説明

シフトレバー装置

【課題】シフトレバーをシフト方向に沿って操作した際に、センサリンクをシフトレバーのシフト位置に対応するシフト検出位置へ精度良く移動させる。
【解決手段】シフトレバー装置10では、シフトレバー16とセンサリンク100との間に配置された同期リンク130が、シフト方向に沿ってシフトレバー16及びセンサリンク100と常に一体となった移動することにより、シフトレバー16をシフト方向に沿って操作した際に、センサリンク100をシフトレバー16のシフト位置に対応するシフト検出位置へ精度良く移動させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車両に用いられ、車両における変速機をシフトチェンジするためのシフトレバー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の自動変速機をシフトチェンジするためのシフトレバー装置には、シフトレバーが車両の前後方向と略一致する方向(シフト方向)及び車両の幅方向と略一致する方向(セレクト方向)の2方向へそれぞれ移動可能とされたものがある。
【0003】
上記のようなシフトレバーがシフト方向及びセレクト方向へ移動可能とされたシフトレバー装置としては、特許文献1に記載されたものが知られている。この特許文献1に記載されたシフトレバー装置には、シフト方向及びセレクト方向に沿ってそれぞれ揺動可能とされたシフトレバー及び、このシフトレバーのシフト方向及びセレクト方向に沿った位置を検出するためのポジションセンサが設けられている。
【0004】
ここで、ポジションセンサには、センサリンクがシフト方向に沿ってそれぞれ揺動可能に設けられており、このセンサリンクの先端部には径方向外側へ突出する連結突起が形成されている。一方、シフトレバーには連結突起に対応するカムが設けられており、このカムにはセレクト方向に延在すると共に、連結突起が嵌挿される連結溝が形成されている。これにより、連結突起及び連結溝を介してシフトレバーとセンサリンクがシフト方向へは一体となって移動するように連結されるが、自動変速エリアにあるシフトレバーがセレクト方向へ移動する際には、連結突起が連結溝内でセレクト方向に沿って相対移動することにより、シフトレバーのみがセレクト方向に沿って単体で移動可能になる。
【特許文献1】特開2000−108707号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1記載のシフトレバー装置では、シフトレバーのカムをセンサリンクの連結突起にバラツキをもって組みつけるために、カムと連結突起との間に隙間(クリアランス)を形成しておく必要がある。このクリアランスの影響により、センサリンクとシフトレバーとの間の位置決め精度にばらつきが生じ、センサリンクをシフトレバーのシフト位置に対応するシフト検出位置へ精度良く移動させることが難しいという問題が生じる。
【0006】
本発明の目的は、上記事実を考慮し、シフトレバーをシフト方向に沿って操作した際に、センサリンクをシフトレバーのシフト位置に対応するシフト検出位置へ精度良く移動させることができるシフトレバー装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に係るシフトレバー装置は、車両前後方向に沿って移動可能とされ、前記車両前後方向に沿って操作されて任意のシフト位置へ移動可能とされたシフトレバーと、複数の前記シフト位置にそれぞれ対応する複数のシフト検出位置へ前記車両前後方向に沿って移動可能とされたセンサリンクが設けられ、該センサリンクが位置する前記シフト検出位置に対応するシフト制御信号を出力するセンサリンク検出手段と、前記シフトレバーと前記センサリンク検出手段との間に配置されると共に、前記車両前後方向に沿って複数の前記シフト検出位置へそれぞれ移動可能とされ、前記車両前後方向に沿って前記センサリンクと一体となって移動するように前記センサリンクに連結された同期リンクと、前記同期リンクに設けられ、段階的に弾性的な保持力により調節可能に保持する節度手段と、前記シフトレバーを、前記同期リンクと一体となって前記車両前後方向に沿って移動するように該同期リンクに連結する係合手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
上記のように構成された本発明のシフトレバー装置によれば、シフトレバーをシフト方向に沿って操作した際に、センサリンクをシフトレバーのシフト位置に対応するシフト検出位置へ精度良く移動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態に係るシフトレバー装置について図面を参照して説明する。
【0010】
(実施形態の構成)
図1〜図3には本発明の実施形態に係るシフトレバー装置の構成が示されている。本実施形態に係るシフトレバー装置10は、所謂、手動での自動変速機に対するシフトチェンジ操作が可能な手動変速モード付きのシフトレバー装置として構成されており、変速モードとして手動変速モード及び自動変速モードの一方が選択可能とされている。なお、図中、符号Wは装置の幅方向、FRは装置の前後方向をそれぞれ示しており、装置の幅方向及び前後方向は、説明を簡単にするため、シフトレバー装置10が取付けられる車両の幅方向及び前後方向と一致するものとする。また図6に示される矢印DF及びDRは車両の前後方向に沿った前端側及び後端側をそれぞれ示すものとする。
【0011】
図1の分解斜視図に示されるように、シフトレバー装置10は、複数個のスペーサ12を介して車体フレームにボルト等により締結固定される筐体状のハウジングケース14と、このハウジングケース14内に下端側が挿入されるシフトレバー16とを備えている。シフトレバー16は、全体として丸棒状に形成されたレバーロッド18と、このレバーロッド18の下端側を被覆して、これをハウジングケース14側に連結するための支持部材20と、レバーロッド18の上端部に固定されたシフトノブ22(図2参照)とを備えている。
【0012】
支持部材20には、下端側にブロック状の本体ブロック部24が設けられると共に、この本体ブロック部24の上端面から上方へ突出する円筒状のスリーブ部26が一体的に形成されている。本体ブロック部24の下端部には、前後方向(矢印FR方向)に沿った中央付近に装置の幅方向(矢印W方向)へ貫通すると共に、下端側へ向って開口した切欠部28が形成されている。切欠部28内には、軸心が幅方向と平行に延在する円柱状の第1支軸30が挿通している。支持部材20の下端部には前後方向に貫通する軸孔34が穿設され、また第1支軸30の軸方向中間部にも前後方向に貫通する軸孔36が穿設されている。これらの軸孔34、36には、ピン状の第2支軸32が相対的に回動可能に挿通している。これにより、シフトレバー16の支持部材20は、第1支軸30の軸方向中間部に回動可能に連結される。
【0013】
図2に示されるように、第1支軸30は、ハウジングケース14における一対の側壁38、40にそれぞれ同軸的に形成された貫通孔42(図1には、紙面右側の側壁38の貫通孔42のみが示されている。)に挿入されており、軸方向両端部(一端部及び他端側)がそれぞれハウジングケース14の側壁38、40から外側に突出している。
【0014】
第1支軸30の他端部には、一端側に対して外径が拡大された鍔部31が一体的に形成されており、この鍔部31は側壁40の外側面に当接し、ハウジングケース14に対する第1支軸30の一端側への移動を拘束している。また第1支軸30の他端部には、他端側に対して外径が縮小されたねじ部44が一体的に形成されており、このねじ部44には、リング状のブッシュ46及びワッシャ48が嵌挿されると共に、ブッシュ46及びワッシャ48の外側からナット50が捻じ込まれている。これにより、第1支軸30は、ハウジングケース14に対する軸方向に沿った移動が拘束されると共に、ハウジングケース14により回動可能に支持される。
【0015】
シフトレバー装置10では、支持部材20が第1支軸30及び第2支軸32を介してハウジングケース14に連結されることにより、シフトレバー16が第1支軸30を中心としてシフト方向(車両前後方向)へ揺動可能とされると共に、第2支軸32を中心としてシフト方向に直交するセレクト方向(第2の操作方向)へ揺動可能とされる。
【0016】
図1に示されるように、シフトレバー16のレバーロッド18は、丸棒状のスライド軸52と、スライド軸52の先端部に嵌挿固定されるキャップ54とを備えており、スライド軸52は、その下端側が支持部材20のスリーブ部26内を貫通するスライド孔27内に摺動可能に挿入されている。スライド孔27は、スリーブ部26内から本体ブロック部24の下端側まで伸びており、本体ブロック部24には、スライド孔27を介して幅方向へ貫通するガイドスロット56が形成されている。ガイドスロット56はシフトレバー16の軸方向へ細長く形成されている。
【0017】
シフトレバー16には、スライド軸52の下端部とスライド孔27の底部との間に圧縮状態の第1コイルスプリング58が介装されており、この第1コイルスプリング58はスライド軸52を常に上方へ付勢している。またスライド軸52の下端部には幅方向へ貫通する連結孔53が穿設されており、この連結孔53内には、棒状のグルーブドピン60が嵌挿固定されている。グルーブドピン60は、その両端側を、スライド孔27を通してスライド軸52からそれぞれ突出させている。このグルーブドピン60は、第1コイルスプリング58によりスライド軸52と共に常に上方へ付勢される。ここで、グルーブドピン60は、ガイドスロット56により移動範囲が制限されており、ガイドスロット56の上端及び下端にそれぞれ対応するロック位置及びリリース位置との間で移動可能とされている。
【0018】
図2に示されるように、シフトノブ22はスリーブ部26の上端部に固定されており、その上端部にシフトボタン62が軸方向に沿って移動可能に配置されている。シフトボタン62は、下端側をキャップ54(図1参照)の先端部に圧接させている。これにより、車両の運転者がシフトボタン62を押下すると、スライド軸52及びグルーブドピン60が第1コイルスプリング58に抗してロック位置からリリース位置まで移動し、シフトボタン62への押下を止めると、第1コイルスプリング58の付勢力によりリリース位置からロック位置へ復帰する。
【0019】
一方、ハウジングケース14における他方の側壁40には、その内側にグルーブドガイド64が形成されており、このグルーブドガイド64には、第1コイルスプリング58により上方へ付勢されたグルーブドピン60の他端部が圧接している。グルーブドガイド64は、第1支軸30を中心とする周方向に沿って延在する曲面として形成されており、このグルーブドガイド64には、第1支軸30の軸心からの距離(曲率半径)が小さくなった、すなわち第1支軸30側へ突出したストッパ部(図示省略)が部分的に形成されている。
【0020】
具体的には、グルーブドガイド64のストッパ部は、後述する自動変速エリアにおけるニュートラル位置(N位置)とリバース位置(R位置)との中間部に対応して設けられている。これにより、シフトレバー16をN位置及びR位置の一方から他方へ移動させる際には、シフトボタン62を押下してグルーブドピン60をリリース位置へ保持しなければ、シフトレバー16がN位置〜R位置間を移動できなくなる。
【0021】
図1に示されるように、ハウジングケース14には、その頂板部66にシフトレバー16の操作方向に沿って細長い開口部68が形成されており、この開口部68を通ってシフトレバー16は、ハウジングケース14内から上方(車室内)へ突出している。シフトレバー装置10には、ハウジングケース14の開口部68を閉止するガイドプレート70が設けられている。
【0022】
ガイドプレート70には、図6に示されるように、幅方向(セレクト方向)に沿って側壁38側にシフト方向及びセレクト方向に沿ってクランク状に延在する第1ガイド溝72が形成されると共に、この第1ガイド溝72の後端側(矢印RR側)の端部からセレクト方向に沿って側壁40側へ屈曲した第2ガイド溝74が形成されている。
【0023】
ここで、第1ガイド溝72の内側は、自動変速エリアとして構成されており、この自動変速エリアには、シフト位置としてオートドライブ位置(A位置)、ニュートラル位置(N位置)、リバース位置(R位置)、リバースセレクト位置(RS位置)及びパーキング位置(P位置)がそれぞれ設定されている。また第2ガイド溝74の内側は、手動変速エリアとされており、ここにマニュアルドライブ位置(M位置)が設定されている。
【0024】
また第1ガイド溝72は、側壁40側にシフト方向に延在する主直線部76が形成されると共に、この主直線部76の前端部からセレクト方向に沿って側壁38側に屈曲した屈曲部78を介し、シフト方向に沿って前側へ延出する副直線部80が形成されている。ここで、主直線部76にはA位置、N位置及びR位置が含まれ、副直線部80にはRS位置及びP位置が含まれている。
【0025】
図1及び図5に示されるように、シフトレバー16の本体ブロック部24には、前後方向に沿って後端側に円筒状のホルダ部82が斜め上方に向けて突設されている。ホルダ部82内には、円柱状のディテントピン84がホルダ部82の軸方向に沿って移動可能に挿入されており、ディテントピン84は、ホルダ部82内におけるディテントピン84の基端側に配置された第2コイルスプリング86により常に上方へ付勢されている。
【0026】
ディテントピン84は、シフト方向及びセレクト方向へはシフトレバー16と一体となって移動するようにホルダ部82により支持されており、その先端部をハウジングケース14における頂板部66(図1参照)の裏面側に設けられたディテントガイド面(図示省略)へ圧接させている。このとき、ディテントピン84は、第2コイルスプリング86を介してディテントガイド面から受けた反力をシフトレバー16に伝達する。この反力は、シフトレバー16が自動変速エリア及び手動変速エリアにおける所定のシフト位置(A、N、R、P及びM位置)の何れかに達したときに、このシフトレバー16を所定のシフト位置に安定的に保持するための保持力として作用する。またディテントピン84からの反力は、シフトレバー16が自動変速エリアにおける隣接するシフト位置間を移動する際に、シフトレバー16の操作者へ操作上の節度感を与えるための付勢力(抵抗力又は推進力)としても作用する。
【0027】
またディテントピン84からの反力は、シフトレバー16が手動変速エリアにおけるM位置にあるときには、シフトレバー16をA位置側へ付勢する付勢力として作用する。
【0028】
図1に示されるように、シフトレバー装置10は、P位置に位置するシフトレバー16をロックするロックソレノイド88を備えており、シフトレバー16がP位置に位置することを、後述するP位置検出スイッチが検出した状態では、車両のフットブレーキが操作されないと、ロックソレノイド88によってシフトレバー16のP位置からR位置側への移動が阻止されるようになっている。
【0029】
ハウジングケース14における側壁40の外側には、シフトレバー16のシフト方向に沿った位置を検出するためのポジションセンサ90が配置されている。ポジションセンサ90には、外殻部としてセンサハウジング92が設けられている。センサハウジング92は、全体として幅方向を厚さ方向とする肉厚プレート状に形成されており、その周壁部にそれぞれ外周側へ延出する複数のステー部94が形成されている。センサハウジング92は、複数のステー部94をそれぞれ貫通するビス96により側壁40に締結固定されている。
【0030】
図2に示されるように、センサハウジング92における軸方向内側の外側面には、下端側に円筒状のスペーサ部98が側壁40側へ突出するように形成されており、このスペーサ部98は、その先端部をハウジングケース14の側壁40に当接させ、スペーサ部98内には第1支軸30の鍔部31が同軸的に配置される。センサハウジング92内には、アーム状のセンサリンク100及びセンサ基板102が配置されている。ここで、センサハウジング92は、図4に示されるように、幅方向外側に配置されるアウタハウジング部104と、このアウタハウジング部104の内側に配置されるインナハウジング部106とを備えており、これらハウジング部104、106は、ビス96(図1参照)により側壁40へ共締めされることにより、センサハウジング92を構成している。
【0031】
インナハウジング部106には、図2に示されるように、スペーサ部98の幅方向外側にセンサハウジング92内へ突出する支軸部108が一体的に形成されている。この支軸部108は、スペーサ部98と同軸的に配置されており、その先端側に軸心に沿って穿設された嵌挿孔110を備えている。一方、アウタハウジング部104には、嵌挿孔110に対応する嵌挿突起112が一体的に形成されており、嵌挿突起112は嵌挿孔110内に嵌挿している。
【0032】
図4に示されるように、センサリンク100には、その基端部に装置の幅方向を軸方向とする円筒状の軸受部114が一体的に形成されており、この軸受部114は支軸部108の外周側に回動可能に嵌挿されている。これにより、センサリンク100は、第1支軸30の軸心S1を中心として支軸部108により揺動可能に支持される。また軸受部114の外周側には捩りコイルスプリング116が配置されており、この捩りコイルスプリング116は、一端部によりセンサリンク100に係止すると共に、他端部によりインナハウジング部106を係止している。これにより、センサリンク100は、捩りコイルスプリング116の復元力によりシフト方向に沿って常に一方向(図3では、S1を中心とする反時計方向)へ付勢される。
【0033】
センサリンク100は、後述する同期リンク130と連結された状態では、シフト方向に沿ってシフトレバー16のP位置に対応するPD位置と、A位置(=M位置)に対応するAD位置とを含むシフト検出領域Ds(図7参照)内で移動可能とされている。すなわち、センサリンク100は、シフトレバー16に対して所定の位相差を有する状態で、シフトレバー16と実質的に同一の角度範囲で揺動可能とされている。インナハウジング部106には、幅方向に沿ってセンサリンク100に対向するようにセンサ基板102が固定されている。センサ基板102は、軸心S1を中心とする周方向へ延在する形状(略扇状)に形成され、周方向に沿ってPD位置からAD位置よりも若干広い範囲をカバーするように配置されている。
【0034】
センサ基板102には、センサリンク100に対向するセンサ実装面118(図2参照)に複数個の磁気センサ(図示省略)が配置されている。複数個の磁気センサは、例えば、ホール素子等により構成されており、それぞれシフトレバー16のP位置、R位置、N位置及びA位置にそれぞれ対応するPD位置、RD位置、ND位置及びAD位置にそれぞれ対応して配置されている。
【0035】
但し、複数個の磁気センサは、それぞれ軸心S1を中心とする周方向に沿って所定の範囲で延在しており、周方向に沿って隣接する磁気センサは、後述するマグネット120に対する検出範囲の一部が互いに重なり合っている。これにより、シフトレバー装置10は、センサリンク100がシフト検出領域Ds内にあれば、所定のシフト検出位置に位置していなくても、少なくとも1個の磁気センサがセンサリンク100を検出し、検出信号を出力するようになっている。
【0036】
上記のように、センサリンク100がPD位置、RD位置、ND位置及びAD位置における互い隣接する2位置間(中間位置)にあっても、少なくとも1個の磁気センサによりセンサリンク100を検出し、検出信号を車両の制御部へ出力することにより、車両の制御部は、ポジションセンサ90における検出動作の正誤を判断し、検出動作に誤りがあると判断した場合には、所定のエラー処理を行うことが可能になる。
【0037】
一方、センサリンク100には、センサ基板102に対向する径方向中間部にプレート状のマグネット120(図4参照)が固定されている。これにより、ポジションセンサ90では、センサリンク100がPD位置、RD位置、ND位置及びAD位置の何れかに位置すると、センサリンク100のシフト検出位置に対応する複数個(例えば、2個)の磁気センサがセンサリンク100のマグネット120を検出し、検出状態にある複数個の磁気センサからそれぞれ出力される検出信号を、シフト制御信号として車両側の制御部(図示省略)へ出力する。
【0038】
シフトレバー装置10では、センサリンク100と同期リンク130との連結が解除されると、センサリンク100がシフト方向に沿ってシフト検出領域Dsの外側の領域まで揺動可能になる。但し、図7に示されるように、センサ基板102上には制御回路、入出力端子等の電子部品を収納したコネクタボックス200が固定されており、このコネクタボックス200は、捩りコイルスプリング116によるセンサリンク100の付勢方向とは反対の方向(反付勢方向)に沿ってシフト検出領域Dsの外側に配置されている。これにより、センサリンク100自体は、同期リンク130との連結が解除されても、捩りコイルスプリング116の反付勢方向へはコネクタボックス200によりシフト検出領域Dsの外側へ移動することが阻止される。
【0039】
またセンサリンク100は、同期リンク130と連結が解除されると、図7(B)に示されるように、捩りコイルスプリング116の付勢方向に沿って、その付勢力によりシフト検出領域Dsの外側の領域であるシフト非検出領域Osまで揺動する。これにより、センサ基板102上に配置された何れの磁気センサも、センサリンク100(マグネット120)を検出不能になる。
【0040】
図4に示されるように、センサリンク100には、その先端面中央部に軸心S1を中心とする径方向に沿って外周側へ突出する連結突起122が一体的に形成されている。連結突起122には、その基端側に円柱状のブラケット部124が形成されると共に、ブラケット部124に対して先端側に略球状の押圧球部126が一体的に形成されている。
【0041】
図8に示されるように、連結突起122では、ブラケット部124の直径が押圧球部126の直径よりも細径とされており、ブラケット部124には、その基端側に外周面から外周側へ延出する複数個のリブ202、204が一体的に形成されている。ここで、一対のリブ202は、シフト方向に沿ってブラケット部124から一端側(PD位置側)及び他端側(AD位置側)へそれぞれ延出しており、その断面形状が略直角三角形とされている。これらのリブ202は、その下面側がセンサリンク100の先端面に接合されている。また1個のリブ204は、セレクト方向に沿ってブラケット部124から外側へ延出しており、その断面形状が略長方形とされている。このリブ204も、その下面側がセンサリンク100の先端面に接合されている。ブラケット部124は、リブ202,204の上端側の部分がシフト方向に沿った荷重に対する優先破断部206として構成されている。
【0042】
すなわち、ブラケット部124は、シフト方向に沿った荷重に対しては、下端側がリブ202、204によりセンサリンク100に高強度に連結されることになる反面、押圧球部126とリブ202、204との間がノッチ形状に近似したものとなり、この部分がシフト方向に沿った荷重に対する破断強度が低い優先破断部206となる。これにより、連結突起122にシフト方向に沿って過大な荷重が入力した場合には、図7(B)に示されるように、連結突起122は、優先破断部206が優先的に破断して、押圧球部126を含む先端側をセンサリンク100から離脱させることになる。
【0043】
図4に示されるように、インナハウジング部106には、センサリンク100の連結突起122に面して開口する挿通開口128が形成されている。挿通開口128は、軸心S1を中心とする周方向に沿って延在しており、その両端部がそれぞれ周方向に沿ってセンサリンク100の可動範囲(PD位置からAD位置までの範囲)よりも外側まで延びている。
【0044】
図4に示されるように、シフトレバー装置10には、幅方向に沿ってシフトレバー16とポジションセンサ90との間にレバー状の同期リンク130が配置されている。同期リンク130は、基端部に軸心S1を軸方向とする円筒状のリテーナ部132が設けられており、このリテーナ部132は、図2に示されるように、第1支軸30の外周側に回動可能に嵌挿されている。これにより、同期リンク130は第1支軸30を中心としてシフト方向に沿って揺動可能に支持される。リテーナ部132は、その先端側が支持部材20の切欠部28内へ挿入されている。
【0045】
リテーナ部132には、図4に示されるように、切欠部28に対応する前後方向に沿った両端部に開口部134(図4では、前端側の開口部134のみが示されている。)が形成されており、第2支軸32は、一対の開口部134内を通ってリテーナ部132及び第1支軸30を貫通している。ここで、開口部134は、軸心S1を中心とする周方向を長手方向とする略長方形に形成されており、シフトレバー16のシフト方向への移動時に、第2支軸32がリテーナ部132と接触しないように周長が設定されている。
【0046】
同期リンク130には、リテーナ部132から外周側へ延出するリンク本体部136が一体的に形成されている。リンク本体部136はリテーナ部132を中心とする略扇状に形成されており、その外周面にディテント部138が周方向に延在するように形成されている。ディテント部138には、図5に示されるように、山形のディテント突起140が周方向に沿って連続的に形成されており、これらのディテント突起140間に形成されるV字状のディテント溝142は、それぞれセンサリンク100のPD位置、RD位置、ND位置及びAD位置に対応している。シフトレバー装置10には、ディテント部138に対応するディテントスプリング144が設けられている。ディテントスプリング144は、ディテント部138の接線方向に沿って細長く延在する板ばねにより構成されており、その基端部がビス146によりハウジングケース14側に固定されている。
【0047】
ディテントスプリング144には、先端部にコ字状に屈曲したガイド部148が形成されており、このガイド部148は、その両端部によりディテント部138を幅方向に沿って挟持している。またガイド部148には、ディテント溝142に対応する断面山形のスライド部材(図示省略)が固着されており、ディテントスプリング144は、撓み方向に沿ってスライド部材をディテント部138(ディテント突起140及びディテント溝142)側へ常に付勢している。これにより、同期リンク130がセンサリンク100のPD位置、RD位置、ND位置及びAD位置の何れかに位置するときには、ディテントスプリング144のスライド部材が対応するディテント溝142内へ嵌まり込んだ状態となり、ディテント部138及びディテントスプリング144は、同期リンク130をPD位置、RD位置、ND位置及びAD位置の何れかに保持するための保持力を発生する。
【0048】
また同期リンク130がセンサリンク100のPD位置、RD位置、ND位置、AD位置間を通過する際には、ディテントスプリング144のスライド部材がディテント部138と摺動しつつ、対応するディテント突起140を乗り越えることにより、ディテント部138及びディテントスプリング144が同期リンク130に対して節度感(抵抗力又は推進力)を伝達する。
【0049】
図4に示されるように、同期リンク130のリンク本体部136には、シフトレバー16側の一方の側面部にセレクト方向に沿って突出する連結片150が一体的に形成されている。連結片150は、シフト方向に沿った断面形状が上下方向へ細長い略長方形とされており、セレクト方向に沿った寸法(突出長さ)がシフトレバー16のシフト方向に沿った可動範囲(P位置〜M位置間の可動範囲)に対応するものになっている。一方、シフトレバー16の本体ブロック部24には、連結片150に面して連結孔152が形成されており、この連結孔152はセレクト方向に沿って本体ブロック部24を貫通しており、そのシフト方向に沿った開口幅が連結片150の幅よりも僅かに広くなっている。ここで、連結片150及び連結孔152は、本発明における係合手段を構成している。
【0050】
同期リンク130は、図5に示されるように、連結片150をシフトレバー16の連結孔152内へ嵌挿している。ここで、連結片150及び連結孔152の双方はセレクト方向に沿って延在していることから、連結片150は、セレクト方向へは連結孔152に対して相対的に移動可能になるが、シフト方向へは常に連結孔152と一体となって移動する。従って、シフトレバー装置10では、シフトレバー16が同期リンク130に対してセレクト方向へは相対的に移動(揺動)可能になるが、シフト方向へは同期リンク130と一体となって移動(揺動)する。
【0051】
なお、連結片150と連結孔152との間には、設計上、シフト方向に沿って所定幅のクリアランス(ガタ)が存在するが、シフトレバー16の所定位置(P位置、R位置、N位置及びA位置)への移動した際には、同期リンク130自体がディテント部138及びディテントスプリング144の保持力により対応する所定位置(PD位置、RD位置、ND位置及びAD位置)に精度良く、確実に停止する。
【0052】
図4に示されるように、同期リンク130のリンク本体部136には、ポジションセンサ90側の他方の側面部にセレクト方向に沿って突出するプレート状の連結レバー154が一体的に形成されている。連結レバー154は、図3に示されるように、シフト方向に沿った断面形状が上方へ向って凸となるようにコ字状に屈曲されており、その下面側おけるシフト方向に沿った中央部には、セレクト方向に沿って延在する連結溝156が形成されている。
【0053】
連結レバー154は、その先端側が挿通開口128を通ってセンサハウジング92内へ挿入されており、連結溝156内には、図3に示されるように、センサリンク100における連結突起122の押圧球部126が嵌挿されている。押圧球部126の直径は、連結溝156のシフト方向に沿った幅と等しいか、僅かに小さくなっている。
【0054】
具体的には、押圧球部126の直径は、連結溝156のシフト方向に沿った幅に対して0mm〜0.1mm程度小さくなっている。これにより、押圧球部126と連結溝156の内壁部との間には、0mm〜0.1mm程度の隙間(ガタ)が形成されることになるが、センサリンク100が捩りコイルスプリング116によって常に一方向へ付勢されていることから、押圧球部126は、常に連結溝156における一方の内壁部へ圧接した状態となり、ガタの影響によりセンサリンク100自体が変位(振動)することが防止される。
【0055】
ここで、押圧球部126が球状に形成されており、連結溝156がセレクト方向に沿って延在していることから、押圧球部126は、セレクト方向へは連結溝156に対して相対的に移動可能になるが、シフト方向へは実質的に連結溝156と一体となって移動する。従って、シフトレバー装置10では、同期リンク130がセンサリンク100に対してセレクト方向へは相対的に移動可能になるが、シフト方向へは実質的にセンサリンク100と一体となって移動(揺動)する。
【0056】
シフトレバー装置10では、例えば、連結レバー154を介し、同期リンク130から連結突起122にシフト方向に沿って過大な荷重が作用し、この荷重によりセンサリンク100における連結突起122の優先破断部206が破断すると、図7(B)に示されるように、押圧球部126が同期リンク130の連結溝156内から抜け落ちる。これにより、センサリンク100と同期リンク130との連結が解除されるので、センサリンク100は、捩りコイルスプリング116の付勢力によりシフト方向に沿ってシフト検出領域Dsからシフト非検出領域Osまで揺動する。このとき、同期リンク130は、シフトレバー16のシフト位置に対応するシフト検出位置に保持されたままになる。
【0057】
図1に示されるように、シフトレバー装置10には、同期リンク130とは反対側におけるシフトレバー16の幅方向外側にコントロールレバー158が配置されている。コントロールレバー158は、基端部に軸心S1を軸方向とする円筒状のリテーナ部160が設けられており、このリテーナ部160は、一対のブッシュ162を介して第1支軸30の外周側に回動可能に嵌挿されている。これにより、コントロールレバー158は第1支軸30を中心としてシフト方向に沿って揺動可能に支持される。
【0058】
コントロールレバー158には、リテーナ部160の軸方向内側の端部から外周側へ延出する矩形状の連結プレート164が設けられると共に、リテーナ部160の軸方向中間部から外周側へ延出する径方向へ細長いリンクプレート166が設けられている。リンクプレート166は、その上端側が幅方向外側へクランク状に屈曲しており、リンクプレート166の上端部には連結孔168が穿設されている。またリンクプレート166の連結孔168の下側には、ディテントプレート170が2本のビス172により締結固定されている。ディテントプレート170は、その上端面に3個のディテント突起174が形成されており、これらのディテント突起174間には、それぞれV字状のディテント溝176が形成される。
【0059】
ここで、一対のディテント溝176は、それぞれシフトレバー16のリバースセレクト位置(RS位置、図6参照)とP位置にそれぞれ対応している。なお、RS位置は、シフト方向に沿ってシフトレバー16のR位置と一致している。またシフトレバー装置10には、ディテントプレート170に対応するディテントスプリング178が設けられている。ディテントスプリング178は、ディテントプレート170上端面の接線方向に沿って細長く延在する板ばねにより構成されており、その基端部がビス180によりハウジングケース14側に固定されている。
【0060】
ディテントスプリング178には、その先端部がV字状に屈曲されており、先端部をディテントプレート170の上端面(ディテント突起174及びディテント溝176)に圧接させている。これにより、コントロールレバー158がシフト方向に沿ってRS位置及びP位置の一方に位置するときには、ディテントスプリング178の先端部が対応するディテント溝176内へ嵌まり込んだ状態となり、ディテントプレート170及びディテントスプリング178は、コントロールレバー158をRS位置及びP位置の一方に保持するための保持力を発生する。
【0061】
図1に示されるように、シフトレバー16の本体ブロック部24には、コントロールレバー158側の一方の側面部にセレクト方向に沿って突出する連結凸部182が一体的に形成されている。一方、コントロールレバー158の連結プレート164には、連結凸部182に対応して幅方向へ貫通する矩形状の連結開口184が形成されている。ここで、連結凸部182のシフト方向に沿った断面形状は、連結開口184と略相似した矩形状とされており、連結凸部182は、セレクト方向に沿って連結開口184に挿脱可能とされている。
【0062】
シフトレバー装置10では、セレクト方向に沿ってシフトレバー16がR位置からRS位置へ移動すると、連結凸部182が連結開口184内に嵌挿される。これにより、シフトレバー16がコントロールレバー158に連結され、シフト方向へはコントロールレバー158と一体となって移動する状態となり、シフトレバー16がRS位置とP位置との間で移動すると、コントロールレバー158もシフトレバー16と一体となってRS位置とP位置との間で移動する。これとは逆に、シフトレバー16がセレクト方向に沿ってRS位置からR位置へ移動すると、連結凸部182が連結開口184から離脱する。これにより、シフトレバー16とコントロールレバー158との連結状態が解除され、コントロールレバー158をRS位置に保持しつつ、シフトレバー16のみが単体でシフト方向へ移動可能になる。
【0063】
シフトレバー装置10では、シフトレバー16がRS位置からP位置へ操作される際に、グルーブドピン60がロックソレノイド88に設けられたU字状のロックプレート89に嵌入し、シフトレバー16がP位置に達すると、グルーブドピン60がグルーブドガイドに沿って上方へ移動することに伴い、ロックプレート89も上方へ移動する。これに連動し、P位置検出スイッチ(図示省略)がオン状態となり、このP位置検出スイッチからの検出信号によりロックソレノイド88がシフトロック状態となり、ロックプレート89をロックする。これにより、シフトボタン62が操作(押下)できなくなる。
【0064】
シフトロック状態を解除する際には、運転者がフットブレーキを踏み込むことにより、ロックソレノイド88がロック解除状態となり、ロックプレート89が下方へ移動可能になるので、この状態で、シフトボタン62を押下すれば、シフトレバー16がP位置からRS位置側へ移動可能になる。
【0065】
図1に示されるように、シフトレバー装置10は、シフトレバー16のM位置に対応してハウジングケース14内に配置されるA/M切替スイッチ188を備えている。このA/M切替スイッチ188は、シフトレバー16がA位置からM位置へ操作されると、これを検出して車両の制御部(図示省略)へ手動変速モードと自動変速モードとの切替信号を出力する。この切替信号を受けた車両の制御部は、車両における変速モードを手動変速モード及び自動変速モードの一方から他方へ交互いに切り替える。
【0066】
手動変速モードでは、運手者がステアリングハンドルの裏側(車両前側)に配置されたパドルを操作することにより、手動での自動変速機に対するシフトチェンジ操作が可能になる。このとき、M位置に操作されたシフトレバー16は、ディテントピン84からの付勢力によりA位置に自動復帰する。またハウジングケース14にはシフトロック解除ボタン186が配置されている。
【0067】
(実施形態の作用)
次に、上記のように構成された本発明の実施形態に係るシフトレバー装置10の作用を説明する。
【0068】
シフトレバー装置10では、シフトレバー16とセンサリンク100との間に配置された同期リンク130が、シフト方向に沿ってシフトレバー16及びセンサリンク100と常に一体となった移動することにより、シフトレバー16をシフト方向に沿って操作した際に、センサリンク100をシフトレバー16のシフト位置に対応するシフト検出位置へ精度良く移動させることができる。
【0069】
またシフトレバー装置10では、同期リンク130の連結片150及びシフトレバー16の連結孔152が、シフトレバー16を同期リンク130と一体となってシフト方向に沿って移動し、かつセレクト方向へは同期リンク130に対して相対的に移動可能となるように連結することにより、シフトレバー16がセレクト方向に沿って操作された際や、シフトレバー16がセレクト方向に沿って振動した際にも、同期リンク130とセンサリンク100との間にはセレクト方向に沿った相対移動が基本的に発生しないので、同期リンク130の連結レバー154とセンサリンク100の連結突起122との間に磨耗により経時的にガタが生じることを効果的に防止できる。
【0070】
この結果、シフトレバー装置10によれば、同期リンク130の連結レバー154とセンサリンク100の連結突起122との間に磨耗により経時的にガタが生じ、このガタが拡大する現象を防止できるので、同期リンク130とセンサリンク100との間に生じたガタの影響により、同期リンク130のシフト方向に沿った位置に対するセンサリンク100の位置に誤差が生じることを効果的に防止でき、またシフトレバー16をシフト方向に沿って操作し、同期リンク130がシフトレバー16と一体となってシフト方向へ移動しても、同期リンク130の連結レバー154とセンサリンク100の連結突起122とが互いに衝突して打音及び衝撃荷重が発生することを効果的に防止できる。
【0071】
さらにシフトレバー装置10によれば、シフトレバー16の連結孔152と同期リンク130の連結片150との間のシフト方向に沿ったガタ(クリアランス)の大きさを適宜設定すれば、シフトレバー16がシフト方向に沿って振動した場合にも、このシフト方向に沿った振動が同期リンク130及びセンサリンク100に伝達されることを効果的に遮断できる。
【0072】
このとき、シフトレバー16の連結孔152と同期リンク130の連結片150との間のシフト方向に沿ったガタ(クリアランス)をある程度大きく設定しても、シフトレバー16の所定のシフト位置への移動に従って、ディテント部138及びディテントスプリング144により同期リンク130及びセンサリンク100が確実に対応するシフト検出位置(PD位置、RD位置、ND位置及びAD位置)へ移動し、精度良く位置決めされる。
【0073】
なお、本実施形態に係るシフトレバー装置10では、シフトレバー16のセレクト方向に沿った位置に影響されることなく、同期リンク130の連結片150が常にシフトレバー16の連結孔152に嵌挿された連結状態に維持され、シフトレバー16と同期リンク130とが常に一体となってシフト方向へ移動するように構成されているが、例えば、自動変速エリアをセンサ検出領域とすると共に、手動変速エリアをセンサ検出外領域として設定し、シフトレバー16がセレクト方向に沿って自動変速エリア(A位置)からマニュアルドライブエリア(M位置)へ移動すると、連結孔152を連結片150から離脱させ、シフトレバー16と同期リンク130との連結状態を解除し、シフトレバー16がM位置からA位置へ復帰すると、連結片150を連結孔152に嵌挿して、シフトレバー16と同期リンク130とを連結するようにしても良い。すなわち、手動変速エリアでは、ポジションセンサ90によるシフトレバー16の位置検出を停止し、シフトレバー16のシフト方向に沿った位置をA/M切替スイッチ188のみにより検出するようにしても良い。
【0074】
またシフトレバー装置10では、センサリンク100に設けられた連結突起122が、同期リンク130の連結レバー154に形成された連結溝156内に、セレクト方向に沿って相対的に移動可能となるように嵌挿され、また同期リンク130がシフト方向へ移動する際に、連結レバー154に形成された連結溝156の内壁部が連結突起122の押圧球部126に当接してシフト方向に沿った荷重を伝達することにより、車体側から伝達される振動や慣性力等により同期リンク130が第2の操作方向に沿って振動した場合にも、ポジションセンサ90の故障や寿命低下の原因ともなり得る振動がセンサリンク100に伝達されることを効果的に防止でき、また同期リンク130がシフトレバー16と一体となってシフト方向へ移動する場合には、連結溝156の内壁部を介して押圧球部126に伝達される荷重によりセンサリンク100をシフト方向に沿って同期リンク130と一体に移動させることができる。
【0075】
またシフトレバー装置10では、センサリンク100に設けられた連結突起122が、同期リンク130の連結レバー154に形成された連結溝156内に、セレクト方向に沿って相対的に移動可能となるように嵌挿され、また同期リンク130がシフト方向へ移動する際に、連結レバー154に形成された連結溝156の内壁部が連結突起122の押圧球部126に当接してシフト方向に沿った荷重を伝達することにより、車体側から伝達される振動や慣性力等により同期リンク130がセレクト方向に沿って振動した場合にも、ポジションセンサ90の故障や寿命低下の原因ともなり得る振動がセンサリンク100に伝達されることを効果的に防止できる。
【0076】
なお、本実施形態に係るシフトレバー装置10では、連結レバー154に連結溝156を形成すると共に、同期リンク130に連結突起122を設けていたが、これとは逆に、連結レバー154に連結突起を形成すると共に、同期リンク130に連結溝を形成するようにしても良い。
【0077】
またシフトレバー装置10では、連結突起122における押圧球部126が球状に形成され、同期リンク130がシフト方向へ移動する際に、連結突起122の押圧球部126が連結溝156の内壁部と実質的に点接触状態で当接することにより、連結突起の突出方向(本実施形態では、軸心S1を中心とする径方向)が設計上の突出方向に対して誤差がある場合や、連結溝156の深さ方向が連結突起の突出方向と一致しない場合のように、連結突起122や連結溝156に形状的な誤差がある場合でも、連結突起122の押圧球部126と連結溝156の内壁部との接触位置が設計上の接触位置に対して変位することを抑制でき、かつ形状的な誤差の影響により連結突起122の押圧球部126と連結溝156の内壁部との間のガタが拡大することを効果的に防止できる。
【0078】
この結果、シフトレバー装置10によれば、連結突起122の押圧球部126の寸法精度、連結溝156のシフト方向に沿った幅についての寸法精度を含む部分的な寸法精度さえ十分に高いものにしておけば、連結突起122と連結溝156の内壁部との間のガタを十分に小さいものにでき、同期リンク130に対するセンサリンク100のシフト方向に沿った追従性を十分に高いものにできる。
【0079】
なお、本実施形態に係るシフトレバー装置10では、連結突起122における先端側の部分である押圧球部126を球状に形成したが、連結突起122については連結溝156の内壁部との当接部分付近のみを球面状に形成しても、押圧球部126を連結突起122に形成した場合と同様の作用効果を得られる。具体的には、連結突起122の先端側におけるシフト方向に沿った両端部を、それぞれ同一の曲率中心を有する球面状に形成すれば良い。
【0080】
またシフトレバー装置10では、同期リンク130からセンサリンク100にシフト方向に沿って衝撃力等の過大な荷重(操作力)が伝達された場合には、連結突起122の基端側に形成された優先破断部206を優先的に破断させ、この優先破断部206を介して押圧球部126をセンサリンク100から分離し、センサリンク100と同期リンク130との連結状態を解除することにより、常にシフト非検出領域Osに付勢されたセンサリンク100をシフト非検出領域Osに確実に移動させることができる。
【0081】
このとき、シフトレバー装置10では、センサリンク100がシフト方向に沿ってシフト検出領域Dsに位置していると、センサ基板102上に配置された複数個の磁気センサの何れかがセンサリンク100のマグネット120を検出する状態(検出状態)となり、センサリンク100がシフト方向に沿ってシフト非検出領域Osに位置していると、複数個の磁気センサの全てがセンサリンク100のマグネット120を検出しない状態(非検出状態)となることから、連結突起122の優先破断部206が破断してセンサリンク100がシフト検出領域Dsからシフト非検出領域Osまで移動すると、少なくとも1個が検出状態にあった複数個の磁気センサの全てが非検出状態になるので、ポジションセンサ90から車両の制御部への全ての検出信号(例えば、センサリンク100の検出信号、センサリンク100がシフト検出位置にあることを検出したシフト制御信号)の出力が停止する。
【0082】
この結果、シフトレバー装置10によれば、センサリンク100に破損が生じてポジションセンサ90に異常(故障)が発生した場合には、車両の制御部への全ての検出信号の出力が停止することにより、車両の制御部へポジションセンサ90に故障が生じたことを報知できる。これにより、車両の制御部は、ポジションセンサ90に異常(故障)が発生したことを判断できるので、運転者へのアラームの表示や、自動変速機を空転状態(ニュートラル状態)に制御する等のポジションセンサ90の故障に対応する所定の異常処理を実行することができる。
【0083】
また本実施形態に係るポジションセンサ90では、磁気センサによりセンサリンク100のマグネット120のシフト方向に沿った位置を磁気的に検出していたが、このような磁気センサ以外にも、センサリンク100の位置を機械的に検出するポテンションメータや、光学的に検出する光電スイッチ等の各種のものを用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の実施形態に係るシフトレバー装置の全体構成を示す分解斜視図である。
【図2】図1に示されるシフトレバー装置の構成を示す一部を破断面とした正面図である。
【図3】図1に示されるシフトレバー装置の構成を示す一部を破断面とした側面図である。
【図4】図1に示されるシフトレバー装置におけるシフトレバー、同期リンク及びポジションセンサの構成を示す分解斜視図である。
【図5】図1に示されるシフトレバー装置におけるシフトレバー、同期リンク及びセンサリンクの構成を示す斜視図である。
【図6】図1に示されるシフトレバー装置におけるガイドプレートの構成を示す平面図である。
【図7】図1に示されるシフトレバー装置におけるポジションセンサの構成を示す側面断面図であり、(A)はセンサリンクがシフト検出領域Dsにある状態、(B)はセンサリンクがシフト非検出領域Osにある状態を示している。
【図8】図1に示されるシフトレバー装置におけるセンサリンクの連結突起の構成を示す斜視図及び側面図である。
【符号の説明】
【0085】
10 シフトレバー装置
16 シフトレバー
90 ポジションセンサ(センサリンク検出手段)
100 センサリンク
120 マグネット(磁石)
122 連結突起
124 ブラケット部(連結突起)
126 押圧球部(連結突起、荷重伝達部)
130 同期リンク
138 ディテント部(節度手段)
144 ディテントスプリング(節度手段)
150 連結片(係合手段)
152 連結孔(係合手段)
154 連結レバー(連結部材)
156 連結溝
206 優先破断部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両前後方向に沿って移動可能とされ、前記車両前後方向に沿って操作されて任意のシフト位置へ移動可能とされたシフトレバーと、
複数の前記シフト位置にそれぞれ対応する複数のシフト検出位置へ前記車両前後方向に沿って移動可能とされたセンサリンクが設けられ、該センサリンクが位置する前記シフト検出位置に対応するシフト制御信号を出力するセンサリンク検出手段と、
前記シフトレバーと前記センサリンク検出手段との間に配置されると共に、前記車両前後方向に沿って複数の前記シフト検出位置へそれぞれ移動可能とされ、前記車両前後方向に沿って前記センサリンクと一体となって移動するように前記センサリンクに連結された同期リンクと、
前記同期リンクに設けられ、段階的に弾性的な保持力により調節可能に保持する節度手段と、
前記シフトレバーを、前記同期リンクと一体となって前記車両前後方向に沿って移動するように該同期リンクに連結する係合手段と、
を有することを特徴とするシフトレバー装置。
【請求項2】
前記シフトレバーは、前記車両前後方向に直交する第2の操作方向に沿って移動可能とされ、前記係合手段は、前記シフトレバーを前記第2の操作方向へは前記同期リンクに対して相対的に移動可能となるように該同期リンクに連結することを特徴とする請求項1記載のシフトレバー装置。
【請求項3】
前記センサリンク及び前記同期リンクの一方に設けられ、前記車両前後方向と略直交する方向へ突出する連結突起と、
前記センサリンク及び前記同期リンクの他方に形成され、前記連結突起が前記第2の操作方向に沿って相対的に移動となるように嵌挿されると共に、前記同期リンクが前記車両前後方向へ移動する際に、内壁部を前記連結突起に当接させて前記車両前後方向に沿った荷重を伝達する連結溝と、
を有することを特徴とする請求項2記載のシフトレバー装置。
【請求項4】
前記連結突起における少なくとも前記連結溝の内壁部との当接部位を球面状に形成し、前記同期リンクが前記車両前後方向へ移動する際に、前記連結突起を前記連結溝の内壁部と実質的に点接触状態で当接させることを特徴とする請求項3記載のシフトレバー装置。
【請求項5】
前記係合手段は、前記シフトレバー及び前記同期リンクの一方に、前記第2の操作方向に沿って前記シフトレバー及び前記同期リンクの他方へ向って突出するように設けられた連結片と、前記シフトレバー及び前記同期リンクの他方に設けられ、前記2の操作方向に沿って前記連結片が相対的に移動可能に嵌挿される連結孔とを有することを特徴とする請求項2乃至4の何れか1項記載のシフトレバー装置。
【請求項6】
前記センサリンク及び前記同期リンクの一方に設けられ、前記車両前後方向と略直交する方向へ突出すると共に、基端側の一部に前記車両前後方向に沿った荷重に対する破断強度が低い優先破断部が形成された連結突起と、
前記センサリンク及び前記同期リンクの他方に設けられ、前記同期リンクが前記車両前後方向へ移動する際に、前記連結突起における前記優先破断部よりも先端側の部分に前記車両前後方向に沿った荷重を伝達し、該車両前後方向に沿って前記連結突起と一体となって移動する連結部材と、
を有することを特徴とする請求項2記載のシフトレバー装置。
【請求項7】
前記センサリンク検出手段は、前記車両前後方向に沿って前記センサリンクを複数の前記シフト検出位置を含む検出領域及び、該検出領域の外側に位置する非検出領域へ移動可能とすると共に、前記センサリンクを前記非検出領域に常に付勢し、前記センサリンクが前記検出領域に位置すると、該センサリンクに対する検出状態となり、前記センサリンクが前記非検出領域に位置すると、該センサリンクに対する非検出状態となることを特徴とする請求項6記載のシフトレバー装置。
【請求項8】
前記連結部材は、前記前記連結突起が前記第2の操作方向に沿って相対的に移動となるように嵌挿される連結溝を有し、前記同期リンクが前記車両前後方向へ移動する際に、前記連結溝の内壁部を前記連結突起における前記優先破断部よりも先端側の一部に当接させて前記車両前後方向に沿った荷重を伝達することを特徴とする請求項6又は7記載のシフトレバー装置。
【請求項9】
前記連結突起における先端側の一部に球面状の荷重伝達部を形成し、前記同期リンクが前記車両前後方向へ移動する際に、前記荷重伝達部を前記連結溝の内壁部と実質的に点接触状態で当接させることを特徴とする請求項8記載のシフトレバー装置。
【請求項10】
前記センサリンクは、前記連結突起に対して基端側に配置された磁石を有し、
前記センサリンク検出手段は、前記センサリンクに配置された磁石を磁気的に検出する磁気センサを有することを特徴とする請求項6乃至9の何れか1項記載のシフトレバー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図7】
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