説明

シューズのウェットグリップ特性の改良

本発明は、シューズの要部領域(例えば爪先ボックスや上部)における摩擦係数を、湿潤及び乾燥条件の両方において改善することにより、スポーツシューズ、特にサッカーブーツの性能を改善するための方法に関するものである。望ましいシューズの既存特性(例えば感触及びフィードバック)を残す、ポリイソブチレンポリマにより構成されたブチレンタイプコーティングの塗布について記載されている。パッチ等の変形、及び、特定タイプの布地またはコーティング領域についても述べられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優先的にスポーツシューズに関し、シューズ上部の外表面のグリップ性を向上させる方法について説明するものである。
【背景技術】
【0002】
スポーツシューズの性能には多数の要素が影響を及ぼす。また、異なるシューズ使用環境には特別な条件の組み合わせが存在する。例えば、クロストレーニング用シューズは、ボールをキックして接触する、球技に使用されるように製造されたシューズとは異なる考慮が必要となる。本発明が関係するものは、主として、球技に使用されるように製造されたシューズに関する考慮である。しかしながら、本発明が、その後に他の種類のシューズ製造に適用されることを除外するものではない。
【0003】
また、シューズの異なる部位とその製造に影響を及ぼす異なる考慮がある。これらは相互に完全に独立している訳ではないが、本発明は、シューズ上部の構成に注目したものである。上部の特性は、シューズがボールと接触する際に認識される性能に影響するだけでなく、シューズ全体の特性に影響を与える。例えば、全体的な硬さ、柔軟性等である。このため、球技用に製造されたシューズの多くは、伝統的な技術にほぼしたがっている。例えば、他種のスポーツシューズの上部には他の布地及び材料が使用されているにも拘わらず、球技用シューズでは構成材料として運動用皮革が好まれている。
【0004】
皮革が使用されている理由の少なくとも一部は、シューズの全体的な特性のためだけではない。プレイヤーが認識するシューズの感触及び性質のためでもある。シューズ上部材料を変更する場合には、異なる物理的特性(例えば厚さやシボ等)の皮革や異なる種類の皮革(例えば異なる動物の皮)を使用することが多かった。合成皮革は上質なシューズに対しては使用傾向にはなかった。
【0005】
しかしながら、シューズの特性及び性能を変えるために製造者により変更される要素が多いものの、顕著な制限もまた存在する。これら制限の一つには、「接触グリップ」がある。これは、シューズとボールとが接触する際のグリップ度合いである。これは認識される性能において重要な要素である。グリップが良好であれば、接触の性質と結果の両方でより良好な一貫性が得られる。これは、(ボールと接触する際に)ボールがどのように反応するかについての一貫性と予測性により、ボールの不規則な挙動をプレイヤーが補う必要が少なくなるため、一般的にプレイヤーの技術向上につながる。ボールが上部表面を滑ると、正確性と挙動の予測性が低下し、プレイヤーはシューズ特性のハンドリングに関する自らの技術と知識によって直感的に補わなければならない。
【0006】
標準皮革を使用した既存の球技用シューズ(サッカーブーツなど)の多くは、ドライ時には適度に予測可能な挙動を提供する。それでいても、グリップはすべての可能性のある(ボールとの)接触状況において理想的ではない場合があり、理想的な挙動結果とはならない。この主要因は、ボールとシューズのグリップ性の度合いによる。グリップが乏しいと、ボールとシューズの間で、滑り、スライド、及び、他の好ましくない相互作用が生ずる。これにより、シューズに挙動及び認識性能における好ましくない問題が生ずる。
【0007】
これは、比較的大きな問題を示している。標準的なシューズは、適度な、しかし理想的ではない性能をドライ時に発揮するが、多くの試合及びトレーニングセッションは濡れたまたは湿った条件で行なわれる。これは、現状におけるシューズに使用された標準運動用皮革の顕著な欠点である。たった一つの表面が濡れていただけでも、摩擦係数は大きく低下する。後述する標準試験では、ドライ状態の運動用皮革の摩擦係数は0.8であり、ウェット状態の運動用皮革では0.3である。これは、一般的な皮革が湿った場合に及ぼす影響を示している。ドライ状態の運動用皮革の摩擦係数も比較的低く、皮革を表面処理しても約1.7程度にしか上げることができない。したがって、球技用のシューズの構成として使用するには、皮革の性能に顕著な制限があり、そのようなシューズの性能を最大限発揮させるには顕著な制約となってしまう。
【0008】
すなわち、球技用のスポーツシューズにおいて、性能の向上と、(プレイヤーに)認識される性能とを改善させる方法が望まれている。
【0009】
この種のスポーツシューズに関する問題を認識しているのは本発明者だけではない。従来においてシューズに適用されてきた方法では、使用される材料の表面を粗く加工する表面処理や、持ち上がった特徴を備え、排水性能を向上させるとともに、物理的に上昇した表面により、論理的にグリップ性を向上させるものに注目してきた。例えばブルッティングによるゴム射出(米国3191321号)、及びジョンソンによる形成(米国5437112号)がある。また、外来の材料、例えばシャークスキンを用いることが報告されている(WO0307745)。しかしながら、これらの変形はウェットグリップ性の改善が周縁的なものにすぎず、殆ど受け入れ難い。そして、製造容易性、コスト、及び柔軟性が犠牲となる。さらに最も重要なことには、プレイヤーに対するボール接触に対するフィードバックが損なわれる傾向にある。これが、球技においてスポーツシューズの上部構造が圧倒的に皮革製であることの一理由であると考えられる。このように、従来技術が目指していた方向性は、プレーヤと製造者のニーズを満足させる、顕著なまたは特筆すべき品質を生むことには成功していない。
【0010】
したがって、プレイヤーへのフィードバックを犠牲にせず、複雑な上部製造工程を有さない、向上したグリップを提供する、球技に使用されるスポーツシューズを製造する方法が切望されている。皮革上部を製造するための、ほぼ標準的な製造工程と製造機械とが使用されることが理想的である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0011】
すなわち、本発明は、これらの事情を扱うことを一目的とする。
【0012】
本発明はまた、少なくとも上部の一部が、湿潤状態において向上したグリップ特性を持つシューズまたはそのような特性を持つようにシューズを変更する手段を提供することを目的とする。
【0013】
少なくとも、本発明の目的は、利便性の高い代替選択を公共に提供することにある。
【0014】
以下の説明を参照とすることにより、本発明の態様の説明を例示としてのみ説明する。
【0015】
本発明の一態様によれば、本明細書で定義されたPIBポリマまたはコポリマにより構成されたPIBコーティングをシボまたは外表面に有した、シューズ上部構造に使用される材料が提供される。
【0016】
本発明の他の態様によれば、前記材料は皮革である、上記に実質的に記載された材料が提供される。
【0017】
本発明の他の態様によれば、前記PIBコーティングは、ポリイソブチレン−イソプレンコポリマにより構成された、上記に実質的に記載された材料が提供される。
【0018】
本発明の他の態様によれば、共重合したイソプレンの割合が、イソプレンの0.01〜5重量パーセント(境界値含む)である、上記に実質的に記載された材料が提供される。
【0019】
本発明の他の態様によれば、前記PIBポリマは、600から1500(境界値含む)のRMMを有する、上記に実質的に記載された材料が提供される。
【0020】
本発明の他の態様によれば、前記PIBポリマは、850から1200(境界値含む)のRMMを有する、上記に実質的に記載された材料が提供される。
【0021】
本発明の他の態様によれば、前記PIBコーティングは、ローラーコーティング法により塗布される、上記に実質的に記載された材料が提供される。
【0022】
本発明の他の態様によれば、前記PIBコーティングは、溶剤混合液中のPIBポリマまたはコポリマの塗布により得られる、上記に実質的に記載された材料が提供される。
【0023】
本発明の他の態様によれば、前記溶剤は、パラフィン、鉱油、ベンゼン、トルエン、シクロヘキサン、キシレン、二硫化炭素、クロロベンゼン、炭化水素、及び、ハロゲン化炭化水素、により構成されたグループ中の一つ以上により構成された、上記に実質的に記載された材料が提供される。
【0024】
本発明の他の態様によれば、前記PIBコーティングは、1〜70g/sqftの被覆率(境界値含む)で存在する、上記に実質的に記載された材料が提供される。
【0025】
本発明の他の態様によれば、前記PIBコーティングは、14〜32g/sqftの被覆率(境界値含む)で存在する、上記に実質的に記載された材料が提供される。
【0026】
本発明の他の態様によれば、本明細書で定義されるIUP51試験による湿潤状態での摩擦係数が3.5を超える、上記に実質的に記載された材料が提供される。
【0027】
本発明の他の態様によれば、本明細書で定義されるIUP51試験による乾燥状態での摩擦係数が3.5を超える、上記に実質的に記載された材料が提供される。
【0028】
本発明の更なる態様によれば、PIBポリマまたはコポリマコーティングをその表面上に塗布することにより、材料の表面特性を改良する処理方法が提供される。
【0029】
本発明の他の態様によれば、前記材料は皮革である、上記に実質的に記載された材料が提供される。
【0030】
本発明の他の態様によれば、前記材料は、牛革、ヤギ皮、またはカンガルー皮である、上記に実質的に記載された処理方法が提供される。
【0031】
本発明の他の態様によれば、前記PIBコーティングは、ポリイソブチレン−イソプレンコポリマにより構成された、上記に実質的に記載された処理方法が提供される。
【0032】
本発明の他の態様によれば、共重合したイソプレンの割合が、イソプレンの0.01〜5重量パーセント(境界値含む)である、上記に実質的に記載された処理方法が提供される。
【0033】
本発明の他の態様によれば、前記PIBポリマは、600から1500(境界値含む)のRMMを有する、上記に実質的に記載された処理方法が提供される。
【0034】
本発明の他の態様によれば、前記PIBポリマは、850から1200(境界値含む)のRMMを有する、上記に実質的に記載された処理方法が提供される。
【0035】
本発明の他の態様によれば、前記PIBコーティングは、ローラーコーティング法により塗布される、上記に実質的に記載された材料が提供される。
【0036】
本発明の他の態様によれば、前記PIBコーティングは、溶剤混合液中のPIBポリマまたはコポリマの塗布により得られる、上記に実質的に記載された処理方法が提供される。
【0037】
本発明の他の態様によれば、前記溶剤は、パラフィン、鉱油、ベンゼン、トルエン、シクロヘキサン、キシレン、二硫化炭素、クロロベンゼン、炭化水素、及び、ハロゲン化炭化水素により構成されたグループ中の一つ以上により構成された、上記に実質的に記載された処理方法が提供される。
【0038】
本発明の他の態様によれば、前記PIBコーティングは、1〜70g/sqftの被覆率(境界値含む)で存在する、上記に実質的に記載された処理方法が提供される。
【0039】
本発明の他の態様によれば、前記PIBコーティングは、14〜32g/sqftの被覆率(境界値含む)で存在する、上記に実質的に記載された処理方法が提供される。
【0040】
本発明の更なる態様によれば、上記に実質的に記載された処理方法により得られた、本明細書で定義されるPIBポリマまたはコポリマコーティングを有する材料が提供される。
【0041】
本発明の他の態様によれば、シューズ上部の製造に使用される、上記に実質的に記載された材料が提供される。
【0042】
本発明の他の態様によれば、グローブまたは衣服の製造に使用される、上記に実質的に記載された材料が提供される。
【0043】
本発明の他の態様によれば、少なくともその上部の一部が上記に実質的に記載された材料により製造された、スポーツシューズが提供される。
【0044】
本発明の更なる態様によれば、上記に実質的に記載された材料により構成された、シューズまたは衣服に取り付けられるパッチが提供される。
【0045】
本発明の他の態様によれば、自己粘着性裏当てを備えた、上記に実質的に記載されたパッチが提供される。
【0046】
本発明の他の態様によれば、少なくとも上部の一部がグリップエリアを備え、該グリップエリアは本明細書で定義されたPIBポリマまたはコポリマコーティング処理された材料を備えたスポーツシューズが提供される。
【0047】
本発明の他の態様によれば、前記PIBポリマは、850以上のRMMを有する、上記に実質的に記載されたスポーツシューズが提供される。
【0048】
本発明の他の態様によれば、前記コーティングされた材料は、皮革または合成皮革材料である、上記に実質的に記載されたスポーツシューズが提供される。
【0049】
本発明の他の態様によれば、前記PIBポリマまたはコポリマによる処理は、前記上部の形成中及び/または形成後に行なわれる、上記に実質的に記載されたスポーツシューズが提供される。
【0050】
本発明の他の態様によれば、前記上部は、前記PIBポリマまたはコポリマによる処理を施した領域と施されていない領域の両方を備えた、上記に実質的に記載されたスポーツシューズが提供される。
【0051】
本発明の他の態様によれば、少なくとも前記上部の一部が、文字、記号、ロゴ、パターン、または商業情報からなるパターンにて塗布されたPIBポリマまたはコポリマコーティングを備えた、上記に実質的に記載されたスポーツシューズが提供される。
【0052】
本発明の他の態様によれば、前記上部はさらに、本明細書で定義された向上したドライグリップ材料の領域を有する、上記に実質的に記載されたスポーツシューズが提供される。
【0053】
本発明の他の態様によれば、補強用爪先インサート、またはゴム爪先インサートを備えていない、上記に実質的に記載されたスポーツシューズが提供される。
【0054】
本発明の他の態様によれば、前記スポーツシューズはサッカーブーツである、上記に実質的に記載されたスポーツシューズが提供される。
【0055】
本発明の更なる態様によれば、
中間基材と、
PIBポリマまたはコポリマによりコーティングされた外表面と、
塗布された接着性コーティングを有するか、接着剤を塗布されることが可能な裏面と、
を備えたパッチが提供される。
【0056】
本発明の他の態様によれば、前記中間基材は、布地、織布材料、皮革、及び合成皮革のうち、すくなくとも一つ以上からなる一層以上の層を備えた、上記に実質的に記載されたパッチが提供される。
【0057】
本発明の他の態様によれば、前記基材は柔軟性を持つ、上記に実質的に記載されたパッチが提供される。
【0058】
本発明の他の態様によれば、少なくとも一方向に伸張可能な、上記に実質的に記載されたパッチが提供される。
【0059】
本発明の他の態様によれば、前記中間基材は、少なくとも一方向に弾性的に伸張可能な、上記に実質的に記載されたパッチが提供される。
【0060】
本発明の他の態様によれば、本明細書で定義されるIUP51試験による湿潤状態での摩擦係数が3.5を超える、上記に実質的に記載されたパッチが提供される。
【0061】
本発明の他の態様によれば、粘着性材料が裏面に塗布され、使用前に保護裏当てが重ねられる、上記に実質的に記載されたパッチが提供される。
【0062】
本発明の他の態様によれば、前記粘着性材料は非恒久的な接着剤である、上記に実質的に記載されたパッチが提供される。
【0063】
本発明の更なる態様によれば、上記に実質的に記載されたウェットグリップパッチが少なくとも一つ取り付けられた、シューズが提供される。
【0064】
外表面の表面特性を向上させるため、本発明は第一に材料に関し、また、材料の変更方法に関する。一般的に、本発明の文脈においては、理想的には湿潤状態と乾燥状態との両方で、グリップまたは摩擦係数を向上させることを意味する。湿潤状態と乾燥状態との両方で同等の摩擦係数を得ることは、特にスポーツ及びスポーツシューズ製造に対して、潜在的に顕著な優位性を持つ。材料及び材料処理工程は、明細書より明らかになる。なお、明細書において、説明容易化のためにスポーツシューズとそれに関する考慮に着目する。しかしながら、本発明の材料は、スポーツシューズのみに適用されるものではなく、グローブ及び衣類にも適用可能であることに留意すべきである。
【0065】
また、本発明は、シューズ、優先的には球技で使用されるようなスポーツシューズに関する。一般的なスポーツシューズ、例えばサッカーブーツにおいて、濡れたときに滑りやすくグリップが低下するという共通問題について述べてきた。これにより、衝撃の正確な力学により、ボールがブーツ表面を横切ってスライドし、逸れ、またはスピンするため、プレイヤーがボールをキックする正確性を顕著に低下させる。
【0066】
本発明は、シューズの上部全体または上部の一部に渡り、少なくともウェットグリップ特性を向上させる手段を提供する。この文脈では、スポーツシューズに使用される標準皮革及び模造皮革材料に対し、少なくともウェットグリップ特性を向上させることが含まれる。また、使用者が運動タイプ皮革を好むのであれば、本発明により皮革スポーツシューズ上部の製造工程の多くにて使用するのに適切な当該運動タイプ皮革の変形が提供される。
【0067】
本発明は、適切なグリップ促進コーティングを、上部を構成する材料、または上部に適用可能な材料(例えば後述するパッチ)に塗布する。好ましくは、コーティング処理は、例えば上部が形成される材料のプリコーティング等、上部の組み立て前に行なわれる。しかしながら、これはコーティング処理が上部の形成中や上部の形成後、さらに別の機会に行なわれることを除外するものではない。
【0068】
本発明は、特定のコーティングを使用する。好ましくは、PIBポリマを含むブチレンタイプコーティングにより構成される。PIBポリマは、本明細書の文脈中では、以下のグループ中の一つである:ポリイソブチレン(ブチルラバー、2−メチル−1−プロペンホモポリマ、イソブチレンポリマ、重合化された2−メチルプロペン、イソブチレン樹脂として知られ、分子式[Cを持つ)、及び、ポリイソブチレン−イソプレンコポリマ。現在における一つの具体的な製品は、テキサス石油化学(Texas Petrochemicals)のTPC1105であり、これはRMMが1000であるPIBである。
【0069】
一般的にブチレン−イソプレンコポリマは、0.01〜5%内のイソプレンを含む、通常は1±0.5%のイソプレンを含む。これらはイソプレンが十分に均一にポリマ中に拡散した「強化」コポリマであってもよいし、イソプレンが非均一に拡散した「高反応性」コポリマであってもよい。本発明で使用する場合は、「強化」コポリマが好ましい。
【0070】
ブチレン−イソプレンコポリマは、架橋結合したものでもよい。このような架橋結合のコーティングは本発明の範囲内に含まれるが、実質的に非架橋結合のコポリマコーティングであることが好ましい。
【0071】
本発明で使用する際には、ブチレンタイプコーティングは、皮革等の基材に容易に塗布できることが好ましいが、シューズの上部構成に使用される他の材料及び布地を除外するものではない。同様に重要な点は、基材の摩擦係数を、特に濡れたまたは湿った条件下で向上させるべきことである。
【0072】
理想的には、国際皮革技術者化学者協会の修正IUP51による試験工程(下記参照)が使用された場合に、摩擦係数が2.0を超えることが好ましい。さらに、摩擦係数が3.5を超えることが好ましい。理想的な材料では、湿潤状態の摩擦係数が、乾燥状態の摩擦係数とほぼ同じか大きいことが好ましい。理想的には、そのような材料またはコーティング用として、湿潤状態の摩擦係数も2.0、好ましくは3.5を超えることが望ましい。修正試験は、PTFE参照ベッドを用いた標準的な試験に基づいているが、サッカーボール製品に用いられるポリウレタンコーティングされた皮革として修正されている。
【0073】
例示として、本発明者により行なわれた、異なる材料に関する代表的な試験データを以下に示す。
【0074】
【表1】

【0075】
これにより、本発明の好ましいポリイソブチレンタイプ材料と、標準的材料、及び、本発明者の他の発明に関して本発明者によって開発されまたは使用された種々のドライグリップ材料(例えばPCT/AU2004/001545に定義されているもの)とを比較することができる。
【0076】
表からわかるように、本発明のブチレンタイプコーティングは、少なくとも皮革に塗布された場合に、多くの実現可能な利点を提供する。その一つは、湿潤及び乾燥状態の両方で、基材の摩擦係数を顕著に向上させる。もう一つは、乾燥時と比較して湿潤状態でのグリップ性の相対的な一貫性である。この一貫性は、特に試合及びトレーニング条件がコースに沿って変化する場合に特に有用である。
【0077】
本発明者は、シューズ上部製造において使用されるブチレンタイプコーティングの好ましい特徴の組み合わせを特定した。例えば、PIBポリマの最適RMM(相対分子量)は600〜1500(境界値含む)の間であり、さらに好ましくは850と1200の間(境界値含む)である。これは、一般的に粘性流体である。理想的には、これは、非常に透明度が高いことが好ましい。特に後者のRMM範囲によって、特に、非連続薄膜と呼ばれる場合があるものが生成され、基材の内部繊維マトリクス中にPIBポリマが蓄積し、皮革表面のPIBポリマが摩耗したり使用された場合に浸出して置き換わる。
【0078】
広いRMM範囲500〜1800(境界値含む)を持つPIBポリマは、本発明の範囲に含まれ得るが、この範囲の境界は必ずしも理想的ではない。このため、より好ましい範囲を上に示した。表面抵抗がありながらもべたつかない性質(draggy)であるが粘着質でない表面を得ることが理想的である。表面の粘着性が強すぎると、埃や泥を引き寄せすぎてしまい、十分に表面を掃除しなければ、透明包装テープのような、一度か二度しか使用できない粘着テープの表面のごとく、表面が使用不可能な状態となる。より柔らかいPIBにより連続薄膜が作られた場合、その耐久性には限りがある。非連続薄膜を得ることで、実現可能な利点を得ることができる。
【0079】
理想的なゴールは、向上したグリップ特性を発揮する一方で、耐久性があり、一貫した性能を持つコーティングを得ることである。発明者による検討の結果、上記の好ましいPIBポリマ特性が導かれた。
【0080】
特にコーティング処理が用いられる場合、ブチレンタイプコーティングは、一般的に溶剤を含む。使用するキャリヤまたは溶剤は種々であるが、好ましくは以下からの一つ以上のものにより構成される:パラフィン、鉱油、ベンゼン、トルエン、シクロヘキサン、キシレン、二硫化炭素、クロロベンゼン、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、及び、相溶性を有する有機溶媒。パラフィンオイルは、他の多くの溶媒よりも安全で、好ましいであろう。しかしながら、コーティング塗布処理は、より揮発性の溶媒を使用することで向上させることができる。ユーザにより選択可能な幅がある。
【0081】
ブチレンタイプコーティングを基材に塗布する際には、プライマは概して必要とされない。しかしながら、基材に容易に浸入するように、繊維構造が確実に「十分に開く」ようにすべきである。例えば、もし表面が過剰に封止状態であると、PIBポリマが深く浸入することが困難となる。皮革の場合、例えば、これはシボを細かくするために強度のステーキング/軟化処理を行なうことで解決することができるが、ヤギ皮のような皮革に対しては僅かに行なうことが望ましいであろう。恒久的な表面効果を得るため、シボがある程度取り除かれ、粗くされ、または修正された、テクスチャ加工された皮革、あるいは、ヌーバックまたはスエード皮革が理想的である。高撥水性または耐汚染性の皮革は、PIB混合体に対して僅かに障害となり得る。そして、この点をブチレンタイプコーティングの正確な配合及びその塗布処理において考慮しなければならない。本発明に係るブチレンタイプコーティングやその塗布プロセスを最適化したい場合には、実験が必要となる場合があると考えられる。これは、本明細書の情報が与えられた、技術を有する者の能力範囲内に十分に収まるものであると考えられる。
【0082】
ブチレンタイプコーティングの塗布は、異なる手段により行なってもよい。皮革の場合、標準的なコーティング機械または処理、例えばローラーコーティングなどを考慮に入れることができる。一般的なスポーツシューズの構成では、皮革または基材の片面のみにコートすることが望ましい。両面にコートを施すこと快適性を損なう場合があり、また、シューズ内にライナを設けないとシューズに足を入れにくくなる。両面塗布はまた、コーティング材料の無駄となり、製造コストの増大に繋がる。
【0083】
ブチレンタイプコーティングは、上部の少なくとも一部を形成するための基材、部分的または完全に構築された上部、または、製造完了したシューズに対して塗布することができる。また、コーティングを一回以上施してもよく、これらコーティングは製造の同じ段階または異なる段階で行なうことができる。
【0084】
塗布されるコーティング量は種々であり、基材の他の物理的特性を変化させる場合もあり得る。例えば、導入されたPIBポリマの量が増加すると、皮革が重くなるとともに粘着性が強く感じられるようになる。これは、後述のパッチや上部の特定部位には望ましい場合がある。すなわち、ユーザにとって、本発明の有効性または利便性をさらに改良するための選択肢がある。
【0085】
好ましくは、スポーツシューズの構成における運動用皮革においては、結果として得られる皮革中のPIBポリマ密度が1〜70g/sqft(境界値含む)であり、より好ましくは14〜32g/sqftとなるため、我々はブチレンタイプコーティングに着目する。
【0086】
コーティングは基材に対して十分に連続して塗布してよい。この場合、上部は、異なる特性を持つ異なる部位、例えばコートされた部位とコートされていない部位から製造してもよい。しかしながら、いくつかの処理方法及びコーティング方法は多くの選択肢を持つ。例えば、コートされた領域とコートされていない領域とを設けるといったように、(本例における)皮革等のシート状材料は、異なる手段によりコートされまたは処理され得る。異なる領域は、染料や顔料が含まれる場合には、視覚的素材、例えば文字、グラフィック、ロゴ、または他の商業素材を含むことができる。他の変形としては、シューズの性能を向上させたり、プレイヤーの特性を向上させるパターンを付けられた領域とすることができる。このような可能性は、プレイヤーとシューズ製造者の両方に対して潜在的に実現可能な追加的利点を提供する。
【0087】
ブチレンタイプコーティングを皮革等の基材に使用することで、シューズ構成に対して他の特性改善が得られる。一般的なサッカープレイヤーにとっての主観的な特性には、シューズの強固性、形状及び外形、さらに柔らかい感触及び外形といった追従要素が含まれる。一般的に、これらの特性を発揮するためにゴム爪先インサートが一体化されるが、他の特性が犠牲となり、また重量が重くなる。ブチレンタイプコートされた皮革は、ゴム爪先インサートなしに、シューズの主観的品質を良好にする。顕著に軽量化させることはプレイヤーにとって利点となり、追加要素が不要となることは製造者にとって利点となる。すなわち、本発明のいくつかの態様では、単にグリップ性を向上させるだけではなく、追加的な利点が提供される。
【0088】
皮革に関連し、本発明より導かれる他の潜在的な実現可能な利点は、PIBポリマは皮革構造の内部繊維をコートする傾向があるという事実である。これにより、汗(より具体的には乳酸成分)による変性作用、すなわち皮革を容易に損傷させ、クロムなめしされた皮革及びクロムキャップされた耐水性皮革のなめしを戻してしまうという作用に対して比較的強い耐性を繊維に持たせることができる。通常、乳酸による腐食作用により皮革が硬化し、これにより強度が下がり、実寸を縮め、退色させ、さらにバクテリアが成長し生き延びるのに適切な環境を作り出す。シューズ上部の皮革に対して本発明のブチレンタイプコーティングを使用することで、これらの問題を解決することができる。
【0089】
本発明に係るブチレンタイプコーティングにより、皮革基材の耐水性が向上することに留意すべきである。メイザーフレックステスト(The Maeser Flex Test)(SATRA,英国ケッタリングの靴及び関連産業調査協会(Shoe and Allied
Trades Research Association of Kettering in the United Kingdom)により特定された、STM106/106Dの試験方法)のように、静水吸収及び水中屈曲試験(浸入時間及び吸水した水量のパーセントを測定する)を用いた試験では、耐水性が平均で30%向上することが示されている。このように、シューズの耐水特性が向上し、したがって最終的にシューズは濡れた状態の試合で軽さを保ち続ける。これは、潜在的に本発明の実現可能なもう一つの利点である。
【0090】
試行により、ブチレンタイプコーティング処理によって皮革の引張及び引裂強度が向上することが分かった。調査の結果、10〜15%の向上を得ることができることが分かった。これは、PIBポリマが皮革繊維構造に対して副次的な加脂効果を発揮し、これが最終的に内部ファイバマトリクスの潤滑を向上させ強度が増加するためと考えられる。
【0091】
また調査によれば、単純なテクスチャ加工された皮革の性能が向上することが示唆された。これは、テクスチャ加工された皮革では、水が皮革表面のエンボス加工された領域(例えば頂部と平坦部との間の溝)に留まることにより、アクアプレーン現象が減少するという事実によって、ウェットグリップ特性が向上する、という理論的な観点から説明できる。しかしながら、ボール接触の際には、(頂部と平坦部の変形を無視すれば)これら頂部と平坦部の上部しかボールと接触し得ない。これは全表面領域よりも狭い。有効接触面積が狭いことで、本発明のブチレンタイプコーティングの向上したグリップ性では、認識できるグリップ性が向上する。したがって、表面の水を導く排水溝をもつ、グリップ性が向上した皮革(または材料)が得られる。
【0092】
また、本発明の範囲には、向上したウェットグリップ性等、本発明の特定の利点を提供するため、シューズに適用可能なパッチが含まれる。一般的に、これらパッチは、基材と外表面とを提供する。外表面は、上述の向上したグリップ特性を提供するために、少なくとも部分的にブチレンタイプコーティングが施される。すなわち、基材と外表面は、一片の処理された皮革材料または他の何らかの材料により構成される。
【0093】
裏面は粘着性コーティングを有していてもよい。これは恒久的な接着剤でもよいし、非恒久的であってもよい。非恒久的であれば、一時的にパッチを使用したり、位置を変更したりできる。着脱可能な保護カバーを粘着性のある裏面全体に渡って設けてもよい。
【0094】
裏面は、粘着性を持たず粘着性材料を塗布するのに適したものでもよい。これにより異なる接着剤からの選択が可能となり、製造中、またはシューズ修理者または他の適切な者により適用されたパッチに対して使用することができる。裏面は、粘着性を改善するために、吸水性を有していてもよいし、鈎つきでもよいし、または他の変形を加えられていてもよい。
【0095】
パッチを取り付けるために他の固定方法を設けてもよい。例えば、ベルクロ(登録商標)等のフックパイルファスナを使用可能である。
【0096】
認識されるように、本発明に対する多くの変形が可能であり、実行可能な多くの方法がある。特定の実施形態を以下に例示する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0097】
例1
本発明の好適な実施形態を図1に示した。本実施形態は、ドライ及びウェットグリップ領域を含む、本発明の多数の特徴を有する。
【0098】
図1にサッカーブーツ1を示した。概して上部1aと靴底1bとが示されている。靴底は、この種のシューズまたはブーツの標準的な構造とすることができる。
【0099】
上部は、異なる材料により構成された部位が互いに縫合されてなるが、他の構成方法を採用してもよい。単純化のため、本例では一般的な縫合構成を示す。
【0100】
靴底近傍の下部位2は、ブチレンタイプコートされた皮革材料により構成されている。隣接する部位3は、同様な材料のパッチにより構成されている。パッチは、ブーツをプレイヤーのためにカスタマイズするために接着されている。
【0101】
正面部位4及び5は皮革材料であり、ブチレンタイプコーティングが、製造者のロゴにより構成された繰返しパターンにて選択的に適用されている。その結果、改善したウェットグリップ性がこれら部位の表面に渡って分布している。
【0102】
部位6及び7は、ドライグリップ性とともに適度なウェットグリップ特性を持つグレップタイル(登録商標)G200等の材料によるドライグリップ部位により構成されている。
【0103】
背面部位8は、ユーザの選択による種々の材料により構成することができる。グリップ性を向上させるために、加工されていない通常の皮革よりもテクスチャ加工された表面を持つ皮革とすることができる。
【0104】
なお、ここで示したものは、多数存在する本発明の応用例のうちの一つの可能性にすぎないことに留意すべきである。すべてのスポーツシューズがこのように構成される必要がある訳ではなく、また、本発明のすべての異なる態様を含む必要もない。
【0105】
例2
図2は本発明に係るパッチ20であり、一部を破断した図である。なお、寸法は誇張して示してある。改良されたウェットおよびドライグリップ特性を上部表面22に与えるため、ブチレンタイプコーティング処理が施された皮革材料の基材21が設けられている。
【0106】
裏面23は接着性材料により構成され、着脱自在な保護裏当て24が重ねられる。
【0107】
実用に際しては、必要であればパッチは形を整えられ、シューズ表面の必要な場所に接着することができる。変形例として、濡れたまたは湿った表面に接着可能な接着剤を使用することができる。これにより試合中の湿ったシューズに対して適用できる。また、爪先の先端部等、形作られたシューズの部位にフィットするように、予め3次元に形作られたパッチを使用してもよい。
【0108】
例3
一般的なブチレンタイプコーティングの塗布プロセスを以下に示す。
a.テキサス石油化学(Texas Petrochemicals)の、RMMが約1000のPIBであるTPC1105を500、沸点41℃を持つ高純度イソパラフィン溶剤アイソパーG(エッソ社)を500の割合で、混合液を作る。PIB対溶剤の割合は、処理を行なう皮革/合成基材または異なる最終効果に応じて変化しうることに留意する。これは、一般的に、望む最終効果を得ることができるように、当該材料を塗布する技術者と要求される最終皮革/合成材料に応じて決定される。しかしながら、50対50の割合が一般的に良好である。
【0109】
b.各要素が混合状態に保たれるように、混合液が継続的に撹拌される。
【0110】
c.次いで、混合体は、材料表面に塗布される。必要な量の材料を塗布するために、皮革の場合、適切であるあらゆる手段、例えば、ローラーコーティング等、によって行なうことができる。理想的には、1平方フィートに12グラムである。
合成材料の場合は、コーティング塗布のための他の装置が必要となる場合がある。例えば、エアナイフ(knife over air)などである。塗布装置は異なるものが用いられ得る。
【0111】
d.皮革等の材料は、その後、コートされた表面同士が接触した状態で積層される。これは、なめし業界では、「フェイシング」として一般に知られている。合成皮革に塗布される場合は、これらは連続的なロール製造ラインに載せられて、直ちに加熱ユニットを通過する。
【0112】
e.上記とほぼ同様にして、材料を再コーティングしてもよい。あるいは、最終の乾燥段階に進み、溶剤がすべて除去されてPIBポリマを繊維構造中(基材に応じて)と表面とに残す。溶剤の一部が残存する場合もあるが、この量は少ない上に短時間に大気中に蒸発する。溶剤が繊維構造を残し、PIBポリマの濃度が相対的に増加することにより、材料のグリップ特性が向上する。
【0113】
f.材料はその後例えば耐油セパレータ等の適当な手段により、発送用に梱包される。
【0114】
本発明の態様について説明したが、これらは単なる例示であり、特許請求の範囲において定義された本発明の意図及び範囲を逸脱することなく変形及び追加可能であることは明らかである。
【0115】
本明細書で用いた「構成され」との語は限定の意味で用いられているのではないことを理解すべきである。すなわち、「構成され」とは構成を排他的に定義するものではなく、他の要素及び構成が追加される可能性を含むものである。
【0116】
また、本明細書は、従来技術に対する本発明者の理解に基づいている。従来技術に関する記載は、従来技術を真性な状態で正式に開示しているとみなされるべきではない。むしろ、発明者が本発明を開発するに際して考慮及び留意した参考資料であるとみなすべきものである。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】本発明に係るスポーツシューズの好適な一実施形態の概略斜視図である。
【図2】本発明に係るパッチの好適な一実施形態の概略斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書で定義されたPIBポリマまたはコポリマにより構成されたPIBコーティングをシボまたは外表面に有した、シューズ上部構造に使用される材料。
【請求項2】
前記材料は皮革である、請求項1に記載の材料。
【請求項3】
前記PIBコーティングは、ポリイソブチレン−イソプレンコポリマにより構成された、請求項1または2に記載の材料。
【請求項4】
共重合したイソプレンの割合が、イソプレンの0.01〜5重量パーセント(境界値含む)である、請求項3に記載の材料。
【請求項5】
前記PIBポリマは、600から1500(境界値含む)のRMMを有する、上記いずれかひとつの請求項に記載の材料。
【請求項6】
前記PIBポリマは、850から1200(境界値含む)のRMMを有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の材料。
【請求項7】
前記PIBコーティングは、ローラーコーティング法により塗布される、上記いずれかひとつの請求項に記載の材料。
【請求項8】
前記PIBコーティングは、溶剤混合液中のPIBポリマまたはコポリマの塗布により得られる、上記いずれかひとつの請求項に記載の材料。
【請求項9】
前記溶剤は、パラフィン、鉱油、ベンゼン、トルエン、シクロヘキサン、キシレン、二硫化炭素、クロロベンゼン、炭化水素、及び、ハロゲン化炭化水素、により構成されたグループ中の一つ以上により構成された、請求項8に記載の材料。
【請求項10】
前記PIBコーティングは、1〜70g/sqftの被覆率(境界値含む)で存在する、上記いずれかひとつの請求項に記載の材料。
【請求項11】
前記PIBコーティングは、14〜32g/sqftの被覆率(境界値含む)で存在する、上記いずれかひとつの請求項に記載の材料。
【請求項12】
本明細書で定義されるIUP51試験による湿潤状態での摩擦係数が3.5を超える、上記いずれかひとつの請求項に記載の材料。
【請求項13】
本明細書で定義されるIUP51試験による乾燥状態での摩擦係数が3.5を超える、上記いずれかひとつの請求項に記載の材料。
【請求項14】
PIBポリマまたはコポリマコーティングをその表面上に塗布することにより、材料の表面特性を改良する処理方法。
【請求項15】
前記材料は皮革である、請求項14に記載の処理方法。
【請求項16】
前記PIBコーティングは、ポリイソブチレン−イソプレンコポリマにより構成された、請求項14または15に記載の処理方法。
【請求項17】
共重合したイソプレンの割合が、イソプレンの0.01〜5重量パーセント(境界値含む)である、請求項16に記載の処理方法。
【請求項18】
前記PIBポリマは、600から1500(境界値含む)のRMMを有する、請求項14から17のいずれか一項に記載の処理方法。
【請求項19】
前記PIBポリマは、850から1200(境界値含む)のRMMを有する、請求項14から17のいずれか一項に記載の処理方法。
【請求項20】
前記PIBコーティングは、ローラーコーティング法により塗布される、請求項14から19のいずれか一項に記載の処理方法。
【請求項21】
前記PIBコーティングは、溶剤混合液中のPIBポリマまたはコポリマの塗布により得られる、上記いずれかひとつの請求項に記載の処理方法。
【請求項22】
前記溶剤は、パラフィン、鉱油、ベンゼン、トルエン、シクロヘキサン、キシレン、二硫化炭素、クロロベンゼン、炭化水素、及び、ハロゲン化炭化水素により構成されたグループ中の一つ以上により構成された、請求項21に記載の処理方法。
【請求項23】
前記PIBコーティングは、1〜70g/sqftの被覆率(境界値含む)で存在する、請求項14から22のいずれか一項に記載の処理方法。
【請求項24】
前記PIBコーティングは、14〜32g/sqftの被覆率(境界値含む)で存在する、請求項14から22のいずれか一項に記載の処理方法。
【請求項25】
請求項14から24のいずれか一項の処理方法により得られた、本明細書で定義されるPIBポリマまたはコポリマコーティングを有する材料。
【請求項26】
シューズ上部の製造に使用される、請求項25に記載の材料。
【請求項27】
グローブまたは衣服の製造に使用される、請求項25に記載の材料。
【請求項28】
少なくともその上部の一部が請求項1から13のいずれか一項、または請求項25に記載された材料により製造された、スポーツシューズ。
【請求項29】
請求項1から13または請求項25に記載された材料により構成された、シューズまたは衣服に取り付けられるパッチ。
【請求項30】
自己粘着性裏当てを備えた、請求項29に記載のパッチ。
【請求項31】
少なくとも上部の一部がグリップエリアを備え、該グリップエリアは本明細書で定義されたPIBポリマまたはコポリマコーティング処理された材料を備えた、スポーツシューズ。
【請求項32】
前記PIBポリマは、850以上のRMMを有する、請求項31に記載のスポーツシューズ。
【請求項33】
前記コーティングされた材料は、皮革または合成皮革材料である、請求項31または32に記載のスポーツシューズ。
【請求項34】
前記PIBポリマまたはコポリマによる処理は、前記上部の形成中及び/または形成後に行なわれる、請求項31から33のいずれか一項に記載のスポーツシューズ。
【請求項35】
前記上部は、前記PIBポリマまたはコポリマによる処理を施した領域と施されていない領域の両方を備えた、請求項31から34のいずれか一項に記載のスポーツシューズ。
【請求項36】
少なくとも前記上部の一部が、文字、記号、ロゴ、パターン、または商業情報からなるパターンにて塗布されたPIBポリマまたはコポリマコーティングを備えた、請求項31から35のいずれか一項に記載のスポーツシューズ。
【請求項37】
前記上部はさらに、本明細書で定義された向上したドライグリップ材料の領域を有する、請求項31から36のいずれか一項に記載のスポーツシューズ。
【請求項38】
補強用爪先インサート、またはゴム爪先インサートを備えていない、請求項31から37のいずれか一項に記載のスポーツシューズ。
【請求項39】
前記スポーツシューズはサッカーブーツである、請求項31から38のいずれか一項に記載のスポーツシューズ。
【請求項40】
中間基材と、
PIBポリマまたはコポリマによりコーティングされた外表面と、
塗布された接着性コーティングを有するか、接着剤を塗布されることが可能な裏面と、
を備えた、表面に適用可能なパッチ。
【請求項41】
前記中間基材は、布地、織布材料、皮革、及び合成皮革のうち、すくなくとも一つ以上からなる一層以上の層を備えた、請求項40に記載のパッチ。
【請求項42】
前記基材は柔軟性を持つ、請求項40または41に記載のパッチ。
【請求項43】
少なくとも一方向に伸張可能な、請求項40から42のいずれか一項に記載のパッチ。
【請求項44】
前記中間基材は、少なくとも一方向に弾性的に伸張可能な、請求項40から43のいずれか一項に記載のパッチ。
【請求項45】
本明細書で定義されるIUP51試験による湿潤状態での摩擦係数が3.5を超える、請求項40から42のいずれか一項に記載のパッチ。
【請求項46】
粘着性材料が裏面に塗布され、使用前に保護裏当てが重ねられる、請求項40から45のいずれか一項に記載のパッチ。
【請求項47】
前記粘着性材料は非恒久的な接着剤である、請求項46に記載のパッチ。
【請求項48】
請求項40から47のいずれか一項に記載の、ウェットグリップパッチが少なくとも一つ取り付けられた、シューズ。
【請求項49】
添付記載を参照して本明細書に実質的に記載された、その上部が少なくとも部分的にPIBポリマまたはコポリマ材料によりコートされた、スポーツシューズ。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−500847(P2008−500847A)
【公表日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−513596(P2007−513596)
【出願日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【国際出願番号】PCT/AU2005/000229
【国際公開番号】WO2005/117625
【国際公開日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(506151877)
【Fターム(参考)】