説明

シュリンク包装体、その製造方法、およびシュリンク包装用の熱収縮性フィルム、並びにシュリンク包装装置

【課題】コストを上げることなく外観を良好にするとともに、シュリンク包装されたフィルムを簡単かつ容易に破断でき、迅速に情報媒体収容ケースを取出し得るシュリンク包装体を提供する。
【解決手段】熱収縮性フィルムFを熱収縮させるときに、ケース本体Bの表面と熱収縮性フィルムFとの間に、熱収縮性フィルムFの両端部を相互に重ね合わせた部分の一部WAから空気Cを送り込み、これにより断熱層Dを形成した状態で熱収縮性フィルムFを熱収縮させてシュリンク包装を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直方体形状の被包装物を熱収縮性フィルムによって包装するシュリンク包装体、その製造方法、およびシュリンク包装用の熱収縮性フィルム、並びにシュリンク包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
直方体形状の被包装物を熱収縮性フィルムによって包装する例としては、CDやDVD等を収容するための情報媒体収容ケースがある。この種の情報媒体収容ケースでは、そのバージン性を保つために、所定の熱収縮性フィルムによってシュリンク包装を行っている。
ここで、所定の熱収縮性フィルムが、比較的に高温で処理されるシュリンク包装体の例としては、音楽CD用のケース等に採用される、いわゆるキャラメル包装を施すものがある。しかし、キャラメル包装は、低温シールが困難なフィルムを用いているため、被包装物が比較的に熱に強いことが前提となる。また、包装後のフィルムに皺が生じ易く、さらに、通常、開封用のティアテープがあるため、これによってシュリンク包装体の外観の見栄えが比較的に悪いものとなる。
【0003】
一方、例えばDVD用のトールケースでは、ケース本体の外面にオーバーレイシートが付設されており、このオーバーレイシートとケース本体との間にタイトル等を介装できるようになっている。しかし、この種のオーバーレイシートは、その両端を溶着するので、比較的に熱に弱い材料が用いられている。そのため、上述のような高温でのシュリンク包装をDVD用のトールケースにそのまま施すと、オーバーレイシートに熱による変形が生じてしまう。したがって、高温でのシュリンク包装を行うことが難しいとされている。
【0004】
そこで、従来、DVD用のトールケースにおいては、比較的に低温で処理可能なシュリンク包装が採用されている。このシュリンク包装の例としては、熱収縮性フィルムをU字状に折り曲げて胴折りし、この胴折りされた熱収縮性フィルムを、被包装物側面の3辺に沿ってヒートシールするとともにシュリンク包装する。このシュリンク包装体は、比較的に低温で熱収縮するとともに熱収縮率が高いフィルムを用いるので皺が少なく外観が良好である。しかし、低温で処理可能な熱収縮性フィルムは比較的に高価であり、また、熱収縮性フィルムが被包装物に密着しているため、開封しにくいという問題がある。
【0005】
そこで、例えば特許文献1では、容易に開封可能なシュリンク包装体が開示されている。同文献に記載の技術では、側面に凹部が設けられている被包装物に対し、この側面に沿ってその凹部を横断するように熱収縮性フィルムのヒートシール部を設けている。さらに、この熱収縮性フィルムの凹部を覆う部分のヒートシール部近傍に、ヒートシール部に沿って易開封用の傷痕列を設けている。これにより、この傷痕列の部分からシュリンク包装体を容易に開封可能としている。
【0006】
また、例えば特許文献2では、情報媒体収容ケースを熱収縮性フィルムでシュリンク包装し、情報媒体収容ケースの側面に形成されたフィルムのシーム部にV字形状の切込み線を形成し、この切込み線及びその周辺にラベルの貼付け面を貼り付け、ラベルのつまみ片を摘んでフィルムをシーム部に沿って引き裂くようにしている。
【特許文献1】特開2007−210617号公報
【特許文献2】特開平7−125766号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記いずれの特許文献記載の技術においても、比較的に低温で処理可能なシュリンク包装を前提とするものである。そのため、上記のように、これに用いる熱収縮性フィルムは比較的に高価であり、そのランニングコストが嵩む。特に特許文献2に記載の技術のように、切込み線を形成した上で、別途にラベルを付設すれば、さらにコストアップすることになる。
【0008】
そこで、本発明の目的とするところは、直方体形状の被包装物が、仮にDVD用のトールケース等のような熱に弱い材料が用いられているものであっても、これにシュリンク包装を施すことを可能とし、さらに、コストを上げることなく外観を良好にするとともに、ティアテープ等を用いることなく容易に開封可能なシュリンク包装体、その製造方法、およびそのシュリンク包装用の熱収縮性フィルム、並びにシュリンク包装装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のうち第一の発明は、直方体形状の被包装物を熱収縮性フィルムによって包装してなるシュリンク包装体を製造する方法であって、前記被包装物を囲繞する熱収縮性フィルムの重畳部の一部を送気口としこの送気口から空気を送り込むことで前記熱収縮性フィルムと前記被包装物の表面との間に断熱層を形成する断熱層形成工程と、前記断熱層を形成した状態で前記熱収縮性フィルムを熱収縮させて前記被包装物にシュリンク包装を行うシュリンク包装工程とを含むことを特徴としている。
【0010】
第一の発明に係るシュリンク包装体の製造方法によれば、被包装物表面と熱収縮性フィルムとの間に断熱層を形成しつつ、熱収縮性フィルムを熱収縮させてシュリンク包装を行うので、被包装物が仮にDVD用のトールケース等のような熱に弱い材料が用いられているものであっても、これにシュリンク包装を施すに際し、例えばキャラメル包装に採用されるような、比較的に高温処理に用いられる熱収縮性フィルムを用いることができる。
【0011】
そして、この種の高温で処理可能な熱収縮性フィルムは比較的に安価なので、コストを上げることなく外観を良好にすることができる。さらに、熱収縮性フィルムの重畳部の一部を送気口としこの送気口から空気を送り込むので、この空気を送り込む部分が非溶着部として残る。そのため、この部分を容易に手で摘むことができ、この摘んだ部分から外装フィルムを引き裂くことができる。したがって、仮にDVD用のトールケース等のような熱に弱い材料が用いられているものであっても、これにシュリンク包装を施すことを可能とし、さらに、これによって製造されたシュリンク包装体は、開封用のティアテープ等を用いることなく容易に開封することができる。
【0012】
また、本発明のうち第二の発明は、直方体形状の被包装物を熱収縮性フィルムで包装したシュリンク包装体であって、第一の発明に係るシュリンク包装体の製造方法で製造されていることを特徴としている。
第二の発明に係るシュリンク包装体によれば、第一の発明に係るシュリンク包装体の製造方法で製造されているので、上述のように、仮にDVD用のトールケース等のような熱に弱い材料が用いられているものであっても、これにシュリンク包装を施すことが可能である。そして、コストを上げることなくその外観を良好にするとともに、ティアテープ等を用いることなく容易に開封可能である。
【0013】
また、本発明のうち第三の発明は、直方体形状の被包装物をシュリンク包装するための熱収縮性フィルムであって、自身両端部を相互に重ね合わせた重畳部と、囲繞する被包装物の表面との間に空気を送り込み可能なように前記重畳部の一部に設けられる送気口と、当該熱収縮性フィルムを熱収縮させて前記被包装物にシュリンク包装をするときに、前記送気口から送り込んだ空気を逃がす排気口とを有することを特徴としている。
【0014】
第三の発明に係るシュリンク包装用の熱収縮性フィルムによれば、自身両端部を相互に重ね合わせた重畳部と、囲繞する被包装物の表面との間に空気を送り込み可能なように前記重畳部の一部に設けられる送気口とを有するので、第一の発明に係るシュリンク包装体の製造方法に用いる熱収縮性フィルムとして好適である。そして、この熱収縮性フィルムを用いて製造されたシュリンク包装体によれば、その重畳部の送気口の部分を容易に手で摘むことができ、この摘んだ送気口部分から外装フィルムを引き裂くことができる。したがって、シュリンク包装された外装のフィルムを簡単かつ容易に破断でき、迅速に被包装物を取出すことができる。
【0015】
なお、第三の発明に係るシュリンク包装用の熱収縮性フィルムにおいて、空気を送り込むための送気口は、例えば被包装物側面の中央の位置に設定することが好ましい。このような構成であれば、断熱用の空気を全体に均一に送気する上で好適であり、さらに、端部の重畳部がケース中央の端部に形成されるから、シュリンク包装体の美観をより良好とする上でも好適である。また、送り込んだ空気を逃がす排気口の位置としては、例えば被包装物の表裏の端部周辺部分にこれを設ければ、送り込んだ空気を効率良く逃がす上で好適である。また、その排気口の形状としては、線状(ミシン目状)のスリットを一または複数形成すれば、送り込んだ空気を効率良く逃がしつつ、シュリンク包装体の外観の美観を良好に保つ上でより好適である。
【0016】
また、本発明のうち第四の発明は、熱収縮性フィルムで囲繞された直方体形状の被包装物をシュリンク包装するためのシュリンク包装装置であって、端部に重畳部をもつ熱収縮性フィルムで囲繞された状態の被包装物を搬送する搬送部と、その搬送部で搬送される前記熱収縮性フィルムと前記被包装物の表面との間に断熱層を形成するように前記熱収縮性フィルムの重畳部の一部から空気を送り込む送気部と、前記被包装物の表面との間に断熱層を形成した状態の前記熱収縮性フィルムを熱収縮させる加熱部と、を備えることを特徴としている。
【0017】
第四の発明に係るシュリンク包装装置によれば、搬送部は、搬送する被包装物が端部に重畳部をもつ熱収縮性フィルムで囲繞された状態で搬送されるようになっており、送気部は、その搬送部で搬送される熱収縮性フィルムと被包装物の表面との間に断熱層を形成するように熱収縮性フィルムの重畳部の一部から空気を送り込むので、被包装物を囲繞する熱収縮性フィルムの重畳部の一部を送気口としこの送気口から空気を送り込むことで熱収縮性フィルムと被包装物の表面との間に断熱層を形成することができる。そして、加熱部は、被包装物の表面との間に断熱層を形成した状態の熱収縮性フィルムを熱収縮させるので、断熱層を形成した状態で熱収縮性フィルムを熱収縮させて被包装物にシュリンク包装を行うことができる。そのため、上述した第一の発明に係るシュリンク包装体の製造方法を実施することができる。したがって、仮にDVD用のトールケース等のような熱に弱い材料が用いられているものであっても、これにシュリンク包装を施すことを可能とし、さらに、コストを上げることなく外観を良好にするとともに、ティアテープ等を用いることなく容易に開封可能な、シュリンク包装体の製造方法を実施する装置として好適である。
【発明の効果】
【0018】
上述のように、本発明によれば、直方体形状の被包装物が、仮にDVD用のトールケース等のような熱に弱い材料が用いられているものであっても、これにシュリンク包装を施すことを可能とし、さらに、コストを上げることなく外観を良好にするとともに、シュリンク包装されたフィルムを簡単かつ容易に破断でき、迅速に情報媒体収容ケースを取出すことのできるシュリンク包装体、その製造方法、およびそのシュリンク包装用の熱収縮性フィルム、並びにシュリンク包装装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。なお、図1は、本発明に係るシュリンク包装装置の一実施形態を説明する正面図であり、図2は図1のA−A断面図、また、図3は、図1の要部(送気部)の拡大図である。なお、本実施形態は、直方体形状の被包装物として情報媒体収容ケースを対象としている例である。特に、この情報媒体収容ケース(以下、「ケース本体」ともいう)は、DVD用のトールケース等のような熱に弱いオーバーレイシートをその表面に用いてなるものである。そして、本実施形態では、このケース本体を、熱収縮性フィルムを用いてキャラメル包装し、さらに、この熱収縮性フィルムを熱収縮させて所望のシュリンク包装体とする例である。
【0020】
このシュリンク包装装置は、図1に示すように、その搬送方向上流側(同図左側)から順に、第一搬送部1、加熱部2および第二搬送部3を備えている。
第一搬送部1および第二搬送部3は、いずれも上下に対向配置された一組のベルトコンベアを有し、これにより、各搬送部1、3は、それぞれの上下のベルトコンベア同士の間にシュリンク包装体Wを挟持しつつ、搬送方向上流側から下流側に向けてこれを連続して搬送可能になっている。なお、本実施形態の例では、シュリンク包装体Wの短手方向を搬送方向に向けて平置きした状態で搬送するように構成している。
【0021】
そして、加熱部2は、第一搬送部1および第二搬送部3の間に配設されている。この搬送経路の途中部分に設けられた加熱部2は、搬送されるシュリンク包装体Wの上下の面にそれぞれ対向して配置されており、熱収縮性フィルムを熱収縮させることのできる熱風Hを、シュリンク包装体W側に向けて送り出すようになっている。なお、上記第二搬送部3には、搬送方向での加熱部2側の部分に不図示の冷却装置を備えており、これにより、当該加熱部2から搬出されてきたシュリンク包装体Wを、直ちに冷却できるようになっている。
【0022】
ここで、このシュリンク包装装置は、図2に示すように、その第一搬送部1には、上記加熱部2よりも上流側の位置に送気部4が設けられている。
詳しくは、第一搬送部1は、その下方のベルトコンベアが、搬送方向の両側に且つ搬送方向に沿って離間して設けられた一対のコンベアから構成されており、送気部4は、この一対のコンベア同士の間の位置に、搬送方向に沿って配置されている。この送気部4の搬送方向の長さは、シュリンク包装体Wの短手方向の長さよりも十分に長く、自身の全長に亘って、シュリンク包装体W側に向けて空気Cを送気できるようになっている。なお、送気部4から送気される空気Cは、コンプレッサからの圧縮空気などを用いることができる。また、その温度については、常温(20℃程度)の空気を使用してよい。
【0023】
ここで、第一搬送部1に搬送されるシュリンク包装体Wは、その前工程において、熱収縮性フィルムFによってケース本体B全体が囲繞された状態になっている。
詳しくは、熱収縮性フィルムFは、以下不図示の上流側の工程において、ロール状に巻回された状態から繰り出されて所定長さに切断した一枚のブランクフィルム(以下、単に「フィルム」ともいう)とされる。そして、このフィルムFをU型に折り曲げてケース本体Bの周りに沿わせてケース本体B全体を包み込み、ブランクフィルム両端の重畳部を折り込んで熱接着により封止したキャラメル包装と呼ばれる包装形態とする。そして、この状態のものが第一搬送部1に搬送されてくるようになっている。なお、本実施形態の例では、このフィルムFとして、熱収縮性2軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムの両面に、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)をコーティングしたフィルムを使用している。
【0024】
ここで、上記ブランクフィルムFについてより詳しく説明する。
このフィルムFは、図3に示すように、自身両端部を相互に重ね合わせた重畳部Kを有している。そして、この重畳部Kは、囲繞するケース本体Bの表面との間に空気を送り込み可能な送気口WAとして重畳部Kの一部に非溶着部が設けられる。本実施形態の例では、搬送時に、上述した送気部4に対向する位置に位置するように、ケース本体Bの長手方向の中央に位置するように送気口WAが形成されている。また、送気口WAの位置は、図3に示すように、搬送時には、搬送方向での上流側に位置するようにしてシュリンク包装体Wが搬送される。さらに、この送気口WAの形成位置は、ケース本体Bを手で開くためにケース本体Bの側面に形成された凹部を覆う位置に形成されている。
【0025】
また、このフィルムFには、フィルムFを熱収縮させてシュリンク包装をするときに、送気口WAから送り込んだ空気を逃がすための排気口WBが、搬送方向に沿ってケース本体Bの両側且つ上下端部の計4箇所に、ミシン目状の複数の切り込み(スリット)によって形成されている(この例では3箇所)。さらに、この排気口WBについても、搬送時には、搬送方向での上流側に位置するように、搬送方向において送気口WAと同じ側に設けられている。
【0026】
次に、上述したフィルムFおよびシュリンク包装装置を用いてシュリンク包装体を製造する方法、並びにこれにより製造されたシュリンク包装体の作用・効果について図4を参照しつつ説明する。
このシュリンク包装装置に、端部に重畳部KをもつフィルムFで囲繞されたケース本体Bが上流工程から搬送されると、図4(a)に示すように、第一搬送部1に搬送されたシュリンク包装体W(端部に重畳部KをもつフィルムFで囲繞されたケース本体B)は、送気部4に対向する位置において、重畳部Kの一部に形成された送気口WAから空気Cが送り込まれる。これにより、第一搬送部1で搬送されるフィルムFとケース本体Bの表面との間に空気Cの層が生じ、これが断熱層Dとなる(断熱層形成工程)。なお、第一搬送部1の上下のベルトコンベア1u,1fの対向距離は、断熱層D分の厚さを加味した対向距離が確保されている。また、送り込まれる空気Cは、コンプレッサからの圧縮空気などを用いることで、断熱層D内が大気よりも高圧となり、これにより、ケース本体Bは、同図に示すように、フィルムF内で浮いた状態となって保持されつつ搬送されていく。
【0027】
次に、図4(b)に示すように、断熱層Dが形成されてフィルムF内でケース本体Bが浮いた状態となっているシュリンク包装体Wが下流方向に搬送されると、所定の位置に設けられた加熱部2において上下から熱風Hが吹付けられる。これにより、フィルムFが加熱されて収縮を開始する。
次に、図4(c)〜(d)に示すように、搬送されつつ加熱され、ケース本体Bの表面との間に断熱層を形成した状態のフィルムFが下流側の端部から順に加熱されて収縮していく。これにより、フィルムFは、ケース本体Bの表面に対して下流側の端部から順にぴったりと密着していく。このとき、断熱層Dを形成していた空気Cは、上流側に順次に押し出されて排気口WBから排気される(同図(c)の符号E)。このようにして、フィルムF全体が加熱されて収縮し、最終的にケース本体Bの表面にぴったりと密着して、フィルムFとの間に空気を残さずに且つしわのないシュリンク包装体Wが形成される(シュリンク包装工程)。
【0028】
以上説明したように、このシュリンク包装体Wの製造方法によれば、ケース本体B表面(オーバーレイシートの表面)とフィルムFとの間に断熱層Dを形成しつつ、フィルムFを熱収縮させてシュリンク包装を行うので、ケース本体BがDVD用のトールケース等のような熱に弱い材料が用いられているものであっても、これにシュリンク包装を施すに際し、例えばキャラメル包装によるシュリンク包装に採用されるような、比較的に高温処理に用いられる熱収縮性フィルムを採用することができる。そして、この種の高温で処理可能な熱収縮性フィルムは比較的に安価なので、コストを上げることなくシュリンク包装体Wの外観を良好にすることができる。
【0029】
さらに、このシュリンク包装体Wの製造方法に用いているフィルムFは、これをU字状に折り曲げてその両端部を相互に重ね合わせた重畳部Kの一部に形成された送気口WAから空気Cを送り込むようになっているので、この空気Cを送り込む部分が非溶着部として残る。そのため、このシュリンク包装体Wは、ハサミ等の工具を用いることなく、重畳部Kの送気口WA部分を容易に手で摘むことができ、この摘んだ部分から外装のフィルムFを手で容易に引き裂くことができる。したがって、開封用のティアテープ等を用いることなく容易に開封することができる。
【0030】
さらに、このフィルムFは、送気口WAを、ケース本体B側面の中央の位置に設けたので、断熱用の空気Cを全体に均一に送気する上で好適であり、さらに、このフィルムFは、自身端部の重畳部Kがケース本体B中央の端部に形成されるから、シュリンク包装体Wの美観をより良好とする上でも好適である。
また、このフィルムFは、送り込んだ空気を逃がす排気口WBの位置を、ケース本体Bの表裏の端部周辺部分に設けているので、送り込んだ空気Cを搬送しつつ効率良く逃がす上で好適である。また、排気口WBの形状は、線状(ミシン目状)のスリットを搬送方向に沿って複数(この例では3箇所)形成したので、送り込んだ空気Cを効率良く逃がしつつ、シュリンク包装体Wの外観の美観を良好に保つ上でより好適である。
以上説明したように、このシュリンク包装用のフィルムFおよびシュリンク包装装置を用いたシュリンク包装体の製造方法、並びにこれにより製造されたシュリンク包装体によれば、コストを上げることなく外観を良好にするとともに、シュリンク包装されたフィルムを容易に破断でき、迅速に情報媒体収容ケースを取出すことができる。
【0031】
なお、本発明に係るシュリンク包装体の製造方法、シュリンク包装体、およびシュリンク包装用の熱収縮性フィルム、並びにシュリンク包装装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能なことは勿論である。
例えば、上記実施形態の例では、フィルムFは、送気口WAから送り込んだ空気を逃がすための排気口WBを有する例で説明したが、これに限らず、送気口WAが排気を兼ねるようにすることによって、排気口WBを省略してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係るシュリンク包装装置の一実施形態を説明する正面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図1の要部(送気部)の拡大図である。
【図4】本発明に係るシュリンク包装体の製造方法の一実施形態の説明図((a)〜(d))である。
【符号の説明】
【0033】
1 第一搬送部
2 加熱部
3 第二搬送部
4 送気部
B ケース本体(被包装物)
C 空気
D 断熱層
E 排気
F ブランクフィルム(熱収縮性フィルム)
H 熱風
K 重畳部
W シュリンク包装体
WA 送気口
WB 排気口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直方体形状の被包装物を熱収縮性フィルムによって包装してなるシュリンク包装体を製造する方法であって、
前記被包装物を囲繞する熱収縮性フィルムの重畳部の一部を送気口としこの送気口から空気を送り込むことで前記熱収縮性フィルムと前記被包装物の表面との間に断熱層を形成する断熱層形成工程と、前記断熱層を形成した状態で前記熱収縮性フィルムを熱収縮させて前記被包装物にシュリンク包装を行うシュリンク包装工程とを含むことを特徴とするシュリンク包装体の製造方法。
【請求項2】
直方体形状の被包装物を熱収縮性フィルムで包装したシュリンク包装体であって、
請求項1に記載のシュリンク包装体の製造方法で製造されていることを特徴とするシュリンク包装体。
【請求項3】
直方体形状の被包装物をシュリンク包装するための熱収縮性フィルムであって、
自身両端部を相互に重ね合わせた重畳部と、囲繞する被包装物の表面との間に空気を送り込み可能なように前記重畳部の一部に設けられる送気口と、当該熱収縮性フィルムを熱収縮させて前記被包装物にシュリンク包装をするときに、前記送気口から送り込んだ空気を逃がす排気口とを有することを特徴とするシュリンク包装用の熱収縮性フィルム。
【請求項4】
熱収縮性フィルムで囲繞された直方体形状の被包装物をシュリンク包装するためのシュリンク包装装置であって、
端部に重畳部をもつ熱収縮性フィルムで囲繞された状態の被包装物を搬送する搬送部と、その搬送部で搬送される前記熱収縮性フィルムと前記被包装物の表面との間に断熱層を形成するように前記熱収縮性フィルムの重畳部の一部から空気を送り込む送気部と、前記被包装物の表面との間に断熱層を形成した状態の前記熱収縮性フィルムを熱収縮させる加熱部と、を備えることを特徴とするシュリンク包装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−298414(P2009−298414A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−151749(P2008−151749)
【出願日】平成20年6月10日(2008.6.10)
【出願人】(595016082)ケーユーシステム株式会社 (3)
【Fターム(参考)】