器情報保存部110内のデータ構成について図3に示す。データ構成は、機器ID部分301と、機器位置情報部分302と、その機器への通信を行うための機器アドレス情報部分303からなる。なお、本実施例では、アドレス情報として、送信元IPアドレスを用いるものとする。
【0028】
ここで、位置情報とは、機器の地理的位置を示す情報であり、例えば、経度と緯度からなる情報である。この位置情報の精度は、数十メートル四方に位置する機器を確認できる程度でよい。
【0029】
ペアリング情報保存部111内のデータ構成について図4に示す。データ構成は、セッション番号部分401と、ペアリング処理を依頼した端末を特定するための依頼端末ID部分402と、ペアリング対象機器の候補を示す候補機器ID部分403と、操作コマンド部分404と、待受時間部分405と、候補機器の中からペアリング対象の機器と決定した機器のIDである対象機器ID部分406からなる。
【0030】
ここで、セッション番号とは複数のペアリング処理が並行して行われる場合におけるペアリング処理を区別するためのセッション管理用の番号であり、操作コマンドとはペアリングしたい機器に対してユーザが入力するコマンドであり、待受時間とは機器の待受状態を待ち受ける処理のタイムアウト時間である。
【0031】
待受指示送信部115が送信する待受指示には、機器が待受ける操作コマンドと、待受時間と、セッション番号が含まれる。
【0032】
操作コマンド送信部116が送信する操作コマンド提示依頼には、操作コマンドと待受時間とセッション番号が含まれる。
【0033】
モバイル端末103は、端末を特定するための端末IDを保存する端末ID保存部119と、モバイル端末103の位置情報を検出する位置情報検出部120と、サーバ101から操作コマンドを取得してユーザに提示する操作コマンド取得提示部121、ペアリングされた機器のIDを保存するペアリング情報保存部122と、からなる。
【0034】
ここで、位置情報検出部120は、経度緯度の情報をGPSにより検出する。
【0035】
リビング機器106は、機器を特定するための機器IDを保存する機器ID保存部123と、機器が設置されている位置の住所情報を保持する位置情報保持部124と、サーバ101からの状態問合せに対して機器状態を応答する機器状態応答部125と、サーバ101から待受指示を受信する待受指示受信部126と、ユーザにより入力されたコマンドを判定して、待受指示に含まれている操作コマンドと一致するかを判定する操作コマンド判定部127と、ペアリングされた機器のIDを保存するペアリング情報保存部128と、からなる。
【0036】
ここで、位置情報保持部124が保持する機器の住所情報は、予めユーザが入力した住所情報である。
【0037】
寝室機器107は、リビング機器106と同様の構成を有する機器であり(寝室機器107の内部構成の図示は省略)、リビング機器106と同一の住所情報をもつ。
【0038】
他地域機器109は、リビング機器106と同様の構成を有する機器であり(他地域機器109の内部構成の図示は省略)、リビング機器106とは異なる住所情報をもつ。
【0039】
続いて、本実施の形態1の紐付けシステムの動作について説明する。
【0040】
図2に本発明の実施の形態1の紐付けシステムの動作および通信シーケンスを示す。
【0041】
本実施例においては、ユーザ(図示ぜず)は、リビング機器106と寝室機器107をユーザ宅に設置しているものとする。また、ユーザはモバイル端末103を携帯して、ユーザ宅から地理的に離れた位置にいるものとする。
【0042】
モバイル端末103は端末ID保存部119に端末IDとして「MID1」を保持し、リビング機器106は機器ID保存部123に機器IDとして「TID1」を保持し、寝室機器107は機器ID保存部(図示せず)に機器IDとして「TID2」を保持し、他地域機器109は機器ID保存部(図示せず)に機器IDとして「TID9」を保持するとする。
【0043】
また、リビング機器106は位置情報保持部124に住所情報として「大阪府門真市○○町XX番YY号」を保持し、寝室機器107は位置情報保持部(図示せず)に住所情報として「大阪府門真市○○町XX番YY号」を保持し、他地域機器109は位置情報保持部(図示せず)に住所情報として「大阪府大阪市AA番BB号」を保持しているとする。
【0044】
リビング機器106は、サーバ101に対して、機器ID「TID1」と住所情報「大阪府門真市○○町XX番YY号」とサーバ101からリビング機器106への通信を行うためのアドレス情報を含む機器情報登録依頼を送付し、サーバ101は、住所情報に基づいて、リビング機器106が設置されている位置の位置情報に変換して、機器IDとともに機器情報保存部110に保存する(S201)。本実施例の場合は、「大阪府門真市○○町XX番YY号」が「E135°35′53.90:N34°44′20.50」に変換されて保持される。
【0045】
寝室機器107は、サーバ101に対して、機器ID「TID2」と住所情報「大阪府門真市○○町XX番YY号」とサーバ101から寝室機器107への通信を行うためのアドレス情報を含む機器情報登録依頼を送付し、サーバ101は、住所情報に基づいて、寝室機器107が設置されている位置の位置情報に変換して、機器IDとともに機器情報保存部110に保存する(S202)。本実施例の場合は、「大阪府門真市○○町XX番YY号」が「E135°35′53.90:N34°44′20.50」に変換されて保持される。
【0046】
他地域機器109は、サーバ101に対して、機器ID「TID9」と住所情報「大阪府大阪市AA番BB号」とサーバ101から他地域機器109への通信を行うためのアドレス情報を含む機器情報登録依頼を送付し、サーバ101は、住所情報に基づいて、他地域機器109が設置されている位置の位置情報に変換して、機器IDとともに機器情報保存部110に保存する(S203)。本実施例の場合は、「大阪府大阪市AA番BB号」が「E135°30′10.40:N34°41′74.10」に変換されて保持される。
【0047】
リビング機器106、寝室機器107、他地域機器109の機器情報を格納した後の、機器情報保存部110内のデータについて、図3のデータエントリ304、305および306に示す。
【0048】
次に、ユーザが地理的に離れた位置から、リビング機器106および寝室機器107が設置されているユーザ宅に移動する(S204)。
【0049】
そして、ユーザはモバイル端末103を操作して、モバイル端末103に対して「近くの機器にペアリング」を指示する(S205)と、モバイル端末103は、サーバ101に対して、機器ID「MID1」と位置情報検出部120によって検出した現在の位置情報「E135°35′53.90:N34°44′20.50」を含むペアリング処理依頼を送付する(S206)。
【0050】
サーバ101は、ペアリング処理依頼を受信すると、セッション番号として「SNO1」を生成し、モバイル端末103の端末ID「MID1」とあわせてペアリング用情報を生成し、ペアリング情報保存部111に保持する(S207)。
【0051】
サーバ101がペアリング処理依頼を受け取ると、サーバ101の候補機器決定部112は、ペアリング処理依頼に含まれる位置情報と、機器情報保存部110に含まれる機器位置情報302を比較して、機器位置情報が一致する機器を候補機器として特定する(S208)。これにより、位置情報が一致する機器に限定してペアリング処理を行うことが可能になるため、サーバに登録されている全機器を対象とする場合に比べて、処理負荷が低減されるだけでなく、ユーザの物理的近くにない機器が間違ってペアリングされてしまうことを回避することができる。ここでは、リビング機器106と寝室機器107が候補機器として決定される。
【0052】
なお、前述の候補機器決定部112が行う候補機器を特定する処理において、ペアリング処理依頼に含まれる位置情報の近傍の機器位置情報を持つ機器を候補機器として特定してもよく、ペアリング処理依頼に含まれる位置情報と完全に一致する機器位置情報をもつ機器のみを候補機器として特定することに限定されるものではない。
【0053】
サーバ101は、候補機器に決定されたリビング機器106および寝室機器107に対して機器状態を問合せ、リビング機器106および寝室機器107はそれぞれの機器状態を応答する(S209)。ここでは、リビング機器106、寝室機器107共に、待機状態(コンセントに接続されているが電源は切られている状態)であるとする。
【0054】
サーバ101は、候補機器から取得した機器状態に基づいて、操作コマンドを生成する(S210)。この操作コマンドを設けることで、同じ機器位置に存在する複数台の機器から機器を特定すること、および、ユーザが操作可能な位置にある機器であることを確認することにより、他人宅機器の不正利用回避が実現できる。
【0055】
さらに、ペアリング時の複数機器の利用状況に応じた操作コマンドを生成するため、例えば、複数機器の内で幾つかの機器は電源オン状態で動作しておりその他の機器は待機状態となっている場合、単純に電源ボタンを短時間押すと機器の電源がオンまたはオフしてしまうため、「電源ボタンを3秒長押し」とすることで電源状態によらずに共通の操作コマンドを生成することが可能である。また、例えば、機器で放送番組視聴中の場合、単純に視聴中以外のチャンネルボタンを押すとチャンネルが切り替わってしまうため、「視聴中のチャンネルボタンを長押し」などのコマンドとすることで、候補機器で視聴中のユーザの邪魔をせずにペアリング処理を行うことができる。
【0056】
ここでは、リビング機器106、寝室機器107共に待機状態であることを踏まえて、操作コマンドを「リモコン上で決定キーを押しながら電源ボタンを押下する」とする。
【0057】
サーバ101は、リビング機器106および寝室機器107に対して、操作コマンドと待受時間とセッション番号「SNO1」を含む待受指示を送付する(S211)。ここで、待受時間を設定することで、待受時間経過後、結果的にペアリングされなかった機器に対してサーバ101から待受解除指示を送付することなしに待受状態を解除できるため、通信量を削減することができる。ここでは、待受時間として「60秒」が指定されるとする。
【0058】
サーバ101は、モバイル端末103に対して、操作コマンドとセッション番号「SNO1」を含む操作コマンド提示依頼を送付する(S212)。
【0059】
モバイル端末103は、操作コマンド提示依頼を受信すると、表示画面(構成は図示せず)を用いて操作コマンドを提示する(S213)。図5に、操作コマンドを画面提示する際の一例を示す。
【0060】
ユーザは、モバイル端末103の画面表示に従って、リビング機器106に対して操作コマンドを入力する(S214)。ここでは、ユーザは、リビング機器106に対して、リビング機器106のリモコン上で決定キーを押しながら電源ボタンを押下する。
【0061】
リビング機器106は、ユーザから入力されたコマンドが待受指示に含まれる操作コマンドと一致するかを判定する(S215)。これにより、ペアリングを希望するユーザ以外の人物が待受時間中に行った適当な操作により誤ったペアリングがなされてしまうことが回避できる。ここでは、待受時間中に操作コマンドに一致する入力がなされたものとする。
【0062】
リビング機器106は、サーバ101に対して、セッション番号「SNO1」と機器ID「TID1」とを含む操作コマンド入力通知を送付する(S216)。
【0063】
サーバ101は操作コマンド入力通知を受信すると、セッション番号「SNO1」と操作コマンド入力通知に含まれる機器ID「TID1」を確認して、ペアリング対象の機器をリビング機器106と特定して、モバイル端末103の端末ID「MID1」とリビング機器の機器ID「TID1」とを関連付けてペアリング情報として保存する(S217)。ここでは、モバイル端末103の端末ID「MID1」とリビング機器106の機器ID「TID1」が関連付けて保存される。その際のペアリング情報保存部111内のデータについて、図4のデータエントリ407に示す。
【0064】
サーバ101は、モバイル端末103に対して、セッション番号「SNO1」と、リビング機器106の機器ID「TID1」と、リビング機器106のアドレス情報を含むペアリング先通知を送信し(S218)、モバイル端末103は、リビング機器106に対して、セッション番号「SNO1」と、モバイル端末103の端末ID「MID1」と、モバイル端末103のアドレス情報を含むペアリング通知を送信する(S219)。これにより、ペアリングされたモバイル端末103とリビング機器106間での相互通信を行うことができる。
【0065】
なお、本実施例においては、機器が存在する位置を示す情報として住所情報を用いたが、これに限定するものでもなく、機器位置情報として郵便番号を用いたり、機器自体にGPS機能を搭載したり、GPS機能を搭載した他のデバイスと有線接続または無線接続してGPS情報を取得してもよい。
【0066】
なお、本実施例においては、機器をTVとしたが、通信機能を有する機器であればよいため、これに限定されることはなく、例えば、HDDレコーダやPCや音楽プレーヤーやエアーコンディショナーなどであってもよい。
【0067】
なお、本実施例においては、機器を据え置き型としたが、ポータブル型であってもよく、この場合、機器の移動に伴ってサーバが保持する機器位置情報がリアルタイムまたは短期間で更新されることで同様の効果を有する。
【0068】
なお、操作コマンドは「リモコンの決定キーを押しながら電源ボタンを押下する」としたが、各機器の状態を考慮したもの(例えば、番組視聴中ならチャンネル釦押下や電源釦押下を含まない操作コマンド)かつ待受期間中に他ユーザの通常のTV操作では入力され得ない範囲のものであればよい。
【0069】
また、操作コマンドを入力するのではなく、数字列や文字列などのパスフレーズの入力をユーザに求めてもよい。この場合、TV側で「ペアリングパス入力」メニューを設けて、モバイル端末で表示されたパスフレーズを入力させるようにしてもよい。
【0070】
なお、位置情報検出部120は、経度緯度の情報をGPSにより検出するとしたが、これに限定するものでもなく、郵便番号でもよい。
【0071】
なお、機器に入力されたコマンドが操作コマンドと一致しているかを機器で判定したが、これに限定するものではなく、サーバ側で判定してもよい。これにより、機器での処理負荷を低減することができる。
【0072】
なお、モバイル端末がユーザ宅の位置情報を予め記憶しておき、地理的にユーザ宅と一致したら、ペアリング処理依頼を自動的にサーバに送信することで、自動ペアリングを行ってもよい。
【0073】
なお、モバイル端末上でユーザに操作コマンドを提示する際、モバイル端末とTVに共通の通信手段(赤外線やBluetooth(登録商標)や無線LANなど)が存在する場合には、モバイル端末をTVのリモコンとして利用することが可能であってもよく、これを制限するものでもない。この場合、手元のモバイル端末でTVを操作すればよく、わざわざTVのリモコンに持ち換える必要がなくなるため、ユーザの使い勝手の向上にさらなる効果を有する。
【0074】
なお、本実施例では、機器情報保存部110で機器情報を格納している機器の中から、機器状態を確認したり操作コマンドを待ち受けたりする候補機器を決定するための情報としてモバイル端末の位置情報や機器の機器位置情報を用いたが、候補機器を選別するための情報は必ずしも位置情報に限定されず、例えば、機器情報保存部110で保存する機器に紐づいた情報として、各機器を所有しているユーザが所有するモバイル端末の電話番号を保存しておき、ペアリング処理依頼(S206)時に、モバイル端末はモバイル端末自身の電話番号を合わせて送付して、サーバはモバイル端末から受け取ったモバイル端末の電話番号と、機器に紐づいた電話番号との一致を以て候補機器の決定を行ってもよい。また、例えば、機器情報保存部110で保存する機器に紐づいた情報として、各機器を所有しているユーザ毎を示すユーザIDを保存しておき、ペアリング処理依頼(S206)時にモバイル端末に事前に登録されたユーザIDをあわせて送付して、サーバはモバイル端末から受け取ったユーザIDと、機器に紐づいたユーザIDとの一致を以て候補機器の決定を行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明に係る紐付け方法は、ユーザが所望する機器とモバイル端末とを簡単に関連付けて通信を行えるようになるという効果を有し、モバイル端末、機器、インターネット上のサーバが連携する多様なアプリケーションやサービスを実現するための、モバイル端末、機器、サーバ、およびそれらの紐付け方法として有用である。
【符号の説明】
【0076】
100 インターネット
101 サーバ
103 モバイル機器
106 リビング機器
107 寝室機器
109 他地域機器
110 機器情報保存部
111 ペアリング情報保存部
112 候補機器決定部
113 機器状態問合せ部
114 操作コマンド生成部
115 待受指示送信部
116 操作コマンド送信部
117 対象機器特定部
118 ペアリング先通知送信部
120 位置情報検出部
121 操作コマンド取得提示部
122 ペアリング情報保存部
124 位置情報保持部
125 機器状態応答部
126 待受指示受信部
127 操作コマンド判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末および複数の機器との通信を行うサーバであって、
前記複数の機器の機器情報を保存する機器情報保存部と、
前記端末から受信した端末情報と関連する機器情報を有する機器を候補機器として決定する候補機器決定部と、
前記端末に前記候補機器の操作コマンドを送信する操作コマンド送信部と、
前記候補機器に前記操作コマンドを待ち受ける指示を送信する待受け指示送信部と、
前記候補機器の一から前記操作コマンドの入力を受けた旨の通知を受信すると、前記操作コマンドの入力を受けた旨の通知を送信した機器を特定するためのペアリング情報を前記端末に送信するペアリング先通知送信部と、
を有する、
ことを特徴とするサーバ。
【請求項2】
前記端末情報は、
前記端末の位置情報を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のサーバ。
【請求項3】
前記候補機器の機器状態を問い合わせる機器状態問合せ部、
をさらに有し、
前記操作コマンド送信部は、
前記候補機器の機器状態に応じた操作コマンドを生成する、
ことを特徴とする請求項1に記載のサーバ。
【請求項4】
前記操作コマンドは、
前記候補機器のいずれにおいても入力可能な操作コマンドであることを特徴とする請求項3に記載のサーバ。
【請求項5】
サーバおよび複数の機器との通信を行う端末であって、
前記サーバに端末情報を送信する端末情報送信部と、
前記サーバから受信した前記複数の機器の操作コマンドを提示する操作コマンド取得提示部と、
前記サーバから受信したペアリング情報に基づいて前記複数の機器のうち一の機器と通信を行う機器通信部と、
を有する、
ことを特徴とする端末。
【請求項6】
位置情報を検出する位置情報検出部、
をさらに有し、
前記端末情報は、
前記端末の位置情報を含む、
ことを特徴とする請求項5に記載の端末。
【請求項7】
(位置情報はGPSから取得:モバイル端末)
前記位置情報は、
前記端末の緯度経度情報を含む、
ことを特徴とする請求項6に記載の端末。
【請求項8】
サーバおよび端末との通信を行う機器であって、
前記サーバに機器情報を送信する機器情報送信部と、
前記サーバから操作コマンド待受け指示を受信する待受け指示受信部と、
前記操作コマンドが入力されると、前記サーバに操作コマンド入力通知を送信する操作コマンド判定部と、
前記端末から受信したペアリング情報に基づいて前記端末と通信を行う端末通信部と、
を有する、
ことを特徴とする機器。
【請求項9】
前記サーバに機器状態を送信する機器状態応答部、
をさらに有する、
ことを特徴とする請求項8に記載の機器。
【請求項10】
前記機器状態は、
電源状態がオンか待機状態かであることを含む、
ことを特徴とする請求項9に記載の機器。
【請求項11】
前記機器状態は、
放送番組を視聴しているか否かであることを含む、
ことを特徴とする請求項9に記載の機器。
【請求項12】
前記機器情報は、
住所情報を含む、
ことを特徴とする請求項9に記載の機器。
【請求項13】
端末と複数の機器のうち一の機器とを紐付ける紐付け方法であって、
前記複数の機器の機器情報を保存する機器情報保存ステップと、
前記端末から受信した端末情報と関連する機器情報を有する機器を候補機器として決定する候補機器決定ステップと、
前記端末に前記候補機器の操作コマンドを送信する操作コマンド送信ステップと、
前記候補機器に前記操作コマンドを待ち受ける指示を送信する待受け指示送信ステップと、
前記候補機器の一から前記操作コマンドの入力を受けた旨の通知を受信すると、前記操作コマンドの入力を受けた旨の通知を送信した機器を特定するためのペアリング情報を前記端末に送信するペアリング先通知送信ステップと、
から構成される、
ことを特徴とする紐付け方法。
【請求項14】
端末と複数の機器のうち一の機器とを紐付ける紐付けプログラムであって、
コンピュータを、
前記複数の機器の機器情報を保存する機器情報保存手段と、
前記端末から受信した端末情報と関連する機器情報を有する機器を候補機器として決定する候補機器決定手段と、
前記端末に前記候補機器の操作コマンドを送信する操作コマンド送信手段と、
前記候補機器に前記操作コマンドを待ち受ける指示を送信する待受け指示送信手段と、
前記候補機器の一から前記操作コマンドの入力を受けた旨の通知を受信すると、前記操作コマンドの入力を受けた旨の通知を送信した機器を特定するためのペアリング情報を前記端末に送信するペアリング先通知送信手段と、
して動作させる、
ことを特徴とする紐付けプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−80482(P2012−80482A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−226328(P2010−226328)
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】