説明

シリカ分散液

水に加えて、0.5〜20質量%の疎水性シリカ、0.01〜10質量%のゲル化添加剤、又は粘度増大添加剤を含有する分散液は、更なる成分として、少なくとも1種のフェノール又は少なくとも1種のフェノール誘導体及び/又は少なくとも1種のアルデヒドを含有する。この分散液は、個々の成分が添加の前及び/又はその間に脱気される場合、又は分散液が個々の分散工程の間に脱気され且つその後該分散液中に存在する残留の空気が真空の適用により除去される場合、個々の成分を連続的に又は一緒に水中に分散させることによって製造される。この分散液は殺虫剤として及び病原体の防除のために使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリカ分散液、その製造方法及び更にその使用に関する。
【0002】
粉状の疎水性シリカは吸血昆虫の防除のために使用されており、その際、その適用はダスティングによって進められる(DE3835592号)。
【0003】
不都合には、ダストの発生は、この昆虫防除の方法がほとんど認められないことが分かっているものである。
【0004】
同様にDE3835592号に記載されている水性分散液は、疎水性シリカと水からなり、十分な安定性を示さない。
【0005】
US5830512号は、例えば、シリカなどの親水性物質の添加によって十分な安定性が達成される分散液を記載している。しかしながら、この方法によって活性な疎水性成分は親水性物質によって希釈される。加えて、非常に低い安定性の分散液のみ数時間〜数日で達成される。
【0006】
EP1250048号は、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム又は被中和カルボキシ−ビニルポリマーなどの添加剤のゲル化によって疎水性シリカの分散液を安定化し、その際、これらの添加剤の混合物も可能であることを開示している。
【0007】
これらのゲル化添加剤は、疎水性SiO粒子と取り込まれた空気とが組み合わされて、著しい構造粘性をもたらす。
【0008】
顕著な構造粘性は噴霧による適用の場合にも示される:噴霧プロセスの間、剪断力が生じた分散液の粘度は比較的低い。分散液の液滴が被覆されるべき表面に衝突した後、特に垂直な表面からのしたたり/あふれ出ることを避けるために、粘度が再び大きく上昇する。
【0009】
EP1250048号によると、分散されるべき疎水性SiO粒子に加えて、大量の空気が取り込まれる。公知の分散プロセスを使用する場合、これは界面活性剤及び脱泡剤の湿潤を使用せずに回避することができない。例えば、実施例1において、0.6g/mlの密度のみが記載されており、これは約40%の体積が空気を含むことを言っている。
【0010】
十分な活性を達成するために、最小の質量が噴霧されるべき表面に適用されなければならない。一回の噴霧操作につき、わずか約60%の体積の噴霧装置が使用できる場合、これは有意な削減効果を意味する。
【0011】
不都合なことに、輸送、包装及び要求された包装の廃棄の費用はこのフラクションによって更に高くなる。
【0012】
また、貯蔵の間、約40%大きい貯蔵空間が考慮されなければならない。
【0013】
加えて、空気含有分散液を使用する場合、処理されるべき表面の均一な、気泡のないコーティングを達成することは不可能である。
【0014】
DE102004021532号は、水に加えて、0.5〜20質量%の疎水性シリカ、0.01〜10質量%のゲル化添加剤、又は粘度増大添加剤、0.1〜1質量%の防腐剤、0〜1質量%の表面活性物質を含有する分散液を開示する。
【0015】
この分散液はダニ及び他の昆虫に対して殺虫剤として使用することができる。
【0016】
公知の分散液は、ダニを要求された程度まで乾燥することができないので、高い雰囲気湿度において活性を失うという欠点を有する。この事実は図1に図示されている。
【0017】
従って目的は、高い雰囲気湿度でさえ分散液の活性が与えられるようにシリカ分散液を改変することである。
【0018】
本発明は、水に加えて、0.5〜20質量%の疎水性シリカ、0.01〜10質量%のゲル化添加剤、又は粘度増大添加剤を含有する分散液に関し、該分散液は、更なる成分として、少なくとも1種のフェノール又は少なくとも1種のフェノール誘導体及び/又は少なくとも1種のアルデヒドを含有することを特徴とする。
【0019】
特に、分散液は、フェノール誘導体として、p−クロロ−m−クレゾールを含有することができる。
【0020】
加えて、分散液は、アルデヒドとして、グルタルジアルデヒドを含有することができる。
【0021】
分散液中のp−クロロ−m−クレゾールの含量は0.1〜5質量%、有利には0.1〜0.5質量%であってよい。
【0022】
分散液中のグルタルジアルデヒドの含量は0.1〜5質量%、有利には0.5〜3質量%であってよい。
【0023】
水のフラクションは68〜99.4質量%であってよい。
【0024】
分散液の特定の密度は0.6g/mlより大きく、有利には0.7〜1.02g/mlであってよい。
【0025】
疎水性シリカとして、熱分解法により製造された、疎水性シリカを使用することができる。該シリカは20〜600m/gのBET表面積を有することができる。
【0026】
本発明の有利な実施態様において、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)を使用して疎水化された熱分解法により製造されたシリカを疎水性シリカとして使用することができる。該シリカは220±25m/gのBET表面積及び3.0〜4.0質量%の炭素含量を有することができる。
【0027】
ゲル化添加剤又は粘度増大添加剤は、バイオポリマー、例えば、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、イナゴマメ荒粉、ペクチン、寒天、カラゲナン、アルギン酸塩及び/又は被中和カルボキシビニルポリマー、又はこれらの物質の混合物であってよい。
【0028】
本発明による分散液は、それに加えて、保存剤を含有することができる。
【0029】
保存剤として、食品に認可されている保存剤を使用することができる。これらの保存剤は:ソルビン酸、ソルビン酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸カルシウム、安息香酸、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸カルシウム、PHBエチルエステル、PHBエチルエステルのナトリウム塩、PHBプロピルエステル、PHBプロピルエステルナトリウム塩、PHBメチルエステル、PHBメチルエステルナトリウム塩、二酸化硫黄、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、二硫化ナトリウム、二硫化カリウム、二硫化カルシウム、亜硫酸水素カルシウム、ビフェニル、オルトフェニルフェノール、ナトリウムオルトフェニルフェノラート、チアベンダゾール、ニシン、ナタマイシン、ギ酸、ギ酸ナトリウム、ギ酸カルシウム、ヘキサメチレンテトラミン、ジメチルジカルボナート、プロピオン酸、ナトリウムプロピオナート、カルシウムプロピオナート、カリウムプロピオナートであってよい。
【0030】
加えて次のものが認可される:
硝酸塩、亜硝酸塩、二酸化炭素、塩素及び二酸化塩素。
【0031】
保存剤は0.1質量%までの量で存在することができる。
【0032】
本発明による分散液は、追加的に、1質量%までの量で表面活性物質を含有することができる。
【0033】
表面活性物質として、イオン性の、非イオンの及び陰イオンの界面活性剤を使用することができる。
【0034】
本発明は更に、個々の成分が添加の前及び/又はその間に脱気される場合、又は分散液が個々の分散工程の間に脱気され且つまだ存在している残留の分散空気が真空下で更なる混合によって最終的に除去される場合、個々の成分を連続的に又は一緒に水中に分散させることを特徴とする本発明による分散液の製造方法に関する。
【0035】
本発明の一実施態様において、脱気は真空をかけることによって行うことができる。
【0036】
驚くことに、本発明によれば、大量の空気を含有しない、安定且つ活性な分散液が得られる。この脱気された分散液は予め脱気された疎水性SiOの分散によって得られる。分散液の後の脱気が技術的に可能であっても、これは均一な相の水(添加剤としてのゲル化剤)の粘度増大のために多大な努力によって初めて達成することができるものである。分散され得る少なくとも1部の可能な限り大量の空気を、分散の前又はその間に脱気の手段によって除去することができる。
【0037】
原則的に、脱気前に粉末の分散を可能にするか又は分散の間に空気の分散を防ぐかのいずれかの分散プロセスが適している。
【0038】
脱気及び分散の一実施態様は真空溶解機の使用である。この場合、水及びゲル化添加剤を簡単に予備分散させ、次いで全量の疎水性SiOを撹拌しないで溶液の表面に添加し、混合物を取り除き、その時にはじめて疎水性SiOの分散を開始させることができる。
【0039】
NETZSCH社製のPSI Mix(登録商標)もまたこの粉末の脱気を達成することができる。
【0040】
残留した微小な泡を除去するために、NETZSCH社製のDA−VS NETZSCH真空脱気器などの脱気装置、真空薄膜回転工程を使用した。
【0041】
本発明による分散液は、殺虫剤として、例えば以下のもの:
イエダニ:ヤケヒョウヒダニ
赤色家禽ダニ(red poultry mite):ニワトリダニ
コクヌストモドキ(red flour beetle):コクヌストモドキ
グラナリアコクゾウムシ(granary weevil):グラナリアコクゾウムシ
ノシメマダラメイガ(Indian meal moth):ノシメマダラメイガ
緑色アブラムシ(green aphid):ムギミドリアブラムシ
に対して使用することができる。
【0042】
本発明は、活性スペクトルを「消毒範囲」内で拡大させるための更なる殺菌性添加剤と公知の分散液との相乗作用に関する。
【0043】
DE102004021532号による分散液は、特に卵の製造のための家禽飼育において赤色家禽ダニを防除することに適している。分散液の活性は、活性の更なる物理的機構のために本質的に成虫ダニに制限される(ダニ表面の「除脂術/脱蝋」の後に乾燥のために水分損失の致死的な経過をたどる)。ダニの卵は特にこの「非化学的攻撃」による損害を受けることが認められない。
【0044】
サルモネラ菌の発生は養鶏施設において近年ますます観察されてきた。ドイツでは、その間に、3企業毎に影響を受けている。この場合、サルモネラ菌感染、企業規模及び囲いの種類の間に相関がある:おりの中に3000羽(匹)を超える産卵鶏及び動物を収容する比較的大きな農場は、中小企業及び耕地、鳥小屋又は野外飼畜を有する企業よりもしばしば著しく影響を受ける。ヒトにも危険なこれらの病原体を減少させるために(サルモネラ菌大発生は、大部分が家禽生産物の消費又は加工後に発生する)、若鶏で新たに占有する前に家禽舎を完全に洗浄し、更に一層殺菌剤で処理する。しかしながら、かかる殺菌の後、家禽ダニが慣用の殺菌剤によって覆われないので、これらを殺すための更なる後処理が必要である。
【0045】
本発明による分散液によって1回の操作手順でうまくこれらの2つの清浄工程を実施することが可能である。驚くことに、ここで複数の活性化合物の組み合わせが相乗効果によってダニの卵を殺すさえできることが見出された。この相乗作用は次の配合物で試験された。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】図1は各温度での相対湿度と死滅率との関係を示す。
【図2】図2はダニの卵での殺虫剤の活性を示す。
【図3】図3はダニの卵での殺虫剤の活性を示す。
【0047】
実施例
全ての実施例においてCDS真空システムを有するVMA−GETZMANN GMBH製のDISPERMAT(登録商標)実験用ディソルバーを使用した。CDS分散システムは、分散プロセスを真空下で完全に閉じられたシステムにおいて容器中で実施することを可能にする。70mm直径の歯状ディスクを使用した。
【0048】
使用されるシリカ、疎水化ヘキサメチルジシラザン(HMDS)シリカAEROSIL(登録商標)812Sを熱分解法により製造する。
【0049】
このシリカは、熱分解法により製造されたシリカAEROSIL(登録商標)300をベースとする。該シリカは220±25m/gのBET表面積及び3.0〜4.0質量%の炭素含量を有する。
【0050】
公知の分散液の製造
475.5gの脱イオン水に1gのレシチン、0.5gのソルビン酸、0.5gのソルビン酸カリウム及び7.5gのサチアキサン(Satiaxane)キサンタンガムを添加し且つ分散を15分間1000rpmで真空下においてディソルバーで行う。次に、15gのAerosilR812Sを装入し且つこの分散液を10分間真空下で撹拌しないで脱気する。最終的に、AerosilR812Sを真空下で2000rpmで分散させる。
【0051】
R1の製造
466.5gの脱イオン水に1gのレシチン及び7.5gのサチアキサン(Satiaxane)キサンタンガムを添加し且つ分散を15分間1000rpmで真空下においてディソルバーで行う。次に、10gのグルタルジアルデヒド及び15gのAerosilR812Sを装入し且つこの混合物を10分間真空下で撹拌しないで脱気する。最終的に、AerosilR812Sを真空下で2000rpmで分散させる。
【0052】
R2の製造
436.5gの脱イオン水に1gのレシチン及び7.5gのサチアキサン(Satiaxane)キサンタンガムを添加し且つ分散を15分間1000rpmで真空下においてディソルバーで行う。次に、40gのグルタルジアルデヒド及び15gのAerosilR812Sを装入し且つこの混合物を10分間真空下で撹拌しないで脱気する。最終的に、AerosilR812Sを真空下で2000rpmで分散させる。
【0053】
R3の製造
70℃で、0.5gのp−クロロ−m−クレゾールを476.5gの脱イオン水中で(クレゾールが約60℃で融解する)500rpmで撹拌する。その後、1gのレシチン及び7.5gのサチアキサン(Satiaxane)キサンタンガムを添加し且つこの混合物を15分間1000rpmで真空下においてディソルバーで分散させる。次に、15gのAerosilR812Sを装入し且つこの混合物を10分間真空下で撹拌しないで脱気する。最終的に、AerosilR812Sを真空下で2000rpmで分散させる。
【0054】
R4の製造
70℃で、1.75gのp−クロロ−m−クレゾールを474.75gの脱イオン水中で(クレゾールが約60℃で融解する)500rpmで撹拌する。その後、1gのレシチン及び7.5gのサチアキサン(Satiaxane)キサンタンガムを添加し且つこの混合物を15分間1000rpmで真空下においてディソルバーで分散させる。次に、15gのAerosilR812Sを装入し且つ分散液を10分間真空下で撹拌しないで脱気する。最終的に、AerosilR812Sを真空下で2000rpmで分散させる。
【0055】
R5の製造
70℃で、0.5gのp−クロロ−m−クレゾールを466gの脱イオン水中で(クレゾールが約60℃で融解する)500rpmで撹拌する。その後、1gのレシチン及び7.5gのサチアキサン(Satiaxane)キサンタンガムを添加し且つこの混合物を15分間1000rpmで真空下においてディソルバーで分散させる。次に、40gのグルタルジアルデヒド及び15gのAerosilR812Sを装入し且つこの混合物を10分間真空下で撹拌しないで脱気する。最終的に、AerosilR812Sを真空下で2000rpmで分散させる。
【0056】
分散液R10、R14及びR13をR5と同じ方法で製造した。
【表1】

【0057】
成虫ダニに対する活性の測定:
吸引によって満たされた完全に成長したダニへの影響(死滅率)を測定するために、各々の場合において約100匹のダニを、プラスチックのペトリ皿中の亜鉛めっきされた鋼板上の乾燥した活性化合物コーティング(湿潤膜厚200μm)の上に置き、微細な布/ガーゼで閉じた後、気候上制御したチャンバ中に保管し(23℃及び相対湿度を変える)、その後、例えば、24時間後に、生存した、損傷した、又は死滅したダニを数える。この試験を50%及び100%の相対湿度で行う。
【0058】
結果:
24時間後及び50%の相対湿度の全ての配合物は95〜100%の死滅率を示し、これは優れた活性と言える。(図1を参照のこと)
【0059】
しかしながら、驚くことに、生成物R1〜R5は、公知の分散液とは対照的に、100%の相対湿度においても顕著な効果(98〜100%)を示した。
【0060】
この結果は非常に良好であり、これは死滅率が98%〜100%の間の範囲である全ての配合物について言える(第1表を参照のこと)。
【表2】

【0061】
ダニの卵に対する活性の測定:
ダニの卵での活性(死滅率)を測定するために、各々の場合において約100匹のダニの卵を、プラスチックのペトリ皿中の亜鉛めっきされた鋼板上の新たに噴霧された活性化合物コーティング(湿潤膜厚200μm)の上に置き、気候上制御したチャンバ中に保管し、その後、例えば、24時間後に、ダニの卵を評価するか又は孵化した幼生を数える。
【0062】
【表3】

【0063】
これらの結果を図2+3及び更に第2表に図示する。
【表4】

【0064】
サルモネラ菌に対する活性の測定:
DVGガイドライン(German Veterinary Societyのガイドライン)に基づき、DVGリスト列4b中の許可/消費に関して蛋白質負荷を行って及びそれを行わないで改変した「定量的な懸濁試験」を実施する(「予防的殺菌」)。本発明による分散液は殺菌剤溶液であるが、特定の粘稠性(粘度)を有するので、試験方法の改変が必要である。
【0065】
【表5】

【0066】
R2及びR4と2%グルタルジアルデヒド+0.35%p−クロロ−m−クレゾールとの組み合わせが特に有利である。
【0067】
この場合、
− 本発明による分散液の疎水性の熱分解法により製造されたSiOはダニの死滅の役割を果し、
− p−クロロ−m−クレゾールはダニの卵の損傷/死滅の役割を果し、且つ
− グルタルジアルデヒドはサルモネラ菌の死滅の役割を果す。
【0068】
「動物飼畜のためのGerman Veterinary Society (DVG)の殺菌剤リスト」中に取り込まれるための条件としてのDVGガイドラインに基づく本発明による分散液R13の試験
「動物飼畜のためのGerman Veterinary Society (DVG)の殺菌剤リスト」中に取り込まれるべき殺菌剤の試験は、「動物飼育用の殺菌剤の試験方法」を含むGerman Veterinary Society e.V. (DVG)の「化学的殺菌剤を試験するためのガイドライン」に従って実施されなければならない。
【0069】
本発明による分散液R13は−公知の殺菌剤濃縮物とは対照的に−エマルションであり且つ動物の畜舎において希釈されない形で適用されるので、DVG法は評価及び作表が可能であるような方法で改変された。
【0070】
試験生物:
DVGガイドラインに従って、次の試験生物を使用して試験を実施した:
黄色ブドウ球菌 DSM 799
エンテロコッカスフェシウム DSM 2918
プロテウスミラビリス DSM 788
緑膿菌 DSM 939
カンジダアルビカンス DSM 1386
【0071】
加えて、本発明による分散液R13のサルモネラ菌の活性を試験した。この場合、次の試験微生物を使用した:
サルモネラ・エンテリカ亜種、エンテリカ DSM 10062(=S. senftenberg)
【0072】
殺菌剤の希釈:
殺菌剤の希釈を、滅菌した標準硬度の水(WSH)を用いて試験の直前に行った。本発明による分散液R13は20%w/vまでの比でのみWSHと混和性であるため、より高い濃度が試験されなかった。
【0073】
希釈試験における制菌作用の測定:
希釈試験における制菌作用をDVGガイドラインIV.A.2に従って測定した。
【0074】
滅菌試験管において、本発明による段階希釈の分散液R13を、濃縮されたカゼインペプトン−大豆ミールペプトン溶液を用いて生成し、規定数の試験微生物で接種し且つその後インキュベートした。制菌作用の指数として、細菌生育をなお抑制する最も高い殺菌性の希釈液(最小阻止濃度=MIC)を測定した。本発明による分散液R13の固有の曇りのために、DVGガイドラインからの偏差として、使用された試験生物の定量化を(試験前及び試験後に)表面処理中に行って制菌性の殺菌剤濃度を測定することができた。フェノール希釈系列は対照及び比較のために一緒に実行された。
【0075】
本発明による分散液R13の測定された最小阻止濃度(MIC)は7.5%(サルモネラ・エンテリカ亜種、エンテリカ及びプロテウスミラビリスの場合)と15%(エンテロコッカスフェシウム)との間である。
【0076】
懸濁試験における制菌作用の測定(終末点法)
蛋白質負荷を行う及び行わない懸濁試験において、本発明による分散液R13の制菌作用をDVGガイドラインIV.A.3に従って測定した。
【0077】
この場合、微生物懸濁液を試験されるべき殺菌性の希釈液に添加し、どの場合も規定の曝露時間後に試料を取り出して過剰接種した。蛋白質負荷を行わないで試験するだけでなく20%のウシ血清の蛋白質負荷を行っても試験した。
【0078】
対照ために、殺菌剤を使用しない増殖対照だけでなくフェノール溶液を使用する感度対照も一緒に行った。
【0079】
蛋白質負荷をしないで、本発明による分散液R13は、30分の間に4%の濃度の全ての細菌試験微生物に作用し、従って以下のMICを立証した。
【0080】
蛋白質負荷を行う試験において、活性が損なわれたが、30分後にほとんど目立たなかった。全ての細菌試験微生物は、蛋白質負荷を行う懸濁試験において、6%の濃度により30分間で死滅した。
【0081】
サルモネラ・エンテリカは、蛋白質負荷を行わない試験だけでなく蛋白質負荷を行う試験においても、15分の間に6%の濃度により死滅するか、又は5分の間に10%の濃度により死滅した。生成物は動物の畜舎で希釈しないで使用されるので、なお強い活性が実際の使用において想定され得る。
【0082】
伝染媒体試験における制菌作用の測定:
伝染媒体試験において、本発明による分散液R13の制菌作用を、DVGガイドラインIV.A.4に規定された方法に従って測定した。この場合、希釈した生成物(10%及び20%)だけでなく希釈されない生成物も試験した。本発明による分散液R13は、その流動学的性質のために、十分に活性な化合物濃度で伝染媒体のシナノキ木材中に貫入することができないので、ここで本方法による充分な活性は検知されなかった。
【0083】
評価の概要:
本発明による分散液R13は、蛋白質負荷を行う及び行わない懸濁試験において容易に活性になり、短時間の曝露の場合のみ顕著な蛋白質の損失を有する。この限定要因は制菌試験におけるMICの決定である。上の結果のため、本発明による分散液R13の使用が動物飼育の部門における予防的殺菌のために可能である。この生成物を(本試験に反して)動物の畜舎で希釈しないで使用し、従ってその場の作用は本方法によって宣言された作用よりも更に高い場合もあることが留意されなければならない。
【0084】
対照的に、これに必要なシナノキの木材中への貫入容量を保証することができないので、本発明による分散液R13は特殊な殺菌に不適切である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水に加えて、0.5〜20質量%の疎水性シリカ、0.01〜10質量%のゲル化添加剤、又は粘度増大添加剤を含有する分散液であって、更なる成分として、少なくとも1種のフェノール又は少なくとも1種のフェノール誘導体及び/又は少なくとも1種のアルデヒドを含有することを特徴とする、分散液。
【請求項2】
個々の成分が添加の前及び/又はその間に脱気される場合、又は分散液が個々の分散工程の間に脱気され且つまだ存在している残留の分散空気が真空下で更なる混合によって最終的に除去される場合、個々の成分を連続的に又は一緒に水中に分散させることを特徴とする、請求項1記載の分散液の製造方法。
【請求項3】
請求項1記載の分散液を使用することを特徴とする、昆虫及び/又は病原体の防除方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−538035(P2010−538035A)
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−523466(P2010−523466)
【出願日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際出願番号】PCT/EP2008/060692
【国際公開番号】WO2009/030588
【国際公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】