説明

システム机

【課題】脚板および背面板が一体化され、部品点数が少なくしかもレイアウトの変更が可能なシステム机が求められていた。
【解決手段】天板11を支えるための長方形状の4枚の立板12〜15を採用する。4枚の立板のうち、2枚の立板12、13は長立板、2枚の立板14、15は短立板とする。各立板には、長手方向である上下方向に、上辺から下辺に至るように2列で等間隔に配列された多数の組立用小孔18が形成されている。4枚の立板の下辺から同じ高さにある組立用小孔合計8つにより、天板が水平に支持されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、事務作業や学習作業に用いられる机に関し、特に、種々の用途に適し、柔軟な配置構造をとることのできるシステム机に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば児童用学習机においては、天板2の奥側に背面板7を取り付け、背面板7に棚板10が取り付けられて、本棚が形成された構造のものがある(たとえば特許文献1)。 また、学習机に備えられた背面板は、通常、脚体(脚板)に固定されている(特許文献1参照)。そして背面板5には、ねじの挿入孔9が上下適宜間隔で複数個ずつ穿設されることにより、背面板を複数段階に高さ調整できるものも提案されている(特許文献2)。
【0003】
さらに、デスクパネル装置として、デスクBの天板B1の奥側にパネル体1を垂直方向に取り付け、このパネル体1の高さを垂直方向に変位可能にした構成の机も提案されている(特許文献3)。
【特許文献1】特開平9−154638号公報
【特許文献2】特開平10−276841号公報
【特許文献3】特開2000−175749号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の机は、天板の奥側に背面板を取り付ける場合、机とは別部材で構成された背面板を机の脚板に取り付けるという構造であった(特許文献1、特許文献2参照)。
また、特許文献3に開示されているように、天板B1にデスクパネル1を取り付ける場合は、専用の取付治具により取り付けられる。
ところで、机に背面板やパネルを取り付けた場合、背面板を利用して棚(本棚)を保持したり、パネルにメモ紙等を貼り付けたりすることができ、使用勝手が良いが、背面板やパネルが別部材であるため、その組み立てが煩雑であったり、部品点数の増加により価格が高くなる等の課題があった。
【0005】
この発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、机の天板から上方へ立ち上がった背面板や側板が机と一体化されていて、机全体の部品点数が少なく、しかも種々の使用目的や使用用途に適するシステム机を提供することを主たる目的とする。
この発明は、また、脚板および背面板が一体化され、部品点数が少なくしかもレイアウトの変更が可能なシステム机を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、平面視が長方形状の天板と、前記天板を支えるための長方形状の4枚の立板とを有し、各立板には、長手方向である上下方向に、立板の上辺から下辺に至るように2列で等間隔に配列された多数の組立用小孔が形成されていて、前記4枚の立板の下辺から同じ高さにある組立用小孔合計8つにより、前記天板が水平に支持されていることを特徴とするシステム机である。
【0007】
請求項2記載の発明は、前記立板は、少なくとも2枚が、他の2枚に比べて上下方向の寸法が相対的に長い長立板の対であり、この長立板の対は、天板よりも上方へ立ち上がった部分に形成されている前記組立用小孔を用いて、棚を保持していることを特徴とする、請求項1記載のシステム机である。
請求項3記載の発明は、前記長立板は、前記天板の一角に対して側方および奥方から平面視直角を形成するように組み合わされていることを特徴とする、請求項2記載のシステム机である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の発明によれば、机は、天板と、4枚の立板とを有している。そして天板は4枚の立板によって水平に支持されている。たとえば、平面視長方形状の天板の左右両側辺が2枚(一対)の立板で支持され、かつ、天板の奥側辺は、その長さ方向に沿うように左右に配列された2枚(一対)の立板により支持されている。
従って、天板は、4枚の立板によって、その左右両側辺および奥側辺がしっかりと支持されており、安定性のある机となる。
【0009】
また、4枚の立板には、それぞれ、長手方向である上下方向に2列で等間隔に配列された多数の組立用小孔が形成されているから、天板の支持をどの小孔により行うかによって、天板の高さを所望の高さに調整することができる。
特に、この机を児童用の学習机等として利用する際には、児童の体格に合わせて天板の高さを低くでき、児童の成長に合わせて天板の高さを高くできるので、好適な学習机とすることができる。
【0010】
天板の奥側辺を支える2枚の立板が、上下方向に長く、たとえば上下方向中央部あたりで天板を支える構成の場合、天板の奥側から上方へ立ち上がった部分の立板は、背面板として機能し得る。それゆえこの背面板を利用して、棚を取り付ける等により、本棚付き机を構成することができる。棚を取り付ける際には、立板に形成された2列等間隔の多数の組立用小孔を利用することができ、棚の取り付け位置を調整したり、棚を所望の高さに取り付けることができる。
【0011】
請求項2記載のように、4枚の立板のうち、2枚(一対)の立板を長立板とし、2枚(一対)の立板を短立板としてもよい。その場合、長立板の上方部分を上述のように机の背面板として活用することができる。また、短立板の対は、天板の左右両側を支持する脚板として機能する。
請求項3記載のように、長立板の対を天板のたとえば左辺および左奥側を支持する組立構造とし、短立板の対を天板のたとえば右辺および右奥側を支持する組立構造としてもよい。こうすれば、天板の左側方および左奥側に上方へ延びる仕切り板または背面板が備わったシステム机となり、机を使用する者に対し、半オープンのプライベートスペースを提供することができるとともに、必要に応じて本棚等を設けることのできる使い勝手の良いシステム机となる。
【0012】
この発明の変形例としては、4枚の立板が、全て長立板であって、この4枚の長立板によって天板の側方および奥側が囲まれるようなシステム机とすることも可能である。
あるいは、天板が左右に非常に長手の長方形状の場合、天板の左右側方が2枚の立板で支持され、天板の奥側は3枚の立板で支持されるような構成とすることも可能である。
いずれにしろ、この発明のシステム机によれば、工場出荷時から組み立て場所へ搬入するまでは、天板を含めて5枚の板を重ね合わせた状態で梱包でき、それを設置場所で組み立てることにより机が出来上がるので、いわゆるノックダウン方式により、搬送および組み立てが便利で、しかも多様な態様に組み立てることができる、使い勝手の良いシステム机とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下には、図面を参照して、この発明の一実施形態について具体的に説明をする。
図1は、この発明の一実施形態に係るシステム机10の斜視図である。また、図2は、システム机10の正面図、図3はシステム机10の右側面図、図4はシステム机10の左側面図、図5はシステム机10の平面図、図6はシステム机10の背面図である。
図1〜6を参照して、システム机10には、平面視が長方形状の天板11、および天板11を支えるための長方形状の4枚の立板12、13、14、15が含まれている。天板11は、その長辺(幅)がたとえば1190mm、その長辺(奥行)がたとえば550mmの寸法を有しており、厚みがたとえば25mmの木材製である。この実施形態では、天板11の下面側には引き出し16、17が備えられている。しかし、引き出し16、17のない天板であっても構わない。
【0014】
4枚の立板12〜15のうち、この実施形態では、2枚の立板12、13が長立板の対を構成している。一方、2枚の立板14、15は短立板の対を構成している。長立板12、13は、長方形状の木材製であって、その幅(短辺方向長さ)は、たとえば55mm、その高さ(長辺方向寸法)はたとえば1375mmであり、厚みがたとえば25mmの部材である。
【0015】
一方、短立板14、15は、その幅(短辺方向の寸法)がたとえば55mmであり、その高さ(長手方向寸法)はたとえば735mmであり、厚みはたとえば25mmの木材製である。
このように、長立板12、13と短立板14、14とは、その高さが異なるだけである。
【0016】
この実施形態の特徴は、長立板12、13、短立板14、15に、それぞれ、長手方向である上下方向に、各立板の上辺から下辺に至るように2列で等間隔に配列された多数個の組立用小孔18が形成されていることである。各小孔18は立板12〜15の表面から裏面へと貫通する貫通孔である。
より具体的に、小孔18の配置について説明する。小孔18は、各立板12〜15の上下に延びる一辺から寸法147mm内側に形成されている。よって、2列の小孔18の間隔は256mmである。
【0017】
また、上下に隣接する小孔18の形成間隔は、それぞれ64mmとなっており、各立板12〜15の下辺から47.5mm上方に最初の小孔(最下部の小孔)18が形成されている。最上部の小孔と上辺とは47.5mmの間隔である。
そして、システム机10は、各立板12〜15の下方からたとえば11番目の小孔18にボルト19が挿入され、当該ボルト19が天板11の側面に形成されたねじ孔にねじ込まれることにより組み立てられている。
【0018】
組み立てられた状態において、システム机10は、図1に示すように、天板11に向かって左側には、天板11の左奥の角を平面視直角に囲むように、長立板12、13の上方部が上方へ立ち上がっている。
このため、長立板12、13の上方部12Uおよび13Uは、天板11の側方および奥側を覆うパーテーションまたは衝立の働きをする。さらに、この上方部12U、13Uには多数の小孔18が上下方向に形成されているので、この小孔18のうちの任意の小孔18を利用することにより、棚板20、21を取り付けることができる。棚板20、21は、いずれも、長立板12、13の背面側(天板11と反対側)から挿入されたボルト等によって取り付けることができる。
【0019】
なお、天板11の高さを調整したい場合には、短立板14、15の高さの寸法範囲内において、天板11の高さ位置を調整することが可能である。この調整は、ボルト19を通す小孔18を変更することにより、容易に行うことができる。
図7は、この発明の一実施形態に係るシステム机10の組み立て状態の変形例を示す斜視図である。図7に示すように、システム机10は、一対の長立板12、13を天板11の奥側を支持するように配置し、一対の短立板14、15が天板11の左右側辺を支持するように組み立ててもよい。このように組み立てると、図7に示すように、天板11の奥側(背面側)に背面板が立設されたシステム机10とすることができる。そして天板11の奥側から垂直上方へ立ち上がった長立板12、13の上方部12U、13Uを用いて、棚22を取り付けたり、掲示ボード23を取り付けたりして活用したり、パーテーション部材として利用することができる。
【0020】
図8は、この発明の一実施形態に係るシステム机10のさらに他の組み立て例を示す斜視図である。図8の組み立て状態では、一対の長立板12、13が天板11の左右側辺を支持しており、一対の短立板14、15が天板11の奥側を支持した組み立て構造となっている。
このように、この実施形態に係るシステム机10は、図1に示す状態、図7に示す状態、図8に示す状態のように、その組み立て状態を種々変えることができ、机を配置する場所、机を使用する目的等に合わせて、ユーザが所望の組み立て状態に組立てて使うことができる。
【0021】
図9は、この発明の他の実施形態に係るシステム机30の構成を示す斜視図である。図9に示すシステム机30の特徴は、天板11と、4枚の立板31、32、33、34とを有し、4枚の立板31〜34が全て長立板(前述した長立板12と同じ構造)となっていることである。
このように、天板11を支持する4枚の立板を全て長立板31〜34とすることにより、天板11の周囲が長立板31〜34の上部で囲われ、プライベート空間を区画することのできるシステム机とすることができる。
【0022】
この発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明の一実施形態に係るシステム机10の斜視図である。
【図2】この発明の一実施形態に係るシステム机10の正面図である。
【図3】この発明の一実施形態に係るシステム机10の右側面図である。
【図4】この発明の一実施形態に係るシステム机10の左側面図である。
【図5】この発明の一実施形態に係るシステム机10の平面図である。
【図6】この発明の一実施形態に係るシステム机10の背面図である。
【図7】この発明の一実施形態に係るシステム机10の組立状態の変形例を示す斜視図である。
【図8】この発明の一実施形態に係るシステム机10の組立状態のさらに他の変形例を示す斜視図である。
【図9】この発明の他の実施形態に係るシステム机30の構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0024】
10、30 システム机
11 天板
12、13 長立板
14、14 短立板
18 組立用小孔
19 ボルト
20 棚板
31、32、33、34 長立板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視が長方形状の天板と、
前記天板を支えるための長方形状の4枚の立板とを有し、
各立板には、長手方向である上下方向に、立板の上辺から下辺に至るように2列で等間隔に配列された多数の組立用小孔が形成されていて、
前記4枚の立板の下辺から同じ高さにある組立用小孔合計8つにより、前記天板が水平に支持されていることを特徴とするシステム机。
【請求項2】
前記立板は、少なくとも2枚が、他の2枚に比べて上下方向の寸法が相対的に長い長立板の対であり、
この長立板の対は、天板よりも上方へ立ち上がった部分に形成されている前記組立用小孔を用いて、棚を保持していることを特徴とする、請求項1記載のシステム机。
【請求項3】
前記長立板は、前記天板の一角に対して側方および奥方から平面視直角を形成するように組み合わされていることを特徴とする、請求項2記載のシステム机。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−22427(P2010−22427A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−184064(P2008−184064)
【出願日】平成20年7月15日(2008.7.15)
【出願人】(505455978)コイズミファニテック株式会社 (27)
【Fターム(参考)】