シャツ
【課題】下着としての用途に使用することができ、衿部に機能を持たせることができるシャツを提供する。
【解決手段】前身頃12の上端にある前衿ぐり部12aと、後身頃14の上端にある後衿ぐり部14aとによって首廻り部18が構成され、第2衿22は、後衿ぐり部14aに取付けられる中央部22aと、前衿ぐり部12aに取り付けられる端部22bとを備える。端部22bの高さは中央部22aから第2衿の端に向かうに従って漸次小さくなっており、第2衿22の各端は、前衿ぐり部12aの途中部分に位置付けられることにより、第2衿22は、前衿ぐり部12aにおいて前衿ぐり部12aの後部にのみ存在している。
【解決手段】前身頃12の上端にある前衿ぐり部12aと、後身頃14の上端にある後衿ぐり部14aとによって首廻り部18が構成され、第2衿22は、後衿ぐり部14aに取付けられる中央部22aと、前衿ぐり部12aに取り付けられる端部22bとを備える。端部22bの高さは中央部22aから第2衿の端に向かうに従って漸次小さくなっており、第2衿22の各端は、前衿ぐり部12aの途中部分に位置付けられることにより、第2衿22は、前衿ぐり部12aにおいて前衿ぐり部12aの後部にのみ存在している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下着用シャツ、Tシャツといったシャツに関し、特に、後衿部分の高さを高くしたシャツに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の下着用シャツやTシャツといったシャツにおいては、首廻りにテープ生地が縫着されて衿部が構成されており、この衿部の高さは極力低く抑えられている。即ち、従来の一般的な下着用シャツやTシャツといったシャツにおいては、衿部に特別な機能を持たせるという思想はない。
【0003】
一方、衿の高さに工夫を凝らすことで機能を持たせるようにしたシャツまたは衣類として、例えば、特許文献1及び特許文献2に提案されたものが知られている。
【0004】
特許文献1では、モック襟のシャツにおいて、襟の後部を高くし、前部に向かって次第に低くして、肩上部における前身頃と後身頃との左右の縫合線及び襟と後身頃の上縁との縫合線を裏面から一連に押さえるようにメリヤステープを環縫により縫着補強しており、これによって、外観的に美しくして、襟の後部を日光の直射から守り、保温、洋服や襟の汚れを防ぐようにしている。
【0005】
特許文献2では、首廻りにV衿が形成された衣服において、オープンカラー状の衿をV衿の周囲に設けたヘムと身頃の間に挟み込んだ状態で衿の周縁に沿って縫着しており、オープンカラー状の衿を衣服の外側へ出したり、内側に収納したりするという操作で、一着の衣服を異なるデザインの衣服として使用することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭48−48805号公報
【特許文献2】実開平2−17501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載されたモック襟のシャツや、特許文献2に記載されたオープンカラー状の衿を備えた衣類は、アウター用のシャツとして着用することが前提となっており、下着用として着用しようとすると、衿が邪魔になったり、外側から見えて美観が悪くなったりするため、好ましくない。
【0008】
このようにアウターに影響を与えることを避けるため、従来の下着用としてのシャツの衿部に機能を持たせることは、全く考慮されていないのが現状である。
【0009】
本発明はかかる課題に鑑みなされたもので、下着としての用途に使用することができ、その場合であっても、衿部に機能を持たせることができるシャツを提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するために、本発明は、前身頃の上端にある前衿ぐり部と、後身頃の上端にある後衿ぐり部とによって首廻り部が構成された、シャツにおいて、
後衿ぐり部に取付けられる中央部と、中央部を挟む両側にあって前衿ぐり部に取付けられる部分とからなる端部とを、備える衿を備え、
非着用状態で正面から見て、前記衿の端部は、前記衿の中央部に対して折り返されており、
前記衿の端部の高さは、前記衿の中央部から前記衿の端に向かうに従って漸次小さくなっており、前記衿の各端は前衿ぐり部の途中部分に位置づけられることにより、前記衿は、前衿ぐり部においては前衿ぐり部の後部にのみ存在していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、下着として着用したときに、シャツの衿はアウターの衣服によって隠れて、外部から見えにくくなり、美観を悪化させることはない。また衿がアウターの衣服に邪魔になることはない。
【0012】
そして、衿が着用者の首の後部に当たることで、従来、ワイシャツ等のアウターの衣服の衿に付着していた皮脂汚れを衿が吸着し、アウターの衣服の衿汚れを防止することができ、アウターの衣服の洗濯の負担を軽減し、アウターの衣服を長持ちさせることができる。このように衿が防汚機能を発揮することができる。
【0013】
また、首筋から流れる汗を衿が吸収することで、アウターの衣服の衿を濡らさないようにして、べた付きを減らすことができ、着用者が夏季にも快適に過ごすことができる。このように衿が吸汗機能を発揮することができる。
【0014】
また、気温が低い季節には、衿が着用者の首の後部に当たるために、着用者の首を暖めることができる。このように衿が保温機能を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明によるシャツの正面図である。
【図2】図1の要部拡大正面図である。
【図3】第2衿の展開図である。
【図4A】本発明によるシャツの要部背面図である。
【図4B】従来のシャツの要部背面図である。
【図5】第2衿の取付状態を表す図である。
【図6】第2衿の取付状態を表す要部拡大図である。
【図7A】縫着により第2衿が結合される構成を表す断面図である。
【図7B】縫着により第2衿が結合される別の構成を表す断面図である。
【図8】本発明によるシャツをワイシャツと共に着用したときの要部正面図である。
【図9】本発明(左側)と従来(右側)の首廻り部の比較を表す平面図である。
【図10A】本発明のシャツの着用状態の首廻り部を表す図である。
【図10B】従来のシャツの着用状態の首廻り部を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。
【0017】
図1は、本発明によるシャツの実施形態を表している。図において、本発明によるシャツ10は、前身頃12と、後身頃14と、袖部16、16とを有しており、前身頃12の上端の一部である前衿ぐり部12aと後身頃14の上端の一部である後衿ぐり部14aによって首廻り部18が構成される。前身頃12、後身頃14及び袖部16は従来のシャツ10に使用される任意の素材から構成することができ、典型的には、天竺編みまたはフライス編み等の綿生地から構成することができる。
【0018】
図2に拡大して示したように、首廻り部18を構成する前身頃12の前衿ぐり部12aと後身頃14の後衿ぐり部14aには、その全周に亘り、二つ折またはそれ以上に折られた第1衿20の少なくとも一部が重ね合わされて、縫着されている。この第1衿20は、従来の同種のタイプのシャツの衿部の高さ寸法とほぼ同じ高さ寸法を持ち、その高さ寸法は縫着された状態で1cm〜2cm程度と短く抑えられている。この第1衿20は、典型的には、フライス編みまたはリブ編み等の伸縮性の高い綿生地から構成することができる。
【0019】
さらに、本発明においては、首廻り部18の後部において、第1衿20とは別に第2衿22が設けられる。第2衿22は、後衿ぐり部14aから前衿ぐり部12aの一部にかけて第1衿20の内側に、第1衿20と共に取り付けられている。第2衿22は、フライス編みまたはリブ編み等の伸縮性の高い任意の編み地の綿生地またはそれに類する生地から構成することができ、第1衿20と同一の生地で構成されてもよいし、または異なる生地で構成されてもよい。また、発熱素材で構成されてもよい。
【0020】
そして、第2衿22は、後衿ぐり部14aにおいて、その最大高さ寸法が、第1衿20よりも大きく、第1衿20よりも上方に突出しており、且つ、前衿ぐり部12aにおいては、その高さ寸法が漸次、小さくなっている。第2衿22の最大高さ寸法(図2のA寸法)は、3〜4cmとするとよく、第1衿20の1.5倍から4倍程度とするとよい。
【0021】
第2衿22は、図3の展開図で示したように、後衿ぐり部14aに取り付けられる中央部22aと、中央部22aを挾む両側にあって前衿ぐり部12aに取り付けられる部分となる端部22b、22bとを備える。中央部22aは縦方向に膨らんでおり、中央部22aの輪郭は、後衿ぐり部14aの輪郭に合致したものとなっており、後衿ぐり部14aに取り付けられたときに、高さ寸法はほぼ一定となるように設定されている。端部22b、22bは、第2衿22の端に向かうに従って縦寸法が漸次小さくなっており、その輪郭は、中央部22aから連続しているものの、前衿ぐり部12aの輪郭とは一致していない。
【0022】
図3の例では、第2衿22の中央部22aの下側輪郭と、端部22bの下側輪郭との曲率はほぼ同じとなっているが、端部22bの下側輪郭の曲率をより大きくすることも可能であり、これにより端部22bの幅寸法を短くすることもできる。
【0023】
第2衿22は、折線22cにおいて二つ折りされて(図3(b))、折線22cが上辺となるように後衿ぐり部14aと前衿ぐり部12aに縫着される。
【0024】
好ましくは、第2衿22単独での縦寸法(図3のB寸法)は、6〜9cm、幅寸法(図3のC寸法)は、シャツサイズに応じて、22〜30cm(Mサイズ)、23〜31cm(Lサイズ)、24〜32cm(LLサイズ)、25〜33cm(3Lサイズ)、26〜34cm(4Lサイズ)、27〜35cm(5Lサイズ)とするとよい。また、端部22bの先端の輪郭線またはその接線と折線22c(即ち第2衿の上辺)またはその延長線との成す角度(図3の角度D)は、20〜30度程度とするとよい。
【0025】
図4に示したように、第2衿22の中央部22aの幅に対応する第1衿20の天巾(図4のE寸法)は、シャツサイズに応じて、V首タイプの場合、12〜14cm(Mサイズ)、12.5〜15cm(Lサイズ)、13〜16cm(LLサイズ)、13.5〜17cm(3Lサイズ)、14〜18cm(4Lサイズ)、14.5〜19cm(5Lサイズ)程度となっている。
【0026】
これに対して、後衿ぐり部14a及び第1衿20の後下がり(図4AのF寸法)は、第2衿22のない従来のシャツの後下がり(図4BのF寸法)よりも小さくなっており、従来のシャツが1.7cm以上となっているのに対して、本発明においては、0cm以上1.6cm以下、好ましくは、0.4〜1.5cmの範囲となっている。
【0027】
そして、図5に示したように、第2衿22の中央部22aは、好ましくはその内側に設けられる内側テープ24と共に第1衿20及び後衿ぐり部14aに縫着されて結合される。この場合、図7Aまたは図7Bに示すような縫着により、第2衿22、第1衿20、内側テープ24及び後衿ぐり部14aを互いに結合することができる。または、図示した以外の任意の手順または構成で縫着を行ってもよい。
【0028】
内側テープ24は、後衿ぐり部14aから、さらに、前身頃12の上端の肩部12bと後身頃14の上端の肩部14bの縫合部へと延びて縫着されている。この両肩部の方へと延びる内側テープ24を設けて内側テープ24によって第2衿22を内側から押さえ、且つ第1衿20によって外側から押さえることで、第2衿22の内側及び外側への倒れを防止することができる。但し、内側テープ24は必須ではなく、省略することも可能である。
【0029】
また、第2衿22の端部22b、22bは、内側テープ24から離れて、第1衿20と前衿ぐり部12aに縫着される。第2衿22の端は、前身頃12の前衿ぐり部12aの途中部分に位置付けられ、図2に示す正面図の未着用状態において、第2衿22の端部22b、22bは、中央部22aに対して折り返されて三角形状部を構成して、中央部22aは起立した状態となっている。ここで、三角形状部とは数学的に厳密な意味での三角形状ではなく、3つの直線または曲率の小さな緩やかな3つの曲線に囲まれた形状を意味する。
【0030】
第2衿22の端部22bの縦寸法が端に向かうに従って漸次小さくなっており、前述のように、端部22bの輪郭は前衿ぐり部12aの輪郭と一致しておらず、前衿ぐり部12aの輪郭よりも内側に位置することから、第2衿22を前衿ぐり部12aに縫着するときに、第2衿22は外側に引っ張りながら縫着されることになり、図6に示したように、縫着後に、第2衿22を矢印の外側方向に引っ張る力が残留する。この引っ張り力により第2衿22の弛みを防ぎ、第2衿22の中央部22aを起立する方向へと強制することができる。
【0031】
以上のように構成される第2衿22を備えたシャツ10においては、着用したときに、着用者の首の後部に第2衿22が当接する。第2衿22は、後衿ぐり部14aにおいて高さ寸法が高いものの、前衿ぐり部12aにおいては前衿ぐり部12aの後部にのみ存在しているだけである。そのため、シャツ10の上に別の衣服、例えば図8に示したように、ワイシャツ等のアウターの衣服30を着用した場合に、シャツ10の衿は隠れて、外部から見えることがないので、美観を悪化させることはなく、邪魔になることもない。
【0032】
そして、第2衿22が着用者の首の後部に当たることで、従来はワイシャツ等のアウターの衣服30の衿に付着していた皮脂汚れを第2衿22が吸着し、アウターの衣服30の衿汚れを防止することができ、洗濯の負担を軽減し、アウターの衣服30を長持ちさせることができる。このように第2衿22が防汚機能を発揮することができる。
【0033】
また、首筋から流れる汗を第2衿22が吸収することで、ワイシャツ等のアウターの衣服30の衿を濡らさないようにして、べた付きを減らすことができ、着用者が夏季にも快適に過ごすことができる。このように第2衿22が吸汗機能を発揮することができる。
【0034】
また、気温が低い季節には、第2衿22が着用者の首の後部に当たるために、着用者の首を暖めることができる。このように第2衿22が保温機能を発揮することができる。第2衿22を発熱素材で構成した場合には、一層の保温機能を持たせることができる。
【0035】
第2衿22が起立する方向へと強制されているために、第2衿22が倒れたりせずに着用者の首に密着することができる。さらには、第1衿20の後下がりを従来のものより短く、1.6cm以下としており、図9に示すように、後衿ぐり部14aと前衿ぐり部12aの境界線と後衿ぐり部14aとの間に形成される面積が、従来のものよりも小さくなっているため、着用したときに、図10A及びBに示すように第2衿22が従来よりも着用者の首の後部にフィットする。このため、上記第2衿22の防汚機能、吸汗機能、保温機能を十分に発揮させることができる。後下がりはあまり小さいと、却って着用時に違和感などが発生するが、0.4cm〜1.5cm程度であれば、違和感なく皺などの発生も抑えることができる。
【0036】
尚、以上の実施形態では、シャツとして下着用シャツを前提として説明を行ったが、これに限るものではなく、着用者の好みに応じて後衿の特異性にデザイン性を見出して、これをアウター用のシャツとして着用することも可能である。その場合、首の後部の日焼け防止として機能させることができる。
【0037】
また、第2衿と第1衿との色などを変えて、デザイン性をより持たせることも可能である。
【0038】
また、第2衿の内部に芯材(接着芯)を挿入して、第2衿がより一層起立しやすい構成とすることも可能である。
【0039】
また、以上の実施形態では、V首タイプのシャツについて例示したが、これに限るものではなく、丸首タイプまたはその他の任意の形状の任意のシャツについて、同様に本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0040】
10 シャツ
12 前身頃
12a 前衿ぐり部
12b 肩部
14 後身頃
14a 後衿ぐり部
14b 肩部
18 首廻り部
22 第2衿(衿)
22a 中央部
22b、22b 端部
24 内側テープ
【技術分野】
【0001】
本発明は、下着用シャツ、Tシャツといったシャツに関し、特に、後衿部分の高さを高くしたシャツに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の下着用シャツやTシャツといったシャツにおいては、首廻りにテープ生地が縫着されて衿部が構成されており、この衿部の高さは極力低く抑えられている。即ち、従来の一般的な下着用シャツやTシャツといったシャツにおいては、衿部に特別な機能を持たせるという思想はない。
【0003】
一方、衿の高さに工夫を凝らすことで機能を持たせるようにしたシャツまたは衣類として、例えば、特許文献1及び特許文献2に提案されたものが知られている。
【0004】
特許文献1では、モック襟のシャツにおいて、襟の後部を高くし、前部に向かって次第に低くして、肩上部における前身頃と後身頃との左右の縫合線及び襟と後身頃の上縁との縫合線を裏面から一連に押さえるようにメリヤステープを環縫により縫着補強しており、これによって、外観的に美しくして、襟の後部を日光の直射から守り、保温、洋服や襟の汚れを防ぐようにしている。
【0005】
特許文献2では、首廻りにV衿が形成された衣服において、オープンカラー状の衿をV衿の周囲に設けたヘムと身頃の間に挟み込んだ状態で衿の周縁に沿って縫着しており、オープンカラー状の衿を衣服の外側へ出したり、内側に収納したりするという操作で、一着の衣服を異なるデザインの衣服として使用することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭48−48805号公報
【特許文献2】実開平2−17501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載されたモック襟のシャツや、特許文献2に記載されたオープンカラー状の衿を備えた衣類は、アウター用のシャツとして着用することが前提となっており、下着用として着用しようとすると、衿が邪魔になったり、外側から見えて美観が悪くなったりするため、好ましくない。
【0008】
このようにアウターに影響を与えることを避けるため、従来の下着用としてのシャツの衿部に機能を持たせることは、全く考慮されていないのが現状である。
【0009】
本発明はかかる課題に鑑みなされたもので、下着としての用途に使用することができ、その場合であっても、衿部に機能を持たせることができるシャツを提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するために、本発明は、前身頃の上端にある前衿ぐり部と、後身頃の上端にある後衿ぐり部とによって首廻り部が構成された、シャツにおいて、
後衿ぐり部に取付けられる中央部と、中央部を挟む両側にあって前衿ぐり部に取付けられる部分とからなる端部とを、備える衿を備え、
非着用状態で正面から見て、前記衿の端部は、前記衿の中央部に対して折り返されており、
前記衿の端部の高さは、前記衿の中央部から前記衿の端に向かうに従って漸次小さくなっており、前記衿の各端は前衿ぐり部の途中部分に位置づけられることにより、前記衿は、前衿ぐり部においては前衿ぐり部の後部にのみ存在していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、下着として着用したときに、シャツの衿はアウターの衣服によって隠れて、外部から見えにくくなり、美観を悪化させることはない。また衿がアウターの衣服に邪魔になることはない。
【0012】
そして、衿が着用者の首の後部に当たることで、従来、ワイシャツ等のアウターの衣服の衿に付着していた皮脂汚れを衿が吸着し、アウターの衣服の衿汚れを防止することができ、アウターの衣服の洗濯の負担を軽減し、アウターの衣服を長持ちさせることができる。このように衿が防汚機能を発揮することができる。
【0013】
また、首筋から流れる汗を衿が吸収することで、アウターの衣服の衿を濡らさないようにして、べた付きを減らすことができ、着用者が夏季にも快適に過ごすことができる。このように衿が吸汗機能を発揮することができる。
【0014】
また、気温が低い季節には、衿が着用者の首の後部に当たるために、着用者の首を暖めることができる。このように衿が保温機能を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明によるシャツの正面図である。
【図2】図1の要部拡大正面図である。
【図3】第2衿の展開図である。
【図4A】本発明によるシャツの要部背面図である。
【図4B】従来のシャツの要部背面図である。
【図5】第2衿の取付状態を表す図である。
【図6】第2衿の取付状態を表す要部拡大図である。
【図7A】縫着により第2衿が結合される構成を表す断面図である。
【図7B】縫着により第2衿が結合される別の構成を表す断面図である。
【図8】本発明によるシャツをワイシャツと共に着用したときの要部正面図である。
【図9】本発明(左側)と従来(右側)の首廻り部の比較を表す平面図である。
【図10A】本発明のシャツの着用状態の首廻り部を表す図である。
【図10B】従来のシャツの着用状態の首廻り部を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。
【0017】
図1は、本発明によるシャツの実施形態を表している。図において、本発明によるシャツ10は、前身頃12と、後身頃14と、袖部16、16とを有しており、前身頃12の上端の一部である前衿ぐり部12aと後身頃14の上端の一部である後衿ぐり部14aによって首廻り部18が構成される。前身頃12、後身頃14及び袖部16は従来のシャツ10に使用される任意の素材から構成することができ、典型的には、天竺編みまたはフライス編み等の綿生地から構成することができる。
【0018】
図2に拡大して示したように、首廻り部18を構成する前身頃12の前衿ぐり部12aと後身頃14の後衿ぐり部14aには、その全周に亘り、二つ折またはそれ以上に折られた第1衿20の少なくとも一部が重ね合わされて、縫着されている。この第1衿20は、従来の同種のタイプのシャツの衿部の高さ寸法とほぼ同じ高さ寸法を持ち、その高さ寸法は縫着された状態で1cm〜2cm程度と短く抑えられている。この第1衿20は、典型的には、フライス編みまたはリブ編み等の伸縮性の高い綿生地から構成することができる。
【0019】
さらに、本発明においては、首廻り部18の後部において、第1衿20とは別に第2衿22が設けられる。第2衿22は、後衿ぐり部14aから前衿ぐり部12aの一部にかけて第1衿20の内側に、第1衿20と共に取り付けられている。第2衿22は、フライス編みまたはリブ編み等の伸縮性の高い任意の編み地の綿生地またはそれに類する生地から構成することができ、第1衿20と同一の生地で構成されてもよいし、または異なる生地で構成されてもよい。また、発熱素材で構成されてもよい。
【0020】
そして、第2衿22は、後衿ぐり部14aにおいて、その最大高さ寸法が、第1衿20よりも大きく、第1衿20よりも上方に突出しており、且つ、前衿ぐり部12aにおいては、その高さ寸法が漸次、小さくなっている。第2衿22の最大高さ寸法(図2のA寸法)は、3〜4cmとするとよく、第1衿20の1.5倍から4倍程度とするとよい。
【0021】
第2衿22は、図3の展開図で示したように、後衿ぐり部14aに取り付けられる中央部22aと、中央部22aを挾む両側にあって前衿ぐり部12aに取り付けられる部分となる端部22b、22bとを備える。中央部22aは縦方向に膨らんでおり、中央部22aの輪郭は、後衿ぐり部14aの輪郭に合致したものとなっており、後衿ぐり部14aに取り付けられたときに、高さ寸法はほぼ一定となるように設定されている。端部22b、22bは、第2衿22の端に向かうに従って縦寸法が漸次小さくなっており、その輪郭は、中央部22aから連続しているものの、前衿ぐり部12aの輪郭とは一致していない。
【0022】
図3の例では、第2衿22の中央部22aの下側輪郭と、端部22bの下側輪郭との曲率はほぼ同じとなっているが、端部22bの下側輪郭の曲率をより大きくすることも可能であり、これにより端部22bの幅寸法を短くすることもできる。
【0023】
第2衿22は、折線22cにおいて二つ折りされて(図3(b))、折線22cが上辺となるように後衿ぐり部14aと前衿ぐり部12aに縫着される。
【0024】
好ましくは、第2衿22単独での縦寸法(図3のB寸法)は、6〜9cm、幅寸法(図3のC寸法)は、シャツサイズに応じて、22〜30cm(Mサイズ)、23〜31cm(Lサイズ)、24〜32cm(LLサイズ)、25〜33cm(3Lサイズ)、26〜34cm(4Lサイズ)、27〜35cm(5Lサイズ)とするとよい。また、端部22bの先端の輪郭線またはその接線と折線22c(即ち第2衿の上辺)またはその延長線との成す角度(図3の角度D)は、20〜30度程度とするとよい。
【0025】
図4に示したように、第2衿22の中央部22aの幅に対応する第1衿20の天巾(図4のE寸法)は、シャツサイズに応じて、V首タイプの場合、12〜14cm(Mサイズ)、12.5〜15cm(Lサイズ)、13〜16cm(LLサイズ)、13.5〜17cm(3Lサイズ)、14〜18cm(4Lサイズ)、14.5〜19cm(5Lサイズ)程度となっている。
【0026】
これに対して、後衿ぐり部14a及び第1衿20の後下がり(図4AのF寸法)は、第2衿22のない従来のシャツの後下がり(図4BのF寸法)よりも小さくなっており、従来のシャツが1.7cm以上となっているのに対して、本発明においては、0cm以上1.6cm以下、好ましくは、0.4〜1.5cmの範囲となっている。
【0027】
そして、図5に示したように、第2衿22の中央部22aは、好ましくはその内側に設けられる内側テープ24と共に第1衿20及び後衿ぐり部14aに縫着されて結合される。この場合、図7Aまたは図7Bに示すような縫着により、第2衿22、第1衿20、内側テープ24及び後衿ぐり部14aを互いに結合することができる。または、図示した以外の任意の手順または構成で縫着を行ってもよい。
【0028】
内側テープ24は、後衿ぐり部14aから、さらに、前身頃12の上端の肩部12bと後身頃14の上端の肩部14bの縫合部へと延びて縫着されている。この両肩部の方へと延びる内側テープ24を設けて内側テープ24によって第2衿22を内側から押さえ、且つ第1衿20によって外側から押さえることで、第2衿22の内側及び外側への倒れを防止することができる。但し、内側テープ24は必須ではなく、省略することも可能である。
【0029】
また、第2衿22の端部22b、22bは、内側テープ24から離れて、第1衿20と前衿ぐり部12aに縫着される。第2衿22の端は、前身頃12の前衿ぐり部12aの途中部分に位置付けられ、図2に示す正面図の未着用状態において、第2衿22の端部22b、22bは、中央部22aに対して折り返されて三角形状部を構成して、中央部22aは起立した状態となっている。ここで、三角形状部とは数学的に厳密な意味での三角形状ではなく、3つの直線または曲率の小さな緩やかな3つの曲線に囲まれた形状を意味する。
【0030】
第2衿22の端部22bの縦寸法が端に向かうに従って漸次小さくなっており、前述のように、端部22bの輪郭は前衿ぐり部12aの輪郭と一致しておらず、前衿ぐり部12aの輪郭よりも内側に位置することから、第2衿22を前衿ぐり部12aに縫着するときに、第2衿22は外側に引っ張りながら縫着されることになり、図6に示したように、縫着後に、第2衿22を矢印の外側方向に引っ張る力が残留する。この引っ張り力により第2衿22の弛みを防ぎ、第2衿22の中央部22aを起立する方向へと強制することができる。
【0031】
以上のように構成される第2衿22を備えたシャツ10においては、着用したときに、着用者の首の後部に第2衿22が当接する。第2衿22は、後衿ぐり部14aにおいて高さ寸法が高いものの、前衿ぐり部12aにおいては前衿ぐり部12aの後部にのみ存在しているだけである。そのため、シャツ10の上に別の衣服、例えば図8に示したように、ワイシャツ等のアウターの衣服30を着用した場合に、シャツ10の衿は隠れて、外部から見えることがないので、美観を悪化させることはなく、邪魔になることもない。
【0032】
そして、第2衿22が着用者の首の後部に当たることで、従来はワイシャツ等のアウターの衣服30の衿に付着していた皮脂汚れを第2衿22が吸着し、アウターの衣服30の衿汚れを防止することができ、洗濯の負担を軽減し、アウターの衣服30を長持ちさせることができる。このように第2衿22が防汚機能を発揮することができる。
【0033】
また、首筋から流れる汗を第2衿22が吸収することで、ワイシャツ等のアウターの衣服30の衿を濡らさないようにして、べた付きを減らすことができ、着用者が夏季にも快適に過ごすことができる。このように第2衿22が吸汗機能を発揮することができる。
【0034】
また、気温が低い季節には、第2衿22が着用者の首の後部に当たるために、着用者の首を暖めることができる。このように第2衿22が保温機能を発揮することができる。第2衿22を発熱素材で構成した場合には、一層の保温機能を持たせることができる。
【0035】
第2衿22が起立する方向へと強制されているために、第2衿22が倒れたりせずに着用者の首に密着することができる。さらには、第1衿20の後下がりを従来のものより短く、1.6cm以下としており、図9に示すように、後衿ぐり部14aと前衿ぐり部12aの境界線と後衿ぐり部14aとの間に形成される面積が、従来のものよりも小さくなっているため、着用したときに、図10A及びBに示すように第2衿22が従来よりも着用者の首の後部にフィットする。このため、上記第2衿22の防汚機能、吸汗機能、保温機能を十分に発揮させることができる。後下がりはあまり小さいと、却って着用時に違和感などが発生するが、0.4cm〜1.5cm程度であれば、違和感なく皺などの発生も抑えることができる。
【0036】
尚、以上の実施形態では、シャツとして下着用シャツを前提として説明を行ったが、これに限るものではなく、着用者の好みに応じて後衿の特異性にデザイン性を見出して、これをアウター用のシャツとして着用することも可能である。その場合、首の後部の日焼け防止として機能させることができる。
【0037】
また、第2衿と第1衿との色などを変えて、デザイン性をより持たせることも可能である。
【0038】
また、第2衿の内部に芯材(接着芯)を挿入して、第2衿がより一層起立しやすい構成とすることも可能である。
【0039】
また、以上の実施形態では、V首タイプのシャツについて例示したが、これに限るものではなく、丸首タイプまたはその他の任意の形状の任意のシャツについて、同様に本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0040】
10 シャツ
12 前身頃
12a 前衿ぐり部
12b 肩部
14 後身頃
14a 後衿ぐり部
14b 肩部
18 首廻り部
22 第2衿(衿)
22a 中央部
22b、22b 端部
24 内側テープ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前身頃の上端にある前衿ぐり部と、後身頃の上端にある後衿ぐり部とによって首廻り部が構成された、シャツにおいて、
後衿ぐり部に取付けられる中央部と、中央部を挟む両側にあって前衿ぐり部に取付けられる部分とからなる端部とを、備える衿を備え、
非着用状態で正面から見て、前記衿の端部は、前記衿の中央部に対して折り返されており、
前記衿の端部の高さは、前記衿の中央部から前記衿の端に向かうに従って漸次小さくなっており、前記衿の各端は前衿ぐり部の途中部分に位置づけられることにより、前記衿は、前衿ぐり部においては前衿ぐり部の後部にのみ存在していることを特徴とするシャツ。
【請求項1】
前身頃の上端にある前衿ぐり部と、後身頃の上端にある後衿ぐり部とによって首廻り部が構成された、シャツにおいて、
後衿ぐり部に取付けられる中央部と、中央部を挟む両側にあって前衿ぐり部に取付けられる部分とからなる端部とを、備える衿を備え、
非着用状態で正面から見て、前記衿の端部は、前記衿の中央部に対して折り返されており、
前記衿の端部の高さは、前記衿の中央部から前記衿の端に向かうに従って漸次小さくなっており、前記衿の各端は前衿ぐり部の途中部分に位置づけられることにより、前記衿は、前衿ぐり部においては前衿ぐり部の後部にのみ存在していることを特徴とするシャツ。
【図1】
【図2】
【図4B】
【図7A】
【図7B】
【図9】
【図3】
【図4A】
【図5】
【図6】
【図8】
【図10A】
【図10B】
【図2】
【図4B】
【図7A】
【図7B】
【図9】
【図3】
【図4A】
【図5】
【図6】
【図8】
【図10A】
【図10B】
【公開番号】特開2012−144841(P2012−144841A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−108153(P2012−108153)
【出願日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【分割の表示】特願2009−283378(P2009−283378)の分割
【原出願日】平成21年12月14日(2009.12.14)
【出願人】(306047583)ヘインズブランズ ジャパン株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【分割の表示】特願2009−283378(P2009−283378)の分割
【原出願日】平成21年12月14日(2009.12.14)
【出願人】(306047583)ヘインズブランズ ジャパン株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
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