説明

シクロプロペンアミン化合物を使用して植物におけるエチレン応答を阻害する方法

植物および植物材料におけるエチレン受容体を阻害するためにシクロプロペンアミン誘導体およびそれらの組成物を適用する方法が開示される。方法には、該植物に、少なくとも1つのシクロプロペンアミン化合物またはその組成物の有効エチレン応答阻害量を適用するステップが含まれる。シクロプロペンアミン化合物、それらのエナンチオマー、立体異性体もしくは塩もまた提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願のデータ
本出願は、2007年6月22日に出願された米国特許仮出願第60/945,777号および2007年7月19日に出願された米国特許仮出願第60/961,183号の利益を主張する。各出願の開示は、全体が引用により本明細書に組み込まれる。
【0002】
政府による後援についての陳述
本研究の態様は、補助金番号US−IS−3493−03CRの下で、二国間農業研究開発基金(BARD)によって後援されている。米合衆国政府は、本発明に所定の権利を有する。
【0003】
本発明は、一般に、シクロプロペンアミン化合物およびそれらの組成物を植物に適用することによって、植物および植物材料におけるエチレン応答を阻害する方法に関する。本発明は、さらに、シクロプロペンアミン化合物、それらのエナンチオマー、立体異性体および塩に関する。
【背景技術】
【0004】
エチレンが植物における様々な生長現象を媒介することは公知である。一般に、Fritz et al.,米国特許第3,879,188号を参照されたい。この活性は、植物内の特異的エチレン受容体を通して達成されると理解されている。エチレン以外の多数の化合物がこの受容体と相互作用し、一部の化合物はエチレンの作用を模倣する。だがその他の化合物は、エチレンが結合するのを妨害し、それによってエチレンの作用を打ち消す。
【0005】
エチレンの作用を遮断する多数の化合物は、エチレン結合部位へ結合することによりその作用を遮断する。残念なことに、それらは数時間かけて結合部位から拡散することが多い。E.Sisler and C.Wood,Plant Growth Reg.7,181−191(1988)を参照されたい。これらのブロッキング化合物を使用すると、エチレン作用を打ち消すことができる。しかしそのような化合物についての問題は、効果を数時間以上持続させなければならない場合は、曝露が持続性でなければならないことである。
【0006】
光親和性標識化は、生物学的試験において永続的方法で結合部位を標識するために、通常はカルベンまたはニトレン中間体を生成することによって使用されてきた。そのような中間体は、一般に反応性であり、多数の組成物と迅速かつ無差別に反応する。しかし既に結合した化合物は、ほとんどは結合部位と反応する。予備試験では、シクロペンタジエンがエチレン結合のための有効なブロッキング剤であることが証明された。E.Sisler et al.,Plant Growth Reg.9,157−164(1990)を参照されたい。ジアゾシクロペンタジエンおよびその誘導体を用いて植物中のエチレン応答に対抗する方法は、E.Sislerらへの米国特許第5,100,462号に記載されている。E.Sislerらへの米国特許第5,518,988号は、エチレンの作用を遮断するためのC−Cアルキル基を有するシクロプロペンの使用について記載している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、これらの努力にも関わらず、当分野では改良された植物の成熟および分解調節を提供するため、ならびに農産物および/または園芸産物におけるエチレン誘導性プロセスを打ち消すために、依然として追加の方法に対する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、式I
【化1】

{式中、
nは、1〜4の整数であり、
Rは、
【化2】

(式中、
mは、1〜3の整数であり、
およびRは、独立して水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、C−Cシクロアルケニル、C−Cシクロアルキニル、ヘテロシクリルもしくはアリールであり、該シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、ヘテロシクリルもしくはアリールは、任意でC−Cアルキル基、C−Cアルケニル基もしくはC−Cアルキニル基を介して窒素に結合している)
である}
のシクロプロペン化合物、またはそのエナンチオマー、立体異性体もしくは塩を含む。
【0009】
一部の実施形態では、上述した化合物の塩は、リン酸塩、酢酸塩、ギ酸塩および炭酸塩からなる群から選択される。
【0010】
特定の実施形態では、化合物は、以下の構造
【化3】

、または、そのエナンチオマー、立体異性体もしくは塩を有する。
【0011】
本発明の実施形態は、(a)式Iの少なくとも1つの化合物と、および(b)農業で許容される担体などのアジュバント(adjuvant)とを含む組成物をさらに提供する。
【0012】
本発明は、植物および植物材料におけるエチレン応答を阻害する方法をさらに含む。方法には、植物におけるエチレン応答を阻害するステップであって、該植物に、式Iの化合物または式Iの少なくとも1つの化合物を含む組成物の有効エチレン応答阻害量を適用することを含むステップが含まれる。
【0013】
該化合物の植物への適用は、該植物と、気体状もしくは塩状の該化合物もしくはそれらの混合物とを接触させること、該植物と該化合物を含む固体とを接触させること、該化合物を含む噴霧を適用すること、該化合物を含む組成物中に該植物を浸漬すること、および該植物を含有する容器へ該化合物を加えることによって実施できる。さらに、本発明の化合物は、開放型または閉鎖型システムで適用できる。特定の実施形態では、本発明の化合物は、屋外で、例えば農作物または景観植物(landscaping plants)に使用できる。
【0014】
本発明の実施形態は、切り花もしくは生鮮農産物(fresh prodcuce)の寿命を延長させる方法であって、該切り花もしくは生鮮農産物に、本明細書に記載したシクロプロペンアミン化合物の有効延命量を適用するステップを含む方法をさらに提供する。
【0015】
本発明の態様は、例えば果実および野菜などの農産物の貯蔵性および保管寿命の延長、切り花の保管および花持ちの延長、農作物の収穫期の延長および/または景観植物の寿命の延長を生じさせることができる。
【0016】
本発明の別の態様によると、本明細書に記載した化合物は、維管束植物におけるエチレン調節プロセスに対する保護を提供するために有用である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】酢酸塩としてのN,N−ジプロピル(1−シクロプロペニルメチル)アミンによるバナナの皮の保護。
【図2】気体または炭酸塩としてのN,N−ジプロピル(1−シクロプロペニルメチル)アミンによるバナナの皮の保護。葉緑素の量は、化合物を用いた処理の7日後およびエチレンを用いた処理の6日後に測定された。
【図3】N,N−ジメチル(1−シクロプロペニルメチル)アミンおよびN,N−ジブチル(1−シクロプロペニルメチル)アミン酢酸塩がバナナの皮における葉緑素分解を保護することに及ぼす効果。各4つのサンプルの処理レベルは、各々が気体として化合物に対して同等活性を有するように調整した。各場合における最低サンプルは、活性において気体としての最小保護レベルと同等である。曝露は24時間実施し、その後にエチレンを適用した。
【図4】気相。これらのバナナは、ジプロピル化合物への気体化合物の曝露の7日後の結果を示す図である。Eの文字で表示されているバナナはエチレンだけを用いて処理されている。これは、化合物が適用されていないので最速成熟を示している。緑色の強度のレベルを比較することによって、化合物の濃度が高いほど、より広範囲のエチレン阻害を示す。チェックマークは、完全に未処理のままで残されたコントロールを表している。10および15μLのジプロピル化合物は、既にエチレン応答を示し始めていた。
【図5】水性相。左側の4本のバナナは、ジメチル化合物の結果を示している。右側の3本のバナナは、ジブチル化合物の結果を示している。化合物を上半分に綿棒で塗り付け(swabbed)、エチレンガスへの曝露4日後に写真を撮影した。ジブチルバナナ上の茶色の斑点は、より広範囲の成熟を示し、したがって同一日数後の保護が低いことを示している。数は、バナナへピペットで移されたμL量を示している。
【図6】様々な化合物の結果。図6Aに示したグラフは、バナナの皮に含まれる葉緑素の含有率(%)を示している。最後2本のバナナ以外の全部は、酢酸を用いて処理されている。コントロールは、化合物またはエチレンを用いた処理が行われていないので、100%葉緑素レベルにあると考えられる(エチレンは成熟を誘導する)。最初の黒色バーはジメチル化合物コントロールであり、次の4本のバーは濃度が高くなるほど葉緑素レベルが高くなることを示している。葉緑素のレベルが高いほどより高レベルの保護を示すが、それは成熟した黄色バナナが有する葉緑素はより新鮮な緑色バナナより少ないためである。次の4本は、ジブチル化合物についてのコントロールとともに、濃度が高くなるほど葉緑素レベルがより高くなるバナナを示している。最後のセットは、ジプロピル化合物を使用している。最後の2本のバーは、炭酸を用いて作製されたジプロピル化合物に対応する。 シクロプロペン化合物間には濃度曲線がある。図6Bのグラフ上に示されている最後の2つの化合物は、より弱い、および/またはより低活性である可能性のある化合物を示している。図6Cのグラフは、図5に示した水性相画像の数値バージョンを示している。y軸上の数字は、未処理で放置されたコントロールに比較した各バナナにおける葉緑素の量を表している。
【図7】気体または炭酸塩としてのN,N−ジプロピル(1−シクロプロペニルメチル)アミン(100nl)による花(タンポポ(Krigia dandelion))の保護。処理は、左から右へ、チェック(コントロール)、エチレン、N,N−ジプロピル(1−シクロプロペニルメチル)アミンの気体状、塩状を含んでいた。花は、水または塩溶液中に48時間にわたり浸漬した。チェックを除く全部に24時間にわたりエチレン処理を受けさせた。
【図8】気体または炭酸塩としてのN,N−ジプロピル(1−シクロプロペニルメチル)アミン(100nl)による花(ペチュニア(Petunia hybhdia))の保護。処理は、左から右へ、チェック(コントロール)、エチレン、N,N−ジプロピル(1−シクロプロペニルメチル)アミンの気体状、塩状を含んでいた。チェックを除く全部に24時間にわたりエチレン処理を受けさせた。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書に開示した化合物は、有意な抗エチレン活性を示すことができる。一部の実施形態では、本明細書に記載した化合物は、エチレン受容体を遮断することができ、気体もしくは塩のいずれかとして、またはそれらの混合物として適用することができる。適用は、噴霧もしくは浸漬技術によって実施することができる。一部の実施形態では、化合物は、気体状の応答速度に匹敵する応答速度を備える塩として適用できる。
【0019】
他に規定しない限り、本明細書で使用する全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する当業者によって一般に理解される意味と同一の意味を有する。さらに、本明細書に引用した全刊行物、米国特許出願、米国特許およびその他の参考文献は、全体が引用により組み込まれる。
【0020】
本発明は、本明細書に記載した開示に基づいて、当業者の知識を参考にして、ならびに米国特許第6,365,549号、米国特許第6,194,350号、および米国特許第5,518,988号書に記載した情報を参考にして実践することができる。
【0021】
本発明を実施するために使用できるシクロプロペンアミン化合物は、当業者には公知である様々な方法を使用することによって調製できる。例えば、Baird et al.によってPreparation and Lithiation of 1−Halogenocyclop ropenes,J.CHEM.SOC.PERKIN TRANS.I 1845−53(1986)の中で記載されている。さらに、シクロプロペンアミン化合物は、N.I.Yakushkina and I.G.BolesovによってDehydrohalogenation of onohalogenocyclopropanes as a Method for the Synthesis of Sterically Screened Cyclopropenes,RUSSIAN J.OF ORGANIC CHEM.15:853−59(1979)の中で記載された方法を用いて調製できる。
【0022】
本発明のシクロプロペンアミン化合物は、式I
【化4】

{式中、nは、1〜4の整数であり、
Rは、
【化5】

(式中、
mは、1〜3の整数である。RおよびRは、独立して水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、C−Cシクロアルケニル、C−Cシクロアルキニル、ヘテロシクリルもしくはアリールであり、該シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、ヘテロシクリルもしくはアリールは、任意でC−Cアルキル基、C−Cアルケニル基もしくはC−Cアルキニル基を介して窒素に結合している)
である}
のシクロプロペンアミン化合物を含む。
【0023】
一部の実施形態では、RまたはRのうちの少なくとも1つは、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、C−Cシクロアルケニル、C−Cシクロアルキニル、ヘテロシクリルまたはアリールである。さらに別の実施形態では、mは1であり、一部の実施形態では、nは1である。さらに別の実施形態では、RおよびRは、独立してC−Cアルキルである。一部の実施形態では、RおよびRは、どちらも同一のC−Cアルキル基である。一部の実施形態では、RまたはRのうちの少なくとも1つは、アリールである。他の実施形態では、RまたはRのうちの少なくとも1つは、C−Cシクロアルケニルであり、該シクロアルケニルは、C−Cアルキル基を介して窒素に結合している。
【0024】
本発明の実施形態は、本明細書に記載したシクロプロペンアミン化合物のエナンチオマー、立体異性体および塩をさらに含む。
【0025】
一部の実施形態では、式Iの塩は、リン酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、炭酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、シュウ酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、ホウ酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、トシル酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフチル酸塩、メシル酸塩、グルコヘプトン酸塩、ラクトビオン酸塩およびラウリルスルホン酸塩からなる群から選択される。一部の実施形態では、式Iの塩は、リン酸塩、酢酸塩、ギ酸塩および炭酸塩からなる群から選択される。特定の実施形態では、式Iの塩は、炭酸塩である。
【0026】
本発明の実施形態によると、化合物は、N,N−ジシクロプロペニルメチルアミン、N,N−ジメチル(1−シクロプロペニルメチル)アミン、N,N−ジエチル(1−シクロプロペニルメチル)アミン、N,N−ジプロピル(1−シクロプロペニルメチル)アミン、N,N−ジブチル(1−シクロプロペニルメチル)アミンまたはN−(1−メチルシクロプロペン)−アニリンである。特定の実施形態では、化合物は、以下の構造
【化6】

を有する。
【0027】
本明細書で使用する用語「アルキル」、「アルケニル」、および「アルキニル」は、未置換または置換されてもよい、直鎖状もしくは分枝状のアルキル、アルケニルもしくはアルキニル置換基を意味する。さらに、ある範囲、例えばC−Cは、炭素鎖がC、C、C、CもしくはC、またはその範囲内に含まれる数値のいずれかを含む任意の範囲、例えばC−Cを意味する。本明細書で使用する用語「ヘテロシクリル」、「複素環」または「複素環式」は、3〜15個の原子、一部の場合には3〜7個の原子を、環の少なくとも1つ内で少なくとも1つのヘテロ原子とともに有する、飽和または部分不飽和の単環式、二環式もしくは三環式基を意味する。本明細書で使用する用語「アリール」は、6〜15個の環原子、一部の場合には6〜10個の環原子を有する単一もしくは縮合炭素環式環系中の芳香族基を意味し、置換芳香族基を含む。アリール基の例には、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチルおよびベンジルが含まれるがそれらに限定されない。
【0028】
本発明の実施形態は、(a)式I
【化7】

{式中、nは、1〜4の整数であり、Rは、
【化8】

(式中、mは、1〜3の整数であり、RおよびRは、独立して水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、C−Cシクロアルケニル、C−Cシクロアルキニル、ヘテロシクリルもしくはアリールであり、該シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、ヘテロシクリルもしくはアリールは、任意でC−Cアルキル、C−CアルケニルもしくはC−Cアルキニル基を介して窒素に結合している)
である}
の化合物、またはそのエナンチオマー、立体異性体もしくは塩の少なくとも1つを含む、実質的にそれからなる、またはそれからなる組成物と、および(b)農業で許容される担体などのアジュバントとをさらに含む。
【0029】
本明細書に記載したシクロプロペンアミン化合物を含む農業用組成物もまた本発明によって包含される。一部の実施形態では、組成物は、0.005〜99重量%、他の実施形態では、1〜95重量%、他の実施形態では2〜90重量%、さらに別の実施形態では3〜80重量%、および一部の実施形態では、4〜70重量%の本発明の活性化合物を含む。本明細書で使用するように、全パーセンテージは重量%であり、すべての部は他に規定しない限り重量部であり、包括的かつ結合可能である。全ての比率は重量比であり、全ての比率範囲は包括的かつ結合可能である。全てのモル範囲は、包括的かつ結合可能である。
【0030】
これらの組成物は、1つ以上のアジュバント、例えば担体、増量剤、結合剤、潤滑剤、界面活性剤および/または分散剤、湿潤剤、展着剤、分散剤、粘着剤、接着剤、消泡剤、増粘剤、および乳化剤などを含むことができる。当分野において一般に使用されるそのようなアジュバントは、John W.McCutcheon,Inc.publication Detergents and Emulsifiers,Annual,Allured Publishing Company,Ridgewood,N.J.,U.S.Aにおいて見いだすことができる。用語「農業用に許容できる担体」は、農学的処方技術工学において通常使用されるアジュバントを意味する。
【0031】
本発明の活性化合物のための担体としては、多数の有機溶媒、例えばヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、灯油、ディーゼル油、燃料油および石油ナフサなどの炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトンおよびシクロヘキサノンなどのケトン類、四塩化炭素などの塩素化炭化水素類、酢酸エチル、酢酸アミルおよび酢酸ブチルなどのエステル類、エチレングリコールモノメチルエーテルおよびジエチレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル類、例えばエタノール、メタノール、イソプロパノール、アミルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチルカルビトールアセテートおよびグリセリンなどのアルコール類を使用できる。
【0032】
活性化合物のための不活性担体として、溶液またはエマルジョンのいずれかとしての水および有機溶媒の混合液もまた使用できる。
【0033】
本発明の活性化合物は、タルク、葉ロウ石、合成微細シリカ、アタパルガスクレイ(attapulgus clay (attaclay))、キーゼルグール、チョーク、珪藻土、石灰、炭酸カルシウム、ベントナイト、フラー土(fuller’s earth)、綿実殻、小麦粉、大豆粉、トリポリ石、木粉、クルミ殻粉、セコイア粉およびリグニンなどのアジュバントまたは担体をさらに含むことができる。
【0034】
本発明の組成物中に湿潤剤を組み込むのが望ましい場合がある。そのような湿潤剤は、固体および液体両方の組成物中で使用できる。湿潤剤は、性質がアニオン性、カチオン性または非イオン性であってもよい。
【0035】
湿潤剤の典型的なクラスには、スルホン酸アルキル塩、スルホン酸アルキルアリール塩、硫酸アルキル塩、スルホン酸アルキルアミド塩、アルキルアリールポリエーテルアルコール、多価アルコールの脂肪酸エステルおよびそのようなエステルの酸化アルキレン付加生成物、ならびに長鎖メルカプタンおよび酸化アルキレンの付加生成物が含まれる。そのような湿潤剤の典型的な例には、アルキル基内に10〜18個の炭素原子を有するアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、例えば、10エチレンオキシド単位を用いて縮合させたp−イソオクチルフェノールなどのアルキルフェノールエチレンオキシド縮合生成物、例えばステアリン酸ナトリウムおよびオレイン酸カリウムなどの石鹸、プロピルナフタレンスルホン酸のナトリウム塩(ジ−2−エチルヘキシル)、スルホコハク酸ナトリウムのエステル、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウムおよびオレイン酸カリウム、ヤシ油脂肪酸のスルホン化モノグリセリドのナトリウム塩、ソルビタン、セスキオレイン酸、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ポリエチレングリコールラウリルエーテル、脂肪酸および樹脂酸のポリエチレンエステル(例、Ethofat(登録商標)7および13、イリノイ州シカゴに所在するAkzo Nobel Chemicals社から市販で入手できる)、N−メチル−N−オレイルタウレートナトリウム、ターキーレッドオイル(Turkey Red oil)、ジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、リグニンスルホン酸ナトリウム(Marasperse(登録商標)N、ウィスコンシン州ロスチャイルドに所在するLignoTech USA社から市販で入手できる)、ステアリン酸ポリエチレングリコール、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、第3級ドデシルポリエチレングリコールチオエーテル、長鎖エチレンオキシド−プロピレンオキシド縮合生成物(例、Pluronic(登録商標)61(分子量、1,000)、ニュージャージー州マウントオリーブに所在するBASF社から市販で入手できる)、セスキオレイン酸ソルビタン、トール油酸のポリエチレングリコールエステル、オクチルフェノキシエトキシエチル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート(Tween(登録商標)20、デラウエア州ウィルミントンに所在するICI Americas社から市販で入手できる)トリス(ポリオキシエチレン)ソルビタンモノステアレート(Tween(登録商標)60、デラウエア州ウィルミントンに所在するICI Americas社から市販で入手できる)、およびジヘキシルスルホコハク酸ナトリウムが含まれる。
【0036】
固体、液体、および気体調製物は、様々な従来型手順によって調製できる。したがって、固体であれば微細な粉末状の有効成分は、微細な粉末状の固体担体と一緒に回転させることができる。または、それらの混合液、溶液、分散液、エマルジョン、および懸濁液を含む液体状にある有効成分は、微細な粉末状にある固体担体と混合することができる。さらに、固体状の有効成分は、混合液、溶液、分散液、エマルジョン、懸濁液などを形成するために液体担体と混合することができる。
【0037】
本発明の実施形態は、植物におけるエチレン応答を阻害する方法であって、該植物に、式I
【化9】

{式中、nは、1〜4の整数であり、Rは、
【化10】

(式中、mは、1〜3の整数であり、RおよびRは、独立して水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、もしくはC−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、C−Cシクロアルケニル、C−Cシクロアルキニル、ヘテロシクリルもしくはアリールであり、該シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、ヘテロシクリルもしくはアリールは、任意でC−Cアルキル基、C−Cアルケニル基もしくはC−Cアルキニル基を介して窒素に結合している)
である}
の少なくとも1つの化合物、またはそのエナンチオマー、立体異性体もしくは塩の有効エチレン応答阻害量を適用するステップを含む、そのステップから実質的になる、またはそのステップからなる方法をさらに含む。
【0038】
一部の実施形態では、mは1であり、他の実施形態では、nは1である。一部の実施形態では、RおよびRは、独立してC−Cアルキルである。別の実施形態では、RおよびRは、どちらも同一のC−Cアルキル基である。一部の実施形態では、RまたはRのうちの少なくとも1つは、アリールである。一部の実施形態では、RまたはRのうちの少なくとも1つはC−Cシクロアルケニルであり、該シクロアルケニルはC−Cアルキル基を介して窒素に結合している。
【0039】
一部の実施形態では、式Iの塩は、リン酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、炭酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、シュウ酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、ホウ酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、トシル酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフチル酸塩、メシル酸塩、グルコヘプトン酸塩、ラクトビオン酸塩およびラウリルスルホン酸塩からなる群から選択される。一部の実施形態では、式Iの塩は、リン酸塩、酢酸塩、ギ酸塩および炭酸塩からなる群から選択される。特定の実施形態では、式Iの塩は、炭酸塩である。
【0040】
一部の実施形態では、化合物が非揮発状の塩として適用される場合は、応答速度は、気体状の応答速度に匹敵する可能性がある。したがって、少なくとも一部の場合では、塩の適用はより効果的に商業的に使用することができ、化合物と受容体との接触を増加させることができる。
【0041】
さらに、エチレン受容体は、受容体二量体サブユニットからなるより高次のクラスターを形成すると考えられる。受容体の二量体は、直接接触を通して隣接二量体のシグナリング状態に影響を及ぼすことができる。したがって、多数の受容体からの伝達物質は、単一リガンド結合事象によって変化させられることがある。本発明の一部の化合物は、エチレン受容体クラスター内での架橋結合に含まれる可能性がある。
【0042】
本発明の活性化合物は、様々な適切な手段によって植物に適用できる。例えば、活性化合物は、気体状、液体状、もしくは固体状で単独で、またはそれらの任意の組み合わせの混合物で、該化合物と処理対象の植物とを接触させることによって適用することができる。さらに、活性化合物は塩状に転換させ、その後に植物へ適用することができる。または本発明の1つ以上の活性化合物を含有する組成物を形成することができる。該組成物は、気体状、液体状、もしくは固体状で、またはそれらの任意の組み合わせの混合物で、該組成物と処理対象の植物とを接触させることによって適用することができる。そのような組成物は、不活性担体を含むことができる。適切な固体担体には、粉塵が含まれる。同様に、気体状の場合は、化合物は気体状溶液を提供するために不活性気体担体中に分散させることができる。活性化合物は、不活性担体として機能できる有機溶媒もしくは水溶液などの液体溶液中に懸濁させることもできる。活性化合物を含有する溶液は、不均一または均一であってもよく、混合液、分散液、エマルジョン、懸濁液などを含む様々な形態であってもよい。
【0043】
活性化合物およびそれらの組成物は、エーロゾルとして、例えば窒素、二酸化炭素、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、またはその他のハロカーボンなどの圧縮気体を用いてそれらを空気中に分散させることによって適用することもできる。
【0044】
したがって、一部の実施形態では、本発明の方法は、植物と、本明細書に記載した少なくとも1つのシクロプロペンアミン化合物の気体状とを接触させること、該植物と、本明細書に記載した少なくとも1つのシクロプロペンアミン化合物を含む固体とを接触させること、本明細書に記載した少なくとも1つのシクロプロペンアミン化合物を含む噴霧(スプレー)を適用すること、本明細書に記載した少なくとも1つのシクロプロペンアミン化合物を含む組成物中に該植物を浸漬すること、および/または該植物を含有する容器に本明細書に記載した少なくとも1つのシクロプロペンアミン化合物を添加することによって実施できる。一部の実施形態では、該植物は、切り花である。
【0045】
本発明は、様々な相違するエチレン応答を緩和(modify)するために使用できる。エチレン応答は、エチレンの外因性または内因性起源のいずれかによって開始され得る。エチレン応答には、例えば、花、果実および野菜の成熟および/または老化;枝葉(foliage)、花および果実の脱離(abscission);鉢植えなどの観葉植物、切り花、低木(shrubbery)、および休眠種子の寿命の短縮;一部の植物(例、エンドウ豆)における生長の阻害;および他の植物(例、コメ)における生長の刺激が含まれる。本発明の活性化合物によって阻害できる追加のエチレン応答もしくはエチレンタイプの応答には、オーキシン活性、頂端生長(terminal grouwth)の阻害、頂芽優勢(apical dominance)の制御、枝分かれの増加、分けつ(tillering)の増加、植物の生化学的組成物の変化(例えば、幹の面積に比較した葉の面積の増加)、開花および種子発生(seed development)の停止もしくは阻害、倒伏効果(lodging effect)、種子発芽および休眠打破の刺激、ならびにホルモンもしくは上偏生長効果(epinasty effect)が含まれるがそれらに限定されない。したがって、一部の実施形態では、本明細書に記載したシクロプロペンアミン化合物は、花、果実、および野菜の成熟もしくは老化;枝葉、花、および果実の脱離;観葉植物、切り花、低木、種子、もしくは休眠苗木の寿命の短縮;生長の阻害;生長の刺激;オーキシン活性;頂端生長の阻害;頂芽優勢の制御;枝分かれの増加;分けつの増加;植物の形態(morphology)の変化;真菌などの植物病原菌に対する感受性の緩和;生化学的組成の変化;病虫害抵抗性の誘導;開花もしくは種子発生の停止もしくは阻害;倒伏効果;種子発芽の刺激;休眠打破;ホルモン効果;および上偏生長のうちの1つ以上を阻害する。一部の実施形態では、植物は、全植物体および/またはそのいずれかの部分、農作物、鉢植え植物、切り花、または収穫された果実もしくは野菜である。一部の実施形態では、エチレン応答は、果実の成熟、野菜の成熟および/または花の老化である。
【0046】
一部の実施形態では、化合物は、閉鎖型もしくは開放型システムで適用できる。一部の実施形態では、化合物は、閉鎖型システム内、例えば屋内では気体として使用できる、または容器内もしくは温室内の植物へ適用できる。他の実施形態では、化合物は、例えばスプレーに入れて、屋外などの開放型システムでは例えば農作物もしくは景観植物上に使用できる塩として使用できる。
【0047】
用語「植物」は、本明細書で包括的な(generic)意味で使用され、樹木および潅木(shrub)などの木茎植物を含み、さらに維管束植物を含む。さらに、他の適切な植物の一覧についてはLH Bailey Manual of Cultivated Plants.MacMillan Publishing Company;revised edition(June 1949)も参照されたい。
【0048】
本明細書に記載した方法によって処理できる植物には、全植物体およびそのいずれかの部分、農作物、景観植物、鉢植え植物、切り花(茎および花)、ならびに収穫された果実および野菜が含まれる。したがって、植物には、生鮮農産物などの農産物、樹木、潅木、鉢植え植物などの景観植物、および花を含む観賞植物が含まれる。
【0049】
本発明の化合物および方法によって処理される植物は、活性化合物の非植物毒性量を用いて処理される。
【0050】
成熟および/または老化を阻害するために本発明の方法によって処理できる野菜には、例えばレタス(例、Lactuea sativa)、ホウレンソウ(Spinaca oleracea)、およびキャベツ(Brassica oleracea)などの葉物野菜、例えばジャガイモ(Solanum tuberosum)およびニンジン(Daucus)などの根菜類、例えば玉ネギ(Allium種)などの球根菜類、例えばバジル(Ocimum basilicum)、オレガノ(Origanum vulgare)、ディル(Anethum graveolens)などのハーブ類、ならびに大豆(Glycine max)、ライマメ(Phaseolus limensis)、エンドウ豆(Lathyrus種)トウモロコシ(Zea mays)、ブロッコリー(Brassica oleracea italica)、カリフラワー(Brassica oleracea botrytis)、およびアスパラガス(Asparagus officinalis)が含まれる。
【0051】
成熟などのエチレン応答を阻害するために本発明の方法によって処理できる果実には、トマト(Lycopersicon esculentum)、リンゴ(Malus domestica)、バナナ(Musa sapientum)、ナシ(Pyrus communis)、パパイヤ(Carica papaya)、マンゴー(Mangifera indica)、モモ(Prunus persica)、アンズ(Prunus armeniaca)、ネクタリン(Prunus persica nectarina)、オレンジ(Citrus種)、レモン(Citrus limonia)、ライム(Citrus aurantifolia)、グレープフルーツ(Citrus paradisi)、タンジェリン(Citrus nobilis deliciosa)、キーウィ(Actinidia chinenus)、例えばカンタロープ(C.cantalupensis)およびマスクメロン(C.melo)などのメロン類、パイナップル(Aranas comosus)、カキ(Diospyros種)、例えばイチゴ(Fragaria)、ブルーベリー(Vaccinium種)およびラズベリー(例、Rubus ursinus)などのベリーを含む様々な小果実類、サヤインゲン(Phaseolus vulgaris)、例えばキュウリ(C.sativus)などのキュウリ属のメンバー、およびアボカド(Persea americana)が含まれる。
【0052】
例えば老化および/または花の寿命の短縮などのエチレン応答を阻害して花の寿命および外観を延長させる(例えば、しおれを遅延させる)ために、本発明の方法によって処理できる観賞植物(ornamental plant)には、鉢植え観賞植物、および切り花が含まれる。本発明を用いて処理できる鉢植え観賞植物および切り花には、アザレア(Rhododendron種)、アジサイ(Macrophylla hydrangea)、ハイビスカス(Hibiscus rosasanensis)、キンギョソウ(Antirrhinum種)、ポインセチア(Euphorbia pulcherima)、サボテン(Cactaceae schlumbergera truncata)、ベゴニア(Begonia種)、バラ(Rosa種)、チューリップ(Tulipa種)、ラッパズイセン(Narcissus種)、タンポポ(Taraxacum offinale)、ペチュニア(Petunia hybrida)、カーネーション(Dianthus caryophyllus)、ユリ(例、Lilium種)、グラジオラス(Gladiolus種)、アルストロメリア(Alstoemeria brasiliensis)、アネモネ(例、Anemone blanda)、オダマキ(Aquilegia種)、タラノキ(例、Aralia chinensis)、アスター(例、Aster carolinianus)、ブーゲンビリア(Bougainvillea種)、ツバキ(Camellia種)、ホタルブクロ(Campanula種)、ケイトウ(celosia種)、ヒノキ(Chamaecyparis種)、キク(Chrysanthemum種)、クレマチス(Clematis種)、シクラメン(Cyclamen種)、フリージア(例、Freesia refracta)、およびOrchidaceae科のランが含まれる。
【0053】
例えば枝葉、花および果実の脱離などのエチレン応答を阻害するために本発明の方法によって処理できる植物には、綿(Gossypium種)、リンゴ、ナシ、サクランボ(Prunus avium)、ピーカン(Carva illinoensis)、ブドウ(Vitis vinifera)、オリーブ(例、Vitis viniferaおよびOlea europaea)、コーヒー(Coffea arabica)、サヤマメ(Phaseolus vulgaris)、およびベンジャミン(ficus benjamina)、ならびに例えばリンゴを含む様々な果樹などの休眠苗木、観葉植物、潅木、および樹木苗木が含まれる。さらに、例えば枝葉の器官脱離などのエチレン応答を阻害するために本発明の方法によって処理できる潅木には、イボタノキ(Ligustrum種)、カナメモチ(Photinia種)、モチノキ(Ilex種)、Polypodiaceae科のシダ類、フカノキ(Schefflera種)、アグラオネマ(Aglaonema種)、コトネアスター(Cotoneaster種)、メギ(Berberis種)、ヤマモモ(Myrica種)、アベリア(Abelia種)、アカシア(Acacia種)およびBromeliaceae科のブロモメリアデスが含まれる。
【0054】
本発明の方法によって処理できる農作物には、野菜、果実、観賞植物および本明細書で考察した植物を含む、樹木、低木(bush)、潅木、植物などの複数または少なくとも2つ以上が含まれる。
【0055】
本発明の活性化合物は、低濃度および様々な温度で適用した場合でさえ、植物、果実および野菜へのエチレン作用の予想外に強力な阻害剤であることが証明されている。特に、本発明の化合物は、従来技術において見出された化合物より長期間にわたってエチレンへの不感受性を生じさせることができる。このより長期間の不感受性は、本発明の化合物が以前の化合物より低い濃度、様々な温度で適用された場合でさえ、および/または気体もしくは噴霧として適用された場合でさえ発生することができる。一部の状況では、より高濃度を使用できる、またはより長い間隔を使用できる。
【0056】
以下の非限定的実施例においてより詳細に本発明を説明する。これらの実施例では、μlはマイクロリットルを意味し、mlはミリリットルを意味し、nlはナノリットルを意味し、lはリットルを意味し、cmはセンチメートルを意味し、温度は摂氏温度で表示している。
【実施例】
【0057】
材料および方法
1.化合物の調製
A.シクロプロペンであるN,N−ジメチル−(1−シクロプロペニルメチル)アミンの調製
シクロプロペンであるN,N−ジメチル−(1−シクロプロペニルメチル)アミンは、2−ブロモ−3−(N,N−ジメチルアミノ)プロペンから調製した。2−ブロモ−3−(N,N−ジメチルアミノ)プロペンは、2,3−ジブロモプロペンおよびジメチルアミンから、Corey et al.(1971)の修正方法によって合成した(例えば、E.J.Corey et al.,The synthesis of racemic α−trans− and β−trans−bergamotene,J.Am.Chem.Soc.,93,7016−7021(1971)を参照されたい)。2−ブロモ−3−(N,N−ジメチルアミノ)プロペンを50%NaOHの存在下でブロモホルムと反応させ、引き続いてメチルリチウムと反応させると、Al Dulayymi et al.(1996および1997)および(Al Dulayymi et al.1997)の方法を用いることによってシクロプロペンであるN,N−ジメチル−(1−シクロプロペニルメチル)アミンが得られた(Al Dulayymi J.R.et al.,Structure based interference with insect behaviour−Cyclopropenes analogs of pheromones containing Z−Alkenes,Tetrahedron,52,12509−12520(1996);Al Dulayymi A.R.et al.,Simple four and five carbon cyclopropane and cyclopropene synthetic intermediates,Russian.J.Org.Chem,33,798−816(1997);Al Dulayymi J.R.et al.,Synthesis of Putative〜6−,12 and〜15−Desaturase Inhibitors.,Tetrahedron,53,1099−1110(1997)を参照されたい)。
【0058】
B.N,N−ジエチル−(1−シクロプロペニルメチル)アミン、N,N−ジプロピル−(1−シクロプロペニルメチル)アミンおよびN,N−ジブチル−(1−シクロプロペニルメチル)アミンの調製
同様な方法を適用することによって、N,N−ジエチル−(1−シクロプロペニルメチル)アミン、N,N−ジプロピル−(1−シクロプロペニルメチル)アミンおよびN,N−ジブチル−(1−シクロプロペニルメチル)アミンもまた適切なジアミン類および2,3−ジブロモプロペンを用いて調製することができる。
【0059】
C.N,N−ジシクロプロペニルメチルアミンの調製
N,N−ジシクロプロペニルメチルアミンは、Bottini et al.(1973)およびBottini and Olsen(1973)の修正方法によって調製し、次にAl Dulayymi et al.(1996)の方法を用いてブロモホルムと50%NaOHとを反応させ、次にメチルリチウムと反応させるとシクロプロペンが得られた(Bottini A.T.Dey et al.,2−Bromoallylamine In Organic Synthesis Collective Vol.5,John Wiley and Sons New York.,121−124,(1973);Bottini,AT et al.,N−(2−bromoallyl)ethylamine In Organic Synthesis Collective Volume 5 John Wiley and Sons New York.124−126,(1973);Al Dulayymi J.R.et al.,Structure based interference with insect behaviour−Cyclopropenes analogs of pheromones containing Z−Alkenes,Tetrahedron,52,12509−12520(1996)を参照されたい)。
【0060】
D.N−(1−シクロプロペニルメチル)アニリンの調製
N−(1−シクロプロペニルメチル)アニリンは、Bottini and Olsen(1973)の修正方法によって調製し、次にAl Dulayymi et al.,(1996)の方法によって50%NaOHおよび続いてメチルリチウムを用いた処理を行うとシクロプロペンが得られた(Bottini,AT et al.,N−(2−bromoallyl)ethylamine In Organic Synthesis Collective Volume 5 John Wiley and Sons New York.124−126,(1973);Al Dulayymi J.R.,et al.,Structure based interference with insect behaviour−Cyclopropenes analogs of pheromones containing Z−Alkenes,Tetrahedron,52,12509−12520(1996)を参照されたい)。
【0061】
シクロプロペンアミン化合物の構造を以下の表1に詳細に例示する。
【0062】
【表1】

【0063】
2.植物材料
コスタリカからの、直ちに市場で販売できる未処理成熟緑色バナナ(Musa paradisiaca L)は、地元のファーマーズ・マーケットから入手し、使用時まで14.5℃で保管した。バナナは、到着後24時間以内に使用した。実験はおよそ22〜23℃で実施した。損傷した果実は、実験には使用しなかった。
【0064】
本明細書に記載した化合物が顕花植物におけるエチレン応答に及ぼす効果を試験するための実験において、公知のエチレン感受性の花であるペチュニア(Petunia hybridia)およびタンポポ(Krigia dandelion)を本実験において使用した。
【0065】
3.処理
気相値を入手するために、気相化合物は、3リットルの瓶内で表面積を増加させるために化合物のエーテル溶液を濾紙上にピペットで移すことによってバナナに適用し、次に化合物を蒸発させて結合部位へ拡散させるために24時間放置した。次に瓶を排気させ、エチレンを注入し、少なくとも15時間にわたり放置し、次にエチレン応答が発生するまで23℃で放置した。
【0066】
シクロプロペンの各塩の効果をアッセイする場合は、塩は湿潤剤としてのTween 20を含有する所望量の水および酸と混合した。通常は、200:lの水、20:lのTween 20および100:lの0.1Mの酸ならびにエーテル中に溶解させた化合物を使用した。これらの塩をバナナに適用した。混合物を広がらせるため、および露出表面積を増加させるために、皮に綿棒で塗り付けた(swabbed)。密封していない3リットルの瓶にバナナを入れ、24時間放置した。炭酸塩の場合には、塩が形成されるように、化合物を十分に長い時間にわたり水中で二酸化炭素に曝露した。この場合には、炭酸塩は、水に溶解させた化合物をCOと混合することによって形成された。1気圧および25℃での水中のCOの濃度は0.0338Mであると報告されている(Daniels and Alberty 1955)(Daniels,F et al.,Physical Chemistry,John Wiley and Sons New York,200(1955)を参照されたい)。炭酸としては約1%のCOしか存在していないが、平衡は相当に迅速に生じ、炭酸が消費されるにつれてより多くが生成される。炭酸は、公表された6.38のpKが通常示すよりはるかに強度の酸である。平衡について補正すると、炭酸については3.58のpK値が得られるが(Cotton et al.1999)、これは炭酸が一般にギ酸より強度であることを示している(Cotton et al.,Advanced Inorganic Chemistry John Wiley and Sons.New York,152(1999)を参照されたい)。24時間の終了時に、エチレンを注入し、瓶を密閉した。15時間の曝露後、バナナを取り出し、エチレンの効果について数日間観察した。各実験には、比較のために、未処理の検査用バナナおよびエチレンだけで処理した同様に未処理のバナナを含めた。
【0067】
一部の試験では、皮の一部分だけを処理した。皮をエチレンに曝露させた場合は、保護されなかった果肉は成熟して大量のエチレンを発生し始めた。皮の未処理部分は急速に成熟し始めたが、処理部分は多数の日数にわたって緑色のままであった。一部の場合には、処理された皮の実質的部分が18日後に緑色のままであった。
【0068】
気相処理のために、化合物は、溶液を濾紙上にピペットで移すことによってバナナに適用する。濾紙は、3リットルの瓶内で表面積を増加させるために使用する。瓶は、植物組織を通してエチレン結合部位へ拡散するために十分な時間を与えるために24時間にわたり密封される。333μl/Lのエチレンガスを瓶に加える。瓶は次に、15時間にわたって再密封される。これは、化合物の有効性を測定するためにエチレンへの最大の曝露を許容する。多数の日数にわたって硬さを記録した。葉緑素の消失は、バナナの皮から葉緑素を抽出することによって決定した。吸光度は分光計で測定した。
【0069】
または水相(塩)処理のために、化合物は酸中の溶液および界面活性剤を混合することによって試験した。界面活性剤であるTween 20は、湿潤剤として使用した。次に溶液を様々な濃度で綿棒を用いてバナナに適用した。次にバナナを瓶内に密封し、上記に記載した気体化合物方法と同一方法で処理した。
【0070】
4.保護のために必要とされる最小量
バナナをエチレンから保護するために必要なシクロプロペンの最小量は、バナナを24時間にわたり化合物に曝露させた後に決定した。この時間後、果実は10分間にわたり排気され、次に333μl/Lのエチレンガス処理に曝露された。これは、シクロプロペン化合物およびバナナを含む大多数の他の試験のための方法であった。この時間を使用したのは、以前の研究との合理的比較が可能なためであった(Sisler et al.1996a;1996b;1999;2001;2003)(Sisler E.C.,et al.,Effect of 1−methylcyclopropene,and methylenecyclopropene on ethylene binding and ethylene action in cut carnations,Plant Growth Reg.,18,79−86,(1996a);Sisler E.C.et al.,Comparison of cyclopropene,1−MCP and 3,3−dimethylcyclopropene as ethylene antagonist in plants,Plant Growth Reg.,18,169−174,(1996b);Sisler E.C.,et al.,Inhibition of ethylene responses by 1−methylcyclopropene and 3−methylcyclopropene,Plant Growth Reg.,27,105−111(1999);Sisler,E.C.,et al.,The effect of chemical structure on the antagonism by cyclopropenes of ethylene responses in banana,Plant Growth Reg.,33,107−110(2001);Sisler,E.C.,et al.,1−Substituted cyclopropenes:Effective blocking agents for ethylene action in plants,Plant Growth Reg.40,221−228(2003)を参照されたい)。
【0071】
5.保護の期間
バナナは、受容体部位を飽和させると考えられる化合物量(保護のための最小量の10倍)に処理された。バナナを24時間にわたり曝露させ、その後排気した。バナナは実験室ベンチ上に保持し、毎日サンプルをエチレンへ曝露させた。バナナをエチレンで処理した日およびバナナが黄変して、柔らかくなった日を記録した。一般に、この観察はエチレン処理日の約3日後に発生した。バナナが最初に成熟した処理日を保護期間と見なした。
【0072】
6.葉緑素の決定
葉緑素は、Arnonの方法(Arnon,DI(1949)Copper content in isolated chloroplasts.Polyphenoloxidase in Beta vulgaris.Plant Physiology 24:1−15)または反射葉緑素計(Field Scout CM 1000 Spectronic Technologies社製)を使用することによって決定した。葉緑素を抽出するために、皮の測定した領域を皮の代表的領域から切り取り、熱湯中に3分間入れた。次にサンプルを取り出し、アセトンと混合した。暗所で一晩放置した後、それらを濾過し、次にフード内で濃縮し、Holden(1965)によって略述された方法に従ってArnon(1949)の方法によって葉緑素を決定した。
【0073】
7.ガスクロマトグラフィおよび分光光度法
ガスクロマトグラフィ測定は、GP Carbopack C 80/100 0.2% Carbowax 1500(Supelco社製、Supelco Park、ペンシルバニア州ベルフォンテパーク 16823−0048)上で実施した。単離は、Sisler et al.2003の方法によって実施した(Sisler,E.C.,et al.,1−Substituted cyclopropenes:Effective blocking agents for ethylene action in plants.Plant Growth Reg.40,221−228(2003)を参照されたい)。
【0074】
バナナの皮のサンプルを切り取り、アセトンと混合して、葉緑素を抽出した。サンプルをエーテル溶液中で作製し、吸光度は663nmで測定した。
【0075】
8.実験結果
化合物の有効性は、数日後のバナナ中に存在する葉緑素の量によって測定した。
【0076】
A.気体として適用されたシクロプロペン化合物の濃度の効果
気体として適用されたシクロプロペン類の結果は、以下の表1に報告されている。24時間の曝露によりバナナを保護するために必要とされる化合物N,N−ジシクロプロペニルメチルアミンの最小濃度は、気体としての化合物5.3nl/lであった。保護期間は、33日間であった。24時間の曝露により保護するために必要とされるN,N−ジメチル−(1−シクロプロペニルメチル)アミンの最小濃度は、気体としての化合物73nl/lであった。保護期間は、34日間であった。24時間の曝露により保護するために必要とされるN,N−ジメチル−(1−シクロプロペニルメチル)アミンの最小濃度は、気体としての化合物の59であった。保護期間は、32日間であった。24時間の曝露により保護するために必要とされるN,N−ジプロピル−(1−シクロプロペニルメチル)アミンの最小濃度は、気体としての化合物の30nl/lであった。保護期間は、33日間であった。24時間の曝露により保護するために必要とされるN,N−ジブチル(1−シクロプロペニルメチル)アミンの最小濃度は、気体としての化合物の184nl/lであった。保護期間は、33日間であった。24時間の曝露により保護するために必要とされるN−(1−メチルシクロプロペン−1−アニリン)の最小濃度は、気体としての化合物の248nl/lであった。保護期間は、32日間であった。
【0077】
B.塩として適用された場合のバナナの皮の葉緑素含量にシクロプロペンの濃度が及ぼす効果
バナナを塩としてのシクロプロペン化合物で処理する実験を実施した。果実の色の変化は幾つかの利点を提供し、化合物とエチレン受容体との相互作用に関する有用な情報を提供し、組織中への拡散を測定するための化合物についての優れたアッセイシステムをさらに提供する。
【0078】
C.様々な酸がシクロプロペン化合物の安定性に及ぼす効果
N,N−ジブチル−(1−シクロプロペニルメチル)アミンを様々な酸もしくは塩とpH1.5への様々なpH値で1時間にわたりインキュベートし、次に化合物を再単離し、通常の処理において使用すると、不活性化はほとんど、または全く発生しなかった(表2を参照されたい)。しかし、これらの化合物は強酸性条件下では不安定であると思われる。Liao et al.は、一部の合成方法ではpHを1〜3へ低下させる。
【0079】
【表2】

【0080】
D.塩が皮への適用および保護に及ぼす効果
シクロプロペン化合物の様々な塩(リン酸塩、酢酸塩およびギ酸塩)の水溶液が適用されると、皮は全ての場合に保護された。以下の表3を参照されたい。
【0081】
【表3】

【0082】
これらは、効果に関して大きくは相違しなかった。酸が過剰である高レベルでは、一部の塩−酸混合物を用いると損傷が発生した。0.2Mまでの酸濃度は、損傷を引き起こさないと思われた。
【0083】
一部の実験は、炭酸塩を用いて実施した(下記の表4を参照されたい)。炭酸塩は他の酸と同等に有効であると思われ、過剰の酸が適用された場合に残留物を残さないという利点を有する。あらゆる過剰は、二酸化炭素として迅速に失われる可能性が高い。他の酸を使用できる。一般に、1.0より高いpHを備える酸が適合する。化合物を用いてバナナの半分を処理し、残り半分を処理しない場合は、処理された半分は保護され、未処理の半分は保護されなかった。未処理の皮は、エチレンに曝露させた場合には成熟した。化合物を用いて処理したバナナの半分を被覆している皮は、化合物の量が保護のために十分に高い場合は成熟しなかった(図2)。バナナの半分と同等の表面量がバナナの中央において処理されると、エチレンに曝露させると両端が成熟したが、処理された部分は成熟しなかった。これらの結果は、塩が皮の表面に浸透し、受容体を不活性化できることを証明している。シクロプロペン化合物が適用された領域から適用されなかった領域内への拡散は無かったようだ。処理された果実において、バナナの果肉は、成熟した。エチレン処理(300μl/l)は24時間後に開始し、15時間持続させた。このプロトコールは、未結合シクロプレン類の作用を迅速に停止させ、受容体のさらなる不活性化を本質的に停止させるはずである。
【0084】
【表4】

【0085】
図3では、線はN,N−ジメチル−(1−シクロプロペニルメチル)アミンおよびN,N−ジブチル−(1−シクロプロペニルメチル)アミンの取込みおよびバナナのエチレンからの保護に関して両アミンの比較を表している。化合物は、同等の活性に基づいて、ジメチル化合物については219nlおよびジブチルシクロプロペンについては552nlで出発する一連の濃度で適用された。これらは各々、第2点については0.5倍、さらに第3点については0.5倍および第4点については1倍増加した。どちらの場合にも、シリーズは1、1.5、2、および2.5である。どちらの場合にも最初の点は気体としての化合物についての最小値の3倍であった(表1を参照されたい)。最小値を決定する際の瓶内の気体の体積の活性は3Lであるので、第1点で使用した量は、バナナを保護するための気体の量についての最小値と近い。適用された化合物の最小値は、図3に示した73nl/lおよび184nl/lの最小保護値の3倍から開始した。2つのシリーズにおける各点は、他方のシリーズの対応点と同一活性を有するはずである。これらの線は、1つの箇所(respect)を除いて相互に似ている。ジメチルシクロプロペンについての最高値と最小値との差は、コントロールの30.9%であり、ジブチルシクロプロペンについてはコントロールの48%であった。ジブチル化合物は、存在する量にしたがって24時間の曝露中の全濃度で受容体を不活性化すると思われる。これはジメチル化合物より1.55倍高速である。
【0086】
E.化合物が開花植物に及ぼす効果
図7および図8は、タンポポおよびペチュニア各々に100nlのN,N−ジプロピル(1−シクロプロペニルメチル)アミンを用いた試験結果を表している。タンポポ(Krigia dandeloin)は、一般に例えば春や夏などの一年の特定期間中に道端に沿って見いだすことのできる雑草として公知である。エチレンは、この植物を休眠状態にすることができるので、そして防衛機構として、この植物は干ばつの場合には休眠状態になることができるので、興味深い。図7に示したように、5日後には、気体状または炭酸塩状のいずれかを用いて化合物で処理したタンポポは、タンポポにおいて生理学的プロセスを調節するためにこれらの化合物を使用できることを示している。ペチュニアは、公知のエチレン感受性の花である。図8に示したように、5日後には、気体状または炭酸塩状のいずれかを用いて化合物で処理したペチュニアは、エチレン応答に抵抗すると思われる。
【0087】
[参考文献]
【表5A】

【表5B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

{式中、
nは、1〜4の整数であり、
Rは、
【化2】

(式中、
mは、1〜3の整数であり、
およびRは、独立して水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、C−Cシクロアルケニル、C−Cシクロアルキニル、ヘテロシクリルもしくはアリールであり、前記シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、ヘテロシクリルもしくはアリールは、任意でC−Cアルキル基、C−Cアルケニル基もしくはC−Cアルキニル基を介して窒素に結合している)
である}
の化合物、またはそのエナンチオマー、立体異性体もしくは塩。
【請求項2】
またはRのうちの少なくとも1つが、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、C−Cシクロアルケニル、C−Cシクロアルキニル、ヘテロシクリルまたはアリールである請求項1に記載の化合物、またはそのエナンチオマー、立体異性体もしくは塩。
【請求項3】
およびRが、独立してC−Cアルキルである請求項1に記載の化合物、またはそのエナンチオマー、立体異性体もしくは塩。
【請求項4】
およびRが、どちらも同一のC−Cアルキル基である請求項1に記載の化合物、またはそのエナンチオマー、立体異性体もしくは塩。
【請求項5】
またはRのうちの少なくとも1つが、アリールである請求項1に記載の化合物、またはそのエナンチオマー、立体異性体もしくは塩。
【請求項6】
またはRのうちの少なくとも1つが、C−Cシクロアルケニルであり、該シクロアルケニルが、C−Cアルキル基を介して前記窒素に結合している請求項1に記載の化合物、またはそのエナンチオマー、立体異性体もしくは塩。
【請求項7】
式Iの前記塩が、リン酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、炭酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、シュウ酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、ホウ酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、トシル酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフチル酸塩、メシル酸塩、グルコヘプトン酸塩、ラクトビオン酸塩およびラウリルスルホン酸塩からなる群から選択される請求項1に記載の化合物、またはそのエナンチオマー、立体異性体もしくは塩。
【請求項8】
以下の構造
【化3】

を有する請求項1に記載の化合物、またはそのエナンチオマー、立体異性体もしくは塩。
【請求項9】
前記化合物が、N,N−ジシクロプロペニルメチルアミン、N,N−ジメチル(1−シクロプロペニルメチル)アミン、N,N−ジエチル(1−シクロプロペニルメチル)アミン、N,N−ジプロピル(1−シクロプロペニルメチル)アミン、N,N−ジブチル(1−シクロプロペニルメチル)アミンまたはN−(1−メチルシクロプロペン)−アニリンである請求項1に記載の化合物、またはそのエナンチオマー、立体異性体もしくは塩。
【請求項10】
(a)式I
【化4】

{式中、
nは、1〜4の整数であり、
Rは、
【化5】

(式中、
mは、1〜3の整数であり、
およびRは、独立して水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、C−Cシクロアルケニル、C−Cシクロアルキニル、ヘテロシクリルもしくはアリールであり、前記シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、ヘテロシクリルもしくはアリールは、任意でC−Cアルキル基、C−Cアルケニル基もしくはC−Cアルキニル基を介して前記窒素に結合している)
である}
の化合物、またはそのエナンチオマー、立体異性体もしくは塩の少なくとも1つと、
(b)アジュバントと
を含む組成物。
【請求項11】
前記アジュバントが、農業用に許容できる担体である請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
植物に、請求項1に記載の少なくとも1つの化合物の有効エチレン応答阻害量を適用するステップを含む、植物におけるエチレン応答を阻害する方法。
【請求項13】
適用が、前記植物と、前記化合物の気体、塩またはそれらの混合物とを接触させることによって実施される請求項12に記載の方法。
【請求項14】
適用が、前記化合物を含む噴霧を適用すること、前記植物を前記化合物を含む組成物中に浸漬すること、または前記植物を含有する容器へ前記化合物を加えることによって実施される請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記植物が、切り花である請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記エチレン応答が、花、果実および野菜の成熟もしくは老化; 枝葉、花および果実の脱離; 観葉植物、切り花、低木、種子もしくは休眠苗木の寿命の短縮; 生長の阻害; 生長の刺激; オーキシン活性; 頂端生長の阻害; 頂芽優勢の制御; 枝分かれの増加; 分けつ(tillering)の増加; 植物の形態の変化; 真菌などの植物病原菌に対する感受性の緩和; 生化学的組成の変化; 病虫害抵抗性の誘導; 開花もしくは種子発生の停止もしくは阻害; 倒伏効果; 種子発芽の刺激; 休眠打破; ホルモン効果; および上偏生長のうちの1つ以上である請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記化合物が、閉鎖型または開放型システムで適用できる請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記植物が、全植物体および/またはそのいずれかの部分、農作物、景観植物、鉢植え植物、切り花、または収穫された果実もしくは野菜である請求項12に記載の方法。
【請求項19】
景観植物に、式I
【化6】

{式中、nは、1〜4の整数であり、
Rは、
【化7】

(式中、
mは、1〜3の整数である、
およびRは、独立して水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、C−Cシクロアルケニル、C−Cシクロアルキニル、ヘテロシクリルもしくはアリールであり、このとき前記シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、ヘテロシクリルもしくはアリールは、任意でC−Cアルキル基、C−Cアルケニル基もしくはC−Cアルキニル基を介して前記窒素に結合している)
である}
の少なくとも1つの化合物、またはそのエナンチオマー、立体異性体もしくは塩を含む調製物の有効エチレン応答阻害量を適用するステップを含む、景観植物の寿命を延長させる方法。
【請求項20】
式Iの前記化合物が、以下の構造
【化8】

の1つ、またはそのエナンチオマー、立体異性体もしくは塩である請求項19に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−530871(P2010−530871A)
【公表日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−513200(P2010−513200)
【出願日】平成20年6月13日(2008.6.13)
【国際出願番号】PCT/US2008/007393
【国際公開番号】WO2009/002407
【国際公開日】平成20年12月31日(2008.12.31)
【出願人】(508290987)ノース・キャロライナ・ステイト・ユニヴァーシティ (7)
【Fターム(参考)】