説明

シュレッダー

【課題】 使用済みのインクリボンなどの切断処理を行うに当たって、切断刃に負荷がかかりにくく効率よく行え、更に引き裂かれたインクリボンの静電気の帯電を気にすることなく後始末ができるシュレッダー作業を提供する。
【解決手段】 インクリボンなどの切断媒体を送り込むための少なくとも一方が回転駆動軸からなる一対の送りローラとで構成する送り機構部と、
この送りローラの後段に、幅方向に隙間を有して前記切断媒体を送り方向に移動させるガイド部材を設けるとともに、このガイド部材に対向し、回転周縁が前記ガイド部材の前記隙間内部に回転突入して引裂く刃先を有する回転刃を設けた引裂機構部と、前記引裂機構部の後段に、前記インクリボンの切断後の塵を吸引する吸引集塵機構部とで構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーマルヘッドによる熱転写型の使用済みインクリボンなどの切断に適したシュレッダーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
シュレッダーは、例えば、用済み後の機密文書や重要な書類を複数の円盤状のスリット刃で細長に細断したり、その細長に細断した紙葉をスリット刃の周上にさらに突出した刃で、さらに短く切断して細切れ状態に寸断する構造は、オフィス用シュレッダーとしては各種の形態があり一般的な用紙処理に関しては、周知である。
【0003】
ところが近年、サーマルヘッドによるインクリボンなど熱によって溶解転写する油性インクが塗布されたインクリボンが開発され、このインクリボンによって、サーマルヘッドで描かれた文字や記号が印刷媒体に転写されるタイプの印刷機が普及し、インクリボンも大量に普及してきた。この印刷の後に発生するインクの浸みた粘着性のある使用済みインクリボンも個人情報などを中心に同様の機密性を有しており、この使用済みインクリボンが廃棄処理の過程で紛失したりすることもあった。なかには売買されてしまう事件が発生しており、セキュリティ上大きな社会問題となっていた。
【0004】
そこで、通常の機密文書と同様にシュレッダーなどで切断処理されるようになった。ところが従来のシュレッダーでは円盤状スリット刃間に油性インクなどが付着し、それが固化して堆積し、さらに粘って引きちぎれた切断屑や油性インクがスリット刃の周縁に付着して成長し、スリット刃自体が互いに接触して切断する際、摩擦力が増大し、接触回転ができなくなって破損するなど、切断機能を損なって、通常の寿命より短くなり、連続的な細断作用が困難になる等の問題があった。
【0005】
従って、前記した使用済みのインクリボンは、基本的に切断によらず、焼却処理をすることも試みられていた。しかし、大規模な焼却施設まで搬送する途中、以前同様紛失するなどセキュリティ上の問題が残ったりしていた。そのためできるだけ事務所内で処理をすることが奨励されたが、事務所で焼却処理をする場合、装置が大がかりとなったり、時間がかかったり、あるいは、油性のインクリボンのため燃焼時の油の臭気が問題になるなど、実用性の点で効果的ではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献1】特開2002−320873号公報
【特許文献2】実用新案登録第3139242号公報
【特許文献3】特願2009−219675号公報
【特許文献4】実用新案登録第2574314号公報
【特許文献5】特開平11−169738号公報
【発明の概要】

【発明が解決しようとした課題】
【0006】
特許文献1に記載される技術は、油性インクの浸みた粘着性のある使用済みマスター紙が従来のシュレッダーで切断すると切断機能を損なうことから、図1、図2で示しているように切断処理する不要紙を補助材5で両側から挟みながら、円盤状スリット内に誘導する構成を採用している。
【0007】
しかしながら、この方法でも補助材5によって、油性インクを拭き取る作用を有しているものの、長時間使用していると円盤状スリット刃に油性インクなどが付着、また、スリット刃と紙の摩擦によりスリット刃の温度が上昇、油性インクが溶け出し、作業停止後スリット刃の温度が下がり、溶けたインクが固化し、円盤状スリット刃が動かなくなる等同様の不具合が生じていた。
【0008】
また、特許文献2に記載される技術は、クロスカットと呼ばれるカット技術が紹介されている。円盤状スリット刃で細長に細断した紙葉をスリット刃の周上にさらに突出した刃で、さらに短く切断して細切れ状態に寸断してクロスカットするもので、スリット刃の周上に突出した刃が特徴になっている。しかし、この技術でもインクリボンをカットするときには、油性インクがスリット刃に固着し、だんだん油性インクが、スリット刃間に堆積してしまっていた。
【0009】
一方、特許文献3に記載の技術は本件発明者が既に出願した技術である。特許文献3並びに本発明のシュレッダーは、インクリボンを切断するために開発されたもので、インクリボンが切断時に多量の静電気を発生することから、開発初期のシュレッダーには切断刃で処理する場所に静電気除去装置が取り付けられていた。しかしながら、シュレッダー本体を構成する価格構成の中で、静電気除去装置の価格が原価に占める割合が大きいことから、シュレッダーの機能、仕様を良くする中で開発初期のシュレッダーから静電気除去装置を取り去る工夫に至ったものが本願発明の改良機となっている。
【0010】
そして、特許文献4と特許文献5はともに吸引作用を奏した技術の記載がある。特許文献4は同公報の作用の欄に記載があるように、屑袋の空気を吸引排出して屑袋自体のかさ張っている空気を除去することで保管場所の制限を受けないよう小型軽量の屑袋に収縮収納するものである。本願発明では前述するようにポリプロピレン(PP)を材料とするインクリボンを切断処理するために、切断時に静電気が発生するために、静電気により切断屑が固まるなどの不具合を起こしていた点を解消するもので、特許文献4に記載される屑袋の収縮収納を意図するものではない。
【0011】
また、特許文献5においては、段落0031の記載にあるように、チップスペース8内では駆動モータ19の始動に伴ってファン22が回転し、その複数の羽根21によって前記薇粉状のインクリボン片が排出管35へ掻き出され、これが排出管35に導かれて集塵機34へ移動する、との記載がある。本願発明では特許文献5とインクリボン片を吸引することは同じではあるが、前述するようにインクリボンを切断する時に発生する静電気によりインクリボンが切断刃の周辺にも絡まってしまうことも考えられ、切断刃周辺を被う集塵容器から直接的、強制的に吸引することによりインクリボン屑を効率良く排除できる点では特許文献5に記載の技術とは異なるものである。
【0012】
そこで本発明のインクリボン用のシュレッダーは、これら使用済みのインクリボンなどの切断処理を行うに当たって、長時間切断しても切断刃に負荷がかかりにくく、また初期開発品では切断刃周辺に帯電する静電気除去装置を用いることなく、快適で効率の良い切断処理を行うことを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために請求項1に係る発明は、インクリボンなどの切断媒体を送り込むための少なくとも一方が回転駆動軸からなる一対の送りローラとで構成する送り機構部と、
この送りローラの後段に、幅方向に隙間を有して前記切断媒体を送り方向に移動させるガイド部材を設けるとともに、このガイド部材に対向し、回転周縁が前記ガイド部材の前記隙間内部に回転突入して引裂く刃先を有する回転刃を設けた引裂機構部と、
前記引裂機構部の後段に、前記インクリボンの切断後の塵を吸引する吸引集塵機構部とで構成されてなる。
【0014】
また、請求項2に係る発明は、請求項1記載の発明において、前記引裂機構部と前記吸引集塵機構部との間に集塵容器を介在させるとともに、前記集塵容器の底部に前記吸引集塵機構部の吸引口を設けて構成されてなる。
【0015】
また、請求項3に係る発明は、請求項1乃至2記載の発明において、前記ガイド部材は、幅方向に回転軸を有し、この回転軸方向に隙間を有して回転する複数の円盤状の回転板からなるガイド回転部材で構成するとともに、前記回転刃は、このガイド回転部材の回転軸と平行して回転し、回転周縁が前記ガイド回転部材の回転板間の前記隙間内部で隙間を有して回転突入する刃先で構成されてなる。
【0016】
また,請求項4に係る発明は、請求項1乃至3記載の発明において、前記回転刃の刃先は、前記ガイド回転部材の回転板間の前記隙間内部で回転突入するよう一枚板を切り欠き、切り欠いた先端を刃先にして構成し、この板状の刃を回転軸に少なくとも1枚取り付けてなる。
【0017】
さらに、請求項5に係る発明は、請求項1乃至4記載の発明において、前記回転刃の回転周縁は、前記送りローラの周速より高速となるように設定されて構成され、周囲近傍に回転駆動軸を有し、この回転軸周囲に除電ブラシを配して、前記集塵容器内で前記回転刃の先端を接触回転させ切断媒体を取り除くように構成したものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明のシュレッダーの第1実施例を示す斜視説明図。
【図2】本発明のガイド部材4と切裂く刃先5aの拡大する部分説明図。
【図3】本発明のシュレッダーの第2実施例を示す側面断面説明図。
【図4】図3のガイド回転部材14と回転刃15の状態を示す平面断面説明図。
【図5】図3の除電ブラシ21を示す平面断面説明図。
【図6】図3の第2実施例のシュレッダーの全体側面説明図。
【図7】図3の第2実施例のシュレッダーの全体正面説明図。
【図8】本発明の全体の機構部を説明する正面図。
【図9】本発明の切断刃周辺に配置する集塵容器を説明する図。
【図10】集塵容器のフランジ部分を説明する拡大図。
【図11】引き裂かれたインクリボン片2tの説明写真。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1、図2に基づいて本発明の第1実施例を説明する。図1は、切断する使用済みのロール状のインクリボン2などを一端部から引き出し、連続して送り込むための一方が回転駆動軸からなる一対の送りローラ3a、3bと、この送りローラ3a、3bの後段に、幅方向に窪んだ隙間6を形成した前記切断媒体を送り方向に移動させるガイド部材4を設けるとともに、このガイド部材4に対向し、回転周縁が前記ガイド部材4の前記隙間6内部に回転突入して引裂く刃先5a(図2参照)を有する回転刃5を設け、さらにこの回転刃5の回転周縁の刃先(5a)は、前記送りローラ3a、3bの周速より高速となるように設定してなるものである。尚、前記送りローラ3a、3bは、3aが駆動ローラで、3bは、従動ローラとなっており、3bの軸は、3aの駆動軸に平行に移動できるようにスプリングで押圧されている。
【0020】
このように、ロール状のインクリボン2は、一端部から引き出されて送り込まれ、送りローラ3a、3bの周速でガイド部材4に沿って流れてくる。そして、このガイド部材の隙間に回転周縁が前記送りローラ3a、3bの周速より高速で回転する回転刃5の刃先5aによって、前記ガイド部材4の前記隙間6内部に回転突入し、インクリボン2に穴をあけながら引裂くので順次連続的にインクリボン2を切り裂くことができる。
【0021】
このような構造にすることによって、従来のスリッタ刃で切断媒体をハサミのように切込むのではなく、薄いインクリボン2を鋭利に引裂く刃先5aで穴を開け、その穴をきっかけに切裂くので、回転刃5の回転周縁の刃先5aが隙間6内部でさらに隙間(G1、G2、G3)を有してお互いに接触することがないので、その刃先5aに油性インクなどが固化したとしても、切断刃同士が固着、動かなくなることがなく、いつまでも切断効果は変わらず最適な状態で切断できる。
【0022】
上記実施例では、ガイド部材4を壁状のもので構成したが、次に本発明の第2実施例を示す図3乃至図7に基づいてシュレッダー11を説明する。図3に示すように、先ず処理しようとするインクリボン2を収納する収納ケース7を設け、ここからインクリボン2の一端を引き出せるようになっている。収納ケース7には、収納蓋7aがあり、ヒンジ部7bを介して開閉し、マイクロスイッチ7cによって、収納蓋7aが閉められてないと駆動しないようになっている。インクリボン2のエンドは、ボビン2eに接着して繋がっているので、切断処理の終了時は、インクリボンの終端がボビン2eとともに引き上げられ収納蓋7aが押し上げられる。その際、マイクロスイッチ7cにより蓋7aが開いたことを検出しシュレッダーの駆動が停止するようになっている。
【0023】
収納ケース7から引き出されるインクリボン2は、誘導ローラ16、17を介して、インクリボン2を連続して切断部分に送り込むための一方が回転駆動軸からなる一対の送りローラ13a、13bが設けられている。この送りローラ13a、13bの後段には、第1実施例における前記ガイド部材4に代えて、幅方向に回転軸14sを有し、この回転軸14s方向に隙間を有して回転する複数の円盤状の回転板14bからなるガイド回転部材14で構成されてなる。
【0024】
第1実施例と同様に設けられた前記回転刃15は、このガイド回転部材14の回転軸14sと平行して回転し、回転周縁が前記ガイド回転部材14の回転板14a間の前記隙間14b内部で隙間を有して回転突入する刃先15aを有する回転刃15で構成されている。この場合も、回転刃15の回転周縁は、前記送りローラ13a、13bの周速より高速(本実施例では2倍程度)となるように設定されて構成されている。尚、前記送りローラ13a、13bは、第1の実施例と同様に13aが駆動ローラで、13bは、従動ローラとなっており、13bの軸は、13aの駆動軸に平行に移動できるようにスプリングで押圧されている。
【0025】
図4に図3のガイド回転部材14と回転刃15の状態を示す平面説明図に示されるように、先ず、ガイド回転部材14は、回転軸14s方向に隙間14bを介して複数の回転板14bがフレーム19、19間に設けられている。一方、このガイド回転部材14の複数の隙間14bに対抗して回転刃の刃先15aをそれぞれ突入するように一枚板を切り欠いて構成している。この切り欠いた先端を回転刃先15aにして構成し、回転軸15sに90°ずつ向きを変えて4枚取り付けている(図3参照)。
【0026】
図3、図5に示されるように回転刃15の下部には、回転刃15の刃先(刃15a)に絡みついたインクリボン片2tを欠き落とすための回転軸21sで回転する除電ブラシ21が設けられておりインクリボン片2tを下部に落とし込んでいる。この除電ブラシ21の回転周速度は、回転刃15の回転周速度より高速回転するようになっており、モータ30及び駆動ベルト31で駆動が伝わるように設定されている。また、この除電ブラシ21も回転軸21sに回転刃15と同様に、90°ずつ向きを変えて4枚取り付けてフレーム19間に設けられている(図3参照)。この除電ブラシ21の代わりに回転刃15の刃先に絡みついたインクリボン片2tを欠き落とす目的を達成できるものであれば、例えばエンビの帯状シートで代用してもよい。
【0027】
ガイド回転部材14の回転周速度は、少なくとも送りローラ13a、13bと同等か、それ以上であることが望ましい。また、回転刃15の回転周縁は、前記送りローラ13a、13bの周速より高速となるように設定されているので、インクリボンは、送りローラ13a、13bで送り込まれ、さらにガイド回転部材14で順次送り込まれ、回転刃15によって、確実に引き裂かれるようになっている。ガイド回転部材14の回転周速度と回転刃15の回転周速度の関係は、同速度かガイド回転部材14より回転刃15の方を高速に設定するのが好ましい。
【0028】
次に、図6、図7の全体側面断面に基づいて、筐体40で覆われたシュレッダー11と、その下部にシュレッダー11により切断されたインクリボン片2t(図11参照)を吸引する吸引装置62(例えばゴミ等をゴミパックに収納される掃除機の機構が代用される)が収納される収納ボックス50も含めたシュレッダースタンド41について説明する。
【0029】
筐体40で覆われたシュレッダー11の下面、すなわちガイド回転部材14、回転刃15、除電ブラシ21等の下部は、切断されたインクリボン片2tが吸引されるように吸引穴Hが開けられ(図9参照)、また、この吸引穴Hの下部には、収納ボックス50に向かって、インクリボン片2tの吸引通路が形成されている。
【0030】
図6、7で示されるように、シュレッダースタンド41は、図7手前側を除き周囲が壁で覆われており、その下部には、高さ調整ねじ45が設けられている。このシュレッダースタンド41の中には、前述したごとく、切断されたインクリボン片2tを吸引する吸引装置62を収納する収納ボックス50の空間が形成されており、取っ手51を持って開閉ドアDを手前に引いて開ければ吸引装置62のメンテナンスができるようになっている。
【0031】
以上のように構成されるシュレダー11は、使用済みのロール状のインクリボン2の一端を引き出し、収納ケース7にセットし、蓋7aを閉める。インクリボン2の一端を誘導ローラ16、17に掛け渡し、さらに送りローラ13a、13bに挟み込みセットが完了する。このセットの仕方は、送りローラ13bが従動ローラで、軸が移動できるので手前(図3中右側)に引き離し、インクリボン2の一端を挟み込めばよい。
【0032】
セットが完了した状態で、スタートスイッチを押すと、順次インクリボン2は、ガイド回転部材14と回転刃15間に送り込まれ、回転刃15の刃先15aが、ガイド回転部材1の隙間14bに回転突入し、穴を開けられながらインクリボン2が引き裂かれ切断される。インクリボン片2tは、擦れや、衝撃が加わり静電気を帯びているので、回転刃15にこびりつくが、後段の除電ブラシ21で掻き落とされたり、後述する図9に示す集塵容器60のフランジ部61(排気口)に吸引装置62(例えば掃除機、図示せず)を接続して、切断作業中は、吸引装置62により強制的にインクリボン片2tを吸引することで、容易に集塵することができる。なお、ここでは便宜上吸引装置62を掃除機として記述しているが、静電気を帯びたインクリボン片2tがゴミパックに収納されるタイプのものを採用することで、集められたインクリボン片2tの廃棄処理も極めて容易となり、同様の吸引効果及び、ゴミ処理効果を奏する手段であれば理想的となり、これに限るものではない。また、集塵容器60の床面はフラットであっても良いが、インクリボン片2tを吸引し易くするために図9に示すようにテーパがあると更に良い。
【0033】
引き裂かれたインクリボン片2tは、送りローラ13a、13bと回転刃15の周速比により、切断形状が変化するが、図11の通り、ジグザグのチップに引裂き切断され判読不能になっている。
【0034】
切断が完了し、(図3に示す)インクリボン2のボビン2eが引き上げられ、収納蓋7aを持ち上げ、マイクロスイッチ7cによって、蓋開き信号を発し、シュレッダー11の駆動が停止するようになっている。
【0035】
以上の構成、動作でインクリボンを切断する本発明の全体の機構部を図8乃至図10により再度説明する。なお、吸引装置62を収納する収納ボックス50は簡易的な描画としている。本発明の各機構部(X:送り機構部、Y:引裂機構部、Z:吸引集塵機構部)は図中に示す1点鎖線で囲まれた構成となっている。まずはインクリボンなどの切断媒体を送り込むための少なくとも一方が回転駆動軸からなる一対の送りローラとで構成する送り機構部Xと、この送りローラの後段に、幅方向に隙間を有して前記切断媒体を送り方向に移動させるガイド部材を設けるとともに、このガイド部材に対向し、回転周縁が前記ガイド部材の前記隙間内部に回転突入する刃先を有する回転刃を設けた引裂機構部Yと、前記引裂機構部の後段に、前記インクリボンの切断後の塵を吸引する吸引集塵機構部Zとからなる。
【0036】
送り機構部Xと引裂機構部Yについては、既に説明をしている動作、処理を行うので省略する。吸引集塵機構部Zについては、図9に示すような集塵容器60を引裂機構部Y全体を被うように配置し、切断すると同時にインクリボン片2tを吸引できるような構造となっている。ここで図9に示す集塵容器60は金属、プラスチィックなどで特に材質は選ばない。取付けについては、図4と図5に描画する一連の回転刃15周辺で回転動作する部分を被うように配置されている。
【0037】
図8に示す集塵容器60のフランジ部61にはホース64などで接続する一例として掃除機を取り付け回転刃15で切断されたインクリボン片2tを吸引するものである。ホース64が抜けないようにフランジ部61では固定ねじ65などで止めておくと良い(図10参照)。なお、ここでインクリボン片2tは、切断時に発生する静電気により引裂機構部Y内でインクリボンが貼りついてしまう場合があっても、吸引により強制的にインクリボン片2tを効率良く除去できることから、従来用いていた静電気除去装置を使用することなくインクリボン片2tを除去できる。
【0038】
なお、吸引されたインクリボン片2tは掃除機本来の仕様ではあるが、掃除機内の集塵パック63に貯めることで集められたインクリボン片2tは簡単に処分することができる。また直接インクリボン片2tに触れずに済むことから、今まではインクリボン片2tを手などで扱って処分する際に見受けられた、床、シュレッダー本体内部、手や服などに付着するという現象を一切無くすことができ、処分作業の簡略化と、シュレッダー本体とその周辺環境の美化をいつもきれいに保つことができるようになる。
【0039】
また、掃除機などの吸引装置62については、収納ボックス50の中に収納して使用できることは勿論のこと、吸引装置62を外部に出したりあるいは大掛かりな集塵装置などを利用する場合には、集塵容器60のフランジ部61とから吸引すれば良く、吸引装置62の規模や配置にこだわるものでは無い。
【0040】
なお、本実施例で示す吸引装置62を例えば掃除機を用いた場合に、切断処理後のインクリボン片2tが非常に薄く、軽い素材であるために、掃除機の仕様として本来の集塵パック満杯信号が得られないことを想定し、万一に備えて集塵パック63の満杯状態の検出機構としては、図10に示すような構造を考えている。図10には集塵容器60のフランジ61に着目したもので、フランジ61にホース64を接続する部分の一部に通気穴70を配置し、吸引装置62の吸引能力が低下することで動作する弁71の状態を感知して集塵パック63の満杯状態を探るものである。図中65はホース64を止める固定ねじである。
【0041】
図10でフランジ61に設けられている通気穴70に対して、71a、71bから成るL字状の弁71が蝶番79によって開閉可能に取り付けられている。そして、この弁71(71a)が通気穴70を塞ぐ格好で構成されており、吸引装置62の吸引能力が充分にある時には弁71は通気穴に密着して塞ぐ格好となっている。その為、弁71はバネ73で通気穴70から離される方向(バネ73に示す矢印方向)の張力が働くように構成されていて、充分な吸引能力が得られない時には、弁71は点線で表示する78の位置となり、この弁71が78の位置に移動したことを検知することで、吸引装置62の能力低下、即ち集塵パック63が満杯になったことと判断するものである。
【0042】
弁71(71a)の開閉幅は、ストッパー72で71bが移動(通気穴70に対する71aの開閉)制限されることで制御されていて、吸引装置62の吸引能力に応じた通気穴70との間隔を調節することができる。弁71が移動した78の位置を検知する方法としては、取付け金具75に取り付けられた機械的スイッチ74で検知するか、取り付け金具77に取り付けられた非接触式スイッチ76で検知するかは使い勝手により決めれば良く、少なくともどちらか一方が選択される。またこれ以外の検出手段を講じても構わない。なお、弁71の開閉方向は図面紙面の上下方向で動作する形で描画しているが、弁の開閉方向、材質や形状について問うものでは無い。
【0043】
このように本発明のシュレッダーであれば、従来のスリット刃同士でハサミのように切り刻む構造ではなく、薄いインクリボンを鋭利な刃先で穴を開け切り裂く構成の原理にしたので、切断刃同士の摩擦がなく、インクリボンの油性インクによる切断摩擦増大などの不具合を受けることなく、いつまでも安定して切り裂きできる。また、切断処理後のインクリボンは吸引集塵機構部から直接(例えば掃除機により)吸引してしまうため、インクリボン片2tを直接手で触れずに処分できるので、手間もかからずまたシュレッダー作業を行う周辺環境も切断後のインクリボン片2tで汚すこともない。
【0044】
また、図1、図2で示したように回転刃5の刃先をMの字状にして、突出部を二股にしているが、山形にAの字状にして、一つ尖った用にしてもよく、形状は各種の形状を採用すればよい。また、第2実施例の刃先15aの形状を図示していないが、便宜上第1実施例と同様に、Mの字状、Aの字状を適宜採用すればよく、刃先15aと隙間14bも隙間6と同じように有しており図面は省略する。
【0045】
加えて、図8に描画するように、送り機構部Xの前段にはロール状のインクリボン(図示せず)をセットする(図3に示す)収納ケース7や供給部70については、ロール状のインクリボンを安易に持ち出されないための鍵付き(図示せず)の収納蓋7a、フタ71が取り付けてあり、更には収納蓋7aにはマイクロスイッチ7cが、フタ71については開閉状態を認識するスイッチ72が設けてある。
【0046】
元来、インクリボンは個人の機密情報の転写跡が残っていることから、誰にでもシュレッダー処理中に簡単に第3者が持ち出せないための保護(収納蓋7aやフタ71を付けること)と、シュレッダー作業中にこの収納蓋7aやフタ71が開けられた時の警報信号並びら、シュレッダー作業中はインクリボンの送り動作をしているために安全性を考慮したシュレッダー作業(送り動作)を中断する信号を取り出すために、マイクロスイッチ7cやスイッチ72を設けるものである。
【符号の説明】
【0047】
1、11・・・シュレッダー
2・・・インクリボン
3a、3b、13a、13b・・・送りローラ
4・・・ガイド部材
5a、15a・・・刃先
5、15・・・回転刃
6・・・隙間
7・・・収納ケース
13a、13b・・・送りローラ
14・・・回転ガイド部材
14a・・・回転ガイド部材片
14b・・・隙間
16、17・・・誘導ローラ
21a・・・除電ブラシ
40・・・筐体
41・・・シュレッダースタンド
50・・・収納ボックス
60・・・集塵容器
61・・・フランジ部
62・・・吸引装置
63・・・集塵パック
64・・・ホース
65・・・固定ねじ
D・・・・開閉ドア
H・・・・吸引穴
X・・・・送り機構部
Y・・・・引裂機構部
Z・・・・吸引集塵機構部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクリボンなどの切断媒体を送り込むための少なくとも一方が回転駆動軸からなる一対の送りローラとで構成する送り機構部と、
この送りローラの後段に、幅方向に隙間を有して前記切断媒体を送り方向に移動させるガイド部材を設けるとともに、このガイド部材に対向し、回転周縁が前記ガイド部材の前記隙間内部に回転突入して引裂く刃先を有する回転刃を設けた引裂機構部と、
前記引裂機構部の後段に、前記インクリボンの切断後の塵を吸引する吸引集塵機構部とで構成されることを特徴とするインクリボンなどの断裁に適したシュレッダー。
【請求項2】
前記引裂機構部と前記吸引集塵機構部との間に集塵容器を介在させるとともに、前記集塵容器の底部に前記吸引集塵機構部の吸引口を設けて構成されてなることを特徴とする請求項1記載のインクリボンなどの断裁に適したシュレッダー。
【請求項3】
前記ガイド部材は、幅方向に回転軸を有し、この回転軸方向に隙間を有して回転する複数の円盤状の回転板からなるガイド回転部材で構成するとともに、前記回転刃は、このガイド回転部材の回転軸と平行して回転し、回転周縁が前記ガイド回転部材の回転板間の前記隙間内部で隙間を有して回転突入する刃先で構成されてなることを特徴とする前記請求項1乃至2記載のインクリボンなどの断裁に適したシュレッダー。
【請求項4】
前記回転刃の刃先は、前記ガイド回転部材の回転板間の前記隙間内部で回転突入するよう一枚板を切り欠き、切り欠いた先端を刃先にして構成し、この板状の刃を回転軸に少なくとも1枚取り付けてなることを特徴とした前記請求項1乃至3記載のシュレッダー。
【請求項5】
前記回転刃の回転周縁は、前記送りローラの周速より高速となるように設定されて構成され、周囲近傍に回転駆動軸を有し、この回転軸周囲に除電ブラシを配して、前記集塵容器内で前記回転刃の先端を接触回転させ切断媒体を取り除くように構成したことを特徴とする前記請求項1乃至4記載のシュレッダー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図11】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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