説明

シクロデキストリン複合材料およびその製造方法

【課題】 任意の大きさと形状にて提供することが可能な、シクロデキストリンポリマーを含む複合材料の製造方法を提供すること。
【解決手段】 シクロデキストリン1をアルカリ条件下に加え(P1)、これに非晶質ケイ酸2を添加し(P2)、さらにこれにエピクロロヒドリン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物3を加える(P3)工程において、木片・セルロース化合物またはプラスチックといった複合材料においてシクロデキストリンポリマーの担持される媒体となる材料4を、P3工程の前に、もしくはエポキシ系化合物3と同時に、もしくはP3工程中に加えるという構成をとることによって、エポキシ化合物架橋シクロデキストリンポリマー含有複合材料(複成分系材料)10が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、任意の大きさと形状にて提供することが可能な、シクロデキストリンポリマーを含む複合材料、およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シクロデキストリンは、グルコピラノースが6〜8個環状に連なった水溶性物質である。分子内部に疎水性の空間を有しており、この空間にダイオキシン類などの有機化合物、二酸化炭素などの無機化合物、ヨウ素などのイオンが入り込み、包接化合物を形成する。このような性質を利用した水不溶性ポリマー化シクロデキストリンによる環境汚染物質除去技術などが、既に知られている。また、シクロデキストリンの微生物増殖作用を利用した微生物固定化担体も提案されている(特許文献1)。
【0003】
従来、数十μm〜1300μm程度の粒状エポキシ化合物架橋シクロデキストリンポリマーの製造方法としては、流動パラフィンなどの疎水性液状物質に架橋剤とシクロデキストリン化合物のアルカリ水溶液の混合液を滴下する方法(特許文献2)、または架橋剤であるエポキシ化合物にシクロデキストリン化合物のアルカリ水溶液を滴下する方法(特許文献3)が報告されている。それらによれば、疎水性液状物質を有機溶媒等で洗浄する作業が必要であり、洗浄液を事後に処分する必要があった。なおまた、キトサンのビーズ表面にシクロデキストリンを化学結合させてシクロデキストリン結合キトサンを製造する方法も提案されている(非特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】特開2001−149975「微生物固定化担体」
【特許文献2】特開昭58−171404「ポリシクロデキストリンビーズの製法」
【特許文献3】特開昭60−20924「ビーズ状不溶性シクロデキストリンポリマーの製法」
【非特許文献1】坂入信夫、月刊エコインダストリー、Vol.4、No.8、43−50(1999)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
水不溶化したシクロデキストリン化合物は、ダイオキシン類などの環境汚染物質の除去材や、水処理施設・廃棄物処理施設における微生物槽で用いる微生物の活性化材として有効である。このように工業的材料として利用する場合、多くの場合において、水不溶化シクロデキストリン化合物には、ある程度の大きさと形状、そして、製造工程の簡略化および廃棄物の低減などが求められる。しかし、特許文献2および3に開示されている製造方法では、最大1300μm程度の大きさの材料しか生成できず、さらに製造工程において多量の洗浄有機廃液が排出される。また、非特許文献1の製造方法では、複数の製造工程が必要である。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、上記技術の問題点を除き、任意の大きさと形状にて提供することが可能な、シクロデキストリンポリマーを含む複合材料、およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明者は上記課題に関して検討した結果、アルカリ条件下でシクロデキストリンに非晶質ケイ酸を添加し、これにモノエポキシ、ジエポキシ、トリエポキシまたはポリエポキシ化合物を加えてエポキシ化合物の架橋反応によりエポキシ化合物架橋シクロデキストリンポリマーを製造する工程において、木材由来の木片、工業材料であるセルロース化合物または工業プラスチックのいずれかを添加して、水不溶性エポキシ化合物架橋シクロデキストリンポリマーを含む複成分系材料を製造することによって上記課題の解決が可能であることを見出し、本発明に至った。すなわち、上記課題を解決するための手段として本願で特許請求もしくは少なくとも開示される発明は以下の通りである。
【0008】
(1) エポキシ系化合物架橋シクロデキストリンポリマーと、これが担持される媒体とからなり、該媒体の性状に従った形状、大きさおよび多孔性を有する、シクロデキストリンポリマー含有複合材料。
(2) 前記媒体がセルロース系化合物であることを特徴とする、(1)に記載のシクロデキストリンポリマー含有複合材料。
(3) 前記媒体が木片であることを特徴とする、(1)に記載のシクロデキストリンポリマー含有複合材料。
(4) 前記媒体がポリマーであることを特徴とする、(1)に記載のシクロデキストリンポリマー含有複合材料。
(5) 前記媒体が多孔性ポリマーであることを特徴とする、(1)に記載のシクロデキストリンポリマー含有複合材料。
(6) 前記多孔性ポリマーがメラミン系ポリマーまたはウレタン系ポリマーであることを特徴とする、(5)に記載のシクロデキストリンポリマー含有複合材料。
【0009】
(7) 前記媒体が球状またはその他の形状のプラスチック材料であることを特徴とする、(1)に記載のシクロデキストリンポリマー含有複合材料。
(8) 前記媒体がスチレン系ポリマー、テトラフルオロエチレン系ポリマー、ナイロン系ポリマー、プロピレン系ポリマー、エチレン系ポリマーまたはアセタール系ポリマーのいずれかであることを特徴とする、(1)に記載のシクロデキストリンポリマー含有複合材料。
(9) エポキシ系化合物がエピクロロヒドリン、エチレングリコールジグリシジルエーテルまたはブタンジオールジグリシジルエーテルのいずれかであることを特徴とする、(1)ないし(8)のいずれかに記載のシクロデキストリンポリマー含有複合材料。
(10) 水中の有機化合物の分離材もしくは抽出材として使用されることを特徴とする、(1)ないし(9)のいずれかに記載のシクロデキストリンポリマー含有複合材料。
【0010】
(11) アルカリ条件下でシクロデキストリンに非晶質ケイ酸を添加し、これにモノエポキシ化合物、ジエポキシ化合物、トリエポキシ化合物またはポリエポキシ化合物のいずれかを加えてエポキシ化合物の架橋反応によりエポキシ化合物架橋シクロデキストリンポリマーを製造する工程において、最終的にシクロデキストリンポリマーが担持されることになる媒体を添加する、シクロデキストリンポリマー含有複合材料の製造方法。
(12) 前記媒体がセルロース化合物であることを特徴とする、(11)に記載のシクロデキストリンポリマー含有複合材料の製造方法。
(13) 前記媒体が木片であることを特徴とする、(11)に記載のシクロデキストリンポリマー含有複合材料の製造方法。
(14) 前記媒体がメラミン系ポリマー、ウレタン系ポリマー、スチレン系ポリマー、テトラフルオロエチレン系ポリマー、ナイロン系ポリマー、プロピレン系ポリマー、エチレン系ポリマーまたはアセタール系ポリマーのいずれかであることを特徴とする、(11)に記載のシクロデキストリンポリマー含有複合材料の製造方法。
【0011】
なお本発明において「担持」とは、シクロデキストリンポリマーが、セルロース加工物、木片あるいは各種ポリマーからなる媒体に含まれていること、特に表面には必ず含まれていることをいう。
【発明の効果】
【0012】
本発明のシクロデキストリンポリマーを含む複合材料およびその製造方法は上述のように構成されるため、これによれば、シクロデキストリンポリマーが担持された複合材料を任意の大きさと形状にて提供することができる。たとえば、ダイオキシン類等の有害物質やカテキン等の有用物質を工業的に水から分離する場合や、また、水処理施設や廃棄物処理施設における微生物槽の微生物を活性化し効率的な微生物処理を行う場合などにおいて、本発明の複合材料はこれらの処理用として大変便利である。
【0013】
本発明のシクロデキストリンポリマー含有複合材料は、任意の大きさと形状にて提供することが大きな利点であるが、これについて、さらに説明する。
〈1〉大粒径化や粒径制御が可能であること
たとえば上述の水処理において、回分式の場合、小さな粒径の粒子では媒体(気体、液体)中に容易に拡散するため、これを沈殿させるためには相当の時間が必要となる。また、充填剤と媒体の分離時において、粒径が小さいと網目の開きを小さくする必要があるため、これも相当の時間が必要となる。したがって、ある程度の大粒径化は必要であり、本発明はかかる要請に応えることができる。
【0014】
また連続式(並流、向流とも)の場合、充填剤の大きさと媒体にかける圧力との間には逆の関係がある。工業的に大量の媒体を処理するためには、媒体にかける圧力を抑える必要があることから、ある一定の大きさ、特に理想的には粒径の揃った球形であることが必要である。また、充填剤の粒径が小さいと、オーバーフロー型では媒体と一緒に流れ出てしまい、回分容器下部に媒体出口があるものは媒体と固形材料を分離するためのメッシュに詰まってしまう。したがって、ある程度の大粒径化や粒径を制御できることは必要であり、本発明はかかる要請に応えることができる。
【0015】
さらに、バイオリアクター等の微生物固定層に用いる場合、充填剤の形状(くら型や円筒状など)の他、水流または上昇する気泡により媒体(気体、液体)中に浮遊させることによって処理が効率的になるものがある。その他、上記回分式や連続式と同様のことがいえる。したがって微生物固定層に用いる場合も、形状を工夫するとともに大きさ(粒子の重量も含めて)を大きくする必要があり、本発明はかかる要請に応えることができる。
【0016】
〈2〉形状を選択、制御できること
カラム等に充填する場合、非多孔性の材料では、分離を要する物質が存在する媒体(気体、液体)と効率的、かつ圧力を上げないようにカラムを設計するためには、粒度の揃った球形の充填剤が最適である。したがって、複合材料としての形状を選択、制御できる本発明はかかる要請に応えることができる。
【0017】
すべての使用方法において、充填剤が多孔質であると媒体(気体、液体)との接触面積が大きいことから、効率的な分離を要する物質含有の媒体(気体、液体)の処理が効率的に実施できることが多い。したがって、多孔性を有する本発明の複合材料はかかる要請に応えることができる。
【0018】
媒体(気体、液体)中を浮遊させるためや、媒体(気体、液体)と効率的に接触させるために、様々な形(くら型、円筒状、半円筒状など)の充填材が必要とされる。したがって、複合材料としての形状を選択、制御できる本発明はかかる要請に応えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明について詳細に説明する。
図1は、本発明のエポキシ化合物架橋シクロデキストリンポリマーを含む複合材料製造方法の構成を示すフロー図である。図示するように本方法では、シクロデキストリン1をアルカリ水溶液に加え(P1)、これに非晶質ケイ酸2を添加し(P2)、さらにこれにエピクロロヒドリン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物3を加える(P3)工程において、木片・セルロース化合物またはプラスチックといった複合材料においてシクロデキストリンポリマーの担持される媒体となる材料4を、P3工程の前に、もしくはエポキシ系化合物3と同時に、もしくはP3工程中に加えるという構成をとることによって、エポキシ化合物架橋シクロデキストリンポリマー含有複合材料(複成分系材料)10が得られる。
【0020】
本発明の複合材料のうち、球状のプラスチック材料を添加したものは、非多孔性のCDP−プラスチック材料(「CDP」はシクロデキストリンポリマー。以下も同じ。)であり、CDPと比べてプラスチックの比率が高いことから、材料強度が高く、圧力をかけるカラム等への用途に適している。
【0021】
また、スポンジ状のプラスチック材料やセルロースまたはセルロース球を添加した材料は、多孔性かつ形状が制御できるため、回分式装置やバイオリアクター等への用途に適している。なおセルロース球を添加した複合材料は、カラム等への用途にも適している。
【0022】
また、スポンジ状の材料の添加では、立方体状、平板状を始めとして、種々の形状の複合材料とすることができる。最終的な複合材料の形状や大きさは、媒体として添加するスポンジ状材料の形状に依存する。また、球状セルロースを用いた場合も同様である。したがって、本複合材料の形状、大きさは、CDP原料以外の添加物に依存するといえる。
【0023】
シクロデキストリンモノマーとしては、たとえば下記のようなものを包接することが明らかになっているので、本発明のシクロデキストリンポリマー含有複合材料は、これらを分離・抽出対象とした材料として用いることができる。
天然ペプチド、脂肪酸、脂溶性ビタミン類、辛み成分、テルペン類、天然色素、カテキン類、スチルベノイド類、フラボノイド類、有機塩素化合物(ビスフェノールAやダイオキシン類)、ヨウ素、光学活性物質(カルボン酸エステル等を分別沈殿する)。
【実施例】
【0024】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下説明する実施例ではエポキシ化合物としてモノエポキシ化合物であるエピクロロヒドリンを用いているが、エチレングリコールジグリシジルエーテル等、モノエポキシ化合物以外のエポキシ化合物を代わりに用いても本発明を実施できることは、確認済みである。
【0025】
多孔質セルロース、木片等のセルロース系化合物や、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ナイロン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリアセタール樹脂等の樹脂をシクロデキストリンと非晶質ケイ酸のアルカリ水溶液に添加する時期は、エポキシ化合物を添加する前でも、同時でも、あるいはポリマーの析出前である限りはエポキシ化合物を添加後でも、さらにまた、ポリマーの析出前である限りはエポキシ化合物を含浸させた状態でも、本発明を実施できることは確認済みである。
【0026】
また、各実施例ではシクロデキストリンとしてβ−シクロデキストリンを用いているが、α−シクロデキストリン、あるいはγ−シクロデキストリンを代わりに用いても本発明を実施できることもまた、確認済みである。
【0027】
<実施例1>
水酸化ナトリウム水溶液(NaOH80.0g/HO200.0g)にβ−シクロデキストリン60.0g(52.86mmol)を溶解させ、次に、非晶質ケイ酸60.0g(1mol)を溶解し、テフロン(登録商標)羽根付きの撹拌棒を毎分150回転させながら、2mm角程度の立方体のスポンジ状セルロースであるファイバーム(登録商標)14gにエピクロロヒドリン45.6g(492.9mmol)を含浸させたものを加え、60℃で180分撹拌後、ブフナー漏斗を使用して吸引濾過を行い、水で中性になるまで洗浄後、減圧乾燥し、エピクロロヒドリン架橋β−シクロデキストリンポリマーを83重量%含む2mm角程度の多孔かつ立方体状のエピクロロヒドリン架橋β−シクロデキストリンポリマー−ファイバーム(登録商標)を得た。
【0028】
<実施例2>
水酸化ナトリウム水溶液(NaOH80.0g/HO200.0g)にβ−シクロデキストリン60.0g(52.86mmol)を溶解させ、次に、非晶質ケイ酸60.0g(1mol)を溶解し、テフロン(登録商標)羽根付きの撹拌棒を毎分150回転させながら、4−8mm角程度の立方体のスポンジ状セルロース5gにエピクロロヒドリン45.6g(492.9mmol)を含浸させたものを加え、60℃で120分撹拌後、ブフナー漏斗を使用して吸引濾過を行い、水で中性になるまで洗浄後、減圧乾燥し、エピクロロヒドリン架橋β−シクロデキストリンポリマーを79重量%含む4−8mm角程度の多孔かつ立方体状のエピクロロヒドリン架橋β−シクロデキストリンポリマー−セルロースを得た。
【0029】
<実施例3>
水酸化ナトリウム水溶液(NaOH80.0g/HO200.0g)にβ−シクロデキストリン60.0g(52.86mmol)を溶解させ、次に、非晶質ケイ酸60.0g(1mol)を溶解し、テフロン(登録商標)羽根付きの撹拌棒を毎分150回転させながら、多孔性の粒径4mm球状セルロース5.5gにエピクロロヒドリン45.6g(492.9mmol)を含浸させたものを加え、60℃で80分撹拌後、ブフナー漏斗を使用して吸引濾過を行い、水で中性になるまで洗浄後、減圧乾燥し、エピクロロヒドリン架橋β−シクロデキストリンポリマーを53重量%含む粒径4mm程度の多孔かつ球状のエピクロロヒドリン架橋β−シクロデキストリンポリマー−球状セルロースを得た。
【0030】
<実施例4>
水酸化ナトリウム水溶液(NaOH80.0g/HO200.0g)にβ−シクロデキストリン60.0g(52.86mmol)を溶解させ、次に、非晶質ケイ酸60.0g(1mol)を溶解し、テフロン(登録商標)羽根付きの撹拌棒を毎分150回転させながら、2.4mm〜10mm程度の大きさの木片15.0gとエピクロロヒドリン45.6g(492.9mmol)を混合したものを加え、60℃で120分撹拌後、ブフナー漏斗を使用して吸引濾過を行い、水で中性になるまで洗浄後、減圧乾燥し、エピクロロヒドリン架橋β−シクロデキストリンポリマーが木片表面を面または点状に覆った形態で50重量%含まれるエピクロロヒドリン架橋β−シクロデキストリンポリマー−木片を得た。
【0031】
<実施例5>
水酸化ナトリウム水溶液(NaOH80.0g/HO200.0g)にβ−シクロデキストリン60.0g(52.9mmol)を溶解させ、次に、非晶質ケイ酸60.0g(1.0mol)を溶解し、テフロン(登録商標)羽根付きの撹拌棒を毎分150回転させながら、1cm角程度の立方体の多孔性メラミンポリマー1.0gにエピクロロヒドリン45.6g(492.9mmol)を含浸させたものを加え、60℃で180分撹拌後、ブフナー漏斗を使用して吸引濾過を行い、水で中性になるまで洗浄後、減圧乾燥し、エピクロロヒドリン架橋β−シクロデキストリンポリマーを96重量%含む1cm角程度の多孔かつ立方体状のエピクロロヒドリン架橋β−シクロデキストリンポリマー−メラミンポリマーを得た。
【0032】
<実施例6>
水酸化ナトリウム水溶液(NaOH80.0g/HO200.0g)にβ−シクロデキストリン60.0g(52.9mmol)を溶解させ、次に、非晶質ケイ酸60.0g(1.0mol)を溶解し、テフロン(登録商標)羽根付きの撹拌棒を毎分150回転させながら、1cm角程度の立方体の多孔性ウレタンポリマー1.0gにエピクロロヒドリン45.6g(492.9mmol)を含浸させたものを加え、60℃で180分撹拌後、ブフナー漏斗を使用して吸引濾過を行い、水で中性になるまで洗浄後、減圧乾燥し、エピクロロヒドリン架橋β−シクロデキストリンポリマーを96重量%含む1〜1.3cm角程度の多孔性かつ立方体状のエピクロロヒドリン架橋β−シクロデキストリンポリマー−ウレタンポリマーを得た。
【0033】
<実施例7>
水酸化ナトリウム水溶液(NaOH8.0g/HO20.0g)にβ−シクロデキストリン6.0g(5.3mmol)を溶解させ、次に、非晶質ケイ酸6.0g(0.1mol)を溶解し、テフロン(登録商標)羽根付きの撹拌棒を毎分150回転させながら、球径3.2mmのスチレンポリマー20個とエピクロロヒドリン4.56g(49.3mmol)を含浸させたものを加え、60℃で180分撹拌後、ブフナー漏斗を使用して吸引濾過を行い、水で中性になるまで洗浄後、減圧乾燥し、エピクロロヒドリン架橋β−シクロデキストリンポリマーを0.01重量%含む球径3.2mm程度のエピクロロヒドリン架橋β−シクロデキストリンポリマー−スチレンポリマーを得た。
【0034】
<実施例8>
水酸化ナトリウム水溶液(NaOH8.0g/HO20.0g)にβ−シクロデキストリン6.0g(5.3mmol)を溶解させ、次に、非晶質ケイ酸6.0g(0.1mol)を溶解し、テフロン(登録商標)羽根付きの撹拌棒を毎分150回転させながら、球径2.4mmのテトラフルオロエチレンポリマー20個とエピクロロヒドリン4.56g(49.3mmol)を含浸させたものを加え、60℃で180分撹拌後、ブフナー漏斗を使用して吸引濾過を行い、水で中性になるまで洗浄後、減圧乾燥し、エピクロロヒドリン架橋β−シクロデキストリンポリマーを0.01重量%含む球径2.4mm程度のエピクロロヒドリン架橋β−シクロデキストリンポリマー−テトラフルオロエチレンポリマーを得た。
【0035】
<実施例9>
水酸化ナトリウム水溶液(NaOH8.0g/HO20.0g)にβ−シクロデキストリン6.0g(5.3mmol)を溶解させ、次に、非晶質ケイ酸6.0g(0.1mol)を溶解し、テフロン(登録商標)羽根付きの撹拌棒を毎分150回転させながら、球径3.2mmのナイロンポリマー20個とエピクロロヒドリン4.56g(49.3mmol)を含浸させたものを加え、60℃で180分撹拌後、ブフナー漏斗を使用して吸引濾過を行い、水で中性になるまで洗浄後、減圧乾燥し、エピクロロヒドリン架橋β−シクロデキストリンポリマーを0.01重量%含む球径3.2mm程度のエピクロロヒドリン架橋β−シクロデキストリンポリマー−ナイロンポリマーを得た。
【0036】
<実施例10>
水酸化ナトリウム水溶液(NaOH8.0g/HO20.0g)にβ−シクロデキストリン6.0g(5.3mmol)を溶解させ、次に、非晶質ケイ酸6.0g(0.1mol)を溶解し、テフロン(登録商標)羽根付きの撹拌棒を毎分150回転させながら、球径3.2mmのプロピレンポリマー20個とエピクロロヒドリン4.56g(49.3mmol)を含浸させたものを加え、60℃で180分撹拌後、ブフナー漏斗を使用して吸引濾過を行い、水で中性になるまで洗浄後、減圧乾燥し、エピクロロヒドリン架橋β−シクロデキストリンポリマーを0.01重量%含む球径3.2mm程度のエピクロロヒドリン架橋β−シクロデキストリンポリマー−ナイロンポリマーを得た。
【0037】
<実施例11>
水酸化ナトリウム水溶液(NaOH8.0g/HO20.0g)にβ−シクロデキストリン6.0g(5.3mmol)を溶解させ、次に、非晶質ケイ酸6.0g(0.1mol)を溶解し、テフロン(登録商標)羽根付きの撹拌棒を毎分150回転させながら、球径3.2mmのエチレンポリマー20個とエピクロロヒドリン4.56g(49.3mmol)を含浸させたものを加え、60℃で180分撹拌後、ブフナー漏斗を使用して吸引濾過を行い、水で中性になるまで洗浄後、減圧乾燥し、エピクロロヒドリン架橋β−シクロデキストリンポリマーを0.01重量%含む球径3.2mm程度のエピクロロヒドリン架橋β−シクロデキストリンポリマー−ナイロンポリマーを得た。
【0038】
<実施例12>
水酸化ナトリウム水溶液(NaOH8.0g/HO20.0g)にβ−シクロデキストリン6.0g(5.3mmol)を溶解させ、次に、非晶質ケイ酸6.0g(0.1mol)を溶解し、テフロン(登録商標)羽根付きの撹拌棒を毎分150回転させながら、球径3.2mmのアセタールポリマー20個とエピクロロヒドリン4.56g(49.3mmol)を含浸させたものを加え、60℃で180分撹拌後、ブフナー漏斗を使用して吸引濾過を行い、水で中性になるまで洗浄後、減圧乾燥し、エピクロロヒドリン架橋β−シクロデキストリンポリマーを0.01重量%含む球径3.2mm程度のエピクロロヒドリン架橋β−シクロデキストリンポリマー−ナイロンポリマーを得た。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明のエポキシ化合物架橋シクロデキストリンポリマー含有複合材料は、任意の形状、大きさにすることができるため、分離・精製、濃縮、除去および微生物活性化材等の様々な工業分野での使用が可能である。また、製造方法も簡易、かつ有機溶媒使用量が少ないなどの環境保護志向である。したがって、産業上利用性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明のエポキシ化合物架橋シクロデキストリンポリマーを含む複合材料製造方法の構成を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0041】
1:シクロデキストリン
2:非晶質ケイ酸
3:エポキシ系化合物
4:媒体となる材料
10:エポキシ化合物架橋シクロデキストリンポリマー含有複合材料
P1:アルカリ水溶液への添加過程
P2:非晶質ケイ酸等添加過程
P3:エポキシ系化合物添加過程


【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシ系化合物架橋シクロデキストリンポリマーと、これが担持される媒体とからなり、該媒体の性状に従った形状、大きさおよび多孔性を有する、シクロデキストリンポリマー含有複合材料。
【請求項2】
前記媒体がセルロース系化合物であることを特徴とする、請求項1に記載のシクロデキストリンポリマー含有複合材料。
【請求項3】
前記媒体が木片であることを特徴とする、請求項1に記載のシクロデキストリンポリマー含有複合材料。
【請求項4】
前記媒体がポリマーであることを特徴とする、請求項1に記載のシクロデキストリンポリマー含有複合材料。
【請求項5】
前記媒体が多孔性ポリマーであることを特徴とする、請求項1に記載のシクロデキストリンポリマー含有複合材料。
【請求項6】
前記多孔性ポリマーがメラミン系ポリマーまたはウレタン系ポリマーであることを特徴とする、請求項5に記載のシクロデキストリンポリマー含有複合材料。
【請求項7】
前記媒体が球状またはその他の形状のプラスチック材料であることを特徴とする、請求項1に記載のシクロデキストリンポリマー含有複合材料。
【請求項8】
前記媒体がスチレン系ポリマー、テトラフルオロエチレン系ポリマー、ナイロン系ポリマー、プロピレン系ポリマー、エチレン系ポリマーまたはアセタール系ポリマーのいずれかであることを特徴とする、請求項1に記載のシクロデキストリンポリマー含有複合材料。
【請求項9】
エポキシ系化合物がエピクロロヒドリン、エチレングリコールジグリシジルエーテルまたはブタンジオールジグリシジルエーテルのいずれかであることを特徴とする、請求項1ないし8のいずれかに記載のシクロデキストリンポリマー含有複合材料。
【請求項10】
水中の有機化合物の分離材もしくは抽出材として使用されることを特徴とする、請求項1ないし9のいずれかに記載のシクロデキストリンポリマー含有複合材料。
【請求項11】
アルカリ条件下でシクロデキストリンに非晶質ケイ酸を添加し、これにモノエポキシ化合物、ジエポキシ化合物、トリエポキシ化合物またはポリエポキシ化合物のいずれかを加えてエポキシ化合物の架橋反応によりエポキシ化合物架橋シクロデキストリンポリマーを製造する工程において、最終的にシクロデキストリンポリマーが担持されることになる媒体を添加する、シクロデキストリンポリマー含有複合材料の製造方法。
【請求項12】
前記媒体がセルロース化合物であることを特徴とする、請求項11に記載のシクロデキストリンポリマー含有複合材料の製造方法。
【請求項13】
前記媒体が木片であることを特徴とする、請求項11に記載のシクロデキストリンポリマー含有複合材料の製造方法。
【請求項14】
前記媒体がメラミン系ポリマー、ウレタン系ポリマー、スチレン系ポリマー、テトラフルオロエチレン系ポリマー、ナイロン系ポリマー、プロピレン系ポリマー、エチレン系ポリマーまたはアセタール系ポリマーのいずれかであることを特徴とする、請求項11に記載のシクロデキストリンポリマー含有複合材料の製造方法。


【図1】
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【公開番号】特開2009−242556(P2009−242556A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−90442(P2008−90442)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(309015019)地方独立行政法人青森県産業技術センター (52)
【出願人】(504433869)株式会社環境工学 (6)
【上記1名の代理人】
【識別番号】100119264
【弁理士】
【氏名又は名称】富沢 知成
【Fターム(参考)】