説明

シリカを挿入されたハイドロタルサイト及びそのポリマー組成物の充填材としての使用

本発明は、沈降シリカによって挿入されたハイドロタルサイト、及びそのポリマー組成物の充填物質としての使用に関する。本発明はまた、上記充填物質の1つを含むポリマー組成物、及びその組成物を基材にした完成品に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシリカを使用して挿入された(又は、インターカレーションされた)ハイドロタルサイト、及びそのポリマー組成物の充填材としての使用に関する。
本発明はまた、それによって得られたポリマー組成物に関する。
さらに、本発明は更に、これらの組成物を基材にして作製された物品に関する。
【背景技術】
【0002】
この分野において、ポリマー、特にエラストマーに、沈降シリカ等の補強用白色充填剤を使用することが周知である。しかしながら、それらは必ずしも所望の結果をもたらすわけではない。
炭酸塩を含むハイドロタルサイトは、不適当な補強特性を生じるので、それを充填材として効果的に使用することはできない。
炭酸塩から遊離した焼成ハイドロタルサイトのポリマー組成物への使用で、満足できる程度の特性が達成できる。しかしながら、そのポリマーマトリックス中への分散性は、特に極度な応力の加わる条件下での使用が必要な用途では満足できるものではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、ポリマー組成物内で非常に良好な分散性を呈しながら、これらのポリマー組成物に十分に満足できる機械的特性、すなわち、好ましくは、良好な流動特性、加硫架橋に対する非常に良好な適性、特に優れた動的特性、及び弾性率において良好な補強性を与える、新規なポリマー組成物用充填材を提供する。
【0004】
この目的を達成するために、本発明は、特にポリマー組成物の充填材(特に、補強充填材)として使用できる新規なハイドロタルサイトを提供する。
すなわち、本発明の目的は、シリカ、特に沈降シリカが挿入されたハイドロタルサイトを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のハイドロタルサイト(すなわち、シリカを挿入されたハイドロタルサイト)は、例えば、少なくとも1つのLi等の1価のカチオン及び少なくとも1つの3価のカチオンを含んでもよい場合であっても、それはその代わりに、通常、少なくとも1つの2価のカチオン及び少なくとも1つの3価のカチオンを含む。そして、2価のカチオンと3価のカチオンのモル比は通常1〜8であり、好ましくは、2〜6である。
2価のカチオンは特に、Mg、Ni、Zn又はCoでもよい。
3価のカチオンは例えば、Al、Ga、Fe又はCrでもよい。
好ましくは、2価のカチオンはMgであり、3価のカチオンはAlである(マグネシウムアルミニウムハイドロタルサイト)。そして、Mg/Alのモル比は、通常1.5〜5であり、好ましくは2〜4、特に好ましくは2〜3である。
【0006】
本発明のハイドロタルサイトは以下に説明されるプロセスによって製造され、このプロセスもまた本発明の対象である。
好ましくは、本発明のハイドロタルサイトは、水から形成された容器の底部(又は、ヒール)に、上述の2つの種類、通常、Mg及びAlのカチオンの塩(特に、酸性塩)を含む溶液(又は、各々が2つのカチオンの1つの塩(特に、酸性塩)を含む2つの溶液)、珪酸塩溶液、及び塩基性剤溶液を同時に添加することによって得られる。(ここで、塩基性剤溶液はpHを、特に8〜11、例えば約9に調節するために使用される。)
好ましくは、特にMg及びAlの場合、2つの種類のカチオンの塩(通常、塩化物)を同時に含む溶液が使用される。
【0007】
使用される珪酸塩溶液は、アルカリ金属珪酸塩溶液、好ましくは珪酸カリウム溶液又は珪酸ナトリウム溶液でもよい。後者の場合、珪酸ナトリウムは、通常2.5〜4.5、特に3.0〜4.0、例えば3.3〜3.8の重量比のSiO2/Na2Oを示す。
使用される塩基性剤溶液は、アンモニア水溶液、又は、好ましくは水酸化ナトリウム溶液でもよい。
【0008】
同時添加の時間は、通常30〜90分、例えば45〜60分で変化してもよい。反応媒体の温度は、20〜95℃で維持されてもよく、特に同時添加中の温度は、通常20〜40℃、好ましくは25〜35℃、例えば約30℃で維持されてもよい。
【0009】
同時添加の結果で得られた生成物(沈殿物)は、特に結晶化のために、その次に加熱されてもよい。その場合、反応媒体の温度は、通常80〜95℃、特に85〜95℃、例えば約90℃まで上昇され、その温度で1〜3時間、例えば約2時間維持されてもよい。
得られたハイドロタルサイトは、その後形成されたアルカリ金属塩を除去するために、好ましくは水等で洗浄されてもよい。
【0010】
本発明のハイドロタルサイトの基本単位は、通常小板状、特に実質的に六方晶系の小板状の形状で存在する。これらの小板の最大の寸法は、通常15〜80nm、好ましくは20〜70nm、特に30〜50nmである。それらの厚さは、通常1〜10nm、特に2〜8nm、更に好ましくは3〜7nmである。
【0011】
シリカは、本発明のハイドロタルサイトの層の間に挿入される。
本発明の別の形では、ハイドロタルサイトはシリカ、特にその層の間のみに挿入された(外部過剰粒extragranularシリカの存在無しに)シリカを含んでもよい。これは、製造中に使用される珪酸塩の量が過剰でない場合であり、特にハイドロタルサイトのSi/3価カチオンが、通常Si/Alが、モル比1であるような場合である。
【0012】
本発明のもう1つの別の形では、ハイドロタルサイトはその層の間に挿入されたシリカに加え、その表面にシリカを含んで(外部過剰粒シリカが存在して)もよい。これは、製造中に使用される珪酸塩の量が過剰である場合であり、特にハイドロタルサイトのSi/3価カチオンが、通常Si/Alが、モル比1より大きく、例えば2より大きい場合である。そして、シリカは、シリカが挿入されたハイドロタルサイトの隣に沈殿する。この外部過剰粒シリカもまた、本発明のハイドロタルサイトがポリマーの充填材として使用されたときにポリマーの補強に寄与する。
【0013】
本発明のハイドロタルサイトは、好ましくは100〜300m2/g、通常120〜220m2/g、特に130〜200m2/g、例えば150〜180m2/gのBET比表面積を有する。BET表面積は標準NF T 45007(1987年11月)に対応する、Journal of the American Chemical Society(1938年2月)の第60巻の309頁に記載されているブルナウアー‐エメット‐テラー法に従って決定される。
本発明のハイドロタルサイトは、通常100〜300m2/g、特に120〜210m2/g、さらに特別に130〜190m2/g、例えば150〜180m2/gのCTAB比表面積を有する。CTBA表面積は標準NF T 45007(1987年11月−5.12)に従って決定される外表面積である。
【0014】
本発明の又は本発明の方法に従って製造されたハイドロタルサイトは、特に天然又は合成ポリマーの充填材、特に補強充填材としての用途に対して優れている。
本発明のもう1つの対象である、本発明の又は本発明の方法に従って製造された少なくとも1つのハイドロタルサイトを充填材、特に補強充填材として使用したポリマー組成物は、通常1以上のポリマー又はコポリマー、特に1以上のエラストマー、特に熱可塑性エラストマーを基材とし、そのポリマー等は、好ましくは−150〜+300℃、例えば−150〜+20℃の少なくとも1つのガラス転移温度を示す。
本発明で使用できるポリマーとして、ジエンポリマー、特にジエンエラストマーが挙げられる。
【0015】
例えば、ポリマー組成物は少なくとも1つの不飽和を含有する脂肪族又は芳香族モノマー(例えば、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、スチレン等)から得られるポリマー又はコポリマーであってもよく、ポリ(アクリル酸ブチル)又はそれらのブレンドを含む。ポリマー組成物はまた、シリコーンエラストマー、機能化されたエラストマー(例えば、ハイドロタルサイトの表面と反応することが可能な官能基によって機能化されたもの)、及びハロゲン化ポリマーでもよい。ポリマー組成物はまた、ポリアミドでもよい。
ポリマー(コポリマー)は塊状重合体(コポリマー)、ポリマー(コポリマー)ラテックス、又は、水又は他の適当な分散液体中のポリマー(コポリマー)の溶液でもよい。
【0016】
ポリマー組成物はまた、例えばジエンエラストマーとして、ポリブタジエン(BR)、ポリイソプレン(IR)、ブタジエンコポリマー、イソプレンコポリマー、又はそれらのブレンド、及び、特にスチレン/ブタジエンコポリマー(SBR、特にESBR(エマルジョン)又はSSBR(溶液))、イソプレン/ブタジエンコポリマー(BIR)、イソプレン/スチレンコポリマー(SIR)、イソプレン/ブタジエン/スチレンコポリマー(SBIR)、又はエチレン/プロピレン/ジエンターポリマー(EPDM)でもよい。
ポリマー組成物はまた、天然ゴム(NR)でもよい。
【0017】
ポリマー組成物は硫黄によって加硫架橋されてもよいし(これにより加硫架橋物が得られる)、又は特に過酸化物によって架橋されてもよい。
【0018】
沈降シリカ等の、非常に高い分散性を有するもう1つの化合物が任意で充填材として使用されてもよい。使用される沈降シリカの重量はハイドロタルサイト量より少なくてもよいし、ハイドロタルサイト使用量に等しくても多くてもよい。そして、ハイドロタルサイト及びシリカは混合物の形式で、又は別個にポリマー内に導入される。しかし、通常使用される充填材はその全体が本発明のハイドロタルサイトで形成されるか、本発明の方法に従って製造される。
【0019】
通常、ポリマー組成物は更に、少なくとも1つの(ハイドロタルサイト/ポリマー)カップリング剤及び/又は少なくとも1つのコーティング剤を含む。それらはまた、特に酸化防止剤を含んでもよい。
【0020】
下記に制限されないが、カップリング剤として、「対称」又は「非対称」多硫化シランポリスルフィドが使用されてもよい。好ましくはビス((C1−C4)アルコキシ(C1−C4)アルキルシリル(C1−C4)アルキル)ポリスルフィド(特に、ジスルフィド、トリスルフィド、又はテトラスルフィド)、例えばビス(3−(トリメトキシシリル)プロピル)ポリスルフィド又はビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)ポリスルフィドでもよい。また、モノエトキシジメチルシリルプロピルテトラスルフィドでもよい。
【0021】
カップリング剤はポリマーの前にグラフトされてもよい。
それはまた、フリーな状態(すなわち、事前にグラフトされない状態)で使用されてもよいし、又はハイドロタルサイトの表面にグラフトされてもよい。これは利用可能なコーティング剤についても同様である。
【0022】
本発明は特に、加硫架橋状態でその特性に悪影響を与えずに、ポリマー組成物で使用されるカップリング剤の量を減少させることを可能にする。
カップリング剤は任意で、「カップリング活性剤」、すなわち、カップリング剤と混合されたときにその効果を増大させる化合物と組み合わせて使用できる。
ポリマー組成物中の、本発明の又は本発明に従って製造されたハイドロタルサイトの重量比は非常に広い範囲で変化してもよい。それはポリマー量の、通常4〜80%、特に20〜80%、例えば30〜70%である。
【0023】
本発明の又は本発明の方法に従って製造されたハイドロタルサイトは、ポリマー組成物内で非常に良好な分散性を呈しながら、これらのポリマー組成物に十分に満足できる機械的特性、すなわち、好ましくは、良好な流動特性、加硫架橋に対する非常に良好な適性、特に優れた動的特性、及び弾性率において良好な補強性を有するポリマー組成物を提供する。
【0024】
すなわち、本発明の又は本発明の方法に従って製造されたハイドロタルサイトは、ポリマー組成物中で、高い分散性を有する沈降シリカと同等な分散性を呈しながら、その組成物に好ましくは以下の特性を与える。
・良好な流動特性及び高い分散性を有する沈降シリカに少なくとも匹敵する加硫架橋に対する良好な適正、
・良好な動的特性、特に比較的低い大きさのペイン効果、従ってこの組成物を基材にしたタイヤに対する低い転がり抵抗、及び/又はタンジェントδの比較的低い最大値、従って、機械的エネルギーの低い消散、
・弾性率の良好な補強性。
【0025】
本発明はまた、熱的劣化及びUV(紫外線照射)劣化に対する高い耐性を有するポリマー組成物の製品を生じる。
【0026】
ここで、ハイドロタルサイトの層の間に挿入されたシリカは、特に極度な応力の加わる条件下でカップリング剤の使用を妨害する充填材/ポリマーを形成するという問題、又は毒性物質に変換される問題を示さないことを特記する。
【0027】
本発明はまた、上述のポリマー組成物をベースとする(特に、上述の加硫架橋物をベースとする)完成品に関する。
本発明の完成品として、例えばタイヤカバー、特にタイヤの側壁及びタイヤトレッドストリップが挙げられる。本発明のハイドロタルサイトは、タイヤの内部のゴムに使用されてもよい。それは特に、(特に、空気に対する)非透過性を高め、ハロブチルエラストマー(例えば、クロロブチル又はブロモブチルエラストマー)を使用の排除し、代わりに好ましくは主に天然ゴムを使用することを可能にする。
【0028】
本発明の完成品として、例えば床の敷物や仕上げ材、靴底、キャタピラートラック車の部材、空中ケーブルのローラー、民生電気製品の封止部材、液体又はガスパイプの封止部材、ブレーキシステムの封止部材、被膜部材、ケーブル、変速ベルト、ガス遮断部材、又は難燃材料でもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下の実施例は、本発明を限定するものではなく、本発明を説明するためのものである。
実施例1:外部過剰粒シリカを含まない、シリカ挿入されたハイドロタルサイト(H1)
1)製造
Mg及びAlカチオンを含む溶液は、水にMgCl2・6H2O及びAlCl3・6H2Oを溶解することによって得られた。Mgの濃度は0.5mol/lであり、Mg/Alのモル比は3であった。
上述の方法で得られたMg及びAlカチオンを含む500ml溶液、及び5.55%のNa2Oを含み、1.227の密度(20℃で測定)を有する、重量比が3.55のSiO2/Na2Oを含む容量Vの珪酸ナトリウム溶液を、54分間かけて、同時に500mlの水を含む容器の底部(又は、ヒール)に導入された。ここで、容量Vは最終的な生成物における1に等しいSi/Alのモル比に対応し、反応媒体のpHは4mol/kgの水酸化ナトリウム溶液の同時添加によってその値を9に調節された。反応媒体の温度は、この同時添加の間中30℃に維持され、その後、90℃にして2時間維持された。
得られた生成物は、その後に塩化ナトリウムを除去するために水で洗浄された。
【0030】
2)特性
最終的な生成物の化学的な分析により、その組成が決定できる。すなわち、それはモル比:Mg/Al=2.8及びSi/Al=1.0を示した。
XRD(X線回折)によって得られたダイアグラムは、第1の減衰ピーク(0,0,n)及び約4nmで小さい角度の挿入ピークを有するハイドロタルサイトのダイアグラムであった。
TEM(透過電子顕微鏡)によって、約30〜50nmの平面及び約5nmの厚さを有する微粒なハイドロタルサイトの小板が観測された。外部過剰粒シリカは観測されなかった。
pHの関数としてのゼータ(ζ)電位の測定では、pHの関数としての表面電荷が6.5〜10のpH範囲にわたって、標準的なハイドロタルサイトと同様に「正」であった。実際、シリカの表面電荷は負であるので、これにより形成されたシリカがハイドロタルサイトの表面で検出されず、ハイドロタルサイトの層の間に挿入されたことを確認できる。
【0031】
実施例2:外部過剰粒シリカを有する、シリカを挿入されたハイドロタルサイト(H2)
1)製造
製造は、導入された珪酸ナトリウム溶液の容量Vが3に等しい最終的な生成物のSi/Alのモル比に対応することを除いて、実施例1と同様に実施された。
2)特性
最終的な生成物の化学的な分析により、その組成が決定できる。すなわち、それはモル比:Mg/Al=2.8及びSi/Al=3.0を示した。
XRD(X線回折)によって得られたそのダイアグラムは、第1の極端な減衰ピーク(0.0.n)及び約4nmで小さい角度の挿入ピークを有するハイドロタルサイトのダイアグラムであった。
TEM(透過電子顕微鏡)によって微粒なハイドロタルサイトの小板が観測された。また、外部過剰粒非結晶シリカが観測された。
pHの関数としてのゼータ(ζ)電位の測定では、pHの関数としての表面電荷が4〜10のpH範囲にわたって「負」であった。これにより、ハイドロタルサイトの層の間に挿入されたシリカに加え、形成されたシリカの一部がハイドロタルサイトの表面で検出されたことを確認できる。
【0032】
実施例3
3つのポリマー組成物が製造された。
150m2/gのBET比表面積及び2.1g/cm3の密度を有する、ロディア社販売の高分散性の沈降シリカZ1165MPを含むもの(参考例組成物R)。
実施例1で製造されたハイドロタルサイトH1を含むもの(組成物C1)。
実施例2で製造されたハイドロタルサイトH2を含むもの(組成物C2)。
【0033】
【表1】

上記組成物は、第1段階において、容量75cm3のブラベンダー型インターナルミキサーで、52回転/分のブレード平均速度で、110℃の温度に達するまでエラストマーを熱的/機械的に加工することによって製造された。この段階の後に、ブラベンダー型インターナルミキサーで促進段階が実施され、その次に外部ミキサーで最終段階が実施された。
組成物の加硫架橋は、対応するブレンドの加硫架橋の動的特性に適合させた。
組成物の特性を以下に記載する。測定は以下の標準及び/又は方法に従って(加硫架橋された組成物に対して)実施された。
【0034】
加硫架橋特性
標準NF T 43015
特に、最小トルク(Cmin)及び最大トルク(Cmax)の測定のためにMonsanto社製商品名100Sレオメーターを使用した。
Ts2は、混合の制御が可能な時間に対応する。ポリマーブレンドはTs2(加硫架橋の開始)から硬化する。
T90は、90%の加硫架橋が実施された完了時間に対応する。
【0035】
機械的特性
張力(弾性率):標準NF T 46002
弾性率x%は、引っ張りでx%の変形時に測定された応力を示す。
動的特性
実際の弾性率(G')及び理論上の弾性率(G”)並びにG'に対するG”の比として定義される損失角度のタンジェント(tanδ)は、機械的分光計(Metravib RDS社から販売される商品名Viscoanalyzer VA2000)によって異なった変形の程度で測定された。
試験の条件(特に組成物の非線形特性(ペイン効果)を決定するための所定温度及び所定周波数での変形走査操作)は以下の通りであった。
試験試料の形状は、平行六面体であった(およそ、長さ6mm、幅4mm、厚さ2.5mm)。増大する大きさの正弦曲線の変形が、5Hzの一定周波数で適用された。G'、G”、及びtanδは、変形の各程度において評価された。以下のΔG'は、0.001の剪断条件下での変形で測定された係数G'と1の剪断条件下での変形で測定された係数G'との間の差を意味し、tanδmaxは、変形の関数としての損失角度のタンジェントの最大値を言う。
【0036】
【表2】

本発明の組成物C1及びC2は、参考組成物Rのそれに比べ有利な特性のバランスを示すことが判明した。
組成物C1及びC2は、参考組成物Rのそれと同等な加硫架橋の動的挙動特性を有しながら、弾性率の点でより優れた補強性を示した。
さらに、この補強効果は非常に小さい変形においても観測可能である。
さらに、組成物C1及びC2の動的特性は参考組成物Rのそれに比べ非常に優れている。これは、組成物C1及びC2が変形の関数として実質的に低いタンジェントδの最大値を伴う(従って、機械的エネルギーの非常に低い消散を伴う)、弾性率の大きさの小さい低下(すなわち、非線形成)を有するためである。
【0037】
組成物C1及びC2それぞれのハイドロタルサイトH1及びH2の粒子の非常に良好な分散性は、参考組成物Rのシリカの分散性に匹敵することがSEM(走査型電子顕微鏡)及びTEM(透過型電子顕微鏡)によって観測された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリカによって挿入されたハイドロタルサイト。
【請求項2】
好ましくはMg、Ni、Zn又はCoから選択される少なくとも1つの2価のカチオン、及び好ましくはAl、Ga、Fe又はCrから選択される少なくとも1つの3価のカチオンを含むことを特徴とする、請求項1に記載のハイドロタルサイト。
【請求項3】
2価のカチオン/3価のカチオンのモル比が1〜8、好ましくは2〜6である、請求項2に記載のハイドロタルサイト。
【請求項4】
シリカによって挿入されたマグネシウムアルミニウムハイドロタルサイト。
【請求項5】
Mg/Alのモル比が1.5〜5、好ましくは2〜4である、請求項4に記載のハイドロタルサイト。
【請求項6】
その層の間に挿入された、実質的にシリカ、特にシリカのみを含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のハイドロタルサイト。
【請求項7】
Si/3価のカチオン、特にSi/Alが1に等しいモル比を示すことを特徴とする、請求項6に記載のハイドロタルサイト。
【請求項8】
その層の間に挿入されたシリカに加え、その表面にシリカを含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のハイドロタルサイト。
【請求項9】
Si/3価のカチオン、特にSi/Alが、1より大きい、特に2より大きいモル比を示すことを特徴とする、請求項8に記載のハイドロタルサイト。
【請求項10】
水から形成された容器の底部への:
特に、Mg、Ni、Zn又はCoから選択された少なくとも1つの2価のカチオン及びAl、Ga、Fe又はCrから選択された少なくとも1つの3価のカチオンの塩を含む1つの溶液、又は特に、Mg、Ni、Zn又はCoから選択された少なくとも1つの2価のカチオンを含む溶液及びAl、Ga、Fe又はCrから選択された少なくとも1つの3価のカチオンを含む溶液の2つの溶液のいずれか;
珪酸塩溶液、好ましくはアルカリ金属珪酸塩溶液;
塩基性剤溶液、
の同時添加の段階を含むことを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載された挿入されたハイドロタルサイトの製造方法。
【請求項11】
前記同時添加の時間が30〜90分であることを特徴とする、請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
前記同時添加の温度が20〜40℃に維持されることを特徴とする、請求項10又は11に記載の製造方法。
【請求項13】
前記同時添加の結果として得られた生成物が、好ましくは80〜95℃の温度で、特に1〜3時間加熱されることを特徴とする、請求項10〜12のいずれかに記載の製造方法。
【請求項14】
請求項1〜9のいずれかに記載された、又は請求項10〜13のいずれかに記載された製造方法で製造された少なくとも1つのハイドロタルサイトの、ポリマー組成物の充填材、特に補強充填材としての使用。
【請求項15】
前記ポリマー組成物が、−150〜+300℃の少なくとも1つのガラス転移温度を示す少なくとも1つのポリマー又はコポリマーを基材にすることを特徴とする、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
前記ポリマー組成物が少なくとも1つの熱可塑性エラストマーを基材にしていることを特徴とする、請求項14又は15に記載の使用。
【請求項17】
前記ポリマー組成物が更に、少なくとも1つのカップリング剤及び/又は少なくとも1つのコーティング剤を含むことを特徴とする、請求項14〜16のいずれかに記載の使用。
【請求項18】
充填材を含む少なくとも1つのポリマー又はコポリマーを基材にしたポリマー組成物であって、前記充填材が請求項1〜9のいずれかに記載された、又は請求項10〜13のいずれかに記載された製造方法で製造された少なくとも1つのハイドロタルサイトによって形成されているポリマー組成物。
【請求項19】
前記ポリマー又はコポリマーが、−150〜+300℃の少なくとも1つのガラス転移温度を示すことを特徴とする、請求項18に記載の使用。
【請求項20】
更に少なくとも1つのカップリング剤及び/又は少なくとも1つのコーティング剤を含むことを特徴とする、請求項18又は19に記載の使用。
【請求項21】
請求項18〜20のいずれかに記載された少なくとも1つの組成物を基材にした完成品。

【公表番号】特表2007−518658(P2007−518658A)
【公表日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−546250(P2006−546250)
【出願日】平成16年12月22日(2004.12.22)
【国際出願番号】PCT/FR2004/003354
【国際公開番号】WO2005/063627
【国際公開日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(390023135)ロディア・シミ (146)
【氏名又は名称原語表記】RHONE−POULENC CHIMIE
【Fターム(参考)】