説明

システム間ハンドオーバの性能向上のための方法及びシステム

【課題】世代間のハンドオーバ命令メッセージの情報要素のサイズを小さくする。
【解決手段】UTRAN RRC“HANDOVER TO UTRAN COMMAND”メッセージにおける情報要素のサイズが、UTRANへの無線間接続技術ハンドオーバを実行しているユーザ機器による排他的な使用のためにIEパラメータの値のサブレンジをリザーブすることによって、小さくされる。スクランブルコード番号或いはS−RNTI番号の最小値は、1つのシステムネットワークからUTRANへのハンドオーバを実行するUEへの初期割当てのためにリザーブされる。ハンドオーバ手順の完了時、UTRANは別のスクランブルコード番号或いはS−RNTI番号をそのUEに割当てることができる。その結果、IEのサイズをかなり小さくすることにより、付加的なパラメータが同じメッセージにおいても用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発 明 の 背 景
発明の技術分野
本発明は一般的には移動通信の分野に関し、特に、異なる移動通信システム間のハンドオーバの性能を向上させる方法とシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
汎欧州デジタル移動電話方式(GSM)のネットワークから世界的規模の移動体通信サービスの地上無線アクセス網(UTRAN)へ移動端末のハンドオーバを実行する一方で、UTRANの無線リソース制御(RRC)“HANDOVER TO UTRAN COMMAND”メッセージがGSMネットワークを介して移動端末に転送されることになる。適切な性能を得るために、UTRAN RRCメッセージが分割されていないGSM無線空中インタフェースのメッセージ内でその移動端末へと転送されることが不可欠である。しかしながら、GSMでは、その空中インタフェースの信号発信では“1”のウィンドウサイズを用いている。そういうものとして、GSMの基地局制御局(BSC)は、第1のメッセージ・セグメントに対する確認応答メッセージを受信するのに先立って、第2のメッセージ・セグメントを転送することはないであろう。その結果、もしアップリンク接続がハンドオーバが開始されたときに相対的に品質がよくなければ、BSCは第1のメッセージ・セグメントに対する確認応答を決して受信することはないであろうし、従って、第2のメッセージ・セグメントを移動端末に伝えることはできないであろう。それにもかかわらず、UTRAN RCCメッセージが分割されていないGSM無線空中インタフェースのメッセージにぴったり合致している場合、ハンドオーバはGSMアップリンク接続の品質に係らず、実行される。
【0003】
性能の問題を回避するために、UTRAN RCC HNADOVER TO UTRAN COMMANDメッセージのサイズは18オクテット或いは144ビット未満であるべきである。この結果は、予め定義されたパラメータ設定を用いてハンドオーバ手順が完了後に情報を転送することにより得られる。しかしながら、この予め定義されたパラメータ設定を用いるやり方は柔軟性をわるくし、もし、不可欠ではないある機能(例えば、マルチプル無線リンク、SSDTなど)の起動がハンドオーバ手順の完了まで延期されたなら、ハンドオーバ性能は低下してしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
あるネットワーク運用者は、マルチプルGSMメッセージ・セグメントの使用に関連した問題を回避するよりも、それらの機能を即座に起動することを重要なことに考えている。これら特定の運用者をサポートするために、随意のパラメータについて余裕をもたせておくことができる。しかしながら、随意のパラメータの使用は、そのようなパラメータがメッセージに含まれないときであってさえも、メッセージ長が長くなってしまうという結果を招いてしまう。言い換えると、随意パラメータの使用はメッセージサイズを最小にすることに悪い影響を及ぼす。現在、今の技術水準でも、その使用はもはやメッセージが1つのセグメント内に収まることはないことを意味しているので、所望のオプションのパラメータ全てを使用することは不可能である。従って、ハンドオーバメッセージが付加的な(例えば、オプションの)パラメータを含む余裕をもつことによって解決を図る必要がある。以下に詳述するように、本発明は上述した問題とそれに関連する問題をうまく解決している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発 明 の 要 約
本発明の好適な実施形態に従えば、UTRAN RRC HANDOVER TO UTRAN COMMANDメッセージにおけるある(例えば、S−RNTIとスクランブルコード番号)情報要素(IE)のサイズが、UTRANへの無線間接続技術(RAT;inter-Radio Access Technology)ハンドオーバを実行しているユーザ機器(UE)による排他的な使用のためにIEパラメータの値のサブレンジをリザーブすることによって、小さくされる。例えば、スクランブルコード番号、或いは、サービスを提供している無線網臨時識別(S−RNTI)番号、これはユニバーサルなRNTI(U−RNTI)番号の一部なのであるが、その最小値が、UTRANへのハンドオーバを実行するUEへの初期割当てのためにリザーブされる。そのハンドオーバ手順の完了時、UTRANは別のスクランブルコード番号或いはS−RNTI番号をそのUEに割当てることができる。その結果、HANDOVER TO UTRAN COMMANDメッセージにおいて用いられるIEのサイズをかなり小さくすることにより、付加的な(例えば、オプションの)パラメータが用いられても良い。そのようなものとして、HANDOVER TO UTRAN COMMANDメッセージにおいて利用可能になる空間が、予め定義された無線構成の使用を回避するためのオプションを創成するのに用いられても良く、これは柔軟性を増す結果になる。
【0006】
本発明の重要な技術的利点は、他のシステムネットワークからUTRANへのハンドオーバ手順の品質がかなり改善される点である。
【0007】
本発明の別の重要な技術的利点は、改善されたハンドオーバ命令メッセージがシステムネットワークからUEへと分割されていない空中インタフェースメッセージ内で送信される点である。
【0008】
本発明のさらに別の重要な技術的利点は、システムからUEへのハンドオーバ命令メッセージにオプションのパラメータを含むことができ、これが他のシステムネットワークからUTRANへのハンドオーバ性能を向上させる点である。
【0009】
本発明のさらに別の重要な技術的利点は、ハンドオーバ命令メッセージにおける情報要素のサイズを小さくでき、1個の分割されていないメッセージが(GSM)無線空中インタフェースによってそっくりそのまま完全に転送できる点である。
【0010】
本発明の方法と装置のより完全な理解は添付図面に関連してとられた次の詳細な説明を参照して得られるかもしれない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の好適な実施形態を図示するために用いられるブロック図である。
【図2】本発明の好適な実施形態を図示するために用いられるタイムシーケンスの図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図 面 の 詳 細 な 説 明
本発明の好適な実施形態とその利点とは、添付図面の図1〜図2を参照することにより最も良く理解されるが、その図面において、同じ番号はそれらの図面の同様のまた対応する部分に対して用いられている。
【0013】
本質的には、本発明の好適な実施形態に従えば、UTRAN RRC “HANDOVER TO UTRAN COMMAND”メッセージにおけるあるIE(例えば、S−RNTIとスクランブルコード番号)のサイズは、UTRANへの無線間接続技術(inter-RAT)ハンドオーバを実行しているUEによる排他的な使用のためにIEパラメータの値のサブレンジをリザーブすることによって小さくされる。例えば、スクランブルコード番号(或いはS−RNTI番号)の最小値は、UTRANへのハンドオーバを実行するUEへの初期割当てのためにリザーブされる。ハンドオーバ手順の完了時、UTRANは別のスクランブルコード番号(或いはS−RNTI番号)をそのUEに割当てることができる。その結果、RRC HANDOVER TO UTRAN COMMANDメッセージにおいて用いられるIEのサイズをかなり小さくすることにより、付加的な(例えば、オプションの)パラメータが同じハンドオーバ命令メッセージによって取得されても良い。そのようなものとして、HANDOVER TO UTRAN COMMANDメッセージにおいて利用可能になる空間が、予め定義された無線構成の使用を回避するためのオプションを創成するのに用いられても良く、これは柔軟性を増す結果になる。
【0014】
特に、図1は本発明の好適な実施形態を図示するために用いられるブロック図である。この代表的な実施形態について、UE(例えば、移動端末)10は、第1のシステム(例えば、GSM)ネットワーク20からUTRAN50へのシステム間ハンドオーバを実行することになる。その手順は、第1のシステム20がUE10にUTRAN50へのハンドオーバを実行するように命令するときに開始される。外部システムからUTRANへのハンドオーバについて、ハンドオーバ手順はUTRAN RRC プロトコル仕様TS25.331に従って実行されることになるのが好ましい。
【0015】
図2は、本発明の好適な実施形態を図示するために用いられるタイムシーケンスの図である。図1と図2において、第1の無線接続システム(例えば、GSM)ネットワーク20からUTRAN50へのシステム間ハンドオーバを開始するために、第1のシステムネットワーク20は“HANDOVER TO UTRAN COMMAND”メッセージ60を無線空中インタフェース26によって(存在している接続で)UE10に送信する。次の情報がメッセージ60(必ずしもこれに限定される必要はないが)に含まれる。即ち、割当てられることになるIE“U−RNTI”、用いられることになる無線基地局、トラフィックチャネル、物理チャネルパラメータの予め定義された構成を示すIE“所定の無線構成識別(Predefined radio configuration identity)”、及び(スクランブルコード番号を含む)物理チャネル(PhyCH)IEである。
【0016】
本発明の好適な実施形態に従えば、第1のシステムからUTRANへのハンドオーバ手順の間に、UTRAN50はまず、この種のハンドオーバ手順では排他的に定義されるあるサブレンジ内にある“S−RNTI”と“スクランブルコード番号”IEについての値を割当てる。例示として、GSMネットワーク(20)からUTRAN(50)への上述したサブレンジを用いたUE(10)のハンドオーバについて、“U−RNTI”IEのサイズは、“U−RNTI”IEの“S−RNTI”IEの部分を32ビットから10ビット/1024値に小さくすることにより小さくなり、“スクランブルコード番号”IEのサイズは24ビットから13ビット/最大8192値に小さくされる。この時点で、上述した番号と値との少なくともいずれかは、ただ例示を目的としたものであり、本発明についての限定を意図したものではないことに留意することは重要である。(通常、“U−RNTI”IEの現在の“S−RNTI”IE部分は0〜4095の間の値をもち、“スクランブルコード番号”は0〜65535の間の値をもつ。)この代表的な実施形態について、“S−RNTI”及び“スクランブルコード番号”についての最小値が最初ハンドオーバ手順に用いられるのが好ましい。このようにして、ハンドオーバ命令メッセージ60についてIEのサイズが、そのメッセージに付加的な(例えば、オプションの)IEが今や含まれる余裕がある程度にまでかなり小さくされる。
【0017】
例えば、この代表的な実施形態に従えば、次の付加的な情報が今やハンドオーバ命令メッセージ60(必ずしもこれに限定される訳ではないが)に含まれる。即ち、ダウンリンクDPCH圧縮モード情報、SSDT指示情報などである。このようにして、第1のシステム(例えば、GSM)ネットワークからUTRANへのハンドオーバの品質がかなり改善される。
【0018】
一旦、UE10が“HANDOVER TO UTRAN COMMAND”メッセージ60を受信したなら、UEは、(局部的に)“U−RNTI”IEの値を格納する。それから、“所定の無線構成識別”IEとPsyCH.IEによって識別される予め定義されたパラメータに従って、UEはUTRAN50、無線基地局、及びトラフィックチャネルとの信号リンクを開始する。UEはまた、上述したRRCプロトコル仕様に従ってハンドオーバ手順に関係した他の機能をも実行する。
【0019】
もしUE10がUTRAN50への接続をうまく確立したなら、UE10はアップリンク専用制御チャネル(DCCH)で“HANDOVER COMPLETE”メッセージ70を送信する。UTRAN無線リンク制御(RLC)(不図示)は“HANDOVER COMPLETE”メッセージ70の受信を確認し、そのハンドオーバは終了する。ハンドオーバ手順の完了時、UTRANは他のスクランブルコード番号或いはS−RNTI番号をそのUEに割当てることができる。
【0020】
これに対して、もしUE10がUTRAN50への接続を確立するのに成功しないなら、UEはハンドオーバ手順を終了させ、関連する資源を解放する。それから、UE10はハンドオーバ手順が開始される前に用いられた接続を回復させ、他の無線接続システム(例えば、GSM)ネットワーク20に接続の失敗を示す。
【0021】
本発明の方法と装置の好適な実施形態を添付図面と上述の詳細な説明において例示して説明したが、本発明は開示された実施形態によって限定されるものではなく、請求の範囲によって説明され定義されているように、本発明の精神を逸脱することなく、数多くの再構成、変形、代用が可能であることが理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のシステムネットワークからUTRAN(50)へのハンドオーバ手順の性能を向上させる方法であって、
前記第1のシステムネットワークから前記UTRAN(50)へのハンドオーバを開始するハンドオーバ命令メッセージ(60)を生成する工程と、
前記ハンドオーバ命令メッセージ(60)において少なくとも1つの情報要素のサイズを小さくする工程と、
前記ハンドオーバ手順の前記実行のために前記ハンドオーバ命令メッセージ(60)をユーザ機器(10)に転送する工程とを有することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第1のシステムネットワークは、GSMネットワークを有していることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの情報要素は、S−RNTI情報要素を有していることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの情報要素は、スクランブルコード番号情報要素を有していることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ハンドオーバ命令メッセージは、HANDOVER TO UTRAN COMMAND(60)メッセージを有していることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記転送する工程は、GSM無線空中インタフェース(26)によって前記ハンドオーバ命令メッセージを送信することを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
第1のシステムネットワークとUTRAN(50)とユーザ機器(10)とを含み、ハンドオーバ手順の性能を向上させるシステムであって、前記システムは、
前記第1のシステムネットワークから前記UTRAN(50)へのハンドオーバを開始するハンドオーバ命令メッセージ(60)を生成する手段と、
前記ハンドオーバ命令メッセージ(60)において少なくとも1つの情報要素のサイズを縮小する手段と、
前記ハンドオーバ手順の前記実行のために前記ハンドオーバ命令メッセージ(60)を前記ユーザ機器に転送する手段とを有することを特徴とするシステム。
【請求項8】
前記第1のシステムネットワークは、GSMネットワークを有していることを特徴とする請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記少なくとも1つの情報要素は、S−RNTI情報要素を有していることを特徴とする請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記少なくとも1つの情報要素は、スクランブルコード番号情報要素を有していることを特徴とする請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
前記ハンドオーバ命令メッセージは、HANDOVER TO UTRAN COMMAND(60)メッセージを有していることを特徴とする請求項7に記載のシステム。
【請求項12】
前記転送する手段は、GSM無線空中インタフェース(26)によって前記ハンドオーバ命令メッセージ(60)を送信する手段を有していることを特徴とする請求項7に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−155668(P2011−155668A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−47999(P2011−47999)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【分割の表示】特願2001−553331(P2001−553331)の分割
【原出願日】平成13年1月17日(2001.1.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(598036300)テレフオンアクチーボラゲット エル エム エリクソン(パブル) (2,266)
【Fターム(参考)】