説明

シクロヘキシルシクロヘキセン環を有するフッ素系液晶化合物、その合成中間体及びこれらの化合物の製造方法

【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕
本発明は電気光学的表示材料として有用なシクロヘキシルシクロヘキセン環を有するフッ素系液晶化合物、その合成中間体及びこれらの製造方法に関する。
〔従来の技術〕
液晶表示セルの代表的なものにエム・シャット(M・Schadt)等〔APPLIED PHYSICS LETTERS 18,127〜128(1971)〕によって提案された電界効果型セル(フィールド・エフェクト・モード・セル)又はジー・エイチ・ハイルマイマー(G・H・Heilmeier)等〔PROCEEDING OF THE I.E.E.E.561162〜1171(1968)〕によって提案された動的光散型セル(ダイミック・スキャッタリング・モード・セル)又はジー・エイチ・ハイルマイヤー(G・H・Heilmeier)等〔APPLIED PHYSICS LETTER 13,91(1968)〕あるいはディー・エル・ホワイト(D・L・White)等〔JOURNAL OF APPLIED PHYSICS 45,4718(1974)〕によって提案されたゲスト・ホスト型セルなどがある。
これらの液晶表示セルの中で現在主流をなすものは、電界効果型セルの一種のTN型セルである。このTN型セルにおいては、G.BauerによってMol.Cryst.Liq.Cryst.63,45(1981)に報告されているように、セル外観を損う原因となるセル表面での干渉縞の発生を防止するために、セルに充填される液晶材料の屈折率の異方性(Δn)とセルにおける液晶層の厚さ(d)μmの積を或る特定の値に設定する必要がある。実用的に使用される液晶表示セルでは、Δn・dの値が0.5、1.0、1.6又は2.2のいずれかに設定されている。通常、Δn・dの値を0.5に設定した場合、視角特性が良くなるという特徴があり、Δn・dの値を1.0、1.6又は2.2に設定した場合、正面からのコントラストが良くなるという特徴がある。従って、どの方向からも見やすい視角特性を重視する液晶表示セルの場合は、Δn・dの値を0.5に設定し、特に正面からのコントラストを重視する液晶表示セルの場合は、Δn・dの値を1.0、1.6又は2.2に設定するのが普通である。
一方、実用的に使用されている液晶表示セルにおける液晶層の厚さは、通常、6〜10μmの設定された範囲で或る値に設定されるため、Δn・dの値を0.5に設定する場合は、Δnの値の小さな液晶材料が必要となり、Δn・dの値を1.0、1.6又は2.2に設定する場合は、逆に、Δnの値の大きな液晶材料が必要となる。このように、液晶表示セルの表示特性に応じてΔnの値が小さい液晶材料とΔnの値が大きい液晶材料が必要とされる。
一方、実用可能な液晶材料の多くは、通常、室温付近にネマチック相を有する化合物と室温より高い温度領域にネマチック相を有する化合物から成る数種又はそれ以上の成分を混合することによって調製される。現在実用的に使用される上記の如き混合液晶の多くは、少なくとも−30℃〜+65℃の全温度範囲に亘ってネマチック相を有することが要求されているため、室温付近又は室温より高い温度領域にネマチック相を有する化合物が必要とされている。
また、TN型セルにおいては、混合液晶の誘電率の異方性(Δε)が正である必要があるため、Δεの値が正のネマチック液晶化合物が必要とされている。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明が解決しようとする課題は、Δnの値が小さく、Δεの値が正で、室温付近又は室温より高い温度領域にネマチック相を有する新規な液晶化合物を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、上記課題を解決するために、一般式

〔式中、Rは炭素原子数1〜9の直鎖状アルキル基を表わし、Xはフッ素原子又は水素原子を表わし、

はトランス(エカトリアル−エカトリアル)配置である。〕
で表わされる化合物を提供する。
更に、本発明は式(I)の化合物の製造方法、その合成中間体及びその製造方法を提供する。
本発明に係わる式(I)の化合物は、次の製造方法に従って製造することができる。




〔上記式(II)〜(VIII)の各式におけるR及びXは式(I)におけるR及びXと同じ意味をもつ。〕
第1段階−式(II)の化合物を無水エーテルあるいは無水テトラヒドロフラン(以下、THFという。)の如きエーテル系溶媒中で式(III)のグリニャール試薬を反応させる。反応終了後、反応混合物に希塩酸を滴下して加水分解し、反応生成物をベンゼン又はトルエンの如き不活性溶媒で抽出し、水洗、乾燥後、抽出液から溶媒を減圧留去し、式(IV)の化合物を製造する。
第2段階−式(IV)の化合物をベンゼン又はトルエンの如き不活性溶媒中で、p−トルエンスルホン酸の存在下で脱水反応させ、反応生成物を、水洗、乾燥後、溶媒を減圧留去し、エタノールから再結晶させることにより式(V)の化合物を製造する。
第3段階−式(V)の化合物をエタノールとn−ヘキサンとの混合溶媒中でラネー・ニッケルを触媒として還元反応させる。反応生成物をろ過し、触媒を除去し、溶媒を減圧留去し、エタノールから再結晶させることにより式(VI)の化合物を製造する。
第4段階−式(VI)の化合物をベンゼン又はトルエンの如き不活性溶媒に溶解し、この溶液を塩酸又は硫酸の如き強酸で処理して加水分解し、水洗、乾燥後、溶媒を減圧留去して式(VII)の化合物を製造する。
第5段階−式(VII)の化合物を、無水エーテルあるいは無水THFの如きエーテル系溶媒中で、n−アルキルマグネシウムブロマイドと反応させる。反応終了後、反応混合物に希塩酸を滴下し、加水分解し、これをベンゼン又はトルエンの如き不活性溶媒で抽出し、水洗、乾燥後、抽出液から溶媒を減圧留去し、式(VIII)の化合物を製造する。
第6段階−式(VIII)の化合物を、ベンゼン又はトルエンの如き不活性溶媒中で、p−トルエンスルホン酸の存在下で脱水反応させ、反応生成物を、水洗、乾燥後、溶媒を減圧留去し、エタノールから再結晶させることにより本発明に係わる式(I)の化合物を製造する。
ここで、式(II)のジシクロヘキシル−4,4′−ジオンモノケタール誘導体も新規な化合物である。
式(II)の化合物は、次の製造方法に従って製造することができる。




第1段階−式(IX)のビフェニル−4,4′−ジオールをエタノール、イソプロパノールの如き、アルコールに溶解し、無水炭酸ナトリウムの存在下、5重量%Pd−Cを還元触媒として中圧還元し、核還元された式(X)のジシクロヘキシル−4,4′−ジオールを製造する。
第2段階−第1段階で得た式(X)の化合物をトルエンの如き無極性有機溶媒に溶解し、クロム酸の如き、酸化剤を用いて酸化し、目的とする式(XI)のジシクロヘキシル−4,4′−ジオンを製造する。
第3段階−第2段階で得た式(XI)の化合物をベンゼン又はトルエンの如き無極性溶媒に溶解し、硫酸水素カリウムの如き酸性触媒の存在下、エチレングリコール2−メルカプトエタノール、1,2−エタンジチオールの如きケタール化剤と脱水縮合させて、式(II)、式(XI)及び式(XII)の化合物を含有する反応混合物を製造する。
第4段階−第3段階で得た反応混合物を水−トルエンの2層系で亜硫酸水素ナトリウムと反応させて、式(XI)の化合物の亜硫酸ナトリウム塩とした後、ろ別する。次に、ろ液を分液し、有機層を減圧乾固した後、得られた反応生成物を酢酸エチルの如き極性有機溶媒に溶解する。この溶液を高濃度の亜硫酸水素ナトリウム水溶液で処理し、式(II)の化合物の塩とした後、ろ取する。得られた結晶をアンモニア水で処理して式(II)の化合物とした後、トルエンで抽出し、水洗した後、溶媒を減圧留去する。得られた抽出物を再結晶等の精製処理を施すことによって、本発明に係わる式(II)の化合物を製造する。
斯くして製造された式(I)の代表的な化合物の転移温度を第1表に掲げる。


本発明の一般式(I)で表わされる化合物は、Xが水素原子であってよく、このとき、Rがn−プロピル基であってよい。また、Xがフッ素原子であってもよく、このとき、Rがn−プロピル基又はn−ペンチル基であってもよい。
本発明に係わる式(I)の化合物は、正の誘電率の異方性を有するネマチック液晶化合物であり、従って例えば、負の誘電率の異方性を有する他のネマチック液晶化合物との混合物の状態で動的光散乱型表示セルの材料として使用することができ、また正又は負の誘電率の異方性を有する他のネマチック液晶化合物との混合物の状態で電界効果型表示セルの材料として使用することができる。
このように、式(I)の化合物と混合して使用することのできるネマチック液晶化合物の好ましい代表例としては、例えば4−置換安息香酸4′−置換フェニルエステル、4−置換シクロヘキサンカルボン酸4′−置換フェニルエステル、4−置換シクロヘキサンカルボン酸4′−置換ビフェニルエステル、4−(4−置換シクロヘキサンカルボニルオキシ)安息香酸4′−置換フェニルエステル、4−(4−置換シクロヘキシル)安息香酸4′−置換フェニルエステル、4−(4−置換シクロヘキシル)安息香酸4′−置換シクロヘキシルエステル、4−置換4′−置換ビフェニル、4−置換フェニル−4′−置換シクロヘキサン、4−置換4′−置換ターフェニル、4−置換ビフェニル4′−置換シクロヘキサン、2−(4−置換フェニル)−5−置換ピリミジンなどを挙げることができる。
式(I)の化合物No.2及びNo.3は、室温でネマチック相を示し、その物性は第2表に示すとおりである。


さらに式(I)の化合物No.1の40重量%、No.2の30重量%及びNo.3の30重量%から成る混合物は、0℃から66℃の間でネマチック相を示し、Δnの値は0.0813、しきい値電圧は2.25V、Δεの値は4.51であった。
これらの結果から、本発明に係わる式(I)の化合物は、室温付近の広い温度範囲にネマチック相を有し、Δnの値が小さく、しかもΔεの値が正のネマチック液晶混合物を調製するのに優れたものであることが理解できる。
〔実施例〕
実施例1 ビフェニル−4,4′−ジオール100g(0.54モル)をイソプロパノール1■に溶解し、この溶液に無水炭酸ナトリウム5g及び5%Pd−C5gを加え、オートクレーブ中水素圧5kg/cm2、100℃で25〜30時間還元した。反応終了後、反応混合物をろ過した後、ろ液からイソプロパノールを減圧留去し、ジシクロヘキシル−4,4′−ジオールの一部を得た。また、ろ過時に得られた結晶をテトラヒドロフラン500mlに熱時溶解した後、ろ過し、ろ液からテトラヒドロフランを減圧留去することによってもジシクロヘキシル−4,4′−ジオールを得た。両方の結晶を合わせ、n−ヘキサン1■に熱時、懸濁させ、そのまま5〜6℃で1時間放置した。析出した結晶をろ取し、減圧乾燥させて、下記化合物93g(0.47モル)を得た。


この化合物93g(0.47モル)をトルエン460mlに溶解し、この溶液を水冷攪拌下、液温を40℃以下に保ちながら、クロム酸ナトリウム2水和物138g(0.46モル)、水525ml、硫酸184ml及び酢酸55mlから調製した混合液を2時間を要して滴下した。滴下終了後、同温度で2時間反応させた後、反応液から有機層を分離した。水層に飽和食塩水1■を加え塩析下、トルエン300mlで2回抽出した。有機層を合わせ、水層が中性となるまで飽和塩食水で洗浄した。次いで、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、トルエンを減圧留去し、残渣をn−ヘキサン500mlと酢酸エチル100mlの混合溶媒から再結晶させて精製して、下記化合物68g(0.35モル)を得た。


この化合物68g(0.35モル)、エチレングリコール26.2g(0.42モル)及び硫酸水素カリウム130mgをトルエン340mlに加え、除水装置を装備した反応容器で加熱還流し、生成する水を反応系外へ除去した。反応終了後、反応液の液温を室温まで放冷し、ガスクロマトグラフィーを用いて反応液の成分を測定した。その結果、反応液は



の混合物であった。
次にこの反応液に、亜硫酸水素ナトリウム14.3g(0.14モル)を水290mlに溶解した水溶液を加え、30分間攪拌し、析出した式

の化合物の亜硫酸水素ナトリウム塩をろ別した。ろ液を分液し、有機層からトルエンを減圧留去し、得られた残渣を酢酸エチル400mlに溶解した。この溶液に、再度、亜硫酸水素ナトリウム70g(0.67モル)を水250mlに溶解した水溶液を加え、30分間攪拌することによって析出した式

の化合物の亜硫酸水素ナトリウム塩をろ取した。この塩を酢酸エチル200mlで2〜3回洗浄した後、多量の10%アンモニア水に加え、30分間攪拌した。反応生成物をトルエン200mlで2回抽出し、有機層を5%亜硫酸水素ナトリウム及び水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をn−ヘキサン500mlと酢酸エチル100mlの混合溶媒から再結晶させて精製して下記化合物28.4gを得た。


実施例2 p−ブロモフルオロベンゼン17.5g(0.100モル)を無水THF80mlに溶解させ、この溶液を金属マグネシウム粉末2.67g(0.110グラム原子)に攪拌しながら30〜40℃で滴下した後、室温で更に2時間反応させてp−フルオロフェニルマグネシウムブロマイドを生成させた。
次に実施例1で得た式

の化合物2.14g(0.0899モル)を無水THF80mlに溶解させ、この溶液を、上記反応で調製したグリニャール試薬中に攪拌しながら15〜20℃で滴下した後、室温で更に1時間反応させた。反応終了後、冷却しながら2%希塩酸100mlを徐々に滴下した後、トルエンで抽出した。中性になるまで抽出液を水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムを加えて抽出液を乾燥した。これを濾過し、濾液から溶媒を減圧留去して下記化合物の粗生成物を得た。


この粗生成物をトルエン150mlに溶解させ、この溶液にp−トルエンスルホン酸−水和物0.5gを加えた後、攪拌しながら還流し、反応によって生成する水をデカンターで除去した。この脱水反応を2時間行なった後、反応混合物を冷却した。トルエン層を水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、トルエンを留去した。得られた反応生成物をエタノールから再結晶させて下記化合物18.5g(0.0585モル)を得た。


この化合物をエタノール90mlと酢酸エチル90mlの混合溶媒に溶解し、ラネー・ニッケル2gを触媒として3kg/m2の水素加圧下で還元した。反応終了後、ラネー・ニッケルを濾過によって分離し、濾液から溶媒を留去して下記化合物の粗生成物を得た。


この粗生成物をトルエン80mlに溶解させ、この溶液に25%硫酸50mlを加えた後、攪拌しながら60℃で3時間反応させた。冷却後、トルエン層を水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、トルエンを留去した。得られた粗生成物をn−ヘキサンから再結晶させて精製し、下記化合物9.74g(0.0355モル)を得た。


次に、n−プロピルブロマイド4.80g(0.0390モル)を無水THF20mlに溶解させ、この溶液を金属マグネシウム粉末1.04g(0.0428モル)に攪拌しながら30〜40℃で滴下した後、室温で2時間反応させてグリニャール試薬を生成させ、これに、上記反応で得た式

の化合物9.74g(0.0355モル)を無水THF20mlに溶解させた溶液を攪拌しながら15〜20℃で滴下した後、室温で更に1時間反応させた。反応終了後、冷却しながら2%希塩酸40mlを徐々に滴下した後、反応混合物をトルエンで抽出した。抽出液を水で中性になるまで洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。抽出液から溶媒を減圧留去し、下記化合物の粗生成物を得た。


この粗生成物をトルエン100mlに溶解させ、この溶液にp−トルエンスルホン酸−水和物0.2gを加えた後、攪拌しながら還流し、反応によって生成する水をデカンターで除去した。この脱水反応を2時間行なった後、反応混合物を冷却した。トルエン層を水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、トルエンを留去した。得られた反応生成物をエタノールから再結晶させて下記化合物6.25g(0.0284モル)を得た。


実施例3 実施例2においてp−ブロモフルオロベンゼンに代えて、3,4−ジフルオロブロモベンゼン19.3g(0.100モル)を用いた以外は、実施例2と同様にして下記化合物を得た。


実施例4 実施例2においてp−ブロモフルオロベンゼンに代えて、3.4−ジフルオロブロモベンゼン19.3g(0.100モル)を用い、n−プロピルブロマイドに代えて、n−ペンチルブロマイドを用いた以外は、実施例2と同様にして下記化合物を得た。


〔発明の効果〕
本発明に係わる式(I)の化合物は、室温又は室温より高い温度領域にネマチック相を有し、屈折率の異方性Δnの値が極めて小さく、しかも誘電率の異方性Δεの値が正の液晶化合物である。
従って、本発明に係わる式(I)の化合物は、視角特性に優れた液晶表示セルを作成するための材料として極めて有用である。
また、本発明に係わる式(II)の化合物は、式(I)の化合物の如きシクロヘキシルシクロヘキセン環を有する化合物又はジシクロヘキサン環を有する化合物を合成するための原料として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】一般式(I)


(式中、Rは炭素原子数1〜9の直鎖状アルキル基を表わし、Xは水素原子又はフッ素原子を表わし、

はトランス(エカトリアル−エカトリアル)配置である。)
で表わされる化合物。
【請求項2】(1) 一般式(II)


(式中、Y及びZは各々独立的に酸素原子又はイオウ原子を表わし、nは2又は3を表わす。)
で表わされる化合物と一般式(III)


(式中、Xは水素原子又はフッ素原子を表わす。)で表わされる化合物とを反応させて得られる反応生成物を加水分解して、一般式(IV)


(式中、Xは水素原子又はフッ素原子を表わし、Y及びZは各々独立的に酸素原子又はイオウ原子を表わし、nは2又は3を表わす。)
で表わされる化合物を製造する第1工程、(2) 前記一般式(IV)で表わされる化合物をp−トルエンスルホン酸の存在下に脱水反応させて、一般式(V)


(式中、Xは水素原子又はフッ素原子を表わし、Y及びZは各々独立的に酸素原子又はイオウ原子を表わし、nは2又は3を表わす。)
で表わされる化合物を製造する第2工程、(3) 前記一般式(V)で表わされる化合物を還元反応させて、一般式(VI)


(式中、Xは水素原子又はフッ素原子を表わし、Y及びZは各々独立的に酸素原子又はイオウ原子を表わし、nは2又は3を表わす。)
で表わされる化合物を製造する第3工程、(4) 前記一般式(VI)で表わされる化合物を強酸の存在下に加水分解して、一般式(VII)


(式中、Xは水素原子又はフッ素原子を表わす。)
で表わされる化合物を製造する第4工程、(5) 前記一般式(VII)で表わされる化合物とn−アルキルマグネシウムブロマイドとを反応させて得られる反応生成物を加水分解して、一般式(VIII)


(式中、Rは炭素原子数1〜9の直鎖状アルキル基を表わし、Xは水素原子又はフッ素原子を表わす。)
で表わされる化合物を製造する第5工程及び(6) 前記一般式(VIII)で表わされる化合物をp−トルエンスルホン酸の存在下に脱水反応させる第6工程からなる請求項1記載の一般式(I)で表わされる化合物の製造方法。
【請求項3】Y及びZが共に酸素原子である請求項2記載の一般式(I)で表わされる化合物の製造方法。

【特許番号】第2743390号
【登録日】平成10年(1998)2月6日
【発行日】平成10年(1998)4月22日
【国際特許分類】
【出願番号】特願昭63−211495
【出願日】昭和63年(1988)8月25日
【公開番号】特開平1−156935
【公開日】平成1年(1989)6月20日
【審査請求日】平成7年(1995)8月11日
【前置審査】 前置審査
【出願人】(999999999)大日本インキ化学工業株式会社