シュレッダ用ローラーカッター及びシュレッダ
【課題】金属材料の使用量を抑えながら十分な強度を有するシュレッダ用ローラーカッターを提供する。
【解決手段】シュレッダのローラーカッターは、駆動機構に回転駆動される回転軸と、角度位相を所定角度ずらせた状態で順次回転軸に挿通支持される、ディスク3a、3bの内側同士を接合させてなる細断刃3と、細断刃3の両端に取り付けた状態で、回転軸に対して固定されることで細断刃3を回転軸に対して固定する軸固定部材とを有している。このローラーカッターは、細断刃が、ディスク3a、3bを構成する板金材を内方に折畳んで形成され他方に当接する厚肉部たる折畳部31を有している。
【解決手段】シュレッダのローラーカッターは、駆動機構に回転駆動される回転軸と、角度位相を所定角度ずらせた状態で順次回転軸に挿通支持される、ディスク3a、3bの内側同士を接合させてなる細断刃3と、細断刃3の両端に取り付けた状態で、回転軸に対して固定されることで細断刃3を回転軸に対して固定する軸固定部材とを有している。このローラーカッターは、細断刃が、ディスク3a、3bを構成する板金材を内方に折畳んで形成され他方に当接する厚肉部たる折畳部31を有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙葉類等を細断し得るシュレッダ、及び当該シュレッダに使用されるシュレッダ用ローラーカッターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
シュレッダには、紙葉類やクレジットカード、又はCDやDVDといった被細断物を細断することができるローラーカッターを有する細断機構が内蔵されている。この細断機構の構成としては一般に、平行且つ一部が互いに重なるように一対のローラーカッターが配置されたものが多く知られている。シュレッダの使用時には、この対をなすローラーカッター間に被細断物を挿入した状態として、被細断物を引き込む方向にこれら対向するローラーカッターを回転させる。そうすることにより対をなすローラーカッター間で被細断物を細断する。このようなシュレッダには、被細断物を単に挿入した方向にのみ細断することで帯状の細断屑を排出するストレートタイプと、被細断物を帯状に細断しつつ、挿入した方向から交差する方向にも切断して比較的短い細断屑を排出する、特許文献1、特許文献2に記載されているような所謂クロスタイプに分けられる。
【0003】
このローラーカッターは、軸心方向に複数の板金材からなる細断刃を互いに所定間隔配置することにより、他のローラーカッターの細断刃に対して平面視において隙間がないように軸心視において重複させてなる。すなわち、形成される細断屑の幅寸法は、細断刃において被細断物を細断する箇所の厚み寸法によって決まる。
【0004】
そうなると、細断刃の幅寸法を大きく設定しようとするときには、細断刃に用いる板金材の厚みを厚いものとしなければならず、金属材料自体の使用量が嵩んでしまう。また厚い板金材を加工して細断刃を製造しなければならないため、薄い板金材に比べて加工の労力も同じく増大してしまう。このようなことから、ローラーカッターを製造するコストも増大してしまうものとなる。
【0005】
他方、特許文献2のように板金材の折り曲げによって細断刃を構成するディスクの対を構成することにより、対をなすディスクの外寸を厚く構成したものもある、しかし、単なる板金材の折り曲げでは、板金材の厚みによっては折り曲げ箇所の強度が十分でなく、細断刃の強度及び強度に影響される細断刃の耐久性が十分に得られないということも考えられる。
【0006】
また特に、従来の細断刃の多くは、多角形状の断面を有する回転軸に挿通することにより、回転軸に対して固定される態様のものが一般的であった。しかしながら、多角形状の断面を有する回転軸を製造するためには、棒材の表面を精密に加工しなければならない。そのため、その結果シュレッダの製造工程における工数がどうしても多くなってしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第3122126号公報
【特許文献2】実用新案登録第3129584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、金属材料の使用量を抑えながら十分な強度を有するシュレッダ用ローラーカッター及び当該ローラーカッターを具備するシュレッダを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。すなわち本発明に係るシュレッダ用ローラーカッターは、少なくとも対をなすディスクを組み合わせて構成される細断刃を軸線方向に沿って複数配列してなるシュレッダ用ローラーカッターであって、前記細断刃が、対をなす前記ディスクのうち少なくとも一方に、当該ディスクを構成する板金材を内方に厚みを増して形成され内方に厚みを増して形成され他方に当接する厚肉部を有していることを特徴とする。
【0010】
ここで厚肉部とは、板金材を折畳むことにより構成する他、別体の板金材を溶接等により取り付けるような態様や、単に部分的に板金材の厚みを大きく構成する態様など、種々の態様を含む概念である。
【0011】
また本発明に係るシュレッダは、斯かるローラーカッターを少なくとも一対具備し、これら対をなすローラーカッターを互いに一部重複させて配置していることを特徴とするものである。
【0012】
ここで、「少なくとも対をなすディスクを組み合わせて構成される細断刃」、という文言は、ディスクが対をなした状態でのみ細断刃を構成するという意味ではなく、対をなす片方のディスクが対をなすディスクに連ねた状態で端部に位置付けたものであっても、当該片方のディスクが細断刃の一部を構成するという概念である。
【0013】
このようなものであれば、厚肉部において増した板金材の厚みだけ細断刃の厚みを大きく設定することができる。そして厚肉部以外の箇所では板金は基の厚さのままであるため、従来のように板金材の厚みのみで細断刃の寸法を設定していたものに比べて、板金材に要する金属材料を少なくすることができる。また厚肉部では板金材が中実に構成されているために厚み方向にも十分な強度が確保されているため、薄い板金材を用いても、細断刃に十分な強度やそれに起因する耐久性を付与することが可能となる。
【0014】
シュレッダのうちの大部分は細断刃に被細断物を切断し得る突起部を設けたいわゆるクロスタイプのものであるが、厚肉部を利用して、前記ディスクの周縁から前記軸線方向に対して直交する径方向に沿って突出する突起部を形成することが望ましい。これにより、突起部に板金材を折畳んだことに起因する、十分な強度を持たせてクロスカットを好適に行い得るものとなる。
【0015】
そして、厚肉部を利用して突起部を好適に形成するための具体的な構成として、前記ディスクの周縁から突出する前記板金材を折畳み、しかる後に前記細断刃の回転方向に被細断物を細断し得る細断縁を形成しているものを挙げることができる。
【0016】
前記クロスカットを好適行い得る態様として、突起部が被細断物を挿入する方向に被細断物を切断する第一細断縁と被細断物を挿入する方向とは交差する方向に被細断物を切断する第二細断縁を有するものを挙げることができる。
【0017】
また、細断刃により切断される被細断物の細断屑は上記の細断縁の形状に大きく依存するものであるが、第一細断縁が、周縁から連続して湾曲しながら突出する湾曲部を有しているものとすれば、細断屑に折り癖が形成されてしまうことを有効に回避し、細断屑がシュレッダ内で不要に嵩張ったり、屈曲した細断屑がシュレッダの他の部位に詰まったり、巻き込まれたりする不具合を有効に解消することができる。
【0018】
そして、第二細断縁が被細断物を切断する際、ディスク間に被細断物が食い込んでしまうという不具合を有効に回避するためには、第二細断縁が、ディスクの内方から外方へ膨出させながら突出する膨出縁を有したものとして、両ディスクの接合箇所から第二細断縁が立ち上がる基端を狭く構成しておくことが好ましい。
【0019】
また、従来のローラーカッターでは細断刃と細断刃との間に別体の部材を介在させて構成したものが多いが、細断刃に、外方に膨出して隣接する他の細断刃と当接するスペーサ部を設けたものとすれば、部品点数の削減を有効に行うことができる。
【0020】
一方、従来のローラーカッターにおける回転方向の位置決めは、多角形の軸に個々の独立した細断刃をそれぞれ係り合わせることによって専ら軸に対して細断刃が不意に回転しないような位置決めを行っていた。それに対し本発明のシュレッダを、細断刃自体に、外方に突出して隣接する他の細断刃に対する軸線回りの回転方向に沿った相対位置を位置決めし得る係合部を設けたものとすれば、軸と細断刃とを係り合わせるための軸の表面を大きく加工するような工程を有効に省くことができる。
【0021】
さらに、細断刃の回転時に係合部に強い力が加わっても互いの精度の高い位置決めを実現し得る他の構成として、対をなすディスクのうち一方の係合部を外方に突出させるとともに他方を内方に突出させ、係合部の端面を隣接する細断刃の係合部の端面の突出方向に亘って密着し得る密着面とする態様を挙げることができる。
【0022】
特にこの係合部の具体的な構成として、上述したスペーサ部の膨出端から外方にさらに突出させて設けたものを挙げることができる。
【0023】
そして上述した係合部を利用すれば、複数の細断刃を支持するための円筒状の回転軸を適用すべく、細断刃が、前記回転軸を挿通させ得る軸挿通孔を有したものとしても、好適に細断刃の位置決めを行うことができる。
【0024】
細断刃同士の係合部による位置決めを利用して回転軸に対し各細断刃を好適に固定するための具体的な構成として、複数の細断刃同士の相対位置を互いに位置決めした状態で、前記軸線方向の両端に配置された前記細断刃を前記回転軸に対して固定する軸固定部材を適用する構成を挙げることができる。
【0025】
また、細断刃を構成するディスク同士を簡単且つ確実に組み付けるためには、細断刃を、対をなす前記ディスクを凹凸嵌合させるための嵌合部を有したものとすることが好ましい。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、板金材に要する金属材料を少なくすることができる。また薄い板金材を用いても、細断刃に十分な強度やそれに起因する耐久性を付与することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態に係るシュレッダの外観図。
【図2】同実施形態に係るローラーカッターの外観図。
【図3】同ローラーカッターの構成説明図。
【図4】同実施形態に係る要部の外観図。
【図5】同要部の平面図。
【図6】同要部の構成説明図。
【図7】同要部の左側面図。
【図8】同右側面図。
【図9】同要部の他の左側面図。
【図10】同右側面図。
【図11】同実施形態の他の要部を示す拡大図。
【図12】同上。
【図13】同実施形態に係る作用説明図。
【図14】同実施形態に係る他の作用説明図。
【図15】同上。
【図16】同上。
【図17】同上。
【図18】同実施形態の変形例に係る説明図。
【図19】本発明の第二実施形態に係る要部の構成説明図。
【図20】同要部の左側面図。
【図21】同右側面図。
【図22】同要部の他の左側面図。
【図23】同右側面図。
【図24】同実施形態の他の要部を示す拡大図。
【図25】同実施形態に係る作用説明図。
【図26】同実施形態に係る他の作用説明図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
<第一実施形態>
以下、本発明の第一実施形態について図面を参照して説明する。
【0029】
本実施形態に係るシュレッダSは、例えば家庭やSOHOと呼ばれる小規模オフィス等に好適に用いられる、細断屑を収容する容積が例えば2〜3リットルに設定された、所謂自宅/SOHO向けのものである。
【0030】
シュレッダSは図1に示すように、単一のハウジング5と、当該ハウジング5内に紙類等の被細断物を細断するための同図では破線で示す細断機構Cと、細断屑を収容しハウジング5外へ排出させるための抽斗状の屑入れ6とを主に有している。また本実施形態に係るシュレッダSは他にも、細断機構Cを駆動するための駆動機構や主電源スイッチ等を有し細断機構Cを操作するための操作部、屑入を挿入していない状態等では細断刃3を作動させないインタロック機構等が設けられたものとなっているが、これらについては既存の種々の構成を採用し得るため、その詳細な説明を省略するものとする。
【0031】
ハウジング5は、図1に示す通り、上面に形成された被細断物を投入するための投入口51と、投入口51の下方にて被細断物を細断する細断機構Cや当該細断機構Cを駆動するための駆動機構を収容している機構収容部52と、電源コードを収容するためのコード収容部53と、細断屑を収容するための抽斗状の屑入れ6を挿入・離脱可能に収容する屑収容部54とを有している。
【0032】
細断機構Cは、1及び図2に示すように、投入口51に対応する位置を介して対向させた一対の、互いに一部重複させて配置している本発明に係るローラーカッター1を有している。
【0033】
ローラーカッター1は、図2乃至図15に示すように、駆動機構に回転駆動される、表面を円筒面21とした概略円筒形状をなす回転軸2と、角度位相を所定角度ずらせた状態で順次回転軸2に挿通支持される、ディスク3a、3bの内側同士を接合させてなる細断刃3と、細断刃3の両端に取り付けた状態で、回転軸2に対して固定されることで細断刃3を回転軸2に対して固定する軸固定部材4とを有している。
【0034】
ここで、本実施形態に係るローラーカッター1は、図2乃至図15に示すように、ディスク3a、3bを構成する板金材を内方に折畳んで形成することにより内方に厚みを増して形成され他方に当接する厚肉部たる折畳部31を有していることを特徴とするものである。
【0035】
以下、ローラーカッター1の各部の構成について詳述する。
【0036】
細断刃3は、図2乃至図15に示すように、上述の通り対をなす二枚のディスク3a、3bの内側同士を嵌合させることによって少なくとも構成されるものである。そしてこれらディスク3a、3bは、例えば直径が25〜35mm、厚さ0.5〜1mmの概略円形状の板金材のプレス加工によって製造される一体成形品である。これらのディスク3a、3bは細断刃3の構成要素として、それそれ、以下の構成要素を有している。すなわち細断刃3は、板金材を折返し、折畳んでなる折畳部31と、被細断物をクロスカットすべく切断するために設けられた突起部32と、両ディスク3a、3bを嵌合させるための嵌合部33と、隣接する細断刃3の端部同士を離間させるべく軸方向の相対位置を位置決めするためのスペーサ部34と、細断刃3同士の位置決め並びに係り合わせを行うための係合部35と、挿入された被細断物を帯状に剪断するための第一細断縁36と、細断刃3自体を回転軸2に挿通させるための軸挿通孔37とを有している。この両ディスク3a、3bは、折畳部31の折返し方向及び突起部32を設ける向きを反対にしている点、嵌合部33及び係合部35を設ける相対位置を異ならせている点を除いては同一の構成をなすものである。そのため、それぞれのディスク3a、3bに設けられているこれらの構成要素については、同じ符号を付してまとめて説明する。
【0037】
折畳部31は、ディスク3a、3bの外周に沿って等角度間隔に計八個設けられている。これら複数設けられた折畳部31は、ディスク3a、3bの外周の円形部分から突出させた箇所とその付け根の部分とに亘って、板金材をいわゆるヘミング加工による折畳みによって形成されたものである。この折畳部31は、円形部分から径方向に傾斜して突出している箇所で板金材を折畳んでなる折畳縁311と、折畳んだ内面側において対をなす他方のディスク3a、3bに接する密着面312とを有している。本実施形態では両ディスク3a、3bの密着面312同士を互いに密着させることによって、細断刃3における折畳部31の厚みが板金材四枚分の厚みをなすように構成している。すなわちこの板金四枚分の厚みが、被細断物を剪断する際の幅寸法、すなわち細断屑の幅寸法となる。ここで本実施形態では厚肉部の一態様として板金材を折畳むことにより構成する折畳部31を開示しているが、この折畳部31に換える他の態様としては、別体の板金材を溶接等により取り付けるような厚肉部や、単に部分的に板金材の厚みを大きく構成する厚肉部など、本発明の厚肉部は折畳部31に限られない種々の態様を含む概念である。
【0038】
突起部32は、ディスク3a、3bの周縁から前記軸線方向に対して直交する径方向に沿って突出するものである。本実施形態では、折畳部31を利用して突起部32を形成している。そのため、折畳部31同様に、突起部32はディスク3a、3bの外周に沿って等角度間隔に計八個設けられている。これら複数の突起部32は、本実施形態ではそれぞれその先端を鋭利に構成することにより、概略V字状をなす第二細断縁321を形成している。この第二細断縁321とは、細断部の回転動作に伴って、被細断物に対し順次外側から突き刺さることにより、被細断物を挿入する方向とは交差する方向に切断するためのものである。ちなみに、この複数の第二細断縁321同士の距離によって細断屑の長さ寸法が決定される。そのため本実施形態では、細断屑の長さ寸法は約1cmとなる。また、この突起部32における径方向に立ち上がる箇所における外縁が鋭利に構成されることにより、被細断物を挿入方向に剪断し得る前記の第一細断縁36も形成されている。すなわち、この細断刃3は、突起部32の箇所で第一細断縁36と第二細断縁321とが連続して形成されている。
【0039】
嵌合部33は、対をなす前記ディスク3a、3bを互いに凹凸嵌合させるためのものである。この嵌合部33は、前記ディスク3a、3bにそれぞれ等角度間隔で交互に四つずつ形成された嵌合突起331と、嵌合穴332とを有している。そして嵌合突起331には、折畳部31によって増した厚み寸法に対応すべく突出途中箇所に段部333を形成しており、嵌合突起331が嵌合穴332に挿入された状態でこの段部333が嵌合穴332の周囲に当接し、密着することにより、細断刃3の厚み寸法が安定して維持される。
【0040】
スペーサ部34は、ディスク3a、3bの回転中心に近い箇所を、例えば絞り加工によって外方に膨出させてディスク3a、3bに一体に形成したものである。このスペーサ部34は、膨出して隣接する他の細断刃3と当接する膨出面341と、膨出面341のさらに先端から係合部35を突出させるための膨出端342とを有している。このスペーサ部34は、具体的には板金材の厚みの倍の寸法だけ突出させることによって、第一細断縁36と隣接する細断刃3の第一細断縁36との離間距離をちょうど板金材四枚分に設定している。そうすることにより、対向する他のローラーカッター1側のディスク3a、3bの一部を隙間無く収納し得るものとなっている。つまり、このスペーサ部34が、細断機構C自体が所謂紙詰まり等の被細断物の詰まりの無い、安定した動作に寄与している。
【0041】
係合部35は、スペーサ部34の膨出端342から外方にさらに四箇所において突出した係合爪351を主体とする、隣接する他の細断刃3に対する軸線回りの回転方向に沿った相対位置を位置決めするためのものである。この係合部35は、係合端353で隣接する細断刃3側に互いに当接する前記係合爪351と、隣接する細断刃3の係合爪351を収容し得る爪収容部352と有している。係合爪351は、上述した係合端353と、板金を湾曲させて形成することで回転軸2の表面である円筒面21に密着する軸密着面354とを有している。本実施形態では、この係合爪351が突出する箇所の幅寸法よりも爪収容部352の幅寸法を概ね等しく設定している。本実施形態では図11に示すように、当該回転操作における一の操作端で係合部35同士が当接する箇所を係合端353に設定している。
【0042】
特に本実施形態では図7ないし図10に示すように、係合部35の配置を、ディスク3bはディスク3aに対し、特に図9及び図10に示すように所定角度αだけ異ならせて配置するようにしている。具体的には、これにより、対をなすディスク3a、3bを嵌合部33を介して組み合わされて構成される細断刃3同士が図3に示すように係合部35を介して組み付けられる際、係合部35を介して隣り合う細断刃3とはα°だけ角度がずれた状態で突起部32がそれぞれ配置されることとなる。
【0043】
第一細断縁36は、前記ディスク3a、3bの外縁における厚み方向の端部に設けられ、他方の回転軸2に取り付けられた細断刃3に摺接することにより被細断物を挿通方向に剪断し得るものである。具体的には細断刃3の回転に伴って、この第一細断縁36同士が摺接動作することにより、被細断物が剪断される。この第一細断縁36は、ディスク3a、3bの外縁における円周形状をなす部分と、突起部32における径方向に放射状に立ち上がる直線部分の箇所にも設けられている。そうすることで、細断機構Cの回転動作中は、この第一細断縁36は常に対向するローラーカッター1側の第一細断縁36と協働して被細断物を剪断し続けることができる。
【0044】
軸挿通孔37は、回転軸2を挿通させるための開口である。この軸挿通孔37内では、上述した係合部35の軸密着面354が隙間無く密着している。そのため、この細断刃3は回転軸2に対して軸方向以外の方向へのがたつきが無い。
【0045】
本実施形態では、図2に示すように、上述した細断刃3を所定数回転軸2に挿通させ、これら細断刃3を互いに位置決めさせた状態で、軸方向両端からディスク3a、3bに対し軸固定部材4を係り合わせた状態で、この軸固定部材4を回転軸2に固定することにより、細断刃3を回転軸2に固定している。
【0046】
回転軸2は、上述の通り表面を滑らかに湾曲した円筒面21とし、その両端部付近には、軸固定部材4を固定するためのピン穴22を有したものである。この回転軸2は、既存の円筒形状をなす金属製の棒材に対し、適宜の加工を施すのみによって構成されたものである。またこの回転軸2はその両端部において図示しない駆動機構に固定されるよう適宜の加工が施されているものであるが、この両端部の具体的な形状は駆動機構の構造等に応じて種々の構成を適用し得る。そのため本実施形態では回転軸2の両端部の図示を省略している。
【0047】
軸固定部材4は、ディスク3a、3bの内側から係り合う第一カラー41と、ディスク3a、3bの外側から係り合う第二カラー42と、これら第一カラー41、第二カラー42を回転軸2に対して固定するためのロールピン47a、47bとを有している。第一カラー41は、例えば剛性の高い金属によって成形された、ディスク3a、3bの円周部分に略等しい直径を有する概略ドーナツ形状をなすものであり、その一方の面においてディスク3a、3bの嵌合部33に対して嵌合し得る嵌合凹部43と嵌合凸部44とを有するとともに、端面にはロールピン47aをピン穴22にまで挿通させ得るピン挿通孔46aを有している。第二カラー42は、同じく剛性の高い金属によって構成された、上述のディスク3a、3bのスペーサ部34の大きさに略等しく設定されたものであり、ディスク3a、3bの係合爪351を隙間無く収容・固定し得る爪固定穴45を四箇所設けるとともに、端面にはロールピン47bをピン穴22にまで挿通させ得るピン挿通孔46bを有している。
【0048】
そして本実施形態のローラーカッター1を図2の如く組立てるべく、この軸固定部材4を用いて細断刃3を回転軸2に対して固定するための一例を以下に述べる。まず、例えば第二カラー42をまずロールピン47bを用いて回転軸2に対して固定しておき、その状態で回転軸2に対し、順次ディスク3a、3bを挿通していく。勿論予め図3のように組み付けておいたディスク3a、3bを挿通させても良い。そして最初に挿入したディスク3a、3bのうちの何れかを、回転軸2に固定しておいた第二カラー42に固定する。そして全ての細断刃3を回転軸2に挿通させ且つ組み合わせた後、最後に挿通させたディスク3a、3bに第一カラー41を固定する。その後、第一カラー41を捻るなどして、全てのディスク3a、3bの係合端353が互いに当接する。そして、この第一カラー41のピン挿通孔46aにロールピン47aを挿入することにより第一カラー41を固定して、細断刃3が回転軸2に対して、回転もがたつきも、軸方向のずれも無く強固に固定する。勿論、第一カラー41を回転軸2に対して最初に固定し、最後に第二カラー42を固定するようにしても良い。
【0049】
しかして本実施形態では、図14〜図17に示すように、折畳部31を利用して突起部32を以下のように形成している。
【0050】
まず、図14に示すように、折畳部31は、ディスク3a、3bの外周において突起部32を形成するための位置から延出させた板金材からなる。この板金材を同図で破線で示した折畳縁311の位置で、例えばヘミング加工により折畳むと、図15に示す状態となる。図15に示す状態では、折畳部31を形成し得る部位の他に、板金材が突起部32および第一細断縁36又は第一細断縁36を形成し得る部位からはみ出した余剰部分313がうまれる。そして図16に示すように、余剰部分313を切り取ることにより、折畳部31が形成される。その後、図17に示されるように、折畳部31の先端部分を一部切欠くか削り、第二細断縁321を形成する。
【0051】
このようにして、本実施形態では折畳部31の板金材を利用して突起部32を形成することにより、当該突起部32を強固に形成し、より確実に第二細断縁321が被細断物を細断し得るものとなっている。
【0052】
以上のような構成とすることにより、本実施形態に係るシュレッダS用ローラーカッター1は、細断刃3が、対をなす前記ディスク3a、3bのうち少なくとも一方に、当該ディスク3a、3bを構成する板金材を内方に厚みを増して形成され他方に当接する厚肉部たる折畳部31を有しているので、折畳部31において板金材を折畳んだ厚みだけ細断刃3の厚みを大きく設定することができ、折畳部31以外の箇所では板金は基の厚さのままとなっているので、従来のように板金材の厚みのみで細断刃3の寸法を設定していたものに比べて、板金材に要する金属材料を少なく構成し得たものとなっている。また折畳部31では板金材が積層されているために十分な強度が確保されている。
【0053】
また本実施形態では、折畳部31を利用して突起部32を形成することにより、突起部32が板金材を折畳んだことに起因する十分な強度を有しているので、第二細断縁321による被細断物の細断すなわちクロスカットを好適に行い得るものとなっている。特に本実施形態では、具体的には前記ディスク3a、3bの周縁から突出する前記板金材を折畳み、しかる後に前記細断刃3の回転方向に被細断物を細断し得る第二細断縁321を強固に形成し得たものとなっている。ここで本実施形態では上述の通り厚肉部の一態様として折畳部31を開示しているが、別体の板金材を溶接等により取り付けるような厚肉部や、単に部分的に板金材の厚みを大きく構成する厚肉部を利用しても十分な強度を有する突起部32を構成することが可能であり、第二細断縁321により好適なクロスカットが可能である。
【0054】
本実施形態では細断刃3に、外方に膨出して隣接する他の細断刃3と当接するスペーサ部34を絞り加工で一体に設けることにより、細断刃3間に別体のカラー等を配置することを回避して、有効な部品点数の削減を実現している。
【0055】
特に、本実施形態では細断刃3自体に、スペーサ部34から外方に突出して隣接する他の細断刃3に対して位置決めし得る係合部35を設けたものとしている。その結果、円筒形状の回転軸2の適用を実現した。
【0056】
すなわち、従来のように回転軸2と細断刃3とを係り合わせるための軸の表面を多角形状に加工したり、軸と個々の細断刃3をそれぞれ固定したりするための構成を有効に回避して、円筒状の棒材の両端に簡単な加工を施すのみで回転軸2を構成することで、本実施形態に係るローラーカッターCは製造に係る工数や手間をこれまでのものに比べ、大幅に削減し得たものとなっている。
【0057】
細断刃3同士の係合部35による位置決めを利用して回転軸2に対し各細断刃3を好適に固定するため、複数の細断刃3同士の相対位置を互いに位置決めした状態で、前記軸線方向の両端に配置された前記細断刃3を前記回転軸2に対して固定する軸固定部材4を適用する構成を適用している。
【0058】
また、細断刃3を構成するディスク3a、3b同士を簡単且つ確実に組み付けるために本実施形態では、対をなすディスク3a、3bを凹凸嵌合させるための嵌合部33を設けて、確実な嵌合を可能としている。
【0059】
<変形例>
以下に本実施形態の変形例について図18を用いて説明する。当該変形例において、上記実施形態に相当する構成要素については、同じ符号を付すとともに、詳細な説明を省略するものとする。
【0060】
上記実施形態では、全ての折畳部31の位置で突起部32を形成していたが、勿論、折畳部31は突起部32を形成するものに限られない。
【0061】
すなわち本変形例に係るローラーカッター1を構成するディスク3cは、突起部32を180°間隔で二箇所形成するとともに、これら突起部32から90°隔てた位置で板金材を折り曲げることにより、突起部32を形成しない折畳部31aを有したものである。具体的には、板金材を折畳み縁の位置を囲うコの字状に裁断した箇所を折畳縁311aの位置から外縁に向けて折畳んだ後、折畳んだ端部の形状を円周形状に合致させるように形成している。当該ディスク3cに対して対をなすディスクは、折畳部31及び突起部32、嵌合部33及び係合部35の配置が上記実施形態と同様に異ならせるものであるので、図示を省略するものとする。
【0062】
このような構成により、突起部32を設ける数を少なく設けても、所要の箇所に折畳部31aを設けて、細断刃3の厚み寸法並びに強度を担保することができる。また勿論、本変形例の折畳部31aに換わる本発明の厚肉部の他の態様として、別体の板金材を溶接等により取り付ける厚肉部や、単に部分的に板金材の厚みを大きく構成する厚肉部など、本発明の厚肉部は折畳部31aの態様に限られない。
【0063】
なお、図示の態様の他、突起部32を配置せず、上記の折畳部31のみの構成とすれば、ストレートタイプのローラーカッター1も本発明を利用して構成することができる。
【0064】
<第二実施形態>
以下に本実施形態の変形例について図19乃至図26を用いて説明する。当該第二実施形態においても上記第一実施形態同様、において、上記実施形態に相当する構成要素については、同じ符号を付すとともに、詳細な説明を省略するものとする。
【0065】
細断刃3は、同図に示すように、対をなす二枚のディスク3a、3bの内側同士を嵌合させることによって少なくとも構成されるものである。そしてこれらのディスク3a、3bは細断刃3の構成要素として、上記第一実施形態同様の、以下の構成要素を有している。すなわち細断刃3は、折畳部31と、嵌合部33と、スペーサ部34と、細断刃3自体を回転軸2に挿通させるための軸挿通孔37とを有している。また、係合部35の配置を、ディスク3bはディスク3aに対し、所定角度だけ異ならせて配置するようにしている点も同様である。そして本実施形態にあっても上記実施形態同様に、図2に示すように、細断刃3を所定数回転軸2に挿通させ、これら細断刃3を互いに位置決めさせた状態で、軸方向両端からディスク3a、3bに対し軸固定部材4を係り合わせた状態で、この軸固定部材4を回転軸2に固定することにより、細断刃3を回転軸2に固定している。
【0066】
ここで、本実施形態に係る細断刃3は、上記第一実施形態に対して、突起部32、係合部35a、35b、そして第一細断縁36の形状をそれぞれ異ならせて形成している。以下、当該突起部32、係合部35a、35b及び第一細断縁36の構成について説明する。
【0067】
突起部32は、上記実施形態同様、折畳部31を利用して形成したものであり、ディスク3a、3bの外周に沿って等角度間隔に計八個設けられている。これら複数の突起部32は、本実施形態ではそれぞれその先端を鋭利に構成するとともに、ディスク3a、3bの内方から外方へ膨出させながら突出する膨出縁321aを有した第二細断縁321を形成している。この第二細断縁321とは、細断部の回転動作に伴って、被細断物に対し順次外側から突き刺さることにより、被細断物を挿入する方向とは交差する方向に切断するためのものである。また、この突起部32における径方向に湾曲しながら立ち上がる箇所における外縁が鋭利に構成されることにより、被細断物を挿入方向に剪断し得る前記の第一細断縁36も形成されている。そしてこの第一細断縁36は後述の通り、前記周縁から連続して湾曲しながら突出する湾曲部36aを有している。
【0068】
係合部35a、35bは、スペーサ部34の膨出端342からさらに四箇所において突出した係合爪351を主体とするものであり、対をなすディスクのうち一方のディスク3bの係合部35bを外方に突出させるとともに他方のディスク3aの係合部35aを内方に突出させて、隣接する他の細断刃3に対する位置決めするためのものである。この係合部35は、隣接する細断刃3側に互いに当接する前記係合爪351と、隣接する細断刃3の係合爪351を収容し得る爪収容部352と有している。係合爪351は、回転軸2の表面である円筒面21に密着する軸密着面354とを有している。本実施形態では、この係合爪351が突出する箇所の幅寸法よりも爪収容部352の幅寸法を概ね等しく設定している。そして本実施形態の係合爪351は、図24に示すように、係合部35aを内方に突出させることによって、係合爪351の端面を、略全面積にて互いに密着するようにした密着面356に設定している。
【0069】
第一細断縁36は上述の通り、回転軸2に取り付けられた細断刃3に摺接することにより被細断物を挿通方向に剪断し得るもので、第一細断縁36同士が摺接動作することにより、被細断物が剪断される。本実施形態ではこの第一細断縁36は、ディスク3a、3bの外縁における円周形状をなす部分と、前記周縁から連続して湾曲しながら突出する湾曲部分を経て、突起部32における径方向に放射状に立ち上がる直線部分の箇所にも設けられている。そして前記湾曲部分を上記湾曲部36aとしている。そうすることで、細断機構Cの回転動作中は、対向するローラーカッター1側の第一細断縁36と協働して被細断物を剪断し続ける際に、円周形状をなす部分と直線部分とが滑らかに連続するため、細断屑が部分的に過度に曲げられる事が無く、折り癖が付かない。
【0070】
しかして本実施形態に示す細断刃は、図24に示すように細断刃3同士を係合部35a、35bを介して接続した際、密着面356同士が係合爪351の端面の略全域で密着するようになっている。これにより、細断刃3同士は互いに安定して強固に位置決めされるものとなっている。
【0071】
また本実施形態では、図25に示すように、突出部32の第二細断縁321に膨出縁321aを形成することにより、この第二細断縁321が紙などの被細断物に先端からaの距離を経て漸次突き刺さる際、早い段階でbの距離まで突き刺さり、被細断物を概ね細断し得た状態となる。これにより、被細断物が密着面312の縁部cまで到達する際には容易に被細断物は細断される。すなわち、細断し得なかった被細断物がディスク3a、3bに詰まってしまうという可能性を有効に排除している。
【0072】
そして本実施形態では、対向する細断刃3を示す図26に示すように、これら細断刃3の間を図示の紙Pが細断刃3の回転により通過する際には、通過させる方向に沿って剪断される際には、紙Pには第一細断縁36の形状に沿って曲げられながら剪断される。本実施形態では、同図のように、ディスク3a、3bの円周部分の第一細断縁36と突出部32に形成された第一細断縁36との間に湾曲部36aを介在させている。これにより、紙Pが局所的に鋭く曲げられてしまうということがない。その結果、第二細断縁321にて切断された細断屑kは、その長手方向に強く曲げられずに落下する。なお本実施形態では図示しないが、仮に細断屑kが細断刃3の回転とともに図示側方へ巻き込まれても細断刃3間に設けられているスクレイパにより容易に除去される。
【0073】
以上のように、本発明の第二実施形態では、上記第一実施形態に記した効果に加え、第一細断縁36が湾曲部36aを有しているので、図26に示すように細断屑kに折り癖が形成されてしまうことを有効に回避している。そしてこのように強く曲げられることなく生成された細断屑kは、シュレッダの屑入れ内で過度に嵩張ることが無いばかりか、回転する細断刃3に絡まって付着してしまうという不具合も有効に回避している。
【0074】
そして、第二細断縁321が被細断物を切断する際には膨出縁321aが形成されているので、両ディスク3a、3bの接合箇所である密着面312から第二細断縁321が立ち上がる基端を狭く構成される。これにより、密着面321からディスク3a,3b間に被細断物が食い込んでしまうという不具合を有効に回避している。
【0075】
特に本実施形態では、それぞれのディスク3a、3bの係合部35a、35bの係合爪351の突出方向を内外に異ならせることにより、端面同士が突出方向に亘って広い面積で密着し得る密着面356を形成しているので、強く且つ精度の高い位置決めを実現し得る構成として、細断刃3自体の耐久性を有効に高め得たものとしている。
【0076】
以上、本発明の実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0077】
例えば、上記実施形態ではローラーカッターの箇所のみで被細断物を細断する態様を開示したが、勿論、ストレートタイプのローラーカッターを用いた場合などは、帯状の被細断物をさらに長手方向に細断するための格別の要素を配置しても良い。また板金材の厚みや軸の長さ等の具体的な態様は上記実施形態のものに限定されることはなく、既存のものを含め、種々の態様のものを適用することができる。
【0078】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は紙葉類等を細断し得るシュレッダ、及び当該シュレッダに使用されるシュレッダ用ローラーカッターとして利用することができる。
【符号の説明】
【0080】
2…回転軸
3a、3b…ディスク
3…細断刃
31…厚肉部(折畳部)
32…突起部
321…細断縁(第二細断縁)
321a…膨出縁
33…嵌合部
34…スペーサ部
342…膨出端
35、35a、35b…係合部
353…操作端(係合端)
356…密着面
36…細断縁(第一細断縁)
36a…湾曲部
37…軸挿通孔
4…軸固定部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙葉類等を細断し得るシュレッダ、及び当該シュレッダに使用されるシュレッダ用ローラーカッターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
シュレッダには、紙葉類やクレジットカード、又はCDやDVDといった被細断物を細断することができるローラーカッターを有する細断機構が内蔵されている。この細断機構の構成としては一般に、平行且つ一部が互いに重なるように一対のローラーカッターが配置されたものが多く知られている。シュレッダの使用時には、この対をなすローラーカッター間に被細断物を挿入した状態として、被細断物を引き込む方向にこれら対向するローラーカッターを回転させる。そうすることにより対をなすローラーカッター間で被細断物を細断する。このようなシュレッダには、被細断物を単に挿入した方向にのみ細断することで帯状の細断屑を排出するストレートタイプと、被細断物を帯状に細断しつつ、挿入した方向から交差する方向にも切断して比較的短い細断屑を排出する、特許文献1、特許文献2に記載されているような所謂クロスタイプに分けられる。
【0003】
このローラーカッターは、軸心方向に複数の板金材からなる細断刃を互いに所定間隔配置することにより、他のローラーカッターの細断刃に対して平面視において隙間がないように軸心視において重複させてなる。すなわち、形成される細断屑の幅寸法は、細断刃において被細断物を細断する箇所の厚み寸法によって決まる。
【0004】
そうなると、細断刃の幅寸法を大きく設定しようとするときには、細断刃に用いる板金材の厚みを厚いものとしなければならず、金属材料自体の使用量が嵩んでしまう。また厚い板金材を加工して細断刃を製造しなければならないため、薄い板金材に比べて加工の労力も同じく増大してしまう。このようなことから、ローラーカッターを製造するコストも増大してしまうものとなる。
【0005】
他方、特許文献2のように板金材の折り曲げによって細断刃を構成するディスクの対を構成することにより、対をなすディスクの外寸を厚く構成したものもある、しかし、単なる板金材の折り曲げでは、板金材の厚みによっては折り曲げ箇所の強度が十分でなく、細断刃の強度及び強度に影響される細断刃の耐久性が十分に得られないということも考えられる。
【0006】
また特に、従来の細断刃の多くは、多角形状の断面を有する回転軸に挿通することにより、回転軸に対して固定される態様のものが一般的であった。しかしながら、多角形状の断面を有する回転軸を製造するためには、棒材の表面を精密に加工しなければならない。そのため、その結果シュレッダの製造工程における工数がどうしても多くなってしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第3122126号公報
【特許文献2】実用新案登録第3129584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、金属材料の使用量を抑えながら十分な強度を有するシュレッダ用ローラーカッター及び当該ローラーカッターを具備するシュレッダを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。すなわち本発明に係るシュレッダ用ローラーカッターは、少なくとも対をなすディスクを組み合わせて構成される細断刃を軸線方向に沿って複数配列してなるシュレッダ用ローラーカッターであって、前記細断刃が、対をなす前記ディスクのうち少なくとも一方に、当該ディスクを構成する板金材を内方に厚みを増して形成され内方に厚みを増して形成され他方に当接する厚肉部を有していることを特徴とする。
【0010】
ここで厚肉部とは、板金材を折畳むことにより構成する他、別体の板金材を溶接等により取り付けるような態様や、単に部分的に板金材の厚みを大きく構成する態様など、種々の態様を含む概念である。
【0011】
また本発明に係るシュレッダは、斯かるローラーカッターを少なくとも一対具備し、これら対をなすローラーカッターを互いに一部重複させて配置していることを特徴とするものである。
【0012】
ここで、「少なくとも対をなすディスクを組み合わせて構成される細断刃」、という文言は、ディスクが対をなした状態でのみ細断刃を構成するという意味ではなく、対をなす片方のディスクが対をなすディスクに連ねた状態で端部に位置付けたものであっても、当該片方のディスクが細断刃の一部を構成するという概念である。
【0013】
このようなものであれば、厚肉部において増した板金材の厚みだけ細断刃の厚みを大きく設定することができる。そして厚肉部以外の箇所では板金は基の厚さのままであるため、従来のように板金材の厚みのみで細断刃の寸法を設定していたものに比べて、板金材に要する金属材料を少なくすることができる。また厚肉部では板金材が中実に構成されているために厚み方向にも十分な強度が確保されているため、薄い板金材を用いても、細断刃に十分な強度やそれに起因する耐久性を付与することが可能となる。
【0014】
シュレッダのうちの大部分は細断刃に被細断物を切断し得る突起部を設けたいわゆるクロスタイプのものであるが、厚肉部を利用して、前記ディスクの周縁から前記軸線方向に対して直交する径方向に沿って突出する突起部を形成することが望ましい。これにより、突起部に板金材を折畳んだことに起因する、十分な強度を持たせてクロスカットを好適に行い得るものとなる。
【0015】
そして、厚肉部を利用して突起部を好適に形成するための具体的な構成として、前記ディスクの周縁から突出する前記板金材を折畳み、しかる後に前記細断刃の回転方向に被細断物を細断し得る細断縁を形成しているものを挙げることができる。
【0016】
前記クロスカットを好適行い得る態様として、突起部が被細断物を挿入する方向に被細断物を切断する第一細断縁と被細断物を挿入する方向とは交差する方向に被細断物を切断する第二細断縁を有するものを挙げることができる。
【0017】
また、細断刃により切断される被細断物の細断屑は上記の細断縁の形状に大きく依存するものであるが、第一細断縁が、周縁から連続して湾曲しながら突出する湾曲部を有しているものとすれば、細断屑に折り癖が形成されてしまうことを有効に回避し、細断屑がシュレッダ内で不要に嵩張ったり、屈曲した細断屑がシュレッダの他の部位に詰まったり、巻き込まれたりする不具合を有効に解消することができる。
【0018】
そして、第二細断縁が被細断物を切断する際、ディスク間に被細断物が食い込んでしまうという不具合を有効に回避するためには、第二細断縁が、ディスクの内方から外方へ膨出させながら突出する膨出縁を有したものとして、両ディスクの接合箇所から第二細断縁が立ち上がる基端を狭く構成しておくことが好ましい。
【0019】
また、従来のローラーカッターでは細断刃と細断刃との間に別体の部材を介在させて構成したものが多いが、細断刃に、外方に膨出して隣接する他の細断刃と当接するスペーサ部を設けたものとすれば、部品点数の削減を有効に行うことができる。
【0020】
一方、従来のローラーカッターにおける回転方向の位置決めは、多角形の軸に個々の独立した細断刃をそれぞれ係り合わせることによって専ら軸に対して細断刃が不意に回転しないような位置決めを行っていた。それに対し本発明のシュレッダを、細断刃自体に、外方に突出して隣接する他の細断刃に対する軸線回りの回転方向に沿った相対位置を位置決めし得る係合部を設けたものとすれば、軸と細断刃とを係り合わせるための軸の表面を大きく加工するような工程を有効に省くことができる。
【0021】
さらに、細断刃の回転時に係合部に強い力が加わっても互いの精度の高い位置決めを実現し得る他の構成として、対をなすディスクのうち一方の係合部を外方に突出させるとともに他方を内方に突出させ、係合部の端面を隣接する細断刃の係合部の端面の突出方向に亘って密着し得る密着面とする態様を挙げることができる。
【0022】
特にこの係合部の具体的な構成として、上述したスペーサ部の膨出端から外方にさらに突出させて設けたものを挙げることができる。
【0023】
そして上述した係合部を利用すれば、複数の細断刃を支持するための円筒状の回転軸を適用すべく、細断刃が、前記回転軸を挿通させ得る軸挿通孔を有したものとしても、好適に細断刃の位置決めを行うことができる。
【0024】
細断刃同士の係合部による位置決めを利用して回転軸に対し各細断刃を好適に固定するための具体的な構成として、複数の細断刃同士の相対位置を互いに位置決めした状態で、前記軸線方向の両端に配置された前記細断刃を前記回転軸に対して固定する軸固定部材を適用する構成を挙げることができる。
【0025】
また、細断刃を構成するディスク同士を簡単且つ確実に組み付けるためには、細断刃を、対をなす前記ディスクを凹凸嵌合させるための嵌合部を有したものとすることが好ましい。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、板金材に要する金属材料を少なくすることができる。また薄い板金材を用いても、細断刃に十分な強度やそれに起因する耐久性を付与することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態に係るシュレッダの外観図。
【図2】同実施形態に係るローラーカッターの外観図。
【図3】同ローラーカッターの構成説明図。
【図4】同実施形態に係る要部の外観図。
【図5】同要部の平面図。
【図6】同要部の構成説明図。
【図7】同要部の左側面図。
【図8】同右側面図。
【図9】同要部の他の左側面図。
【図10】同右側面図。
【図11】同実施形態の他の要部を示す拡大図。
【図12】同上。
【図13】同実施形態に係る作用説明図。
【図14】同実施形態に係る他の作用説明図。
【図15】同上。
【図16】同上。
【図17】同上。
【図18】同実施形態の変形例に係る説明図。
【図19】本発明の第二実施形態に係る要部の構成説明図。
【図20】同要部の左側面図。
【図21】同右側面図。
【図22】同要部の他の左側面図。
【図23】同右側面図。
【図24】同実施形態の他の要部を示す拡大図。
【図25】同実施形態に係る作用説明図。
【図26】同実施形態に係る他の作用説明図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
<第一実施形態>
以下、本発明の第一実施形態について図面を参照して説明する。
【0029】
本実施形態に係るシュレッダSは、例えば家庭やSOHOと呼ばれる小規模オフィス等に好適に用いられる、細断屑を収容する容積が例えば2〜3リットルに設定された、所謂自宅/SOHO向けのものである。
【0030】
シュレッダSは図1に示すように、単一のハウジング5と、当該ハウジング5内に紙類等の被細断物を細断するための同図では破線で示す細断機構Cと、細断屑を収容しハウジング5外へ排出させるための抽斗状の屑入れ6とを主に有している。また本実施形態に係るシュレッダSは他にも、細断機構Cを駆動するための駆動機構や主電源スイッチ等を有し細断機構Cを操作するための操作部、屑入を挿入していない状態等では細断刃3を作動させないインタロック機構等が設けられたものとなっているが、これらについては既存の種々の構成を採用し得るため、その詳細な説明を省略するものとする。
【0031】
ハウジング5は、図1に示す通り、上面に形成された被細断物を投入するための投入口51と、投入口51の下方にて被細断物を細断する細断機構Cや当該細断機構Cを駆動するための駆動機構を収容している機構収容部52と、電源コードを収容するためのコード収容部53と、細断屑を収容するための抽斗状の屑入れ6を挿入・離脱可能に収容する屑収容部54とを有している。
【0032】
細断機構Cは、1及び図2に示すように、投入口51に対応する位置を介して対向させた一対の、互いに一部重複させて配置している本発明に係るローラーカッター1を有している。
【0033】
ローラーカッター1は、図2乃至図15に示すように、駆動機構に回転駆動される、表面を円筒面21とした概略円筒形状をなす回転軸2と、角度位相を所定角度ずらせた状態で順次回転軸2に挿通支持される、ディスク3a、3bの内側同士を接合させてなる細断刃3と、細断刃3の両端に取り付けた状態で、回転軸2に対して固定されることで細断刃3を回転軸2に対して固定する軸固定部材4とを有している。
【0034】
ここで、本実施形態に係るローラーカッター1は、図2乃至図15に示すように、ディスク3a、3bを構成する板金材を内方に折畳んで形成することにより内方に厚みを増して形成され他方に当接する厚肉部たる折畳部31を有していることを特徴とするものである。
【0035】
以下、ローラーカッター1の各部の構成について詳述する。
【0036】
細断刃3は、図2乃至図15に示すように、上述の通り対をなす二枚のディスク3a、3bの内側同士を嵌合させることによって少なくとも構成されるものである。そしてこれらディスク3a、3bは、例えば直径が25〜35mm、厚さ0.5〜1mmの概略円形状の板金材のプレス加工によって製造される一体成形品である。これらのディスク3a、3bは細断刃3の構成要素として、それそれ、以下の構成要素を有している。すなわち細断刃3は、板金材を折返し、折畳んでなる折畳部31と、被細断物をクロスカットすべく切断するために設けられた突起部32と、両ディスク3a、3bを嵌合させるための嵌合部33と、隣接する細断刃3の端部同士を離間させるべく軸方向の相対位置を位置決めするためのスペーサ部34と、細断刃3同士の位置決め並びに係り合わせを行うための係合部35と、挿入された被細断物を帯状に剪断するための第一細断縁36と、細断刃3自体を回転軸2に挿通させるための軸挿通孔37とを有している。この両ディスク3a、3bは、折畳部31の折返し方向及び突起部32を設ける向きを反対にしている点、嵌合部33及び係合部35を設ける相対位置を異ならせている点を除いては同一の構成をなすものである。そのため、それぞれのディスク3a、3bに設けられているこれらの構成要素については、同じ符号を付してまとめて説明する。
【0037】
折畳部31は、ディスク3a、3bの外周に沿って等角度間隔に計八個設けられている。これら複数設けられた折畳部31は、ディスク3a、3bの外周の円形部分から突出させた箇所とその付け根の部分とに亘って、板金材をいわゆるヘミング加工による折畳みによって形成されたものである。この折畳部31は、円形部分から径方向に傾斜して突出している箇所で板金材を折畳んでなる折畳縁311と、折畳んだ内面側において対をなす他方のディスク3a、3bに接する密着面312とを有している。本実施形態では両ディスク3a、3bの密着面312同士を互いに密着させることによって、細断刃3における折畳部31の厚みが板金材四枚分の厚みをなすように構成している。すなわちこの板金四枚分の厚みが、被細断物を剪断する際の幅寸法、すなわち細断屑の幅寸法となる。ここで本実施形態では厚肉部の一態様として板金材を折畳むことにより構成する折畳部31を開示しているが、この折畳部31に換える他の態様としては、別体の板金材を溶接等により取り付けるような厚肉部や、単に部分的に板金材の厚みを大きく構成する厚肉部など、本発明の厚肉部は折畳部31に限られない種々の態様を含む概念である。
【0038】
突起部32は、ディスク3a、3bの周縁から前記軸線方向に対して直交する径方向に沿って突出するものである。本実施形態では、折畳部31を利用して突起部32を形成している。そのため、折畳部31同様に、突起部32はディスク3a、3bの外周に沿って等角度間隔に計八個設けられている。これら複数の突起部32は、本実施形態ではそれぞれその先端を鋭利に構成することにより、概略V字状をなす第二細断縁321を形成している。この第二細断縁321とは、細断部の回転動作に伴って、被細断物に対し順次外側から突き刺さることにより、被細断物を挿入する方向とは交差する方向に切断するためのものである。ちなみに、この複数の第二細断縁321同士の距離によって細断屑の長さ寸法が決定される。そのため本実施形態では、細断屑の長さ寸法は約1cmとなる。また、この突起部32における径方向に立ち上がる箇所における外縁が鋭利に構成されることにより、被細断物を挿入方向に剪断し得る前記の第一細断縁36も形成されている。すなわち、この細断刃3は、突起部32の箇所で第一細断縁36と第二細断縁321とが連続して形成されている。
【0039】
嵌合部33は、対をなす前記ディスク3a、3bを互いに凹凸嵌合させるためのものである。この嵌合部33は、前記ディスク3a、3bにそれぞれ等角度間隔で交互に四つずつ形成された嵌合突起331と、嵌合穴332とを有している。そして嵌合突起331には、折畳部31によって増した厚み寸法に対応すべく突出途中箇所に段部333を形成しており、嵌合突起331が嵌合穴332に挿入された状態でこの段部333が嵌合穴332の周囲に当接し、密着することにより、細断刃3の厚み寸法が安定して維持される。
【0040】
スペーサ部34は、ディスク3a、3bの回転中心に近い箇所を、例えば絞り加工によって外方に膨出させてディスク3a、3bに一体に形成したものである。このスペーサ部34は、膨出して隣接する他の細断刃3と当接する膨出面341と、膨出面341のさらに先端から係合部35を突出させるための膨出端342とを有している。このスペーサ部34は、具体的には板金材の厚みの倍の寸法だけ突出させることによって、第一細断縁36と隣接する細断刃3の第一細断縁36との離間距離をちょうど板金材四枚分に設定している。そうすることにより、対向する他のローラーカッター1側のディスク3a、3bの一部を隙間無く収納し得るものとなっている。つまり、このスペーサ部34が、細断機構C自体が所謂紙詰まり等の被細断物の詰まりの無い、安定した動作に寄与している。
【0041】
係合部35は、スペーサ部34の膨出端342から外方にさらに四箇所において突出した係合爪351を主体とする、隣接する他の細断刃3に対する軸線回りの回転方向に沿った相対位置を位置決めするためのものである。この係合部35は、係合端353で隣接する細断刃3側に互いに当接する前記係合爪351と、隣接する細断刃3の係合爪351を収容し得る爪収容部352と有している。係合爪351は、上述した係合端353と、板金を湾曲させて形成することで回転軸2の表面である円筒面21に密着する軸密着面354とを有している。本実施形態では、この係合爪351が突出する箇所の幅寸法よりも爪収容部352の幅寸法を概ね等しく設定している。本実施形態では図11に示すように、当該回転操作における一の操作端で係合部35同士が当接する箇所を係合端353に設定している。
【0042】
特に本実施形態では図7ないし図10に示すように、係合部35の配置を、ディスク3bはディスク3aに対し、特に図9及び図10に示すように所定角度αだけ異ならせて配置するようにしている。具体的には、これにより、対をなすディスク3a、3bを嵌合部33を介して組み合わされて構成される細断刃3同士が図3に示すように係合部35を介して組み付けられる際、係合部35を介して隣り合う細断刃3とはα°だけ角度がずれた状態で突起部32がそれぞれ配置されることとなる。
【0043】
第一細断縁36は、前記ディスク3a、3bの外縁における厚み方向の端部に設けられ、他方の回転軸2に取り付けられた細断刃3に摺接することにより被細断物を挿通方向に剪断し得るものである。具体的には細断刃3の回転に伴って、この第一細断縁36同士が摺接動作することにより、被細断物が剪断される。この第一細断縁36は、ディスク3a、3bの外縁における円周形状をなす部分と、突起部32における径方向に放射状に立ち上がる直線部分の箇所にも設けられている。そうすることで、細断機構Cの回転動作中は、この第一細断縁36は常に対向するローラーカッター1側の第一細断縁36と協働して被細断物を剪断し続けることができる。
【0044】
軸挿通孔37は、回転軸2を挿通させるための開口である。この軸挿通孔37内では、上述した係合部35の軸密着面354が隙間無く密着している。そのため、この細断刃3は回転軸2に対して軸方向以外の方向へのがたつきが無い。
【0045】
本実施形態では、図2に示すように、上述した細断刃3を所定数回転軸2に挿通させ、これら細断刃3を互いに位置決めさせた状態で、軸方向両端からディスク3a、3bに対し軸固定部材4を係り合わせた状態で、この軸固定部材4を回転軸2に固定することにより、細断刃3を回転軸2に固定している。
【0046】
回転軸2は、上述の通り表面を滑らかに湾曲した円筒面21とし、その両端部付近には、軸固定部材4を固定するためのピン穴22を有したものである。この回転軸2は、既存の円筒形状をなす金属製の棒材に対し、適宜の加工を施すのみによって構成されたものである。またこの回転軸2はその両端部において図示しない駆動機構に固定されるよう適宜の加工が施されているものであるが、この両端部の具体的な形状は駆動機構の構造等に応じて種々の構成を適用し得る。そのため本実施形態では回転軸2の両端部の図示を省略している。
【0047】
軸固定部材4は、ディスク3a、3bの内側から係り合う第一カラー41と、ディスク3a、3bの外側から係り合う第二カラー42と、これら第一カラー41、第二カラー42を回転軸2に対して固定するためのロールピン47a、47bとを有している。第一カラー41は、例えば剛性の高い金属によって成形された、ディスク3a、3bの円周部分に略等しい直径を有する概略ドーナツ形状をなすものであり、その一方の面においてディスク3a、3bの嵌合部33に対して嵌合し得る嵌合凹部43と嵌合凸部44とを有するとともに、端面にはロールピン47aをピン穴22にまで挿通させ得るピン挿通孔46aを有している。第二カラー42は、同じく剛性の高い金属によって構成された、上述のディスク3a、3bのスペーサ部34の大きさに略等しく設定されたものであり、ディスク3a、3bの係合爪351を隙間無く収容・固定し得る爪固定穴45を四箇所設けるとともに、端面にはロールピン47bをピン穴22にまで挿通させ得るピン挿通孔46bを有している。
【0048】
そして本実施形態のローラーカッター1を図2の如く組立てるべく、この軸固定部材4を用いて細断刃3を回転軸2に対して固定するための一例を以下に述べる。まず、例えば第二カラー42をまずロールピン47bを用いて回転軸2に対して固定しておき、その状態で回転軸2に対し、順次ディスク3a、3bを挿通していく。勿論予め図3のように組み付けておいたディスク3a、3bを挿通させても良い。そして最初に挿入したディスク3a、3bのうちの何れかを、回転軸2に固定しておいた第二カラー42に固定する。そして全ての細断刃3を回転軸2に挿通させ且つ組み合わせた後、最後に挿通させたディスク3a、3bに第一カラー41を固定する。その後、第一カラー41を捻るなどして、全てのディスク3a、3bの係合端353が互いに当接する。そして、この第一カラー41のピン挿通孔46aにロールピン47aを挿入することにより第一カラー41を固定して、細断刃3が回転軸2に対して、回転もがたつきも、軸方向のずれも無く強固に固定する。勿論、第一カラー41を回転軸2に対して最初に固定し、最後に第二カラー42を固定するようにしても良い。
【0049】
しかして本実施形態では、図14〜図17に示すように、折畳部31を利用して突起部32を以下のように形成している。
【0050】
まず、図14に示すように、折畳部31は、ディスク3a、3bの外周において突起部32を形成するための位置から延出させた板金材からなる。この板金材を同図で破線で示した折畳縁311の位置で、例えばヘミング加工により折畳むと、図15に示す状態となる。図15に示す状態では、折畳部31を形成し得る部位の他に、板金材が突起部32および第一細断縁36又は第一細断縁36を形成し得る部位からはみ出した余剰部分313がうまれる。そして図16に示すように、余剰部分313を切り取ることにより、折畳部31が形成される。その後、図17に示されるように、折畳部31の先端部分を一部切欠くか削り、第二細断縁321を形成する。
【0051】
このようにして、本実施形態では折畳部31の板金材を利用して突起部32を形成することにより、当該突起部32を強固に形成し、より確実に第二細断縁321が被細断物を細断し得るものとなっている。
【0052】
以上のような構成とすることにより、本実施形態に係るシュレッダS用ローラーカッター1は、細断刃3が、対をなす前記ディスク3a、3bのうち少なくとも一方に、当該ディスク3a、3bを構成する板金材を内方に厚みを増して形成され他方に当接する厚肉部たる折畳部31を有しているので、折畳部31において板金材を折畳んだ厚みだけ細断刃3の厚みを大きく設定することができ、折畳部31以外の箇所では板金は基の厚さのままとなっているので、従来のように板金材の厚みのみで細断刃3の寸法を設定していたものに比べて、板金材に要する金属材料を少なく構成し得たものとなっている。また折畳部31では板金材が積層されているために十分な強度が確保されている。
【0053】
また本実施形態では、折畳部31を利用して突起部32を形成することにより、突起部32が板金材を折畳んだことに起因する十分な強度を有しているので、第二細断縁321による被細断物の細断すなわちクロスカットを好適に行い得るものとなっている。特に本実施形態では、具体的には前記ディスク3a、3bの周縁から突出する前記板金材を折畳み、しかる後に前記細断刃3の回転方向に被細断物を細断し得る第二細断縁321を強固に形成し得たものとなっている。ここで本実施形態では上述の通り厚肉部の一態様として折畳部31を開示しているが、別体の板金材を溶接等により取り付けるような厚肉部や、単に部分的に板金材の厚みを大きく構成する厚肉部を利用しても十分な強度を有する突起部32を構成することが可能であり、第二細断縁321により好適なクロスカットが可能である。
【0054】
本実施形態では細断刃3に、外方に膨出して隣接する他の細断刃3と当接するスペーサ部34を絞り加工で一体に設けることにより、細断刃3間に別体のカラー等を配置することを回避して、有効な部品点数の削減を実現している。
【0055】
特に、本実施形態では細断刃3自体に、スペーサ部34から外方に突出して隣接する他の細断刃3に対して位置決めし得る係合部35を設けたものとしている。その結果、円筒形状の回転軸2の適用を実現した。
【0056】
すなわち、従来のように回転軸2と細断刃3とを係り合わせるための軸の表面を多角形状に加工したり、軸と個々の細断刃3をそれぞれ固定したりするための構成を有効に回避して、円筒状の棒材の両端に簡単な加工を施すのみで回転軸2を構成することで、本実施形態に係るローラーカッターCは製造に係る工数や手間をこれまでのものに比べ、大幅に削減し得たものとなっている。
【0057】
細断刃3同士の係合部35による位置決めを利用して回転軸2に対し各細断刃3を好適に固定するため、複数の細断刃3同士の相対位置を互いに位置決めした状態で、前記軸線方向の両端に配置された前記細断刃3を前記回転軸2に対して固定する軸固定部材4を適用する構成を適用している。
【0058】
また、細断刃3を構成するディスク3a、3b同士を簡単且つ確実に組み付けるために本実施形態では、対をなすディスク3a、3bを凹凸嵌合させるための嵌合部33を設けて、確実な嵌合を可能としている。
【0059】
<変形例>
以下に本実施形態の変形例について図18を用いて説明する。当該変形例において、上記実施形態に相当する構成要素については、同じ符号を付すとともに、詳細な説明を省略するものとする。
【0060】
上記実施形態では、全ての折畳部31の位置で突起部32を形成していたが、勿論、折畳部31は突起部32を形成するものに限られない。
【0061】
すなわち本変形例に係るローラーカッター1を構成するディスク3cは、突起部32を180°間隔で二箇所形成するとともに、これら突起部32から90°隔てた位置で板金材を折り曲げることにより、突起部32を形成しない折畳部31aを有したものである。具体的には、板金材を折畳み縁の位置を囲うコの字状に裁断した箇所を折畳縁311aの位置から外縁に向けて折畳んだ後、折畳んだ端部の形状を円周形状に合致させるように形成している。当該ディスク3cに対して対をなすディスクは、折畳部31及び突起部32、嵌合部33及び係合部35の配置が上記実施形態と同様に異ならせるものであるので、図示を省略するものとする。
【0062】
このような構成により、突起部32を設ける数を少なく設けても、所要の箇所に折畳部31aを設けて、細断刃3の厚み寸法並びに強度を担保することができる。また勿論、本変形例の折畳部31aに換わる本発明の厚肉部の他の態様として、別体の板金材を溶接等により取り付ける厚肉部や、単に部分的に板金材の厚みを大きく構成する厚肉部など、本発明の厚肉部は折畳部31aの態様に限られない。
【0063】
なお、図示の態様の他、突起部32を配置せず、上記の折畳部31のみの構成とすれば、ストレートタイプのローラーカッター1も本発明を利用して構成することができる。
【0064】
<第二実施形態>
以下に本実施形態の変形例について図19乃至図26を用いて説明する。当該第二実施形態においても上記第一実施形態同様、において、上記実施形態に相当する構成要素については、同じ符号を付すとともに、詳細な説明を省略するものとする。
【0065】
細断刃3は、同図に示すように、対をなす二枚のディスク3a、3bの内側同士を嵌合させることによって少なくとも構成されるものである。そしてこれらのディスク3a、3bは細断刃3の構成要素として、上記第一実施形態同様の、以下の構成要素を有している。すなわち細断刃3は、折畳部31と、嵌合部33と、スペーサ部34と、細断刃3自体を回転軸2に挿通させるための軸挿通孔37とを有している。また、係合部35の配置を、ディスク3bはディスク3aに対し、所定角度だけ異ならせて配置するようにしている点も同様である。そして本実施形態にあっても上記実施形態同様に、図2に示すように、細断刃3を所定数回転軸2に挿通させ、これら細断刃3を互いに位置決めさせた状態で、軸方向両端からディスク3a、3bに対し軸固定部材4を係り合わせた状態で、この軸固定部材4を回転軸2に固定することにより、細断刃3を回転軸2に固定している。
【0066】
ここで、本実施形態に係る細断刃3は、上記第一実施形態に対して、突起部32、係合部35a、35b、そして第一細断縁36の形状をそれぞれ異ならせて形成している。以下、当該突起部32、係合部35a、35b及び第一細断縁36の構成について説明する。
【0067】
突起部32は、上記実施形態同様、折畳部31を利用して形成したものであり、ディスク3a、3bの外周に沿って等角度間隔に計八個設けられている。これら複数の突起部32は、本実施形態ではそれぞれその先端を鋭利に構成するとともに、ディスク3a、3bの内方から外方へ膨出させながら突出する膨出縁321aを有した第二細断縁321を形成している。この第二細断縁321とは、細断部の回転動作に伴って、被細断物に対し順次外側から突き刺さることにより、被細断物を挿入する方向とは交差する方向に切断するためのものである。また、この突起部32における径方向に湾曲しながら立ち上がる箇所における外縁が鋭利に構成されることにより、被細断物を挿入方向に剪断し得る前記の第一細断縁36も形成されている。そしてこの第一細断縁36は後述の通り、前記周縁から連続して湾曲しながら突出する湾曲部36aを有している。
【0068】
係合部35a、35bは、スペーサ部34の膨出端342からさらに四箇所において突出した係合爪351を主体とするものであり、対をなすディスクのうち一方のディスク3bの係合部35bを外方に突出させるとともに他方のディスク3aの係合部35aを内方に突出させて、隣接する他の細断刃3に対する位置決めするためのものである。この係合部35は、隣接する細断刃3側に互いに当接する前記係合爪351と、隣接する細断刃3の係合爪351を収容し得る爪収容部352と有している。係合爪351は、回転軸2の表面である円筒面21に密着する軸密着面354とを有している。本実施形態では、この係合爪351が突出する箇所の幅寸法よりも爪収容部352の幅寸法を概ね等しく設定している。そして本実施形態の係合爪351は、図24に示すように、係合部35aを内方に突出させることによって、係合爪351の端面を、略全面積にて互いに密着するようにした密着面356に設定している。
【0069】
第一細断縁36は上述の通り、回転軸2に取り付けられた細断刃3に摺接することにより被細断物を挿通方向に剪断し得るもので、第一細断縁36同士が摺接動作することにより、被細断物が剪断される。本実施形態ではこの第一細断縁36は、ディスク3a、3bの外縁における円周形状をなす部分と、前記周縁から連続して湾曲しながら突出する湾曲部分を経て、突起部32における径方向に放射状に立ち上がる直線部分の箇所にも設けられている。そして前記湾曲部分を上記湾曲部36aとしている。そうすることで、細断機構Cの回転動作中は、対向するローラーカッター1側の第一細断縁36と協働して被細断物を剪断し続ける際に、円周形状をなす部分と直線部分とが滑らかに連続するため、細断屑が部分的に過度に曲げられる事が無く、折り癖が付かない。
【0070】
しかして本実施形態に示す細断刃は、図24に示すように細断刃3同士を係合部35a、35bを介して接続した際、密着面356同士が係合爪351の端面の略全域で密着するようになっている。これにより、細断刃3同士は互いに安定して強固に位置決めされるものとなっている。
【0071】
また本実施形態では、図25に示すように、突出部32の第二細断縁321に膨出縁321aを形成することにより、この第二細断縁321が紙などの被細断物に先端からaの距離を経て漸次突き刺さる際、早い段階でbの距離まで突き刺さり、被細断物を概ね細断し得た状態となる。これにより、被細断物が密着面312の縁部cまで到達する際には容易に被細断物は細断される。すなわち、細断し得なかった被細断物がディスク3a、3bに詰まってしまうという可能性を有効に排除している。
【0072】
そして本実施形態では、対向する細断刃3を示す図26に示すように、これら細断刃3の間を図示の紙Pが細断刃3の回転により通過する際には、通過させる方向に沿って剪断される際には、紙Pには第一細断縁36の形状に沿って曲げられながら剪断される。本実施形態では、同図のように、ディスク3a、3bの円周部分の第一細断縁36と突出部32に形成された第一細断縁36との間に湾曲部36aを介在させている。これにより、紙Pが局所的に鋭く曲げられてしまうということがない。その結果、第二細断縁321にて切断された細断屑kは、その長手方向に強く曲げられずに落下する。なお本実施形態では図示しないが、仮に細断屑kが細断刃3の回転とともに図示側方へ巻き込まれても細断刃3間に設けられているスクレイパにより容易に除去される。
【0073】
以上のように、本発明の第二実施形態では、上記第一実施形態に記した効果に加え、第一細断縁36が湾曲部36aを有しているので、図26に示すように細断屑kに折り癖が形成されてしまうことを有効に回避している。そしてこのように強く曲げられることなく生成された細断屑kは、シュレッダの屑入れ内で過度に嵩張ることが無いばかりか、回転する細断刃3に絡まって付着してしまうという不具合も有効に回避している。
【0074】
そして、第二細断縁321が被細断物を切断する際には膨出縁321aが形成されているので、両ディスク3a、3bの接合箇所である密着面312から第二細断縁321が立ち上がる基端を狭く構成される。これにより、密着面321からディスク3a,3b間に被細断物が食い込んでしまうという不具合を有効に回避している。
【0075】
特に本実施形態では、それぞれのディスク3a、3bの係合部35a、35bの係合爪351の突出方向を内外に異ならせることにより、端面同士が突出方向に亘って広い面積で密着し得る密着面356を形成しているので、強く且つ精度の高い位置決めを実現し得る構成として、細断刃3自体の耐久性を有効に高め得たものとしている。
【0076】
以上、本発明の実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0077】
例えば、上記実施形態ではローラーカッターの箇所のみで被細断物を細断する態様を開示したが、勿論、ストレートタイプのローラーカッターを用いた場合などは、帯状の被細断物をさらに長手方向に細断するための格別の要素を配置しても良い。また板金材の厚みや軸の長さ等の具体的な態様は上記実施形態のものに限定されることはなく、既存のものを含め、種々の態様のものを適用することができる。
【0078】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は紙葉類等を細断し得るシュレッダ、及び当該シュレッダに使用されるシュレッダ用ローラーカッターとして利用することができる。
【符号の説明】
【0080】
2…回転軸
3a、3b…ディスク
3…細断刃
31…厚肉部(折畳部)
32…突起部
321…細断縁(第二細断縁)
321a…膨出縁
33…嵌合部
34…スペーサ部
342…膨出端
35、35a、35b…係合部
353…操作端(係合端)
356…密着面
36…細断縁(第一細断縁)
36a…湾曲部
37…軸挿通孔
4…軸固定部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも対をなすディスクを組み合わせて構成される細断刃を軸線方向に沿って複数配列してなるシュレッダ用ローラーカッターであって、
前記細断刃が、対をなす前記ディスクのうち少なくとも一方に、当該ディスクを構成する板金材を内方に厚みを増して形成され他方に当接する厚肉部を有していることを特徴とするシュレッダ用ローラーカッター。
【請求項2】
前記厚肉部を利用して、前記ディスクの周縁から前記軸線方向に対して直交する径方向に沿って突出する突起部を形成している請求項1記載のシュレッダ用ローラーカッター。
【請求項3】
前記突起部が、前記ディスクの周縁から突出する前記板金材を折畳み、しかる後に前記細断刃の回転方向に被細断物を細断し得る細断縁を形成している請求項2記載のシュレッダ用ローラーカッター。
【請求項4】
前記突起部が被細断物を挿入する方向に被細断物を切断する第一細断縁と被細断物を挿入する方向とは交差する方向に被細断物を切断する第二細断縁を有するものである請求項3記載のシュレッダ用ローラーカッター。
【請求項5】
前記第一細断縁が、前記周縁から連続して湾曲しながら突出する湾曲部を有している請求項4記載のシュレッダ用ローラーカッター。
【請求項6】
前記第二細断縁が、前記ディスクの内方から外方へ膨出させながら突出する膨出縁を有している請求項4または5記載のシュレッダ用ローラーカッター。
【請求項7】
前記細断刃が、外方に膨出して隣接する他の細断刃と当接するスペーサ部を有している請求項1、2、3、4、5または6記載のシュレッダ用ローラーカッター。
【請求項8】
前記スペーサ部の膨出端から外方にさらに突出し、隣接する他の細断刃に対する軸線回りの回転方向に沿った相対位置を位置決めし得る係合部を設けている請求項7記載のシュレッダ用ローラーカッター。
【請求項9】
前記細断刃が、外方に突出して隣接する他の細断刃に対する軸線回りの回転方向に沿った相対位置を位置決めし得る係合部を有している請求項1、2、3、4、5または6記載のシュレッダ用ローラーカッター。
【請求項10】
前記細断刃が、他の細断刃に対する軸線回りの回転方向に沿った相対位置を位置決めし得る係合部を有し、前記対をなすディスクのうち一方の前記係合部を外方に突出させるとともに他方を内方に突出させ、当該係合部の端面を隣接する細断刃の係合部の端面の突出方向に亘って密着し得る密着面としている請求項1、2、3、4、5または6記載のシュレッダ用ローラーカッター。
【請求項11】
前記複数の細断刃を支持するための円筒状の回転軸を有し、
前記細断刃が、前記回転軸を挿通させ得る軸挿通孔を有している請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9または10記載のシュレッダ用ローラーカッター。
【請求項12】
前記複数の細断刃同士の相対位置を互いに位置決めした状態で、前記軸線方向の両端に配置された前記細断刃を前記回転軸に対して固定する軸固定部材を有している請求項11記載のシュレッダ用ローラーカッター。
【請求項13】
前記細断刃が、対をなす前記ディスクを凹凸嵌合させるための嵌合部を有している請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12記載のシュレッダ用ローラーカッター。
【請求項14】
請求項1乃至13の何れかに記載のローラーカッターを少なくとも一対具備し、これら対をなすローラーカッターを互いに一部重複させて配置していることを特徴とするシュレッダ。
【請求項1】
少なくとも対をなすディスクを組み合わせて構成される細断刃を軸線方向に沿って複数配列してなるシュレッダ用ローラーカッターであって、
前記細断刃が、対をなす前記ディスクのうち少なくとも一方に、当該ディスクを構成する板金材を内方に厚みを増して形成され他方に当接する厚肉部を有していることを特徴とするシュレッダ用ローラーカッター。
【請求項2】
前記厚肉部を利用して、前記ディスクの周縁から前記軸線方向に対して直交する径方向に沿って突出する突起部を形成している請求項1記載のシュレッダ用ローラーカッター。
【請求項3】
前記突起部が、前記ディスクの周縁から突出する前記板金材を折畳み、しかる後に前記細断刃の回転方向に被細断物を細断し得る細断縁を形成している請求項2記載のシュレッダ用ローラーカッター。
【請求項4】
前記突起部が被細断物を挿入する方向に被細断物を切断する第一細断縁と被細断物を挿入する方向とは交差する方向に被細断物を切断する第二細断縁を有するものである請求項3記載のシュレッダ用ローラーカッター。
【請求項5】
前記第一細断縁が、前記周縁から連続して湾曲しながら突出する湾曲部を有している請求項4記載のシュレッダ用ローラーカッター。
【請求項6】
前記第二細断縁が、前記ディスクの内方から外方へ膨出させながら突出する膨出縁を有している請求項4または5記載のシュレッダ用ローラーカッター。
【請求項7】
前記細断刃が、外方に膨出して隣接する他の細断刃と当接するスペーサ部を有している請求項1、2、3、4、5または6記載のシュレッダ用ローラーカッター。
【請求項8】
前記スペーサ部の膨出端から外方にさらに突出し、隣接する他の細断刃に対する軸線回りの回転方向に沿った相対位置を位置決めし得る係合部を設けている請求項7記載のシュレッダ用ローラーカッター。
【請求項9】
前記細断刃が、外方に突出して隣接する他の細断刃に対する軸線回りの回転方向に沿った相対位置を位置決めし得る係合部を有している請求項1、2、3、4、5または6記載のシュレッダ用ローラーカッター。
【請求項10】
前記細断刃が、他の細断刃に対する軸線回りの回転方向に沿った相対位置を位置決めし得る係合部を有し、前記対をなすディスクのうち一方の前記係合部を外方に突出させるとともに他方を内方に突出させ、当該係合部の端面を隣接する細断刃の係合部の端面の突出方向に亘って密着し得る密着面としている請求項1、2、3、4、5または6記載のシュレッダ用ローラーカッター。
【請求項11】
前記複数の細断刃を支持するための円筒状の回転軸を有し、
前記細断刃が、前記回転軸を挿通させ得る軸挿通孔を有している請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9または10記載のシュレッダ用ローラーカッター。
【請求項12】
前記複数の細断刃同士の相対位置を互いに位置決めした状態で、前記軸線方向の両端に配置された前記細断刃を前記回転軸に対して固定する軸固定部材を有している請求項11記載のシュレッダ用ローラーカッター。
【請求項13】
前記細断刃が、対をなす前記ディスクを凹凸嵌合させるための嵌合部を有している請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12記載のシュレッダ用ローラーカッター。
【請求項14】
請求項1乃至13の何れかに記載のローラーカッターを少なくとも一対具備し、これら対をなすローラーカッターを互いに一部重複させて配置していることを特徴とするシュレッダ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2011−230117(P2011−230117A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−57661(P2011−57661)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(000001351)コクヨ株式会社 (961)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(000001351)コクヨ株式会社 (961)
【Fターム(参考)】
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