説明

シクロオレフィンコポリマーおよびスチレン−ブタジエンコポリマーを含む多層フィルム

シクロオレフィンコポリマーの少なくとも1つの層に直接溶融結合したスチレン−ブタジエンブロックコポリマーを有する包装フィルムまたはシートについて開示する。フィルムは同時押出しによって製造しうる。包装フィルムは熱成形法で扱いやすく、薬学的用途に用いられるブリスター包装の成形に特に適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張
本出願は、「シクロオレフィンコポリマーおよびスチレン−ブタジエンブロックコポリマーを含む熱成形可能な溶融結合された多層フィルム」と題する2005年2月23日付米国仮特許出願第60/655,646号に基づく。この出願はまた、「包装用の多層フィルム」と題する2005年10月28日付米国仮特許出願第60/731,316号に基づく。上記仮出願の優先権をここに主張し、それらの記載は参照することによって全てここに記載されたものとする。
【0002】
技術分野
本発明は概して、多層フィルム、さらに詳しくはシクロオレフィンコポリマーの少なくとも1層およびスチレン−ブタジエンコポリマーの層を含む多層フィルムに関する。フィルム層は共に同時押出しされても、結合層(a tie layer)の助けなしで互いに溶融結合されてもよい。本発明の多層フィルムはすぐれた剥離接着性、光学的性質、および防湿性を示す。フィルムは十分に熱成形され、ブリスター包装シート並びに食品包装、医療用バリヤーおよび一般的な用途のバリヤーフィルムに適している。
【背景技術】
【0003】
背景
様々なフィルムが防塵および/または防湿層として包装に用いられている。さらに詳述すると、フィルムは、医薬品を薬剤包装内に密閉するブリスターを形成する薬剤包装に用いるために研究されてきた。薬剤包装に用いられる一般的なフィルムには、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)および/またはフルオロポリマーのようなハロゲン化分子から形成されるポリマーが含まれる。そのようなハロゲン化分子から形成されるフィルムは、防塵および/または防湿層として効果的であるが、製造時に環境を害する原因となる。これらのフィルムの製造または廃棄時に、ハロゲン化分子の一部は気体の状態で環境に放出され、環境汚染の一因となる。
【0004】
、もっぱら防塵層として用いられるフィルムには、通常、PVCのみを含む単層シートが含まれる。これらのフィルムは、追加のポリマーを用いると製造コストが上昇するため、通常は追加ポリマー層を含まない。PVCは水分を高レベルでフィルムに浸透させるので、これらのフィルムはまた効果的な防湿層として用いることができない。従って、PVCは、いくつかの薬学的用途の場合のような防湿を必要とする用途では単独での使用に適さない。
【0005】
フィルムの防湿問題の解消に成功した試みがある。これらの試みの中に、ハロゲンおよびフルオロポリマーを、PVCおよびPVDCも含むフィルムに用いることが含まれる。ハロゲンおよびフルオロポリマーとしては、フッ素およびポリクロロトリフルオロエチレンなどが通常含まれる。ハロゲンおよびフルオロポリマーの使用は、フィルムに適切な防水性をもたらすことができ、そして防湿層としての使用を可能にする。しかしながら、PVCのみを含むフィルムの場合と同様、ハロゲンおよびフルオロポリマーの使用は環境汚染も伴う。従って、ハロゲンおよびフルオロポリマーを含むフィルムの使用も好ましくない。
【0006】
効果的な防湿層であるフィルムを代表するフルオロポリマーを含むフィルムは、Blum等の米国特許出願公開第2003/0203141号に詳しく開示されている。‘141公報では、スチレンブタジエンコポリマーを含む第1接着層、基層、環状オレフィンコポリマーを含む最も外側の層、さらに、フィルムの外層中にはフルオロポリマーを含むフィルムを用いる。‘141公報では、フィルムの最も外側の層にスチレンブタジエンコポリマーを用いていない。むしろ、‘141公報では、フィルムの最も外側の層にフルオロポリマーを用いている。その結果、‘141公報で用いられるフィルムは、フィルムの製造に伴って環境問題を引き起こす。‘141公報ではまた、環状オレフィンコポリマーをフィルムの最も外側で用いる。環状オレフィンコポリマーが油、有機およびアルカリ性溶媒、および熱と接触すると分解することは知られている。この分解のため、‘141公報に記載のフィルムの最外層は劣化し、性能はよくない。
【0007】
シクロオレフィンコポリマー(COPと呼ぶ)は、耐熱性、耐薬品性、耐溶媒性、および剛性に加えて、すぐれた透明性および水分透過性を示す。非晶質コポリマーであるCOPは熱成形で扱いやすいという利点をさらに有する。これらの性質がCOPを包装用途に望ましいものにしているが、熱成形されたCOPは、特に高延伸比が熱成形部品の製造に用いられているときに、アルカリ性環境に曝されると、応力亀裂を時々受けやすい。COP層を組み込んでいる多層フィルムはItoh等の米国特許第6,042,906号に見られ、そこには、オレフィン樹脂に接着されたCOP層またはエチレン/ビニルコポリマー層を有するプラスチック容器が開示されている。COP層は接着性樹脂で非環式オレフィン層に接着されている。
【0008】
スチレン−ブタジエンコポリマー(SBCとも呼ばれる)は同様に本技術分野で周知であり、包装フィルムに時々用いられる。SBCは良好な加工性、機械的性質および透明性を一般に示すが、バリヤー性はあまりよくない。SBCは、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)およびポリプロピレンを含む他のポリマーと組み合わせて包装フィルムまたはシートに用いられてきた。米国特許第6,517,950号には、スチレン−ブタジエンブロックコポリマーおよび均質エチレン/アルファ−オレフィン層を含む多層フィルムが開示されている。SBC/ポリプロピレンフィルムはブリスター包装に用いられるとき反る傾向がある。また、上述のように、ハロゲンを含まない包装の製造に対する需要の増加のために、PVCおよびPVDCは包装フィルムに含めるには一般に望ましくないポリマーである。
【0009】
多層ポリマーフィルムまたはラミネートは、異なるポリマーは通常互いに容易に接着しないため、結合性を求めて、多層ポリマーフィルムの場合は接着性物質の「結合」層を通常加えて製造される。結合層は費用を増加させ、光学的性質並びに加工性に悪影響を及ぼすことがある。
【0010】
多層ポリマーフィルムまたはシートは同時押出しによって製造しうる。同時押出しは周知の方法である。米国特許第3,479,425号;第3,959,431号;および第4,406,547号には、多層プラスチックフィルムが形成される同時押出し法が記載されている。多層フィルムは、ポリマーの2つ以上の溶融流をダイに通すことによって通常同時押出しされる。材料は共に層流に融合され、そして冷却される。押出された後、プラスチックフィルムは熱成形加工されることによって容器に成形される。熱成形法によるブリスター包装またはその他の製品の製造はよく知られている。
【0011】
熱成形は耐久性および一体性の高い包装を製造する点で高い評価を得ている。米国特許第4,421,721号;第4,994,229号;第5,106,567号;および第6,086,600号には、プラスチック容器の様々な熱成形法が記載されている。一般に、熱成形法は、プラスチックのシートを望ましい成形温度に加熱し、そして真空にすることによってプラスチックを成形するかあるいは型の中で圧力成形することによって、プラスチック容器および包装構造物を形成する。熱成形は、他の技術よりも比較迅速で、そして使用材料がより少ないので、プラスチック容器を製造する好ましい方法である。
【0012】
熱成形されたブリスター包装は、一般に食品、パーソナルケア製品等の商品を収容する。米国特許第6,489,016号には、ポリオレフィンの多層包装フィルムが開示されている。そのような包装材料およびそれらから製造された包装は、米国特許第6,383,582号;第5,750,262号;第5,783,270号;および第5,755,081号に開示されている。フィルムの防湿性は包装分野の用途では重要な特性である。特に包装が医薬品、食品等を収容する用途では、容器を経ての水分の浸透は内容物に悪影響を与えうる。曇り度および透明性のような光学的性質も包装用途において重要である。製品を消費者が見ることができるように包装は透明であることが望ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
おびただしい数の材料が利用可能であるにもかかわらず、特にブリスター包装用途において、油、有機およびアルカリ性溶媒並びに熱と接触したとき耐崩壊性があり、かつ適当な防湿および/または防塵性、透明性、加工性を有し、かつ応力亀裂を生じない、非ハロゲン化分子から形成される熱成形可能なシートが依然として必要とされている。本発明では、シクロオレフィンコポリマーをスチレン−ブタジエンブロックコポリマーと直接溶融結合することによって多層フィルムを製造すると、すぐれた光学的性質、内層接着性、耐久性および加工性を有するシートが得られることを予想外に見出した。COPおよびSBCは非常に異なる粘度を示すので、これらの2つのポリマーを一緒に同時押出しして、熱成形に適した溶融結合複合体を形成することができるということは特に驚くべきことである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
発明の概要
本発明の1つの側面では、スチレン−ブタジエンコポリマー層、およびスチレン−ブタジエン層へ直接溶融結合されたシクロオレフィンコポリマー層を含む多層フィルムを提供する。一般に、シクロオレフィン層はシクロオレフィンコポリマーから本質的になり、多環式オレフィンまたはシクロプロペン基を有するオレフィンの残基を組み込んでいる。他の適したコモノマーにはエチレンまたはプロピレンが含まれる。シクロオレフィンコポリマーはノルボルネンの残基を含んでいるのが最も好ましい。好ましいシクロオレフィンコポリマーはノルボルネンおよびエチレンの残基を組み込んでおり、特に好ましい態様では、シクロオレフィンコポリマーはノルボルネンおよびエチレンの残基から本質的になる。ノルボルネン含有率の適した範囲は約10〜約70モル%であり、エチレン含有率の適した範囲は約30〜約90モル%である。ノルボルネン含有率の範囲が約25〜約45モル%であり、エチレン含有率の範囲が約55〜約75モル%であるのが好ましい。
【0015】
スチレン−ブタジエン層は少なくとも約50重量%のスチレン、約5〜約50重量%のブタジエン、および任意に10重量%以下の他のポリマー成分から本質的になりうる。好ましいスチレン−ブタジエンコポリマーはスチレンおよびブタジエンの残基からなる。スチレン含有率の一般的な範囲は約60〜約90重量%であり、ブタジエンの含有率の一般的な範囲は約10〜約40重量%である。より好ましくは、スチレンは約70〜約80重量%で存在し、ブタジエンは約20〜約30重量%で存在する。
【0016】
いくつかの態様では、シクロオレフィン層はスチレン−ブタジエン層より少なくとも4倍厚く、好ましくは少なくとも6倍厚い。5〜15倍より厚いのが適している。1つの好ましい態様は、フィルムが3層フィルムであり、シクロオレフィン層が2つのスチレン−ブタジエン層の間にある。第1および第3の層は環状オレフィンを実質的に含まず、第2の層はスチレン−ブタジエンコポリマーを実質的に含まない。スチレン−ブタジエン層は同時押出しによってシクロオレフィン層へ溶融結合されるのが好ましいが、層は貼り合わせによって結合されてもよい。さらに別の態様では、シクロオレフィン層はSBC層より薄い。一般的な構造には125μmSBC/50μmCOP層/125μmSBCの層状複合体を含んで適当な包装特性を提供してもよい。本発明のフィルムでは、スチレン−ブタジエンおよびシクロオレフィンの結合層は少なくとも約0.5 lbf/inの剥離接着値を示す。さらに好ましくは、層は少なくとも約1.0 lbf/inの剥離接着値を示す。本発明によって製造されるフィルムの補正曇り値は、フィルムの厚さが305μmのとき約5%未満である。
【0017】
本発明のさらに別の特徴では、1つ以上の半球形容器部分を定める熱成形シートを有するブリスター包装を提供し、ブリスターシートは、シクロオレフィン層へ溶融結合されたスチレン−ブタジエン層を含む多層フィルムから熱成形される。容器部分は、医薬品、医療品、ビタミン剤、栄養サプリメント、またはミント、ガム等を含む糖菓を一般的に含む錠剤、カプセル、ピル、キャプレット等を一般に含有する。ブリスターシートはまた、基層、シーラント層およびブリスターシートを含む薬剤包装にも用いうる。
【0018】
本発明ではまた、スチレン−ブタジエン層がシクロオレフィン層へ直接溶融結合されるように、スチレン−ブタジエンブロックコポリマー層およびシクロオレフィン層を同時押出しすることによって多層フィルムを製造する方法も提供する。ここでまた、スチレン−ブタジエン層は少なくとも約50重量%のスチレン、約5〜約50重量%のブタジエン、および任意に10重量%以下の他のポリマー成分から本質的になる。シクロオレフィン層はまたシクロオレフィンコポリマーから本質的になっていてもよい。一般に、シクロオレフィンは約255〜約275℃のポリマー出口温度で押出され、そしてスチレン−ブタジエン層は約210〜約230℃のポリマー出口温度でを押出される。
【0019】
本発明のフィルムは効果的な防塵および/または防湿層として包装に用いることができる。フィルムの第1および第3の層にスチレン−ブタジエンコポリマーを用いると、フィルムは実質的に透明で、すぐれた光学的性質を有し、耐衝撃性および耐久性となることができる。スチレン−ブタジエンコポリマーを用いるとまた、フィルムは効率的に加工でき、快い触感となり、そしてフィルムの製造コストを下げる低温での熱成形が可能となる。スチレン−ブタジエンコポリマーは低密度であるため、フィルムは競合するハロゲン含有フィルムと比べてフィルム収率が35%有利になる。スチレン−ブタジエンコポリマーは低密度であるため、比較フィルムと同じ重量でより多量の本発明のフィルムを購入することができる。
【0020】
ハロゲンを含まないが、包装に用いるとき、本発明のフィルムは包装に水分が入り込むのを実質的に防止する。さらに、フィルムがハロゲンを含まないので、ハロゲン含有フィルムの製造および廃棄に伴う環境を害する要因となる可能性が少なくなる。第2層の環状オレフィンがスチレン−ブタジエンコポリマーを含む第1および第3層の間に挟まれているので、フィルムは油、有機およびアルカリ性溶媒、および熱との接触時に耐崩壊性でもある。
【0021】
本発明の薬剤包装は、本発明のフィルムを薬剤包装のブリスターに組み込んでいるため、医薬品をほこりおよび/または水分から効果的に保護する。薬剤包装は、ハロゲンを含有しないフィルムを含むので、フィルムのような薬剤包装はハロゲンに伴う環境汚染なしで製造することができる。また、フィルムは油または有機溶媒との接触時に耐崩壊性であるので、損傷なく消費者は薬剤包装を扱うことができる。
【0022】
本発明のさらに別の態様では、複合材料はスチレン−ブタジエンコポリマー層へ直接溶融結合されたシクロオレフィンコポリマー層を含む。
本発明のさらなる特徴および利点は以下の議論から明らかになる。
【0023】
詳細な説明
本発明を様々な実施例および添付図面を参照して以下に詳しく説明する。これらの図において同じ数字は同様な部分を示す。請求項に記載の本発明の精神および範囲内での個々の実施例の変更は、本技術分野における当業者にとって容易であろう。
【0024】
断りがなければ、用語はそれらの通常の意味と解釈すべきである。次に明細書および請求項に用いられるいくつかの用語の代表的な定義を示す。
用語「フィルム」および「シート」は互換可能なものとして用いられる。シートは、いくつかの場合には100ミクロン未満のフィルムを指すのに用いうる。「ミル」はインチの1000分の1を指し、フィルムの厚さを指す。
【0025】
ここで用いるように、「直接溶融結合される」という語句は、問題のフィルム層を目的のフィルム層へ、間に結合層、接着剤または他の層なしで施すことと定義され、ここで、層は溶融または部分的軟化状態のときに互いに接着する。一般に、層はそれらの溶融状態で共に結合される。問題の層は同時押出し法または貼り合わせ法によってさらなる層へ溶融結合されうる。本発明のフィルムの層は0.5 lbf/inを越える内層剥離接着強さを一般に示す。
【0026】
ここで用いるように、「多層」とは2つ以上の層を指し、順序または組み合わせはどのようなものでもよい。
層の間の剥離接着強さは、180度の剥離接着強さの測定に用いられるASTM D903の変形法を用いて試験した。試験では、硬質部材を上部ジョーに置き、軟質部材を180°に曲げ、下部ジョーに保持する。断りがなければ、試験は、試験速度12ipm、剥離開始伸び1インチ、および剥離終了伸び6インチにて、0.591インチ(15mm)幅の試料で行う。一般に、本発明により製造されるフィルムは0.2 lbf/inより大、好ましくは0.5 lbf/inより大、さらに好ましくは1 lbf/inより大の剥離強さを示す。ピーク剥離強さは、単位幅当たりの測定負荷の最高値である。
【0027】
透明材料を通過する光の散乱値である光学的曇り度は、ASTM D1003により測定される。以下の実施例では、分光光度計を用いて、ASTM D1003の手順Bに示す曇り値を測定した。本発明のフィルムは一般に9%未満、より好ましくは5%未満、最も好ましくは3.5%未満の相関曇り度を示す。
【0028】
ASTM F−1249によって測定される水蒸気透過度は、柔軟なバリヤー材料、すなわち本発明のフィルム(20)を通過する水蒸気透過度である。この方法は厚さが約3mm以下のフィルムに適用しうる。
【0029】
ASTM D1003によって測定される光透過度は、試料、すなわち本発明のフィルム(20)を通過する光の量である。
【0030】
SBCとここで時には呼ばれる「スチレン−ブタジエンコポリマー」は、スチレンモノマーおよびブタジエンモノマーを含む周知のコポリマーである。ここで用いられる「ブロックコポリマー」は、鎖中で共に結合した2つ以上の異なる多原子単位の反復配列を含むポリマーを指す。従って、スチレン−ブタジエンブロックコポリマーは、ポリ(スチレン−b−ブタジエン−b−スチレン)で表すことができる構造を一般に有する。スチレン−ブタジエンブロックコポリマーは、アルキルリチウム開始剤を用いる陰イオン重合技術を用いて一般に製造される。スチレン−ブタジエンブロックコポリマーの製造はスチレンおよびブタジエンモノマーの重合を主として促進するが、追加のカップリング剤を少量でポリマー鎖内に差し挟んでもよい。許容されるカップリング剤の例は、アルコール、オルガノハロゲン、エステル、クロロシラン、およびジビニルベンゼンである。米国特許第4,086,298号(参照することによって全てここに記載されたものとする)には、スチレン−ブタジエンブロックコポリマーおよびそれらの製造法の例が開示されている。スチレン−ブタジエンブロックコポリマーは商業的に入手することができる;本発明で用いるのに許容されるSBCブロックコポリマーには、BASF社製造のStyrolux(登録商標)684D、Styrolux(登録商標)3G55およびStyrolux(登録商標)3G33が含まれる。次表にいくつかのStyroluxコポリマーの性質を挙げる:
Styrolux(登録商標)3G33および684Dの性質
【0031】
【表1】

【0032】
Styrolux(登録商標)3G55Q420の性質
【0033】
【表2】

【0034】
他の商業的に入手しうるスチレン−ブタジエンコポリマーには、Kraton(登録商標)D−1401P(シェル・ケミカルズ)およびAsaflex(アサヒ・ケミカル)が含まれる。
【0035】
一般に、スチレン−ブタジエンコポリマーは、少なくとも50重量%のスチレン、5〜50重量%のブタジエン、および10重量%以下の追加ポリマーを含む。さらに一般的には、スチレン−ブタジエンコポリマーは、スチレン−ブタジエンコポリマー100重量部当たり、60〜90重量部、最も一般的には70〜80重量部のスチレンを含む。また、スチレン−ブタジエンコポリマーは、スチレン−ブタジエンコポリマー100重量部当たり、10〜40重量部、最も一般的には20〜30重量部のブタジエンを含む。ブタジエンは1,3−ブタジエンを含むのが最も好ましい。しかしながら、本技術分野で公知のどのようなブタジエンも含めうる。
【0036】
スチレンブタジエンコポリマーのメルトフロー比は、ASTM D−1238により測定して、200℃/5kgで、好ましくは5〜20、より好ましくは8〜17、最も好ましくは10〜15g/10分である。メルトフロー比は、定期測定した際の、溶融スチレンブタジエンコポリマーがバレルの温度、負荷およびピストン位置の所定条件下で特定長さおよび直径のダイを通り抜ける押出し速度である。スチレンブタジエンコポリマーのビカー軟化温度はまた、ASTM D−1525により測定して、120℃/時間、10Nにて、55〜100℃、より好ましくは60〜95℃、最も好ましくは65〜90℃である。
【0037】
ここでCOP樹脂としてひとまとめに呼ばれる有用なシクロオレフィンコポリマーは本技術分野で公知である。例えば、米国特許第6,068,936号(譲り受け人:チコナ社)および米国特許第5,912,070号(譲り受け人:三井化学社)には、いくつかのシクロオレフィンコポリマーが開示されている(参照することによって全てここに記載されたものとする)。シクロオレフィンコポリマーはさらに下記のシクロオレフィンモノマーおよびアクリルオレフィンモノマーを含む。
【0038】
シクロオレフィンはモノまたはポリ不飽和多環式環系、例えばシクロアルケン、ビシクロアルケン、トリシクロアルケンまたはテトラシクロアルケンである。環系はモノ置換またはポリ置換されていてもよい。本発明のある態様では、環状オレフィンは一般構造:
【0039】
【化1】

【0040】
(式中、
およびRのそれぞれは独立して水素および炭化水素の1つを含み;そして
xおよびyは独立して10以下の整数を含む)
を含むのが好ましい。本発明の別の態様では、環状オレフィンは少なくとも1つのペンダント有機基を含む。ペンダント有機基は、限定されないが、アルコール、アミン、カルボニル、エーテル、炭化水素、ニトリル、スルフィド、およびそれらの組み合わせを含むのが好ましい。さらに、本発明の別の態様では、環状オレフィンは一般構造:
【0041】
【化2】

【0042】
(式中、
〜R14のそれぞれは独立してアリール基、アルキル基、ハロゲン、水素、およびそれらの組み合わせを含む化合物の1つを含み;そしてnは10以下の整数を含む)
の1つから選択される。R〜R14のそれぞれは同じでも異なっていてもよいと解する。R〜R14の1つがアリール基を含むならば、アリール基は6〜20の炭素原子を含むのが好ましい。また、R〜R14の1つがアルキル基を含むならば、アルキル基は1〜20の炭素原子を含むのが好ましい。適した環状オレフィンの例は、限定されないが、ノルボルネン、ジメチルオクタヒドロ−ナフタレン、シクロペンテン、(5−メチル)ノルボルネン、およびそれらの組み合わせである。環状オレフィンがノルボルネンであるのが最も好ましい。説明のためだけであるが、ノルボルネンの化学構造を以下に示す。
【0043】
【化3】

【0044】
シクロオレフィンは式I、II、III、IV、VまたはVI、あるいは式VIIでも表される:
【0045】
【化4】

【0046】
(式中、R15〜R22は同じまたは異なり、H、C−C20−アリールもしくはC−C20−アルキル基またはハロゲン原子であり、nは2〜10の数である)。そのような環状オレフィンモノマーの例は、ノルボルネン、ジメチルオクタヒドロ−ナフタレン、シクロペンテン、(5−メチル)ノルボルネン等、またはそれらの組み合わせである。これらのモノマーはホモポリマーCOPに製造しても、あるいは架橋剤または単にコモノマーと一般に呼ばれる非環式コモノマーと共に重合してもよい。フィルム(20)の第2層(26)が環状オレフィンコポリマーおよびコモノマーを含むならば、コモノマーは、アルカン、アルケン、アルキン、およびそれらの混合物よりなる群から選択されるのが好ましい。上記シクロオレフィンと重合しうる適した非環式オレフィンモノマーの例は、エチレン、プロピレン、ブチレン等、またはそれらの混合物である。好ましい環式オレフィンはノルボルネンであり、それとの反応のための好ましい非環式オレフィンはエチレンである。環式オレフィンコポリマーがノルボルネンであるならば、ノルボルネンは、好ましくは10〜70モル%、より好ましくは25〜45モル%の量で含まれるのが好ましい。非環式オレフィンコポリマーがエチレンであるならば、エチレンは、好ましくは30〜90モル%、より好ましくは55〜75モル%の量で含まれるのが好ましい。しかしながら、ノルボルネンおよびエチレンはどのような量で含まれていてもよいと考えられる。
【0047】
シクロオレフィンコポリマーは商業的に入手でき、受け入れられるコポリマーには、チコナ社のTopas(登録商標)8007F04、ケンタッキー州ルイスビルのゼオン社製造のZeonex(登録商標)、、日本国東京のJSR社のArton(登録商標)、および日本国東京の三井石油化学工業の製品が含まれる。最も好ましいのは、約36モル%のノルボルネンおよび残余のエチレンを含むTopas(登録商標)8007F04である。
【0048】
シクロオレフィンポリマーは遷移金属触媒、例えばメタロセンの助けで製造することができる。適した製造法は知られており、例えば、DD−A−109 225、EP−A−0 407 870、EP−A−0 485 893、米国特許第6,489,016号、第6,008,298号、第6,608,936号、および第5,912,070号(参照することによって全てここに記載されたものとする)に記載されている。製造中の分子量調節は水素を用いると有利に行うことができる。適した分子量は選択される触媒および反応条件により定めてもよい。これについての詳細は上記明細書に記載されている。
【0049】
本発明のフィルムは、例えば、同時押出し技術によって製造しうる。同時押出しは、(1)2つ以上の押出し機(各樹脂用)から異なるポリマー溶融流を押出しダイの前の組み合わせブロックに導入すること;あるいは(2)マルチマニホールドダイを用いて溶融流をダイ内に共にもたらすことのいずれかによって行うことができる。マルチマニホールドダイは、各層用の個々のマニホールドを有するダイである。通常、個々のマニホールドは、ダイの内側または外側で他の層と組み合わせる前に、ポリマー層を均一に分配するように設計されている。一般に、マルチマニホールドダイはフラットまたは環状である。本発明のフィルムに含まれる層を溶融結合する別の適した方法は貼り合わせである。多層フィルムは、少なくとも1つのポリマー層を別のポリマー層に重ね、熱を加えながら層を一緒に結合することによって貼り合わせることができる。
【0050】
本発明により製造される多層フィルムは2つ以上の層を含んでいてもよく、そして様々なパターンで配列されてもよい。例えば、Aがスチレン−ブタジエンコポリマーであり、Bがシクロオレフィンコポリマーである場合、可能な態様にはA/B/A、B/A/B、B/AおよびA/B/A/B/Aが含まれる。COP層は、SBC層の間にコア層を含むのが好ましい。SBCは快い触感を有するので、外層としてより適している。本発明はまた、どのような厚さの層を有するフィルムも包含する。しかしながら、シクロオレフィン層の厚さは200〜280μm、スチレン−ブタジエン層の厚さは10〜50μmであるのが好ましい。ブリスター包装シートには全体の厚さが約200〜400ミクロンのフィルムが特に適している。
【0051】
本発明のある態様では、フィルム(20)は、図1〜4に示すように、第1、第2および第3の層(24、26、28)を含む3層を有する。詳しくは、第1層(24)はスチレンブタジエンコポリマーを含み、そしてまた環状オレフィンを実質的に含まない。第1層(24)は、第1層(24)百万部当たり、好ましくは10,000部未満、より好ましくは5,000部未満、さらにより好ましくは1,000部未満の環状オレフィンを有する。第1層(24)は環状オレフィンを全く含まないのが特に好ましい。第3層(28)は第1層(24)と同様の組成である。第2層(26)は環状オレフィンを含み、これは、環状オレフィンを油または有機溶媒と接触すると生じうる崩壊から保護するように第1層(24)と第3層(28)との間に挟まれている。第2層(26)はスチレンブタジエンコポリマーを実質的に含まず、スチレンブタジエンコポリマーは、第2層(26)百万部当たり、好ましくは10,000部未満、より好ましくは5,000部未満、さらにより好ましくは1,000部未満である。第2層(26)はスチレンブタジエンコポリマーを全く含まないのが特に好ましい。
【0052】
第1層の厚さははどのようなものも考えられる。しかしながら、第1層(24)の厚さは、好ましくは約13〜約305μm、より好ましくは約25〜約205μm、最も好ましくは約25〜約150μmである。同様の厚さが第3層の場合に考えられる。第1層(24)の厚さはフィルム(20)の光の透過率および曇り度の両方に寄与する。第2層(26)の厚さはも、好ましくは約25〜約250μm、より好ましくは約75〜約205μm、最も好ましくは約125〜約250μmである。第2層(26)の厚さは、環状オレフィン自体と共に、水分がフィルム(20)を通り抜けるのを妨げるフィルム(20)の効果およびフィルムが低い水蒸気透過度を有することに寄与する。このことは、製品が水分に敏感な薬剤包装のような特定の包装用途では特に重要である。第2層(26)の厚さははどのようなものも考えられる。しかしながら、第2層(26)は、第1層(24)および第3層(28)個々よりも好ましくは約4倍、より好ましくは約6倍厚い。
【0053】
本発明のフィルムがハロゲンを実質的に含まないのが好ましいことに注目すべきである。フィルム中のハロゲンは、フィルム(20)百万部当たり、好ましくは5,000部未満、より好ましくは900部未満、最も好ましくは100部未満である。
【0054】
本発明で製造されるフィルムは、接着剤または結合層の助けなしで、すぐれた層間接着性を示す予想外の利点を有する。結合層がないことにはいくつかの理由で有利である。多層フィルムは、接着剤またはタイ材料および関連装置の追加コストなしで製造することがより容易である。結合層はまたフィルムの光学的性質に悪影響を及ぼしうる。さらに、結合層がないことは、より低い押出し能力で製造業者が本発明による多層フィルムを製造することを可能にする。例えば、3層の最大押出し能力を有する装置は、押出し機の能力が結合層の製造に利用されないので、本発明の3層SBC/COP/SBCフィルムを製造することができる。フィルムは予想外に高い剥離接着値を示す。
【0055】
フィルム(20)はまた、図2〜4に示すように、第1および第2層(24、26)および/または第2および第3層(26,28)の間に配置された中間層(30)を含んでいてもよい。含んでいるならば、中間層(30)は、限定されないが、ナイロン、エチルビニルアルコール、ポリオレフィン、例えば、限定されないが、ポリエチレンおよびポリプロピレン、ポリエステル、紙、およびそれらの組み合わせを含んでいてもよい。フィルム(20)はまた、図4に示すように、第2および第3層(26,28)の間に配置された第2中間層(32)を含んでいてもよい。第2中間層(32)を含んでいるならば、第2中間層(32)は中間層(30)と同じであるのが好ましい。特定の中間層(30、32)を用いる場合、結合層が必要であるかもしれない。フィルム(20)が結合層をもたないならば、フィルム(20)は低コストかつより少ない原料で製造することができる。
【0056】
本発明では、SBC/COPフィルムが、他の成分層を含む多層フィルム、ラミネートまたは複合材に組み込まれることも考えられる。受け入れられる層には、ポリオレフィン、例えばC−C40α−オレフィンのホモポリマーまたはコポリマー;極性ポリマー、例えばエステル、アミド、アセテートおよび無水物のホモポリマーまたはコポリマー;並びに他の層、例えば紙、厚紙、クラフト紙、木材、金属、金属箔、金属化表面、ガラス、布地、他の繊維、およびインク、染料等のような下塗り層で被覆された表面が含まれる。添加剤を本発明におけるフィルム中の1つ以上の層に加えうることも本技術分野における当業者には明らかであろう。受け入れられる添加剤には、潤滑剤、染料、顔料、酸化防止剤、充填材、加工助剤、UV安定剤、中和剤、粘着防止剤等が含まれる;添加剤は、フィルムの基本で新規な特性、すなわち、良好な剥離強さおよび光学的透明度を変えないレベルで用いられる。
【0057】
本発明により製造される多層フィルムは、容器および包装構造を製造する熱成形法で扱いやすい。「熱成形」、「熱成形された」および類似用語は同様にその通常の意味を有する。最も簡単な形では、熱成形は軟化シートを成形型上でドレープ成形することによって行われる。より進んだ形では、熱成形は、温度が正確に調節されたシートを空気圧で動く成形ステーションに自動的に高速で配置し、それによって、物品の形が型で定められ、その後、本技術分野で周知のようにトリミングおよびリグラインド収集することである。さらに別の配列には、ドレープ、真空、圧力、フリーブローイング、マッチドダイ、ビロードレープ、真空スナップバック、ビロー真空、プラグアシスト真空、プラグアシストでのリバースドロー、圧力バブル浸漬、トラップトシート、スリップ、ダイヤフラム、ツインシートカットシート、ツインシートロール供給成形、またはこれらの適した組み合わせの使用が含まれる。詳細はCoulthardによる1987年発行のJ.L.Throneの著書「Thermoforming」に記載されている。この本の第21〜29頁を参照することによってここに記載されたものとする。好適な別の配列には、2枚の熱で軟化されたシートの間に空気正圧をつくり、それらをクランプされた雄/雌型システムにインフレートして中空製品を作るピロ−成形技術がある。金属型は、ナチュラルなまたは粒状表面模様に似せるために細かいないし粗いパターンに腐蝕させる。好適な成形物品は抜型でまっすぐにトリミングし、そして材料は熱可塑性であるのでリグラインドを再び使用してもよい。生産性を高める他の配列には、処理量を最大にし、スクラップを最少にするために、多数のダイで多数の物品を同時成形することが含まれる。
【0058】
好ましくは、第1、第2および第3層(24、26、28)を形成するために、スチレンブタジエンコポリマーおよび環状オレフィンは、1軸押出し機でもよい押出し機へ導入する。最も好ましくは、スチレンブタジエンコポリマーおよび環状オレフィンは、第1および第2押出し機の2つのインフィードホッパーに導入する。第1押出し機は、第1および第3層(24、28)のためのスチレンブタジエンコポリマーを扱い、第2押出し機は、第2層(26)のための環状オレフィンを扱う。第1および第2押出し機はスチレンブタジエンコポリマーおよび環状オレフィンをそれぞれ溶融し、可塑化するのが好ましい。
【0059】
好ましくは、第1層(24)を形成する工程には第1層(24)を押出すことが含まれる。また、好ましくは、、第2層(26)を形成する工程には第2層(26)を押出すことが含まれる。さらに、第3層(28)を形成する工程には第3層(28)を押し出すことが含まれることが好ましい。最も好ましくは、第1、第2および第3層(24、26、28)は同時に押出される。しかしながら、第1、第2および第3層(24、26、28)はどのような順序および異なる時間で押出されてもよい。第1、第2および第3層(24、26、28)は同時押出しされ、第1、第2および第3層(24、26、28)のブレンドがないのが好ましい。第1、第2および第3層(24、26、28)がこの態様において何かの方法でブレンドされるならば、フィルム(20)は防湿性の欠如および収縮のような望ましくない性質をたぶん示すだろう。
【0060】
第1および第2押出し機は、スチレンブタジエンコポリマーおよび環状オレフィン2つの別の流れをそれぞれ形成するのが最も好ましい。第1および第2押出し機は1つの温度帯域を含むのが好ましい。しかしながら、第1および第2押出し機は2つ以上の温度帯域を含んでもよい。温度帯域はどのような温度に加熱されてもよいが、第1および第2押出し機の温度帯域は175〜220℃の温度に加熱されるのが好ましい。
【0061】
第1および第2押出し機からの流れは単一マニホールド押出しダイまたはマルチマニホールド同時押出しダイへ供給されて、フィルム(20)の第1、第2および第3層(24、26、28)を形成するのが好ましい。同時押出しダイでは、第1、第2および第3層(24、26、28)は並置され、結合し、同時押出しダイから本発明のフィルム(20)として現れる。しかしながら、フィルム(20)はフィードブロック技術を利用する単一マニホールド押出しダイを用いて形成することもできる。
【0062】
第1、第2および第3層(24、26、28)を共に溶融結合しうることがさらに考えられる。溶融結合には、対象フィルム層を目的フィルム層へ直接付与し、対象および目的フィルム層両者を部分的に軟化したまたは溶融した状態にすることが含まれる。適した溶融結合技術には本技術分野で公知の貼り合わせ技術が含まれる。
【0063】
ダイを出た後、フィルム(20)は第1調整温度キャスティングロール上にキャストされ、その周りを通過するのが好ましい。次に、フィルム(20)は第1調整温度キャスティングロールより通常は冷たい第2調整温度キャスティングロール上を通過するのが好ましい。第1および第2調整温度キャスティングロールは、フィルム(20)が同時押出しダイを出た後、その冷却速度を主に調節する。追加の調整温度キャスティングロールを用いてもよい。
【0064】
本発明のフィルムまたはシートを利用する別の方法はブロー成形であり、そこでは、本発明の多層フィルムを組み込んでいるホットパリソンを、一般には圧縮空気または他の圧縮ガスを用いて、型の表面に対して膨張させる。本発明のフィルムまたはシートを用いる製品は押出しブロー成形によって製造することもできる。押出しブロー成形は、パリソンを押出しによって製造する標準的なブロー成形技術を用いる。
【0065】
本発明の多層構造は、水分、溶媒、微生物、酸素、および他の気体に対するすぐれた透過バリヤーであり、従って、試料容器を含めた医学的または生物学的バリヤー;食品接触用途、特に食品包装;および本技術分野における当業者に明らかな一般的な目的のバリヤーに適している。本発明の複合材の光学的性質は、複合材を通しての目視検査または光学的特性決定が重要である用途において特に望ましい。
【0066】
フィルムの剥離強さは、ASTM D−903により測定して、好ましくは0.5 lbs/inより大、より好ましくは1.0 lbs/inより大、最も好ましくは1.5 lbs/inより大である。フィルム(20)が示す0.5 lbs/inより大の剥離強さは、フィルム(20)の第1、第2および第3層(24、26、28)が容易に引き離されないことを示しているので望ましい値である。
【0067】
フィルム(20)の水蒸気透過度の測定には、バリヤー材料、すなわち、フィルム(20)を24時間にわたって通過する水蒸気量の測定が含まれる。フィルム(20)の水蒸気透過度は、ASTM F−1249により測定して、好ましくは0.20〜5.00g/m/24時間、より好ましくは0.20〜3.00g/m/24時間、最も好ましくは0.20〜0.50g/m/24時間である。
【0068】
さらに、フィルム(20)の密度は、好ましくは0.95〜1.05g/cm、より好ましくは0.98〜1.03g/cm、最も好ましくは1.00〜1.02g/cmである。フィルムの密度が低いため、フィルムは競合するハロゲン含有フィルムと比べてフィルム収率が35%有利になる。フィルムが低密度であることは、フィルム(20)の第1および第3層(24、28)に含まれるスチレンブタジエンコポリマー、並びにフィルム(20)の第2層(26)に含まれる環状オレフィンによると考えられる。スチレン−ブタジエンコポリマーが低密度であるため、比較フィルムと同じ重量でより多量の本発明のフィルム(20)を購入することができる。
【0069】
図5〜9を特に参照して、本発明の好ましい態様による薬剤包装(22)についてさらに詳しく説明する。上で最初に紹介したように、本発明のフィルム(20)を用いて薬剤包装(22)中にブリスター(38)を形成し、薬剤包装(22)の内容物を密閉すると、内容物をほこりおよび/または水分から保護することができる。
【0070】
薬剤包装(22)は、薬剤包装(22)の底を提供する基層(34)を含む。蓋の層としても知られる基層(34)は、アルミニウム、紙、厚紙、木材、ガラス、布地、ポリエステル、およびそれらの組み合わせよりなる群から選択される材料を含む。基層はアルミニウムを含むのが好ましい。一般に、アルミニウムが基層(34)に含まれるならば、アルミニウムは、紙と組み合わせた、ナイロンと組み合わせた、および/または紙、ナイロンおよびポリエステルと組み合わせた硬質アルミニウム、軟質アルミニウムでもよい。
【0071】
図5〜9を引き続き参照する。薬剤包装(22)はまた、基層(34)とブリスター(38)の間の接着剤として働くのが好ましい基層上に配置されたシーラント層(36)を含む。本発明では、シーラント層(36)は基層(34)と直接接していなければならいことはない。しかしながら、シーラント層(36)は基層(34)と接して配置され得るものと考えられている。
【0072】
シーラント層(36)は、基層(34)、およびシーラント層(36)上に配置された他の層のいずれとも化学的に適合性であって、薬剤包装(22)の層間の接着を確実に最高にするのが好ましい。シーラント層(36)は、限定されないが、変性ポリオレフィン、アルキレン、スチレン、アクリル酸、アルキルアクリル酸、アクリレートおよびアルキルアクリレートよりなる群から選択される化合物のコポリマー、並びにそれらの組み合わせを含みうる。
【0073】
シーラント層(36)に用いるのに適した変性ポリオレフィンは、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1,4−メチルペンテン−1、オクテン−1、およびそれらの組み合わせのような2〜40の炭素原子を有するα−オレフィンのホモポリマーまたはコポリマーを含むオレフィンから製造しうる。シーラント層(36)に用いるのに適した変性ポリオレフィンの1つの例は、少なくとも1つの官能部分を有する官能化オレフィンである。
【0074】
適した官能部分の例は、限定されないが、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物、アミン、エポキシド、およびそれらの組み合わせである。官能性オレフィンに用いうる不飽和カルボン酸および無水物には、限定されないが、マレイン酸および無水物、フマル酸および無水物、クロトン酸および無水物、シトラコン酸および無水物、イタコン酸および無水物、およびそれらの組み合わせが含まれる。官能性オレフィンに用いうる適したアミンには、限定されないが、脂肪族または芳香族アミン、第1、第2および第3アミン、例えば2,4,6−トリブロモアニリン、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ジメチルアミン、N−メチルアニリン、エチルメチルアミン、2−(N−メチルアミン)ヘプタン、sec−ブチルジメチルアミン、N−エチル−N−メチルアニリン、トリメチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、およびそれらの組み合わせが含まれる。官能性オレフィンに用いうる適したエポキシドには、限定されないが、2〜20の炭素原子を有するものが含まれる。本技術分野における当業者であれば、望ましい性質、経済性および入手可能性に基づいて適したシーラント層(36)を選択するであろう。
【0075】
図5〜9を引き続き参照する。薬剤包装(22)はまた、シーラント層(36)上に配置され、そして本発明のフィルム(20)から形成されたブリスター(38)を含む。本発明では、ブリスター(38)はシーラント層(36)と直接接していなければならないことはない。しかしながら、ブリスター(38)はシーラント層(36)と接して配置され得ると考えられている。
【0076】
ブリスター(38)は、ブリスター(38)が外面、内面およびキャビティを有するように、本発明のフィルム(20)から熱成形または成形されるのが好ましい。ブリスター(38)はどのような望ましい形であってもよい。ブリスター(38)は長方形または半球形に形成されるのが好ましい。図5〜9では、ブリスター(38)はフィルムの層(24、26,28)で示される。しかしながら、本発明の全ての図および態様において、ブリスター(38)はフィルム(20)の第1および第2中間層(30、32)を含んでいてもよい。ブリスター(38)が形成された後、錠剤またはカプセルのような医薬品(48)がブリスター(38)内、すなわち、キャビティ内に好ましくは配置され、そしてブリスター(38)は密閉されるのが好ましい。しかしながら、ブリスター(38)が形成された後、非医薬品、限定されないが、例えば栄養サプリメント、ビタミン剤、食品、およびそれらの組み合わせがブリスター(38)内に配置されうることも考えられる。また、医薬品(48)がブリスター(38)内に配置されるならば、医薬品がブリスター(38)内を移動できる、ブリスター(38)によって定められる空間があるのが好ましい。
【0077】
薬剤包装(22)はまた、基層(34)上に配置され、そして基層(34)をラッカー層(40)とシーラント層(36)の間にはさむ、ラッカー層(40)をさらに含む。ラッカー層(40)は薬剤包装(22)上の印刷情報用の表面として用いうる。ラッカー層(40)は印刷に用いられるインクと適合性であって、インクのラッカー層(40)への接着を容易にして、薬剤包装(22)の製造コストを減じるのが好ましい。ラッカー層(40)は色がついていてもよい。しかしながら、この技術分野で公知のどのようなラッカー層も用いうる。
【0078】
薬剤包装(22)はまた内層(42)を含んでいてもよい。内層(42)は薬剤包装のどこに配置されてもよい。しかしながら、ある態様では、内層(42)はラッカー層(40)と基層(34)の間に配置されるのが好ましい。別の態様では、内層(42)は基層(34)とシーラント層(36)の間に配置されるのが好ましい。さらに別の態様では、内層(42)はシーラント層(36)とブリスター(38)の間に配置されるのが好ましい。薬剤包装(22)が第2および第3内層(44、46)を含みうることは理解すべきである。第2および/または第3内層(44、46)が含まれるならば、第2および/または第3内層(44、46)は内層(42)と同じであるのが好ましい。しかしながら、第2および/または第3内層(44、46)は内層(42)と異なっていてもよい。
【0079】
第2および/または第3内層(44、46)に加えて、薬剤包装(22)に内層(42)が含まれるならば、内層(42)はアルコール、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリスチレン、アクリル、ポリウレタン、およびそれらの組み合わせよりなる群から選択される材料を含むのが好ましい。内層(42)に用いるのに適したアルコールには、限定されないが、アルキルビニルアルコールが含まれる。アルコールが内層(42)に用いられるならば、アルコールはエチルビニルアルコールが好ましい。内層(42)に用いるのに適したポリアミドには、限定されないが、ポリアミドホモポリマー、コポリマー、およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0080】
有用なポリアミドホモポリマーには、限定されないが、ポリ(4−アミノ酪酸)(ナイロン4)、ポリ(6−アミノへキサン酸)(ナイロン6、ポリ(カプロラクタム)としても知られている)、ポリ(7−アミノヘプタン酸)(ナイロン7)、ポリ(8−アミノオクタン酸)(ナイロン8)、ポリ(9−アミノノナン酸)(ナイロン9)、ポリ(10−アミノデカン酸)(ナイロン10)、ポリ(11−アミノウンデカン酸)(ナイロン11)、ポリ(12−アミノドデカン酸)(ナイロン12)が含まれる。有用なポリアミドコポリマーには、ナイロン4,6、ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)(ナイロン6,6)、ポリ(ヘキサメチレンセバシンアミド)(ナイロン6,10)、ポリ(ヘプタメチレンピメラミド)(ナイロン7,7)、ポリ(オクタメチレンスベラミド)(ナイロン8,8)、ポリ(ヘキサメチレンアゼラミド)(ナイロン6,9)、ポリ(ノナメチレンアゼラミド)(ナイロン9,9)、ポリ(デカメチレンアゼラミド)(ナイロン10,9)、ポリ(テトラメチレンジアミン−コ−シュウ酸)(ナイロン4,2)、n−ドデカン二酸およびヘキサメチレンジアミンのポリアミド(ナイロン6,12)、ドデカメチレンジアミンおよびn−ドデカン二酸のポリアミド(ナイロン12,12)、およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0081】
有用なポリアミドコポリマーには、カプロラクタム/ヘキサメチエレンアジパミドコポリマー(ナイロン6,6/6)、ヘキサメチエレンアジパミド/カプロラクタムコポリマー(ナイロン6/6,6)、トリメチレンアジパミド/ヘキサメチレンアゼラインアミドコポリマー(ナイロントリメチル6,2/6,2)、ヘキサメチレンアジパミド−ヘキサメチレンアゼラインアミドカプロラクタムコポリマー(ナイロン6,6/6,9/6)、ポリ(テトラメチレン−ジアミン−コ−イソフタル酸)(ナイロン4、I)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ナイロン6,I)ヘキサメチレンアジパミド/ヘキサメチレン−イソフタルアミド)(ナイロン6,6/6I)、ヘキサメチレンアジパミド/ヘキサメチレンテレフタルアミド)(ナイロン6,6/6T)、ポリ(2,2,2−トリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド)、ポリ(m−キシレンアジパミド)(MXD6)、ポリ(p−キシレンアジパミド)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ポリ(ドデカメチレンテレフタルアミド)、ポリアミド6T/6I、ポリアミド6/MXDT/I)、ポリアミドMXDI、およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0082】
適したポリオレフィンの例は、限定されないが、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、線状中密度ポリエチレン、線状の非常に低密度のポリエチレン、線状超低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、メタロセン、およびそれらの組み合わせである。他の適したポリオレフィンの例は、限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリブテン−1、ポリペンテン−1、ポリ−3−メチルブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリヘキセン、ポリオレフィンのコポリマー、オレフィンのコポリマー、およびそれらの組み合わせである。内層(42)に用いるのに適したポリエステルの例は、限定されないが、ポリエチレンテレフタレート、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート、およびそれらの組み合わせである。
【0083】
基層(34)、シーラント層(36)、ラッカー層(40)、内層(42、44、46)、およびブリスター(38)を含む薬剤包装(22)の各層は、本技術分野における当業者に周知の1種以上の一般的な添加剤を含有していてもよい。そのような添加剤の使用は、薬剤包装(22)の形成の強化に望ましいかもしれない。そのような添加剤の例は、酸化および熱安定剤、耐衝撃性改良剤、例えば熱可塑性オレフィン、熱可塑性エラストマー、スチレンブタジエンゴム、およびそれらの組み合わせ、潤滑剤、剥離剤、難燃剤、酸化防止剤、酸化スカベンジャー、中和剤、粘着防止剤、染料、顔料および他の着色剤、紫外線吸収剤および安定剤、粒状および繊維状充填剤を含めた有機または無機充填剤、強化材、核剤、可塑剤、ワックス、ホットメルト接着剤、およびそれらの組み合わせである。これらの添加時はブリスター包装(22)の層(34、36、40、42、44、46)およびブリスター(38)のどれにもどのような量で用いてもよい。代表的な紫外線安定剤は、限定されないが、様々な置換レゾルシノール、サリチレート、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン、およびそれらの組み合わせである。適した潤滑剤および剥離剤は、限定されないが、ステアリン酸、ステアリルアルコール、およびステアルアミドである。難燃剤の例は、限定されないが、有機ハロゲン化化合物、例えばデカブロモジフェニルエーテル、無機化合物、およびそれらの組み合わせである。染料および顔料を含む好適な着色剤は、限定されないが、硫化カドミウム、セレン化カドミウム、二酸化チタン、フタロシアニン、ウルトラマリンブルー、ニグロシン、カーボンブラック、およびそれらの組み合わせである。代表的な酸化および熱安定剤は、限定されないが、金属ハロゲン化物、例えばハロゲン化ナトリウム、ハロゲン化カリウム、ハロゲン化リチウム、ハロゲン化第1銅、並びに相当する塩化物、臭化物、ヨウ化物、およびそれらの組み合わせである。また、ヒンダードフェノール、ヒドロキノン、芳香族アミン、それらの組み合わせも含まれる。可塑剤の例は、限定されないが、ラクタム、例えばカプロラクタムおよびラウリルラクタム、スルホンアミド、例えばo−およびp−トルエンスルホンアミドおよびN−エチル、N−ブチルフェニレンスルホンアミド、およびそれらの組み合わせ、並びに本技術分野で公知の他の可塑剤である。
【0084】
薬剤包装(22)は様々な方法で組み立てうる。本発明のある態様では、基層(34)、シーラント層(36)およびブリスター(38)は熱および圧力の下でヒートシールすることによって結合される。ヒートシール技術は本技術分野で周知である。一般に、基層(34)、シーラント層(36)およびブリスター(38)は、薬剤包装(22)の基層(34)、シーラント層(36)およびブリスター(38)が単一の構造に結合するのに十分な熱および圧力の条件下で、個々の基層(34)、シーラント層(36)およびブリスター(38)を互いの上に配置することによってヒートシールされる。一般に、基層(34)、シーラント層(36)およびブリスター(38)は互いの上に配置され、そして本技術分野で周知の技術によって共にプレスされる。ヒートシールは、好ましくは120〜175℃、より好ましくは130〜175℃、最も好ましくは150〜175℃で行われる。基層(34)、シーラント層(36)およびブリスター(38)が単一構造に結合されたら、薬剤包装(22)が完成する。
【0085】
完成すると、薬剤包装(22)のブリスター(38)の形成に用いられるフィルム(20)は、ASTM F−1249により測定して、好ましくは0.20〜5.00g/m/24時間、より好ましくは0.20〜3.00g/m/24時間、最も好ましくは0.20〜0.50g/m/24時間の水蒸気透過度を有する。フィルム(20)はまた、ASTM D−1003により測定して、好ましくは88〜93%、最も好ましくは90〜93%の光透過率を有する。さらに、フィルム(20)は、ASTM D−1003により測定して、好ましくは2〜9%、より好ましくは2〜6%、最も好ましくは2〜4%の曇り度を有する。
【0086】
次の実施例は本発明の好ましい態様を示すものである。具体的な態様をつくるのに本発明の範囲内で多くの変更を行うことができることは、本技術分野における当業者にとって明らかなことでであろう。
【実施例】
【0087】
フィルム性能実施例1−同時押出し
マルチマニフォールドダイに接続された2つの押出し機を用いて、次の樹脂を同時押出しして、図10に示すような連続多層シート20を製造した。
【0088】
樹脂 製造元
Topas(登録商標)8007F04 チコナ、LLC
Styrolux(登録商標)684D BASF社
Topas(登録商標)8007F04はシクロオレフィンコポリマーであり、約36モル%のノルボルネンモノマー、残余のエチレンを含有する。Topas(登録商標)樹脂は押出し機1で溶融し、Styrolux(登録商標)樹脂は押出し機2で溶融した。前に述べたように、Styrolux(登録商標)684Dはスチレン−ブタジエンブロックコポリマーであり、約78重量%のスチレンを含有する。図11は、図10に示す連続シートの拡大断面図である。図10および11を参照すると、フィルム20はスチレン−ブタジエン層24、シクロオレフィンコア層26および別のスチレン−ブタジエン層28を示す。シクロオレフィンコポリマーはコア層を構成し、その厚さは約240ミクロンである。スチレン−ブタジエンコポリマーは2つの外層を構成し、それぞれの厚さは約30ミクロンである。多層フィルムは次の条件下で押出された:
シクロオレフィン押出し条件、押出し機1
(℃)
温度帯域1 247
温度帯域2 259
温度帯域3 240
温度帯域4 240
ポリマー出口温度 266

スチレン−ブタジエン押出し条件、押出し機2
(℃)
温度帯域1 177
温度帯域2 195
温度帯域3 210
温度帯域4 215
ポリマー出口温度 219
【0089】
本発明により製造されるフィルムは、ブリスター包装に熱成形するのに特に適している。「ブリスター包装」および類似用語は、厚紙を通常含む蓋の層に固定されるブリスター様プラスチックカバーを有する包装を指す。プラスチックのブリスター様領域は、ピル、錠剤、キャプレットまたはカプセルのようなものを入れる。一般に、ブリスター包装中の物品は医薬または医療品、栄養サプリメント、ビタミン剤、食品、ガム等である。図12は、本発明のフィルムを含む熱成形ブリスターフィルムシート38を有する熱成形ブリスター包装22の例の断面図である。ブリスター包装は蓋のシート34も有する。蓋のシートはポリエステル、アルミニウムおよび紙のラミネートである。蓋材料の他の例は、ヒートシール可能なラッカーを有する硬質箔を含む。ブリスターシートは熱成形によって、薬剤の投薬量、食品等のようなものを入れることができる部分を形成する半球形48に成形される。図12Aはブリスターシート38の拡大断面図であり、スチレン−ブタジエンコポリマーの外層24、シクロオレフィンコポリマーのコア層26、およびスチレン−ブタジエンコポリマーの内層28を有するフィルムの多層構造を示す。ブリスター包装のさらなる議論はFrench等の米国特許第6,830,153号(参照することによって全てここに記載されたものとする)に記載されている。
【0090】
フィルム性能実施例2−5:光学的曇り度
フィルム4枚の試料をASTM D1003によって曇り度について試験した。実施例2はTopas(登録商標)8007の単層フィルムである。実施例3−5は、Aがスチレン−ブタジエン層であり、Bがシクロオレフィン層である、パターンA/B/Aを有するいずれも同時押出しした3層フィルムである。A層は30ミクロンの厚さで押出され、B層は240ミクロンの厚さで押出された。実施例3−5で用いられたフィルムはフィルム性能実施例1の条件により同時押出しされた。
【0091】
表1 − 曇りデータ
【0092】
【表3】

【0093】
フィルム性能ポリマー実施例6−8
フィルム性能実施例1に記載の条件により3枚のフィルムを同時押出しし、ASTM試験法により、剥離接着性、曇り度、光透過率、および水蒸気透過度について試験した。厚さおよび密度のような他の物理的性質も測定した。押出しフィルムは、Aがスチレン−ブタジエン層であり、Bがシクロオレフィン層である、パターンA/B/Aを有する3層フィルムである。A層は約30ミクロンの厚さで押出され、B層は約240ミクロンの厚さで押出された。各値は5つの試料の平均値である。
【0094】
表2 − フィルム試料
【0095】
【表4】

【0096】
光透過率および曇り度はフィルム(20)の試料5つの平均値として表3に示す。水蒸気透過度はフィルム(20)の試料2つの平均値として表3に示す。密度はフィルム(20)の試料1つの測定値として表3に示す。
【0097】
表3
【0098】
【表5】

【0099】
フィルム性能実施例9−13
フィルム性能実施例6で製造されたフィルムの第1、第2および第3層の物理的性質もASTM試験法によって測定した。これらの物理的性質には剥離強さ以外の上記物理的性質全てが含まれる。スチレンブタジエンコポリマーを含むフィルムの第1および第3層は第2層とは別に試験した。光透過率および曇り度はフィルム(20)の第1、第2および第3層(24、26、28)の試料5つの平均値として表4に示す。水蒸気透過度はフィルム(20)の第1、第2および第3層(24、26、28)の試料2つの平均値として表4に示す。密度はフィルム(20)の第1、第2および第3層(24、26、28)の試料1つの測定値として表4に示す。
【0100】
表4
【0101】
【表6】

【0102】
表4(続き)
【0103】
【表7】

【0104】
比較フィルム性能実施例14−16
ハロゲン化分子から形成されたポリマーを含む比較フィルムの物理的性質をASTM試験法によって測定する。これらの物理的性質にはやはり水蒸気透過度、光透過率、曇り度および剥離強さが含まれ、それらは表5に示す。
【0105】
比較フィルム性能実施例14フィルムはハロゲン化分子から形成され、それはPentapharmの登録商標でバージニア州ゴードンスビルのクレックナー・ペンタプラスト・オブ・アメリカ社から商業的に入手しうるポリ塩化ビニルを含有する単一層を含む。フィルムはカレンダー法によって製造される。
【0106】
比較フィルム性能実施例15フィルムもハロゲン化分子から形成されたフィルムであり、それは、ポリ塩化ビニリデンをポリエチレンに被覆し、次いでこれをポリ塩化ビニルに貼り合わせた3層を含む。ポリ塩化ビニリデンは、Saranの登録商標でミシガン州ミッドランドのダウ・ケミカル社から商業的に入手しうる。ポリ塩化ビニルは、Pentapharmの登録商標でバージニア州ゴードンスビルのクレックナー・ペンタプラスト・オブ・アメリカ社から商業的に入手しうる。
【0107】
比較フィルム性能実施例16フィルムもハロゲン化分子から形成されたフィルムであり、それは、ポリ塩化ビニルに貼り合わせたポリクロロトリフルオロエチレンを含む2層を含む。ポリクロロトリフルオロエチレンは、ACLAR Rx 160の登録商標でニュージャージー州モリスタウンのハニーウエル・インターナショナル社から商業的に入手しうる。比較フィルム性能実施例16フィルムは本技術分野でよく知られている接着剤貼り合わせ法によって形成される。
【0108】
表5
【0109】
【表8】

【0110】
収量は、材料1kg当たりで得られるフィルム面積の量である。
試験を行ったところ、本発明のフィルム(20)の水蒸気透過度は、比較ポリマー実施例14フィルムのフィルムの水蒸気透過度より低く、そして塩素およびフッ素のようなハロゲンを含む比較ポリマー実施例14および15のフィルムの水蒸気透過度と同程度であると判定された。また、本発明のフィルム(20)の光透過率は比較フィルム性能実施例14、15および16のフィルムの光透過率と同程度であると判定された。
【0111】
本発明を多数の実施例および包装に関連させて説明してきたが、本発明の精神および範囲内でこれらの実施例を変更したり、さらなる用途を加えることは、本技術分野における当業者にとって容易なことは明らかである。例えば、シクロオレフィンコポリマーの比較的厚い層を有する構造について説明してきたが、約125μmSCB/25または50μmCOP/125μmSCBフィルム構造のような比較的薄いシクロオレフィンコポリマー層を有する構造は多くの場合適している。同様に、ここで説明した構造は一般に対称的であるが、非対称構造、すなわち、薄い層/厚い層/厚い層構造も本発明の範囲内に考えられる。さらに、本発明は薄いフィルム構造に決して限定されない。厚さが1200ミクロン以上、1500ミクロン以上の比較的厚いSCB/COP複合材は本発明の範囲内にあると特に考えられる。上記の議論、背景および詳細な説明に関連して上に述べた技術および引例における関連知識(参照することによって全てここに記載されたものとする)を考慮すると、さらなる説明は不必要と考える。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本発明のフィルムについての第1の態様の断面図である。
【図2】本発明のフィルムについての第2の態様の断面図である。
【図3】本発明のフィルムについての第3の態様の断面図である。
【図4】本発明のフィルムについての第4の態様の断面図である。
【図5】本発明の薬剤包装についての第1の態様の断面図である。
【図6】本発明の薬剤包装についての第2の態様の断面図である。
【図7】本発明の薬剤包装についての第3の態様の断面図である。
【図8】本発明の薬剤包装についての第4の態様の断面図である。
【図9】本発明の薬剤包装についての第5の態様の断面図である。
【図10】本発明により連続押出しされたシートの断面の透視図である。
【図11】図10のシートの拡大断面図である。
【図12】本発明のフィルムを含むブリスター包装の断面図である。
【図12A】図12のブリスターシートの拡大断面図である。
【符号の説明】
【0113】
20 フィルム
22 薬剤包装
24 第1層
26 第2層
28 第3層
30 中間層
32 第2中間層
34 基層
36 シーラント層
38 ブリスター
40 ラッカー層
42 内層
44 内層
46 内層
48 医薬品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スチレン−ブタジエンコポリマーを含む第1層;
第1層上に配置された環状オレフィンを含む第2層;および
フィルムの最も外側の層として第2層上に配置されたスチレン−ブタジエンコポリマーを含む第3層
を含むフィルムであって、第1および第3層は環状オレフィンを実質的に含まず、第2層はスチレン−ブタジエンコポリマーを実質的に含まないフィルム。
【請求項2】
フィルムがハロゲンを実質的に含まない、請求項1に記載のフィルム。
【請求項3】
第1、第2および第3層が同時押出しされている、請求項1に記載のフィルム。
【請求項4】
第2層が第1層と接して配置されている、請求項1に記載のフィルム。
【請求項5】
第3層が第2層と接して配置されている、請求項4に記載のフィルム。
【請求項6】
第3層が第2層と接して配置されている、請求項1に記載のフィルム。
【請求項7】
第1および第2層の間に配置された中間層をさらに含む、請求項1に記載のフィルム。
【請求項8】
第2および第3層の間に配置された第2中間層をさらに含み、第2中間層が中間層と同じものである、請求項7に記載のフィルム。
【請求項9】
第2および第3層の間に配置された中間層をさらに含む、請求項1に記載のフィルム。
【請求項10】
スチレン−ブタジエンコポリマーが
スチレンモノマー;および
1,3−ブタジエン
の反応生成物を含む、請求項1に記載のフィルム。
【請求項11】
環状オレフィンが一般構造:
【化1】

(式中、
およびRのそれぞれは独立して水素および炭化水素の1つを含み;そして
xおよびyは独立して10以下の整数を含む)
を含む、請求項1に記載のフィルム。
【請求項12】
環状オレフィンが一般構造:
【化2】

(式中、
〜R14のそれぞれは独立してアリール基およびアルキル基、ハロゲンおよび水素の1つを含み;そして
nは10以下の整数を含む)
の1つから選択される、請求項1に記載のフィルム。
【請求項13】
環状オレフィンがノルボルネンを含む、請求項12に記載のフィルム。
【請求項14】
環状オレフィンが少なくとも1つのペンダント有機基を含む、請求項1に記載のフィルム。
【請求項15】
環状オレフィンが環状オレフィンコポリマーを含む、請求項1に記載のフィルム。
【請求項16】
環状オレフィンコポリマーが
環状オレフィン;および
架橋剤
の相互作用生成物を含む、請求項15に記載のフィルム。
【請求項17】
架橋剤が、アルカン、アルケン、アルキン、およびそれらの組み合わせよりなる群から選択される、請求項16に記載のフィルム。
【請求項18】
環状オレフィンコポリマーが一般構造:
【化3】

(式中、
およびRのそれぞれは独立して水素および炭化水素の1つを含み;そして
xおよびyは独立して10以下の整数を含む)
を含む、請求項15に記載のフィルム。
【請求項19】
環状オレフィンコポリマーがノルボルネンを含む、請求項15に記載のフィルム。
【請求項20】
環状オレフィンコポリマーが少なくとも1つのペンダント有機基を含む、請求項15に記載のフィルム。
【請求項21】
フィルムの密度が0.98〜1.03g/cmである、請求項1に記載のフィルム。
【請求項22】
フィルムの剥離強さがASTM D−903により測定して1.0 lbsf/inより大きい、請求項1に記載のフィルム。
【請求項23】
ASTM F−1249により測定して0.20〜3.00g/m/24時間の水蒸気透過度を有する請求項1に記載のフィルム。
【請求項24】
ASTM D−1003により測定して88〜93%の光透過率を有する請求項1に記載のフィルム。
【請求項25】
ASTM D−1003により測定して2〜6%の曇り度を有する請求項1に記載のフィルム。
【請求項26】
第1層の厚さが約25〜約205μmである、請求項1に記載のフィルム。
【請求項27】
第2層の厚さが約75〜約205μmである、請求項1に記載のフィルム。
【請求項28】
第3層の厚さが約25〜約205μmである、請求項1に記載のフィルム。
【請求項29】
基層;
基層上に配置されたシーラント層;および
以下の層を含むフィルムから形成されたシーラント層上に配置されたブリスター:
スチレン−ブタジエンコポリマーを含む第1層;
第1層上に配置された環状オレフィンを含む第2層;および
フィルムの最も外側の層として第2層上に配置されたスチレン−ブタジエンコポリマーを含む第3層、ここで、第1および第3層は環状オレフィンを実質的に含まず、第2層はスチレン−ブタジエンコポリマーを実質的に含まない、
を含む薬剤包装。
【請求項30】
ブリスター内に配置された医薬品をさらに含む、請求項29に記載の薬剤包装。
【請求項31】
シーラント層が基層と接して配置されている、請求項29に記載の薬剤包装。
【請求項32】
ブリスターがシーラント層と接して配置されている、請求項31に記載の薬剤包装。
【請求項33】
ブリスターがシーラント層と接して配置されている、請求項29に記載の薬剤包装。
【請求項34】
基層がアルミニウムを含む、請求項29に記載の薬剤包装。
【請求項35】
基層上に配置されたラッカー層をさらに含み、基層をラッカー層とシーラント層の間にはさむ、請求項29に記載の薬剤包装。
【請求項36】
ラッカー層と基層の間に配置された内層をさらに含む、請求項35に記載の薬剤包装。
【請求項37】
基層とシーラント層の間に配置された内層をさらに含む、請求項29に記載の薬剤包装。
【請求項38】
シーラント層とブリスターの間に配置された内層をさらに含む、請求項29に記載の薬剤包装。
【請求項39】
フィルムがASTM F−1249により測定して0.20〜3.00g/m/24時間の水蒸気透過度を有する、請求項29に記載の薬剤包装。
【請求項40】
フィルムがASTM D−1003により測定して88〜93%の光透過率を有する請求項29に記載の薬剤包装。
【請求項41】
フィルムがASTM D−1003により測定して2〜6%の曇り度を有する請求項29に記載の薬剤包装。
【請求項42】
フィルムの製造方法であって、
a)スチレンブタジエンコポリマーを含む第1層を形成すること;
b)第1層上に環状オレフィンを含む第2層を形成すること;および
c)フィルムの最も外側の層として第2層上にスチレン−ブタジエンコポリマーを含む第3層を形成すること
の工程を含み、第1および第3層は環状オレフィンを実質的に含まず、第2層はスチレン−ブタジエンコポリマーを実質的に含まない方法。
【請求項43】
第1層を形成する工程が第1層を押出すことを含み、第2層を形成する工程が第2層を押出すことを含み、そして第3層を形成する工程が第3層を押出すことを含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
第1、第2および第3層が同時に押出される、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
第1、第2および第3層を溶融結合する工程をさらに含む、請求項42に記載の方法。
【請求項46】
フィルムがハロゲンを実質的に含まない、請求項42に記載の方法。
【請求項47】
第2層が第1層と接して形成される、請求項42に記載の方法。
【請求項48】
第3層が第2層と接して形成される、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
第3層が第2層と接して形成される、請求項42に記載の方法。
【請求項50】
スチレン−ブタジエンブロックコポリマー層;および
スチレン−ブタジエンブロックコポリマー層へ直接溶融結合されているシクロオレフィンコポリマー層
を含む多層フィルム。
【請求項51】
シクロオレフィンコポリマー層がシクロオレフィンコポリマーから本質的になる、請求項50に記載の多層フィルム。
【請求項52】
シクロオレフィンコポリマーが(i)式I、II、III、IV、VまたはVIの多環式構造、あるいは(ii)式VIIの単環式構造:
【化4】

(式中、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21およびR22は同じまたは異なり、H、C−C20−アリールもしくはC−C20−アルキル基またはハロゲン原子であり、nは2〜10の数である)
の残基を組み込んでいる、請求項50に記載の多層フィルム。
【請求項53】
シクロオレフィンコポリマーがエチレンまたはプロピレンの残基を組み込んでいる、請求項52に記載の多層フィルム。
【請求項54】
シクロオレフィンコポリマーがノルボルネンの残基を組み込んでいる、請求項53に記載の多層フィルム。
【請求項55】
シクロオレフィンコポリマーがノルボルネンおよびエチレンのコポリマーである、請求項54に記載の多層フィルム。
【請求項56】
シクロオレフィンコポリマーがノルボルネンおよびエチレンの残基から本質的になる、請求項55に記載の多層フィルム。
【請求項57】
シクロオレフィンコポリマーが、約10〜約70モル%のノルボルネン残基および約30〜約90モル%のエチレン残基を含む、請求項56に記載の多層フィルム。
【請求項58】
シクロオレフィンコポリマーが、約25〜約45モル%のノルボルネンモノマーおよび約55〜約75モル%のエチレンモノマーを含む、請求項57に記載の多層フィルム。
【請求項59】
スチレン−ブタジエンブロックコポリマー層が(i)少なくとも約50重量%のスチレン残基、(ii)約5〜約50重量%のブタジエン残基、および(iii)任意に10重量%以下の他のポリマー成分から本質的になる、請求項50に記載の多層フィルム。
【請求項60】
スチレン−ブタジエンブロックコポリマーがスチレンおよびブタジエンの残基からなる、請求項50に記載の多層フィルム。
【請求項61】
スチレン−ブタジエンブロックコポリマーが、約60〜約90重量%のスチレン残基および約10〜約40重量%のブタジエン残基を含む、請求項50に記載の多層フィルム。
【請求項62】
スチレン−ブタジエンブロックコポリマーが、約70〜約80重量%のスチレン残基および約20〜約30重量%のブタジエン残基を含む、請求項50に記載の多層フィルム。
【請求項63】
シクロオレフィン層がスチレン−ブタジエン層より少なくとも4倍厚い、請求項50に記載の多層フィルム。
【請求項64】
シクロオレフィン層がスチレン−ブタジエン層より少なくとも6倍厚い、請求項50に記載の多層フィルム。
【請求項65】
フィルムが少なくとも3層であり、シクロオレフィン層がコア層として2つのスチレン−ブタジエン層の間に存在する、請求項50に記載の多層フィルム。
【請求項66】
スチレン−ブタジエン層が同時押出しによってシクロオレフィン層へ直接溶融結合されている、請求項50に記載の多層フィルム。
【請求項67】
スチレン−ブタジエン層が貼り合わせによってシクロオレフィン層へ溶融結合されている、請求項50に記載の多層フィルム。
【請求項68】
層が少なくとも約0.5 lbf/inの剥離強さを示すように、シクロオレフィン層がスチレン−ブタジエン層へ直接溶融結合されている、請求項50に記載の多層フィルム。
【請求項69】
層が少なくとも約1.0 lbf/inの剥離強さを示すように、シクロオレフィン層がスチレン−ブタジエン層へ直接溶融結合されている、請求項50に記載の多層フィルム。
【請求項70】
フィルムの相関曇り度が約3mmの厚さで約5%未満である、請求項50に記載の多層フィルム。
【請求項71】
スチレン−ブタジエンブロックコポリマー層がシクロオレフィン層へ直接溶融結合されるように、スチレン−ブタジエンブロックコポリマー層をシクロオレフィンコポリマー層と同時押出しすることを含む、多層フィルムの製造方法。
【請求項72】
スチレン−ブタジエン層が(i)少なくとも約50重量%のスチレン残基、(ii)約5〜約50重量%のブタジエン残基、および(iii)任意に10重量%以下の他のポリマー成分から本質的になる、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
シクロオレフィン層がシクロオレフィンコポリマーから本質的になる、請求項71に記載の方法。
【請求項74】
約255〜約275℃のポリマー出口温度でシクロオレフィン層を押出し、そして約210〜約230℃のポリマー出口温度でスチレン−ブタジエン層を押出すことを含む、請求項71に記載の方法。
【請求項75】
ブリスターシートがシクロオレフィンコポリマー層へ直接溶融結合されているスチレン−ブタジエンブロックコポリマー層を含む多層フィルムから熱成形されている、1つ以上の半球形容器部分を規定する熱成形ブリスターシートを有するブリスター包装。
【請求項76】
半球形容器部分が錠剤、カプセル、ピル、キャプレット等を含む、請求項75に記載のブリスター包装。
【請求項77】
半球形容器部分が、医薬品、医療品、ビタミン剤、栄養サプリメント、および糖菓よりなる群から選択される製品を含む、請求項75に記載のブリスター包装。
【請求項78】
スチレン−ブタジエンブロックコポリマー層;および
シクロオレフィンコポリマーが(i)式I、II、III、IV、VまたはVIの多環式構造、あるいは(ii)式VIIの単環式構造:
【化5】

(式中、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21およびR22は同じまたは異なり、H、C−C20−アリールもしくはC−C20−アルキル基またはハロゲン原子であり、nは2〜10の数である)
の残基を組み込んでいる、スチレン−ブタジエンブロックコポリマー層へ直接溶融結合されているシクロオレフィンコポリマー層
を含む、多層フィルム。
【請求項79】
スチレン−ブタジエンブロックコポリマー層がシクロオレフィン層へ直接溶融結合されるように、スチレン−ブタジエンブロックコポリマー層をシクロオレフィンコポリマー層と同時押出しすることを含む、多層フィルムの製造方法であって、シクロオレフィンコポリマーが(i)式I、II、III、IV、VまたはVIの多環式構造、あるいは(ii)式VIIの単環式構造:
【化6】

(式中、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21およびR22は同じまたは異なり、H、C−C20−アリールもしくはC−C20−アルキル基またはハロゲン原子であり、nは2〜10の数である)
の残基を組み込んでいる上記の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図12A】
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【公表番号】特表2008−531336(P2008−531336A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−557137(P2007−557137)
【出願日】平成18年2月22日(2006.2.22)
【国際出願番号】PCT/US2006/006335
【国際公開番号】WO2006/091694
【国際公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(507141583)トパース・アドヴァンスト・ポリマーズ・インコーポレーテッド (2)
【出願人】(507282635)バスフ・コーポレイション (3)
【Fターム(参考)】