シャッタ開閉装置、情報再生装置
カートリッジの挿入により自動的にシャッタの開閉を行うと共に、異音やガタツキ等、カートリッジの装填・排出に影響を与えないシャッタ開閉機構を提供する。
シャッタ開閉機構は、カートリッジ10内で駆動してカートリッジ10に設けられたシャッタ15を開閉させる駆動体13の一部に対しカートリッジ10の開口部11にて係合する従動体18と、従動体18の移動を規制し、従動体18と駆動体13の一部との係合が解放されるときに従動体13とカートリッジ10の開口部11との接触を回避するように従動体13の移動を規制するカム機構7、7aと、を含んで構成されている。
シャッタ開閉機構は、カートリッジ10内で駆動してカートリッジ10に設けられたシャッタ15を開閉させる駆動体13の一部に対しカートリッジ10の開口部11にて係合する従動体18と、従動体18の移動を規制し、従動体18と駆動体13の一部との係合が解放されるときに従動体13とカートリッジ10の開口部11との接触を回避するように従動体13の移動を規制するカム機構7、7aと、を含んで構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、例えば光ディスク等の情報記録媒体を収納するためのカートリッジ等に備えられ、当該光ディスク等を保護するシャッタを開閉するためのシャッタ開閉機構を備えた記録媒体駆動装置および情報再生装置の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、上記情報記録媒体を収容しているカートリッジのシャッタ開閉機構は存在する。この従来のシャッタ開閉機構につき、図1乃至図4を用いて具体的に説明する。
【0003】
このようなシャッタ開閉機構は、通常、上記情報記録媒体に対する情報の記録再生を行う図1に示す如き情報再生装置30に対する上記カートリッジ35の装填及び排出によって自動的にシャッタが開閉する機構とされている。
【0004】
このとき、当該情報再生装置30における筐体31の前面には、当該カートリッジ35がその装填・排出時に通過するカートリッジ挿入口31aが形成されており、更に筐体31内の一方の側壁には、上記カートリッジ35の情報再生装置30に対する装填・排出時における当該情報再生装置30に対する相対運動によってカートリッジ35内に備えられたシャッタを開閉するためのシャッタオープナ32が形成されている。そして、カートリッジ35は、例えば装填(ローディング)時、上記シャッタオープナ32に対して相対的に移動することによりカートリッジ35内の図示しないホイールを回転させることでシャッタを開く。
【0005】
このとき、シャッタオープナ32は、図2に示すように、カートリッジ35の移動方向に、ラック33とそのラック33の両端部に凸部34、34を備える。そして、この凸部34は、図3に示すように、図示しないバネにより常時カートリッジ35のハウジング36側に付勢されている。
【0006】
次に、カートリッジ35が情報再生装置30に装填される場合の各部の動作につき、図3を用いて説明する。なお、図3は、左から右にカートリッジ35が装填されていく状態を示す断面平面図であり、装填されるカートリッジ35は図3中下から上に向かう方向に装填される。そして、このカートリッジ35の装填時の移動によるシャッタオープナ32との相対運動により、カートリッジ35内の図示しないシャッタが開けられる。
【0007】
図3(a)乃至(d)に示すように、カートリッジ35は、装填時、まずシャッタオープナ32の一方の凸部34とホイール37の外周に形成された二つの凹部38の一方とが係合し、ホイール37が図3中反時計方向に回転する(図3(a))。
【0008】
次に、カートリッジ35が更に移動することによるホイール37の回転の継続に伴ってシャッタオープナ32のラック33とホイール37の外周部の凹部38間に形成されているラック39とが噛み合いながら更に回転し(図3(b)及び(c))、これによりシャッタオープナ32の他方の凸部34がホイール37の他方の凹部38と係合し、シャッタオープナ32の他方の凸部34がカートリッジ35の中央まで移動する(図3(d))ことでシャッタの開口動作が完了する。なお、カートリッジ35の排出(アンロード)時は、図3(a)乃至(d)とは逆の動作が実行されシャッタの閉口動作が実行される。
【0009】
このように、カートリッジ35のシャッタが、排出時には閉じ、装填時には開くようなシャッタ開閉機構を備える情報再生装置が、以下の各特許文献に開示されている(特許文献1及び2)。
【0010】
【特許文献1】特開2003−109282号公報
【特許文献2】特開2003−115157号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、このような従来の手段等では、カートリッジの装填・排出の際、図4(a)又は(b)に示すように、シャッタオープナ32の凸部34がカートリッジ35のハウジング36と衝突することになってしまい、凸部34を跳ね上げるため、異音が生じやすいという問題があった。
【0012】
さらに、カートリッジ35がガタなどにより大きく位置がずれた場合、当該凸部34とカートリッジ35のハウジング36が衝突することでカートリッジ35の移動が不可能となって装填・排出のための機構全体がロックする可能性があるという問題もあった。
【0013】
一方、カートリッジ35の装填、排出時においては、当該凸部34が常にカートリッジ35の側壁を付勢しているため、装填・排出動作が安定しないなどの問題もあった。
【0014】
そこで、本願は上記各問題点の解決を課題の一例として為されたもので、カートリッジ35の挿入により自動的にシャッタの開閉を行うと共に、異音の発生やガタツキ等、カートリッジ35の装填・排出に影響を与えないシャッタ開閉装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、請求項1に記載のシャッタ開閉装置は、カートリッジ(10)内で駆動して前記カートリッジに設けられたシャッタ(15)を開閉させる駆動体(13)の一部に対し前記カートリッジの開口部(11)にて係合する従動体(18)と、前記従動体の移動を規制し、前記従動体と前記駆動体の一部との係合が解放されるときに前記従動体と前記カートリッジの開口部との接触を回避するように前記従動体の移動を規制するカム機構(7、7a)と、を含んでなることを特徴とする。
【0016】
また、請求項2に記載のシャッタ開閉装置は、カートリッジ内で駆動して前記カートリッジに設けられたシャッタを開閉させる駆動体の一部に対し前記カートリッジの開口部にて係合する従動体と、前記従動体を前記カートリッジの側に付勢する付勢手段と、前記従動体の移動を規制し、前記従動体と前記駆動体の一部とが係合していない位置において、前記従動体と前記カートリッジとの間に位置されてなるカム機構と、を含んでなることを特徴とする。
【0017】
なお、本発明においては、シャッタ開閉装置は前記従動体を前記カートリッジの側に付勢する付勢手段(17)をさらに備えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】従来のカートリッジの概要構成図である。
【図2】従来のシャッタオープナの概要構成図である。
【図3】従来のカートリッジのシャッタ開閉機構の動作図である。
【図4】従来のカートリッジのシャッタ開閉機構の動作拡大図である。
【図5】本実施形態に係るカートリッジの概要構成例を示す図である。
【図6】本実施形態に係る情報再生装置(本願の情報再生装置の一例)の概要構成例を示す図である。
【図7】カートリッジのシャッタ開閉機構の動作例を示す図である。
【図8】従動ピンの他の実施形態を示す図である。
【図9】図8に示す従動体を従来例に適用した場合の一例である。
【図10】図8に示す従動体を従来例に適用した場合の一例である。
【図11】図6に示す板バネにアームを適用した場合の従動ピンとカートリッジとの関係を示す一例である。
【符号の説明】
【0019】
2 情報再生装置
7、7a カム
10 カートリッジ
11 開口部
13 ホイール
15 シャッタ
17 板バネ
18 従動ピン
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本願の最良の実施形態について、図5乃至図10を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、光ディスクプレーヤ等の情報再生装置に対して本願を適用した場合の実施形態である。なお、本発明において「情報再生装置」を一例として説明するが、本発明は後述する本発明のシャッタ開閉装置を含むものであればこれに限定されない。すなわち、本発明は情報を再生する情報再生装置に限られず、情報の記録を行う情報記録装置、さらにはこれら再生機能と記録機能とを備えた情報記録再生装置に対しても適用が可能なものである。
【0021】
なお、当該情報再生装置とは、具体的には、図5に示す後述のカートリッジ10に収容されている光ディスクをターンテーブル等の回転駆動部により回転駆動させつつ、光ディスクに対して光ピックアップを半径方向に移動させながら映像や音声等の情報の再生を行う装置である。なお、本発明でいう「情報再生装置」とは、このような情報の再生機能に加え、情報を光ディスクに対して記録する記録機能を備えた情報記録再生装置を含むものとする。
【0022】
また、この場合の光ディスクとして具体的には、CD−ROM(Compact Disc-Read Only Memory)、CD−DA(CD-Digital Audio)、CD−R(CD-Recordable)、CD−RW(CD-Re Recordable)、Video−CD、CD−G(CD-Extended Graphics)、DVD−ROM(Digital Versatile Disc-ROM)、DVD−Video、DVD−Audio、DVD−R、DVD−RW、DVD−RAM、Blu−ray Disc等を含むものである。
【0023】
先ず、図5を参照して、本願に係るカートリッジ自体の構成について説明する。
【0024】
図5に示すように、本願に係るカートリッジ10は、側部に後述する開口部を有するカートリッジ本体10aを有する。このカートリッジ本体10aは、図示しない上部カートリッジ本体と、下部カートリッジ本体10bと、を備える。
【0025】
そして、カートリッジ本体10aの内部には、当該内部で回転可能にホイール13が備えられ、そのホイール13の周方向の一部がカートリッジ本体10aの開口部から露出して形成される。なお、このホイール13が本発明の駆動体として例示される。また、下部カートリッジ本体10bには、カートリッジ10自体が装填・排出される上記情報再生装置のピックアップ部が光ディスク12にアクセスするために半径方向に所定の開口10cを備える。また、ホイール13には連結部材14を介してシャッタ15が備えられている。さらに、このホイール13には、上記情報再生装置のピックアップ部が光ディスク12にアクセスするために半径方向に所定の開口13dを備える。このホイール13の上部には、光ディスク12が装填されている。また、シャッタ15は、ホイール13の回転に連動し、連結部材14を介して開閉する。また、ホイール13には周方向の一部に、後述するラック16と噛合うラック13bが形成されている。また、ラック13bの両端部近傍には後述する従動ピンと係合するための凹部13c、13cが形成されている。さらに、この従動ピンが本発明の「従動体」として、凹部13cが本発明の「駆動体の一部」として例示される。
【0026】
すなわち、本実施例においては、上記のラック、従動ピンと凹部などが、情報再生装置とカートリッジとの係合関係を規定しているが、同様の機能を奏しえる限りにおいてこれに限られないことは言うまでもない。
【0027】
このカートリッジ10は、情報再生装置の後述する開口からトレー5によって装填・排出される。これにより、カートリッジ10は情報再生装置の後述する筐体の内部に備えられているラックや従動ピン等に対して相対運動する。
【0028】
次に、本願に係る上記情報再生装置について、図6乃至図10を用いて説明する。
【0029】
本願に係る情報再生装置の概要構成例である図6に示すように、情報再生装置2は、偏平な直方体状の筐体2aを備えている。この筐体2aの前面には、光ディスクを内包するカートリッジ10がその装填・排出時に通過する横長の開口4が形成されている。
【0030】
一方、筐体2aの内部には、この開口4から引き出し可能又は筐体2aの内部に引き込み可能にトレー5が備えられている。そして、このトレー5は、カートリッジ10を載置できる位置まで引き出されると共に光ピックアップ部により記録又は再生を行う記録又は再生位置まで引き込まれる。
【0031】
また、図示しないが、このトレー5には駆動ユニットが接続され、更に、当該駆動ユニットにはモータ等の駆動部が取り付けられている。この駆動ユニットや駆動部は筐体2aの内部に収容されている。
【0032】
そして、トレー5は、この駆動ユニット等が駆動することにより筐体2aの内部に引き込まれ、又は筐体2aの外部に引き出される。
【0033】
また、トレー5は、そのほぼ中央部にカートリッジ10を載置するための凹部を有すると共に、トレー5には光ディスクから情報を読出し、又は光ディスクへ情報を書込むための開口を有する。
【0034】
更に、トレー5の一方の側部には従動ピン18を案内するためのカム7、7aを備えている。このカム7、7aは、トレー5の凹部にカートリッジ10を載置した際に、カートリッジ本体10aに形成されている開口部11の両端部近傍に位置するように配置されている。また、カム7、7aの先端は、開口部11の内部に臨むように配置されている。これにより、カートリッジ10の装填・排出時において従動ピン18がカートリッジ本体10aに接触するのを防止できる。
【0035】
また、開口部11の近傍に相当する範囲のカム7、7aは、互いに対向する面が開口部11側に傾斜するように斜面が形成されている。この斜面により、カム7、7aは、従動ピン18をカートリッジ10に近接させ、又はカートリッジ10から離隔させるように機能する。これに加えて、カートリッジ10の装填・排出時における従動ピン18の移動をスムース且つ滑らかにするため、従動ピン18の移動によって発生する異音等を低減できる。
【0036】
また、筐体2a内部の一方の側壁には、トレー5の移動方向に、カートリッジ10のシャッタ15を開閉するための上記従動ピン18等の部材を支持するための支持体27が固定に取り付けられている。この支持体27は、ラック16と、当該ラック16の両端部に板バネ17、17を介して設けられる上記従動ピン18、18と、を備えている。
【0037】
更に各従動ピン18は、カートリッジ10に対する当該従動ピン18の相対運動によってカム7、7aに摺動する軸18aと、当該軸18aの一端に形成されていると共に後述するホイール13の凹部13cと係合するための凸部18bと、を備えている。一方、板バネ17は、各従動ピン18がカートリッジ10側に付勢されるように取り付けられる。更に、各凸部18bは、カートリッジ10に対する相対運動によって移動する各従動ピン18の軸18aの中心位置が常にカム7、7aの先端位置よりもカートリッジ10の開口部11から遠ざかる方向に位置するように設計されている。これらにより、カートリッジ10に対する相対運動によって当該相対運動の方向と略垂直な方向に移動する各従動ピン18をスムースに移動させることができる。
【0038】
なお、筐体2aの内部には、カートリッジ10に収納されている光ディスク12に対して記録或いは再生を行うための様々な機器が収納されている。
【0039】
また、図5及び図6において、ホイール13は本願の駆動体の一例であり、情報再生装置は本願のカートリッジが装填される装置の一例である。更に従動ピン18は本願の従動体の一例であり、カム7、7aは本願のカム機構の一例である。更にまた、板バネ17は本願の付勢手段の一例である。
【0040】
次に、カートリッジ10のシャッタ15を開閉するシャッタ開閉機構について、図7を用いて説明する。また、図5及び図6に対応する部材等については同じ符号を付する。
【0041】
先ず、図7(a)に示すように、カートリッジ10がトレー5に載置され、トレー5が図示しない駆動部等によって情報再生装置2の内部に収納され始めると、一方(情報再生装置2の外部に近い方)の従動ピン18の軸18aは、カム7aに沿って摺動しつつ移動し、カートリッジ本体10aの開口部11の一方の端部近傍に臨む。更に、カム7aによって案内された一方の従動ピン18の凸部18bがホイール13の開口部11から露出した一方の凹部13cと係合してカートリッジ10に対して移動し、ホイール13を回転させる。
【0042】
この後、更にトレー5が情報再生装置2の内部の奥に収納されることにより、図7(b)に示すように、一方の従動ピン18の軸18aが他のカム7に案内され、当該従動ピン18の凸部18bがカートリッジ本体10aの開口部11から待避しつつ、ホイール13のラック13bと情報再生装置2側に備えられているラック16とが噛み合い、ホイール13が更に回転する。
【0043】
次に、図7(c)に示すように、他方の従動ピン18の軸18aがカム7aによりカートリッジ本体10aの開口部11に案内される。
【0044】
そして更に、トレー5が情報再生装置2の内部の奥に収納されることにより、図7(d)に示すように、他方の従動ピン18の凸部18bがホイール13の露出した他方の凹部13cと係合してホイール13が所定位置まで回転して止まる。このホイール13の回転にともなって連結部材14を介してシャッタ15が開口する。その際、他方の従動ピン18の凸部18bがホイール13の凹部13cに係合しているため、ホイール13が何らかの要因で逆回転するのを防止している。そのため、シャッタ15の開口も全開状態で安定する。
【0045】
一方、カートリッジ10の排出時においてトレー5が引き出され始めると、図7(d)に示すように、他方の従動ピン18の凸部18bがホイール13の露出した他方の凹部13cと係合してホイール13を逆回転させる。
【0046】
その後、更にトレー5が外部に引き出されることにより、図7(c)に示すように、他方の従動ピン18の軸18aが一方のカム7aに案内されてカートリッジ本体10aの開口部11から待避しつつ、ホイール13のラック13bと情報再生装置2に備えられているラック16とが噛み合いホイール13を回転する。
【0047】
次に、更にトレー5が外部に引き出されることにより、図7(b)に示すように、一方の従動ピン18の軸18aは他方のカム7に沿って摺動しつつ移動し、カートリッジ本体10aの開口部11の他方の端部近傍に臨む。
【0048】
その後更にトレー5が外部に引き出されることにより、図7(a)に示すように、一方の従動ピン18の凸部18bがホイール13の露出した一方の凹部13cと係合して更にホイール13が所定位置まで逆回転して止まる。このホイール13の逆回転にともなって連結部材14を介してシャッタ15が閉口する。
【0049】
更に、トレー5が外部の引き出し位置まで完全に引き出されることにより、一方の従動ピン18の軸18aが一方のカム7aに案内されてカートリッジ本体10aの開口部11から待避する。
【0050】
ここで、図8に示すように、従動ピン18の軸18aは、外周に回転自在の回転体20(例えば、ローラ等)を備えるようにしてもよい。このようにすれば、筐体2aに対するカートリッジ10の相対運動によって従動ピン18の軸18aがカム7、7aを移動する際に、回転体20が転がりながらカム7、7aに摺動するため摩擦抵抗が低減されスムースな動作が可能となる。
【0051】
なお、ここで、上述してきた従来技術において同様な改善を行うならば、図9に示すように、シャッタオープナ22の凸部23の先端を軸24と回転体25で構成することが考えられる。しかしながら、このように構成すると、図10に示すように、カートリッジ10のホイール13に形成された凹部13cとシャッタオープナ22の凸部23とが嵌合した際、凸部23が凹部13cから抜けやすくなりホイール13を必要量だけ回転させられない可能性がある。また、カートリッジの装填時は、ピックアップ部が光ディスクの表面に近づくため、シャッタ15は必ず開口している必要がある。そのため、ホイール13の回転が不完全だとシャッタ15が完全に開口しないため、最悪の場合、ピックアップ部がシャッタ15に衝突し破損される場合が考えられる。よって、従来の技術において回転体25を適用することはできないと考えられる。
【0052】
また、図6に示した従動ピン18をカートリッジ10側に付勢する板バネ17を省いた場合について図11を用いて説明する。
【0053】
図11は図6に示す板バネにアームを適用した場合の従動ピンとカートリッジとの関係を示す一例である。なお、図11において、図6と共通する部分には同一符号を付し、それらの説明を省略する。
【0054】
図11に示すように、トレー5の一方の側部には従動ピン18を案内するためのカム溝41が形成されている。このカム溝41は、カートリッジ10に対する相対運動によってカム溝41に沿って移動する従動ピン18がカートリッジ本体10aに形成されている開口部11に臨むとともに当該開口部11から離れる際に、当該開口部11やカートリッジ本体10aとの接触を回避するように形成される。また、カム溝41は、カートリッジ本体10aの開口部11の両端部近傍に曲部41a、41aが形成されている。カム溝41は、この曲部41aにより、従動ピン18をカートリッジ10に近接させ、又はカートリッジ10から離隔させるように機能する。これにより、カートリッジ10の装填・排出時において従動ピン18がカートリッジ本体10aに接触するのを防止できる。
【0055】
また、図示しない筐体2a内部の一方の側壁に取り付けられている支持体27のラック16の両端部には回動軸42を介してアーム43が取り付けられている。また、アーム43の先端には従動ピン18が取り付けられる。
【0056】
これらにより、カートリッジ10に対する相対運動によって、従動ピン18の軸18aがカム溝41に沿って摺動し、従動ピン18がカム溝41によって規制されるので、従動ピン18をスムースに移動させることができる。
【0057】
以上のように、従動ピン18は必ずしもカートリッジ10側に付勢されている必要はなく、例えば、上述したように従動ピン18を図6に示す板ばね17に変えて、回動軸42によって回動するアーム43を介してラック16に取り付け、当該従動ピン18がトレー5に形成したカム溝41に沿って移動するようにしてもよい。
【0058】
以上説明したように、上記実施形態によれば、本願に係るシャッタ開閉機構としてのシャッタ開閉装置は、カートリッジ10内で駆動してカートリッジ10に設けられたシャッタ15を開閉させるホイール13の一部に対しカートリッジ10の開口部11にて係合する従動ピン18と、従動ピン18の移動を規制し、従動ピン18とホイール13の一部との係合が解放されるときに従動ピン18とカートリッジ10の開口部11との接触を回避するように従動ピンの移動を規制するカム7、7aと、を含んで構成されている。また、言い換えれば、カートリッジ10内で駆動してカートリッジ10に設けられたシャッタ15を開閉させるホイール13の一部に対しカートリッジ10の開口部11にて係合する従動ピン18と、従動ピン18の移動を規制し、従動ピン18とホイール13の一部とが係合していない位置において、従動ピン18とカートリッジ10との間に位置されてなるカム7、7aと、を含んで構成されている。
【0059】
よって、カートリッジ10に従動ピン18が接触することがなくなり、異音の発生を防止できる。また、従動ピン18は、カム7、7aによって案内されるため、カートリッジ10と接触することなく、装填・排出時の動作が安定する。また、また、従動ピン18は、カートリッジ10と接触しないため、カートリッジ10がガタなどにより大きく位置がずれた場合でも装置がロックすることがない。
【0060】
更に、具体的には、カム7、7aは、傾斜部を有し、従動ピン18とホイール13の一部との係合が解放されるときに、従動ピン18は傾斜部に沿ってホイールの一部から遠ざかる方向に移動するよう規制される。よって、スムース且つ確実に従動ピン18をカートリッジ10から退避させることができる。
【0061】
また、従動ピン18は、相対運動によってカム7、7aに摺動する軸18aと、軸18aの一端に形成され、前記ホイール13の一部と係合するための凸部18bと、を備えている。また、軸18aは、軸18aの外周に回転自在のローラ20を備えるようにしてもよい。このようにすれば、情報再生装置2に対するカートリッジ10の相対運動によって移動する従動ピン18の軸18aがカム7、7aを摺動する際の音を低減できる。また、従動ピン18の軸18aにローラ20(回転体)を用いることにより、カム7、7aを摺動する際の摩擦抵抗を少なくできるため、従動ピン18の軸18aがカム7、7aを摺動する動作音等を減少できる。
【0062】
また、従動ピン18の軸18aの中心は、カム7、7aの先端の位置よりもカートリッジ10の開口部11から遠ざかる方向に位置していることが好ましい。このようにすれば、従動ピン18がカートリッジ10に直接接触しないため、スムースに従動ピン18が移動する。
【0063】
また、カム7、7aは、カートリッジ10の開口部11の両端近傍に形成され、且つ従動ピン18とホイール13の一部との係合を解放するときに当該一部から遠ざかる方向に従動ピン18を案内するための斜面が形成されていることが好ましい。このようにすれば、スムース且つ確実に従動ピン18をカートリッジ10から退避させることができる。
【0064】
また、上記シャッタ開閉装置と、カートリッジ10内に収納された光ディスク12の情報の再生を行う再生手段と、を備えていてもよい。このようにすれば、カートリッジ10のシャッタ15を自動的に開閉して光ディスク12を再生することが可能となる。
【0065】
なお、上記実施形態におけるシャッタ開閉機構は、カートリッジ10を情報再生装置2の筐体2a内の記録再生位置まで装填し、又はカートリッジ10をトレー5上に載置するための引き出し位置まで排出する情報再生装置2に適用しているが、いわゆるスロットイン式の情報再生装置に適用することもできる。
【技術分野】
【0001】
本願は、例えば光ディスク等の情報記録媒体を収納するためのカートリッジ等に備えられ、当該光ディスク等を保護するシャッタを開閉するためのシャッタ開閉機構を備えた記録媒体駆動装置および情報再生装置の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、上記情報記録媒体を収容しているカートリッジのシャッタ開閉機構は存在する。この従来のシャッタ開閉機構につき、図1乃至図4を用いて具体的に説明する。
【0003】
このようなシャッタ開閉機構は、通常、上記情報記録媒体に対する情報の記録再生を行う図1に示す如き情報再生装置30に対する上記カートリッジ35の装填及び排出によって自動的にシャッタが開閉する機構とされている。
【0004】
このとき、当該情報再生装置30における筐体31の前面には、当該カートリッジ35がその装填・排出時に通過するカートリッジ挿入口31aが形成されており、更に筐体31内の一方の側壁には、上記カートリッジ35の情報再生装置30に対する装填・排出時における当該情報再生装置30に対する相対運動によってカートリッジ35内に備えられたシャッタを開閉するためのシャッタオープナ32が形成されている。そして、カートリッジ35は、例えば装填(ローディング)時、上記シャッタオープナ32に対して相対的に移動することによりカートリッジ35内の図示しないホイールを回転させることでシャッタを開く。
【0005】
このとき、シャッタオープナ32は、図2に示すように、カートリッジ35の移動方向に、ラック33とそのラック33の両端部に凸部34、34を備える。そして、この凸部34は、図3に示すように、図示しないバネにより常時カートリッジ35のハウジング36側に付勢されている。
【0006】
次に、カートリッジ35が情報再生装置30に装填される場合の各部の動作につき、図3を用いて説明する。なお、図3は、左から右にカートリッジ35が装填されていく状態を示す断面平面図であり、装填されるカートリッジ35は図3中下から上に向かう方向に装填される。そして、このカートリッジ35の装填時の移動によるシャッタオープナ32との相対運動により、カートリッジ35内の図示しないシャッタが開けられる。
【0007】
図3(a)乃至(d)に示すように、カートリッジ35は、装填時、まずシャッタオープナ32の一方の凸部34とホイール37の外周に形成された二つの凹部38の一方とが係合し、ホイール37が図3中反時計方向に回転する(図3(a))。
【0008】
次に、カートリッジ35が更に移動することによるホイール37の回転の継続に伴ってシャッタオープナ32のラック33とホイール37の外周部の凹部38間に形成されているラック39とが噛み合いながら更に回転し(図3(b)及び(c))、これによりシャッタオープナ32の他方の凸部34がホイール37の他方の凹部38と係合し、シャッタオープナ32の他方の凸部34がカートリッジ35の中央まで移動する(図3(d))ことでシャッタの開口動作が完了する。なお、カートリッジ35の排出(アンロード)時は、図3(a)乃至(d)とは逆の動作が実行されシャッタの閉口動作が実行される。
【0009】
このように、カートリッジ35のシャッタが、排出時には閉じ、装填時には開くようなシャッタ開閉機構を備える情報再生装置が、以下の各特許文献に開示されている(特許文献1及び2)。
【0010】
【特許文献1】特開2003−109282号公報
【特許文献2】特開2003−115157号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、このような従来の手段等では、カートリッジの装填・排出の際、図4(a)又は(b)に示すように、シャッタオープナ32の凸部34がカートリッジ35のハウジング36と衝突することになってしまい、凸部34を跳ね上げるため、異音が生じやすいという問題があった。
【0012】
さらに、カートリッジ35がガタなどにより大きく位置がずれた場合、当該凸部34とカートリッジ35のハウジング36が衝突することでカートリッジ35の移動が不可能となって装填・排出のための機構全体がロックする可能性があるという問題もあった。
【0013】
一方、カートリッジ35の装填、排出時においては、当該凸部34が常にカートリッジ35の側壁を付勢しているため、装填・排出動作が安定しないなどの問題もあった。
【0014】
そこで、本願は上記各問題点の解決を課題の一例として為されたもので、カートリッジ35の挿入により自動的にシャッタの開閉を行うと共に、異音の発生やガタツキ等、カートリッジ35の装填・排出に影響を与えないシャッタ開閉装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、請求項1に記載のシャッタ開閉装置は、カートリッジ(10)内で駆動して前記カートリッジに設けられたシャッタ(15)を開閉させる駆動体(13)の一部に対し前記カートリッジの開口部(11)にて係合する従動体(18)と、前記従動体の移動を規制し、前記従動体と前記駆動体の一部との係合が解放されるときに前記従動体と前記カートリッジの開口部との接触を回避するように前記従動体の移動を規制するカム機構(7、7a)と、を含んでなることを特徴とする。
【0016】
また、請求項2に記載のシャッタ開閉装置は、カートリッジ内で駆動して前記カートリッジに設けられたシャッタを開閉させる駆動体の一部に対し前記カートリッジの開口部にて係合する従動体と、前記従動体を前記カートリッジの側に付勢する付勢手段と、前記従動体の移動を規制し、前記従動体と前記駆動体の一部とが係合していない位置において、前記従動体と前記カートリッジとの間に位置されてなるカム機構と、を含んでなることを特徴とする。
【0017】
なお、本発明においては、シャッタ開閉装置は前記従動体を前記カートリッジの側に付勢する付勢手段(17)をさらに備えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】従来のカートリッジの概要構成図である。
【図2】従来のシャッタオープナの概要構成図である。
【図3】従来のカートリッジのシャッタ開閉機構の動作図である。
【図4】従来のカートリッジのシャッタ開閉機構の動作拡大図である。
【図5】本実施形態に係るカートリッジの概要構成例を示す図である。
【図6】本実施形態に係る情報再生装置(本願の情報再生装置の一例)の概要構成例を示す図である。
【図7】カートリッジのシャッタ開閉機構の動作例を示す図である。
【図8】従動ピンの他の実施形態を示す図である。
【図9】図8に示す従動体を従来例に適用した場合の一例である。
【図10】図8に示す従動体を従来例に適用した場合の一例である。
【図11】図6に示す板バネにアームを適用した場合の従動ピンとカートリッジとの関係を示す一例である。
【符号の説明】
【0019】
2 情報再生装置
7、7a カム
10 カートリッジ
11 開口部
13 ホイール
15 シャッタ
17 板バネ
18 従動ピン
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本願の最良の実施形態について、図5乃至図10を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、光ディスクプレーヤ等の情報再生装置に対して本願を適用した場合の実施形態である。なお、本発明において「情報再生装置」を一例として説明するが、本発明は後述する本発明のシャッタ開閉装置を含むものであればこれに限定されない。すなわち、本発明は情報を再生する情報再生装置に限られず、情報の記録を行う情報記録装置、さらにはこれら再生機能と記録機能とを備えた情報記録再生装置に対しても適用が可能なものである。
【0021】
なお、当該情報再生装置とは、具体的には、図5に示す後述のカートリッジ10に収容されている光ディスクをターンテーブル等の回転駆動部により回転駆動させつつ、光ディスクに対して光ピックアップを半径方向に移動させながら映像や音声等の情報の再生を行う装置である。なお、本発明でいう「情報再生装置」とは、このような情報の再生機能に加え、情報を光ディスクに対して記録する記録機能を備えた情報記録再生装置を含むものとする。
【0022】
また、この場合の光ディスクとして具体的には、CD−ROM(Compact Disc-Read Only Memory)、CD−DA(CD-Digital Audio)、CD−R(CD-Recordable)、CD−RW(CD-Re Recordable)、Video−CD、CD−G(CD-Extended Graphics)、DVD−ROM(Digital Versatile Disc-ROM)、DVD−Video、DVD−Audio、DVD−R、DVD−RW、DVD−RAM、Blu−ray Disc等を含むものである。
【0023】
先ず、図5を参照して、本願に係るカートリッジ自体の構成について説明する。
【0024】
図5に示すように、本願に係るカートリッジ10は、側部に後述する開口部を有するカートリッジ本体10aを有する。このカートリッジ本体10aは、図示しない上部カートリッジ本体と、下部カートリッジ本体10bと、を備える。
【0025】
そして、カートリッジ本体10aの内部には、当該内部で回転可能にホイール13が備えられ、そのホイール13の周方向の一部がカートリッジ本体10aの開口部から露出して形成される。なお、このホイール13が本発明の駆動体として例示される。また、下部カートリッジ本体10bには、カートリッジ10自体が装填・排出される上記情報再生装置のピックアップ部が光ディスク12にアクセスするために半径方向に所定の開口10cを備える。また、ホイール13には連結部材14を介してシャッタ15が備えられている。さらに、このホイール13には、上記情報再生装置のピックアップ部が光ディスク12にアクセスするために半径方向に所定の開口13dを備える。このホイール13の上部には、光ディスク12が装填されている。また、シャッタ15は、ホイール13の回転に連動し、連結部材14を介して開閉する。また、ホイール13には周方向の一部に、後述するラック16と噛合うラック13bが形成されている。また、ラック13bの両端部近傍には後述する従動ピンと係合するための凹部13c、13cが形成されている。さらに、この従動ピンが本発明の「従動体」として、凹部13cが本発明の「駆動体の一部」として例示される。
【0026】
すなわち、本実施例においては、上記のラック、従動ピンと凹部などが、情報再生装置とカートリッジとの係合関係を規定しているが、同様の機能を奏しえる限りにおいてこれに限られないことは言うまでもない。
【0027】
このカートリッジ10は、情報再生装置の後述する開口からトレー5によって装填・排出される。これにより、カートリッジ10は情報再生装置の後述する筐体の内部に備えられているラックや従動ピン等に対して相対運動する。
【0028】
次に、本願に係る上記情報再生装置について、図6乃至図10を用いて説明する。
【0029】
本願に係る情報再生装置の概要構成例である図6に示すように、情報再生装置2は、偏平な直方体状の筐体2aを備えている。この筐体2aの前面には、光ディスクを内包するカートリッジ10がその装填・排出時に通過する横長の開口4が形成されている。
【0030】
一方、筐体2aの内部には、この開口4から引き出し可能又は筐体2aの内部に引き込み可能にトレー5が備えられている。そして、このトレー5は、カートリッジ10を載置できる位置まで引き出されると共に光ピックアップ部により記録又は再生を行う記録又は再生位置まで引き込まれる。
【0031】
また、図示しないが、このトレー5には駆動ユニットが接続され、更に、当該駆動ユニットにはモータ等の駆動部が取り付けられている。この駆動ユニットや駆動部は筐体2aの内部に収容されている。
【0032】
そして、トレー5は、この駆動ユニット等が駆動することにより筐体2aの内部に引き込まれ、又は筐体2aの外部に引き出される。
【0033】
また、トレー5は、そのほぼ中央部にカートリッジ10を載置するための凹部を有すると共に、トレー5には光ディスクから情報を読出し、又は光ディスクへ情報を書込むための開口を有する。
【0034】
更に、トレー5の一方の側部には従動ピン18を案内するためのカム7、7aを備えている。このカム7、7aは、トレー5の凹部にカートリッジ10を載置した際に、カートリッジ本体10aに形成されている開口部11の両端部近傍に位置するように配置されている。また、カム7、7aの先端は、開口部11の内部に臨むように配置されている。これにより、カートリッジ10の装填・排出時において従動ピン18がカートリッジ本体10aに接触するのを防止できる。
【0035】
また、開口部11の近傍に相当する範囲のカム7、7aは、互いに対向する面が開口部11側に傾斜するように斜面が形成されている。この斜面により、カム7、7aは、従動ピン18をカートリッジ10に近接させ、又はカートリッジ10から離隔させるように機能する。これに加えて、カートリッジ10の装填・排出時における従動ピン18の移動をスムース且つ滑らかにするため、従動ピン18の移動によって発生する異音等を低減できる。
【0036】
また、筐体2a内部の一方の側壁には、トレー5の移動方向に、カートリッジ10のシャッタ15を開閉するための上記従動ピン18等の部材を支持するための支持体27が固定に取り付けられている。この支持体27は、ラック16と、当該ラック16の両端部に板バネ17、17を介して設けられる上記従動ピン18、18と、を備えている。
【0037】
更に各従動ピン18は、カートリッジ10に対する当該従動ピン18の相対運動によってカム7、7aに摺動する軸18aと、当該軸18aの一端に形成されていると共に後述するホイール13の凹部13cと係合するための凸部18bと、を備えている。一方、板バネ17は、各従動ピン18がカートリッジ10側に付勢されるように取り付けられる。更に、各凸部18bは、カートリッジ10に対する相対運動によって移動する各従動ピン18の軸18aの中心位置が常にカム7、7aの先端位置よりもカートリッジ10の開口部11から遠ざかる方向に位置するように設計されている。これらにより、カートリッジ10に対する相対運動によって当該相対運動の方向と略垂直な方向に移動する各従動ピン18をスムースに移動させることができる。
【0038】
なお、筐体2aの内部には、カートリッジ10に収納されている光ディスク12に対して記録或いは再生を行うための様々な機器が収納されている。
【0039】
また、図5及び図6において、ホイール13は本願の駆動体の一例であり、情報再生装置は本願のカートリッジが装填される装置の一例である。更に従動ピン18は本願の従動体の一例であり、カム7、7aは本願のカム機構の一例である。更にまた、板バネ17は本願の付勢手段の一例である。
【0040】
次に、カートリッジ10のシャッタ15を開閉するシャッタ開閉機構について、図7を用いて説明する。また、図5及び図6に対応する部材等については同じ符号を付する。
【0041】
先ず、図7(a)に示すように、カートリッジ10がトレー5に載置され、トレー5が図示しない駆動部等によって情報再生装置2の内部に収納され始めると、一方(情報再生装置2の外部に近い方)の従動ピン18の軸18aは、カム7aに沿って摺動しつつ移動し、カートリッジ本体10aの開口部11の一方の端部近傍に臨む。更に、カム7aによって案内された一方の従動ピン18の凸部18bがホイール13の開口部11から露出した一方の凹部13cと係合してカートリッジ10に対して移動し、ホイール13を回転させる。
【0042】
この後、更にトレー5が情報再生装置2の内部の奥に収納されることにより、図7(b)に示すように、一方の従動ピン18の軸18aが他のカム7に案内され、当該従動ピン18の凸部18bがカートリッジ本体10aの開口部11から待避しつつ、ホイール13のラック13bと情報再生装置2側に備えられているラック16とが噛み合い、ホイール13が更に回転する。
【0043】
次に、図7(c)に示すように、他方の従動ピン18の軸18aがカム7aによりカートリッジ本体10aの開口部11に案内される。
【0044】
そして更に、トレー5が情報再生装置2の内部の奥に収納されることにより、図7(d)に示すように、他方の従動ピン18の凸部18bがホイール13の露出した他方の凹部13cと係合してホイール13が所定位置まで回転して止まる。このホイール13の回転にともなって連結部材14を介してシャッタ15が開口する。その際、他方の従動ピン18の凸部18bがホイール13の凹部13cに係合しているため、ホイール13が何らかの要因で逆回転するのを防止している。そのため、シャッタ15の開口も全開状態で安定する。
【0045】
一方、カートリッジ10の排出時においてトレー5が引き出され始めると、図7(d)に示すように、他方の従動ピン18の凸部18bがホイール13の露出した他方の凹部13cと係合してホイール13を逆回転させる。
【0046】
その後、更にトレー5が外部に引き出されることにより、図7(c)に示すように、他方の従動ピン18の軸18aが一方のカム7aに案内されてカートリッジ本体10aの開口部11から待避しつつ、ホイール13のラック13bと情報再生装置2に備えられているラック16とが噛み合いホイール13を回転する。
【0047】
次に、更にトレー5が外部に引き出されることにより、図7(b)に示すように、一方の従動ピン18の軸18aは他方のカム7に沿って摺動しつつ移動し、カートリッジ本体10aの開口部11の他方の端部近傍に臨む。
【0048】
その後更にトレー5が外部に引き出されることにより、図7(a)に示すように、一方の従動ピン18の凸部18bがホイール13の露出した一方の凹部13cと係合して更にホイール13が所定位置まで逆回転して止まる。このホイール13の逆回転にともなって連結部材14を介してシャッタ15が閉口する。
【0049】
更に、トレー5が外部の引き出し位置まで完全に引き出されることにより、一方の従動ピン18の軸18aが一方のカム7aに案内されてカートリッジ本体10aの開口部11から待避する。
【0050】
ここで、図8に示すように、従動ピン18の軸18aは、外周に回転自在の回転体20(例えば、ローラ等)を備えるようにしてもよい。このようにすれば、筐体2aに対するカートリッジ10の相対運動によって従動ピン18の軸18aがカム7、7aを移動する際に、回転体20が転がりながらカム7、7aに摺動するため摩擦抵抗が低減されスムースな動作が可能となる。
【0051】
なお、ここで、上述してきた従来技術において同様な改善を行うならば、図9に示すように、シャッタオープナ22の凸部23の先端を軸24と回転体25で構成することが考えられる。しかしながら、このように構成すると、図10に示すように、カートリッジ10のホイール13に形成された凹部13cとシャッタオープナ22の凸部23とが嵌合した際、凸部23が凹部13cから抜けやすくなりホイール13を必要量だけ回転させられない可能性がある。また、カートリッジの装填時は、ピックアップ部が光ディスクの表面に近づくため、シャッタ15は必ず開口している必要がある。そのため、ホイール13の回転が不完全だとシャッタ15が完全に開口しないため、最悪の場合、ピックアップ部がシャッタ15に衝突し破損される場合が考えられる。よって、従来の技術において回転体25を適用することはできないと考えられる。
【0052】
また、図6に示した従動ピン18をカートリッジ10側に付勢する板バネ17を省いた場合について図11を用いて説明する。
【0053】
図11は図6に示す板バネにアームを適用した場合の従動ピンとカートリッジとの関係を示す一例である。なお、図11において、図6と共通する部分には同一符号を付し、それらの説明を省略する。
【0054】
図11に示すように、トレー5の一方の側部には従動ピン18を案内するためのカム溝41が形成されている。このカム溝41は、カートリッジ10に対する相対運動によってカム溝41に沿って移動する従動ピン18がカートリッジ本体10aに形成されている開口部11に臨むとともに当該開口部11から離れる際に、当該開口部11やカートリッジ本体10aとの接触を回避するように形成される。また、カム溝41は、カートリッジ本体10aの開口部11の両端部近傍に曲部41a、41aが形成されている。カム溝41は、この曲部41aにより、従動ピン18をカートリッジ10に近接させ、又はカートリッジ10から離隔させるように機能する。これにより、カートリッジ10の装填・排出時において従動ピン18がカートリッジ本体10aに接触するのを防止できる。
【0055】
また、図示しない筐体2a内部の一方の側壁に取り付けられている支持体27のラック16の両端部には回動軸42を介してアーム43が取り付けられている。また、アーム43の先端には従動ピン18が取り付けられる。
【0056】
これらにより、カートリッジ10に対する相対運動によって、従動ピン18の軸18aがカム溝41に沿って摺動し、従動ピン18がカム溝41によって規制されるので、従動ピン18をスムースに移動させることができる。
【0057】
以上のように、従動ピン18は必ずしもカートリッジ10側に付勢されている必要はなく、例えば、上述したように従動ピン18を図6に示す板ばね17に変えて、回動軸42によって回動するアーム43を介してラック16に取り付け、当該従動ピン18がトレー5に形成したカム溝41に沿って移動するようにしてもよい。
【0058】
以上説明したように、上記実施形態によれば、本願に係るシャッタ開閉機構としてのシャッタ開閉装置は、カートリッジ10内で駆動してカートリッジ10に設けられたシャッタ15を開閉させるホイール13の一部に対しカートリッジ10の開口部11にて係合する従動ピン18と、従動ピン18の移動を規制し、従動ピン18とホイール13の一部との係合が解放されるときに従動ピン18とカートリッジ10の開口部11との接触を回避するように従動ピンの移動を規制するカム7、7aと、を含んで構成されている。また、言い換えれば、カートリッジ10内で駆動してカートリッジ10に設けられたシャッタ15を開閉させるホイール13の一部に対しカートリッジ10の開口部11にて係合する従動ピン18と、従動ピン18の移動を規制し、従動ピン18とホイール13の一部とが係合していない位置において、従動ピン18とカートリッジ10との間に位置されてなるカム7、7aと、を含んで構成されている。
【0059】
よって、カートリッジ10に従動ピン18が接触することがなくなり、異音の発生を防止できる。また、従動ピン18は、カム7、7aによって案内されるため、カートリッジ10と接触することなく、装填・排出時の動作が安定する。また、また、従動ピン18は、カートリッジ10と接触しないため、カートリッジ10がガタなどにより大きく位置がずれた場合でも装置がロックすることがない。
【0060】
更に、具体的には、カム7、7aは、傾斜部を有し、従動ピン18とホイール13の一部との係合が解放されるときに、従動ピン18は傾斜部に沿ってホイールの一部から遠ざかる方向に移動するよう規制される。よって、スムース且つ確実に従動ピン18をカートリッジ10から退避させることができる。
【0061】
また、従動ピン18は、相対運動によってカム7、7aに摺動する軸18aと、軸18aの一端に形成され、前記ホイール13の一部と係合するための凸部18bと、を備えている。また、軸18aは、軸18aの外周に回転自在のローラ20を備えるようにしてもよい。このようにすれば、情報再生装置2に対するカートリッジ10の相対運動によって移動する従動ピン18の軸18aがカム7、7aを摺動する際の音を低減できる。また、従動ピン18の軸18aにローラ20(回転体)を用いることにより、カム7、7aを摺動する際の摩擦抵抗を少なくできるため、従動ピン18の軸18aがカム7、7aを摺動する動作音等を減少できる。
【0062】
また、従動ピン18の軸18aの中心は、カム7、7aの先端の位置よりもカートリッジ10の開口部11から遠ざかる方向に位置していることが好ましい。このようにすれば、従動ピン18がカートリッジ10に直接接触しないため、スムースに従動ピン18が移動する。
【0063】
また、カム7、7aは、カートリッジ10の開口部11の両端近傍に形成され、且つ従動ピン18とホイール13の一部との係合を解放するときに当該一部から遠ざかる方向に従動ピン18を案内するための斜面が形成されていることが好ましい。このようにすれば、スムース且つ確実に従動ピン18をカートリッジ10から退避させることができる。
【0064】
また、上記シャッタ開閉装置と、カートリッジ10内に収納された光ディスク12の情報の再生を行う再生手段と、を備えていてもよい。このようにすれば、カートリッジ10のシャッタ15を自動的に開閉して光ディスク12を再生することが可能となる。
【0065】
なお、上記実施形態におけるシャッタ開閉機構は、カートリッジ10を情報再生装置2の筐体2a内の記録再生位置まで装填し、又はカートリッジ10をトレー5上に載置するための引き出し位置まで排出する情報再生装置2に適用しているが、いわゆるスロットイン式の情報再生装置に適用することもできる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カートリッジ内で駆動して前記カートリッジに設けられたシャッタを開閉させる駆動体の一部に対し前記カートリッジの開口部にて係合する従動体と、
前記従動体の移動を規制し、前記従動体と前記駆動体の一部との係合が解放されるときに前記従動体と前記カートリッジの開口部との接触を回避するように前記従動体の移動を規制するカム機構と、
を含んでなることを特徴とするシャッタ開閉装置。
【請求項2】
カートリッジ内で駆動して前記カートリッジに設けられたシャッタを開閉させる駆動体の一部に対し前記カートリッジの開口部にて係合する従動体と、
前記カートリッジが挿入される際に前記従動体の移動を規制し、前記従動体と前記駆動体の一部とが係合していない位置において、前記従動体と前記カートリッジとの間に配置されてなるカム機構と、
を含んでなることを特徴とするシャッタ開閉装置。
【請求項3】
前記カム部は、傾斜部を有し、
前記従動体と前記駆動体の一部との係合が解放されるときに、前記従動体は前記傾斜部に沿って前記駆動体の一部から遠ざかる方向に移動するよう規制されてなることを特徴とする請求項1又は2に記載のシャッタ開閉装置。
【請求項4】
前記従動体は、
前記相対運動によって前記カム機構に摺動する軸と、
当該軸の一端に形成され、前記一部と係合するための凸部と、
を備えていることを特徴とする請求項1に記載のシャッタ開閉装置。
【請求項5】
前記軸は、当該軸の外周に回転自在の回転体を備えていることを特徴とする請求項4に記載のシャッタ開閉装置。
【請求項6】
前記軸の中心は、前記カム機構の先端の位置よりも前記開口部から遠ざかる方向に位置していることを特徴とする請求項4、又は5に記載のシャッタ開閉装置。
【請求項7】
前記カム機構は、前記開口部の両端近傍に形成され、且つ前記従動体と前記一部との係合を解放するときに当該一部から遠ざかる方向に前記従動体を案内するための斜面が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のシャッタ開閉装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載のシャッタ開閉装置と、前記カートリッジ内に収納された記録媒体の情報の再生を行う再生手段と、を備えたことを特徴とする情報再生装置。
【請求項1】
カートリッジ内で駆動して前記カートリッジに設けられたシャッタを開閉させる駆動体の一部に対し前記カートリッジの開口部にて係合する従動体と、
前記従動体の移動を規制し、前記従動体と前記駆動体の一部との係合が解放されるときに前記従動体と前記カートリッジの開口部との接触を回避するように前記従動体の移動を規制するカム機構と、
を含んでなることを特徴とするシャッタ開閉装置。
【請求項2】
カートリッジ内で駆動して前記カートリッジに設けられたシャッタを開閉させる駆動体の一部に対し前記カートリッジの開口部にて係合する従動体と、
前記カートリッジが挿入される際に前記従動体の移動を規制し、前記従動体と前記駆動体の一部とが係合していない位置において、前記従動体と前記カートリッジとの間に配置されてなるカム機構と、
を含んでなることを特徴とするシャッタ開閉装置。
【請求項3】
前記カム部は、傾斜部を有し、
前記従動体と前記駆動体の一部との係合が解放されるときに、前記従動体は前記傾斜部に沿って前記駆動体の一部から遠ざかる方向に移動するよう規制されてなることを特徴とする請求項1又は2に記載のシャッタ開閉装置。
【請求項4】
前記従動体は、
前記相対運動によって前記カム機構に摺動する軸と、
当該軸の一端に形成され、前記一部と係合するための凸部と、
を備えていることを特徴とする請求項1に記載のシャッタ開閉装置。
【請求項5】
前記軸は、当該軸の外周に回転自在の回転体を備えていることを特徴とする請求項4に記載のシャッタ開閉装置。
【請求項6】
前記軸の中心は、前記カム機構の先端の位置よりも前記開口部から遠ざかる方向に位置していることを特徴とする請求項4、又は5に記載のシャッタ開閉装置。
【請求項7】
前記カム機構は、前記開口部の両端近傍に形成され、且つ前記従動体と前記一部との係合を解放するときに当該一部から遠ざかる方向に前記従動体を案内するための斜面が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のシャッタ開閉装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載のシャッタ開閉装置と、前記カートリッジ内に収納された記録媒体の情報の再生を行う再生手段と、を備えたことを特徴とする情報再生装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【国際公開番号】WO2005/057571
【国際公開日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【発行日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−516112(P2005−516112)
【国際出願番号】PCT/JP2004/018181
【国際出願日】平成16年12月7日(2004.12.7)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】
【国際公開日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【発行日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【国際出願番号】PCT/JP2004/018181
【国際出願日】平成16年12月7日(2004.12.7)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】
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