説明

シャワーヘッド

【課題】 シャワーに対する動物の嫌悪を少なくすることができて、動物の洗い作業を楽に行うことができるシャワーヘッドを提供すること。
【解決手段】 シャワーヘッドのヘッドハウジング10は、シャワーヘッド本体11と、取付部材13と、ブラシ体14とを備えている。ブラシ体14は、ブラシ32a,32b,32cを突出形成している。ブラシ体14の外周部には第1吐水口41a,41bが、中央部には第2吐水口42が貫設されている。ブラシ体14には通路部43が突出形成され、その通路部43には水源側の反対側を指向するとともに、前記第2吐水口42と連通する導入口44が形成されている。導入口44に至る経路は、通路部43の側方を迂回する迂回流路になっている。このため、吐水圧が低下して動物が嫌悪するのを抑えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ブラシを有するシャワーヘッドに関するものであって、特に、ペット犬等の動物を洗う場合に好適なシャワーヘッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のシャワーヘッドは、例えば、下記の特許文献1〜5に開示されている。これらの特許文献1〜5に開示されたシャワーヘッドは、いずれの構成も給水源から供給された水道水がシャワーヘッドの下面の小孔に直接供給され、その小孔から噴出されるようになっている。
【特許文献1】特開平3−45203号公報
【特許文献2】実開平6−21757号公報
【特許文献3】特開平3−45203号公報
【特許文献4】特開平4−210004号公報
【特許文献5】登録実用新案第3101305号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、前記特許文献1〜5のいずれのシャワーヘッドにおいても、シャワー水が動物に対して強く当たることになる。このために、動物はシャワーを嫌悪して、暴れたり、逃げたりし、シャワーによる洗い作業が困難であった。特に、例えば特許文献1〜3に記載のシャワーヘッドにおいては、放水用の小孔がブラシ毛の先端に形成されているため、その小孔は小径となって放水の勢いが強くなるばかりでなく、放水孔の位置が動物に近くなって、動物の嫌悪が倍加されるものであった。
【0004】
この発明の目的は、以上のような問題点を解消して、シャワーに対する動物の嫌悪を少なくすることができ、動物の洗い作業を楽に行うことができるシャワーヘッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の目的を達成するために、請求項1に記載の発明においては、ヘッドハウジングの下部に複数の突起よりなるブラシを設けたシャワーヘッドにおいて、前記ヘッドハウジングの下部に前記ブラシの配置領域外において複数の吐水口を設け、前記ヘッドハウジングの内部に迂回流路を形成し、前記吐水口を前記迂回流路の下流に設けたことを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明においては、請求項1に記載の発明において、前記吐水口の上流側に設けた水道水導入口をヘッドハウジング内において水源の反対側を指向させることにより前記迂回流路を形成したことを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明においては、請求項1または2に記載の発明において、前記吐水口を複数設け、少なくとも一つの吐水口を前記迂回流路に接続したことを特徴とする。
請求項4に記載の発明においては、請求項3に記載の発明において、ブラシが吐水口間の部分に位置することを特徴とする。
【0008】
請求項5に記載の発明においては、請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の発明において、ヘッドハウジングは、内側室を有するとともに、下面を開放した本体と、本体の開放部に取り付けられた取付部材と、前記本体と取付部材との間に設けられ、前記ブラシを有するブラシ体とにより構成し、前記吐水口をブラシ体上に形成するとともに、前記迂回流路を本体とブラシ体との間に設けたことを特徴とする。
【0009】
請求項6に記載の発明においては、請求項5に記載の発明において、前記取付部材をヘッドハウジングに対して着脱可能に構成し、取付部材をヘッドハウジングから外すことにより、前記ブラシ体を着脱できるように構成したことを特徴とする。
【0010】
請求項7に記載の発明においては、請求項3〜6のうちのいずれか一項に記載の発明において、吐水口が3箇所に並設形成されるとともに、ブラシが中央部の吐水口の両側に位置することを特徴とする。
【0011】
請求項1に記載の発明においては、吐水口を迂回流路の下流に設けたことにより、吐水圧力を低下させることができる。従って、動物に嫌悪感を抱かせるのを抑制しつつ、その動物を洗い流すことができる。
【0012】
請求項2に記載の発明においては、前記迂回流路が吐水口の上流側に設けた水道水導入口を水源の反対側を指向させることにより形成されているため、迂回流路を効果的に迂回させて、吐水圧力を低下させることができる。
【0013】
請求項3に記載の発明においては、吐水口を複数設けたため、各吐水口からの吐水圧を低下させることができる。
請求項4に記載の発明においては、ブラシが吐水口間の部分に位置することにより、動物の毛並みに逆らって洗い流す場合には、ブラシにより毛を逆立てながら洗い流すことができ、毛並みに沿って洗い流す場合には、毛並みを整えながら洗い流すことができる。
【0014】
請求項5に記載の発明においては、本体と、取付部材との間にブラシ体を挟んで固定でき、ブラシ体の固定のための専用部品が不要で、構成を簡単にできる。
請求項6に記載の発明においては、ブラシ体を着脱できるため、複数種類のブラシ体を用意しておけば、目的に応じた各種の態様に対応できる。
【0015】
請求項7に記載の発明においては、吐水口が3箇所に並設形成されるとともに、ブラシが中央部の吐水口の両側に位置するため、吐水口の配列方向にブラシも配列され、前述した動物の毛並みに逆らって洗い流す場合や、毛並みに沿って洗い流す場合に、その洗い流しを有効に行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、この発明においては、動物が暴れたり、逃げたりするのを抑えることができて、その動物の洗い流しを容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、この発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
この実施形態のシャワーヘッドのヘッドハウジング10は、図1〜図4に示すように、下面を開放したシャワーヘッド本体11と、そのシャワーヘッド本体11の下面開放部にねじ12を介して着脱可能に取り付けられた取付部材13と、シャワーヘッド本体11と取付部材13との間に固定保持されたブラシ体14とを備えている。
【0018】
前記シャワーヘッド本体11は、ほぼドーム状をなしていて、内側室15を備え、その内側室15に連通する筒状のジョイント部16を突出形成している。このジョイント部16の外周のねじ部17に図示しない給水ホースが着脱可能に接続される。前記内側室15の壁面には複数の突起18が形成されるとともに、この突起18の底面には段差19が形成されている。
【0019】
前記取付部材13はシャワーヘッド本体11の内側室15と連通する内側室21を備え、その下端には幅狭のフランジ22を介して開口23が形成されている。
前記ブラシ体14は、基部31の下面に複数の細い棒状をなすブラシ32a,32b,32cを突出形成している。ここで、ブラシ32aは図4の左側、ブラシ32bは図4の右側、ブラシ32cはブラシ32a,32b間にそれぞれ位置するものを指す。基部31の上部外周にはフランジ33が形成され、このフランジ33は、前記取付部材13の上端面と、シャワーヘッド本体11の段差19との間に挟持されて、ブラシ体14の図3及び図4の上下方向における位置決めがなされている。図5〜図8に示すように、前記フランジ33の上面には、第1〜第3凹部34,35,36と、それらの間に位置する第1,第2凸部37,38とが形成されている。第2凹部35は一対形成され、第1,第2凸部37,38は各一対形成されている。そして、第2,第3凹部35,36の内面に前記突起18が係合されるとともに、突起18は前記第1,第2凸部37,38の端部にも係合していて、ブラシ体14が回り止めされている。
【0020】
前記ブラシ32a,32b,32cは、取付部材13の開口23を介して下部外方へ突出している。また、このブラシ32a,32b,32cは、基部31の中心部を除いた外周側に形成されている。
【0021】
そして、ブラシ体14は、そのブラシ32a,32b,32cの本数,太さ,長さ等の異なるものが複数種類用意され、使用態様に応じて、例えばペットの種類等に応じて適当なものが用いられる。
【0022】
前記第1凹部34は、前記ジョイント部16と対応し、水道水の流路の一部を構成している。前記第2凹部35は、180度離れて配置され、その第2凹部35においてフランジ33には第1吐水口41a,41bが透設されている。ここで、第1吐水口41aは図4の左側、第1吐水口41bは同図の右側に位置するものをそれぞれ指す。また、第1吐水口41a,41bに対応して、基部31の側面には案内凹部45が形成されている。基部31の中心部には第2吐水口42が貫設されている。これらの第1,第2吐水口41a,41b,42は、図4の左右方向に並設されている。
【0023】
基部31の上面には通路部43が突出形成され、その通路部43には前記第1凹部34に対して反対側を向くとともに、前記第2吐水口42と連通する導入口44が形成されている。従って、この導入口44は、前記ジョイント部16の反対側を指向している。このため、図7に矢印で示すように、ジョイント部16から導入口44に至る経路は、通路部43の側方を迂回する迂回流路Bになっている。
【0024】
さて、以上のように構成されたシャワーヘッドを用いてペット犬等の動物を洗うためには、まず、取付部材13を着脱して、ブラシ体14としてペットに合わせた適当なものをシャワーヘッドに組み付ける。シャワーヘッド内に水道水を供給すると、その水道水は、ジョイント部16から内側室15内に至り、第1吐水口41a,41bから下方へ落下される。また、内側室15内に供給された水道水は、通路部43の周囲を回り込んで、迂回流路Bを介して導入口44から案内凹部45に至り、その第2吐水口42から下方へ落下する。
【0025】
この場合、第2吐水口42から落下する水道水は、通路部43の両側の迂回流路Bからジョイント部16に対して反対方向を指向する導入口44を介して導かれるため、圧力損失が大きく、このため、低い圧力で外部に放出される。また、第2吐水口42がブラシ32a,32b,32cの配置領域から外れたところに位置しているため、その第2吐水口42の開口面積を大きく確保することができる。従って、水道水の放出圧力をさらに低下させることができる。
【0026】
また、第2吐水口42の両側に広い開口面積を有する第1吐水口41a,41bが設けられているため、第2吐水口42からの放水圧力をさらに低下させることができるとともに、第1吐水口41a,41bからの水道水の放出圧力も低下させることができる。加えて、第2吐水口42からの吐出水は、開口23のフランジ22に当たってさらに放出圧力が弱められる。
【0027】
このため、動物に対して高い放水圧のシャワーが当たることを防止でき、その動物等がシャワー洗浄を嫌悪することが少ない。このため、動物が暴れたり、逃げたりするのを抑制して、少ない労力で動物を洗うことができる。
【0028】
また、この実施形態では、ブラシ32a,32b,32cが第2吐水口42を囲むように配置されるとともに、第1吐水口41a,41bがブラシ32a,32bの配置領域の両外側に位置し、それらの吐水口41a,41b,42が左右方向に並設されている。
【0029】
従って、図4において、シャワーヘッドを動物Aの毛並みと逆らう方向(図4の右方向)へ移動させながら動物Aを洗う場合には、右側の第1吐水口41bからの水道水で毛表面を洗い流し、ブラシ32bで毛Mを逆立てながら逆立てた皮膚面を第2吐水口42からの水道水で洗い流す。ブラシ32bの作用で残った毛は、もう一方のブラシ32aで逆立てて、逆立てた皮膚面を左側の第1吐水口41aからの水道水で効果的に洗い流すことができる。
【0030】
また、図4において、シャワーヘッドを動物Aの毛Mの毛並みに沿う方向(図4の左方向)へ移動しながら動物Aを洗う場合には、左側の第1吐水口41aからの水道水で毛表面を洗い流し、左側のブラシ32aで毛並みを整え、整えたところで第2吐水口42からの水道水で洗い流す。さらに右側のブラシ32bで手並みを整え、右側の第1吐水口41bからの水道水で再度洗い流す。よって、洗い流しや毛並みの整えを効果的に行うことができる。
【0031】
なお、左右のブラシ32a,32b間のブラシ32bは、動物Aの毛Mを梳る作用の他に、第2吐水口42からの水の飛散を抑制する作用を有する。
以上に述べたこの実施形態の効果を列挙すれば、以下の通りである。
【0032】
・ ブラシ32a,32b,32cの配置領域外において複数の吐水口41a,41b,42を設けているため、第1,第2吐水口41a,41b,42として開口面積の大きなものを形成できる。このため、吐水圧力を低下させることができる。このため、ペット犬等がシャワー洗浄を嫌悪するのを抑制できる。
【0033】
・ 吐水口41a,41b,42を迂回流路Bの下流に設けたことにより、吐水圧力をさらに低下させることができる。
・ 第2吐水口42の上流側に設けた導入口44を水源の反対側を指向させることにより迂回流路Bが形成されているため、迂回流路Bを効果的に迂回させて、吐水圧力を低下させることができる。
【0034】
・ 取付部材13の開口23にフランジ22が設けられているため、このフランジ22により吐出水の放出圧力をさらに低下できる。
・ シャワーヘッド本体11と、取付部材13との間にブラシ体14を挟んで固定でき、ブラシ体14の固定のための専用部品が不要で、構成を簡単にできる。
【0035】
・ ブラシ体14を複数種類用意しておけば、取付部材13の着脱により、動物の種類等に応じて適当なブラシ体14を交換使用でき、洗い流しの各種態様に有効に対応できる。
【0036】
・ ブラシ32a,32b,32cが第1,第2吐水口41a,41b、42間の部分に位置することにより、動物の毛並みに逆らって洗い流す場合には、ブラシにより毛を逆立てながら洗い流すことができ、毛並みに沿って洗い流す場合には、毛並みと整えながら洗い流すことができる。特に、第1,第2吐水口41a,41b、42が3箇所に形成されるとともに、ブラシ32a,32bが中央部の第2吐水口42の両側に位置するため、第1,第2吐水口41a,41b,42とブラシ32a,32bとが交互に配列され、前述した動物の毛並みに逆らって洗い流す場合や、毛並みに沿って洗い流す場合に、その洗い流しを有効に行うことができる。
【0037】
なお、この発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、以下のような態様で具体化することも可能である。
・ ブラシ体14として、ブラシ32a,32b,32cの根本部に小径の吐水口を設けたものを用意し、それをシャワーヘッド本体11と取付部材13との間に着脱可能に取付けることができるように構成すること。
【0038】
・ ブラシ体14として、人間用に用いることができるもの、例えばブラシ32a,32b,32cの根本部に小径の吐水口を設けるとともに、短く細いブラシを有するものを用意し、それをシャワーヘッド本体11と取付部材13との間に着脱可能に取付ることができるように構成すること。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】シャワーヘッドを示す斜視図。
【図2】同じく側面図。
【図3】同じく縦断面図。
【図4】図3とは異なる位置で切断して示す縦断面図。
【図5】シャワーヘッドの底面図。
【図6】ブラシ体の斜視図。
【図7】シャワーヘッドの横断面図。
【図8】シャワーヘッドの分解断面図。
【符号の説明】
【0040】
10…ヘッドハウジング、11…シャワーヘッド本体、13…取付部材、14…ブラシ体、15…内側室、32a,32b,32c…ブラシ、41a,41b…第1吐水口、42…第2吐水口、44…導入口、B…迂回流路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドハウジングの下部に複数の突起よりなるブラシを設けたシャワーヘッドにおいて、
前記ヘッドハウジングの下部に前記ブラシの配置領域外において複数の吐水口を設け、
前記ヘッドハウジングの内部に迂回流路を形成し、前記吐水口を前記迂回流路の下流に設けたことを特徴とするシャワーヘッド。
【請求項2】
前記吐水口の上流側に設けた水道水導入口をヘッドハウジング内において水源の反対側を指向させることにより前記迂回流路を形成したことを特徴とする請求項1に記載のシャワーヘッド。
【請求項3】
前記吐水口を複数設け、少なくとも一つの吐水口を前記迂回流路に接続したことを特徴とする請求項1または2に記載のシャワーヘッド。
【請求項4】
ブラシが吐水口間の部分に位置することを特徴とする請求項3に記載のシャワーヘッド。
【請求項5】
ヘッドハウジングは、内側室を有するとともに、下面を開放した本体と、本体の開放部に取り付けられた取付部材と、前記本体と取付部材との間に設けられ、前記ブラシを有するブラシ体とにより構成し、前記吐水口をブラシ体上に形成するとともに、前記迂回流路を本体とブラシ体との間に設けたことを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載のシャワーヘッド。
【請求項6】
前記取付部材をヘッドハウジングに対して着脱可能に構成し、取付部材をヘッドハウジングから外すことにより、前記ブラシ体を着脱できるように構成したことを特徴とする請求項5に記載のシャワーヘッド。
【請求項7】
吐水口が3箇所に並設形成されるとともに、ブラシが中央部の吐水口の両側に位置することを特徴とする請求項3〜6のうちのいずれか一項に記載のシャワーヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−254859(P2006−254859A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−79812(P2005−79812)
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【出願人】(000141451)株式会社喜多村合金製作所 (65)
【Fターム(参考)】