説明

シャッター眼鏡装置並びに映像表示システム

【課題】観察するユーザーが装着したシャッター眼鏡の応答特性に応じた時分割映像を表示することができる優れた映像表示システムを提供する。
【解決手段】シャッター眼鏡は、シャッター・レンズの色成分毎の応答特性を表示装置に送信するので、表示装置側では、色成分毎の応答特性に応じて、表示映像に対して適切な色補正を行なうことができる。シャッター眼鏡装置は、バッテリーで駆動するシャッター眼鏡装置は、バッテリーの出力端子電圧だけでなく、バッテリーの特性情報も表示装置に通知するので、表示装置側では、より正確なバッテリーの残存容量の表示を行なうことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、左眼用映像及び右眼用映像を時分割で交互に表示される画面を観察する際に用いられるシャッター眼鏡装置、並びに、左眼用映像及び右眼用映像を時分割で交互に表示する表示装置と、映像の観察者がかけるシャッター眼鏡の組み合わせからなる映像表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
左右の眼に視差のある映像を表示することで、観察者に3次元的に見える3次元視映像を提示することができる。例えば、時分割3次元視画像映像システムは、互いに異なる複数の映像を時分割で表示する表示装置と、映像の観察者がかけるシャッター眼鏡の組み合わせからなる(例えば、特許文献1〜3を参照のこと)。表示装置は、左眼用映像及び右眼用映像を時分割で交互に表示し、一方のシャッター眼鏡は、表示装置の表示切り換えに同期して左右のシャッター機構の開閉動作により映像選択を行なう。この結果、シャッター眼鏡をかけて映像を観察するユーザーの脳内では、左眼用映像と右眼用映像が融像されて、3次元視画像となる。
【0003】
時分割立体映像表示システムでは、左眼用映像及び右眼用映像を時分割で表示する際、クロストークを生じないように左眼用映像及び右眼用映像を分離する必要がある。通常、表示装置からシャッター眼鏡に対し、シャッターの開閉タイミングを通知する。シャッター眼鏡の左右のシャッター機構には、例えばSTN(Super Twisted Nematic)液晶やTN(Twisted Nematic)液晶といった各表示方式の液晶素子が用いられる。また、液晶もガラス素材の液晶と、プラスチック素材の液晶がある。表示方式や液晶の素材に応じて、シャッター機構の応答特性が異なってくるため、表示装置側では、シャッター眼鏡の特性に応じた表示制御が必要であると思料される。
【0004】
例えば、シャッター眼鏡から受信した識別信号に基づいてシャッター眼鏡のシャッター開閉特性を特定して、左眼用映像及び右眼用映像の表示タイミングを制御する立体映像制御装置について提案がなされている(例えば、特許文献4を参照のこと)。
【0005】
シャッター眼鏡は、表示装置が設置された室内の好きな場所で立体映像を視聴することや、複数の視聴者が同じ立体映像を一緒に視聴することなどを考慮すると、コードレス、言い換えればバッテリー駆動であることが好ましい。ここで、装置をバッテリー駆動式にすると、シャッター眼鏡のオペレーション時間はバッテリー容量の制約を受ける。また、バッテリー残存容量がある程度以下になると、バッテリーの交換や充電などの操作を行なう必要がある。
【0006】
多くのバッテリー駆動機器は、バッテリーの残存容量などを通知し、若しくは警告するLEDインジケーターなどを備えている。ところが、シャッター眼鏡の場合、立体映像を視聴中にバッテリーの状態が変化したかどうかを確認するには、頭からシャッター眼鏡を外してLEDインジケーターの表示を観察しなければならず、ユーザーにとって利便性に欠ける。あるいは、バッテリーの残存容量が著しく低下したことにユーザーが気付かないまま立体映像の視聴をし続けると、シャッター眼鏡は表示装置からシャッターの開閉タイミングを通知する信号を受信処理できなくなる、あるいは駆動電力の低下によりシャッターをオン/オフ動作できなくなる、これらの結果として、立体視できなくなる。ユーザーは、シャッター眼鏡をかけたままでは、このような事態がバッテリーの消耗なのか、表示装置側の誤動作(例えば、通知信号を送信する送信機の故障)なのか、見分けがつかない。
【0007】
例えば、左右のシャッターをゆっくりブリンクさせること、ユーザーの目に見える適度なレートで左右のシャッターを同時にブリンクさせること、可聴音を発生することなどによって低バッテリー寿命条件を指示するシャッター眼鏡について提案がなされている(例えば、特許文献5を参照のこと)。
【0008】
また、シャッター眼鏡は、表示装置側の左右の映像フレームに同期して左右のシャッター機構を開閉させるが(前述)、その動作フレーム周波数は、動画コンテンツに対応するための48Hz/72Hz、地上又は衛星ディジタル放送コンテンツに対応するための50Hz/60Hzのいずれかに対応していることが多い。異なるベンダーから提供される複数のシャッター眼鏡が家庭内に存在する場合、各シャッター眼鏡が対応している動作フレーム周波数がまちまちであることも想定される。表示装置とシャッター眼鏡間の通信が赤外線(IR)方式など表示装置からシャッター眼鏡への一方向通信の場合、表示装置は、各シャッター眼鏡が対応している動作フレーム周波数の情報を得ることができない。このため、BD(ブルーレイ・ディスク)プレイヤーなどで再生した映画コンテンツをTV受像機などの表示装置で画面表示する場合、2−3プルダウンなどを行なってディジタル放送コンテンツの動作フレーム周波数に変換してシャッター眼鏡を制御するしかなく、映画コンテンツが意図するフレーム周波数では視聴することができない。
【0009】
ここで、2−3プルダウンとは、フィルムの各コマを、例えば奇数番目のコマは2フィールドに、偶数番目のコマは3フィールドに変換して、2コマを5フィールド、すなわち24Hzを60Hzのフレーム周波数に変換することである。しかしながら、2−3プルダウンを行なうと、5フレームに1フレームの割合で異なる2枚のフィールドが混じり合って1フレームが構成されるので、このようなフレームでは、輪郭がぼやけるなどの不自然さが生じることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平9−138384号公報
【特許文献2】特開2000−36969号公報
【特許文献3】特開2003−45343号公報
【特許文献4】特開2011−166610号公報
【特許文献5】特開2011−176806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本明細書で開示する技術の目的は、左眼用映像及び右眼用映像を時分割で交互に表示される画面を観察する際に用いられる優れたシャッター眼鏡装置、並びに、左眼用映像及び右眼用映像を時分割で交互に表示する表示装置と、映像の観察者がかけるシャッター眼鏡の組み合わせからなる優れた映像表示システムを提供することにある。
【0012】
本明細書で開示する技術のさらなる目的は、シャッター機構の応答特性に応じた時分割映像を好適に観察することができるシャッター眼鏡装置、並びに、観察するユーザーが装着したシャッター眼鏡の応答特性に応じた時分割映像を表示することができる優れた映像表示システムを提供することにある。
【0013】
本明細書で開示する技術のさらなる目的は、シャッター眼鏡を装着したユーザーにバッテリーの残存容量に関する情報を好適に通知することができる、優れたシャッター眼鏡装置並びに映像表示システを提供することにある。
【0014】
本明細書で開示する技術のさらなる目的は、シャッター機構の動作フレーム周波数に応じた時分割映像を好適に観察することができるシャッター眼鏡装置、並びに、観察するユーザーが装着したシャッター眼鏡の動作フレーム周波数に応じた時分割映像を表示することができる優れた映像表示システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本願は、上記課題を参酌してなされたものであり、請求項1に記載の技術は、
所定の色成分毎の応答特性で開閉動作するシャッター・レンズと、
表示装置と通信する通信部と、
を具備し、
前記シャッター・レンズの色成分毎の応答特性を前記通信部から前記表示装置へ送信する、
シャッター眼鏡装置である。
【0016】
本願の請求項2に記載の技術によれば、請求項1に記載のシャッター眼鏡装置において、前記シャッター・レンズの色成分毎の応答特性は、各色成分の応答遅延時間を含むものとする。
【0017】
本願の請求項3に記載の技術によれば、請求項1に記載のシャッター眼鏡装置において、前記シャッター・レンズの色成分毎の応答特性は、各色成分の立ち上がり時間を含むものとする。
【0018】
本願の請求項4に記載の技術によれば、請求項1に記載のシャッター眼鏡装置において、前記シャッター・レンズの色成分毎の応答特性は、色成分毎の応答特性の相違が小さいときには、ホワイト・バランス成分についての応答特性を含むものとする。
【0019】
本願の請求項5に記載の技術によれば、請求項1に記載のシャッター眼鏡装置は、前記通信部がBluetooth通信により前記表示装置と通信するように構成されている。
【0020】
本願の請求項6に記載の技術によれば、請求項5に記載のシャッター眼鏡装置は、前記シャッター・レンズの色成分毎の応答特性に関する情報を、DMパケットのペイロード内の装置ベンダーに割り当てられた領域に記載して送信するように構成されている。
【0021】
また、本願の請求項7に記載の技術は、
所定の色成分毎の応答特性で開閉動作するシャッター・レンズと、表示装置と通信する通信部を備え、前記シャッター・レンズの色成分毎の応答特性を前記通信部から送信するシャッター眼鏡装置と、
複数の映像を時分割で表示し、前記シャッター眼鏡装置から受信した前記シャッター・レンズの色成分毎の応答特性に基づいて前記映像の色補正を行なう表示装置と、
を具備する映像表示システムである。
【0022】
但し、ここで言う「システム」とは、複数の装置(又は特定の機能を実現する機能モジュール)が論理的に集合した物のことを言い、各装置や機能モジュールが単一の筐体内にあるか否かは特に問わない(以下、同様)。
【0023】
また、本願の請求項8に記載の技術は、
所定の種別に応じた充放電特性を持つバッテリーと、
前記バッテリーの出力端子電圧を検出する端子電圧検出部と、
開閉動作するシャッター・レンズと、
表示装置と通信する通信部と、
を具備し、
前記端子電圧検出部の検出値に基づく残留バッテリー電圧情報と前記バッテリーの種別に関する情報を前記通信部から前記表示装置へ送信する、
シャッター眼鏡装置である。
【0024】
本願の請求項9に記載の技術によれば、請求項8に記載のシャッター眼鏡装置は、さらに前記バッテリーの充放電特性に関する情報を前記通信部から前記表示装置へ送信するように構成されている。
【0025】
本願の請求項10に記載の技術によれば、請求項8に記載のシャッター眼鏡装置は、さらに前記バッテリーの放電の開始電圧及び終止電圧に関する情報を前記通信部から前記表示装置へ送信するように構成されている。
【0026】
本願の請求項11に記載の技術によれば、請求項8に記載のシャッター眼鏡装置は、前記通信部がBluetooth通信により前記表示装置と通信するように構成されている。
【0027】
本願の請求項12に記載の技術によれば、請求項11に記載のシャッター眼鏡装置は、前記のバッテリーに関する情報を、DMパケットのペイロード内の装置ベンダーに割り当てられた領域に記載して送信するように構成されている。
【0028】
また、本願の請求項13に記載の技術は、
所定の種別に応じた充放電特性を持つバッテリーと、前記バッテリーの出力端子電圧を検出する端子電圧検出部と、開閉動作するシャッター・レンズと、表示装置と通信する通信部を備え、前記端子電圧検出部の検出値に基づく残留バッテリー電圧情報と前記バッテリーの種別に関する情報を前記通信部から前記表示装置へ送信するシャッター眼鏡装置と、
複数の映像を時分割で表示するとともに、前記シャッター眼鏡装置から受信した情報に基づいて前記バッテリーの残存容量に関する情報を表示する表示装置と、
を具備する映像表示システムである。
【0029】
本願の請求項14に記載の技術によれば、請求項13に記載の表示装置は、バッテリーの種別毎の充電開始電圧及び充電終止電圧に関する情報を保持する記憶部をさらに備えている。そして、前記シャッター眼鏡装置から受信した前記バッテリーの種別に該当する充電開始電圧及び充電終止電圧を前記記憶部から読み出し、受信したに基づく残留バッテリー電圧情報を用いて計算した前記バッテリーの残時間を表示するように構成されている。
【0030】
また、本願の請求項15に記載の技術は、
1以上のシャッター動作フレーム周波数に対応して開閉動作するシャッター・レンズと、
表示装置と通信する通信部と、
を具備し、
前記対応するシャッター動作フレーム周波数の情報を前記通信部から前記表示装置へ送信する、
シャッター眼鏡装置である。
【0031】
本願の請求項16に記載の技術によれば、請求項15に記載のシャッター眼鏡装置の通信部は、Bluetooth通信により前記表示装置と通信するように構成されている。
【0032】
本願の請求項17に記載の技術によれば、請求項16に記載のシャッター眼鏡装置は、対応するシャッター動作フレーム周波数の情報を、DMパケットのペイロード内の装置ベンダーに割り当てられた領域に記載して送信するようにこうせいされている。
【0033】
また、本願の請求項18に記載の技術は、
1以上のシャッター動作フレーム周波数に対応して開閉動作するシャッター・レンズと、表示装置と通信する通信部を具備し、前記対応するシャッター動作フレーム周波数の情報を前記通信部から前記表示装置へ送信するシャッター眼鏡装置と、
複数の映像を時分割で表示し、前記シャッター眼鏡装置から受信したシャッター動作フレーム周波数の情報に基づいて前記時分割で表示する映像の駆動フレーム周波数を設定する表示装置と、
を具備する映像表示システムである。
【0034】
本願の請求項19に記載の技術によれば、請求項18に記載の映像表示システムには、複数のシャッター眼鏡装置が存在している。そして、表示装置は、前記複数のシャッター眼鏡装置に共通する最大のシャッター動作フレーム周波数に基づいて、前記時分割で表示する映像の駆動フレーム周波数を設定するように構成されている。
【0035】
本願の請求項20に記載の技術によれば、請求項18に記載の映像表示システムは、所定のインターフェース経由で前記表示装置に接続され、前記時分割で表示する映像を再生して前記表示装置に供給する映像再生装置をさらに備えている。
【0036】
本願の請求項21に記載の技術によれば、請求項20に記載の映像表示システムにおいて、映像再生装置は、所定フレーム周波数の映像を再生する。そして、表示装置は、前記シャッター眼鏡装置から受信したシャッター動作フレーム周波数の情報に基づいて、前記映像再生装置における再生映像の周波数変換処理を前記所定のインターフェースにより制御するように構成されている。
【発明の効果】
【0037】
本明細書で開示する技術によれば、シャッター機構の応答特性に応じた時分割映像を好適に観察することができるシャッター眼鏡装置、並びに、観察するユーザーが装着したシャッター眼鏡の応答特性に応じた時分割映像を表示することができる優れた映像表示システムを提供することができる。
【0038】
また、本明細書で開示する技術によれば、シャッター眼鏡を装着したユーザーにバッテリーの残存容量に関する情報を好適に通知することができる、優れたシャッター眼鏡装置並びに映像表示システを提供することができる。
【0039】
本明細書で開示する技術によれば、シャッター眼鏡装置は、シャッター・レンズの色成分毎の応答特性を表示装置に送信するので、表示装置側では、色成分毎の応答特性に応じて、表示映像に対して適切な色補正を行なったり、左眼用映像及び右眼用映像の表示タイミングを正確に微調整したりすることができる。
【0040】
本明細書で開示する技術によれば、シャッター眼鏡装置は、バッテリーで駆動するシャッター眼鏡装置は、バッテリーの出力端子電圧だけでなく、バッテリーの特性情報も表示装置に通知するので、表示装置側では、バッテリーの種別が何であれ、より正確なバッテリーの残存容量の表示を行なうことができる。
【0041】
また、本明細書で開示する技術によれば、シャッター機構の動作フレーム周波数に応じた時分割映像を好適に観察することができるシャッター眼鏡装置、並びに、観察するユーザーが装着したシャッター眼鏡装置の動作フレーム周波数に応じた時分割映像を表示することができる優れた映像表示システムを提供することができる。
【0042】
本明細書で開示する技術によれば、シャッター眼鏡装置は自分が対応している動作フレーム周波数の情報を表示装置に通知するので、表示装置側では、複数のシャッター眼鏡装置の最大公約数となるフレーム周波数でシャッター制御を行なうので、各々が動作フレーム周波数の異なるシャッター眼鏡装置を装着した複数のユーザーが、時分割映像を好適に観察することができる。
【0043】
また、BDプレイヤーなどで再生した映画コンテンツを表示装置で表示する場合、本明細書で開示する技術によれば、BDプレイヤーなどの映像再生装置側で2−3プルダウンなどの画像処理を行なわせず、表示装置のみでフレーム周波数変換を行なうことができるので、映像の品位低下を最小限に抑えることができる。
【0044】
本明細書で開示する技術のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する実施形態や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1A】図1Aは、映像表示システムの構成例を模式的に示した図である。
【図1B】図1Bは、映像表示システムの他の構成例を模式的に示した図である。
【図2A】図2Aは、表示装置11の左眼用映像Lの表示期間に同期したシャッター眼鏡13におけるシャッター・レンズ308、309の制御動作を示した図である。
【図2B】図2Bは、表示装置11の右眼用映像Rの表示期間に同期したシャッター眼鏡13におけるシャッター・レンズ308、309の制御動作を示した図である。
【図3】図3は、シャッター眼鏡13の構成例を示した図である。
【図4A】図4Aは、Bluetoothで定義されるパケットの構成を示した図である。
【図4B】図4Bは、Bluetoothで定義されるパケットのヘッダーの構成を示した図である。
【図4C】図4Cは、DM1パケットのペイロードの構成を示した図である。
【図4D】図4Dは、Vendor Specific Dataフィールド内のFrame Frequencyフィールドのデータ構造を示した図である。
【図4E】図4Eは、DM3パケットのペイロードの構成を示した図である。
【図5A】図5Aは、シャッター・レンズ308、309にSTN液晶を用いた場合の、色成分毎の応答特性を示した図である。
【図5B】図5Bは、シャッター・レンズ308、309にTN液晶を用いた場合の、色成分毎の応答特性を示した図である。
【図5C】図5Cは、シャッター・レンズ308、309の応答遅延時間t1並びに立ち上がり時間t2の定義を説明するための図である。
【図6】図6は、表示装置11側の液晶表示パネル134及びシャッター眼鏡13側の左右のシャッター・レンズ308、309の動作タイミング・チャートを示した図である。
【図7A】図7Aは、パケットのVendor Specific Dataフィールド内に応答遅延時間t1並びに立ち上がり時間t2を書き込むフォーマット例を示した図である。
【図7B】図7Bは、ホワイト・バランスの情報を送信する際のVendor Specific Dataフィールド内の記入例を示した図である。
【図8A】図8Aは、通常のリチウム・イオン電池の放電曲線を示した図である。
【図8B】図8Bは、正極材の異なるリチウム・イオン電池の放電曲線を示した図である。
【図8C】図8Cは、ニッケル水素電池の放電曲線を示した図である。
【図8D】図8Dは、リチウム1次電池の放電曲線を示した図である。
【図9A】図9Aは、Vendor Specific Dataフィールド内にバッテリー310に関する情報を書き込むフォーマット例を示した図である。
【図9B】図9Bは、バッテリーの開始電圧V1及び終止電圧V2を記載するための各6ビットのフィールドをVendor Specific Dataフィールド内に設けた例を示した図である。
【図10A】図10Aは、Device Typeフィールドに偏光角の情報を記載したDM1パケットのフォーマット例を示した図である。
【図10B】図10Bは、Device Typeフィールドに偏光角の情報を記載したDM3パケットのフォーマット例を示した図である。
【図11】図11は、表示装置11がシャッター眼鏡13からシャッター動作フレーム周波数の情報を取得したことに応じて実行する処理動作を示したフローチャートである。
【図12】図12は、24Hz強制出力フラグを含むHDMI EDIDのデータ構造を示した図である。
【図13】図13は、表示装置11においてHDMI EDIDに24Hz強制出力フラグを設定する処理手順を示したフローチャートである。
【図14】図14は、BDプレイヤー14において、HDMI接続された表示装置11側の24Hz強制出力フラグの設定に応じて映像を出力する処理手順を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、図面を参照しながら本明細書で開示する技術の実施形態について詳細に説明する。
【0047】
図1Aには、映像表示システムの構成例を模式的に示している。映像表示システムは、3次元表示(3次元視)対応の表示装置11と、左眼部及び右眼部にそれぞれシャッター機構を備えたシャッター眼鏡13の組み合わせからなる。以下では、3次元画像表示に用いる表示装置11として、液晶ディスプレイ(LCD)を用いるものとする。但し、本明細書で開示する技術の要旨は、液晶ディスプレイに必ずしも限定されない。
【0048】
表示装置11は、フレーム・シーケンシャル方式で左眼用映像L及び右眼用映像Rを交互に表示する。一方、シャッター眼鏡13は、表示装置11側での左眼用映像L及び右眼用映像Rの切り換えタイミングと同期をとって、左右のシャッター・レンズ308、309の開閉切り換えを行なう。表示装置11とシャッター眼鏡13間の通信には、Bluetooth通信やWi−Fi、IEEE802.15.4などの、電波通信によるワイヤレス・ネットワークが用いられ、表示装置11からシャッター眼鏡13へ、シャッター・レンズ308、309の開閉タイミングを制御するために必要な情報を記載したパケットが送信される。
【0049】
表示装置11は、左右映像信号処理部120と、通信部124と、タイミング制御部126と、ゲート・ドライバー130と、データ・ドライバー132と、液晶表示パネル134を備えている。
【0050】
液晶表示パネル134は、液晶層及び液晶層を挟んで対向する透明電極と、カラー・フィルターなど(いずれも図示しない)から構成されている。また、液晶表示パネル134の背後には、バックライト(面光源)136が配置されている。バックライト136は、残光特性の良好なLED(Light Emitting Diode)などから構成されている。
【0051】
左右映像信号処理部120には、左眼用映像R及び右眼用映像Lをそれぞれ表示するための左右の映像信号DL、DRからなる入力信号Dinが、例えばフレーム・パッキングなどの伝送フォーマットで入力される。左右映像信号処理部120内では、画像の鮮鋭度のエンハンスやコントラスト改善、さらには色補正などの画質補正処理が行なわれる。
【0052】
タイミング制御部126には、左右映像信号処理部120で変換された左眼用映像信号DL及び右眼用映像信号DRが入力される。タイミング制御部126は、入力された左眼用映像信号DL及び右眼用映像信号DRを液晶表示パネル134へ入力するための信号に変換するとともに、ゲート・ドライバー130及びデータ・ドライバー132からなるパネル駆動回路の動作に用いられるパルス信号を生成する。
【0053】
ゲート・ドライバー130は、順次駆動するための信号を生成する駆動回路であり、タイミング制御部126から伝送された信号に応じて、液晶表示パネル134内の各画素に接続されたゲート・バス・ラインへ、駆動電圧を出力する。また、データ・ドライバー132は、映像信号に基づく駆動電圧を出力する駆動回路であり、タイミング制御部126から伝送された信号に基づいてデータ線へ印加する信号を生成して出力する。
【0054】
表示装置11は、液晶の応答速度の不足に起因するクロストークの発生、及び輝度不足などを解消するため、駆動周波数を高め、左右の映像の1フレームを液晶表示パネル134に2度表示させる(2度書き込む)という手法を採用してもよい。この場合、左右映像信号制御部120は、入力された右目用映像信号と左目用映像信号のそれぞれについて、同じ信号が2つ連続するように変換を行なう。なお、映像フレームの2度書き込みの詳細については、例えば本出願人に既に譲渡されている特開2011−120265号公報を参照されたい。
【0055】
通信部124は、Bluetooth通信におけるマスター、あるいは、Wi−FiやIEEE802.15.4などのワイヤレス・ネットワークにおけるアクセスポイントとして動作し、端末局として動作する1以上のシャッター眼鏡13を自分のネットワークに収容する。通信部124からは、シャッター眼鏡13側でシャッター・レンズ308、309の開閉タイミングを制御するために必要な情報を記載したパケットが送信される。また、通信部124は、シャッター眼鏡13側からパケットを受信することもある。
【0056】
映像表示システムにおいて、3次元表示(3次元視)対応の表示装置11は、例えばTV受像機であり、地上又は衛星ディジタル放送を受信する。他のシステム運用例として、BDプレイヤーなどで再生した映画コンテンツを表示装置11に表示し、ユーザーがシャッター眼鏡を掛けて観察することが挙げられる。図1Bには、この場合の映像表示システムの構成例を模式的に示している。
【0057】
3次元対応のBDプレイヤー14と表示装置11は、例えばHDMI(High Definition Multimedia Interface)ケーブル経由で接続されている。また、表示装置11は、Bluetooth通信におけるマスター、あるいは、Wi−FiやIEEE802.15.4などのワイヤレス・ネットワークにおけるアクセスポイントとして動作し、端末局として動作する1以上のシャッター眼鏡13A…を自分のネットワークに収容する。
【0058】
図1Aに示したように、シャッター眼鏡13は、それぞれ開閉動作が可能な左右のシャッター・レンズ308、309を備えている。シャッター・レンズ308、309には、STN液晶やTN液晶といった各表示方式の液晶素子を用いることができる。そして、シャッター眼鏡13は、表示装置11から受信したパケットに基づいて左眼用映像L及び右眼用映像Rの切り換えタイミングと同期をとり、左右のシャッター・レンズ308、309の開閉切り換えを行なう。
【0059】
図2Aには、表示装置11の左眼用映像Lの表示期間に同期したシャッター眼鏡13におけるシャッター・レンズ308、209の制御動作を示している。図示のように、左眼用映像Lの表示期間には、表示装置11側から無線伝送される同期パケットに従って、左眼用シャッター・レンズ308を開成状態、右眼用シャッター・レンズ309を閉成状態とし、左眼用映像Lに基づく表示光LLがユーザーの左眼にのみ到達する。
【0060】
また、図2Bには、右眼用映像Rの表示期間に同期したシャッター眼鏡13におけるシャッター・レンズ308、209の制御動作を示している。図示のように、右眼用映像Rの表示期間には、右眼用シャッター・レンズ309を開成状態、左眼用シャッター・レンズ308を閉成状態とし、右眼用映像Rに基づく表示光RRがユーザーの右眼にのみ到達する。
【0061】
表示装置11は、液晶表示パネル134に、フィールド毎に左眼用映像Lと右眼用映像Rを交互に表示する。シャッター眼鏡13側では、左右のシャッター・レンズ308、309が表示装置11のフィールド毎の映像切り換えに同期して交互に開閉動作を行なう。シャッター眼鏡13越しに表示映像を観察するユーザーの脳内では、左眼用映像Lと右眼用映像Rが融像され、表示装置11に表示される映像が3次元的に認識される。
【0062】
図3には、シャッター眼鏡13の構成例を示している。以下、各部について説明する。
【0063】
無線通信部301は、例えばBluetooth通信におけるスレーブ、あるいは、Wi−FiやIEEE802.15.4などのワイヤレス・ネットワークにおける端末局として動作し、表示装置11側の通信部124のネットワークに収容され、表示装置11との間でパケットの送受信を行なう。
【0064】
制御部302は、無線通信部301を介した送受信パケットの処理を行なうとともに、シャッター眼鏡13内の各部の動作を統括的に制御する。また、制御部302は、LEDインジケーター307を用いて内部状態を表示するようにしてもよい。
【0065】
図示の例では、左右のシャッター・レンズ308、309は、STN液晶やTN液晶といった各表示方式の液晶素子で構成され、液晶駆動部305によってその開閉動作が行なわれる。電圧発生部303は、制御部302からの指示に従って、液晶駆動用の電圧を発生する。また、タイミング生成部304は、制御部302からの指示に従って、左右のシャッター・レンズ308、309の開閉タイミングを制御するためのタイミング信号を生成する。
【0066】
また、図示の例では、シャッター眼鏡13は、2次(充電可能)バッテリー310を主電源としている。充放電制御部311は、制御部302からの指示に従って、バッテリー310の充電動作を制御したり、放電動作すなわちバッテリー310から各部への電力供給を制御したりする。但し、使用するバッテリー310は、2次バッテリーであるとは限らず、1次バッテリーであってもよい。端子電圧検出部312は、バッテリー310の出力端子電圧を検出し、検出値を制御部302に通知する。制御部302は、例えばバッテリー310の残存容量が10%以下になったときに、LEDインジケーター307を点滅させて、ユーザーにバッテリー310の充電や交換を促すようにしてもよい。
【0067】
記憶部306は、制御部302で実行するプログラム・コードや、シャッター・レンズ308、309に使用する液晶素子の応答特性や、バッテリー310シャッター眼鏡13内の特性情報(後述)、対応する動作フレーム周波数の情報(後述)などを格納している。
【0068】
表示装置11とシャッター眼鏡13間の通信には、Bluetooth通信やWi−Fi、IEEE802.15.4などの、電波通信によるワイヤレス・ネットワークが用いられることは既に述べた。ここで、表示装置11とシャッター眼鏡13間の情報交換にBluetooth通信を適用する場合を例にとって、使用されるパケット構造について説明しておく。
【0069】
Bluetooth通信は、 “Bluetooth SIG(SpecialInterest Group)”にその運営・管理が委ねられている。Bluetoothで定義されるパケットは、図4Aに示すように、68又は72ビット長のアクセス・コード(Access Code)と、54ビット長のパケット・ヘッダー(Header)と、0〜2745ビット(可変長)のペイロード(Payload)からなる。
【0070】
アクセス・コードは、4ビットのプリアンブルと、64ビットのシンク・ワードを含み、これに4ビットのトレーラーをつける場合は72ビット長となる。
【0071】
パケット・ヘッダーは、図4Bに示すように、3ビット長のLT_ADDR(論理トランスポート・アドレス)フィールド、パケットの種別を表す4ビット長のTYPEフィールド、フロー制御に用いる1ビットのFLOWフィールド、1ビットのARQN(ACKインジケーター)フィールド、1ビットのSEQN(シーケンス番号)フィールド、8ビットのHEC(ヘッダー・エラー・チェック)フィールドを有し、これに1/3レートの誤り訂正符号化の処理(1/3 FEC)が施され、その結果として合計54ビット長となる。
【0072】
Bluetooth通信のリンクには、回線交換型のSCOリンクと、パケット交換型のACLリンクの2種類がある。また、ACLパケットとして、誤り訂正符号化されたDM(Data medium)パケットと、誤り訂正処理されないDH(Data High)パケットが提供されている。本実施形態では、例えばシャッター眼鏡13からのパケット(Association Notification Packet)送信時において、電波の干渉などを考慮して、スロット長1のDM1パケット、又は、スロット長3のDM3パケットを使用することとする。DM1パケットの場合、ヘッダー内のTYPEフィールドに‘0011’を記載し、DM3パケットの場合は、ヘッダー内のTYPEフィールドに‘1010’を記載する。
【0073】
図4Cに示すように、DM1パケットの場合のペイロードは、1バイト長のヘッダーと最大17バイト長のDM1用ペイロード(Payload for DM1)からなる。同図には、シャッター眼鏡13からのパケット送信に用いる場合のペイロード例を示している。6バイト長の3DG BD Addressフィールドには、シャッター眼鏡13に割り当てられているプロファイル・アドレスを記載する。1バイト長のDevice Typeフィールドには、スレーブとしてのシャッター眼鏡13を指定するコードを記載する。1バイト長のReserveフィールドは予備領域である。2バイト長のCompany IDフィールドには、Vendor Specific(後述)を指定するために、シャッター眼鏡13のベンダー各社に割り当てられたコードを記載する(DM1の場合は、Full HD 3D Glasses Initiativeに割り当てられたコードを記載し、互換性を保つ)。7バイト長のVendor Specific Dataフィールドはデータ領域に用いられる。
【0074】
Vendor Specific Dataフィールドの第1バイト目のVersionフィールドには、Vendor Specific Dataのバージョン情報を記載する。第2バイト目のBattery Typeには、シャッター眼鏡11に内蔵されたバッテリーの種別を記載する。第3バイト目のBattery Voltageフィールドには、現状のバッテリーの電圧を記載する。第4バイト目と第5バイト目のColor Shiftフィールドには、液晶シャッター材質の持つ色度点(White Balance)の情報を記載する。第6バイト目のFrame Frequencyフィールドには、シャッター動作フレーム周波数の対応を示すデータを記載する。第7バイト目には予備領域(Reserved)である。
【0075】
図4Dには、Vendor Specific Dataフィールドの第6バイト目のFrame Frequencyフィールドのデータ構造を示している。第1ビットから第5ビットまでの各ビットに、シャッター眼鏡13が対応しているシャッター動作フレーム周波数それぞれのビットを「1」にする。例えば、このFrame Frequencyフィールドに“11110000”と記載されていれば、このパケット送信元のシャッター眼鏡13は、48Hz、50Hz、60Hz、72Hzのシャッター動作フレーム周波数に対応しており、96Hzには対応していないことを示す。このデータがAssociation Notification Packetなどにより表示装置11へ伝送されることで、表示装置11側では、自セル内に複数存在するシャッター眼鏡13A…がそれぞれ対応するシャッター動作フレーム周波数を取得することができる。複数のシャッター眼鏡13A…で映画コンテンツを視聴する場合、表示装置11がすべてのシャッター眼鏡13A…で共通の最高フレーム周波数で液晶表示パネル134を駆動すれば、各シャッター眼鏡13A…で良好な3次元映像を楽しむことができる(後述)。
【0076】
また、図4Eに示すように、DM3パケットの場合のペイロードは、2バイト長のヘッダーと最大120バイト長のDM3用ペイロード(Payload for DM3)からなる。同図には、シャッター眼鏡13からのパケット送信に用いる場合のペイロード例を示している。6バイト長の3DG BD Addressフィールドには、シャッター眼鏡13に割り当てられているプロファイル・アドレスを記載する。1バイト長のDevice Typeフィールドには、スレーブとしてのシャッター眼鏡13を指定するコードを記載する。2バイト長のCompany IDフィールドには、Vendor Specificを指定するために、シャッター眼鏡13のベンダー各社に割り当てられたコードを記載する(DM3の場合は、ベンダー各社固有のコードを記載する)。最大111バイト長のVendor Specific Dataフィールドはデータ領域に用いられる。
【0077】
シャッター・レンズの応答特性に応じた表示制御
上述したように、シャッター眼鏡13の左右のシャッター・レンズ308、309には、例えばSTN液晶やTN液晶といった各表示方式の液晶素子が用いられる。また、液晶もガラス素材の液晶と、プラスチック素材の液晶がある。表示方式や液晶の素材に応じて、シャッター・レンズ308、309の応答特性が異なってくる。
【0078】
図5Aには、シャッター・レンズ308、309にSTN液晶を用いた場合の、表示装置11側の左右の映像切り替えに同期してシャッター・レンズ308、309を交互に開閉動作させたときのR(赤)、G(緑)、B(青)、W(白)の色成分毎の応答特性を例示している。
【0079】
STN液晶の場合、シャッターの開放が指示されてから開放を開始するまでの応答遅延時間t1は小さいが、シャッターの開放を開始してから開放し終えるまでの所要時間(以下、「立ち上がり時間」とする)t2は色成分毎にかなりばらつきがある。具体的には、STN液晶はG(青)成分に対する応答が速い。STN液晶の色成分毎の応答時間(立ち上がり時間と立ち下がり時間)を下表にまとめておく。STN液晶はG(青)成分に対する応答が速いため、画面を垂直方向に1行ずつスキャンして描画する場合、画面の上部は青みがかり、逆に画面の下部ではG成分が速く落ちして黄色がかるので、画面の上下でホワイト・バランスが異なり色むらを生じてしまう。このため、表示装置11側では、シャッター眼鏡13側の色成分毎の応答特性の相違に応じて、映像信号に対して色補正を行なうことが好ましい。
【0080】
【表1】

【0081】
また、図5Bには、シャッター・レンズ308、309にTN液晶を用いた場合の、表示装置11側の左右の映像切り替えに同期してシャッター・レンズ308、309を交互に開閉動作させたときのR(赤)、G(緑)、B(青)、W(白)の色成分毎の応答特性を例示している。
【0082】
TN液晶の場合、色成分毎の立ち上がり時間t2のばらつきは小さいので、画面の上下でホワイト・バランスの差はあまり生じない。TN液晶の色成分毎の応答時間(立ち上がり時間と立ち下がり時間)を下表にまとめておく。このようにホワイト・バランスの差が生じないときに表示装置11側で上述したような色補正を行なうと、かえって色むらを発生させてしまう。他方、TN液晶の場合、応答遅延時間t1が大きい。このため、表示装置11側では、シャッター眼鏡13側のシャッターの開閉切り替えの応答遅延時間t1に応じて、左眼用映像と右眼用映像の切り替えタイミングの調整を行なうことが好ましい。
【0083】
【表2】

【0084】
但し、本明細書中で、シャッター・レンズ308、309の応答遅延時間t1並びに立ち上がり時間t2は、図5Cに示した定義に従うものとする。
【0085】
表示装置11側で表示する左眼用映像と右眼用映像を分離(映像選択)する方法として、シャッター眼鏡13の左右のシャッター・レンズ308、309の開閉動作のみで行なう方法と、さらに表示装置11側でのバックライト136の点灯・消灯を組み合わせる方法が挙げられる。ここでは、前者の方法に限って考察してみる。
【0086】
図6には、表示装置11側の液晶表示パネル134及びシャッター眼鏡13側の左右のシャッター・レンズ308、309の動作タイミング・チャートを示している。但し、同図では、左右の映像の1フレームを2度書き込みする手法(前述)が採用されている例を示している。また、有効スキャン・ライン数を1080本、総スキャン・ライン数を1125本とする。
【0087】
左眼用映像と右眼用映像を交互に切り換えて表示を行なう場合、液晶表示パネル134の画面の上端と下端で書き込みのタイミングが異なる。このため、2度目のフレーム書き込みを開始した後、さらにオフセットを設けると、左右のシャッター・レンズ308、309の応答は図示の通りとなる。応答特性から、シャッター・レンズ308、309が閉じるタイミングが重要である。
【0088】
液晶表示パネル134の画面上端の応答に合わせて、デューティー12.5%でシャッター・レンズ308、309の開閉動作(S_OPEN)を行なう場合、オフセットは2.08ミリ秒(=16.66ミリ秒×12.5%)である。画面の下端では、書き換え後から約2.2ミリ秒しか経過していないので、現在表示している映像への応答が完了していない。上記を改善するためにオフセットを大きくすると、今度は画面の上端が劣悪になる。この現象は、フレームレートが60Hzのときに顕著である。50Hz/48Hzのときは、ブランキング期間が長くなるので影響は小さくなる。
【0089】
要するに、画面の上端から下端に向かって垂直方向にスキャンする液晶表示パネル134の駆動方法では、適当なデューティーにおいて、オフセットの値を画面上端の画質に影響を与えないタイミングに微調整する必要がある。
【0090】
表示装置11とシャッター眼鏡13が同じ製造業者から提供される場合など、両者の組み合わせが固定されている場合には、あらかじめ分かっているシャッター・レンズ308、309の色成分毎の応答特性に応じて、表示装置11側で色補正の有無やオフセット(前述)などの表示タイミング調整を行なってから出荷すればよい。
【0091】
しかしながら、複数のベンダーからシャッター眼鏡13が提供され、1台の表示装置11に対してさまざまな機種のシャッター眼鏡13が利用されることも想定される。このため、表示装置11側では、現在ユーザーが使用しているシャッター眼鏡13の応答特性に応じた表示制御が必要である。
【0092】
そこで、本実施形態では、シャッター眼鏡13から表示装置11へ、シャッター・レンズ308、309の色成分毎の応答特性に関する情報を記載したパケットを送信して、表示装置11に通知するようにする。これに対し、表示装置11側では、シャッター眼鏡13から受信した情報に基づいて、色補正の有無の設定や、表示タイミングの微調整を行なうようにする。
【0093】
具体的には、色成分毎の応答特性に関する情報の通知には、Bluetooth通信で提供されるDM1パケットやDM3パケットを用いることができ、ペイロードのデータ領域であるVendor Specific Dataフィールド内に必要な情報を書き込む。シャッター眼鏡13側では、必要な情報をあらかじめ記憶部306内に格納しておき、制御部302は、DM1パケット又はDM3パケットの送信時に、記憶部306から情報を読み出してVendor Specific Dataフィールド内に書き込む。
【0094】
ここで言う必要な情報は、R、G、B各色成分の応答遅延時間t1並びに立ち上がり時間t2である。図7Aには、Vendor Specific Dataフィールド内に応答遅延時間t1並びに立ち上がり時間t2を書き込むフォーマット例を示している。色成分毎に2バイトのフィールドが与えられ、それぞれ先頭から8ビットを用いて応答遅延時間t1並びに立ち上がり時間t2を記載し、続く1ビットでデータ種別を表し、残る7ビットに立ち上がり時間t2を記載する。真ん中の2バイトは、G成分とW(ホワイト・バランス)で共用される。RGB色成分毎の応答遅延時間t1並びに立ち上がり時間t2を記載するときは1ビットのデータ種別フィールドに1を書き込み、Wのみ送信するときは、データ種別フィールドに0を書き込む。TN液晶のようにRGB色成分間で応答性がほぼそろっているときには、Wの情報のみを送信すればよい。この場合、LSBから2バイト、並びにMSBから2バイトの領域には0を書き込み、真ん中の2バイトには、Wについての応答遅延時間t1と、データ種別の0と、Wについての立ち上がり時間t2を記載する。図7Bには、ホワイト・バランスの情報を送信する際のVendor Specific Dataフィールド内の記入例を示している。実際の使い方として、例えば680マイクロ秒を表すときには、680ではなく68と記載して、使用ビット数を節約するようにする。
【0095】
バッテリーの残存容量表示
上述したように、バッテリー310の残存容量がある程度以下になると、バッテリー310の交換や充電などの操作を行なう必要がある。
【0096】
本実施形態では、シャッター眼鏡13は、バッテリー310の出力端子電圧を検出する端子電圧検出部312を備えており、例えば制御部302においてバッテリー310の残存容量が10%以下になったことを検知すると、LEDインジケーター307を点滅させて、ユーザーにバッテリー310の充電や交換を促すようにしてもよい。
【0097】
ところが、立体映像を視聴中にバッテリーの状態が変化したかどうかを確認するには、ユーザーは、頭からシャッター眼鏡13を外してLEDインジケーター307の表示を観察しなければならず、利便性に欠ける。
【0098】
例えば、本出願人に既に譲渡されている特願2010−81200号明細書には、シャッター眼鏡からバッテリーの残存容量などの内部情報を表示装置に送信し、表示装置側では、残存容量の通知や警告を画面表示する映像表示システムについて開示されている。このようなシステムによれば、ユーザーは、シャッター眼鏡をかけたままの状態で立体映像を視聴しながら、バッテリーの消耗などの状態を確認することができる。
【0099】
シャッター眼鏡13は、端子電圧検出部312で検出したバッテリー310の出力端子電圧をそのまま表示装置11に送信し、表示装置11側でバッテリー310の残存容量などの状態を監視するようにしてもよい。ところが、バッテリー310の種類により、充電終了電圧(オペレーションの開始電圧)、放電終了電圧(オペレーションの終止電圧)は異なる。図8A〜図8Dに、通常のリチウム・イオン電池、正極材の異なるリチウム・イオン電池、ニッケル水素電池、リチウム1次電池それぞれの放電曲線を示している。各図を比較すると、バッテリーの種類により開始電圧並びに終止電圧がまちまちであることを理解できよう。
【0100】
そこで、本実施形態では、シャッター眼鏡13から表示装置11へ、バッテリー310の出力端子電圧などの残留バッテリー電圧情報だけでなく、バッテリー310の特性情報を、表示装置11に通知するようにする。したがって、表示装置11側では、バッテリー310の種別が何であれ、バッテリー310が終止電圧V2に到達するまでの残時間を計算して、より正確なバッテリー310の残時間の表示を行なうことが可能になる。
【0101】
バッテリー310の特性情報とは、具体的には、バッテリー310の種別や、その開始電圧V1及び終止電圧V2などである。バッテリー310に関する情報の通知には、Bluetooth通信で提供されるDM1パケットやDM3パケットを用いることができ、ペイロードのデータ領域であるVendor Specific Dataフィールド内に必要な情報を書き込む。シャッター眼鏡13側では、必要な情報をあらかじめ記憶部306内に格納しておき、制御部302は、DM1パケット又はDM3パケットの送信時に、記憶部306から情報を読み出してVendor Specific Dataフィールド内に書き込む。
【0102】
図9Aには、Vendor Specific Dataフィールド内にバッテリー310に関する情報を書き込むフォーマット例を示している。先頭の1ビットを用いて、バッテリー310の種別を記載する(例えば、1次電池であれば0を、2次電池であれば1を記載する)。例えば表示装置11側では、バッテリー310の種別毎の開始電圧V1及び終止電圧V2をあらかじめROM(Read Only Memory)に記憶しておく。そして、表示装置11は、シャッター眼鏡13がバッテリー310の種別及び出力端子電圧に関する情報をパケットで受け取ると、上記ROMから該当する開始電圧V1及び終止電圧V2を読み出して、受け取った残留バッテリー電圧情報を用いて残時間の計算を行ない、液晶表示パネル134にバッテリー310の残時間の表示を行なう。
【0103】
あるいは、後方のフィールドを用いて、バッテリー310のより詳細なタイプを記載する。また、残りのフィールドを用いて、開始電圧V1及び終止電圧V2などの特性情報を送信するようにしてもよい。例えば、図9Bに示すように、バッテリー310の開始電圧V1及び終止電圧V2を記載するための各6ビットのフィールドをVendor Specific Dataフィールド内に設けてもよい。表示装置11は、シャッター眼鏡13から受け取ったパケットに記載されている開始電圧V1及び終止電圧V2を読み出して、受け取った残留バッテリー電圧情報を用いて残時間の計算を行ない、液晶表示パネル134にバッテリー310の残時間の表示を行なう。この場合、表示装置11側では、バッテリー310の種別毎の開始電圧V1及び終止電圧V2を保持する必要はない(あるいは、表示装置11は、開始電圧V1及び終止電圧V2を保持していないバッテリー310の種別にも対応することができる)。
【0104】
シャッター・レンズの偏光角の通知
多くの時分割3次元視画像映像システムでは、表示装置11側は偏光角が90度のシャッター眼鏡13に対応しているが、パーソナル・コンピューターなど一部の製品では、偏光角が45度又は135度を使用している。ユーザーが使用するシャッター眼鏡13の偏光角が表示装置11に対応していないと、左眼用映像と右眼用映像を分離できず、立体視できなくなる。
【0105】
そこで、本実施形態では、シャッター眼鏡13から表示装置11へ、シャッター・レンズ308、309の偏光角に関する情報を記載したパケットを送信して、表示装置11に通知するようにする。これに対し、表示装置11側では、自分の偏光角と対応していないことを検知したときには、例えば液晶表示パネル134に警告を表示するようにしてもよい。
【0106】
例えば、シャッター眼鏡13は、DM1パケットやDM3パケットのペイロード(Payload for DM1、Payload for DM3)内のDevice Typeフィールドに、偏光角に関する情報を記載して、表示装置11に送信する。自分の偏光角が90度であれば、Device Typeフィールドに00を記載し、45度であれば01を記載し、135度であれば02を記載する(図10A、図10Bを参照のこと)。
【0107】
シャッター動作フレーム周波数に応じた表示制御
いままでは、3次元対応のディジタル・テレビに同じメーカー製のシャッター眼鏡を同梱し、同じメーカー同士の製品しか互換性を保証しないのが一般的であった。これは、3次元対応ディジタル・テレビがIR方式など一方向通信によりシャッター眼鏡を制御しているため、シャッター眼鏡の固有情報をリアルタイムで取得することができないことにも依拠する。すなわち、3次元対応ディジタル・テレビは、既知のデータに合わせ込んでシャッター眼鏡を制御するしかなく、純正品以外の互換性を保証するのは困難である。
【0108】
現在、無線を利用した双方向通信によるシャッター眼鏡の制御方式について、標準化活動が進められている。規格化の後は、異なるメーカーによる複数のシャッター眼鏡が同時に1台の3次元対応ディジタル・テレビに接続されるようになる。このとき、異なるメーカー間で対応しているシャッター動作フレーム周波数が一致しない場合、3次元対応ディジタル・テレビは、放送コンテンツで用いられるフレーム周波数(50Hz又は60Hz)でシャッター眼鏡を制御しなければならない。表示されるコンテンツが放送コンテンツの場合は、この制御で問題は生じない、ところが、図1Bに示したように、映画コンテンツを再生する3次元対応BDプレイヤー14がHDMIなどのディジタル・インターフェースを経由して3次元対応ディジタル・テレビに接続されたシステムでは、異なるメーカーのシャッター眼鏡の動作フレーム周波数が分からないという制約から、本来は24Hzで表示したい映画コンテンツを、50Hz又は60Hzに2−3プルダウンして表示することになる。このため、映画コンテンツが本来持つ映像表現ができなくなるという問題がある。また、2−3プルダウン処理をBDプレイヤーで行なうのか、ディジタル・テレビ側で行なうのかが定まっていない。
【0109】
そこで、本実施形態では、無線通信機能を搭載したシャッター眼鏡13から表示装置11へ、シャッター眼鏡13が対応しているシャッター動作フレーム周波数の情報を伝送することで、このような問題を解決するようにしている。
【0110】
シャッター眼鏡13から表示装置11へ送信するDM1パケット(Association Notification Packet)Vendor Specific Dataフィールドの第6バイト目のFrame Frequencyフィールドには、シャッター動作フレーム周波数の対応を示すデータを記載する。具体的には、図4Dに示したように、第1ビットから第5ビットまでの各ビットに、シャッター眼鏡13が対応しているシャッター動作フレーム周波数それぞれのビットを「1」にする。例えば、このFrame Frequencyフィールドに“11110000”と記載されていれば、このパケット送信元のシャッター眼鏡13は、48Hz、50Hz、60Hz、72Hzのシャッター動作フレーム周波数に対応しており、96Hzには対応していないことを示す。したがって、表示装置11は、Frame Frequencyフィールドに記載されている値に基づいて、自セル内に複数存在するシャッター眼鏡13A…がそれぞれ対応するシャッター動作フレーム周波数を取得することができる。複数のシャッター眼鏡13A…で映画コンテンツを視聴する場合、表示装置11がすべてのシャッター眼鏡13A…で共通の最高フレーム周波数で液晶表示パネル134を駆動すれば、各シャッター眼鏡13A…で良好な3次元映像を楽しむことができる。
【0111】
図11には、表示装置11がシャッター眼鏡13からシャッター動作フレーム周波数の情報を取得したことに応じて実行する処理動作をフローチャートの形式で示している。
【0112】
表示装置11は、3次元映像を表示しようとするとき、Bluetooth通信でリンクが確立している各シャッター眼鏡13A…から、対応しているシャッター動作フレーム周波数の情報を取得する(ステップS1101)。
【0113】
次いで、表示装置11は、表示しようとしている3次元映像が、映画コンテンツなどの24Hz映像かどうかをチェックする(ステップS1102)。
【0114】
ここで、表示しようとしている3次元映像が24Hz映像でないときには(ステップS1102のNo)、表示装置11は、3次元映像が放送コンテンツなどの50Hz又は60Hzのコンテンツと判断して、映像の駆動フレーム周波数を50Hz/60Hzに設定する(ステップS1103)。
【0115】
一方、表示しようとしている3次元映像が24Hz映像であるときには(ステップS1102のYes)、表示装置11は、ステップS1101で各シャッター眼鏡13A…から取得したシャッター動作フレーム周波数の情報から、共通する最大フレーム周波数を計算する(ステップS1104)。そして、計算された最大フレーム周波数が96Hzかどうかをチェックする(ステップS1105)。
【0116】
最大フレーム周波数が96Hzの場合(ステップS1105のYes)、表示装置11では、3次元映像の駆動フレーム周波数を96Hzに設定する(ステップS1106)。
【0117】
最大フレーム周波数が96Hzでない場合(ステップS1105のNo)、表示装置11は、計算された最大フレーム周波数が72Hzかどうかをさらにチェックする(ステップS1107)。
【0118】
最大フレーム周波数が72Hzの場合(ステップS1107のYes)、表示装置11では、3次元映像の駆動フレーム周波数を72Hzに設定する(ステップS1108)。
【0119】
最大フレーム周波数が72Hzでない場合(ステップS1107のNo)、表示装置11は、計算された最大フレーム周波数が48Hzかどうかをさらにチェックする(ステップS1109)。
【0120】
最大フレーム周波数が48Hzの場合(ステップS1109のYes)、表示装置11では、3次元映像の駆動フレーム周波数を48Hzに設定する(ステップS1110)。
【0121】
また、最大フレーム周波数が48Hzでない場合(ステップS1109のNo)、表示装置11は、3次元映像が放送コンテンツなどの50Hz又は60Hzのコンテンツと判断して、3次元映像の駆動フレーム周波数を50Hz/60Hzに設定する(ステップS1103)。
【0122】
上記のようにして3次元映像の駆動フレーム周波数を設定し終えると、表示装置11は、そのフレーム周波数で液晶表示パネル134を駆動して、3次元映像を表示する(ステップS1111)。
【0123】
表3には、シャッター眼鏡13A…で共通する最大フレーム周波数が72Hzの場合を例にとって、図1Bに示した映像表示システムにおいて処理される映像フレーム周波数の変換を表している。但し、BDプレイヤー14側では、映画コンテンツなどのフレーム周波数が24Hzのコンテンツを再生するものとする。
【0124】
【表3】

【0125】
表示装置11がシャッター眼鏡11の動作フレーム周波数の情報を取得できないシステムでは(表3中の「従来方式」)、まずBDプレイヤー14が表示装置11に記憶されているHDMI EDIDを読み出して、伝送可能な映像フォーマットを認識する。3次元映像フォーマットの場合、24Hz/50Hz/60HzのフォーマットがHDMI v1.4a規格で規定されており、表示装置11が対応している3次元映像フォーマットに応じてEDIDのVendor Specificフィールドのデータを設定する。BDプレイヤーは、このEDIDを読み出して、HDMIインターフェースに出力する映像フォーマットを決定するが、24Hzの映像コンテンツの場合も、BDプレイヤーの実装により50/60Hzに2−3プルダウンして出力する製品も存在する。
【0126】
BDプレイヤー14で2−3プルダウンしてから出力された3次元映像は、表示装置11内で、50Hz/60Hzから72Hzへ、再度のフレーム周波数変換が行なわれる。そして、シャッター眼鏡13を装着したユーザーには72Hzの映像として視聴される。
【0127】
このような従来方式では、BDプレイヤー14及び表示装置11において合計2回のフレーム周波数変換処理が行なわれるため、映像の劣化が生じ、3次元効果を低下させる原因にもなる。
【0128】
これに対し、本実施形態では、図1Bに示した映像表示システムにおいて、映像フレーム周波数の変換処理回数を抑えて、最適な3次元映像を提供するようにしている。このため、表示装置11に記憶するHDMI EDIDで24Hzの映像フレーム周波数の変換処理を抑制する情報(以下では、「24Hz強制出力フラグ」と呼ぶ)を書き込んでおき、このHDMI EDIDを読み出したBDプレイヤー14が映画コンテンツなどのフレーム周波数が24Hzの映像を、周波数変換せずに出力させる。
【0129】
図12には、24Hz強制出力フラグを含むHDMI EDIDのデータ構造を示している。表示装置11が3次元映像フォーマットに対応している場合、第13バイト以降のフィールドに、対応する3次元映像フォーマットのデータが記載される。大13バイトの第2番目のReserveビットを24Hz強制出力フラグとして定義する。
【0130】
表示装置11は、24/48/72/96Hzに対応するシャッター眼鏡13がBluetooth通信のPairingで検出された場合、この24Hz強制出力フラグを「1」に設定して、BDプレイヤー14が出力する映像フォーマットを24hZに固定させる。
【0131】
この24Hz強制出力フラグにより、表3に示したように、BDプレイヤー14からは24Hzの映像フォーマットが出力される。そして、表示装置11では、図11に示した処理手順に従い、Pairingで検出されたすべてのシャッター眼鏡13A…で共通する最大シャッター動作フレーム周波数に応じて、24Hzから48Hz/72Hz/96Hzへのフレーム周波数変換を1回だけ行なうという、必要最低限の信号処理で所望の映像フォーマットに変換することになり、映像の劣化が最低限に抑えられる。
【0132】
図13には、表示装置11においてHDMI EDIDに24Hz強制出力フラグを設定する処理手順をフローチャートの形式で示している。
【0133】
表示装置11は、Bluetooth通信で接続された各シャッター眼鏡13A…から、対応しているシャッター動作フレーム周波数の情報を取得する(ステップS1301)。
【0134】
そして、表示装置11は、取得した情報から、映画コンテンツに最適な48/72/96Hzのシャッター動作フレーム周波数にすべてのシャッター眼鏡13A…が対応しているかどうかをチェックする(ステップS1302)。
【0135】
ここで、すべてのシャッター眼鏡13A…が48/72/96Hzのシャッター動作フレーム周波数に対応しているときには(ステップS1302のYes)、図12に示したHDMI EDIDの24Hz強制出力フラグを「1」に設定する(ステップS1304)。
【0136】
一方、少なくとも一部のシャッター眼鏡がシャッター動作フレーム周波数に対応していないときには(ステップS1302のNo)、図12に示したHDMI EDIDの24Hz強制出力フラグを「0」に設定する(ステップS1303)。
【0137】
また、図14には、BDプレイヤー14において、HDMI接続された表示装置11側の24Hz強制出力フラグの設定に応じて映像を出力する処理手順をフローチャートの形式で示している。
【0138】
BDプレイヤー14は、表示装置11からEDID情報を取得する(ステップS1401)。そして、取得した情報の中で24Hz強制出力フラグが「1」かどうかをチェックする(ステップS1402)。
【0139】
ここで、24Hz強制出力フラグが「0」の場合には(ステップS1402のNo)、BDプレイヤー14は、設定された映像出力方式に準じてBDから再生した映像コンテンツを出力する(ステップS1405)。
【0140】
一方、24Hz強制出力フラグが「1」の場合には(ステップS1402のYes)、BDプレイヤー14は、次いで、BDから再生する映像コンテンツが24Hzかどうかをチェックする(ステップS1403)。
【0141】
そして、BDプレイヤー14は、映像コンテンツが24Hzのときには(ステップS1403のYes)、2−3プルダウンなどの処理を行わず、24Hzのまま強制的に出力し、24Hz以外のときには(ステップS1403のNo)、24Hz強制出力フラグが「0」の場合と同様の処理を実行する(ステップS1405)。
【0142】
なお、本明細書の開示の技術は、以下のような構成をとることも可能である。
(1)所定の色成分毎の応答特性で開閉動作するシャッター・レンズと、表示装置と通信する通信部を具備し、前記シャッター・レンズの色成分毎の応答特性を前記通信部から前記表示装置へ送信する、シャッター眼鏡装置。
(2)前記シャッター・レンズの色成分毎の応答特性は、各色成分の応答遅延時間を含む、上記(1)に記載のシャッター眼鏡装置。
(3)前記シャッター・レンズの色成分毎の応答特性は、各色成分の立ち上がり時間を含む、上記(1)に記載のシャッター眼鏡装置。
(4)前記シャッター・レンズの色成分毎の応答特性は、色成分毎の応答特性の相違が小さいときには、ホワイト・バランス成分についての応答特性を含む、上記(1)に記載のシャッター眼鏡装置。
(5)前記通信部は、Bluetooth通信により前記表示装置と通信する、上記(1)に記載のシャッター眼鏡装置。
(6)前記シャッター・レンズの色成分毎の応答特性に関する情報を、DMパケットのペイロード内の装置ベンダーに割り当てられた領域に記載して送信する、上記(5)に記載のシャッター眼鏡装置。
(7)所定の色成分毎の応答特性で開閉動作するシャッター・レンズと、表示装置と通信する通信部を備え、前記シャッター・レンズの色成分毎の応答特性を前記通信部から送信するシャッター眼鏡装置と、複数の映像を時分割で表示し、前記シャッター眼鏡装置から受信した前記シャッター・レンズの色成分毎の応答特性に基づいて前記映像の色補正を行なう表示装置と、を具備する映像表示システム。
(8)所定の種別に応じた充放電特性を持つバッテリーと、前記バッテリーの出力端子電圧を検出する端子電圧検出部と、開閉動作するシャッター・レンズと、表示装置と通信する通信部を具備し、前記端子電圧検出部の検出値に基づく残留バッテリー電圧情報と前記バッテリーの種別に関する情報を前記通信部から前記表示装置へ送信する、シャッター眼鏡装置。
(9)さらに前記バッテリーの充放電特性に関する情報を前記通信部から前記表示装置へ送信する、上記(8)に記載のシャッター眼鏡装置。
(10)さらに前記バッテリーの放電の開始電圧及び終止電圧に関する情報を前記通信部から前記表示装置へ送信する、上記(8)に記載のシャッター眼鏡装置。
(11)前記通信部は、Bluetooth通信により前記表示装置と通信する、上記(8)に記載のシャッター眼鏡装置。
(12)前記のバッテリーに関する情報を、DMパケットのペイロード内の装置ベンダーに割り当てられた領域に記載して送信する、上記(11)に記載のシャッター眼鏡装置。
(13)所定の種別に応じた充放電特性を持つバッテリーと、前記バッテリーの出力端子電圧を検出する端子電圧検出部と、開閉動作するシャッター・レンズと、表示装置と通信する通信部を備え、前記端子電圧検出部の検出値に基づく残留バッテリー電圧情報と前記バッテリーの種別に関する情報を前記通信部から前記表示装置へ送信するシャッター眼鏡装置と、
複数の映像を時分割で表示するとともに、前記シャッター眼鏡装置から受信した情報に基づいて前記バッテリーの残存容量に関する情報を表示する表示装置と、
を具備する映像表示システム。
(14)前記表示装置は、バッテリーの種別毎の充電開始電圧及び充電終止電圧に関する情報を保持する記憶部をさらに備え、前記シャッター眼鏡装置から受信した前記バッテリーの種別に該当する充電開始電圧及び充電終止電圧を前記記憶部から読み出し、受信したに基づく残留バッテリー電圧情報を用いて計算した前記バッテリーの残時間を表示する、上記(13)に記載の表示装置。
(15)1以上のシャッター動作フレーム周波数に対応して開閉動作するシャッター・レンズと、表示装置と通信する通信部を具備し、前記対応するシャッター動作フレーム周波数の情報を前記通信部から前記表示装置へ送信する、シャッター眼鏡装置。
(16)前記通信部は、Bluetooth通信により前記表示装置と通信する、上記(15)に記載のシャッター眼鏡装置。
(17)前記対応するシャッター動作フレーム周波数の情報を、DMパケットのペイロード内の装置ベンダーに割り当てられた領域に記載して送信する、上記(16)に記載のシャッター眼鏡装置。
(18)1以上のシャッター動作フレーム周波数に対応して開閉動作するシャッター・レンズと、表示装置と通信する通信部を具備し、前記対応するシャッター動作フレーム周波数の情報を前記通信部から前記表示装置へ送信するシャッター眼鏡装置と、複数の映像を時分割で表示し、前記シャッター眼鏡装置から受信したシャッター動作フレーム周波数の情報に基づいて前記時分割で表示する映像の駆動フレーム周波数を設定する表示装置と、を具備する映像表示システム。
(19)複数のシャッター眼鏡装置が存在し、前記表示装置は、前記複数のシャッター眼鏡装置に共通する最大のシャッター動作フレーム周波数に基づいて、前記時分割で表示する映像の駆動フレーム周波数を設定する、上記(18)に記載の映像表示システム。
(20)所定のインターフェース経由で前記表示装置に接続され、前記時分割で表示する映像を再生して前記表示装置に供給する映像再生装置をさらに備える、上記(18)に記載の映像表示システム。
(21)前記映像再生装置は、所定フレーム周波数の映像を再生し、前記表示装置は、前記シャッター眼鏡装置から受信したシャッター動作フレーム周波数の情報に基づいて、前記映像再生装置における再生映像の周波数変換処理を前記所定のインターフェースにより制御する、上記(20)に記載の映像表示システム。
【産業上の利用可能性】
【0143】
以上、特定の実施形態を参照しながら、本明細書で開示する技術について詳細に説明してきた。しかしながら、本明細書で開示する技術の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施形態の修正や代用を成し得ることは自明である。
【0144】
本明細書では、STN液晶やTN液晶をシャッター素子に用いた実施形態を中心に説明してきたが、本明細書で開示する技術の要旨はこれに限定されるものではない。また、シャッター眼鏡と表示装置間の通信には、Bluetooth通信やWi−Fi、IEEE802.15.4などの、電波通信によるワイヤレス・ネットワーク、赤外線通信、あるいは有線通信を用いることができる。
【0145】
要するに、例示という形態により本明細書で開示する技術について説明してきたのであり、本明細書の記載内容を限定的に解釈するべきではない。本明細書で開示する技術の要旨を判断するためには、特許請求の範囲を参酌すべきである。
【符号の説明】
【0146】
11…表示装置
13…シャッター眼鏡
14…BDプレイヤー
120…左右映像信号処理部
124…通信部
126…タイミング制御部
130…ゲート・ドライバー
132…データ・ドライバー
134…液晶表示パネル
301…無線通信部
302…制御部
303…電圧発生部
304…タイミング生成部
305…液晶駆動部
306…記憶部
307…LEDインジケーター
308…左眼用シャッター・レンズ
309…右眼用シャッター・レンズ
310…バッテリー
311…充放電制御部
312…端子電圧検出部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の色成分毎の応答特性で開閉動作するシャッター・レンズと、
表示装置と通信する通信部と、
を具備し、
前記シャッター・レンズの色成分毎の応答特性を前記通信部から前記表示装置へ送信する、
シャッター眼鏡装置。
【請求項2】
前記シャッター・レンズの色成分毎の応答特性は、各色成分の応答遅延時間を含む、
請求項1に記載のシャッター眼鏡装置。
【請求項3】
前記シャッター・レンズの色成分毎の応答特性は、各色成分の立ち上がり時間を含む、
請求項1に記載のシャッター眼鏡装置。
【請求項4】
前記シャッター・レンズの色成分毎の応答特性は、色成分毎の応答特性の相違が小さいときには、ホワイト・バランス成分についての応答特性を含む、
請求項1に記載のシャッター眼鏡装置。
【請求項5】
前記通信部は、Bluetooth通信により前記表示装置と通信する、
請求項1に記載のシャッター眼鏡装置。
【請求項6】
前記シャッター・レンズの色成分毎の応答特性に関する情報を、DMパケットのペイロード内の装置ベンダーに割り当てられた領域に記載して送信する、
請求項5に記載のシャッター眼鏡装置。
【請求項7】
所定の色成分毎の応答特性で開閉動作するシャッター・レンズと、表示装置と通信する通信部を備え、前記シャッター・レンズの色成分毎の応答特性を前記通信部から送信するシャッター眼鏡装置と、
複数の映像を時分割で表示し、前記シャッター眼鏡装置から受信した前記シャッター・レンズの色成分毎の応答特性に基づいて前記映像の色補正を行なう表示装置と、
を具備する映像表示システム。
【請求項8】
所定の種別に応じた充放電特性を持つバッテリーと、
前記バッテリーの出力端子電圧を検出する端子電圧検出部と、
開閉動作するシャッター・レンズと、
表示装置と通信する通信部と、
を具備し、
前記端子電圧検出部の検出値に基づく残留バッテリー電圧情報と前記バッテリーの種別に関する情報を前記通信部から前記表示装置へ送信する、
シャッター眼鏡装置。
【請求項9】
さらに前記バッテリーの充放電特性に関する情報を前記通信部から前記表示装置へ送信する、
請求項8に記載のシャッター眼鏡装置。
【請求項10】
さらに前記バッテリーの放電の開始電圧及び終止電圧に関する情報を前記通信部から前記表示装置へ送信する、
請求項8に記載のシャッター眼鏡装置。
【請求項11】
前記通信部は、Bluetooth通信により前記表示装置と通信する、
請求項8に記載のシャッター眼鏡装置。
【請求項12】
前記のバッテリーに関する情報を、DMパケットのペイロード内の装置ベンダーに割り当てられた領域に記載して送信する、
請求項11に記載のシャッター眼鏡装置。
【請求項13】
所定の種別に応じた充放電特性を持つバッテリーと、前記バッテリーの出力端子電圧を検出する端子電圧検出部と、開閉動作するシャッター・レンズと、表示装置と通信する通信部を備え、前記端子電圧検出部の検出値に基づく残留バッテリー電圧情報と前記バッテリーの種別に関する情報を前記通信部から前記表示装置へ送信するシャッター眼鏡装置と、
複数の映像を時分割で表示するとともに、前記シャッター眼鏡装置から受信した情報に基づいて前記バッテリーの残存容量に関する情報を表示する表示装置と、
を具備する映像表示システム。
【請求項14】
前記表示装置は、
バッテリーの種別毎の充電開始電圧及び充電終止電圧に関する情報を保持する記憶部をさらに備え、
前記シャッター眼鏡装置から受信した前記バッテリーの種別に該当する充電開始電圧及び充電終止電圧を前記記憶部から読み出し、受信したに基づく残留バッテリー電圧情報を用いて計算した前記バッテリーの残時間を表示する、
請求項13に記載の映像表示システム。
【請求項15】
1以上のシャッター動作フレーム周波数に対応して開閉動作するシャッター・レンズと、
表示装置と通信する通信部と、
を具備し、
前記対応するシャッター動作フレーム周波数の情報を前記通信部から前記表示装置へ送信する、
シャッター眼鏡装置。
【請求項16】
前記通信部は、Bluetooth通信により前記表示装置と通信する、
請求項15に記載のシャッター眼鏡装置。
【請求項17】
前記対応するシャッター動作フレーム周波数の情報を、DMパケットのペイロード内の装置ベンダーに割り当てられた領域に記載して送信する、
請求項16に記載のシャッター眼鏡装置。
【請求項18】
1以上のシャッター動作フレーム周波数に対応して開閉動作するシャッター・レンズと、表示装置と通信する通信部を具備し、前記対応するシャッター動作フレーム周波数の情報を前記通信部から前記表示装置へ送信するシャッター眼鏡装置と、
複数の映像を時分割で表示し、前記シャッター眼鏡装置から受信したシャッター動作フレーム周波数の情報に基づいて前記時分割で表示する映像の駆動フレーム周波数を設定する表示装置と、
を具備する映像表示システム。
【請求項19】
複数のシャッター眼鏡装置が存在し、
前記表示装置は、前記複数のシャッター眼鏡装置に共通する最大のシャッター動作フレーム周波数に基づいて、前記時分割で表示する映像の駆動フレーム周波数を設定する、
請求項18に記載の映像表示システム。
【請求項20】
所定のインターフェース経由で前記表示装置に接続され、前記時分割で表示する映像を再生して前記表示装置に供給する映像再生装置をさらに備える、
請求項18に記載の映像表示システム。
【請求項21】
前記映像再生装置は、所定フレーム周波数の映像を再生し、
前記表示装置は、前記シャッター眼鏡装置から受信したシャッター動作フレーム周波数の情報に基づいて、前記映像再生装置における再生映像の周波数変換処理を前記所定のインターフェースにより制御する、
請求項20に記載の映像表示システム。


【図1A】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図13】
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【図14】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図6】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−81149(P2013−81149A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−250981(P2011−250981)
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】