説明

サーバ装置、情報処理装置、情報処理方法およびプログラム

【課題】検索用に保管した情報の全てを複写することを意図したアクセスを防止するサーバ装置を提供する。
【解決手段】ネットワークを介して検索内容である検索条件を含む検索要求信号を複数受信し、複数の前記検索条件毎に検索対象情報を検索して検索結果を求め、求めた複数の該検索結果の前記検索対象情報に占める割合であるカバー率を算出し、該カバー率が予め決められた第1の閾値以上であるか否かによって複数の前記検索要求信号による検索要求が異常であるか否かを判定する制御部を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報検索サービスについてのサーバ装置、情報処理装置、情報処理方法、およびその方法をコンピュータに実行させるためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、インターネット上で検索システムまたは検索サービスを利用して、欲しい情報を得ることが、一般的に行われている。検索サービスでは、ユーザが使用する検索技術や検索対象情報の品質が重要である。検索サービスを提供する側は、あらゆるジャンルの情報を収集してデータベースに保存している。また、公開されている情報が古いものから新しいものに変更されると、その変更に伴ってデータベースの情報も更新する。そのため、検索サービスの提供者側では、データ収集のための作業が継続的に行われている。
【0003】
上記検索サービスに対して、その運用を損なうような不正なアクセスが行われることがある。不正なアクセスには、上記検索サービスを利用して、そのデータベースに保存されている情報を大量に複写して取得することや、一度に大量の検索要求を行うことなどがある。このような利用は、サービスの範囲を越えるものである。不正なアクセスにより、検索システムの品質低下が起こる可能性がある。不正なアクセスを防ぐ手段として、例えば、特許文献1に記載された技術がある。
【0004】
特許文献1には、特定のホストサーバに大量のアクセスを行うことで、そのホストサーバが提供するサービスの品質を損なうDDoS(Distributed Denial of Service)攻撃に対応する防御手段の一例が開示されている。攻撃実行ホストの指示により、踏み台ホストが攻撃対象ホストに対して大量のアクセスを行うDDoS攻撃を実施すると、攻撃検出器は、防御側ネットワークの状況を監視してDDoS攻撃を検出する。そして、通信制御機器は、攻撃検出器がDDoS攻撃を検出すると、防御側ネットワークの管理者の指示により攻撃遮断機に通信制御の指示を出す。踏み台ホストは、通信制御の指示を受け取って通信を制御する。
【特許文献1】特開2002−158660号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記検索サービスにおいて、正規に利用するユーザに対してサービスを提供しながら、データベースに保存した検索対象情報の多くまたは全てを複写して取得するような不正なアクセスを防ぐ技術はなかった。
【0006】
検索対象情報の多くまたは全てを取得されてしまうと、不正に取得した者がそれらのデータを用いて検索サービスを開始することも可能になる。多大な労力をかけてデータ収集を行った検索サービス提供者は、不正にデータ収集を行った者に対してコストの面で不利になり、検索サービスが成り立たなくなってしまうおそれがある。
【0007】
特許文献1に開示された技術では、単にアクセスの数量によって不正な検索要求を検出するものである。不正な利用か否かをアクセス数で判断しようとすると、少ないアクセス数で効率よくデータを取得されてしまう場合には不正利用を検出できない。
【0008】
本発明は上述したような技術が有する問題点を解決するためになされたものであり、検索用に保管した情報の全てを複写することを意図したアクセスを防止するサーバ装置、情報処理装置、情報処理方法、およびその方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明のサーバ装置は、
ネットワークを介して検索内容である検索条件を含む検索要求信号を複数受信し、複数の前記検索条件毎に検索対象情報を検索して検索結果を求め、求めた複数の該検索結果の前記検索対象情報に占める割合であるカバー率を算出し、該カバー率が予め決められた第1の閾値以上であるか否かによって複数の前記検索要求信号による検索要求が異常であるか否かを判定する制御部を有する。
【0010】
また、上記目的を達成するための本発明の情報処理装置は、ネットワーク上で検索サービスを提供するサーバ装置に接続される情報処理装置であって、
検索内容である検索条件をそれぞれ含む複数の検索要求信号に対応する前記検索結果を前記サーバ装置から受信し、前記サーバ装置に格納された検索対象情報に対する複数の前記検索結果が占める割合であるカバー率を算出し、該カバー率が予め決められた閾値以上であるか否かによって前記複数の検索要求信号による検索要求が異常であるか否かを判定する制御部を有する。
【0011】
また、上記目的を達成するための本発明の情報処理方法は、ネットワーク上で検索サービスを提供するサーバ装置の情報処理方法であって、
ネットワークを介して検索内容である検索条件を含む検索要求信号を複数受信し、複数の前記検索条件毎に検索対象情報を検索して検索結果を求め、
求めた複数の該検索結果の前記検索対象情報に占める割合であるカバー率を算出し、
前記カバー率が予め決められた第1の閾値以上であるか否かによって複数の前記検索要求信号による検索要求が異常であるか否かを判定するものである。
【0012】
さらに、上記目的を達成するための本発明のプログラムは、ネットワーク上で検索サービスを提供するコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
ネットワークを介して検索内容である検索条件を含む検索要求信号を複数受信し、複数の前記検索条件毎に検索対象情報を検索して検索結果を求め、
求めた複数の該検索結果の前記検索対象情報に占める割合であるカバー率を算出し、
前記カバー率が予め決められた第1の閾値以上であるか否かによって複数の前記検索要求信号による検索要求が異常であるか否かを判定する処理を前記コンピュータに実行させるものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、検索サービス用のサーバ装置に対して検索対象情報を不正に複写しようとすると、その動作を検出することができる。これにより、その対策を講じることで、検索対象情報の不正な複写を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(第1の実施形態)
本実施形態のサーバ装置を説明する。
【0015】
図1は本実施形態のサーバ装置がネットワークに接続された状態を示す図である。サーバ装置10は検索サービスを提供する検索サーバである。図1に示すように、サーバ装置10はインターネットなどのネットワーク90と接続され、ネットワーク90に接続されるパーソナルコンピュータ(PC)50に対して検索サービスを提供する。
【0016】
サーバ装置10とPC50の間で送受信される信号および情報には、送信先と送信元を示す情報が含まれている。送信元や送信先を示す情報として、装置毎に異なる識別子が用いられ、各装置の記憶部に予め保存されている。これは、TCP/IP(Transmission Control Protocol/ Internet Protocol)によるパケット通信で行われている方法と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0017】
図2は本実施形態のサーバ装置の一構成例を示すブロック図である。図2に示すように、サーバ装置10は、入出力部31と、記憶部32と、制御部33とを有する。制御部33は、プログラムにしたがって処理を実行するCPU(Central Processing Unit)(不図示)と、プログラムを格納するためのメモリ(不図示)とを備えている。
【0018】
入出力部31は、ネットワーク90を介してPC50から情報を受信する入力手段12と、ネットワーク90を介してPC50に情報を送信する出力手段16とを有する。入力手段12はサーバ装置10の管理者が指示を入力するための操作部を含む。出力手段16は管理者に情報を通知するための表示部を含む。
【0019】
記憶部32は、検索サービスで提供するための情報である検索対象情報が格納された検索対象データベース(DB)11を有する。制御部33は、外部から受信する検索要求信号に含まれる検索条件にしたがって検索対象DB11に対して情報を検索する検索手段15を有する。検索手段15は、入力手段12を介して複数の検索要求信号が入力されると、それぞれの検索要求信号に含まれる検索条件毎に検索対象情報に対して検索を行い、各検索結果を検索結果蓄積手段17に保存する。検索条件とは、検索の際に入力されるキーワードを含む検索内容である。また、検索条件を含む検索要求が検索クエリを意味する。
【0020】
本実施形態のサーバ装置10は、外部からの検索要求の異常性を判定するための異常性判定部35を有している。異常性判定部35は、記憶部32に属する検索結果蓄積手段17と、制御部33に属する判定手段14とを有する。検索結果蓄積手段17には、検索要求が異常であるか否かを判断するための基準値である閾値が予め格納されている。この閾値を第1の閾値とする。また、検索手段15が実行した検索の結果が格納される。
【0021】
判定手段14は、検索対象DB11の検索対象情報に対して検索結果蓄積手段17に格納された検索結果がどのくらいの割合を占めるかを示すカバー率を算出する。そして、求めたカバー率を予め決められた第1の閾値と比較し、カバー率が第1の閾値以上であれば検索要求が異常であると判断し、カバー率が第1の閾値よりも小さければ検索要求が正常であると判断する。判定手段14は、検索要求が異常であると判定すると、検索要求に異常があることを管理者に通知するためのアラームを出力手段16に出力させる。アラームは、警告音をスピーカから出力する方法やメッセージを表示部に出力する方法がある。
【0022】
上記CPU(不図示)がプログラムを実行することで、検索手段15および判定手段14がサーバ装置内に仮想的に構成される。
【0023】
図3はサーバ装置の動作手順を示すフローチャートである。
【0024】
PC50が検索条件を含む検索要求信号をネットワーク90を介してサーバ装置10に送信する。サーバ装置10がPC50から入力手段12を介して複数の検索要求信号を受信すると(ステップ100)、検索手段15は、各検索要求信号に含まれる検索条件を用いて検索対象情報を検索し(ステップ101)、それぞれの検索結果を検索結果蓄積手段17に保存する(ステップ102)。判定手段14は、検索結果蓄積手段17に保存された複数の検索結果の情報について検索対象DB11の検索対象情報に対するカバー率を算出する(ステップ103)。
【0025】
算出したカバー率が第1の閾値以上である場合、判定手段14は、ステップ104で検索要求が異常であると判断し、アラームを出力手段16に出力させる(ステップ105)。一方、カバー率が第1の閾値より小さい場合、ステップ104で検索要求は正常であると判断する。
【0026】
次に、本実施形態のサーバ装置10の動作手順を具体例で説明する。検索要求側は図1に示したPC50を用いて操作しているものとする。
【0027】
図4は本実施形態のサーバ装置の動作手順の具体例を説明するための図である。
【0028】
ここでは、地名や住所を入力すると地図データを検索して出力するサービスを、サーバ装置10が提供する場合を考える。検索対象DB11には、例えば、神奈川県の住宅地図の情報が格納されているとする。検索対象情報は地図データとなる。カバー率の第1の閾値を10%とする。
【0029】
通常、このようなサービスでは、例えば、「川崎市中原区」と入力すると川崎市の中原区役所を中心とした地図データを出力することが想定される。ここで、悪意のあるユーザが、大量に地図データを不正に取得しようと考え、例えば、「横浜市鶴見区」、「横浜市港北区」、「横浜市都筑区」などの区単位で検索条件を順にサーバ装置10にPC50を介して入力したものとする。
【0030】
検索手段15は、検索条件毎に検索対象DB11の検索対象情報を検索し、複数の検索条件のそれぞれの検索結果を検索結果蓄積手段17に保存する。判定手段14は、検索対象DBの検索対象情報に対する複数の検索結果のカバー率を算出する。ここでは、取り扱う情報が神奈川県の住宅地図であることから、算出するカバー率は、神奈川県の住宅地図の面積に対する複数の検索結果の地図データの面積の割合で示される面積カバー率を算出することになる。
【0031】
続いて、判定手段14は、求めた面積カバー率が第1の閾値以上であるか否かを判定する。面積カバー率が10%以上あると、検索要求が異常であると判断し、出力手段16にアラームを出力させる。
【0032】
上述したように、本実施形態では、複数の検索条件により検索した複数の検索結果の検索対象情報に対するカバー率を算出して検索要求の異常を検出することで、検索対象情報が大量に複写されることを防ぐことができる。本実施形態のような処理を行わないと、地図データの多くあるいは全てが悪意のあるユーザに取得されてしまい、サービスそのものが模倣されてしまうなどの危険がある。
【0033】
なお、本実施形態では検索対象情報が地図情報の場合で説明したため、カバー率を面積で算出したが、検索対象情報の性質(属性)に合わせてカバー率を算出すればよい。以下に、その他の具体例をいくつか説明する。
【0034】
地名や業態が検索条件として入力されると、検索条件に合致するレストランの情報を検索して出力するサービスを提供する場合を考える。このサービスの場合、判定手段14は、検索対象DB11に登録されたレストランの数に対する検索結果の占める数の割合をカバー率として算出する。算出したカバー率が第1の閾値以上であれば、検索要求が異常であると判定する。
【0035】
曲名やアーティスト名が検索条件として入力されると、対応する楽曲データを検索して出力するサービスを提供する場合を考える。このサービスの場合、判定手段14は、検索対象DB11に登録された曲の数に対する検索結果の占める曲数の割合をカバー率として算出する。算出したカバー率が第1の閾値以上であれば、検索要求が異常であると判定する。
【0036】
映像シーンの特徴を示す用語が検索条件として入力されると、映像コンテンツ中で検索条件に対応する映像シーンを検索して出力するサービスを提供する場合を考える。このサービスの場合、判定手段14は、検索対象DB11に登録された映像コンテンツの全再生時間に対する検索結果の映像シーンが占める再生時間の割合をカバー率として算出する。算出したカバー率が第1の閾値以上であれば、検索要求が異常であると判定する。
【0037】
なお、本実施形態において、検索効率の値を用いる判定を追加してもよい。検索結果の件数は検索回数に相当する。検索回数と検索結果のカバー率とから検索効率を算出し、算出した検索効率が予め決められた第2の閾値以上であるか否かで検索要求が異常であるか否かを判定する。具体的に説明すると、判定手段14は、検索効率Eを検索回数Nと検索結果のカバー率CとからE=C/Nの式で算出する。そして、検索効率Eが第2の閾値以上である場合に検索要求は異常と判定する。これにより、判定の精度が向上し、少ない検索回数で効率よくデータを取得するような、より悪質な検索要求からデータを保護することが可能となる。
【0038】
また、悪意で検索対象情報を大量に取得しようとする者は、短時間に連続してPC50に検索要求信号を送出させることが考えられる。そのため、判定手段14が、検索要求信号の受信時刻を記録し、一定時間内に受信する複数の検索要求信号に含まれる検索条件に対して、上述の判定を行うようにしてもよい。監視時間となる一定時間とは、30分や1時間などの単位である。監視する時間を予め設定し、検索条件蓄積手段13に格納しておく。この場合、連続して検索要求を行って大量の情報を収集しようとする行為を検出することが可能となる。
【0039】
また、サーバ装置10の管理者が不在の夜間などに、悪意で検索対象情報を大量に複写される場合も考えられる。そのため、判定手段14は、検索要求信号の受信時刻を記録し、予め決められた時間帯に受信する複数の検索要求信号に含まれる検索条件に対して、上述の判定を行うようにしてもよい。
【0040】
また、検索要求信号には、その信号の送信先を示す情報だけでなく、送信元を示す情報が含まれている。そのため、判定手段14は、検索要求信号の送信元を特定することが可能となる。判定手段14は、複数の検索結果にそれぞれに添付される送信先が同じである場合、その検索結果に対応する複数の検索要求信号に対して、上述の判定を行うようにしてもよい。この場合、1つの情報処理装置に大量の検索対象情報を収集しようとする行為を検出することが可能となる。
【0041】
さらに、判定手段14は、検索要求が異常と判定した場合に出力手段16を介してアラームを出力するとした。これに限らず、検索要求信号からその信号の送信元を特定することが可能なので、その送信元が悪意を持って検索対象情報を収集する者の情報処理装置と判断し、その装置への検索結果の送信を停止してもよい。
【0042】
本実施形態では、サーバ装置内に異常性判定部35を設けたが、異常性判定部35の機能を備えた情報処理装置をサーバ装置に接続してもよい。
【0043】
図5は情報処理装置とサーバ装置との接続例を示す図であり、図6は情報処理装置およびサーバ装置の構成例を示す図である。図5に示すように、サーバ装置60の入出力信号線に情報処理装置65が接続されている。情報処理装置65は、サーバ装置60に入力される検索要求信号を監視する。図6に示すように、情報処理装置65は、上述した検索結果蓄積手段17および判定手段14を有している。サーバ装置60は、入力手段12、出力手段16、検索対象DB11および検索手段15を有している。情報処理装置65の動作は上記異常性判定部35と同様であるため、ここでは、その詳細な説明を省略する。
【0044】
なお、情報処理装置65がサーバ装置60の検索結果を監視可能であれば、図5に示す接続方法に限らず、他の接続方法であってもよい。
【0045】
(第2の実施形態)
本実施形態は、検索要求が異常か否かの判定を検索条件と検索結果の両方で行うものである。検索結果だけからでは、検索要求が異常であることを検出するのが困難な場合に有効である。
【0046】
図7は本実施形態のサーバ装置の一構成例を示すブロック図である。第1の実施形態と同様な構成については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0047】
図7に示すように、サーバ装置70は、入出力部71と、記憶部72と、制御部73とを有する。本実施形態の記憶部72には、検索結果蓄積手段17の他に検索条件蓄積手段13が設けられている。異常性判定部75は、検索条件蓄積手段13と、検索結果蓄積手段17と、判定手段74とを有する。
【0048】
判定手段74は、受信する複数の検索要求信号の検索条件を検索条件蓄積手段13に保存する。検索手段15が検索を実行し、その結果を検索結果蓄積手段17に保存する。判定手段74は、第1の実施形態と同様にして、検索結果のカバー率による判定を行う。また、本実施形態では、判定手段74は、検索結果蓄積手段17に保存された複数の検索結果に対応する検索条件を検索条件蓄積手段13から読み出す。そして、読み出した複数の検索条件の規則性に変化があるかどうかを調べ、規則性に変化があるか否かで、検索要求が異常であるか否かを判定する。いずれかの判定で検索要求が異常であると判断すると、検索要求に異常があることを管理者に通知するためのアラームを出力手段16に出力させる。
【0049】
本実施形態のサーバ装置70の動作手順を具体例で説明する。
【0050】
図8は本実施形態のサーバ装置の動作手順を説明するための図である。
【0051】
ここでは、運勢を占って欲しい人の生年月日と占い対象日となる年月日の情報が入力されると、占い対象日における運勢を検索して出力する占いサービスを、サーバ装置70が提供する場合を考える。この場合、情報対象DB11には、例えば、12星座占いの運勢情報が格納されている。正常な検索要求の例として、「1980年3月3日」という生年月日の入力と「2007年8月1日」という日付の入力に対して、「健康運○、金運×」という出力が考えられる。
【0052】
ここで、悪意のあるユーザが、生年月日の入力として「1980年4月1日」、「1981年4月1日」、「1982年4月1日」を検索条件として入力手段12にPC50を介して順に入力したとする。占い対象日は、いずれの場合も同じ日付が入力されているものとする。
【0053】
入力された検索条件は検索条件蓄積手段13に蓄積される。蓄積された複数の検索条件に対する、検索手段15による検索結果は検索結果蓄積手段17に蓄積される。判定手段74は、検索結果からカバー率を算出し、カバー率と第1の閾値とを比較する。カバー率は第1の閾値よりも小さかったため、検索結果からは検索要求が正常であると判断する。
【0054】
一方、このサービスでは、12星座占いを用いているとすると、上記3種類の検索条件に対して検索結果が3つとも「健康運○金運△」と同じになる。悪意のあるユーザは、この検索結果を見て、占いサービスに12星座占いを用いていることを予測する。そして、次に入力する検索条件としては、「4月1日」生まれの人の星座とは異なる星座の生年月日を入力してみることを考える。ここでは、次の検索条件として、「1980年5月1日」の生年月日が入力されとものとする。
【0055】
判定手段74は、新たな検索条件が入力されると、既に入力された複数の検索条件の規則性が変化したと判断する。検索結果のカバー率が第1の閾値よりも小さくても、蓄積された検索条件の規則性が「各年の4月1日」から「同じ年の5月1日」に変化したことから、判定手段74は、その検索要求が異常であると判断し、出力手段16にアラームを出力させる。
【0056】
検索サービスにどのような仕組みを用いているかを調べようとすると、上述したように、検索条件の規則性に変化が現れることになる。本実施形態では、検索結果による判定だけでなく、検索条件の規則性に変化があると検索要求が異常であると判断することで、検索対象情報が大量に複写されることを防ぐことができる。本実施形態のような処理を行わないと、占い用の運勢情報の多くまたは全てが悪意のあるユーザに取得されてしまい、サービスそのものが模倣されてしまうなどの危険がある。
【0057】
また、検索結果を見ながら検索条件を変化させる場合、検索対象DB11に格納された情報そのものを複写されなくても、検索用のアルゴリズムが悪意のあるユーザに取得されてしまうことも考えられる。上述の具体例では、例えば、検索条件として入力される生年月日が「おひつじ座」の3月21日〜4月19日までの場合には、検索結果として出力される運勢情報が同じになる。検索条件の生年月日が「4月20日」になると、星座が「おうし座」になるため、それまでとは運勢情報が変わることになる。その結果、占いの方法を隠したくても、12星座占いであることがユーザにわかってしまう、という危険性がある。単に情報を全て複写する場合に限らず、検索のアルゴリズムの情報を取得しようとする場合であっても、検索条件による判定をさらに行うことで、検索要求の異常を検出することができる。
【0058】
本発明によれば、検索サービス用のサーバ装置に対して検索対象情報を不正に複写しようとすると、その動作を検出することができる。これにより、サーバ管理者へのアラーム通知や、検索要求元に検索結果を送らないなどの処置を行うことで、検索対象情報の不正な複写を防止することができる。
【0059】
なお、本実施形態についても、第1の実施形態の図5および図6で説明した構成と同様に、異常性判定部の機能をサーバ装置とは別に設けてもよい。
【0060】
また、第1の実施形態と同様に、判定手段74は、検索要求が異常と判定した場合、検索要求信号からその信号の送信元を特定すると、その送信元が悪意を持って検索対象情報を収集する者の情報処理装置と判断し、その装置に対して、異常であると判定した時点で検索結果の送信を停止してもよい。
【0061】
また、第1および第2の実施形態で説明した種々の判定方法を複数組み合わせてもよい。複数の判定方法を組み合わせる場合、判定結果が異なるとどのように判断するかを予めプログラムに記述しておく。過去の判定結果の成績から判定方法に優先順位を予め決めてもよく、検索対象情報の属性によって判定方法に優先順位を設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、コンテンツが格納されたデータベースを備え、インターネット等を利用してそのデータベースに格納された情報を検索するサービスに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】第1の実施形態のサーバ装置がネットワークに接続された状態を示す図である。
【図2】第1の実施形態のサーバ装置の一構成例を示すブロック図である。
【図3】第1の実施形態のサーバ装置の動作手順を示すフローチャートである。
【図4】第1の実施形態のサーバ装置の動作手順の具体例を説明するための図である。
【図5】第1の実施形態における別の構成例を示す図である。
【図6】図5に示す情報処理装置およびサーバ装置の構成例を示す図である。
【図7】第2の実施形態のサーバ装置の一構成例を示すブロック図である。
【図8】第2の実施形態のサーバ装置の動作手順を説明するための図である。
【符号の説明】
【0064】
10 サーバ装置
32 記憶部
33 制御部
65 情報処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して検索内容である検索条件を含む検索要求信号を複数受信し、複数の前記検索条件毎に検索対象情報を検索して検索結果を求め、求めた複数の該検索結果の前記検索対象情報に占める割合であるカバー率を算出し、該カバー率が予め決められた第1の閾値以上であるか否かによって複数の前記検索要求信号による検索要求が異常であるか否かを判定する制御部を有するサーバ装置。
【請求項2】
前記制御部は、
複数の前記検索要求信号による検索結果の送信先が同一であると、該複数の検索要求信号に対して判定を行う請求項1に記載のサーバ装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記検索要求信号の受信時刻を記録し、所定の時間内、または、所定の時間帯に受信する複数の検索要求信号に対して判定する請求項1または2に記載のサーバ装置。
【請求項4】
前記制御部は、
複数の前記検索要求信号に対応する検索結果の数と前記カバー率を用いて検索効率を算出し、該検索効率が予め決められた第2の閾値以上であるか否かによって前記検索要求が異常であるか否かを判定する請求項1から3のいずれか1項に記載のサーバ装置。
【請求項5】
前記制御部は、
複数の前記検索条件の規則性に変化があるか否かによって前記検索要求が異常であるか否かを判定する請求項1から4のいずれか1項記載のサーバ装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記検索要求が異常であると判定すると、前記検索結果を送信しない請求項1から5のいずれか1項記載のサーバ装置。
【請求項7】
ネットワーク上で検索サービスを提供するサーバ装置に接続される情報処理装置であって、
検索内容である検索条件をそれぞれ含む複数の検索要求信号に対応する前記検索結果を前記サーバ装置から受信し、前記サーバ装置に格納された検索対象情報に対する複数の前記検索結果が占める割合であるカバー率を算出し、該カバー率が予め決められた閾値以上であるか否かによって前記複数の検索要求信号による検索要求が異常であるか否かを判定する制御部を有する情報処理装置。
【請求項8】
ネットワーク上で検索サービスを提供するサーバ装置の情報処理方法であって、
ネットワークを介して検索内容である検索条件を含む検索要求信号を複数受信し、複数の前記検索条件毎に検索対象情報を検索して検索結果を求め、
求めた複数の該検索結果の前記検索対象情報に占める割合であるカバー率を算出し、
前記カバー率が予め決められた第1の閾値以上であるか否かによって複数の前記検索要求信号による検索要求が異常であるか否かを判定する、情報処理方法。
【請求項9】
複数の前記検索要求信号による検索結果の送信先が同一であると、該複数の検索要求信号に対して判定を行う請求項8に記載の情報処理方法。
【請求項10】
前記検索要求信号の受信時刻を記録し、所定の時間内、または、所定の時間帯に受信する複数の検索要求信号に対して判定する請求項8または9に記載の情報処理方法。
【請求項11】
複数の前記検索要求信号に対応する検索結果の数と前記カバー率を用いて検索効率を算出し、
前記検索効率が予め決められた第2の閾値以上であるか否かによって前記検索要求が異常であるか否かを判定する請求項8から10のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項12】
複数の前記検索条件の規則性に変化があるか否かによって前記検索要求が異常であるか否かを判定する請求項8から11のいずれか1項記載の情報処理方法。
【請求項13】
前記検索要求が異常であると判定すると、前記検索結果を送信しない請求項8から12のいずれか1項記載の情報処理方法。
【請求項14】
ネットワーク上で検索サービスを提供するコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
ネットワークを介して検索内容である検索条件を含む検索要求信号を複数受信し、複数の前記検索条件毎に検索対象情報を検索して検索結果を求め、
求めた複数の該検索結果の前記検索対象情報に占める割合であるカバー率を算出し、
前記カバー率が予め決められた第1の閾値以上であるか否かによって複数の前記検索要求信号による検索要求が異常であるか否かを判定する処理を前記コンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項15】
複数の前記検索要求信号による検索結果の送信先が同一であると、該複数の検索要求信号に対して判定を行う請求項14に記載のプログラム。
【請求項16】
前記検索要求信号の受信時刻を記録し、所定の時間内、または、所定の時間帯に受信する複数の検索要求信号に対して判定する請求項14または15に記載のプログラム。
【請求項17】
複数の前記検索要求信号に対応する検索結果の数と前記カバー率を用いて検索効率を算出し、
前記検索効率が予め決められた第2の閾値以上であるか否かによって前記検索要求が異常であるか否かを判定する請求項14から16のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項18】
複数の前記検索条件の規則性に変化があるか否かによって前記検索要求が異常であるか否かを判定する請求項14から17のいずれか1項記載のプログラム。
【請求項19】
前記検索要求が異常であると判定すると、前記検索結果を送信しない請求項14から18のいずれか1項記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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