シャッター装置
【課題】シャッターカーテンを駆動するモータの過熱防止を完全ならしめる。
【解決手段】制御装置90から閉鎖信号(開放信号)が発令された後、基準時間経過をしても、シャーターカーテン12が開口部26を全面閉鎖(全面開放)されない場合にモータ20の駆動が停止されるようにしたシャッター装置10において、シャーターカーテン12が開口部26を実際に全面閉鎖もしくは全面開放をするに要した時間の最新分複数個記憶し、その内の最大値を基準値としたこと。
【解決手段】制御装置90から閉鎖信号(開放信号)が発令された後、基準時間経過をしても、シャーターカーテン12が開口部26を全面閉鎖(全面開放)されない場合にモータ20の駆動が停止されるようにしたシャッター装置10において、シャーターカーテン12が開口部26を実際に全面閉鎖もしくは全面開放をするに要した時間の最新分複数個記憶し、その内の最大値を基準値としたこと。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、モータにより駆動されるシャッターカーテンにより開口部が開閉されるようにしたシャッター装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の此の種のシャッター装置、例えば、特開昭63−167879号公報に開示されたものにおいては、モータの駆動時間が計測されるようになっており、この計測時間が所定値を経過すれば、過熱防止のため、モータの駆動が停止されるようになっている。したがって、下降中のシャッターと開口部の下枠との間に物が挟まれてシャッターの下降が停止している時間が上記所定値を超えれば、モータの駆動が停止され、シャッターの変形が防止されると共に、挟まれた物の取り出しができるようになる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、この従来装置においては、上記所定値は固定値として記憶装置に記憶されている。しかして、経年変化によりシャッター自身が変形したり、シャッターをガイドするレールの滑り具合が悪くなったりすると、シャッターの上下動時間が増加する。そうすると、異常事態が発生していないのにも拘わらず、シャッターが途中で停止してしまうという事態が惹起される惧れがある。
【0004】それ故に、本発明は、上記した不具合のないシャッター装置を提供することを、その技術的課題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記した課題を解決するために請求項1において講じた技術的手段は、制御装置、前記制御装置から発令される閉鎖信号及び開放信号に従って夫々一方向及び他方向に駆動されるモータ、前記モータの一方向及び他方向の駆動により開口部を夫々閉鎖及び開放するようにしたシャッターカーテン、前記シャッターカーテンが下降して前記開口部を完全に閉鎖したことを検知したときに作動する閉鎖検知センサ、前記シャッターカーテンが上昇して前記開口部を完全に開放したことを検知したときに作動する開放検知センサ並びに前記閉鎖信号の発令と前記閉鎖検知センサの作動時期との間の時間及び前記開放信号の発令と前記開放検知センサの作動時期との間の時間の最新分を複数個記憶する記憶装置を備え、前記制御装置は、前記記憶装置に記憶された前記各時間に依拠して基準時間を演算し、前記閉鎖信号及び前記開放信号発令後、前記基準時間を経過しても前記閉鎖検知センサ及び前記開放検知センサが夫々作動しないとき、前記モータの駆動を停止するようにした、シャッター装置を構成したことである。
【0006】そして、請求項2においては、モータの駆動が停止するときに異常警報装置が作動させるようにした。
【0007】
【作用及び効果】上記した請求項1において講じた手段(構成)によれば、シャッターカーテンの閉鎖(開放)が基準時間を経過しても閉鎖検知センサ(開放検知センサ)が作動しないとき、異常事態が発生したものとみなして、制御装置は、モータの駆動を停止することにより、シャターカーテンの下降(上昇)を中止せしめる。しかして、この基準時間は、最新の実際のシャッターカーテンの閉鎖・開放に費やした複数の時間に依拠して算出されているので、精度が高く、前述したような従来技術のような不具合は惹起されることはない。
【0008】また、上記した請求項2の構成によれば、シャッター装置の異常をユーザに知らしめ、しかるべき処置を早急にとらしめるとことができる。
【0009】
【実施例】本発明の実施の形態例を添付図面に基づいて説明する。
【0010】図1において、シャッター装置10は、シャッターカーテン12を備える。しかして、シャッターカーテン12は、周知のように、図示されない多数のスラット14を周知の態様で連結したものであり、モータ20が駆動されたとき、一対のガイドレール22内に画成される溝22aに沿って上下動して、ガイドレール22と上枠(図示略)及び下枠24により画成される開口部26を開閉するようになっている。尚、開口部26を全面的に開放する場合は、シャッターカーテン12は、スラット14を完全に巻取った状態とされて、図示されないシャッターボックス内に収容されるようになっている。
【0011】ガイドレール22の内部には空間28が形成されており、ガイドレール22の上端部及び下端部は、夫々、上板32及び下板(図示略)により、閉鎖される。ガイドレール22の空間28内には各スラット14の左端部が露呈している。ガイドレール22の空間28内においては、上下方向に延在する感知板40が装架されており、その長手方向の左側は、ネジ42、ネジ44及びガイドレール22の一部をなす板46の溝48により、空間28内を所定角度だけ揺動可能となっている。具体的には、ネジ42(44)の先端部が感知板40の左側の段部の上縁部(下縁部)とボールジョイントされている。そして、その嵌合度ないしは感知板40の揺動の具合は、ネジ42(44)の高さを調整することによりなされる。
【0012】上板32には、扇型の穴50が形成されており、この穴50を通過して感知板40の上部が露呈している。しかして、上板32上にはコイルスプリング52の一端部が固定されており、このコイルスプリング52の他端部が感知板40の上部を常時、図面の手前方向に付勢し、上板32上に載置されたスイッチ60の作動レバー61が感知板40と離隔している。
【0013】スラット14のうちの先端のものを特にエンドスラット15と称するが、このエンドスラット15の左端部にはリンク機構70が装架されており、エンドスラット15が下降中に障害物と干渉したとき、例えばエンドスラット15と下枠24との間に異物や身体の一部が挟まれたとき、後程詳しく説明するリンク機構70の作動レバー72が感知板40をコイルスプリング52に抗して後側に付勢して、スイッチ60の作動レバー61を押圧するようになっている。しかして、この作動レバー61が押圧されたときにはスイッチ60が閉成され、この閉成を制御装置90が認知すると、モータ20の駆動が停止される。かくして、エンドスラット15の更なる下降がなされず、不慮の事故が防止されるようになっている。
【0014】エンドスラット15の、直上のスラット14の下空間14a内には板17が装架されており、この板17は、下空間14aの下壁14bに形成された長手スリット14cを貫通する板19を介してエンドスラット15の上部に連結されている。かくして、エンドスラット15は、上方向に力が作用した時に、直上のスラット14側に変移するようになっている。
【0015】エンドスラット15の左端部には板74が固定されており、この板74には、レバー72の下端部がピン76により枢着されている。また、直上のスラット14の上空間14dにおいては板78が固定されており、この板78にはレバー80の上端部がピン82により枢着されている。また、レバー72の上端部には円板88が固定されている。しかして、レバー72の中央部とレバー80の下端部がピン84により枢着されており、エンドスラット15の直上のスラット14に対する接近に伴い、レバー72の上端部が反時計方向に回動し、円板88が感知板を押し、前記した要領でモータ20が停止される。
【0016】また、エンドスラット15が下枠24上に着座したときにも、上記同様、直上のスラット14側に変移して、レバー72が回動する。そして、この回動に伴いレバー72の上端部の円板88が感知板40を付勢してスイッチ60を作動させてモータ20の駆動が停止され、更なるシャッターカーテン12の下降が停止される。かようなことから、感知板40は、シャッターカーテン12の運動の下限を検知するセンサの役割を果たす。
【0017】尚、図3に示すように、エンドスラット15の室内側に設けた取っ手96が右側のガイドレール22に設置したセンサ100を作動せしめてモータ20がシャッターカーテン12の上昇を停止するようになっている。すなわち、センサ100のブラケット102が右側のガイドレール22の上側の室内側に固定されており、ガイドレール22とブラケット102との間の空間に挿入されたカム部材104の下側がピン106によりブラケット102及びガイドレール22に枢支される。しかして、カム部材104にはブラケット102の長孔108から突出するピン110が設けられており、カム部材104の移動範囲は、ピン110の移動範囲である長孔108の右端及び左端により規制される。ブラケット102の内側にはスイッチ112が固定されており、そのレバー114は常時カム部材104を左方向に付勢している。そして、シャッターカーテン12の上昇がその上限に達すると、取っ手96がカム部材104を右側に回動付勢してレバー114をしてスイッチ112をオンせしめる。すると信号が瞬時的に制御装置90に伝えられ、制御装置90はモータ20を停止せしめる。かくして、シャッターカーテン12の上昇が完了する。かように、シャッターカーテン12の運動の上限及び下限が決められる。
【0018】図4乃至図9にエンドスラット15の変形例を示す。エンドスラット15は、ガイドレール22の溝22a内を移動する左右の一対のシュー15a及びこのシュー15a間に位置する中央部15bを備える。しかして、一対のシュー15a(一方のみ図示)は直上のスラット14の下部に固定されているが、中央部15bは、直上のスラット14に対して揺動可能となるような態様で、直上のスラット14から吊下されている。また、直上のスラット14の各端部からは室外方向にレバー150が水平を保持するように且つ片持梁の態様で突出している。このレバー150の先端部は、エンドスラット15の中央部15bから室外方向に突出した屈曲レバー152の先端部をボール軸受けの態様で受容している。これにより、屈曲レバー152は、その先端部を中心に回動可能となっている。しかして、エンドスラット15の中央部15bは、下枠24に着座したり障害物と干渉しない限り、その下端部が少しく室外方向に突出するようになっており、その高さは、シュー15aよりも若干低く設定されている。つまり、エンドスラット15の中央部15bの下端は、シュー15aの下端から少しく下側に突出する。
【0019】エンドスラット15の中央部15bの各端部から突出するピン160にはレバー72の下端部が固定されている。レバー72の上端部がピン84によりレバー80の中央部に枢支されている。しかしてレバー80の上端部はピン82により直上のスラット14の端部に枢支持されており、また、レバー80の下端部には円板88が設けられている。そして、エンドスラット15の中央部15bが下枠24に着座すると、リンク機構70が図6の状態から図7の状態に変移し、レバー80の先端の円板88が感知板40を付勢する。そして、回動された感知板40つまり図8に示す状態から図9に示す状態に変移された感知板40がスイッチを作動して、モータ20を停止させて、シャッターカーテン12の下降が停止される。
【0020】尚、この場合のリンク機構70及び感知板40は、一方のガイドレール側に設けるだけでよく、他方側に設ける必要がない。
【0021】上記したシャッターカーテン12の下(上)動による開口部26の閉鎖(開放)は、室内側に設置されたワイヤードリモコン200の閉鎖ボタン202(開放ボタン204)が押されて、その旨が、制御装置90に伝えられたとき、制御装置90は、閉鎖信号(開放信号)をモータ20に付与し、モータ20を一方向(他方向)に駆動せしめる。このモータ20の一方向(他方向)への駆動により、シャッターカーテン12が下降(上昇)し、開口部26を閉鎖(開放)する。そして、開口部26の全閉状態(全開)状態は、シャッターカーテン12の運動の下限(上限)は、感知板40により閉じられるスイッチ60(取っ手96により閉じられるスイッチ100)により認識される。尚、シャッターカーテン12の移動中に停止ボタン206を押せば、シャッターカーテン12は、即、停止するようになっている。このとき、異常警報装置500が作動して、警報音を発したり警報燈が点燈し、使用者・管理者に異常の通報ができるようになっている。
【0022】上記したように、エンドスラット15が下降中に障害物と干渉したとき、リンク機構70が作動して感知板40が回動してスイッチ60がオフされ、これによりモータ及びエンドスラット15の更なる下降が停止されて、不慮の事故を未然に防止する。そして、リンク機構70が作動しない場合であったとしても、同様に不慮の事故が未然に防止できるように、配慮がなされており、制御装置90は、閉鎖信号(開放信号)の発令後、基準時間を経過しても、スイッチ60(スイッチ100)が閉成されないときは、モータ20の駆動を停止し、シャッターカーテン12の上昇(下降)を中断するようになっている。
【0023】すなわち、制御装置90が閉鎖信号(開放信号)が発令された場合、その時刻TSが、図11に示される制御装置90内のレジスタRTSにストアされ、この時刻TSと制御装置90の中核たるCPUに内臓されたクロックCLKが刻む時刻T0との差異つまり経過時間TLがレジスタRTLに記憶される。そして、この経過時間TLがレジスタRCTに記憶されている基準時間CTと比較され、経過時間TLが基準時間CTを経過したとき、制御装置90は、シャッターカーテン12が何らかの事情により、予定通り開口部を閉鎖(開放)できなかったものとみなし、不慮の事故の防止やモータ20の過熱を防止するめに、モータ20の駆動ひいてはシャッターカーテン12の移動を中断する。
【0024】しかして、基準時間CTは、シャッター装置10が開口部の上側に設置された後、シャッターカーテン12が16回上昇ないしは下降するまでは、レジスタRCTに予め設定・記憶されている初期値C0が用いられる。その間、第N回目(N=1〜16の整数)の実際のシャッターカーテン12が開口部26の閉鎖若しくは開放に要した時間TN(N=1〜16の整数)がレジスタRC(N)(N=1〜16の整数)にストアされる。第17回目以降は、レジスタRC(M)(M=2〜16)の内容をRC(M−1)(M=2〜116)にシフトさせ、最新のシャッターカーテン12の閉鎖若しくは開放に要した時間がレジスタRCTにストアされる。ついで、レジスタRC(1)からレジスタRC(16)に記憶されている値つまり16個の実測時間のうちから最大のものが選択され、これに補正値(余裕時間)αを加えたものが、基準値としてレジスタRCTにストアされる。要するに、第L回目(Lは17以上の整数)のシャッターカーテン12の移動(閉鎖もしくは開放のための移動)が基準時間ないを経過する前に完了するや否やを判断する場合は、当該基準時間は固定値ではなく、最新16回のシャッターカーテン12の実際の移動(閉鎖もしくは開放のための移動)時間に依拠して算出されている。しかして、この実益は、シャッターカーテン12とガイドレール22との間の滑り具合が経年変化により悪化し、シャッターカーテン12の実際の移動(閉鎖もしくは開放のための移動)時間が製品出荷時に比べて長くなっても、対応できることである。尚、上記した手順は、図12及び図13にフローチャートの形式で示してある。
【0025】尚、図10に示すように、リンク機構70、感知板40及びスイッチ60の代わりに、シャッターカーテン12の全閉位置近傍において、エンドスラット15に固定された取っ手96及びシャッターカーテン12の全閉位置近傍においてこの取っ手96と係合して閉成されるスイッチ300を採用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るシャッター装置の一端部の断面斜視図である。
【図2】図1のA部拡大図である。
【図3】シャッターカーテンの移動の上限を検知するセンサの設置状態を示す図である。
【図4】エンドスラットの変形例を示す部分模式図である。
【図5】図4に示すエンドスラットが直上のスラットに吊下された状態を示す模式図である。
【図6】エンドスラットが下枠に着座入していないときのエンドスラット、直上のスラット及び両者を連結するリンク機構の状態を示す図である。
【図7】エンドスラットが下枠に着座入したときのエンドスラット、直上のスラット及び両者を連結するリンク機構の状態を示す図である。
【図8】図4に示すリンク機構が作動していないときの、エンドスラットと感知板との関係を示す図である。
【図9】図4に示すリンク機構が作動したときの、エンドスラットと感知板との関係を示す図である。
【図10】シャッターカーテンが全閉状態になると同時に閉成されるスイッチの取り付け状態を示す図である。
【図11】制御装置内部の詳細を示す図である。
【図12】基準時間に基づきモータを停止させるための判定手順を示す流れ図である。
【図13】基準時間を設定するための手順を示す流れ図である。
【符号の説明】
10 シャッター装置
12 シャッターカーテン
14 スラット
15 エンドスラット
20 モータ
40 感知板
60 スイッチ(検知手段)
70 リンク機構
72 レバー
90 制御装置
200 スイッチ
300 スイッチ(検知手段)
500 異常警報装置
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、モータにより駆動されるシャッターカーテンにより開口部が開閉されるようにしたシャッター装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の此の種のシャッター装置、例えば、特開昭63−167879号公報に開示されたものにおいては、モータの駆動時間が計測されるようになっており、この計測時間が所定値を経過すれば、過熱防止のため、モータの駆動が停止されるようになっている。したがって、下降中のシャッターと開口部の下枠との間に物が挟まれてシャッターの下降が停止している時間が上記所定値を超えれば、モータの駆動が停止され、シャッターの変形が防止されると共に、挟まれた物の取り出しができるようになる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、この従来装置においては、上記所定値は固定値として記憶装置に記憶されている。しかして、経年変化によりシャッター自身が変形したり、シャッターをガイドするレールの滑り具合が悪くなったりすると、シャッターの上下動時間が増加する。そうすると、異常事態が発生していないのにも拘わらず、シャッターが途中で停止してしまうという事態が惹起される惧れがある。
【0004】それ故に、本発明は、上記した不具合のないシャッター装置を提供することを、その技術的課題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記した課題を解決するために請求項1において講じた技術的手段は、制御装置、前記制御装置から発令される閉鎖信号及び開放信号に従って夫々一方向及び他方向に駆動されるモータ、前記モータの一方向及び他方向の駆動により開口部を夫々閉鎖及び開放するようにしたシャッターカーテン、前記シャッターカーテンが下降して前記開口部を完全に閉鎖したことを検知したときに作動する閉鎖検知センサ、前記シャッターカーテンが上昇して前記開口部を完全に開放したことを検知したときに作動する開放検知センサ並びに前記閉鎖信号の発令と前記閉鎖検知センサの作動時期との間の時間及び前記開放信号の発令と前記開放検知センサの作動時期との間の時間の最新分を複数個記憶する記憶装置を備え、前記制御装置は、前記記憶装置に記憶された前記各時間に依拠して基準時間を演算し、前記閉鎖信号及び前記開放信号発令後、前記基準時間を経過しても前記閉鎖検知センサ及び前記開放検知センサが夫々作動しないとき、前記モータの駆動を停止するようにした、シャッター装置を構成したことである。
【0006】そして、請求項2においては、モータの駆動が停止するときに異常警報装置が作動させるようにした。
【0007】
【作用及び効果】上記した請求項1において講じた手段(構成)によれば、シャッターカーテンの閉鎖(開放)が基準時間を経過しても閉鎖検知センサ(開放検知センサ)が作動しないとき、異常事態が発生したものとみなして、制御装置は、モータの駆動を停止することにより、シャターカーテンの下降(上昇)を中止せしめる。しかして、この基準時間は、最新の実際のシャッターカーテンの閉鎖・開放に費やした複数の時間に依拠して算出されているので、精度が高く、前述したような従来技術のような不具合は惹起されることはない。
【0008】また、上記した請求項2の構成によれば、シャッター装置の異常をユーザに知らしめ、しかるべき処置を早急にとらしめるとことができる。
【0009】
【実施例】本発明の実施の形態例を添付図面に基づいて説明する。
【0010】図1において、シャッター装置10は、シャッターカーテン12を備える。しかして、シャッターカーテン12は、周知のように、図示されない多数のスラット14を周知の態様で連結したものであり、モータ20が駆動されたとき、一対のガイドレール22内に画成される溝22aに沿って上下動して、ガイドレール22と上枠(図示略)及び下枠24により画成される開口部26を開閉するようになっている。尚、開口部26を全面的に開放する場合は、シャッターカーテン12は、スラット14を完全に巻取った状態とされて、図示されないシャッターボックス内に収容されるようになっている。
【0011】ガイドレール22の内部には空間28が形成されており、ガイドレール22の上端部及び下端部は、夫々、上板32及び下板(図示略)により、閉鎖される。ガイドレール22の空間28内には各スラット14の左端部が露呈している。ガイドレール22の空間28内においては、上下方向に延在する感知板40が装架されており、その長手方向の左側は、ネジ42、ネジ44及びガイドレール22の一部をなす板46の溝48により、空間28内を所定角度だけ揺動可能となっている。具体的には、ネジ42(44)の先端部が感知板40の左側の段部の上縁部(下縁部)とボールジョイントされている。そして、その嵌合度ないしは感知板40の揺動の具合は、ネジ42(44)の高さを調整することによりなされる。
【0012】上板32には、扇型の穴50が形成されており、この穴50を通過して感知板40の上部が露呈している。しかして、上板32上にはコイルスプリング52の一端部が固定されており、このコイルスプリング52の他端部が感知板40の上部を常時、図面の手前方向に付勢し、上板32上に載置されたスイッチ60の作動レバー61が感知板40と離隔している。
【0013】スラット14のうちの先端のものを特にエンドスラット15と称するが、このエンドスラット15の左端部にはリンク機構70が装架されており、エンドスラット15が下降中に障害物と干渉したとき、例えばエンドスラット15と下枠24との間に異物や身体の一部が挟まれたとき、後程詳しく説明するリンク機構70の作動レバー72が感知板40をコイルスプリング52に抗して後側に付勢して、スイッチ60の作動レバー61を押圧するようになっている。しかして、この作動レバー61が押圧されたときにはスイッチ60が閉成され、この閉成を制御装置90が認知すると、モータ20の駆動が停止される。かくして、エンドスラット15の更なる下降がなされず、不慮の事故が防止されるようになっている。
【0014】エンドスラット15の、直上のスラット14の下空間14a内には板17が装架されており、この板17は、下空間14aの下壁14bに形成された長手スリット14cを貫通する板19を介してエンドスラット15の上部に連結されている。かくして、エンドスラット15は、上方向に力が作用した時に、直上のスラット14側に変移するようになっている。
【0015】エンドスラット15の左端部には板74が固定されており、この板74には、レバー72の下端部がピン76により枢着されている。また、直上のスラット14の上空間14dにおいては板78が固定されており、この板78にはレバー80の上端部がピン82により枢着されている。また、レバー72の上端部には円板88が固定されている。しかして、レバー72の中央部とレバー80の下端部がピン84により枢着されており、エンドスラット15の直上のスラット14に対する接近に伴い、レバー72の上端部が反時計方向に回動し、円板88が感知板を押し、前記した要領でモータ20が停止される。
【0016】また、エンドスラット15が下枠24上に着座したときにも、上記同様、直上のスラット14側に変移して、レバー72が回動する。そして、この回動に伴いレバー72の上端部の円板88が感知板40を付勢してスイッチ60を作動させてモータ20の駆動が停止され、更なるシャッターカーテン12の下降が停止される。かようなことから、感知板40は、シャッターカーテン12の運動の下限を検知するセンサの役割を果たす。
【0017】尚、図3に示すように、エンドスラット15の室内側に設けた取っ手96が右側のガイドレール22に設置したセンサ100を作動せしめてモータ20がシャッターカーテン12の上昇を停止するようになっている。すなわち、センサ100のブラケット102が右側のガイドレール22の上側の室内側に固定されており、ガイドレール22とブラケット102との間の空間に挿入されたカム部材104の下側がピン106によりブラケット102及びガイドレール22に枢支される。しかして、カム部材104にはブラケット102の長孔108から突出するピン110が設けられており、カム部材104の移動範囲は、ピン110の移動範囲である長孔108の右端及び左端により規制される。ブラケット102の内側にはスイッチ112が固定されており、そのレバー114は常時カム部材104を左方向に付勢している。そして、シャッターカーテン12の上昇がその上限に達すると、取っ手96がカム部材104を右側に回動付勢してレバー114をしてスイッチ112をオンせしめる。すると信号が瞬時的に制御装置90に伝えられ、制御装置90はモータ20を停止せしめる。かくして、シャッターカーテン12の上昇が完了する。かように、シャッターカーテン12の運動の上限及び下限が決められる。
【0018】図4乃至図9にエンドスラット15の変形例を示す。エンドスラット15は、ガイドレール22の溝22a内を移動する左右の一対のシュー15a及びこのシュー15a間に位置する中央部15bを備える。しかして、一対のシュー15a(一方のみ図示)は直上のスラット14の下部に固定されているが、中央部15bは、直上のスラット14に対して揺動可能となるような態様で、直上のスラット14から吊下されている。また、直上のスラット14の各端部からは室外方向にレバー150が水平を保持するように且つ片持梁の態様で突出している。このレバー150の先端部は、エンドスラット15の中央部15bから室外方向に突出した屈曲レバー152の先端部をボール軸受けの態様で受容している。これにより、屈曲レバー152は、その先端部を中心に回動可能となっている。しかして、エンドスラット15の中央部15bは、下枠24に着座したり障害物と干渉しない限り、その下端部が少しく室外方向に突出するようになっており、その高さは、シュー15aよりも若干低く設定されている。つまり、エンドスラット15の中央部15bの下端は、シュー15aの下端から少しく下側に突出する。
【0019】エンドスラット15の中央部15bの各端部から突出するピン160にはレバー72の下端部が固定されている。レバー72の上端部がピン84によりレバー80の中央部に枢支されている。しかしてレバー80の上端部はピン82により直上のスラット14の端部に枢支持されており、また、レバー80の下端部には円板88が設けられている。そして、エンドスラット15の中央部15bが下枠24に着座すると、リンク機構70が図6の状態から図7の状態に変移し、レバー80の先端の円板88が感知板40を付勢する。そして、回動された感知板40つまり図8に示す状態から図9に示す状態に変移された感知板40がスイッチを作動して、モータ20を停止させて、シャッターカーテン12の下降が停止される。
【0020】尚、この場合のリンク機構70及び感知板40は、一方のガイドレール側に設けるだけでよく、他方側に設ける必要がない。
【0021】上記したシャッターカーテン12の下(上)動による開口部26の閉鎖(開放)は、室内側に設置されたワイヤードリモコン200の閉鎖ボタン202(開放ボタン204)が押されて、その旨が、制御装置90に伝えられたとき、制御装置90は、閉鎖信号(開放信号)をモータ20に付与し、モータ20を一方向(他方向)に駆動せしめる。このモータ20の一方向(他方向)への駆動により、シャッターカーテン12が下降(上昇)し、開口部26を閉鎖(開放)する。そして、開口部26の全閉状態(全開)状態は、シャッターカーテン12の運動の下限(上限)は、感知板40により閉じられるスイッチ60(取っ手96により閉じられるスイッチ100)により認識される。尚、シャッターカーテン12の移動中に停止ボタン206を押せば、シャッターカーテン12は、即、停止するようになっている。このとき、異常警報装置500が作動して、警報音を発したり警報燈が点燈し、使用者・管理者に異常の通報ができるようになっている。
【0022】上記したように、エンドスラット15が下降中に障害物と干渉したとき、リンク機構70が作動して感知板40が回動してスイッチ60がオフされ、これによりモータ及びエンドスラット15の更なる下降が停止されて、不慮の事故を未然に防止する。そして、リンク機構70が作動しない場合であったとしても、同様に不慮の事故が未然に防止できるように、配慮がなされており、制御装置90は、閉鎖信号(開放信号)の発令後、基準時間を経過しても、スイッチ60(スイッチ100)が閉成されないときは、モータ20の駆動を停止し、シャッターカーテン12の上昇(下降)を中断するようになっている。
【0023】すなわち、制御装置90が閉鎖信号(開放信号)が発令された場合、その時刻TSが、図11に示される制御装置90内のレジスタRTSにストアされ、この時刻TSと制御装置90の中核たるCPUに内臓されたクロックCLKが刻む時刻T0との差異つまり経過時間TLがレジスタRTLに記憶される。そして、この経過時間TLがレジスタRCTに記憶されている基準時間CTと比較され、経過時間TLが基準時間CTを経過したとき、制御装置90は、シャッターカーテン12が何らかの事情により、予定通り開口部を閉鎖(開放)できなかったものとみなし、不慮の事故の防止やモータ20の過熱を防止するめに、モータ20の駆動ひいてはシャッターカーテン12の移動を中断する。
【0024】しかして、基準時間CTは、シャッター装置10が開口部の上側に設置された後、シャッターカーテン12が16回上昇ないしは下降するまでは、レジスタRCTに予め設定・記憶されている初期値C0が用いられる。その間、第N回目(N=1〜16の整数)の実際のシャッターカーテン12が開口部26の閉鎖若しくは開放に要した時間TN(N=1〜16の整数)がレジスタRC(N)(N=1〜16の整数)にストアされる。第17回目以降は、レジスタRC(M)(M=2〜16)の内容をRC(M−1)(M=2〜116)にシフトさせ、最新のシャッターカーテン12の閉鎖若しくは開放に要した時間がレジスタRCTにストアされる。ついで、レジスタRC(1)からレジスタRC(16)に記憶されている値つまり16個の実測時間のうちから最大のものが選択され、これに補正値(余裕時間)αを加えたものが、基準値としてレジスタRCTにストアされる。要するに、第L回目(Lは17以上の整数)のシャッターカーテン12の移動(閉鎖もしくは開放のための移動)が基準時間ないを経過する前に完了するや否やを判断する場合は、当該基準時間は固定値ではなく、最新16回のシャッターカーテン12の実際の移動(閉鎖もしくは開放のための移動)時間に依拠して算出されている。しかして、この実益は、シャッターカーテン12とガイドレール22との間の滑り具合が経年変化により悪化し、シャッターカーテン12の実際の移動(閉鎖もしくは開放のための移動)時間が製品出荷時に比べて長くなっても、対応できることである。尚、上記した手順は、図12及び図13にフローチャートの形式で示してある。
【0025】尚、図10に示すように、リンク機構70、感知板40及びスイッチ60の代わりに、シャッターカーテン12の全閉位置近傍において、エンドスラット15に固定された取っ手96及びシャッターカーテン12の全閉位置近傍においてこの取っ手96と係合して閉成されるスイッチ300を採用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るシャッター装置の一端部の断面斜視図である。
【図2】図1のA部拡大図である。
【図3】シャッターカーテンの移動の上限を検知するセンサの設置状態を示す図である。
【図4】エンドスラットの変形例を示す部分模式図である。
【図5】図4に示すエンドスラットが直上のスラットに吊下された状態を示す模式図である。
【図6】エンドスラットが下枠に着座入していないときのエンドスラット、直上のスラット及び両者を連結するリンク機構の状態を示す図である。
【図7】エンドスラットが下枠に着座入したときのエンドスラット、直上のスラット及び両者を連結するリンク機構の状態を示す図である。
【図8】図4に示すリンク機構が作動していないときの、エンドスラットと感知板との関係を示す図である。
【図9】図4に示すリンク機構が作動したときの、エンドスラットと感知板との関係を示す図である。
【図10】シャッターカーテンが全閉状態になると同時に閉成されるスイッチの取り付け状態を示す図である。
【図11】制御装置内部の詳細を示す図である。
【図12】基準時間に基づきモータを停止させるための判定手順を示す流れ図である。
【図13】基準時間を設定するための手順を示す流れ図である。
【符号の説明】
10 シャッター装置
12 シャッターカーテン
14 スラット
15 エンドスラット
20 モータ
40 感知板
60 スイッチ(検知手段)
70 リンク機構
72 レバー
90 制御装置
200 スイッチ
300 スイッチ(検知手段)
500 異常警報装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】制御装置、前記制御装置から発令される閉鎖信号及び開放信号に従って夫々一方向及び他方向に駆動されるモータ、前記モータの一方向及び他方向の駆動により開口部を夫々閉鎖及び開放するようにしたシャッターカーテン、前記シャッターカーテンが下降して前記開口部を完全に閉鎖したことを検知したときに作動する閉鎖検知センサ、前記シャッターカーテンが上昇して前記開口部を完全に開放したことを検知したときに作動する開放検知センサ並びに前記閉鎖信号の発令と前記閉鎖検知センサの作動時期との間の時間及び前記開放信号の発令と前記開放検知センサの作動時期との間の時間の最新分を複数個記憶する記憶装置を備え、前記制御装置は、前記記憶装置に記憶された前記各時間に依拠して基準時間を演算し、前記閉鎖信号及び前記開放信号発令後、前記基準時間を経過しても前記閉鎖検知センサ及び前記開放検知センサが夫々作動しないとき、前記モータの駆動を停止するようにした、シャッター装置。
【請求項2】 請求項1において、前記モータの駆動停止の時に、異常警報装置が作動するようにした、シャッター装置。
【請求項1】制御装置、前記制御装置から発令される閉鎖信号及び開放信号に従って夫々一方向及び他方向に駆動されるモータ、前記モータの一方向及び他方向の駆動により開口部を夫々閉鎖及び開放するようにしたシャッターカーテン、前記シャッターカーテンが下降して前記開口部を完全に閉鎖したことを検知したときに作動する閉鎖検知センサ、前記シャッターカーテンが上昇して前記開口部を完全に開放したことを検知したときに作動する開放検知センサ並びに前記閉鎖信号の発令と前記閉鎖検知センサの作動時期との間の時間及び前記開放信号の発令と前記開放検知センサの作動時期との間の時間の最新分を複数個記憶する記憶装置を備え、前記制御装置は、前記記憶装置に記憶された前記各時間に依拠して基準時間を演算し、前記閉鎖信号及び前記開放信号発令後、前記基準時間を経過しても前記閉鎖検知センサ及び前記開放検知センサが夫々作動しないとき、前記モータの駆動を停止するようにした、シャッター装置。
【請求項2】 請求項1において、前記モータの駆動停止の時に、異常警報装置が作動するようにした、シャッター装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図12】
【図10】
【図11】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図12】
【図10】
【図11】
【図13】
【公開番号】特開2001−40965(P2001−40965A)
【公開日】平成13年2月13日(2001.2.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−213503
【出願日】平成11年7月28日(1999.7.28)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成13年2月13日(2001.2.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成11年7月28日(1999.7.28)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】
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