説明

シャワー吐水装置

【課題】構造が簡単でなおかつ散水孔内面に対するクリーニング能力の高いシャワー吐水装置を提供する。
【解決手段】 弾性体で構成された複数の散水孔36を有する散水板30と、散水板30に対し上流側の裏面側に配置された、散水孔36に挿入されてクリーニング作用する複数のクリーニングピン40を備えた剛性のクリーニング部材38とを含んでシャワー吐水装置16を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は散水板の複数の散水孔から水流をシャワー吐水するシャワー吐水装置に関し、特に散水孔をクリーニングする機能を備えたシャワー吐水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、散水板の複数の散水孔より水流をシャワー吐水するようになしたシャワー吐水装置が広く用いられている。
このシャワー吐水装置の場合、水流を1本の整流束としてストレート吐水するものに比べて使用水量を少なくすることができ、節水を図ることができる。
【0003】
この場合、散水孔を小さくすれば節水効果を高めることができるが、一方で散水孔を小さくすると、水中に含まれているカルシウム分等の成分が析出して生ずるスケールやごみ等の異物が付着したときに、散水孔が詰まり易くなる。
而して散水孔が詰まるとシャワー吐水に乱れが生じ、シャワー水が正常な方向から外れて、不規則な方向に吐水されてしまうといった問題を生ずる。
【0004】
従来において、散水板の散水孔にクリーニングピンを出入りさせて、散水孔に付着したスケールやごみ等の異物を除去するようになしたシャワー吐水装置が公知である。
例えば下記特許文献1,特許文献2に、クリーニングピンを散水孔に出入りさせて散水孔をクリーニングするようになしたシャワー吐水装置が開示されている。
しかしながらこれら特許文献に開示のものは散水板が弾性体ではないし、散水孔に対してクリーニングピンを出入りさせるための構造が複雑である問題があり、また単にクリーニングピンを散水孔に出入りするだけの場合、散水孔内面のクリーニング能力の点で十分でない問題がある。
更に特許文献1に開示のものの場合、吐水中にクリーニングピンを散水孔に出入りさせるため、シャワー吐水が安定しないといった問題がある。
【0005】
他方、特許文献3には散水板を弾性体で構成して、散水板の弾性突起を貫通するように散水孔を設け、そしてその弾性突起を挿入させる開口を備えた剛性の板を回転させることで弾性突起を弾性変形させ、散水孔の内面に付着したスケールを除去するようになした点が開示されている。
しかしながらこの特許文献3に開示のものは、弾性突起を外部から変形させて散水孔内面に対するクリーニングを行うようになしていることから、そのクリーニング能力の点で十分でない問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−66326号公報
【特許文献2】特許第2537381号公報
【特許文献3】特許第3206918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は以上のような事情を背景とし、構造が簡単でなおかつ散水孔内面に対するクリーニング能力の高いシャワー吐水装置を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
而して請求項1のものは、(a)弾性体で構成された複数の散水孔を有する散水板と、(b)該散水板に対し上流側の裏面側に配置された、前記散水孔に挿入されてクリーニング作用する複数のクリーニングピンを備えた剛性のクリーニング部材と、を有していることを特徴とする。
【0009】
請求項2のものは、請求項1において、前記複数の散水孔のそれぞれに対して、対をなすように対応する数の前記クリーニングピンが前記クリーニング部材に備えてあることを特徴とする。
【0010】
請求項3のものは、請求項1,2の何れかにおいて、前記散水板には表面側に突出する複数の突出部が設けられていて、該突出部を貫通して前記散水孔が設けてあることを特徴とする。
【0011】
請求項4のものは、請求項1〜3の何れかにおいて、前記クリーニングピンの側面形状が凹凸形状となしてあることを特徴とする。
【0012】
請求項5のものは、請求項1〜4の何れかにおいて、前記散水孔は、表面側の孔径に対して裏面側の孔径が大となしてあることを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0013】
以上のように本発明は、複数の散水孔を有する弾性体で構成された散水板と、散水板に対し上流側の裏面側に配置され、散水孔に挿入されてクリーニング作用する複数のクリーニングピンを備えた剛性のクリーニング部材とを含んでシャワー吐水装置を構成したものである。
【0014】
本発明のシャワー吐水装置の場合、弾性体で構成された散水板を使用者等が手指等で押し、散水孔の内面をクリーニングピンに擦り付けることによって、容易に且つ効率高く散水孔内面に付着したスケールやごみ等の異物を散水孔内面から剥し、除去することができる。
しかも本発明によれば、クリーニング機能のための構造を極めて簡単な構造で実現することができる。
また本発明では、シャワー吐水中にクリーニングピンが散水孔を塞いでしまうといったことがないので、シャワー吐水が安定する利点が得られる。
また本発明では、散水孔内面を常時清浄に保つことができるため、散水孔を従来に増して小さくすることが可能となり、これにより節水効果をより一層高めることが可能となる。
【0015】
本発明では、複数の散水孔のそれぞれに対して、対をなすように対応する数のクリーニングピンをクリーニング部材に備えておくことができる(請求項2)。
このようにしておけば、何れの散水孔が詰まった場合であっても、その詰まりを生じた散水孔の内面をクリーニングピンに擦り付けることで、確実に同散水孔の詰まりを解消することができる。
或いはまた、全ての散水孔内面をクリーニングピンに対して擦り付け、強制的に摺接させることによって、その内面をクリーニングし、清浄化することができる。
【0016】
本発明では、散水板に表面側に突出する複数の突出部を設けておき、その突出部を貫通して上記の散水孔を設けておくことができる(請求項3)。
このようにすれば、弾性を有する突出部そのものを手指でクリーニングピンに対して押し付けることで、突出部を弾性変形させながら極めて効果的に散水孔内面に付着し或いは堆積したスケールその他のごみを除去することができる。
【0017】
本発明ではまた、クリーニングピンの側面形状を凹凸形状となしておくことができる(請求項4)。
このようにしておけば、散水孔内面をクリーニングピン側面に擦り付けたときに、その凹凸形状によって効果的に散水孔内面のスケール等の異物を除去し、散水孔内面を清浄化することができる。
【0018】
本発明ではまた、散水孔の表面側の孔径に対し裏面側の孔径を大となしておくことができる(請求項5)。
本発明においては、クリーニングピンの先端部を常時散水孔の内部に一部挿入状態としておくと、弾性体から成る散水板を手指等で押して散水孔内面をクリーニングピンによってクリーニング作用させ易いが、この場合、散水孔の孔径が軸線方向に一定で、表面側の孔径も裏面側の孔径も同じであると、散水孔の内部へのクリーニングピンの先端部の挿入によって、散水孔の裏面側の流路面積が狭小化してしまう。
【0019】
しかるに、請求項5に従って散水孔の表面側の孔径に対し裏面側の孔径を大となしておけば、クリーニングピンの先端部を散水孔の内部に一部挿入させておいた場合であっても、散水孔の内部に十分なシャワー吐水のための流路面積を確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態のシャワー吐水装置を備えた水栓の図である。
【図2】同実施形態のシャワー吐水装置の構成を示した図である。
【図3】図2のシャワー吐水装置の作用説明図である。
【図4】同実施形態におけるクリーニングピンの変形例を示した図である。
【図5】本発明の他の実施形態の図である。
【図6】本発明の更に他の実施形態の図である。
【図7】図6のシャワー吐水装置の作用説明図である。
【図8】図6のシャワー吐水装置の図7とは異なる作用の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1において10は水栓で、12はその本体部、14は本体部12から突出して設けられたシャワー吐水口である。
図2に、そのシャワー吐水口14を含むシャワー吐水装置16の構成が具体的に示してある。
図において18は円筒状をなす吐水口部材で、20は吐水口部材18と本体部12とを接続する、同じく円筒状をなす接続部材である。
【0022】
接続部材20は、図中上側に口径の小さな小径部22を有しており、その小径部22において、ねじ部24により本体部12の対応するねじ部にねじ結合されている。
尚、ここではねじ部24が雄ねじ部をなしているが、本体部12の対応するねじ部が雄ねじ部である場合には、小径部22側のねじ部を雌ねじ部となしておく。
接続部材20はまた、大径側おいてもねじ部26を有しており、そのねじ部26に対して、吐水口部材18が対応するねじ部28においてねじ結合されている。
【0023】
30は散水板で、ここでは散水板30はゴム弾性体から成っている。但し他の弾性体にて散水板30を構成することもできる。
散水板30は、その外周端部が吐水口部材18の内向きのフランジ部と上記の接続部材20とによって、リング状のシール部材34及び後述のクリーニング部材の外周端部とともに図中上下方向に挟まれ、それら吐水口部材18と接続部材20とによって保持されている。
この実施形態では、吐水口部材18と接続部材20及び散水板30によって、シャワー吐水口14が構成されている。
【0024】
散水板30には、表面側(図中下面側)に突出する多数の突出部35が設けられており、そしてそれら突出部35のそれぞれを図中上下方向に貫通して、対応する数の散水孔36が散水板30に設けられている。
ここで各突出部35は、外面即ち側面形状が図中下向きに小径化するテーパ形状とされている。
また同様に散水孔36も、図中下向きに(下流へ向かって)小径化するテーパ形状とされている。
【0025】
38は、散水板30に対して上流側である裏面側(図中上側)に配置された剛性の板状のクリーニング部材で、外周端部が散水板30の外周端部とともに、吐水口部材18の内向きのフランジ部32と接続部材20とで挟まれ、保持されている。
ここでクリーニング部材38は、この実施形態では樹脂材で構成されている。
このクリーニング部材38には、散水板30における散水孔36内に挿入されてクリーニング作用する多数のクリーニングピン40が図中下向き、即ち散水孔36に向けて突出する状態で設けられている。
尚、39はクリーニング部材38における板状の本体部を表している。
【0026】
ここでクリーニングピン40は、多数の散水孔36のそれぞれと対をなすように、散水孔36に対応する数で且つ対応する位置に設けられている。
このクリーニングピン40もまた、図中下向きに(下流へ向かって)漸次小径化するテーパ形状とされている。
この実施形態では、図2(A)に示す通常時の状態において、クリーニングピン40の先端部が一部散水孔36に挿入する状態とされている。
【0027】
尚この実施形態では、クリーニングピン40におけるテーパ形状の図中上下方向(水流方向)に対する傾斜角度が、散水孔36の内面の傾斜角度よりも僅かに小角度とされている。
またクリーニングピン40の先端の直径は、散水孔36の先端の直径と同等ないし僅かに小径とされている。
【0028】
因みにこの実施形態では、散水孔36の先端の孔径が0.2mmであるのに対し、クリーニングピン40の先端の直径は0.2mmとされている。
また散水孔36の内面の傾斜角度が20°であるのに対し、クリーニングピン40の外面の傾斜角度が15°とされている。
従って散水孔36の内面の傾斜角度がクリーニングピン40の外面の傾斜角度より大きいため、クリーニングピン40が散水孔36に挿入されても、クリーニングピン40の先端が散水孔36の先端と一致しない限り、水流を安定して供給できる。
尚散水孔36の深さ寸法に対し、クリーニングピン40の高さ寸法はほぼ同等寸法とされている。
【0029】
尚、板状をなすクリーニング部材38には、これを貫通する通水孔42が設けられている。
本実施形態では、水栓10の本体部12の内部を流れて来た水がシャワー吐水口14に到って、先ずクリーニング部材38の通水孔42を散水板30側に流れ、そして散水板30の多数の散水孔36のそれぞれから図中下向きにシャワー吐水される。
【0030】
而して長時間の間に水中のカルシウム分等の成分が析出して散水孔36の内面にスケールが付着堆積し、或いはその他のごみ等が付着堆積した場合、この実施形態では、図3に示しているように使用者等が手指を弾性体から成る散水板30に、特に下向きに突出した突出部35に接触させて、これを図中上下方向或いはこれと直角方向の左右及び前後方向に押し、突出部35を含む散水板30の弾性変形を伴って、散水孔36の内面をクリーニングピン40に擦り付けることで、散水孔36内面に付着し或いは堆積したスケールその他の異物を散水孔36内面から剥し、除去することができる。
即ちクリーニングピン40によるクリーニング作用で、散水孔36の内面を異物の付着の無い、清浄な面に回復せしめることができる。
【0031】
尚この実施形態では、クリーニングピン40の先端部が、散水孔36の内部に常時一部挿入状態となっているが、クリーニングピン40を、常時散水孔36よりも図中上側、即ち上流側に位置させておくようになしても良い。
或いは逆に、クリーニングピン40を図2に示す状態よりも更に深く散水孔36の内部に挿入状態としておくこともできる。
【0032】
以上のような本実施形態のシャワー吐水装置16の場合、弾性体で構成された散水板30を使用者等が手指等で押し、散水孔36の内面をクリーニングピン40に擦り付けることによって、容易に且つ効率高く散水孔36内面に付着したスケールやごみ等の異物を散水孔36内面から剥し、除去することができる。
しかも本実施形態によれば、クリーニング機能のための構造を極めて簡単な構造で実現することができる。
また本実施形態では、シャワー吐水中にクリーニングピン40が散水孔36に出入りするといったことがないので、シャワー吐水が安定する利点が得られる。
また本実施形態では、散水孔36内面を常時清浄に保つことができるため、散水孔36を従来に増して小さくすることが可能となり、これにより節水効果をより一層高めることが可能となる。
【0033】
本実施形態ではまた、多数の散水孔36のそれぞれに対して、対をなすように対応する数のクリーニングピン40をクリーニング部材38に備えてあることから、何れの散水孔36が詰まりを生じた場合であっても、その詰まりを生じた散水孔36の内面をクリーニングピン40に擦り付けることで、確実に同散水孔36の詰まりを解消することができる。
或いはまた、全ての散水孔36内面をクリーニングピン40に対して擦り付け、強制的に摺接させることによって、各散水孔36の内面をクリーニングし、清浄化することができる。
【0034】
本実施形態ではまた、散水孔36の表面側の孔径に対し裏面側の孔径が大となしてあり、このことから次の利点が得られる。
クリーニングピン40の先端部を常時散水孔36の内部に一部挿入状態としておくと、弾性体から成る散水板30を手指等で押して散水孔36内面をクリーニングピン40によってクリーニング作用させ易いが、この場合、散水孔36の孔径が軸線方向に一定で、表面側の孔径も裏面側の孔径も同じであると、散水孔36の内部へのクリーニングピン40の先端部の挿入によって、散水孔36の裏面側の流路面積が狭小化してしまう。
しかるにこの実施形態によれば、散水孔36の内部に十分なシャワー吐水のための流路面積を確保することができる。
【0035】
上記クリーニング部材38におけるクリーニングピン40は、側面形状を平滑な面の形状となしておくこともできるが、その側面形状を凹凸形状となしておくことができる。
このようにしておけば、散水孔36内面をクリーニングピン40側面に擦り付けたときに、その凹凸形状によって効果的に散水孔36内面のスケール等の異物を除去し、散水孔内面を清浄化することができる。
【0036】
クリーニングピン40の側面形状を凹凸形状とするに際し、その形状は様々な形状となすことができる。
図4はその具体例を示している。
図4(A)の例は、クリーニングピン40の側面に、クリーニングピン40の長手方向に延びる溝44を周方向に沿って一定間隔ごとに設けて、溝44と凸部46とが周方向に交互に位置するようになした例で、また(B)の例は、クリーニングピン40の長手方向に間隔を隔てて、周方向に連続した環状凸部50を設け、その環状凸部50と50との間に環状溝52を形成した例である。
この他にも他の様々な形態でクリーニングピン40の側面に種々凹凸形状を設けておくことができる。
【0037】
図5は、本発明をシャワーヘッドに適用した場合の実施形態を示している。
図5中54はシャワーヘッドで、その先端部にシャワー吐水口14を備えている。
55は、散水板30及びクリーニング部材38を取り付けるための取付部材で、ねじ部56を有しており、このねじ部56をシャワーヘッド54の本体部58のねじ部60にねじ結合することで、散水板30及びクリーニング部材38が本体部58に取り付けられ、保持される。
【0038】
詳しくは散水板30の外周端部が、クリーニング部材38の外周端部とともに、取付部材55の内向きのフランジ部59と本体部58とで図中上下方向に挟まれる状態に、散水板30及びクリーニング部材38が本体部58に固定され、保持される。
尚、取付部材55はOリングから成るシール部材62を図中上向きに圧縮する状態に、本体部58にねじ込まれる。そのねじ込み端は、外向きのフランジ部64が本体部58に当接することで規定される。
この実施形態では、シャワーヘッド54内部の通水路66を流れてきた水が、クリーニング部材38及び散水板30を通過して下向きにシャワー水として吐水される。
【0039】
上記実施形態では、通常の状態(止水時の状態)において、クリーニングピン40の先端側の一部が散水孔36の内部に挿入した状態となるようになしているが、このような通常状態において図6に示しているようにクリーニング部材38の本体部39を、散水板30に接触ないしほぼ接触する状態となし、またクリーニングピン40を全体的に散水孔36内に挿入した状態としておくことで、シャワー吐水装置16にセルフクリーニング機能を具備させることができる。
【0040】
詳しくは、図7(A)に示す吐水停止状態からシャワー吐水口14に水を供給すると、図7(B)に示すようにその給水圧によってゴム弾性体から成る散水板30が全体的に弾性変形し、散水孔36内面とクリーニングピン40との間の隙間を大とする。そしてその隙間を通じて散水孔36内面とクリーニングピン40との間を水が流れ、外部に吐出される。即ち多数の散水孔36のそれぞれからシャワー吐水される。
【0041】
このようなシャワー吐水を長時間行うと、散水孔36の内面或いはクリーニングピン40の先端部等にスケールが発生し付着するようになるが、図7(C)に示しているように吐水停止し給水圧が作用しなくなると、弾性変形していた散水板30が原形状に復帰し、その際の散水板30の復元によってスケール等の異物が散水孔36から自動的に排出される。
【0042】
即ち、使用者が散水板30を手指等でクリーニングピン40に押え付けたりしなくても、散水板30の弾性的な復元力に基づいてクリーニング作用が自動的に行われ、セルフクリーニングが実行される。
【0043】
クリーニング部材38と散水板30とを、図6に示す位置関係となしておいた場合、上記のセルフクリーニング効果の他、シャワー水の吐出圧が一定にコントロールされるセルフ水圧コントロールの効果も得られる。
【0044】
図8はこれを具体的に示している。
図8(A)は吐水停止状態即ち止水状態を表しており、この状態で吐水が行われると、図8(B)に示しているように給水の圧力に基づいて散水板30が突出部35とともに弾性変形し、そのことによってクリーニング部材38と散水板30との間に隙間を生ぜしめて、その隙間を通じてシャワー吐水が行われる。
その状態で給水の圧力が更に上昇すると、その上昇した圧力に基づいて散水板30が更に大きく弾性変形し、散水板30とクリーニング部材38との間の隙間を更に大きく拡げる。
【0045】
散水板30とクリーニング部材38との間の隙間が一定である場合、給水の圧力が増大するとシャワー水の吐出圧力も増大して、シャワー水が勢い良く吐出され飛沫を発生させたりするが、この実施形態では、給水の圧力が増大するとこれに応じて散水板30がより大きく弾性変形して、クリーニング部材38との間の隙間を拡げるため、散水孔36からのシャワー水の吐出圧力がほぼ一定に保たれる。
そしてこれにより、シャワー水の吐出圧力、吐出の勢いの増大によって、望ましくない飛沫が発生するのを防止することができる。
【0046】
以上本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまで一例示であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【符号の説明】
【0047】
16 シャワー吐水装置
30 散水板
35 突出部
36 散水孔
38 クリーニング部材
40 クリーニングピン
44 溝
46 凸部
50 環状凸部
52 環状溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)弾性体で構成された複数の散水孔を有する散水板と、
(b)該散水板に対し上流側の裏面側に配置された、前記散水孔に挿入されてクリーニング作用する複数のクリーニングピンを備えた剛性のクリーニング部材と、
を有していることを特徴とするシャワー吐水装置。
【請求項2】
請求項1において、前記複数の散水孔のそれぞれに対して、対をなすように対応する数の前記クリーニングピンが前記クリーニング部材に備えてあることを特徴とするシャワー吐水装置。
【請求項3】
請求項1,2の何れかにおいて、前記散水板には表面側に突出する複数の突出部が設けられていて、該突出部を貫通して前記散水孔が設けてあることを特徴とするシャワー吐水装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかにおいて、前記クリーニングピンの側面形状が凹凸形状となしてあることを特徴とするシャワー吐水装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかにおいて、前記散水孔は、表面側の孔径に対して裏面側の孔径が大となしてあることを特徴とするシャワー吐水装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−152470(P2012−152470A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−15792(P2011−15792)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】