サーモパイル型赤外線検出装置
【課題】アンコーティングシリコン平凸レンズによる光学設計が施されたサーモパイル型赤外線検出装置へ、外来ノイズ対策として、アンコーティングシリコン平凸レンズ表面への赤外線透過領域の選択性を有する蒸着コーティングを施す必要があった。しかし、この蒸着コーティングを施す工程はレンズ個別での蒸着コーティングが必要であり、工数UP、及びレンズ曲面の蒸着コーティングという事もあり歩留まりの影響を受け、コスト面に於いて高騰するという課題があった。
【解決手段】アンコーティングシリコン平凸レンズによる光学設計が施されたサーモパイル型赤外線検出装置へ、赤外線透過領域の選択性を有する平面フィルターを組み合わせることで構成している。又、アンコーティングシリコン平凸レンズにではなく別体として組み合わせる平面フィルターをウエハー状態にて全体を蒸着コーティングする事で効率の良い任意のサイズに切り出しが可能。
【解決手段】アンコーティングシリコン平凸レンズによる光学設計が施されたサーモパイル型赤外線検出装置へ、赤外線透過領域の選択性を有する平面フィルターを組み合わせることで構成している。又、アンコーティングシリコン平凸レンズにではなく別体として組み合わせる平面フィルターをウエハー状態にて全体を蒸着コーティングする事で効率の良い任意のサイズに切り出しが可能。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤外線透過領域の選択性を有したサーモパイル型赤外線検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来用いられている一般的なサーモパイル型赤外線検出装置は、赤外線透過領域の選択性を持たないシリコン等の基材のみのアンコーティングシリコンにて構成される光学構造のものや、あるいはシリコン基材面へ蒸着等の技術により蒸着コーティングを施した赤外線透過領域の選択性を有した光学構造により提供されている。
しかしながら、サーモパイル型赤外線検出装置により検出温度を求める際、対象物検出を行うにあたり検出素子及び光学系の設計が必要となり、一般的なシリコン等の平面フィルターでの光学設計では満足しない場合がある。
そこで、シリコン等の赤外線を透過する基材を平凸状に加工し、レンズとしての光学性能を有した光学系を選択することにより、平面フィルターでは満足し得なかった光学設計が可能である。
さらに、用途によっては、このサーモパイル型赤外線検出装置にて温度検出を行う際、太陽光等の外乱光、車のヘッドライト等の強力な可視光エネルギーによる誤検出を防止する為、人体が放射する遠赤外線の波長帯領域のエネルギーを選択し透過させる必要がある。
その対策として、一般的に赤外線透過領域のエネルギーを選択的にサーモパイルセンサ内部へ導入する為、平面フィルター、平凸レンズに蒸着等の技術により蒸着コーティングを施している。赤外線を透過させる波長としては、5μmカットオン特性や8〜14μmバンドパス特性が広く用いられている。
【特許文献1】特願2004―345060
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の手法ではアンコーティングシリコン平凸レンズによる光学設計が施されたサーモパイル型赤外線検出装置へ、太陽光等の外乱光、車のヘッドライト等の強力な可視光エネルギーなどの外来ノイズ対策として赤外線透過領域の選択性を追加する為に、アンコーティングシリコン平凸レンズ表面への赤外線透過領域の選択性を有する蒸着コーティングを施す必要があった。しかし、このアンコーティングシリコン平凸レンズ表面への赤外線透過領域の選択性を有する蒸着コーティングを施す工程は、平面フィルターは蒸着等の技術によりウエハー状態で蒸着コーティングが可能であるが、シリコン平凸レンズは形状形成後、表面に蒸着コーティングを施すためにアンコーティングシリコン平凸レンズ形状に合わせた蒸着用の工程専用の治具へアンコーティングシリコン平凸レンズを一つずつセットする必要がある。このため工数UP、蒸着釜へのシリコン平凸レンズの設置台数の制約、及びレンズ曲面の蒸着コーティングという事もあり歩留まりの影響を受け、コスト面に於いて高騰するという課題があった。
図3は従来のアンコーティングシリコン平凸レンズの表面へ赤外線透過域の選択性を有する蒸着コーティングを施した5μmカットオン蒸着コーティングシリコン平凸レンズを、光学設計により具備したサーモパイル型赤外線検出装置の斜視方向概略図を示す。図4に内部断面構造概略図を示す。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、シリコン平凸レンズ側の蒸着コーティングは無しとし、アンコーティングシリコン平面フィルターに蒸着コーティングを施し、蒸着コーティング平面フィルターとアンコーティングシリコン平凸レンズとを組み合わせる事で、赤外線透過領域の選択性を持たせた事を特徴としている。又、アンコーティングシリコン平凸レンズではなく別体として組み合わせる平面フィルターに、5μmカットオン特性や8〜14μmバンドパス特性を蒸着等の技術により蒸着コーティングを施す事で例えば4インチウエハー状態から、任意のサイズに切り出して使用する事を特徴としている。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、アンコーティングシリコン平凸レンズに蒸着コーティング平面フィルターを組み合わせる事で、蒸着コーティングシリコン平凸レンズと同等の検出エリアを得る事ができる。又、太陽光等の外乱光、車のヘッドライト等の強力な可視光エネルギーなどの外来ノイズに於いてブロッキングが可能であり、アンコーティングシリコン平凸レンズと、蒸着コーティング平面フィルターの組み合わせに於いて、蒸着コーティングシリコン平凸レンズと同等の効果を得る事が出来る。
【0006】
又、アンコーティングシリコン平凸レンズへの蒸着コーティングではなく、例えば4インチウエハー状態のシリコン平面フィルターへ蒸着等の技術による蒸着コーティングを施すことで、シリコン平凸レンズの様に1つずつセットする必要がなく、蒸着等の工程へウエハー状態にてセットが可能となる事で工数DOWN、及び蒸着釜内のスペースの無駄を削減する事が出来る。又、ウエハー状態にて全面に蒸着コーティングされている事から、効率の良い任意のサイズに切り出しが可能でありコストを低減する事が出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明は、シリコン平凸レンズを具備するサーモパイル型赤外線検出装置に於いて、シリコン平凸レンズは赤外線透過領域の選択性を具備しないアンコーティングシリコン平凸レンズとし、これとは別に少なくとも1つ以上赤外線透過領域を蒸着コーティングにより選択性を持たせた蒸着コーティングシリコン平面フィルターを具備させた。サーモパイル型赤外線検出装置として図1に斜視方向概要図、図2に内部断面構造概要図を示す。
【実施例1】
【0008】
以下実施例により本発明を詳細に説明する。図1は、本発明のもっとも基本的な実施例であり、サーモパイルセンサ型赤外線検出装置の光学設計部分であるアンコーティングシリコン平凸レンズ及び蒸着コーティング平面フィルター装着の形態を示すものである。図2に内部断面構造概略図を示す。
【0009】
本実施例では、赤外線を受光することにより対象物の放射赤外線量を測定し対象物の温度を検出する事を可能にするサーモパイルチップへの赤外線入射量を対象物投影エリアより規定した赤外線検出領域を光学設計により導くシリコン等からなる平凸レンズを使用し、赤外線透過窓を有する金属製CANケース、サーモパイルチップを電気的接続したリード端子を備えたヘッダーと共に外来からの環境的変化や電磁障害を防止するためにハーメチックシールとした一般的な構造であるサーモパイルセンサの前部へ、赤外線透過領域の選択性を有した蒸着コーティング平面フィルターを液状接着剤により金属製CANケースへ接着固定した構造となっている。
【0010】
また、本実施例では赤外線透過領域の選択性を有する5μmカットオン蒸着コーティング平面フィルターとして赤外線透過領域を選択させているが、例えば、5.5μmカットオン蒸着コーティング平面フィルター、6.5μmカットオン蒸着コーティング平面フィルター、8〜14μmバンドパス蒸着コーティング平面フィルターでもかまわない。
又、図1の実施例に於いては、赤外線透過領域の選択性を有する5μmカットオン蒸着コーティング平面フィルターの形状は正方形となっているが、これは、対象物投影エリアより規定した赤外線検出領域を光学設計により導くシリコン平凸レンズの光学設計を妨げない平面フィルターであれば、円形、長方形、六角形でもかまわない。
【0011】
サーモパイル型赤外線検出装置が温度計測機器に組み込まれる場合、通常各用途に応じて測定対象面から所定高さ位置に、対象面を望む規定された角度で保持使用される。図5は、ある規定設置位置から2ヶの赤外線検出域を有し、投影される検出域となる位置に光学設計配列されたサーモパイルチップを設置した2エリア検出のサーモパイル型赤外線検出装置を、所望の赤外線検出域測定面にて投影される検出域分布を模視した概略図である。
又、サーモパイル型赤外線検出装置として、対象物の放射赤外線量を測定し対象物の温度を検出する事を可能にする前記の2エリア検出のサーモパイルチップのみならず、
赤外線受光部を1素子有するのシングル型サーモパイル型赤外線検出装置、赤外線受光部をライン状に配列したインライン型のサーモパイルアレイ型赤外線検出装置、赤外線受光部をマトリックス状に配列したマトリックス型のサーモパイルマトリックス型赤外線検出装置の温度検出器のように赤外線受光部を1〜16素子有する多素子型サーモパイル型赤外線検出装置に於いても、本発明と同様に投影される各検出域の分布を維持しながら、赤外線透過領域の選択性を具備する事が可能である。
図14は、平面フィルターを具備させた場合、具備させない場合のそれぞれの光線図である。対象物投影エリアより規定される光学設計を行う際、平面フィルターを前面に具備しない場合の光線と、平面フィルターを前面に具備する場合の屈折した光線との差を考慮しての光学設計が必要である。
【実施例2】
【0012】
図6は、実施例1で用いたアンコーティングシリコン平凸レンズの平面側と凸面側を逆設置構造とするサーモパイル型赤外線検出装置の光学設計部分であるアンコーティングシリコン平凸レンズ及び5μmカットオン蒸着コーティング平面フィルター装着の形態を示すものである。図7に内部断面構造概略図を示す。
本実施例に於いても実施例1の図5と同様の赤外線透過領域を得る事が可能である。
【実施例3】
【0013】
図8は、実施例1で用いたアンコーティングシリコン平凸レンズと5μmカットオン蒸着コーティング平面フィルターとを前後逆設置構造とするサーモパイル型赤外線検出装置の光学設計部分であるアンコーティングシリコン平凸レンズ及び5μmカットオン蒸着コーティング平面フィルター装着の形態を示すものである。図9に内部断面構造概略図を示す。
本実施例に於いても実施例1の図5と同様の赤外線透過領域を得る事が可能である。
【実施例4】
【0014】
図10は、実施例1に用いたアンコーティングシリコン平凸レンズと5μmカットオン蒸着コーティング平面フィルターとを前後逆設置構造とし、又、アンコーティングシリコン平凸レンズの平面側と凸面側を逆設置構造とするサーモパイル型赤外線検出装置の光学設計部分であるアンコーティングシリコン平凸レンズ及び5μmカットオン蒸着コーティング平面フィルター装着の形態を示すものである。図11に内部断面構造概略図を示す。
本実施例に於いても実施例1の図5と同様の赤外線透過領域を得る事が可能である。
【実施例5】
【0015】
実施例1から4では金属製CANケースにアンコーティングシリコン平凸レンズ及び5μmカットオン蒸着コーティング平面フィルターを共に液状接着剤にて接着固定しているのに対し、図12は、5μmカットオン蒸着コーティング平面フィルターを樹脂ホルダーへ液状接着剤にて接着し、アンコーティングシリコン平凸レンズにて光学設計されたサーモパイル型赤外線検出装置へ覆い被せる様に5μmカットオン蒸着コーティング平面フィルター付き樹脂ホルダーを設置した形態を示すものである。図13に内部断面構造概略図を示す。
本実施例に於いても実施例1の図5と同様の赤外線透過領域を得る事が可能である。
また、本実施例では樹脂ホルダーに5μmカットオン蒸着コーティング平面フィルターを装着しているが、例えば、アルミ等の金属製ホルダーでもかまわない。
また、樹脂ホルダーへアンコーティングシリコン平凸レンズを液状接着剤固定装着し、金属製CANケースへ5μmカットオン蒸着コーティング平面フィルターを液状接着剤にて接着固定にて構成される構造でも実施例1の図5と同様の赤外線透過領域を得る事が可能である
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明による最も基本的な実施例である、赤外線透過域の選択性を有したサーモパイルの光学設計構成図の斜視方向概略図である。
【図2】図1の内部構造断面図である。
【図3】従来の一般的なサーモパイルの光学設計構造図の斜視方向概略図である。
【図4】図3の内部構造断面図である。
【図5】サーモパイル型赤外線検出器における投影される検出域分布を模視した概略図である。
【図6】本発明による他の実施例で赤外線透過領域の選択性を有したサーモパイルの光学設計別構造構成の斜視方向概略図である。
【図7】図6の内部構造概略図である。
【図8】本発明による他の実施例で赤外線透過領域の選択性を有したサーモパイルの光学設計別構造構成の斜視方向概略図である。
【図9】図8の内部構造概略図である。
【図10】本発明による他の実施例で赤外線透過領域の選択性を有したサーモパイルの光学設計別構造構成の斜視方向概略図である。
【図11】図10の内部構造概略図である。
【図12】本発明による他の実施例で赤外線透過領域の選択性を有したサーモパイルの光学設計別構造構成の斜視方向概略図である。
【図13】図12の内部構造概略図である。
【図14】平面フィルターを具備することによる赤外線屈折概略図である。
【符号の説明】
【0017】
1 5μmカットオン蒸着コーティング平面フィルター
2 アンコーティングシリコン平凸レンズ
3 赤外線透過窓
4 サーモパイルチップ
5 金属CANケース
6 ヘッダー
7 リード
8 液状接着剤
9 5μmカットオン蒸着コーティングシリコン平凸レンズ
10 2エリア検出のサーモパイル型赤外線検出装置
11 投影される検出域
12 樹脂ホルダー赤外線透過窓
13 樹脂ホルダー
14 平面フィルターなしの光線
15 平面フィルターありの光線
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤外線透過領域の選択性を有したサーモパイル型赤外線検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来用いられている一般的なサーモパイル型赤外線検出装置は、赤外線透過領域の選択性を持たないシリコン等の基材のみのアンコーティングシリコンにて構成される光学構造のものや、あるいはシリコン基材面へ蒸着等の技術により蒸着コーティングを施した赤外線透過領域の選択性を有した光学構造により提供されている。
しかしながら、サーモパイル型赤外線検出装置により検出温度を求める際、対象物検出を行うにあたり検出素子及び光学系の設計が必要となり、一般的なシリコン等の平面フィルターでの光学設計では満足しない場合がある。
そこで、シリコン等の赤外線を透過する基材を平凸状に加工し、レンズとしての光学性能を有した光学系を選択することにより、平面フィルターでは満足し得なかった光学設計が可能である。
さらに、用途によっては、このサーモパイル型赤外線検出装置にて温度検出を行う際、太陽光等の外乱光、車のヘッドライト等の強力な可視光エネルギーによる誤検出を防止する為、人体が放射する遠赤外線の波長帯領域のエネルギーを選択し透過させる必要がある。
その対策として、一般的に赤外線透過領域のエネルギーを選択的にサーモパイルセンサ内部へ導入する為、平面フィルター、平凸レンズに蒸着等の技術により蒸着コーティングを施している。赤外線を透過させる波長としては、5μmカットオン特性や8〜14μmバンドパス特性が広く用いられている。
【特許文献1】特願2004―345060
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の手法ではアンコーティングシリコン平凸レンズによる光学設計が施されたサーモパイル型赤外線検出装置へ、太陽光等の外乱光、車のヘッドライト等の強力な可視光エネルギーなどの外来ノイズ対策として赤外線透過領域の選択性を追加する為に、アンコーティングシリコン平凸レンズ表面への赤外線透過領域の選択性を有する蒸着コーティングを施す必要があった。しかし、このアンコーティングシリコン平凸レンズ表面への赤外線透過領域の選択性を有する蒸着コーティングを施す工程は、平面フィルターは蒸着等の技術によりウエハー状態で蒸着コーティングが可能であるが、シリコン平凸レンズは形状形成後、表面に蒸着コーティングを施すためにアンコーティングシリコン平凸レンズ形状に合わせた蒸着用の工程専用の治具へアンコーティングシリコン平凸レンズを一つずつセットする必要がある。このため工数UP、蒸着釜へのシリコン平凸レンズの設置台数の制約、及びレンズ曲面の蒸着コーティングという事もあり歩留まりの影響を受け、コスト面に於いて高騰するという課題があった。
図3は従来のアンコーティングシリコン平凸レンズの表面へ赤外線透過域の選択性を有する蒸着コーティングを施した5μmカットオン蒸着コーティングシリコン平凸レンズを、光学設計により具備したサーモパイル型赤外線検出装置の斜視方向概略図を示す。図4に内部断面構造概略図を示す。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、シリコン平凸レンズ側の蒸着コーティングは無しとし、アンコーティングシリコン平面フィルターに蒸着コーティングを施し、蒸着コーティング平面フィルターとアンコーティングシリコン平凸レンズとを組み合わせる事で、赤外線透過領域の選択性を持たせた事を特徴としている。又、アンコーティングシリコン平凸レンズではなく別体として組み合わせる平面フィルターに、5μmカットオン特性や8〜14μmバンドパス特性を蒸着等の技術により蒸着コーティングを施す事で例えば4インチウエハー状態から、任意のサイズに切り出して使用する事を特徴としている。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、アンコーティングシリコン平凸レンズに蒸着コーティング平面フィルターを組み合わせる事で、蒸着コーティングシリコン平凸レンズと同等の検出エリアを得る事ができる。又、太陽光等の外乱光、車のヘッドライト等の強力な可視光エネルギーなどの外来ノイズに於いてブロッキングが可能であり、アンコーティングシリコン平凸レンズと、蒸着コーティング平面フィルターの組み合わせに於いて、蒸着コーティングシリコン平凸レンズと同等の効果を得る事が出来る。
【0006】
又、アンコーティングシリコン平凸レンズへの蒸着コーティングではなく、例えば4インチウエハー状態のシリコン平面フィルターへ蒸着等の技術による蒸着コーティングを施すことで、シリコン平凸レンズの様に1つずつセットする必要がなく、蒸着等の工程へウエハー状態にてセットが可能となる事で工数DOWN、及び蒸着釜内のスペースの無駄を削減する事が出来る。又、ウエハー状態にて全面に蒸着コーティングされている事から、効率の良い任意のサイズに切り出しが可能でありコストを低減する事が出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明は、シリコン平凸レンズを具備するサーモパイル型赤外線検出装置に於いて、シリコン平凸レンズは赤外線透過領域の選択性を具備しないアンコーティングシリコン平凸レンズとし、これとは別に少なくとも1つ以上赤外線透過領域を蒸着コーティングにより選択性を持たせた蒸着コーティングシリコン平面フィルターを具備させた。サーモパイル型赤外線検出装置として図1に斜視方向概要図、図2に内部断面構造概要図を示す。
【実施例1】
【0008】
以下実施例により本発明を詳細に説明する。図1は、本発明のもっとも基本的な実施例であり、サーモパイルセンサ型赤外線検出装置の光学設計部分であるアンコーティングシリコン平凸レンズ及び蒸着コーティング平面フィルター装着の形態を示すものである。図2に内部断面構造概略図を示す。
【0009】
本実施例では、赤外線を受光することにより対象物の放射赤外線量を測定し対象物の温度を検出する事を可能にするサーモパイルチップへの赤外線入射量を対象物投影エリアより規定した赤外線検出領域を光学設計により導くシリコン等からなる平凸レンズを使用し、赤外線透過窓を有する金属製CANケース、サーモパイルチップを電気的接続したリード端子を備えたヘッダーと共に外来からの環境的変化や電磁障害を防止するためにハーメチックシールとした一般的な構造であるサーモパイルセンサの前部へ、赤外線透過領域の選択性を有した蒸着コーティング平面フィルターを液状接着剤により金属製CANケースへ接着固定した構造となっている。
【0010】
また、本実施例では赤外線透過領域の選択性を有する5μmカットオン蒸着コーティング平面フィルターとして赤外線透過領域を選択させているが、例えば、5.5μmカットオン蒸着コーティング平面フィルター、6.5μmカットオン蒸着コーティング平面フィルター、8〜14μmバンドパス蒸着コーティング平面フィルターでもかまわない。
又、図1の実施例に於いては、赤外線透過領域の選択性を有する5μmカットオン蒸着コーティング平面フィルターの形状は正方形となっているが、これは、対象物投影エリアより規定した赤外線検出領域を光学設計により導くシリコン平凸レンズの光学設計を妨げない平面フィルターであれば、円形、長方形、六角形でもかまわない。
【0011】
サーモパイル型赤外線検出装置が温度計測機器に組み込まれる場合、通常各用途に応じて測定対象面から所定高さ位置に、対象面を望む規定された角度で保持使用される。図5は、ある規定設置位置から2ヶの赤外線検出域を有し、投影される検出域となる位置に光学設計配列されたサーモパイルチップを設置した2エリア検出のサーモパイル型赤外線検出装置を、所望の赤外線検出域測定面にて投影される検出域分布を模視した概略図である。
又、サーモパイル型赤外線検出装置として、対象物の放射赤外線量を測定し対象物の温度を検出する事を可能にする前記の2エリア検出のサーモパイルチップのみならず、
赤外線受光部を1素子有するのシングル型サーモパイル型赤外線検出装置、赤外線受光部をライン状に配列したインライン型のサーモパイルアレイ型赤外線検出装置、赤外線受光部をマトリックス状に配列したマトリックス型のサーモパイルマトリックス型赤外線検出装置の温度検出器のように赤外線受光部を1〜16素子有する多素子型サーモパイル型赤外線検出装置に於いても、本発明と同様に投影される各検出域の分布を維持しながら、赤外線透過領域の選択性を具備する事が可能である。
図14は、平面フィルターを具備させた場合、具備させない場合のそれぞれの光線図である。対象物投影エリアより規定される光学設計を行う際、平面フィルターを前面に具備しない場合の光線と、平面フィルターを前面に具備する場合の屈折した光線との差を考慮しての光学設計が必要である。
【実施例2】
【0012】
図6は、実施例1で用いたアンコーティングシリコン平凸レンズの平面側と凸面側を逆設置構造とするサーモパイル型赤外線検出装置の光学設計部分であるアンコーティングシリコン平凸レンズ及び5μmカットオン蒸着コーティング平面フィルター装着の形態を示すものである。図7に内部断面構造概略図を示す。
本実施例に於いても実施例1の図5と同様の赤外線透過領域を得る事が可能である。
【実施例3】
【0013】
図8は、実施例1で用いたアンコーティングシリコン平凸レンズと5μmカットオン蒸着コーティング平面フィルターとを前後逆設置構造とするサーモパイル型赤外線検出装置の光学設計部分であるアンコーティングシリコン平凸レンズ及び5μmカットオン蒸着コーティング平面フィルター装着の形態を示すものである。図9に内部断面構造概略図を示す。
本実施例に於いても実施例1の図5と同様の赤外線透過領域を得る事が可能である。
【実施例4】
【0014】
図10は、実施例1に用いたアンコーティングシリコン平凸レンズと5μmカットオン蒸着コーティング平面フィルターとを前後逆設置構造とし、又、アンコーティングシリコン平凸レンズの平面側と凸面側を逆設置構造とするサーモパイル型赤外線検出装置の光学設計部分であるアンコーティングシリコン平凸レンズ及び5μmカットオン蒸着コーティング平面フィルター装着の形態を示すものである。図11に内部断面構造概略図を示す。
本実施例に於いても実施例1の図5と同様の赤外線透過領域を得る事が可能である。
【実施例5】
【0015】
実施例1から4では金属製CANケースにアンコーティングシリコン平凸レンズ及び5μmカットオン蒸着コーティング平面フィルターを共に液状接着剤にて接着固定しているのに対し、図12は、5μmカットオン蒸着コーティング平面フィルターを樹脂ホルダーへ液状接着剤にて接着し、アンコーティングシリコン平凸レンズにて光学設計されたサーモパイル型赤外線検出装置へ覆い被せる様に5μmカットオン蒸着コーティング平面フィルター付き樹脂ホルダーを設置した形態を示すものである。図13に内部断面構造概略図を示す。
本実施例に於いても実施例1の図5と同様の赤外線透過領域を得る事が可能である。
また、本実施例では樹脂ホルダーに5μmカットオン蒸着コーティング平面フィルターを装着しているが、例えば、アルミ等の金属製ホルダーでもかまわない。
また、樹脂ホルダーへアンコーティングシリコン平凸レンズを液状接着剤固定装着し、金属製CANケースへ5μmカットオン蒸着コーティング平面フィルターを液状接着剤にて接着固定にて構成される構造でも実施例1の図5と同様の赤外線透過領域を得る事が可能である
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明による最も基本的な実施例である、赤外線透過域の選択性を有したサーモパイルの光学設計構成図の斜視方向概略図である。
【図2】図1の内部構造断面図である。
【図3】従来の一般的なサーモパイルの光学設計構造図の斜視方向概略図である。
【図4】図3の内部構造断面図である。
【図5】サーモパイル型赤外線検出器における投影される検出域分布を模視した概略図である。
【図6】本発明による他の実施例で赤外線透過領域の選択性を有したサーモパイルの光学設計別構造構成の斜視方向概略図である。
【図7】図6の内部構造概略図である。
【図8】本発明による他の実施例で赤外線透過領域の選択性を有したサーモパイルの光学設計別構造構成の斜視方向概略図である。
【図9】図8の内部構造概略図である。
【図10】本発明による他の実施例で赤外線透過領域の選択性を有したサーモパイルの光学設計別構造構成の斜視方向概略図である。
【図11】図10の内部構造概略図である。
【図12】本発明による他の実施例で赤外線透過領域の選択性を有したサーモパイルの光学設計別構造構成の斜視方向概略図である。
【図13】図12の内部構造概略図である。
【図14】平面フィルターを具備することによる赤外線屈折概略図である。
【符号の説明】
【0017】
1 5μmカットオン蒸着コーティング平面フィルター
2 アンコーティングシリコン平凸レンズ
3 赤外線透過窓
4 サーモパイルチップ
5 金属CANケース
6 ヘッダー
7 リード
8 液状接着剤
9 5μmカットオン蒸着コーティングシリコン平凸レンズ
10 2エリア検出のサーモパイル型赤外線検出装置
11 投影される検出域
12 樹脂ホルダー赤外線透過窓
13 樹脂ホルダー
14 平面フィルターなしの光線
15 平面フィルターありの光線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコン平凸レンズを具備するサーモパイル型赤外線検出装置に於いて、シリコン平凸レンズは赤外線透過領域の選択性を具備しないアンコーティングシリコン平凸レンズとし、これとは別に少なくとも1つ以上の赤外線透過領域を蒸着コーティングにより選択性を持たせたシリコン平面フィルターを具備させる事を特徴とするサーモパイル型赤外線検出装置。
【請求項1】
シリコン平凸レンズを具備するサーモパイル型赤外線検出装置に於いて、シリコン平凸レンズは赤外線透過領域の選択性を具備しないアンコーティングシリコン平凸レンズとし、これとは別に少なくとも1つ以上の赤外線透過領域を蒸着コーティングにより選択性を持たせたシリコン平面フィルターを具備させる事を特徴とするサーモパイル型赤外線検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−41958(P2009−41958A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−204844(P2007−204844)
【出願日】平成19年8月7日(2007.8.7)
【出願人】(000229081)日本セラミック株式会社 (129)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月7日(2007.8.7)
【出願人】(000229081)日本セラミック株式会社 (129)
【Fターム(参考)】
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