説明

シブトラミンとベータ−シクロデキストリンの包接複合体

本発明は、貯蔵安定性が優れたシブトラミン含有包接複合体に関し、特に、式1で表されるシブトラミン(N,N−ジメチル−1−[1−(4−クロロフェニル)−シクロブチル]−3−メチルブチルアミン)とベータ−シクロデキストリンを特定比で反応させて製造される、製剤に適合した薬剤学的に安定した包接複合体、その製造方法およびこれを含有する医薬組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯蔵安定性が優れたシブトラミン含有包接複合体、その製造方法およびその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
シブトラミンは、心気症、パーキンソン病及び肥満の予防および治療に対して効果的であることで知られている[英国特許第2,098,602号;大韓民国特許公告第1990−00274号;国際特許公開第88/06444号;大韓民国特許公告第1999−164435号]。
【0003】
更に、シブトラミンは、インスリン耐性を減少させたり、グルコース耐性を向上させるのに使用され、通風、高尿酸血症、脂質異常症、骨関節炎、不安障害、睡眠障害、性機能障害、慢性疲労症候群および胆石症のような疾患の予防および治療に有用であることで知られている[米国特許第6,174,925号;第5,459,164号;第6,187,820号;第6,162,831号;第6,232,347号;第6,355,685号;第6,365,631号;第6,376,554号;第6,376,551号;および第6,376,552号]。
【0004】
ところが、シブトラミンは油状で存在するため、薬剤学的に使用する際に扱いが困難である。投与に適合した医薬組成物を製造するために、使用前に、シブトラミンを薬剤学的に許容可能な酸塩に転換することが必要である。
【0005】
英国特許第2,098,602号および大韓民国特許公告第1990−0000274号は、シブトラミンの薬剤学的に許容可能な酸塩として無水シブトラミン塩酸塩の製造方法を開示している。しかし、無水シブトラミン塩酸塩は相対的に吸湿性が高く、医薬組成物内のシブトラミン含量を一定に維持することが難しい。吸収された水分は、活性成分(シブトラミン)の加水分解または化学的分解を引き起こし、結局、シブトラミンの効率を大幅に低下させる。その結果、医薬組成物の活性成分として無水シブトラミン塩酸塩を使用することが難しい。
【0006】
前述した問題を解決するために、英国特許第2,184,122および大韓民国特許公告第1994−0008913号は、式2で表される非吸湿性シブトラミン塩酸塩一水和物の製造方法を開示している。
〔式2〕

【0007】
シブトラミン塩酸塩一水和物は、吸湿性により発生する無水シブトラミン塩酸塩に見られる問題がない。従って、シブトラミン塩酸塩一水和物の利用の開発により、治療剤を製造するのにシブトラミンが使用され始めた。更に詳しくは、シブトラミン塩酸塩一水和物は、肥満の治療薬であるメリディアまたはリダクティル(登録商標)の活性成分として使用されてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】英国特許第2,098,602号
【特許文献2】大韓民国特許公告第1990−0000274号
【特許文献3】国際特許公開第88/06444号
【特許文献4】大韓民国特許公告第1999−0164435号
【特許文献5】米国特許第6,174,925号
【特許文献6】米国特許第5,459,164号
【特許文献7】米国特許第6,187,820号
【特許文献8】米国特許第6,162,831号
【特許文献9】米国特許第6,232,347号
【特許文献10】米国特許第6,355,685号
【特許文献11】米国特許第6,365,631号
【特許文献12】米国特許第6,376,554号
【特許文献13】米国特許第6,376,551号
【特許文献14】米国特許第6,376,552号
【特許文献15】英国特許第2,184,122
【特許文献16】大韓民国特許公告第1994−0008913号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述したシブトラミンの吸湿性および安定性問題を解決するために、本発明の発明者らは鋭意に研究を行った。その結果、特定モル比でシブトラミンとベータ−シクロデキストリンを反応させて製造された包接複合体は、貯蔵安定性に関して酸塩または遊離塩基に比べて優れており、製剤に適合した物性を提供することを発見することで本発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、式1で表されるシブトラミンとベータ−シクロデキストリンを含有し、貯蔵安定性が優れたシブトラミン包接複合体に関する。
〔式1〕

【0011】
更に、本発明は、
1)酸性溶液にシブトラミンとベータ−シクロデキストリンを溶解することで、シブトラミン含有溶液を得る工程と、
2)前記シブトラミン含有酸性溶液にベータ−シクロデキストリンを添加し、シブトラミンとベータ−シクロデキストリンを含有する溶液を20〜60℃で攪拌することで、シブトラミンとベータ−シクロデキストリンを含有する溶液を得る工程と、
3)塩基を添加することで前記混合溶液を中和する工程と、
4)前記中和溶液を0〜40℃まで冷却した後、ろ過、洗浄および乾燥する工程と、
を含むシブトラミン包接複合体の製造方法に関する。
【0012】
また、本発明は、活性成分として包接複合体を含有する心気症と肥満の治療および予防用医薬組成物に関する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によるシブトラミン包接複合体は、原料の卓越した貯蔵安定性により、長期間安定的に貯蔵することができ、製剤が容易である。また、前記包接複合体は、製造工程中に分解することなく温度および湿度に対して耐性を示す。また、前記包接複合体は、シブトラミン自体より溶出率が優れており、包接複合体の製剤の溶出率は、市販薬と比べて同等である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明により製造されたシブトラミン包接複合体の粉末X線回折スペクトルである。
【図2】本発明により製造されたシブトラミン包接複合体の粉末X線回折スペクトルである。
【図3】包接複合体を含有するカプセル剤と市販のリダクティル(登録商標)カプセル剤の溶出率を比較したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明について更に詳細に説明する。
【0016】
本発明は、式1で表されるシブトラミン(N,N−ジメチル−1−[1−(4−クロロフェニル)−シクロブチル]−3−メチルブチルアミン)とベータ−シクロデキストリンを特定比で反応させて製造される、製剤に適合した薬剤学的に安定した包接複合体、その製造方法およびこれを活性成分として含有する心気症と肥満の治療および予防用医薬組成物に関する。
【0017】
本発明の包接複合体は成分の単純混合ではなく、シブトラミン分子がベータ−シクロデキストリン分子と化学的に結合した構造を有する。包接複合体は、従来のシブトラミンの酸塩またはシブトラミン遊離塩基に比べて貯蔵安定性が優れている。
【0018】
以下、本発明のシブトラミン包接複合体について詳細に説明する。
【0019】
本発明で使用されるシブトラミンは、シブトラミン塩基またはシブトラミン塩を意味する。シブトラミン塩の好ましい例としては、塩酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、カンファ−スルホン酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、マンデル酸塩、サリチル酸塩およびイセチオン酸塩を含む。
【0020】
工程1)で、シブトラミンが酸性溶液に溶解される。有機または無機酸溶液が酸性溶液として使用され得る。前記酸の好ましい例は、塩酸、硫酸、リン酸および酢酸を含む。
【0021】
工程2)で、ベータ−シクロデキストリンは、シブトラミン酸性溶液に添加された後、高温で攪拌される。前記攪拌は20〜60℃で実施されるのが好ましく、さらに好ましくは30〜40℃で実施される。前記温度が20℃未満の場合、シクロデキストリンを溶解するために必要な溶媒の量が増加し、包括的効率が減少し得る。前記温度が60℃を超過すると、薬剤が分解され得る。
【0022】
前記溶液は、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルピロリドン(PVP)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシメチルセルロース(HMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)およびヒドロキシプロピルエチルセルロース(HPEC)からなる群から選択される少なくとも1種の水溶性高分子を更に含むことができる。
【0023】
また、ベータ−シクロデキストリン誘導体は、本発明でベータ−シクロデキストリンとして使用され得る。気孔の直径が6.0〜6.5Åであるβ−シクロデキストリン類またはその誘導体が好ましい例である。ベータ−シクロデキストリンは、シブトラミン1当量に対して0.5〜4当量の量で使用されるのが好ましく、更に好ましくは1.0〜4当量、最も好ましくは1.5〜3当量で使用される。前記ベータ−シクロデキストリンの含量は前述した上限より超過すると、反応しなかったシクロデキストリンの量が多いため、包接複合体の含量が減少してしまう。前記含量が前述した下限より少ない場合、十分な安定性を確保することができない。
【0024】
工程3)で、前記溶液は塩基の追加により中和される。前記塩基の例は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウムおよび水酸化カルシウムなどのアルカリ金属水酸化物を含む。前記溶液は0〜50℃、好ましくは0〜25℃で中和される。前記温度が0℃未満の場合、過冷却されるため、その他の不純物または包接されなかったシクロデキストリンも析出され得る。前記温度が50℃を超過すると、不純物が多量に生成され得る。
【0025】
工程4)で、前記溶液は冷却、ろ過、洗浄および乾燥されることで、包接複合体が生成される。前記冷却は0〜40℃、好ましくは0〜25℃で実施される。前記温度が0℃未満の場合、過冷却されるため、その他の不純物または包接されなかったシクロデキストリンも析出され得る。前記温度が40℃を超過すると、産出量が大幅に減少し得る。また、少量の冷水でろ過物を数回洗浄し、洗浄したろ過物を乾燥することで、包接複合体が最終的に得られる。
【0026】
本発明において、このように得られた包接複合体は、長期間安定的に貯蔵され、原料自体の貯蔵安定性が優れているため、製剤が容易であることを究明した。また、本発明の包接複合体は、製造工程で温度および湿度に対して耐性を示す。
【0027】
シブトラミンの公知された塩より優れた物質を探すために、本発明の発明者らは、ベータ−シクロデキストリンを使用することで様々な包接に関する研究を鋭意行ってきた。
【0028】
その結果、本発明の発明者らは、適切な条件が充足されて維持される時に製造される包接複合体が、塩の形態ではないが、物理化学的特性が優れたシブトラミンの新規形態が薬剤学的に有用であることを発見した。
【0029】
これは、シブトラミン塩基が油性液体であり、極めて制限された酸塩により安定した塩を形成することができるという既存の結果と相反する。この結果は、剤形の製造に適合した組成物は、塩の使用なく包接反応により得られることを立証するものである。また、包接複合体は、シブトラミン塩基または塩の包接により製造され、酸塩を含有しない。また、包接複合体は、類似した結晶形と予想外に優れた安定性を有し、シブトラミンの剤形の製造に適合している。更に、本発明の包接複合体を活性成分として含有する心気症と肥満の治療および予防用医薬組成物は、次に説明されるように製造される。
【0030】
経口投与のための薬剤は、賦形剤、結合剤、崩壊剤、潤滑剤および甘味剤などの薬剤学的に許容可能な担体を包接複合体と混合して製造され得る。前記賦形剤の好ましい例には、微結晶セルロースおよびラクトースが含まれる。前記結合剤の好ましい例には、ポビドンおよびヒドロキシプロピルセルロースが含まれる。前記崩壊剤の好ましい例には、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウムおよびカルボキシメチルセルロースカルシウムが含まれる。前記潤滑剤の好ましい例には、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウムおよびタルクが含まれる。更に、経口投与のための薬剤の剤形の例としては、錠剤、カプセル剤、液剤、懸濁剤および顆粒剤が含まれる。シブトラミンの効果的な投与量は、患者の年齢または病気の重症度によって変動し、本発明の包接複合体を基にして、1日20〜200mg、好ましくは40〜150mg投与することができる。
【0031】
本発明を下記実施例を参照して更に詳しく説明する。本実施例は本発明を例示しただけのものであり、請求の範囲を限定するものではない。
【0032】
実施例1:シブトラミンとベータ−シクロデキストリン含有包接複合体の製造
シブトラミン遊離塩基(28g)と精製水(6L)をフラスコに入れた後、1N−HCl(aq)200mLを添加した。前記混合物を20分間攪拌して、シブトラミン遊離塩基を完全に溶解した。この溶液にベータ−シクロデキストリン256g(シブトラミン1当量に対して2.0当量、以下、相対当量のみ記載)添加し、35℃で30分間攪拌して、25℃で2時間さらに攪拌した。1N NaOH(aq)200mLを徐々に添加した後、25℃で3時間攪拌した。固体の沈殿物を減圧下で濾紙を通してろ過して、精製水で洗浄した。前記生成物を50℃で18時間真空乾燥することで、白色の固体化合物(245g、収率96%)を得た。得られた結晶状のシブトラミン包接複合体をX線回折(XRD)を用いて分析した。その結果、シブトラミン包接複合体は、特徴的な回折角を有する結晶であることを確認した[図1]。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6)δ(ppm): 0.84(d, 3H), 0.92(d, 3H), 1.05-1.14(m, 2H), 1.44-1.48(m, 1H), 1.64-1.68(m, 1H), 1.87-1.91(m, 1H), 2.08-2.12(m, 2H), 2.11(s, 6H), 2.14-2.23(m, 1H), 2.36-2.43(m, 1H), 2.86(dd, 1H), 3.21-3.45(m, 72H), 3.47-3.75(m, 40H), 4.46(t, 14H), 4.82(d, 14H), 5.67(d, 14H), 5.71(d, 14H), 7.19(d, 2H), 7.31(d, 2H)
【0033】
実施例2:シブトラミンとベータ−シクロデキストリン含有包接複合体の製造
シブトラミン塩酸塩一水和物(33.4g)と精製水(6L)をフラスコに入れた後、1N−HCl(aq)100mLを添加した。前記混合物を20分間攪拌して、シブトラミン塩酸塩一水和物を完全に溶解した。この溶液にベータ−シクロデキストリン(256g、2.0当量)を添加し、35℃で30分間攪拌して、25℃で2時間さらに攪拌した。1N NaOH(aq)200mLを徐々に添加した後、25℃で3時間攪拌した。固体の沈殿物を減圧下で濾紙を通してろ過して、精製水で洗浄した。前記生成物を50℃で18時間真空乾燥することで、白色の固体化合物(239g、収率94%)を得た。得られたシブトラミン包接複合体をNMRおよびXRD分析を行った結果、実施例1の包接物と類似していた[図2]。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6)δ(ppm): 0.84(d, 3H), 0.91(d, 3H), 1.05-1.14(m, 2H), 1.44-1.47(m, 1H), 1.64-1.67(m, 1H), 1.87-1.90(m, 1H), 2.08-2.12(m, 2H), 2.10(s, 6H), 2.14-2.22(m, 1H), 2.36-2.42(m, 1H), 2.85(dd, 1H), 3.21-3.45(m, 40H), 3.49-3.67(m, 56H), 4.44(t, 14H), 4.82(d, 14H), 5.67(d, 14H), 5.71(d, 14H), 7.18(d, 2H), 7.30(d, 2H)
【0034】
実施例3:シブトラミンとベータ−シクロデキストリン含有包接複合体の製造
シブトラミン遊離塩基(2.8g)と精製水(600L)をフラスコに入れた後、1N−HCl(aq)20mLを添加した。前記混合物を20分間攪拌して、シブトラミン遊離塩基を完全に溶解した。この溶液にベータ−シクロデキストリン(6.4g、0.5当量)添加し、35℃で30分間攪拌して、25℃で2時間さらに攪拌した。1N NaOH(aq)20mLを徐々に添加した後、25℃で3時間攪拌した。固体の沈殿物を減圧下で濾紙を通してろ過して、精製水で洗浄した。前記生成物を50℃で18時間真空乾燥することで、白色の固体化合物(8.1g、収率32%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6)δ(ppm): 0.84(d, 3H), 0.92(d, 3H), 1.05-1.14(m, 2H), 1.44-1.48(m, 1H), 1.65-1.68(m, 1H), 1.86-1.91(m, 1H), 2.10-2.15(m, 2H), 2.10(s, 6H), 2.14-2.21(m, 1H), 2.34-2.46(m, 1H), 2.87(dd, 1H), 3.20-3.44(m, 72H), 3.47-3.76(m, 40H), 4.45(t, 14H), 4.82(d, 14H), 5.66(d, 14H), 5.71(d, 14H), 7.20(d, 2H), 7.32(d, 2H)
【0035】
実施例4:シブトラミンとベータ−シクロデキストリン含有包接複合体の製造
シブトラミン遊離塩基(2.8g)とベータ−シクロデキストリン(12.9g、1.0当量)が使用されたことを除いて実施例3と同様の方法を行い、白色の固体化合物を得た(14.1g、収率55%)。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6)δ(ppm): 0.84(d, 3H), 0.92(d, 3H), 1.06-1.14(m, 2H), 1.43-1.48(m, 1H), 1.64-1.67(m, 1H), 1.87-1.92(m, 1H), 2.08-2.11(m, 2H), 2.11(s, 6H), 2.15-2.23(m, 1H), 2.37-2.43(m, 1H), 2.88(dd, 1H), 3.21-3.47(m, 72H), 3.47-3.77(m, 40H), 4.48(t, 14H), 4.82(d, 14H), 5.69(d, 14H), 5.71(d, 14H), 7.18(d, 2H), 7.30(d, 2H)
【0036】
実施例5:シブトラミンとベータ−シクロデキストリン含有包接複合体の製造
シブトラミン遊離塩基(2.8g)とベータ−シクロデキストリン(19.2g、1.5当量)が使用されたことを除いて実施例3と同様の方法を行い、白色の固体化合物を得た(19.4g、収率76%)。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6)δ(ppm): 0.84(d, 3H), 0.92(d, 3H), 1.06-1.14(m, 2H), 1.43-1.48(m, 1H), 1.64-1.67(m, 1H), 1.87-1.92(m, 1H), 2.08-2.11(m, 2H), 2.11(s, 6H), 2.15-2.23(m, 1H), 2.37-2.43(m, 1H), 2.88(dd, 1H), 3.21-3.47(m, 72H), 3.47-3.77(m, 40H), 4.48(t, 14H), 4.82(d, 14H), 5.69(d, 14H), 5.71(d, 14H), 7.18(d, 2H), 7.30(d, 2H)
【0037】
実施例6:シブトラミンとベータ−シクロデキストリン含有包接複合体の製造
シブトラミン遊離塩基(2.8g)とベータ−シクロデキストリン(32.0g、2.5当量)が使用されたことを除いて実施例3と同様の方法を行い、白色の固体化合物を得た(24.0g、収率94%)。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6)δ(ppm): 0.84(d, 3H), 0.92(d, 3H), 1.06-1.14(m, 2H), 1.43-1.48(m, 1H), 1.64-1.67(m, 1H), 1.87-1.92(m, 1H), 2.08-2.11(m, 2H), 2.11(s, 6H), 2.15-2.23(m, 1H), 2.37-2.43(m, 1H), 2.88(dd, 1H), 3.21-3.47(m, 72H), 3.47-3.77(m, 40H), 4.48(t, 14H), 4.82(d, 14H), 5.69(d, 14H), 5.71(d, 14H), 7.18(d, 2H), 7.30(d, 2H)
【0038】
実施例7:シブトラミンとベータ−シクロデキストリン含有包接複合体の製造
シブトラミン遊離塩基(2.8g)とベータ−シクロデキストリン(38.4g、3.0当量)が使用されたことを除いて実施例3と同様の方法を行い、白色の固体化合物を得た(23.1g、収率90.5%)。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6)δ(ppm): 0.84(d, 3H), 0.92(d, 3H), 1.06-1.14(m, 2H), 1.43-1.48(m, 1H), 1.64-1.67(m, 1H), 1.87-1.92(m, 1H), 2.08-2.11(m, 2H), 2.11(s, 6H), 2.15-2.23(m, 1H), 2.37-2.43(m, 1H), 2.88(dd, 1H), 3.21-3.47(m, 72H), 3.47-3.77(m, 40H), 4.48(t, 14H), 4.82(d, 14H), 5.69(d, 14H), 5.71(d, 14H), 7.18(d, 2H), 7.30(d, 2H)
【0039】
実施例8:シブトラミンとベータ−シクロデキストリン含有包接複合体の製造
シブトラミン塩酸塩一水和物(3.3g)と精製水(600mL)をフラスコに入れた後、1N−HCl(aq)10mLをさらに添加した。前記混合物を20分間攪拌して、シブトラミン塩酸塩一水和物を完全に溶解した。この溶液にベータ−シクロデキストリン(6.4g、0.5当量)を添加し、35℃で30分間攪拌して、25℃で2時間さらに攪拌した。1N NaOH(aq)20mLを徐々に添加した後、25℃で3時間攪拌した。固体の沈殿物を減圧下で濾紙を通してろ過して、精製水で洗浄した。前記生成物を50℃で18時間真空乾燥することで、白色の固体化合物(7.9g、収率31%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6)δ(ppm): 0.84(d, 3H), 0.92(d, 3H), 1.05-1.14(m, 2H), 1.44-1.48(m, 1H), 1.65-1.68(m, 1H), 1.86-1.91(m, 1H), 2.10-2.15(m, 2H), 2.10(s, 6H), 2.14-2.21(m, 1H), 2.34-2.46(m, 1H), 2.87(dd, 1H), 3.20-3.44(m, 72H), 3.47-3.76(m, 40H), 4.45(t, 14H), 4.82(d, 14H), 5.66(d, 14H), 5.71(d, 14H), 7.20(d, 2H), 7.32(d, 2H)
【0040】
実施例9:シブトラミンとベータ−シクロデキストリン含有包接複合体の製造
シブトラミン塩酸塩一水和物(3.3g)とベータ−シクロデキストリン(12.8g、1.0当量)が使用されたことを除いて実施例8と同様の方法を行い、白色の固体化合物を得た(14.3g、収率56%)。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6)δ(ppm): 0.84(d, 3H), 0.92(d, 3H), 1.06-1.14(m, 2H), 1.43-1.48(m, 1H), 1.64-1.67(m, 1H), 1.87-1.92(m, 1H), 2.08-2.11(m, 2H), 2.11(s, 6H), 2.15-2.23(m, 1H), 2.37-2.43(m, 1H), 2.88(dd, 1H), 3.21-3.47(m, 72H), 3.47-3.77(m, 40H), 4.48(t, 14H), 4.82(d, 14H), 5.69(d, 14H), 5.71(d, 14H), 7.18(d, 2H), 7.30(d, 2H)
【0041】
実施例10:シブトラミンとベータ−シクロデキストリン含有包接複合体の製造
シブトラミン塩酸塩一水和物(3.3g)とベータ−シクロデキストリン(19.2g、1.5当量)が使用されたことを除いて実施例8と同様の方法を行い、白色の固体化合物を得た(18.8g、収率74%)。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6)δ(ppm): 0.84(d, 3H), 0.92(d, 3H), 1.06-1.14(m, 2H), 1.43-1.48(m, 1H), 1.64-1.67(m, 1H), 1.87-1.92(m, 1H), 2.08-2.11(m, 2H), 2.11(s, 6H), 2.15-2.23(m, 1H), 2.37-2.43(m, 1H), 2.88(dd, 1H), 3.21-3.47(m, 72H), 3.47-3.77(m, 40H), 4.48(t, 14H), 4.82(d, 14H), 5.69(d, 14H), 5.71(d, 14H), 7.18(d, 2H), 7.30(d, 2H)
【0042】
実施例11:シブトラミンとベータ−シクロデキストリン含有包接複合体の製造
シブトラミン塩酸塩一水和物(3.3g)とベータ−シクロデキストリン(32.0g、2.5当量)が使用されたことを除いて実施例8と同様の方法を行い、白色の固体化合物を得た(23.2g、収率91%)。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6)δ(ppm): 0.84(d, 3H), 0.92(d, 3H), 1.06-1.14(m, 2H), 1.43-1.48(m, 1H), 1.64-1.67(m, 1H), 1.87-1.92(m, 1H), 2.08-2.11(m, 2H), 2.11(s, 6H), 2.15-2.23(m, 1H), 2.37-2.43(m, 1H), 2.88(dd, 1H), 3.21-3.47(m, 72H), 3.47-3.77(m, 40H), 4.48(t, 14H), 4.82(d, 14H), 5.69(d, 14H), 5.71(d, 14H), 7.18(d, 2H), 7.30(d, 2H)
【0043】
実施例12:シブトラミンとベータ−シクロデキストリン含有包接複合体の製造
シブトラミン塩酸塩一水和物(3.3g)とベータ−シクロデキストリン(38.4g、3.0当量)が使用されたことを除いて実施例8と同様の方法を行い、白色の固体化合物を得た(24.5g、収率96%)。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6)δ(ppm): 0.84(d, 3H), 0.92(d, 3H), 1.06-1.14(m, 2H), 1.43-1.48(m, 1H), 1.64-1.67(m, 1H), 1.87-1.92(m, 1H), 2.08-2.11(m, 2H), 2.11(s, 6H), 2.15-2.23(m, 1H), 2.37-2.43(m, 1H), 2.88(dd, 1H), 3.21-3.47(m, 72H), 3.47-3.77(m, 40H), 4.48(t, 14H), 4.82(d, 14H), 5.69(d, 14H), 5.71(d, 14H), 7.18(d, 2H), 7.30(d, 2H)
【0044】
実験例1:貯蔵安定性試験
溶液安定性(pH5.2)
高温でのシブトラミン遊離塩基、シブトラミン塩酸塩一水和物およびシブトラミン包接複合体(実施例1および2)の溶液安定性を比較した。
具体的には、各化合物を1mg/mLの濃度およびpH5.2に溶解し、前記溶液を20mLバイアルに移した。溶液安定性試験は60℃と70℃で実施して、貯蔵後4、7および14日目に、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)にて不純物の含量を測定した。表1と2には、不純物の増加量を示している。
【0045】
表1 60℃での溶液安定性試験(総不純物、%)

【0046】
表2 70℃での溶液安定性試験(総不純物、%)

【0047】
表1と2に示されるように、シブトラミン包接複合体がシブトラミン遊離塩基またはシブトラミン塩酸塩一水和物より不純物の発生が少ないことから、シブトラミン包接複合体の安定性が優れていることを確認した。即ち、本発明のシブトラミン包接複合体は、シブトラミン遊離塩基またはシブトラミン塩酸塩一水和物に比べて貯蔵安定性が向上したことが分かった。
【0048】
温度及び湿度安定性
シブトラミン遊離塩基、シブトラミン塩酸塩一水和物およびシブトラミン包接複合体(実施例1および2)の温度および湿度安定性を比較した。
具体的には、各化合物を、60℃75%、60℃93%および70℃75%からなる群から選択された条件下で2週間保管した。不純物の含量は、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)にて測定した。表3に不純物の増加量を示す。
【0049】
表3

【0050】
表3には、遊離塩基が最も不安定であり、シブトラミン包接複合体が最も安定していることを示している。前記包接複合体は、シブトラミンとベータ−シクロデキストリンの混合物より不純物の発生が少なく、これは、実施例1または2の包接複合体がシブトラミンとベータ−シクロデキストリンの単純混合物とは異なることを示している。
【0051】
3)光安定性
シブトラミン遊離塩基、シブトラミン塩酸塩一水和物およびシブトラミン包接複合体(実施例1および2)の光安定性を比較した。
紫外線放射120時間後(総照射量:200watt)、不純物の含量は高速液体クロマトグラフィ(HPLC)にて測定した。表4に不純物の増加量を示す。
【0052】
表4

【0053】
表4に示されるように、シブトラミン包接複合体は、シブトラミン遊離塩基またはシブトラミン塩酸塩一水和物より不純物の発生が少なく、シブトラミン包接複合体の光安定性が優れていることを確認した。
【0054】
実施例13:包接複合体を用いたカプセル剤の製剤
実施例1(81mg)の包接複合体、微結晶セルロース(95mg)とステアリルフマル酸ナトリウム(4mg)と混合した。前記混合物を適当な装置を用いてNo.5ゼラチンカプセルに充填した。
【0055】
実験例2:溶出効果
実施例13のカプセル剤を、37℃と50rpmの条件下の人工腸液(pH6.8)で、市販のリダクティル(登録商標)カプセルと比較した。その結果を表5および図3に示す。
【0056】
表5


【特許請求の範囲】
【請求項1】
シブトラミンとベータ−シクロデキストリンを含有する包接複合体。
【請求項2】
シブトラミン1当量に対して、ベータ−シクロデキストリンを0.5〜4当量含有する、請求項1に記載の包接複合体。
【請求項3】
シブトラミン1当量に対して、ベータ−シクロデキストリンを1.0〜4当量含有する、請求項2に記載の包接複合体。
【請求項4】
シブトラミン1当量に対して、ベータ−シクロデキストリンを1.5〜3.0当量含有する、請求項3に記載の包接複合体。
【請求項5】
1)酸性溶液にシブトラミンとベータ−シクロデキストリンを溶解することで、シブトラミン含有溶液を得る工程と、
2)前記シブトラミン含有酸性溶液にベータ−シクロデキストリンを添加し、シブトラミンとベータ−シクロデキストリンを含有する溶液を20〜60℃で攪拌することで、シブトラミンとベータ−シクロデキストリンを含有する溶液を得る工程と、
3)塩基を添加することで前記混合溶液を中和する工程と、
4)前記中和溶液を0〜40℃まで冷却した後、ろ過、洗浄および乾燥する工程と、
を含むシブトラミン含有包接複合体の製造方法。
【請求項6】
前記工程1)で使用される酸性溶液は、塩酸、硫酸、リン酸および酢酸からなる群から選択される酸の溶液である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記酸性溶液は塩酸である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記工程2)での攪拌は30〜40℃で実施される、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記工程3)で使用される塩基は、アルカリ金属水酸化物である、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記アルカリ金属水酸化物は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウムおよび水酸化カルシウムからなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記アルカリ金属水酸化物は水酸化ナトリウムである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記工程4)での冷却は0〜25℃で実施される、請求項5に記載の方法。
【請求項13】
請求項1乃至4のいずれか1項の包接複合体を活性成分として含有する心気症と肥満の治療および予防用組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−510306(P2010−510306A)
【公表日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−538333(P2009−538333)
【出願日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際出願番号】PCT/KR2007/005922
【国際公開番号】WO2008/063024
【国際公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(505053947)エスケー ケミカルズ カンパニー リミテッド (16)
【Fターム(参考)】