システムキッチン
【課題】 昇降式のスクリーンを有したシステムキッチンであって、メンテナンス性を考慮したシステムキッチンを提供する。
【解決手段】 本発明では、キャビネットと、前記キャビネット上に配置されるカウンタと、前記カウンタに配置される調理設備と、昇降するスクリーンと、を有するシステムキッチンであって、前記カウンタは、前記キャビネットの背板よりも後方に延出する延出部を備え、前記延出部の下方には、前記スクリーンを収納し、且つ昇降自在とするスクリーン昇降装置が備えられ、前記延出部は、前記スクリーンが昇降するための開口部を備えることを特徴とするシステムキッチンが提供される。
【解決手段】 本発明では、キャビネットと、前記キャビネット上に配置されるカウンタと、前記カウンタに配置される調理設備と、昇降するスクリーンと、を有するシステムキッチンであって、前記カウンタは、前記キャビネットの背板よりも後方に延出する延出部を備え、前記延出部の下方には、前記スクリーンを収納し、且つ昇降自在とするスクリーン昇降装置が備えられ、前記延出部は、前記スクリーンが昇降するための開口部を備えることを特徴とするシステムキッチンが提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、システムキッチンに係り、特にスクリーンを備えるシステムキッチンに関する発明である。
【背景技術】
【０００２】
従来、キッチンの調理設備であるシンクやコンロ等を使用する際、水はねや油はね等によって、キッチンのカウンタや壁等、特に対面型キッチンにおいてはリビング空間やダイニング空間に飛沫が飛び、汚れてしまうという課題があった。
【０００３】
上記課題を解決するため、例えば特許文献１にあるように、流し台の上面後部から垂直方向に立ち上がる突出背板としてガラス板を設け、このガラス板をその両側でホルダに対し着脱可能に差し込んで保持させるというものがあった。
しかしながら、ガラス板はシンク等を使用しない場合においてもカウンタ上に立設しており、作業の邪魔になったり、対面型キッチンにおいては見栄えが悪い等の問題があった。また、カウンタ清掃の際に取り外すことも可能ではあるものの、取り外したガラス板の収納場所を用意する必要があったり、取り外したガラス板の紛失や破損という恐れもあった。
【０００４】
また、例えば特許文献２にあるように、調理台のコンロの周囲に立設して油の飛散を防止する油飛散防止パネルを、フレームと、該フレームに着脱可能であって飛散防止面を形成する面材とで構成するとともに、上下昇降機構を備え、調理台内部より進出・後退可能とする、油飛散防止パネルというものもあった。
しかし、この場合も、キャビネット内に組み込まれているため、メンテナンスしづらいという問題点があった。
【特許文献１】特開２００３−８８４３２号公報
【特許文献２】特開２００５−３２１１７４号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、本発明の課題は、昇降式のスクリーンを有したシステムキッチンであって、メンテナンス性を考慮したシステムキッチンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
発明の一様態によれば、キャビネットと、前記キャビネット上に配置されるカウンタと、前記カウンタに配置される調理設備と、昇降するスクリーンと、を有するシステムキッチンであって、前記カウンタは、前記キャビネットの背板よりも後方に延出する延出部を備え、前記延出部の下方には、前記スクリーンを収納し、且つ昇降自在とするスクリーン昇降装置が備えられ、前記延出部は、前記スクリーンが昇降するための開口部を備えることを特徴とするシステムキッチンが提供される。
【発明の効果】
【０００７】
本発明によれば、調理設備であるシンクやコンロ等の水はね、油はねを防止することができるともに、非使用時には視界を遮ったり、美観を損なったりすることのない格納式スクリーンを有したシステムキッチンにおいて、更にはメンテナンス性の良いシステムキッチンを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００８】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
図１は、本発明の実施の形態に係るシステムキッチン１０の前方斜視図である。
図２は、本発明の実施の形態に係るシステムキッチン１０の後方斜視図である。
【０００９】
本実施例のシステムキッチン１０は、キャビネット２０と、キャビネット２０の上に配置されるカウンタ３０と、カウンタ３０の上に配置される調理器具であるコンロ４０と、同じくカウンタ３０の上に配置されるシンク４５と、コンロ４０およびシンク４５の後方に配置されるスクリーン５０とを備えている。スクリーン５０は強化ガラスによって構成される板状体であり、スクリーン５０の上端部には縁部としてアルミ製のフレーム５１が備えられている。。フレーム５１はスクリーン５０の厚み方向でスクリーン５０の厚みより大きい幅を持ち、スクリーン５０と嵌合するための嵌合部(図示しない)を設けている。スクリーン５０の嵌合部が、スクリーン５０の上端と嵌合することによってスクリーン５０に取り付けられる。フレーム５１は箱状やコの字状の形状でスクリーン５０の上端に嵌合させるようにしても良いし、フレーム５１とスクリーン５０とを一体的に構成しても良い。カウンタ３０は、キャビネット２０の背板２１よりも後方に延出する延出部３１を備えており、スクリーン５０は、延出部３１の上方に立設するように配置されている。カウンタ３０の延出部３１には、スクリーン５０が収納自在に昇降するための開口部３２が設けられ、延出部３１の下方側、且つキャビネット２０の背板２１の外側には、スクリーン５０の格納スペースを有し、且つスクリーンの昇降手段を搭載したスクリーン昇降装置７０が配置されている。
【００１０】
図３は、側面側から見たスクリーン昇降装置７０の詳細図である。
図４は、背面側から見たスクリーン昇降装置７０の詳細図である。
【００１１】
開口部３２とスクリーン５０との間には、スクリーン５０の昇降軌道の案内と保持、開口部３２からのスクリーン昇降装置７０の内部への水の浸入を防止するため、介在部材６０が備えつけられる。介在部材６０は、カウンタ３０の開口部３２の内壁面との当接面に接着剤等によって連結される。また、介在部材６０とカウンタ３０との繋ぎ目部分にはコーキング(図示しない)処理がなされており、水、油等の液体が介在部材６０とカウンタ３０との間に侵入することを防止している。
【００１２】
また、介在部材６０は、カウンタ３０の上面よりも上方に突出する突出部６０ａを有しており、突出部６０ａにはスクリーンが昇降するためのスクリーン昇降開口部６１が設けられる。介在部材６０とスクリーン５０とは、スクリーン５０の昇降軌道の案内と保持、スクリーン５０とスクリーン昇降開口部６１との間の水仕舞いのため、できる限り隙間なく構成されている。また、スクリーン５０とスクリーン昇降開口部６１との間の水仕舞いため突出部６１ａが設けられる。スクリーン昇降装置７０のスクリーン収納部となる筐体７１には、スクリーン５０が昇降するための収納開口部７１ａが設けられており、スクリーン５０は筐体７１の収納開口部７１ａを通じて昇降を行う。収納開口部７１ａを通って昇降するスクリーン５０は、スクリーン昇降開口部６１を通じて、カウンタ３０上に立設、あるいはスクリーン昇降装置７０に収納される。収納開口部７１ａ周辺には、開口部３２の内壁に当接し係合するように筐体７１の上面から上方に延出する位置決め手段である突起部７１ｂが設けられる。筐体７１の上面とカウンタ３０の延出部３１とは、筐体７１の突起部７１ｂがカウンタ３０の開口部３２に係合し、筐体７１の収納開口部７１ａと介在部材６０のスクリーン昇降開口部６１の位置が一致するよう、ねじ等（図示しない）の取付部材によってカウンタ３０の延出部３１の裏面に固定される。また、筐体７１のキャビネット２０との当接面と対向する面には蓋部７１ｃで構成され、筐体７１と着脱自在となっている。蓋部７１ｃを取り外すことにより、スクリーン昇降装置７０をシステムキッチン１０から取り外すことなくスクリーン昇降装置７０の内部を露出させることができる。
【００１３】
次に、システムキッチン１０の組立方法について説明する。第一の組立方法としては、まずカウンタ３０にスクリーン昇降装置７０を取り付ける。取り付け方法としては、前述したように、ねじ等の取付部材によってカウンタ３０の延出部３１の裏面に、スクリーン昇降装置７０を固定する。この際、カウンタ３０は何にも取り付けられていないため、立てたり裏返したりといった操作が自由に行えるため、スクリーン昇降装置７０を取付けやすい姿勢を取ることができる。そして、スクリーン昇降装置７０を取り付けたカウンタ３０を、キャビネット３０の上方に位置させ、固定する。このとき、スクリーン昇降装置７０がキャビネットの背板の後方に位置するように、カウンタ３０をキャビネット３０に固定する。また、第一の組立方法としては、まずキャビネット２０にカウンタ３０を取り付ける。このとき、カウンタ３０の一部がキャビネット２０の背板よりも後方に延出する延出部３１を構成するように、カウンタ３０をキャビネット２０に固定する。そして、カウンタ３０の延出部３１の裏面より、スクリーン昇降装置７０を取付部材を用いて固定する。この際にも、延出部３１がキャビネット２０の背板よりも外側に位置していることから、取付作業を楽に行うことができる。また、既に施工されているシステムキッチンにスクリーン昇降装置７０を取り付ける場合には、第二の方法を用いることで、容易にスクリーン昇降装置７０を取り付けることが可能となる。
【００１４】
次に、スクリーン昇降装置７０の詳細について説明する。
スクリーン昇降装置７０は、スライドレール７２が上下方向に延在するように備えられており、スライドレール７２には、スライドレール７２に沿ってキャリア７３が昇降自在に取り付けられている。キャリア７３には一本のワイヤ７４がスライドレール７２の両端に設けられたプーリー（図示しない）を介して連結している。またワイヤ７４にはモーター・ギヤ部７５が接続されており、電源・制御部７６より電力を供給されたモーターの回転によりワイヤー７４を手繰り寄せることで、キャリア７３を上下にスライドさせる。キャリア７３のスライドの上下方向はモーターの回転方向によって決まり、電源・制御部７６の制御によりモーターの回転方向を切り替えることによって、キャリア７３を上下にスライドさせている。キャリア７３にはスクリーン５０が取り付けられており、モーターの回転と向きを制御することにより、キャリア７３に着脱自在に取り付けられたスクリーン５０を自在に昇降させることができる。
【００１５】
次に、システムキッチン１０の使用シーンとスクリーンの昇降動作の説明を通じて、本発明の作用と効果について説明する。
システムキッチン１０のコンロ４０やシンク４５を用いて調理作業を行う際、使用者はまず、スイッチ等によってスクリーン昇降装置７０のモーターを駆動させる。モーターの回転によりワイヤー７４が手繰り寄せられ、キャリア７３とそれに取り付けられたスクリーン５０とが、スライドレール７２に沿って上昇する。上方向にスライドするスクリーンは、筐体７１の収納開口部７１ａとカウンタ３０の開口部３２および介在部材６０のスクリーン昇降開口部６１を通ってカウンタ３０上に延出する。
コンロ４０等の後方に備えられたスクリーン５０を上昇させてカウンタ３０の上方に延出させてから調理作業を行うことにより、スクリーン５０が後方に飛散する液体等を受け止めることができる。これにより、システムキッチン１０の後方に液体等が飛散することはなく、システムキッチン１０の後方に位置する壁や、対面型キッチンにおいてはダイニング空間やリビング空間を汚すことがないため、衛生的である。
この時、開口部３２に設けられた介在部材６０とスクリーン５０とが隙間無く設置されているため、スクリーン５０は介在部材６０によって案内・支持され、安定した状態でカウンタ３０上に立設する。また、スクリーン５０にかかった液体等がスクリーン５０を伝って下方に流れたとしても、スクリーン５０と介在部材６０とが隙間無く配置されているため、スクリーン昇降装置７０内部に液体等が侵入しにくい構造となっている。また、スクリーン５０が上方に延出している場合においても、介在部材６０の突出部６０ａおよびスクリーン昇降開口部６１は、カウンタ３０の上面よりも高い部分に位置する。これにより、カウンタ３０上に液体等をこぼしてしまったとしても、カウンタ３０の上面を伝う液体は突出部６０ａに阻まれ、スクリーン昇降装置７０内に侵入することはなく、安全である。
【００１６】
調理等の作業が終わった後など、スクリーン５０を使用しない状態の場合は、モーターギア部７５から延びるワイヤ７４を上昇時とは逆方向に回転させることにより、ワイヤ７４に接続されたキャリア７３とそれに取り付けられたスクリーン５０がスライドレール７２に沿って降下する。スクリーン５０が下降している際も、スクリーン５０と介在部材６０はほぼ当接しているため、スクリーン昇降装置７０の内部への液体等の侵入を防止するという機能が損なわれることはない。また、スクリーン５０が下方に降下している場合においても、介在部材６０の突出部６０ａおよびスクリーン昇降開口部６１は、カウンタ３０の上面よりも高い部分に位置する。これにより、カウンタ３０上に液体等をこぼしてしまったとしても、カウンタ３０の上面を伝う液体は突出部６０ａに阻まれ、スクリーン昇降装置７０内に侵入することはなく、安全である。
【００１７】
図５は、スクリーン５０が収納状態にある時の開口部付近の側面図である。図５において、スクリーン昇降装置７０は、背板２１にねじ等(図示しない)によって取り付けられている。
スクリーン５０を下降させることにより、スクリーン５０をスクリーン昇降装置７０の筐体７１内に収納する。スクリーン５０を最も下方に下降させて筐体７１に収納させた状態において、スクリーン５０の上辺部であるフレーム５１は、介在部材６０と当接する。これにより、スクリーン５０を最も下方まで下降させた状態においては、フレーム５１がスクリーン昇降開口部６１を覆う蓋の役割を果たし、スクリーン昇降開口部６１からのスクリーン昇降装置７０内部への液体等の侵入を防止することができる。
また、スクリーン５０を最も下方まで下降させた状態においても、突出部６０ａおよびスクリーン昇降開口部６１は、カウンタ３０の上面よりも高い部分に位置する。これにより、カウンタ３０上に液体等をこぼしてしまったとしても、カウンタ３０の上面を伝う液体は突出部６０ａに阻まれ、スクリーン昇降装置７０内に侵入することはなく、安全である。
また、スクリーン５０を筐体７０に収納した際のカウンタ３０上には、スクリーン５０の上端に位置したフレーム５２と介在部材６０の突出部６０ａが存在するのみであり、システムキッチン１０の作業における邪魔にはならない。更に、対面キッチンにおいては、スクリーン５０が格納可能とすることで、本来のメリットであるオープンな空間を犠牲にすることなくシステムキッチン１０の美観を保つことができる。また、コンロで使用した場合には飛散を防ぐだけでなく、臭い、煙、熱などの拡散をスクリーン５０が防ぐため、換気扇の補修力アップも期待できる。
【００１８】
次に、スクリーン昇降装置７０の取り付け及びメンテナンス方法について説明する。
スクリーン昇降装置７０は、カウンタ３０の延出部３１に下方側、且つキャビネット２０の背面側に設置固定される。これにより、キャビネット２０の内部の状態に関係なくスクリーン５０およびスクリーン昇降装置７０を設けることができ、キャビネット２０の内部のスペースを削ることもない。更に、キャビネット２０の外側に設置することができるため、組み立て・取り付けが楽に行え、また、メンテナンスや故障時のスクリーン昇降装置７０へのアプローチが楽になるというメリットがある。
スクリーン昇降装置はカウンタ３０の延出部３１に設置固定されるが、収納開口部７１ａ周辺には、開口部３２の内壁に当接し係合するように筐体７１の上面から上方に延出する位置決め手段である突起部７１ｂが設けられている。筐体７１の突起部７１ｂがカウンタ３０の開口部３２に係合し、筐体７１はねじ等によってカウンタ３０の延出部３１の裏面に固定される。位置決め手段である突起部７１ｂによって、カウンタ３０の開口部３２の位置を基準にスクリーン昇降装置７０が取り付けられるため、スクリーン昇降開口部６１とカウンタ３０の開口部３２の間口合わせが容易に行える。これにより昇降するスクリーン５０が介在部材６０のスクリーン昇降開口部６１に精度よく納まり、スムーズな昇降動作が可能となる。また、筐体７１のキャビネット２０と反対側の面には蓋部７１ｃが着脱自在に設けられている。これにより、スクリーン昇降装置７０をシステムキッチンに設置したあとでも、スクリーン昇降装置７０を取り外すことなく、キャビネットの外側から簡単にスクリーン昇降装置７０の内部を露出させることができため、メンテナンス性も向上することとなる。なお、介在部材６０の取り付け方は、スクリーン昇降装置７０をカウンタ３０に取り付けた後、スクリーン５０をスクリーン昇降開口部６１の下方より通した後にフレーム５１を取り付ける。あるいは、先にカウンタ３０に介在部材６０を取りつけた上で、キャリア７３より取り外したスクリーン５０にフレーム５１を取り付け、スクリーン５０をスクリーン昇降開口部６１の上方より差し込み、その後スクリーン５０とキャリア７３を取り付けるようにしてもよい。また、介在部材６０を軟質部材で形成している場合は、フレーム５１を取りつけた状態のスクリーン５０であっても、介在部材６０が弾性変形することによって、スクリーン昇降開口部６１の下方よりスクリーン５０を差し入れることが可能である。
【００１９】
本実施例によれば、昇降機構を備えるスクリーン５０を上昇させ、カウンタ３０の上方に延出させることにより、コンロ４０等の調理器具より飛散する水や油等の液体等をシステムキッチン１０の後方の壁等に飛散させることを防ぐことができるため、飛沫による汚れ等を防止することができる。特に対面キッチンにおいては、対面側のダイニングやリビングに水や油を飛散させることがなく、衛生的である。スクリーン５０を使用しない場合は、スクリーン５０を下降させてカウンタ３０の下方に格納することにより、カウンタ３０上の開放空間を犠牲にすることなく、システムキッチン１０を用いての作業の邪魔にならない。また、対面型キッチンにおいては、対面型キッチンの本来のメリットであるオープンな空間を損なうこともなく、システムキッチン１０の美観を保つことができる。カウンタ３０の開口部３２には介在部材６０およびスクリーン昇降開口部６１が設けられており、スクリーン５０は筐体７１の収納開口部７１ａとカウンタ３０の開口部３２およびスクリーン昇降開口部６１を通って昇降する。その際、スクリーン５０が介在部材６０にほぼ当接しているため、安定した状態を保ったままスクリーン５０の昇降および保持を行うことができる。更に、スクリーン５０に飛散した液体等がスクリーン５０を伝って下方に移動しても、スクリーン５０と介在部材６０との間に液体等が侵入しにくい構造となっている。また、カウンタ３０と介在部材６０との繋ぎ目部分にコーキング(図示しない)を施すことにより、カウンタ３０と介在部材６０の間への油等の侵入を防止している。さらに、介在部材６０の突出部６０ａおよびスクリーン昇降開口部６１がカウンタ３０から上方に突出していることにより、カウンタ３０上を流れる油等の液体がスクリーン昇降装置７０内部に侵入するのを防ぐことができる。また、スクリーン５０を収納するため筐体７１やスクリーン５０の昇降機構を備えるスクリーン昇降装置７０がキャビネット２０の外側に設けられていることにより、キャビネット２０の内部の状態に関係なくスクリーン５０を設けることができる。すなわち、キャビネット２０の収納スペースを削ることがなく、キャビネット２０に依存することなくスクリーン５０を設けることができる。また、キャビネット２０の外側に設けられていることにより、スクリーン昇降装置７０の取り付けやメンテナンスなどを簡単に行うことができる。また、スクリーン昇降装置７０をカウンタ３０に設置固定する際、収納開口部７１ａ周辺には、開口部３２の内壁に当接し係合するように筐体７１の上面よりも上方に延出する位置決め手段である突起部７１ｂが設けられる。筐体７１の上面とカウンタ３０の延出部３１とは、筐体７１の突起部７１ｂとカウンタ３０の開口部３２に係合し、筐体７１の収納開口部７１ａとスクリーン昇降開口部６１との間口合わせが容易にかつ精度よく取り付け可能となり、作業性を向上させることができる。更に、筐体７１のキャビネットと反対側の面には蓋部７１ｃが設けられているため、スクリーン昇降装置７０をシステムキッチンに設置したあとでも、スクリーン昇降装置７０を取り外すことなく、キャビネットの外側から簡単にスクリーン昇降装置７０の内部を露出させることができ、メンテナンス性も向上することとなる。
【００２０】
介在部材６０とスクリーン昇降装置７０とは、本実施例においては別体で設けられているが、図６は、本発明の他の実施の形態に係る介在部材の概略図である。図６のように、介在部材６０をカウンタ３０の開口部３２から筐体７１まで貫通して介在するような形としても良い。この場合、介在部材６０は筐体７１の内部よりスクリーン昇降開口部６１を介して挿入設置される。その後、介在部材６０の筐体７１より上方に突出した部分が、カウンタ３０の開口部３２に挿入設置される。スクリーン昇降装置７０の固定の際には、筐体７１の内部より、介在部材６０と筐体７１が、ねじ９０によってカウンタ３０の延出部３１の裏面に固定する。これにより、スクリーン昇降装置７０の設置の際に、開口部３２や収納開口部７１ａ、スクリーン昇降開口部６１の間口合わせを気にすることなく設置できるため、スクリーン昇降装置７０の取り付けが容易となる。
【００２１】
図７は、本発明の他の実施の形態に係る介在部材の概略図である。
図８は、本発明の他の実施の形態に係る介在部材の概略図である。
介在部材６０には、図７のように、水仕舞いの効果を更に向上させるため、水の浸入を防止する部材として、軟質シール部６０ｂを設けても良い。本実施例において、軟質シール材６０ｂは、介在部材６０のスクリーン昇降開口部６１に設けられる。スクリーン５０が昇降時、あるいは最も上昇してカウンタ３０上に立設している状態において、軟質シール部６０ｂは、キッチンスクリーン５０と当接するように設けられている。これにより、スクリーン５０がカウンタ３０上に立設している際、スクリーン昇降装置７０の内部への液体等の侵入を防止する機能は更に向上することとなる。
スクリーン５０を最も下降させ、筐体７１に収納した状態においても、軟質シール部６０ｂがスクリーン５０と当接している（図８）。軟質シール部６０ｂはフレーム５１と介在部材６０とが当接する部分において、その間に位置して隙間を埋める働きをする。これにより、スクリーン昇降装置７０内部への液体等の侵入を防止する効果は、更に向上することとなる。
【００２２】
以上、実施例を参照しつつ本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。本発明の要旨を変更しない範囲において適宜設計変更して採用したものも、本発明の要旨を有する限りにおいて本発明の範囲に包含される。
【図面の簡単な説明】
【００２３】
【図１】本発明の実施の形態に係るシステムキッチン１０の斜視図である。
【図２】本発明の実施の形態に係るシステムキッチン１０の側面図である。
【図３】側面側から見たスクリーン昇降装置７０の詳細図である。
【図４】背面側から見たスクリーン昇降装置７０の詳細図である。
【図５】スクリーン５０が収納状態にある時の開口部付近の側面図である。
【図６】本発明の他の実施の形態に係る介在部材の概略図である。
【図７】本発明の他の実施の形態に係る介在部材の概略図である。
【図８】本発明の他の実施の形態に係る介在部材の概略図である。
【符号の説明】
【００２４】
１０ システムキッチン
２０ キャビネット
２１ 背板
３０ カウンタ
３１ 延出部
３２ 開口部
４０ コンロ
４５ シンク
５０ スクリーン
５１ フレーム
６０ 介在部材
６０ａ 突出部
６０ｂ 軟質シール部
６１ スクリーン昇降開口部
７０ スクリーン昇降装置
７１ 筐体
７１ａ 収納開口部
７１ｂ 突起部
７１ｃ 蓋部
７２ スライドレール
７３ キャリア
７４ ワイヤ
７５ モーター・ギア部
７６ 電源・制御部
９０ ねじ
【技術分野】
【０００１】
本発明は、システムキッチンに係り、特にスクリーンを備えるシステムキッチンに関する発明である。
【背景技術】
【０００２】
従来、キッチンの調理設備であるシンクやコンロ等を使用する際、水はねや油はね等によって、キッチンのカウンタや壁等、特に対面型キッチンにおいてはリビング空間やダイニング空間に飛沫が飛び、汚れてしまうという課題があった。
【０００３】
上記課題を解決するため、例えば特許文献１にあるように、流し台の上面後部から垂直方向に立ち上がる突出背板としてガラス板を設け、このガラス板をその両側でホルダに対し着脱可能に差し込んで保持させるというものがあった。
しかしながら、ガラス板はシンク等を使用しない場合においてもカウンタ上に立設しており、作業の邪魔になったり、対面型キッチンにおいては見栄えが悪い等の問題があった。また、カウンタ清掃の際に取り外すことも可能ではあるものの、取り外したガラス板の収納場所を用意する必要があったり、取り外したガラス板の紛失や破損という恐れもあった。
【０００４】
また、例えば特許文献２にあるように、調理台のコンロの周囲に立設して油の飛散を防止する油飛散防止パネルを、フレームと、該フレームに着脱可能であって飛散防止面を形成する面材とで構成するとともに、上下昇降機構を備え、調理台内部より進出・後退可能とする、油飛散防止パネルというものもあった。
しかし、この場合も、キャビネット内に組み込まれているため、メンテナンスしづらいという問題点があった。
【特許文献１】特開２００３−８８４３２号公報
【特許文献２】特開２００５−３２１１７４号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、本発明の課題は、昇降式のスクリーンを有したシステムキッチンであって、メンテナンス性を考慮したシステムキッチンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
発明の一様態によれば、キャビネットと、前記キャビネット上に配置されるカウンタと、前記カウンタに配置される調理設備と、昇降するスクリーンと、を有するシステムキッチンであって、前記カウンタは、前記キャビネットの背板よりも後方に延出する延出部を備え、前記延出部の下方には、前記スクリーンを収納し、且つ昇降自在とするスクリーン昇降装置が備えられ、前記延出部は、前記スクリーンが昇降するための開口部を備えることを特徴とするシステムキッチンが提供される。
【発明の効果】
【０００７】
本発明によれば、調理設備であるシンクやコンロ等の水はね、油はねを防止することができるともに、非使用時には視界を遮ったり、美観を損なったりすることのない格納式スクリーンを有したシステムキッチンにおいて、更にはメンテナンス性の良いシステムキッチンを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００８】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
図１は、本発明の実施の形態に係るシステムキッチン１０の前方斜視図である。
図２は、本発明の実施の形態に係るシステムキッチン１０の後方斜視図である。
【０００９】
本実施例のシステムキッチン１０は、キャビネット２０と、キャビネット２０の上に配置されるカウンタ３０と、カウンタ３０の上に配置される調理器具であるコンロ４０と、同じくカウンタ３０の上に配置されるシンク４５と、コンロ４０およびシンク４５の後方に配置されるスクリーン５０とを備えている。スクリーン５０は強化ガラスによって構成される板状体であり、スクリーン５０の上端部には縁部としてアルミ製のフレーム５１が備えられている。。フレーム５１はスクリーン５０の厚み方向でスクリーン５０の厚みより大きい幅を持ち、スクリーン５０と嵌合するための嵌合部(図示しない)を設けている。スクリーン５０の嵌合部が、スクリーン５０の上端と嵌合することによってスクリーン５０に取り付けられる。フレーム５１は箱状やコの字状の形状でスクリーン５０の上端に嵌合させるようにしても良いし、フレーム５１とスクリーン５０とを一体的に構成しても良い。カウンタ３０は、キャビネット２０の背板２１よりも後方に延出する延出部３１を備えており、スクリーン５０は、延出部３１の上方に立設するように配置されている。カウンタ３０の延出部３１には、スクリーン５０が収納自在に昇降するための開口部３２が設けられ、延出部３１の下方側、且つキャビネット２０の背板２１の外側には、スクリーン５０の格納スペースを有し、且つスクリーンの昇降手段を搭載したスクリーン昇降装置７０が配置されている。
【００１０】
図３は、側面側から見たスクリーン昇降装置７０の詳細図である。
図４は、背面側から見たスクリーン昇降装置７０の詳細図である。
【００１１】
開口部３２とスクリーン５０との間には、スクリーン５０の昇降軌道の案内と保持、開口部３２からのスクリーン昇降装置７０の内部への水の浸入を防止するため、介在部材６０が備えつけられる。介在部材６０は、カウンタ３０の開口部３２の内壁面との当接面に接着剤等によって連結される。また、介在部材６０とカウンタ３０との繋ぎ目部分にはコーキング(図示しない)処理がなされており、水、油等の液体が介在部材６０とカウンタ３０との間に侵入することを防止している。
【００１２】
また、介在部材６０は、カウンタ３０の上面よりも上方に突出する突出部６０ａを有しており、突出部６０ａにはスクリーンが昇降するためのスクリーン昇降開口部６１が設けられる。介在部材６０とスクリーン５０とは、スクリーン５０の昇降軌道の案内と保持、スクリーン５０とスクリーン昇降開口部６１との間の水仕舞いのため、できる限り隙間なく構成されている。また、スクリーン５０とスクリーン昇降開口部６１との間の水仕舞いため突出部６１ａが設けられる。スクリーン昇降装置７０のスクリーン収納部となる筐体７１には、スクリーン５０が昇降するための収納開口部７１ａが設けられており、スクリーン５０は筐体７１の収納開口部７１ａを通じて昇降を行う。収納開口部７１ａを通って昇降するスクリーン５０は、スクリーン昇降開口部６１を通じて、カウンタ３０上に立設、あるいはスクリーン昇降装置７０に収納される。収納開口部７１ａ周辺には、開口部３２の内壁に当接し係合するように筐体７１の上面から上方に延出する位置決め手段である突起部７１ｂが設けられる。筐体７１の上面とカウンタ３０の延出部３１とは、筐体７１の突起部７１ｂがカウンタ３０の開口部３２に係合し、筐体７１の収納開口部７１ａと介在部材６０のスクリーン昇降開口部６１の位置が一致するよう、ねじ等（図示しない）の取付部材によってカウンタ３０の延出部３１の裏面に固定される。また、筐体７１のキャビネット２０との当接面と対向する面には蓋部７１ｃで構成され、筐体７１と着脱自在となっている。蓋部７１ｃを取り外すことにより、スクリーン昇降装置７０をシステムキッチン１０から取り外すことなくスクリーン昇降装置７０の内部を露出させることができる。
【００１３】
次に、システムキッチン１０の組立方法について説明する。第一の組立方法としては、まずカウンタ３０にスクリーン昇降装置７０を取り付ける。取り付け方法としては、前述したように、ねじ等の取付部材によってカウンタ３０の延出部３１の裏面に、スクリーン昇降装置７０を固定する。この際、カウンタ３０は何にも取り付けられていないため、立てたり裏返したりといった操作が自由に行えるため、スクリーン昇降装置７０を取付けやすい姿勢を取ることができる。そして、スクリーン昇降装置７０を取り付けたカウンタ３０を、キャビネット３０の上方に位置させ、固定する。このとき、スクリーン昇降装置７０がキャビネットの背板の後方に位置するように、カウンタ３０をキャビネット３０に固定する。また、第一の組立方法としては、まずキャビネット２０にカウンタ３０を取り付ける。このとき、カウンタ３０の一部がキャビネット２０の背板よりも後方に延出する延出部３１を構成するように、カウンタ３０をキャビネット２０に固定する。そして、カウンタ３０の延出部３１の裏面より、スクリーン昇降装置７０を取付部材を用いて固定する。この際にも、延出部３１がキャビネット２０の背板よりも外側に位置していることから、取付作業を楽に行うことができる。また、既に施工されているシステムキッチンにスクリーン昇降装置７０を取り付ける場合には、第二の方法を用いることで、容易にスクリーン昇降装置７０を取り付けることが可能となる。
【００１４】
次に、スクリーン昇降装置７０の詳細について説明する。
スクリーン昇降装置７０は、スライドレール７２が上下方向に延在するように備えられており、スライドレール７２には、スライドレール７２に沿ってキャリア７３が昇降自在に取り付けられている。キャリア７３には一本のワイヤ７４がスライドレール７２の両端に設けられたプーリー（図示しない）を介して連結している。またワイヤ７４にはモーター・ギヤ部７５が接続されており、電源・制御部７６より電力を供給されたモーターの回転によりワイヤー７４を手繰り寄せることで、キャリア７３を上下にスライドさせる。キャリア７３のスライドの上下方向はモーターの回転方向によって決まり、電源・制御部７６の制御によりモーターの回転方向を切り替えることによって、キャリア７３を上下にスライドさせている。キャリア７３にはスクリーン５０が取り付けられており、モーターの回転と向きを制御することにより、キャリア７３に着脱自在に取り付けられたスクリーン５０を自在に昇降させることができる。
【００１５】
次に、システムキッチン１０の使用シーンとスクリーンの昇降動作の説明を通じて、本発明の作用と効果について説明する。
システムキッチン１０のコンロ４０やシンク４５を用いて調理作業を行う際、使用者はまず、スイッチ等によってスクリーン昇降装置７０のモーターを駆動させる。モーターの回転によりワイヤー７４が手繰り寄せられ、キャリア７３とそれに取り付けられたスクリーン５０とが、スライドレール７２に沿って上昇する。上方向にスライドするスクリーンは、筐体７１の収納開口部７１ａとカウンタ３０の開口部３２および介在部材６０のスクリーン昇降開口部６１を通ってカウンタ３０上に延出する。
コンロ４０等の後方に備えられたスクリーン５０を上昇させてカウンタ３０の上方に延出させてから調理作業を行うことにより、スクリーン５０が後方に飛散する液体等を受け止めることができる。これにより、システムキッチン１０の後方に液体等が飛散することはなく、システムキッチン１０の後方に位置する壁や、対面型キッチンにおいてはダイニング空間やリビング空間を汚すことがないため、衛生的である。
この時、開口部３２に設けられた介在部材６０とスクリーン５０とが隙間無く設置されているため、スクリーン５０は介在部材６０によって案内・支持され、安定した状態でカウンタ３０上に立設する。また、スクリーン５０にかかった液体等がスクリーン５０を伝って下方に流れたとしても、スクリーン５０と介在部材６０とが隙間無く配置されているため、スクリーン昇降装置７０内部に液体等が侵入しにくい構造となっている。また、スクリーン５０が上方に延出している場合においても、介在部材６０の突出部６０ａおよびスクリーン昇降開口部６１は、カウンタ３０の上面よりも高い部分に位置する。これにより、カウンタ３０上に液体等をこぼしてしまったとしても、カウンタ３０の上面を伝う液体は突出部６０ａに阻まれ、スクリーン昇降装置７０内に侵入することはなく、安全である。
【００１６】
調理等の作業が終わった後など、スクリーン５０を使用しない状態の場合は、モーターギア部７５から延びるワイヤ７４を上昇時とは逆方向に回転させることにより、ワイヤ７４に接続されたキャリア７３とそれに取り付けられたスクリーン５０がスライドレール７２に沿って降下する。スクリーン５０が下降している際も、スクリーン５０と介在部材６０はほぼ当接しているため、スクリーン昇降装置７０の内部への液体等の侵入を防止するという機能が損なわれることはない。また、スクリーン５０が下方に降下している場合においても、介在部材６０の突出部６０ａおよびスクリーン昇降開口部６１は、カウンタ３０の上面よりも高い部分に位置する。これにより、カウンタ３０上に液体等をこぼしてしまったとしても、カウンタ３０の上面を伝う液体は突出部６０ａに阻まれ、スクリーン昇降装置７０内に侵入することはなく、安全である。
【００１７】
図５は、スクリーン５０が収納状態にある時の開口部付近の側面図である。図５において、スクリーン昇降装置７０は、背板２１にねじ等(図示しない)によって取り付けられている。
スクリーン５０を下降させることにより、スクリーン５０をスクリーン昇降装置７０の筐体７１内に収納する。スクリーン５０を最も下方に下降させて筐体７１に収納させた状態において、スクリーン５０の上辺部であるフレーム５１は、介在部材６０と当接する。これにより、スクリーン５０を最も下方まで下降させた状態においては、フレーム５１がスクリーン昇降開口部６１を覆う蓋の役割を果たし、スクリーン昇降開口部６１からのスクリーン昇降装置７０内部への液体等の侵入を防止することができる。
また、スクリーン５０を最も下方まで下降させた状態においても、突出部６０ａおよびスクリーン昇降開口部６１は、カウンタ３０の上面よりも高い部分に位置する。これにより、カウンタ３０上に液体等をこぼしてしまったとしても、カウンタ３０の上面を伝う液体は突出部６０ａに阻まれ、スクリーン昇降装置７０内に侵入することはなく、安全である。
また、スクリーン５０を筐体７０に収納した際のカウンタ３０上には、スクリーン５０の上端に位置したフレーム５２と介在部材６０の突出部６０ａが存在するのみであり、システムキッチン１０の作業における邪魔にはならない。更に、対面キッチンにおいては、スクリーン５０が格納可能とすることで、本来のメリットであるオープンな空間を犠牲にすることなくシステムキッチン１０の美観を保つことができる。また、コンロで使用した場合には飛散を防ぐだけでなく、臭い、煙、熱などの拡散をスクリーン５０が防ぐため、換気扇の補修力アップも期待できる。
【００１８】
次に、スクリーン昇降装置７０の取り付け及びメンテナンス方法について説明する。
スクリーン昇降装置７０は、カウンタ３０の延出部３１に下方側、且つキャビネット２０の背面側に設置固定される。これにより、キャビネット２０の内部の状態に関係なくスクリーン５０およびスクリーン昇降装置７０を設けることができ、キャビネット２０の内部のスペースを削ることもない。更に、キャビネット２０の外側に設置することができるため、組み立て・取り付けが楽に行え、また、メンテナンスや故障時のスクリーン昇降装置７０へのアプローチが楽になるというメリットがある。
スクリーン昇降装置はカウンタ３０の延出部３１に設置固定されるが、収納開口部７１ａ周辺には、開口部３２の内壁に当接し係合するように筐体７１の上面から上方に延出する位置決め手段である突起部７１ｂが設けられている。筐体７１の突起部７１ｂがカウンタ３０の開口部３２に係合し、筐体７１はねじ等によってカウンタ３０の延出部３１の裏面に固定される。位置決め手段である突起部７１ｂによって、カウンタ３０の開口部３２の位置を基準にスクリーン昇降装置７０が取り付けられるため、スクリーン昇降開口部６１とカウンタ３０の開口部３２の間口合わせが容易に行える。これにより昇降するスクリーン５０が介在部材６０のスクリーン昇降開口部６１に精度よく納まり、スムーズな昇降動作が可能となる。また、筐体７１のキャビネット２０と反対側の面には蓋部７１ｃが着脱自在に設けられている。これにより、スクリーン昇降装置７０をシステムキッチンに設置したあとでも、スクリーン昇降装置７０を取り外すことなく、キャビネットの外側から簡単にスクリーン昇降装置７０の内部を露出させることができため、メンテナンス性も向上することとなる。なお、介在部材６０の取り付け方は、スクリーン昇降装置７０をカウンタ３０に取り付けた後、スクリーン５０をスクリーン昇降開口部６１の下方より通した後にフレーム５１を取り付ける。あるいは、先にカウンタ３０に介在部材６０を取りつけた上で、キャリア７３より取り外したスクリーン５０にフレーム５１を取り付け、スクリーン５０をスクリーン昇降開口部６１の上方より差し込み、その後スクリーン５０とキャリア７３を取り付けるようにしてもよい。また、介在部材６０を軟質部材で形成している場合は、フレーム５１を取りつけた状態のスクリーン５０であっても、介在部材６０が弾性変形することによって、スクリーン昇降開口部６１の下方よりスクリーン５０を差し入れることが可能である。
【００１９】
本実施例によれば、昇降機構を備えるスクリーン５０を上昇させ、カウンタ３０の上方に延出させることにより、コンロ４０等の調理器具より飛散する水や油等の液体等をシステムキッチン１０の後方の壁等に飛散させることを防ぐことができるため、飛沫による汚れ等を防止することができる。特に対面キッチンにおいては、対面側のダイニングやリビングに水や油を飛散させることがなく、衛生的である。スクリーン５０を使用しない場合は、スクリーン５０を下降させてカウンタ３０の下方に格納することにより、カウンタ３０上の開放空間を犠牲にすることなく、システムキッチン１０を用いての作業の邪魔にならない。また、対面型キッチンにおいては、対面型キッチンの本来のメリットであるオープンな空間を損なうこともなく、システムキッチン１０の美観を保つことができる。カウンタ３０の開口部３２には介在部材６０およびスクリーン昇降開口部６１が設けられており、スクリーン５０は筐体７１の収納開口部７１ａとカウンタ３０の開口部３２およびスクリーン昇降開口部６１を通って昇降する。その際、スクリーン５０が介在部材６０にほぼ当接しているため、安定した状態を保ったままスクリーン５０の昇降および保持を行うことができる。更に、スクリーン５０に飛散した液体等がスクリーン５０を伝って下方に移動しても、スクリーン５０と介在部材６０との間に液体等が侵入しにくい構造となっている。また、カウンタ３０と介在部材６０との繋ぎ目部分にコーキング(図示しない)を施すことにより、カウンタ３０と介在部材６０の間への油等の侵入を防止している。さらに、介在部材６０の突出部６０ａおよびスクリーン昇降開口部６１がカウンタ３０から上方に突出していることにより、カウンタ３０上を流れる油等の液体がスクリーン昇降装置７０内部に侵入するのを防ぐことができる。また、スクリーン５０を収納するため筐体７１やスクリーン５０の昇降機構を備えるスクリーン昇降装置７０がキャビネット２０の外側に設けられていることにより、キャビネット２０の内部の状態に関係なくスクリーン５０を設けることができる。すなわち、キャビネット２０の収納スペースを削ることがなく、キャビネット２０に依存することなくスクリーン５０を設けることができる。また、キャビネット２０の外側に設けられていることにより、スクリーン昇降装置７０の取り付けやメンテナンスなどを簡単に行うことができる。また、スクリーン昇降装置７０をカウンタ３０に設置固定する際、収納開口部７１ａ周辺には、開口部３２の内壁に当接し係合するように筐体７１の上面よりも上方に延出する位置決め手段である突起部７１ｂが設けられる。筐体７１の上面とカウンタ３０の延出部３１とは、筐体７１の突起部７１ｂとカウンタ３０の開口部３２に係合し、筐体７１の収納開口部７１ａとスクリーン昇降開口部６１との間口合わせが容易にかつ精度よく取り付け可能となり、作業性を向上させることができる。更に、筐体７１のキャビネットと反対側の面には蓋部７１ｃが設けられているため、スクリーン昇降装置７０をシステムキッチンに設置したあとでも、スクリーン昇降装置７０を取り外すことなく、キャビネットの外側から簡単にスクリーン昇降装置７０の内部を露出させることができ、メンテナンス性も向上することとなる。
【００２０】
介在部材６０とスクリーン昇降装置７０とは、本実施例においては別体で設けられているが、図６は、本発明の他の実施の形態に係る介在部材の概略図である。図６のように、介在部材６０をカウンタ３０の開口部３２から筐体７１まで貫通して介在するような形としても良い。この場合、介在部材６０は筐体７１の内部よりスクリーン昇降開口部６１を介して挿入設置される。その後、介在部材６０の筐体７１より上方に突出した部分が、カウンタ３０の開口部３２に挿入設置される。スクリーン昇降装置７０の固定の際には、筐体７１の内部より、介在部材６０と筐体７１が、ねじ９０によってカウンタ３０の延出部３１の裏面に固定する。これにより、スクリーン昇降装置７０の設置の際に、開口部３２や収納開口部７１ａ、スクリーン昇降開口部６１の間口合わせを気にすることなく設置できるため、スクリーン昇降装置７０の取り付けが容易となる。
【００２１】
図７は、本発明の他の実施の形態に係る介在部材の概略図である。
図８は、本発明の他の実施の形態に係る介在部材の概略図である。
介在部材６０には、図７のように、水仕舞いの効果を更に向上させるため、水の浸入を防止する部材として、軟質シール部６０ｂを設けても良い。本実施例において、軟質シール材６０ｂは、介在部材６０のスクリーン昇降開口部６１に設けられる。スクリーン５０が昇降時、あるいは最も上昇してカウンタ３０上に立設している状態において、軟質シール部６０ｂは、キッチンスクリーン５０と当接するように設けられている。これにより、スクリーン５０がカウンタ３０上に立設している際、スクリーン昇降装置７０の内部への液体等の侵入を防止する機能は更に向上することとなる。
スクリーン５０を最も下降させ、筐体７１に収納した状態においても、軟質シール部６０ｂがスクリーン５０と当接している（図８）。軟質シール部６０ｂはフレーム５１と介在部材６０とが当接する部分において、その間に位置して隙間を埋める働きをする。これにより、スクリーン昇降装置７０内部への液体等の侵入を防止する効果は、更に向上することとなる。
【００２２】
以上、実施例を参照しつつ本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。本発明の要旨を変更しない範囲において適宜設計変更して採用したものも、本発明の要旨を有する限りにおいて本発明の範囲に包含される。
【図面の簡単な説明】
【００２３】
【図１】本発明の実施の形態に係るシステムキッチン１０の斜視図である。
【図２】本発明の実施の形態に係るシステムキッチン１０の側面図である。
【図３】側面側から見たスクリーン昇降装置７０の詳細図である。
【図４】背面側から見たスクリーン昇降装置７０の詳細図である。
【図５】スクリーン５０が収納状態にある時の開口部付近の側面図である。
【図６】本発明の他の実施の形態に係る介在部材の概略図である。
【図７】本発明の他の実施の形態に係る介在部材の概略図である。
【図８】本発明の他の実施の形態に係る介在部材の概略図である。
【符号の説明】
【００２４】
１０ システムキッチン
２０ キャビネット
２１ 背板
３０ カウンタ
３１ 延出部
３２ 開口部
４０ コンロ
４５ シンク
５０ スクリーン
５１ フレーム
６０ 介在部材
６０ａ 突出部
６０ｂ 軟質シール部
６１ スクリーン昇降開口部
７０ スクリーン昇降装置
７１ 筐体
７１ａ 収納開口部
７１ｂ 突起部
７１ｃ 蓋部
７２ スライドレール
７３ キャリア
７４ ワイヤ
７５ モーター・ギア部
７６ 電源・制御部
９０ ねじ
【特許請求の範囲】
【請求項１】
キャビネットと、
前記キャビネット上に配置されるカウンタと、
前記カウンタに配置される調理設備と、
昇降するスクリーンと、
を有するシステムキッチンであって、
前記カウンタは、前記キャビネットの背板よりも後方に延出する延出部を備え、
前記延出部の下方には、
前記スクリーンを収納し、且つ昇降自在とするスクリーン昇降装置が備えられ、
前記延出部は、前記スクリーンが昇降するための開口部を備える
ことを特徴とするシステムキッチン。
【請求項２】
前記スクリーン昇降装置は、前記延出部の裏面に取り付けるための取付部材を備える
ことを特徴とする請求項１のシステムキッチン。
【請求項３】
カウンタの延出部の裏面にスクリーン昇降装置を取り付け、
次に前記カウンタを、前記スクリーン昇降装置がキャビネットの背板よりも後方に位置するようにキャビネットに取り付けることを特徴とするシステムキッチンの組立方法。
【請求項４】
キャビネットの上面にカウンタを取り付け、
次に前記カウンタにスクリーン昇降装置を取り付けることを特徴とするシステムキッチンの組立方法。
【請求項１】
キャビネットと、
前記キャビネット上に配置されるカウンタと、
前記カウンタに配置される調理設備と、
昇降するスクリーンと、
を有するシステムキッチンであって、
前記カウンタは、前記キャビネットの背板よりも後方に延出する延出部を備え、
前記延出部の下方には、
前記スクリーンを収納し、且つ昇降自在とするスクリーン昇降装置が備えられ、
前記延出部は、前記スクリーンが昇降するための開口部を備える
ことを特徴とするシステムキッチン。
【請求項２】
前記スクリーン昇降装置は、前記延出部の裏面に取り付けるための取付部材を備える
ことを特徴とする請求項１のシステムキッチン。
【請求項３】
カウンタの延出部の裏面にスクリーン昇降装置を取り付け、
次に前記カウンタを、前記スクリーン昇降装置がキャビネットの背板よりも後方に位置するようにキャビネットに取り付けることを特徴とするシステムキッチンの組立方法。
【請求項４】
キャビネットの上面にカウンタを取り付け、
次に前記カウンタにスクリーン昇降装置を取り付けることを特徴とするシステムキッチンの組立方法。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【公開番号】特開２００８−２４６１６７（Ｐ２００８−２４６１６７Ａ）
【公開日】平成２０年１０月１６日（２００８．１０．１６）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００７−９５２１１（Ｐ２００７−９５２１１）
【出願日】平成１９年３月３０日（２００７．３．３０）
【出願人】（００００１００８７）ＴＯＴＯ株式会社 (3,889)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２０年１０月１６日（２００８．１０．１６）
【国際特許分類】
【出願日】平成１９年３月３０日（２００７．３．３０）
【出願人】（００００１００８７）ＴＯＴＯ株式会社 (3,889)
【Ｆターム（参考）】
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