説明

シュレッダーにおける細断済紙屑のならし装置

【課題】付加部品点数が極めて少なく、カッターの回転を利用して駆動し得る、細断済紙屑のならし装置付きシュレッダーを提供する。
【解決手段】 カッターの下方に該カッターに沿って延びた紙ならし部5aを有する紙ならし部材5と、紙ならし部材5に固着されていて一方向への回動習性を付与されたアーム部材10と、前記カッターの回転軸3に固着されていてアーム部材10に転接した駆動部材8とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シュレッダーの細断済紙屑の収容箱内に山状に堆積する細断済紙屑を崩して収容箱内に均一に堆積させるのに用いられる細断済紙屑のならし装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種装置は、従来から数多く提案されており、これらの多くは、細断済紙屑の収容箱上方の本体部分に回転部材を設け、細断中これを回して細断済紙屑を収容箱内にできるだけ均一にならし、更にこれを圧縮して細断済紙屑の収容量の増大を図るように構成されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【特許文献1】実開昭63−73149号公報
【特許文献2】特開平7−144143号公報
【特許文献3】特開2004−8965号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、この種従来装置は、上記回転部材が比較的多くのスペースを必要とするばかりか、回転部材のための駆動装置を別設する必要があるため、シュレッダー全体の大きさが比較的大きくなって、一般事務用には不向きとなるばかりか、保守点検箇所も増えてしまうと言う問題点があった。
【0004】
本発明は、従来装置の係る問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、付加部品点数が極めて少なく、カッターの回転を利用して駆動し得る、細断済紙屑のならし装置付きシュレッダーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明による細断済紙屑のならし装置は、カッターを回転可能に支持する支持壁を備えたシュレッダーにおいて、前記支持壁に揺動可能に支持されていて前記カッターの下方に該カッターに沿って延びた紙ならし部を有する紙ならし部材と、前記カッターの駆動軸と前記紙ならし部材との間に連結された回転-揺動変換機構(回転運動を揺動運動に変換する機構)とを備え、該回転-揺動変換機構を介して、前記駆動軸の一回転で前記紙ならし部材を所定範囲で一往復動させるようにしたことを特徴とする。
【0006】
本発明によれば、前記回転-揺動変換機構が、前記紙ならし部材に固着されていて一方向への回動習性を付与されたアーム部材と、前記カッターの駆動軸に固着されていて前記アーム部材に摺接した駆動部材とを含み、前記回転軸の所定の回動角範囲では前記アーム部材はその習性に抗し前記駆動部材により押動されて前記紙ならし部材を一方向へ回動させ、前記カッターの駆動軸が前記所定の回動角範囲を越えたとき前記アーム部材はその習性により前記駆動部材に追従して回動するようになって前記紙ならし部材を他方向へ回動せしめるようになっている。
【0007】
また、本発明によれば、前記回転-揺動変換機構が、前記紙ならし部材に固着されたアーム部材と、前記カッターの駆動軸に固着されていて前記アーム部材とピン-スロット連結された駆動部材とを含み、前記駆動軸の一回転で前記紙ならし部材を所定範囲で一往復動させるようになっている。
【0008】
また、本発明によれば、前記紙ならし部材は、好ましくは、ロッドを折り曲げてカッターの全長に亘って延びた部分を含むように成形されている。
【0009】
また、本発明によれば、好ましくは、前記紙ならし部材の前記カッターの長さ方向に沿う部分は、波形または少なくとも1つの半円形の突出部または板部材を含むように成形されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明による細断済紙屑のならし装置は、従来構造のシュレッダーに対しても僅かな部品を付加するだけで構成することができるから、シュレッダーの全体構造を格別に複雑化させることなく、比較的廉価に細断済紙屑のならし装置付きシュレッダーを提供することができる。
また、本発明によれば、紙ならし部材は、ロッドを折り曲げてカッターの全長に亘って延びる部分を含むように成形されているから、細断済紙屑のならし作用は均一に行われ得、しかも、カッターの長さ方向に沿う部分は波形または少なくとも1つの半円形の突出部分または板状部分を含むように成形されているから、紙ならし部材には適度の強度が付与され、長期間の使用に耐え得る細断済紙屑のならし装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図示した実施例に基づき説明する。
図1は本発明に係る装置の一実施例の要部分解斜視図、図2乃至図4は図1に示す装置の互いに異なる作動位置を示す要部側面図、図5は紙ならし部材の図1とは異なる実施例を示す平面図である。
【0012】
図中、1,2はシュレッダー本体に固着された対向する一対の支持壁、3は支持壁1,2に回転可能に軸受けされた周知のカッター主駆動軸、4は支持壁1,2に回転可能に軸受けされた周知のカッター従駆動軸で、この主駆動軸3と従駆動軸4の回転により、被細断紙の裁断が行われる。5は支持壁1,2に回動可能に支持されていてカッターの下方に該カッターに沿って延びた紙ならし部5aを有する好ましくはロッドを折り曲げて成形された紙ならし部材、6は取付けビス7によりカッター主駆動軸3の軸端面に固着された駆動片、8は取付けビス9により駆動片6に回転可能に取り付けられた滑車、10はナット11により支持壁1から突出した紙ならし部材5の端部に固着されていて滑車8に摺動可能に係合するカム側面10aを有する駆動アーム、12は支持壁1から突出した紙ならし部材5に緩く巻かれ一端が支持壁1に他端が駆動アーム10に係止されていて紙ならし部材5及び駆動アーム10に左旋習性を付与するコイルばねである。
【0013】
なお、紙ならし部材5の紙ならし部5aには、図1に示すように少なくとも一つの半円形の突出部5a'が形成されるか、或いは、図5に示すように紙ならし部5aが波形に形成されている。そして、上記の駆動片6、滑車8、駆動アーム10及びコイルばね12は、回転-揺動機構を構成している。
【0014】
本発明装置は上記のように構成されているから、図示の位置で主駆動軸3が反時計回転し、従駆動軸4が時計回転することにより、周知のように被細断紙の細断が行われてカッターの下部領域には細断済紙屑の山ができる(図4参照)。しかしながら、主駆動軸3の反時計回転に従って駆動片6も反時計回転するから、滑車8も駆動アーム10のカム側面10a上を転動しながら反時計方向へ回動し、駆動アーム10と紙ならし部材5を、コイルばね12の弾力に抗して図2に示す位置から図3に示す位置まで回動せしめる。この過程で細断済紙屑の山を崩し、細断済紙屑を図示しない収納箱内に散らす。
【0015】
かくして、滑車8が駆動アーム10のカム側面10aの頂部を過ぎて反時計方向へ更に回動すると、駆動アーム10と紙ならし部材5はコイルばね12の弾圧力により押されて反時計方向へ追従回動し、図3に示す位置から図4に示す位置へ戻って、作動の一サイクルを終了する。この過程で、紙ならし部材5は再び細断済紙屑の山を崩し、細断済紙屑を図示しない収納箱内に散らす。このようにして、細断中、紙ならし部材5は、所定の角度範囲内を往復動して、収納箱内での細断済紙屑のならしを行う。この場合、紙ならし部材5の紙ならし部5aには、図1に示すように少なくとも一つの半円形の突出部5a'が形成されるか、或いは、図5に示すように紙ならし部5aが波形に成形されていれば、紙ならし作業をより効果的に実施することが出来るにのみならず、紙ならし部材5に適度の強度を付与することができる。
【0016】
図6は本発明に係る装置の他の実施例の図2に対応する要部側面図である。図中、既述の実施例と実質上同一の部材には同一符号を付し、詳細な説明は省略する。
この実施例によれば、支持壁1から突出した紙ならし部材5の端部には、ナット11により、所定の形状のカムスロット13aを有する駆動アーム13が固着され、駆動片6には、カムスロット13aに滑合した駆動ピン14が植設されていて、主駆動軸3の一回転中に紙ならし部材5が所定範囲を一往復するように構成されている。この実施例では、コイルばね12は必ずしも必要とされないので、装置を更に簡素化し得る。
【0017】
図7は紙ならし部材の更に異なる形態を示している。即ち、この形態では、紙ならし部材5の紙ならし部5aは一枚の板5a"を含むように成形されていて、紙ならし作業が更に効率的に行われ得るようになっている。
なお、この板5a"は複数枚に分かれていても良いし、網板として形成されていても良い。
【0018】
以上、実施例では、主駆動軸3の回転により駆動アーム10の揺動を制御するように構成したが、この揺動運動を従駆動軸4の回転により制御するように構成することが出来ることはいうまでもなく、また、駆動アーム10のカム側面10aのカム形状を適宜設計することにより、紙ならし部材5の揺動範囲及び揺動態様を種々変更することができるが、これらは全て本発明の範囲に属する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る装置の一実施例の要部分解斜視図である。
【図2】本装置がスタート位置にある場合の要部側面図である。
【図3】本装置が図2とは異なる作動位置にある場合の要部側面図である。
【図4】本装置が作動の一サイクルを終了した状態にある場合の要部側面図である。
【図5】紙ならし部材の図1とは異なる形態を示す平面図である。
【図6】本発明に係る装置の他の実施例の要部側面図である。
【図7】紙ならし部材の更に異なる形態を示す平面図である。
【符号の説明】
【0020】
1、2 支持壁
3 主動軸
4 従動軸
5 紙ならし部材
5a 紙ならし部
5a' 突出部
5a" 板
6 駆動片
7、9 取付けビス
8 滑車
10、13 駆動アーム
11 ナット
12 コイルばね
13a カムスロット
14 駆動ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カッターを回転可能に支持する支持壁を備えたシュレッダーにおいて、前記支持壁に揺動可能に支持されていて前記カッターの下方に該カッターに沿って延びた紙ならし部を有する紙ならし部材と、前記カッターの駆動軸と前記紙ならし部材との間に連結された回転-揺動変換機構とを備え、該回転-揺動変換機構を介して、前記駆動軸の一回転で前記紙ならし部材を所定範囲で一往復動させるようにしたことを特徴とする細断済紙屑のならし装置。
【請求項2】
前記回転-揺動変換機構が、前記紙ならし部材に固着されていて一方向への回動習性を付与されたアーム部材と、前記カッターの駆動軸に固着されていて前記アーム部材に摺接した駆動部材とを含み、前記回転軸の所定の回動角範囲では前記アーム部材はその習性に抗し前記駆動部材により押動されて前記紙ならし部材を一方向へ回動させ、前記カッターの駆動軸が前記所定の回動角範囲を越えたとき前記アーム部材はその習性により前記駆動部材に追従して回動するようになって前記紙ならし部材を他方向へ回動せしめるようにした請求項1に記載の細断済紙屑のならし装置。
【請求項3】
前記回転-揺動変換機構が、前記紙ならし部材に固着されたアーム部材と、前記カッターの駆動軸に固着されていて前記アーム部材とピン-スロット連結された駆動部材とを含み、前記駆動軸の一回転で前記紙ならし部材を所定範囲で一往復動させるようにした請求項1又は2に記載の細断済紙屑のならし装置。
【請求項4】
前記紙ならし部材は、ロッドを折り曲げてカッターの全長に亘って延びる部分を含むように成形されている、請求項1乃至3の何れかに記載の細断済紙屑のならし装置。
【請求項5】
前記紙ならし部材の前記カッターの長さ方向に沿う部分は、波形または少なくとも1つの半円形の突出部を含むように成形されている請求項4に記載の細断済紙屑のならし装置。
【請求項6】
前記紙ならし部材の前記カッターの長さ方向に沿う部分は、板部材を含むように形成されている請求項4に記載の細断済紙屑のならし装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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