説明

サーバ装置および情報処理方法

【課題】検索応答の送信にかかるサーバ装置の処理負担を軽減するとともに、ネットワーク内のトラフィックが増大することを抑制すること。
【解決手段】クライアント装置110からブロードキャストされた検索要求を受信した場合、設定取得要求を受信した場合に送信する設定取得応答のデータ容量よりもデータ容量の小さい検索応答を送信するサーバ装置120を構成した。これによって、検索応答の送信に際するサーバ装置120の処理負担を設定取得応答を送信する場合よりも小さくすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ネットワークに接続されたクライアント装置からの操作による設定情報の変更が可能なサーバ装置および当該サーバ装置に用いる情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、たとえば、プリンタ装置などのサーバ装置をLANケーブルなどを用いて複数台接続することにより構成されるネットワークに、パーソナルコンピュータなどのクライアント装置を接続し、当該クライアント装置を用いて各サーバ装置の設定変更をおこなうことを可能とした技術があった。各サーバ装置の設定をネットワークを介して接続されたクライアント装置によっておこなう場合、各サーバ装置を識別するためにサーバ装置ごとに固有のIPアドレスを割り当てる必要がある。
【0003】
たとえば、ネットワーク内にDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバが存在する場合、当該DHCPサーバを用いることによって、各サーバ装置にネットワーク経由でIPアドレスを割り当てることができる。一方、ネットワーク内にDHCPサーバが存在しない場合、作業者が各サーバ装置のそれぞれに対してIPアドレスを割り当てる作業をおこなわなくてはならない。
【0004】
ネットワーク内にDHCPサーバが存在しない場合に、各サーバ装置のそれぞれに対してIPアドレスを割り当てる作業をおこなうことは煩雑であるため、従来、たとえば、TCP/IPネットワークに接続するためのI/Fカードをそれぞれ有する複数のサーバ装置とクライアント装置とがTCP/IPネットワークで接続されたネットワークにおいて、クライアント装置がIPアドレスを設定したいプリンタ装置のI/Fカードのアドレスを含んだ設定パケットをTCP/IPネットワークにブロードキャストし、TCP/IPネットワークにブロードキャストされた設定パケットをサーバ装置が受信して、受信した設定パケットに含まれるI/Fカードのアドレスと自身のI/Fカードのアドレスとが一致したときは自身の設定を当該設定パケットにしたがって変更するようにした技術があった(たとえば、下記特許文献1を参照。)。
【0005】
また、従来、たとえば、クライアント装置が、ネットワーク内の複数のサーバ装置に検索要求を送信し、当該検索要求を受信したサーバ装置から検索応答を受信し、検索応答の送信元となるサーバ装置の中から選択されたサーバ装置に対して設定予定のアドレス情報を含むアドレス設定要求を送信し、アドレス設定要求を受信したサーバ装置から当該サーバ装置のアドレス情報を含むアドレス設定応答を受信するようにした技術があった(たとえば、下記特許文献2を参照。)。
【0006】
また、従来、たとえば、クライアント装置からブロードキャストされた設定情報の読み出し要求を受信した場合は、サーバ装置ごとにあらかじめ設定されたMAC(Media Access Control)アドレス、IPアドレスおよびマシン名を含む設定情報を読み出し、当該設定情報が未設定である場合には読み出したマシン名を読み出したMACアドレスと同一とした設定情報をブロードキャストで返送し、返送された設定情報のマシン名がMACアドレスと一致していた場合にはこの応答をしたサーバ装置の設定情報が未設定であることをクライアント装置において明示するようにした技術があった(たとえば、下記特許文献3を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3645401号公報
【特許文献2】特開2010−98640号公報
【特許文献3】特許第4030865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した従来の技術は、クライアント装置からネットワーク内に存在する複数のサーバ装置に対して検索要求をブロードキャストした場合、当該検索要求に対する検索応答を複数のサーバ装置がそれぞれほぼ同時に送信するため、ネットワーク内に存在するサーバ装置の台数が多くなるほどクライアント装置の処理負荷が増大するという問題があった。具体的には、たとえば100台以上のサーバ装置がネットワーク内に存在する場合、クライアント装置は100台以上のサーバ装置から100件以上の検索応答を受信し、受信した検索応答ごとに処理をおこなわなくてはならない。
【0009】
また、上述した従来の技術は、クライアント装置がブロードキャストした検索要求に対する検索応答を複数のサーバ装置がそれぞれほぼ同時に送信するため、ネットワークにおけるトラフィックが瞬間的に増大し、ネットワークにおけるトラフィック障害の発生が懸念されるという問題があった。具体的には、たとえば、検索要求をブロードキャストしたクライアント装置とは別のクライアント装置におけるデータの送受信に遅延を生じさせることが懸念されるという問題があった。
【0010】
また、上述した従来の技術は、クライアント装置が高容量の情報が含まれる検索応答を要求する検索要求を送信した場合、複数台のサーバ装置がほぼ同時に検索応答を送信することによる上記の問題が拡大し、トラフィック障害の発生がより一層発生しやすくなるという問題があった。
【0011】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、検索応答の送信にかかるサーバ装置の処理負担を軽減するとともに、ネットワーク内のトラフィックが増大することを抑制することができるサーバ装置および情報処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明にかかるサーバ装置は、ネットワークを介してクライアント装置と接続されたサーバ装置であって、前記クライアント装置からブロードキャストされた、前記サーバ装置の識別情報の送信を要求する検索要求を受信する検索要求受信手段と、前記検索要求受信手段によって受信した検索要求に対して、当該検索要求を受信したサーバ装置の識別情報を含む検索応答を送信する検索応答送信手段と、前記検索応答送信手段によって送信した検索応答を複数受信したクライアント装置から、少なくとも一つの検索応答の送信元となるサーバ装置に対して送信された、当該サーバ装置の識別情報を含み当該サーバ装置に個別に設定可能な設定情報の送信を要求する設定取得要求を受信する設定取得要求受信手段と、前記設定取得要求受信手段によって受信した設定取得要求に対して、自装置の前記設定情報を含む設定取得応答を送信する設定取得応答送信手段と、を備え、前記サーバ装置が送信する前記検索応答のデータ容量を前記設定取得応答のデータ容量より小さくしたことを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、サーバ装置は、クライアント装置からブロードキャストされた検索要求を受信した場合、設定取得要求を受信した場合に送信する設定取得応答のデータ容量よりもデータ容量の小さい検索応答を送信する。これによって、検索応答の送信に際するサーバ装置の処理負担を設定取得応答を送信する場合よりも小さくすることができる。さらには、多数のサーバ装置がほぼ同時に検索応答を送信した時に占有されるネットワーク帯域を小さくすることができる。
【0014】
また、この発明にかかるサーバ装置は、上記の発明において、前記検索応答のデータは、前記設定取得応答を構成するデータのうち、前記サーバ装置の識別情報のみで構成されていることを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、サーバ装置は、クライアント装置がサーバ装置を認識できる必要最小限の情報を含む検索応答を送信する。これによって、クライアント装置における処理に支障をきたすことなく、検索応答の送信に際するサーバ装置の処理負担を設定取得応答を送信する場合よりも確実に小さくすることができる。さらには、多数のサーバ装置がほぼ同時に検索応答を送信した時に占有されるネットワーク帯域を小さくすることができる。
【0016】
また、この発明にかかる情報処理方法は、ネットワークを介してクライアント装置と接続されたサーバ装置に用いる情報処理方法であって、前記クライアント装置からブロードキャストされた、前記サーバ装置の識別情報の送信を要求する検索要求を受信する検索要求受信工程と、前記検索要求受信工程によって受信した検索要求に対して、当該検索要求を受信したサーバ装置の識別情報を含む検索応答を送信する検索応答送信工程と、前記検索応答送信工程によって送信した検索応答を複数受信したクライアント装置から、少なくとも一つの検索応答の送信元となるサーバ装置に対して送信された、当該サーバ装置の識別情報を含み当該サーバ装置に個別に設定可能な設定情報の送信を要求する設定取得要求を受信する設定取得要求受信工程と、前記設定取得要求受信工程によって受信した設定取得要求に対して、自装置の前記設定情報を含む設定取得応答を送信する設定取得応答送信工程と、を含み、前記検索応答送信工程において送信する前記検索応答のデータ容量を、前記設定取得応答送信工程において送信する前記設定取得応答のデータ容量より小さくしたことを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、クライアント装置からブロードキャストされた検索要求を受信した場合に、サーバ装置に対して、当該サーバが設定取得要求を受信した場合に送信する設定取得応答のデータ容量よりもデータ容量の小さい検索応答を送信させることができる。これによって、検索応答の送信に際するサーバ装置の処理負担を設定取得応答を送信する場合よりも小さくさせることができる。さらには、多数のサーバ装置がほぼ同時に検索応答を送信した時に占有されるネットワーク帯域を小さくすることができる。
【発明の効果】
【0018】
この発明にかかるサーバ装置および情報処理方法によれば、検索応答の送信にかかるサーバ装置の処理負担を軽減するとともに、ネットワーク内のトラフィックが増大することを抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明にかかる実施の形態のサーバ装置を備えるネットワークシステムの構成を示す説明図である。
【図2】この発明にかかる実施の形態のネットワークシステムを構成するクライアント装置を実現するコンピュータ装置のハードウエア構成を示すブロック図である。
【図3】この発明にかかる実施の形態のネットワークシステムを構成するサーバ装置を実現するプリンタ装置のハードウエア構成を示すブロック図である。
【図4−1】この発明にかかる実施の形態のネットワークシステムを構成する各装置が送受信するパケットフォーマット例を示す説明図(その1)である。
【図4−2】この発明にかかる実施の形態のネットワークシステムを構成する各装置が送受信するパケットフォーマット例を示す説明図(その2)である。
【図4−3】この発明にかかる実施の形態のネットワークシステムを構成する各装置が送受信するパケットフォーマット例を示す説明図(その3)である。
【図5−1】クライアント装置を実現するコンピュータ装置が備えるディスプレイが表示する表示画面例を示す説明図(その1)である。
【図5−2】クライアント装置を実現するコンピュータ装置が備えるディスプレイが表示する表示画面例を示す説明図(その2)である。
【図5−3】クライアント装置を実現するコンピュータ装置が備えるディスプレイが表示する表示画面例を示す説明図(その3)である。
【図6−1】この発明にかかる実施の形態のネットワークシステムを構成する各装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図6−2】UDPパケットのパケットフォーマットを模式的に示す説明図である。
【図7】この発明にかかる実施の形態のネットワークシステムを構成する各装置がおこなう処理手順を示すフローチャート(その1)である。
【図8−1】この発明にかかる実施の形態のネットワークシステムを構成する各装置がおこなう処理手順を示すフローチャート(その2)である。
【図8−2】この発明にかかる実施の形態のネットワークシステムを構成する各装置がおこなう処理手順を示すフローチャート(その3)である。
【図8−3】この発明にかかる実施の形態のネットワークシステムを構成する各装置がおこなう処理手順を示すフローチャート(その4)である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるサーバ装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0021】
(ネットワークシステムの構成)
まず、この発明にかかる実施の形態のサーバ装置を備えるネットワークシステムの構成について説明する。図1は、この発明にかかる実施の形態のサーバ装置を備えるネットワークシステムの構成を示す説明図である。
【0022】
図1において、この発明にかかる実施の形態のネットワークシステム100は、クライアント装置110と、サーバ装置120と、を備えている。ネットワークシステム100において、クライアント装置110とサーバ装置120とは、ネットワーク130を介して接続されている。
【0023】
ネットワークシステム100において、クライアント装置110は、複数台(この実施の形態においては3台)設けられている。ネットワークシステム100において、クライアント装置110は、1台であってもよい。クライアント装置110は、たとえば、パーソナルコンピュータなどのコンピュータ装置によって実現することができる(図2を参照)。
【0024】
また、ネットワークシステム100において、サーバ装置120は、複数台(この実施の形態においてはN台(Nは任意の整数))設けられている。この発明にかかる実施の形態のネットワークシステム100において、サーバ装置120の台数は、クライアント装置110の台数よりも多い。サーバ装置120は、たとえば、クライアント装置110との間で通信をおこない、当該クライアント装置110から送信されたプリントデータに基づいてプリント動作を実行するプリンタ装置などによって実現することができる(図3を参照)。
【0025】
(コンピュータ装置のハードウエア構成)
つぎに、この発明にかかる実施の形態のネットワークシステム100を構成するクライアント装置110を実現するコンピュータ装置のハードウエア構成について説明する。図2は、この発明にかかる実施の形態のネットワークシステム100を構成するクライアント装置110を実現するコンピュータ装置のハードウエア構成を示すブロック図である。
【0026】
図2において、コンピュータ装置は、CPU201と、ROM202と、RAM203と、HDD(ハードディスクドライブ)204と、HD(ハードディスク)205と、FDD(フロッピー(登録商標)ディスクドライブ)206と、着脱可能な記録媒体の一例としてのFD(フロッピーディスク)207と、ディスプレイ208と、入力操作部209と、ネットワークI/F(インターフェース)210と、を備えている。また、コンピュータ装置が備える各部201〜210は、バス211によってそれぞれ接続されている。
【0027】
CPU201は、コンピュータ装置全体の制御を司る。ROM202は、ブートプログラムなどのプログラムを記憶している。RAM203は、CPU201のワークエリアとして使用される。HDD204は、CPU201の制御にしたがってHD205に対するデータのリード/ライトを制御する。HD205は、HDD204の制御で書き込まれたデータを記憶する。
【0028】
FDD206は、CPU201の制御にしたがってFD207に対するデータのリード/ライトを制御する。FD207は、FDD206の制御で書き込まれたデータを記憶する。着脱可能な記録媒体として、FD207の他、CD−ROM(CD−RW)、MO、DVD(Digital Versatile Disk)などであってもよい。
【0029】
ディスプレイ208は、たとえば液晶パネルを備えた表示装置によって実現することができる。ディスプレイ208を実現する液晶パネルは、各種の文字や画像を表示する。具体的には、たとえば、各種のアイコンや当該アイコンを選択することによって起動される各種のアプリケーション画面などを表示する。
【0030】
入力操作部209は、たとえば、利用者から、各サーバ装置120に対する個別に設定可能な設定情報の入力操作を受け付ける。CPU201は、入力操作部209によって受け付けられた入力操作に応じた情報処理をおこなう。入力操作部209は、たとえば、キーボードやマウスなどによって実現することができる。
【0031】
ネットワークI/F210は、通信回線を通じてネットワーク130に接続され、ネットワーク130を介して顧客端末装置などの外部装置に接続される。そして、ネットワークI/F210は、ネットワーク130とクライアント装置110内部とのインターフェースを司り、コンピュータ装置からのデータの入出力を制御する。
【0032】
(プリンタ装置のハードウエア構成)
つぎに、この発明にかかる実施の形態のネットワークシステム100を構成するサーバ装置120を実現するプリンタ装置のハードウエア構成について説明する。図3は、この発明にかかる実施の形態のネットワークシステム100を構成するサーバ装置120を実現するプリンタ装置のハードウエア構成を示すブロック図である。
【0033】
図3において、プリンタ装置は、CPU301と、ROM302と、RAM303と、メモリ304と、ネットワークI/F305と、プリントヘッド306と、モータ307、308と、ディスプレイ309と、操作部310と、各種センサ311と、を備えている。プリンタ装置が備える各部301〜311は、バス312によってそれぞれ接続されている。
【0034】
CPU301は、プリンタ装置全体の制御を司る。ROM302は、ブートプログラム、アプリケーションプログラムなどのプログラムに関係する情報を記憶している。RAM303は、CPU301のワークエリアとして使用される。メモリ304は不揮発性の記憶媒体によって実現され、プリンタ装置の設定情報を記憶する。
【0035】
設定情報は、たとえば、設定情報の設定(変更)対象とするサーバ装置120の製造番号、機種、ROMなどのメモリのバージョン、MACアドレス、IPアドレス、サブネットマスク、デフォルトゲートウェイIPアドレス、ホスト名、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)の使用の有無、回線速度の種類、印字濃度、印字速度などを示す。
【0036】
また、設定情報は、たとえば、プリンタ装置で使用可能な記録媒体の種別(用紙種別)、記録媒体が発色可能な色数、などを示す情報を含んでいてもよい。さらに、設定情報は、たとえば、プリンタ装置が備えるカッタ機構を、プリント長さに応じて適宜動作させるかどうか(用紙の自動カット動作を有効とするか無効とするか)を示す情報を含んでいてもよい。また、設定情報は、たとえば、プリンタ装置で使用可能な記録媒体の印字幅を示す情報を含んでいてもよい。
【0037】
また、設定情報は、たとえば、用紙切れセンサ、プリンタ装置の起動時における用紙の頭出し、ブザーによる警告など、プリンタ装置が備える機能をそれぞれ有効とするか無効とするかを示す情報を含んでいてもよい。ブザーによる警告を有効とする場合、設定情報は、当該警告に際して用いるブザーの音調を示してもよい。この場合、具体的には、ブザーの音調は、たとえば「トーン1」、「トーン2」、「トーン3」、「トーン4」などのようにあらかじめ定められた複数種類の音調の中から任意の音調を選択することによって設定することができる。
【0038】
また、設定情報は、たとえば、プリンタ装置において利用する文字のコードページを示す情報を含んでいてもよい。コードページは、特定の符号化文字集合を指定するための数字、または、当該数字で指定された符号化文字集合によって実現される。それぞれのコードページ(符号化文字集合)は、たとえば「コードページ○○(○○は2桁から5桁の数字)」という形で示される。
【0039】
また、設定情報は、たとえば、いずれの国際文字を使用するかを示す情報を含んでいてもよい。国際文字は、具体的には、たとえば、「アメリカ」、「フランス」、「ドイツ」、「イギリス」、「デンマーク」、「日本」、「韓国」、「中国」など、プリンタ装置を設置する国(地域)で使用可能な文字を示す。
【0040】
また、設定情報は、たとえば、プリンタ装置における漢字のプリントが有効であるか無効であるかを示す情報を含んでいてもよい。さらに、ディスプレイ309における表示言語(LCD表示言語)を示す情報を含んでいてもよい。ディスプレイ309における表示言語は、具体的には、たとえば、「英語」、「フランス語」、「ドイツ語」、「イタリア語」、「スペイン語」、「日本語」、「中国語」などを示す。また設定情報は、ディスプレイ309における表示方向(LCD表示方向)が正立であるか倒立であるかを示してもよい。
【0041】
また、設定情報は、たとえば、プリンタ装置が待機状態にある場合にディスプレイ309を自動的にオフ(非表示)にするか否か、および、ディスプレイ309を自動的にオフ(非表示)にする場合はプリンタ装置が待機状態になってからディスプレイ309を自動的にオフ(非表示)にするまでの時間を示す情報を含んでいてもよい。
【0042】
プリンタ装置が待機状態になってからディスプレイ309を自動的にオフ(非表示)にするまでの時間は、たとえば、「30秒後」、「5分後」などのように任意に設定することができる。設定情報は、プリンタ装置が備える操作キーによるプリンタ装置に対する直接操作が有効であるか無効であるかを示す情報を含んでいてもよい。
【0043】
設定情報を記憶するメモリ304を、不揮発性の記憶媒体によって実現することにより、プリンタ装置の電源を切っても設定情報を記憶しておくことができる。具体的には、メモリ304は、たとえば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)によって実現することができる。
【0044】
ネットワークI/F305は、ネットワーク130を介してクライアント装置110を実現するコンピュータ装置に接続され、プリンタ装置とコンピュータ装置とのインターフェースを司り、プリンタ装置からのデータの入出力を制御する。具体的には、プリンタ装置は、たとえばネットワークI/F305を介してクライアント装置110を実現するコンピュータ装置からプリントデータを受信し、受信したプリントデータに基づいてCPU301によって各部を制御することによってプリント動作をおこなう。
【0045】
プリントヘッド306は、CPU301によって駆動制御され、長尺状の用紙などの被記録媒体に対してプリントデータに基づく情報をプリントする。プリントヘッド306は、たとえば、ライン状に配列された複数の発熱素子を備えた感熱方式のプリントヘッドによって実現することができる。プリントヘッド306は、CPU301によって駆動制御されることにより、ライン状に配列された複数の発熱素子に対する選択的な通電をおこない、該当する発熱素子を選択的に発熱させる。
【0046】
プリンタ装置は、プリントヘッド306におけるライン状に配列された複数の発熱素子に対して、記録媒体の搬送経路を間にして対向するように配置された図示を省略するプラテンを備えている。プリンタ装置は、プリントヘッド306とプラテンとの間に感熱紙などの感熱発色性を有する記録媒体を介在させた状態で、プリントヘッド306が備える発熱素子に選択的に通電することによって該当する発熱素子を選択的に発熱させ、用紙上に小さな点(ドット)を発色させる。
【0047】
プリントヘッド306は、感熱方式に限るものではなく、感熱方式と同様のノンインパクト方式を採用してプリントをおこなうものであってもよい。ノンインパクト方式としては、たとえば熱転写方式、インクジェット方式、レーザー方式などによってプリントをおこなうプリントヘッド306が挙げられる。この場合、プリントヘッド306は、感熱方式に代えて、各印字方式にあわせたプリントヘッドを備える。熱転写方式、インクジェット方式、レーザー(電子写真)方式のプリント方法については公知の技術であるため説明を省略する。
【0048】
また、プリントヘッド306は、ノンインパクト方式を採用してプリントをおこなうものに限らず、ドットインパクトプリントヘッドを用いたインパクト方式を採用してプリントをおこなうものであってもよい。具体的には、プリントヘッド306は、たとえば、ワイヤドットプリンタなどのように、インパクト方式を採用した印字をおこなうものであってもよい。
【0049】
モータ307は、CPU301によって駆動制御され、図示を省略する搬送ローラを回転させる駆動力を発生する。モータ307は、CPU301によって駆動制御され、プリントヘッド306に対する通電タイミングに応じて搬送ローラを回転させる。これによって、記録媒体上において小さな点(ドット)を連続して発色させることができ、記録媒体に文字などをプリントすることができる。プリントは、発色させた小さな点(ドット)によって文字をあらわす場合に限らず、図形など文字以外をあらわす場合も含む。
【0050】
モータ308は、CPU301によって駆動制御され、図示を省略するカッタ機構における可動刃を動作させる駆動力を発生する。カッタ機構は、プリンタ装置において位置が固定された固定刃と、当該固定刃に対して相対的に移動可能な可動刃と、を備え、固定刃と可動刃との間に記録媒体を位置させた状態で固定刃に対して可動刃を移動させることにより、記録媒体を任意の位置において切断する。
【0051】
ディスプレイ309は、CPU301によって制御されることによって文字や記号などの情報を表示する。具体的には、ディスプレイ309は、たとえば、プリンタ装置に異常が発生した場合や、記録媒体の残量が所定以下になった場合などに、各状況を案内する文字情報などを表示する。操作部310は複数の操作キーを備え、CPU301は操作部310において操作された操作キーに応じた信号を検出して所定の処理をおこなう。
【0052】
プリンタ装置は、記録媒体の位置(先端位置)を検出するセンサや、記録媒体の残量を検出するセンサなど、各種センサ311を備えている。各種センサ311は、たとえば、発光素子と当該発光素子が発光した光を受光する受光素子とを備え、受光素子における受光量の変化に基づいて記録媒体の位置(先端位置)や記録媒体の残量を検出する光電センサによって実現することができる。
【0053】
(パケットフォーマット例)
つぎに、この発明にかかる実施の形態のネットワークシステム100を構成する各装置が送受信するパケットフォーマット例について説明する。図4−1、図4−2および図4−3は、この発明にかかる実施の形態のネットワークシステム100を構成する各装置が送受信するパケットフォーマット例を示す説明図である。
【0054】
図4−1は、この発明にかかる実施の形態のネットワークシステム100を構成する各装置110、120が送受信するパケットフォーマットの基本構成を示している。図4−1において、パケットフォーマットは、識別情報部、通信方向部、コマンド番号部からなるヘッダ行と、サーバ装置固有の設定情報を含むデータ行と、パケットの末尾を示す終了行と、を先頭から末尾に向かって順に組み合わせた構成を基本としている。
【0055】
識別情報部は、サーバ装置120(プリンタ装置)の製造元や、機種情報を一意に特定できる情報で構成される。通信方向部は、ネットワーク中に出力された情報の通信方向を示す。通信方向を示すパケットは、たとえば、クライアント装置110からサーバ装置120側へ向かう方向、すなわち、0×00の方向であることを示す。また、通信方向部は、たとえば、サーバ装置120側からクライアント装置110へ向かう方向、すなわち、0×FFの方向であることを示す。コマンド番号部は、先頭のバイトが最下位のバイトとされ、たとえば、2進数の4バイトの情報量を有し、パケットの種類を示す。
【0056】
データ行は、サーバ装置固有の設定情報を含み、行数(データ量)は可変とされている。データ行は、たとえば、“(データ識別文字列)”+”(Space)=(Space)”+“(データ文字列)”+“¥r¥n“によってあらわされる。データ行は、テキストデータで構成されることを基本としている。また、データ行におけるデータの長さは、データ識別文字列に依存する。終了行は、データの末尾であることを示し、たとえば、“END(Space)=(Space)¥r¥n”によってあらわされる。終了行パケットは、たとえば、8バイトの情報量を有する。
【0057】
図4−2は、この発明にかかる実施の形態のネットワークシステム100を構成するサーバ装置120が送信する検索応答のパケット(検索応答パケット)を示している。図4−2において、検索応答は、上記のパケットフォーマットにしたがい、識別情報部、通信方向部、コマンド番号部からなるヘッダ行と、サーバ装置固有の設定情報を含むデータ行と、パケットの末尾を示す終了行と、を先頭から末尾に向かって順に組み合わせて構成されている。
【0058】
検索応答におけるデータ行は、機種、ROMバージョン、製造番号、IPアドレス、ホスト名を含んでいる。検索応答において機種を示すデータ行は、たとえば、“DEV=“および“IF1−ET01 “およびデータ行の終了を示す“¥r¥n“によって構成することができる。データ行において、“DEV=“は6バイト、“IF1−ET01 “は16バイト、“¥r¥n“は2バイトの情報量を有する。
【0059】
検索応答においてROMバージョンを示すデータ行は、たとえば、“VER=“および“DQ00−01XX “およびデータ行の終了を示す“¥r¥n“によって構成することができる。データ行において、“VER=“は6バイト、“DQ00−01XX “は16バイト、“¥r¥n“は2バイトの情報量を有する。
【0060】
検索応答において製造番号を示すデータ行は、たとえば、“SERILAL_NUM=“および“10100033“およびデータ行の終了を示す“¥r¥n“によって構成することができる。データ行において、“SERILAL_NUM=“は13バイト、“10100033“は16バイト、“¥r¥n“は2バイトの情報量を有する。
【0061】
検索応答においてIPアドレスを示すデータ行は、たとえば、“IP=“および“169.254.1.10“およびデータ行の終了を示す“¥r¥n“によって構成することができる。データ行において、“IP=“は5バイト、“169.254.1.10“は15バイト、“¥r¥n“は2バイトの情報量を有する。
【0062】
検索応答においてホスト名を示すデータ行は、たとえば、“HOST_NAME=“および“Cash desk01 “およびデータ行の終了を示す“¥r¥n“によって構成することができる。データ行において、“HOST_NAME=“は12バイト、“Cash desk01 “は32バイト、“¥r¥n“は2バイトの情報量を有する。
【0063】
図4−2に示した検索応答は、168バイトの情報量を有する。検索応答に含まれるデータ行はさらに少なくてもよく、例えば製造番号を示すデータ行だけでもよい。このように、検索応答を、サーバ装置120の識別が可能な最低限の情報のみで構成することにより、検索応答のデータサイズを小さくすることができる。検索応答のデータは、圧縮してもよい。検索応答のデータを圧縮することにより、ネットワーク130に出力される検索応答のデータサイズをより小さくすることができる。
【0064】
図4−3は、この発明にかかる実施の形態のネットワークシステム100を構成するサーバ装置120が送信する設定取得応答のパケット(設定取得応答パケット)を示している。図4−3において、設定取得応答は、上記のパケットフォーマットにしたがい、識別情報部、通信方向部、コマンド番号部からなるヘッダ行と、サーバ装置固有の設定情報を含むデータ行と、パケットの末尾を示す終了行と、を先頭から末尾に向かって順に組み合わせて構成されている。
【0065】
設定取得応答におけるデータ行パケットは、機種、ROMバージョン、MACアドレス、回線速度、DHCPが有効であるか無効であるかを示す情報、IPアドレス、サブネットマスク、デフォルトゲートウェイIPアドレス、初期化時IPアドレス、SNMP(Simple Network Management Protocol)関係の設定情報、印刷ポート、印刷データを受信する際のタイムアウト時間、サーバ装置120を実現するプリンタ装置の製造社名、ホスト名および製造番号を示す情報を含んでいる。図4−3に示した設定取得応答は、537バイトの情報量を有している。
【0066】
図4−2に示した検索応答および図4−3に示した設定取得応答を比較すると、設定取得応答の情報量は検索応答の情報量よりも大きい。すなわち、検索応答を送信する時点においてはサーバ装置120の検索に必要最低限の情報とすることにより、ネットワーク内のトラフィックが増大することを抑制することができる。本実施の形態において、設定取得応答の情報量は、検索応答の情報量の約3倍であるが、設定取得応答の情報量に制限はなく、たとえば検索応答の情報量の100倍であってもよい。
【0067】
(表示画面例)
つぎに、クライアント装置110を実現するコンピュータ装置が備えるディスプレイ208が表示する表示画面例について説明する。図5−1、図5−2および図5−3は、クライアント装置110を実現するコンピュータ装置が備えるディスプレイ208が表示する表示画面例を示す説明図である。
【0068】
図5−1においては、クライアント装置110が工場出荷状態のサーバ装置120を検索した場合に、クライアント装置110を実現するコンピュータ装置が備えるディスプレイ208が表示する表示画面例を示している。図5−1において、表示画面510は、略中央段において、クライアント装置110がブロードキャストした検索要求に応じて検索応答を送信したサーバ装置120の設定情報の一部である簡易情報を表示する。この実施の形態において、簡易情報は、サーバ装置120の製造番号、機種、ROMバージョン、IPアドレス、ホスト名のみを示す。
【0069】
クライアント装置110は、表示画面510における「検索」キーが操作された場合に、検索要求をブロードキャストし、ブロードキャストした検索要求に応じてサーバ装置120から送信された検索応答に基づいて、サーバ装置120の簡易情報を表示画面510における略中央段に表示する。
【0070】
表示画面510における最上段は、表示画面510における略中央段において選択されたサーバ装置120の簡易情報を示す。表示画面510における最上段は、略中央段において選択されたサーバ装置120が変更されるごとに表示内容を更新し、略中央段において選択されたサーバ装置120に関する簡易情報を示す。
【0071】
表示画面510における下段は、表示画面510における略中央段に示されたサーバ装置120のうち選択されたサーバ装置120に関する設定情報を表示する。表示画面510における下段は、該当するサーバ装置120の簡易情報を含む、詳細な設定情報を表示する。設定情報は、上記の図4−3に示した設定取得応答のデータを示すパケットに含まれる。
【0072】
表示画面510における下段は、設定情報として、たとえば、サーバ装置120の製造番号、機種、ROMバージョン、IPアドレス、ホスト名に加えて、MACアドレス、サブネットマスク、デフォルトゲートウェイIPアドレス、DHCP、回線速度、印字濃度、印字速度などの設定情報を表示する。工場出荷時の同機種のサーバ装置120は、製造番号とMACアドレス以外、すべて同じコンフィグレーションとされている。製造番号とMACアドレスは、工場で装置ごとに一意に設定される。
【0073】
クライアント装置110は、表示画面510における略中央段においてサーバ装置120が選択された状態で「設定取得」キーが操作された場合に、選択されたサーバ装置120に対して設定取得要求を送信し、送信した設定取得要求に応じてサーバ装置120から送信された設定取得応答に基づいて、該当するサーバ装置120の詳細な設定情報を表示画面510における下段に表示する。
【0074】
また、クライアント装置110は、表示画面510における下段に表示されたサーバ装置120の設定情報の変更操作を受け付ける。クライアント装置110は、「設定変更」キーが操作された場合に、当該「設定変更」キーが操作された時点において表示画面510の上段において選択されていたサーバ装置120の設定情報を、利用者が、入力操作部209を操作して変更を行う設定変更画面を起動する(図5−2を参照)。
【0075】
図5−2においては、クライアント装置110が表示画面510中に表示された任意のサーバ装置120が選択された状態で、「設定変更」キーが操作された場合に表示される表示画面例を示している。図5−2において、表示画面520は、上段において、選択されたサーバ装置120に固有の設定情報を表示する。表示画面520は、下段において、選択されたサーバ装置120の設定情報のうち、変更可能な設定情報を表示する。
【0076】
表示画面520においては、たとえば、「ホスト名」、「回線速度」、「DHCPの使用の有無」、「IPアドレス」、「サブネットマスク」、「デフォルトゲートウェイ」、「印刷濃度」、「印刷速度」などの設定情報が、変更可能な設定情報とされている。変更可能な設定情報は、これらに限るものではない。また、変更可能な設定情報は、利用者が入力操作部209を操作することにより、たとえば、「ホスト名」欄の設定値「1階‐食品‐01」を、「2階‐衣料品‐02」のように、任意に変更することができる。表示画面520においては、たとえば、「設定を編集して、設定変更ボタンをクリックしてください。」などのように、表示画面520における設定情報の変更操作を案内するメッセージを表示してもよい。
【0077】
クライアント装置110は、表示画面520における「設定変更」キーが操作された場合に、表示画面520における下段において設定された各設定情報に基づいて設定変更要求を生成し、生成した設定変更要求を該当するサーバ装置120、すなわち、表示画面520における上段に表示された設定情報によって特定されるサーバ装置120に対して送信する。クライアント装置110は、設定変更要求を該当するサーバ装置120に送信した後は、たとえば、表示画面510を表示する。
【0078】
クライアント装置110は、表示画面520における「キャンセル」キーが操作された場合、表示画面520の下段における設定情報の変更の有無にかかわらず、設定情報の変更を中断する。クライアント装置110は、設定情報の変更を中断した場合、たとえば、表示画面520を表示画面510に切り換える。
【0079】
図5−3においては、表示画面520において設定情報の変更をおこなった後に表示された表示画面510において、設定情報の変更をおこなったサーバ装置120を選択した状態で、再度、設定取得要求を送信した場合に表示される表示画面例を示している。図5−3において、表示画面503は、設定情報の変更前の表示画面510と比較して、「デフォルトゲートウェイ」、「ホスト名」、「印刷濃度」、「印刷速度」などの設定情報が変更されている。
【0080】
(ネットワークシステム100の機能的構成)
つぎに、この発明にかかる実施の形態のネットワークシステム100を構成する各装置の機能的構成について説明する。図6−1は、この発明にかかる実施の形態のネットワークシステム100を構成する各装置の機能的構成を示すブロック図である。
【0081】
(クライアント装置110の機能的構成)
まず、この発明にかかる実施の形態のネットワークシステム100を構成するクライアント装置110の機能的構成について説明する。図6−1において、この発明にかかる実施の形態のクライアント装置110の各機能は、入力操作受付部611と、検索要求送信部612と、検索応答受信部613と、表示部614と、設定取得要求送信部615と、設定取得応答受信部616と、によって実現される。
【0082】
この発明にかかる実施の形態のクライアント装置110の各機能を実現する入力操作受付部611、検索要求送信部612、検索応答受信部613、表示部614、設定取得要求送信部615および設定取得応答受信部616は、クライアント装置110を実現するコンピュータ装置が備える各部によって実現することができる。
【0083】
入力操作受付部611は、クライアント装置110の利用者による入力操作を受け付ける。入力操作受付部611は、たとえば、サーバ装置120に対して当該サーバ装置120の識別情報の送信を要求する検索要求を、ネットワーク130に接続された各サーバ装置120に対してブロードキャストする指示の入力操作を受け付ける。また、入力操作受付部611は、たとえば、サーバ装置120に対して当該サーバ装置120の設定情報の取得を要求する設定取得要求を送信する指示の入力操作を受け付ける。
【0084】
検索要求送信部612は、入力操作受付部611によって、検索要求のブロードキャストを指示する入力操作を受け付けた場合に、指示された検索要求をネットワーク130に接続されたサーバ装置120に対してブロードキャストする。検索要求送信部612は、入力操作受付部611によって、検索要求のブロードキャストを指示する入力操作を受け付けた場合に、ネットワークシステム100を構成するすべてのサーバ装置120を送信先とするブロードキャストアドレスを設定した検索要求を、ネットワークシステム100内の不特定多数のサーバ装置120に向かって送信する。
【0085】
この発明にかかる実施の形態のネットワークシステム130において、クライアント装置110とサーバ装置120との間における要求や応答の送受信は、たとえば、UDP(User Datagram Protocol)ブロードキャストによって実現することができる。検索要求送信部612は、複数の相手を指定して検索要求をマルチキャストするのではなく、検索要求をブロードキャストする。
【0086】
ここで、一般的なUDPパケットのパケットフォーマットについて説明する。図6−2は、UDPパケットのパケットフォーマットを模式的に示す説明図である。図6−2において、一般的なUDPパケット600は、OSI(Open Systems Interconnection)参照モデルにおけるデータリンク層で、MACフレームとして構成される。
【0087】
UDPパケット600を含むMACフレームは、データリンク層ヘッダ601と、IPヘッダ602と、UDPヘッダ603と、データ部604と、データリンク層トレーラ605と、を備える。データリンク層ヘッダ601は、ルータを越えない同一ネットワーク内での通信制御情報を備え、宛先MACアドレス601aと、送信元MACアドレス601bと、図示しないその他の通信制御情報と、で構成される。
【0088】
IPヘッダ602は、アドレスによるホストの識別をおこない、LANやWANにかかわらずルータを越えるホスト間接続を可能にするための通信制御情報を備え、宛先IPアドレス602aと、送信元IPアドレス602bと、図示しないその他の通信制御情報と、で構成される。UDPヘッダ603は、通信の両端のホストにおけるアプリケーションを識別するためのポート番号を備えており、宛先ポート番号603aと、送信元ポート番号603bと、その他の通信制御情報と、で構成される。
【0089】
データ部604は、UDPブロードキャストによって送信される要求や応答の本体で構成され、識別情報部、通信方向部、コマンド番号部からなるヘッダ行と、サーバ装置120に固有の設定情報を含むデータ行と、パケットの末尾を示す終了行と、を先頭から末尾に向かって順に組み合わせて構成されている。データリンク層トレーラ605は、MACフレームの末尾に配置され、図示しない通信中に起きたエラー情報などを備える。なお、OSI参照モデル、LAN、WAN、各ヘッダのその他の通信制御情報は公知の技術であるため説明を省略する。
【0090】
具体的には、検索要求送信部612は、たとえば、図6−2におけるデータリンク層ヘッダ601の宛先MACアドレス601aに「FF:FF:FF:FF:FF:FF」をブロードキャストアドレスとして設定した検索要求を送信する。また、具体的には、検索要求送信部612は、たとえば、図6−2におけるIPヘッダ602の宛先IPアドレス602aに「255.255.255.255」をブロードキャストアドレスとして設定した検索要求を送信する。
【0091】
また、具体的には、検索要求送信部612は、たとえば、ホスト部のビットをすべて1にしたブロードキャストアドレスとして設定した検索要求を送信するものであってもよい。この場合、より具体的には、たとえば、ネットワークアドレスが「192.168.0.0」であって、ホストアドレスが下位8ビットである場合、検索要求送信部612は、「192.168.0.255」というブロードキャストアドレスを設定した検索要求を送信する。
【0092】
検索要求送信部612が送信する検索要求において、図6−2におけるUDPヘッダ603の宛先ポート番号603aおよび送信元ポート番号603bに設定する番号には特に制限はない。具体的には、検索要求送信部612は、たとえば、図6−2におけるUDPヘッダ603の宛先ポート番号603aおよび送信元ポート番号603bに、IANA(Internet Assigned Numbers Authority)が管理するWELL KNOWN PORT NUMBERS(0番から1023番の範囲)以外の番号(1024番から65535番の範囲)のうち、既に公的に占有されていない番号を使用(設定)することが好ましい。
【0093】
検索応答受信部613は、検索要求送信部612によって検索要求をブロードキャストした結果、当該検索要求を受信したサーバ装置120から送信された検索応答を受信する。表示部614は、検索応答受信部613が受信した検索応答に基づいて表示画面510を表示する。複数のサーバ装置120から検索応答が送信された場合、検索応答受信部613は複数の検索応答を受信し、表示部614は複数の検索応答に基づいて、複数のサーバ装置120に関する情報を含む表示画面510を表示する。
【0094】
設定取得要求送信部615は、表示画面510における上段においてサーバ装置120が選択された状態で、「設定取得」キーが操作された場合に、選択されたサーバ装置120に対して、当該サーバ装置120の識別情報(たとえば製造番号)を含む設定取得要求を送信する。設定取得要求は、選択されたサーバ装置120のメモリ304に記憶された設定情報の送信を要求する。
【0095】
設定取得要求送信部615は、選択されたサーバ装置120の設定情報の取得を要求する設定取得要求を、ネットワーク130を構成するすべてのサーバ装置120に対してブロードキャストする。また、設定取得要求送信部615は、選択されたサーバ装置120の設定情報の取得を要求する設定取得要求を、該当するサーバ装置120に対してのみ送信するものであってもよい。
【0096】
設定取得応答受信部616は、設定取得要求送信部615が設定取得要求を送信した結果、該当するサーバ装置120から送信された設定取得応答を受信する。設定取得応答がサーバ装置120からブロードキャストされた場合、設定取得応答受信部616は、自装置に該当する設定取得応答のみを受信する。設定取得応答受信部616が設定取得応答を受信した場合、上記の表示部614は、設定取得応答受信部616が受信した設定取得応答に基づいて、表示画面510の下段に、選択されたサーバ装置120の設定情報を表示する。
【0097】
(サーバ装置120の機能的構成)
つぎに、この発明にかかる実施の形態のネットワークシステム100を構成するサーバ装置120の機能的構成について説明する。図6−1において、この発明にかかる実施の形態のサーバ装置120の各機能は、記憶部621と、検索要求受信部622と、検索応答生成部623と、検索応答送信部624と、設定取得要求受信部625と、設定取得応答生成部626と、設定取得応答送信部627と、によって実現される。
【0098】
この発明にかかる実施の形態のサーバ装置120の各機能を実現する記憶部621、検索要求受信部622、検索応答生成部623、検索応答送信部624、設定取得要求受信部625、設定取得応答生成部626および設定取得応答送信部627は、サーバ装置120を実現するプリンタ装置が備える各部によって実現することができる。
【0099】
記憶部621は、自装置の設定情報を記憶する。記憶部621は、電源の供給の有無にかかわらず設定情報を記憶する不揮発性の記憶媒体と、当該不揮発性の記憶媒体とは異なる記憶媒体と、によって実現される。不揮発性の記憶媒体とは異なる記憶媒体は、たとえば、RAM(Random Access Memory)などと称される揮発性の記憶媒体によって実現することができる。
【0100】
RAMを用いることにより、当該RAMに記憶されたデータに任意の順序でアクセスできる(ランダムアクセス)ため、読み出し、書き込み、消去を高速におこなうことができる。また、不揮発性の記憶媒体とは異なる記憶媒体は、たとえば、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SDRAM(Synchrous DRAM)、DDR SDRAM(Double Data Rate SDRAM)などと称される記憶媒体によって実現されるものであってもよい。
【0101】
検索要求受信部622は、クライアント装置110からブロードキャストされた検索要求を受信する。検索応答生成部623は、検索要求受信部622が検索要求を受信した場合に、記憶部621に記憶された設定情報を参照して、検索応答を生成する。検索応答生成部623は、たとえば、設定取得応答のデータのパケットのうち、サーバ装置120の識別情報のみで構成される検索応答を生成する。検索応答は、たとえば、上記のように、サーバ装置120の製造番号、機種、ROMバージョン、IPアドレス、ホスト名を含んで構成される。
【0102】
検索応答送信部624は、検索要求受信部622によって受信した検索要求に対して、当該検索要求を受信したサーバ装置120の識別情報を含む検索応答を送信する。検索応答送信部624は、検索応答をネットワーク130を構成するすべてのクライアント装置110に対してブロードキャストする。また、検索応答送信部624は、検索要求を当該検索要求の送信元となるクライアント装置110に対してのみ送信するものであってもよい。
【0103】
検索応答送信部624は、検索要求受信部622によって受信した検索要求に基づいて、検索応答生成部623によって生成した検索応答を送信する。応答情報に含まれるサーバ装置120の識別情報は、たとえば、サーバ装置120の製造番号やMACアドレスなど、サーバ装置120ごとに異なる、各サーバ装置120に一意の情報によって実現することができる。
【0104】
設定取得要求受信部625は、クライアント装置110から送信された設定取得要求を受信する。設定取得要求は、サーバ装置120の識別情報を含み当該サーバ装置120に個別に設定可能な設定情報の送信を要求する。設定取得要求は、複数のサーバ装置120がそれぞれ送信した検索応答を複数受信したクライアント装置110から、少なくとも一つの検索応答の送信元となるサーバ装置120に対して送信される。設定取得要求がクライアント装置110からブロードキャストされた場合、設定取得要求受信部625は、自装置に該当する設定取得要求のみを受信する。
【0105】
設定取得応答生成部626は、設定取得要求受信部625によって受信した設定取得要求に対して、自装置の設定情報を含む設定取得応答を生成する。設定取得応答生成部626は、検索応答生成部623が生成する検索応答よりもデータ容量が大きい設定取得応答を生成する。
【0106】
具体的には、設定取得応答生成部626は、たとえば、上記のように、機種、ROMバージョン、MACアドレス、回線速度、DHCPが有効であるか無効であるかを示す情報、IPアドレス、サブネットマスク、デフォルトゲートウェイIPアドレス、初期化時IPアドレス、SNMP関係の設定情報、印刷ポート、印刷データを受信する際のタイムアウト時間、サーバ装置120を実現するプリンタ装置の製造社名、ホスト名および製造番号を示す情報をデータ行に含む設定取得応答を生成する。
【0107】
設定取得応答送信部627は、設定取得要求受信部625が受信した設定取得要求に対して、設定取得応答生成部626が生成した設定取得応答を、設定取得要求受信部625が受信した設定取得要求の送信元となるクライアント装置110に対して送信する。設定取得応答送信部627は、検索応答送信部624が送信する検索応答よりもデータ容量が大きい設定取得応答を送信する。
【0108】
設定取得応答送信部627は、設定取得応答生成部626が生成した設定取得応答を、ネットワーク130を構成するすべてのクライアント装置110に対してブロードキャストする。また、設定取得応答送信部627は、設定取得応答生成部626が生成した設定取得応答を、設定取得要求受信部625が受信した設定取得要求の送信元となるクライアント装置110に対してのみ送信するものであってもよい。
【0109】
(ネットワークシステム100の処理手順)
つぎに、この発明にかかる実施の形態のネットワークシステム100を構成する各装置がおこなう処理手順について説明する。図7、図8−1、図8−2および図8−3は、この発明にかかる実施の形態のネットワークシステム100を構成する各装置がおこなう処理手順を示すフローチャートである。
【0110】
図7においては、この発明にかかる実施の形態のネットワークシステム100を構成するクライアント装置110がおこなう処理手順を示している。図7のフローチャートに示した処理は、表示画面510が表示されている場合に実行することができる。図7のフローチャートにおいて、まず、図示を省略する初期画面における「検索」キーが操作されたか否かを判断する(ステップS701)。
【0111】
初期画面は、クライアント装置110にインストールされたユーティリティソフトが起動された場合に、クライアント装置110を実現するコンピュータ装置が備えるディスプレイ208に表示される。初期画面は、サーバ装置120についての情報は表示せず、上記の「検索」キー、「設定取得」キー、「設定変更」キーなどを表示する。
【0112】
ステップS701において、初期画面における「検索」キーが操作された場合(ステップS701:Yes)は、検索要求を生成して(ステップS702)、生成した検索要求をネットワークに接続されたサーバ装置120に対してブロードキャストする(ステップS703)。
【0113】
つぎに、ステップS703において検索要求をブロードキャストしてから所定期間が経過したか否かを判断する(ステップS704)。ステップS704において判断の基準になる所定時間は、たとえば、利用者などが任意に設定することができる。ステップS703において、検索要求をブロードキャストしてから所定時間が経過していない場合(ステップS704:No)は、ステップS703において検索要求をブロードキャストした結果、当該検索要求を受信したサーバ装置120から送信された検索応答を受信したか否かを判断する(ステップS705)。
【0114】
ステップS705において、ステップS703において検索要求をブロードキャストした結果、当該検索要求を受信したサーバ装置120から送信された検索応答を受信していない場合(ステップS705:No)は、ステップS704へ戻り、ステップS703において検索要求をブロードキャストしてから所定期間が経過したか否かを判断する。
【0115】
一方、ステップS705において、ステップS703において検索要求をブロードキャストした結果、当該検索要求を受信したサーバ装置120から送信された検索応答を受信した場合(ステップS705:Yes)は、受信した検索応答に基づいて表示画面510を表示することによって、ネットワーク130を介してクライアント装置110に接続されているサーバ装置120の一覧(表示画面510を参照)を表示する(ステップS706)。ステップS706においては、表示画面510における下段に何も表示されていない画面を表示する。
【0116】
その後、ステップS704へ戻り、ステップS703において検索要求をブロードキャストしてから所定期間が経過したか否かを判断する。一方、ステップS704において、ステップS703において検索要求をブロードキャストしてから所定時間が経過した場合(ステップS704:Yes)は、ステップS701へ戻り、初期画面における「検索」キーが操作されたか否かを判断する。
【0117】
ステップS701において、初期画面における「検索」キーが操作されていない場合(ステップS701:No)は、初期画面における「設定取得」キーが操作されたか否かを判断する(ステップS707)。ステップS707において、初期画面における「設定取得」キーが操作されていない場合(ステップS707:No)は、ステップS714へ移行する。
【0118】
一方、ステップS707において、初期画面における「設定取得」キーが操作された場合(ステップS707:Yes)は、ディスプレイ208に表示されている一覧(表示画面510を参照)の中からいずれか一つのサーバ装置120が選択されているか否かを判断する(ステップS708)。ステップS708において、サーバ装置120が選択されていない場合(ステップS708:No)は、ステップS701へ戻り、初期画面における「検索」キーが操作されたか否かを判断する。
【0119】
なお、サーバ装置120の選択は、具体的には、利用者が表示画面510において、入力操作部209を操作することにより実施される。たとえば、利用者が表示画面510のサーバ装置120の一覧において、所望のサーバ装置120の設定情報の一部である簡易情報を、入力手段であるマウスでクリックすることによって実施できる。
【0120】
ステップS708において、サーバ装置120が選択されている場合(ステップS708:Yes)は、選択されたサーバ装置120に対する設定取得要求を生成する(ステップS709)。そして、ステップS709において生成した設定取得要求を送信する(ステップS710)。
【0121】
ステップS710においては、ステップS708:Yesにおいて選択されたと判断したサーバ装置120の設定情報の取得を要求する設定取得要求を、ネットワーク130を構成するすべてのサーバ装置120に対してブロードキャストする。また、ステップS710においては、ステップS708:Yesにおいて選択されたと判断したサーバ装置120の設定情報の取得を要求する設定取得要求を、該当するサーバ装置120に対してのみ送信するものであってもよい。
【0122】
つぎに、ステップS710において送信した設定取得要求に対してサーバ装置120から送信された設定取得応答を受信したか否かを判断する(ステップS711)。ステップS711において、設定取得応答を受信していない場合(ステップS711:No)は、ステップS710において設定取得要求を送信してから所定時間が経過したか否かを判断する(ステップS712)。ステップS712において判断の基準になる所定時間は、たとえば、利用者などが任意に設定することができる。
【0123】
ステップS712において、ステップS710において設定取得要求を送信してから所定時間が経過していない場合(ステップS712:No)は、ステップS711へ戻り、設定取得応答を受信したか否かを判断する。一方、ステップS712において、ステップS710において設定取得要求を送信してから所定時間が経過した場合(ステップS712:Yes)は、ステップS701へ戻り、初期画面における「検索」キーが操作されたか否かを判断する。
【0124】
ステップS711において、ステップS710において送信した設定取得要求に対してサーバ装置120から送信された設定取得応答を受信した場合(ステップS711:Yes)は、受信した設定取得応答に基づいて、サーバ装置120の設定情報を下段に含む表示画面510を表示する。そして、ステップS701へ戻り、初期画面における「検索」キーが操作されたか否かを判断する。
【0125】
ステップS707において初期画面における「設定取得」キーが操作されていない場合に移行するステップS714においては、初期画面における「設定変更」キーが操作されたか否かを判断する(ステップS714)。ステップS714において、初期画面における「設定変更」キーが操作された場合(ステップS714:Yes)は、ディスプレイ208に表示されている一覧(表示画面510を参照)の中からいずれか一つのサーバ装置120が選択されているか否かを判断する(ステップS715)。ステップS715において、サーバ装置120が選択されていない場合(ステップS715:No)は、ステップS701へ戻り、初期画面における「検索」キーが操作されたか否かを判断する。
【0126】
ステップS715において、サーバ装置120が選択されている場合(ステップS715:Yes)は、選択されたサーバ装置120に対する設定変更要求を生成する(ステップS716)。ステップS716においては、ディスプレイ208にステップS715において選択されていると判断したサーバ装置120に関する表示画面520を表示し、当該表示画面520の表示内容にしたがって入力された情報に基づいて設定変更要求を生成する。そして、ステップS716において生成した設定変更要求を送信して(ステップS717)、ステップS701へ戻り、初期画面における「検索」キーが操作されたか否かを判断する。
【0127】
ステップS714において、初期画面における「設定変更」キーが操作されていない場合(ステップS714:No)は、ユーティリティソフトを終了するか否かを判断する(ステップS718)。ステップS718においては、たとえば、表示画面510の右上に表示された「×」印がクリックされるなど、所定の入力操作があったか否かを判断し、当該「×」印がクリックされた場合にユーティリティソフトを終了すると判断する。
【0128】
ステップS718において、ユーティリティソフトを終了すると判断した場合(ステップS718:Yes)は、ディスプレイ208に表示したユーティリティソフトにかかる画面を閉じ、ユーティリティソフトを終了して、一連の処理を終了する。一方、ステップS718において、ユーティリティソフトを終了しない場合(ステップS718:No)は、ステップS701へ戻り、初期画面における「検索」キーが操作されたか否かを判断する。
【0129】
図8−1、図8−2および図8−3においては、この発明にかかる実施の形態のネットワークシステム100を構成するサーバ装置120がおこなう処理手順を示している。図8−1のフローチャートにおいて、まず、図7におけるステップS703においてクライアント装置110がブロードキャストした検索要求を受信したか否かを判断する(ステップS811)。ステップS811において、検索要求を受信していない場合(ステップS811:No)は、検索要求を受信するまで待機する。
【0130】
ステップS811において、検索要求を受信した場合(ステップS811:Yes)は、受信した検索要求の送信元に送信する検索応答を生成する(ステップS812)。そして、ステップS811:Yesにおいて受信した検索要求の送信元に対して、ステップS812において生成した検索応答を送信して(ステップS813)、一連の処理を終了する。
【0131】
ステップS813においては、ステップS812において生成した検索応答を、ネットワーク130を構成するすべてのクライアント装置110に対してブロードキャストする。また、ステップS813においては、ステップS812において生成した検索応答を、該当するクライアント装置110に対してのみ送信するものであってもよい。
【0132】
図8−2のフローチャートにおいて、まず、図7におけるステップS710においてクライアント装置110が送信した設定取得要求を受信したか否かを判断する(ステップS821)。ステップS821において、設定取得要求を受信していない場合(ステップS821:No)は、設定取得要求を受信するまで待機する。
【0133】
ステップS821において、設定取得要求を受信した場合(ステップS821:Yes)は、受信した設定取得要求の送信元に送信する設定取得応答を生成する(ステップS822)。そして、ステップS821:Yesにおいて受信した設定取得要求の送信元に対して、ステップS822において生成した設定取得応答を送信して(ステップS823)、一連の処理を終了する。
【0134】
ステップS823においては、ステップS822において生成した設定取得応答を、ネットワーク130を構成するすべてのクライアント装置110に対してブロードキャストする。また、ステップS823においては、ステップS823においては、ステップS822において生成した設定取得応答を、該当するクライアント装置110に対してのみ送信するものであってもよい。
【0135】
図8−3のフローチャートにおいて、まず、図7におけるステップS717においてクライアント装置110が送信した設定変更要求を受信したか否かを判断する(ステップS831)。ステップS831において、設定変更要求を受信していない場合(ステップS831:No)は、設定変更要求を受信するまで待機する。
【0136】
ステップS831において、設定変更要求を受信した場合(ステップS831:Yes)は、受信した設定変更要求に基づいて、自装置の設定情報を変更(更新)して(ステップS832)、一連の処理を終了する。この発明にかかる実施の形態のネットワークシステム100におけるサーバ装置120は、設定変更要求に基づいて変更した設定情報を、当該変更を要求したクライアント装置110に対して送信しなくてもよい。
【0137】
上述した図8−1、図8−2および図8−3のフローチャートで示される処理手順は、順次処理で実行することができる。たとえば、図8−1のステップS811において、検索要求を受信していない場合(ステップS811:Noに相当)は、図7におけるステップS710においてクライアント装置110が送信した設定取得要求を受信したか否かを判断する(図8−2におけるステップS821に相当)ように、各処理手順を順次実行することができる。
【0138】
また、たとえば、図8−2のステップS821において、設定取得要求を受信していない場合(ステップS821:Noに相当)は、図7におけるステップS717においてクライアント装置110が送信した設定変更要求を受信したか否かを判断する(図8−3におけるステップS831に相当)ように、各処理手順を順次実行することができる。
【0139】
また、たとえば、図8−3のステップS831において、設定変更要求を受信していない場合(ステップS831:No)は、ステップS811に戻るように、各処理手順を順次実行することができる。図8−1、図8−2および図8−3のフローチャートで示される処理手順は、順次処理で実行するものに限らず、たとえば、並行処理で実行するようにしてもよい。具体的には、図8−1、図8−2および図8−3のフローチャートで示される処理手順は、たとえば、公知の技術であるマルチタスク処理やマルチスレッド処理を用いて実行することができる。
【0140】
以上説明したように、この発明にかかる実施の形態のネットワークシステム100を構成するサーバ装置120は、クライアント装置110からブロードキャストされた検索要求を受信した場合、設定取得要求を受信した場合に送信する設定取得応答のデータ容量よりもデータ容量の小さい検索応答を送信することを特徴としている。
【0141】
これによって、多数のサーバ装置120がほぼ同時に検索応答を送信し、単一のサーバ装置120が設定取得応答を送信するネットワークシステム100において、多数の検索応答によって占有されるネットワーク帯域を、1つの検索応答のデータ容量が小さいことによって、全体として小さくすることができる。
【0142】
これに対して、検索応答が設定取得応答と同じデータ容量の場合には、検索応答の1つあたりのデータ容量が大きいため、多数のサーバ装置がほぼ同時に検索応答を送信した場合に、顕著にネットワーク帯域を占有してしまうが、この発明にかかる実施の形態のネットワークシステム100を構成するサーバ装置120によれば、多数のサーバ装置120がほぼ同時に検索応答を送信した場合にも占有されるネットワーク帯域を確実に小さくすることができる。
【0143】
また、この発明にかかる実施の形態のネットワークシステム100を構成するサーバ装置120によれば、検索応答の送信に際するサーバ装置120の処理負担を設定取得応答を送信する場合よりも小さくすることができる。
【0144】
これにより、この発明にかかる実施の形態のネットワークシステム100を構成するサーバ装置120によれば、検索応答の送信にかかるサーバ装置120の処理負担を軽減するとともに、ネットワーク内のトラフィックが増大することを抑制することができる。また、これにより、この発明にかかる実施の形態のネットワークシステム100を構成するサーバ装置120によれば、クライアント装置110の利用者は、ネットワークに接続されたサーバ装置120を迅速に検索することができる。
【0145】
また、この発明にかかる実施の形態のネットワークシステム100を構成するサーバ装置120は、クライアント装置110がサーバ装置120を認識できる必要最小限の情報を含む検索応答を送信することを特徴としている。これによって、クライアント装置110における処理に支障をきたすことなく、検索応答の送信に際するサーバ装置120の処理負担を設定取得応答を送信する場合よりも確実に小さくすることができる。
【0146】
これにより、この発明にかかる実施の形態のネットワークシステム100を構成するサーバ装置120によれば、サーバ装置120が送信する検索応答のデータ容量を必要最小限とし、検索応答の送信にかかるサーバ装置120の処理負担を軽減するとともに、ネットワーク内のトラフィックが増大することを抑制することができる。
【0147】
なお、この実施の形態で説明した情報処理方法は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。またこのプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0148】
以上のように、この発明にかかるサーバ装置および情報処理方法は、ネットワークに接続されたクライアント装置からの操作による設定情報の変更が可能なサーバ装置および当該サーバ装置に用いる情報処理方法に有用であり、特に、DHCPサーバが存在しないネットワークに接続されたクライアント装置からの操作による設定情報の変更が可能なサーバ装置および当該サーバ装置に用いる情報処理方法に適している。
【符号の説明】
【0149】
100 ネットワークシステム
110 クライアント装置
120 サーバ装置
611 入力操作受付部
612 検索要求送信部
613 検索応答受信部
614 表示部
615 設定取得要求送信部
616 設定取得応答受信部
621 記憶部
622 検索要求受信部
623 検索応答生成部
624 検索応答送信部
625 設定取得要求受信部
626 設定取得応答生成部
627 設定取得応答送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介してクライアント装置と接続されたサーバ装置であって、
前記クライアント装置からブロードキャストされた、前記サーバ装置の識別情報の送信を要求する検索要求を受信する検索要求受信手段と、
前記検索要求受信手段によって受信した検索要求に対して、当該検索要求を受信したサーバ装置の識別情報を含む検索応答を送信する検索応答送信手段と、
前記検索応答送信手段によって送信した検索応答を複数受信したクライアント装置から、少なくとも一つの検索応答の送信元となるサーバ装置に対して送信された、当該サーバ装置の識別情報を含み当該サーバ装置に個別に設定可能な設定情報の送信を要求する設定取得要求を受信する設定取得要求受信手段と、
前記設定取得要求受信手段によって受信した設定取得要求に対して、自装置の前記設定情報を含む設定取得応答を送信する設定取得応答送信手段と、
を備え、
前記サーバ装置が送信する前記検索応答のデータ容量を前記設定取得応答のデータ容量より小さくしたことを特徴とするサーバ装置。
【請求項2】
前記検索応答のデータは、前記設定取得応答を構成するデータのうち、前記サーバ装置の識別情報のみで構成されていることを特徴とする請求項1に記載のサーバ装置。
【請求項3】
ネットワークを介してクライアント装置と接続されたサーバ装置に用いる情報処理方法であって、
前記クライアント装置からブロードキャストされた、前記サーバ装置の識別情報の送信を要求する検索要求を受信する検索要求受信工程と、
前記検索要求受信工程によって受信した検索要求に対して、当該検索要求を受信したサーバ装置の識別情報を含む検索応答を送信する検索応答送信工程と、
前記検索応答送信工程によって送信した検索応答を複数受信したクライアント装置から、少なくとも一つの検索応答の送信元となるサーバ装置に対して送信された、当該サーバ装置の識別情報を含み当該サーバ装置に個別に設定可能な設定情報の送信を要求する設定取得要求を受信する設定取得要求受信工程と、
前記設定取得要求受信工程によって受信した設定取得要求に対して、自装置の前記設定情報を含む設定取得応答を送信する設定取得応答送信工程と、
を含み、
前記検索応答送信工程において送信する前記検索応答のデータ容量を、前記設定取得応答送信工程において送信する前記設定取得応答のデータ容量より小さくしたことを特徴とする情報処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図4−3】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図5−3】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図7】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【図8−3】
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【公開番号】特開2012−212255(P2012−212255A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−76792(P2011−76792)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000001960)シチズンホールディングス株式会社 (1,939)
【出願人】(507351883)シチズン・システムズ株式会社 (82)
【Fターム(参考)】