説明

シュピーゲルマーの新規な使用

本発明は細胞内で活性な物質としてL−核酸の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の1つの観点は、シュピーゲルマーの新規な使用に関する。本発明の別の観点は、HMGタンパク質に結合するシュピーゲルマーに関する。
【背景技術】
【0002】
分子薬剤の進歩により、疾患もしくは疾患状態に関与する標的分子を同定すること、ならびに分子薬剤により疾患もしくは疾患状態を処置または防止し、または少なくともそれらに付随する症状を緩和するようにそれらに特異的に作用させることが可能になった。標的分子は原理的に2つのグループに分けることができる。第1グループは、細胞外に存在し、そして原理的には活性物質を、標的分子を含む体液もしくは体腔に投与することにより活性物質と接触できるようになる標的分子を含む。第1グループの標的分子は、本明細書では細胞外標的分子とも言う。第2グループの標的分子は細胞中に存在する標的分子を含み、これらの細胞は処置する疾患に関与しているか、または疾患に対する素因がある。これに関して標的分子は、疾患状態の直接的な原因である必要はなく、または疾患に対する素因に直接結び付いている必要はない。代わりに、個々の標的分子は作用カスケードに関与していれば十分であり、カスケードの過程は活性物質に影響され、その結果、活性物質は疾患の処置または防止に適している。標的分子の第2グループは、本明細書では細胞内標的分子とも言う。
【0003】
標的分子、すなわち細胞外もしくは細胞内標的分子の性質は、原理的には結合の種類を定め、これを用いて活性物質、典型的には製薬学的に活性な物質と標的分子との間の治療的または防止的作用に必要な相互作用に効果を生じるための試みを行うことができる。ほとんどすべての場合、いわゆる低分子、すなわち典型的に1000ダルトン以下の分子量を有する化学化合物を使用することができる。これらの分子は細胞外標的分子と、ならびに細胞内標的分子と所望する様式で直接的に相互作用することができる。
【0004】
この背景に対して、例えば抗体、特にモノクローナル抗体、アンチセンス分子、siRNA分子、アプタマー(aptamer)およびシュピーゲルマー(spiegelmer)のような新規クラスの活性物質がバイオテクノロジー産業により開発されてきた。これらのクラスの分子の幾つかは臨床的調査の予備段階であるものの、少なくとも抗体およびアンチセンス分子生成物の場合はすでに臨床的に使用されているものもある。しかしこれらの新規クラスの物質は、細胞内標的分子の取り扱いに関して重大な問題もある。すなわち例えば抗体の細胞内の使用は、処置および/または予防の目的で細胞内標的分子に対して向けられた抗体の患者において、少なくとも日常的使用を可能にする程度まで、あるいはそれを可能にする方法および様式では今でも常に可能というわけではない。また、他の新規クラスの活性物質、特にアンチセンス分子およびsiRNA分子は、それらの作用機作のために、標的分子または標的分子をコードする遺伝子を含有する個々の細胞に導入されなければならない。活性物質の標的化された放出は、送達とも呼ぶが、これらのクラスの物質にとって臨床的応用の現在の限定因子でもある。
【0005】
同じ理由がアプタマーおよびシュピーゲルマー(すなわち個々の標的分子との特異的相互作用を可能にする定められた三次元構造を有する機能的核酸)にもあてはまる。細胞内標的分子に向けるためのアプタマーの使用は、遺伝子技法、より詳細には遺伝子治療を利用する。細胞内標的分子に対して向けられるイントラマー(intramer)とも呼ばれるアプタマーは、個々の標的細胞に遺伝子技術法により取り込まれる。しかしそのような取り組みは、少なくとも遺伝子治療に基づく処置の取り組みの受容の欠如によるものではないかなりの制限にさらされる。特に各アプタマーを細胞内でコードする核酸の細胞内発現が関与するイントラマーの場合に適合された経路は、シュピーゲルマー、すなわちL−核酸からなるアプタマーを合成することができる生物学的系が存在しないので、原理的にシュピーゲルマーには閉ざされている。
【発明の開示】
【0006】
したがって本発明の目的は細胞内標的分子、すなわち細胞に存在する標的分子と特異的に相互作用することができるクラスの物質を提供することである。
【0007】
本発明に従い、この目的は添付する独立項の主題により達成される。好適な態様は従属項に開示される。
【0008】
本発明に従い、基本的目的は独立項の主題により達成される。好適な態様は従属項に開示される。
【0009】
本発明の第1の観点に従い、目的は細胞内で活性な作用物質としてL−核酸の使用により達成される。
【0010】
第1観点の第1態様では、L−核酸はシュピーゲルマーである。
【0011】
第1観点の第2態様では(これはまた第1態様の一態様でもある)、L−核酸が細胞内受容体と相互作用する。
【0012】
第1観点の第3態様では(これはまた第2態様の一態様でもある)、細胞内受容体が分子受容体、酵素、シャペロン分子、シグナルペプチド、細胞内構造および代謝中間体を含んでなる群から選択される。
【0013】
第1観点の第4態様では(これはまた第2態様の一態様でもある)、細胞内受容体がポリペプチド、炭水化物、核酸、脂質およびその組み合わせを含んでなる群から選択される。
【0014】
第1観点の第5態様では(これはまた第2、3および4態様の一態様でもある)、L−核酸が細胞内受容体と細胞内で相互作用する。
【0015】
第1観点の第6態様では(これはまた第2、3、4および5態様の一態様でもある)、細胞内受容体がATフックを結合する転写因子およびDNA結合タンパク質を含んでなる群から選択される。
【0016】
第1観点の第7態様では(これはまた第6態様の一態様でもある)、細胞内受容体がHMGタンパク質を含んでなる群、好ましくはHMGA1、HMGA1a、HMGA1bおよびHMGA2を含んでなる群から選択される。
【0017】
本発明の第2観点に従い、この目的は細胞内受容体を結合する方法により達成され、この方法は:
−少なくとも1つの細胞内受容体を含有する細胞を準備し、
−L−核酸を準備し、そして
−細胞をL−核酸とインキュベーションする、
ことを含んでなる。
【0018】
第2観点の第1態様では、インキュベーションが、L−核酸が細胞内で細胞内受容体に結合するような条件下で起こる。
【0019】
第2観点の第2態様では(これは第1態様の一態様でもある)、L−核酸がシュピーゲルマーである。
【0020】
第2観点の第3態様では(これは第1および2態様の一態様でもある)、細胞をL−核酸とインキュベーションした後に、結合、特にL−核酸の細胞内受容体への細胞内結合が起こったかどうかを決定する。
【0021】
第2観点の第4態様では(これは第1、2および3態様の一態様でもある)、細胞内受容体が分子受容体、代謝中間体および酵素を含んでなる群から選択される。
【0022】
第2観点の第5態様では(これは第1、2、3および4態様の一態様でもある)、細胞内受容体がポリペプチド、炭水化物、核酸、脂質およびその組み合わせを含んでなる群から選択される。
【0023】
第2観点の第6態様では(これは第1、2、3、4および5態様の一態様でもある)、細胞内受容体がATフックを結合する転写因子およびDNA結合タンパク質を含んでなる群から選択される。
【0024】
第2観点の第7態様では(これは第6態様の一態様でもある)、細胞内受容体がHMGタンパク質を含んでなる群から選択され、そして好ましくはHMGA1、HMGA1a、HMGA1bおよびHMGA2を含んでなる群から選択される。
【0025】
本発明の第3観点に従い、この目的は疾患の処置および/または防止の薬剤を製造するためのL−核酸の使用により達成され、薬剤の標的分子が細胞内標的分子である。
【0026】
第3観点の第1態様では、細胞内受容体が分子受容体、酵素、シャペロン分子、シグナルペプチド、細胞内構造および代謝中間体を含んでなる群から選択される。
【0027】
第3観点の第2態様では(これは第1態様の一態様でもある)、細胞内受容体がポリペプチド、炭水化物、核酸、脂質およびその組み合わせを含んでなる群から選択される。
【0028】
第3観点の第3態様では(これは第1および2態様の一態様でもある)、標的分子がATフックを結合する転写因子およびDNA結合タンパク質を含んでなる群から選択される。
【0029】
第3観点の第4態様では(これは第3態様の一態様でもある)、標的分子がHMGタンパク質を含んでなる群から選択され、そして好ましくはHMGA1、HMGA1a、HMGA1bおよびHMGA2を含んでなる群から選択される。
【0030】
第3観点の第5態様では(これは第3および4態様の一態様でもある)、疾患が腫瘍疾患、ウイルス感染および動脈硬化症を含んでなる群から選択される。
【0031】
第3観点の第6態様では(これは第5態様の一態様でもある)、腫瘍疾患が間葉腫瘍、上皮腫瘍、良性腫瘍、悪性腫瘍および転移している腫瘍を含んでなる群から選択される。
【0032】
第3観点の第7態様では(これは第3、4、5および6態様の一態様でもある)、標的分子がHMGAであり、そして疾患が前立腺、膵臓、甲状腺、頚、胃、胸、結腸/直腸、卵巣の癌腫;神経芽腫;リンパ腫、子宮平滑筋腫;脂肪腫;子宮内膜ポリープ;肺の軟骨様過誤腫;唾液腺の多形腺腫;血管周囲細胞腫:軟骨腫性の腫瘍;浸潤性血管粘液腫;拡散星状細胞腫;骨巨細胞腫;皮膚ガン;バーキットリンパ腫;ルイス肺癌;白血病;非−小細胞肺癌腫;ならびに各々の場合でその転移および/または転移している形態を含んでなる群から選択される。
【0033】
第3観点の第8態様では(これは第6態様の一態様でもある)、動脈硬化症がHMGA1、HMGA1a、HMGA1bおよび/またはHMGA2により媒介される動脈硬化性プラーク(plaque)の形成により誘発または引き起こされる。
【0034】
第3観点の第9態様では(これは第1、2、3、4、5、6、7および8態様の一態様でもある)、細胞内標的分子が細胞内に存在する。
【0035】
本発明の第4観点に従い、目的は診断目的の診断薬の製造のためのL−核酸の使用により達成され、診断薬の標的分子が細胞内標的分子である。
【0036】
第4観点の第1態様では、細胞内受容体が分子受容体、酵素、シャペロン分子、シグナルペプチド、細胞内構造および代謝中間体を含んでなる群から選択される。
【0037】
第4観点の第2態様では(これは第1態様の一態様でもある)、細胞内受容体がポリペプチド、炭水化物、核酸、脂質およびその組み合わせを含んでなる群から選択される。
【0038】
第4観点の第3態様では(これは第1および第2態様の一態様でもある)、標的分子がATフックを結合する転写因子およびDNA結合タンパク質を含んでなる群から選択される。
【0039】
第4観点の第4態様では(これは第3態様の一態様でもある)、標的分子がHMGタンパク質を含んでなる群、そして好ましくはHMGA、HMGA1a、HMGA1bおよびHMGA2を含んでなる群から選択される。
【0040】
第4観点の第5態様では(これは第3および4態様の一態様でもある)、疾患が腫瘍疾患、ウイルス感染および動脈硬化症を含んでなる群から選択される。
【0041】
第4観点の第6態様では(これは第5態様の一態様でもある)、腫瘍疾患が間葉腫瘍、上皮腫瘍、良性腫瘍、悪性腫瘍および転移している腫瘍を含んでなる群から選択される。
【0042】
第4観点の第7態様では(これは第3、4、5および6態様の一態様でもある)、標的分子がHMGAであり、そして疾患が前立腺、膵臓、甲状腺、頚、胃、胸、結腸/直腸、卵巣の癌腫;神経芽腫;リンパ腫、子宮平滑筋腫;脂肪腫;子宮内膜ポリープ;肺の軟骨様過誤腫;唾液腺の多形腺腫;血管周囲細胞腫;軟骨腫性腫瘍;浸潤性血管粘液腫;拡散星状細胞腫;骨巨細胞腫;皮膚ガン;バーキットリンパ腫;ルイス肺癌;白血病;非−小細胞肺癌腫;ならびに各々の場合でその転移および/または転移している形態を含んでなる群から選択される。
【0043】
第4観点の第8態様では(これは第5態様の一態様でもある)、動脈硬化症がHMGA1、HMGA1a、HMGA1bおよび/またはHMGA2により媒介される動脈硬化性斑の形成により誘発される。
【0044】
第4観点の第9態様では(これは第1,2,3,4,5、6および7態様の一態様でもある)、細胞内標的分子が細胞内に存在する。
【0045】
本発明の第5観点に従い、目的は細胞内標的分子に結合するL−核酸および送達ベヒクル(vehicle)を含んでなる組成物により達成される。
【0046】
第5観点の第1態様では、送達ベヒクルが、L−核酸の細胞内送達に適する送達ベヒクルである。
【0047】
第5観点の第2態様では(これは第1態様の一態様でもある)、送達ベヒクルがベヒクル、コンジュゲートおよび物理的手段を含んでなる群から選択される。
【0048】
第5観点の第3態様では(これは第2態様の一態様でもある)、送達ベヒクルがリポソーム、ナノ粒子、ミクロ粒子、シクロデキストリンまたはデンドリマーを含んでなる群から選択されるベヒクルであるか、あるいはポリペプチド、ポリエチレンイミンおよび/または両親媒性分子からなる小胞である。
【0049】
第5観点の第4態様では(これは第2態様の一態様でもある)、送達ベヒクルがコンジュゲートであり、コンジュゲートが受容体−ベヒクル性のエンドサイトーシスのコンジュゲート、フューゾジェニック(fusogenic)ペプチドを含むコンジュゲート、シグナルペプチドを含むコンジュゲート、核酸を含むコンジュゲート、好ましくはシュピーゲルマーを含むコンジュゲートであるか、または親油性コンジュゲートである。
【0050】
第5観点の第5態様では(これは第2態様の一態様でもある)、送達ベヒクルが物理的手段であり、物理的手段が好ましくは電気穿孔法、イオン導入法、圧、超音波およびショック波を含んでなる群から選択される。
【0051】
第5観点の第6態様では(これは第3態様の一態様でもある)、送達ベヒクルがポリエチレンイミンを含んでなる。
【0052】
第5観点の第7態様では(これは第6態様の一態様でもある)、ポリエチレンイミンが約25kDaの分子量を有する分枝ポリエチレンイミンである。
【0053】
第5観点の第8態様では(これは第6および7態様の一態様でもある)、ポリエチレンイミンがミセルまたはミセル様構造を形成する。
【0054】
第5観点の第9態様では(これは第1、2、3、4、5、6、7および8態様の一態様でもある)、L−核酸がシュピーゲルマーである。
【0055】
第5観点の第10態様では(これは第9態様の一態様でもある)、シュピーゲルマーが修飾を持ち、該修飾がPEG残基を含んでなる群から選択される。
【0056】
第5観点の第11態様では(これは第10態様の一態様でもある)、PEG残基が約1,000〜10,000Daの分子量、好ましくは約1,500〜2,500Da、そして最も好ましくは約2,000Daの分子量を有する。
【0057】
第5観点の第12態様では(これは第10および11態様の一態様でもある)、修飾がL−核酸の5’末端または3’末端に結合している。
【0058】
第5観点の第13態様では(これは第9、10、11および12態様の一態様でもある)、組成物中、組成物に含まれる核酸のリン酸基の総数に対するポリエチレンイミンの窒素基の総数の比が、約1〜20、好ましくは約1.5〜10、より好ましくは約2〜5、そして最も好ましくは約2〜3である。
【0059】
第5観点の第14態様では(これは第1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12および13態様の一態様でもある)、組成物がL−核酸を細胞内に提供する。
【0060】
本発明の第6観点に従い、目的は第5観点による組成物および製薬学的に許容され得る担体を含んでなる製薬学的組成物により達成される。
【0061】
第1観点の使用の一態様では、L−核酸が第5観点による組成物である。
【0062】
第2観点に従う方法の一態様では、L−核酸が第5観点による組成物である。
【0063】
第3観点に従う使用の一態様では、L−核酸が第5観点による組成物である。
【0064】
第4観点に従う使用の一態様では、L−核酸が第5観点による組成物である。
【0065】
本発明の第7観点に従い、目的は核酸が区分ボックス A1および区分ボックス A2を含んでなり、区分ボックス A1および区分ボックス A2は中間区分により互いに連結され、そしてボックス A1およびボックス A2は互いに個別に、そして独立してGGGCG、GGGUGおよびGGGAGを含んでなる群から選択されることを特徴とするHMGA結合核酸により達成される。
【0066】
第7観点の第1態様では、中間区分が、6もしくは7個のヌクレオチドを含んでなる中間区分Z1、または12〜25個のヌクレオチドを含んでなる中間区分Z2のいずれかからなる。
【0067】
第7観点の第2態様では(これは第1態様の一態様でもある)、核酸が区分ボックス A1の5’末端で第1区分を有し、そして区分ボックス A2の3’末端が第2区分を有し、ここで好ましくは両区分が互いに独立して4〜8個のヌクレオチドを含んでなる。
【0068】
第7観点の第3態様では(これは第2態様の一態様でもある)、2つの区分が少なくとも一部、または完全に互いにハイブリダイズし、ハイブリダイゼーションが4〜8ヌクレオチド対に延びる。
【0069】
第7観点の第4態様では(これは第2および3態様の一態様でもある)、核酸が区分ボックス A1の5’末端で区分ヘリックスA1を含んでなり、そして区分ボックス A2の3’末端で区分ヘリックスA2を含んでなり、ここで好ましくは区分ヘリックスA1が4〜8個のヌクレオチドを含んでなり、そして好ましくは区分ヘリックスA2が4〜8個のヌクレオチドを含んでなり、そしてここで好ましくは区分ヘリックスA1が区分ボックスA1の5’末端またはその一部に第1区分を形成し、そしてここで好ましくは区分ヘリックスA2が区分ボックスA2の3’末端またはその一部に第2区分を形成し、区分ヘリックスA1の長さが区分ヘリックスA2の長さから独立している。
【0070】
第7観点の第5態様では(これは第4態様の一態様でもある)、区分ヘリックスA1およびヘリックスA2が少なくとも一部、または完全に互いにハイブリダイズし、ハイブリダイゼーションが4〜8ヌクレオチド対に延びる。
【0071】
第7観点の第6態様では(これは第4および6態様の一態様でもある)、区分ヘリックスA1の3’末端と区分ボックスA1の5’末端との間に、区分ヘリックスB1が整列され、そして区分ボックスA2の3’末端と区分ヘリックスA2の5’末端との間に、区分ヘリックスB2が整列され、ここで好ましくは区分ヘリックスB1およびヘリックスB2の長さが、各々の場合で個別に、そして独立して4〜8個のヌクレオチド長を含んでなる。
【0072】
第7観点の第7態様では(これは第6態様の一態様でもある)、区分ヘリックスB1およびヘリックスB2が少なくとも一部、または完全に互いにハイブリダイズし、ハイブリダイゼーションが4〜8ヌクレオチド対に延びる。
【0073】
第7観点の第8態様では(これは第6および7態様の一態様でもある)、区分ヘリックスA1の3’末端と区分ヘリックスB1の5’末端との間に、0〜5個のヌクレオチドが整列される。
【0074】
第7観点の第9態様では(これは第8態様の一態様でもある)、区分ヘリックスA1の3’末端と区分ヘリックスB1の5’末端との間に、2個のヌクレオチドが整列される。
【0075】
第7観点の第10態様では(これは第6、7、8および9態様の一態様でもある)、区分ヘリックスB2の3’末端と区分ヘリックスA2の5’末端との間に、0〜6個のヌクレオチドが整列される。
【0076】
第7観点の第11態様では(これは好ましくはこれが第9態様の一態様である範囲において第10態様の一態様でもある)、区分ヘリックスB2の3’末端と区分ヘリックスA2の5’末端との間に、1個のヌクレオチドが整列される。
【0077】
第7観点の第12態様では(これは第6、7、8、9、10および11態様の一態様でもある)、区分ヘリックスA1および区分ヘリックスB1のヌクレオチドの和が10〜12ヌクレオチドであり、そして区分ヘリックスA2および区分ヘリックスB2のヌクレオチドの和が10〜12ヌクレオチドである。
【0078】
第7観点の第13態様では(これは第12態様の一態様でもある)、区分ヘリックスA1と区分ヘリックスA2との、および区分ヘリックスB1と区分ヘリックスB2とのハイブリダイゼーションからハイブリダイズしたヌクレオチドの和が、10〜12ヌクレオチド対である。
【0079】
第7観点の第14態様では(これは第6、7、8、9、10、11、12および13態様の一態様、好ましくは第6または7態様の一態様である)、核酸が区分ヘリックスA1およびヘリックスA2を含まず、これにより区分ヘリックスB1が核酸の5’末端に整列され、そしてヘリックスB2が3’末端に整列され、ここで好ましくはヘリックスB1およびヘリックスB2の長さが各々の場合で個別に、そして独立して、4〜8個のヌクレオチド長を含んでなる。
【0080】
第7観点の第15態様では(これは第14態様の一態様でもある)、区分ヘリックスB1およびヘリックスB2が少なくとも一部、または完全に互いにハイブリダイズし、ハイブリダイゼーションが4〜8ヌクレオチド対に延びる。
【0081】
第7観点の第16態様では(これは第4および5態様の一態様でもある)、区分ヘリックスA1の3’末端と区分ボックスA1の5’末端との間に1〜5個のヌクレオチドが整列され、そして区分ボックスA2の3’末端と区分ヘリックスA2の5’末端との間に1〜3個のヌクレオチドが整列される。
【0082】
第7観点の第17態様では(これは第6、7、8、9、10、11、12、13、14および15態様の一態様でもある)、区分ヘリックスB1の3’末端と区分ボックスA1の5’末端との間に2個のヌクレオチドが整列され、そして区分ボックスA2の3’末端と区分ヘリックスB2の5’末端の間に1〜7個のヌクレオチドが整列される。
【0083】
第7観点の第18態様では(これが第6、7および8態様の態様の範囲において、第1、2、3、4、5、6、7、8および10態様の一態様であり、これらが第6、7、8および10態様の範囲において、第12および13態様の一態様であり、これらが第6、7、8、10、12および13態様の範囲において、第14および15態様の一態様であり、あるいはこれらが第6、8、10、12、13および15態様の態様の範囲において、第17態様の一態様でもある)、各々の場合で本明細書で制限される範囲において、中間区分Z1が6もしくは7個のヌクレオチドを含んでなる。
【0084】
第7観点の第19態様では(これは第18態様の一態様でもある)、中間区分Z1が配列NGNを含んでなり、ここで
=U、C、AまたはG;
=GまたはU;
=UまたはC;
=UまたはA;
=GまたはA;そして
=Uまたは存在しない
である。
【0085】
第7観点の第20態様では(これは第19態様の一態様でもある)、核酸が区分ボックスA1および区分ボックスA2を含んでなり、ここで区分ボックスA1の3’末端が中間区分Z1の5’末端に直接連結され、そして中間区分Z1の3’末端が区分ボックスA2の5’末端に直接連結されている。
【0086】
第7観点の第21態様では(これは第18、19および20態様、特に21態様の一態様でもある)、核酸が区分ヘリックスB1および区分ヘリックスB2を含んでなる。
【0087】
第7観点の第22態様では(これは第21態様の一態様でもある)、区分ヘリックスB1およびヘリックスB2が各々個別に、そして互いに独立して4〜8個のヌクレオチドを含んでなり、これらは好ましくは完全に、または部分的に互いにハイブリダイズする。
【0088】
第7観点の第23態様では(これは第21および22態様の一態様でもある)、区分ヘリックスB1の3’末端と、区分ボックスA1の5’末端との間に、2個のヌクレオチドN、Nが5’3’方向に整列され、ここでNがG、AまたはUであり、そしてNがGまたはUである。
【0089】
第7観点の第24態様では(これは第21、22および23態様の一態様でもある)、区分ボックスA2の3’末端と、区分ヘリックスB2の5’末端との間に、ヌクレオチドが無いか、またはヌクレオチド配列GNが5’3’方向に整列され、ここでNが0〜6個のヌクレオチド、好ましくは0または6個のヌクレオチドを含んでなる。
【0090】
第7観点の第25態様では(これは第18、19、20、21、22、23および24態様の一態様でもある)、核酸が区分ヘリックスA1および区分ヘリックスA2を含んでなる。
【0091】
第7観点の第26態様では(これは第25態様の一態様でもある)、区分ヘリックスA1およびヘリックスA2が各々の場合で個別に、そして互いに独立して4〜8個のヌクレオチドを含んでなり、ここで好ましくは区分ヘリックスA1およびヘリックスA2は完全に、または部分的に互いにハイブリダイズする。
【0092】
第7観点の第27態様では(これは第25および26態様の一態様でもある)、区分ヘリックスA1の3’末端と区分ヘリックスB1の5’末端との間に、ヌクレオチド配列Nが整列され、ここでNが0〜5個のヌクレオチドを含んでなる。
【0093】
第7観点の第28態様では(これは第25、26および27態様の一態様でもある)、区分ヘリックスB2の3’末端と区分ヘリックスA2の5’末端との間にヌクレオチド配列Nが整列され、ここでNは0〜6個のヌクレオチドを含んでなる。
【0094】
第7観点の第29態様では(これは第21、22、23、24、25、26、27および28態様の一態様でもある)、区分ヘリックスA1と区分ヘリックスA2との、および区分ヘリックスB1と区分ヘリックスB2とのハイブリダイゼーションからハイブリダイズしたヌクレオチドの和(the sum of the hybridised nucleotides from the hybridization)が10〜12個のヌクレオチド対である。
【0095】
第7観点の第30態様では(これは第24、25、26、27、28および29態様の一態様でもある)、区分ボックスA2の3’末端と、区分ヘリックスB2の5’末端との間に、ヌクレオチドGNが5’−3’方向に整列され、ここでNが0〜6個のヌクレオチド、好ましくは0もしくは6個のヌクレオチドを含んでなる。
【0096】
第7観点の第31態様では(これは第30態様の一態様でもある)、HMGA結合核酸が以下の構造
【0097】
【化1】

【0098】
ここで
=U、C、AまたはG;
=GまたはU;
=UまたはC;
=UまたはA;
=GまたはA;
=G、AまたはU;
=GまたはU;
=Uまたはヌクレオチド無し;
=0〜5個のヌクレオチド;
=0または6個のヌクレオチド;そして
=0〜6個のヌクレオチド;
区分ボックスA1および区分ボックスA2が各々の場合で個別に、そして互いに独立してGGGCG、GGGUGおよびGGGAGを含んでなるヌクレオチド配列の群から選択され;
区分ヘリックスA1および区分ヘリックスA2が各々の場合で個別に、そして互いに独立して4〜8個のヌクレオチドを含んでなり、ここで好ましくは区分ヘリックスA1およびヘリックスA2は互いに完全に、または部分的にハイブリダイズし、そして
区分ヘリックスB1およびヘリックスB2が各々の場合で個別に、そして互いに独立して4〜8個のヌクレオチドを含んでなり、ここで好ましくは区分ヘリックスB1およびヘリックスB2は互いに完全に、または部分的にハイブリダイズし、そしてハイブリダイズする領域が4〜8個のヌクレオチドを含んでなり、そしてここで区分ヘリックスA1と区分ヘリックスA2との、および区分ヘリックスB1と区分ヘリックスB2とのハイブリダイゼーションからハイブリダイズしたヌクレオチドの和が10〜12ヌクレオチド対である、
を含んでなる。
【0099】
第7観点の第32態様では(これは第30および31態様の一態様でもある)、HMGA結合核酸が配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号5、配列番号6、配列番号7および配列番号13を含んでなる群から選択される配列を含んでなる。
【0100】
第7観点の第33態様では(これは第24、25、26、27、28および29態様の一態様でもある)、区分ボックスA2の3’末端が区分ヘリックスB2の5’末端に直接連結されている。
【0101】
第7観点の第34態様では(これは第33態様の一態様でもある)、HMGA結合核酸が以下の構造
【0102】
【化2】

【0103】
ここで
=U、C、AまたはG;
=GまたはU;
=UまたはC;
=UまたはA;
=GまたはA;
=G、AまたはU;
=GまたはU;
=Uまたはヌクレオチド無し;
=0〜5個のヌクレオチド;
=0または5個のヌクレオチド;そして
=0〜6個のヌクレオチド;
区分ボックスA1および区分ボックスA2が各々の場合で個別に、そして互いに独立してGGGCG、GGGUGおよびGGGAGを含んでなるヌクレオチド配列の群から選択され;
区分ヘリックスA1および区分ヘリックスA2が各々の場合で個別に、そして互いに独立して4〜8個のヌクレオチドを含んでなり、ここで好ましくは区分ヘリックスA1およびヘリックスA2は互いに完全に、または部分的にハイブリダイズし、そして
区分ヘリックスB1およびヘリックスB2が各々の場合で個別に、そして互いに独立して4〜8個のヌクレオチドを含んでなり、ここで好ましくは区分ヘリックスB1およびヘリックスB2は互いに完全に、または部分的にハイブリダイズし、そしてハイブリダイズする領域が4〜8個のヌクレオチドを含んでなり、そしてここで区分ヘリックスA1とヘリックスA2との、および区分ヘリックスB1と区分ヘリックスB2とのハイブリダイゼーションからハイブリダイズしたヌクレオチドの和が10〜12ヌクレオチド対である、を含んでなる。
【0104】
第7観点の第35態様では(これは第33および34態様の一態様でもある)、HMGA結合核酸が配列番号3を含む配列を含んでなる。
【0105】
第7観点の第36態様では(これは第31態様の一態様でもある)、HMGA結合核酸が以下の構造
【0106】
【化3】

【0107】
を含んでなる。
【0108】
第7観点の第37態様では(これは第34態様の一態様でもある)、HMGA結合核酸が以下の構造
【0109】
【化4】

【0110】
を含んでなる。
【0111】
第7観点の第38態様では(これは第36態様の一態様でもある)、HMGA結合核酸が配列番号15および配列番号16を含む群から選択される配列を含んでなる。
【0112】
第7観点の第39態様では(これは第7観点の第1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13および16の一態様、または第7観点の第17態様でもある)、
HMGA結合核酸が12〜25個のヌクレオチドを含んでなる中間区分Zを含んでなる。
【0113】
第7観点の第40態様では(これは第39態様の一態様でもある)、HMGA結合核酸が中間体区分Z2、区分ヘリックスC1および区分ヘリックスC2を含んでなる。
【0114】
第7観点の第41態様では(これは第40態様の一態様でもある)、中央区分NがHMGA結合核酸の区分ヘリックスC1と区分ヘリックスC2との間に整列される。
【0115】
第7観点の第42態様では(これは第40または41態様の一態様でもある)、HMGA結合核酸の区分ヘリックスC1およびヘリックスC2の長さが同一である。
【0116】
第7観点の第43態様では(これは第40、41および42態様の一態様でもある)、HMGA結合核酸の区分ヘリックスC1およびヘリックスC2の長さが個別に、そして独立して3〜6個のヌクレオチドである。
【0117】
第7観点の第44態様では(これは第40、41、42および43態様の一態様でもある)、HMGA結合核酸の区分ヘリックスC1およびヘリックスC2が完全に、または部分的に互いにハイブリダイズする。
【0118】
第7観点の第45態様では(これは第39、40、41、42、43および44態様の一態様でもある)、HMGA結合核酸の中央区分Nが3〜5個のヌクレオチドを含んでなる。
【0119】
第7観点の第46態様では(これは第39、40、41、42、43、44および45態様の一態様でもある)、HMGA結合核酸が区分ボックスA1および区分ボックスA2を含んでなり、ここで区分ボックスA1の3’末端と区分ヘリックスC1の5’末端の間にヌクレオチド配列Nが整列され、そして3個のヌクレオチドを含んでなる。
【0120】
第7観点の第47態様では(これは第39、40、41、42、43、44、45および46態様の一態様でもある)、HMGA結合核酸が区分ボックスA1および区分ボックスA2を含んでなり、ここで区分ヘリックスC2の3’末端と区分ボックスA2の5’末端の間にヌクレオチド配列Nが整列され、そして2〜5個のヌクレオチドを含んでなる。
【0121】
第7観点の第48態様では(これは第39、40、41、42、43、44、45、46および47態様の一態様でもある)、HMGA結合核酸が区分ヘリックスA1およびヘリックスA2を含んでなる。
【0122】
第7観点の第49態様では(これは第48態様の一態様でもある)、HMGA結合核酸の区分ヘリックスA1およびヘリックスA2が各々の場合で個別に、そして互いに独立して5〜6個のヌクレオチドを含んでなり、ここで好ましくは区分ヘリックスA1および区分ヘリックスA2が完全に、または部分的に互いにハイブリダイズする。
【0123】
第7観点の第50態様では(これは第48および49態様の一態様でもある)、HMGA結合核酸の区分ヘリックスA1の3’末端と区分ボックスA1の5’末端の間にヌクレオチド配列Nが整列され、ここでNが1〜5個のヌクレオチドを含んでなる。
【0124】
第7観点の第51態様では(これは第48、49および50態様の一態様でもある)、HMGA結合核酸の区分ボックスA2の3’末端と区分ヘリックスA2の5’末端の間にヌクレオチド配列GNが5’−3’方向で整列され、ここでNが1〜2個のヌクレオチド、好ましくはAまたはUUを含んでなる。
【0125】
第7観点の第52態様では(これは第48、49、50および51態様の一態様でもある)、HMGA結合核酸の区分ヘリックスC1およびヘリックスC2が、各々の場合で個別に、そして互いに独立して5もしくは6個のヌクレオチド長を有し、ここで好ましくは区分ヘリックスC1およびヘリックスC2が完全に、または部分的に互いにハイブリダイズする。
【0126】
第7観点の第53態様では(これは第52態様の一態様でもある)、HMGA結合核酸が以下の構造:
【0127】
【化5】

【0128】
ここで
=1〜5個のヌクレオチド;
=3個のヌクレオチド;
=3〜5個のヌクレオチド;
=2〜5個のヌクレオチド;そして
=1〜2個のヌクレオチド、好ましくはAまたはUU;
区分ボックスA1および区分ボックスA2が各々の場合で個別に、そして互いに独立してGGGCG、GGGUGおよびGGGAGを含んでなる群から選択され;
区分ヘリックスA1およびヘリックスA2が各々の場合で個別に、そして互いに独立して5もしくは6個のヌクレオチドを含んでなり、そして
区分ヘリックスC1およびヘリックスC2は各々の場合で5もしくは6個のヌクレオチドを含んでなり、これらは好ましくは互いに完全に、または部分的にハイブリダイズする、
を有する。
【0129】
第7観点の第54態様では(これは第53態様の一態様でもある)、HMGA結合核酸が配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号14、配列番号22および配列番号24を含んでなる群から選択される配列を含んでなる。
【0130】
第7観点の第55態様では(これは第39、40、41、42、43および44態様の一態様でもある)、核酸がHMGA結合核酸の区分ボックス1および区分ヘリックスC1を含んでなり、ここでヌクレオチドAが区分ボックスA1の3’末端と区分ヘリックスC1の5’末端の間に整列される。
【0131】
第7観点の第56態様では(これは第55態様の一態様でもある)、HMGA結合核酸が区分ヘリックスC2および区分ボックスA2を含んでなり、ここでヌクレオチドGが区分ヘリックスC2の3’末端と区分ボックスA2の5’末端の間に整列される。
【0132】
第7観点の第57態様では(これは第55または56態様の一態様でもある)、HMGA結合核酸の中央区分Nが4個のヌクレオチドを含んでなり、ここでNが好ましくはGAUGである。
【0133】
第7観点の第58態様では(これは第55、56および57態様の一態様でもある)、HMGA結合核酸が区分ヘリックスB1および区分ヘリックスB2を含んでなる。
【0134】
第7観点の第59態様では(これは第58態様の一態様でもある)、HMGA結合核酸の区分ヘリックスB1およびヘリックスB2が各々の場合で個別に、そして互いに独立して5個のヌクレオチド長を含んでなり、ここで好ましくは区分ヘリックスB1が区分ヘリックスB2にハイブリダイズする。
【0135】
第7観点の第60態様では(これは第58または59態様の一態様でもある)、HMGA結合核酸の区分ヘリックスB1の3’末端と、区分ボックスA1の5’末端の間に、2個のヌクレオチドNを含んでなるヌクレオチド配列が整列され、ここでNが好ましくはAGである。
【0136】
第7観点の第61態様では(これは第58、59および60態様の一態様でもある)、ヌクレオチドGがHMGA結合核酸の区分ボックスA2の3’末端とヘリックスB2の5’末端の間に整列される。
【0137】
第7観点の第62態様では(これは第55、56、57、58、59、60および61態様の一態様でもある)、HMGA結合核酸が区分ヘリックスA1および区分ヘリックスA2を含んでなる。
【0138】
第7観点の第63態様では(これは第62態様の一態様でもある)、HMGA結合核酸の区分ヘリックスA1およびヘリックスA2が各々の場合で個別に、そして互いに独立して6個のヌクレオチドを含んでなり、そして好ましくは区分ヘリックスA1および区分ヘリックスA2が互いにハイブリダイズする。
【0139】
第7観点の第64態様では(これは第62および63態様の一態様でもある)、区分ヘリックスA1の3’末端と区分ヘリックスB1の5’末端との間に、2個のヌクレオチドNを含んでなるヌクレオチド配列が整列され、ここでNが好ましくはCAである。
【0140】
第7観点の第65態様では(これは第62、63および64態様の一態様でもある)、ヌクレオチドAが区分ヘリックスB2の3’末端と区分ヘリックスA2の5’末端との間に整列される。
【0141】
第7観点の第66態様では(これは第55〜65態様の一態様でもある)、区分ヘリックスC1およびヘリックスC2が各々の場合で3個のヌクレオチドを含んでなり、ここで好ましくは区分ヘリックスC1およびヘリックスC2が互いにハイブリダイズする。
【0142】
第7観点の第67態様では(これは第66態様の一態様でもある)、HMGA結合核酸が以下の構造:
【0143】
【化6】

【0144】
ここで
=2個のヌクレオチド、好ましくはCA;
=2個のヌクレオチド、好ましくはAG;
=4個のヌクレオチド、好ましくはGAUG;
区分ボックスA1およびボックスA2が各々の場合で個別に、そして互いに独立して配列GGGCG、GGGUGおよびGGGAGを含んでなる群から選択され;
区分ヘリックスA1およびヘリックスA2が各々の場合で個別に、そして独立して6個のヌクレオチドを含んでなり、これは好ましくは互いにハイブリダイズし;
区分ヘリックスB1およびヘリックスB2が各々の場合で個別に、そして独立して5個のヌクレオチドを含んでなり、ここで好ましくは区分ヘリックスB1および区分ヘリックスB2は互いにハイブリダイズし、そして
区分ヘリックスC1およびヘリックスC2が各々の場合で個別に、そして独立して3個のヌクレオチドを含んでなり、ここで好ましくは区分ヘリックスC1およびヘリックスC2が互いハイブリダイズする、
を有する。
【0145】
第7観点の第68態様では(これは第67態様の一態様でもある)、HMGA結合核酸は列番号12を含む群から選択される配列を含んでなる。
【0146】
第7観点の第69態様では(これは第2〜67態様の一態様でもある)、核酸が転写因子、特にATフックを含んでなる転写因子に結合するものである。
【0147】
本発明に従い、目的はATフックを含んでなる転写因子に結合する核酸により第8観点で達成され、ここで核酸は第7観点に従う構造を有する。
【0148】
第6観点による組成物の態様では、L−核酸が第7観点に従う核酸である。
【0149】
第1観点に従う使用の態様では、L−核酸が第7観点に従う核酸である。
【0150】
第2観点に従う方法の態様では、L−核酸が第7観点に従う核酸である。
【0151】
第3観点に従う使用の態様では、L−核酸が第7観点に従う核酸である。
【0152】
第4観点に従う方法の態様では、L−核酸が第7観点に従う核酸である。
【0153】
本発明に従い、目的は以下の:
−候補HMGAアンタゴニストおよび/または候補HMGAアゴニストを準備し、
−第7観点に従う核酸を準備し、
−HMGAアンタゴニストおよび/またはHMGAアゴニストの存在下でシグナルを送達する試験系を準備し、そして
−候補HMGAアンタゴニストがHMGAアンタゴニストであるかどうか、および/または候補HMGAアゴニストがHMGAアゴニストであるかどうかを決定する、
工程を含んでなる、HMGAアンタゴニストまたはHMGAアゴニストのスクリーニング法により第9観点で達成される。
【0154】
本発明に従い、目的は以下の:
−相、好ましくは固相に固定化されたHMGAを準備し、
−第7観点に従う核酸、好ましくは標識された第7観点に従う核酸を準備し、
−候補HMGAアゴニストおよび/または候補HMGAアンタゴニストを加え、そして
−候補HMGAアゴニストがHMGAアゴニストであるかどうか、および/または候補HMGAアンタゴニストがHMGAアンタゴニストであるかどうかを決定する、
工程を含んでなる、HMGAアゴニストおよび/またはHMGAアンタゴニストのスクリーニング法により第10観点で達成される。
【0155】
第10観点の一態様では、決定が、核酸が候補HMGAアゴニストに置き換えられるか、または候補HMGAアンタゴニストに置き換えられるかを試験することにより行われることが構想される。
【0156】
本発明に従い、目的は第7観点に従う核酸を含んでなるHMGAの検出用キットにより第11観点で達成される。
【0157】
本発明に従い、目的は第10観点に従う方法により得ることができるHMGAアンタゴニストにより第12観点により達成される。
【0158】
本発明に従い、目的は第10観点に従う方法により得ることができるHMGAアゴニストにより第13観点で達成される。
【0159】
本発明に従い、目的はHMGAタンパク質および第7観点に従う核酸を含んでなる複合体により第14観点により達成される。
【0160】
本発明は従来技術で得た見解とは反対に、細胞内標的分子に接近するために、L−核酸そして特にシュピーゲルマーを使用することが可能であるという驚くべき結果に基づく。細胞内標的分子は好ましくは、細胞内に存在する標的分子である。しかしながらL−核酸の標的分子との相互作用の高い特異性、それと同時にL−核酸が生物系、そして特に動物およびヒトの身体で使用される場合の高い安定性、および毒性または免疫学的に活性な分解産物が不存在であるというようなL−ヌクレオチドの構造による機能的L−核酸に固有の特性は、プラスミドまたは通常にはベクターにコードされるL−核酸がインタラマーの場合のように細胞性のメカニズムを正しく利用できるようにせず、すなわち細胞内で起こる転写のプロセスにより実際に機能的な核酸を提供する。
【0161】
この不可避なジレンマは、本発明により解決される:機能的L−核酸そして特にシュピーゲルマーは、それらの標的分子に対するそれらの結合に関するそれらの特異性およびそれらの活性を保持しながら、細胞質膜を介して輸送され得る。この機能的L−核酸の透過性はシュピーゲルマーに固有であり、そして送達ベヒクルまたは送達技法の使用によりさらに強化することができる。この事柄において、これから具体的になることを望まないが、本発明者は機能的L−核酸自体が細胞質膜を克服でき、そして細胞質膜の克服におけるエンドソーム輸送メカニズムの参加により、機能的核酸とその標的分子との特異的相互作用を可能にする2次元的または3次元的構造の採用により、それらにより形成される小胞構造からL−核酸を遊離することができるという仮定から出発する。本明細書に開示する技術的教示により、細胞内にアプタマーを形成するための、細胞内転写メカニズムを利用するアプタマーのために開発された原理を意図的に回避し、そして機能的L−核酸、そして特にシュピーゲルマーを細胞内で使用するための手段が初めて提供される。
【0162】
好適な態様で本明細書に採用するように、機能的核酸という用語は、構造、特に自然に存在するrRNAのような構造的核酸とは異なるか、あるいはmRNAのようなコード核酸とは異なる核酸を表す。特に機能的核酸は、それらの2次元的および/または3次元的構造により標的分子に結合することができる核酸である。特に好適な態様では、標的分子への結合は、ハイブリダイゼーションまたはワトソン−クリック塩基対に基づく塩基対合またはフーグスティーン型塩基対によってではなく起こる。特に好適な機能的核酸はアプタマーおよびシュピーゲルマーである。
【0163】
好適な態様では、L−核酸はL−ヌクレオチドから完全に、実質的に、または部分的に合成される核酸である。L−核酸が完全にL−ヌクレオチドからなる場合が特に好ましい。これに関して用語「実質的に」とは、標的分子との相互作用の原因であるL−核酸のその部分、または標的分子への結合を媒介するその部分が、L−ヌクレオチドからなるか、またはこれらから合成される態様を表す。
【0164】
本明細書で使用する機能的L−核酸は、L−ヌクレオチドから完全に、実質的に、または部分的に合成される機能的核酸である。
【0165】
L−核酸の合成はこの分野の当業者には知られており、そして例えばNolte et al.,Nat.Biotech,14,1116−1119、1996;およびKlussmann et al.,Nat.Biotechnol,14,1112−1115、1996に記載されている。
【0166】
アプタマーの生産の基本的方法は、例えばTuerk et al.Science,248,505−510,1990;またはEllington et al.Nature,346,818−822,1990に記載されており、一方シュピーゲルマーの生産の基本的方法は、例えばNolte et al.,Nat.Biotech,14,1116−1119,1996;またはKlussmann et al.,Nat.Biotechnol,14,1112−1115,1996に記載されている。このようにシュピーゲルマーはD−ヌクレオチドの代わりにL−ヌクレオチドからなるアプタマーである。アプタマーおよびシュピーゲルマーの生産と関連して、標的分子という用語は、アプタマーおよびシュピーゲルマーを生産するための選択法に使用される分子を表すか、またはアプタマーまたはシュピーゲルマーにより最終的に結合される分子を表す。
【0167】
好適な態様では、細胞内で活性な作用物質は、細胞内に存在する時に分子に結合することができる化学的化合物である。これと関連して、細胞は組織または臓器中で隔離されて存在する細胞である場合が特に好ましいが、好ましくはヒトまたは動物体内ではない。細胞内で活性な作用物質がシュピーゲルマーである場合、好ましくはこれが細胞内の標的分子に結合できるならば細胞内で活性な作用物質である。あるいはシュピーゲルマーはその標的分子に細胞内で存在するような条件下で結合できる場合、細胞内で活性な作用物質である。これらの特性を測定するための試験はこの分野の当業者に知られており、そして例えば実施例1に開示するような細胞内に存在するようなバッファー条件(イオン強度および溶質組成、pH、温度)下での平衡結合アッセイを含む。
【0168】
好適な態様では、L−核酸、特に機能的L−核酸の標的分子は細胞内受容体である。本明細書で使用する時、細胞内受容体は好ましくは機能的L−核酸が相互作用する化学的化合物または化学構造またはそれぞれの一部であり、そして好ましくは機能的L−核酸が結合する化合物または構造であり、ここで細胞内受容体、すなわち化学的化合物または化学構造またはそれぞれの一部は、先行する段落で好ましくは記載したように細胞内的に存在し、すなわち細胞内に存在する。これと関連して、本発明の範囲内で細胞内受容体は、機能的核酸、特に機能的L−核酸の作成において標的分子となることが可能である。
【0169】
1つの態様では、用語「受容体」は任意の相互作用パートナー、好ましくは機能的核酸の特異的に結合する相互作用パートナーを表し、すなわち特異的空間構造、荷電分布、疎水性分布等を有する機能的核酸と相互作用する相互作用パートナーを表す。特に好適な態様では、相互作用パートナーは機能的核酸の作成で使用されるような、機能的核酸の標的分子に対応する。これと関連して、受容体は機能的核酸の作成に使用される標的分子とは異なることができるが、特異的相互作用は、機能的核酸の作成に使用する相互作用パートナーと標的分子との間の機能的核酸の交差反応性によることは本発明の範囲内である。
【0170】
好適な態様では、用語「細胞内受容体」は細胞に存在する受容体、または細胞に存在することができる受容体を表し、これは細胞内の自然な状況下で存在するか、またはそのような状況下で細胞に存在する。これと関連して、細胞は組織または臓器中で隔離されて存在する細胞である場合が特に好ましいが、好ましくはヒトまたは動物体内ではない。しかし本明細書で使用する用語「細胞内受容体」は、細胞内に存在するような条件下で存在する受容体も指す。
【0171】
好適な態様では、用語「細胞」は原核細胞および真核細胞を含んでなる群から選択される細胞を表す。好ましくは真核細胞は真菌細胞、植物細胞、動物細胞およびヒト細胞を含んでなる群から選択される。別の態様では、細胞という用語は一般に本明細書ではリン脂質二重膜により境界をつけられる区画を表し、これは好適な態様では細胞質膜に対応し、そしてこれは周囲から膜により分けられている。これと関連してこの周囲からの分離は完全な分離ではないが、細胞と周囲との間のエネルギー移動および物質移動(物質交換)を可能とする。物質移動は制限されることが好ましい。細胞が周囲から細胞質膜により、または細胞膜に類似する膜により分離される場合、物質移動の制限は膜の輸送特性により定められる。1つの態様において、本明細書の細胞という用語は、このように本明細書で定めるような原核または真核細胞の小胞および/または区画も含み、これは次に原核または真核細胞の両方に存在するか、または存在することができ、ならびにそのような原核または真核細胞の外側に、例えば小胞または細胞質膜により囲まれた原核または真核細胞の一部として存在してよく、これは1つの態様では体液中に存在することができる。好適な態様では、第2の選択的態様により細胞において、そのような細胞内の条件は、原核または真核細胞中に存在する条件に実質的に匹敵すると認識され、特に機能的核酸のその標的分子への結合に影響を及ぼす因子についてはそうである。
【0172】
好適な態様では、体液は血液、尿、分泌液(解剖学的流体)、リンパ液、血清、血漿、膣分泌物、唾液および精子を含んでなる群から選択される。
【0173】
1つの態様では、受容体は細胞中でのその機能により定められる。したがって受容体は分子受容体、酵素、代謝中間体、シグナルペプチド、シャペロン分子、および例えばリボソーム、ミトコンドリアのような細胞内構造、例えばチューブリンおよびアクチンフィラメントのような細胞骨格の要素、エンドソーム粒子、リソソーム、小胞、特に細胞内小胞のような他の細胞内構造を含んでなる群から選択され得る。本明細書で使用する分子受容体という用語は、好適な態様では、情報を受け、そしてこれを細胞、組織、臓器または生物内に伝達する分子を表す。情報は典型的には分子受容体と相互作用する分子により媒介される。相互作用の結果として、分子受容体はシグナルを生成することができる。そのようなシグナルは受容体のコンファメーション(confirmation)および/または活性の変化に基づくことができ、またはその中に現れることができる。シグナル自体は、受けた、またはそれにより処理した情報を別の形態に伝達することができる。分子受容体のコンファメーションまたは活性の変化の結果として、シグナルは好ましくは化学的、生物学的または電気的シグナルであることができる。好ましくは分子受容体は反応カスケードの一部であり、そしてさらに好ましくはシグナルカスケードの一部である。分子受容体により伝達される情報は、定量的かつ/または定量的情報、例えば化合物の存在および/またはその濃度に関する情報であることができる。
【0174】
好適な態様では、用語「代謝中間体」は、細胞中での代謝的活性により異化ならびに同化の成分として存在するそれらすべての化合物を表す。
【0175】
さらなる態様では、受容体はその化学的性質により定められる。好ましくは受容体はポリペプチド、炭水化物、核酸、脂質およびその組み合わせを含んでなる群から選択される。本明細書で使用するように、ポリペプチドという用語は、好ましくは2以上のアミノ酸からなる任意のポリマーを表す。好ましくはアミノ酸はL−アミノ酸であるが、D−アミノ酸も態様の範囲内で使用してよい。本明細書で使用する用語「核酸」は、好ましくはこの分野の当業者には知られている2以上のヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体のポリマーを表し、ここでヌクレオチドはD−ヌクレオチドまたはL−ヌクレオチドまたはその混合物である。好適な組み合わせにはグリコシル化ポリペプチドおよびグリコシル化脂質がある。
【0176】
細胞内受容体の特定の群は、ATフックを結合する転写因子およびDNA結合タンパク質である。転写因子の例を以下の表1に与える:
【0177】
【表1】

【0178】
【表2】

【0179】
【表3】

【0180】
【表4】

【0181】
【表5】

【0182】
【表6】

【0183】
【表7】

【0184】
【表8】

【0185】
【表9】

【0186】
細胞内受容体のさらなる群は、以下の表2に掲げる細胞内標的分子である。
【0187】
【表10】

【0188】
【表11】

【0189】
【表12】

【0190】
さらに特に好適な細胞内受容体群は、例えば国際特許出願PCT/EP96/00716号明細書に記載されているようなHMGタンパク質、特にHMGAタンパク質である。本明細書で使用する用語、HMGAタンパク質は好ましくは以下のタンパク質全体を表す:HMGA1、HMGA1a、HMGA1bおよびHMGA2。
【0191】
HMGAタンパク質はモジュラー構造を有し、そして各々が3つのDNA結合ドメインを含んでなり、これらは“ATフック”と呼ばれ、そして図2においてDBD1〜DBD3として表され、ならびに大変酸性のC−末端領域を含んでなる。本分野の当業者には“ATフック”の1つに結合するアンタゴニストがHMGA1タンパク質およびこの2つのスプライスバリアントHMGA1AおよびHMGA1Bを認識するだけでなく(図2参照)、HMGA2のような類似のDNA−結合分子とも交差反応性を表すことが明白である。HMGA2とは別に、多くのさらなるタンパク質も”ATフック”に類似する配列を有し、そして各々の場合でさらなる受容体を形成する。そのようなタンパク質をとりわけ表3に掲げる:
【0192】
【表13】

【0193】
【表14】

【0194】
この背景に対して、本発明はまたL−核酸、そして特にシュピーゲルマーにも関し、これらは表1〜3に挙げた任意の標的分子に向けられている。
【0195】
L−核酸は細胞内で活性な作用物質として特に細胞内のそこで細胞内受容体に結合するために使用されるので、細胞内受容体とその相互作用パートナーとの間の相互作用の様々な細胞の形態が影響を受け得る。細胞内受容体の相互作用パートナーの型に依存して、L−核酸の細胞内的使用は、このようなタンパク質、核酸、脂質、炭水化物、またはタンパク質、核酸、脂質、炭水化物と互いの組み合わせ、および互いの間で相互作用の影響を受けることができるようにする。
【0196】
細胞内的な作用物質および細胞内受容体に結合する方法としてL−核酸、特にシュピーゲルマーの本発明による使用との関連では、これは好ましくはインビトロの応用、そしてインビトロの方法に関連することに注目すべきである。
【0197】
疾患の処置および/または防止のための薬剤の生産に、および/または診断目的のための薬剤の生産に、L−核酸、特にシュピーゲルマーの本発明による使用と関連して、標的分子は細胞内標的分子である。これと関連して、細胞内標的分子は防止、処置または診断されるべき疾患または病気に原因として、または原因としてではなく関与するものであるが、いかなる場合でも標的分子に特異的に結合するそのL−核酸への結合は、薬剤の場合に疾患が軽減され、防止され、または治癒され、および/または診断薬の場合は疾患またはそれらに対する素因が確立されるか、または診断され得ることを意味する。本明細書で使用するように、診断の概念には、早期診断ならびにその後の診断、特に例えば疾患の進行または疾患の段階を追跡または測定するための診断または調査を含む。標的分子は本明細書に記載するような細胞内受容体、特に転写因子、細胞内標的分子またはHMGタンパク質であることが本発明の範囲内である。本発明の範囲内で、標的分子が細胞内に存在し(すなわち細胞内)、そして疾患および/または診断に影響を有する相互作用がL−核酸、そして特にシュピーゲルマーと標的分子、すなわち受容体との間で細胞内で起こることが最も特別に好適である。また標的分子が細胞の外側に存在し、そしてL−核酸、そして特にシュピーゲルマーと標的分子、すなわち受容体との間の相互細胞が細胞外で起こることも本発明の範囲内である。
【0198】
核酸が細胞内標的分子に向けられているL−核酸を使用して生産した薬剤の使用するための適応症は、適応症が基づく各々の病原的メカニズムにおいて、細胞内標的分子の関与から当業者の見識に従う。すなわち例えばHMGAタンパク質は、これらが癌腫(とりわけ胸部、肺、皮膚、甲状腺)ならびに白血病およびリンパ腫および他の悪性腫瘍、中でも肉腫(横紋筋肉腫、骨肉腫)に関与していることが知られている。またHMGAタンパク質は、とりわけ過誤腫(胸部および肺)、脂肪組織腫瘍(脂肪腫)、唾液腺の多態性腺癌、子宮平滑筋腫、血管粘液腫、胸部の線維腺腫、子宮内膜のポリープおよびアテローム硬化性斑を含む多くの種類の間葉腫瘍で発現される。HMGAは興味深い治療薬である。HMGAの遮断は、癌を制御し、そしてその転移性の広がりを防止するための適切な出発点となり得る。本明細書に詳細に記載するように、HMGAタンパク質に向けられたL−核酸は、多数のウイルス遺伝子の転写の調節におけるHMGAタンパク質の関与、または新内膜、脈管平滑筋細胞、マクロファージおよび新血管に関連するアテローム硬化症により影響を受ける組織におけるHMGA、そして特にHMGA1の顕著な発現により、ウイルス性疾患およびアテローム硬化症の診断および/または処置にも適切である。
【0199】
驚くべきことに本発明者により見いだされたのだが、核酸、好ましくはL−核酸そして特にシュピーゲルマーは、それ自体が細胞質膜のようなリン脂質二重膜を貫通し、そして細胞内受容体との特異的相互作用という意味で細胞内で機能的になることができるので、L−核酸の浸潤の効力は影響を受け、そして特に種々の技術の使用により強化することができる。これらの技術には化学的化合物または分子の使用、ならびに物理的手段の使用を含む。種類にかかわらず、これらの技術は本明細書では一般に送達ベヒクルを指す。本発明の範囲内で、本発明者は同様にアプタマーもこの特性を現し、そしてシュピーゲルマーのように基本的に同じ目的、応用および用途のために本発明による組成物と一緒に関連させて同様に使用することができることを確立した。
【0200】
化学的化合物および分子の使用において、さらなる相違は送達するために核酸が修飾される必要があるかどうかである。送達ベヒクルを使用する目的のための修飾は、一般に送達ベヒクルが例えばリポソームの場合のような小胞、ポリペプチドベヒクル、シクロデキストリン、デンドリマー、ナノ粒子およびミクロ粒子、そしてまたポリエチレンイミンであるか、それを含む場合、必要ではない。一方、送達ベヒクルを使用する目的のための修飾は、送達ベヒクルが受容体媒介型のエンドサイトーシス、膜融合(fusogenic)ペプチド、シグナルペプチドまたは親油性コンジュゲートを使用する場合、通常、必要である。物理的技術の群には特に電気穿孔およびイオン導入法がある。化合物を細胞質膜のようなリン脂質二重膜を通して輸送するためのさらなる技術は、この分野の当業者には知られており、これは原理的には例えばアプタマーおよび/またはシュピーゲルマーのような機能的核酸の輸送にも適すると認識されるだろう。
【0201】
本発明のさまざまな観点の範囲内で使用できる個々の送達ベヒクルを、これからさらに詳細に記載する。
【0202】
リポソームは、N−[1−(2,3−ジオレオイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド(DOTMA)およびN−[1−(2,3−ジオレオイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムサルフェート(DOTAP)のような人工的カチオン性脂質からなり、ここでカチオン性基は負に荷電した核酸と相互作用し、そしてそれらの負電荷を中和する。輸送はエンドサイトーシス(PNAS,93:11493−11498,1996)を介して起こる。しかしカチオン性リポソームは細胞障害性であり、特により高濃度ではそうであり、これはそれらのインビトロおよびインビボでの使用を制限する(Biochem Biophys Res Commun,197:818,1993;Biochem Biophys Res Commun,1372:55−68,1998)。一方、両親媒性のピリジニウムに基づく脂質であるSAINT−2は、非毒性製剤である(Nucleic Acids Res,29:2079−2087,2001)。またpH感受性リポソームも可能な選択であり、これはコレステリルヘミスクシネート(CHEMS)およびジオレイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)のような両親媒性分子からなる(J Pharmacol Exp Ther,297:1129−1136,2001)。リポソームの広く様々な製剤をDass and Torchiliによる総説文献に見いだすことができる(薬剤送達(Drug Delivery),9:169−180,2002;Nat Rev Drug Disc,4:145−160,2005)。
【0203】
受容体媒介型のエンドサイトーシス(RME)を用いて、細胞膜にすでに存在する輸送メカニズムが利用される。このために、核酸は例えばポリ−L−リシン(PPL)リンカーを介して輸送体タンパク質に共有的にカップリングされる(「担体タンパク質」)。これに関連して輸送体タンパク質の選択は、細胞膜の特異的受容体に結合し、そしてエンドサイトーシスにより細胞内に蓄積する能力に依存する。このように細胞特異的輸送は実現され得る。例えばc−mycに向けられたアンチセンスホスホロチオエートは、M−14ヒトメラノーマ細胞に導入できた(Anticancer Res,17:29−35,1997)。しかしRMEによる効果的輸送は、この場合リガンドに対する受容体の親和性に依存するだけではなく、特にインビボでは細胞に関して選択された受容体の制限にも依存する。さらに選択したリガンドは輸送ベヒクルにあり得る毒性を回避するために、不活性であるか、または治療的成果に関して強化された効果を持たなければならない。このように、選択および選択した受容体のインビボでの偏在的広がりは、成功裏のRMEに基づく輸送に決定的である。さらにエンドソーム区画で核酸の封鎖がRMEに基づく輸送で観察され、これはこの方法を細胞内輸送または細胞内放出もしくは送達のためのそれほど有望ではない方法にすると思われる。すべての中で最も重要であるのは、一方またはもう一方の機能が、受容体と核酸との間のカップリングを減少しないように選択されなければならない点である(J Pharmaceutical Science,92(8):1559−1573,2003)。
【0204】
フューゾジェニックペプチドは、ペプチド−オリゴヌクレオチドコンジュゲートが細胞膜と融合し、そしてこれが細胞中への輸送を行うことを可能とするために使用された(Bioconjug Chem,9:466−475,1998;Bioconjug Chem,6:43−53,1995;Nucleic Acids Research,25:2730−2736,1997)。
【0205】
細胞質ゾルから核への核タンパク質の選択された輸送は、短いペプチド配列により媒介され、これは核局在化シグナル(NLS)と呼ばれている。すなわち種々のNLSペプチド誘導体が核酸を核に輸送するために使用され得る(Bioconjug Chem,10:1005−1012,1999;Bioconjug Chem,10:598−606,1999;Bioconjug Chem,6:101−108,1995)。さらにいわゆるシグナル輸送ペプチド(IP)もあり、これらは核酸の細胞性の取り込みを促進することができ、そして例えばカポジの繊維芽細胞増殖因子(K−FGF)から誘導することができた(Adv Drug Deliv Rev,44:35−49,2000)。
【0206】
ウイルスキャプシドに類似する小胞は、ポリペプチドのブロックにより形成することができ、これは細胞内輸送のための可能な輸送ベヒクルとして役立つことができる(Nat Materials,3(4):244−8,2004)。
【0207】
オリゴヌクレオチドの親水性特徴、およびアニオン性のホスホジエステル骨格は、細胞の透過を下げる。したがって親油性コンジュゲートは、オリゴヌクレオチドがリポタンパク質へ結合する能力を増し、これにより細胞内への送達を改善する1つの可能な方法である。最も広く調査されてきたコンジュゲートはコレステロールである(Antisense and Nucleic Acid Drug Development,12:103−128,2002)。
【0208】
シクロデキストリンは環式オリゴ糖であり、これは中心の疎水性空洞および外面に多数のヒドロキシル基を有する。したがってシクロデキストリンはすでにヒトT細胞株にアンチセンスオリゴヌクレオチドを輸送するために使用され(Antisense Res Dev,5:185−192,1995)、そしてまた免疫原性CpG配列の細胞内輸送に、および細胞内放出もしくは送達にインビボでも使用された(Biochem Pharmacol,52:1537−1544,1996)。シクロデキストリンの広い様々な製剤がDavis und Brewsterによる総説文献で与えられている(Nature Reviews Drug Discovery 3:1023−1035,2004)。
【0209】
デンドリマーは高度に分枝した高分子であり、これらは典型的にはポリアミドの反復単位からなる。分子はそれらの表面上に1級アミノ基のような官能基を持ち、これらは静電的相互作用により他の分子と相互作用する。複雑な構造の形成はこのように迅速かつ高度に再現性のある様式で起こり、これが低い細胞傷害性の複合体を導く(Nucleic Acids Research,28:4225−4231,2000;Clin Cancer Res,7:3606−3612,2001)。
【0210】
シアンアクリレートナノ粒子は、1990年代の初期からオリゴヌクレオチドの放出または送達に関して試験されてきた。オリゴヌクレオチドとナノ粒子との相互作用は、オリゴヌクレオチドのアニオン性電荷と種々の疎水性カチオン、特に荷電したナノ粒子とのイオン対を介して起こる。ポリイソヘキシルシアノアクリレート(PIHCA)、ポリイソブチルシアノアクリレート(PIBCA)またはポリヘキシルシアノアクリレート(PHCA)はナノ粒子の形成に一般的に使用されているが、多数の親油性カチオン−オリゴヌクレオチド対も試験されてきた(Pharm Res.,1:1370−1378,1994;PNAS,91:10460−10464,1994;Pharm Res,9:441−449,1992)。またナノ粒子はインビボでの使用にすでに採用されている(Biochem Biophys Res Commun,279:401−406,2000;Pharm Res,13:38−43,1996)。
【0211】
ミクロ粒子またはいわゆる微小球は、典型的にはポリ(d,1−ラクチド−コ−グリコライド)[P(LA−GA)]のような生分解性ポリマーから形成され、そしてオリゴヌクレオチドの遅延型放出に使用される(J Pharm Sci,91:790−799;2000;J Controlled Release,69:197−207,2000;J Drug Target,5:291−302,1998)。
【0212】
電気穿孔は、脂質二重膜を不安定化するために強い電場を使用し、そしてこれにより細胞膜を透過性とし、そしてこれが投与されるべき物質の細胞への輸送を行う輸送技術であり、物質はまたイオン化形態で存在することもできる(イオン導入法)。電気穿孔はオリゴヌクレオチドの経皮的輸送をエクスビボならびにインビボで行うためにもすでに成功裏に使用された(Int J Pharm,184;147−156,1999;D Drug Traget,5:275−289,1998;Pharm Res,15:1596−1602,1998;Int J Cancer,85:260−266,2000;Biochem Biophys Res Commun,212:286−292,1995;Blood,88:731−741,1996)。
【0213】
「裸」のオリゴヌクレオチドの細胞への取り込みは、高圧の使用によりインビトロおよびエクスビボで改善することができる。この技術を使用するために閉鎖系の必要性は、これがエクスビボの応用にのみ使用できることを意味する(PNAS,96:6411−6416,1999;Hum Gene Ther,10:2355−2664,1999)。
【0214】
またショク波、聴音性高圧パルスの使用は、オリゴヌクレオチドの細胞への輸送をを行う(J Mol Med,79:306−313,2001:Cancer Res,58:219−221,1998)。超音波はショク波に匹敵する聴音性技術であるが、より高い周波数(HzのかわりにMHz)およびより短い適応時間(秒から分)を使用し、そしてすでに遺伝子治療技術を支持する役割で使用されてきた(Hum Gene Ther,7:1339−1346,1996;Invest Radiol,32:723−727,1997;Ultrasound Med Bio,25:1451−1457,1999)。
【0215】
本発明のさらなる観点では、新規送達ベヒクルが提供され、これはアプタマーのような特に機能的核酸、好ましくは機能的L−核酸、そして最も特に好ましくはシュピーゲルマーの輸送に適している。送達ベヒクルはこの場合、ポリエチレンイミンに基づくミセル様またはリポソーム様構造である。以下の記載において特別となることを望まないが、本発明者は核酸がミセル様またはリポソーム様の構造中に包埋または含まれているという仮定から出発する。ポリエチレンイミンは原理的には直線状または分岐ポリエチレンイミンとして存在し、そしてまた使用されることができ、分岐した状態のポリエチレンイミンが特に好適である。さらにポリエチレンイミンは高分子量または低分子量ポリエチレンイミンとしても存在し、そしてまた使用されることができる。好ましくは高分子量ポリエチレンイミンは約800kDaの分子量を有し、そして低分子量ポリエチレンイミンは約3kDaの分子量を有する。本発明の範囲内で、約25kDaの平均分子量を有するポリエチレンイミンが好適であり、約25kDaの分子量を有する分岐ポリエチレンイミンが特に好適である。
【0216】
効果的な手段に必須ではないが、それでも本発明による送達ベヒクルにおいて、送達される核酸自体が修飾を有すれば好適である。これと関連して、修飾がPEG残基を含んでなる群から選択されるならば好適である。さらにPEG残基が約100〜10000Da、好ましくは約1200〜5000Da、さらに好ましくは約1500〜2500Da、そして最も特別に好ましくは約2000Daの分子量を有する場合、好適である。
【0217】
核酸を送達ベヒクルと混合して本発明の組成物を生成する場合、送達ベヒクルにを介して、またはそれに包装されて送達される核酸のリン酸基の総数に対するポリエチレンイミンの窒素基の総数の比は、約1〜20、好ましくは約1.5〜10、より好ましくは2〜5、そして最も特に好ましくは約2〜3に調整される。
【0218】
本発明による送達ベヒクルはこのように荷電した粒子または試薬との縮合またはパッキング、および複合体全体の荷電の随伴する変化を介して、核酸の細胞内輸送のメカニズムがアプタマーのような機能的核酸、そして特にシュピーゲルマーのようなL−核酸にも使用できるようにする。この複合体はエンドサイトーシスを介して容易に取り込まれ、そしてこれにより細胞の細胞質ゾルを通過する。この方法の欠点は、DNA/RNAの安定性およびエンドソーム区画から核酸の放出である。細胞の細胞質ゾルでは、プロテアーゼまたはヌクレアーゼの導入により、そして区画のプロトン化により強固に収縮したエンドソームからリソソームが迅速に形成される。そこでヌクレアーゼは核酸を分解する。しかしシュピーゲルマーの非天然の立体配置によりヌクレアーゼ−安定性であるために、これはシュピーゲルマーには適応されない。また核酸はリソソームの酸性環境では安定ではない。しかしこれはDNAから合成された核酸にさらによくあてはまり、RNAからの核酸にはそれほどあてはまらない。複合体全体がエキソサイトーシスにより再び迅速に細胞から輸出され、そしてゴルジ装置内で分解され、したがってわずかな核酸だけが細胞を通過する。適切なトランスフェクション系が克服しなければならない1つの困難は、この安定化ならびにエンドソームから細胞質ゾルへの核酸の放出である。安定性に関しては、RNAシュピーゲルマーは酵素により分解されないエナンチオマーであるので、真核細胞のトランスフェクションに理想的な特性を有する。
【0219】
本発明によるL−核酸の使用、そして特に本発明による組成物と関連しての使用は、L−核酸の作用機作が触媒的な取り組みではなく、わずか2、3の分子の細胞内放出が所望の効果を達成するためにすでに十分である化学量論的取り組みに基づくので、このクラスの活性物質に特に重要である。この程度で、本発明は従来技術の技法によりこれまでに満たされなかった必要性を満たす。
【0220】
本発明による送達ベヒクルにより提供され、そして作り上げられたトランスフェクション系は、核酸および分岐ポリエチレンイミン(PEI)からのミセルの形成に基づく。核酸のホスホジエステル骨格は、PEIの遊離窒素位と相互作用し、そして架橋結合を介して小さいミセルを形成し、これはPEIにより正電荷を有する。これらのミセルは形質膜の収縮により細胞からエンドソームとして容易に取り込まれる。ここで今PEIは流入するプロトンを緩衝し、この結果、エンドソーム内部の多くのクロライドイオンが浸透圧により区画の膨潤を導く。このPEIの効果はプロトンスポンジ効果として文献に記載され、そして最終的にはエンドソームの崩壊およびシュピーゲルマーの細胞質ゾルへの放出を導く。(Pharm Res,22(3):373−80,2005;Eur J Cell Biol 83(3):97−111,2004;Gene Ther 9(24):1700−7,2002)。
【0221】
本発明の組成物をエーロゾルとして適用することは本発明の範囲内である。
【0222】
加えて、シュピーゲルマーは細胞内ならびに核内送達のために、そしてまた臓器−特異的送達のためにシグナルペプチドで誘導化することができる。シグナルペプチドのポリエチレンイミンへの直接的なカップリングは、臓器内または細胞中の標的化された局在化に使用することができる。
【0223】
さらに別の観点では、本発明はL−核酸、特にシュピーゲルマー、そしてより好ましくはRNAシュピーゲルマーに関し、これらはHMGAタンパク質に向けられている。HMGAタンパク質に向けられた本明細書に開示するシュピーゲルマーは、L−核酸そして特にシュピーゲルマーが細胞のリン脂質二重膜または細胞形質膜を克服でき、そしてそれらが選択された特異的結合のために、細胞内で細胞内受容体と結合するということと同様に本発明を形成する知識の特定の例である。HMGAタンパク質およびそれに向けられたL−核酸の立体配置に関して、L−核酸の細胞内使用について本明細書で言及するコメントは、本発明のこの観点と関連しても応用し(そしてその逆にも応用する)、そして不必要な反復を回避するためにここもこの点に原因があるとみなす。
【0224】
DNAに結合するホスホタンパク質のHMG(高い運動性の群)ファミリーは、哺乳動物細胞全体にクロマチンの非ヒストン成分として存在する(Grosschedl et al.,1994)。塩基性HMGタンパク質は、3つの異なるファミリー−HMGB(正式にはHMG−1/−2)、HMGN(正式にはHMG−14/−17)およびHMGAファミリーは、(正式にはHMG−I/Y/C)に細分類される。各HMGファミリーは、その特徴的な機能的配列モチーフを有する:「HMGボックス」(HMGBファミリー)、「ヌクレオソーム結合ドメイン」(HMGNファミリー)、および「ATフック」(HMGAファミリー)。
【0225】
現状の知識に従い、HMGAファミリーは2つの遺伝子、HMGA1およびHMGA2を含んでなる。3つの異なるタンパク質はHMGA1による選択的スプライシングにより発現され得るが(HMGA1a[正式には:HMG−I]、HMGA1b[正式には:HMG−Y]、HMGA1c[正式には:HMG−I/R])、一つのタンパク質(HMGA2[正式には:HMGI−C])だけがHMGA2により発現され得る。HMGA1a、HMGA1bおよびHMGA2は約100アミノ酸長のポリペプチドであり、そしてモジュラー配列組織を有する:それらは3つの強い塩基性領域(「ATフック」)を有し、これらは2重鎖AT−リッチDNAの狭く小さい溝に結合する(Reeves & Nissen 1990)。一方、C−末端は多くの酸性アミノ酸を有する。タンパク質は溶液中、遊離している場合に安定な2次構造を持たず、そしてそれらはDNAまたは他のタンパク質との複合体で存在する場合に定めた立体配置を選択するだけである(Huth et al 1997)。HMGAタンパク質は哺乳動物の細胞核中で最も強力に修飾されたタンパク質に属し、そしてリン酸化され、アセチル化され、そしてメチル化される(Reeves & Beckerbauer 2001)。
【0226】
HMGAタンパク質自体は転写活性を持たないが、いわゆる構成的な(architectonic)転写因子であり、それらはそれらのタンパク質−タンパク質およびタンパク質−DNA相互作用を介して核タンパク質−DNA転写複合体の形成を組織する(Wolffe 1994)。それらはこのように多数の遺伝子の発現に調節活性化または阻害の影響を発揮する。正の調節の最も顕著な例は、IFN−βの調節におけるHMGA1の関与である(Thanos & Maniatis,1992)。すなわち例えばIFN−βプロモーターの場合、HMGA1bがNF−κBおよびATF−2のDNA二重ヘリックスへの結合を刺激し、そして同時にDNA構造をNF−κBおよびATF−2が互いに、そして恐らくは転写機構の残りとも相互作用できるように改変する(Thanos & Maniatis 1992,Du et al 1993)。アテローム硬化症の病原と関連して、さらなる転写活性化効果はHMGA1により誘導されるCD44遺伝子調節である(Foster et al 1998)。CD44は細胞表面の糖タンパク質であり、そして内皮損傷後の平滑筋細胞の移動および増殖に関与している(Jain et al 1996,Cuff et al 2001)。CD44の転写調節は、CD44プロモーター内のc−Fosおよびc−JunのAP−1結合部位への結合により誘導され、そしてHMGA1の結合により強化される。ラットでの調査は、CD44の過剰発現により、平滑筋細胞の強化された集合があり、これはアテローム硬化性損傷の形成に直接的な影響を有する(Pellacani et al 1999;Foster et al.1998;2000)。
【0227】
染色体バンド6p21.3に局在するHMGA1遺伝子、および領域12q14−15に局在するHMGA2遺伝子の発現に関する調査では、これらが主に細胞分化のプロセスで活性であることが示された。したがってこれら遺伝子の強い発現は、胚の発生中および未分化細胞(Chiappetta et al 1996)ならびに増殖因子が刺激する細胞(Friedman et al 1993;Johnson et al 1990;Ogram et al 1995;Holth et al 1997)に見いだすことができる。成体の分化した組織では、HMGA1は網膜でのみ強力に発現し、一方、HMGA2はすべての他の組織中で見いだされず、そしてHMGA1は大変低濃度で見いだされるだけである(Bussemakers et al 1991;Chiappetta et al 1996;Rogalla et al 1996;Zhou et al 1995;Chau et al 2000)。分化した正常組織中のHMGAタンパク質の再活性化発現は、脂肪細胞の成長および分化を伴う時期(Zhou et al 1995;Anand & Chada 2000;Melillo et al 2001)、脈管損傷後の血管の平滑筋細胞の増殖(Chin et al 1999)、炎症反応における免疫応答(Pellacani et al 1999)、ならびにアポトーシスプロセス(Diana et al 2001;Sgarra et al 2003)と同時である。これと関連してHMGA1の量は、細胞の増殖速度に依存して変動する(Johnson et al 1990)。
【0228】
胚発生の過程で、HMGA1発現は外胚葉、中胚葉または内胚葉起源の特異的臓器で濃縮され、一方、HMGA2は間葉組織に限定されている。現在まで、HMGA1ノックアウトマウスの表現型に関する情報は存在せず、これは恐らくこの因子の欠損が胚の発生を大変深刻に損傷したからであろう。一方、HMGA2ノックアウトマウスは少人症を現し、そして特に少ない脂肪組織を有し(Zhou et al 1995)、そしてさらに食事が誘導する肥満に抵抗する(Anand & Chada 2000)。
【0229】
最後にHMGA2およびHMGA1b発現は正常マウスの脂肪組織中で検出可能ではないが、太ったまたは糖尿病マウスの脂肪で劇的に増加し(Chada et al 2004)、これは脂肪過多/肥満症とHMGA発現との間の関連を指摘する。
【0230】
HMGA1の過剰発現は特に:
・ 細胞サイクルおよびcdc25Aのような増殖レギュレーター
・ サイトケラチン1型のような中期フィラメントマーカー
・ TRAR15のようなアポトーシスレギュレーター
・ 発癌遺伝子およびMETのような腫瘍抑制遺伝子
・ DNA修復およびDNase Xのような組換えに関する遺伝子
・ frizzled−5のような細胞運命および発生レギュレーター
・ FGFR1のような受容体
・ コラーゲン1型のような細胞接着、運動性および浸襲遺伝子
・ FGFR2のような新脈管形成レギュレーター
・ MMP−16のような浸襲レギュレーター
・ Rhoファミリーの小GTPaseおよびRhoCのようなそれらのレギュレーター
・ カドヘリン12のような細胞−細胞相互作用遺伝子
・ 増殖因子およびIL−11のようなサイトカイン
に影響する(Reeves et al 2001)。
【0231】
したがってHMGA1の異常な調節は、遺伝子発現の一般的改変を導き、そしてそれにより形質転換した、かつ/または転移性の表現型の形成に十分に寄与する。
【0232】
HMGAタンパク質は間葉および上皮腫瘍で異なる役割を果たすと思われる:悪性の上皮腫瘍では、HMGA発現はむしろ発癌の後期段階に関連し、一方、良性腫瘍は(より頻繁に間葉腫瘍に転換することはめったにない)、すでに早期に過形成中でHMGAを発現する。これは異なる胚起源の組織中でHMGAタンパク質が異なる機能を満たすという事実を指摘し、これからまた、今後さらに詳細に具体的に説明されるように、対応する疾患の診断および/または処置における本発明によるL−核酸の対応する用途が直接的に追随する。
【0233】
種々のヒトおよび動物の新生物中のHMGA1の発現を動物モデルで調査した。HMGA1の役割は、腫瘍形成(Leman et al 2003;Ram et al 1993)ならびに新生物の進行(Bussemakers et al 1991;Nestl et al 2001;Ram et al 1993)の動物モデルにおいて証明された。
【0234】
HMGA1遺伝子の上昇した発現が、以下の癌腫で示された
・ 前立腺(Bussemaker et al 1991;Tamimi et al 1996,Leman et al 2003;Nestl et al 2001)
・ 膵臓(Nestl et al 2001;Abe et al 2000,2002;Tarbe et al 2001)
・ 甲状腺(Chiappetta et al 1998,1995)
・ 頸部(Bandiera et al 1998)
・ 胃(Xiang et al 1997)
・ 胸部(Holth et al 1997;Baldassarre et al 2003;Reeves et al 2001;Nestl et al 2001;Ram et al 1993;Dolde et al 2002)
・ 結腸/直腸(Fedele et al 1996;Abe et al 1999;Kim et al 1999;Chiapetta et al 2001)
・ 卵巣(Masciullo et al 2003)

およびさらに
・ 神経芽腫(Giannini et al 2000;1999)ならびに
・ リンパ腫(Wood et al 2000a;b)。
【0235】
腫瘍の病原および転移のプロセスにおけるHMGA1遺伝子の増加した発現および役割の正確な理由は、未だに完全に解明されていない。しかし様々な実験で、予後マーカーとして各腫瘍によるHMGA1発現の強度が、その転移の潜在性と相関し、そしてこれは悪性の形質転換した細胞の独自な特徴を表すことを示す(Giancotti et al 1987)。
【0236】
さらにHMGA1に関連する(この場合、良性、間葉腫瘍)腫瘍は、染色体のHMGA1領域6p21.3での染色体の変化が特徴である。そのような異常型はこれまでに中でも以下で記載された
・ 子宮平滑筋腫(Mark et al 1988;Ozisik et al 1993)
・ 脂肪腫(Sreekantaiah et al 1990)
・ 子宮内膜ポリープ(Fletcher et al 1992;Dal Cin et al 1995)ならびに
・ 肺の軟骨様過誤腫(Fletcher et al 1991;Johansson et al 1992,1993).
【0237】
成長および増殖を制御する遺伝的メカニズムにおける異常が、発癌の主たる原因である。HMGAタンパク質の発現は、多くの論文および文献で示されてきたように腫瘍の発生と強力に関連する(Giancotti et al.1987,1989,1993)。このように有意なHMGA2発現が化学的またはウイルスで引き起こされた腫瘍ならびに自発的に生じる腫瘍で見いだされたが、このタンパク質は非形質転換細胞または健康な組織中では検出できなかった。(Giancotti et al.1989)。これと調和して、HMGA2発現の合成が特異的に遮断された発癌性レトロウイルスに感染した細胞の場合、形質転換に関する種々の表現型マーカーは存在しなかった(Berlingieri et al.1995)。
【0238】
正常ならびに病的成長におけるHMGAタンパク質の重要な役割が、マウスのモデルで解明された:HMGA2ノックアウトマウスは発育が妨げられた成長を表し、すなわち動物は野生型のマウスよりも約60%小さい。しかしこれらの小人(コビト)マウスは化学的に誘導された皮膚腫瘍に高い耐性を有する。
【0239】
この数年で、HMGA2遺伝子を含む染色体領域12q14−15の構造的異常が、間葉起源の良性腫瘍の全数に関する細胞遺伝学的調査により見いだされ、これらはヒトにおいて最大群の無害な新生物であった。多数の異常にもかかわらず(Schoenmakers et al 1995;Kottickal et al 1998;Klotzbuchel et al 1999)、改変された形は常に共通する特徴を表し:それらはすべての3つのDNA結合ドメインを保持するが、同時に酸性C−末端ドメインならびにRNAレベルで3’UTRの情報を失っている。
【0240】
そのような変化は多くの(ほとんどが良性の)間葉HMGA関連腫瘍ですでに見いだされた:
・ 子宮平滑筋腫、女性に最も多い腹部の腫瘍であり、そして米国で年間200,000例以上の子宮摘出の理由である(Heim et al 1988;Turc−Carel et al 1986;Vanni et al 1988)
・ 脂肪腫(Heim et al 1988;Turc−Carel et al 1986;Mandahl et al 1987;Sreekantaiah et al 1991;Belge et al 1992)
・ 子宮内膜ポリープ(Walter et al 1989;Vanni et al 1993;Dal Cin et al 1995)
・ 肺の軟骨様過誤腫(Fletcher et al 1991,1995;Dal Cin et al 1993)
・ 唾液腺の多形性腺腫(Mark et al 1980,1986;Bullerdiek et al 1987)
・ 血管周囲細胞腫(Mandahl et al 1993)
・ 軟骨性腫瘍(Mandahl et al 1989;Bridge et al 1992)
・ 胸部の良性腫瘍(Birdsal et al 1992;Rohen et al 1995;Staats et al 1996)
・ 浸潤性血管粘液腫(Kazmierczak et al 1995)
・ 拡散星状細胞腫
・ 骨巨細胞腫(Nuguera et al 1989)
【0241】
癌患者における死亡率および罹患率の主な原因は、体内での1次新生物の転移性の広がりである。転移は、散在性の新生物細胞による遠い臓器の成功裏のコロニー形成が、多くの段階を通して進まなければならないので単純なプロセスではない。新生物細胞は、1次新生物から放出され、血流に乗り、遠い部位に遊出され、そして最後に対応する臓器の実質で再度増殖しなければならない。プロテアーゼ、接着分子、運動性因子および脈管形成因子のようなタンパク質を発現する多くの遺伝子は、この高度に複雑な転移性カスケードの様々な段階に関与している。
【0242】
これらの遺伝子のどれが最終的に転移に関して決定的であるのかは知られていない。HMGA1遺伝子はこのプロセスを制御する最も重要な因子の1つであるが、有望な候補である。HMGA1の遺伝子産物は、成功裏の転移に重要な多くの遺伝子の転写に影響を及ぼす。例えば他の転移に関係する遺伝子は、それら自体がHMGA1発現の抑制で減少したレベルで発現されることがすでに示された(Battista 1998; Vallone 1997)。
【0243】
したがってHMGA1は、重要な治療用標的分子である。このようにHMGA1の遮断は原理的に癌を制御し、そしてその転移性の広がりを防ぐために適している(Evans 2004;Sgarra 2004)。すなわち例えばHMGA転写産物に向けられたアンチセンスRNAを使用することにより、癌細胞中の細胞増殖はインビトロで減少するか、または細胞はアポトーシスをも受けた(Masciullo 2003;Scala 2000;Chau 2003)。動物モデルでは、種々の膵臓癌外移植片の成長が遺伝子治療により劇的に減少されることが示された(HMGA転写産物に向けられたアンチセンスRNAのアデノウイルス発現)(Trapasso et al 2004)。
【0244】
HMGA1はさらに、どの患者が浸潤性癌の処置から利益を受けるかを決定するために、予後の診断マーカーとして使用することができた。悪性形質転換の程度と、発現されたHMGA1の量との間に緊密な相関がある。これは次いで前立腺癌(Tamimi 1996;Bussemakers 1991)および結腸直腸癌腫(Abe 1999)および神経芽腫(Giannini 2000)のようなヒトの癌の多くの型で良くない予後と相関し得る。
【0245】
HMGAタンパク質は多くのウイルスにより、ならびにウイルス遺伝子の発現のために宿主細胞により提供される制御因子により、またはコ−ファクターとして使用され、とりわけ
・ ヒト パポバウイルス JC(Leger et al 1995)
・ エプスタイン−バーウイルス(Schaefer et al 1997)
・ 単純ヘルペスウイルス(Panagiotidis 1999;French et al 1996)
・ HIV−1 ウイルス(Henderson et al 2000).
により使用される。
【0246】
特にHMGAタンパク質は、宿主細胞中で多数のウイルス遺伝子の転写の調節に関与する。この例はヒト パポバウイルス JC (Leger et al 1995)の初期および後期発現遺伝子の発現の調節、エプスタイン−バーウイルス(EBV)のEBNA1(エプスタイン−バーウイルスの核抗原1)遺伝子の調節(これは連帯的にウイルスの潜伏を制御する原因である(Schaefer et al 1997))、単純ヘルペスウイルス−1(HSV−1)をIE−3(前初期)遺伝子の調節(これは未熟に発現されるタンパク質ICP4をコードする(Panagiotidis et al 1999))、潜伏期中に活性であるHSV−1のプロモーター2の調節(French et al 1996)、およびヒトHIV−1 ウイルスのLTR(長い末端反復)プロモーターの調節(Henderson et al 2000)である。
【0247】
ウイルス性疾患の内容において、宿主細胞によるHMGAの要求はウイルス遺伝子の調節に限定されるだけではない。HMGA1はまた、HIV−1ウイルスの、Moloneyマウス白血病ウイルス(MoMuLv)の、および肉腫トリインフルエンザウイルス(ASV)のウイルスDNAのヒトゲノムへの組み込みにおいて、構成的コ−ファクターとして決定的な役割を果たすようであり、したがって抗ウイルス処置において興味深い治療的取り組みになると思われる(Van Maele et al.2006,Li et al 1998,Hindmarsh et al.1999)。
【0248】
ゆえにHMGAタンパク質のインヒビターも、ウイルス感染の処置及び診断に適している(Reeves & Beckerbauer 2002)。
【0249】
これまでに示したHMGAタンパク質の種々の疾患における関与、およびそれらの診断用マーカーとしての適性の結果として、L−核酸そして特にこれらのタンパク質に向けられたシュピーゲルマーは、上記疾患の防止、処置および診断に使用することができる。これに関連して特に好適なシュピーゲルマーが本明細書に記載される。これとの関連で、当業者は個々のシュピーゲルマーが特異的HMGAタンパク質に開発されてきたが、実施例2で具体的に説明するドメインへの取り組みの結果として、これらは他のHMGAタンパク質と交差反応性も可能とすることを認識し、これは図2に具体的に説明するアライメントから分かる。
【0250】
さらにこの分野の当業者は、本発明による核酸が多数の構造的モチーフを含み、これが細胞内受容体としてHMGAタンパク質に結合するシュピーゲルマーのクラスを定めると認識するだろう。種々の構造的モチーフを実施例1でさらに詳細に具体的に説明する。
【0251】
本発明による核酸は、好適な態様において本明細書で具体的に開示する配列に実質的に相同的な核酸も含んでなる。用語「実質的に相同的」という用語は、この内容においては好ましくは相同性が少なくとも75%、好ましくは85%、より好ましくは90%、そして最も好ましくは95、96、97、98または99%より高いと理解すべきである。
【0252】
さらに本発明による核酸という用語、または本発明による核酸は、本明細書に記載されるような核酸配列、またはその一部を、好ましくは核酸またはその該一部がHMGAタンパク質への結合に関与する程度まで含んでなるような核酸も含むと理解されるべきである。そのような核酸は本明細書に開示するものから、例えば短縮化(shortening)もしくは先端を切る(truncation)ことにより誘導化することができる。短縮化は本明細書に開示するように核酸の一または両端のいずれかが関与し得る。また短縮化はヌクレオチドの内部配列も関与し、すなわち5’と3’末端のヌクレオチドの間のヌクレオチド(1もしくは複数)が関与できる。さらに短縮化という用語は、本明細書に開示する核酸の配列からわずか1つの個別のヌクレオチドの削除も指すと理解されるべきである。また短縮化は本発明による核酸(1もしくは複数)の1領域より多くが関与することもでき、これとの関連でこれら各領域は、わずか1ヌクレオチド長でもよい。
【0253】
さらに本発明の核酸は、D−核酸またはL−核酸のいずれかでよい。好ましくは本発明の核酸はL−核酸である。加えて、核酸の1もしくは複数の部分がD−核酸として存在するか、あるいは少なくとも核酸の1もしくは複数の部分がL−核酸であることも可能である。核酸の「部分」という用語は、わずか1ヌクレオチドを表すと理解される。そのような核酸は一般に本明細書では、D−核酸またはL−核酸を指す。したがって好適な態様では、本発明の核酸はL−ヌクレオチドからなり、そして少なくとも1つのD−ヌクレオチドを含む。そのようなD−ヌクレオチドは、好ましくは本発明による核酸を定める領域(1もしくは複数)とは異なる部分に固定され、そして好ましくは核酸の他の部分との相互作用に関与するそのような部分に固定化されている。好ましくはそのようなD−ヌクレオチドは本発明の各領域の末端、または各核酸に固定化されている。好適な態様では、そのようなD−ヌクレオチドはスペーサーまたはリンカーとして作用することができ、これは好ましくはPEGおよびHESのような修飾を本発明の核酸に結合する。
【0254】
本発明の範囲内において、1つの態様では本発明の核酸はより長い核酸の部分であるそのような酸も含み、ここでこれらのより長い核酸は数個の部分を含むことができ、少なくとも一つの部分は本発明による核酸またはその部分である。これらのより長い核酸の他の部分(1もしくは複数)は、D−核酸またはL−核酸のいずれかであることができる。任意の組み合わせを本発明と一緒に、そして本発明の核酸用に本明細書に記載したような目的および用途に使用することができる。より長い核酸の他の部分(1もしくは複数)は、結合機能、そして特にHMGAタンパク質への結合とは異なる機能を有することができる。可能な機能は、例えば固定化、架橋結合、検出、増幅、修飾または分子量を上げる目的のために他の分子との相互作用を可能にすることである。
【0255】
特にこれとの関連で本明細書で使用するL−核酸は、L−ヌクレオチドからなる、そして好ましくはL−ヌクレオチドから完全になる核酸である。
【0256】
したがって、特に本明細書で使用するD−核酸は、D−ヌクレオチドからなる、そして好ましくはD−ヌクレオチドから完全になる核酸である。
【0257】
本発明の核酸がD−ヌクレオチド、L−ヌクレオチドまたは2つの組み合わせからなるかどうかにかかわらず、組み合わせは例えば無作為な組み合わせであるか、または少なくとも1つのL−ヌクレオチドおよび少なくとも1つのD−核酸からなる定めた配列の領域であり、核酸は1もしくは複数のデオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチドおよびそれらの組み合わせからなることができる。
【0258】
本発明のさらなる観点は、1もしくは複数の他の核酸と組み合わせた本発明の少なくとも1つの核酸からなる製薬学的組成物に関し、ここで他の核酸(1もしくは複数)は好ましくはHMGAタンパク質以外の標的分子に結合するか、または本発明による核酸の機能とは異なる機能を発揮する。
【0259】
L−核酸として本発明の核酸の構造は、幾つかの理由から有利である。L−核酸は自然に存在する核酸のエナンチオマーである。しかしD−核酸は水溶液中で、そしてヌクレアーゼの広範囲での存在により特に生物学的系内および生物学的サンプル中でそれほど安定ではない。自然に存在するヌクレアーゼ、特に動物細胞に由来するヌクレアーゼは、L−核酸を分解することができない。この結果、ヒトおよび動物体内を含むそのような系内でのL−核酸の生物学的半減期は有意に上昇する。L−核酸の分解性の欠如により、ヌクレアーゼ分解産物は生成されず、したがって生じる副作用も観察されない。この観点は実際、疾患および/または障害の処置に使用され、そしてHMGAの存在またはその原因となる関与を含むすべての他の化合物とL−核酸をはっきりと区別する。ワトソン−クリック塩基対合とは異なるメカニズムを介して標的分子に特異的に結合するL−核酸、またはL−核酸から部分的に、もしくは完全になるアプタマー、特にアプタマーの標的分子への結合に関与するアプタマーのそのような部分は、シュピーゲルマーと名付ける。
【0260】
本発明の核酸について、それらがD−核酸、L−核酸またはD−L−核酸として存在するかどうか、そしてそれらがDNAまたはRNAであるかどうかにかかわらず、一本鎖または二本鎖核酸の状態であることも本発明の範囲内である。典型的には、本発明の核酸は一本鎖核酸であり、これは1次配列により定まる2次構造を含み、それゆえに3次構造も形成することができる。しかし本発明の核酸は、互いに相補的または一部相補的である二本鎖は互いにハイブリダイズするという意味で二本鎖でもよい。これは核酸に安定性を付与し、これは核酸がL−形の代わりに自然に存在するD−形で存在する場合に特に重要となる。
【0261】
本発明の核酸は修飾することができる。そのような修飾には核酸の個々のヌクレオチドが関与でき、そして当該技術分野では周知である。そのような修飾の例はとりわけVenkatesan N.et al.(2003)Curr Med Chem.Oct;10(19):1973−91;Kusser,W.(2000)J Biotechnol,74:27−38;Aurup,H.et al.(1994)Nucleic Acids Res,22,20−4;Cummins,L.L.et al,(1995)Nucleic Acids Res,23,2019−24;Eaton,B.E.et al.(1995)Chem Biol,2,633−8;Green,L.S.et al.,(1995)Chem Biol,2,683−95;Kawasaki,A.M.et al.,(1993)J Med Chem,36,831−41;Lesnik,E.A.et al.,(1993)Biochemistry,32,7832−8;Miller,L.E.et al.,(1993)J Physiol,469,213−43に記載されている。そのような修飾は、例えば核酸に含まれる個々のヌクレオチドの2’位のH原子、F原子またはO−CH基またはNH基でよい。さらに本発明の核酸は、少なくとも1つのLNAヌクレオチドを含むことができる。1つの態様では、本発明の核酸は、LNAヌクレオチド、そして好ましくは完全にLNAヌクレオチドからなる。
【0262】
1つの態様では、本発明の核酸は、複数部分(multi−part)の核酸であることができる。本明細書で使用する複数部分の核酸は、少なくとも2つの核酸鎖からなる核酸である。これら少なくとも2つの核酸鎖は機能的単位を形成し、機能的単位は標的分子に対するリガンドである。少なくとも2つの核酸鎖は、2つの鎖を生成するために核酸の開裂により、または全核酸(すなわち本発明による核酸)の第1部分に対応する核酸、そしてさらに全核酸の第2部分に対応する核酸からの合成のいずれかにより、本発明の核酸の1つから誘導することができる。開裂ならびに合成は、例として上記の2より多くの鎖が存在することができる複数部分の核酸を生成するために使用できると認識される。換言すると、少なくとも2つの核酸鎖は好ましくは、互いに相補的であり、そして互いにハイブリダイズする2つの鎖とは異なるが、ある程度の相補性が種々の核酸部分間に存在することができる。
【0263】
本発明者は、本発明の核酸が大変有利なK値範囲または解離値範囲を有し、ゆえに大変有利な結合定数を有することを確立した。結合定数を決定する1つの方法は、実施例1に記載するような平衡結合アッセイを使用することである。
【0264】
本発明の核酸のK値は、好ましくは1μM未満である。約1μMのK値が核酸と標的との非特異的結合の特徴となるはずである。当業者には認識されているように、例えば本発明の核酸のような化合物群のK値は、特定の範囲内で変動する。上に挙げた約1μMのKは、K値に関して好適な上限の値である。標的分子を結合する核酸のKに関して好適な下限値は、約ピコモル以下であることができる。HMGAに結合する個々の核酸のK値が、好ましくはこの範囲内にあることは本発明の範囲内である。好適な範囲は第1の数をこの範囲内で選び、そして第2の数をこの範囲内で選ぶことにより選択することができる。好適な上の値は0.25μM、0.1μMであり、そして好適な下の値は100nM、10nM、1nMおよび0.05nMである。
【0265】
本発明の核酸は実施例2に具体的に説明するように、好ましくはHMGA1bに溶液中、37℃で解離定数K<20mMで結合する。
【0266】
本発明による核酸は、それらが標的分子に結合できるならば任意の長さであることができる。従来技術では本発明の特異的な長さの核酸が好適であると認識される。典型的には長さは15から120ヌクレオチドの間である。また当業者には15から120の間の任意の全数が本発明の核酸に好適な可能な長さであると認識されている。本発明の核酸の長さについて好適な範囲は、約20から100ヌクレオチド、約20から80ヌクレオチド、約20から60ヌクレオチド、約20から50ヌクレオチド、そして約30から50ヌクレオチドの長さである。
【0267】
1つの態様では、本発明の核酸は修飾された形態で存在する。特に好適な修飾形態はペグ化(PEGylation)である。これには本発明の核酸の修飾にポリエチレングリコール(PEG)または他の基とのカップリングが関与する。
【0268】
本発明の核酸、特にこれらがL−核酸として存在する核酸の高い安定性により、本発明の核酸をそのような処置を必要とする患者に直接投与することが可能である。好ましくは本発明の核酸は、局所的および全身的適用に生理学的溶液として調製される。
【0269】
本明細書に記載する疾患の処置、防止および診断に本発明の核酸を直接使用することとは別に、これらは製薬学的組成物中で個別に、または他と組み合わせて存在し、または使用されることができる。したがって本発明の製薬学的組成物は、本発明の少なくとも1つの核酸および好ましくは製薬学的に許容され得る結合剤を含んでなる。そのような結合剤は任意の結合剤または当該技術分野で知られているものでよい。特にそのような結合剤は、本明細書に開示するように薬剤の生産と関連して記載されるような任意の結合剤である。さらなる態様では、製薬学的組成物はさらに製薬学的に活性な作用物質を含む。本明細書に記載する薬剤が、本明細書に記載するような製薬学的組成物を構成することは本発明の範囲内である。
【0270】
好ましくは製薬学的組成物は静脈内投与を意図している。しかしそのような製薬学組成物が筋肉内、腹腔内または皮下投与されることも本発明の範囲内である。他の投与経路は経口的または鼻内であり、これとの関連でその投与の形態は少なくとも侵襲的であるが、同時に製薬学的組成物および製薬学的に活性な作用物質の効力を保持することが好適である。
【0271】
本発明の核酸は好ましくはそのままで含まれるか、または製薬学的に許容され得る溶媒に溶解された本発明による製薬学的組成物と共に含まれる。そのような溶媒は特に水、生理学的塩水、PBSまたはグルコース溶液、特に5%グルコース溶液を含んでなる群から選択される。そのような担体は例えば水、バッファー、PBS、グルコース溶液、好ましくは5%グルコース溶液(等張性)、澱粉、糖、ゼラチンまたは任意の他の許容され得る担体物質であることができる。そのような担体は一般に本分野の当業者に知られている。
【0272】
製薬学的組成物が本発明の少なくとも1つの核酸を、限定するわけではないが本明細書に記載するコンジュゲートとしての核酸を含め、その様々な態様で含むことは本発明の範囲内である。
【0273】
さらなる態様では、薬剤はさらに製薬学的に活性な作用物質を含んでなる。そのようなさらに製薬学的に活性な作用物質は、例えばプロテアーゼインヒビター、増殖インヒビターおよび脈管形成インヒビターおよび/または細胞増殖抑制効果を有する作用物質である。あるいはまたは加えて、そのようなさらなる製薬学的に活性な作用物質はさらに本発明の核酸である。あるいは薬剤は、HMGAとは異なるか、または本発明による核酸の1つとは異なる機能を有する、標的分子に結合する少なくとも1もしくは複数の核酸を含んでなる。
【0274】
本発明の製薬学的組成物は、本明細書に記載する疾患または障害の各々を処置、診断および/または防止するために使用することができる。
【0275】
本発明のさらなる観点は、そのような処置が必要な生きている生物の処置法に関し、ここで方法には本発明による少なくとも1つの核酸の製薬学的に有効な量の投与を含む。1つの態様では、生きている生物は罹患しているか、またはそのような疾患に罹る危険性があり、疾患は本明細書に挙げる疾患であり、特に薬剤を生産するために本発明の核酸の1つを使用することと関連して記載した疾患である。
【0276】
本発明の核酸の使用は様々な疾患および状態におけるHMGAタンパク質の上記に具体的に説明した関与にすでに従うが、この観点をこれから具体的に説明する目的でさらに検討する。
【0277】
HMGAタンパク質およびそれらの遺伝子は、特に新生物疾患の診断および予後にますます関与するようになり、そして有力なバイオマーカーとして提案された。健康な組織では、HMGA1a/bタンパク質の発現レベルは検出可能であったとしても大変低い。上昇したHMGA1a/bタンパク質発現は、多数の腫瘍の表現型および大変多くの種類の癌の転移の特徴である(Sarhadi et al.2006,Balcercak et al.2005,Briese et al.2006,Chang et al.2005,Peters et al.2005,Sato et al.2005,Chiappetta et al.2004,Li et al.2004,Chuma et al.2004,Donato et al.2004,Czyz et al.2004,Kettunen et al.2004,Lee et al.2004,Chen et al.2004,Abe et al.2003,Blacerczak et al.2003,Flohr et al.2003,Masciullo et al.2003,Nam et al.2003,Pierantoni et al.2003)。高いHMGAタンパク質発現は、良くない予後および転移の形成と有意に相関する。生検およびその組織学的特性決定におけるHMGA1a/b発現レベルの検出は特にこれまでに検討した疾患および状態における、早期の検出、予後および新生物疾患の同定に対する診断的取り組みである。
【0278】
さらにHMGA1タンパク質とアテローム硬化症斑との間の関連が文献に記載されている(Schlueter et al.2005.)。HMGA1はCD44、斑の形成に関する主要な標的遺伝子の1つを調節する。これに関連して、周辺組織と比較して、新内膜(neo−intomal)、脈管平滑筋細胞、マクロファージおよび新血管のような影響を受けた領域がHMGA1の高い発現を有することが分かった。したがってHMGA1は斑の形成におけるメディエーターの1つになると考えられ、すなわち診断目的の標的分子である。
【0279】
本明細書に記載するL−核酸、そして特にHMGA1a/bに結合するシュピーゲルマーは当業者に知られている方法の範囲内であることができ、抗体と類似の方法に使用される。今まで、HMGA1に対して大変わずかに特異的(に区別し)であり、かつアフィン(affine)な抗体が同定され、そして工業的に得ることが可能である。これはHMGA1の存在しない2次構造によるものと思われ、これは抗体の生成におけるMHC複合体の適切な標的とはならない。
【0280】
しかしこの背景に対して、驚くべきことにビオチン化HMGA1a/b結合シュピーゲルマー 5’−ビオ−NOX−A50が、ウエスタンブロット法でHMGA1a/bを癌細胞株中で個別のバンドとして認識することが判明した。さらに実施例2に記載するように、組換えで発現したHMGA1bタンパク質を検出することができた。ビオチン化シュピーゲルマーの検出は、例えば西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)に結合された抗−ビオチン抗体により行われる。
【0281】
HMGA1a/bのインビボ診断はさらなる取り組みであり、ここでは本発明の核酸を使用することができる。腫瘍および転移は壊死腫瘍細胞に埋め込まれていることが多く、これが周辺組織にHMGA1a/bを放出する。細胞外HMGA1a/bの検出は、健康な組織に埋め込まれている腫瘍および転移の診断に対する1つの取り組みである。
【0282】
本明細書で好ましく使用するように、診断ツールまたは診断薬または診断手段は、直接的または間接的のいずれかでHMGAタンパク質、好ましくはHMGA1a/bを本明細書に記載するように、種々の障害および疾患と関連して検出することができる。診断ツールは本明細書に記載する任意の疾患および状態を検出および/または調査するために適する。そのような検出は本発明の核酸をHMGA1a/bに結合させることにより可能となる。そのような結合は直接的または間接的のいずれかで検出することができる。対応する方法および手段は本分野の当業者に知られている。本発明の核酸はとりわけ標識されることができ、これは本発明の核酸、好ましくはHMGAタンパク質そして好ましくはHMGA1a/bに結合された、または結合することができる核酸の検出を可能とする。そのような標識化は好ましくは放射性、酵素的および蛍光標識化を含んでなる群から選択される。原理的には抗体に関して開発されたすべての既知の試験を本発明の核酸に適合させることができ、標的分子に結合する抗体は標的分子に結合する核酸に置き換えられる。非標識化の標的分子に結合する抗体を使用する抗体試験では、検出は好ましくは放射性、酵素的または蛍光標識で修飾され、そして標的分子に結合する抗体にそのFcフラグメントで結合する2次抗体を用いて行われる。核酸、好ましくは本発明の核酸の場合、核酸はそのような標識を用いて修飾され、該標識は好ましくはビオチン、CY−3およびCY−5からなる群から選択され、そしてそのような標識はそのような標識に対して向けられた抗体、例えば抗−ビオチン抗体、抗−CY−3抗体、または抗−CY−5抗体により検出され、あるいは標識がビオチンである場合、標識はビオチンに自然に結合するストレプトアビシンもしくはアビジンにより検出される。そのような抗体、すなわちストレプトアビシンもしくはアビジンは、次いで2次抗体に類似して好ましくは対応する標識、例えば放射性、酵素的または蛍光標識で修飾される。
【0283】
さらなる態様では、本発明の核酸は第2検出剤により検出または分析され、この検出剤は分子ビーコンである。分子ビーコンの技法は本分野の当業者には既知である。簡単に述べると、これらの分子ビーコンは検出されるべき核酸プローブの逆相補的な核酸プローブであり、したがって検出されるべき核酸プローブの一部とハイブリダイズする。核酸プローブの結合後、分子ビーコンの蛍光基が互いに分離され、これが蛍光シグナルに変化を、好ましくは強度に変化を導く。この変化は存在する核酸プローブの量に相関する。
【0284】
本発明の核酸が本明細書に開示する様々な観点の範囲内でL−核酸として正しく使用され得ることは本発明の範囲内である。
【0285】
本発明の核酸は、さらに製薬学的に活性な物質の設計に出発物質として使用され得る(ドラックデザイン)。原理的には、この問題に対して2つの可能な取り組みがある。1つの取り組みは化合物のライブラリーをスクリーニングすることからなり、ここでそのような化合物のライブラリーは好ましくは低分子量化合物(低または小分子)のライブラリーである。そのようなライブラリーは本分野の当業者には知られている。1つの態様では、スクリーニングは高処理量スクリーニングである。好ましくは高処理量スクリーニングは迅速、効率的であり、そして標的分子に基づくアッセイにおいて活性物質のトライ−アンド−エラー評価として行われる。
【0286】
あるいは本発明に従い、核酸は活性物質の合理的設計に使用され得る。好ましくは活性物質の合理的設計は、製薬学的に活性な物質の候補の設計である。通常、X−線構造分析または核磁気共鳴分光法(NMR)のような方法により測定される標的分子の3次元的構造から出発して、コンピュータープログラムを使用して多数の異なる化学化合物の構造を含有するデータバンクを通して調査する。選択はコンピューターにより行われる。選択された化合物は、さらに研究室で試験される。
【0287】
活性物質の合理的設計は、その出発点として本発明の任意の核酸を取り、そして構造、特に3次元構造を含んでなり、これは本発明の核酸(1もしくは複数)の構造に類似するか、またはHMGタンパク質への結合を媒介する本発明の核酸(1もしくは複数)の構造と同一もしくはその一部である。どのような場合でも、そのような構造は本発明の核酸(1もしくは複数)と同じか、または少なくとも類似する結合挙動をも現す。さらなる段階、または別の段階のいずれかにおいて、活性物質の合理的設計では、好ましくはHMGタンパク質へ結合する核酸のこれら部分の3次元的構造は、好ましくはヌクレオチドおよび核酸とは異なる化学基により模倣される。物まねともよばれるこの模倣により、活性物質の合理的設計に出発物質として使用した核酸(1もしくは複数)とは異なる化合物が構築され得る。そのような化合物または活性物質は好ましくは小分子またはペプチドである。
【0288】
本分野の当業者に知られている競合試験を使用して化合物のライブラリーをスクリーニングする場合、適切なHMG類似体、HMGアゴニストおよびHMGアンタゴニストを見いだすことができる。そのような競合アッセイは以下のように設計することができる。本発明の核酸、好ましくはシュピーゲルマー、すなわち標的分子を結合するL−核酸は、好ましくは固相にカップリングされる。HMG類似体を同定するために、標識化HMGタンパク質を試験系に加える。あるいはHMGタンパク質も固相にカップリングされ、そして本発明の核酸を標識化することができる。有望な類似体または有望なアゴニストもしくはアンタゴニストは、シュピーゲルマーに結合するHMG分子と競合し、これが対応する標識から受けるシグナルに減少を生じる。アゴニストまたはアンタゴニストのスクリーニングには、本分野の当業者に知られている細胞培養試験系の使用を含むことができる。
【0289】
さらなる観点では、本発明の核酸はそれらのHMGタンパク質への独自の結合挙動により、標識(標識分子)の確認に使用することができる。本発明の核酸はHMGタンパク質の機能を研究するために、エクスビボの臓器モデルで使用することができる。原理的には、HMGアゴニスト/アンタゴニストが試験され得るエクスビボモデルが存在する。
【0290】
本発明によるキットは、本発明の少なくとも1もしくは複数の核酸を含んでなることができる。さらにキットは少なくとも1もしくは複数の陽性または陰性対照を含むことができる。本発明の核酸に対してスクリーニングされたか、またはこれに好ましくは液体状態で結合するHMGタンパク質を陽性対照として使用することができる。陰性対照として、とりわけその生物物理学的特性としてHMGタンパク質に類似して挙動するが、本発明の核酸により認識されないペプチド、あるいはHMGタンパク質に対して同じアミノ酸組成であるが、異なる配列を有するペプチドを使用することができる。
【0291】
さらにキットは1もしくは複数のバッファーを含むことができる。キットには種々の成分が乾燥もしくは凍結乾燥状態で、または液体に溶解された存在することができる。キットは1もしくは複数の容器(container)を含むことができ、これは次いで1もしくは複数のキットの成分を含むことができる。好ましくは容器(vessel)はキットの1もしくは複数の成分を使用する1回の実験を実施するために必要となるような反応バッチを含む。
【0292】
正反対に言及されない限り、本明細書に列挙する配列は5’−3’方向で与えられることが認められている。さらに用語「2つの区分が互いにハイブリダイズする」は、本明細書では区分がインビトロで一般的な塩基対合の法則に基づきハイブリダイズできることを意味するか、または区分が使用の条件下でハイブリダイズするか、またはハイブリダイズできるが、必ずしも互いにハイブリダイズする必要はなく、または使用の条件下でハイブリダイズした状態で存在する必要がないことを意味すると理解されることがわかる。
【0293】
本明細書に開示する核酸の様々な配列番号、化学構造、および本明細書で使用する標的分子HMGA1a/1b、実際の配列および内部参照を以下の表にまとめる。
【0294】
【表15】

【0295】
【表16】

【0296】
【表17】

【0297】
【表18】

【0298】
本発明の核酸の個別の区分に例示的に与えられる配列が無い場合、本明細書に開示する技術的教示に従い自由に選択することができ、すなわちそれらが個々の標的分子に対して必要な結合挙動を現し、かつ/または構造、特に本明細書に記載する2次構造を形成できるように選択できることは、本発明の範囲内である。
【0299】
さらに、RNA配列と同定される配列において、TがUに代わって与えられている場合、TはUを表すことになることは本発明の好適な態様の範囲内である。
【0300】
本発明はこれから以下の図面および実施例を用いてさらに詳細に記載され、これはさらなる特徴、態様および利点を開示する。これに関連して:
図1Aは、21AS−HMGA1a/bドメインに結合する−21AS−HMGA1a/bに対してインビトロ選択により生成されたアプタマーを示す。
【0301】
図1Bは、21AS−HMGA1a/bドメインに結合する−21AS−HMGA1a/bに対してインビトロ選択により生成されたアプタマーの同定された反復して存在する配列領域の表示である。
【0302】
図2は、HMGA1a/bとHMGA2との配列比較である。
【0303】
図3は、HMGA1a/b結合アプタマー NOX−fの短縮化である。
【0304】
図4は、短縮化HMGA1a/b結合アプタマー NOX−fの結合特性を表す。
【0305】
図5は、マルチウェルプレートアッセイにおいて二重鎖天然標的DNAへのHMGAの結合を測定するための競合アッセイを示す;シュピーゲルマーの結合は、組換えHMGA1bのビオチン化dsDNA(ATフックモチーフ)への結合と競合する。結合したHMGA1bの検出は、ニッケルHRPを介してHis−タグを通して行われ、これは基質を蛍光シグナルに転換する。
【0306】
図6は、競合的マルチウェルプレートアッセイにおいて、シュピーゲルマーNOX−AとシュピーゲルマーNOX−fの比較を表す(48nt;33nt);プレートアッセイでは、シュピーゲルマーNOX−AならびにシュピーゲルマーNOX−fおよびその短縮化バリアントシュピーゲルマーNOX−f33は、低いナノモル範囲で組換えHMGA1bがその天然に存在する結合パートナーへの結合を防止する。
【0307】
図7は、競合的マルチ−ウェルプレートアッセイにおいて、2kDa−PEG−カップリング化シュピーゲルマーNOX−Aならびに非機能的対照シュピーゲルマーの活性を示す:ペグ化シュピーゲルマーNOX−Aは、組換えHMGA1bのdsDNAのATフックモチーフへの結合を15nMのIC50で競合し;NOX−Aのインバース対照シュピーゲルマーは、高いシュピーゲルマー濃度でHMGA1bとの非特異的相互作用を示す。
【0308】
図8は、ウエスタンブロットを表す;固定化HMGA1bのビオチン化シュピーゲルマーによる検出;組換えHMGA1bは20kDaの大きなタンパク質のように電気泳動の場を移動し、そしてビオチン化シュピーゲルマーにより低濃度(3nM)で認識され得る(ここではNOX−Aの例を用いて);インバース対照シュピーゲルマーはHGMGA1bを認識できなかった。。
【0309】
図9は、競合マルチ−ウェルプレートアッセイにおける遊離およびペグ化シュピーゲルマーNOX−Aの活性を表す。
【0310】
図10は、“リボグリーン排除アッセイ(RiboGreen exclusion assay)”におけるミセル中へのペグ化シュピーゲルマーのパッキングの調査である。
【0311】
図11は、“リボグリーン排除アッセイ”におけるPEIシュピーゲルマーミセルの安定性を示す。
【0312】
図12は、PEIミセルにパックされたシュピーゲルマーの効率的取り組みを示し、特にミセルにパックされたシュピーゲルマーに比べて「裸」のシュピーゲルマーのトランスフェクションの比較を、シュピーゲルマーNOX−A−3’PEG2kDaの例を用いて示す:シュピーゲルマーミセルでトランスフェクトされた細胞は、低いカメラ感度の設定で(カメラ ゲイン)、純粋なシュピーゲルマーのみとインキュベーションした細胞に比べて細胞質中に強い蛍光を現した;両トランスフェクション法の効率>95%である。
【0313】
図13は、エンドソーム区画からのシュピーゲルマーの放出を表す;シュピーゲルマーミセルは、純粋なシュピーゲルマーに比べて有意に高い蛍光を現した;シュピーゲルマーミセルは点様の核周辺、およびまた細胞質分布パターンを現した;点様の分布はエンドソーム区画の局在化を示し;細胞質ゾル中および形質膜上における拡散分布は、エンドソームから放出されたシュピーゲルマーを示す。
【0314】
図14は、「裸」のシュピーゲルマーを用いた増殖アッセイである;細胞培養基中、2日後に高いシュピーゲルマー濃度でMCF−7細胞増殖の用量依存的阻害(リザズリンを介する定量)。
【0315】
図15は、NOX−A−2kDa PEGでパックしたPEIで処置した後のH1299細胞(「非小細胞肺ガン」)の増殖を表す;PEI−シュピーゲルマーミセル(N/P2.5)として適用した1μMのシュピーゲルマーでH−1299細胞の増殖の阻害;NOX−Aは対照シュピーゲルマーに比べて増殖のわずかな阻害を表した。
【0316】
図16は、定量的RT−PCRにより検出されたHMGA1a/b誘導型cdc25a遺伝子発現の阻害を表す;1μM NOX−Aシュピーゲルマーミセル(N/P2.5)によるH−1299細胞におけるcdc25a mRNA発現の特異的阻害のRT−PCRによる測定。
【0317】
図17は、シュピーゲルマーNOX−Aによるcdc25a mRNA発現の用量依存的阻害を表す:H−1299細胞におけるcdc25a mRNA発現の用量依存阻害のRT−PCRによる定量;NOX−Aシュピーゲルマーミセル(N/P2.5)は、250nMで出発して、cdc25a mRNA発現の特異的阻害を表した;濃度>4μMでは、対照シュピーゲルマーの非特異的効果が見いだされ、ならびにポリエチレンイミン(PEI)による毒性効果>10μMが見いだされた(データは示さず)。
【0318】
図18は、シュピーゲルマーNOX−Aによる裸のマウスを対象とした異種移植片モデルでの腫瘍成長の阻害を表す;2mg/kgのシュピーゲルマーミセル(N/P2.5)によるPSN−1細胞の皮下注射後の腫瘍成長の阻害。シュピーゲルマーNOX−Aは腫瘍の成長に有意な低下を生じた。
【0319】
図19は、異種移植片実験からのデータの統計的分析を表す;2mg/kgのシュピーゲルマーミセル(N/P2.5)によるPSN−1細胞の皮下注射後の腫瘍成長の阻害;エンドポイント分析および箱ヒゲ図としての表示。NOX−Aは腫瘍の成長に高度に有意な低下を生じた(PBSに比べてp=0.0098およびインバース対照シュピーゲルマーに比べてp=0.022)。
【0320】
図20は、異種移植片実験でのシュピーゲルマーNOX−Aの組織分布を表す:血漿および組織におけるシュピーゲルマーNOX−Aの分布の定量的分析;高濃度のシュピーゲルマーNOX−Aは、他の組織および血漿にくらべて腫瘍組織で検出することができた。
【0321】
図21は、異種移植片実験で最後に注射されてから24および96時間後のミセルにパックされたシュピーゲルマーおよびパックされていないシュピーゲルマーの組織分布を表す:血漿および組織での非機能的シュピーゲルマーの分布の定量的分析;他の組織および血漿に比べて腫瘍組織では、24時間および96時間後に、有意に増加した濃度のシュピーゲルマーをミセルにパックされたシュピーゲルマーの場合に検出することができた。
【0322】
図22は、異種移植片実験で最後に注射されてから24および96時間後の、ミセルにパックされたシュピーゲルマーおよびパックされていないシュピーゲルマーの血漿および腫瘍における分析を表す:血漿および腫瘍での非機能的シュピーゲルマーの分布の定量的分析;腫瘍組織では、24時間および96時間後に、有意に増加した濃度のシュピーゲルマーは、パックされていないシュピーゲルマーに比べてミセルにパックされたシュピーゲルマーの場合に検出することができた。
【実施例】
【0323】
実施例1:HMGA1a/b結合シュピーゲルマー
1.1 HMGA1a/b結合配列
HMGA1a/b結合RNAシュピーゲルマーは、−21AS−HMGA1a/bに対するインビトロ選択、そして引き続いて短縮化工程により生成した。21AS−HMGA1a/bドメインに結合する生じたアプタマーは図1Aに表す。
【0324】
1.1.1 ランキングおよびアプタマーレベル
種々のクローン(図1Aを参照)は、標準的なホスホロアミダイト合成によりアプタマー(−RNA)として調製し、そしてキナージング(kinasing)により5’末端で放射性標識した(以下参照)。次いでクローンはそれらの親和性およひ活性に関して、2種類の濃度の−バイオ−21aa HMGA1a/bで平衡結合アッセイにより分析した。
【0325】
キナージングによる放射性標識化
物質 [最終]
RNA 5μM
T4フォワード反応バッファー(インビトロジェン) 1x
T4ポリヌクレオチドキナーゼ(インビトロジェン) 10U/10μl反応バッチ
[γ−32P]−ATP 1μl/10μl反応バッチ
【0326】
反応は37℃で1時間行い、そして次いで加熱(65℃で10分)により止めた。標識化オリゴヌクレオチドから放射性ヌクレオチドの分離は、分析用ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)により行った(以下を参照)。次いで「クラッシュ−アンド−ソーク(crush−and−soak)」ゲル溶出を酢酸アンモニウムで、そして沈殿をエタノールで行った(以下を参照)。切り出した片の放射性と比較して、精製したRNAの量は、ペレットの放射性から推定された(沈殿後)。
【0327】
ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)
オリゴヌクレオチドの調製用精製には、変性PAGE用の1/2から2容量の濃縮化サンプルバッファーを反応バッチに加えた。加えて、大規模標準を必要に応じて調製し(各250pmol)、そしてサンプルバッファーに溶解した。バッチを5分間、95℃で変性させ、そして氷上で冷却した。調製用の変性7%または10%PAAゲル(200x200x1.5mm)は、600Vを40〜50Wの最大電圧でかけることにより前加熱した(約1時間)。1xTBEでカップをすすいだ後、サンプルをプロットした。分離が完了した後(50Wで50分)、ゲルは透明フィルムで保護された蛍光化薄層クロマトグラフィープレートに配置した(色素60F254)。バンドはUV光(254nm)により影として(“UVシャドーイング”)視覚化し、そして小刀で切り出した。次いで酢酸アンモニウムによる「クラッシュ−アンド−ソーク」ゲル溶出を行った。
【0328】
「クラッシュ−アンド−ソーク」ゲル溶出
PAAゲルからオリゴヌクレオチドを溶出するために、PAAゲル片を細分した後、500μlの酢酸アンモニウム(2M)をピペットチップまたはスパチュラを使用して加えた。「クラッシュ−アンド−ソーク」溶出は、サーモシェーカー(1000rpm)中で68℃で2×1.5時間行った。上清は、「ウルトラフリー(Ultrafree)−MC」小カラム(ミリポア/アミコン(Millipore/Amicon)、シュバルバッハ、ドイツ)により卓上遠心機(16,100×g)でゲル残渣を除いた。次いでRNAはこのようにして溶出し、次いでエタノール沈殿により脱塩した。
【0329】
エタノール沈殿
エタノール沈殿には、1〜2μlのグリコーゲンを沈殿助剤として使用した。2.5容量の無水エタノールを加え、そしてボルテックスで混合した後、オリゴヌクレオチドを30分間、−80℃で沈殿させ、そして16,000g、4℃で30分間遠心した。ペレットを70%エタノールで1回洗浄し、そして4℃で16,100gにて5分間遠心した。
【0330】
平衡結合アッセイで結合する等温線の記録
2pmolの各5’放射標識化アプタマーは、ビーケム(Bachem、ヴァイル アム ライン、ドイツ)により生産されたビオチン化−−HMGA1a/b−21mer(EPSEVPTPKRPRGRPKGSKNK [配列番号17]; 図2参照)中で複合化させた。濃度範囲1〜3000nMの溶液(または2点測定には、300nMおよび30nMまたは100nMおよび10nMペプチド)を、選択バッファー(10mM Tris HCl pH7.4、5mM KCl、0.8mM MgCl、0.1%Tween)中で37℃で1時間インキュベーションした。ビオチン化−HMGA1a/b−21merを含まない溶液をバックグラウンド対照とした。次いでペプチドおよび複合体を30分以内、37℃で10μlのストレプトアビジンUltraLinkゲルで固定化した。 懸濁液の放射性を測定した。上清を除去した。次いでマトリックスは1回、100μlの選択バッファーで洗浄し、次いで選択バッファーを用いて沈殿させた。放射性を測定することにより、複合体中、ビオチン化−−HMGA1a/b−21merと一緒に存在するアプタマー画分を、各ペプチド濃度について測定した。活性種の解離定数および活性分子の比率は、グラフのプロットおよび適合により決定した(GraFit、4.0.10バージョン、Erithacusソフトウェア)。
【0331】
結果
アプタマー(−RNA)として合成したすべてのクローンに関して、8〜22nMのHMGA1a/b(ビオチン化−D−HMGA1a/b−21mer)の21アミノ酸長Dフラグメントに対する結合の解離定数を、平衡結合アッセイで決定した(図1A)。
1.1.2 実施例132−B3における短縮化
すべての選択候補は、繰り返し存在する配列モチーフGGGCG または GGGUG または GGGAGを現し、これはヘリックス/幹(stem)モチーフにより5’末端および3’末端で安定化される(図3)。
【0332】
Zuker (Nucleic Acids Res. 2003 Jul 1;31(13):3406−15)に従い、RNAアプタマーの有望な構造および沈殿の分析は、予め定めた幹/ヘリックス構造が幾つかの場合で延ばされていることが示された(132−C3、132−B3、132−C4、132−E2、132−A2、132−H1、132−F1、122−G2、122−E2、図1A参照)。この幹−ヘリックス構造は、これら候補のさらなる短縮化の基礎を形成した。この候補のさらなる短縮化は、HMGA1a/bフラグメントへの結合に関して、合成−RNA沈殿分析、続いて削除分析により、最小結合モチーフを同定し、そして安定化することにより行った。これらの結合特性は、平衡結合アッセイにより決定された。示す図3は候補NOX−f(132−B3)での例により、幹構造の安定化に基づくアプタマーの短縮化を表し、これは候補132−C3、132−B3、132−C4、132−E2、132−A2、132−H1、132−F1、122−G2、122−E2 (図1Aを参照)における延長化形態に見い出すことができる。6個のヌクレオチド長の幹を有するNOX−fの32ヌクレオチド長アプタマーバリアント(NOX−f 32nt)の短縮化は、21aa HMGA1a/bフラグメントに対する結合特性に損失を導かなかった(図3および4)。5’−位の幹の第3位にアデノシンの人工的挿入は、ループアウト領域無しに7ヌクレオチド長の幹の理論的形成を導き、そして3’領域における幹の完成に役立った(NOX−f 33nt、図3および4)。HMGA1a/bの21アミノ酸長ドメインに関する平衡結合アッセイによる結合特性(親和性および活性)の測定は、これらの変化に影響されなかった。
【0333】
一方、配列132−G2、122−A1、122−C1、122−B2および122−B4は、繰り返し存在する配列モチーフ(GGGCGまたはGGGUGまたはGGGAG)の5’および3’末端に、有意に短い幹構造を有する。幹構造の短縮化は、結合の損失を導く。これらの配列で、反復配列モチーフ間(GGGCGまたはGGGUGまたはGGGAG)の、より長い中央領域で可能な短縮化は行わなかった。
【0334】
本明細書で開示するHMGAに結合する核酸のアプタマー配列の配列番号は以下の通りである:
【0335】
【表19】

【0336】
本明細書ですでに検討し、そして本分野の当業者には知られているように、L−ヌクレオチドからなるアプタマーのエナンチオマー、すなわちD−ペプチドに対して生成されたD−核酸は、D−ペプチドの鏡像エナンチオマー、すなわち自然に存在するL−ペプチドに結合する。このL−核酸は本明細書ではシュピーゲルマーとも呼び、そしてそうでなければアプタマーと原理的に同じ結合特性を現す。
【0337】
1.2 HMGA/b結合シュピーゲルマーの独自な特性
1.2.1 反復配列要素:ボックスA1およびボックスA2
配列GGGCGまたはGGGUGまたはGGGAGの反復配列要素は、HMGA1a/bに結合するすべてのシュピーゲルマーの特徴である。この配列要素は、HMGA1a/b結合シュピーゲルマーに2回現れる(図1Aおよび1B)。シュピーゲルマーの5’末端付近にある配列要素を本明細書ではボックスA1と呼ぶ。一方、シュピーゲルマーの3’末端付近にある配列要素を本明細書ではボックスA2と呼ぶ。ボックスA1およびボックスA2およびそれらの共通アライメントは、恐らくHMGA1a/b結合シュピーゲルマーの決定的特徴を表している。
【0338】
1.2.2 ボックスA1とボックスA2との間の配列区分
ボックスA1とボックスA2との間に、6〜7個の核酸または12〜22個のヌクレオチドの長さを有するいずれかの配列区分がある (図1Aおよび1B)。これらの配列区分はそれらの長さが異なるだけではないので、それらを個別に検討する。
【0339】
第1例:6〜7個のヌクレオチドを含んでなる配列区分
ボックスA1とボックスA2との間にある配列区分が6個のヌクレオチド長を有する場合、配列区分は配列UGGUUG、UGGCUG、CGGUUG、AGGUUGまたはGUGUAAを現す。1個のヌクレオチド(ウラシル)の配列CGGUUGへの挿入(これは配列CGGUUUGを導く)は、負または正のどちらの影響もシュピーゲルマーの結合特性に及ぼさない。
【0340】
第2例:12〜22個のヌクレオチドを含んでなる配列区分
ボックスA1とボックスA2との間にある配列区分が12〜22個のヌクレオチド長を有する場合、この配列区分は等しい長さの2つの配列領域を含んでなり、これは恐らく互いにハイブリダイズすることができる(ヘリックスC)。この場合、ハイブリダイゼーションは各々の場合で3〜6個のヌクレオチドにより起こる。3〜5個の非対合ヌクレオチドは、ヘリックスCを形成するヌクレオチド間に位置する。1〜3個のヌクレオチドが、ボックスA1の3’末端とヘリックスCの5’末端との間に非対合で存在する。1〜5個のヌクレオチドが、ヘリックスCの3’末端とボックスA2の5’末端との間に非対合で存在することができる。
【0341】
1.2.3 シュピーゲルマーの5’末端および3’末端の螺旋構造
すべてのHMGA1a/b結合シュピーゲルマーは、互いにハイブリダイズすることができる配列区分によりそれらの5’および3’末端に特徴がある(ヘリックスA1およびヘリックスA2、(図1Aおよび1B)。各々の場合で互いにハイブリダイズするヌクレオチドの数は、4〜8個に変動することができる。これと関連して、この恐らくは二重鎖領域が、ボックスA1の5’末端およびボックスA2の3’末端に延長することができる。そうはならないならば、ボックスA1およびボックスA2はさらに互いにハイブリダイズするヌクレオチドにより平滑化され得る(ヘリックスB1およびヘリックスB2)。これには各々の場合で4〜8個のヌクレオチドの領域が関与し得る(図1Aおよび1B)。
【0342】
本出願の基礎を形成する本発明の範囲内で、様々な種類の核酸、そして特に標的分子に結合するL−核酸が同定された。これらの種類の以下の具体的説明および記載は、本明細書でも事例として名付けるが、この程度まで本発明の必須な部分となる。各種類に関して、それらの主要な構造およびこの種類の例示的L−核酸は、L−核酸の個々の略号を使用してこれから特定する。
【0343】
事例1:132−C3、132−B3、132−C4、132−E2、132−A2、132−H1、132−F1、122−G2、132−B3、32nt、132−B3 33nt
【0344】
【化7】

【0345】
= U,C,A,G;
= G,U;
= U,C;
= U,A;
= G,A;
= G,A,U;
= G,U;
= Uまたはヌクレオチド無し;
= 0〜5個のヌクレオチド;
= 0〜6個のヌクレオチド;
= 0〜6個のヌクレオチド;
【0346】
【化8】

【0347】
=GGGCGまたはGGGUGまたはGGGAG;
ヘリックスA1およびヘリックスA2=各々の場合で4〜8個のヌクレオチド、これは互いに完全に、または一部ハイブリダイズし、ここで各場合で、ヘリックスA1およびヘリックスA2、ならびにヘリックスB1およびヘリックスB2の相互にハイブリダイズするヌクレオチドの和は、10〜12ヌクレオチドである;
ヘリックスB1およびヘリックスB2=各々の場合で4〜8個のヌクレオチド、これは互いにハイブリダイズし、ここで各場合で、ヘリックスA1およびヘリックスA2、ならびにヘリックスB1およびヘリックスB2の相互にハイブリダイズするヌクレオチドの和は、10〜12ヌクレオチドである。
【0348】
分子は5’末端および3’末端での短縮化後でも活性である。ヘリックスA1およびA2ならびに領域NN7およびGNの除去後、短縮化分子はそれらの結合特性を保持する。これは短縮化バリアント132−B3 32nt(NOX−f 32nt)および132−B3 33nt(NOX−f 33nt)について示された(図3および4を参照)。
【0349】
事例2A:132−G2、122−A1、122−C1、122−B2、122−B4
【0350】
【化9】

【0351】
=1〜5個のヌクレオチド
=3個のヌクレオチド
=3〜5個のヌクレオチド
=2〜5個のヌクレオチド
=1〜2個のヌクレオチド、好ましくはAまたはUU
【0352】
【化10】

【0353】
=GGGCGまたはGGGUGまたはGGGAG
ヘリックスA1およびヘリックスA2=各々の場合で5〜6個のヌクレオチド、これは互いに完全に、または一部ハイブリダイズし、
【0354】
【化11】

【0355】
=各々の場合で5〜6個のヌクレオチド、これは互いにハイブリダイズする。
事例2B:122−E2
【0356】
【化12】

【0357】
=2個のヌクレオチド、好ましくはCA
=2個のヌクレオチド、好ましくはAG
=4個のヌクレオチド、好ましくはGAUG
【0358】
【化13】

【0359】
=GGGCGまたはGGGUGまたはGGGAG
ヘリックスA1およびヘリックスA2 = 各々の場合で6個のヌクレオチド、これは互いにハイブリダイズし、
ヘリックスB1およびヘリックスB2 = 各々の場合で5個のヌクレオチド、これは互いにハイブリダイズし、
【0360】
【化14】

【0361】
=各々の場合で3個のヌクレオチド、これは互いにハイブリダイズする。
【0362】
実施例2:ドメインからの取り組み
2.1 競合アッセイにおけるHMGA1a/bシュピーゲルマーと組換えHMGA1bとの相互作用の測定
実施/方法
His6−標識化HMGA1bのクローニング
HMGA1bをコードする配列を有するBD−FreedomTM ORFクローンGH00552L1.0(高移動性群ATフック1)をバイオカット(BioCat)ハイデルベルグから購入した。配列はC−末端の融合を可能にするために、終止コドンがロイシンをコードするコドンに変換されるようにその中ですでに変更されていた。クローンの配列は一般に、RefSeqデータバンクにNo.NM002131で保存されている配列に対応する。HMGA1bをコードする配列を、標準的PCRにより、プライマーHMG_fwd1(TCGACACCATGGGTGAGTC、配列番号34)およびHMG_rev1(GTCTAGAAAGCTTCCCAACTG、配列番号35)を用いて増幅した。これと関連して、これによりNcoI境界を導入するためにATG後の塩基をAからGに変えた。PCR産物は製造元の使用説明に従い制限酵素NcoIおよびHindIII(両方ともNEB、フランクフルト アム メイン、ドイツ)で開裂し、そしてアガロースゲルを介して精製した。ベクターpHO2d(Fasshauer et al.(1997) J.Biol.Chem.272:28036−28041))を同様にNcoIおよびHindIIIで開裂し、そしてアガロースゲルを介して精製した。ベクターpHO2dは、T7−プロモーターの制御下で6個のヒスチジン残基(His6−タグ)の配列を用いてC−末端に融合したタンパク質の発現を可能とする(Fasshauer et al.,1997,JBC 272:28036)。
【0363】
精製し、そして開裂したPCR産物は、製造元の使用説明に応じて(MBIファーメンタス(Fermentas)、セント レオン−ロス、ドイツ)、調製したベクターに一晩、15℃でT4リガーゼを使用してライゲーションした。バクテリアDH5□株を、ライゲーション生成物で形質転換した。得られたコロニーからのプラスミドの正確さは、シークエンシングにより検査した。pHO2d/HMGA1bによりコードされる融合タンパク質HMGA1b−His6は、自然なHMGA1bタンパク質に比べて、2位にセリン(S)の代わりにグリシン(G)が、そしてC−末端グルタミン(Q)の後にロイシン(L)(上記参照)、続いて5個のさらなるアミノ酸(G S L N S)(ベクターによりコードされる)を有し、これに6個のヒスチジン(H)が結合する。
【0364】
HMG1b−His6の発現および精製
融合タンパク質の発現には、バクテリアBL21株をプラスミドpHO2d/HMGA1bで形質転換した。融合タンパク質の発現は、イソプロピルチオ−β−D−ガラクトシド(IPTG)で誘導した。4時間後、バクテリアを15分間、10,000×gで遠心し、そしてペレットをさらに使用するまで−20℃で保存した。
【0365】
融合タンパク質の抽出には、25mlの抽出バッファー(50mM NaPOバッファー、pH8.0、250mM NaCl、10mM イミダゾールおよびMiniProteaseインヒビター錠剤(ロッシュ(Roche)、マンハイム、ドイツ)中の1%n−オクチル−β,D−チオグルコピラノシド(OTG)(5時間/50ml))を、500mlのカルチャーからの凍結バクテリアペレットに加え、続いて5μlのベンゾナーゼ(グレード1;メルク(MERCK)、ダルムシュタット、ドイツ)を加え、ピペットで入れたり出したりしながら均一化し、そして5分間、室温でインキュベーションした。これに続いて15分間、10,000 x g(室温)で遠心した。上清は溝付きの(fluted)フィルターを通して濾過し、次いで洗浄バッファー(50mM NaPOバッファー、pH8.0、250mM NaCl、10mM イミダゾール、すべてメルク、ダルムシュタット、ドイツから)で平衡化したHIS−セレクトカラム(HIS−セレクトカートリッジ、シグマ(Sigma)、ダイゼンホーヘン、ドイツ)に加えた。カラムを10−15mlの洗浄バッファーで洗浄した後、融合タンパク質を溶出バッファー(洗浄バッファー中に250mMイミダゾール)で0,5−1mlサイズの画分で溶出した。タンパク質を含有する画分は、純度をゲル電気泳動(Scheager & Jagow,1987,Anal.Biochem.166:368−379に従い16%ポリアクリルアミドゲル)により精製を検査した。融合タンパク質を含む画分を精製し、必要ならば適切なバッファーを使用して透析し、そしてタンパク質測定後に再度、純度について試験した。精製された融合タンパク質はアリコートで−20℃に保存した。
【0366】
HMGA1a/bシュピーゲルマーとHMGA1b−His6との相互作用の測定
HMGA1bに対するHMGA1a/bシュピーゲルマーの親和性のさらに詳細な分析のために、96−ウェル形式に基づく試験を使用した。この試験では、HMGA1a/bシュピーゲルマーのHMGA1b−His6への結合が、HMGA1a/bへの結合部位を有するDNAオリゴヌクレオチドとの相互作用を防ぐ。このDNAオリゴヌクレオチド(dsDNA ATフック)(Fashena et al.,1992)は、ビオチン分子で1つの鎖を標識され、これを介してストレプトアビジンで被覆したプレートに結合することができる。DNAに結合したHMGA1b−His6の検出は、ニッケルで修飾した西洋ワサビペルオキシダーゼ(Nickel−HRP)を用いて行い、これは蛍光基質を変換する。このアッセイでは、シュピーゲルマーが組換えHMGA1bをその自然な結合パートナーと置き換わる。シュピーゲルマー/rHMGA1b/dsDNA ATフックの1:1:1の化学量論により、HMGA1bに関するシュピーゲルマーの親和性に関する直接的な予測を行うことができる。アッセイの原理は図5で具体的に説明する。
【0367】
この試験を行うために、100μlの全容量中に様々な濃度のシュピーゲルマーおよびHMGA1b−His6(0.36μg/ml;約30nM)を振盪しながら室温で10分間、テーパー付床板(tapered floor)プレート中でインキュベーションする。またインキュベーション溶液は:25mM Tris/HCl,pH7.0(アンビオン(Ambion)、オースチン、テキサス州、米国)、140mM KCl(アンビオン、オースチン、テキサス州、米国)、12mM NaCl(アンビオン、オースチン、テキサス州、米国)、0.8mM MgCl2(アンビオン、オースチン、テキサス州、米国)、0.25mg/ml BSA(ロッシュ、マンハイム、ドイツ)、1mM DTT(インビトロジェン、カールスルーエ、ドイツ)、18−20μg/ml ポリ(dGdC)(シグマ、ダイゼンホーヘン、ドイツ)、0.05% Tween20(ロッシュ、マンハイム、ドイツ)を含む。2μlのビオチン化DNAオリゴヌクレオチドdsDNA ATフック(5’ビオチン−TCGAAAAAAGCAAAAAAAAAAAAAAAAAACTGGC(34nt)および5’GCCAGTTTTTTTTTTTTTTTTTTGCTTTTTT(31nt)の等モル混合物;次いで150mM NaCl(アンビオン、オースチン、テキサス州、米国)中の75μM)を加え、そして振盪しながら室温でさらに10分間インキュベーションする。次いでバッチは、ストレプトアビジン(ピアス(Pierce)からのReactiBind、ボン、ドイツ)で被覆した黒い96ウェルプレートに移し、そして穏やかに振盪しながら室温で30分間インキュベーションする。この後、プレートのウェルを各回、200μlのTBSTCM(20mM Tris/HCl、pH7.6(アンビオン、オースチン、テキサス州、米国);137mM NaCl(アンビオン、オースチン、テキサス州、米国)、1mM MgCl2(アンビオン、オースチン、テキサス州、米国)、1mM CaCl2(シグマ、ダイゼンホーヘン、ドイツ)、0.05% Tween20(ロッシュ、マンハイム、ドイツ))で3回洗浄する。50μlの希釈ニッケル−HRP溶液(ExpressDetector ニッケル−HRP、(メダック(Medac)、ハンブルグ、ドイツ)(TBSTCM中、10mg/mlのBSA(ロッシュ、マンハイム、ドイツ)中の1:1000)を各ウェルに加え、そして穏やかに振盪しながら室温で1時間インキュベーションする。次いでウェルを再度3回、各回200μlのTBSTCMで洗浄する。次いで100μlの蛍光性HRP基質(QuantaBlue、ピアス、ボン、ドイツ)を各ウェルに加え、そして蛍光を15分後に測定する(ex:340/em:405nm)。
【0368】
結果
シュピーゲルマーNOX−A(50nt)、NOX−f(33nt)およびNOX−f(48nt)は、濃度依存的様式でHMGA1b−His6のビオチン化DNA−オリゴヌクレオチドへの結合と競合することが示された(図6)。約15nMのIC50がシュピーゲルマーNOX−Aについて見いだされる。
【0369】
活性シュピーゲルマーとは対照的に、NOX−Aに対するインバース配列を含む対照シュピーゲルマーは、最高0.5μMの濃度までHMGA1b−His6のDNAオリゴヌクレオチドへの結合に効果を表さず、そしてHMGA1b−His6との非特異的相互作用は、1μMより上の濃度で生じるだけである。(図7)。
【0370】
2.2 ウエスタンブロットによりHMGA1bを検出するためのシュピーゲルマーの使用
実施/方法
組換えで発現したHMGA1bは、16%PAA−トリシンゲルでのゲル電気泳動により分離し、そしてエレクトロブロッティングによりニトロセルロース膜へ移した。次いで膜を5%スキムミルクおよび1xTBST(20mM Tris/HCl pH 7.6、137mM NaCl、0.1% Tween)中、100nMの非特異的シュピーゲルマーで1時間ブロックし、そして3回、10分間、1xTBSTで洗浄した。組換えHMGA1bの検出は、5’末端でビオチン化されたシュピーゲルマーNOX−A(5’bioNOX−A).を用いて行った。5’bioNOX−Aは、1mMの各カルシウムおよびマグネシウム(TBST+Ca/Mg)および100nMの非特異的シュピーゲルマーを含む1xTBSTで希釈し、そして1.5時間インキュベーションした。次いでブロットを3回、10分間、1xTBST+Ca/Mgで洗浄し、そして結合したビオチン化シュピーゲルマーを抗−ビオチン抗体とTBST+Ca/Mg中で45分間インキュベーションした。次いでブロットを5回、10分間、1xTBST+Ca/Mgで洗浄し、そして西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)にカップリングした2次抗体を、LumiGLO検出試薬(セルシグナリングテクノロジー(Cell Signaling Technology))により検出した。
【0371】
結果
5’−末端ビオチン化シュピーゲルマーの組換えで発現したHMGA1bへの結合は、前記方法により証明された。抗体に基づく検出と同様に、5μgのHMGA1bを3nMのbio−NOX−Aを用いてブロット膜に移した後に検出した。NOX−AのインバースシュピーゲルマーはHMGA1bを認識できなかったが、これはNOX−Aの特異的結合を確認する(図8)。
【0372】
実施例3:PEI−シュピーゲルマー製剤
3.1 シュピーゲルマーのポリエチレンイミン−媒介性トランスフェクションの原理
標的分子HMGA1a/bは細胞質ゾルで発現され、そして転写因子としてその自然な結合パートナーである二本鎖DNAを細胞核中に見いだす。HMGA1a/b−媒介性の細胞応答は、シュピーゲルマーの細胞質ゾル中のHMGA1a/bへの結合により、そして細胞核中のDNAに対するATフックにより結合されたHMGA1a/bとの競合によりアンタゴナイズされるはずである。形質膜の負電荷により、DNAおよびRNA分子は細胞からの受動輸送により容易に取り込まれない。核酸による細胞内輸送に対する取り組みの1つは、全複合体の荷電を生じる荷電した粒子または試薬の縮合またはパッキングである。この複合体はエンドサイトーシスを通して容易に取り込まれ、すなわち細胞の細胞質ゾルを通過する。この方法の欠点は、DNA/RNAの安定性であり、そしてエンドソーム区画から核酸の放出である。細胞の細胞質ゾル中でリソソームは、プロテアーゼまたはヌクレアーゼの導入により収縮したエンドソームから、そして区画のプロトン化により迅速に形成される。ヌクレアーゼはそこで核酸を消化し、そしてさらに核酸は酸性媒質中で安定ではない。全複合体はエキソサイトーシスにより細胞から再度、迅速に輸出され、そしてゴルジ装置中で分解され、したがってわずかな核酸が細胞に入るだけである。適切なトランスフェクション系のための前調整の1つは、このように安定化ならびにエンドソームから細胞質ゾルへの核酸の放出である。安定性に関して、RNAシュピーゲルマーは非天然のエナンチオマーであり、それらは酵素により分解されないので、真核細胞のトランスフェクションに理想的な特性を有する。
【0373】
選択したトランスフェクション系は、分岐ポリエチレンイミン(PEI)と核酸のミセルの形成に基づく。核酸のリン酸骨格は、PEIの遊離窒素位と相互作用し、そして架橋分岐により小さいミセルを形成し、これはPEIによる正電荷を有する。これに関連して3〜800kDaの分子量を持つPEIを使用する。PEIが小さいほど、形成されるミセルも小さい。25kDaの架橋分岐化PEI(シグマ−アルドリチッチ(Aldrich)、Cat.No.40;872−7)の使用は、100nmから最高500nmのサイズのポリプレックス(polyplexe)の形成に核酸の付加を導くが、典型的なポリプレックスのサイズは100〜200nmである。原則として2:1〜5:1の窒素/ホスフェート比、場合により最高20:1が使用される。ミセル中の核酸のパッキングは、複合体のゼータ電位の変化を3のN/P比で〜(+)21mVまで生じる。複合体の正のゼータ電位を上げると、培養細胞に対する毒性が上がることが知られている。しかしこれらのミセルは、形質膜の収縮により細胞によりエンドソームとして容易に取り込まれる。ここでPEIは流入するプロトンを緩衝し、その結果、エンドソーム内部の多くのクロライドイオンが浸透圧による区画の膨潤を導く。このPEIの効果は、プロトンのスポンジ効果として文献に記載され(Sonawane et al.,JBC,2003,Vol.278; No.45(7)pp.44826−44831)、そして最終的にはエンドソームの破壊、そしてシュピーゲルマーの細胞質ゾルへの放出を導く。
【0374】
核酸−PEI複合体は、強い正の荷電により血清タンパク質との相互作用および凝集の傾向を有し、そしてまた前記の細胞毒性も現す。このように文献では高用量の核酸−PEIミセルは、ラットにおける皮下および静脈内注射後に迅速な肺への蓄積、そしてこのように塞栓症/梗塞を導く恐れがある。この問題の解決は、核酸を2kDaのポリエチレングリコール(PEG)で誘導化することである。これらの残基は、シールドのようにミセルを囲み、そして血清タンパク質への結合を防止する(Ogris et al.,Gene Therapy,1999,6(595−605)。さらにゼータ電位が+/−0mVに下げられ、これがより低い細胞毒性を導くと同時に、プロトンスポンジ効果に関するPEIの緩衝能を保持する。
【0375】
3.2 PEG2000を含むシュピーゲルマー活性
リード候補NOX−AおよびNOX−fは、3’末端のアミノ基を有するアプタマーおよびシュピーゲルマーとして人工的に生産され、次いでアミノ基を介してペグ化された。平衡結合アッセイによりペグ化はアプタマーのHMGA1a/bフラグメントへの結合特性に影響を及ぼさないことが示された。さらに組換え完全長HMGA1a/bとの競合アッセイによりシュピーゲルマーの完全長HMGA1a/bへの結合も3’末端のペグ化に非依存的であることが示された(図9)。
【0376】
3.3 シュピーゲルマーのパッキング
滅菌されたペグ化シュピーゲルマーのパッキングは、PBS中で25kDaの架橋分岐化ポリエチレンイミン(PEI)(アルドリッチ、Cat:40,872−7)を、2.5:1(N/P 2.5)の骨格のリボ核酸の絶対ホスフェートに対するPEIの絶対窒素画分の比率で加えることにより行った。滅菌されたオートクレーブ処理済PEI溶液は、200mMの遊離窒素基濃度を有し、そして1M塩酸でpH7.4に調整された。滅菌濾過したシュピーゲルマーを最高700μMの濃度にCa/Mgを含む1xPBS中に取り、そして滅菌濾過したPEIの添加後、室温で30〜60分間インキュベーションした。理想的には複合体の形成は、高濃度のシュピーゲルマーが無作為に大きな凝集物を導くので、加えるシュピーゲルマー濃度を出来る限り小さく調整して形成する。シュピーゲルマーミセルの形成は、色素排除アッセイにより測定した。このために、どのくらいのシュピーゲルマーがミセルにパッキングされる前後の色素により検出できるかを測定した。リボグリーン(RiboGreen)(M.プローブズ(Probes))を色素として使用し、そして蛍光をELISAリーダーで測定した。各場合で1μMのシュピーゲルマーを100μlの1xPBSに加え、そしてPEIの量を上げながら加え。100μlの0.2μg/μlリボグリーンを、蛍光に適した96ウェルのマイクロタイタープレートに配置し、そしてミセルバッチを室温で30分間インキュベーションした後、10μlをマイクロタイタープレートにピペットで入れた。2のN/P比から出発して、90%より多くのシュピーゲルマーがミセルとして存在した(図10)。これと関連して、PEI単独では色素の蛍光に影響を及ぼさなかった。
【0377】
3.4 シュピーゲルマーミセルの安定性
1μMのシュピーゲルマーミセルを、図11に特定した条件下で保存した。シュピーゲルマーミセルの安定性は、3.3章に記載した色素排除アッセイにより測定した。ミセルの安定性実験は、異なる媒質中ならびに異なる温度でのミセルの保存がシュピーゲルマーミセルに影響を及ぼさないことを示した。リボザイムの特性を喪失しないリボザイム/PEI複合体の凍結乾燥も文献に記載されている(Brus−C et al.,J.Control Release,2004,Feb,20,95(1),199−31)。
【0378】
3.5 シュピーゲルマーミセルの取り込み
シュピーゲルマーミセルの細胞内取り込みは、HS578T細胞の細胞培養系で樹立された。1x10のHS578T細胞は、滅菌された20mmサイズのカバークラス上で30〜40%の集密度まで成長させた。5’−標識シュピーゲルマーNOX−A−3’−PEGは2.5:1のN/P比でミセルにパックされ、1μMの濃度で細胞に加え、そして37℃で16時間インキュベーションした。シュピーゲルマーの受動的取り込みの対照として、1μMの純粋な蛍光標識シュピーゲルマーを各々の場合で細胞とインキュベーションした。次いで細胞を3回、1mlのPBSで洗浄し、そして3%パラホルムアルデヒドで30分間固定した。調製物を再度3回、1mlのPBSで洗浄し、さらに10〜20秒間、DAPI溶液(10mlの1xPBSに対する1μlストック)とインキュベーションして、細胞核中のクロマチン(chomatin)を染色し、もう一度洗浄し、そして溶液を乗せて覆った。このように調製した調製物を蛍光顕微鏡で分析した(発光488nm/吸光 514−522nm)。
【0379】
シュピーゲルマーミセルは、「裸」の非パックシュピーゲルマーと比べて高いトランスフェクション率を有することが示された(図12)。
【0380】
これと関連してトランスフェクション効率は、すべての細胞で95%より高く、そして細胞の形態に影響を及ぼさなかった。5’−FITC−カップリングシュピーゲルマーは主に細胞質ゾルで見いだされ、そして形質膜に付随した。点様の分布は、区画内への包含および放出されたシュピーゲルマーの拡散パターン点を示す。わずかなシュピーゲルマーのシグナルが細胞核で検出できただけであった。
【0381】
3.6 シュピーゲルマーの放出
H578T細胞の細胞質ゾルおよび核周辺空間におけるシュピーゲルマーの点様の分布は、細胞の区画、例えばエンドソームにおける蓄積を指摘する。これらの区画からシュピーゲルマーの放出を検査するために、個々の大きく拡大した細胞の分布パターンを分析した(図13)。シュピーゲルマーの点様の局在化に加えて、細胞質ゾルおよび形質膜上の拡散分布パターンが検出され、これはシュピーゲルマーのエンドソーム放出を指摘する。このパターンは「裸」のシュピーゲルマーの場合には見いだされなかった。
【0382】
実施例4:インビボでの生物活性
4.1PEI無しでの増殖アッセイ
MCF−7細胞の増殖に及ぼす効果
細胞分割におけるHMGA1a/bの有力な役割は、増殖アッセイにより調査した。最初に、シュピーゲルマーを高用量で「裸」の核酸として細胞培養基に加え、そして細胞の成長を経時的に追跡した。乳癌細胞株MCF−7は、HMGA1a/bの小さい(アンタゴナイジング)発現が見いだされ、そしてこれら細胞の増殖におけるHMGA1a/bの役割が既に文献に記載されたので、モデルとしてこれらの細胞を使用した。Reeves et al(Reeves−R et al.,Molecular and Cellular Biology,Jan 2001,p575−594)は、MCF−7細胞でのHMGA1a/bの過剰発現が上昇した増殖を導き、そして発現したアンチセンス構築物によるHMGA1a/bの阻害がMCF−7細胞の増殖を阻害することを示した。
【0383】
実施/方法
0.5x10のMCF−7細胞(ATCC)を平らな透明基材の96−ウェルプレート(コースター:Costar)に播種し、そして10%のウシ胎児血清(FCS)を含む100μlのRPMI1640培地中で16〜24時間培養した。次いで細胞をPBSで洗浄し、そしてさらに48時間、標準細胞培養基で培養し、滅菌濾過したシュピーゲルマーを直接添加した。これに続いて10μlのレザズリン溶液(PBS中の0.44mM)を各バッチに加え、そしてさらに37℃で2時間インキュベーションした。細胞の代謝によるレザズリンの変換は、細胞数と直接的に相関する。色の変化をFluostar Optima多検出プレートリーディングデバイス(BMG)で測定した(発光544nm、吸光590nm)。各値は、実験毎に3回測定し、そして未処理対照細胞の値を参照とした。
【0384】
結果
NOX−Aは2日後、用量依存的様式でMCF−7細胞の増殖を阻害した(n=12)(図14)。40μMで未処理細胞の約30%の値まで増殖の最大阻害が見いだされた。
【0385】
40μMの濃度まで、インバース対照シュピーゲルマーの非特異的効果は見いだされなかった。
【0386】
4.2 PEIを用いた増殖アッセイ
H−1299細胞の増殖に及ぼすシュピーゲルマーミセルの効果
実施/方法
1x10個のNCI−H−1299細胞(肺癌腫細胞;ATCC)を平らな透明基材の24−ウェルプレート(コースター)に播種し、そして10%のFCSを含む1mlのRPMI1640培地中で16〜24時間培養した。次いで細胞をPBSで2回洗浄し、そしてさらに3日間、1%FCSおよびシュピーゲルマーミセルを含有する細胞培養基で培養した。滅菌したペグ化シュピーゲルマーのパッキングは、25kDaの架橋分岐化ポリエチレンイミン(PEI)(シグマ)を、2.5:1(N/P 2.5)のリボ核酸骨格の絶対ホスフェートに対するPEIの絶対窒素画分の比率で予めPBS中で加えることにより行った。滅菌されたシュピーゲルマーを30μMの濃度で使用し、そしてPEIの添加後、室温で30〜60分間インキュベーションした。次いでシュピーゲルマーミセルは1μMに1%FCSを含有する細胞培地で希釈し、洗浄した細胞に直接加え、そして37℃で3日間インキュベーションした。
【0387】
これに続いて100μlのレザズリン溶液を各バッチに加え、そしてさらに37℃で2時間インキュベーションした。細胞の代謝によるレザズリンの変換は、細胞数と直接的に相関する。バッチから100μlを取り出し、96−ウェルプレートに移し、そして色の変化をFluostar Optima多検出プレートリーディングデバイス(BMG)で測定した(発光544nm、吸光590nm)。各値は、実験毎に2回測定し、そして未処理対照細胞の値を参照とした。
【0388】
結果
1μMのシュピーゲルマーとのPEI(N/P 2.5)の使用は、細胞増殖に最初は何の効果もなかった。細胞培養基中のFKSの量を1%未満に減少させることにより、シュピーゲルマーミセルによるトランスフェクションはH−1299細胞の増殖に影響を及ぼし、これは以前に10%FKSでは目で見ることはできなかった(図15)。恐らくFKSはわずかな効果が観察できなくなる程度まで増殖を刺激したのであろう。MCF−7細胞中のFKS濃度の減少は、3日間にわたり細胞死を導く。
【0389】
4.3 腫瘍マーカーcdc25aの阻害(PEIを用いて)
有力な発癌遺伝子cdc25aの例において、細胞周期因子のHMGA1a/b−媒介性の調節に及ぼす効果。
【0390】
Reeves et al.(Molecular and Cellular Biology,Jan 2001,p575−594)は、MCF−7細胞におけるHMGA1a/bの過剰発現を介するcDNAアレイにより、HMGA1a/bが多数の遺伝子の発現を誘導することを示した。同時に、細胞周期因子および例えばcdc25aのような増殖因子(細胞周期のG1期からS期への転移の制御において決定的な役割を果たす有力な発癌遺伝子(細胞分割周期25aホスファターゼ)として同定された)は、最高100の因子まで過剰発現する。そのような制御点の活性化は、細胞周期の進行を阻害した後、DNA修復に関与する遺伝子の転写まで、あるいはDNA損傷が不可逆的である場合、アポトーシスの誘導までのいずれかを導く。H−1299細胞はHMGA1a/bの増加した発現をすでに現したので、細胞培養試験系としてH−1299細胞がこの目的に選択された。
【0391】
実施/方法
1x10個のH−1299細胞を、平らな透明基材の床面の24−ウェルプレート(コースター)に播種し、そして10%のFCSを含むRPMI1640培地中で16〜24時間培養した(1ml容量)。次いで細胞をPBSで2回洗浄し、そしてさらに3日間、10%FCSを含有するシュピーゲルマーミセルを含む細胞培養基で培養した。滅菌したペグ化シュピーゲルマーのパッキングは、25kDaの架橋分枝化ポリエチレンイミン(PEI)(シグマ)を、2.5:1(N/P 2.5)のリボ核酸骨格の絶対ホスフェートに対するPEIの絶対窒素画分の比率で加えることにより予めPBS中で行った。滅菌されたシュピーゲルマーを30μMの濃度で使用し、そしてPEIの添加後、室温で30〜60分間インキュベーションした。次いでシュピーゲルマーミセルは1%FCSを含有する細胞培養基で個々の濃度に希釈し、洗浄した細胞に直接加え、そして37℃で3日間インキュベーションした。細胞を2回、PBSで洗浄し、そして細胞スクレーパーにより回収した。次いで細胞のmRNAは細胞からRoti−Quick−キット(ロス(Roth)、Cat.No.979.1)により単離し、そして0.2−1μgの全RNAをcdc25aおよびGAPDHのPCR用の鋳型として使用した。
【0392】
GAPDHの増幅用プライマーは、以下の通りであった:51℃のアニーリング温度で、フォワードプライマー:5’−ACATGTTCCAATATGATTCC−3’およびリバースプライマー:5−TGGACTCCACGACGTACTCAG−3’、ならびにcdc25aの増幅には59℃のアニーリング温度で、フォワードプライマー:5’−GAGGAGTCTCACCTGGAAGTACA−3’およびリバースプライマー5’−GCCATTCAAAACCAGATGCCATAA−3’。PCR条件は以下の通りであった:0.2−0.75μMのプライマー、1.5mM MgCl2および0.2mM dNTPs。各2回のPCRサイクルで5μlのアリコートをPicoGreenにより定量し、そして負荷対照としてGAPDHとの相関により評価した:このために各々の調査したサンプルに関する第1段階で、いわゆる参照遺伝子の「交差点」値(CP)を、調査した遺伝子のCP値から差し引く(dCP=CP標的遺伝子−CP参照遺伝子)。CPは定常的に定めた蛍光値に達するために必要なPCRサイクルの数と定める。同量の新たに合成されたDNAがすべての反応容器中のCPで見いだされる。この標準化後、対照(この場合GAPDH)のdCP値を、実験で試験したサンプルのdCP値から差し引く;1つはいわゆる「デルタ−デルタCT」計算モデルに達する。参照遺伝子に対して標準化され、そして標準サンプルと呼ばれる処置と対照との間のサンプルの相対的な発現の差異(比)は、計算式2−ddCPから見いだされる。
【0393】
dCP=CP(cdc25a)−CP(GAPDH)
ddCP=dCP(処理シュピーゲルマーNOX−A)−dCP(対照:PBSまたはNOX−Aインバース)
比=2−ddCP
【0394】
結果
cdc25aおよびHMGA1a/bは、RT−PCRによりMCF−7およびH−1299細胞で検出された。HMGA1a/bの低い発現を示したMCF−7細胞は、cdc25aの発現も低く、一方、HMGA1a/bおよびcdc25aはH−1299細胞で強く発現した。HMGA1a/b結合シュピーゲルマーで2日間トランスフェクトしたH−1299細胞は、cdc25a mRNAの発現の有意な用量依存的減少を導いた(図16および図17)。
【0395】
4μMの濃度まで、対照シュピーゲルマーはGAPDHにもcdc25a mRNA発現にも非特異的効果を現さなかった。これから、有力な発癌遺伝子cdc25のHMGA1a/b誘導型の過剰発現は、シュピーゲルマーにより阻害することができると結論づけることができる。
【0396】
実施例5.効力実験:異種移植モデル
インビボでの腫瘍成長に及ぼすシュピーゲルマーの効果
HMGA1a/b結合シュピーゲルマーがインビボでの腫瘍の成長を阻害するという仮説を試験するために、強力にHMGA1a/bを発現する膵臓癌腫細胞PSN−1について異種移植モデルを開発した。このモデルに基づき、治療実験は2.5のN/Pで2mg/kgのNOX−Aシュピーゲルマーミセルを用いて行った(実施例3、3.3項を参照されたい)。
【0397】
実施/方法
オスの裸マウス(NMRI:nu/nu)(群のサイズ n=8)には、各々の場合で脇に10のPSN−1細胞(ECACC)が皮下注射され、そして腫瘍の成長が22日にわたり観察された。動物は25〜27gの平均体重を有し、そして6〜8週齢であった。INV−3’PEG中の活性シュピーゲルマーNOX−A−3’PEGおよびインバース対照シュピーゲルマーは、2.5のN/P比でPEIを加えることにより上記のようにミセルにパックされた。100μlのシュピーゲルマーミセル懸濁液(3.46nmol/動物または2mg/kgに相当する)は、各々の場合で毎日、腫瘍の付近に皮下注射された。腫瘍容積および体重を1週間に3回測定した。動物は22日に屠殺され、そして血漿、肝臓、腎臓および腫瘍中のNOX−A分布が定量された。
【0398】
このために、組織をハイブリダイゼーションバッファー(0.5×SSC pH 7.0;0.5(重量/容量)% SDサルコシン酸)中で均一化し、そして10分間、4000×gで遠心した。得られた上清を−20℃でさらに使用するまで保存した。
【0399】
血漿サンプル中および組織ホモジネート中のシュピーゲルマーの量は、ハイブリダイゼーションアッセイにより調査した(Drolet et al.(2000)Pharm.Res.17:1503)。ハイブリダイゼーションアッセイは以下の原理に基づく:検出すべきシュピーゲルマー(L−RNA分子)を、固定化L−DNAオリゴヌクレオチドプローブ(=捕捉プローブNOX−A;この場合:5’−CCCATATCCACCCACGTATCAGCCTTTTTTTT−NH2−3’;HMGA1a/b−NOX−Aの5’末端に相補的)にハイブリダイズさせ、そしてビオチン化検出L−DNAプローブ(=検出用プローブNOX−A;この場合:5’ビオチン−TTTTTTTTGGCTGAAACCACCCACATGG−3’;HMGA1a/b−NOX−Aの3’末端に相補的)で検出する。このために、ストレプトアビジンアルカリホスファターゼコンジュゲートをさらなる工程で複合体に結合させる。化学発光物質を加えた後、光が生じ、そしてルミノメーターで測定する。
【0400】
オリゴヌクレオチドプローブの固定化:100μlの捕捉プローブ(カップリングバッファー中0.75pmole/ml:500mM NaHPO、pH 8.5、0.5mM EDTA)をDNA−BINDプレート(コーニング コースター)内の各ウェルに移し(プレート中に押し下げる)、そして4℃で一晩インキュベーションした。次いでプローブを3回、各回200μlのカップリングバッファーで洗浄し、そして37℃で1時間、各々の場合で200μlのブロッキングバッファー(カップリングバッファー中、0.5(重量/容量)%BSA)とインキュベーションした。再度200μlのカップリングバッファー、および3×200μlのハイブリダイゼーションバッファーで洗浄した後、プレートを検出に使用することができる。
【0401】
ハイブリダイゼーションおよび検出:10μlのEDTA血漿または組織ホモジネートを、90μlの検出バッファー(ハイブリダイゼーションバッファー中、2pmole/μlの検出用プローブ)と混合し、そして遠心した。さらなる精製は必要に応じて行った。次いでバッチを10分間、95℃で変性させ、適切に調製されたDNA−BINDウェル(上記参照)に移し、そして約40℃で45分間インキュベーションした。次いで以下の洗浄工程を行った:2×200μlのハイブリダイゼーションバッファー、そして3×200μlの1×TBS/Tween 20(20mMのTris−Cl pH7.6、137mMのNaCl、0.1(容量/容量)%のTween20)。1μlのストレプトアビジンアルカリホスファターゼコンジュゲート(プロメガ(Promega))を5mlのTBS/Tween20で希釈した。100μlの希釈したコンジュゲートを各ウェルに加え、そして室温で1時間インキュベーションした。次いで以下の洗浄工程を行った:2×200μlのTBS/Tween20、そして2×200μlのアッセイバッファー(20mM Tris−Cl pH9.8、1mM MgCl)。次いで100μlのCSPD ”レディ−−トゥ−ユース−基質(Ready−To−Use Substrate)”(アプライドバイオシステム(Applied Biosystems))を加え、室温で30分間インキュベーションし、そして化学発光をFluostar Optima多検出プレートリーディングデバイス(BMG)で測定した。
【0402】
結果
予備実験では、移植後にH−1299細胞は腫瘍がPSN−1よりもなかりゆっくりと成長し、そして個々の動物を比べると不均一な腫瘍の成長を現したので、処置実験の異種移植モデルには適当でないようであることが示された。PSN−1細胞は、22日までに活発な腫瘍の成長を現した。NOX−Aミセルは、PBS対照と比べて2mg/kgの用量でPSN−1腫瘍の成長を有意に減少させることが示された(図18)。動物の体重は、シュピーゲルマーミセルでの処置による影響を受けなかった。対照シュピーゲルマーは腫瘍成長の非特異的阻害を現さず、そして同様に動物の体重に効果を及ぼさなかった。腫瘍サイズの差異は、NOX−A3’PEGミセルでの処置の10日目から、未処理動物と比べて有意、または高度に有意であった(PBS対照(スチューデントのt−検定)。22日後の終点分析では、腫瘍の成長に高度に有意な特異的減少が示された(PBSに比べてp=0.0098、そしてインバース対照シュピーゲルマーに比べてp=0.022)(図19)。PBSで処置したマウスは、2.5cmの平均腫瘍成長を示し、対照シュピーゲルマーで処置した動物は、2.6cmの平均腫瘍容積を有し、そしてNOX−Aで処置した動物は、22日後に1.2cmの平均腫瘍容積を有した(箱ヒゲ分析)。これは50%より高い腫瘍成長の減少に相当する。
【0403】
NOX−Aの組織分布の分析は、腫瘍中の高濃度を示した(図20)。
【0404】
実施例6:パックされた、およびパックされていないシュピーゲルマーのインビボ組織分布の比較
シュピーゲルマーミセルの効率的取り込みを検査するために、非機能的シュピーゲルマー(プルーフ オブ コンセプト:Proof of Concept=POC)を3’末端でPEG2kDaによりペグ化し、そして2.5の窒素/ホスフェート比(N/P)でミセルにパックした。(実施例3、3.3項を参照)。実施例5に記載するプロトコールに準じて、この取り組みはミセルにパックされたシュピーゲルマー、ならびに遊離のミセルにパックされていないシュピーゲルマーに採用した。
【0405】
実施/方法
オスの裸マウス(NMRI:nu/nu)(群のサイズn=8)を各々の場合で脇に10個のPSN−1細胞(ECACC)を皮下注射し、そして腫瘍の成長を25日にわたり観察した。動物は25〜27gの平均体重を有し、そして6〜8週齢であった。非機能的シュピーゲルマーPOC−3’PEGは、上記のようにPEIを2.5のN/P比で加えることによりミセルにパックした。ミセルにパックしなかったシュピーゲルマーPOC−3’PEGは、PEIにより媒介されない取り込みの対照として役立てた。100μlのシュピーゲルマー−ミセル懸濁液またはシュピーゲルマー溶液(1500nmole/kgおよび2000nmole/kgに相当)は毎日、腫瘍の付近に皮下注射した。腫瘍容積および体重を1週間に3回測定した。最後の注射から24および96時間後、各群から2匹の動物を屠殺し、そして血漿、脳、心臓、肺、肝臓、腎臓、胆嚢、膵臓および腫瘍中のPOC−3’PEG(パックした/非パック)の分布を定量した。
【0406】
このために、組織をハイブリダイゼーションバッファー(0.5×SSC pH 7.0;0.5(重量/容量)%SDサルコシネート)で均一化し、そして4000x gで10分間、遠心した。生じた上清はさらに使用するまで−20℃で保存した。
【0407】
血漿サンプル中および組織ホモジネート中のシュピーゲルマーの量は、ハイブリダイゼーションアッセイ(Drolet et al.(2000) Pharm.Res.17:1503)により調査した。このアッセイは以下の原理に基づく:検出するシュピーゲルマー(L−RNA分子)を、固定化L−DNAオリゴヌクレオチドプローブ(=捕捉プローブPOC;ここで:5’−NH2(C7)−TTTTTTTTTAGCTCTGCACAGCGCT−3’;POCの3’末端に相補的)上にハイブリダイズさせ、そしてビオチン化検出L−DNAプローブ(=検出用プローブPOC;ここで:5’−CCGCATCAGACCGAGTTTCCTTATTTTTTTT−ビオチン−3’;POCの5’末端に相補的)で検出する。このために、ストレプトアビジンアルカリホスファターゼコンジュゲートをさらなる工程で複合体に結合させた。化学発光基質を加えた後、光が生じ、そしてルミノメーターで測定する。
【0408】
オリゴヌクレオチドプローブの固定化:100μlのPOC捕捉プローブ(カップリングバッファー中0.75pmole/ml:500mM NaHPO pH8.5,0.5mM EDTA)を、DNA−BINDプレート(コーニング コスター)中の各ウェルに移し(プレート中に押し下げる)、そして4℃で一晩インキュベーションした。次いでプローブを3回、200μlのカップリングバッファーで洗浄し、そして37℃で1時間、200μlのブロッキングバッファー(カップリングバッファー中、0.5(重量/容量)%のBSA)とインキュベーションした。再度、200μlのカップリングバッファーおよび3×200μlのハイブリダイゼーションバッファーで洗浄した後、プレートを検出に使用することができる。
【0409】
ハイブリダイゼーションおよび検出:10μlのEDTA血漿または組織ホモジネートを、90μlの検出バッファー(ハイブリダイゼーションバッファー中、2pmole/μlのPOC検出用プローブ)と混合し、そして遠心した。さらなる精製は必要に応じて行った。次いでバッチを10分間、95℃で変性させ、適切に調製したDNA−BINDウェル(上記参照)に移し、そして約40℃で45分間、インキュベーションした。次いで以下の洗浄工程を行った:2×200μlのハイブリダイゼーションバッファー、そして3×200μlの1×TBS/Tween20(20mMのTris−Cl pH7.6,137mM NaCl,0.1(容量/容量)%のTween20)。1μlのストレプトアビジンアルカリホスファターゼコンジュゲート(プロメガ)を5mlの1×TBS/Tween20で希釈した。100μlの希釈したコンジュゲートを各ウェルに加え、そして室温で1時間インキュベーションした。次いで以下の洗浄工程を行った:2×200μlの1×TBS/Tween20、そして2×200μlの1xアッセイバッファー(20mM Tris−Cl pH 9.8,1mM MgCl)。次いで100μlのCSPD ”レディ−トゥ−ユース基質”(アプライドバイオシステムズ)を加え、室温で30分間インキュベーションし、そして化学発光をFluostar Optima多検出プレートリーディングデバイス(BMG)で測定した。
【0410】
結果
ミセルにパックされた非機能的シュピーゲルマーPOC−3’PEGの重量分布の分析は、24時間後に、非パックシュピーゲルマー(0.840 +/− 0.255pmole/mg)に比べて腫瘍組織(24.925+/−13.301pmole/mg)中で有意に高い濃度を示した(図21A)。一方、パックされたシュピーゲルマーの濃度はさらに3日後に(96時間)半分となり(11.325 +/−7.050pmole/mg)、大変少量の非パックシュピーゲルマーを検出することができただけであった(0.120 +/− 0.057pmole/mg)。
【0411】
24時間後の非パックシュピーゲルマーの血漿レベル(2.950 +/−0.438pmole/ml)は、PEI−パックシュピーゲルマーのレベルに匹敵した(1.930 +/− 2.729pmole/ml)。96時間後、明確な差異が見いだされ、ここで非パックシュピーゲルマーに比べて約4倍量のパック化シュピーゲルマーが検出された。
【0412】
両製剤について、腎臓におけるわずかな蓄積が24時間後に観察され、一方、肝臓および胆嚢におけるわずかな蓄積が非パックシュピーゲルマーで見いだされた。両製剤について96時間後、わずかな量のシュピーゲルマーが肝臓および腎臓で検出されただけであった。一方、非パックシュピーゲルマーに比べてパックされたシュピーゲルマーについて胆嚢および膵臓でわずかに上昇した値が見いだされた(しかし高い標準偏差であった)。
【0413】
まとめると、PEIの存在および不存在下で、シュピーゲルマーの重量分布に比べて(最後の注射から24および96時間後)、シュピーゲルマーミセルは非パック材料と比べて血漿および腫瘍中で有意に延長された滞在時間を有することが見いだされ(図21B)、したがってこれは細胞内標的分子に対して向けられたシュピーゲルマーの使用に対する有望な取り組みであることを表す。
【0414】
以下を引用は参照により本明細書に編入する。
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【0415】
前述の説明、請求の範囲および図面で開示された本発明の特徴は、様々なその態様で本発明を実施するために個別に、ならび組み合わせた両方で本質的となる。
【図面の簡単な説明】
【0416】
【図1A】21AS−HMGA1a/bドメインに結合する−21AS−HMGA1a/bに対してインビトロ選択により生成されたアプタマーを示す。
【図1B】21AS−HMGA1a/bドメインに結合する−21AS−HMGA1a/bに対してインビトロ選択により生成されたアプタマーの同定された反復して存在する配列領域の表示である。
【図2】HMGA1a/bとHMGA2との配列比較である。
【図3】HMGA1a/b結合アプタマー NOX−fの短縮化である。
【図4】短縮化HMGA1a/b結合アプタマー NOX−fの結合特性を表す。
【図5】マルチウェルプレートアッセイにおいて二重鎖天然標的DNAへのHMGAの結合を測定するための競合アッセイを示す。
【図6】競合的マルチウェルプレートアッセイにおいて、シュピーゲルマーNOX−AとシュピーゲルマーNOX−fの比較を表す(48nt;33nt)。
【図7】競合的マルチ−ウェルプレートアッセイにおいて、2kDa−PEG−カップリング化シュピーゲルマーNOX−Aならびに非機能的対照シュピーゲルマーの活性を示す。
【図8】ウエスタンブロットを表す。
【図9】競合マルチ−ウェルプレートアッセイにおける遊離およびペグ化シュピーゲルマーNOX−Aの活性を表す。
【図10】“リボグリーン排除アッセイ(RiboGreen exclusion assay)”におけるミセル中へのペグ化シュピーゲルマーのパッキングの調査である。
【図11】“リボグリーン排除アッセイ”におけるPEIシュピーゲルマーミセルの安定性を示す。
【図12】PEIミセルにパックされたシュピーゲルマーの効率的取り組みを示す。
【図13】エンドソーム区画からのシュピーゲルマーの放出を表す。
【図14】「裸」のシュピーゲルマーを用いた増殖アッセイである。
【図15】NOX−A−2kDa PEGでパックしたPEIで処置した後のH1299細胞(「非小細胞肺ガン」)の増殖を表す。
【図16】定量的RT−PCRにより検出されたHMGA1a/b誘導型cdc25a遺伝子発現の阻害を表す。
【図17】シュピーゲルマーNOX−Aによるcdc25a mRNA発現の用量依存的阻害を表す。
【図18】シュピーゲルマーNOX−Aによる裸のマウスを対象とした異種移植片モデルでの腫瘍成長の阻害を表す。
【図19】異種移植片実験からのデータの統計的分析を表す。
【図20】異種移植片実験でのシュピーゲルマーNOX−Aの組織分布を表す。
【図21】異種移植片実験で最後に注射されてから24および96時間後のミセルにパックされたシュピーゲルマーおよびパックされていないシュピーゲルマーの組織分布を表す。
【図22】異種移植片実験で最後に注射されてから24および96時間後の、ミセルにパックされたシュピーゲルマーおよびパックされていないシュピーゲルマーの血漿および腫瘍における分析を表す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞内で活性な作用物質としてのL−核酸の使用。
【請求項2】
L−核酸がシュピーゲルマーであることを特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項3】
L−核酸が細胞内受容体と相互作用することを特徴とする請求項1および2の1項に記載の使用。
【請求項4】
細胞内受容体が分子受容体、酵素、シャペロン分子、シグナルペプチド、細胞内構造および代謝中間体を含んでなる群から選択されることを特徴とする請求項3に記載の使用。
【請求項5】
細胞内受容体がポリペプチド、炭水化物、核酸、脂質およびその組み合わせを含んでなる群から選択されることを特徴とする請求項3に記載の使用。
【請求項6】
L−核酸が細胞内受容体と細胞内で相互作用することを特徴とする請求項3ないし5の1項に記載の使用。
【請求項7】
細胞内受容体が転写因子およびATフックを結合するDNA結合タンパク質を含んでなる群から選択されることを特徴とする請求項3ないし6の1項に記載の使用。
【請求項8】
細胞内受容体がHMGタンパク質を含んでなる群、好ましくはHMGA1、HMGA1a、HMGA1bおよびHMGA2を含んでなる群から選択されることを特徴とする請求項7に記載の使用。
【請求項9】
細胞内受容体を結合する方法であって:
−少なくとも1つの細胞内受容体を含有する細胞を準備し、
−L−核酸を準備し、そして
−細胞をL−核酸とインキュベーションする、
ことを含んでなる上記結合方法。
【請求項10】
インキュベーションが、L−核酸が細胞内で細胞内受容体に結合するような条件下で起こることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
L−核酸がシュピーゲルマーであることを特徴とする請求項9および10に記載の方法。
【請求項12】
細胞をL−核酸とインキュベーションした後に、結合、特にL−核酸と細胞内受容体の細胞内結合が起こったかどうかを決定することを特徴とする請求項9ないし11の1項に記載の方法。
【請求項13】
細胞内受容体が分子受容体、代謝中間体および酵素を含んでなる群から選択されることを特徴とする請求項9ないし12の1項に記載の方法。
【請求項14】
細胞内受容体がポリペプチド、炭水化物、核酸、脂質およびその組み合わせを含んでなる群から選択されることを特徴とする請求項9ないし13の1項に記載の方法。
【請求項15】
細胞内受容体が転写因子およびATフックを結合するDNA結合タンパク質を含んでなる群から選択されることを特徴とする請求項9ないし14の1項に記載の方法。
【請求項16】
細胞内受容体がHMGタンパク質を含んでなる群、好ましくはHMGA1、HMGA1a、HMGA1bおよびHMGA2を含んでなる群から選択されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
疾患の処置および/または防止の薬剤を製造するためのL−核酸の使用であって、薬剤の標的分子が細胞内標的分子である上記使用。
【請求項18】
細胞内受容体が分子受容体、酵素、シャペロン分子、シグナルペプチド、細胞内構造および代謝中間体を含んでなる群から選択されることを特徴とする請求項17に記載の使用。
【請求項19】
細胞内受容体がポリペプチド、炭水化物、核酸、脂質およびその組み合わせを含んでなる群から選択されることを特徴とする請求項17に記載の使用。
【請求項20】
標的分子が転写因子およびATフックを結合するDNA結合タンパク質を含んでなる群から選択されることを特徴とする請求項17ないし19の1項に記載の使用。
【請求項21】
標的分子がHMGタンパク質を含んでなる群、そして好ましくはHMGA1、HMGA1a、HMGA1bおよびHMGA2を含んでなる群から選択されることを特徴とする請求項20に記載の使用。
【請求項22】
疾患が腫瘍疾患、ウイルス感染および動脈硬化症を含んでなる群から選択されることを特徴とする、請求項20および21の1項に記載の使用。
【請求項23】
腫瘍疾患が間葉腫瘍、上皮腫瘍、良性腫瘍、悪性腫瘍および転移している腫瘍を含んでなる群から選択されることを特徴とする請求項22に記載の使用。
【請求項24】
標的分子がHMGAであり、そして疾患が前立腺、膵臓、甲状腺、頚、胃、胸、結腸/直腸、卵巣の癌腫;神経芽腫;リンパ腫、子宮平滑筋腫;脂肪腫;子宮内膜ポリープ;肺の軟骨様過誤腫;唾液腺の多形腺腫;血管周囲細胞腫:軟骨種性の腫瘍;浸潤性血管粘液腫;拡散星状細胞腫;骨巨細胞腫;皮膚ガン;バーキットリンパ腫;ルイス肺癌;白血病;非−小細胞肺癌腫;ならびに各々の場合でその転移および/または転移している形態を含んでなる群から選択される、請求項20ないし23の1項に記載の使用。
【請求項25】
動脈硬化症がHMGA1、HMGA1a、HMGA1bおよび/またはHMGA2により媒介される動脈硬化性プラークの形成により誘発または引き起こされることを特徴とする、請求項22に記載の使用。
【請求項26】
細胞内標的分子が細胞内に存在することを特徴とする請求項17ないし25の1項に記載の使用。
【請求項27】
診断目的の診断薬の製造のためのL−核酸の使用であって、診断薬の標的分子が細胞内標的分子である上記使用。
【請求項28】
細胞内受容体が分子受容体、酵素、シャペロン分子、シグナルペプチド、細胞内構造および代謝中間体を含んでなる群から選択されることを特徴とする請求項27に記載の使用。
【請求項29】
細胞内受容体がポリペプチド、炭水化物、核酸、脂質およびその組み合わせを含んでなる群から選択されることを特徴とする請求項27に記載の使用。
【請求項30】
標的分子が転写因子およびATフックを結合するDNA結合タンパク質を含んでなる群から選択されることを特徴とする請求項27ないし29の1項に記載の使用。
【請求項31】
標的分子がHMGタンパク質を含んでなる群、そして好ましくはHMGA1、HMGA1a、HMGA1bおよびHMGA2を含んでなる群から選択されることを特徴とする請求項30に記載の使用。
【請求項32】
疾患が腫瘍疾患、ウイルス感染および動脈硬化症を含んでなる群から選択されることを特徴とする、請求項30および31に記載の使用。
【請求項33】
腫瘍疾患が間葉腫瘍、上皮腫瘍、良性腫瘍、悪性腫瘍および転移している腫瘍を含んでなる群から選択されることを特徴とする請求項32に記載の使用。
【請求項34】
標的分子がHMGAであり、そして疾患が前立腺、膵臓、甲状腺、頚、胃、胸、結腸/直腸、卵巣の癌腫;神経芽腫;リンパ腫、子宮平滑筋腫;脂肪腫;子宮内膜ポリープ;肺の軟骨様過誤腫;唾液腺の多形腺腫;血管周囲細胞腫;軟骨腫性の腫瘍;浸潤性血管粘液腫;拡散星状細胞腫;骨巨細胞腫;皮膚ガン;バーキットリンパ腫;ルイス肺癌;白血病;非−小細胞肺癌腫;ならびに各々の場合でその転移および/または転移している形態を含んでなる群から選択されることを特徴とする、請求項30ないし33の1項に記載の使用。
【請求項35】
動脈硬化症がHMGA1、HMGA1a、HMGA1bおよび/またはHMGA2により媒介される動脈硬化性プラークの形成により誘発されることを特徴とする、請求項32に記載の使用。
【請求項36】
細胞内標的分子が細胞内に存在することを特徴とする請求項27ないし34の1項に記載の使用。
【請求項37】
細胞内標的分子に結合するL−核酸および送達ベヒクルを含んでなる組成物。
【請求項38】
送達ベヒクルが、L−核酸の細胞内送達に適する送達ベヒクルであることを特徴とする請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
送達ベヒクルがベヒクル、コンジュゲートおよび物理的手段を含んでなる群から選択されることを特徴とする、請求項37または38に記載の組成物。
【請求項40】
送達ベヒクルがベヒクルであり、ここでベヒクルがリポソーム、ナノ粒子、ミクロ粒子、シクロデキストリンまたはデンドリマーを含んでなる群から選択されるか、あるいはポリペプチド、ポリエチレンイミンおよび/または両親媒性分子からなる小胞であることを特徴とする、請求項39に記載の組成物。
【請求項41】
送達ベヒクルがコンジュゲートであり、コンジュゲートが受容体−ベヒクル性のエンドサイトーシスのコンジュゲート、フューゾジェニックペプチドを含むコンジュゲート、シグナルペプチドを含むコンジュゲート、核酸を含むコンジュゲート、好ましくはシュピーゲルマーを含むコンジュゲートであるか、または親油性コンジュゲートであることを特徴とする、請求項39に記載の組成物。
【請求項42】
送達ベヒクルが物理的手段であり、手段が好ましくは電気穿孔法、イオン導入法、圧、超音波およびショック波を含んでなる群から選択される、請求項39に記載の組成物。
【請求項43】
送達ベヒクルがポリエチレンイミンを含んでなることを特徴とする請求項40に記載の組成物。
【請求項44】
ポリエチレンイミンが約25kDaの分子量を有する分枝ポリエチレンイミンであることを特徴とする請求項43に記載の組成物。
【請求項45】
ポリエチレンイミンがミセルまたはミセル様構造を形成することを特徴とする請求項43または44に記載の組成物。
【請求項46】
L−核酸がシュピーゲルマーであることを特徴とする請求項37ないし45の1項に記載の組成物。
【請求項47】
シュピーゲルマーが修飾を持ち、修飾がPEG残基を含んでなる群から選択されることを特徴とする請求項46に記載の組成物。
【請求項48】
PEG残基が約1,000〜10,000Daの分子量、好ましくは約1,500〜2,500Daの分子量、そして最も好ましくは約2,000Daの分子量を有することを特徴とする、請求項47に記載の組成物。
【請求項49】
修飾がL−核酸の5’末端または3’末端に結合していることを特徴とする請求項47および48の1項に記載の組成物。
【請求項50】
組成物中、組成物に含まれる核酸のリン酸基の総数に対するポリエチレンイミンの窒素基の総数の比が、約1〜20、好ましくは約1.5〜10、より好ましくは約2〜5、そして最も好ましくは約2〜3であることを特徴とする、請求項46ないし49の1項に記載の組成物。
【請求項51】
組成物がL−核酸を細胞内に提供することを特徴とする、請求項37ないし50の1項に記載の組成物。
【請求項52】
請求項37ないし51の1項に記載の組成物、および製薬学的に許容され得る担体を含んでなる製薬学的組成物。
【請求項53】
L−核酸が請求項37ないし52の1項に記載の組成物である、請求項1ないし8の1項に記載の使用。
【請求項54】
L−核酸が請求項37ないし52の1項に記載の組成物である、請求項9ないし16の1項に記載の方法。
【請求項55】
L−核酸が請求項37ないし52の1項に記載の組成物である、請求項17ないし26の1項に記載の使用。
【請求項56】
L−核酸が請求項37ないし52の1項に記載の組成物である、請求項27ないし36の1項に記載の使用。
【請求項57】
核酸が区分ボックス A1および区分ボックス A2を含んでなり、区分ボックス A1および区分ボックス A2は中間区分により互いに連結され、そしてボックス A1およびボックス A2は互いに個別に、そして独立してGGGCG、GGGUGおよびGGGAGを含んでなる群から選択されることを特徴とするHMGA結合核酸。
【請求項58】
中間区分が、6もしくは7個のヌクレオチドを含んでなる中間区分Z1、または12〜25個のヌクレオチドを含んでなる中間区分Z2のいずれかからなることを特徴とする、請求項57に記載のHMGA結合核酸。
【請求項59】
核酸が区分ボックス A1の5’末端で第1区分を含んでなり、そして区分ボックス A2の3’末端が第2区分を含んでなり、ここで好ましくは両区分が互いに独立して各々の場合で4〜8個のヌクレオチドを含んでなることを特徴とする、請求項57または58に記載のHMGA結合核酸。
【請求項60】
2つの区分が少なくとも一部、または完全に互いにハイブリダイズし、ハイブリダイゼーションが4〜8ヌクレオチド対に延びることを特徴とする請求項59に記載のHMGA結合核酸。
【請求項61】
核酸が、区分ボックス A1の5’末端で区分ヘリックスA1を含んでなり、そして区分ボックス A2の3’末端で区分ヘリックスA2を含んでなり、ここで好ましくは区分ヘリックスA1が4〜8個のヌクレオチドを含んでなり、そして好ましくは区分ヘリックスA2が4〜8個のヌクレオチドを含んでなり、そしてここで好ましくは区分ヘリックスA1が区分ボックスA1の5’末端またはその一部に第1区分を形成し、そしてここで好ましくは区分ヘリックスA2が区分ボックスA2の3’末端またはその一部に第2区分を形成し、区分ヘリックスA1の長さが区分ヘリックスA2の長さから独立していることを特徴とする請求項59または60に記載のHMGA結合核酸。
【請求項62】
区分ヘリックスA1および区分ヘリックスA2が少なくとも一部、または完全に互いにハイブリダイズし、ハイブリダイゼーションが4〜8ヌクレオチド対に延びることを特徴とする請求項61に記載のHMGA結合核酸。
【請求項63】
区分ヘリックスA1の3’末端と区分ボックスA1の5’末端との間に、区分ヘリックスB1が整列され、そして区分ボックスA2の3’末端と区分ヘリックスA2の5’末端との間に、区分ヘリックスB2が整列され、ここで好ましくは区分ヘリックスB1およびヘリックスB2の長さが、各々の場合で個別に、そして独立して4〜8個のヌクレオチド長を含んでなることを特徴とする、請求項61または62に記載のHMGA結合核酸。
【請求項64】
区分ヘリックスB1および区分ヘリックスB2が少なくとも一部、または完全に互いにハイブリダイズし、ハイブリダイゼーションが4〜8ヌクレオチド対に延びることを特徴とする請求項63に記載のHMGA結合核酸。
【請求項65】
区分ヘリックスA1の3’末端と区分ヘリックスB1の5’末端の間に、0〜5個のヌクレオチドが整列されることを特徴とする請求項63または64に記載のHMGA結合核酸。
【請求項66】
区分ヘリックスA1の3’末端と区分ヘリックスB1の5’末端の間に、2個のヌクレオチドが整列されることを特徴とする請求項65に記載のHMGA結合核酸。
【請求項67】
区分ヘリックスB2の3’末端と区分ヘリックスA2の5’末端の間に、0〜6個のヌクレオチドが整列されることを特徴とする請求項63ないし66の1項に記載のHMGA結合核酸。
【請求項68】
区分ヘリックスB2の3’末端と区分ヘリックスA2の5’末端の間に、1個のヌクレオチドが整列されることを特徴とする請求項67に記載の、好ましくはこれが請求項66の記載を指す範囲におけるHMGA結合核酸。
【請求項69】
区分ヘリックスA1および区分ヘリックスB1のヌクレオチドの和が10〜12ヌクレオチドであり、そして区分ヘリックスA2および区分ヘリックスB2のヌクレオチドの和が10〜12ヌクレオチドである請求項63ないし68の1項に記載のHMGA結合核酸。
【請求項70】
区分ヘリックスA1と区分ヘリックスA2との、および区分ヘリックスB1と区分ヘリックスB2とのハイブリダイゼーションからハイブリダイズしたヌクレオチドの和が、10〜12ヌクレオチド対である、請求項69に記載のHMGA結合核酸。
【請求項71】
核酸が区分ヘリックスA1およびヘリックスA2を含まず、これにより区分ヘリックスB1が核酸の5’末端に整列され、そしてヘリックスB2が核酸の3’末端に整列され、ここで好ましくは区分ヘリックスB1およびヘリックスB2の長さが各々の場合で個別に、そして独立して、4〜8個のヌクレオチドの長さを含んでなることを特徴とする、請求項63ないし70の1項、好ましくは63または64に記載のHMGA結合核酸。
【請求項72】
区分ヘリックスB1および区分ヘリックスB2が少なくとも一部、または完全に互いにハイブリダイズし、ハイブリダイゼーションが4〜8ヌクレオチド対に延びる請求項71に記載のHMGA結合核酸。
【請求項73】
区分ヘリックスA1の3’末端と区分ボックスA1の5’末端の間に、1〜5個のヌクレオチドが整列され、そして区分ボックスA2の3’末端と区分ヘリックスA2の5’末端の間に、1〜3個のヌクレオチドが整列されることを特徴とする請求項61および62の1項に記載のHMGA結合核酸。
【請求項74】
区分ヘリックスB1の3’末端と区分ボックスA1の5’末端の間に、2個のヌクレオチドが整列され、そして区分ボックスA2の3’末端と区分ヘリックスB2の5’末端の間に、1〜7個のヌクレオチドが整列されることを特徴とする請求項63ないし72の1項に記載のHMGA結合核酸。
【請求項75】
中間区分Z1が6もしくは7個のヌクレオチドを含んでなることを特徴とする、各々の場合で本明細書の範囲に制限される範囲において、請求項58ないし65の1項、請求項63ないし65を引用する範囲で請求項67、請求項63ないし65および67を引用する範囲で請求項69および70、請求項63ないし65および67ならびに69および70を引用する範囲で請求項71および72、または請求項63ないし65、67、69ないし72を引用する範囲で請求項74に記載のHMGA結合核酸。
【請求項76】
中間区分Z1が配列NGNを含んでなり、ここで
=U、C、AまたはG;
=GまたはU;
=UまたはC;
=UまたはA;
=GまたはA;そして
=Uまたは不存在
であることを特徴とする、請求項75に記載のHMGA結合核酸。
【請求項77】
核酸が区分ボックスA1および区分ボックスA2を含んでなり、ここで区分ボックスA1の3’末端が中間区分Z1の5’末端に直接連結され、そして中間区分Z1の3’末端が区分ボックスA2の5’末端に直接連結されていることを特徴とする、請求項76に記載のHMGA結合核酸。
【請求項78】
核酸が区分ヘリックスB1および区分ヘリックスB2を含んでなることを特徴とする、請求項75ないし77の1項、特に請求項77に記載のHMGA結合核酸。
【請求項79】
区分ヘリックスB1および区分ヘリックスB2が各々個別に、そして互いに独立して4〜8個のヌクレオチドを含んでなり、これらは好ましくは完全に、または部分的に互いにハイブリダイズすることを特徴とする請求項78に記載のHMGA結合核酸。
【請求項80】
区分ヘリックスB1の3’末端と、区分ボックスA1の5’末端の間に、2個のヌクレオチドN、Nが5’−3’−方向に整列され、ここでNがG、AまたはUであり、そしてNがGまたはUであることを特徴とする、請求項78および79の1項に記載のHMGA結合核酸。
【請求項81】
区分ボックスA2の3’末端と、区分ヘリックスB2の5’末端の間に、ヌクレオチドが配列されないか、またはヌクレオチド配列GNが5’−3’−方向に整列され、ここでNが0〜6個のヌクレオチド、好ましくは0または6個のヌクレオチドを含んでなることを特徴とする、請求項78ないし80の1項に記載のHMGA結合核酸。
【請求項82】
核酸が区分ヘリックスA1および区分ヘリックスA2を含んでなることを特徴とする請求項75ないし81の1項に記載のHMGA結合核酸。
【請求項83】
区分ヘリックスA1および区分ヘリックスA2が各々の場合で、そして互いに独立して4〜8個のヌクレオチドを含んでなり、ここで好ましくは区分ヘリックスA1および区分ヘリックスA2は完全に、または部分的に互いにハイブリダイズすることを特徴とする請求項82に記載のHMGA結合核酸。
【請求項84】
区分ヘリックスA1の3’末端と、区分ヘリックスB1の5’末端の間に、ヌクレオチド配列Nが整列され、ここでNが0〜5個のヌクレオチドを含んでなることを特徴とする、請求項82および83の1項に記載のHMGA結合核酸。
【請求項85】
区分ヘリックスB2の3’末端と区分ヘリックスA2の5’末端との間にヌクレオチド配列Nが整列され、ここでNは0〜6個のヌクレオチドを含んでなることを特徴とする請求項82ないし84の1項に記載のHMGA結合核酸。
【請求項86】
区分ヘリックスA1と区分ヘリックスA2との、および区分ヘリックスB1と区分ヘリックスB2とのハイブリダイゼーションからハイブリダイズしたヌクレオチドの和が10〜12個のヌクレオチド対であることを特徴とする請求項78ないし85の1項に記載のHMGA結合核酸。
【請求項87】
区分ボックスA2の3’末端と、区分ヘリックスB2の5’末端の間に、ヌクレオチドGNが5’−3’−方向に整列され、ここでNが0〜6個のヌクレオチド、好ましくは0または6個のヌクレオチドを含んでなることを特徴とする、請求項81ないし86の1項に記載のHMGA結合核酸。
【請求項88】
以下の構造
【化1】

ここで
=U、C、AまたはG;
=GまたはU;
=UまたはC;
=UまたはA;
=GまたはA;
=G、AまたはU;
=GまたはU;
=Uまたはヌクレオチド無し
=0〜5個のヌクレオチド
=0または6個のヌクレオチド;そして
=0〜6個のヌクレオチド;
ここで区分ボックスA1および区分ボックスA2が各々の場合で個別に、そして互いに独立してGGGCG、GGGUGおよびGGGAGを含んでなるヌクレオチド配列の群から選択され;
区分ヘリックスA1および区分ヘリックスA2が各々の場合で個別に、そして互いに独立して4〜8個のヌクレオチドを含んでなり、ここで好ましくは区分ヘリックスA1および区分ヘリックスA2は互いに完全に、または部分的にハイブリダイズし、そして
区分ヘリックスB1および区分ヘリックスB2が各々の場合で個別に、そして互いに独立して4〜8個のヌクレオチドを含んでなり、ここで好ましくは区分ヘリックスB1および区分ヘリックスB2は互いに完全に、または部分的にハイブリダイズし、そしてハイブリダイズする領域が4〜8個のヌクレオチドを含んでなり、そしてここで区分ヘリックスA1と区分ヘリックスA2との、および区分ヘリックスB1と区分ヘリックスB2とのハイブリダイゼーションからハイブリダイズしたヌクレオチドの和が10〜12ヌクレオチド対である、を含んでなる請求項87に記載のHMGA結合核酸。
【請求項89】
配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号5、配列番号6、配列番号7および配列番号13を含んでなる群から選択される配列を含んでなる、請求項87または88に記載のHMGA結合核酸。
【請求項90】
区分ボックスA2の3’末端が区分ヘリックスB2の5’末端に直接連結されていることを特徴とする、請求項81ないし86の1項に記載のHMGA結合核酸。
【請求項91】
以下の構造
【化2】

ここで
=U、C、AまたはG;
=GまたはU;
=UまたはC;
=UまたはA;
=GまたはA;
=G、AまたはU;
=GまたはU;
=Uまたはヌクレオチド無し;
=0〜5個のヌクレオチド;そして
=0〜6個のヌクレオチド;
ここで区分ボックスA1および区分ボックスA2が各々の場合で個別に、そして互いに独立してGGGCG、GGGUGおよびGGGAGを含んでなるヌクレオチド配列の群から選択され;
区分ヘリックスA1および区分ヘリックスA2が各々の場合で個別に、そして互いに独立して4〜8個のヌクレオチドを含んでなり、ここで好ましくは区分ヘリックスA1および区分ヘリックスA2は互いに完全に、または部分的にハイブリダイズし、そして
区分ヘリックスB1および区分ヘリックスB2が各々の場合で個別に、そして互いに独立して4〜8個のヌクレオチドを含んでなり、ここで好ましくは区分ヘリックスB1および区分ヘリックスB2は互いに完全に、または部分的にハイブリダイズし、そしてハイブリダイズする領域が4〜8個のヌクレオチドを含んでなり、そしてここで区分ヘリックスA1と区分ヘリックスA2との、および区分ヘリックスB1と区分ヘリックスB2とのハイブリダイゼーションからハイブリダイズしたヌクレオチドの和が10〜12ヌクレオチド対である、を含んでなる請求項90に記載のHMGA結合核酸。
【請求項92】
配列番号3を含む配列を含んでなる請求項90または91に記載のHMGA結合核酸。
【請求項93】
以下の構造
【化3】

を含んでなる請求項88に記載のHMGA結合核酸。
【請求項94】
以下の構造
【化4】

を含んでなる請求項91に記載のHMGA結合核酸。
【請求項95】
配列が配列番号15および配列番号16を含んでなる群から選択される、請求項93に記載のHMGA結合核酸。
【請求項96】
中間区分Zが12〜25個のヌクレオチドを含んでなることを特徴とする請求項58ないし70および73または74の1項に記載のHMGA結合核酸。
【請求項97】
中間区分Z2が区分ヘリックスC1および区分ヘリックスC2を含んでなることを特徴とする、請求項96に記載のHMGA結合核酸。
【請求項98】
中央区分Nが区分ヘリックスC1と区分ヘリックスC2との間に整列されることを特徴とする、請求項97に記載のHMGA結合核酸。
【請求項99】
区分ヘリックスC1およびヘリックスC2の長さが同一であることを特徴とする、請求項97または98に記載のHMGA結合核酸。
【請求項100】
区分ヘリックスC1およびヘリックスC2の長さが個別に、そして独立して3〜6個のヌクレオチドであることを特徴とする、請求項97ないし99の1項に記載のHMGA結合核酸。
【請求項101】
区分ヘリックスC1および区分ヘリックスC2が完全に、または部分的に互いにハイブリダイズすることを特徴とする、請求項97ないし100に記載のHMGA結合核酸。
【請求項102】
中央区分Nが3〜5個のヌクレオチドを含んでなることを特徴とする、請求項96ないし101の1項に記載のHMGA結合核酸。
【請求項103】
核酸が区分ボックスA1および区分ボックスA2を含んでなり、ここで区分ボックスA1の3’末端と、区分ヘリックスC1の5’末端の間に、ヌクレオチド配列Nが整列され、そして3個のヌクレオチドを含んでなることを特徴とする、請求項96ないし102の1項に記載のHMGA結合核酸。
【請求項104】
核酸が区分ボックスA1および区分ボックスA2を含んでなり、ここで区分ヘリックスC2の3’末端と、区分ボックスA2の5’末端の間に、ヌクレオチド配列Nが整列され、そして2〜5個のヌクレオチドを含んでなることを特徴とする、請求項96ないし103の1項に記載のHMGA結合核酸。
【請求項105】
核酸が区分ヘリックスA1および区分ヘリックスA2を含んでなることを特徴とする、請求項96ないし104の1項に記載のHMGA結合核酸。
【請求項106】
区分ヘリックスA1および区分ヘリックスA2が各々の場合で個別に、そして互いに独立して5〜6個のヌクレオチドを含んでなり、ここで好ましくは区分ヘリックスA1および区分ヘリックスA2が完全に、または部分的に互いにハイブリダイズすることを特徴とする、請求項105に記載のHMGA結合核酸。
【請求項107】
区分ヘリックスA1の3’末端と、区分ボックスA1の5’末端の間に、ヌクレオチド配列Nが整列され、ここでNが1〜5個のヌクレオチドを含んでなることを特徴とする、請求項105および106の1項に記載のHMGA結合核酸。
【請求項108】
区分ボックスA2の3’末端と、区分ヘリックスA2の5’末端の間に、ヌクレオチド配列GNが5’−3’−方向で整列され、ここでNが1〜2個のヌクレオチド、好ましくはAまたはUUを含んでなることを特徴とする、請求項105ないし107の1項に記載のHMGA結合核酸。
【請求項109】
区分ヘリックスC1および区分ヘリックスC2が各々の場合で個別に、そして互いに独立して5もしくは6個のヌクレオチドの長さを有し、ここで好ましくは区分ヘリックスC1および区分ヘリックスC2が完全に、または部分的に互いにハイブリダイズすることを特徴とする、請求項105ないし108の1項に記載のHMGA結合核酸。
【請求項110】
以下の構造
【化5】

ここで
=1〜5個のヌクレオチド;
=3個のヌクレオチド;
=3〜5個のヌクレオチド;
=2〜5個のヌクレオチド;そして
=1〜2個のヌクレオチド、好ましくはAまたはUU;
区分ボックスA1および区分ボックスA2が各々の場合で個別に、そして互いに独立してGGGCG、GGGUGおよびGGGAGを含んでなる群から選択され;
区分ヘリックスA1および区分ヘリックスA2が各々の場合で個別に、そして互いに独立して5〜6個のヌクレオチドを含んでなり、そして
区分ヘリックスC1および区分リックスC2は各々の場合で5もしくは6個のヌクレオチドを含んでなり、これらは好ましくは互いに完全に、または部分的にハイブリダイズする、
を含んでなる請求項109に記載のHMGA結合核酸。
【請求項111】
配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号14、配列番号22および配列番号24を含む群から選択される配列を含んでなる、請求項110に記載のHMGA結合核酸。
【請求項112】
核酸が区分ボックスA1および区分ヘリックスC1を含んでなり、ここでヌクレオチドAが区分ボックスA1の3’末端と区分ヘリックスC1の5’末端の間に整列されることを特徴とする請求項96ないし101の1項に記載のHMGA結合核酸。
【請求項113】
核酸が区分ヘリックスC2および区分ボックスA2を含んでなり、ここでヌクレオチドGが区分ヘリックスC2の3’末端と区分ボックスA2の5’末端の間に整列されることを特徴とする請求項112に記載のHMGA結合核酸。
【請求項114】
中央区分Nが4個のヌクレオチドを含んでなり、ここでNが好ましくはGAUGであることを特徴とする、請求項112または113に記載のHMGA結合核酸。
【請求項115】
区分ヘリックスB1およびヘリックスB2を含んでなる請求項112ないし114の1項に記載のHMGA結合核酸。
【請求項116】
区分ヘリックスB1およびヘリックスB2が各々の場合で個別に、そして互いに独立して5個のヌクレオチドを含んでなり、ここで好ましくは区分ヘリックスB1が区分ヘリックスB2にハイブリダイズすることを特徴とする、請求項115に記載のHMGA結合核酸。
【請求項117】
区分ヘリックスB1の3’末端と、区分ボックスA1の5’末端の間に、2個のヌクレオチドを含んでなるヌクレオチド配列Nが整列され、ここでNが好ましくはAGであることを特徴とする、請求項115または116に記載のHMGA結合核酸。
【請求項118】
ヌクレオチドGが区分ボックスA2の3’末端とヘリックスB2の5’末端の間に整列されることを特徴とする、請求項115ないし117の1項に記載のHMGA結合核酸。
【請求項119】
区分ヘリックスA1および区分ヘリックスA2を含んでなる請求項112ないし118の1項に記載のHMGA結合核酸。
【請求項120】
区分ヘリックスA1および区分ヘリックスA2が各々の場合で個別に、そして互いに独立して6個のヌクレオチドを含んでなり、そして好ましくは区分ヘリックスA1および区分ヘリックスA2が互いにハイブリダイズすることを特徴とする、請求項119に記載のHMGA結合核酸。
【請求項121】
区分ヘリックスA1の3’末端と、区分ヘリックスB1の5’末端の間に、2個のヌクレオチドを含んでなるヌクレオチド配列Nが整列され、ここでNが好ましくはCAであることを特徴とする、請求項119または120に記載のHMGA結合核酸。
【請求項122】
ヌクレオチドAが区分ヘリックスB2の3’末端と区分ヘリックスA2の5’末端の間に整列されることを特徴とする、請求項119ないし121の1項に記載のHMGA結合核酸。
【請求項123】
区分ヘリックスC1および区分ヘリックスC2が各々の場合で3個のヌクレオチドを含んでなり、ここで好ましくは区分ヘリックスC1および区分ヘリックスC2が互いにハイブリダイズすることを特徴とする、請求項112ないし122の1項に記載のHMGA結合核酸。
【請求項124】
以下の構造
【化6】

ここで
は2個のヌクレオチドを含んでなり、そして好ましくはCAであり;
は2個のヌクレオチドを含んでなり、そして好ましくはAGであり;
は4個のヌクレオチドを含んでなり、そして好ましくはGAUGであり;
区分ボックスA1および区分ボックスA2が各々の場合で個別に、そして互いに独立して配列GGGCG、GGGUGおよびGGGAGを含んでなる群から選択され;
区分ヘリックスA1およびヘリックスA2が各々の場合で個別に、そして独立して6個のヌクレオチドを含んでなり、これらは好ましくは互いにハイブリダイズし;
区分ヘリックスB1および区分ヘリックスB2が各々の場合で個別に、そして独立して5個のヌクレオチドを含んでなり、ここで好ましくは区分ヘリックスB1および区分ヘリックスB2は互いにハイブリダイズし、そして
区分ヘリックスC1および区分ヘリックスC2が各々の場合で個別に、そして独立して3個のヌクレオチドを含んでなり、ここで好ましくは区分ヘリックスC1および区分ヘリックスC2が互いハイブリダイズする、
を含んでなる請求項123に記載のHMGA結合核酸。
【請求項125】
配列番号12を含む群から選択される配列を含んでなる請求項124に記載のHMGA結合核酸。
【請求項126】
転写因子、特にATフックを含んでなる転写因子に結合することを特徴とする請求項57ないし125の1項に記載の核酸。
【請求項127】
ATフックを含んでなる転写因子に結合する核酸であって、ここで核酸が請求項57ないし126の1項に記載の構造を有する上記核酸。
【請求項128】
L−核酸が請求項57ないし127の1項に記載の核酸である、請求項37ないし52の1項に記載の組成物。
【請求項129】
L−核酸が請求項57ないし127の1項に記載の核酸である、請求項1ないし8の1項に記載の使用。
【請求項130】
L−核酸が請求項57ないし127の1項に記載の核酸である、請求項9ないし16の1項に記載の方法。
【請求項131】
L−核酸が請求項57ないし127の1項に記載の核酸である、請求項17ないし26の1項に記載の使用。
【請求項132】
L−核酸が請求項57ないし127の1項に記載の核酸である、請求項27ないし36の1項に記載の方法。
【請求項133】
以下の工程:
−候補HMGAアンタゴニストおよび/または候補HMGAアゴニストを準備し、
−請求項57ないし127の1項に記載の核酸を準備し、
−HMGAアンタゴニストおよび/またはHMGAアゴニストの存在下でシグナルを送達する試験系を準備し、そして
−候補HMGAアンタゴニストがHMGAアンタゴニストであるかどうか、および/または候補HMGAアゴニストがHMGAアゴニストであるかどうかを決定する、
工程を含んでなる、HMGAアンタゴニストまたはHMGAアゴニストのスクリーニング法。
【請求項134】
以下の工程:
−相、好ましくは固相に固定化されたHMGAを準備し、
−請求項57ないし127の1項に記載の核酸、好ましくは標識された請求項57ないし127の1項に記載の核酸を準備し、
−候補HMGAアゴニストおよび/または候補HMGAアンタゴニストを加え、そして
−候補HMGAアゴニストがHMGAアゴニストであるかどうか、および/または候補HMGAアンタゴニストがHMGAアンタゴニストであるかどうかを決定する、
工程を含んでなる、HMGAアゴニストおよび/またはHMGAアンタゴニストのスクリーニング法。
【請求項135】
決定が、核酸が候補HMGAアゴニストに置き換えられるか、または候補HMGAアンタゴニストに置き換えられるかを試験することにより行われることを特徴とする、請求項134に記載の方法。
【請求項136】
請求項57ないし127の1項に記載の核酸を含んでなるHMGAの検出用キット。
【請求項137】
請求項134および135の1項に記載の方法により得ることができるHMGAアンタゴニスト。
【請求項138】
請求項134および135の1項に記載の方法により得ることができるHMGAアゴニスト。
【請求項139】
HMGAタンパク質および請求項57ないし127の1項に記載の核酸を含んでなる複合体。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公表番号】特表2008−540363(P2008−540363A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−509380(P2008−509380)
【出願日】平成18年5月4日(2006.5.4)
【国際出願番号】PCT/EP2006/004180
【国際公開番号】WO2006/117217
【国際公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(504411214)ノクソン・フアルマ・アクチエンゲゼルシヤフト (8)
【Fターム(参考)】