説明

シャッター装置

【課題】きわめて簡単な構造で、シャッター部材の巻胴への巻上トルクをバランスさせる。
【解決手段】バランス装置21は、巻胴14にグリルスクリーン17を巻き取る時に、バランスドラム22からバランスワイヤ23を繰出して、バランスウェイト24の錘部材27A〜27Cを下端側から順にウェイト収容ピット25に着地させ、これにより巻胴14に巻き取られるグリルスクリーン17により減少する巻胴トルクDTに対応して、バランストルクBTを減少させることで、巻胴14のすべての巻取り位置で巻胴トルクDTとバランストルクBTとを略均等にバランスさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャッタースクリーンを巻き取る巻胴に加わる巻胴トルクに対抗して、バランストルクを付与するバランス装置を備えたシャッター装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1において、巻胴にシャッタースクリーンを巻き取る時の巻胴トルクを軽減するバランス装置は、巻胴と同軸上に固定された第1バランスプーリと、巻胴と平行な軸に支持された第2バランスプーリとを1本の引張ワイヤを巻取り、繰出し可能に巻回して連動させ、第2バランスプーリにコイルバネを連結したものである。
【0003】
特許文献2のバランス装置は、上下のスプロケットに巻張されたリターンワイヤの一側に上部スライダを取り付けると共に、他側に下部スライダを取り付け、閉動時にシャッタースクリーンの繰り出しに連動して下降する上部スライダに、ゼンマイワイヤを介して引上げ力を付与するゼンマイユニットを連結したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−121873号公報
【特許文献2】特開2006−257640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、巻胴トルクにコイルバネによるバランストルクを近づけるために、第1バランスプーリと第2バランスプーリのドラム径を変化させた円錐筒形に形成している。このため、第1,第2バランスプーリの引張ワイヤの巻取り位置を変化させなければならず、構造および動作が複雑となり、またメンテナンス回数も多く必要になるおそれがある。
【0006】
特許文献2では、上部スライダと下部スライダとの重量差と、ゼンマイユニットによる駆動力とを利用して、巻胴トルクに対抗するバランストルクを発生させているが、シャッタースクリーンを巻き取るに従って巻き取り径が増加し、かつ重量が減少する巻胴トルクと、ゼンマイユニットによるバランストルクとを精度良く均衡または接近させることは困難である。
本発明は上記問題点を解決して、きわめて簡単な構造で、巻胴トルクとバランストルクとを均衡または接近させる発生させることができるバランス装置を備えたシャッター装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、シャッター部材により巻胴に発生する巻胴トルクに対抗して、バランストルクを付与するバランス装置を備えたシャッター装置であって、
バランス装置は、巻胴に連結されたバランスドラムと、当該バランスドラムに索体を介して連結された長尺状のバランスウェイトと、バランスドラムから索体が繰出された時に前記バランスウェイトを下端側から順に着地させてバランストルクを調整可能なウェイト受部とを具備し、
前記バランスウェイトは、上下方向に折り曲げ自在に連結された複数の錘部材からなり、複数の当該錘部材は、巻胴トルクに均衡または接近するバランストルクが得られるように重量が設定されたものである。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の構成において、
バランスウェイトは、短冊形の錘部材をヒンジを介して連結して構成し、
錘部材に、ウェイト受け部に着地されることにより交互に折り畳まれるガイド部が設けられたものである。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の構成において、
シャッタースクリーンを、金属製のスラットシャッターまたはグリルシャッターとし、
巻胴を正逆方向に回転駆動する自動開閉装置を設けたものである。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の構成において、
自動開閉装置は、中間連動機構により巻胴を正逆方向に回転駆動する直線駆動装置からなり、
前記直線駆動装置の駆動源を、水道水圧により駆動される水道圧シリンダとし、
前記中間連動機構を、前記水道圧シリンダによる直線運動を回転運動に変換する巻掛け伝動機構またはギヤ機構あるいはカム機構とその組み合わせにより構成したものである。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項1または2記載の構成において、巻胴に連動してシャッター部材を開閉する手動式のシャッター開閉操作具を設けたものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、シャッター部材の巻き取りにより巻胴トルクが減少するに従って、バランスウェイトの錘部材を降下させてその下端側から順にウェイト受け部に着地させることによりバランストルクを減少させ、これにより、シャッター部材の巻取り位置により変化する巻胴トルクと、バランストルクとを略均衡させるか接近させることができ、きわめて簡単な構造で、巻胴の巻胴トルクとバランストルクとを均衡または接近させて、わずかな駆動力でシャッター部材を巻胴に巻取り、繰出ししてシャッターを開閉することができる。したがって、金属製などで十分な強度を有する大重量のシャッター部材であっても、手動による開閉操作はもちろん、駆動トルクが小さい小型電動モータや水道水圧により駆動されるシリンダ装置であっても、開閉をスムーズに行うことができ、省エネ効果を発揮することができる。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、バランスウェイトは、短冊形の錘部材をヒンジを介して連結することにより、安価に製造できるとともに、錘部材の重量調整も容易に行うことができる。さらに短冊形の錘部材をウェイト受け部に折り畳んで着地させることで、コンパクトに収容することができ、ウェイト受け部を小型化することができる。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、自動開閉装置により、大重量のシャッター部材を巻上げ、繰出ししてスムーズに開閉することができる。
請求項4記載の発明によれば、水道水圧源により駆動される水道圧シリンダを使用し、その直線運動を、巻掛け伝動機構またはギヤ機構あるいはカム機構とその組み合わせにより回転運動に変えて巻胴を駆動することにより、停電時などでもシャッターの開閉を行うことができる。
【0015】
請求項5記載の発明によれば、手動式開閉具により、小さい駆動トルクでシャッター部材の開閉を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係るシャッター装置の実施例を示す概略斜視図である。
【図2】グリルシャッターの構造を説明する部分正面図である。
【図3】シャッター開閉装置の第1例を示す構成図である。
【図4】グリルシャッターの巻胴トルクとバランスウェイトによるバランストルクの変化を示すトルク分布曲線である。
【図5】(a)〜(k)はそれぞれバランスウェイトを示し、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は折り畳み状態の側面図、(d)は(b)に示すD部拡大図、(e)は(b)に示すE部拡大図、(f)は(b)に示すF部拡大図、(g)は(b)に示すG部拡大図、(h)は(b)に示すH部拡大図、(i)は(b)に示すI部拡大図、(j)は(b)に示すJ部拡大図、(k)は(b)に示すK部拡大図である。
【図6】シャッター開閉装置の第2例を示す構成図である。
【図7】シャッター開閉装置の第3例を示す構成図である。
【図8】シャッター開閉装置の第4例を示す構成図である。
【図9】(a)および(b)は、シャッター開閉操作具を示し、(a)は第1例を示す側面図、(b)は第2例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0017】
以下、本発明に係るシャッター装置の実施例を図面に基づいて説明する。
(実施例)
このシャッター装置はグリルシャッターと呼ばれるものである。図1において、11は通路の開口部に設置されるシャッターフレームで、左右のサイドケース12R,12Lと天井部ケース13とで門形に形成されている。天井部ケース13内には、幅方向にわたる巻胴14が支軸15を介して回転自在に支持されている。この巻胴14には、ばね鋼製の複数の連結材16を介してグリルスクリーン(シャッター部材)17が巻き取り、繰出し可能に巻回されている。
【0018】
この巻胴14には、金属製のグリルスクリーン17により発生する巻胴トルクDT(図4)をバランスさせるためのバランス装置21と、巻胴14を正逆方向に回転駆動可能なシャッター開閉装置(自動開閉装置)31とが設けられている。
【0019】
グリルスクリーン17は、図2に示すように、内軸17cを内装した幅方向のスラットバー17aが上下方向に一定間隔をあけて配置され、幅方向に所定間隔をあけて配置された複数の連結リンク17bにより、スラットバー17aが折り曲げ自在に連結されている。また図示しないが、サイドケース12R,12Lの対向面には、グリルスクリーン17の側縁部を案内するガイド溝が形成されている。
【0020】
なお、グリルスクリーン17に代えて、スラットカーテンのようなスチールやアルミニウムなどの金属製の重量シャッター部材であってもよい。
[バランス装置]
バランス装置21は、左右のサイドケース12R,12L内にそれぞれ配置されるか、または一方のサイドケース12Rまたは12L内に配置されており、図3に示すように、巻胴14の両側で支軸15に固定されたバランスドラム22と、バランスドラム22にグリルスクリーン17の巻取り方向と逆方向に巻取られるバランスワイヤ(索体)23と、バランスワイヤ23の先端部に連結された長尺状のバランスウェイト24と、グリルスクリーン17を巻上げた時に前記バランスウェイト24が下端側から着地されて収容されるウェイト収容ピット(ウェイト受部)25とを具備している。
【0021】
バランスウェイト23は、図5に示すように、ヒンジ26を介して上下方向に折り曲げ自在に連結された複数の短冊形の錘部材27A〜27Cからなり、錘部材27A〜27Cの折り曲げ端部には、一方または他方への折り曲げを規制するガイド部材28A〜28Cが取り付けられ、ウェイト収容ピット25の底部に下端側から順に着地すると、図5(c)に示すように、交互に異なる側に折り曲げられることになる。これらガイド部材28A〜28Cは、円柱形や角柱形、ブロック形に形成されて一方への折り曲げを規制するとともに、合成ゴムなどの弾性材料で成形されることで騒音の発生も防止している。
【0022】
ここで、短冊形の錘部材27A〜27Cを説明したが、長尺状で折畳み自在であり、かつ重量調整が可能なものであればよく、たとえば金属製のリンクチェーンなどを使用することもできる。またこれらの防音対策としては、接触部分に弾性部材を取り付けてもよいし、錘部材全体を弾性被覆材で覆うこともできる。
【0023】
図4に示すように、巻胴14から吊り下げられたグリルスクリーン17の重量、および巻胴14の巻取り径(レバー)から求められる巻胴トルクDTと、着地された以外の錘部材27A〜27Cの重量、およびバランスドラム22の巻取り径(レバー)から求められるバランストルクBTとがほぼ均衡または接近するように、各錘部材27A〜27Cの重量がそれぞれ設定されている。ここでは、厚みを選択して錘部材27A〜27Cの重量を設定することにより、バランストルクBTを決定している。もちろん、錘部材27A〜27Cの形状や大きさにより重量を設定することもできる。ここで、巻胴トルクDTは、連結リンク17bが巻胴14に巻き取られるごとに大きく変動するが、これらの錘部材27A〜27Cでは、その変化に追従することができず、この巻胴トルクDTとバランストルクBTとのトルク差δをシャッター開閉装置31の駆動力で補充している。したがって、トルク差δが大きければ、大きいほどシャッター開閉装置31に大きい駆動力が必要となる。
【0024】
なお、ここで巻胴トルクDTとバランストルクBTとのトルク差δができるだけ接近して均衡するように設定しているが、仮想線で示すように巻胴トルクDTに対してバランストルクBTが常にプラス側に接近するように設定してもよい。この場合には、グリルスクリーン17を常に巻き上げ側に付勢できることから、グリルスクリーン17の滑落を防止して安全性を高めることができる。また錆などによる摩擦力の増大に対処することもできる。
【0025】
[シャッター開閉装置の第1例]
このシャッター開閉装置31は、左右のサイドケース12R,12L内にそれぞれ配置され、駆動力が小さい水道水圧を駆動源とする水道圧シリンダ32R,32Lを使用することで省エネ化を図っている。
【0026】
第1例は、図3に示すように、巻掛け伝動機構33R,33L,34R,34Lを使用して、水道圧シリンダ32R,32Lによる直線運動を巻胴14の回転運動に変換している。
【0027】
すなわち、巻胴14両側の支軸15に、左右の駆動ドラム33R,33Lが取り付けられ、左右の駆動ドラム33R,33Lに繰出しワイヤ34R、巻取りワイヤ34Lが互いに異なる方向に巻回されている。左右のサイドケース12R,12Lには、それぞれ単動形の水道圧シリンダ32R,32Lが下方に向かってピストンロッドを出退するように配置され、右側の水道圧シリンダ32Rのピストンロッドに繰出しワイヤ34Rが連結され、左側の水道圧シリンダ32Lのピストンロッドに巻取りワイヤ34Lが連結されている。図3に示すように、水道水圧源に接続された給水管35から分岐されて水道圧シリンダ32R,32Lの伸展室に接続された分岐管36R,36Lに、開閉用切換弁37R,37Lが介在されている。また開閉用切換弁37R,37Lに接続された排水管38R,38が貯水槽39にそれぞれ接続され、使用後の水道水が散水用などに有効利用されている。
【0028】
開閉用切換弁37A,37Bは、たとえば開閉操作レバー(図示せず)により操作される手動式で、リンクレバー(図示せず)により連動連結されて中立位置(停止)から互いに逆位置(伸展と収縮)に動作するように構成されている。もちろん電磁式であってもよい。
【0029】
(開放動作)
したがって、図1に示す閉鎖状態から開閉レバーを開放操作すると、開閉用切換弁37Rが中立位置Iから収縮位置IIに切換えられるとともに、開閉用切換弁37Lを中立位置Iから伸展位置IIIに切換えられる。これにより、開閉用切換弁37Lから水道水圧が水道圧シリンダ32Lの伸展室に送られて伸展され、水道圧シリンダ32Rの伸展室の水道水が開閉用切換弁37Rを介して貯水槽39に排水される。これにより、巻取りワイヤ34Lおよび駆動ドラム33Lを介して巻胴14が巻取り方向に回転駆動され、巻胴14にグリルスクリーン17が巻き取られる。
【0030】
この巻取り開始時には、グリルスクリーン17の全重量が巻胴14に負荷されて大きい巻胴トルクDTが発生しているが、バランス装置21でも、バランスウェイト24がウェイト収容ピット25に着地しない状態で全重量が負荷されて大きいバランストルクBTが発生され、巻胴トルクDTとバランストルクBTがほぼ均衡されるため、水道圧シリンダ32Lの小さい駆動力であっても、容易に巻胴14を回転駆動してグリルスクリーン17の巻取りを開始することができる。
【0031】
巻胴14にグリルスクリーン17が順次巻き取られその重量が減少されて巻胴トルクDTが減少するが、バランス装置21でも、下部の錘部材27A、27B,27Cから順次ウェイト収容ピット25に着地され、バランスウェイト24の重量が減少されてバランストルクBTが減少され、これにより巻胴トルクDTとバランストルクBTがほぼ均衡される。したがって、水道圧シリンダ32Lの小さい駆動力でも、グリルスクリーン17がスムーズに巻き取られる。
【0032】
巻胴14にグリルスクリーン17がすべて巻き取られて巻胴トルクDTがほとんどなくなると、バランス装置21でも、すべての錘部材27A〜27Cがウェイト収容ピット25に着地収容されてバランスウェイト24の重量がほとんどなくなり、巻胴トルクDTとバランストルクBTがほぼ0となった状態でシャッターが開放される。
【0033】
水道圧シリンダ32Lが伸展限に達すると、開閉用切換弁37R,37Lがそれぞれ中立位置Iに戻される。
(閉鎖動作)
開閉レバーを開放操作してシャッターを閉鎖すると、開閉用切換弁37Rが中立位置Iから伸展位置IIIに切換えられるとともに、開閉用切換弁37Lが中立位置Iから収縮位置IIIに切換えられる。そして開閉用切換弁37Lから水道水圧が水道圧シリンダ32Rの伸展室に送られて伸展され、水道圧シリンダ32Lの伸展室の水道水が開閉用切換弁37Lを介して貯水槽39に排水される。これにより、巻取りワイヤ34Lおよび駆動ドラム33Lを介して巻胴14が繰出し方向に回転駆動され、巻胴14からグリルスクリーン17が繰出される。
【0034】
開放動作と逆の順序でバランス装置21のバランスウェイト24によるバランストルクBTと巻胴トルクDTとがほぼ均衡されて、開放動作と逆の順序でグリルスクリーン17が繰出されて展開されシャッターが閉鎖される。
【0035】
上記実施例によれば、グリルスクリーン17を巻胴14に巻き取って巻胴トルクDTが減少するに従って、折り曲げ自在な複数の錘部材27A〜27Cを下端側から順にウェイト収容ピット25の底部に着地させてバランストルクBTを減少させ、きわめて簡単な構造で巻胴トルクDTにほぼ均衡されるバランストルクBTを得ることができ、これによりわずかな駆動力でグリルスクリーン17を開閉することができる。したがって、十分な強度と重量とを有する金属製のグリルスクリーン17であっても、手動による開閉操作はもちろん、小型の電動モータや油圧モータ、水道水圧により駆動されるシリンダ装置などのように、駆動力の小さい駆動装置でも、シャッターの開閉をスムーズに行うことができ、省エネ効果を発揮することができる。
【0036】
さらに、バランスウェイト24は、短冊形の錘部材27A〜27Cをヒンジ26を介して長尺状で折り曲げ自在に連結することにより、安価に製造できるとともに、錘部材27A〜27Cの重量調整も容易に行うことができ、さらに折り畳むことでウェイト収容ピット25内に収容することができ、ウェイト収容ピット25をコンパクトに形成することができる。
【0037】
さらに、水道水圧により駆動される水道圧シリンダ32R,32Lを使用したシャッター開閉装置31であっても、大重量のグリルスクリーン17を巻上げ、繰出ししてスムーズに開閉することができる。さらにまた、停電時などでも水道圧シリンダ32R,32Lによりシャッターの開閉を行うことができる。
【0038】
[シャッター開閉装置の第2例]
上記第1例では、巻胴14の両側に、それぞれ巻掛け伝動機構を介して水道水圧により駆動される水道圧シリンダ32R,32Lを設けたが、図6に示すように、第2例のシャッター開閉装置(自動開閉装置)40は、巻胴14の支軸15の少なくとも一側部に、ラック・ピニオン式ギヤ機構41を介して巻胴14を回転駆動する複動形の水道圧シリンダ42を設けたものである。水道水圧源からの水道圧を開閉用切換弁43を介して水道圧シリンダ42に供給、排出し、水道圧シリンダ42のピストンロッドに連結されたラック41aを直線移動させピニオン41bを介して巻胴14を回転し、巻胴14にシャッター開閉時の起動力と、巻胴トルクDTとバランストルクBTのトルク差δを越える駆動トルクを付与するものである。巻胴14の支軸15の両側部に、それぞれラック・ピニオン式ギヤ機構41を介して複動形の水道圧シリンダ42を設けることもできる。
【0039】
上記シャッター開閉装置40によれば、複動形の水道圧シリンダ42の採用により、1本の水道圧シリンダですみ、コンパクトに構成することができるほか、第1例と同様の作用効果を奏することができる。
【0040】
[シャッター開閉装置の第3例]
図7に示すように、第3例のシャッター開閉装置(自動開閉装置)50は、巻胴14の支軸15の少なくとも一側部に、回転軸心を90度切換える一組のベベルギヤ51と、直線運動を回転運動に切換える円筒カム機構52により、巻胴14を回転駆動する複動形の水道圧シリンダ53を設けたものである。水道水圧源からの水道圧を開閉用切換弁54を介して水道圧シリンダ53に供給、排出し、水道圧シリンダ53のピニオンに設けられたカムフォロワ52aを移動させることにより、カム溝52bを介して円筒カム体52cを回転させ、ベベルギヤ51を介して巻胴14にシャッター開閉時の起動力と、巻胴トルクDTとバランストルクBTのトルク差を越える駆動トルクを付与する。
【0041】
上記シャッター開閉装置50によれば、第1例および第2例と同様の作用効果を奏することができる。
[シャッター開閉装置の第4例]
図8に示すように、第4例のシャッター開閉装置(自動開閉装置)80は、駆動源に電動モータを使用したものである。すなわち、天井部ケース13内に、減速装置およびブレーキ装置付の開閉モータ81を巻胴14に並設配置し、その出力軸82と支軸15とをチェーンとスプロケットからなる巻掛け伝動機構83により連動連結したものである。
【0042】
上記構成によれば、小型の開閉モータ81により、重量のあるグリルスクリーン17を容易に開閉駆動することができる。
[シャッター開閉操作具]
自動開閉装置であるシャッター開閉装置に替えて、手動操作するためのシャッター開閉操作具を設けたものである。
【0043】
すなわち、図9(a)に示すように、第1例のシャッター開閉操作具60は、巻胴14の一側部の支軸15と平行な駆動軸61を、サイドケース12Rまたは12Lに回転自在に支持させ、支軸15と駆動軸61とをスプロケットとチェーンからなる巻掛け伝動機構63を介して連動連結し、サイドケース12Rまたは12Lから突出する駆動軸61の先端部に開閉ハンドル62を取り付けて構成されている。したがって、開閉ハンドル62により駆動軸61を回転駆動し、巻掛け伝動機構63を介して巻胴14を回転駆動し、バランス装置21の作用により小さい駆動力でグリルスクリーン17をスムーズに巻取り、繰出しして開閉することができる。
【0044】
また図8(b)に示すように、第2例のシャッター開閉操作具70は、支軸15に直接、またはスプロケットとチェーンからなる巻掛け伝動機構74を介して連結された中間軸71に、開閉用シーブ72を固定し、この開閉用シーブ72に巻掛けられた操作ロープ73を、天井部ケース13の開口部から下方に下ろしたものである。この操作ロープ73を正逆方向に引き出すことにより、開閉用シーブ72を介して巻胴14を回転駆動し、バランス装置21の作用により小さい駆動力でグリルスクリーン17をスムーズに巻取り、繰出しして開閉することができる。
【符号の説明】
【0045】
DT 巻胴トルク
BT バランストルク
11 シャッターフレーム
14 巻胴
15 支軸
17 グリルスクリーン(シャッター部材)
21 バランス装置
22 バランスドラム
23 バランスワイヤ(索体)
24 バランスウェイト
25 ウェイト収容ピット(ウェイト受け部)
26 ヒンジ
27A〜27C 錘部材
28A〜28C ガイド部材
31 シャッター開閉装置(自動開閉装置)
32R,32L 水道圧シリンダ
33R,33L 駆動ドラム
34R 繰出しワイヤ
34L 巻取りワイヤ
37R,37L 開閉用切換弁
39 貯水槽
40 シャッター開閉装置
41 ラック・ピニオン式ギヤ機構
42 水道圧シリンダ
43 開閉用切換弁
50 シャッター開閉装置
51 ベベルギヤ
52 円筒カム機構
53 水道圧シリンダ
54 開閉用切換弁
60 シャッター開閉操作具
70 シャッター開閉操作具
80 シャッター開閉装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャッター部材により巻胴に発生する巻胴トルクに対抗して、バランストルクを付与するバランス装置を備えたシャッター装置であって、
バランス装置は、巻胴に連結されたバランスドラムと、当該バランスドラムに索体を介して連結された長尺状のバランスウェイトと、バランスドラムから索体が繰出された時に前記バランスウェイトを下端側から順に着地させてバランストルクを調整可能なウェイト受部とを具備し、
前記バランスウェイトは、上下方向に折り曲げ自在に連結された複数の錘部材からなり、複数の当該錘部材は、巻胴トルクに均衡または接近するバランストルクが得られるように重量が設定された
ことを特徴とするシャッター装置。
【請求項2】
バランスウェイトは、短冊形の錘部材をヒンジを介して連結して構成し、
錘部材に、ウェイト受け部に着地されることにより交互に折り畳まれるガイド部が設けられた
ことを特徴とする請求項1記載のシャッター装置。
【請求項3】
シャッター部材を、金属製のスラットシャッターまたはグリルシャッターとし、
巻胴を正逆方向に回転駆動する自動開閉装置を設けた
ことを特徴とする請求項1または2記載のシャッター装置。
【請求項4】
自動開閉装置は、中間連動機構により巻胴を正逆方向に回転駆動する直線駆動装置からなり、
前記直線駆動装置の駆動源を、水道水圧により駆動される水道圧シリンダとし、
前記中間連動機構を、前記水道圧シリンダによる直線運動を回転運動に変換する巻掛け伝動機構またはギヤ機構あるいはカム機構とその組み合わせにより構成した
ことを特徴とする請求項3記載のシャッター装置。
【請求項5】
巻胴に連動してシャッター部材を開閉する手動式のシャッター開閉操作具を設けた
ことを特徴とする請求項1または2記載のシャッター装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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