説明

システムキッチン組み込み式給湯装置

【課題】システムキッチン内に設置し、調理器排熱を回収して給湯することにより、高いエネルギー効率を得るとともに、機器排熱を低減させることによる快適性の向上が図れる給湯装置を提供すること。
【解決手段】圧縮機11、放熱器13、減圧手段10、蒸発器12から構成されたヒートポンプ9と、前記放熱器13で加熱された温水を貯湯する貯湯槽16と、前記蒸発器12にシステムキッチン1内の空気を送風する送風手段14とを備え、前記ヒートポンプ9と前記貯湯槽16とをシステムキッチン1の収納スペースの一区画に配設するとともに、前記貯湯槽16に貯湯された温水を、前記システムキッチン1に装備された機器に使用することを特徴とするもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、システムキッチン組み込み式給湯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子レンジや誘導加熱調理器やガスコンロなどの加熱調理器や食器洗浄乾燥機などが装備されたシステムキッチンが増加しており、中でも家族と会話しながら調理できる対面型が好まれるようになってきており、キッチンは団欒の場ともなってきており、快適性も重要になってきている。
【0003】
通常システムキッチンにはシンクが装備されており、システムキッチン外に別途設置されている給湯機から温水が引かれてシンクで温水を使用できるようになっている。また、温水はシステムキッチンに内蔵された食器洗浄乾燥機にも使用される場合もある。
【0004】
給湯機は貯湯式のものや瞬間式のものがあり、ガス、石油、電気ヒータによる加熱以外に、ヒートポンプを利用したものがある。家庭用のヒートポンプ給湯機では、数100Lの大きな貯湯槽に貯湯するエコキュートが普及しつつある。
【0005】
ヒートポンプは、圧縮機、放熱器、減圧手段、蒸発器から形成された冷媒回路内を冷媒を循環させて、吸熱部から放熱部へ熱を移動させることにより、加熱・冷却を可能にするものであるが、一般に放熱・吸熱の温度差が大きいほど、ヒートポンプのエネルギー効率は低い。また、到達できる温度範囲は冷媒の物性によって決まる。
【0006】
エコキュートでは貯湯槽を水で満杯にしておき、生成した温水を貯湯槽の上部から注入することにより上部から序々に下のほうへ温水が貯えられていくようになっている。拡散のため温水と冷水は徐々に混ざり合うが、容量そのものが大きいため、全体がほぼ均一温度になるようなことはなく、貯湯槽全体が温水で満たされていなくても、上部から温水取り出すことにより、十分な温度の温水が常に供給できるようになっている。
【0007】
しかし貯湯式の給湯機では、貯湯槽は大きいためキッチンの近傍に設置することは通常困難であり、貯湯槽からキッチンまで配管を引いているが、その配管内に残った温水は温度が低下する。そのためキッチンで温水を使用しようとするとその配管に残っている分だけ冷めた水が出てくることになり、十分な温度の湯が出るまで水を出し続けなければならず、水を無駄に捨てることになる。
【0008】
これを解決する方法として、蛇口付近で加熱部と蓄熱材により水を加熱するもの(例えば、特許文献1参照)や、主熱源とは別の熱源を内蔵した貯湯槽を蛇口近くに設置し、配管内の冷水がなくなるまでの間、この貯湯槽の温水と水を混合して蛇口から供給するシステム(例えば、特許文献2参照)などが提案されている。
【0009】
一方、キッチンの快適性を向上しエネルギー利用効率を得るものとして、キッチンの排熱を利用するシステムが提案されている。
【0010】
例えば、冷蔵庫の排熱を利用して給湯するもの(例えば、特許文献3参照)、レンジフード上部に水配管を導き、排熱を回収して温水として利用するもの(例えば、特許文献4参照)、食器洗浄乾燥機の洗浄用温水や乾燥時の熱を回収し温水を生成するとともに、排気の不快感を和らげるシステム(例えば、特許文献5参照)、ヒートポンプを用いて給湯すると同時にキッチンのスポット冷房を行うシステム(例えば、特許文献6参照)が提案
されている。
【0011】
また、システムキッチンに内蔵されたさまざまな機器からの排熱を回収し蓄えるというものも提案されている(例えば、特許文献7参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開昭63−217153号公報
【特許文献2】特開昭62−116839号公報
【特許文献3】特開2000−065444号公報
【特許文献4】特開2001−041554号公報
【特許文献5】特開2006−317088号公報
【特許文献6】特開昭61―154512号公報
【特許文献7】特開平9−094124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら上記特許文献1、2では主熱源以外に別途熱源を設けるものであり、利便性向上は実現するが、いずれもエネルギー効率に関しては考慮されていない。
【0014】
高いエネルギー効率を得ようとするシステムとして、上記特許文献3では冷蔵庫の排熱を利用して温水を生成しているが、給湯と冷蔵では温度差が大きく、ひとつのヒートポンプで実現することは困難であり、実現できたとしても、高いエネルギー効率は得られない。
【0015】
また、より多くの給湯量が必要な冬季には冷蔵庫の熱負荷が小さいため、冷蔵庫の排熱で給湯量を確保することは困難で、エネルギー効率という視点では有効ではないという課題がある。
【0016】
また上記特許文献4では、レンジフードに水配管を導き、排熱を回収して温水として利用するので、水配管を引き回しているため配管での熱ロスが避けられないという課題がある。
【0017】
また、上記特許文献5では、食器洗浄乾燥機の高温高湿の排気から熱回収しているが、食器洗浄乾燥機の温水使用量は少ないため、エネルギー効率の向上は実現できない。
【0018】
また、上記特許文献6では、冷房排熱を給湯に利用するものであり、冬季には冷房を使用しないため、その長所が活用できないという課題がある。
【0019】
また、上記特許文献7のシステムでは、蓄熱手段によりシステムキッチン内の機器排熱を蓄えているが、その熱回収の手段やその熱の利用の用途が記されておらず、蓄熱の温度が低ければ有効利用することが困難であるし、十分高い温度であっても熱が利用されないままの状態で放熱してしまったり、離れたところで利用する場合には、熱移動の際の放熱による損失が大きくなるなどの恐れがあり、必ずしも高い効果を得られるとは言えない。
【0020】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、システムキッチン内に設置し、調理器排熱を回収して給湯することにより、高いエネルギー効率を得るとともに、機器排熱を低減させることによる快適性の向上が図れる給湯装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
前記課題を解決するために、本発明のシステムキッチン組み込み式給湯装置は、圧縮機、放熱器、減圧手段、蒸発器から構成されたヒートポンプと、前記放熱器で加熱された温水を貯湯する貯湯槽と、前記蒸発器にシステムキッチン内の空気を送風する送風手段とを備え、前記ヒートポンプと前記貯湯槽とをシステムキッチンの収納スペースの一区画に配設するとともに、前記貯湯槽に貯湯された温水を、前記システムキッチンに装備された機器に使用することを特徴とするもので、システムキッチンに内蔵された機器からの排熱を回収して高いエネルギー効率で温水を生成することが可能になり、水を捨てずに済むという利便性が得られるとともに、排熱によるシステムキッチン近傍の不快感を低減でき、さらに生成した温水を、システムキッチンに装備された機能で使用することにより、その熱を再度給湯に利用するという熱のリサイクルが可能となりさらに高いエネルギー効率が得られるものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、システムキッチン内に設置し、調理器排熱を回収して給湯することにより高いエネルギー効率を得るとともに、機器排熱を低減させることによる快適性の向上が図れる給湯装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態1のシステムキッチンの概略図
【図2】本発明の実施の形態2の給湯装置の概略図
【図3】本発明の実施の形態3のシステムキッチンの概略図
【発明を実施するための形態】
【0024】
第1の発明は、圧縮機、放熱器、減圧手段、蒸発器から構成されたヒートポンプと、前記放熱器で加熱された温水を貯湯する貯湯槽と、前記蒸発器にシステムキッチン内の空気を送風する送風手段とを備え、前記ヒートポンプと前記貯湯槽とをシステムキッチンの収納スペースの一区画に配設するとともに、前記貯湯槽に貯湯された温水を、前記システムキッチンに装備された機器に使用することを特徴とするもので、システムキッチンに内蔵された機器からの排熱を回収して高いエネルギー効率で温水を生成することが可能になり、水を捨てずに済むという利便性が得られるとともに、排熱によるシステムキッチン近傍の不快感を低減でき、さらに生成した温水を、システムキッチンに装備された機能で使用することにより、その熱を再度給湯に利用するという熱のリサイクルが可能となりさらに高いエネルギー効率が得られるものである。
【0025】
第2の発明は、蒸発器をシステムキッチン筐体の端部近傍に配設したことを特徴とするもので、システムキッチンに内蔵された機器からの排熱を効果的に蒸発器に導くことができ、排熱回収効率を高くすることができる。
【0026】
第3の発明は、蒸発器通過後の空気の温度を検出する排気温度検出手段と、屋内の空気の温度を検出する室温検出手段とを備え、蒸発器通過後の空気の温度と屋内の空気の温度とが略同一とになるように、送風手段の送風風量を制御することを特徴とするもので、排気温度を室温と同等になるようにすれば、周囲環境を不快にすることはなく、またヒートポンプの吸熱・放熱の温度差を極力小さくすることになるのでエネルギー効率が高い状態で温水を生成することができる。
【0027】
第4の発明は、複数の貯湯槽を有することを特徴とするもので、拡散により貯湯槽全体が均一温度になることを抑制することができ、温水が満杯でないときにも高温の温水を供給できる。また放熱器に循環する水の温度を低く保つことが可能になり、ヒートポンプのエネルギー効率を高く保つことができる。さらに、この構造により幅の狭いスペースや、
いくつかのスペースに分けて設置することができるという効果もある。
【0028】
第5の発明は、複数の貯湯槽の接続部に閉止手段を設けたことを特徴とするもので、ヒートポンプ停止時に温度検出手段により高温が検出された容器と低温度が検出された容器の間の流路にある閉止手段を閉じることによって、貯湯槽内が均一温度になることをより効果的に抑制することができる。
【0029】
第6の発明は、調理器近傍に調理器からの発熱を吸熱するための冷却用蒸発器を設けたことを特徴とするもので、温水生成と収納スペースの冷却とを同時に行うことができ、かつ冷却・給湯のトータルのエネルギー効率は高くなる。
【0030】
第7の発明は、システムキッチンに収納された機器の運転動作に応じて、圧縮機の運転動作を決定することを特徴とするもので、ヒートポンプは調理器とほぼ連動して運転でき、排熱回収も効果的に行うことができ、高いエネルギー効率で温水を生成することができる。
【0031】
第8の発明は、システムキッチン内の空気の温度を検出する温度検出手段を設け、システムキッチン内の空気を温度が予め設定された温度より高い場合に、圧縮機を運転することを特徴とするもので、調理時には必ずシステムキッチンの筐体内の温度が上昇するので、調理していることを間接的に検知してヒートポンプを運転することができるので、調理器の排熱を回収して高いエネルギー効率で温水を生成できるとともに、システムキッチン近傍の排熱による不快感を低減することができる。
【0032】
また、内蔵機器の停止時でも筐体内の温度が十分高ければ高いエネルギー効率での温水生成が可能であるので、貯湯槽の温水量が少ない場合には、温度検出手段の検出温度にもとづいて運転することにより、高いエネルギー効率で温水生成することができる。
【0033】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0034】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における給湯装置の構成の概略を示すものである。
【0035】
システムキッチン1に、熱を発生する機器として、誘導加熱調理器2、電子レンジ3、食器洗浄乾燥機4が内蔵されており、シンク5も設けられている。また、減圧手段10、圧縮機11、蒸発器12、放熱器13から形成され、圧縮機11、放熱器13、減圧手段10、蒸発器12と順に冷媒が循環するヒートポンプ9と、蒸発器12に送風する送風手段14もシステムキッチン1に内蔵されている。
【0036】
貯湯槽16の水は、水循環回路41に備えられた循環手段40により、水循環回路41を貯湯槽16の下部から前記放熱器13において前記冷媒と対向流となるように循環し、冷媒の熱が放熱器13において水に放熱されて加熱され温水となり、貯湯槽16の上部から貯えられる。また、筐体内部に温度検出手段17、内蔵調理機器と連動させる際に、内蔵調理機器の運転を検出する内蔵機器運転検出手段33が設けられている。
【0037】
誘導加熱調理器2は、調理熱の大部分はシステムキッチン1外部へ放出されるが、電気回路からの発熱分などシステムキッチン1内にもかなりの熱が放出される。電子レンジ3、食器洗浄乾燥機4からの排熱は大部分がシステムキッチン1内に放出される。
【0038】
そのため調理を始めると、システムキッチン1内部の空気温度は上昇する。この時、送
風手段14、圧縮機11を運転すると、システムキッチン1内部の空気が蒸発器12を通過し、冷媒に吸熱することで、温度が低下した空気がシステムキッチン1外部へ放出される。
【0039】
そのため、システムキッチン周辺の排熱による不快感は低減されるとともに、排熱を利用することで高いエネルギー効率で温水を生成することができる。
【0040】
さらにこの温水を食器洗浄乾燥機4で使用すると、温水の熱の多くは再びシステムキッチン1の内部に放出されるので、この熱がまた温水生成に使われることになり、高いエネルギー効率を得ることができる。またシンク5で温水を使用した場合もシステムキッチン1内部に排水管があるので、熱の一部はシステムキッチン1内部に放出されるので、この熱もまた温水生成に利用され、エネルギー効率を高めることができる。
【0041】
また、図1のように蒸発器12がシステムキッチン1の端部近傍に設置すればと、通常大きな開口部がないシステムキッチン1の内部の空気はほぼすべて蒸発器12を通過するので、電子レンジ3、食器洗浄乾燥機4からの排熱だけでなく圧縮機11から発生する熱も効率よく回収することができ、温水生成のエネルギー効率を高めることができる。
【0042】
この場合、システムキッチン1の蒸発器12が設置されている端部からもっとも遠い位置近傍に空気の流入が可能な間隙があり、それ以外の部分はできるだけ密閉に近い構造であれば、より効果的である。
【0043】
さらに、蒸発器を通過してシステムキッチン1の外へ排出される空気の温度を検出する排気温度検出手段31と室温を検出する室温検出手段32を用い、排気温度検出手段30で検出される温度が室温検出手段32で検出される温度とほぼ同じになるように送風手段12の風量を調節すれば、排気温度を低下させすぎることによってヒートポンプのエネルギー効率を犠牲にすることなく、システムキッチン1周辺を排熱によって不快にすることを防ぐことができる。
【0044】
ヒートポンプの運転については、エネルギー効率の向上および排熱による不快感の低減のためには、システムキッチン1に内蔵されている機器と連動させることが必要である。運転方法の一例としては、内蔵機器が運転しているかどうかを検出する運転検出手段33からの信号に基づき、内蔵機器運転と判定された場合、ヒートポンプを運転すればよい。
【0045】
内蔵機器の運転の検出には、内蔵機器のON信号を用いても良いし、振動・音や温度、電流、調理器から発生する電磁波を検出してもよい。この運転方法により内蔵機器を運転している間だけヒートポンプを運転することができ、排熱回収効率が高いことにより、温水生成のエネルギー効率が高くなり、調理排熱による不快感は低減される。
【0046】
また、時刻検出手段により予め設定された時刻に運転開始することによりほぼ内蔵機器と連動させても良い。ヒートポンプは運転開始後すぐにはエネルギー効率が最大の状態にはならないので、調理器から熱が排出されるまでに、起動しておいた方が、排熱回収が効率よく行える場合もある。
【0047】
一般家庭では毎日の調理する時間帯は決まっており、予めヒートポンプの運転開始時刻を調理器の運転が始まる前に設定しておけば、内蔵機器運転開始とともに高効率に温水を生成でき、かつ内蔵機器運転開始とともにヒートポンプの熱回収を高効率に行うことができるので、システムキッチン1外部へ熱を排出せず、システムキッチン1周辺の不快感を低減することができる。
【0048】
また、温度検出手段17によって検出されたシステムキッチン1内部の温度が予め設定された温度以上であれば、運転する方法もある。予め設定する温度としてはある固定した値でも良いし、室温検出手段32により検出された温度としても良い。
【0049】
システムキッチン内部の機器レイアウトや、内部の空間の容積などによっては、内蔵機器を運転開始してもすぐにシステムキッチン1内部の温度が高くならず、この状態でヒートポンプを運転することがエネルギー効率の点で最良ではない場合が考えられ、また逆に内蔵機器が停止後などでもシステムキッチン1内部の温度が高ければ、温水生成のエネルギー効率を高くすることが可能であるので、この運転方法によれば、温水生成のエネルギー効率をより高くすることができる。なお、運転方法は、上記を組み合わせても良い。
【0050】
また、本実施の形態ではシステムキッチン1に内蔵された単独の給湯機の場合について示したが、特許文献1、2のように別の主熱源からの温水配管に接続して、冷水を捨てない目的の構成にしても、高いエネルギー効率とシステムキッチン1周辺の不快感の低減の効果を得ることができる。
【0051】
(実施の形態2)
本発明の第2の実施の形態として、図2を一例に説明する。図1と同一部品には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0052】
図2は複数の空間が3つの場合を示している。21a〜cは小容量貯湯槽でありそれぞれに水温度検出手段24a〜cが設置されており、貯湯槽接続配管23a、bによって接続されている。また貯湯槽接続配管23a、bには閉止弁22a、bが設置されている。
【0053】
小容量貯湯槽21aは水道に接続されており、水が供給される。貯湯槽内の水はポンプ40によって送り出され、放熱器13で熱交換によって加熱されて温水となり、小容量貯湯槽21cに入るようになっている。温水は小容量貯湯槽21cから出て、使われた温水の分だけ小容量貯湯槽21aから順に水が供給される。
【0054】
調理器などからの排熱量が十分であれば、貯湯槽全容量分の温水を生成することができるが、生成できた温水量が少ない場合、実施の形態1のような構成では貯湯槽16に温水部分と冷水部分が混在した状態でヒートポンプが停止することになり、停止中に拡散によって、貯湯槽16全体が均一温度になってしまい、温水として使用できない恐れがある。
【0055】
本実施形態のように、小容量貯湯槽21a〜cを、狭い流路となる貯湯槽接続配管23a、bで接続されていれば、拡散を抑制でき、温度均一化を低減できる。また、このような構成にすることにより、狭いスペースへの設置が可能になるなど設置の自由度が大きくなり、筐体内への設置が容易になるという効果も得られる。
【0056】
さらに各小容量貯湯槽21a〜cに温度検出手段24a〜cと、閉止弁22a、bを設置しておき、内部の水が高温の小容量貯湯槽と低温の小容量貯湯槽の間の貯湯槽接続配管に設置された閉止弁を閉じれば、小容量貯湯槽間の拡散は防止できる。たとえば、小容量貯湯槽21b、c内の水の温度が高く、小容量貯湯槽21a内の水の温度が低ければ、閉止弁22aを閉じておくことで、小容量貯湯槽21b、c内の水の温度を高い状態で維持することができる。
【0057】
なお、本実施の形態では、少容量貯湯槽21a〜cが分離した構造としたが、分離せず一体となった構造であっても複数の空間が狭い流路で隔てられておれば、拡散による温度均一化の低減の効果が得られる。
【0058】
(実施の形態3)
本発明の第3の実施の形態として、図3を一例に説明する。図1と同一部品には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0059】
システムキッチン1に調理器等を収納する収納スペース6の熱を奪って冷却する収納スペース冷却用蒸発器19、放熱手段18、切替弁20a、bが設置されている。調理器からの排熱がない時には、熱回収が収納スペース6のからの熱のみとなるが、この回収熱量が十分である場合は温水生成を行い、回収熱量が小さく十分な温度の温水を生成することが困難になる場合には、切替弁20a、bにより放熱手段18の側へ冷媒を流し、放熱器13への水循環は行わないことにより、収納スペース6の冷却のみのためのヒートポンプ運転とする。
【0060】
これによりひとつのヒートポンプで温水生成と収納スペースの冷却が可能になり、高いエネルギー効率も得ることができる。なお、放熱量が十分に小さい場合は放熱手段18として特別な構成を用いずに冷媒回路の切替えのみで放熱を行っても良いし、冷媒回路からの放熱のみで十分な場合は放熱手段18、切替弁20a、bがない構成にしても良い。
【0061】
またこの時、収納スペース6内部の温度を5〜20℃とすることで、冷暗所保存が必要な調味料や食材を収納して作業効率を高めることができ、かつ冷蔵庫のような低温にする場合よりもヒートポンプのエネルギー効率を高くすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、機器排熱を低減させることによる快適性の向上が図れる給湯装置を提供できるので、ひとつの空間に熱を発生する機器と温水を使用する機能とを備えたシステムであれば適用できる。
【符号の説明】
【0063】
1 システムキッチン
2 誘導加熱調理器
3 電子レンジ
4 食器洗浄乾燥機
5 シンク
6 収納スペース
9 ヒートポンプ
10 減圧手段
11 圧縮機
12 蒸発器
13 放熱器
14 送風手段
16 貯湯槽

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機、放熱器、減圧手段、蒸発器から構成されたヒートポンプと、前記放熱器で加熱された温水を貯湯する貯湯槽と、前記蒸発器にシステムキッチン内の空気を送風する送風手段とを備え、前記ヒートポンプと前記貯湯槽とをシステムキッチンの収納スペースの一区画に配設するとともに、前記貯湯槽に貯湯された温水を、前記システムキッチンに装備された機器に使用することを特徴とするシステムキッチン組み込み式給湯装置。
【請求項2】
蒸発器をシステムキッチン筐体の端部近傍に配設したことを特徴とする請求項1に記載のシステムキッチン組み込み式給湯装置。
【請求項3】
蒸発器通過後の空気の温度を検出する排気温度検出手段と、屋内の空気の温度を検出する室温検出手段とを備え、蒸発器通過後の空気の温度と屋内の空気の温度とが略同一とになるように、送風手段の送風風量を制御することを特徴とする請求項1または2に記載のシステムキッチン組み込み式給湯装置。
【請求項4】
複数の貯湯槽を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のシステムキッチン組み込み式給湯装置。
【請求項5】
複数の貯湯槽の接続部に閉止手段を設けたことを特徴とする請求項4に記載のシステムキッチン組み込み式給湯装置。
【請求項6】
調理器近傍に調理器からの発熱を吸熱するための冷却用蒸発器を設けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のシステムキッチン組み込み式給湯装置。
【請求項7】
システムキッチンに収納された機器の運転動作に応じて、圧縮機の運転動作を決定することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のシステムキッチン組み込み式給湯装置。
【請求項8】
システムキッチン内の空気の温度を検出する温度検出手段を設け、システムキッチン内の空気を温度が予め設定された温度より高い場合に、圧縮機を運転することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のシステムキッチン組み込み式給湯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−276254(P2010−276254A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−128478(P2009−128478)
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】