説明

シュー用油中水型乳化物

【課題】本発明の目的は、シュー皮が常温状態、具体的には12℃〜45℃の温度範囲に置かれたり、曝光状態に置かれてもシュー皮の風味劣化が防止され、且つ、シュー皮を調製する際のシュー生地の乳化安定性に優れ、加熱した際のシュー皮のボリューム感が改善された、シュー皮を得るためのシュー用油中水型乳化物及び当該乳化物を使用するシュー皮の製造法を提供することにある。
【解決手段】本発明は、油脂、水及び乳化剤を含む油中水型乳化物において、トコフェロール、ルチンから選ばれる1種以上を含むことを特徴とするシュー用油中水型乳化物であり、シュー皮を製造する際に、当該シュー用油中水型乳化物をシュー生地原料に添加混合するか、シュー生地にトコフェロール、ルチンから選ばれる1種以上を添加混合し、その後シュー生地を加熱するシュー皮の製造法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シュークリーム等の外皮を形成するシュー皮に用いられるシュー用油中水型乳化物及び当該乳化物を使用するシュー皮の製造法に関し、更に詳しくは、シュー皮を調製する際のシュー生地の乳化安定性が優れ、シュー皮のボリューム感が改善され、シュー皮の風味安定性、特に常温状態に置かれたり、曝光状態に置かれてもシュー皮の風味劣化が防止されたシュー皮を得るための、シュー用油中水型乳化物及び当該乳化物を使用するシュー皮の製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
シュークリームは、まず内部に空洞を有するシュー皮を製造し、続いてその内部にクリーム、カスタード、チーズ、チョコレート等のフィリング材を充填して製造される。このようにして製造されるシュークリームの商品価値はシュー皮のボリューム感、シュー皮の風味、特に経時変化において異味異臭を感じないことが求められている。
シュー皮を製造する際の主要な原料は小麦粉、油脂、水、卵であるが、油脂は多くの場合油中水型乳化物、通常マーガリンの形で使用されることが多い。
従来より、各種のシュー用油中水型乳化物及びその製造法が数多く提案されている。
特許文献1では、L−アスコルビン酸を含有するシュー用油脂組成物が提案され、特許文献2では、食用油脂中に乳化剤により水相部が乳化した油中水型乳化物であって、グロブリンおよび/またはアルブミンをグロブリンとアルブミンの合計量で50重量%以上含む植物性タンパク質を全組成物に対して0.3〜3重量%、ならびにカゼインナトリウムを全組成物に対して3〜7重量%含有することを特徴とするシュー皮用油脂組成物が提案されている。
そして、特許文献3では、有機酸モノグリセリド0.05〜20重量%及びジグリセリド0.20〜35重量%を含有することを特徴とするシュー用乳化油脂組成物が提案され、特許文献4では、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルまたは蔗糖エルカ酸エステルの少なくとも一種を含む油脂中に、カゼインナトリウムが均一に分散していることを特徴とする、シュー皮用油脂組成物が提案されている。
しかしながら、これらの提案では、本発明の課題とする、シュー皮が常温状態に置かれたり、曝光状態に置かれてもシュー皮の風味劣化が防止され、且つ、シュー皮を調製する際のシュー生地の乳化安定性に優れ、シュー皮のボリューム感が改善された、シュー皮を得るための油中水型乳化物という点で十分ではなかった。
【0003】
【特許文献1】特開昭62−244344号公報
【特許文献2】特開平6−22680号公報
【特許文献3】特開平7−115890号公報
【特許文献4】特開平8−131058号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、その内部にチョコレート、ホイップチョコレート、含水チョコレート、バタークリーム、カスタードクリーム、フラワーペースト、ジャム、餡、ホイップクリーム等のフィリング材を充填するためのシュー皮であって、シュー皮が常温状態、具体的には12℃〜45℃の温度範囲に置かれたり、曝光状態に置かれてもシュー皮の風味劣化が防止され、且つ、シュー皮を調製する際のシュー生地の乳化安定性に優れ、加熱した際のシュー皮のボリューム感が改善された、シュー皮を得るためのシュー用油中水型乳化物及び当該乳化物を使用するシュー皮の製造法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決するため、数多くの試行錯誤の結果、ある特定の風味劣化防止剤が有効であるとの知見に基づいて、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の第1は、油脂、水及び乳化剤を含む油中水型乳化物において、トコフェロール、ルチンから選ばれる1種以上を含むことを特徴とするシュー用油中水型乳化物である。第2は、油中水型乳化物中の油脂のSFCが、10℃で10〜90%、20℃で1〜75%の範囲にある、第1記載のシュー用油中水型乳化物である。第3は、光劣化耐性を有する曝光食品用である、第1又は第2記載のシュー用油中水型乳化物である。第4は、シュー皮を製造する際に、第1記載のシュー用油中水型乳化物をシュー生地原料に添加混合するか、又はシュー生地にトコフェロール、ルチンから選ばれる1種以上を添加混合し、その後シュー生地を加熱するシュー皮の製造法である。第5は、光劣化耐性を有する曝光食品用である、第4記載のシュー皮の製造法である。第6は、第4又は第5のシュー皮にフィリング材を充填してなる、シュー菓子である。
【発明の効果】
【0006】
その内部にチョコレート、ホイップチョコレート、含水チョコレート、バタークリーム、カスタードクリーム、フラワーペースト、ジャム、餡、ホイップクリーム等のフィリング材を充填するためのシュー皮であって、シュー皮が常温状態、具体的には12℃〜45℃の温度範囲に置かれたり、曝光状態に置かれてもシュー皮の風味劣化が防止され、且つ、シュー皮を調製する際のシュー生地の乳化安定性に優れ、加熱した際のシュー皮のボリューム感が改善された、シュー皮を得るためのシュー用油中水型乳化物及び当該乳化物を使用するシュー皮の製造法を提供することが可能になった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明のシュー用油中水型乳化物は、油脂、水及び乳化剤を含む油中水型乳化物に、トコフェロール、ルチンから選ばれる1種以上を含むことが必要である。
シュー用油中水型乳化物は、シュー皮を調製する際のシュー生地の乳化安定性、シュー皮のボリューム感、シュー皮の風味を考慮して、通常、カゼインナトリウムを油中水型乳化物全体に対して1〜10重量%、好ましくは2〜6重量%含んでいる。
本発明においては、上記シュー用油中水型乳化物にトコフェロール、ルチンから選ばれる1種以上を添加、混合することによって、当該油中水型乳化物を使用して得られたシュー皮が常温状態に置かれたり、曝光状態に置かれてもシュー皮の風味劣化が防止されるので好ましい。
【0008】
本発明のトコフェロールとしては、それ自体既知のものであり、市販品として入手可能である。これらは天然の植物から抽出した精製品でも未精製品でもよく、合成品でも良い。また、δ−トコフェロール等の単品でも、α、β、γ、δ−トコフェロール等の混合物でも良い。また、デキストリン等により希釈された製剤でも良い。市販品としては、理研ビタミン株式会社の(商品名:理研Eオイルスーパー80、トコフェロール64%含有)などが、例示出来る。
本発明のシュー用油中水型乳化物に用いるトコフェロールの使用量については、0.001〜1重量%、好ましくは0.005〜0.7重量%、最も好ましくは、0.01〜0.5重量%の範囲で使用するのが、望ましい。
トコフェロールの使用量が、少ない場合は、期待される効果は得られにくく、多い場合には、油中水型乳化物を使用し、製造されたシュー皮の風味が悪くなる。
【0009】
本発明のルチンとしては、それ自体既知のものであり、市販品として入手可能である。ルチンは、元来、水にはほとんど溶けない為、その利用が遅れていた。本発明では、酵素処理されたことにより、水溶性を格段に高められたものが、適しており、東洋精糖株式会社製の(商品名:αGルチンPS、ルチン82%含有)が例示できる。
本発明のシュー用油中水型乳化物に用いるルチン使用量については、0.0001〜0.3重量%、好ましくは、0.001〜0.1重量%、最も好ましくは、0.003〜0.05重量%の範囲で使用するのが好ましい。ルチンの使用量が少ない場合は、期待される効果は得られにくく、多い場合には、油中水型乳化物を使用し、製造されたシュー皮の風味、色調が悪くなる。
【0010】
本発明の油中水型乳化物に使用する風味劣化防止剤は、トコフェロール、ルチンを1種選択し、有効成分として含有する事により所望の効果を得られるが、更に、併用する事が好ましい。また、必要に応じて公知の抗酸化剤(L−アスコルビン酸等)、香味劣化防止剤(クロロゲン酸、リンゴポリフェノール、ヒマワリ抽出物、ヤマモモ抽出物等)、金属封鎖剤(グルコン酸、コウジ酸、フィチン酸、ポリリン酸、キチン、キトサン等)等を使用する事も出来る。これらの中では、L−アスコルビン酸、L―アスコルビン酸ナトリウム、ヤマモモ抽出物が好ましい。
【0011】
本発明で使用される油脂原料として例えば、菜種油、大豆油、ひまわり種子油、綿実油、落花生油、米糠油、コーン油、サフラワー油、オリーブ油、カポック油、ゴマ油月見草油、パーム油、パーム核油、ヤシ油等の植物性油脂ならびに乳脂、牛脂、豚脂、魚油、鯨油等の動物性油脂が例示でき、上記油脂類の単独または混合油あるいはそれらの硬化分別油、ならびに酵素エステル交換、触媒によるランダムエステル交換等を施した加工油脂が使用できる。
好ましくは、油中水型乳化物の原料油脂中の油脂全体に対して、大豆油を30重量%以下使用する事が好ましい。大豆油を多く使用すると、シュー皮が常温状態に置かれたり、曝光状態に置かれた場合、シュー皮の風味が悪くなる。
本発明の油中水型乳化物においては、油中水型乳化物中の油脂のSFCが、10℃で10〜90%、20℃で1〜75%の範囲にあるのが好ましい。
油脂のSFCが高すぎると、シュー生地を調製する際の生地が硬くなりすぎて作業性が悪くなり、油脂のSFCが低すぎると当該油中水型乳化物を使用して得られたシュー皮が常温状態に置かれたり、曝光状態に置かれた場合、シュー皮の風味が悪くなる。
油脂のSFC(固体脂含量)の測定法は、IUPAC2.150(Solid Content Determination in Fats by NMR)に準じて行なった。
【0012】
本発明の乳化剤としては、食品添加物として使用可能なものが使用できる。例えばグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、レシチン、有機酸モノグリセリド等が例示でき、これらの乳化剤の中から、1種又は2種以上を選択して、適宜使用する事が出来る。
【0013】
本発明のシュー用油中水型乳化物の製造法としては、通常の油中水型乳化物の製造法に準じて行なえばよく、油脂、水及び乳化剤並びに風味劣化防止剤としてトコフェロール、ルチンから選ばれる1種以上の主要な原料を使用し、油相と水相を予備乳化した後、パーフェクター、ボテーター、コンビネーターなどで、捏和することにより製造することができる。油相は、融解した油脂に必要に応じて、乳化剤、風味劣化防止剤、色素、香料などの油溶性成分を添加、溶解/分散させ調製することができる。水相は、水又は温水に、必要に応じて乳化剤、風味劣化防止剤、食塩、糖類、無機塩類等を添加、溶解/分散させ調製することができる。
【0014】
本発明のシュー皮の製造法としては、上記で得られたシュー用油中水型乳化物をシュー生地原料に添加混合するか、又はシュー生地にトコフェロール、ルチンから選ばれる1種以上を添加混合し、その後シュー生地を加熱する方法が採用できる。
トコフェロール、ルチンの使用量は、シュー用油中水型乳化物を使用した際にシュー生地に含まれる相当量であるのが好ましい。
加熱する方法としては、焼成、フライ、マイクロ波照射から選択される方法でシュー皮を得ることができる。
具体的には、シュー皮は、シュー用油中水型乳化物を水と共に加熱沸騰し、その中に小麦粉を添加して捏和し、糊化状態にした後、卵を数回に分けて加え、充分に乳化させ、必要に応じて膨張剤を添加して得られたシュー生地を焼成する事で得られる。
【0015】
本発明においては、上記製造法で得られたシュー皮が風味劣化防止剤としてトコフェロール、ルチンから選ばれる1種以上を含んでいるので、シュー皮を常温状態に置いたり、曝光状態に置いたりしてもシュー皮の風味劣化が防止されるので好ましい。
シュー皮の状態でも食されるが、通常フィリング材を充填したシュー菓子として食される。フィリング材としては、チョコレート、ホイップチョコレート、含水チョコレート、バタークリーム、カスタードクリーム、フラワーペースト、ジャム、餡、ホイップクリーム等通常市販されているフィリング材が使用できる。
【実施例】
【0016】
以下に本発明の実施例を示し本発明をより詳細に説明するが、本発明の精神は以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中、%及び部は、いずれも重量基準を意味する。
【0017】
実験例1
ラード(SFC:10℃で41%、20℃で26%)76部、モノグリセリド0.5部、レシチン0.05部、トコフェロール(商品名:理研Eオイルスーパー80G、理研ビタミン株式会社製、トコフェロール64%含有)0.1部を加熱溶解したものと、50℃の水18.75部に、カゼインナトリウム4.0部、クエン酸塩0.3部、及び食塩0.3部を溶解させたものとを、混合攪拌し予備乳化させ、コンビネーターにより急冷捏和して、油中水型乳化物を得た。これを表1に纏めた。
【0018】
実験例2
ラード(SFC:10℃で41%、20℃で26%)76部、モノグリセリド0.5部、レシチン0.05部を加熱溶解したものと、50℃の水18.83部に、カゼインナトリウム4.0部、クエン酸塩0.3部、食塩0.3部、及びルチン(商品名:αGルチンPS、東洋精糖株式会社製、ルチン82%含有)0.02部溶解させたものとを、混合攪拌し予備乳化させ、コンビネーターにより急冷捏和して、油中水型乳化物を得た。これを表1に纏めた。
【0019】
実験例3
ラード(SFC:10℃で41%、20℃で26%)76部、モノグリセリド0.5部、レシチン0.05部、トコフェロール(商品名:理研Eオイルスーパー80G、理研ビタミン株式会社製、トコフェロール64%含有)0.1部を加熱溶解したものと、50℃の水18.73部に、カゼインナトリウム4.0部、クエン酸塩0.3部、食塩0.3部、及びルチン(商品名:αGルチンPS、東洋精糖株式会社製、ルチン82%含有)0.02部溶解させたものとを、混合攪拌し予備乳化させ、コンビネーターにより急冷捏和して、油中水型乳化物を得た。これを表1に纏めた。
【0020】
実験例4
ラード(SFC:10℃で41%、20℃で26%)61部、大豆硬化油(SFC:10℃で51%、20℃で15%)15部、モノグリセリド0.5部、レシチン0.05部、トコフェロール(商品名:理研Eオイルスーパー80G、理研ビタミン株式会社製、トコフェロール64%含有)0.1部を加熱溶解したものと、50℃の水18.75部に、カゼインナトリウム4.0部、クエン酸塩0.3部、及び食塩0.3部を溶解させたものとを、混合攪拌し予備乳化させ、コンビネーターにより急冷捏和して、油中水型乳化物を得た。これを表1に纏めた。
【0021】
比較実験例1
ラード(SFC:10℃で41%、20℃で26%)76部、モノグリセリド0.5部、レシチン0.05部を加熱溶解したものと、50℃の水18.85部に、カゼインナトリウム4.0部、クエン酸塩0.3部、及び食塩0.3部を溶解させたものとを、混合攪拌し予備乳化させ、コンビネーターにより急冷捏和して、油中水型乳化物を得た。これを表1に纏めた。
【0022】
比較実験例2
ラード(SFC:10℃で41%、20℃で26%)61部、大豆硬化油(SFC:10℃で51%、20℃で15%)15部、モノグリセリド0.5部、レシチン0.05部を加熱溶解したものと、50℃の水18.85部に、カゼインナトリウム4.0部、クエン酸塩0.3部、及び食塩0.3部を溶解させたものとを、混合攪拌し予備乳化させ、コンビネーターにより急冷捏和して、油中水型乳化物を得た。これを表1に纏めた。
【0023】
比較実験例3
ラード(SFC:10℃で41%、20℃で26%)76部、モノグリセリド0.5部、レシチン0.05部、トコフェロール(商品名:理研Eオイルスーパー80G、理研ビタミン株式会社製、トコフェロール64%含有)1.2部を加熱溶解したものと、50℃の水17.65部に、カゼインナトリウム4.0部、クエン酸塩0.3部、及び食塩0.3部を溶解させたものとを、混合攪拌し予備乳化させ、コンビネーターにより急冷捏和して、油中水型乳化物を得た。これを表1に纏めた。
【0024】
表1に実験例1〜4、比較実験例1〜3の配合を纏めた。
【表1】

【0025】
実施例1
表2に示した配合に従って、実験例1の油中水型乳化物と水をコートミキサーのボウルに入れ、直火で沸騰し、その中に薄力粉を添加して捏和し、糊化状態とする。全卵を数回に分けて加えていき、最後に炭酸水素アンモニウムを溶解した全卵を加え、充分に乳化させる。出来上がったシュー生地を、2.2gづつ鉄板に絞り出し、オーブンを用いて上火/下火、200℃/240℃で、9分焼成する。その後、オーブンで上火/下火、100℃/100℃で、10分間乾燥焼きをし、シュー皮を製造した。
シュー皮を調製した時の、シュー生地の乳化安定性、シュー皮のボリューム、風味を評価した。
これらの結果を表3に纏めた。
また、得られたシュー皮を、透明袋に入れ、1500ルクスで光照射される25℃の恒温機で2週間の保存試験を行い、風味を評価した。この結果を表4に纏めた。
【0026】
実施例2〜実施例4及び比較例1〜比較例3
実施例1において、実験例1の油中水型乳化物を其々、実験例2、実験例3、実験例4、比較実験例1、比較実験例2、比較実験例3に代えた以外は、実施例1と同様な配合で同様な処理を行い、実施例2、実施例3、実施例4及び比較例1〜比較例3に基づくシュー皮を得た。実施例1と同様な評価を行い、結果を表3、表4に纏めた。
【0027】
実施例1〜実施例4及び比較例1〜比較例3におけるシュー皮を調製した時の、シュー生地の乳化安定性、シュー皮のボリューム、風味は以下の基準で評価し結果を表3に纏めた。
(安定性)
◎ : 非常に安定している
○ : 安定している
△ : やや不安定
× : 不安定
(ボリューム)
◎ : 適度な大きさで膨らみや形が良好
○ : 膨らみや形にややバラツキがみられる
△ : 膨らみがやや小さく形もやや悪い
× : 膨らみ、形が悪い
(風味)
◎ : 非常に良好
○ : 良好
△ : やや不良
× : 不良
×× : 非常に不良
【0028】
【表2】

【0029】
【表3】

【0030】
実施例1〜実施例4及び比較例1〜比較例3で得られたシュー皮を透明袋に入れ、1500ルクスで光照射される25℃の恒温機で2週間の保存試験を行い、経時的に以下の基準で評価し、結果を表4に纏めた。
風味評価
◎ : 非常に良好
○ : 良好
△ : やや不良
× : 不良
×× : 非常に不良
【0031】
【表4】

【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、シュークリーム等の外皮を形成するシュー皮に用いられるシュー用油中水型乳化物及び当該乳化物を使用するシュー皮の製造法に関し、更に詳しくは、シュー皮を調製する際のシュー生地の乳化安定性が優れ、シュー皮のボリューム感が改善され、シュー皮の風味安定性、特に常温状態に置かれたり、曝光状態に置かれてもシュー皮の風味劣化が防止されたシュー皮を得るための、シュー用油中水型乳化物及び当該乳化物を使用するシュー皮の製造法に関するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油脂、水及び乳化剤を含む油中水型乳化物において、トコフェロール、ルチンから選ばれる1種以上を含むことを特徴とするシュー用油中水型乳化物。
【請求項2】
油中水型乳化物中の油脂のSFCが、10℃で10〜90%、20℃で1〜75%の範囲にある、請求項1記載のシュー用油中水型乳化物。
【請求項3】
光劣化耐性を有する曝光食品用である、請求項1又は請求項2記載のシュー用油中水型乳化物。
【請求項4】
シュー皮を製造する際に、請求項1記載のシュー用油中水型乳化物をシュー生地原料に添加混合するか、又はシュー生地にトコフェロール、ルチンから選ばれる1種以上を添加混合し、その後シュー生地を加熱するシュー皮の製造法。
【請求項5】
光劣化耐性を有する曝光食品用である、請求項4記載のシュー皮の製造法。
【請求項6】
請求項4又は請求項5のシュー皮にフィリング材を充填してなる、シュー菓子。