説明

サーマルプリンタユニット

【課題】 本発明はサーマルプリンタユニットに関し、POS機器用及びラベルプリンタ用に共通に使用が可能であるサーマルプリンタユニットを実現することを目的とする。
【解決手段】 サーマルプリンタユニット30は、互いに独立した部分である、本体モジュール31と、プラテンモジュール50と、サーマルヘッドモジュール70とを有し、プラテンモジュール40が本体モジュール31に着脱可能に結合してあり、サーマルヘッドモジュール50が、本体モジュール31とプラテンモジュール40とに着脱可能に結合してある。プラテンモジュール50の本体モジュール31に対する結合を解除させて、プラテンモジュール50を分離して、POS機器に組み込まれる。サーマルヘッドモジュール70の本体モジュール31に対する結合を解除させて、サーマルヘッドモジュール70を分離して、ラベルプリンタに組み込まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はサーマルプリンタユニット係り、機器のプリンタ部に適用されるサーマルプリンタユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ部にサーマルプリンタユニットが組み込んである機器としてはPOS機器が一般的である。近年、ラベルに印刷を行うラベルプリンタが使用されてきている。このラベルプリンタもプリンタ部にサーマルプリンタユニットが組み込んである構成である。
【0003】
POS機器は感熱紙ロール13から引き出された感熱紙14を使用し、POS機器に組み込んであるサーマルプリンタユニット10は、図1(A),(B)に概略的に示すように、プラテン11がサーマルヘッド12に対して着脱可能である構成となっており、所謂クラムシェル型が一般的である。
【0004】
ラベルプリンタは、ラベル25が並んでいる剥離紙(以下ラベル紙という)26が巻いてあるロール27を使用し、ラベルプリンタに組み込んであるサーマルプリンタユニット20は、ラベル25が剥離紙26から無用に剥離されるのを防止するために出来るだけ直線に近い搬送路が形成されるように、図2(A)、(B)に概略的に示すように、サーマルヘッド22がプラテン21に対して着脱可能となっている構成であるのが一般的である。
【特許文献1】特開2000−308260号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来は、POS機器用のサーマルプリンタユニットは、プラテン11がサーマルヘッド12に対して結合離脱可能であるように設計してあり、ラベルプリンタ用のサーマルプリンタユニットはサーマルヘッド22がプラテン21に対して着脱可能であるように設計してあり、POS機器用のサーマルプリンタユニットとラベルプリンタ用のサーマルプリンタユニットとは別々の製品であった。
【0006】
このため、サーマルプリンタユニットを生産するメーカにとっては、二種類のサーマルプリンタユニットを生産する必要があり、生産性が良くなかった。また、POS機器用のサーマルプリンタユニットに比較して需要の少ないラベルプリンタ用のサーマルプリンタユニットはコスト高となっていた。
【0007】
従来、POS機器用のサーマルプリンタユニットとラベルプリンタ用のサーマルプリンタユニットとの共通化を図る試みがなされたが、POS機器用のサーマルプリンタユニットとしての動作が安定に行われるように設計すると、ラベルプリンタ用のサーマルプリンタユニットとしての動作が不安定となってしまい、逆に、ラベルプリンタ用のサーマルプリンタユニットとしての動作が安定に行われるように設計するとPOS機器用のサーマルプリンタユニットとしての動作が不安定となってしまい、実用化には到らなかった。
【0008】
本発明は、上記の点に鑑みなされたものであり、POS機器用及びラベルプリンタ用に共通に使用が可能であるサーマルプリンタユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、上記課題を解決するため、本発明は、互いに独立した部分である、本体モジュールと、プラテンを有するプラテンモジュールと、サーマルヘッドを有するサーマルヘッドモジュールとを有し、
上記プラテンモジュールとサーマルヘッドモジュールとが独立して上記本体モジュールに対して着脱可能に結合してあり、
上記プラテンモジュールとサーマルヘッドモジュールとが独立して上記本体モジュールに対して着脱可能に結合してあり、
且つ、上記サーマルヘッドモジュールが、上記プラテンモジュールが結合してある上記本体モジュールに対して着脱される構成としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、プラテンモジュールを本体モジュールに対して着脱させることによってPOS端末装置のプリンタ部に適用可能となり、サーマルヘッドモジュールを本体モジュールに対して着脱させることによってラベルプリンタ装置のプリンタ部に適用可能となる。よって、POS端末装置のプリンタ部にも、ラベルプリンタ装置のプリンタ部にも適用可能であるサーマルプリンタユニット、換言すれば、用紙カールパスに対応でき、且つ、ストレートパスにも対応できるサーマルプリンタユニットを実現することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に本発明の実施の形態について説明する。
【実施例1】
【0012】
[サーマルプリンタユニット30の概略]
先ず、説明の便宜上、本発明の実施例1になるサーマルプリンタユニット30を概略的に説明する。
【0013】
図3は本発明の実施例1になるサーマルプリンタユニット30を概略的に示す。同図(A)は組み立て完成状態のサーマルプリンタユニット30を示す。
【0014】
サーマルプリンタユニット30はラベルプリンタに組み込まれる場合には図18に示すようにサーマルヘッドが上側となるように姿勢を変えるけれども、説明の便宜上、姿勢は図3(A)と同じ状態で説明する。各図中、X1−X2は幅方向、Y1−Y2は奥行き方向、Z1−Z2は高さ方向である。
【0015】
サーマルプリンタユニット30は、互いに独立した部分である、本体モジュール31と、プラテンモジュール50と、サーマルヘッドモジュール70とを有し、プラテンモジュール50が本体モジュール31に着脱可能に結合してあり、サーマルヘッドモジュール70が、本体モジュール31とプラテンモジュール50とに着脱可能に結合してある。
【0016】
本体モジュール31は、フレーム32を有し、このフレーム32の内部にプラテンを回転させるモータ33を有し、且つ、フレーム32に第1のフックレバー34と係止ロックピン35とが設けてある構成である。
【0017】
プラテンモジュール50は、フレーム51を有し、このフレーム51にプラテン52、固定刃54及び補助支持部材55が設けてある構成である。
【0018】
サーマルヘッドモジュール70は、フレーム71を有し、このフレーム71にサーマルヘッド72、第2のフックレバー73、板ばね部材74、可動刃ユニット支持部材75、可動刃ユニット80が設けてある構成である。
【0019】
図3(A)に示す状態では、プラテンモジュール50は、本体モジュール31のZ1側に位置して、第1のフックレバー34がプラテン52の軸に嵌合しているリング状の軸受53を係止し、止めねじ55によって固定されて、Y1−Y2方向上離れた二個所を固定されて、本体モジュール31に結合されている。サーマルヘッドモジュール70は、本体モジュール31及びプラテンモジュール50のY1側に位置して、第2のフックレバー73がプラテン軸受53を係止し、フック部71aが係止ロックピン35を係止し、Z1−Z2方向上離れた二個所を固定されて、本体モジュール31に及びプラテンモジュール50に結合されている。プラテン52はサーマルヘッド72に当っている。可動刃ユニット80と固定刃54とがカッタ90を形成している。第2のフックレバー73はプラテン軸受53をZ2側から係止して、第1のフックレバー34はプラテン軸受53をY1側から係止し、第2のフックレバー74はプラテン軸受53をZ2側から係止している。
【0020】
図3(B)に示すように、止めねじ56を外して、第1のフックレバー34を時計方向に回動させてプラテン軸受53から外すことによって、プラテンモジュール50の本体モジュール31に対する結合が解除されて、プラテンモジュール50はZ1方向に離される。ここで、第2のフックレバー74はプラテン軸受53をZ2側から係止しており、プラテンモジュール50は第2のフックレバー74と干渉することなくZ1方向に離される。図3(B)は後述するように例えばPOS機器等のカールパス用途の場合の状態である。
【0021】
また、プラテンモジュール50がZ2方向に移動されると、プラテン軸受53が第1のフックレバー34に係止されて、プラテンモジュール50が本体モジュール31と再度結合される。
【0022】
図3(C)に示すように、第2のフックレバー73を反時計方向に回動させてプラテン軸受53から外すことによって、サーマルヘッドモジュール70のプラテンモジュール50に対する結合が解除され、続いて、サーマルヘッドモジュール70を少しZ1方向にずらすことによってフック部71aが係止ロックピン35から外れ、サーマルヘッドモジュール70が本体モジュール31及びプラテンモジュール50よりY1方向に離される。図3(C)は後述する例えばラベルプリンタ等のストレートパス用途の場合の状態である。
【0023】
また、サーマルヘッドモジュール70をY1方向に移動させて本体モジュール31に近づけ、フック部材71aを係止ロックピン35に係止させ、第2のフックレバー73をプラテン軸受53に係止させることによって、サーマルヘッドモジュール70がプラテンモジュール50と再度結合される。第2のフックレバー73がプラテン軸受53に係止される過程で、第2のフックレバー73がY2方向に変位され、板ばね部材74が撓まされて、ヘッド圧が発生される。このことを可能とするために、軸77に嵌合する穴76はY1―Y2方向に長い穴となっている。
【0024】
図4はサーマルプリンタユニット30がPOS機器100に組み込まれたときの状態を示す。図4(A)に示すように、止めねじ56をゆるめて外し補助支持部材55が取り外され、本体モジュール31とサーマルヘッドモジュール70とがPOS機器本体101に取り付けられ、プラテンモジュール50が回動する開閉蓋110の先端に取り付けられる。図4(A)は開閉蓋110が閉じられているときの状態を示す。図4(B)は開閉蓋110が開かれて、用紙をセットするときの動作状態を示す。第1のフックレバー34を時計方向に回動させる操作をしてプラテン軸受53から外すことによって、プラテンモジュール50の本体モジュール31に対する結合が解除されて、開閉蓋110が開かれ、用紙搬送路115が開かれる。用紙のセットを完了した後に開閉蓋110を閉じると、プラテン軸受53が第1のフックレバー34と係止してプラテンモジュール50が本体モジュール31に結合される。プラテン52とサーマルヘッド72との間に感熱紙14が挟まれる。
【0025】
図4(C)は保守時の状態を示す。第2のフックレバー73を反時計方向に回動させてプラテン軸受53から外すことによって、サーマルヘッドモジュール70はピン35を中心に時計方向に少しの角度回動されて、サーマルヘッド72がプラテン52から離され、サーマルヘッド72とプラテン52との間に空間116が出来て、この空間を利用してサーマルヘッド72の保守作業が可能となる。また、サーマルヘッドモジュール70はこのように回動させることによって、感熱紙14のカッタ90の場所でのジャムも解除される。
【0026】
また、サーマルプリンタユニット30の組み立てが完了した後に、或いは、サーマルプリンタユニット30をPOS機器に組み込んでPOS機器の組み立てが完了した後に、第2のフックレバー73をプラテン軸受53から外して、図4(C)に示す状態にすることも可能であり有用である。保管中に、プラテン52のうちサーマルヘッド72に当っている部分が無用に変形してしまうことを防止することが出来るからである。
【0027】
図5はサーマルプリンタユニット30がラベルプリンタ120に組み込まれた場合の状態を示す。図5(A)に示すように、可動刃ユニット80が取り外され、本体モジュール31とプラテンモジュール50とがラベルプリンタ本体121に取り付けられ、サーマルヘッドモジュール70が支持部材130の先端に取り付けられる。図5(A)は支持部材130が通常位置に位置しているときの状態を示す。図5(B)は支持部材122がY1方向に移動されて、ラベル用紙をセットするときの動作状態を示す。実際には、サーマルプリンタユニット30は、サーマルヘッドモジュール70が上側に位置する姿勢にある。第2のフックレバー73を反時計方向に回動させる操作をしてプラテン軸受53から外すことによって、サーマルヘッドモジュール70のプラテンモジュール50及び本体モジュール31に対する結合が解除されて、支持部材130がY1方向に移動され、用紙搬送路125が開かれる。用紙搬送路125は直線状である。ラベル紙26の先端側を用紙搬送路125を通るようにセットし、第2のフックレバー73を反時計方向に回動させ、そのままで支持部材130をY2方向に移動させ、第2のフックレバー73を時計方向に回動させると、第2のフックレバー73がプラテン軸受53と係止されて、サーマルヘッドモジュール72がプラテンモジュール50及び本体モジュール31に結合され、ラベル紙26がサーマルヘッド72とプラテン52との間に挟まれる。
[サーマルプリンタユニット30の具体的構成]
次に、上記サーマルプリンタユニット30の具体的構成について説明する。各図中、各構成部分には上記図3,4,5に示す構成部分に付した符号と同じ符号を付す。
【0028】
図6はサーマルプリンタユニット30を示す斜視図、図7(A),(B)はサーマルプリンタユニット30の側面図である。図7(A)は主に第1のフックレバー34を示し、図7(B)は主に第2のフックレバー73を示す。図8は本体モジュール31とプラテンモジュール50とサーマルヘッドモジュール70とに分離した状態を示す。図8に示すプラテンモジュール50は補助支持部材55が取り外されている。
【0029】
なお、図6は図3(B)に対応し、図13は図3(B)に対応し、図14は図3(C)に対応する。
[本体モジュール31の具体的構成]
先ず、本体モジュール31について、主に図8及び図9を参照して説明する。フレーム32は、X1側とX2側とに側板部32aを有し、その間に略筒形状の用紙案内部32bを有する。側板部32aは、POS機器及びラベルプリンタへの取り付けのためのL字形状の脚部32cを有する。即ち、脚部32cは、POS機器にもラベルプリンタにも取り付けることが可能となるように、取り付け面を直交して有するL字形状となっている。側板部32aのZ1側に、プラテン軸受53を受けてこれを位置決めする軸受受け部32dを有する。用紙案内部32bの内部にモータ33が取り付けてある。用紙案内部32bは、Y2側からZ1側に亘る感熱紙用の案内部32b1の他に、Y1側にラベル紙用の案内部32b2(図15(B)参照)を有する。側板部32a1の外面には、モータ33の回転を伝達するギヤ列36が設けてある。また、第1のフックレバー34は、両側の側板部32間に回動可能に横架してある軸37の両端に固定してあり(図15(B)参照)、バネ部材(図示せず)によって反時計方向に付勢されている。第1のフックレバー34は、図7(A)及び図9に示すように、プラテン軸受53をそのY1側からZ1側に亘って係止するフック部34aとプラテン軸受53にそのZ1側からY2側に亘って対向する指部34bとを有し、且つ、操作部34cを有する。係止ロックピン35は側板部32aに植わっている。
[プラテンモジュール50の具体的構成]
次に、プラテンモジュール50について主に図6、図8を参照して説明する。プラテン52は貫通している軸57を有し、軸57の両側部分に軸受53が嵌合してある(図15参照)。フレーム51は門型であり、両方の端側部でプラテン52の軸受53を支持しており、プラテン52は両方の端側部の間に位置している。軸57のX1端側にギヤ58が固定してある。フレーム51の上面には、固定刃54が遊びをもって取り付けてある。補助支持部材55は門型であり、フレーム51のY2側に、フレーム51と嵌合して取り付けてある。
[サーマルヘッドモジュール70の具体的構成]
次に、サーマルヘッドモジュール70について主に図6、図7(B)、図8を参照して説明する。図10は可動刃ユニット80を取り外した状態を示す。フレーム71は、Z1側からみてコ字形状であり、両側の部分にフック部71aと軸受受け部71bを有する。フック部71aはZ2側寄りの位置にあり、Y2側に突き出ている。軸受受け部71bは、Z1側寄りの位置にY2側に突き出ており、プラテン軸受53に対応した凹部を有しプラテン軸受53を受け止めてこれの位置を決める役割を有する。フレーム71の軸受受け部71bの近くの場所に、軸77が固定してある。サーマルヘッド72は放熱板78に固定してあり、放熱板78がフレーム71にねじ止めしてある。サーマルヘッド72はサーマルヘッドモジュール70のY2側に配置してある。両側の第2のフックレバー73は、X1−X2方向に延在する横架板部73aによって連結してある。図11に併せて示すように、第2のフックレバー73は、これに形成してある長穴76を軸77に嵌合させて設けてあり、プラテン軸受53をそのZ2側からY2側に亘って係止するフック部73bと、操作部73cとを有する。板ばね部材74は、V字形状をなし、一端を横架板部73aの内側面に固定してあり、他側の自由端は、フレーム71の背面に当っている。可動刃ユニット80は、内部に可動刃81及びこの可動刃81をY2方向に移動させその後にY1方向に移動させて戻すモータ機構(図示せず)が設けてある構成であり、両側を支持部材75に支持されてフレーム71のZ1側に取り付けてある。軸受受け部71bとフック部75aと板ばね部材74と長穴76とがプラテン52の軸受53をY1−Y2方向に挟み込むように係止する挟み込み係止機構を構成する。
[プラテンモジュール50、サーマルヘッドモジュール70、本体モジュール31の結合状態]
図6及び図7(A)に示すように、プラテンモジュール50は、本体モジュール31のZ1側に載って、プラテン軸受53が軸受支持部32dに支持され且つ第1のフックレバー34のフック部34aに係止され、補助支持部材55の両側を止めねじ55によってフレーム32に固定されて、本体モジュール31に結合されている。プラテン軸受53はZ1−Z2方向上、軸受支持部32dとフック部34aとによって挟まれている。また、ギヤ58がギヤ列36の端のギヤと噛み合っている。
【0030】
図6及び図7(B)に示すように、サーマルヘッドモジュール70は、軸受受け部71bがプラテン軸受53に当接され、フック部75aが係止ロックピン35を係止し、第2のフックレバー73がプラテン軸受53を係止し、Z1−Z2方向上離れた二個所を位置決め固定されて、本体モジュール31に及びプラテンモジュール50に結合されている。ここで、図7(B)及び図12(B)に示すように、軸受受け部71bとフック部75aとが板ばね部材74のばね力の作用でプラテン軸受53を軸受受け部71bに押し付けてY1−Y2方向に挟み込んでいるため、Y1−Y2方向上、サーマルヘッドモジュール70のプラテンモジュール50に対する位置が精度良く定まり、サーマルヘッド72のプラテン52対する位置が精度良く定まっている。
【0031】
また、第2のフックレバー73が、図12(A)に示す状態から時計方向に回動されて、図12(B)に示すように、フック部73bがプラテン軸受53を係止する過程で第2のフックレバー73がY2方向に変位される。このときに板ばね部材74が撓まされ、板ばね部材74に発生したばね力によって、第2のフックレバー73がY1方向に付勢されてプラテン軸受53を軸受受け部71bに押し付けて位置を決めて固定し、同時にフレーム71がY2方向に付勢されて、サーマルヘッド72がプラテン52に所定のヘッド圧で押し付けられヘッド圧が発生する。
【0032】
また、可動刃ユニット80と固定刃54とが対向して、カッタ90を形成している。可動刃81は固定刃54よりZ1側に位置している。
【0033】
第1のフックレバー34のフック部34aと第2のフックレバー73のフック部73bとは、X1−X2方向上、隣り合っている。
【0034】
第2のフックレバー73のフック部73bはプラテン軸受53をそのZ2側から接近して係止している。第1のフックレバー34のフック部34aはプラテン軸受53をY1側から接近して係止している。
【0035】
第1及び第2のフックレバー34、73が係止する対象がプラテン軸受53であるので、プラテン52は支障なく回転可能である。
[サーマルプリンタユニット30に対するプラテンモジュール50の結合解除及び再結合]
予め、止めねじ56を外して、補助支持部材55を外して置く。図6及び図7(A)に示す状態で、操作部34cを操作して第1のフックレバー34を時計方向に回動させると、プラテン軸受53はフック部34aによる係止を解除され、指部34bによってZ1方向に押し上げられ、プラテンモジュール50の本体モジュール31に対する結合が解除されて、プラテンモジュール50はZ1方向に離され、図13に示す状態となる。ここで、第2のフックレバー74はフック部74bはプラテン軸受53をZ2側から接近して係止しており、プラテンモジュール50は第2のフックレバー74と干渉することなくZ1方向に離される。
【0036】
また、プラテンモジュール50がZ2方向に移動されると、プラテン軸受53が第1のフックレバー34を一旦押し退けてフック部34aに対向し且つ指部34bをZ2方向に押して、第1のフックレバー34を反時計方向に回動させる。これによって、プラテン軸受53が第1のフックレバー34によって係止されて、プラテンモジュール50が本体モジュール31と再度結合される。
[サーマルプリンタユニット30に対するサーマルヘッドモジュール70の結合解除及び再結合]
図6及び図7(B)に示す状態で、操作部73cを操作して第2のフックレバー73を反時計方向に回動させると、図12(A)に示すようになって、フック部73bがプラテン軸受53から外れ、サーマルヘッドモジュール70のプラテンモジュール50に対する結合が解除され、続いて、サーマルヘッドモジュール70を少しZ1方向にずらすことによってフック部71aが係止ロックピン35から外れ、サーマルヘッドモジュール70が本体モジュール31及びプラテンモジュール50よりY1に離され、図14に示す状態となる。図15(A)、(B)はプラテンモジュール50が結合されている本体モジュール31をY1側から見て示す。ここで、図15(A)、(B)はプラテン52の本体モジュール31への結合の状態が分かり易いように、プラテンモジュール50のフレーム51を取り外した状態で示す。
【0037】
また、サーマルヘッドモジュール70のフック部71aを係止ロックピン35に係止させ、第2のフックレバー73を反時計方向に回動させ、そのままでサーマルヘッドモジュール70の可動刃ユニット80側をプラテンモジュール50に接近させ、第2のフックレバー73を時計方向に回動させると、第2のフックレバー73がプラテン軸受53と係止されて、サーマルヘッドモジュール70がプラテンモジュール50及び本体モジュール31に再度結合される。
【0038】
よって、プラテンモジュール50及びサーマルヘッドモジュール70は独立して且つ順不同で、サーマルプリンタユニット30に対して着脱可能である。また、プラテンモジュール50は、サーマルヘッドモジュール70の第2のフックレバー73によるプラテン軸受53の係止状態に影響を与えないで、プラテン52がサーマルヘッド72から離れる方向に移動されて結合を解除され、サーマルヘッドモジュール70は、本体モジュール31の第1のフックレバー34によるプラテン軸受53の係止状態に影響を与えないで、サーマルヘッド72がプラテン52から離れる方向に移動されて結合を解除されるようになる。
[サーマルプリンタユニット30の保管状態]
組み立てたサーマルプリンタユニット30を工場から出荷するまでの間は、図6及び図7(B)に示す状態で第2のフックレバー73を反時計方向に回動させてプラテン軸受53から外すことによって、図16に示すように、サーマルヘッドモジュール70はピン35を中心に時計方向に少しの角度回動されて、サーマルヘッド72をプラテン52から離した状態にしておく。これにより、プラテン52のうちサーマルヘッド72に当っている部分が無用に変形してしまうことが防止される。
[サーマルプリンタユニット30がPOS機器100に組み込まれたときの状態]
図17はサーマルプリンタユニット30がPOS機器100に組み込まれたときの状態を示す。サーマルプリンタユニット30をPOS機器100に組み込むに際して、図6中、止めねじ56を外して補助支持部材55を取り外し、プラテンモジュール50をサーマルプリンタユニット30から分離させる。サーマルヘッドモジュール70が結合してある本体モジュール31をPOS機器本体101に取り付け、プラテンモジュール50を回動する開閉蓋110の先端に取り付けることによって、図17に示すPOS機器100が完成する。本体モジュール31は、L字形状の脚部32cをPOS機器本体101内の台座102上に載せ、脚部32cの角部の穴32c1を台座102上のフック103に嵌合させ、且つ、ねじ104によって脚部32cを台座102にネジ止めして安定に固定してある。感熱紙ロール13が収容部105に収容され、感熱紙ロール13から引き出された感熱紙14が本体モジュール31の上側を通って外部にまで引き出されている。
【0039】
開閉蓋110を閉じると、プラテン軸受53が第1のフックレバー34と係止してプラテンモジュール50が本体モジュール31に結合され、プラテン52がモータ33によって回転される状態となる。また、プラテン52とサーマルヘッド72との間に感熱紙14が挟まれ、印字動作可能な状態となる。
【0040】
また、何らかの不都合によって感熱紙14の切断が正常に行われないで、前進した可動刃81が感熱紙14を可動刃81と固定刃54との間に挟み込んだ状態で止まってしまって感熱紙14がカッタ90の場所でジャムってしまった場合には、以下の操作でもってジャムが容易に解除される。POS機器本体101の上面に出ているレバー(図示せず)を操作して、第2のフックレバー73を回動させてフック部73bをプラテン軸受53から外す。そして、サーマルヘッドモジュール70を係止ピン35を中心に時計方向に少しの角度回動させる。これによって、可動刃81が固定刃54に対してずれて、感熱紙14の挟み込みが解除され、可動刃81は負荷から解放される。この後に、電源を再投入すると、マイクロコンピュータの初期化処理によって可動刃ユニット80内のモータが駆動されて可動刃81が可動刃ユニット80内に引き込まれてホームポジションに戻される。よって、カッタ90の場所で発生したジャムが解除される。
【0041】
なお、POS機器本体101のトップカバーを取り外し、開閉蓋110を開いた状態で、第2のフックレバー73を操作してプラテン軸受53から外してサーマルヘッドモジュール70を図16に示すように係止ピン35を中心に時計方向に少しの角度回動させ、この状態でサーマルヘッド72の保守がなされる。
[サーマルプリンタユニット30がラベルプリンタ120に組み込まれたときの状態]
図18はサーマルプリンタユニット30がラベルプリンタ120に組み込まれた場合の状態を示す。サーマルプリンタユニット30をラベルプリンタ120に組み込むに際して、サーマルヘッドモジュール70をサーマルプリンタユニット30から取り外し、図14に示す状態とし、プラテンモジュール50が結合してある本体モジュール31をラベルプリンタ本体121に取り付け、サーマルヘッドモジュール70を可動する支持部材130に取り付けることによって、図18に示すラベルプリンタ120が完成する。支持部材130はZ1方向に少し変位しながらY1方向に移動するようになっている。本体モジュール31は、L字形状の脚部32cをラベルプリンタ本体121内の台座122上に載せ、脚部32cの一端を台座122上のフック123に嵌合させ、且つ、ねじ124によって脚部32cを台座122にネジ止めして安定に固定してある。ロール27がラベルプリンタ120の横側から収容部105に収容され、ラベル紙26がZ1方向に本体モジュール31の上側を通って外部にまで直線的に引き出されている。
【0042】
第2のフックレバー73を反時計方向に回動させ、そのままで支持部材130をY2方向に移動させ、第2のフックレバー73を時計方向に回動させると、第2のフックレバー73がプラテン軸受53と係止されて、サーマルヘッドモジュール70がプラテンモジュール50及び本体モジュール31に結合され、ラベル紙26がサーマルヘッド72とプラテン52との間に挟まれ、印字動作可能な状態となる。
【0043】
ここで、サーマルヘッドモジュール70はプラテン軸受53と結合されるため、サーマルヘッド72とプラテン52との相対位置が精度良く定まり、ラベル紙26への印字が精度良く安定に行われる。
【0044】
なお、第2のフックレバー73は操作しないままで、支持部材130をY2方向に移動させる操作を行うだけで、第2のフックレバー73の一部がプラテン軸受53に当って回動されてフック部73bがプラテン軸受53を係止するようにも出来る。
【実施例2】
【0045】
図19は別の実施例になるサーマルプリンタユニット30Aを示す。本体モジュール31Aは係止ピン130を有し、サーマルヘッドモジュール70Aは係止ピン130を係止する第2のフックレバー73Aを有する。サーマルヘッドモジュール70Aは、フック部75aが係止ロックピン35を係止し、軸受支持部71bがプラテン軸受53に当接され、第2のフックレバー73Aが係止ピン130を係止して、プラテンモジュール50が結合されている本体モジュール31Aに結合してある。第2のフックレバー73Aが係止ピン130を係止している位置は、Z1−Z2方向上、軸受支持部71bがプラテン軸受53に当接している位置と、フック部73Aaが係止ロックピン35を係止している位置との中間である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】POS機器に適用されたサーマルプリンタユニットを示す図である。
【図2】ラベルプリンタに適用されたサーマルプリンタユニットを示す図である。
【図3】本発明の実施例1になるサーマルプリンタユニットの概略構成を示す図である。
【図4】図3(A)のサーマルプリンタユニットをPOS機器に組み込んだ状態を示す図である。
【図5】図3(A)のサーマルプリンタユニットをラベルプリンタに組み込んだ状態を示す図である。
【図6】本発明の実施例1になるサーマルプリンタユニットの斜視図である。
【図7】図6のサーマルプリンタユニットの側面図である。
【図8】本体モジュール、プラテンモジュール、サーマルヘッドモジュールを分離して示す図である。
【図9】プラテンモジュールの断面図である。
【図10】可動刃ユニットが取り外されたサーマルヘッドモジュールの斜視図である。
【図11】サーマルヘッドモジュールの第2のフックレバーに関連する部分を拡大して示す図である。
【図12】サーマルヘッドモジュールの第2のフックレバーがプラテン軸受を係止する動作を拡大して示す図である。
【図13】図6のサーマルプリンタユニットからプラテンモジュールを切り離した状態を示す図である。
【図14】図6のサーマルプリンタユニットからサーマルヘッドモジュールを切り離した状態を示す図である。
【図15】図14中のプラテンモジュールが結合してある本体モジュールを示す図である。
【図16】サーマルヘッドをプラテンから離した状態を示す図である。
【図17】図6のサーマルプリンタユニットをPOS機器に組み込んだ状態を示す図である。
【図18】図6のサーマルプリンタユニットをラベルプリンタに組み込んだ状態を示す図である。
【図19】本発明の実施例2になるサーマルプリンタユニットの側面図である。
【符号の説明】
【0047】
13 感熱紙ロール
14 感熱紙
26 ラベル紙
27 ロール
30 サーマルプリンタユニット
31 本体モジュール
32 フレーム
33 モータ
34 第1のフックレバー
35 係止ロックピン
50 プラテンモジュール
51 フレーム
52 プラテン
54 固定刃
70 サーマルヘッドモジュール
71 フレーム
72 サーマルヘッド
73 第2のフックレバー
74 板ばね部材
75 可動刃ユニット
90 カッタ
100 POS機器
120 ラベルプリンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに独立した部分である、本体モジュールと、プラテンを有するプラテンモジュールと、サーマルヘッドを有するサーマルヘッドモジュールとを有し、
上記プラテンモジュールとサーマルヘッドモジュールとが独立して上記本体モジュールに対して着脱可能に結合してあり、
上記プラテンモジュールが、上記サーマルヘッドモジュールが結合してある上記本体モジュールに対して着脱され、
且つ、上記サーマルヘッドモジュールが、上記プラテンモジュールが結合してある上記本体モジュールに対して着脱される構成としたことを特徴とするサーマルプリンタユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のサーマルプリンタユニットにおいて、
上記サーマルヘッドモジュールは、上記本体モジュールに結合してある上記プラテンモジュールのプラテンの軸に嵌合している軸受を挟み込むように係止する挟み込み係止機構を有する構成としたことを特徴とするサーマルプリンタユニット。
【請求項3】
請求項1に記載のサーマルプリンタユニットにおいて、
上記サーマルヘッドモジュールは、
上記本体モジュールに結合してある上記プラテンモジュールのプラテンの軸に嵌合している軸受を挟み込むように係止する挟み込み係止機構と、
且つ、上記本体モジュールを係止するフック部とを有し、
上記挟み込み係止機構と上記フック部によって、プラテンモジュールが結合してある本体モジュールに対して結合してある構成としたことを特徴とするサーマルプリンタユニット。
【請求項4】
請求項1に記載のサーマルプリンタユニットにおいて、
上記サーマルヘッドモジュールは、
上記プラテンモジュールのプラテンの軸に嵌合している軸受を受ける軸受受け部と、
上記本体モジュールの一部を係止するフック部と、
該軸受受け部と該フック部との間に配置してあり、上記本体モジュールを係止するフックレバーとを有し、
上記フック部が上記本体モジュールの一部を係止し、上記軸受受け部がプラテンの軸受を受け、上記フックレバーが本体モジュールを係止して、上記プラテンモジュールが結合してある上記本体モジュールに対して結合してある構成としたことを特徴とするサーマルプリンタユニット。
【請求項5】
請求項1に記載のサーマルプリンタユニットにおいて、
上記プラテンモジュールが上記本体モジュールの上側に位置し、上記サーマルヘッドモジュールが上記プラテンモジュール及び上記本体モジュールの横側に位置し、
且つ、上記本体モジュール及び上記サーマルヘッドモジュールは、共に上記プラテンモジュールのプラテンの軸に嵌合している軸受を係止するフックレバーを有し、
上記本体モジュールのフックレバーは、上記軸受を上記サーマルヘッドモジュールの側から接近して係止する構成であり、
上記サーマルヘッドモジュールのフックレバーは、プラテンの軸受を上記本体モジュールの側から接近して係止する構成としたことを特徴とするサーマルプリンタユニット。
【請求項6】
請求項5に記載のサーマルプリンタユニットにおいて、
上記サーマルヘッドモジュールは、上記サーマルヘッドモジュールのフックレバーがプラテンの軸に嵌合している軸受を係止する過程で、上記サーマルヘッドを上記プラテンに押し付けるバネ力を発生させるバネ力発生機構を備えた構成としたことを特徴とするサーマルプリンタユニット。
【請求項7】
請求項6に記載のサーマルプリンタユニットにおいて、
上記バネ力発生機構は、
上記サーマルヘッドモジュールのフックレバーを、その回動中心に遊びを持たせて支持し、且つ、該フックレバーと上記サーマルヘッドの背面側との間にバネ部材を設けてなり、
該フックレバーがプラテンの軸に嵌合している軸受を係止する過程で該軸受に近づく方向に変位されて上記バネ部材が変形されてバネ力を発生させるようにした構成であることを特徴とするサーマルプリンタユニット。
【請求項8】
請求項1に記載のサーマルプリンタユニットにおいて、
上記プラテンモジュールは、固定刃を有し、
上記サーマルヘッドモジュールは、可動刃及び可動刃を移動させる機構を備えた可動刃ユニットを有し、
該本体モジュールと、プラテンモジュールと、サーマルヘッドモジュールとが着脱可能に結合された状態で、上記固定刃と上記可動刃ユニットとが用紙をカットするカッタを構成する構成としたことを特徴とするサーマルプリンタユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2006−123271(P2006−123271A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−312722(P2004−312722)
【出願日】平成16年10月27日(2004.10.27)
【出願人】(501398606)富士通コンポーネント株式会社 (848)
【Fターム(参考)】