シリカで被覆されたβ−1,3−グルカン/導電性高分子複合体
【課題】 熱的・構造的に安定で、単一鎖状に分散した導電性高分子ナノファイバーと無機物ナノファイバーとの複合体を構築する。
【解決手段】 β-1,3-グルカンと導電性高分子から成る複合体をシリカゲルで被覆した有機・無機ナノコンポジット。β-1,3-グルカン/導電性高分子複合体の存在下にシリカの前駆体に対してゾル−ゲル反応を進行させることにより製造できる。
【解決手段】 β-1,3-グルカンと導電性高分子から成る複合体をシリカゲルで被覆した有機・無機ナノコンポジット。β-1,3-グルカン/導電性高分子複合体の存在下にシリカの前駆体に対してゾル−ゲル反応を進行させることにより製造できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表面をシリカで被覆され、熱的および構造的に安定化した導電性高分子ナノファイバーの調製に関する。
【背景技術】
【0002】
導電性ポリマーとして知られているポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリフェニレンビニレン等は、特異的なπ電子系の非局在化を特徴とする分子性のワイヤーを形成し、分子エレクトロニクス、ナノバイオ、センサー等の先端的機能材料の開発において今後期待されている有機物質である。
【0003】
無機物質においても各種金属または金属酸化物をナノサイズで構造的に制御する技術の開発が各種の先端的な分野で進められている。その一環として、ゾル-ゲル法による金属酸化物の合成がある(図1参照)。その手法は、調製時のpHやゲル化時間などが脆弱な生体物質や有機分子の包括固定化に許容範囲内であることや、生成するゲルの細孔構造を幅広く制御できることなどから、酵素や微生物菌体などの生体物質や有機分子の固定化に盛んに用いられており、生成物は機械的強度に優れるためバイオセンサーなどに応用されている(非特許文献1−4)。
【非特許文献1】Iqbal Gill,Chem. Mater., 2001, 13, 3404
【非特許文献2】Kjeld J. C.van Bommel,Seiji Shinkai,Langmuir, 2002, 18, 4544-4548
【非特許文献3】MarekGrzelczak, Miguel A. Correa-Duarte, Luis M. Liz-Marzn, small, 2006, 2, 1174-1177
【非特許文献4】I. Ichinose,and T. Kunitake, Adv. Mater., 2002, 14, 34
【0004】
天然多糖のシゾフィランはβ-1,3-グルカン系多糖の一つであり、水中では三重らせん状(t-SPG)を、DMSOのような極性有機溶媒やNaOHのような塩基の水溶液中ではランダムコイル状(s-SPG)を呈する(図2参照)。このように溶媒の性質によって可逆的にその構造を変化させる興味深い性質を示すことから、本発明者らはこのシゾフィランをナノテク材料の開発に利用してきた。
【0005】
例えば、我々はSPGがs-SPGからt-SPGへと巻き戻る過程において、様々な疎水性高分子ゲスト(ポリアニリン、ポリチオフェンなど)を共存させておくことにより、SPGのらせん構造内部にゲストの高分子鎖1本を取り込ませ、ファイバー状に成形することを可能とした(図3および図4;非特許文献5−7、特許文献1−3)。SPGのらせん内部に取り込まれた高分子ゲストはSPG内部にインシュレートされることにより、主鎖が伸びたことに由来する共役長の増加や、SPGのらせん構造に由来した特有のねじれ構造をとることもわかっている。さらに、SPGによる複合化は導電性高分子間の凝集を効果的に抑制し、導電性高分子本来の電気化学的、光化学的機能の保持に重要な役割を果たしている。従来、導電性高分子をベースとした機能性材料の開発は凝集体やフィルムなどのバルク状態を対象として行われてきたが、本系の採用により導電性高分子1本の構造を制御し、高分子鎖1本1本の機能をナノメートルレベルで制御できる全く新しいシステムの構築が可能となるはずである。
【非特許文献5】C. Li, M.Numata, M. Takeuti, S. Shinkai, Angew. Chem., 117, 2 (2005)
【非特許文献6】C. Li, M.Numata, T. Hasegawa, K. Sakurai, S. Shinkai, Chem. Lett., 34, 1354 (2005).
【非特許文献7】C. Li, M.Numata, A.-H. Bae, K. Sakurai, S. Shinkai, J. Am. Chem. Soc., 127, 4548 (2005).
【特許文献1】特開2006−131735号公報
【特許文献2】特開2006−160770号公報
【特許文献3】特開2006−241334号公報
【0006】
さらに我々は、β-1,3-グルカンのらせん状構造体の内部に形成される疎水性空間に、有機系ポリマーだけでなく、無機系の金属酸化物(シリカ)のポリマーをゲストとして挿入することを可能としている(特許文献4)。しかしながら、有機系ポリマー(導電性高分子)と無機系ポリマー(シリカゲル)とをナノレベルで複合体化する技術は本発明が完成されるまでは認められなかった。
【特許文献4】特開2006−248819号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、熱的・構造的に安定で、単一鎖で分散した導電性高分子ナノファイバーと無機物ナノファイバーとの複合体を構築することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、β-1,3-グルカンをインターフェースとすることにより、導電性高分子/シリカゲル系の有機・無機ナノコンポジットを形成させることに成功し、本発明を導き出した。
すなわち、本発明は、β-1,3-グルカンと導電性高分子から成る複合体をシリカゲルで被覆した有機・無機ナノコンポジットを提供するものである。
本発明は、さらに、上記のナノコンポジットを製造する方法であって、β-1,3-グルカンと導電性高分子から成る複合体の存在下にシリカの前駆体に対してゾル−ゲル反応を進行させる方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
有機系のコンポジットを機能性材料として利用しようとする場合に、有機物固有の柔軟性や分解性が強度や耐久性を著しく低下させ、実用化を阻む主な要因となる場合がある。本発明は、一旦得られた有機系複合体の表面で選択的にゾル-ゲル反応を進行させ、得られるシリカによって有機系複合体の表面を被覆・安定化させた、新規な有機・無機ハイブリッドである。本発明の複合体は物理的・化学的に安定である。また、複合体表面を無機物で被覆することにより、β-1,3-グルカンの形成するらせん構造内部にインシュレートされた導電性高分子は本来の機能を半永久的に保持できるようになるものと期待される。従来行われてきた導電性高分子への直接的なゾル-ゲル反応では、反応時に起こる高分子間の凝集により、無機物内での高分子固有の機能発現が困難であったが、本発明によれば、β-1,3-グルカンによるインシュレート効果により導電性高分子の1本1本を孤立分散させ、その機能を保持したまま無機物で被覆、固定化することを可能とする利点がある(図5参照)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明で使用可能な導電性高分子は特に制限されるものではなく、例えば、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリフェニレンビニレンなどから選ぶことができる。また、インターフェースの役割を果たすβ-1,3-グルカンに関しては、シゾフィラン、レンチナン、スクレログルカンの如き、6位に側鎖のグルコースを有するものが好適に使用される。
【0011】
以上のようなβ-1,3-グルカンと導電性高分子から成る複合体は、先に本発明者らが開示した方法により調製することができる(特許文献3)。すなわち、β-1,3-グルカンと導電性高分子とを極性溶媒(好ましくは、ジメチルスルホキシド:DMSO)中で混合し、水を加えて常温で静置することにより熟成(通常は1日〜3日間)すればよい。
【0012】
本発明に従えば、以上のようにして得られたβ-1,3-グルカン/導電性高分子複合体の存在下にシリカの前駆体に対してゾル−ゲル反応を進行させる。ゾル−ゲル反応そのものは常法に従って実施される。すなわち、上記のβ-1,3-グルカン/導電性高分子複合体を含有する水溶液に、シリカの前駆体、ゾル−ゲル反応触媒、および必要な有機溶媒を添加してゾル−ゲル反応を進行させることにより、シリカ前駆体が加水分解され、重縮合してシリカポリマー(シリカゲル)が形成される(図1参照)。シリカの前駆体としては、ケイ素のアルコキシドやクロリド、例えば、テトラエトキシシラン(テトラエチルオキシシラン)、メチルトリエトキシシラン、テトラクロロシランなどが使用でき、好ましい例としてテトラエトキシシラン(TEOS)が挙げられる。ゾル−ゲル反応触媒としては、よく知られているように、酸、アルカリ、アミン等が使用でき、好ましい例としてベンジルアミンなどが挙げられる。好ましい有機溶媒としては、例えば、エタノールが挙げられる。このようなゾル−ゲル反応の結果、β-1,3-グルカン/導電性高分子の表面がシリカで被覆されたコンポジット(有機・無機ナノコンポジット)が得られる。
以下、本発明の特徴をさらに詳細に示すため実施例を記す。
【実施例1】
【0013】
SPG/PT-1複合体の調製 表1の組成に従って調製したシゾフィラン(SPG)のDMSO溶液とポリチオフェン(PT-1)のDMSO溶液を混合し、水を加え、室温で熟成することによってSPG/PT-1複合体溶液を調製した(特許文献3参照)。
【0014】
【表1】
【0015】
上記SPG/PT-1 複合体溶液のUV-vis、CDスペクトル測定を行ない、図6の結果を得た。
SPG非存在溶液(only PT-1)と比較すると、SPG存在下の溶液(SPG/PT-1)は吸収ピークが約60nm程度長波長シフトしていることが確認された。従来の知見からこのシフトはSPGのらせん内部にPT-1が取り込まれたことに由来する。また、SPG存在下の溶液のCDスペクトルからPT-1の吸収領域にPT-1のらせん構造に由来するCDシグナルが確認された。UV-visスペクトルにおいて、PT-1の会合に由来する振電バンド(〜600nm)が確認されないことから、このCDシグナルはPT-1がSPGのらせん内部に取り込まれることによって、主鎖のねじれた構造をとっていることが示されSPG/PT-1複合体の形成が確認された。
【実施例2】
【0016】
SPG/PT-1/Silica複合体の調製(ゾル-ゲル反応) 実施例1で得られたSPG/PT-1複合体溶液を用いてテトラエトキシシラン(TEOS)のゾル-ゲル反応を行い、SPG/PT-1/Silica複合体を調製した。配合比率は表.2に従った。
【0017】
【表2】
【0018】
溶液調合後、室温で2〜10日かけてゾル-ゲル反応を進行させた。2日後、TEOS添加溶液からは沈殿が確認された(図9)。リファレンスであるTEOS未添加の溶液からはこのような沈殿が確認されないことから、この沈殿物はゾル-ゲル反応によって生成したSPG/PT-1/Silicaの三元系複合体であると考えられる。得られた沈殿を遠心(8,500rpm、30min)にて回収し、その後生成物をエタノールにて十分に洗浄して未反応のTEOSやPT-1を取り除いた。
【実施例3】
【0019】
SPG/PT-1/Silica複合体のキャラクタリゼーション 得られた複合体について、TEM
観察を行うことにより、生成したシリカが鋳型を反映した構造をとっているのか確認を行った。観察条件はゾル-ゲル反応後に得られた沈殿物をエタノールによって洗浄した後に、カーボン支持膜TEMグリッドにキャストし、十分に乾燥させた後に観察を行った。ゾル-ゲル反応を行ったSPG/PT-1/Silica複合体はSPG/PT-1複合体のモルフォロジーを反映したファイバー状の構造を取っていることが確認された(図8)。そのコントラストはPT-1のものよりも明らかに強く、生成したシリカであることがわかる。元素分析を行ったところ図9のようなスペクトルが得られた。また、Siだけでなく、小さなピークだが確かにSの存在も確認された。このことからこのコントラストの化合物中にはゾル-ゲル反応によるシリカとPT-1が存在していることがわかった。O原子とSi原子の存在比を調べたところ、O76%に対しSiは24%であった。ゾル-ゲル反応によって生じたシリカをSiO2とすると30 %ほどOが過剰に存在していることになるが、この過剰分はSPGに起因するものと考えられる。
【実施例4】
【0020】
ゾル-ゲル反応時の経時変化観察 ゾル-ゲル転写機構をより詳しく考察するために、経時変化をTEMにより観察した。TEOSを加えてから2日後、3日後、10日後のサンプルをそれぞれ遠心(8,500rpm、15min)によって精製し、対象とした。黒いシリカの球が並んだような2日後のサンプルに始まり、3日後、10日後と経過するにつれてよりはっきりしたシリカファイバーが生成しているのがわかる(図10−12左)。10日後になるとその構造はSEMにても観察することができ(図12右)、直径は約15nmと非常に細いシリカが生成していることがわかった。ゾル-ゲル反応の進行によってSPG/PT-1複合体がバンドル化していく様子も見られないことから、SPG/PT-1複合体の1本鎖をシリカによって被覆できているものと考えられる。
【0021】
〔比較例1〕
SPGの効果の確認 これまでにSPG/PT-1複合体を鋳型に用いることで、複合体1本を取り込んだと考えられるシリカファイバーの生成を可能にしてきた。このようなシリカファイバーの調製はSPGの非存在下ではどのような結果になるのか、リファレンスの実験を行った。
溶液調製はSPGを用いない以外、前記の実施例と同じ表3の条件にて行った。
【0022】
【表3】
【0023】
溶液調製後、10日かけてゾル-ゲル反応を進行させた。10日後、生成した沈殿を回収し、エタノールによって十分洗浄した。得られたPT-1/silica複合体についてTEM観察を行った。図13に示したように、得られたシリカは明らかに太く、PT-1非存在下と変わらないものであった。PT-1のみを鋳型に用いても、生成するシリカのモルフォロジーには変化をあたえず、PT-1には鋳型としての能力がないことを示している。この結果からSPGはPT-1の主鎖構造を剛直にすることによって、鋳型としての分子の硬さをPT-1に付与し、安定したシリカ複合体を生成する働きをなしていることが示された。
【実施例5】
【0024】
SPGへの触媒機能の付与 これまではPT-1側鎖に存在する4級アミンカチオンをターゲットにしたTEOSのゾル-ゲル転写を行ってきた。また触媒にベンジルアミンを用いることで、TEOSの加水分解を促進してきた。本系のイメージは溶液中にて生成したTEOSオリゴマーのシラノールアニオンがPT-1側鎖のカチオンと相互作用し、徐々にシリカがSPG/PT-1複合体の周りを覆っていくというものである(図14)。しかし、側鎖にアミンを導入したSPGを用いることで、SPGにゾル-ゲル反応の触媒機能も付与することができないかと考えた。このように鋳型に触媒機能を持たせると、TEOSは鋳型の近傍にて加水分解され重合していくため、TOESオリゴマーが付着していく前記の手法に比べ、滑らかなシリカが得られると言う報告がある(Langmuir, 18, 4544 (2002).)。そこで今回この側鎖修飾SPG(SPG-NH-)を用いてSURFACE MECHANISMのゾル-ゲル転写を試みた。溶液調製は表4に従って行った。
【0025】
【表4】
【0026】
リファレンスとしてSPGのみの溶液も同様に調製した。溶液を調製後、2〜10日かけてゾル-ゲル反応を進行させた。その後エタノールによって洗浄し、得られたシリカ複合体についてTEM観察を行った。SPGNH-/PT-1/Silica錯体の場合の結果(図15−16)およびSPGのみの結果(図17)を比較することから、SPG-NH-の場合、ベンジルアミン触媒を用いなくてもゾル-ゲル反応が進行し、SPG-NH-/PT-1複合体を鋳型としたシリカファイバーの生成が確かめられた。SPG-NH-のゾル-ゲル反応への触媒効果はリファレンスであるSPGのみでは全くシリカの生成が確認されないことからも示される。
【実施例6】
【0027】
SPG/PT-1/Silica複合体のスペクトル評価 触媒を用いて調製したSPG/PT-1/Silica複合体を分光学的に評価した。ゾル-ゲル反応によって得られた沈殿物を十分に洗浄した後に凍結乾燥し、淡黄色粉末(図18)を得た。この粉末のATR-FT-IRスペクトルの1000cm-1付近に注目して見ると(図19)、シリカのみ(破線)ではSi-O-Siに由来する1062cm-1のピークが確認された。またSPGのみの場合にはC-O伸縮に由来する1036cm-1のピークが確認された。一方、今回得られたSPG/PT-1/Silica複合体のピークを見ると、前記リファレンスの2つのピークのほぼ中間となる1049cm-1にピークを持ち、裾の方も二つのピークの足し合わせであることが分かる。このことから沈殿物には確かにシリカが生成していることがマクロな粉末状態において示された。次いで、UV-visとCDスペクトルによりシリカ被覆PT-1がSPGによって誘起されたらせん構造を維持しているのかどうかの確認を行った。サンプルはエタノールによる洗浄によって未複合のPT-1を十分に除いた後に凍結乾燥し、得られた粉末を蒸留水に再分散させたものを用いた。図20の結果から、分散状態のためスペクトルはブロード化しているものの、シリカ複合体からは確かにSPGとPT-1の相互作用を示すCDシグナルが確認された。このことはPT-1がシリカ内部でゾル-ゲル反応前と変わらないキラルなコンフォメーションを維持していることを示している。このことからSPG/PT-1複合体を鋳型にゾル-ゲル転写を行うことによって、PT-1の三次構造を制御した精密なゾル-ゲル転写が可能であることが示された。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明により、導電性高分子をナノファイバー状に分散・安定化させることができる。本発明は分子エレクトロニクスなどのナノテクノロジー材料の開発に有用と期待される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】ゾルゲル反応のスキームを例示する。
【図2】SPGの化学構造と構造変化を示す。
【図3】PT-1の化学構造を示す。
【図4】SPG/PT-1複合体のイメージを示す。
【図5】SPG/PT-1複合体を鋳型に用いた無機物の調製イメージを示す。
【図6】SPG/PT-1複合体のUV-visおよびCDスペクトル(実施例1)を示す。
【図7】TEOS有(左)、および無(右)におけるSPG/PT-1複合体溶液の像(実施例2)を示す。
【図8】ゾル-ゲル反応2日後のSPG/PT-1/silica複合体のTEM像 (1)(実施例3)
【図9】ナノファイバーのEDXスペクトル特性(実施例3)を示す。
【図10】ゾル-ゲル反応2日後のSPG/PT-1/silica複合体のTEM像(2)(実施例4)を示す。
【図11】ゾル-ゲル反応3日後のSPG/PT-1/silica複合体のTEM像(実施例4)を示す。
【図12】ゾル-ゲル反応10日後のSPG/PT-1/silica複合体のTEM像(左)およびSEM像(右)(実施例4)を示す。
【図13】PT-1/silica複合体のTEM像(比較例1)を示す。
【図14】従来のゾル-ゲル反応機構(溶液機構)(実施例5)を示す。
【図15】SPG-NH-/PT-1/Silica複合体(実施例6)を示す。
【図16】ゾル-ゲル反応2日後のSPG-NH-/silica複合体のTEM像(実施例6)を示す。
【図17】ゾル-ゲル反応2日後のSPGのTEM像(実施例6)を示す。
【図18】SPG/PT-1/Silica複合体(実施例7)を示す。
【図19】SPG/PT-1/Silica複合体(実線)、Silica(点線)、およびS(破線)のIRスペクトル(実施例7)を示す。
【図20】ゾル-ゲル反応前(実線)および反応後(破線)のUV-visスペクトル(実施例7)を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は表面をシリカで被覆され、熱的および構造的に安定化した導電性高分子ナノファイバーの調製に関する。
【背景技術】
【0002】
導電性ポリマーとして知られているポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリフェニレンビニレン等は、特異的なπ電子系の非局在化を特徴とする分子性のワイヤーを形成し、分子エレクトロニクス、ナノバイオ、センサー等の先端的機能材料の開発において今後期待されている有機物質である。
【0003】
無機物質においても各種金属または金属酸化物をナノサイズで構造的に制御する技術の開発が各種の先端的な分野で進められている。その一環として、ゾル-ゲル法による金属酸化物の合成がある(図1参照)。その手法は、調製時のpHやゲル化時間などが脆弱な生体物質や有機分子の包括固定化に許容範囲内であることや、生成するゲルの細孔構造を幅広く制御できることなどから、酵素や微生物菌体などの生体物質や有機分子の固定化に盛んに用いられており、生成物は機械的強度に優れるためバイオセンサーなどに応用されている(非特許文献1−4)。
【非特許文献1】Iqbal Gill,Chem. Mater., 2001, 13, 3404
【非特許文献2】Kjeld J. C.van Bommel,Seiji Shinkai,Langmuir, 2002, 18, 4544-4548
【非特許文献3】MarekGrzelczak, Miguel A. Correa-Duarte, Luis M. Liz-Marzn, small, 2006, 2, 1174-1177
【非特許文献4】I. Ichinose,and T. Kunitake, Adv. Mater., 2002, 14, 34
【0004】
天然多糖のシゾフィランはβ-1,3-グルカン系多糖の一つであり、水中では三重らせん状(t-SPG)を、DMSOのような極性有機溶媒やNaOHのような塩基の水溶液中ではランダムコイル状(s-SPG)を呈する(図2参照)。このように溶媒の性質によって可逆的にその構造を変化させる興味深い性質を示すことから、本発明者らはこのシゾフィランをナノテク材料の開発に利用してきた。
【0005】
例えば、我々はSPGがs-SPGからt-SPGへと巻き戻る過程において、様々な疎水性高分子ゲスト(ポリアニリン、ポリチオフェンなど)を共存させておくことにより、SPGのらせん構造内部にゲストの高分子鎖1本を取り込ませ、ファイバー状に成形することを可能とした(図3および図4;非特許文献5−7、特許文献1−3)。SPGのらせん内部に取り込まれた高分子ゲストはSPG内部にインシュレートされることにより、主鎖が伸びたことに由来する共役長の増加や、SPGのらせん構造に由来した特有のねじれ構造をとることもわかっている。さらに、SPGによる複合化は導電性高分子間の凝集を効果的に抑制し、導電性高分子本来の電気化学的、光化学的機能の保持に重要な役割を果たしている。従来、導電性高分子をベースとした機能性材料の開発は凝集体やフィルムなどのバルク状態を対象として行われてきたが、本系の採用により導電性高分子1本の構造を制御し、高分子鎖1本1本の機能をナノメートルレベルで制御できる全く新しいシステムの構築が可能となるはずである。
【非特許文献5】C. Li, M.Numata, M. Takeuti, S. Shinkai, Angew. Chem., 117, 2 (2005)
【非特許文献6】C. Li, M.Numata, T. Hasegawa, K. Sakurai, S. Shinkai, Chem. Lett., 34, 1354 (2005).
【非特許文献7】C. Li, M.Numata, A.-H. Bae, K. Sakurai, S. Shinkai, J. Am. Chem. Soc., 127, 4548 (2005).
【特許文献1】特開2006−131735号公報
【特許文献2】特開2006−160770号公報
【特許文献3】特開2006−241334号公報
【0006】
さらに我々は、β-1,3-グルカンのらせん状構造体の内部に形成される疎水性空間に、有機系ポリマーだけでなく、無機系の金属酸化物(シリカ)のポリマーをゲストとして挿入することを可能としている(特許文献4)。しかしながら、有機系ポリマー(導電性高分子)と無機系ポリマー(シリカゲル)とをナノレベルで複合体化する技術は本発明が完成されるまでは認められなかった。
【特許文献4】特開2006−248819号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、熱的・構造的に安定で、単一鎖で分散した導電性高分子ナノファイバーと無機物ナノファイバーとの複合体を構築することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、β-1,3-グルカンをインターフェースとすることにより、導電性高分子/シリカゲル系の有機・無機ナノコンポジットを形成させることに成功し、本発明を導き出した。
すなわち、本発明は、β-1,3-グルカンと導電性高分子から成る複合体をシリカゲルで被覆した有機・無機ナノコンポジットを提供するものである。
本発明は、さらに、上記のナノコンポジットを製造する方法であって、β-1,3-グルカンと導電性高分子から成る複合体の存在下にシリカの前駆体に対してゾル−ゲル反応を進行させる方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
有機系のコンポジットを機能性材料として利用しようとする場合に、有機物固有の柔軟性や分解性が強度や耐久性を著しく低下させ、実用化を阻む主な要因となる場合がある。本発明は、一旦得られた有機系複合体の表面で選択的にゾル-ゲル反応を進行させ、得られるシリカによって有機系複合体の表面を被覆・安定化させた、新規な有機・無機ハイブリッドである。本発明の複合体は物理的・化学的に安定である。また、複合体表面を無機物で被覆することにより、β-1,3-グルカンの形成するらせん構造内部にインシュレートされた導電性高分子は本来の機能を半永久的に保持できるようになるものと期待される。従来行われてきた導電性高分子への直接的なゾル-ゲル反応では、反応時に起こる高分子間の凝集により、無機物内での高分子固有の機能発現が困難であったが、本発明によれば、β-1,3-グルカンによるインシュレート効果により導電性高分子の1本1本を孤立分散させ、その機能を保持したまま無機物で被覆、固定化することを可能とする利点がある(図5参照)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明で使用可能な導電性高分子は特に制限されるものではなく、例えば、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリフェニレンビニレンなどから選ぶことができる。また、インターフェースの役割を果たすβ-1,3-グルカンに関しては、シゾフィラン、レンチナン、スクレログルカンの如き、6位に側鎖のグルコースを有するものが好適に使用される。
【0011】
以上のようなβ-1,3-グルカンと導電性高分子から成る複合体は、先に本発明者らが開示した方法により調製することができる(特許文献3)。すなわち、β-1,3-グルカンと導電性高分子とを極性溶媒(好ましくは、ジメチルスルホキシド:DMSO)中で混合し、水を加えて常温で静置することにより熟成(通常は1日〜3日間)すればよい。
【0012】
本発明に従えば、以上のようにして得られたβ-1,3-グルカン/導電性高分子複合体の存在下にシリカの前駆体に対してゾル−ゲル反応を進行させる。ゾル−ゲル反応そのものは常法に従って実施される。すなわち、上記のβ-1,3-グルカン/導電性高分子複合体を含有する水溶液に、シリカの前駆体、ゾル−ゲル反応触媒、および必要な有機溶媒を添加してゾル−ゲル反応を進行させることにより、シリカ前駆体が加水分解され、重縮合してシリカポリマー(シリカゲル)が形成される(図1参照)。シリカの前駆体としては、ケイ素のアルコキシドやクロリド、例えば、テトラエトキシシラン(テトラエチルオキシシラン)、メチルトリエトキシシラン、テトラクロロシランなどが使用でき、好ましい例としてテトラエトキシシラン(TEOS)が挙げられる。ゾル−ゲル反応触媒としては、よく知られているように、酸、アルカリ、アミン等が使用でき、好ましい例としてベンジルアミンなどが挙げられる。好ましい有機溶媒としては、例えば、エタノールが挙げられる。このようなゾル−ゲル反応の結果、β-1,3-グルカン/導電性高分子の表面がシリカで被覆されたコンポジット(有機・無機ナノコンポジット)が得られる。
以下、本発明の特徴をさらに詳細に示すため実施例を記す。
【実施例1】
【0013】
SPG/PT-1複合体の調製 表1の組成に従って調製したシゾフィラン(SPG)のDMSO溶液とポリチオフェン(PT-1)のDMSO溶液を混合し、水を加え、室温で熟成することによってSPG/PT-1複合体溶液を調製した(特許文献3参照)。
【0014】
【表1】
【0015】
上記SPG/PT-1 複合体溶液のUV-vis、CDスペクトル測定を行ない、図6の結果を得た。
SPG非存在溶液(only PT-1)と比較すると、SPG存在下の溶液(SPG/PT-1)は吸収ピークが約60nm程度長波長シフトしていることが確認された。従来の知見からこのシフトはSPGのらせん内部にPT-1が取り込まれたことに由来する。また、SPG存在下の溶液のCDスペクトルからPT-1の吸収領域にPT-1のらせん構造に由来するCDシグナルが確認された。UV-visスペクトルにおいて、PT-1の会合に由来する振電バンド(〜600nm)が確認されないことから、このCDシグナルはPT-1がSPGのらせん内部に取り込まれることによって、主鎖のねじれた構造をとっていることが示されSPG/PT-1複合体の形成が確認された。
【実施例2】
【0016】
SPG/PT-1/Silica複合体の調製(ゾル-ゲル反応) 実施例1で得られたSPG/PT-1複合体溶液を用いてテトラエトキシシラン(TEOS)のゾル-ゲル反応を行い、SPG/PT-1/Silica複合体を調製した。配合比率は表.2に従った。
【0017】
【表2】
【0018】
溶液調合後、室温で2〜10日かけてゾル-ゲル反応を進行させた。2日後、TEOS添加溶液からは沈殿が確認された(図9)。リファレンスであるTEOS未添加の溶液からはこのような沈殿が確認されないことから、この沈殿物はゾル-ゲル反応によって生成したSPG/PT-1/Silicaの三元系複合体であると考えられる。得られた沈殿を遠心(8,500rpm、30min)にて回収し、その後生成物をエタノールにて十分に洗浄して未反応のTEOSやPT-1を取り除いた。
【実施例3】
【0019】
SPG/PT-1/Silica複合体のキャラクタリゼーション 得られた複合体について、TEM
観察を行うことにより、生成したシリカが鋳型を反映した構造をとっているのか確認を行った。観察条件はゾル-ゲル反応後に得られた沈殿物をエタノールによって洗浄した後に、カーボン支持膜TEMグリッドにキャストし、十分に乾燥させた後に観察を行った。ゾル-ゲル反応を行ったSPG/PT-1/Silica複合体はSPG/PT-1複合体のモルフォロジーを反映したファイバー状の構造を取っていることが確認された(図8)。そのコントラストはPT-1のものよりも明らかに強く、生成したシリカであることがわかる。元素分析を行ったところ図9のようなスペクトルが得られた。また、Siだけでなく、小さなピークだが確かにSの存在も確認された。このことからこのコントラストの化合物中にはゾル-ゲル反応によるシリカとPT-1が存在していることがわかった。O原子とSi原子の存在比を調べたところ、O76%に対しSiは24%であった。ゾル-ゲル反応によって生じたシリカをSiO2とすると30 %ほどOが過剰に存在していることになるが、この過剰分はSPGに起因するものと考えられる。
【実施例4】
【0020】
ゾル-ゲル反応時の経時変化観察 ゾル-ゲル転写機構をより詳しく考察するために、経時変化をTEMにより観察した。TEOSを加えてから2日後、3日後、10日後のサンプルをそれぞれ遠心(8,500rpm、15min)によって精製し、対象とした。黒いシリカの球が並んだような2日後のサンプルに始まり、3日後、10日後と経過するにつれてよりはっきりしたシリカファイバーが生成しているのがわかる(図10−12左)。10日後になるとその構造はSEMにても観察することができ(図12右)、直径は約15nmと非常に細いシリカが生成していることがわかった。ゾル-ゲル反応の進行によってSPG/PT-1複合体がバンドル化していく様子も見られないことから、SPG/PT-1複合体の1本鎖をシリカによって被覆できているものと考えられる。
【0021】
〔比較例1〕
SPGの効果の確認 これまでにSPG/PT-1複合体を鋳型に用いることで、複合体1本を取り込んだと考えられるシリカファイバーの生成を可能にしてきた。このようなシリカファイバーの調製はSPGの非存在下ではどのような結果になるのか、リファレンスの実験を行った。
溶液調製はSPGを用いない以外、前記の実施例と同じ表3の条件にて行った。
【0022】
【表3】
【0023】
溶液調製後、10日かけてゾル-ゲル反応を進行させた。10日後、生成した沈殿を回収し、エタノールによって十分洗浄した。得られたPT-1/silica複合体についてTEM観察を行った。図13に示したように、得られたシリカは明らかに太く、PT-1非存在下と変わらないものであった。PT-1のみを鋳型に用いても、生成するシリカのモルフォロジーには変化をあたえず、PT-1には鋳型としての能力がないことを示している。この結果からSPGはPT-1の主鎖構造を剛直にすることによって、鋳型としての分子の硬さをPT-1に付与し、安定したシリカ複合体を生成する働きをなしていることが示された。
【実施例5】
【0024】
SPGへの触媒機能の付与 これまではPT-1側鎖に存在する4級アミンカチオンをターゲットにしたTEOSのゾル-ゲル転写を行ってきた。また触媒にベンジルアミンを用いることで、TEOSの加水分解を促進してきた。本系のイメージは溶液中にて生成したTEOSオリゴマーのシラノールアニオンがPT-1側鎖のカチオンと相互作用し、徐々にシリカがSPG/PT-1複合体の周りを覆っていくというものである(図14)。しかし、側鎖にアミンを導入したSPGを用いることで、SPGにゾル-ゲル反応の触媒機能も付与することができないかと考えた。このように鋳型に触媒機能を持たせると、TEOSは鋳型の近傍にて加水分解され重合していくため、TOESオリゴマーが付着していく前記の手法に比べ、滑らかなシリカが得られると言う報告がある(Langmuir, 18, 4544 (2002).)。そこで今回この側鎖修飾SPG(SPG-NH-)を用いてSURFACE MECHANISMのゾル-ゲル転写を試みた。溶液調製は表4に従って行った。
【0025】
【表4】
【0026】
リファレンスとしてSPGのみの溶液も同様に調製した。溶液を調製後、2〜10日かけてゾル-ゲル反応を進行させた。その後エタノールによって洗浄し、得られたシリカ複合体についてTEM観察を行った。SPGNH-/PT-1/Silica錯体の場合の結果(図15−16)およびSPGのみの結果(図17)を比較することから、SPG-NH-の場合、ベンジルアミン触媒を用いなくてもゾル-ゲル反応が進行し、SPG-NH-/PT-1複合体を鋳型としたシリカファイバーの生成が確かめられた。SPG-NH-のゾル-ゲル反応への触媒効果はリファレンスであるSPGのみでは全くシリカの生成が確認されないことからも示される。
【実施例6】
【0027】
SPG/PT-1/Silica複合体のスペクトル評価 触媒を用いて調製したSPG/PT-1/Silica複合体を分光学的に評価した。ゾル-ゲル反応によって得られた沈殿物を十分に洗浄した後に凍結乾燥し、淡黄色粉末(図18)を得た。この粉末のATR-FT-IRスペクトルの1000cm-1付近に注目して見ると(図19)、シリカのみ(破線)ではSi-O-Siに由来する1062cm-1のピークが確認された。またSPGのみの場合にはC-O伸縮に由来する1036cm-1のピークが確認された。一方、今回得られたSPG/PT-1/Silica複合体のピークを見ると、前記リファレンスの2つのピークのほぼ中間となる1049cm-1にピークを持ち、裾の方も二つのピークの足し合わせであることが分かる。このことから沈殿物には確かにシリカが生成していることがマクロな粉末状態において示された。次いで、UV-visとCDスペクトルによりシリカ被覆PT-1がSPGによって誘起されたらせん構造を維持しているのかどうかの確認を行った。サンプルはエタノールによる洗浄によって未複合のPT-1を十分に除いた後に凍結乾燥し、得られた粉末を蒸留水に再分散させたものを用いた。図20の結果から、分散状態のためスペクトルはブロード化しているものの、シリカ複合体からは確かにSPGとPT-1の相互作用を示すCDシグナルが確認された。このことはPT-1がシリカ内部でゾル-ゲル反応前と変わらないキラルなコンフォメーションを維持していることを示している。このことからSPG/PT-1複合体を鋳型にゾル-ゲル転写を行うことによって、PT-1の三次構造を制御した精密なゾル-ゲル転写が可能であることが示された。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明により、導電性高分子をナノファイバー状に分散・安定化させることができる。本発明は分子エレクトロニクスなどのナノテクノロジー材料の開発に有用と期待される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】ゾルゲル反応のスキームを例示する。
【図2】SPGの化学構造と構造変化を示す。
【図3】PT-1の化学構造を示す。
【図4】SPG/PT-1複合体のイメージを示す。
【図5】SPG/PT-1複合体を鋳型に用いた無機物の調製イメージを示す。
【図6】SPG/PT-1複合体のUV-visおよびCDスペクトル(実施例1)を示す。
【図7】TEOS有(左)、および無(右)におけるSPG/PT-1複合体溶液の像(実施例2)を示す。
【図8】ゾル-ゲル反応2日後のSPG/PT-1/silica複合体のTEM像 (1)(実施例3)
【図9】ナノファイバーのEDXスペクトル特性(実施例3)を示す。
【図10】ゾル-ゲル反応2日後のSPG/PT-1/silica複合体のTEM像(2)(実施例4)を示す。
【図11】ゾル-ゲル反応3日後のSPG/PT-1/silica複合体のTEM像(実施例4)を示す。
【図12】ゾル-ゲル反応10日後のSPG/PT-1/silica複合体のTEM像(左)およびSEM像(右)(実施例4)を示す。
【図13】PT-1/silica複合体のTEM像(比較例1)を示す。
【図14】従来のゾル-ゲル反応機構(溶液機構)(実施例5)を示す。
【図15】SPG-NH-/PT-1/Silica複合体(実施例6)を示す。
【図16】ゾル-ゲル反応2日後のSPG-NH-/silica複合体のTEM像(実施例6)を示す。
【図17】ゾル-ゲル反応2日後のSPGのTEM像(実施例6)を示す。
【図18】SPG/PT-1/Silica複合体(実施例7)を示す。
【図19】SPG/PT-1/Silica複合体(実線)、Silica(点線)、およびS(破線)のIRスペクトル(実施例7)を示す。
【図20】ゾル-ゲル反応前(実線)および反応後(破線)のUV-visスペクトル(実施例7)を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
β-1,3-グルカンと導電性高分子から成る複合体をシリカゲルで被覆したことを特徴とする有機・無機ナノコンポジット。
【請求項2】
導電性高分子がポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリフェニレンビニレンから選ばれたものであることを特徴とする請求項1のナノコンポジット。
【請求項3】
β-1,3-グルカンがシゾフィラン、レンチナン、スクレログルカンから選ばれたものであることを特徴とする請求項1のナノコンポジット。
【請求項4】
請求項1のナノコンポジットを製造する方法であって、β-1,3-グルカンと導電性高分子から成る複合体の存在下にシリカの前駆体に対してゾル-ゲル反応を進行させることを特徴とする方法。
【請求項5】
シリカの前駆体としてテトラエチルオキシシランを用いることを特徴とする請求項4の製造方法。
【請求項1】
β-1,3-グルカンと導電性高分子から成る複合体をシリカゲルで被覆したことを特徴とする有機・無機ナノコンポジット。
【請求項2】
導電性高分子がポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリフェニレンビニレンから選ばれたものであることを特徴とする請求項1のナノコンポジット。
【請求項3】
β-1,3-グルカンがシゾフィラン、レンチナン、スクレログルカンから選ばれたものであることを特徴とする請求項1のナノコンポジット。
【請求項4】
請求項1のナノコンポジットを製造する方法であって、β-1,3-グルカンと導電性高分子から成る複合体の存在下にシリカの前駆体に対してゾル-ゲル反応を進行させることを特徴とする方法。
【請求項5】
シリカの前駆体としてテトラエチルオキシシランを用いることを特徴とする請求項4の製造方法。
【図3】
【図6】
【図1】
【図2】
【図4】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図6】
【図1】
【図2】
【図4】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2008−222764(P2008−222764A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−59772(P2007−59772)
【出願日】平成19年3月9日(2007.3.9)
【出願人】(503360115)独立行政法人科学技術振興機構 (1,734)
【出願人】(501190941)三井製糖株式会社 (52)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月9日(2007.3.9)
【出願人】(503360115)独立行政法人科学技術振興機構 (1,734)
【出願人】(501190941)三井製糖株式会社 (52)
【Fターム(参考)】
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