説明

シアン色光硬化性組成物及びその製造方法

【課題】分光特性が良好で、かつ耐光性、耐熱性に優れた光硬化性組成物、シアン色カラーフィルタ、及び、更に、色再現性が良好な固体撮像素子を提供する。
【解決手段】PG7、及びPG36から選択される少なくとも一種と、PB15:3及びPB15:6から選択される少なくとも一種と、アルカリ可溶性樹脂、重合性モノマー、及び光重合開始剤を含む光硬化性組成物、並びに、それを用いたシアン色カラーフィルタ、及び固体撮像素子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光硬化性樹脂組成物、固体撮像素子および液晶表示素子に用いられるシアン色カラーフィルタ、並びに、光硬化性樹脂組成物の製造方法、及びシアン色カラーフィルタの製造方法に関し、さらに詳しくは、光硬化性樹脂組成物、補色カラーフィルタおよびそれを用いた固体撮像素子、並びに、光硬化性樹脂組成物の製造方法、及びシアン色カラーフィルタの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、補色系カラーフィルタは、ゼラチン等の被染色層をシアン、マゼンタ、イエローの染料を染め込む方法である染色法が多く用いられてきたが、耐光性、耐熱性などに問題があった。
一方、前記染色法に変わる方法として、着色剤とC.I.ピグメント・ブルー16、C.I.ピグメント・ブルー 15:6、あるいはC.I.ピグメント・ブルー 15:4等の青色顔料を用いた補色系カラーフィルタを用いる方法(例えば、特許文献1、2参照。)や、アルミニウムフタロシアニン、チタンフタロシアニン等の微粒子顔料を用いたシアン色カラーフィルタを用いる方法(例えば、特許文献3参照。)があり、耐熱性、耐光性の優れた補色系カラーフィルタが得られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−270611号公報
【特許文献2】特開平10−144896号公報
【特許文献3】特開2002−107531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記方法により得られたシアン色カラーフィルタは、従来の染色法に比べて形成されたシアン色カラーフィルタの分光特性が良くなかった。また、カラーフィルタに用いる一部の着色剤は微細化が困難であった。また、得られたシアン色カラーフィルタを含む補色系カラーフィルタを用いた固体撮像素子の色再現性は、従来の染色法に比べ劣っていた。
本発明の目的は、分光特性が良好で、かつ耐光性、耐熱性に優れたシアン色カラーフィルタおよび、そのカラーフィルタを形成することができる光硬化性樹脂組成物を提供することにある。また、その光硬化性樹脂組成物の製造方法、及びカラーフィルタの製造方法を提供することにある。更に、色再現性が良好な固体撮像素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
<1> 少なくとも顔料を含む光硬化性組成物であって、該光硬化性組成物がC.I.ピグメントグリーン7及びC.I.ピグメントグリーン36から選択される少なくとも一種と、C.I.ピグメントブルー15:3及びC.I.ピグメントブルー15:6から選択される少なくとも一種とを、含み、さらに、アルカリ可溶性樹脂、重合性モノマー、及び光重合開始剤を含むことを特徴とする光硬化性組成物。
【0006】
<2> 前記光重合開始剤がオキシム系化合物であることを特徴とする<1>に記載の光硬化性組成物。
【0007】
<3> 前記重合性モノマーが少なくとも1個の付加重合可能なエチレン基を有することを特徴とする<1>又は<2>に記載の光硬化性組成物。
【0008】
<4> 前記少なくとも1個の付加重合可能なエチレン基を有する重合性モノマーが、常圧下で100℃以上の融点を有するモノマーであることを特徴とする<3>に記載の光硬化性組成物。
【0009】
<5> C.I.ピグメントグリーン7と、C.I.ピグメントブルー15:3とを、4:1〜1:2の含有比率(質量比;C.I.ピグメントグリーン7:C.I.ピグメントブルー15:3)で含有することを特徴とする<1>〜<4>のいずれか1項に記載の光硬化性組成物。
<6> C.I.ピグメントグリーン7と、C.I.ピグメントブルー15:6とを、4:1〜1:2の含有比率(質量比;C.I.ピグメントグリーン7:C.I.ピグメントブルー15:6)で含有することを特徴とする<1>〜<4>のいずれか1項に記載の光硬化性組成物。
<7> C.I.ピグメントグリーン36と、C.I.ピグメントブルー15:3とを、3:1〜1:3の含有比率(質量比;C.I.ピグメントグリーン36:C.I.ピグメントブルー15:3)で含有することを特徴とする<1>〜<4>のいずれか1項に記載の光硬化性組成物。
<8> C.I.ピグメントグリーン36と、C.I.ピグメントブルー15:6とを、6:1〜1:2の含有比率(質量比;C.I.ピグメントグリーン36:C.I.ピグメントブルー15:6)で含有することを特徴とする<1>〜<4>のいずれか1項に記載の光硬化性組成物。
<9> C.I.ピグメントグリーン7及びC.I.ピグメントグリーン36から選択される少なくとも一種と、C.I.ピグメントブルー15:3及びC.I.ピグメントブルー15:6から選択される少なくとも一種とを含む顔料を、アルカリ可溶性樹脂溶液でフラッシング処理、または、アルカリ可溶性樹脂と混練処理して、顔料を微粒子化した分散物を得る工程と、
前記分散物に、アルカリ可溶性樹脂と、溶剤とを添加し、分散させ、分散液を得る工程と、
前記分散液に、重合性モノマーと、光重合開始剤と、溶剤とを添加し、混合して光硬化性組成物を調製する工程と、
前記光硬化性組成物を基板上に塗布し、塗布膜を形成する工程と、
前記塗布膜上に特定のパターンを露光し、露光された塗布膜を現像処理する工程と、
を有することを特徴とするシアン色カラーフィルタの製造方法。
<10> <9>に記載の製造方法により製造されたシアン色カラーフィルタ。
<11> C.I.ピグメントグリーン7及びC.I.ピグメントグリーン36から選択される少なくとも一種と、C.I.ピグメントブルー15:3及びC.I.ピグメントブルー15:6から選択される少なくとも一種とを含む顔料を、アルカリ可溶性樹脂でフラッシング処理、またはアルカリ可溶性樹脂と混合処理して微粒子化した分散物を得る工程と、
前記分散物に、アルカリ可溶性樹脂と、溶剤とを添加し、分散させ、分散液を得る工程と、
前記分散液に、重合性モノマーと、光重合開始剤と、溶剤とを添加し、混合して光硬化性組成物を調製する工程と、
を有することを特徴とする光硬化性組成物の製造方法。
<12> <11>に記載の製造方法により製造された光硬化性組成物。
<13> 受光素子とその上に形成されたシアン、マゼンタ、及びイエローの3色相、あるいは、さらにグリーンの4色相からなるカラーフィルタを有する固体撮像素子であって、該カラーフィルタが<10>に記載のシアン色カラーフィルタで、マゼンタの顔料がC.I.ピグメントレッド122を含むマゼンタ色カラーフィルタで、イエローの顔料がC.I.ピグメントイエロー185を含むイエロー色カラーフィルタであることを特徴とする固体撮像素子。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、分光特性が良好で、かつ耐光性、耐熱性に優れたシアン色カラーフィルタ、及びそのカラーフィルタを形成することができる光硬化性組成物、並びに、それらの製造方法を提供することができる。更に、本発明によれば該カラーフィルタを用いることにより色再現性が良好な固体撮像素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に実施例2、及び比較例2、6で作製した、シアン色カラーフィルタの分光透過率曲線を示す図である。
【図2】本発明に参考例3、及び比較例1、7で作製した、シアン色カラーフィルタの分光透過率曲線を示す図である。
【図3】本発明の実施例6のCMOS固体撮像素子に用いた補色系カラーフィルタの分光透過率曲線を示す図である。Cyanは、実施例2のシアン色カラーフィルタを用いた。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のシアン色カラーフィルタは、少なくとも顔料を含むカラーフィルタであって、該顔料がC.I.ピグメントグリーン7(以下、「PG7」ともいう。)及びC.I.ピグメントグリーン36(以下、「PG36」ともいう。)から選択される少なくとも一種と、C.I.ピグメントブルー15:3(以下、「PB15:3」ともいう。)及びC.I.ピグメントブルー15:6(以下、「PB15:6」ともいう。)から選択される少なくとも一種とを、含むことを特徴とする(第一の態様)。
更に、本発明の参考の態様のシアン色カラーフィルタは、少なくとも顔料を含むカラーフィルタであって、該顔料がアルミニウムフタロシアニン(AlPC)と、C.I.ピグメントブルー15:3(PB15:3)及びC.I.ピグメントブルー15:6(PB15:6)から選択される少なくとも一種とを、含むことを特徴とする(第二の態様)。
該シアン色カラーフィルタが前記特定の顔料を含有することにより、分光特性が良好で、かつ、耐熱性、耐光性に優れたシアン色カラーフィルタを提供することができる。
【0013】
<シアン色カラーフィルタ>
[顔料]
本発明のシアン色カラーフィルタの第一の態様として用いられる顔料は、PG7及びPG36から選択される少なくとも一種の緑色顔料と、PB15:3及びPB15:6から選択される少なくとも一種の青色顔料を含有する。
更に、本発明のシアン色カラーフィルタの参考の態様として、アルミニウムフタロシアニン(AlPC)の緑色顔料と、C.I.ピグメントブルー15:3(PB15:3)及びC.I.ピグメントブルー15:6(PB15:6)から選択される少なくとも一種の青色顔料を含有する。
これらの顔料を含有することにより、分光透過率が良好で、かつ、耐熱性、耐光性に優れたシアン色カラーフィルタを作製することができる。
【0014】
本発明における前記アルミニウムフタロシアニン(AlPC)としては、下記構造式(I)で表される化合物が好適である。また、この化合物の2分子が結合した二量体であってもよい。
【0015】
【化1】



【0016】
前記構造式(I)中、Xは、OH、ClまたはBrを表す。R1、R2、R3、およびR4は、各々独立にハロゲン原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し、互いに同一でも異なっていてもよい。Yは0〜4の整数を表す。
【0017】
上記構造式(I)で表されるアルミニウムフタロシアニン顔料の中でも、下記構造式(II)で表される化合物が特に好ましい。また、この化合物の2分子がOH基の酸素原子を介して結合された二量体も好適である。
【0018】
【化2】



【0019】
なお、前記何れの態様においても、該態様に記載の顔料以外の他の従来公知の無機若しくは有機顔料を併用することもできる。
また、無機顔料であれ有機顔料であれ、高透過率であることが好ましいことを考慮すると、なるべく細かいものの使用が好ましく、ハンドリング性をも考慮すると、上記顔料の平均粒子径は、0.01μm〜0.1μmが好ましく、0.01μm〜0.05μmがより好ましい。
【0020】
前記有機顔料としては、アルミニウムフタロシアニン、チタンフタロシアニン、コバルトフタロシアニン、亜鉛フタロシアニン、すずフタロシアニン、バナジウムフタロシアニン、下記の顔料等を用いることができる。
また、前記無機顔料としては、金属酸化物、金属錯塩等で示される金属化合物を挙げることができ、具体的には、鉄、コバルト、アルミニウム、カドミウム、鉛、銅、チタン、マグネシウム、クロム、亜鉛、アンチモン等の金属酸化物、および前記金属の複合酸化物を挙げることができる。
【0021】
上記有機顔料としては、さらに、例えば、
C.I.ピグメント イエロー11,24,31,53,83,93,99,108,109,110,138,139,147,150,151,154,155,167,180,185,199,;
C.I.ピグメント オレンジ36,38,43,71;
C.I.ピグメント レッド81,105,122,149,150,155,171,175,176,177,209,220,224,242,254,255,264,270;
C.I.ピグメント バイオレット19,23,32,39;
C.I.ピグメント ブルー1,2,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,22,60,66;
C.I.ピグメント グリーン7,36,37;
C.I.ピグメント ブラウン25,28;
C.I.ピグメント ブラック1,7;
カーボンブラック等を挙げることができる。
これら有機顔料は、単独もしくは種々組合せて用いることができる。
【0022】
第一の態様における緑色顔料と青色顔料の組合せは、何れであっても良く、緑色顔料2種と青色顔料2種、緑色顔料2種と青色顔料1種、緑色顔料1種と青色顔料2種、緑色顔料1種と青色顔料1種のいずれの組合せもとることができ、
好ましくは緑色顔料1種と青色顔料1種(例えば、PG7とPB15:3、PG7とPB15:6、PG36とPB15:3、PG36とPB15:6)が好ましい。
該緑色顔料と青色顔料との含有比率(質量)は、特に限定されるものではないが、一般的には緑色顔料と青色顔料とが9:1〜1:9の範囲であり、分光特性の観点より、具体的には、PG7とPB15:3では、9:1〜1:3が好ましく、さらに4:1〜1:2が好ましい。PG7とPB15:6では、7:4〜1:3が好ましく、さらに4:1〜1:2が好ましい。PG36とPB15:3では、5:1〜1:7が好ましく、さらに3:1〜1:3が好ましい。PG36とPB15:6では、9:1〜1:4が好ましく、さらに6:1〜1:2が好ましい。
【0023】
第二の態様における緑色顔料と青色顔料の組合せは、何れであっても良く、緑色顔料1種と青色顔料2種、緑色顔料1種と青色顔料1種のいずれの組合せもとることができ、
好ましくは緑色顔料1種と青色顔料1種(例えば、アルミニウムフタロシアニンとPB15:3、アルミニウムフタロシアニンとPB15:6)の組合せが好ましい。
該緑色顔料と青色顔料との含有比率(質量)は、特に限定されるものではないが、
一般的には緑色顔料と青色顔料とが9:1〜1:9の範囲であり、分光特性の観点より、具体的には、アルミニウムフタロシアニンとPB15:3では、4:1〜1:4が好ましく、さらに10:3〜1:3が好ましい。
アルミニウムフタロシアニンとPB15:6では、4:1〜1:3が好ましく、さらに3:1〜1:2が好ましい。
【0024】
本発明における顔料は、アクリル系樹脂、マレイン酸系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、エチルセルロース樹脂、等に微分散させた粉末状加工顔料として用いることによって、分散性および分散安定性を良好なものとすることができる。
【0025】
次に、顔料の処理法について説明する。
本発明においては、顔料をあらかじめ種々の樹脂で処理しておくことが好ましい。すなわち、顔料は一般に合成後、種々の方法で乾燥が行なわれ、通常は水媒体から乾燥させて粉末体として供給されるが、水が乾燥するには大きな蒸発潜熱を必要とし、乾燥粉末とするには大きな熱エネルギーを与える。そのため、顔料は一次粒子が集合した凝集体(二次粒子)を形成しているのが普通であり、かかる凝集体を形成している顔料を微粒子に分散するのは容易ではないため、あらかじめ樹脂で処理しておくことが望ましい。ここでの樹脂としては、後述のアルカリ可溶性樹脂を挙げることができる。
【0026】
処理の方法としては、フラッシング処理やニーダー、エクストルーダー、ボールミル、2本または3本ロールミル等による混練方法がある。このうち、フラッシング処理や2本または3本ロールミルによる混練法が微粒子化に好適である。
前記フラッシング処理は、通常顔料の水分散液と水と混和しない溶媒に溶解した樹脂溶液を混合し、水媒体中から有機媒体中に顔料を抽出し、顔料を樹脂で処理する方法である。この方法によれば、顔料の乾燥を経ることがないので、顔料の凝集を防ぐことができ、分散が容易となる。また、上記の2本または3本ロールミルによる混練では、顔料と樹脂または樹脂の溶液とを混合した後、高いシェア(せん断力)をかけながら、顔料と樹脂を混練することによって顔料表面に樹脂をコーティングすることにより顔料を処理する方法である。この過程で凝集していた顔料粒子はより低次の凝集体から一次粒子にまで分散される。
【0027】
また、あらかじめアクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂、マレイン酸樹脂、エチルセルロース樹脂、ニトロセルロース樹脂等で処理した加工顔料として用いることもできる。この加工顔料の形態としては、樹脂と顔料が均一に分散している粉末、ペースト状、ペレット状、ペースト状が好ましい。また、樹脂がゲル化した不均一な塊状のものは好ましくない。
【0028】
上記の顔料の分散性を向上させる目的で、従来公知の顔料分散剤や界面活性剤を併用することができる。
顔料分散剤や界面活性剤としては、多種の化合物が挙げられるが、例えば、フタロシアニン誘導体(エフカ社製のEFKA−745)、ソルスパース5000(ゼネカ社製);オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業社製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95(共栄社油脂化学工業社製)、W001(裕商社製)等のカチオン系界面活性剤;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン系界面活性剤;W004、W005、W017(裕商社製)等のアニオン系界面活性剤;EFKA−46、EFKA−47、EFKA−47EA、EFKAポリマー100、EFKAポリマー400、EFKAポリマー401、EFKAポリマー450(以上、森下産業社製)、ディスパースエイド6、ディスパースエイド8、ディスパースエイド15、ディスパースエイド9100(サンノプコ社製)等の高分子分散剤;ソルスパース3000、同5000、同9000、同12000、同13240、同13940、同17000、同24000、同26000、同28000などの各種ソルスパース分散剤(ゼネカ社製);アデカプルロニックL31,同F38,同L42,同L44,同L61,同L64,同F68,同L72,同P95,同F77,同P84,同F87、同P94,同L101,同P103,同F108、同L121、同P−123(旭電化社製)、およびイソネットS−20(三洋化成社製)、などが挙げられる。
【0029】
本発明のシアン色カラーフィルタの前記顔料の全含有量(質量)としては、全固形分量(質量)に対して20〜90質量%が挙げられるが、中でも、パターン形成性の観点から、30〜80質量%好ましく、更に30〜70質量%が好ましい。
【0030】
[樹脂]
本発明のシアン色カラーフィルタは、樹脂を含有することが好ましいが、該樹脂は特に限定されるものではなく、カラーフィルタの形態を形成できるものであればよく、該カラーフィルタの作製方法に応じて選択することが好ましい。
【0031】
前記シアン色カラーフィルタの作製方法としては、ネガ型フォトリソ法、ポジ型フォトリソ法、印刷法、インクジェット法等、従来から知られているいずれのカラーフィルタ形成法をも用いることができる。特に、固体撮像素子用カラーフィルタとしては、好ましくは微細で良好な形状のカラーフィルタが得られる点から、顔料分散ネガ型フォトリソ法を用いることが好ましい。
【0032】
(光硬化性樹脂)
以下、本発明のシアン色カラーフィルタについて顔料分散ネガ型フォトリソ法を中心に樹脂を説明するが、これに限定されるものではない。
本発明のシアン色カラーフィルタは、前記樹脂、前記顔料を少なくとも有し、該シアン色カラーフィルタが前記顔料分散ポジ型フォトリソ法にて作製されるとき、アルカリ可溶性樹脂、重合性モノマー、及び光重合性開始剤とを有する光硬化性組成物を用いて形成される樹脂を含有することが好ましい。該光硬化性組成物は一般に更に溶剤を用いて構成することができ、更に、必要に応じて添加物など他の成分を用いて構成することができる。
【0033】
−アルカリ可溶性樹脂−
アルカリ可溶性樹脂は、アルカリ現像性を有するカルボキシル基、フェノール性水酸基等の酸性官能基を有し、アルカリ可溶性樹脂が酸価100〜250mgKOH/gの範囲にあるものが好適である。
具体的な例として、線状有機高分子重合体で、有機溶剤に可溶性であると共に弱アルカリ水溶液で現像できるものが好ましい。このような線状有機高分子重合体としては、側鎖にカルボン酸を有するポリマー、例えば、特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号の各公報に記載されているような、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等が挙げられ、また同様に側鎖にカルボン酸を有する酸性セルロース誘導体が有用である。このほか、水酸基を有するポリマーに酸無水物を付加させたもの等や、ポリヒドロキシスチレン系樹脂、ポリシロキサン系樹脂、ポリ(2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート)、ポリビニールピロリドンやポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、等も有用である。
【0034】
前記アルカリ可溶性樹脂は、親水性を有するモノマーを共重合してもよく、例えば、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、2級及び3級のアルキルアクリルアミド、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、モルホリン(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、ビニルイミダゾール、ビニルトリアゾール、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、分岐又は直鎖のプロピル(メタ)アクリレート、分岐又は直鎖のブチル(メタ)アクリレート、フェノキシヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
他の親水性を有するモノマーとして、テトラヒドロフルフリル基、燐酸、燐酸エステル、4級アンモニウム塩、エチレンオキシ鎖、プロピレンオキシ鎖、スルホン酸及びその塩、モルホリノエチル基等を含んだモノマー等も有用である。
【0035】
本発明においては特に、分子中に重合性二重結合(エチレン性不飽和基)を有する高分子重合体を含むものが好適である。分子中に二重結合を有する高分子重合体は、アルカリ可溶性でありエチレン性不飽和結合等の二重結合を有するものであれば用いることができ、例えば、エチレン性不飽和結合を有するポリマー等を挙げることができる。
【0036】
この場合、アルカリ可溶性樹脂の全体量に占める「分子中に重合性二重結合を有する高分子重合体」の割合としては、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がさらに好ましく、30質量%以上が特に好ましい。該割合が、10質量%未満であると画素のパターンプロファイルが矩形からずれてしまうことがある。また、アルカリ可溶性樹脂中に占める二重結合の量としては、樹脂1グラム中のミリモル量で表示したときに1〜5mmol/gが好ましく、より好ましくは1〜4.5mmol/g、更に好ましくは1.5〜4.0mmol/gである。
【0037】
次に、エチレン性不飽和性基を有するポリマーの例を示す。但し、炭素−炭素不飽和結合が含まれていれば下記に限定されるものではない。
エチレン性不飽和性基を含有するポリマーとしては、OH基を有する例えば2−ヒドロキシエチルアクリレートと、COOH基を含有する例えばメタクリル酸と、これらと共重合可能なアクリル系もしくはビニル系化合物等のモノマーとの共重合体に、OH基と反応性を有するエポキシ環と炭素−炭素不飽和結合基とを有する化合物(例えばグリシジルアクリレートのような化合物)を反応させて得られる化合物等が使用できる。OH基と反応性を有するものとしてはエポキシ環のほか、酸無水物、イソシアネート基を有し、アクリロイル基を有する化合物も使用できる。また、特開平6−102669号、特開平6−1938号の公報に記載の、エポキシ環を有する化合物にアクリル酸のような不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物に、飽和もしくは不飽和多塩基酸無水物を反応させて得られる反応物も使用できる。COOHのようなアルカリ可溶化基と炭素−炭素不飽和基とを併せ持つ化合物として、例えば、ダイヤナ−ルNRシリーズ(三菱レイヨン(株)製)、Photomer6173(COOH含有Polyurethane acrylic oligomer、Diamond Shamrock Co.Ltd.,製)、ビスコートR−264、KSレジスト106(いずれも大阪有機化学工業(株)製)、サイクロマーPシリーズ、プラクセル CF200シリーズ(いずれもダイセル化学工業(株)製)、Ebecryl3800(ダイセルユーシービー(株)製)などが挙げられる。このうち、クロトニル基、アクリル基、メタクリル基、アリル基、プロピルエステル基、ビニルエステル基、及びアリルオキシアルキル基から選ばれる少なくとも1種を側鎖に有する高分子重合体が有用であり、特にアクリル基、メタクリル基、及びアリル基より選択される少なくとも一種を側鎖に有する高分子重合体が有用である。
【0038】
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量は、3,000〜300,000が好ましく、5,000〜100,000がさらに好ましく、10,000〜80,000が特に好ましい。
【0039】
前記アルカリ可溶性樹脂の本発明に係る光硬化性組成物中における含有量は、0.5〜15質量%が好ましく、1.0〜12質量%がより好ましい。該含有量が、0.5質量%未満であると現像の進行が遅くなり製造コストの増大を招く可能性があり、15質量%を超えると良好なパターンプロファイルが得られなくなることがある。
【0040】
−重合性モノマー−
前記光硬化性組成物は、重合性モノマーの少なくとも一種を含有する。重合性モノマーとしては、少なくとも1個の付加重合可能なエチレン基を有する、常圧下で100℃以上の沸点を持つエチレン性不飽和基を持つ化合物が好ましく、その例として、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、等の単官能のアクリレートやメタクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート、その他グリセリンやトリメチロールエタン等の多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後(メタ)アクリレート化したもの、特公昭48−41708号、特公昭50−6034号、特開昭51−37193号各公報に記載されているようなウレタンアクリレート類、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号各公報に記載のポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレート、及びこれらの混合物を挙げることができる。更に、日本接着協会誌Vol.20、No.7、300〜308頁に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものが挙げられる。
【0041】
重合性モノマーの本発明に係る光硬化性組成物中における含有量は、該組成物の固形分に対して、0.1〜90質量が好ましく、1.0〜80質量%がさらに好ましく、2.0〜70質量%が特に好ましい。
【0042】
−光重合開始剤−
前記光硬化性組成物は、光重合開始剤の少なくとも一種を含有する。光重合開始剤は、上記の重合性モノマー及び分子中に重合性二重結合を有する場合のアルカリ可溶性樹脂の重合が可能なものであれば特に限定はなく、重合特性、開始効率、吸収波長、入手性、コスト等の観点から選択されることが望ましい。
【0043】
例えば、ハロメチルトリアジン系化合物、オキシム系化合物、α−アミノケトン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を用いて好適に構成することができる。
【0044】
ハロメチル−s−トリアジン系化合物として、例えば、特公昭59−1281号公報に記載のビニル−ハロメチル−s−トリアジン化合物、特開昭53−133428号公報に記載の2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス−ハロメチル−s−トリアジン化合物及び4−(p−アミノフェニル)−2,6−ジ−ハロメチル−s−トリアジン化合物、等が挙げられる。
その他市販品として、みどり化学社製のTAZシリーズ(例えば、TAZ−107、TAZ−110、TAZ−104、TAZ−109、TAZ−140、TAZ−204、TAZ−113、TAZ−123など)等が挙げられる。
【0045】
オキシム系化合物としては、特に限定はなく、例えば、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタンジオン、1−(4−メチルスルファニル−フェニル)−ブタン−1,2−ブタン 2−オキシム−O−アセタート、1−(4−メチルスルファニル−フェニル)−ブタン−1−オンオキシム−O−アセタート、ヒドロキシイミノ−(4−メチルスルファニル−フェニル)−酢酸エチルエステル−O−アセタート、ヒドロキシイミノ−(4−メチルスルファニル−フェニル)−酢酸エチルエステル−O−ベンゾアート、等が挙げられる。
【0046】
α−アミノケトン系化合物としては、チバガイギー社製のイルガキュアシリーズ(例えば、イルガキュア907、イルガキュア369など)、2−メチル−1−フェニル−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(ヘキシル)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−エチル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、等が挙げられる。
【0047】
これら光重合開始剤には増感剤や光安定剤を併用することができる。
その具体的な例として、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾイン、9−フルオレノン、2−クロロ−9−フルオレノン、2−メチル−9−フルオレノン、9−アントロン、2−ブロモ−9−アントロン、2−エチル−9−アントロン、9,10−アントラキノン、2−エチル−9,10−アントラキノン、2−t−ブチル−9,10−アントラキノン、2,6−ジクロロ−9,10−アントラキノン、キサントン、2−メチルキサントン、2−メトキシキサントン、2−メトキシキサントン、チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、アクリドン、10−ブチル−2−クロロアクリドン、ベンジル、ジベンザルアセトン、p−(ジメチルアミノ)フェニルスチリルケトン、p−(ジメチルアミノ)フェニル−p−メチルスチリルケトン、ベンゾフェノン、p−(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(又はミヒラーケトン)、p−(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、ベンゾアントロン等や、特公昭51−48516号公報に記載のベンゾチアゾール系化合物等、チヌビン1130、同400等が挙げられる。
【0048】
上記光重合開始剤以外に更に、以下に示す他の公知の光重合開始剤を使用することもできる。具体的には、米国特許第2,367,660号明細書に記載のビシナールポリケトルアルドニル化合物、米国特許第2,367,661号及び第2,367,670号明細書に記載のα−カルボニル化合物、米国特許第2,448,828号明細書に記載のアシロインエーテル、米国特許第2,722,512号明細書に記載のα−炭化水素で置換された芳香族アシロイン化合物、米国特許第3,046,127号及び第2,951,758号明細書に記載の多核キノン化合物、米国特許第3,549,367号明細書に記載のトリアリルイミダゾールダイマー/p−アミノフェニルケトンの組合せ、特公昭51−48516号公報に記載のベンゾチアゾール系化合物/トリハロメチル−s−トリアジン系化合物、等を挙げることができる。
更には、ハロメチルオキサジアゾール等の活性ハロゲン化合物、ハロメチル−s−トリアジン化合物から選択される少なくとも一つの活性ハロゲン化合物、3−アリール置換クマリン化合物、ロフィン2量体、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物及びその誘導体、シクロペンタジエン−ベンゼン−鉄錯体及びその塩、オキシム系化合物、等が挙げられる。
【0049】
前記ハロメチルオキサジアゾール等の活性ハロゲン化合物の例としては、特公昭57−6096号公報に記載の2−ハロメチル−5−ビニル−1,3,4−オキサジアゾール化合物等や、2−トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−シアノスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−メトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール等が挙げられる。
【0050】
また、PANCHIM社製のTシリーズ(例えば、T−OMS、T−BMP、T−R、T−Bなど)、チバガイギー社製のイルガキュアシリーズ(例えば、イルガキュア651、イルガキュア184、イルガキュア500、イルガキュア1000、イルガキュア149、イルガキュア819、イルガキュア261など)、ダロキュアシリーズ(例えばダロキュア1173など)等も有効である。その他、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)−ベンゾフェノン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタンジオン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−4−モルホリノブチロフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−(o−クロルフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(p−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(p−メチルメルカプトフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、ベンゾインイソプロピルエーテル等も有用に用いられる。
【0051】
本発明においては、紫外線波長領域に最大吸収を有する光重合開始剤を併用するこもできる。
この場合は特に、ポストキュア時における照射を紫外線領域の波長光を用いて好適に行なうことができる。紫外領域の波長光を用いたときには、短時間にポストキュアを完了することが可能であり、その後に更にポストベークを行なった場合でも、画素において生じやすい熱ダレやすそ引きによる変形を効果的に防止することができ、矩形で断面パターンプロファイルの良好な画素を得ることができる。
【0052】
具体的な例として、300nm以下の紫外域に極大吸収波長を有する光重合開始剤の少なくとも一種と、300nmを超える波長域(例えば310〜420nm)に極大吸収波長を有する光重合開始剤の少なくとも一種とを含む、二種以上の光重合開始剤を用いて好適に構成することができる。この場合には、単に二種以上の光重合開始剤を含むのではなく、極大吸収波長が300nmを超える光重合開始剤と共に極大吸収波長が300以下の光重合開始剤を含有して、パターン露光を300nmを超える(特に310〜420nm)波長光により、ポストキュアを300nm以下の短波長光により行なうようにすることができる。
【0053】
上記のように構成する場合、300nmを超える波長域(例えば310〜420nm)に極大吸収波長を有する光重合開始剤は既述の光重合開始剤から選択することができる。また、300nm以下の紫外域に極大吸収波長を有する光重合開始剤としては、例えば、Epacure TZT(Fratelli Lambert社製)、Kayacure BTC,Kayacure ITX(日本化薬社製)等のカルボニル化合物、Vicure 55(Stauffer AKZO社製)等のジカルボニル化合物、Esacure KIP100F,Esacure KT37(Siebel Hegner社製)、FIRST DEAP(FIRST CHEMICAL社製)等のアセトフェノン化合物、BENZOIN B,BENZOIN PS−8A(和光純薬社製)等のベンゾインエーテル化合物、Kayacure EPA,Kayacure DMBI(日本化薬社製)等のアミノカルボニル化合物、Triazine A,Triazine PP,Triazine B(Panchim社製)等のハロゲン化物などを挙げることができる。
【0054】
前記光硬化性組成物中における光重合開始剤の含有量は、前記重合性モノマー及び分子中に重合性二重結合を有する場合のアルカリ可溶性樹脂の総固形分に対して、0.01〜50質量%が好ましく、1〜30質量%がより好ましく、1〜20質量%が特に好ましい。該含有量が、0.01質量%未満であると重合反応が進み難くなることがあり、50質量%を超えると重合率は大きくなるが分子量が低くなり、膜強度が弱くなることがある。
【0055】
前記光硬化性組成物には、上記以外に、更に熱重合防止剤を加えておくことが好ましい。例えば、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−メルカプトベンゾイミダゾール等が有用である。
【0056】
−溶剤−
前記光硬化性組成物は、一般には必要に応じ更に溶剤を用いて構成することができる。溶剤は、既述の各種成分の溶解性や、組成物としたときの塗布性を満足するものであれば限定されないが、特に、アルカリ可溶性樹脂の溶解性、塗布性、安全性を考慮して選択されることが好ましい。
【0057】
前記溶剤の例としては、エステル類、例えば、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、アルキルエステル類、乳酸メチル、乳酸エチル、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、等;
【0058】
3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチル等の3−オキシプロピオン酸アルキルエステル類、例えば、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、等;また、2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル等の2−オキシプロピオン酸アルキルエステル類、例えば、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル、等;
【0059】
エーテル類、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、等;
【0060】
ケトン類、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、等;或いは、芳香族炭化水素類、例えば、トルエン、キシレン、等;が挙げられる。
【0061】
上記溶剤のうち、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等がより好適である。
【0062】
−他の成分−
前記光硬化性組成物には、必要に応じて各種添加物、例えば充填剤、上記以外の高分子化合物、界面活性剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤等を加えることかできる。
【0063】
これらの添加物の具体例としては、ガラス、アルミナ等の充填剤;ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリフロロアルキルアクリレート等の結着樹脂以外の高分子化合物;ノニオン系、カチオン系、アニオン系等の界面活性剤;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等の密着促進剤;2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール等の酸化防止剤:2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノン等の紫外線吸収剤;およびポリアクリル酸ナトリウム等の凝集防止剤を挙げることができる。
【0064】
また、未硬化部のアルカリ溶解性を促進し、光硬化性組成物における現像性の更なる向上を図る場合には、光硬化性組成物に更に、有機カルボン酸、好ましくは分子量1000以下の低分子量有機カルボン酸を添加することができる。具体的な例として、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ピバル酸、カプロン酸、ジエチル酢酸、エナント酸、カプリル酸などの脂肪族モノカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸、ジメチルマロン酸、メチルコハク酸、テトラメチルコハク酸、シトラコン酸などの脂肪族ジカルボン酸;トリカルバリル酸、アコニット酸、カンホロン酸などの脂肪族トリカルボン酸;安息香酸、トルイル酸、クミン酸、ヘメリト酸、メシチレン酸などの芳香族モノカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリト酸、トリメシン酸、メロファン酸、ピロメリト酸などの芳香族ポリカルボン酸;フェニル酢酸、ヒドロアトロパ酸、ヒドロケイ皮酸、マンデル酸、フェニルコハク酸、アトロパ酸、ケイ皮酸、ケイ皮酸メチル、ケイ皮酸ベンジル、シンナミリデン酢酸、クマル酸、ウンベル酸などのその他のカルボン酸が挙げられる。
【0065】
《その他の樹脂》
本発明のシアン色カラーフィルタが含有することが好ましい樹脂としては、前記顔料分散型ネガ型フォトリソ法により形成される光硬化性樹脂以外に、該シアン色カラーフィルタを他の方法で作製するとき、該方法に適した樹脂を示すことはもちろんである。
【0066】
本発明のシアン色カラーフィルタ中の樹脂含有量(質量)としては、全固形分質量に対して、20〜90質量%が挙げられるが、中でも、30〜80質量%が好ましく、30〜70質量%が更に好ましい。
【0067】
本発明のシアン色カラーフィルタの膜厚は、特に限定されることがないが、0.3〜3.0μmが好ましく、さらに0.3〜1.5μmが好ましい。
【0068】
本発明のシアン色カラーフィルタの分光特性としては、400nm分光透過率が45%以上であり、450〜550nmに最大透過率を有し、その分光透過率が90%以上であり、600〜650nmの分光透過率が20%以下であり、かつ550nm分光透過率が50%以上であることが好ましい。
更に好ましくは、400nm分光透過率が60%以上であり、450〜550nmに最大透過率を有し、その分光透過率が92%以上であり、600〜650nmの分光透過率が20%以下であり、かつ550nm分光透過率が60%以上であることが好ましい。
該分光特性(分光透過率)は、大塚電子(株)製、MCPD−2000を用いて測定した値とした。
【0069】
本発明のシアン色カラーフィルタの耐光性は、キセノンランプを光源とするスガ試験機(株)製、SX75Fで照度10万ルクス、50時間照射して行なった。大塚電子(株)製、MCPD−2000により、該照射前後の色差(ΔE*ab)を測定して評価指標とした。
【0070】
本発明のシアン色カラーフィルタの耐熱性は、220℃1時間ホットプレート上で加熱した。大塚電子(株)製、MCPD−2000により、加熱前後の色差(ΔE*ab)を測定した時の色差をその評価指標とした。
【0071】
[シアン色カラーフィルタの製造方法]
本発明のシアン色カラーフィルタの製造方法ついて、以下に顔料分散型ネガ型フォトリソ法による方法を例に説明するが、これに限定されるものではない。
前記シアン顔料を含有する光硬化性組成物を基板上に直接又は他の層を介して塗布し、その後乾燥(プリベーク)して塗布膜を形成する。
次に、形成された塗布膜上に特定のパターンを露光し、露光された塗布膜をアルカリ現像液で現像処理する。
現像処理された塗布膜にポストベーク処理を行うことにより、シアン色カラーフィルタを形成することができる。
【0072】
更に、詳細には、前記塗膜形成は、前記シアン顔料を含有する前記光硬化性組成物を基板上に回転塗布、流延塗布、ロール塗布、スリット塗布等の塗布方法を用いて塗布し、更に乾燥して感放射線性組成物膜(塗布膜)を形成する。塗布は、基板の上に直接、あるいは他の層を介して行なうことができる。
【0073】
前記基板としては、撮像素子等に用いられる光電変換素子基板、例えばシリコン基板等や、CCD(電荷結合素子)、相補性金属酸化膜半導体(CMOS)等や、例えば液晶表示素子等に用いられるソーダガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、石英ガラスおよびこれらに透明導電膜を付着させたもの等が挙げられる。これらの基板は、各画素を隔離するブラックマトリックスが形成されている場合もある。
また、これらの基板上に必要により、上部の層との密着改良、物質の拡散防止あるいは基板表面の平坦化の為に、下塗り層を設けてもよい。
【0074】
前記露光工程は、前記形成された塗布膜に、例えばマスク等を介して特定のパターンを露光する。露光の際に使用される放射線としては、特にg線、h線、i線等の紫外線が好ましく用いられる。
【0075】
前記現像工程は、露光された塗布膜をアルカリ現像液で現像処理する工程である。前記アルカリ現像液としては、本発明に係る光硬化性組成物を溶解、かつ、露光部(放射線照射部)を溶解しないものであればいかなるものも用いることができる。具体的には、種々の有機溶剤及びその組合せやアルカリ性の水溶液を用いることができる。
【0076】
前記有機溶剤としては、本発明に係る光硬化性組成物を調製する際に使用可能な後述の溶剤が挙げられる。また、前記アルカリ性の水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム,硅酸ナトリウム、メタ硅酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−〔5.4.0〕−7−ウンデセン等を含む水溶液が挙げられる。
【0077】
本発明に用いられるアルカリ現像液は、アルカリ濃度が好ましくはpH11〜13、さらに好ましくはpH11.5〜12.5となるように調整されたアルカリ性水溶液が好ましい。前記アルカリ濃度が、pH13を超えるとパターンの荒れや剥離、残膜率の低下が生じることがあり、pHが11未満であると現像速度が遅くなったり、残渣の発生がみられることがある。本工程では、このようなアルカリ性水溶液からなる現像液を用いて現像処理を好適に行なうことができる。現像方法には、例えばディップ法、スプレー法、パドル法等があり、現像温度は15〜40℃とすることが好ましい。また、現像後は一般に流水にて洗浄を行なう。
【0078】
また、前記ポストベークは、例えば、ホットプレートなどを使って行う。その際の処理温度は、150〜300℃が好ましく、180〜250℃がさらに好ましい。また、加熱時間としては通常2〜10分である。
【0079】
本発明のシアン色カラーフィルタは、LCD用のカラーフィルタとして用いることができるが、特に、高解像度のCCD素子、CMOS素子等に用いることが好適である。
【0080】
<固体撮像素子>
本発明の固体撮像素子は、受光素子とその上に形成されたシアン、マゼンタ、及びイエローの3色相、あるいは、さらにグリーンの4色相からなるカラーフィルタを有する固体撮像素子であって、該カラーフィルタが請求項1又は2に記載のシアン色カラーフィルタで、マゼンタの顔料がC.I.ピグメントレッド122を含むマゼンタ色カラーフィルタで、イエローの顔料がC.I.ピグメントイエロー185を含むイエロー色カラーフィルタであることを特徴とする。
また、本発明の固体撮像素子は、受光素子とその上に形成されたシアン、マゼンタ、及びイエローの3色相、あるいは、さらにグリーンの4色相からなるカラーフィルタを有する固体撮像素子であって、該シアン色の顔料がアルミニウムフタロシアニンとC.I.ピグメントブルー15:3を含み、マゼンタ色の顔料がC.I.ピグメントレッド122を含み、イエロー色カラーフィルタの顔料がC.I.ピグメントイエロー185を含むことを特徴とする。
また、更に、本発明の固体撮像素子は、受光素子とその上に形成されたシアン、マゼンタ、及びイエローの3色相、あるいは、さらにグリーンの4色相からなるカラーフィルタを有する固体撮像素子であって、該シアンの顔料がアルミニウムフタロシアニンとC.I.Pigment Blue15:6を含み、マゼンタの顔料がC.I.ピグメントレッド122を含み、イエローの顔料がC.I.ピグメントイエロー185を含むことを特徴とする。
本発明の固体撮像素子は、前記特定の顔料を含有するカラーフィルタを用いた素子とすることにより、本発明の効果である良好な色再現性を達成することができる。
【0081】
[カラーフィルタ]
本発明の固体撮像素子は、3色(シアン、マゼンタ、及びイエロー)又は4色(シアン、マゼンタ、イエロー、及びグリーン)の色相を有するカラーフィルタをその構成に含むものである。
前記シアン色カラーフィルタ以外のマゼンタ、イエロー、及びグリーン色の3色又は4色の色相を有するカラーフィルタは、前記シアン色カラーフィルタを作製する方法を用いることができ、例えば、前記シアン色カラーフィルタ用の光硬化性組成物のシアン色顔料の代わりにその他の色に対応する顔料を用いることにより、それぞれ対応する3色又は4色からなるカラーフィルタを得ることができる。
【0082】
前記固体撮像素子の作製に用いられるシアン色カラーフィルタと含有される顔料等の構成成分等は、前述のシアン色カラーフィルタの項に記載されたシアン色カラーフィルタと、また、該フィルタに含有される顔料等の構成成分及び好ましい範囲と同様である。
【0083】
以下、本発明の固体撮像素子における前記カラーフィルタ、及びシアン色を含めた3色(シアン、マゼンタ、イエロー)又は、更にグリーンを含めた4色の色相を有するカラーフィルタにおいて用いられるシアン色以外の顔料について説明する。
【0084】
−イエローカラーフィルタ−
本発明の固体撮像素子に用いるイエロー色カラーフィルタは、イエロー顔料として少なくともC.I.ピグメントイエロー185を含有する。
更に、本発明の目的を阻害しない範囲で、従来公知の無機または有機の黄色系顔料から適宜選択することができ、例えば、ジスアゾ系黄色顔料、キノフタロン系黄色顔料、アゾメチン系黄色顔料、イソインドリン系黄色顔料等が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー11,24,31,53,83,93,99,108,109,110,138,139,147,150,151,154,155,167,180,199などが好適に挙げられる。
これらイエロー顔料は、一種のみならず二種以上を併用してもよい。
該イエロー色カラーフィルタ用の顔料の含有量(質量%)としては、イエロ色カラーフィルタ中、10質量%〜80質量%が好ましく、中でも、20質量%〜70質量%が更に好ましく、特に30質量%〜60質量%が好ましい。
該イエロー顔料の平均粒径としては、カラーフィルタの透過率の観点から、0.01μm〜0.2μmであることが好ましく、0.01μm〜0.1μmであることが更に好ましく、0.01μm〜0.05μmであることが特に好ましい。
【0085】
該イエロー色カラーフィルタの膜厚は、特に限定されることがないが、0.3〜3.0μmであることが好ましく、さらに0.3〜1.5μmであることが好ましく、特に0.3〜1.0μmが好ましい。
【0086】
該イエロー色カラーフィルタの分光特性(透過率)としては、波長が400〜470nmの範囲では20%以下、510〜700nmでは80%以上であることが好ましい。
該イエロー色カラーフィルタの耐光性は、キセノンランプ10万ルクスで50時間の照射でΔEabが3以下であることが好ましい。
該イエロー色カラーフィルタの耐熱性は、ホットプレート上220℃で1時間放置した後のΔEabが3以下であることが好ましい。
【0087】
−マゼンタカラーフィルタ−
本発明の固体撮像素子に用いるマゼンタ色カラーフィルタは、マゼンタ顔料として少なくともC.I.ピグメントレッド122を含有する。
更に、本発明の目的を阻害しない範囲で、従来公知の無機または有機のマゼンタ顔料から適宜選択することができ、例えば、C.I.ピグメントレッド81、144、169、177などが好適に挙げられる。
これらマゼンタ顔料は、一種のみならず二種以上を併用してもよい。
【0088】
該マゼンタ色カラーフィルタ用の顔料の含有量(質量%)としては、マゼンタ色カラーフィルタ中、10質量%〜80質量%が好ましく、中でも、20質量%〜70質量%が更に好ましく、特に30質量%〜60質量%が好ましい。
該マゼンタ顔料の平均粒径としては、カラーフィルタの透過率の観点から、0.01μm〜0.2μmであることが好ましく、0.01μm〜0.1μmであることが更に好ましく、0.01μm〜0.05μmであることが特に好ましい。
【0089】
該マゼンタ色カラーフィルタの膜厚は、特に限定されることがないが、0.3〜3.0μmであることが好ましく、さらに0.3〜1.5μmであることが好ましく、特に0.3〜1.0μmが好ましい。
【0090】
該マゼンタ色カラーフィルタの分光特性(透過率)としては、波長が400〜460nmの範囲では60%以上、600〜700nmでは60%以上、540〜560nmでは20%以下であることが好ましい。
該マゼンタ色色カラーフィルタの耐光性は、キセノンランプ10万ルクスで50時間の照射でΔEabが3以下であることが好ましい。
本発明の固体撮像素子に用いるマゼンタ色カラーフィルタの耐熱性は、ホットプレート上220℃で1時間放置した後のΔEabが3以下であることが好ましい。
【0091】
−グリーン色カラーフィルタ−
本発明の固体撮像素子に用いるグリーン色カラーフィルタは、グリーン顔料として、更に、本発明の目的を阻害しない範囲で、従来公知の無機または有機のグリーン顔料から適宜選択することができる。例えば、C.I.ピグメント グリーン7,36,37、亜鉛フタロシアニン、アルミニウムフタロシアニン、コバルトフタロシアニン、チタンフタロシアニン等の顔料と、C.I.ピグメント イエロー11,24,108,109,110,138,139,150,151,154,167,180,185の組み合せ等が挙げられる。
好ましくは、C.I.ピグメント グリーン7,36と、C.I.ピグメント イエロー139,150、185の組み合わせが挙げられる。固体撮像素子用グリーンとして特に好ましくは、C.I.ピグメント グリーン7,36の一種のみならず二種と、C.I.ピグメント イエロー139、185の一種のみならず二種との組み合わせが挙げられる。
【0092】
該グリーン色カラーフィルタ用の顔料の含有量(質量%)としては、グリーン色カラーフィルタ中、10質量%〜80質量%が好ましく、中でも、20質量%〜70質量%が更に好ましく、特に30質量%〜60質量%が好ましい。
該グリーン顔料の平均粒径としては、カラーフィルタの透過率の観点から、0.01μm〜0.2μmであることが好ましく、0.01μm〜0.1μmであることが更に好ましく、0.01μm〜0.05μmであることが特に好ましい。
【0093】
該グリーン色カラーフィルタの膜厚は、特に限定されることがないが、0.3〜3.0μmであることが好ましく、さらに0.3〜1.5μmであることが好ましく、特に0.3〜1.0μmが好ましい。
【0094】
該グリーン色カラーフィルタの分光特性(透過率)としては、520〜560nmの範囲で極大ピークを有し、そのピーク値が80%以上であって、400〜450nmの範囲では30%以下、610〜650nmでは30%以下であることが好ましい。
該グリーン色カラーフィルタの耐光性は、キセノンランプ10万ルクスで50時間の照射でΔEabが3以下であることが好ましい。
該グリーン色カラーフィルタの耐熱性は、ホットプレート上220℃で1時間放置した後のΔEabが3以下であることが好ましい。
【0095】
本発明の固体撮像素子に用いられる前記カラーフィルタは、前記シアン色カラーフィルタの製造方法において、該シアン顔料の代わりに、マゼンタ顔料、イエロー顔料、或いは更にグリーン顔料を含有する光硬化性組成物を用いて、前記シアン色カラーフィルタの製造方法と同様の操作により作製することができる。
【0096】
[固体撮像素子の製造方法]
本発明の固体撮像素子の製造方法は、特に限定されず、公知の固体撮像素子の製造方法を用いることができる。以下に、本発明の固体撮像素子の一態様を例にその製造方法について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0097】
2次元平面上に配列された受光素子(例えば、CCD:電荷結合素子)上に、前記シアン色カラーフィルタの製造方法の操作を行なって、該受光素子上にシアン画素を有するシアン色カラーフィルタを形成する。
次に、前記シアン画素の形成に用いた光硬化性組成物中の顔料をマゼンタ色顔料に代えた光硬化性組成物を用いた以外、シアン色カラーフィルタ形成操作と同様に行ない、シアン画素以外の非形成領域にマゼンタ画素(M画素)を形成する。
続いて、前記シアン画素の形成に用いた光硬化性組成物中の顔料をイエロー顔料に代えた光硬化性組成物を用いた以外、シアン色カラーフィルタ形成操作と同様に行ない、シアン画素、マゼンタ画素以外の非形成領域にイエロー画素(M画素)を形成してCCD固体撮像素子を作製する。
更に、同様に前記シアン画素の形成に用いた光硬化性組成物中の顔料を、グリーン顔料に代えた光硬化性組成物を用いて、シアン色カラーフィルタ形成操作と同様に行ない、シアン画素、マゼンタ画素及びイエロー画素以外の非形成領域にグリーン画素(G画素)を形成して、(CCD)固体撮像素子を作製することができる。
更に、CCD受光素子の代わりに、CMOS(相補型金属酸化膜半導体)の受光素子を用いることにより、同様の方法でCMOS固体撮像素子を製造することができる。
本発明の受光素子は、特に限定されることなく、公知の受光素子を用いることができる。
【実施例】
【0098】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。使用顔料総質量は、全て同量とした。
【0099】
(実施例1)
<シアンカラーフィルタの形成>
1)光硬化性組成物Cの調製
下記組成Aの各成分をニーダーにて30分間混練した後、さらに二本ロールにて高粘度分散処理を行った。
〔組成A〕
・顔料(C.I.Pigment Green7とC.I.Pigment Blue15:3を1:1) 30部
・分散剤(ディスパー163、BYK社) 3部
・樹脂(ベンジル(メタ)アクリレート(BzMA)/メタアクリル酸(MAA)の共重合物)のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(固形分50%) 20部
【0100】
上記により得られた分散物に、下記組成Bの各成分を添加し、ホモジナイザーを用いて3時間攪拌し、さらに0.3mmジルコニアビーズ分散機(商品名:ディスパーマット、GETZMZNN社製)にて4時間微分散処理を施した。
〔組成B〕
・樹脂(ベンジル(メタ)アクリレート(BzMA)/メタアクリル酸(MAA)の共重合物)のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(固形分50%)
20部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 200部
【0101】
上記により得られた分散液に下記組成Cの各成分を添加し、攪拌混合して、本発明における光硬化性組成物Cを調製した。
〔組成C〕
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 65部
・重合性モノマー(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート) 20部
(o−アシルオキシム系光重合開始剤;チバガイギー(株)製)
・UV重合開始剤(イルガキュアOXE01、チバ スペシャル ケミカルズ(株)) 3部
【0102】
2)下塗り層付石英ウエハー基板の作製
6inch石英ウエハー透明基板をオーブン中で200℃のもと30分以上加熱処理した。次いで、この基板上に下塗り用樹脂CT2000L(富士フイルムアーチ(株)製)を乾燥膜厚2μmになるように塗布し、更に220℃のオーブン中で1時間加熱乾燥させて下塗り層付石英ウエハー基板を得た。
【0103】
3)塗布膜の露光・現像
前記1)で調製した光硬化性組成物Cを、前記2)で得られた下塗り層付石英ウエハー基板の下塗り層上に、600nm〜650nmの波長における、最大透過率が20%以下となるように塗布し、光硬化性の塗布膜を形成した。そして、100℃のホットプレートを用いて120秒間加熱処理(プリベーク)を行なった。
【0104】
続いて、形成された塗布膜に対し、i線ステッパ露光装置FPA−3000i5+(Canon(株)製)を使用して365nmの波長でシアン色用Islandパターンマスクを通して300mJ/cm2の露光量で照射した。その後、照射された塗布膜が形成されている石英ウエハー基板をスピン・シャワー現像機(DW−30型;(株)ケミトロニクス製)の水平回転テーブル上に載置し、CD−2000(富士フイルムアーチ(株)製)を60質量%の濃度になるように水で希釈した現像液を用いて23℃で60秒間パドル現像を行ない、次いで、回転数50rpmで回転させつつ、その回転中心の上方より純水を噴出したノズルからシャワー状に供給してリンス処理をして、その後、スプレー乾燥し、石英ウエハー基板上にシアンパターンを形成した。
【0105】
4)ポストベーク
乾燥後の石英ウエハー基板を、220℃に温度調節した前記ホットプレート上で更に5分間加熱することによってポストベークした。このようにして、シアン画素(C画素)を有するシアン色カラーフィルタを形成した。
【0106】
(実施例2)
実施例1において、C.I.Pigment Green7とC.I.Pigment Blue15:3とを1:1の重量比で用いる代わりに、C.I.Pigment Green7とC.I.Pigment Blue15:6とを1:1の重量比で用いた以外は、実施例1と同様にして、シアン色カラーフィルタを得た。
【0107】
(実施例3)
実施例1において、C.I.Pigment Green7とC.I.Pigment Blue15:3とを1:1で用いる代わりに、C.I.Pigment Green36とC.I.Pigment Blue15:3とを1:1で用いた以外は、実施例1と同様にして、シアン色カラーフィルタを得た。
【0108】
(実施例4)
実施例1において、C.I.Pigment Green7とC.I.Pigment Blue15:3とを1:1の重量比で用いる代わりに、C.I.Pigment Green36とC.I.Pigment Blue15:6とを1:1の重量比で用いた以外は、実施例1と同様にして、シアン色カラーフィルタを得た。
【0109】
(比較例1)
実施例1において、実施例1の顔料分散法に代えて、低分子ゼラチンに染料を染め込む従来の染色法を用い、実施例1の顔料の代わりにプロシオンターコイスH・A(CIC製)を用いて行なった以外は、実施例1と同様に行なって、シアン色カラーフィルタを得た。
【0110】
(比較例2)
実施例1において、C.I.Pigment Green7とC.I.Pigment Blue15:3とを1:1で用いる代わりに、C.I.Pigment Green7を単独で用いた以外は、実施例1と同様にして、シアン色カラーフィルタを得た。
【0111】
(比較例3)
実施例1において、C.I.Pigment Green7とC.I.Pigment Blue15:3とを1:1で用いる代わりに、C.I.Pigment Green36を単独で用いた以外は、実施例1と同様にして、シアン色カラーフィルタを得た。
【0112】
(参考例1)
実施例1において、C.I.Pigment Green7とC.I.Pigment Blue15:3とを1:1で用いる代わりに、アルミニウムフタロシアニンとC.I.Pigment Blue15:3とを1:3で用いた以外は、実施例1と同様にして、シアン色カラーフィルタを得た。
【0113】
(参考例2)
参考例1において、アルミニウムフタロシアニンとC.I.Pigment Blue15:3とを1:3で用いる代わりに、アルミニウムフタロシアニンとC.I.Pigment Blue15:3とを1:1で用いた以外は、参考例1と同様にして、シアン色カラーフィルタを得た。
【0114】
(参考例3)
参考例1において、アルミニウムフタロシアニンとC.I.Pigment Blue15:3とを1:3で用いる代わりに、アルミニウムフタロシアニンとC.I.Pigment Blue15:3とを10:3で用いた以外は、参考例1と同様にして、シアン色カラーフィルタを得た。
【0115】
(参考例4)
参考例1において、アルミニウムフタロシアニンとC.I.Pigment Blue15:3とを1:3で用いる代わりに、アルミニウムフタロシアニンとC.I.Pigment Blue15:6とを1:2で用いた以外は、参考例1と同様にして、シアン色カラーフィルタを得た。
【0116】
(参考例5)
参考例1において、アルミニウムフタロシアニンとC.I.Pigment Blue15:6とを1:3で用いる代わりに、アルミニウムフタロシアニンとC.I.Pigment Blue15:6とを1:1で用いた以外は、参考例1と同様にして、シアン色カラーフィルタを得た。
【0117】
(参考例6)
参考例1において、アルミニウムフタロシアニンとC.I.Pigment Blue15:3とを1:3で用いる代わりに、アルミニウムフタロシアニンとC.I.Pigment Blue15:6とを10:3で用いた以外は、参考例1と同様にして、シアン色カラーフィルタを得た。
【0118】
(比較例4)
参考例1において、アルミニウムフタロシアニンとC.I.Pigment Blue15:3とを1:3で用いる代わりに、アルミニウムフタロシアニンを単独で用いた以外は、参考例1と同様にして、シアン色カラーフィルタを得た。
【0119】
(比較例5)
参考例1において、アルミニウムフタロシアニンとC.I.Pigment Blue15:3とを1:3で用いる代わりに、C.I.Pigment Blue15:3を単独で用いた以外は、参考例1と同様にして、シアン色カラーフィルタを得た。
【0120】
(比較例6)
参考例1において、アルミニウムフタロシアニンとC.I.Pigment Blue15:3とを1:3で用いる代わりに、C.I.Pigment Blue15:6を単独で用いた以外は、参考例1と同様にして、シアン色カラーフィルタを得た。
【0121】
(比較例7)
参考例1において、アルミニウムフタロシアニンとC.I.Pigment Blue15:3とを1:3で用いる代わりに、C.I.Pigment Blue16を単独で用いた以外は、参考例1と同様にして、シアン色カラーフィルタを得た。
【0122】
<評価>
上記により形成したカラーフィルタについて、下記の測定、評価を行なった。測定、評価の結果は、下記表1に示す。
【0123】
−分光透過率測定−
400nm、450−550nmの最大ピーク、550nm、及び600−650nmの最大ピークにおける分光透過率を大塚電子(株)製、MCPD−2000を用いて測定した。
評価基準は、400nm透過率が45%以上、450nmから550nmの間に最大透過率を有し、該透過率が90%以上で、550nm透過率が50%以上、かつ、600nmから650nmの透過率が20%以下のものを良好とし、それ以外は不良とした。
また、実施例2、比較例2及び比較例6については、400nm〜700nmの波長範囲における分光透過率曲線を得た。また、同様に参考例3、比較例1及び比較例7についても同様に行ない分光透過率曲線を得た。それぞれを図1及び図2に示す。
【0124】
−耐光性−
キセノンランプを光源としたスガ試験機(株)製、SX75Fを用いて、照度10万ルクスで50時間照射して耐光性試験を行なった。大塚電子(株)製、MCPD−2000により、該照射前後の色差(ΔE*ab)を測定して、その色差が3以下を良好とし、それ以外を不良とした。
【0125】
−耐熱性−
220℃1時間ホットプレート上で加熱した。大塚電子(株)製、MCPD−2000により、加熱前後の色差(ΔE*ab)を測定し、その色差が3以下を良好とし、それ以外を不良とした。
【0126】
【表1】



【0127】
表1から明らかな通り、比較例1は、分光特性は良好であったが、耐光性、耐熱性は不良であった。また、比較例2〜7のシアン色顔料を単独で用いたシアン色カラーフィルタの分光特性は、その全てにおいて不良であった。さらに、比較例4は、耐熱性においても良好でなかった。
一方、実施例1〜4、参考例1〜6のカラーフィルタは、すべてにおいて補色系シアン色カラーフィルタとして良好な分光特性(分光透過率)を示し、かつ耐光性、耐熱性にも優れた性能を示した。
【0128】
(実施例5)
≪CCD固体撮像素子の作製≫
実施例1の石英ウエハー透明基板の代わりに、2次元平面上に配列されたCCD受光素子を用いた以外は、実施例1と同様にして、該素子上にシアン画素を有するシアン色カラーフィルタを形成した。
次に、前記シアン画素の形成に用いた光硬化性組成物Cの〈組成〉中の顔料をC.IPigment Red122に変更して光硬化性組成物Mを調製したこと以外、実施例1と同様の操作を行なって、前記素子上のC画素以外の非形成領域にマゼンタ画素(M画素)を形成した。なお、i線照射時にはパターンが2μm四方のマゼンタ用Islandパターンマスクを用いた。
続いて、前記シアン画素の形成に用いた光硬化性組成物Cの〈組成〉中の顔料を、C.I.Pigment Yellow185に変更して光硬化性組成物Yを調製したこと以外、実施例1と同様の操作を行なって、前記C画素及びM画素の非形成領域にイエロー画素(Y画素)を形成して、CCD固体撮像素子を作製した。なお、i線照射時にはパターンが2μm四方のイエロー用Islandパターンマスクを用いた。
更に、前記シアン画素の形成に用いた光硬化性組成物Cの〈組成〉中の顔料を、C.I.Pigment Green7とC.I.Pigment Yellow139に変更して光硬化性組成物Gを調製したこと以外、実施例1と同様の操作を行なって、前記C画素、M画素、及びY画素以外の非形成領域にグリーン画素(G画素)を形成して、CCD固体撮像素子を作製した。なお、i線照射時にはパターンが2μm四方のグリーン用Islandパターンマスクを用いた。
【0129】
(実施例6)
≪CMOS固体撮像素子の作製≫
実施例2の石英ウエハー透明基板の代わりに、2次元平面上に配列されたCMOS受光素子を用いた以外は、実施例2と同様にして、該素子上にシアン画素を有するシアン色カラーフィルタを形成した。
続いて、前記シアン画素の形成に用いた光硬化性組成物Cの〈組成〉中の顔料をC.I.Pigment Red122に変更して光硬化性組成物Mを調製したこと以外、実施例2と同様の操作を行なって、前記素子上のC画素の非形成領域にマゼンタ画素(M画素)を形成した。なお、i線照射時にはパターンが2μm四方のマゼンタ用Islandパターンマスクを用いた。
更に、前記シアン画素の形成に用いた光硬化性組成物Cの〈組成〉中の顔料を、C.I.Pigment Yellow185に変更して光硬化性組成物Yを調製したこと以外、実施例2と同様の操作を行なって、前記C画素及びM画素以外の非形成領域にイエロー画素(Y画素)を形成して、CMOS固体撮像素子を作製した。なお、i線照射時にはパターンが2μm四方のイエロー用Islandパターンマスクを用いた。
【0130】
(実施例7、参考例7、9、11、比較例9、11、13)
実施例5において、実施例5のシアン色顔料を用いる代わりに、実施例3、参考例1、参考例3、参考例5、比較例2、比較例4又は比較例6のシアン色顔料を用いた以外は、実施例5と同様に行なってCCD固体撮像素子を作製した。得られたCMOS固体撮像素子について前記カラーパレットを用いた目視試験を行った。その結果を下記表2に示す。
【0131】
(実施例8、参考例8、10、12、比較例8、10、12、14)
実施例6において、実施例6のシアン色顔料を用いる代わりに、実施例4、参考例2、参考例4、参考例6、比較例1、比較例4又は比較例6のシアン色顔料を用いた以外は、実施例6と同様に行なってCMOS固体撮像素子を作製した。得られたCCD固体撮像素子についてカラーパレットを用いた目視試験を行なった。その結果を下記表2に示す。
【0132】
【表2】



【0133】
比較例8の固体撮像素子は、シアンフィルター形成後のマゼンタフィルター形成時にシアンフィルターのパターン上にマゼンタが混色してしまって測定が不可能であった。比較例9〜14の固体撮像素子は、いずれも色再現性が不良であった。一方、実施例5〜8、参考例7〜12の固体撮像素子は、いずれも良好な色再現性を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも顔料を含む光硬化性組成物であって、該光硬化性組成物がC.I.ピグメントグリーン7及びC.I.ピグメントグリーン36から選択される少なくとも一種と、C.I.ピグメントブルー15:3及びC.I.ピグメントブルー15:6から選択される少なくとも一種とを、含み、さらに、アルカリ可溶性樹脂、重合性モノマー、及び光重合開始剤を含むことを特徴とする光硬化性組成物。
【請求項2】
前記光重合開始剤がオキシム系化合物であることを特徴とする請求項1に記載の光硬化性組成物。
【請求項3】
前記重合性モノマーが少なくとも1個の付加重合可能なエチレン基を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光硬化性組成物。
【請求項4】
前記少なくとも1個の付加重合可能なエチレン基を有する重合性モノマーが、常圧下で100℃以上の融点を有するモノマーであることを特徴とする請求項3に記載の光硬化性組成物。
【請求項5】
C.I.ピグメントグリーン7と、C.I.ピグメントブルー15:3とを、4:1〜1:2の含有比率(質量比;C.I.ピグメントグリーン7:C.I.ピグメントブルー15:3)で含有することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の光硬化性組成物。
【請求項6】
C.I.ピグメントグリーン7と、C.I.ピグメントブルー15:6とを、4:1〜1:2の含有比率(質量比;C.I.ピグメントグリーン7:C.I.ピグメントブルー15:6)で含有することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の光硬化性組成物。
【請求項7】
C.I.ピグメントグリーン36と、C.I.ピグメントブルー15:3とを、3:1〜1:3の含有比率(質量比;C.I.ピグメントグリーン36:C.I.ピグメントブルー15:3)で含有することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の光硬化性組成物。
【請求項8】
C.I.ピグメントグリーン36と、C.I.ピグメントブルー15:6とを、6:1〜1:2の含有比率(質量比;C.I.ピグメントグリーン36:C.I.ピグメントブルー15:6)で含有することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の光硬化性組成物。
【請求項9】
C.I.ピグメントグリーン7及びC.I.ピグメントグリーン36から選択される少なくとも一種と、C.I.ピグメントブルー15:3及びC.I.ピグメントブルー15:6から選択される少なくとも一種とを含む顔料を、アルカリ可溶性樹脂溶液でフラッシング処理、または、アルカリ可溶性樹脂と混練処理して、顔料を微粒子化した分散物を得る工程と、
前記分散物に、アルカリ可溶性樹脂と、溶剤とを添加し、分散させ、分散液を得る工程と、
前記分散液に、重合性モノマーと、光重合開始剤と、溶剤とを添加し、混合して光硬化性組成物を調製する工程と、
前記光硬化性組成物を基板上に塗布し、塗布膜を形成する工程と、
前記塗布膜上に特定のパターンを露光し、露光された塗布膜を現像処理する工程と、
を有することを特徴とするシアン色カラーフィルタの製造方法。
【請求項10】
請求項9記載の製造方法により製造されたシアン色カラーフィルタ。
【請求項11】
C.I.ピグメントグリーン7及びC.I.ピグメントグリーン36から選択される少なくとも一種と、C.I.ピグメントブルー15:3及びC.I.ピグメントブルー15:6から選択される少なくとも一種とを含む顔料を、アルカリ可溶性樹脂でフラッシング処理、またはアルカリ可溶性樹脂と混合処理して微粒子化した分散物を得る工程と、
前記分散物に、アルカリ可溶性樹脂と、溶剤とを添加し、分散させ、分散液を得る工程と、
前記分散液に、重合性モノマーと、光重合開始剤と、溶剤とを添加し、混合して光硬化性組成物を調製する工程と、
を有することを特徴とする光硬化性組成物の製造方法。
【請求項12】
請求項11記載の製造方法により製造された光硬化性組成物。
【請求項13】
受光素子とその上に形成されたシアン、マゼンタ、及びイエローの3色相、あるいは、さらにグリーンの4色相からなるカラーフィルタを有する固体撮像素子であって、該カラーフィルタが請求項10に記載のシアン色カラーフィルタで、マゼンタの顔料がC.I.ピグメントレッド122を含むマゼンタ色カラーフィルタで、イエローの顔料がC.I.ピグメントイエロー185を含むイエロー色カラーフィルタであることを特徴とする固体撮像素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−54381(P2013−54381A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−253711(P2012−253711)
【出願日】平成24年11月19日(2012.11.19)
【分割の表示】特願2010−158323(P2010−158323)の分割
【原出願日】平成16年9月29日(2004.9.29)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】